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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】抗CD40抗体およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/28 20060101AFI20240807BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20240807BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240807BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240807BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240807BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240807BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240807BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240807BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20240807BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240807BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240807BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240807BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240807BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C07K16/46
C12N15/13
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
A61K39/395 N
A61P37/04
A61P35/00
A61P35/02
A61P31/12
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021560225
(86)(22)【出願日】2020-04-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-01
(86)【国際出願番号】 CN2020084186
(87)【国際公開番号】W WO2020207470
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-12-19
(31)【優先権主張番号】201910284441.1
(32)【優先日】2019-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010262466.4
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521439257
【氏名又は名称】ナンカイ ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100113376
【弁理士】
【氏名又は名称】南条 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100179394
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬田 あや子
(74)【代理人】
【識別番号】100185384
【弁理士】
【氏名又は名称】伊波 興一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100137811
【弁理士】
【氏名又は名称】原 秀貢人
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ホンカイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ユァン
【審査官】小林 薫
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-526977(JP,A)
【文献】国際公開第2019/057792(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/205742(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/184619(WO,A2)
【文献】国際公開第2017/211321(WO,A1)
【文献】特表2005-508176(JP,A)
【文献】Protein Engineering, Design & Selection,2018年,Vol.31, No.11,pp.427-436
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C07K 1/00-19/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS (STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)配列番号1、配列番号3、および配列番号5の配列を含むか、または上記配列からなるHCDR1、HCDR2、およびHCDR3、ならびに配列番号7、配列番号9、および配列番号11の配列を含むか、または上記配列からなるLCDR1、LCDR2、およびLCDR3、または
(ii)配列番号1、配列番号3、および配列番号51の配列を含むか、または上記配列からなるHCDR1、HCDR2、およびHCDR3、ならびに配列番号7、配列番号9、および配列番号53の配列を含むか、または上記配列からなるLCDR1、LCDR2、およびLCDR3、または
(iii)配列番号1、配列番号3、および配列番号52の配列を含むか、または上記配列からなるHCDR1、HCDR2、およびHCDR3、ならびに配列番号7、配列番号9、および配列番号54の配列を含むか、または上記配列からなるLCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む、CD40結合する抗体またはその抗原結合断片。
【請求項2】
重鎖可変領域VHおよび軽鎖可変領域VLを含む、CD40に結合する抗体またはその抗原結合断片であって、
(i)重鎖可変領域VHは、配列番号13のアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、および軽鎖可変領域VLは、配列番号15のアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、
(ii)重鎖可変領域VHは、配列番号58のアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、および軽鎖可変領域VLは、配列番号64のアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、
(iii)重鎖可変領域VHは、配列番号60のアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、および軽鎖可変領域VLは、配列番号66のアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、または
(iv)重鎖可変領域VHは、配列番号62のアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、および軽鎖可変領域VLは、配列番号66のアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなる、
体またはその抗原結合断片。
【請求項3】
(i)重鎖は、配列番号17、18または19のアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、および軽鎖は、配列番号21のアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、
(ii)重鎖は、配列番号67のアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、および軽鎖は、配列番号68のアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、または
(iii)重鎖は、配列番号69または70のアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、および軽鎖は、配列番号71のアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなる、請求項1に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項4】
前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項1~3のいずれか1項に記載のCD40結合する抗体またはその抗原結合断片。
【請求項5】
前記抗体がヒト化抗体またはヒト抗体またはキメラ抗体である、請求項1~4のいずれか1項に記載のCD40結合する抗体またはその抗原結合断片。
【請求項6】
前記抗原結合断片は、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、単鎖抗体または(Fab’)2 、diabody(dAb)または直鎖抗体から選択される抗体断片である、請求項1~5のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片をコードする単離された核酸。
【請求項8】
請求項7に記載の核酸を含む、発現ベクター。
【請求項9】
請求項7に記載の核酸または請求項8に記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
【請求項10】
CD40結合する抗体またはその抗原結合性断片を調製する方法であって、前記抗体の発現に適した条件下で、請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸を含む宿主細胞を培養することを含み、前記宿主細胞から前記抗体またはその抗原結合断片を回収することをさらに含む方法。
【請求項11】
請求項1~6のいずれか1項に記載のCD40結合する抗体またはその抗原結合断片と、追加の物質とをここで、前記追加の物質は治療薬またはマーカーである、免疫抱合体。
【請求項12】
請求項1~6のいずれか1項に記載のCD40結合する抗体またはその抗原結合断片、または請求項11に記載の免疫抱合体を含む、医薬組成物。
【請求項13】
薬用補助剤をさらに含む、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
請求項1~6のいずれか1項に記載のCD40結合する抗体またはその抗原結合断片、または請求項11に記載の免疫抱合体と、1つ以上のその他の治療薬と、を含む、組合製品。
【請求項15】
前記治療剤は、化学療法剤、その他の抗体、細胞毒性薬剤、ワクチン、抗感染活性薬剤、低分子薬物または免疫調節剤から選択される、請求項14に記載の組合製品。
【請求項16】
免疫応答を増強するための、または、被験体における免疫応答の増強を必要とする被験体の疾患または被験体におけるCD40関連疾患を予防または治療するための医薬の製造における、請求項1~6のいずれか1項に記載のCD40に結合する抗体またはその抗原結合性断片、請求項11に記載の免疫抱合体、または請求項12もしくは13に記載の医薬組成物の使用。
【請求項17】
免疫応答が抗原特異的T細胞応答である、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記疾患は、腫瘍または感染である、請求項16に記載の使用。
【請求項19】
前記腫瘍は、リンパ腫、結腸がん、結腸直腸がん、直腸がん、肺がん、肝がん、胃がんおよびそれらの転移性がんである、または、前記感染は慢性感染もしくはウイルス感染である、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
請求項16~19のいずれか1項に記載の使用であって、
前記医薬は、1以上の療法と組み合わせて被験体に投与され、ここで前記療法は、治療方法および/またはその他の治療薬である、
使用。
【請求項21】
前記治療方法は、手術療法および/または放射線療法を含み、および/またはその他の治療薬は化学療法剤、その他の抗体、細胞毒性薬剤、ワクチン、抗感染活性薬剤、低分子薬物または免疫調節剤から選択される、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片、または請求項11に記載の免疫抱合体、を含む、検出キット。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、CD40を特異的に結合する新型抗体、および抗体断片、ならびに前記抗体または抗体断片を含む組成物、薬物、組合製品またはキットに関する。また、本発明は、抗体またはその抗体断片をコードする核酸およびそれらを含む宿主細胞、ならびに関連の使用に関する。さらに、本発明は、これらの抗体と抗体断片の治療的および診断的使用に関する。
【0002】
T細胞の完全な活性化には2つのシグナルが必要である。抗原提示細胞(APC)は腫瘍抗原を取り込み、加工し、MHC(抗原複合体)を形成し、T細胞に提示され、T細胞表面のTCRと結合し、これはT細胞活性化の第1シグナルである。第2または共刺激シグナルは、CD28とB7-1(CD80)/B7-2(CD86)、および共刺激因子CD40、OX40、GITRなどとそれらのリガンドとの相互作用を介して伝達される(Smith-Garvin, J.E., G.A. Koretzky, and M.S. Jordan, T cell activation. Annu Rev Immunol, 2009. 27: p.591-619)。共刺激シグナルが欠如している場合、T細胞は、無応答性(無反応性)または抗原刺激後のプログラム細胞死(アポトーシス)を起こす可能性がある。
CD40は、TNF受容体(TNFR)スーパーファミリーのメンバーであり、主にB細胞、樹状細胞(DC細胞)、単球およびマクロファージなどのさまざまな抗原提示細胞(Grewal, I.S. and R.A. Flavell, CD40 and CD154 in cell-mediated immunity. Annu Rev Immunol, 1998. 16: p.111-35)に発現している。CD40は、細胞表面に三量体を形成し、対応するリガンドCD40L(すなわちCD154)は主に活性化されたT細胞の表面に発現している。CD40とCD40Lの相互作用は、T細胞の活性化のための共刺激シグナルである。特定の細胞タイプに基づき、CD40は特定の遺伝子発現パターンをもたらす作用に関与する。T細胞上のCD40LとCD40の結合により、NF-κB(核内因子κB)、MAPK(マイトジェン活性化プロテインキナーゼ)、STAT3(シグナル伝達兼転写活性化因子3)などの経路が活性化される(Rothe, M., et al., TRAF2-mediated activation of NF-kappa B by TNF receptor 2 and CD40. Science, 1995. 269(5229): p.1424-7)。
CD40は、正常な免疫細胞だけでなく、同時に多くの悪性細胞からも発現している。具体的には、CD40は、B系NHL、慢性リンパ性白血病(CLL)、有毛細胞白血病(HCL)、ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、および膀胱がん、腎臓がん、卵巣がん、子宮頸がん、乳がん、肺がん、鼻咽頭がん、悪性黒色腫などで過剰に発現している(Hassan, S.B, et al., Anti-CD40-mediated cancer immunotherapy: an update of recent and ongoing clinical trials.Immunopharmacol Immunotoxicol, 2014.36(2): p.96-104)。
CD40アゴニスト抗体は、次の多種の機序を通じて腫瘍細胞に対抗することができる。第一に、CD40アゴニスト抗体は、免疫系を活性化することにより、より強い抗腫瘍効果を媒介する。具体的には、CD40アゴニスト抗体は、DC細胞を活性化し、その抗原提示能を増加させることができ、これは、B7ファミリー(CD80、CD86)のような共刺激分子の発現増加や、インターロイキン12のようなサイトカインの分泌促進を示しており、顕著なT細胞応答を引き起こすことができる(Fong, L. and E.G. Engleman, Dendritic cells in cancer immunotherapy. Annu Rev Immunol, 2000. 18: p.245-73)。CD40アゴニスト抗体は、安静時のB細胞の増殖、免疫グロブリンのカテゴリー転換、抗体分泌を促進し、胚中心の発達と記憶性B細胞の生存に影響を与え、これらすべてが液性免疫応答に不可欠である(Beatty, G.L., Y. Li, and K.B. Long, Cancer immunotherapy: activating innate and adaptive immunity through CD40 agonists. Expert Rev Anticancer Ther, 2017. 17(2): p.175-186)。第二に、CD40アゴニスト抗体は、腫瘍細胞の表面に発現するCD40と結合した後、抗体依存性細胞傷害(ADCC)作用を媒介し、CD40を高発現する腫瘍細胞をナチュラルキラー細胞から直接除去する(Vonderheide, R.H. and M.J. Glennie, Agonistic CD40 antibodies and cancer therapy. Clin Cancer Res, 2013. 19(5): p.1035-43)。第三に、CD40アゴニスト抗体は、腫瘍細胞の表面に発現するCD40と結合した後、例えば、CD40/CD40Lシグナル経路は、腫瘍細胞の細胞周期を阻害し、細胞をG2-M期で停止させ、またCD40/CD40Lの相互反応は、腫瘍細胞表面のFas発現の上昇を促進し、Fas/FasLシグナル経路を介してCD40を高発現する腫瘍細胞の成長を抑制し、アポトーシスを促進することができる(Eliopoulos, A.G., et al., CD40 induces apoptosis in carcinoma cells through activation of cytotoxic ligands of the tumor necrosis factor superfamily.Mol Cell Biol, 2000.20(15): p.5503-15)。
CD40のアゴニスト抗体は、そのアゴニスト形態によって次の異なる2つのタイプに分かれる。第1のタイプのCD40のアゴニスト活性には、Fc受容体の架橋(CP-870893やCDX-1140など)に依存していないが、前者は心強い抗がん効果を示しているが、用量制限毒性があり、全身の免疫機能の乱れ、静脈血栓塞栓症やサイトカイン放出症候群(Cytokine Release Syndrome、CRS)の発生を引き起こす可能性がある。もう1つのタイプのCD40のアゴニスト活性を持つには、Fc受容体の架橋を必要とする。腫瘍組織および周囲の腫瘍流入領域リンパ節には、腫瘍関連炎症性細胞がより多く存在し、FcγR2b受容体は、腫瘍細胞の周囲により多く集積している。したがって、このような「架橋抗体」アゴニストは、より高い組織選択性を持つようになり、抗体は腫瘍の微小環境で明らかなアゴニストを生成することができる一方、正常な組織の部位では、作用能力が低く保たれるため、治療の安全性を高めることができる。
したがって、この分野では、ファイザー製薬のCP870893のようなCD40抗体が既に存在しているが、既存の抗体と同等またはそれ以上の性質を有する新しいCD40抗体、特にFc受容体架橋に依存するCD40抗体、特により優れた抗がん性を有し、より安全性の高い抗体が必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
そのため、本発明は、CD40(特にヒトCD40またはアカゲザルCD40)を結合する新規抗体およびその抗原結合断片を提供する。
いくつかの実施形態において、本発明の抗CD40抗体またはその抗原結合断片は、重鎖可変領域(VH)を含み、ここで前記VHは、
(i)SEQ ID NO:13、58、60、62または14に示すようなVHに含まれる3つの相補性決定領域(CDR)HCDR1、HCDR2、HCDR3を含み、または
(ii)(i)の配列に対して、前記3つのCDR領域においては、合計で少なくとも1つかつ5、4、3、2または1つ以下のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を含み、または
(iii)(i)の配列に対して、HCDR3においては、少なくとも1つかつ3、2または1つ以下のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を含む。
いくつかの実施形態において、本発明の抗CD40抗体またはその抗原結合断片は、軽鎖可変領域(VL)を含み、ここで前記VLは、
(i)SEQ ID NO:15、64、66または16に示すようなVLに含まれる3つの相補性決定領域(CDR)LCDR1、LCDR2、LCDR3を含み、または
(ii)(i)の配列に対して、前記3つのCDR領域においては、合計で少なくとも1つかつ5、4、3、2または1つ以下のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を含み、または
(iii)(i)の配列に対して、LCDR3においては、少なくとも1つかつ3、2または1つ以下のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を含む。
いくつかの実施形態において、本発明の抗CD40抗体またはその抗原結合断片は、次のとおり重鎖可変領域VHおよび軽鎖可変領域VLを含む。
(a)前記VHは、
(i)SEQ ID NO:13、58、60、62または14に示すようなVHに含まれる3つの相補性決定領域(CDR)HCDR1、HCDR2、HCDR3を含み、または
(ii)(i)の配列に対して、前記3つのCDR領域においては、合計で少なくとも1つかつ5、4、3、2または1つ以下のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を含み、
(iii)(i)の配列に対して、HCDR3においては、少なくとも1つかつ3、2または1つ以下のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を含み、および/または
(b)前記VLは、
(i)SEQ ID NO:15、64、66または16に示すようなVLに含まれる3つの相補性決定領域(CDR)LCDR1、LCDR2、LCDR3を含み、または
(ii)(i)の配列に対して、前記3つのCDR領域においては、合計で少なくとも1つかつ5、4、3、2または1つ以下のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を含み、または
(iii)(i)の配列に対して、LCDR3においては、少なくとも1つかつ3、2または1つ以下のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を含む。
いくつかの実施形態において、本発明の抗CD40抗体またはその抗原結合断片は、次のとおり重鎖可変領域VHおよび/または軽鎖可変領域VLを含む。
(a)前記VHは、
(i)SEQ ID NO:13、58、60または62に示すようなVHに含まれる3つの相補性決定領域(CDR)HCDR1、HCDR2、HCDR3を含み、または
(ii)(i)の配列に対して、前記3つのCDR領域においては、合計で少なくとも1つかつ5、4、3、2または1つ以下のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を含み、
(iii)(i)の配列に対して、HCDR3においては、少なくとも1つかつ3、2または1つ以下のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を含み、および/または
(b)前記VLは、
(i)SEQ ID NO:15、64または66に示すようなVLに含まれる3つの相補性決定領域(CDR)LCDR1、LCDR2、LCDR3を含み、または
(ii)(i)の配列に対して、前記3つのCDR領域においては、合計で少なくとも1つかつ5、4、3、2または1つ以下のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を含み、または
(iii)(i)の配列に対して、LCDR3においては、少なくとも1つかつ3、2または1つ以下のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を含む。
いくつかの実施形態において、本発明の抗CD40抗体またはその抗原結合断片は、次のとおり重鎖可変領域VHおよび軽鎖可変領域VLを含む。
(a)前記VHは、
(i)SEQ ID NO:14に示すようなVHに含まれる3つの相補性決定領域(CDR)HCDR1、HCDR2、HCDR3を含み、または
(ii)(i)の配列に対して、前記3つのCDR領域においては、合計で少なくとも1つかつ5、4、3、2または1つ以下のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を含み、
(iii)(i)の配列に対して、HCDR3においては、少なくとも1つかつ3、2または1つ以下のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を含み、および/または
(b)前記VLは、
(i)SEQ ID NO:16に示すようなVLに含まれる3つの相補性決定領域(CDR)LCDR1、LCDR2、LCDR3を含み、または
(ii)(i)の配列に対して、前記3つのCDR領域においては、合計で少なくとも1つかつ5、4、3、2または1つ以下のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を含み、または
(iii)(i)の配列に対して、LCDR3においては、少なくとも1つかつ3、2または1つ以下のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を含む。
【0004】
好ましい実施形態において、VHは、SEQ ID NO:13、58、60、62または14に示すようなアミノ酸配列から選択されるか、または前記アミノ酸配列からなる。
好ましい実施形態において、VLは、SEQ ID NO:15、64、66または16に示すようなアミノ酸配列から選択されるか、または前記アミノ酸配列からなる。
好ましい実施形態において、本発明の抗CD40抗体またはその抗原結合断片は、
SEQ ID NO:13、58、60、62または14に示すような重鎖可変領域の3つの相補性決定領域HCDR、およびSEQ ID NO:15、64、66または16に示すような軽鎖可変領域の3つの相補性決定領域LCDR、を含む。
好ましい実施形態において、本発明の抗CD40抗体またはその抗原結合断片は、
SEQ ID NO:13、58、60または62に示すような重鎖可変領域の3つの相補性決定領域HCDR、およびSEQ ID NO:15、64または66に示すような軽鎖可変領域の3つの相補性決定領域LCDR、を含む。
好ましい実施形態において、本発明の抗CD40抗体またはその抗原結合断片は、
SEQ ID NO:14に示すような重鎖可変領域の3つの相補性決定領域HCDR、およびSEQ ID NO:16に示すような軽鎖可変領域の3つの相補性決定領域LCDR、を含む。
好ましい実施形態において、本発明の抗CD40抗体またはその抗原結合断片は、
(i)SEQ ID NO:13に示すような重鎖可変領域の3つの相補性決定領域HCDR1、HCDR2、HCDR3、およびSEQ ID NO:15に示すような軽鎖可変領域の3つの相補性決定領域LCDR1、LCDR2、LCDR3と、
(ii)SEQ ID NO:58に示すような重鎖可変領域の3つの相補性決定領域HCDR1、HCDR2、HCDR3、およびSEQ ID NO:64に示すような軽鎖可変領域の3つの相補性決定領域LCDR1、LCDR2、LCDR3と、
(iii)SEQ ID NO:60または62に示すような重鎖可変領域の3つの相補性決定領域HCDR1、HCDR2、HCDR3、およびSEQ ID NO:66に示すような軽鎖可変領域の3つの相補性決定領域LCDR1、LCDR2、LCDR3と、
(iv)SEQ ID NO:14に示すような重鎖可変領域の3つの相補性決定領域HCDR1、HCDR2、HCDR3、およびSEQ ID NO:16に示すような軽鎖可変領域の3つの相補性決定領域LCDR1、LCDR2、LCDR3と、
(v)HCDR3および/またはLCDR3と比べ、前記配列には少なくとも1つかつ3、2または1つ以下のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を含む、(i)~(iv)のいずれかCDRの組み合わせと、を含む。
【0005】
いくつかの実施形態において、本発明の抗CD40抗体またはその抗原結合断片は、次のとおり重鎖可変領域(VH)および/または軽鎖可変領域(VL)を含む。
(i)前記VHは、相補性決定領域(CDR)HCDR1、HCDR2、HCDR3を含み、ここでHCDR1は、SEQ ID NO:1または2のアミノ酸配列を含むか、または前記アミノ酸配列からなるか、またはHCDR1は、SEQ ID NO:1または2のアミノ酸配列と比べ、1つ、2つまたは3つの変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を有するアミノ酸配列を含む。HCDR2は、SEQ ID NO:3または4のアミノ酸配列を含むか、または前記アミノ酸配列からなるか、またはHCDR2は、SEQ ID NO:3または4から選択されるアミノ酸配列と比べ、1つ、2つまたは3つの変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を有するアミノ酸配列を含む。HCDR3は、SEQ ID NO:5、51、52、55または6のアミノ酸配列を含むか、または前記アミノ酸配列からなるか、またはHCDR3は、SEQ ID NO:5、51、52、55または6のアミノ酸配列と比べ、1つ、2つまたは3つの変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を有するアミノ酸配列を含む。
および/または
(ii)前記VLは、相補性決定領域(CDR)LCDR1、LCDR2、LCDR3を含み、ここでLCDR1は、SEQ ID NO:7または8のアミノ酸配列を含むか、または前記アミノ酸配列からなるか、またはLCDR1は、SEQ ID NO:7または8のアミノ酸配列と比べ、1つ、2つまたは3つの変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を有するアミノ酸配列を含む。LCDR2は、SEQ ID NO:9または10のアミノ酸配列を含むか、または前記アミノ酸配列からなるか、またはLCDR2は、SEQ ID NO:9または10から選択されるアミノ酸配列と比べ、1つ、2つまたは3つの変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を有するアミノ酸配列を含む。LCDR3は、SEQ ID NO:11、53、54、56または12のアミノ酸配列を含むか、または前記アミノ酸配列からなるか、またはLCDR3は、SEQ ID NO:11、53、54、56または12のアミノ酸配列と比べ、1つ、2つまたは3つの変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を有するアミノ酸配列を含む。
【0006】
好ましい実施形態において、本発明は、抗CD40抗体またはその抗原結合断片を提供し、それは、次のとおり重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む。
(a)前記VHは、
(i)SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:5を含むか、または上記配列からなるHCDR1、HCDR2、HCDR3、または
(ii)SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:51を含むか、または上記配列からなるHCDR1、HCDR2、HCDR3、または
(iii)SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:52を含むか、または上記配列からなるHCDR1、HCDR2、HCDR3、または
(iv)SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:6を含むか、または上記配列からなるHCDR1、HCDR2、HCDR3、または
(v)前記3つのCDR領域には、合計で少なくとも1つかつ5、4、3、2または1つ以下のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を含む、(i)~(iv)のいずれかHCDRの組み合わせ、または
(vi)前記HCDR3には少なくとも1つかつ3、2または1つ以下のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を含む、(i)~(iv)のいずれかHCDRの組み合わせ、を含み、
および/または
(b)前記VLは、
(i)SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:11を含むか、または上記配列からなるLCDR1、LCDR2、LCDR3、または
(ii)SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:53を含むか、または上記配列からなるLCDR1、LCDR2、LCDR3、または
(iii)SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:54を含むか、または上記配列からなるLCDR1、LCDR2、LCDR3、または
(iv)SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:12を含むか、または上記配列からなるLCDR1、LCDR2、LCDR3、または
(v)前記3つのCDR領域には、合計で少なくとも1つかつ5、4、3、2または1つ以下のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を含む、(i)~(iv)のいずれかLCDRの組み合わせ、または
(vi)前記HCDR3には少なくとも1つかつ3、2または1つ以下のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を含む、(i)~(iv)のいずれかLCDRの組み合わせ、を含む。
好ましい実施形態において、本発明は、抗CD40抗体またはその抗原結合断片を提供し、それは、次のとおり重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む。
(a)前記VHは、
(i)SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:5を含むか、または上記配列からなるHCDR1、HCDR2、HCDR3、または
(ii)SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:51を含むか、または上記配列からなるHCDR1、HCDR2、HCDR3、または
(iii)SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:52を含むか、または上記配列からなるHCDR1、HCDR2、HCDR3、または
(iv)前記3つのCDR領域には、合計で少なくとも1つかつ5、4、3、2または1つ以下のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を含む、(i)~(iii)のいずれかHCDRの組み合わせ、または
(v)前記HCDR3には少なくとも1つかつ3、2または1つ以下のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を含む、(i)~(iii)のいずれかHCDRの組み合わせ、を含み、
および/または
(b)前記VLは、
(i)SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:11を含むか、または上記配列からなるLCDR1、LCDR2、LCDR3、または
(ii)SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:53を含むか、または上記配列からなるLCDR1、LCDR2、LCDR3、または
(iii)SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:54を含むか、または上記配列からなるLCDR1、LCDR2、LCDR3、または
(iv)前記3つのCDR領域には、合計で少なくとも1つかつ5、4、3、2または1つ以下のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を含む、(i)~(iii)のいずれかLCDRの組み合わせ、または
(v)前記LCDR3には少なくとも1つかつ3、2または1つ以下のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を含む、(i)~(iii)のいずれかLCDRの組み合わせ、を含む。
好ましい実施形態において、本発明は、抗CD40抗体またはその抗原結合断片を提供し、それは、次のとおり重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む。
(a)前記VHは、
(i)SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:6を含むか、または上記配列からなるHCDR1、HCDR2、HCDR3、または
(ii)前記3つのCDR領域には、合計で少なくとも1つかつ5、4、3、2または1つ以下のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を含む、(i)のHCDRの組み合わせ、または
(iii)前記HCDR3には少なくとも1つかつ3、2または1つ以下のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を含む、(i)のHCDRの組み合わせ、を含み、
および/または
(b)前記VLは、
(i)SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:12を含むか、または上記配列からなるLCDR1、LCDR2、LCDR3、または
(ii)前記3つのCDR領域には、合計で少なくとも1つかつ5、4、3、2または1つ以下のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を含む、(i)のLCDRの組み合わせ、または
(iii)前記LCDR3には少なくとも1つかつ3、2または1つ以下のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を含む、(i)のLCDRの組み合わせ、を含む。
【0007】
好ましい実施形態において、本発明は、抗CD40抗体またはその抗原結合断片を提供し、それは、
(i)SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:5を含むか、または上記配列からなるHCDR1、HCDR2、HCDR3、およびSEQ ID NO:7、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:11を含むか、または上記配列からなるLCDR1、LCDR2、LCDR3、または
(ii)SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:51を含むか、または上記配列からなるHCDR1、HCDR2、HCDR3、およびSEQ ID NO:7、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:53を含むか、または上記配列からなるLCDR1、LCDR2、LCDR3、または
(iii)SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:52を含むか、または上記配列からなるHCDR1、HCDR2、HCDR3、および/またはSEQ ID NO:7、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:54を含むか、または上記配列からなるLCDR1、LCDR2、LCDR3、または
(iv)SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:6を含むか、または上記配列からなるHCDR1、HCDR2、HCDR3、およびSEQ ID NO:8、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:12を含むか、または上記配列からなるLCDR1、LCDR2、LCDR3と、
(v)前記3つのHCDR領域および/または前記3つのLCDR領域には、合計で少なくとも1つかつ5、4、3、2または1つ以下のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を含む、(i)~(iv)のいずれかHCDRとLCDRの組み合わせ、または
(vi)前記HCDR3および/またはLCDR3には少なくとも1つかつ3、2または1つ以下のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を含む、(i)~(iv)のいずれかHCDRとLCDRの組み合わせ、を含む。
好ましい実施形態において、本発明は、抗CD40抗体またはその抗原結合断片を提供し、それは、次のとおり重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む。
(a)前記VHは、
(i)SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:55を含むか、または上記配列からなるHCDR1、HCDR2、HCDR3、または
(ii)前記3つのHCDR領域には、合計で少なくとも1つかつ5、4、3、2または1つ以下のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を含む、(i)のHCDRの組み合わせ、を含み、
および/または
(b)前記VLは、
(i)SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:56を含むか、または上記配列からなるLCDR1、LCDR2、LCDR3、または
(ii)前記3つのLCDR領域には、合計で少なくとも1つかつ5、4、3、2または1つ以下のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、好ましくは保存的置換)を含む、(i)のLCDRの組み合わせ、を含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、SEQ ID NO:55に示すようなアミノ酸配列は、以下のとおりである。
X1、X2またはX3が任意のアミノ酸であってもよく、好ましくは、X1がT、N、W、K、AまたはY、より好ましくはTまたはNであってもよく、X2がWまたはYであることが好ましく、X3がW、Y、M、F、T、より好ましくはM、WまたはYであるA-R-E-R-V-G-A-X1-P-T-Y-Y-Y-X2-X3-DV。
いくつかの実施形態において、SEQ ID NO:56に示すようなアミノ酸配列は、以下のとおりである。
X1、X2、X3およびX4が任意のアミノ酸であってもよく、好ましくは、X1がQ、NまたはPであってもよく、より好ましくはQまたはNであり、X2がG、Q、F、S、YまたはMであってもよく、より好ましくはGまたはQであり、X3がE、N、T、SまたはKであってよく、より好ましくはEまたはNであり、X4がT、Q、V、L、PまたはEであってよく、より好ましくはT、QまたはVであるM-X1-X2-L-X3-X4-P-Y-T。
【0009】
好ましい実施形態において、本発明は、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む抗CD40抗体またはその抗原結合断片を提供し、ここで、前記VHは、相補性決定領域(CDR)HCDR1、HCDR2、HCDR3を含み、前記VLは、(CDR)LCDR1、LCDR2、LCDR3を含み、ここで、前記抗体またはその抗原結合断片に含まれるHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2およびLCDR3の組み合わせを表Aに示す。

【0010】
いくつかの実施形態において、本発明の抗CD40抗体またはその抗原結合断片は、次のとおり重鎖可変領域VHおよび/または軽鎖可変領域VLを含む。
(a)重鎖可変領域VHであって、
(i)SEQ ID NO:13、58、60、62または14から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、または
(ii)SEQ ID NO:13、58、60、62または14から選択されるアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、または
(iii)SEQ ID NO:13、58、60、62または14から選択されるアミノ酸配列と比べ、1個以上(好ましくは10個以下、より好ましくは5、4、3、2、1つ以下)のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、より好ましくはアミノ酸保存的置換であり、好ましくは前記アミノ酸変化はCDR領域内に発生せず、好ましくは前記アミノ酸変化はFR領域内に発生する)を有するアミノ酸配列、を含む、重鎖可変領域VHと、
および/または
(b)軽鎖可変領域VLであって、
(i)SEQ ID NO:15、64、66または16から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、
(ii)SEQ ID NO:15、64、66または16から選択されるアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、または
(iii)SEQ ID NO:15、64、66または16から選択されるアミノ酸配列と比べ、1個以上(好ましくは10個以下、より好ましくは5、4、3、2、1つ以下)のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、より好ましくはアミノ酸保存的置換であり、好ましくは前記アミノ酸変化はCDR領域内に発生せず、好ましくは前記アミノ酸変化はFR領域内に発生する)を有するアミノ酸配列、を含む、軽鎖可変領域VLと、を含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、本発明の抗CD40抗体またはその抗原結合断片の重鎖可変領域VHは、
(i)SEQ ID NO:13、58、60または62から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、または
(ii)SEQ ID NO:13、58、60または62から選択されるアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、または
(iii)SEQ ID NO:13、58、60または62から選択されるアミノ酸配列と比べ、1個以上(好ましくは10個以下、より好ましくは5、4、3、2、1つ以下)のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、より好ましくはアミノ酸保存的置換であり、好ましくは前記アミノ酸変化はCDR領域内に発生せず、好ましくは前記アミノ酸変化はFR領域内に発生する)を有するアミノ酸配列、を含む。
いくつかの実施形態において、本発明の抗CD40抗体またはその抗原結合断片の軽鎖可変領域VLは、
(i)SEQ ID NO:15、64または66から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、
(ii)SEQ ID NO:15、64または66から選択されるアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、または
(iii)SEQ ID NO:15、64または66から選択されるアミノ酸配列と比べ、1個以上(好ましくは10個以下、より好ましくは5、4、3、2、1つ以下)のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、より好ましくはアミノ酸保存的置換であり、好ましくは前記アミノ酸変化はCDR領域内に発生せず、好ましくは前記アミノ酸変化はFR領域内に発生する)を有するアミノ酸配列、を含む。
いくつかの実施形態において、本発明の抗CD40抗体またはその抗原結合断片の重鎖可変領域VHは、
(i)SEQ ID NO:14から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、または
(ii)SEQ ID NO:14から選択されるアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、または
(iii)SEQ ID NO:14から選択されるアミノ酸配列と比べ、1個以上(好ましくは10個以下、より好ましくは5、4、3、2、1つ以下)のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、より好ましくはアミノ酸保存的置換であり、好ましくは前記アミノ酸変化はCDR領域内に発生せず、好ましくは前記アミノ酸変化はFR領域内に発生する)を有するアミノ酸配列、を含む。
いくつかの実施形態において、本発明の抗CD40抗体またはその抗原結合断片の軽鎖可変領域VLは、
(i)SEQ ID NO:16から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、
(ii)SEQ ID NO:16から選択されるアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、または
(iii)SEQ ID NO:16から選択されるアミノ酸配列と比べ、1個以上(好ましくは10個以下、より好ましくは5、4、3、2、1つ以下)のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、より好ましくはアミノ酸保存的置換であり、好ましくは前記アミノ酸変化はCDR領域内に発生せず、好ましくは前記アミノ酸変化はFR領域内に発生する)を有するアミノ酸配列、を含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、本発明の抗CD40抗体またはその抗原結合断片は、次のとおり重鎖可変領域VHおよび/または軽鎖可変領域VLを含む。
(i)重鎖可変領域VHは、SEQ ID NO:13のアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、および軽鎖可変領域VLは、SEQ ID NO:15のアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、
(ii)重鎖可変領域VHは、SEQ ID NO:58のアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、および軽鎖可変領域VLは、SEQ ID NO:64のアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、
(iii)重鎖可変領域VHは、SEQ ID NO:60のアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、および軽鎖可変領域VLは、SEQ ID NO:66のアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、
(iv)重鎖可変領域VHは、SEQ ID NO:62のアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、および軽鎖可変領域VLは、SEQ ID NO:66のアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、
(v)重鎖可変領域VHは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、および軽鎖可変領域VLは、SEQ ID NO:16のアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなる。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体の重鎖可変領域のアミノ酸配列は、上述した(i)~~(v)の重鎖可変領域のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるか、またはそのアミノ酸配列は、上述した(i)~~(v)の重鎖可変領域のアミノ酸配列と比べ、1個以上(好ましくは10個以下、より好ましくは5、4、3、2、1個以下)のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、より好ましくはアミノ酸保存的置換であり、好ましくは前記アミノ酸変化はCDR領域内に発生せず、好ましくは前記アミノ酸変化はFR領域内に発生する)を有するアミノ酸配列、を含む。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体の軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、上述した(i)~~(v)の軽鎖可変領域のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるか、またはそのアミノ酸配列は、上述した(i)~~(v)の軽鎖可変領域のアミノ酸配列と比べ、1個以上(好ましくは10個以下、より好ましくは5、4、3、2、1個以下)のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、より好ましくはアミノ酸保存的置換であり、好ましくは前記アミノ酸変化はCDR領域内に発生せず、好ましくは前記アミノ酸変化はFR領域内に発生する)を有するアミノ酸配列、を含む。
【0013】
好ましい実施形態において、本発明は、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む抗CD40抗体またはその抗原結合断片を提供し、前記抗体またはその抗原結合断片に含まれる重鎖可変領域VHおよび軽鎖可変領域VLの組み合わせを表Bに示す。
【0014】
いくつかの実施形態において、本発明の抗CD40抗体またはその抗原結合断片は、次のとおり重鎖および/または軽鎖を含む。
(a)重鎖であって、
(i)SEQ ID NO:17、18、19、67、69、70または20から選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、
(ii)SEQ ID NO:17、18、19、67、69、70または20から選択されるアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、または
(iii)SEQ ID NO:17、18、19、67、69、70または20から選択されるアミノ酸配列と比べ、1個以上(好ましくは20個または10個以下、より好ましくは5、4、3、2、1つ以下)のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、より好ましくはアミノ酸保存的置換であり、好ましくは前記アミノ酸変化は重鎖のCDR領域内に発生せず、より好ましくは前記アミノ酸変化は重鎖可変領域内に発生せず、最も好ましくは前記アミノ酸変化は重鎖定常領域内に発生する)を有するアミノ酸配列、を含む、重鎖と、
および/または
(b)軽鎖であって、
(i)SEQ ID NO:21、68、71または22から選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、
(ii)SEQ ID NO:21、68、71または22から選択されるアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、または
(iii)SEQ ID NO:21、68、71または22から選択されるアミノ酸配列と比べ、1個以上(好ましくは20個または10個以下、より好ましくは5、4、3、2、1つ以下)のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、より好ましくはアミノ酸保存的置換であり、好ましくは前記アミノ酸変化は軽鎖のCDR領域内に発生せず、より好ましくは前記アミノ酸変化は軽鎖可変領域内に発生せず、最も好ましくは前記重鎖アミノ酸変化は軽鎖定常領域内に発生する)を有するアミノ酸配列、を含む、軽鎖と、を含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、本発明の抗CD40抗体またはその抗原結合断片の重鎖は、
(i)SEQ ID NO:17、18、19、67、69または70から選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、
(ii)SEQ ID NO:17、18、19、67、69または70から選択されるアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、または
(iii)SEQ ID NO:17、18、19、67、69または70から選択されるアミノ酸配列と比べ、1個以上(好ましくは20個または10個以下、より好ましくは5、4、3、2、1つ以下)のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、より好ましくはアミノ酸保存的置換であり、好ましくは前記アミノ酸変化は重鎖のCDR領域内に発生せず、より好ましくは前記アミノ酸変化は重鎖可変領域内に発生せず、最も好ましくは前記重鎖アミノ酸変化は重鎖定常領域内に発生する)を有するアミノ酸配列、を含む。
いくつかの実施形態において、本発明の抗CD40抗体またはその抗原結合断片の軽鎖は、
(i)SEQ ID NO:21、68または71から選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、
(ii)SEQ ID NO:21、68または71から選択されるアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、または
(iii)SEQ ID NO:21、68または71から選択されるアミノ酸配列と比べ、1個以上(好ましくは20個または10個以下、より好ましくは5、4、3、2、1つ以下)のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、より好ましくはアミノ酸保存的置換であり、好ましくは前記アミノ酸変化は軽鎖のCDR領域内に発生せず、より好ましくは前記アミノ酸変化は軽鎖可変領域内に発生せず、最も好ましくは前記重鎖アミノ酸変化は軽鎖定常領域内に発生する)を有するアミノ酸配列、を含む、軽鎖と、を含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、本発明の抗CD40抗体またはその抗原結合断片の重鎖は、
(i)SEQ ID NO:20から選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、
(ii)SEQ ID NO:20から選択されるアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、または
(iii)SEQ ID NO:20から選択されるアミノ酸配列と比べ、1個以上(好ましくは20個または10個以下、より好ましくは5、4、3、2、1つ以下)のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、より好ましくはアミノ酸保存的置換であり、好ましくは前記アミノ酸変化は重鎖のCDR領域内に発生せず、より好ましくは前記アミノ酸変化は重鎖可変領域内に発生せず、最も好ましくは前記重鎖アミノ酸変化は重鎖定常領域内に発生する)を有するアミノ酸配列、を含む。
いくつかの実施形態において、本発明の抗CD40抗体またはその抗原結合断片の軽鎖は、
(i)SEQ ID NO:22から選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、
(ii)SEQ ID NO:22から選択されるアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、または
(iii)SEQ ID NO:22から選択されるアミノ酸配列と比べ、1個以上(好ましくは20個または10個以下、より好ましくは5、4、3、2、1つ以下)のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、より好ましくはアミノ酸保存的置換であり、好ましくは前記アミノ酸変化は軽鎖のCDR領域内に発生せず、より好ましくは前記アミノ酸変化は軽鎖可変領域内に発生せず、最も好ましくは前記重鎖アミノ酸変化は軽鎖定常領域内に発生する)を有するアミノ酸配列、を含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、本発明の抗CD40抗体またはその抗原結合断片は、次のとおり重鎖および/または軽鎖を含む。
(i)重鎖は、SEQ ID NO:17、18、19、67、69または70のアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、および軽鎖は、SEQ ID NO:21、68または71のアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、
(ii)重鎖は、SEQ ID NO:17、18または19のアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、および軽鎖は、SEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、
(iii)重鎖は、SEQ ID NO:67のアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、および軽鎖は、SEQ ID NO:68のアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、
(iv)重鎖は、SEQ ID NO:69または70のアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、および軽鎖は、SEQ ID NO:71のアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、
(v)重鎖は、SEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、および軽鎖は、SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなる。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体の重鎖のアミノ酸配列は、上記(i)~~(v)の重鎖のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるか、またはそのアミノ酸配列は、上記(i)~(v)の重鎖のアミノ酸配列と比べ、1個以上(好ましくは20個または10個以下、より好ましくは5、4、3、2、1個以下)のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、より好ましくはアミノ酸保存的置換であり、好ましくは前記アミノ酸変化は重鎖可変領域内に発生せず、最も好ましくは前記アミノ酸変化は重鎖定常領域内に発生する)を有するアミノ酸配列、を含む。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体の軽鎖のアミノ酸配列は、上記(i)~(v)の重鎖のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるか、またはそのアミノ酸配列は、上記(i)~(v)の軽鎖のアミノ酸配列と比べ、1個以上(好ましくは20個または10個以下、より好ましくは5、4、3、2、1個以下)のアミノ酸変化(好ましくはアミノ酸置換、より好ましくはアミノ酸保存的置換であり、好ましくは前記アミノ酸変化は軽鎖のCDR領域内に発生せず、より好ましくは前記アミノ酸変化は軽可変領域内に発生せず、最も好ましくは前記アミノ酸変化は軽鎖定常領域内に発生する)を有するアミノ酸配列、を含む。
【0018】
好ましい実施形態において、本発明は、重鎖および軽鎖を含む抗CD40抗体またはその抗原結合断片を提供し、前記抗体またはその抗原結合断片に含まれる重鎖および軽鎖の組み合わせを表Cに示す。

【0019】
いくつかの実施形態において、本発明の抗CD40抗体またはその断片の重鎖および/または軽鎖は、シグナルペプチド配列をさらに含み、例えば、前記シグナルペプチド配列はSEQ ID NO:43に示すようなアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなる。
本発明の一実施形態において、本明細書に記載されるアミノ酸変化は、アミノ酸の置換、挿入または欠失を含む。好ましくは、本明細書に記載されるアミノ酸変化は、アミノ酸置換、好ましくは保存的置換である。
いくつかの実施形態において、変化は、抗体の重鎖および/または軽鎖のCDR領域(特にCDR3領域)で発生する。いくつかの実施形態において、CDR領域、例えばCDR3領域に1、2、または3つの変化がある。
【0020】
好ましい実施形態において、本明細書に記載されるアミノ酸変化は、CDR外の領域(例えば、FR)で発生する。いくつかの実施形態において、変化は、抗体のFR領域、例えば、FR1、FR2、FR2、またはF4領域など、抗体の重鎖および/または軽鎖可変領域のFR領域で発生する。いくつかの実施形態において、変化は、FR2領域で発生する。いくつかの実施形態において、FR領域には、1、2、または3つの変化がある。
より好ましくは、本発明のアミノ酸変化は、重鎖可変領域外および/または軽鎖可変領域外の領域、例えば重鎖および/または軽鎖の定常領域で発生する。
いくつかの実施形態において、置換は保存的置換である。保存的置換とは、同一種類の他のアミノ酸によるアミノ酸置換、例えば、酸性アミノ酸を他の酸性アミノ酸で置換すること、塩基性アミノ酸を他の塩基性アミノ酸で置換すること、または中性アミノ酸を他の中性アミノ酸で置換することを意味する。置換例を表Dに示す。
【0021】
いくつかの実施形態において、置換は抗体のCDR領域で発生する。一般に、得られた変異体は、親抗体に対して、生物学的特性(例えば、増加した親和性)において修飾(例えば、改善)され、および/または親抗体の実質的に保持されたある生物学的特性を有する。例示的な置換変異体は、親和性成熟抗体である。いくつかの実施形態において、置換は、抗体の重鎖および/または軽鎖のCDR3領域で発生する。いくつかの実施形態において、CDR3領域には、1、2、または3つの置換がある。
いくつかの実施形態において、置換は、抗体のFR領域、例えば、FR1、FR2、FR2またはF4領域など、抗体の重鎖および/または軽鎖可変領域のFR領域で発生する。いくつかの実施形態において、置換は、FR2領域で発生する。いくつかの実施形態において、FR領域には、1、2、または3つの置換がある。
【0022】
いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書で開示された可変領域配列または本明細書で開示されたCDRを有する可変領域配列、および修飾されたFc領域を有する定常ドメインを含む抗体を提供する。前記修飾されたFc領域は、他のFc受容体(すなわち活性化受容体)に対する親和性よりもFcγRIIbに対する親和性が増強される。FcγRIIb特異性が増強されたこのようなアゴニスト抗CD40抗体は、がん治療および慢性感染症において優れた効力を示すことが期待されている(Li and Ravetch (2011) Science 333:1030;Whiteら(2011) J. Immunol.187:1754)。理論に縛られないことを目的として、このようなFcγRIIb特異性アゴニスト抗CD40抗体は、細胞毒性CD8+T細胞の増殖と活性化を促進する樹状細胞の成熟の増加、抗腫瘍応答の増強により、増強する補助作用を示すことができる。理論に縛られないことを目的として、本発明の架橋によるFcR媒介性アゴニストCD40抗体のシグナル増強は、治療効果の主要な促進因子であり得る。抗体のFc部分におけるFcRで結合されたCD40アゴニスト抗体の架橋により、シグナル強度を増加させ、細胞の活性化を高めることができる。
FcγRIIbに対して増強された親和性を産生するFc配列中の突然変異は、例えば、Yuら(2013)のJ. Am. Chem.Soc.135:9723とWO 2014/184545、Chuら(2008)のMol.Immunol.45:3926、およびMimotoら(2013)のProtein Engineering Design & Selection 26:589に記載されているように、当技術分野で公知である。Fc領域における突然変異の位置(番号)の命名法は、EU索引、例えばKabatら(1981)のSequences of Proteins of Immunological Interest、第5版Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、Md.)に基づき、異なる可変ドメイン長を持つ抗体中の同等位置のFc配列の比較を容易にしている。
例示的なFc配列における突然変異は、例えば、E233D、G237D、H268D、P271G、A330R、S267Eおよび/またはL328Fを含む。好ましい一実施形態において、本発明の抗体は、FcγRIIb特異性を増強する突然変異のヒトIgG1定常ドメインを含み、前記突然変異は、E233D、G237D、H268D、P271GおよびA330R、またはS267EおよびL328Fを含む。FcγRIIb特異性を増強する突然変異のヒトIgG1定常ドメインを含む抗体重鎖の例示的な配列は、例えば、SEQIDNO:18または19を参照する。
【0023】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗体は、さらに、当技術分野で公知で容易に入手可能な他の非タンパク質部分を含むように修飾されてもよい。抗体誘導作用に適した部分には、水溶性高分子が含まれるが、これらに限らない。水溶性高分子の非限定的な例としては、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコール共重合体、カルボキシメチルセルロース、グルカン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジアルキル、ポリ-1,3,6-トリアルキル、エチレン-無水マレイン酸共重合体、ポリアミノ酸(単独重合体またはランダム共重合体)、およびグルカンまたはポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコール単独重合体、ポリプロピレンオキサイド/エチレンオキシド共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセリン)、ポリビニルアルコール、およびそれらの混合物などが挙げられる。
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗体は、抗体のグリコシル化の程度を増加または減少させるように変化する。抗体のグリコシル化部位への追加または欠失は、1つまたは複数のグリコシル化部位を生成または除去するように、アミノ酸配列を変化させることによって、容易に達成され得る。抗体がFc領域を含む場合、それに付着する糖類を変化させることができる。一部の用途では、望ましくないグリコシル化部位の修飾を除去することは、有用であることがある。例えば、抗体依存性細胞傷害(ADCC)機能を向上させるためにフコースモジュールを除去する(Shieldら(2002)JBC277:26733を参照)。他の用途では、補体依存性細胞傷害(CDC)を修飾するためにガラクトシド修飾を行うことができる。
【0024】
いくつかの実施形態において、抗体の1つまたは複数の残基がシステイン残基で置換された「チオMAb」のような、システイン工学的に改変された抗体を産生することが必要とされ得る。例えば、米国特許番号7,521,541に記載されたようにシステイン改変を産生する抗体。
いくつかの実施形態において、本発明の抗CD40抗体またはその抗原結合断片は、CD40に対する本発明の抗体と同一または類似の結合親和性および/または特異性、および/または本発明の抗体とCD40との結合および/または本発明の抗体と同一または重複するエピトープへの結合の阻害(例えば、競合的阻害)、および/または本発明の抗体とCD40との競合的結合、および/または本発明の抗体の1つまたは複数の生物学的特性を示す。
いくつかの実施形態において、本発明の抗CD40抗体は、IgG1形態の抗体またはIgG2形態の抗体またはIgG3形態の抗体またはIgG4形態の抗体である。
いくつかの実施形態において、抗CD40抗体はモノクローナル抗体である。
いくつかの実施形態において、抗CD40抗体はヒト化抗体である。抗体をヒト化するためのさまざまな方法は、技術者に知られており、例えば、Almagro&Franssonの総説(Almagro JCおよびFransson J(2008)Frontiers inBioscience13:1619-1633)の内容は、参照によりその全体が本明細書中に包含される。
いくつかの実施形態において、抗CD40抗体はヒト抗体である。ヒト抗体は、当業者に知られているさまざまな技術を用いて調製することができる。ヒト抗体は一般に、van Dijkとvan de Winkel,Curr.Opin.Pharmacol 5 :368-74(2001)およびLonberg,Curr.Opin.Immunol 20 :450-459(2008)に記述されている。
いくつかの実施形態において、抗CD40抗体はキメラ抗体である。
一実施形態において、本発明の抗CD40抗体はまた、その抗体断片、好ましくは、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、単鎖抗体(scFvなど)または(Fab’)2、シングルドメイン抗体、diabody(dAb)または直鎖抗体から選択される抗体断片を含む。
いくつかの実施形態において、抗CD40抗体分子は、二重特異性または多特異性抗体分子の形態である。一実施形態において、二重特異性抗体分子は、CD40に対する第1の結合特異性と、PD-1またはPD-L1またはPD-L2またはOX40または4-1BBまたはGITRなどに対する第2の結合特異性と、を有する。一実施形態において、二重特異性抗体分子は、CD40およびTNFまたはIL-17と結合する。多特異性抗体分子は、前記分子に対する結合特異性の任意の組み合わせを有してもよい。
【0025】
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、次のような1つ以上の特性を有する。
(1)他のTNFRファミリーのタンパク質との結合性よりも高い結合性を有するか、または他のTNFRファミリーのタンパク質と結合しないが、いくつかの実施形態において、ELISA法を用いるCD40の選択的結合。
(2)CD40とCD40リガンド(CD40L)との結合を阻害する。
(3)CD40を発現する細胞を、架橋形態または構成形態で、好ましくは架橋形態で活性化し、例えば、NFkappa-Bシグナル経路を活性化する。いくつかの実施形態において、測定はフローサイトメトリーを用いて行われるが、いくつかの実施形態において、使用されるレポーター細胞は、NF-κB-GFPおよびhCD40を発現する細胞である。
(4)CD40、例えば、約5×10-7M、4.5×10-7M、4.4×10-7M、4.3×10-7M、4.2×10-7M、4.1×10-7M、4×10-7M、3.9×10-7M、3.8×10-7M、3.7×10-7M、3.6×10-7M、3.5×10-7M、または3.4×10-7M以下の平衡解離定数を有するヒトCD40と結合する。いくつかの実施形態において、前記測定は表面プラズモン共鳴技術である。
(5)CD40(例えば、ヒトCD40またはアカゲザルCD40)を発現する細胞上のCD40と特異的に結合する。いくつかの実施形態において、CD40(例えば、ヒトCD40および/またはアカゲザルCD40)と結合するEC50は、約50nM、40nM、30nM、20nM、15nM、14nM、13nM、12nM、10nM、9nM、8nM以下である。いくつかの実施形態において、フローサイトメトリー検出の使用と組み合わせる。いくつかの実施形態において、CD40を発現する細胞は293細胞、例えば293FT細胞である。
(6)腫瘍細胞のアポトーシスを誘導する。いくつかの実施形態において、EC50は、約4nM、3.5nM、3nM、2.9nM、2.8nM、2.7nM、または2.6nM以下である。いくつかの実施形態において、測定はフローサイトメトリーを使用して行われる。いくつかの実施形態において、腫瘍細胞はRaji細胞またはRamos細胞である。
(7)アゴニスト活性を有し、例えば(ヒトなど)B細胞またはT細胞または樹状細胞を有意に活性化する。
(8)(ヒトなど)B細胞またはT細胞の増殖を促進する。
(9)免疫応答を増強する。
(10)腫瘍の成長を阻害し、好ましくは同時に個体の体重を維持する。
いくつかの実施形態において、CD40抗体は、架橋された場合に上記の1つ以上の特性を有する。
いくつかの実施形態において、本発明はまた、他の物質と結合する抗体(「免疫抱合体」)を包含する。
【0026】
いくつかの実施形態において、他の物質としては、例えば、細胞毒性薬剤、免疫抑制剤、化学療法剤などの治療薬またはマーカーが挙げられる。本発明の細胞毒性薬剤は、細胞に有害な任意の薬剤を含む。免疫抱合体を形成するのに適する細胞毒性薬剤(化学療法剤)または他の物質の例は、当分野で知られており、WO2017/004006またはWO2017/059243などを参照する。
いくつかの実施形態において、マーカーは、ペプチドのようなマーカー配列である。好ましい実施形態において、マーカーアミノ酸配列は、多くが商業的に入手可能なpQEベクター(QIAGEN, Inc., 9259 Eton Avenue, Chatsworth, CA, 91311)などから提供されるタグのような6×Hisタグである。例えば、Gentzら、1989、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:821-824に記載されているように、6×Hisタグは融合タンパク質の精製を容易にする。精製に使用されるその他のペプチドタグには、インフルエンザのヘマグルチニンタンパク質由来のエピトープ(Wilsonら、1984、Cell 37:767)および「flag」タグに対応するヘマグルチニン(「HA」)タグを含むがこれらに限らない。
その他の実施形態において、前記マーカーは、診断薬または検出可能な薬であり得る。得られた抗体抱合体は、疾患または症状の発作、形成、進行および/または重症度を監視または予測するための臨床検査方法の一部(特定の療法の効力を決定するなど)として使用され得る。検出可能な薬または診断薬としては、複数の酵素(西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼまたはアセチルコリンエステラーゼなど)、補体(ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンなど)、蛍光物質(ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシネート、ローダミン、ジクロロトリアジンフルオレセイン、ダンシルクロリドまたはフィコエリスリンを含むがこれらに限らない)、発光物質(ルミノールを含むがこれらに限らない)、生物発光物質(ルシフェラーゼ、フルオレセインおよびクラゲ発光タンパク質を含むがこれらに限らない)、ヨウ素(131I、125I、123I和121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(115In、113In、112In、111In)、テクネチウム(99Tc)、タリウム(201Ti)、ガリウム(68Ga、67Ga)、パラジウム(103Pd)、モリブデン(99Mo)、キセノン(133Xe)、フッ素(18F)、153Sm、177Lu、159Gd、149Pm、140La、175Yb、166Ho、90Y、47Sc、186Re、188Re、142Pr、105Rh、97Ru、68Ge、57Co、65Zn、85Sr、32P、153Gd、169Yb、51Cr、54 Mn、75Se、113Snおよび117Tinを含むがこれらに限らない放射性物質、およびさまざまな陽電子放射性イメージングに使用される陽電子放射性金属と非放射性常磁性金属イオンを含むがこれらに限らない。
いくつかの実施形態において、前記治療薬は、化学療法剤、サイトカイン、細胞毒性薬剤、他の抗体、低分子薬物または免疫調節剤を含む。
また、本発明の抗体分子は、放射性金属イオン、例えば213Biのようなα放射体などの治療部分(治療剤)に抱合することができ、または放射性金属イオン(131In、131LU、131Y、131Ho、131Smを含むがこれらに限らない)をポリペプチド大環状キレート剤に抱合することができる。いくつかの実施形態において、大環状キレート剤は、リンカー分子を介して抗体に付着する1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA)である。このようなリンカー分子は、当技術分野で公知であり、Denardoら, 1998, Clin Cancer Res.4(10):2483-90に記載され、前記文献の各文は参照によりその全体が本明細書中に包含される。
治療部位と抗体の抱合に用いられる技術はよく知られ、例えばArnonら、「Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy」を参照し、Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy、Reisfeldら(著)、p243~256(Alan R.Liss、Inc.1985)から引用されている。
【0027】
いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書に記載される任意の抗体、またはその断片、またはその任意の鎖をコードする核酸を提供する。一実施形態において、前記核酸を含むベクターが提供される。一実施形態において、ベクターは、例えばpFuseベクターのような発現ベクターである。一実施形態において、前記核酸または前記ベクターを含む宿主細胞が提供される。一実施形態において、宿主細胞は真核細胞である。別の実施形態において、宿主細胞は、酵母細胞、哺乳動物細胞(CHO細胞または293細胞など)、または抗体またはその抗原結合断片の調製に適する他の細胞から選択される。別の実施形態において、宿主細胞は原核細胞である。
例えば、本発明の核酸は、
SEQ ID NO:13~22のいずれかから選択されるアミノ酸配列をコードする核酸、またはSEQ ID NO:13~22のいずれかから選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸、または
SEQ ID NO:39~42から選択される核酸、または、SEQ ID NO:39~42から選択される核酸と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有する核酸、を含む。
【0028】
本発明はまた、下記核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸、または、下記核酸と1つ以上の置換(保存的置換)、欠失または挿入を有する核酸を含む。上記核酸は、SEQ ID NO:1~9のいずれかから選択されるアミノ酸配列の核酸配列をコードする核酸を含むか、またはSEQ ID NO:13~22のいずれかから選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む核酸、またはSEQ ID NO:39~42から選択される核酸配列を含む核酸、またはSEQIDNO:39~42から選択される核酸配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有する核酸配列を含む核酸である。
【0029】
一実施形態において、前記核酸を含む1つまたは複数のベクターが提供される。一実施形態において、ベクターは、例えば真核発現ベクターのような発現ベクターである。ベクターは、ウイルス、プラスミド、コスミド、λファージまたは酵母人工染色体(YAC)を含むがこれらに限らない。例えば、pFuseベクター。発現のための発現ベクターまたはDNA配列が調製されると、発現ベクターは適切な宿主細胞にトランスフェクトまたは導入され得る。この目的を達成するためには、プロトプラスト融合、リン酸カルシウム沈降、エレクトロポレーション、レトロウイルスの導入、ウイルスのトランスフェクション、遺伝子銃、脂質ベースのトランスフェクションまたは他の従来技術など、さまざまな技術を使用してもよい。プロトプラスト融合の場合、細胞は培地中で培養され、適切な活性がスクリーニングされる。産生されたトランスフェクション細胞の培養、産生された抗体分子の回収のための方法および条件は、当業者に知られており、本明細書および先行技術に知られている方法に基づき、使用される特定の発現ベクターおよび哺乳動物宿主細胞を用いて変更または最適化することができる。さらに、トランスフェクションされた宿主細胞を選択できる1つまたは複数のマーカーを導入することにより、DNAをその染色体中に安定に組み込んだ細胞を選別することができる。マーカーは、例えば、栄養要求性宿主に、原栄養性、殺生物抵抗性(抗生物質など)、または重金属(銅など)の抵抗性などを提供することができる。選択可能なマーカー遺伝子は、発現されるDNA配列に直接連結してもよく、または同時形質転換により同じ細胞内に導入してもよい。mRNAを最適に合成するために追加の要素が必要とされることもある。これらの要素は、スプライシングシグナル、転写プロモーター、エンハンサーおよび終端シグナルを含めてもよい。
一実施形態において、本発明のポリヌクレオチドの1つ以上を含む宿主細胞が提供される。いくつかの実施形態において、本発明の発現ベクターを含む宿主細胞が提供される。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、酵母細胞、哺乳動物細胞、または抗体またはその抗原結合断片の調製に適する他の細胞から選択される。
【0030】
一実施形態において、本発明は、本発明の抗体分子またはその断片(好ましくは抗原結合断片)の調製方法を提供する。ここで、前記方法は、本発明の抗体分子またはその断片(好ましくは抗原結合断片)をコードする核酸の発現に適する条件下で前記宿主細胞を培養すること、および場合により前記抗体またはその断片(好ましくは抗原結合性断片)を単離することを含む。一実施形態において、前記方法は、宿主細胞から本発明の抗体分子またはその断片(好ましくは抗原結合断片)を回収することをさらに含む。
一実施形態においては、本発明の抗体分子の調製方法が提供される。前記方法は、前記抗体(任意の1本および/または複数のポリペプチド鎖など)をコードする核酸、または前記核酸を含む発現ベクターの宿主細胞(例えば、上述したもの)を抗体の発現に適する条件下で培養すること、および場合により前記宿主細胞(または宿主細胞培地)から前記抗体を回収することを含む。
本発明の抗体分子を組換え的に産生するために、抗体(例えば、任意の1本および/または複数のポリペプチド鎖のような上述した抗体)をコードする核酸を単離し、宿主細胞でさらにクローニングおよび/または発現するための1つまたは複数のベクターにそれを挿入する。このような核酸の単離および配列決定は、従来の手順(例えば、抗体重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合し得るオリゴヌクレオチドプローブを使用する)を用いても容易である。
本明細書に記載されたように調製された抗体分子は、高速液体クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、アフィニティークロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィーなどの公知の先行技術により精製することができる。特定のタンパク質を精製するための実際の条件は、正味電荷、疎水性、親水性などにも依存しており、これらは当業者にとって自明である。本発明の抗体分子の純度は、サイズ排除クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、高速液体クロマトグラフィーなど、複数の熟知分析法のいずれかにより決定することができる。
【0031】
いくつかの実施形態において、本発明はまた、本発明の抗体分子の物理的/化学的特性および/または生物学的活性を同定、スクリーニング、または特徴付ける方法を提供する。
一態様において、本発明の抗体の抗原結合活性試験は、ELISA、Westernブロットなどの公知の方法により行われる。CD40への結合は、当業者に知られている方法を用いて測定することができ、例示的な方法が本明細書で開示される。いくつかの実施形態において、表面プラズモン共鳴法(アフィニティー測定など)またはELISA法が使用される。
本発明はまた、生物学的活性を有する抗CD40抗体を同定するための測定法を提供する。生物学的活性は、例えば、CD40を結合(ヒトおよび/またはアカゲザルCD40への結合)し、CD40媒介性シグナル伝達を増加させ(NFkappa-Bシグナル経路を増加させるなど)、腫瘍細胞のアポトーシスを直接誘導することにより、CD40を発現する細胞(RajiまたはRamos細胞)を減少させ、樹状細胞またはB細胞またはT細胞を活性化させ(T細胞のサイトカイン産生を増加させるなど)、T細胞(例えば、活性化されたCD8+T細胞など)またはB細胞の増殖を促進し、または腫瘍成長を阻害することを含めてもよい。
いくつかの実施形態において、このような生物学的活性は、本発明の抗体に対して試験を行う。
T細胞(例えば、CD8+T細胞)または樹状細胞またはB細胞の活性化は、当業者に知られている方法を用いて測定することができる。例えば、細胞活性化マーカーCD8(T細胞)またはCD86(樹状細胞またはB細胞)のレベル(例えば、発現)による。また、当分野で公知の方法を用いてCD40シグナル伝達(NF-κBシグナル経路など)を測定してもよい。その後、T細胞の活性化を測定する。一実施形態において、ヒトCD40およびレポーター遺伝子(βルシフェラーゼやGFPなどのレポーター遺伝子に融合したNF-kappa Bプロモーターを含む)を発現するトランスジェニック細胞が生成される。抗CD40抗体を細胞に添加するとNF-kappa Bの転写が上昇し、これはレポーター遺伝子に対する測定法(ルシフェラーゼレポーター遺伝子測定法など)を用いて検出する。
抗体のADCC効果は、当分野で知られている方法を用いて測定してもよい。例えば、腫瘍細胞のアポトーシスへの誘導(CD95のような細胞アポトーシスマーカー分子によるなど)、腫瘍細胞の増殖の阻害、またはイン・ビボにおける腫瘍の増殖の阻害を検出する。
T細胞(活性化CD8+T細胞など)またはB細胞の増殖は、当分野で知られている方法を用いて測定してもよい。B細胞の増殖は、CellTiter-Glo発光法などにより測定される。また、CD8+T細胞の増殖は、OVA特異的OT-I細胞法により検出される例もある。
上記のいずれかのイン・ビトロ測定法に使用される細胞は、CD40を天然に発現するか、またはCD40を発現するように形質転換細胞株を含む。このような細胞には、CD40Lを天然に発現するT細胞(活性化CD8+T細胞など)、CD40を天然に発現するB細胞または樹状細胞を含む。このような細胞にはまた、CD40を発現するおよび正常でない場合に発現するCD40 DNAトランスフェクションをコードする細胞株を含む。
上記の測定法のいずれかも、本発明の免疫抱合体を用いて抗CD40抗体を置換または補充してもよいことが理解される。
上記の測定法のいずれも、抗CD40抗体および他の活性剤を使用してもよいことが理解される。
【0032】
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明の抗体を含む医薬組成物および組合製品を提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書に記載されたような抗体分子またはその断片(好ましくは抗原結合断片)またはその免疫抱合体のいずれかを含む組成物、好ましくは医薬組成物を提供する。一実施形態において、前記組成物は、薬用補助剤をさらに含む。
本発明はまた、本発明の抗体またはその免疫抱合体を含む組成物(医薬組成物または薬物製剤を含む)および/または本発明の抗体をコードするポリヌクレオチドを含む組成物(医薬組成物または薬物製剤を含む)を含む。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、1つ以上の本発明の抗体またはその断片、または1つ以上の本発明の抗体またはその断片をコードする1つ以上のポリヌクレオチドを含む。
これらの組成物はまた、当分野で公知の薬用担体、薬用賦形剤(緩衝剤を含む)など、適切な薬用補助剤を含めてもよい。
本明細書で使用される「薬用担体」には、生理学的に適合性のある溶媒、分散媒、等張化剤および吸収遅延剤などの一部および全部が含まれる。本発明に適する薬用担体は、水および油(落花生油、大豆油、鉱油、ごま油など、石油、動物、植物または合成由来のものを含む)など、無菌液体であってもよい。本発明の医薬組成物を静脈内投与する場合、水は好ましい担体である。また、塩水溶液、水性デキストランおよびグリセリン溶液を液体担体とし、特に注射可能な溶液として使用することもできる。
【0033】
好適な賦形剤としては、デンプン、ブドウ糖、乳糖、ショ糖、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセリンステアリン酸エステル、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセリン、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。賦形剤の使用とその用途については、「Handbook of PharmaceuticalExcipients」、第五版,R.C.Rowe,P.J.SeskeyとS.C.Owen,PharmaceuticalPress,London,Chicagoも参照する。
所望により、前記組成物は、少量の湿潤剤または乳化剤、またはpH緩衝剤をさらに含めてもよい。
本発明の組成物は、さまざまな形態であってもよい。これらの形態は、例えば、液体溶液剤(注入可能な溶液剤および注入可能な溶液剤など)、分散体剤または懸濁剤、リポソーム剤および座薬のような液体、半固体および固体の剤形を含む。好ましい形態は、予想される投与パターンおよび治療用途に依存する。一般的な好ましい組成物は、注入可能な溶液剤または注入可能な溶液剤の形態である。好ましい投与パターンは、胃腸外(静脈内、皮下、腹腔(i.p.)、筋内など)注射である。好ましい一実施形態において、抗体分子は静脈内注入または注射により投与される。別の好ましい実施形態において、抗体分子は筋肉内、腹腔内または皮下注射により投与される。
【0034】
本発明のヒトCD40を特異的に結合するアゴニスト抗体は、保存のために凍結乾燥することができ、使用前に適切なベクター中で復元することができる。この技術は、従来のタンパク質製剤に有効であることが確認され、よく知られている凍結乾燥および復元技術を用いてもよい。
本発明の医薬組成物または製剤は、治療される特定の適応症に必要とされる他の治療薬であって、好ましくは相互に悪影響を及ぼさない相補的な活性を有するものをさらに含めてもよい。例えば、化学療法剤、細胞毒性薬剤、ワクチン、他の抗体、抗感染活性薬剤、低分子薬物、免疫調節剤などが挙げられる。
いくつかの実施形態において、本発明はまた、本発明の抗体またはその抗原結合断片、またはその免疫抱合体、およびに1つまたは複数の他の治療薬(化学療法薬、他の抗体、細胞毒性薬剤、ワクチン、抗感染活性薬剤、低分子薬物または免疫調節薬など)を含む組合製品を提供する。
いくつかの態様において、組合製品中の2つ以上の成分は、順次、別々に、または同時に組み合わせて被験体に投与してもよい。
いくつかの実施形態において、本発明はまた、本発明の抗体、医薬組成物、免疫抱合体または組合製品を含むキット、および任意選択的な投与指導用添付説明書を提供する。
いくつかの実施形態において、本発明はまた、本発明の抗体、医薬組成物、免疫抱合体、および組合製品を含む医薬製品を提供し、場合により、前記医薬製品は、投与指導用添付説明書をさらに含む。
いくつかの実施形態において、前記他の治療薬は、例えば、抗CTLA-4抗体、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗TIGIT抗体、抗OX40(CD134、TNFRSF4、ACT35および/またはTXGP1Lとも呼ばれる)抗体、抗LAG-3抗体、抗CD73抗体、抗CD137抗体、抗CD27抗体、抗CSF-1R抗体、TLRアゴニスト、またはIDOまたはTGFβの低分子アンタゴニストのうちの1つまたは複数を含む。本発明の抗体と組み合わせられる治療薬の例としては、WO2017/059243またはWO2017/004006も参照される。
【0035】
いくつかの実施形態において、本発明はまた、被験体における免疫応答(抗原特異的T細胞応答)の増強方法を提供し、それは、本発明の抗CD40抗体またはその抗原結合断片の有効量を、個体における免疫応答を増強するために被験体に投与することを含む。いくつかの実施形態において、個体は腫瘍を有する。別の実施形態において、主体は慢性ウイルス感染など、ウイルス感染を有する。
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明の抗体を用いて被験体内のT細胞(CD8+T細胞など)および/または樹状細胞および/またはB細胞を活性化する方法を提供し、それは、本発明の抗CD40抗体またはその抗原結合断片の有効量を被験体に投与することを含む。本発明はまた、本発明の方法を用いてT細胞(活性化CD8+T細胞など)またはB細胞の増殖促進方法を提供し、それは、本発明の抗CD40抗体またはその抗原結合断片の有効量を被験体に投与することを含む。したがって、いくつかの実施形態において、本明細書に記載された抗CD40抗体が、抗原特異的T細胞応答のようなT細胞応答の共刺激を増強する能力を考慮し、本明細書は、本明細書に記載された抗体を用いて抗原特異的T細胞応答のような抗腫瘍性T細胞応答を刺激、増強またはアップレギュレートするイン・ビトロおよびイン・ビボの方法を提供する。CD4+およびCD8+T細胞応答の増強は、抗CD40抗体を用いてもよい。T細胞は、CD4+ Teff細胞、CD8+ Teff細胞、Tヘルパー(Th)細胞、およびT毒性(Tc)細胞など、Teff細胞であり得る。
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明の抗体分子を用いて被験体における免疫応答の調節(増強など)を必要とする疾患(腫瘍や、慢性感染症のような感染症など)を治療または予防する解決策を提供する。したがって、本発明はまた、被験体における腫瘍成長の抑制方法を提供し、それは、腫瘍成長が抑制されるために、本発明の抗CD40抗体またはその抗原結合断片を本体に投与することを含む。
いくつかの実施形態において、前記疾患はCD40関連疾患であり、例えば、CD40の発現または活性が低下している疾患(健康対照と比較するなど)、または、CD40遺伝子および/またはタンパク質レベルが低下している疾患(健康対照と比べるなど)、または、CD40活性の活性化、例えばCD40シグナル経路の活性化、および/またはT細胞もしくはB細胞または樹状細胞の活性化から利益を得る疾患である。いくつかの実施形態では、本発明は、個体において抗原活性を活性化するか、または抗原媒介シグナル経路を活性化する方法に関し、当該方法は、本明細書で開示される抗体またはその抗原結合断片の有効量を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態において、CD40活性の活性化またはCD40媒介シグナル経路の活性化は、CD40シグナル経路の活性化を意味する。
いくつかの実施形態において、本発明の前記抗体またはその抗原結合断片は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を引き起こし、さらに腫瘍細胞を殺傷することができる。したがって、本発明はまた、腫瘍治療方法に関し、それは、本発明の抗体またはその抗原結合断片の有効量を個体に投与することを含む。
【0036】
別の態様において、本発明は、被験体の腫瘍(例えば、がん)の予防または治療方法に関し、前記方法は、本明細書で開示される抗体分子または医薬組成物または免疫抱合体または組合製品またはキットの有効量を前記被験体に投与することを含む。いくつかの実施形態において、前記腫瘍はがんである。腫瘍は、固形腫瘍または液体腫瘍(悪性血液腫瘍など)であってもよい。いくつかの実施形態において、腫瘍は免疫原性腫瘍である。いくつかの実施形態において、腫瘍は非免疫原性腫瘍である。いくつかの実施形態において、腫瘍はPD-L1陽性である。いくつかの実施形態において、腫瘍はPD-L1陰性である。
いくつかの実施形態において、治療および/または予防のために抗体分子を用いる腫瘍は、固形腫瘍、血液学がん(白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫などの骨髄腫)および転移性病巣を含むがこれらに限らない。一実施形態において、がんは固形腫瘍である。固形腫瘍の例としては、多臓器の肉腫やがん、肺、乳房、卵巣、リンパ様、胃腸管の臓器(結腸など)、肛門、生殖器と生殖泌尿器(腎臓、膀胱上皮、膀胱細胞、前立腺など)、咽頭、CNS(脳、神経、またはグリア細胞など)、頭と頸部、皮膚(メラノーマなど)、鼻咽頭(分化または未分化の転移性または局所再発性鼻咽頭がんなど)、膵臓などを侵すがん、および悪性腫瘍(結腸がん、直腸がん、腎細胞がん、肝臓がん、非小細胞肺がん、小腸がんおよび食道がんなど)を含む腺がんが挙げられる。がんには、早期、中期、末期、転移性がんなどがある。
いくつかの実施形態において、がんは、結腸直腸癌(CRCなど)、黒色腫(II-IV期黒色腫などの進行黒色腫またはHLA-A2陽性黒色腫)、膵臓がん(進行した膵臓がんなど)、乳がん(転移性乳がんや三陰性乳がんなど)、頭頸部がん(HNSCCなど)、食道がん、腎透明細胞癌(ccRCC)または転移性腎細胞癌(MRCC)などの腎細胞癌(RCC)、肺がん(NSCLCなど)、子宮頸がん、膀胱癌、または血液学的悪性疾患、例えば、白血病(リンパ性白血病など)またはリンパ腫(ホジキンリンパ腫(HL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、びまん性大B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)またはCLL(再発性または難治性慢性リンパ性白血病など)から選択される。
いくつかの実施形態において、がんの例は、B細胞増殖性疾患を含むがこれらに限らない。それは、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)およびリンパ性白血病などのリンパ腫をさらに含むがこれらに限らない。
いくつかの実施形態において、前記腫瘍は、T細胞またはB細胞または樹状細胞の活性化を必要とする腫瘍であり、例えば、T細胞機能障害を有する腫瘍などのがんである。いくつかの実施形態において、前記腫瘍はOX40の発現または活性が低下した腫瘍である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍は、OX40シグナル経路の活性化から利益を受ける腫瘍、例えばがんである。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されたがんは、リンパ腫、結腸がん、結腸直腸がん、直腸がん、肺がん(非小細胞肺がんなど)、肝がん、胃がんおよびそれらの転移性がんである。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体またはその抗原結合断片は、CD40発現を有する血液がんの治療には適用されない。CD40アゴニストによる治療に悪化される可能性がある。ある種のがんはCD40を発現していることが知られており、そのためにこのような悪化を経験したことがあるため、分類上では除外してもよい。特定の実施形態においては、特定の腫瘍サンプルのCD40発現が試験され、この試験結果に基づいて、本発明のCD40抗体を用いた治療法から除外される。
【0037】
本明細書で開示される方法および組成物は、前記のがんに関連する転移性病巣を治療するために有用である。
本発明のヒトCD40に特異的を結合する抗体またはその抗原結合断片は、がんに罹患する危険性を減少させ、がんの進行中の発症を遅延させ、および/またはがんが緩和された後の再発の危険性を減少させるために、予防的に投与してもよい。これは、腫瘍を特定することが困難であり、他の生物学的要因により腫瘍を有することが知られている患者に特に有用である。
別の態様において、本発明は、被験体の感染性疾患の予防または治療方法に関し、前記方法は、本明細書で開示される抗体分子または医薬組成物または免疫抱合体または組合製品またはキットの有効量を前記被験体に投与することを含む。一実施形態において、感染性疾患は慢性感染である。いくつかの実施形態において、前記感染はウイルス感染である。
いくつかの実施形態において、前記感染は急性または慢性である。いくつかの実施形態において、前記慢性感染は持続性感染、潜伏感染、または緩慢感染である。いくつかの実施形態において、前記慢性感染は、細菌、ウイルス、真菌および原生動物から選択される病原体によって引き起こされる。
【0038】
いくつかの実施形態において、ウイルスの例としては、HIV、肝炎(A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎)、ヘルペスウイルス(VZV、HSV-1、HAV-6、HSV-IIおよびCMV、EBウイルスなど)、アデノウイルス、インフルエンザウイルス、フラビウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、コロナウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ムンプスウイルス、ロタウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、パルボウイルス、牛痘ウイルス、HTLVウイルス、デングウイルス、パピローマウイルス、伝染性軟属腫ウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、JCウイルスおよびアルボウイルスが挙げられる。細菌の例としては、クラミジア、リケッチア、マイコバクテリウム、ブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎球菌、髄膜炎菌および淋菌、クレブシエラ菌、プロテウス菌、セラチア菌、シュードモナス菌、レジオネラ菌、ジフテリア菌、サルモネラ菌、バチルス菌、コレラ、破傷風、ボツリヌス中毒、炭疽、ペスト、レプトスピラ症およびライム病の病原菌が挙げられる。真菌の例としては、カンジダ(Candida albicans、Candida krusei、Candida glabrata、Candida tropicalis)、クリプトコッカス(Cryptococcus neoformans)、アスペルギルス(アスペルギルス・フミガーツス、アスペルギルス・ニガーなど)、ケカビ目(ケカビ属、ユミケカビ属、クモノスカビ属)、スポロトリックス・シェンキイ(Sprothrix schenckii)、ブラストミセス・デルマティティジス(Blastomyces dermatitidis)、パラコクシジオイデス・ブラジリエンシス(Paracoccidioides brasiliensis)、コクシジオイデス・イミチス(Coccidioides immitis)およびヒストプラスマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)が挙げられる。寄生虫の例としては、赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)、大腸バランチジウム(Balantidium coli)、フォーラーネグレリア(Naegleria fowleri)、自由生活アメーバ(Acanthamoeba spp.)、ランブル鞭毛虫(Giardia lambia)、クリプトスポリジウム属原虫(Cryptosporidium spp.)、プネウモキスチス・カリニ(Pneumocystis carinii)、三日熱マラリア原虫(Plasmod ium viva x)、ネズミバベシア(Babesia microti)、トリパノソーマ・ブルセイ(Trypanosoma brucei)、クルーズトリパノソーマ(Trypanosoma cruzi)、ドノバン・リーシュマニア(Leishmania donovani)、トキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)、ブラジル鉤虫(Nippostrongylus brasiliensis)が挙げられる。
【0039】
いくつかの実施形態において、治療および/または予防のために抗体分子を用いる感染性疾患は、有効なワクチンが現在存在しない病原体、または従来のワクチンが完全に有効でない病原体を含む。これらには、HIV、(A型、B型、C型)肝炎、インフルエンザ、ヘルペス、ジアルジア(Giardia)、マラリア、リーシュマニア(Leishmania)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)が含まれるがこれらに限らない。
本発明によって開示される方法および組成物を治療に用いる疾患は、WO2017/059243またはWO2017/004006にも参照する。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体または医薬組成物または免疫抱合体または組合製品またはキットは、本明細書に記載された予防および/または治療のために、治療方法および/または他の治療薬など、1つまたは複数の他の治療薬と組み合わせて投与してもよい。
いくつかの実施形態において、治療方法は外科手術(腫瘍切除など)を含む。放射線療法(照射領域の設計3次元原体放射線治療を伴う外部照射療法)、局所照射(予め選択された標的または臓器への照射など)、または焦点式照射などを含む。焦点式照射は、定位手術的照射、定位放射線治療および強度変調放射線治療から選択され得る。焦点式照射は、粒子線(陽子)、コバルト-60(光子)および線形加速器(X線)から選択される線源を有することができる。放射線療法は、いくつかの方法(外部照射療法、内部照射療法、インプラント照射、定位手術的照射、全身照射療法、放射線療法および永久的または一時的間質近接照射療法を含むがこれらに限らない)のうちの1つまたは複数の方法を組み合わせて投与することができる。
いくつかの実施形態において、治療剤は、化学療法剤、細胞毒性薬剤、ワクチン、他の抗体、抗感染活性薬剤または免疫調節剤(共刺激分子の活性化剤または免疫チェックポイント分子阻害剤)から選択される。
【0040】
例示的な他の抗体は、免疫チェックポイント阻害剤(抗CTLA-4、抗TIM-3、抗CEACAMなど)、免疫細胞を刺激する抗体(アゴニストGITR抗体またはCD137抗体など)、抗がん抗体(リツキシマブ(Rituxan(登録商標)またはMabThera(登録商標))、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))、トシツモマブ(Bexxar(登録商標))、イブリツモマブ・チウキセタン(Zevalin(登録商標))、アレムツズマブ(Campath(登録商標))、エプラツズマブ(Lymphocide(登録商標))、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、タルセバ(Tarceva(登録商標))、セツキシマブ(Erbitux(登録商標))など)を含むがこれらに限らない。他の抗体は、例えば、抗PD-L1抗体、抗LAG-3抗体、抗PD-1抗体または抗CLA-4抗体であってもよい。
例示的なワクチンは、がんワクチンを含むがこれらに限らない。ワクチンは、DNAベースのワクチン、RNAベースのワクチン、またはウイルス導入ベースのワクチンであり得る。がんワクチンは、例えば、がん細胞、精製された腫瘍抗原(組換えタンパク質、ペプチド、およびカルボハイドレート分子を含む)、細胞、および免疫刺激性サイトカインをコードする遺伝子でトランスフェクトされた細胞(Heら(2004)J.Immunol.173:4919-28)、予防的または治療的であり得る。使用可能な腫瘍ワクチンの非限定的な例としては、メラノーマ抗原ペプチド(gp100のペプチド、MAGE抗原、Trp-2、MART1および/またはチロシナーゼ、またはサイトカインGM-CSFを発現するようにトランスフェクションされた腫瘍細胞が挙げられる。いくつかの実施形態において、がんワクチンはペプチドがんワクチンであり、それはいくつかの実施形態においては個別化ペプチドワクチンである。いくつかの実施形態において、このペプチドがんワクチンは、多価型ペプチド、マルチペプチド、ペプチド混合物、ハイブリッドペプチド、またはペプチドパルスを介した樹状細胞ワクチン(Yamadaら、Cancer Sci,104:14-21,2013などを参照する)である。本発明のいずれかの方法のいくつかの実施形態において、本発明の抗体またはその断片の投与は、腫瘍抗原の投与と組み合わされる。抗原は、例えば、腫瘍抗原、ウイルス抗原、細菌性抗原、または病原体由来の抗原であってもよい。いくつかの実施形態において、腫瘍抗原はタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、腫瘍抗原は核酸を含む。いくつかの実施形態において、腫瘍抗原は腫瘍細胞である。
例示的な抗感染活性剤は、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗原生動物剤、抗細菌剤、例えばヌクレオシド類似体ジドブジン(AZT)、ガンシクロビル、ホスカルネットまたはcidovirなどを含むが、これらに限らない。
【0041】
免疫調節剤は、免疫チェックポイント分子阻害剤および共刺激性分子活性化剤を含む。
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子阻害剤は、CTLA-4、TIM-3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、CEACAM(CEACAM-1および/またはCEACAM-5など)および/またはTGFRの阻害剤である。分子への阻害は、DNA、RNAまたはタンパク質レベルで行ってもよい。いくつかの実施形態において、阻害核酸(dsRNA、siRNAまたはshRNAなど)は、免疫チェックポイント分子の発現を阻害するために使用され得る。他の実施形態において、免疫チェックポイント分子阻害剤は、免疫チェックポイント分子と結合するポリペプチド(可溶性リガンドまたは抗体または抗体断片など)である。
いくつかの実施形態において、免疫調節剤は、共刺激分子の活性化剤またはアゴニストである。一実施形態において、共刺激分子のアゴニストは、OX40、CD2、CD27、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、ICOS(CD278)、4-1BB(CD137)、GITR、CD30、CD40、BAFFR、HVEM、CD7、LIGHT、NKG2C、SLAMF7、NKp80、CD160、B7-H3またはCD83リガンドのアゴニスト(アゴニスト抗体またはその抗原結合断片、または可溶性融合物など)から選択される。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体またはその断片は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞(細胞傷害性T細胞またはCTLなど)の養子転移を含む治療と組み合わせて投与されてもよい。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体またはその断片は、抗腫瘍剤または腫瘍溶解性ウイルスと組み合わせて投与されてもよい。
上記のすべての方法において、CD40アゴニストは、サイトカイン療法(インターフェロン、GM-CSF、G-CSF、IL-2など)または二重特異的抗体療法のような他の形態の免疫療法と組み合わせてもよく、これは、腫瘍抗原の増強された提示を提供する。例えば、Holliger(1993) Proc .Natl .Acad .Sci .USA 90:6444-6448;Poljak (1994) Structure 2:1121-1123を参照する。
【0042】
いくつかの実施形態において、本発明の抗体またはその断片は、宿主の免疫機能を増強する従来の方法と組み合わせてもよい。前記従来の方法は、(i)APC増強、例えば、(a)異種MHC同種異種抗原をコードするDNAを腫瘍に注入すること、または(b)免疫抗原認識の可能性を高める遺伝子(免疫刺激性サイトカイン、GM-CSF、共刺激分子B7.1、B7.2など)を用いて、生検された腫瘍細胞をトランスフェクションすること、(ii)養子免疫細胞療法、または活性化腫瘍特異的T細胞による治療を含むがこれらに限らない。養子免疫細胞療法は、例えば、IL-2または腫瘍、またはその両方の刺激により、イン・ビトロにおける当該集団を増幅するなど、腫瘍浸潤宿主Tリンパ球を単離することを含む。さらに、機能障害を有する単離されたT細胞は、本発明の抗体をイン・ビトロで適用することによって活性化を行い、このように活性化されたT細胞は、次いで宿主に再投与することができる。
上記のさまざまな組合療法は、治療のためにさらに組合せられることもある。
本発明の抗体と他の治療法または治療薬との組み合わせよりも多くの例は、WO2017/059243またはWO2017/004006などを参照する。
【0043】
このような併用療法は、併用投与(ここで、2つ以上の治療薬が同じ調合剤または別々の調合剤中に含まれる)および別々の投与を包含し、この場合、本発明の抗体の投与は、別の療法、例えば、治療方法および/または治療薬の投与の前に、同時に、および/または後に生じることができる。抗体分子および/または他の治療、例えば治療薬または治療方法は、活動性疾患期間、または緩和期間或いはより活動性の低い疾患期間に投与され得る。抗体分子は、他の治療の前に、他の治療と同時に、治療の後に、または疾患の緩和期間に投与され得る。
本発明の免疫抱合体または組成物、または組合製品またはキットを使用して、任意の治療のために本発明の抗体を置換または補充することが可能であることが理解される。
【0044】
本発明の抗体(およびそれを含む医薬組成物または免疫抱合体、ならびに任意の追加の治療薬)の投与パターンは、例えば、真皮内、筋肉内、腹膜内、静脈内または皮下、粘膜(口腔、鼻内、膣内、直腸)などの胃腸外の投与など、任意の適切な経路であり、または当業者に知られている他の方法で有り得る。CD40を特異的に結合するアゴニスト抗体は、既知の方法を用いてリンパ節ドレナージ部位に腫瘍内投与し、腫瘍内に局所的に送達することができる。ヒトCD40を特異的に結合する本発明のアゴニスト抗体は、胃腸外静脈(i.v.)注射、またはボーラス投与、筋内または皮下または腹膜内注射など、任意の適切な経路により患者に投与することができる。
本文は各投薬時間をカバーし、単回投薬または複数の時間点における複数回投薬、注射投薬およびパルス注入を含むが、これらに限らない。
【0045】
疾患の予防や治療のために、本発明の抗体の適切な用量は、(単独でまたは1つ以上の他の治療薬と組み合わせて使用される場合)治療すべき疾患のタイプ、抗体の種類、疾患の重症度と進行、前記抗体が予防目的で投与されたか治療目的で投与されたか、以前の治療、患者の臨床歴と前記抗体に対する応答、および主治医の判断力によって異なる。前記抗体は、1回の治療処置で、または一連の治療処置を経て、患者に適切に投与される。通常、臨床医は、所期の効果が得られる用量に達するまで組成物を投与する。したがって、本発明の抗体は、1回の用量で、または一定期間内に2回以上の用量で投与することができ(これは、同じまたは異なる量の所望の分子を含む)、または、インプラント装置またはカテーテルを介して連続的に注入して投与される。適切な用量は、適切な用量反応データを用いて決定することができる。いくつかの実施形態において、抗体は、延長された期間にわたって患者に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、抗体は、毎週、2週間ごと、毎月、2ヶ月ごと、3ヶ月ごと、4ヶ月ごと、5ヶ月ごと、または6ヶ月ごとに投与される。
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗CD40抗体またはその抗原結合断片は、生物学的サンプル中のCD40の存在を検出するために使用される。用語「検出」は、本明細書で使用される場合、定量的または定性的な検出を含み、例示的な検出方法は、免疫組織化学、免疫細胞化学、フローサイトメトリー(FACSなど)、抗体分子複合磁気ビーズ、ELISA測定法、PCR-技術(RT-PCRなど)に関連することができる。いくつかの実施形態において、生物学的サンプルは、血液、血清または生物由来の他の液体サンプルである。いくつかの実施形態において、生物学的サンプルは、細胞または組織を含む。いくつかの実施形態において、生物学的サンプルは、本明細書に記載された疾患(腫瘍または感染など)の関連病巣からである。
いくつかの実施形態において、CD40はヒトCD40またはカニクイザルCD40である。いくつかの実施形態において、前記方法は、抗CD40抗体がCD40と結合することを可能にする条件下で、生物学的サンプルを本明細書で記載された抗CD40抗体またはその抗原結合断片と接触させ、抗CD40抗体とCD40との間に複合体が形成されているかどうかを検出することを含む。複合体の形成はCD40の存在を示す。当該方法は、イン・ビトロまたはイン・ビボであり得る。一実施形態において、抗CD40抗体は、抗CD40抗体を用いた治療に適する被験体の選定に使用され、例えば、CD40は、前記被験体を選択するために使用されるバイオマーカーである。
一実施形態において、本発明の抗体は、本明細書に記載された疾患の診断、例えば、対象における本明細書に記載された疾患の治療または進行の評価(モニタリングなど)、診断および/または病期分類のために使用することができる。いくつかの実施形態において、標識された抗CD40抗体が提供される。マーカーは、直接的に検出されるマーカーまたは部分(蛍光標識、発色団標識、電子高密標識、化学発光標識および放射性標識)と、酵素またはリガンドのような間接的に検出される部分とを含むがこれらに限らない。例えば、酵素反応または分子相互作用により標識される。例示的なマーカーとしては、放射性同位体32P、14C、125I、3H、131I、希土類キレートまたはフルオレセインとその誘導体などの蛍光団、ローダミンとその誘導体、ダンシル(dansyl)、ウンベリフェロン(umbelliferone)、ルシフェラーゼ(luceriferase)(ホタルルシフェラーゼとバクテリアルシフェラーゼなど、米国特許番号4,737,456)、フルオレセイン、2,3-ジヒドロフタラジンジオン、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HR)、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、糖類オキシダーゼ(グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、ウリカーゼやキサンチンオキシダーゼなどのシクロオキシゲナーゼ、HRやラクトペルオキシダーゼ、マイクロペルオキシダーゼ(microperoxidase)などの過酸化水素を用いた染料前駆体の酸化酵素、ビオチン/アビジン、スピン標識、ファージ標識、安定フリーラジカルなどが挙げられる。
【0046】
本明細書で提供される発明のいくつかの実施形態において、サンプルは抗CD40抗体による治療の前に得られたものである。いくつかの実施形態において、サンプルは、本明細書に記載された疾患の薬物による治療の前に入手されるものである。いくつかの実施形態において、サンプルはホルマリン固定のパラフィン埋め込まれた(FFPE)ものである。いくつかの実施形態において、サンプルは、生検(コア針生検など)、手術標本(手術で切除された標本)または細い針吸引物である。
いくつかの実施形態において、CD40は、治療の前、例えば、治療を開始する前、または治療間隔後のある治療の前に検出される。
いくつかの実施形態においては、本明細書に記載された疾患(腫瘍または感染など)の診断のために、本発明の抗体またはその抗原結合断片を含む検出キットが提供される。
いくつかの実施形態において、腫瘍や感染など、本明細書に記載された疾患の治療方法が提供される。前記方法は、被験体(サンプルなど)(被験体サンプルなど)のCD40存在を検査し、CD40値を決定し、CD40値をコントロール値と比べ、CD40値がコントロール値よりも小さい場合、任意に1つ以上の他の治療法と組み合わせて抗CD40抗体(本明細書に記載された抗CD40抗体など)の治療上有効な量を被験体に投与し、本明細書に記載された疾患(腫瘍または感染など)を治療することを含む。
したがって、本発明はまた、上記方法における本発明の抗体またはその抗原結合断片の使用、および上記方法における医薬または組成物または組合製品またはキットの製造のために本発明の抗体またはその抗原結合断片の使用に関し、および/または本明細書に記載された疾患の診断用キットの製造のために本発明の抗体またはその抗原結合断片の使用にも関する。
本発明の抗体またはその抗原結合断片に適する方法および使用は、本発明の抗体またはその抗原結合断片を含む免疫抱合体、組成物、組合製品またはキットに同様に適用される。
本発明は、以下の図面を参照しながらさらに説明される。しかしながら、これらの図面および本発明の具体的な実施形態は、本発明の範囲を限定するものではなく、当業者が容易に考え得る変更は、本発明の精神および添付の特許請求の範囲の保護範囲に含まれるものと考えるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1図1は、フローサイトメトリーによる293F細胞から産生されたHELおよびCD40LがJurkat/NF-κB-GFP +hCD40レポーター細胞モノクローナルに対する活性化の測定を示す図であり、レポーター細胞の活性化後にGFPが発現され、GFP陽性率をFITCチャネルで測定する。
図2図2は、ファージELISAによる2回目(図2A)、3回目(図2B)のファージディスプレイ濃縮で得られた抗体バンク中にCD40結合抗体の陽性率の測定を示す図であり、抗体とCD40結合シグナルがBSA結合シグナルよりも3倍以上ことを陽性抗体と定義する。
図3図3は、フローサイトメトリーによるJurkat/NF-κB-GFP+hCD40レポーター細胞モノクローナルから産生された陰性対照N27、陽性CD40アゴニスト抗体を含む上清がJurkat/NF-κB-GFP+hCD40レポーター細胞に対する活性化の測定を示す図である。FITCチャネルで検出されたGFPの蛍光強度は、モノクローナルの活性化の程度を表す。
図4図4は、分子排除クロマトグラフィーによる293F細胞から産生された本発明の抗体NK003量体の性質の測定を示す図である。
図5図5Aは、ELISAによる293F細胞から産生された本発明の抗体NK003とCD40との特異的結合、他のTNFRファミリーのメンバーであるOX40、4-1BB、GITRとの非結合または低結合の測定を示す図である。図5Bは、ELISAによる293F細胞から産生された本発明の抗体NK004とCD40との特異的結合の測定を示す図である。
図6図6は、ELISAによる293F細胞から産生された本発明の抗体NK003およびCD40LとCD40との競合的結合の測定を示す図である。
図7図7Aは、フローサイトメトリーによる293F細胞から産生された本発明の抗体NK003がJurkat/NF-κB-GFP+hCD40レポーター細胞に対する架橋による活性化の測定を示す図であり、図7Bは、フローサイトメトリーによる293F細胞から産生された本発明の抗体NK004がJurkat/NF-κB-GFP+hCD40レポーター細胞に対する架橋に依存せずに組成型による活性化の測定を示す図である。FITCチャネルはGFPを検出し、MFIはGFP陽性細胞の幾何平均数(Geometrical Mean)とGFP陽性細胞のパーセンテージの積と定義される。
図8図8は、フローサイトメトリーによる293F細胞から産生された本発明抗体NK003の分布と、ヒトCD40を過剰発現した293FT細胞(図8 A)、アカゲザルCD40を過剰発現した293FT細胞(図8 B)との結合の測定を示す図である。
図9図9は、フローサイトメトリーによる293F細胞から産生された本発明の抗体NK003がCD95の発現を指標とするRaji細胞(図9A)およびRamos細胞(図9B)のアポトーシスに対する誘導の測定を示す図である。MFIは、CD95陽性細胞の幾何学的平均とCD95陽性細胞のパーセンテージの積として定義される。
図10図10は、フローサイトメトリーによる293F細胞から産生された本発明抗体NK003が架橋剤無添加(図10A)および架橋剤anti-Fc添加(図10B)の場合でPBMC樹状細胞に対する活性化の測定を示す図である。樹状細胞の活性化指標はCD86の発現である。MFIは、CD86陽性細胞の幾何学的平均とCD86陽性細胞のパーセンテージの積として定義される。
図11図11は、CellTiter-Glo法による293F細胞から産生された本発明の抗体NK003がPBMCのB細胞に対する増殖作用の測定を示す図であり、細胞増殖の指標は蛍光強度(RLU)であり、RLU値が大きいほど細胞数が多い。
図12図12は、フローサイトメトリーによる293F細胞から産生された本発明抗体NK003が架橋剤無添加(図12 A)および架橋剤anti-Fc添加(図12 B)の場合でPBMCB細胞に対する活性化の測定を示す図である。B細胞の活性化指標はCD86の発現である。MFIは、CD86陽性細胞の幾何学的平均とCD86陽性細胞のパーセンテージの積として定義される。
図13図13は、SCIDマウスにおけるRaji細胞接種と同時投与による293F細胞から産生された本発明抗体NK003および陰性対照HEL、個体マウスの腫瘍成長曲線(図13A)およびマウス生存率の統計(図13B)を示す図である。
図14図14は、MC38担がんCD40ヒト化マウスへの投与による293F細胞から産生された本発明抗体NK003および陰性対照HELの免疫系に対する活性化を示す図であり、OT1細胞数、OT1細胞とCD8細胞の比率(OT1/CD8+比率)、およびCD8細胞とCD4細胞の比率(CD8/CD4比率)の増加は、いずれも免疫系の活性化を示している。
図15図15は、MC38担がんCD40ヒト化マウスへの投与による293F細胞から産生された本発明抗体NK003、陰性対照HELおよび陽性対照CP870893、個体マウスの腫瘍成長曲線(図15A)およびマウスの体重変化曲線(図15B)を示す図である。
図16図16は、フローサイトメトリーによる293F細胞から産生された本抗体NK003、FcγRIIB増強型突然変異体NK003-V12、FcγRIIA/FcγRIIB増強型突然変異体NK003-S267E/L328Fおよび陰性対照HELがそれぞれ293FT-FcγRIIA細胞(図16A)および293FT-FcγRIIB細胞(図16B)の架橋の場合でJurkat/NF-κB-GFP+hCD40レポーター細胞に対する活性化の測定を示す図である。FITCチャネルはGFPを検出し、MFIはGFP陽性細胞の幾何平均数とGFP陽性細胞のパーセンテージの積と定義される。
図17図17に、Fab形式でpcomb3ベクターに挿入したNK003のプラスミドプロファイルを示す図である。
図18図18は、ファージELISAによる3回目のファージディスプレイで得られた抗体バンク中にCD40結合抗体の陽性率の測定を示す図であり、抗体とCD40結合シグナルがBSA結合シグナルの3倍以上大きいことを陽性抗体と定義する。
図19図19は、NK003 VH(図19A)、VL(図19B)の相補決定領域CDR3親和力成熟三世代シークエンシング結果を示す図である。
図20図20は、フローサイトメトリーによる293F細胞から産生された本発明の抗体NK003-AM-9、NK003-AM-18がJurkat/NF-κB-GFP+hCD40レポーター細胞に対する架橋による活性化の測定を示す図であり、FITCチャネルはGFPを検出し、MFIはGFP陽性細胞の幾何平均(Geometrical Mean)とGFP陽性細胞のパーセンテージの積として定義される。
図21図21は、NK003 VH(図21A)、VL(図21B)の骨格領域親和力成熟三世代シークエンシング結果を示す図である。
図22図22は、フローサイトメトリーによる293F細胞から産生された本発明の抗体NK003-AM-18-EPがJurkat/NF-κB-GFP+hCD40レポーター細胞に対する架橋による活性化の測定を示す図であり、FITCチャネルはGFPを検出し、MFIはGFP陽性細胞の幾何平均(Geometrical Mean)とGFP陽性細胞のパーセンテージの積として定義される。
【0048】
定義
本明細書で使用される用語は、具体的な実施形態を説明するためだけのものであり、本発明の範囲を限定することを意図していないことが理解されるべきであり、それは、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることになる。特に定義されていない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明の当業者が通常理解するのと同じ意味を示す。
本明細書を解釈するために、以下の定義が使用され、単数で使用される用語は、適切であれば複数の意味があり、また、その逆も同様である。本明細書で使用される用語は、具体的な実施形態を説明するためだけであり、限定的であることを意図していないことが理解されるべきである。
「約」という用語は、数値と組み合わせて使用される場合、指定数値より5%小さい下限値と、指定数値より5%大きい上限値とを有する範囲内の数値をカバーすることを意味する。
本明細書で使用されるように、用語「および/または」は、任意のオプションまたは2つ以上のオプションを意味する。
本明細書で使用されるように、用語「含む」または「包含する」は、説明された要素、整数、またはステップを含むことを意味するが、他の任意の要素、整数、またはステップを除外するものではない。本明細書では、用語「含む」または「包含する」が使用される場合、特に明記されていない限り、記載された要素、整数、またはステップの組み合わせも対象となる。例えば、ある特定の配列の抗体可変領域を「含む」と言及する場合は、その特定の配列からなる抗体可変領域もカバーすることが意図される。
本明細書に記載されているように、用語「CD40」は、ヒトCD40またはアカゲザルCD40のような当分野で知られている。CD40は、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバ-5(TNFRSF5)、CD4OL受容体またはCD154受容体としても知られている。完全長ヒトCD40タンパク質は、277個のアミノ酸を有するI型膜タンパク質であり、例えばNCBI、NM_001250.5を参照する。アカゲザルCD40は、例えばNCBI、NM_001265862.1を参照する。
本明細書で使用される用語「抗CD40抗体」、「抗CD40」、「CD40抗体」または「CD40を結合する抗体」または「CD40を特異的に結合する抗体」とは、(ヒトまたはアカゲザル)CD40サブユニットまたはその断片を、前記抗体が標的(ヒトまたはアカゲザル)CD40に診断薬および/または治療薬として使用されることに十分な親和性をもって結合することができる抗体を意味する。一実施形態において、抗CD40抗体は、例えば放射免疫測定(RIA)または生物学的光干渉測定またはMSD測定によって測定されるように、(ヒトまたはアカゲザル)CD40を結合する程度よりも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、または約90%以上の程度で非(ヒトまたはアカゲザル)CD40タンパク質を結合する。
ヒトCD40を特異的に結合する抗体は、例えばアカゲザルのような他の種(ホモロジー)に由来する同じ抗原など、他の関連する抗原に対して交差反応性を有することができる。単一特異的抗体は1つの抗原または1つのエピトープを特異的に結合するが、二重特異的抗体は2つの異なる抗原または2つの異なるエピトープを特異的に結合する。
「相補性決定領域」または「CDR領域」または「CDR」は、抗体の可変領域のうち、配列的に高度に変化し、構造的に決定されたループ(「超変化ループ」)を形成する領域であり、および/または抗原接触残基(「抗原接触点」)を含む領域である。CDRは主に抗原エピトープとの結合を担う。重鎖および軽鎖のCDRは、一般にCDR1、CDR2、およびCDR3と呼ばれ、N末端から順に番号が付けられている。抗体重鎖可変ドメイン内に位置するCDRは、HCDR1、HCDR2、HCDR3と呼ばれ、抗体軽鎖可変ドメイン内に位置するCDRは、LCDR1、LCDR2、LCDR3と呼ばれる。所定の軽鎖可変領域または重鎖可変領域のアミノ酸配列において、各CDRの正確なアミノ酸配列境界は、多くの公知の抗体CDR割り当てシステムのいずれかまたはそれらの組み合わせを使用して決定することができる。前記割り当てシステムとしては、抗体の3次元構造とCDRループのトポロジーに基づくChothia(Chothiaら.(1989)Nature 342: 877-883、Al-Lazikaniら、「Standard conformations for the canonical structures of immunoglobulins」, Journal of Molecular Biology, 273, 927-948(1997))、抗体配列可変性に基づくKabat(Kabatら, Sequences of Proteins of Immunological Interest、バージョン4、U.S.Department of Health and Human Services、National Institutes of Health), National Institutes of(1987))、AbM(University of Bath), Contact(University College London)、国際ImMunoGeneTics database(IMGT)(World Wide Webのimgt.cines.fr/)、および多数の結晶構造を利用した近傍伝播クラスタリング(affinity propagation clustering)に基づくNorth CDRの定義などが挙げられる。
例えば、CDRごとの残基は、CDRごとに次のように決定される。
【0049】
CDRはまた、参照CDR配列(本発明の例示的なCDRのいずれか)と同じKabat番号位置を有することに基づいて決定することができる。
特に明記されていない限り、本発明では、「CDR」または「CDR配列」という用語は、上記のいずれかの方法で決定されたCDR配列を包含する。
特に明記されていない限り、本発明では、抗体可変領域における残基位置(重鎖可変領域残基および軽鎖可変領域残基を含む)とは、Kabat番号体系(Kabatら, Immunological Interest, 5th Ed.Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda、MD.(1991))に従った番号付け位置をいう。
一実施形態おいて、本発明の抗体のCDRは、IMGTルールによって、例えばIMGTデータベースを用いて、境界を決定する。
異なる割り当てシステムに基づいて取得された同じ抗体の可変領域のCDRの境界と異なる場合があることに留意すべきである。すなわち、異なる割り当てシステムで定義された同一抗体可変領域のCDR配列が異なる。したがって、本発明で定義された特定のCDR配列を用いて抗体を限定することについて、前記抗体の範囲はまた、その可変領域配列が特定のCDR配列を含むが、異なるスキーム(異なる割り当てシステムの規則または組み合わせ)が適用された結果、それが主張するCDR境界が本発明で定義された特定のCDR境界と異なる抗体を包含する。
「Fc領域」または「Fcドメイン」または「Fc」とは、抗体の重鎖のC末端領域を指し、それは、免疫グロブリンと宿主組織または因子との結合を媒介する。免疫システムの各細胞(エフェクター細胞など)に位置するFc受容体への結合または古典補体システムの第1成分(C1q)への結合を含む。したがって、Fc領域は、第1の定常領域の免疫グロブリンドメイン(CH1またはCLなど)を排除する抗体の定常領域を含む。IgG、IgAおよびIgD同種型において、Fc領域は、抗体の2本の重鎖のそれぞれにおけるCH2とCH3の定常領域を含む。IgM領域およびIgEFc領域は、各ポリペプチド鎖における3つの重鎖定常ドメイン(CHドメイン2~4)を含む。IgGについて、Fc領域は免疫グロブリン領域Cγ2とCγ3、およびCγ1とCγ2の間のヒンジを含む。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は変更可能であるが、ヒトIgG重鎖のFc領域は通常、位置C226またはP230のアミノ酸残基(または2つのアミノ酸間のアミノ酸)から重鎖のカルボキシル末端までの断片として定義され、ここで番号はKabatのEUインデックスに従っている。Kabatら(1991)Sequences of Proteinsof Immunological Interest、National Institutes of Health、Bethesda, MD、また、米国特許出願公開番号2008/0248028の図3c-3fも参照する。ヒトIgGのFc領域のCH2ドメインは約アミノ酸231から約アミノ酸340まで延びているが、CH3ドメインはFc領域のCH2ドメインのC末端側、すなわちIgGの約アミノ酸341から約アミノ酸447まで延びている(C末端リジンを含む)。本明細書で使用されるように、Fc領域は、任意の同型変異体、または変異体Fc(非自然に存在するFc)を含む自然配列Fcであってもよい。Fcはまた、単独で、または、Fc含有タンパク質ポリペプチド、例えば、「Fc領域を含む結合タンパク質」が(「Fc融合タンパク質」(抗体または免疫アドヘシンなど)としても知られている文脈においてこの領域を指す。
【0050】
本明細書で使用されるように、「エピトープ」という用語は、抗体分子と特異的に相互作用する抗原(CD40など)の部分を指す。タンパク質抗原内のエピトープは、連続したアミノ酸(典型的には線形エピトープ)またはタンパク質の3段階のオーバーラップにより並列した不連続なアミノ酸(典型的にはコンフォメーションエピトープ)から形成され得る。連続したアミノ酸から形成されるエピトープは、通常(必ずしもそうではないが)変性溶媒に露出したままであり、3段階のオーバーラップにより形成されるエピトープは、変性溶媒で処理されると失われることが多い。エピトープは、典型的には、固有の空間コンフォメーションにおける少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15個のアミノ酸を含む。
参照抗体と「同一またはオーバーラップするエピトープを結合する抗体」とは、競合的測定において、前記参照抗体とその抗原との結合を50%、60%、70%、80%、90%または95%以上の遮断する抗体をいい、逆に、参照抗体は、競合的測定において、当該抗体とその抗原との結合を50%、60%、70%、80%、90%または95%以上の遮断する。
参照抗体と競合してその抗原を結合する抗体とは、競合的測定において、前記参照抗体とその抗原との結合を50%、60%、70%、80%、90%または95%以上遮断する抗体をいう。逆に、参照抗体は競争的測定において、当該抗体とその抗原との結合を50%、60%、70%、80%、90%または95%以上遮断する。多くの種類の競合的結合測定は、1つの抗体が他の抗体と競合する可能性があるかどうかを決定するために使用されている。例えば、固相直接または間接放射免疫測定(RIA)、固相直接または間接酵素免疫測定(EIA)、サンドイッチ競合測定(Stahliら, 1983, Methods in Enzymology 9:242-253を参照)などがある。
参照抗体とその抗原との結合を阻害する(競合的に阻害する)抗体は、参照抗体とその抗原との結合を50%、60%、70%、80%、90%または95%以上阻害する抗体を意味する。逆に、参照抗体は、50%、60%、70%、80%、90%または95%以上の当該抗体とその抗原との結合を阻害する。抗体とその抗原との結合は、親和性(平衡解離定数など)で測定することができる。親和性の測定方法は、当分野で知られている。
参照抗体と同一または類似の結合親和性および/または特異性を示す抗体とは、参照抗体の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%または95%以上の結合親和性および/または特異性を有することができる抗体をいう。これは、当分野で知られている結合親和性および/または特異性を決定する任意の方法によって測定することができる。
「IgG型の抗体」とは、抗体の重鎖定常領域が属するIgG形態を意味する。同じ型の抗体の重鎖定常領域は全て同じであり、異なる型の抗体間での重鎖定常領域が異なる。例えば、IgG1型の抗体とは、重鎖定常領域IgドメインがIgG1であるIgドメインを指す。
ヒト抗体(HuMAb)とは、骨格領域とCDR領域の両方がヒト系免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する抗体を指す。また、抗体が恒常領域を含む場合には、該恒常領域も人種系免疫グロブリン配列に由来する。
「ヒト化」抗体とは、非ヒト抗体(マウス抗体など)のCDRドメイン外のアミノ酸の一部、大部分または全部が、ヒト免疫グロブリン由来の対応するアミノ酸に置換された抗体を指す。抗体のヒト化形態の一実施形態においては、CDRドメイン外のアミノ酸の一部、大部分または全部が、ヒト免疫グロブリン由来のアミノ酸に置換される一方、1つ以上のCDR領域内のアミノ酸の一部、大部分または全部は改変されていない。アミノ酸の小さな追加、欠失、挿入、置換または改変は、それらが特定の抗原に結合する抗体を消去する能力を有しない限り許容される。「ヒト化」抗体は、原始抗体と同様の抗原特異性を保持する。
【0051】
本明細書で使用されるように、「キメラ抗体」とは、可変領域が1つの種に由来し、恒常領域が別の種に由来する抗体、例えば、可変領域がマウス抗体に由来し、恒常領域がヒト抗体に由来する抗体を指す。
本明細書で使用されるように、「抗体断片」とは、完全な抗体とは異なる分子を指し、完全な抗体の一部を含み、完全な抗体に結合する抗原を結合する。本明細書で使用されるように、用語「抗原結合断片」とは、抗原(ヒトCD40など)を特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ以上の断片を指す。抗体断片の例としては、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、diabody、線状抗体、単鎖抗体(scFvなど)、シングルドメイン抗体、二価もしくは二重特異性抗体またはその断片、ラクダ科抗体、および抗体断片から形成される二重特異性抗体または多特異性抗体が挙げられるがこれらに限らない。
本明細書で使用されるように、「多重特異性」とは、少なくとも2つの異なる抗原または抗原内の2つの異なるエピトープ、例えば3つ、4つ、または5つの異なる抗原またはエピトープを特異的に結合する抗体を意味する。
本明細書で使用されるように、「二重特異性」とは、2つの異なる抗原または同一抗原内の2つの異なるエピトープを特異的に結合する抗体を意味する。二重特異性抗体は、他の関連抗原に対して交差反応性を有してもよく、または2つ以上の異なる抗原間で共有されるエピトープを結合してもよい。
本明細書で使用されるように、「架橋」という用語は、ヒトCD40を特異的に結合する抗体がシスまたはトランスFcγRIIbを結合することにより誘導される細胞におけるCD40のより高度な多量化を意味し、その結果、CD40のアゴニスト活性が誘導される。本明細書に記載された抗ヒトF(ab’)2を架橋剤としてイン・ビトロで架橋を評価することができる。
本明細書で使用されるように、「交差反応」という用語は、本明細書に記載された抗体が異なる種からのCD40を結合する能力を意味する。例えば、本明細書に記載されたように、ヒトCD40を結合する抗体は、他の種由来のCD40(カニクイザルCD40など)も結合する。本明細書で使用されるように、交差反応性の測定には、結合測定(SPR、ELISAなど)において、精製した抗原を用いて特異的反応性または結合を検出するか、またはその他の方式で機能的に、CD40を生理学的に発現する細胞と相互作用によって検出する。交差反応性の測定方法としては、本明細書に記載された標準結合測定が挙げられ、例えば、BIACORE(登録商標)表面プラズモン共鳴(SPR)解析により、BIACORE(登録商標) 2000 SPR機器(Biacore AB, Uppsala, Sweden)やフローサイトメトリー技術を使用する。
「免疫抱合体」とは、1つ以上の他の物質(細胞毒性薬剤またはマーカーを含むがこれらに限らない)と結合する抗体である。
【0052】
本明細書で使用される用語「マーカー」は、試薬(ポリヌクレオチドプローブまたは抗体など)に直接的または間接的に結合または融合され、結合または融合された試薬の検出を容易にする化合物または組成物を意味する。マーカー自体は検出可能(放射性同位体標識または蛍光標識)であってもよいし、酵素標識の場合には、検出可能な基質化合物または組成物の化学的変化を触媒してもよい。用語は、検出可能な物質をプローブまたは抗体に結合(すなわち、物理的に結合)することによるプローブまたは抗体の直接標識と、直接標識された別の試薬と反応することによるプローブまたは抗体の間接標識とを含むように意図されている。間接標識の例としては、蛍光標識された二次抗体を用いた一次抗体の検出や、蛍光標識されたストレプトマイシン抗生物質タンパク質で検出できるようにビオチンを有するDNAプローブの末端標識が挙げられる。
「ベクター」とは、生物学的システム内で複製することができ、またはこれらのシステム間で移動することができるポリヌクレオチドをいう。ベクターポリヌクレオチドは、一般に、複製開始点、ポリアデニル化シグナルまたは選択マーカーなどの要素を含み、これらのポリヌクレオチドが生物系内での複製または保持を容易にする機能がある。このような生物系の例は、細胞、ウイルス、動物、植物、およびベクターを複製することができる生物成分で再構築された生物系を含めてもよい。ベクターを含むポリヌクレオチドは、DNAまたはRNA分子、またはこれらの分子のハイブリッド分子であってもよい。「発現ベクター」とは、発現ベクター中に存在するポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドの翻訳を指示するために、生物系または再構築生物系において使用され得るベクターをいう。
「単離された」抗体は、天然環境の成分から分離された抗体である。いくつかの実施形態において、抗体は、例えば電気泳動(SDS-PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)またはクロマトグラフィー(イオン交換または逆相HPLCなど)によって決定されるように、95%または99%を超える純度に精製される。抗体の純度評価方法の概要については、例えば、Flatmanら, J.Chromatogr.B848 : 79-87(2007)を参照する。
「単離された」核酸とは、天然環境の成分から分離された核酸分子を意味する。単離された核酸は、通常は核酸分子を含む細胞内に含まれる核酸分子を含むが、この核酸分子は染色体の外に存在するか、またはその天然の染色体の位置とは異なる染色体の位置に存在する。
系列間の系列同一性の計算は以下のように行う。
2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の同一性パーセンテージを決定するために、それらの配列は、最適な比較のために比較される(最適な比較のために、第1および第2のアミノ酸配列または核酸配列の一方または両方に空孔を導入することができ、または、比較のために、非相同配列を廃棄することができる)。好ましい一実施形態において、比較のために、比較される参照配列の長さは、少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、60%、さらに好ましくは少なくとも70%、80%、90%、100%の参照配列の長さである。その後、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置におけるアミノ酸残基またはヌクレオチドが比較される。第1の配列中の位置が、第2の配列中の対応する位置の同一のアミノ酸残基またはヌクレオチドに占められている場合、前記分子はその位置で同一である。
2つの配列間の配列比較および同一性百分率の計算は、数学的アルゴリズムを用いて実現してもよい。好ましい一実施形態において、2つのアミノ酸配列間の同一性のパーセントは、GCGソフトウェアパッケージのGAPプログラムに組み込まれていたNeedlemaおよびWunsch((1970)J.Mol.Biol.48:444-453)アルゴリズム(http://www.gcg.comで入手可能)に基づき、Blossum 62行列またはPAM250行列と、空孔重み16、14、12、10、8、6または4と、長さの重み1、2、3、4、5または6とを使用して決定される。さらに別の好ましい実施形態において、2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、GCGソフトウェアパッケージのGAPプログラム(http://www.gcg.comで入手可能)で、NWSgapdna.CMPマトリックスおよび空孔重み40、50、60、70または80および長さ重み1、2、3、4、5または6を使用して決定される。特に好ましいパラメータのセット(および、特に示されない限り、使用されるべきパラメータのセットの1つ)は、空孔ペナルティ12、空孔拡張ペナルティ4、およびシフト符号空孔ペナルティ5を用いたBlossum 62スコア行列である。
また、2つのアミノ酸配列またはヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、PAM120重み付き剰余表、空孔長ペナルティ12、空孔ペナルティ4)を用いて、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれていたE.MeyersおよびW.Millerアルゴリズム((1989)CABIOS, 4:11-17)を用いて決定されてもよい。
追加的または代替的に、本明細書に記載された核酸配列およびタンパク質配列をさらに「クエリ配列」として使用して、例えば、他のファミリーメンバー配列または関連配列を同定するために、共通データベースに対して検索を実行することができる。
【0053】
本明細書で使用されているように、「低厳格性、中厳格性、高厳格性または非常に高厳格性の条件下でハイブリダイズする」という用語は、ハイブリダイズおよび洗浄の条件を説明する。ハイブリダイゼーション反応を行うための指針は、参照法により包含されるCurrent Protocols in Molecular Biology, John Wiley&Sons, N.Y.(1989), 6.3.1-6.3.6にある。参考文献には、含水方法と非含水方法とが記載され、いずれの方法を用いてもよい。本明細書で言及した特異的ハイブリダイゼーション条件は以下の通りである。1)低厳格性ハイブリダイゼーション条件は約45℃の6X塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)で、その後少なくとも50℃(低厳格性条件の場合、洗浄温度を55℃までに増加させる)の0.2X SSC、0.1%SDS中で2回洗浄する。2)中厳格性ハイブリダイゼーション条件は、約45℃の6XSSC中で、その後、60℃の0.2XSSC、0.1%SDS中で1回または複数回洗浄する。3)高厳格性ハイブリダイゼーション条件は、約45℃の6XSSC中で、その後、65℃の0.2XSSC、0.1%SDS中で1回または複数回洗浄する。好ましくは、4)非常に高厳格性ハイブリダイゼーション条件は、65℃の0.5Mリン酸ナトリウム中で、7%SDS中で、その後、65℃の0.2XSSC、0.1%SDS中で1回または複数回洗浄する。非常に厳しい条件(4)は、好ましい条件であり、特に明記されていない限り使用されるべき条件である。
用語「宿主細胞」、「宿主細胞株」および「宿主細胞培養物」は交換可能に使用され、外来核酸が導入された細胞を指し、そのような細胞の子孫を含む。宿主細胞は、「形質転換体」および「形質転換細胞」を含み、それは、継代の数に関係なく、一次形質転換細胞およびそれに由来する子孫を含む。子孫は、核酸の内容で親細胞と完全に同じではなく、突然変異を含めてもよい。本明細書には、最初に形質転換された細胞においてスクリーニングまたは選択された同じ機能性または生物学的活性を有する突然変異体の子孫が含まれる。本発明に適した宿主細胞は、大腸菌のような原核微生物を含む。宿主細胞はまた、糸状菌または酵母などの真核微生物、または昆虫細胞などの種々の真核細胞であってもよい。脊椎動物細胞を宿主として用いることもできる。例えば、浮遊成長に適したように改変された哺乳動物細胞株を使用することができる。有用な哺乳動物宿主細胞株の例としては、SV40で形質転換されたサル腎CV1株(COS-7)、ヒト胚腎系(HEK293または293F細胞)、293細胞、幼ハムスター腎細胞(BHK)、サル腎細胞(CV1)、アフリカン緑猿腎細胞(VERO-76)、ヒト子宮頸癌細胞(HELA)、イヌ腎細胞(MDCK)、バッファローラット肝臓細胞(BRL3A)、ヒト肺細胞(W138)、ヒト肝臓細胞(Hep G2)、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)、CHOK1SV細胞、CHOK1SV GS-KO細胞、CHOS細胞、NSO細胞、骨髄腫細胞株(Y0、NS0、P3X63およびSp2/0など)が挙げられる。タンパク質の産生に適した哺乳動物宿主細胞株については、例えば、YazakiとWu, Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo編、Humana Press, Totowa、NJ)、p255~268(2003)を参照する。好ましい一実施形態において、宿主細胞はCHO細胞、例えばCHOS細胞CHOK1SV細胞またはCHOK1SVGS-KOであり、または宿主細胞は293細胞、例えばHEK293細胞である。
用語「アゴニスト」とは、ヒトCD40を特異的に結合する抗体であり、CD40を結合したときに、B細胞および/または樹状細胞(DC)またはT細胞の増殖または活性化を誘導するものを意味する。B細胞とDCとT細胞の増殖または活性化は、増加したB細胞の増殖、またはB細胞上の任意の表面マーカーCD23、CD80、CD83、CD86、またはDC上のCD80、CD83、CD86およびHLA-DRのアップレギュレーションの測定により得られる。アゴニストは、抗体を含まない対照サンプルと比べる場合、統計的に有意な方法でB細胞および/またはDCおよび/またはT細胞活性化を誘導することができる。
「腫瘍細胞/腫瘍成長の阻害」とは、治療剤の非存在下での同一の腫瘍細胞または腫瘍の成長と比べ、治療薬または治療薬の組み合わせと接触する場合のイン・ビトロまたはイン・ビボにおける腫瘍細胞成長または腫瘍の測定可能な低下を意味する。イン・ビトロまたはイン・ビボにおける腫瘍細胞または腫瘍成長の阻害は、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、99%、または100%であり得る。
本明細書に記載される用語「治療薬」は、腫瘍(がんなど)および感染症(慢性感染症など)のような疾患の予防または治療に有効な任意の物質を含み、化学療法剤、細胞毒性薬剤、ワクチン、他の抗体、抗感染活性薬剤、低分子薬物または免疫調節剤を含む。
【0054】
「化学療法剤」は、免疫系疾患の治療に有用な化学化合物(アルキル化剤、代謝拮抗物質、微小管阻害薬、天然物、抗生物質、酵素、その他の試薬、ホルモンやアンタゴニスト、抗エストロゲン、抗アンドロゲン、非ステロイド抗アンドロゲン、トポイソメラーゼ阻害薬、受容体チロシンキナーゼ阻害薬、血管新生阻害薬などを含むがこれらに限らない)を含む。本発明の例示的な化学療法剤としては、例えば、アナトラゾール(Arimidex(登録商標))、ビカルタミン(Casodex(登録商標))、ブロマイシン硫酸(Blenoxane(登録商標))、注射用ブスルファン(Myleran(登録商標))、バスルフェックス注射薬(Busulfex(登録商標))、カペタビン(Xeloda(登録商標))、N4-ペントキシカルボニル-5-デオキシ-5-フルオロシチジン、カルボプラチン(Paraplatin(登録商標))、カモスチン(BiCNU(登録商標))、フェノトロピンマスタード(Leukeran(登録商標))、シスプラチン(Platinol(登録商標))、クラリビン(Leustatin(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)またはNeosar(登録商標))、シチジン、シトシンアラビノシド(Cytosar-U(登録商標))、シチジンリポソーム注射剤(DepoCyt(登録商標))、ダカバジン(DTIC-Dome(登録商標))、アクチノマイシン(dactinomycin)(アクチノマイシンD、Cosmegan)、塩酸ドノマイシン(Cerubidine(登録商標))、クエン酸ドノマイシンリポソーム注射剤(DaunoXome(登録商標))、デキサメタゾン、ドセタキセル(Taxotere(登録商標))、塩酸ドルビシン(Adriamycin(登録商標)、Rubex(登録商標))、エトロポシド(Vepesid(登録商標))、フルダラビンリン酸(Fludara(登録商標))、5-フルオロウラシル(Adrucil(登録商標)、Efudex(登録商標))、フルタミン(Eulexin(登録商標))、tezacitibine、ゲムシタビン(ジフルオロデオキシシチジン)、ヒドロキシウレア(Hydrea(登録商標))、イダルビシン(Idamycin(登録商標))、イソシクロホスファミド(IFEX(登録商標))、イリノテカン(Camptosar(登録商標))、L-アスパラギナーゼ(ELSPAR(登録商標))、葉酸カルシウム、メファロン(Alkeran(登録商標))、6-メルカプトプリン(Purinethol(登録商標))、メトトレキサート(Folex(登録商標))、ミトトラキノン(ミトトラキノン)、ミロタム(mylotarg)、パクリタキセル(Taxol(登録商標))、phoenix(イットリウム90/MX-DTPA)、ペンスタチン、ポリフェニルプロピオン20併用カモスタチンインプラント(Gliadel(登録商標))、クエン酸タモキシフェン(Nolvadex(登録商標))、チニポシド(Vumon(登録商標))、6-チオグアニン、セチパイ、チラザミン(Tirazone(登録商標))、注射用塩酸トポテカン(Hycamptin(登録商標))、ビンクリスチン(Velban(登録商標))、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))、ビノレルビン(Navelbine)、エロチニブ、ギリド(idelalisib)、ブレンツキシマブ ベドチン(brentuximab vedotin)、また、これらの物質の薬学的に許容される塩、酸または誘導体が挙げられる。この定義はまた、腫瘍に対するホルモンの作用を調節または阻害するために抗エストロゲン薬のような抗ホルモン薬を含み、例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、Trioxifene、keoxifene、LY117018、オナプリストンとトレミフェンと抗アンドロゲン薬(フルタミド、nilutamide、ビカルタミド、リュープロレリン酢酸塩およびゴセレリン酢酸塩など)、およびこれらのいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体を含む。
「細胞毒性薬剤」という用語は、本発明において、細胞の機能を阻害または防止し、および/または細胞死または細胞破壊を引き起こす物質を意味する。例示的な細胞毒性薬剤は、ヨウ素(131I、125I、123I、121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(115In、113In、112In、111In)、テクネチウム(99Tc)、タリウム(201Ti)、ガリウム(68Ga、67Ga)、パラジウム(103Pd)、モリブデン(99Mo)、キセノン(133Xe)、フッ素(18F)、153Sm、177Lu、159Gd、149Pm、140La、175Yb、166Ho、90Y、47Sc、186Re、188Re、142Pr、105Rh、97Ru、68Ge、57Co、65Zn、85Sr、32P、153Gd、169Yb、51Cr、54 Mn、75Se、113Snおよび117Tinなどの放射性同位体、成長阻害剤、アルキル化剤(メクロレタミン、アジリジン誘導体、アルカンスルホン酸塩、ニトロソウレアおよびトリアゼンを含むがこれらに限らない)、例えば、ウラシルマスタード、メクロレタミン(Chlormethine)、シクロホスファミド(CYTOXANTM)、シクロホスファミド(fosfamide)、メファロン、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスホラミン(Triethylenethiophosphoramine)、注射用ブスルファン、カモスチン、ロムスチン、ストレプトゾトシン、ダカルバジンおよびテモゾロミド、または代謝拮抗物質(葉酸拮抗剤、ピリミジン類縁体、プリン類縁体、およびアデノシンデアミナーゼ阻害剤を含むがこれらに限らない):メトトレキサート、5-フルオロウラシル、フルウリジン、シチジン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、フルダラビンリン酸、ペントスタチン(Pentostatine)およびゲムシタビンを含むがこれらに限らない。いくつかの実施形態において、本発明の例示的な細胞毒性薬剤は、微小管阻害薬、トポイソメラーゼ阻害剤、代謝拮抗剤、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、アントラサイクリン、ビンブラスチン類アルカロイド、インターカレーター、シグナル伝達経路を妨害する活性剤、アポトーシス促進活性剤、プロテアソーム阻害剤、および照射(γ放射線などの局所的または全身的な被ばくなど)を含む。
「低分子薬物」という用語は、生物学的プロセスを調節することができる低分子量の有機化合物を意味する。「低分子」は、分子量が10kD未満、典型的には2kD未満、好ましくは1kD未満である分子として定義される。低分子としては、無機分子、有機分子、無機成分を含む有機分子、放射性原子を含む分子、合成分子、ペプチド模倣物、抗体模倣物が挙げられるがこれらに限らない。治療剤としては、低分子は高分子より細胞を透過し、分解を受けにくく、免疫応答を起こしにくい。低分子、例えば抗体やサイトカインのペプチド模倣物、および小分子毒素についての説明は、例えばCassetら,(2003)Biochem.Biophys.Res.Commun.307:198-205;Muyldermans(2001)J.Biotechnol.74:277-302;Li(2000)Nat.Biotechnol.18:1251-1256;Apostolopoulosら、(2002)Curr.Med.Chem.9:411-420;Monfardiniら,(2002)Curr.Pharm.Des.8:2185-2199;Dominguesら(1999)Nat.Struct.Biol.6:652-656;Sato&Sone(2003)Biochem.J.371:603-608;米国特許番号6,326,482を参照する。
【0055】
用語「抗感染活性薬剤」は、ウイルス、細菌、真菌または寄生虫のような原生動物などの微生物の増殖を、投与濃度および投与間隔で特異的に阻害または排除するが、宿主に対して致命的ではない任意の分子を含む。本明細書で使用される場合、抗感染活性薬剤という用語は、抗生物質、抗細菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤および抗原性動物剤を含む。具体的な一態様において、抗感染活性薬剤は、投与濃度および投与間隔において宿主に対して非毒性である。
抗細菌の抗感染活性薬剤または抗細菌剤は、殺菌的(すなわち、直接殺す)または静菌的(すなわち、分裂を阻止する)に広く分類される。抗菌性の抗感染活性薬剤は、さらに、狭スペクトル抗菌剤(すなわち、グラム陰性など、小細菌サブタイプにのみ影響を与える)または広スペクトル抗菌剤(すなわち、幅広い種類に影響を与える)に再分類することができる。具体例としては、アミカシン、ゲンタマイシン、ゲルダナマイシン、ハービマイシン、ムピロシン、ニトロフラントイン、ピラジナミド、キヌプリスチン・ダルホプリスチン、リファンピシン・イソニアジドまたはチニダゾールなどが挙げられる。
「抗ウイルス剤」とは、ウイルスの増殖、病原性および/または生存を阻害または除去する物質をいう。これには、例えばアシクロビル、セドフォビル、ジドブジン、デヒドロキシイノシン(ddI、VIDEX)、ザシタビン(ddC、HIVID)、スタシタビン(d4T、ZERIT)、ラミブジン(3TC、EPIVIR))、アバカビル(ZIAGEN)、エントリタビン(EMTRIVA)などが含まれる。
「抗真菌剤」とは、真菌の成長、病原性および/または生存を阻害または除去する物質をいう。これには、例えば、ナタマイシン、クレゾチシン、フィレチン、マイコシン、アンホテリシンB、カンディシン、パチョリ(patchouli)、インドセンダンシールオイル(neem seed oil)、ココナッツオイル(Coconut Oil)などが含まれる。
「抗原生動物剤」という用語には、原生動物の生物(寄生虫など)の成長、発病および/または生存を阻害または除去する物質が含まれる。抗原生動物剤としては、例えば、キニーネ、キニジンなどの抗マラリア剤が挙げられる。
本明細書で使用される用語「免疫調節剤」は、免疫応答を抑制または調節する天然または合成活性剤または薬物を意味する。免疫応答は、体液応答または細胞応答であり得る。本発明の免疫調節剤は、免疫抑制剤を含む。
「免疫チェックポイント分子」という用語は、免疫系に存在する抑制的なシグナル分子の一種であり、末梢組織における免疫反応の持続性と強さを調節することで組織の損傷を回避するとともに、自己抗原に対する耐性の維持に関与するものを意味する(Pardoll DM., The blockade of immune checkpoints in cancer immunotherapy. Nat Rev Cancer, 2012, 12(4): 252-264)。研究により、腫瘍細胞が体内の免疫系から逃避して暴走増殖できる原因の一つとしては、免疫チェックポイント分子の抑制的なシグナル経路を利用することで、Tリンパ球の活性が抑制され、Tリンパ球が腫瘍に対する殺傷効果を効果的に発揮できなくなることがわかった(Yao S, Zhu YとChen L.,Advances in targeting cell surface signaling molecules for immune modulation. Nat Rev Drug Discov, 2013, 12(2):130-146)。免疫チェックポイント分子は、プログラム細胞死1(PD-1)、PD-L1、PD-L2、細胞障害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)、LAG-3およびTIM-3を含むがこれらに限らない。
用語「共刺激分子」は、T細胞の共刺激反応(ただし増殖に限定されない)を媒介するように、共刺激リガンドと特異的に結合するT細胞に結合される配偶体を意味する。共刺激分子は、抗原受容体またはそのリガンド以外における有効な免疫応答に寄与する細胞表面分子である。共刺激分子は、MHCクラスI分子、TNFレセプタータンパク質、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカインレセプター、インテグリン、シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAMタンパク質)、活性化NK細胞レセプター、OX40、CD40、GITR、4-1BB(すなわちCD137)、CD27、およびCD28を含むがこれらに限らない。いくつかの実施形態において、「共刺激分子」は、OX40、GITR、4-1BB(すなわち、CD137)、CD27、および/またはCD28である。
「サイトカイン」という用語は、ある細胞集団から放出され、細胞間の媒介として別の細胞に作用するタンパク質の通称である。そのようなサイトカインの例としては、リンパ因子、単核因子、IL-1、IL-1α、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-11、IL-12、IL-15などのようなインターロイキン(IL)、TNF-αまたはTNF-βなどのような腫瘍壊死因子、LIFおよびkitリガンド(KL)およびγインターフェロンを含む他のポリペプチド因子が挙げられる。本明細書で使用されるように、サイトカインという用語は、天然由来または組換え細胞培養物由来のタンパク質および天然配列サイトカインの生物学的活性な同等物を含み、人工合成によって生成された小分子実体、ならびにその薬学的に許容される誘導体および塩を含む。
用語「抑制剤」または「拮抗剤」は、与えられた分子(免疫チェックポイント分子など)の特定のパラメータ(活性など)を低下させる物質を含む。例えば、この用語は、与えられた分子が少なくとも5%、10%、20%、30%、40%またはそれ以上の活性(PD-L1活性など)を阻害するような物質を含む。したがって、抑制作用は100%である必要がない。
用語「活性化剤」は、与えられた分子(共刺激分子)の特定のパラメータ(活性など)を増加させる物質を含む。例えば、この用語は、与えられた分子の活性(OX40活性など)を少なくとも5%、10%、20%、30%、40%またはそれ以上増加させる物質を含む。したがって、活性化は100%である必要はない。
用語「薬用補助剤」とは、活性物質と共に投与される希釈剤、アジュバント(完全および不完全のフースアジュバントなど)、賦形剤、担体または安定化剤などを意味する。
「医薬組成物」という用語は、その中に含まれる有効成分の生物学的活性を有効にする形態で存在し、かつ、前記組成物の投与を受けた被験体に対して許容できない毒性を有する追加の成分を含まない組成物を意味する。
「組み合わせ製品」という用語は、投与単位の形態の固定組み合わせまたは非固定組み合わせまたは組合投与のための部分のキットを意味する。これらの2つ以上の治療薬は、特に、組合シャペロンが協働(相乗効果など)を示すことを可能にするような時間間隔で、独立で同じ時間に、または時間間隔内に別々に投与されることができる。用語「固定組み合わせ」は、本発明の抗体および組み合わせシャペロン(例えば、他の治療薬、例えば免疫調節剤、例えば、免疫抑制剤または抗炎症剤)を、単一の固形物または用量の形で患者の体内に同時に投与することを意味する。用語「非固定組み合わせ」は、本発明の抗体および組み合わせシャペロン(例えば、他の治療薬、例えば、免疫調節剤、例えば免疫抑制剤または抗炎症剤)を、特定の時間制限なしに、別々のエンティティとして、同時に、並行、または連続して患者に投与することを意味し、このような投与は、患者における2つの化合物の治療上有効なレベルを提供する。後者は、例えば3種以上の治療薬の投与などのカクテル療法にも適している。好ましい一実施形態において、薬剤の組み合わせは非固定組み合わせである。
「免疫原性」とは、特定の物質が免疫応答を引き起こす能力を指す。腫瘍は免疫原性であり、腫瘍の免疫原性を高めることは、免疫応答を介して腫瘍細胞を除去することに役立つ。
「免疫応答」とは、脊椎動物における外来物質に対する生体応答であり、これらの物質およびそれに起因する疾患から生体を保護するものである。免疫応答は、免疫系の細胞(Tリンパ球、Bリンパ球、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、好酸球、肥満細胞、樹状細胞、または好中球など)と、これらの細胞または肝臓によって産生される可溶性高分子(抗体、サイトカイン、補体を含む)の作用によって媒介される。それは、侵入した病原体、細胞または病原体に感染した組織、癌性または他の異常細胞、または(自己免疫または病的炎症の場合)正常なヒト細胞または組織を脊椎動物の生体から選択的に標的化、結合、損傷、破壊および/または除去する。免疫反応は、例えば、T細胞(CD4+またはCD8+T細胞のようなエフェクターT細胞またはTh細胞など)の活性化または阻害、またはTreg細胞の阻害または枯渇を含む。エフェクターT(「Teff」)細胞とは、細胞溶解活性を有するT細胞(CD4+およびCD8+T細胞など)およびTヘルパー(Th)細胞(サイトカインを分泌し、他の免疫細胞を活性化および誘導する細胞)を指すが、制御性T細胞(Treg細胞)は含まれない。
「有効量」という用語は、1回または複数回の用量で患者に投与された後に、治療または予防を必要とする患者に所期の効果をもたらす、本発明の抗体または断片または抱合体または組成物の量または用量を意味する。有効量は、当業者である主治医が、例えば哺乳動物の種、その大きさ、年齢、一般的な健康状況、具体的な病気、疾病の程度または重大性、個々の患者の応答、投与された特定の抗体、施用パターン、投与製剤の生物学的利用率特性、選択された投与スキーム、治療法の併用など、さまざまな要因を考慮することによって容易に決定することができる。
「治療上有効量」とは、必要な用量で、必要な期間継続して、必要な治療結果を実現するための有効な量をいう。抗体または抗体断片またはその抱合体または組成物の治療上有効な量は、疾患の状態、個体の年齢、性別、重量、および個体において所望の反応を刺激する抗体または抗体部分の能力など、さまざまな要因に応じて変動することができる。治療上有効量は、抗体または抗体断片またはその抱合体または組成物の毒性または有害な作用が治療的に有益な作用に及ばない量でもある。未治療する対象に対して、「治療上有効量」は、好ましくは、測定可能なパラメータ(腫脹率など)を少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約40%、ひいてより好ましくは少なくとも約50%、60%または70%、そしてさらにより好ましくは少なくとも約80%または90%抑制する。測定可能なパラメータ(腫脹率)を阻害する化合物の能力は、ヒトの自己免疫疾患または炎症における効力を予兆する動物モデル系において評価され得る。
「予防上有効量」とは、必要な用量で、必要な期間継続して、必要な予防結果を実現するための有効な量をいう。一般的に、予防用量は、病気の早い段階よりも前に、または病気の早い段階で対象に使用されるため、予防有効量は治療有効量よりも少ない。
【0056】
本明細書に記載された「個体」または「被験者」は、哺乳動物を含めて、互換的に使用されてもよい。哺乳動物には、家畜(牛、羊、猫、犬、馬など)、霊長類(ヒトおよびサルなどの非ヒト霊長類など)、ウサギ、齧歯類(マウスやラットなど)が含まれるが、これらに限らない。いくつかの実施形態において、個体または被験体は、霊長類などの哺乳動物、好ましくはヒト(本明細書に記載された疾患に罹患している患者、または本明細書に記載された疾患に罹患するおそれのある患者など)などの高級霊長類であってもよい。一実施形態において、被験体は、本明細書に記載された疾患(本明細書に記載された腫瘍または感染症など)に罹患しているか、または本明細書に記載の疾患に罹患するおそれがある。いくつかの実施形態において、被験体は、化学療法療法および/または放射線療法など、他の治療を受けたか、または受けている。代替的にまたは組み合わせにおいて、被験体は、感染により免疫が損なわれているか、または感染により免疫が損なわれるおそれがある。
「併用療法」という用語は、本開示に記載されたIL-23関連疾患を治療するために、2つ以上の治療薬または治療法(放射線療法または手術など)を投与することを意味する。このような投与は、これらの治療薬(一定の割合の有効成分を有する単一のカプセルなど)を実質的に同時に共同投与することを含む。または、このような投与は、複数または別々の容器(錠剤、カプセル、粉末、液体など)内の各有効成分への共同投与することを含む。粉末および/または液体は、投与前に所望の用量に再構築または希釈してもよい。さらに、このような投与は、各タイプの治療薬を実質的に同じ時間で、または異なる時間で連続的に使用することを含む。いずれの場合も、この治療スキームは、本明細書に記載された病症または病状の治療における薬学的組み合わせの有益な効果を提供する。
本明細書で使用される場合、「治療」とは、既に存在する症状、病症、病況または疾患の進行または重大度の遅らせ、中断、ブロック、緩和、停止、低下または逆転を意味する。
本明細書に使用される場合、「予防」とは、疾患または病症または特定の疾患または病症の症状の発生または進行を抑制することをいう。いくつかの実施形態にいて、免疫系疾患(自己免疫疾患または炎症)家族の既往歴を有する被験者は、予防的スキームの候補である。一般に、免疫系疾患(自己免疫疾患または炎症)の文脈において、「予防」という用語は、免疫系疾患(自己免疫疾患または炎症)の徴候または症状が発生する前、特に免疫系疾患(自己免疫疾患または炎症)のおそれのある対象において、その発生前に薬剤を投与することを意味する。
「被験体/患者サンプル」とは、患者または被験体から得られる細胞や流体の集合体をいう。組織または細胞サンプルのソースは、新鮮な、凍結された、および/または保存された臓器または組織サンプル、または生検サンプルまたは穿刺サンプルからのような実体組織、血液または任意の血液成分、脳脊髄液、羊膜液(羊水)、腹膜液(腹水)または間隙液などの体液、被験者の妊娠時または発育時に由来する細胞で有り得る。組織サンプルは、防腐剤、抗凝固剤、緩衝剤、固定剤、栄養剤、抗生物質など、自然界において組織と混ざり合わない化合物を含んでいてもよい。
本発明のこれら、他の態様および実施形態は、図面(図面の簡単な説明は図面の後に続く)および以下の発明における詳細な説明に記載され、以下の実施形態に例示される。上記の内容および本出願全体で説明された特徴の一部または全部は、本発明のさまざまな実施形態で組み合わせてもよい。以下の実施形態は、本発明をさらに説明するが、実施形態は限定されたものではなく、例証として説明されており、当業者はさまざまな修正を行うことができることが理解される。
【実施例
【0057】
実施例1. レポーター細胞株Jurkat/NF-κB-GFP +hCD40の構築
NF-κB-GFPレポーター遺伝子レンチウイルスシステム(QIAGEN、CCS-013G)のプロモーターには複数のNF-κB転写因子結合部位があり、当該プロモーターの活性化はGFPの発現を駆動することができる。キットの説明書によれば、NF-κB-GFPレポーター遺伝子レンチウイルスをJurkat細胞(ATCC、TIB-152)に感染させ、レンチウイルスに感染したJurkat細胞をピューロマイシン(InvivoGen、ant-pr-1)でスクリーニングする。10 ng/ml TNFαタンパク(Sino Biological, 10602-HNAE)を加え、ピューロマイシンでスクリーニングした細胞を刺激し、24hの後にフローサイトメトリー(BD, FACSAria III)でGFP蛍光の細胞亜群を選別し、Jurkat/ NF-κB-GFP細胞を獲得する。
ヒトCD40 CDS(Sino Biological、HG10774-M)をレンチウイルスコアプラスミドpCDH(System Biosciences)に構築し、標準手順でPEI(polyscience、24885-2)を用いて293FT細胞(Thermo Fisher Scientific,R70007)に1:1:1:1でコトランスフェクションして得られたレンチウイルスコアプラスミドと補助プラスミドpPACKH1-GAG、pPACKH1-REV、pVSVG(いずれもSystem Biosciencesから)を用いて、6hトランスフェクションした後に液交換し、37℃で10%のウシ胎児血清(Biological Industries、04-001-1A)を含むDMEM培地(Lifetechnologies、C11995500CP)に、引き続き48h培養してヒトCD40レンチウイルスを含む上清を収集する。
本明細書で使用される陽性対照のCD40L配列は、特許WO 2016/177771(SEQ ID NO:15)から参照され、陰性対照のHEL配列を表10に示す。CD40LおよびHELのDNA配列はGENEWIZ会社で遺伝子完全合成を行う。CD40LおよびHEL精製について、DNA配列を真核細胞発現ベクターpFUSE(InvivoGen、pfuse-hg1fc1)に挿入し、標準手順に従って、PEIを用いて293F細胞(Thermo Fisher Scientific, R79007)にトランスフェクションし、Freestyle培地(Lifetechnologies, 12338026)を用いて37℃のインキュベーターで細胞を培養する。7日間培養した後に上澄み液を採取し、AKTAシステム(GE)でSuperdexTM200 Increaseプレカラム(GE, 28-9909-44)を用いて精製する。
CD40シグナル伝達は、NF-κB経路を活性化でき、CD40がJurkat/NF-κB-GFP細胞膜表面に発現していると、CD40L刺激によりGFPの発現が誘導される。このように選別して得られた構築済みのJurkat/NF-κB-GFP細胞を上記得られたヒトCD40レンチウイルスの上清で感染し、16hの後に100nMの上記得られたCD40L蛋白(陽性対照とする)とHEL(陰性対照とする)を加えて刺激し、24hの後にフローサイトメトリーで単細胞のうちGFPの蛍光が最も強い細胞を96ウェルプレートに選別分取する。
上記96ウェルプレート中の細胞を10%のウシ胎児血清(Biological Industries、04-001-1A)を含むRPMI 1640培地(Lifetechnologies, C11875500CP)中で2週間培養し、単細胞が成長した後、それぞれ100nMの上記三量化CD40L蛋白(陽性対照とする)とHEL(陰性対照とする)を加え、CD40L強陽性、HEL陰性のモノクローナルを選び、Jurkat/NF-κB-GFP+hCD40(NF-κB-GFP+hCD40という)細胞として、その後の試験に用いる。結果は図1のように、CD40L刺激後のJurkat/NF-κB-GFP+hCD40モノクローナルGFP陽性率は94.7%であり、HEL刺激は活性化しなかった。
【0058】
実施例2. ファージディスプレイ抗体バンクからCD40結合抗体をスクリーニングする
天津市血液センターおよび上海秒通生物会社から30例の健康成人末梢血を購入し、ficoll分離液(コウ洋、LDS1075)の遠心分離によりPBMCを獲得する。遠心分離条件は20℃、2000rpm、上昇5下降0モードの30分間とする。このようにして得られたPBMCを用いてヒト天然抗体バンクを構築し、バンクの構築は通常の方法(phage display、Tim Clackson and Henry B.Lowman)である。得られた抗体重鎖と軽鎖可変領域をランダムに組み合わせて単鎖抗体scFvの形式でファージキャプシド蛋白pIIIのN末端に発現し、貯蔵容量は1010に達したファージディスプレイ抗体バンクを獲得する。
ファージスクリーニングは従来技術(Phage Display: A Laboratory Manual, Carlos F Barbas III)である。まず、ビオチン化CD40タンパク質(acrobiosystems, TN5-H82F9)を上記のようにして得られたファージディスプレイ抗体バンクと室温で2hインキュベートする。培養終了後、直接150 ulストレプトアビジンビーズDynabeads M280(Lifetechnologies, 11205D)を加え、室温混合器上で30 min培養する。抗原と結合しないファージを、0.05%のPBS-tween(PBS:Lifetechnologies,70011044;Tween:Sigma-Aldrich,9005-64-5)で溶出し、最後に抗原と結合したファージを、0.2Mグリシン-塩酸(PH2.2)で溶出する。溶出したファージを用いて大腸菌XL1-blue(Agilent, 200236)に感染させ、補助ファージVCSM13(Agilent, 200251)を加えて増幅した後、次のスクリーニングに用いる。スクリーニングは計3回行う。3回以降後、CD40と結合する抗体ファージを濃縮し、スクリーニング結果を表1に示す。
CD40結合抗体の陽性率を初歩的に評価するために、2回目、3回目からそれぞれファージモノクローナルを29個選び、ファージELISA分析を行う。ファージELISAは通常の技術であり、具体的には、ウェル深型プレートで培養したファージモノクローナルからそれぞれ2回目、3回目のファージモノクローナルを29個選び、37℃、300 rpmでOD=0.5~0.8まで振り、補助ファージVCSM13を加えて増幅後30℃で一晩にかけてファージを誘導し、抗体の発現に用いる。ELISAプレート(Corning, 3690)に1μg/mlのヒト由来CD40(Acrobiosystems,CD0-H5228)を被覆し、4℃で一晩インキュベートする。一晩インキュベートした後のELISAプレートに一晩インキュベートしたバクテリオファージの上清を加え、室温で1hインキュベートし、0.05%PBSTで8回洗浄する。陰性対照としてBSA(Solarbio, A8020-100)を用いる。HRP結合抗M13(GE、27-9421-01、M13はファージキャプシドタンパク質)を添加して結合抗体ファージを検出する。CD40結合シグナルがBSA対照の3倍以上であることを陽性クローンと定義する。結果は図2に示す通りであり、2回目のスクリーニング、3回目のスクリーニングの陽性率はそれぞれ6.9%、27.6%である。
【0059】
実施例3. 共刺激分子CD40のアゴニスト抗体スクリーニング
まず、3回目のファージディスプレイに濃縮した抗体を分泌型レンチウイルスベクターpCDHにサブクローニングすると同時に、N27 ScFvを分泌型レンチウイルスベクターpCDHにクローニングし、陰性対照とし、N27 ScFv配列を表11に示す。293FT細胞に1:1:1:1でレンチウイルスコアプラスミドと補助プラスミドpPACKH1-GAG、pPACKH1-REV、pVSVGを共トランスフェクションし、6hトランスフェクションした後に液体交換し、37℃で10%のウシ胎児血清(Biological Industries、04-001-1A)を含むDMEM培地に培養する。引き続き48h培養し、CD40結合抗体を含むレンチウイルスバンクの上清を収集する。50000pgで得られたCD40結合抗体のレンチウイルスバンクをHEK293細胞に感染させる。16h感染した後、遠心分離によりレンチウイルス含有培地を除去し、新鮮培地を添加し、フローサイティング技術を用いて感染したHEK293細胞を96ウェルプレートに選別し、各ウェルプレートに感染した1つのHEK293細胞を含むようにする。細胞を3週間培養し、細胞が一定量に達した後、上清を取る。上清に上記得られたJurkat/NF-κB-GFP+hCD40レポーター細胞を3×105個加えると同時に、ヤギ抗ヒトFc(SouthernBiotech、SBA-2048-01)の二次抗体を2.5μg/ml加える。アゴニスト抗体の活性化強度を増強するために細胞から分泌される抗体を架橋する。24h培養した後に細胞上清の活性を測定する。陽性抗体の測定結果を図3に示す。細胞上清活性陽性のHEK293細胞から抗体遺伝子を抽出し、pFUSEベクターに構築して配列測定を行い、陽性抗体VHとVL配列を獲得し、獲得した2つの陽性抗体番号はNK003とNK004であり、その配列(CDR、VH/VLと重鎖、軽鎖を含む)は配列表の表4から表8の中の配列を参照する。
【0060】
実施例4 . 完全長抗体IgGの発現および精製
抗体の発現と精製は通常の方法であり、具体的には以下のとおりである。
抗体配列により、スクリーニングしたアゴニスト抗体NK003、NK004重鎖と軽鎖DNA(GENEWIZ)を合成する。それをそれぞれベクターpFUSEにクローニングし、標準手順に従い、PEIを用いてそれぞれの重鎖と軽鎖を含むプラスミド二者を1:1で瞬時に293F懸濁細胞にコトランスフェクションし、完全長抗体を発現する。1週間培養した後、AKTAシステムでSuperdexTM200 Increaseプレカラムを用いて精製する。
SDS-PAGE法により抗体を同定し、精製し、分子排除プレカラムSuperdex 200を用いて抗体の凝集を分析する。結果は図4に示す通りで、NK003の溶出ピークの形は対称であり、溶出時の保持時間は単一分子量のモノクローナル抗体と一致し、同時に抗体中に少量の凝集体が存在する。
【0061】
実施例5. ヒトCD40抗体NK003、NK004のイン・ビトロ特徴付け
5.1 NK003、NK004とCD40との組み合わせ
TNFRファミリーメンバーであるOX40、4-1BBおよびGITRとの直接ELISAにより、NK003の結合選択性を評価する。ELISAプレートにヒト由来OX40(Acrobiosystems、OX0-H5224)、4-1BB(Acrobiosystems、41B-H5227)、GITR(Acrobiosystems、GIR-H5228)とCD40(Acrobiosystems、CD0-H5228)を1μg/ml含むPBS溶液を被覆し、4℃で一晩インキュベートする。実施例4で得られたPBSで各濃度に希釈したNK003:0.625μg/ml、1.25μg/ml、2.5μg/mlと5μg/mlを加え、室温で30 minインキュベートした後、0.05%のPBS-Tweenで8回洗浄する。ヤギ抗ヒトHRP結合Fc抗体(SouthernBiotech、2048-05)を加え、結合したNK003を検出する。図5Aに示すように、NK003はヒトCD40との結合が選択的結合であり、その他の試験されたTNFRファミリータンパク質との結合が低結合または非結合である。
NK004とCD40の結合を評価するために、ELISAプレートにヒト由来CD40(Acrobiosystems,CD0-H5228)のPB溶液を1μg/ml被覆し、4℃で一晩インキュベートする。実施例4で得られたPBSで各濃度に希釈したNK004:0.002nM、0.016nM、0.13nM、1nM、8nM、64nMと500nMを加え、HELは陰性コントロール抗体であり、室温で30 minインキュベートした後、0.05%のPBS-Tweenで8回洗浄する。ヤギ抗ヒトHRP結合のFc抗体を加え、結合したNK004を検出する。図5Bに示すように、NK004はヒトCD40と結合してもよい。
5.2 NK003がCD40LとCD40の結合を阻害する
ELISAを用いてCD40LとCD40の結合に対するNK003の役割を評価する。まず、プロテインビオチン化キット(GeneCopoeia、BI001)を用いて、説明書に従ってCD40Lをビオチン化する。ELISAプレートに1μg/mlのヒト由来CD40を被覆し、4℃で1晩インキュベートする。実施例4で得られたPBSで各濃度に希釈したNK003:0.156μg/ml、0.313μg/ml、0.625μg/ml、1.25μg/ml、2.5μg/ml、5μg/ml、10μg/ml、20μg/mlを加え、HELは対照抗体であり、室温で1hインキュベートした後、2.5μg/mlのビオチン化CD40Lを加え、室温で30 minインキュベートした後、0.05%のPBS-Tweenで8回洗浄する。Streptavidin-HRPを加えて酵素マーカー(SpectraMax i3x)を用いてOD405値を読み取り、CD40LとCD40の結合量を測定する。結果は図6に示す通り、NK003はCD40とCD40Lの結合を阻害する。
5.3 NK003、NK004がNF-κB-GFP+hCD40レポーター細胞株を架橋形式で活性化する
本実施例において、NK003、NK004抗体がNF-κB-GFP+hCD40レポーター細胞株を活性化する様子をフローサイトメトリーにより検出し、両抗体のEC50を測定する。具体的な手順は以下の通りである。
実施例1で得られたNF-κB-GFP+hCD40レポーター細胞をそれぞれ3×105個/チューブ採取し、それぞれ実施例4で得られた各濃度に希釈したNK003またはNK004:0.001μg/ml、0.005μg/ml、0.01μg/ml、0.05μg/ml、0.1μg/ml、0.5μg/ml、1μg/ml、5μg/mlと10μg/ml、10μg/mlを加え、HEL抗体を用いて陰性対照とする。架橋のために、各群に2.5μg/ml濃度の二次抗体、すなわちヤギ抗ヒトFcを同時に添加する。10%のウシ胎児血清(Biological Industries、04-001-1A)を含むRPMI 1640培地(Lifetechnologies、C11875500CP)で37℃で24h共同培養した後、PBSで3回洗浄し、フローサイトメトリーで分析を行う。得られたデータは、GraphPad Prism 6.0を使用してカーブフィッティングを行い、EC50を計算する。結果は図7に示す通りであり、NK003によるCD40の活性化は二次抗体の架橋に依存し、架橋形式でNF-κB-GFP+hCD40レポーター細胞株を活性化し、EC50は2 nMである(図7A)。NK004によるCD40の活性化は二次抗体の架橋に依存せず、NF-κB-GFP+hCD40レポーター細胞株を組成型モードで活性化し、二次抗体を加えた場合のEC50は4Nmである(図7B)。
5.4 表面プラズモン共鳴によるNK003の動力学と親和性の定量分析
Biacore T200(GE Healthcare)は抗体NK003、NK004の親和性を測定するために用いられる。NK003、NK004をProtein Aチップに10μL/minで流し、チップ上に捕捉する。被験抗原であるヒトCD40組換えタンパク質(Acrobiosystems、CD0-H5228)をRunning buffer(HBS-EP+、GE)グラジエントで希釈し、濃度を2μM、1μM、500nM、250nM、125nM、62.5nM、31.25nMに設定する。上記各濃度のCD40を30μL/minの流速で抗体を捕捉したチップに流し、120 s結合する。その後チップは30μL/minの流速でRunning buffer、240sを流し、抗原は次第に抗体を捕捉したチップから解離する。データ処理はBiacore T200機器付属ソフトウェアBIAevaluation software S200を用いて行われ、結合定数(Ka)、解離定数(Kd)、平衡解離定数(KD)を計算する。結果を表2に示す。
5.5 NK003交差反応
アカゲザルおよびヒトのCD40を発現する293FT細胞とNK003との結合をフローサイトメトリーにより検出し、NK003とアカゲザルおよびヒトCD40との交差反応を測定する。
アカゲザルCD40(NCBI、NM_001265862.1)とヒトCD40(NCBI、NM_001250.5)のCDS領域(GENEWIZ合成)をpCDHベクターにクローニングし、標準手順に従いPEIを用いて293FT細胞に瞬時にトランスフェクションする。6hトランスフェクションした後に液交換する。37℃で10%のウシ胎児血清(Biological Industries、04-001-1A)を含むDMEM培地に培養し、48 h発現した後、それぞれアカゲザルCD40を発現する細胞とヒトCD40を発現する細胞を獲得する。
上記得られたアカゲザルとヒトCD40を発現する293FT細胞をそれぞれ3×105個/管採取し、実施例4で述べたように調製したPBSで各濃度に希釈したNK003:0.001μg/ml、0.005μg/ml、0.01μg/ml、0.05μg/ml、0.1μg/ml、0.5μg/ml、1μg/ml、5μg/ml、10μg/mlを加え、HEL 10μg/mlを陰性対照とする。細胞と各濃度のNK003を4℃で30 min共同インキュベートし、PBSで3回洗浄する。1:100でAlexa Fluro 488ヤギ抗ヒトFc蛍光二次抗体(Lifetechnologies、A11013)を加え、直射日光を避けて4℃で30 minインキュベートした後、フローサイトメトリーで分析を行う。GraphPad Prism 6.0を用いてカーブフィッティングを行い、EC50を計算する。結果を図8に示す。NK003はアカゲザルCD40(図8B)、ヒトCD40(図8A)とも交差反応し、アカゲザルCD40と結合するとEC50が8nM、ヒトCD40と結合するとEC50が10nMであることが分かる。
5.6 NK003が腫瘍細胞のアポトーシスを誘導する
リンパ腫細胞RajiおよびRamos膜表面にはCD40が発現し、Raji細胞(ATCC、CRL-7936)およびRamos細胞(ATCC、CRL-1596)を用いて、NK003の腫瘍細胞のアポトーシス促進能を測定する。
RajiおよびRamos細胞を3×105/mLの密度で24ウェルプレートに接種し、10%のウシ胎児血清(Lifetechnologies,10091148)を含むRPMI 1640培地で培養し、細胞接種と同時に上記実施例4で調製したPBSで各濃度に希釈したNK003:0.03μg/ml、0.06μg/ml、0.09μg/ml、0.3μg/ml、0.6μg/ml、0.9μg/ml、3μg/ml、6μg/ml、9μg/mlを加え、HEL9μg/mlを陰性対照とし、同時に1穴当たり2.5μg/mlの濃度でヤギ抗ヒトFcを架橋剤として添加する。24h 共同培養した後、PBSで3回洗浄し、1:100でPE-CD95(Biolegend,305611)を加え、直射日光を避けて4℃で30min培養する。フローサイトメトリーを用いて、アポトーシスマーカー分子CD95の発現(MFIで表わされる)を分析し、アポトーシスを測定する。GraphPad Prism 6.0でカーブフィッティングを行い、EC50を計算する。結果は図9に示す通りであり、NK003はRajiのアポトーシスを促進し、EC50は2.6nMである(図9A)。NK003はRamos細胞のアポトーシスを促進し、EC50は3nMである(図9B)。
【0062】
実施例6. 初代T細胞の活性実験
6.1 DC細胞の活性化
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を用いてNK003の樹状細胞(DC)の活性化能を検出する。DC細胞の分離は通常の方法であり、具体的には以下の通りである。PBMC(Hemacare、PB009C-3)は37℃で10%のウシ胎児血清(Lifetechnologies、10091148)を含むRPMI 1640培地で培養し、6時間後に壁に付着した単核細胞を収穫する。上清を除去し、GM-CSF(R&D Systems、204-IL)100ng/mLおよびIL4(R&D Systems、215-GM)10ng/mLを含む無血清RPMI1640培地を添加し、37℃で培養する。3日後に半分の培地を交換し、GM-CSFとIL4を100ng/mLと10ng/mLに補充する。培養の6日目に採取した浮遊細胞を新しい培養瓶に交換し、同じ100ng/mL GM-CSFと10ng/mL IL4を含む無血清RPMI1640培地を用いて24h継続培養し、DC細胞を獲得する。
7日目に、上記誘導により得られたDC細胞を1×105個/穴の数量で96ウェルプレートに接種し、各濃度のNK003:0.01μg/ml、0.05μg/ml、0.1μg/ml、0.5μg/ml、1μg/ml、10μg/ml、100μg/mlを加えて100μg/ml HELを陰性対照とする。架橋のために、ヤギ抗ヒトFcを2.5μg/mlの濃度で各群に同時に添加する。
上記DC細胞と抗体を共同で24hインキュベートした後、PBSで3回洗浄する。1:100でPE-CD11c(DC細胞マーカー分子、Biolegend、117309)とAPC-CD86(DC細胞活性化マーカー分子、Biolegend、105007)を加え、直射日光を避けて4℃で30 minインキュベートする。フローサイトメトリーを用いてDC細胞の活性化状況を測定し、APC-CD86のMFIで表わされる。DC細胞の活性化は、より強力な抗腫瘍T細胞応答をもたらすことができる。GraphPad Prism 6.0でカーブフィッティングを行い、EC50を計算する。結果は図10に示す通りであり、NK003は明らかにヒトDC細胞を活性化し、EC50は2 nM(図10A)で、架橋剤(ヤギ抗ヒトFc、anti-Fc)を加えた後のEC50は8 nM(図10B)で、且つ架橋形式のNK003のDC活性化強度は非架橋より明らかに増強する(MFIは明らかに高い)。
6.2 B細胞増殖
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を用いて、NK003のB細胞増殖誘導能力を検出する。CD19免疫磁気ビーズキット(Miltenyi Biotec、130-050-301)を用いてキット説明書に従い、ヒトPBMC(Hemacare、PB009C-3)からCD19+ B細胞を選別する。
上記選別により得られたB細胞を10%のウシ胎児血清(Lifetechnologies、10091148)を含むRPMI 1640培地に培養し、IL4を10ng/mL添加する。B細胞を1×105個/穴の数量で96ウェルプレートに接種し、各濃度のNK003:0.01μg/ml、0.05μg/ml、0.1μg/ml、0.5μg/ml、1μg/ml、10μg/ml、100μg/mlを加えて100μg/ml HELを陰性対照とする。37℃で48 h共同インキュベートした後、CellTiter-Gloキット(Promega、G7570)を用いて細胞の増殖状況を検出する。キット説明書に従い、70μlの細胞を100μl CellTiter-Glo(登録商標)Reagentに加え、均一に混合した後、直射日光を避けて10 min静置する。酵素免疫測定装置を用いて蛍光強度を読み取り、強度が高いほど細胞の増殖が強いことを示す。GraphPad Prism 6.0でカーブフィッティングを行い、EC50を計算する。結果は図11に示す通りであり、NK003はヒトB細胞の増殖を促進し、EC50は4nMである。
6.3 B細胞活性化
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を用いてNK003のB細胞活性化能を検出する。
6.2に示すように、ヒトPBMCからCD19免疫磁気ビーズキットを用いてCD19+ B細胞を選別する。上記選別により得られたB細胞を10%のウシ胎児血清(Lifetechnologies、10091148)を含むRPMI 1640培地に培養する。B細胞を1×105個/穴の数量で96ウェルプレートに接種し、各濃度のNK003:0.01μg/ml、0.05μg/ml、0.1μg/ml、0.5μg/ml、1μg/ml、10μg/ml、100μg/mlを加えて100μg/ml HELを陰性対照とする。さらに架橋のために、2.5μg/ml濃度のヤギ抗ヒトFcを上記各群に加える。48 h共同インキュベーションした後に、PBSで3回洗浄し、1:100でPE-CD86(B細胞活性化マーカー分子、Biolegend、105007)を加え、直射日光を避けて4℃で30 minインキュベーションする。フローサイトメトリーを用いて、抗体添加後(架橋および非架橋の場合)のB細胞活性化を検出し、APC-CD86のMFIで表わされる。GraphPad Prism 6.0でカーブフィッティングを行い、EC50を計算する。結果は図12A、Bに示す通りであり、NK003はヒトB細胞を活性化でき、架橋剤(ヤギ抗ヒトFc、anti-Fc)を添加しない場合のEC50は70 Nm(図12A)であり、架橋剤を添加した場合のEC50は4 nM(図12B)であり、架橋形式のNK003のB細胞活性化強度は非架橋より明らかに増強する(CD86発現は明らかに高い)。
【0063】
実施例7. ヒトCD40抗体NK003のイン・ビボ特徴付け
NK003ヒト由来抗体の役割をさらに特徴付けるために、異なるイン・ビボ試験を行う。
7.1 SCIDマウスにおけるNK003は腫瘍の成長を阻害する
抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)とは、抗体のFab断片が腫瘍細胞の抗原エピトープを結合し、そのFc断片がナチュラルキラー細胞(NK細胞、マクロファージなど)表面のFcRと結合し、ナチュラルキラー細胞を媒介して標的細胞を直接キラーすることを指す。NK003を媒介したADCCによる腫瘍細胞の殺傷作用を評価するために、SCIDマウスを用いて、CD40を発現する腫瘍細胞を接種する。
5週齢の雄SCIDマウスをチャールス・リバー会社から8匹購入し、SPF級動物室で飼育する。1週間飼育した後、無作為に2群に分け、背部に2.5×106個/匹の数量でRaji細胞を皮下接種し、各群に4匹接種し、接種当日をDay 0と記す。第1群にはNK003抗体を投与し、第2群にはHEL対照抗体を投与する。
Day 1からNK003を7.5mg/kgで、7日に1回、合計3回腹腔内投与し、HELを対照抗体とし、投与量と回数はNK003と同じとする。3日ごとにマウスの体重を計量し、ノギスを用いて腫瘍の垂直寸法を測定し、腫瘍の体積=(長×幅×高)/2とし、腫瘍の成長曲線をプロットする。
結果により、対照群と比べて、NK003群のマウスに明らかな腫瘍が認められず(図13 A)、しかもNK003群のマウスの生存率は100%(図13 B)である。NK003はADCC作用により腫瘍の成長を有意に抑制し、マウスの生存率を高めることができる。
7.2 CD40ヒト化マウスにおけるNK003活性化免疫系
C57BL/6遺伝背景の下で、ヒト由来CD40およびFc受容体FcγRIIA、FcγRIIB、FcγRIIIAをマウスゲノムに挿入し、ヒト由来CD40とFc受容体蛋白を発現すると同時に、マウス由来CD40とFc受容体の発現を置き換える。上海交通大学の李福彬氏から構築と提供されたCD40ヒト化マウスモデルを、SPF級動物室で飼育する。上海交通大学の李福彬氏から提供されたOT-1マウスをSPF級動物室で飼育する。頸椎脱臼によりOT-1マウスを安楽死し、脾臓を取り出し、脾臓を破砕して脾臓細胞を採取する。免疫磁気ビーズキット(R&D Systems、MAGM203)を用いて、キット説明書に従いCD8+ T細胞、すなわちOT-1 CD8+ T細胞を単離する。
8週齢の雄CD40ヒト化マウスを選び、2×106個/匹でOT-1 CD8+ T細胞を尾静脈で注射し、同時に0.1mg/kgのDEC-OVA(Sigma-Aldrich,SAB4700735)および5mg/kgのNK003を腹腔注射する(同用量のHELを対照抗体とする)。細胞を接種して7日後、頚椎法でマウスを安楽死し脾臓を分離する。脾臓を破砕して単細胞懸濁液を取得する。溶解法により赤血球を除去した後に、抗-CD4(ebioscience、RM4-5)、抗-CD8(Biolegend、53-6.7)、抗-CD45.1(Biolegend、A20)、抗-TCR-Vα2(Biolegend、B20.1)を用いて染色し、フローサイトメトリーでOVA特異的OT-1CD8+ T細胞の増殖を測定する。CD45.1+CD8+TCR-Vα2+亜群はOT-1CD8+ T細胞(OT1細胞)である。CD45.1+CD8+亜群はCD8細胞であり、CD45.1+CD4+亜群はCD4細胞である。結果は図14に示す通りであり、NK003群OT-1 CD8+T細胞の割合は顕著に上昇し、細胞数は有意に増加し、CD8とCD4の比率も上昇する。NK003はCD40ヒト化マウス免疫系を活性化することができる。
7.3 CD40ヒト化マウスにおけるNK003が腫瘍の成長を阻害する
NK003が免疫系を活性化し腫瘍を抑制する作用を評価するために、7.2で述べたように上海交通大学の李福彬氏から構築と提供されたCD40ヒト化マウスを用いて腫瘍細胞MC38(中国医学科学院基礎医学研究所基礎医学細胞センター、3111C0001CCC000523)の接種を行う。
本明細書で用いた陽性対照抗CD40抗体CP870893配列は特許US 7338660(軽鎖と重鎖配列はその中のSEQ ID NO:46とSEQ ID NO:48を参照)から由来する。GENEWIZが合成したCP870893軽鎖と重鎖をpFUSEベクターにトランスフェクションし、1:1で293F懸濁細胞に瞬時にコトランスフェクションする。完全長抗体を発現し、1週間発現した後、AKTAシステムでSuperdexTM200 Increaseプレカラムを用いて精製する(具体的なステップは実施例4と同じ)。
8週齢の雄CD40ヒト化マウスの背部に2×106個/匹でMC38細胞を皮下接種する。腫瘍が約100mm3に成長した時、ランダムに3群に分ける。HEL対照群に8匹、NK003とCP870893(陽性対照群)に各5匹、抗体を3mg/kgの用量で腹腔注射により、3日ごとに1回、計2回投与する。3日ごとにマウスの体重を計量し、ノギスを用いて腫瘍の垂直寸法を測定し、腫瘍の体積=(長×幅×高)/2とし、腫瘍成長曲線およびマウス体重曲線をプロットする。腫瘍抑制率=(対照群の平均体積-実験群の平均体積)/対照群の平均体積×100%。
結果は図15Aに示す通りであり、18日目、NK003の腫瘍抑制率は75%であるが、CP870893の腫瘍抑制率はわずか60%である。同時にマウスの体重を測ったところ、図15Bに示すように、NK003抗体を用いたマウスの体重は有意に低下していない。したがって、NK003は腫瘍の増殖を有意に抑制することができる一方で、マウスの体重にも有意な影響を及ぼさない。
【0064】
実施例8. NK003-V12、NK003-S267E/L328F Fc領域突然変異体がFcγRIIBとの結合およびCD40アゴニスト活性を増大させる
FcγRとの結合およびNK003抗体のアゴニスト活性を増加させるために、NK003 Fc領域(IgG1、EU番号)の233番目の残基であるグルタミン酸(E)をアスパラギン酸(D)に、237番目の残基であるグリシン(G)をアスパラギン酸(D)に、268番目の残基であるヒスチジン(H)をアスパラギン酸(D)に、271番目の残基であるプロリン(P)をグリシン(G)に、330番目の残基であるアラニン(A)をアルギニン(R)に突然変異させ、NK003-V12突然変異体を作製する。NK003のFc領域(IgG1、EU番号)の267番目の残基であるセリン(S)をグルタミン酸(E)に、328番目の残基であるロイシン(L)をフェニルアラニン(F)に変異させ、NK003-S267E/L328F突然変異体を作製する(配列表を参照)。NK003-V12とNK003-S267E/L328F突然変異体は構築後にシークエンシングにより確認される。

NK003-V12とNK003-S267E/L328F突然変異体のアゴニスト活性を評価するために、GENEWIZで合成されたNK003-V12とNK003-S267E/L328F突然変異体の軽鎖と重鎖を、pFUSEベクターにトランスフェクションし、293F懸濁細胞を1:1で瞬時にコトランスフェクションし、完全長抗体を発現する。1週間発現した後、AKTAシステムでSuperdexTM200 Increaseプレカラムを用いて精製する(具体的なステップは実施例4と同じ)。
GENEWIZで合成されたFcγRIIA(NCBI、NM_001136219.1)とFcγRIIB(NCBI、NM_004001.4)CDS領域を、pCDHベクターにクローニングし、標準ステップに従いPEIを用いて293FT細胞に瞬時にトランスフェクションする。6hトランスフェクションした後に液交換する。37℃で10%のウシ胎児血清(Biological Industries、04-001-1A)を含むDMEM培地に培養し、48 h発現した後、それぞれFcγRIIAを発現する細胞とFcγRIIBを発現する293FT細胞を獲得する。
それぞれ上記の293FT-FcγRIIAまたは293FT-FcγRIIB細胞を2×105個/チューブ採取し、各チューブにNF-κB-GFP+hCD40レポーター細胞をそれぞれ2×105個/チューブ添加する(実施例1を参照)。調製したPBSで希釈した各濃度NK003、NK003-V12とNK003-S267E/L328F:0.01μg/ml、0.05μg/ml、0.1μg/ml、0.5μg/ml、1μg/ml、5μg/ml、10μg/mlを各チューブに加え、10μg/ml HELを陰性対照とする。37℃で24h共培養した後、PBSで3回洗浄し、フローサイトメトリーで分析を行い、GFPのMFIを測定する。結果は図16に示す通りであり、NK003-V12、NK003-S267E/L328Fは野生型NK003と比べ、アゴニスト活性が有意に増強されている。
【0065】
実施例9. ヒトCD40抗体NK003の親和性成熟
NK003 VH、VLの相補決定領域と骨格領域に対してそれぞれ突然変異バンクを構築し、Fab形式(図17)でpcomb3ファージベクター(Biovector Inc.108925)を挿入し、ファージ親和性成熟方法を用いてNK003の最適化を行う。
9.1 NK003 VH、VL相補性決定領域CDR3親和性成熟
9.1.1 NK003 VH、VL相補的決定領域CDR3突然変異バンクの構築
CDR3に終止コドンを挿入したNK003軽鎖DNA(SEQIDNO:72)をテンプレートとし、VL1/VL2、CL1/CL2に対してそれぞれプライマーを用いて軽鎖VL、CL断片を増幅する。反応条件として、95℃ 2minを1 cycleに、95℃ 30s、65℃ 30s、72℃ 10sを35 cycleに、72℃ 5minを1 cycleにする。天根製回収キットを用いてPCR標的断片を回収する。プライマーは以下の通りである。
VL1:5’- gcggccgagctcGATGTTGTGATGACTCAG -3’
VL2:5’- GGTCCCCTGGCCAAA AGT GTA CGG AGT TCA TAG ACC TTG CAT GCAGTAATAAAG -3’(横線の任意の2箇所がMNNに突然変異し、GENEWIZ社よりハイスループット合成する)
CL1:5’- TTTGGCCAGGGGACCAAGCTGGAGATC-3’
CL2:5’- tatctagattaattaaatcactctcccctgttgaagctc-3’
上記2部分のPCR産物をoverlap PCR増幅し、NK003軽鎖突然変異バンクを獲得する。反応条件として、95℃ 2minを1 cycleに、95℃ 30s、65℃ 30s、72℃ 20sを8 cycleにするが、VL1/CL2プライマーを加えた場合、95℃ 30s、65℃ 30s、72℃ 20sを27 cycleに、72℃ 5minを1 cycleにする。SacI(NEB、R3156L)およびPacI(NEB、R0547L)を用いてそれぞれNK003軽鎖突然変異バンクおよびpcomb3ベクターを二重切断し、天根製回収キットを用いてPCR標的断片を回収する。突然変異バンク遺伝子とベクターは、モル比3:1でT4リガーゼ(NEB、M0202L)を介して25℃で3h連結する。電気転換法を用いて連結産物をXL1-Blue形質転換受容性状態に転換させ、容量5×105の軽鎖突然変異バンクを構築し、pcomb3-NK003-LCDR3と命名する。
CDR3に終止コドンを挿入したNK003重鎖DNA(SEQ ID NO:73)をテンプレートとし、それぞれプライマーを用いてVH1/VH2、CH1-1/CH1-2に対して重鎖VHおよびCH1断片を増幅する。反応条件として、95℃ 2minを1 cycleに、95℃ 30s、65℃ 30s、72℃ 10sを35 cycleに、72℃ 5minを1 cycleにする。プライマーは以下の通りである。
VH1:5’- tgcagctgctcgagCAGGTACAGCTGGTGCAGTC -3’
VH2:5’- CTTTGCCCCAGACGTC CAT GTA GTA GTA GTA GGT TCA AGT AGC TCC CAC TCT TTC TCTCGCACAG -3’(横線の任意の2箇所がMNNに突然変異し、GENEWIZ社よりハイスループット合成する)
CH1-1:5’- GACGTCTGGGGCAAAGGGACCACGGTC-3’
CH1-2:5’- gcctggccactagttttgtcaactttcttgtcc-3’
上記2部分のPCR産物をoverlap PCR増幅し、NK003重鎖突然変異バンクを獲得する。反応条件として、95℃ 2minを1 cycleに、95℃ 30s、65℃ 30s、72℃ 20sを8 cycleにするが、VH1/CH1-2プライマーを加えた場合、95℃ 30s、65℃ 30s、72℃ 20sを27 cycleに、72℃ 5minを1 cycleにする。SpeI(NEB、R3133L)とXhoI(NEB、R0146L)を用いてそれぞれNK003重鎖突然変異バンクおよびpcomb3-NK003-LCDR3ベクターを二重切断し、天根製回収キットを用いてPCR標的断片を回収する。突然変異バンク遺伝子とベクターは、モル比3:1でT4リガーゼを介して25℃で3h連結する。電気転換法を用いて連結産物をXL1-Blue形質転換受容性状態に転換させ、容量2.4×107の軽重鎖二重突然変異バンクを構築し、pcomb3-NK003-AMと命名する。
9.1.2 ファージ変異抗体バンクのスクリーニング
pcomb3-NK003-AM抗体バンクを用いて、CD40と結合する抗体をスクリーニングする。具体的なスクリーニング方法は実施例2を参照する。スクリーニングの結果を表1に示す。

CD40結合抗体の陽性率を初歩的に評価するために、3回目からファージモノクローナルを32個選び、ファージELISA分析を行う。ファージELISAの具体的な方法は実施例2を参照する。CD40結合シグナルがBSA対照の3倍以上であることを陽性クローンと定義する。結果は図18に示す通りであり、3回目のスクリーニングの陽性率は96.8%である。
3回目で溶出したファージをXL1-blueに感染させた後に、プレートに塗布する。スキージで均一にした後、天根製プラスミドミニキットを用いてNK003-AMプラスミドを抽出する。SacIとSpeIを二重切断した後、1500bpぐらいの標的断片を回収し、GENEWIZ社で三世代シークエンシングを行う。シークエンシング結果を図19に示す。三世代シークエンシングの結果に基づき、スクリーニングした抗体NK003-AM-9、NK003-AM-18重鎖と軽鎖DNA(GENEWIZ)を合成し、それをそれぞれベクターpFUSEにクローニングし、精製発現の具体的方法は実施例4を参照する。NK003-AM-9、NK003-AM-18のVH/VL配列は配列表6~表8を参照する。
9.1.3 NK003 CDR3親和性成熟活性の同定
本実施例において、NK003-AM-9およびNK003-AM-18抗体がNF-κB-GFP+hCD40レポーター細胞株を活性化する様子をフローサイトメトリーにより検出する。具体的なステップは以下の通りである。
実施例1で得られたNF-κB-GFP+hCD40レポーター細胞をそれぞれ3×105個/チューブ採取し、それぞれ各濃度のNK003-AM-9、NK003-AM-18およびNK003:0.01μg/ml、0.05μg/ml、0.1μg/ml、0.5μg/ml、1μg/mlを加える。架橋のために、各群に2.5μg/ml濃度の二次抗体であるヤギ抗ヒトFc(SouthernBiotech、SBA-2048-01)を同時に添加する。10%のウシ胎児血清(Biological Industries、04-001-1A)を含むRPMI 1640培地(Lifetechnologies、C11875500CP)で37℃で24h共同培養した後、PBSで3回洗浄し、フローサイトメトリーで分析を行う。得られたデータは、GraphPad Prism 6.0を使用してカーブフィッティングを行い、EC50を計算する。結果は図20に示す通りであり、NK003-AM-9、NK003-AM-18はNF-κB-GFP+hCD40レポーター細胞株を架橋形式で活性化し、EC50はそれぞれ0.25nM、0.3nMであり、両者の活性は類似し、いずれも野生型NK003より10倍近く向上した。
9.2 NK003のVH、VL骨格領域親和性成熟
9.2.1 NK003のVH、VL骨格領域の突然変異バンクの構築
NK003軽鎖DNA(SEQ ID NO:74)をテンプレートとし、ランダム突然変異PCRキット(Agilent Technologies、200550)とプライマーを用いてVL1/VL2、VL3/VL4に対してネストPCRを行い、軽鎖VL領域を増幅する。反応条件として、95℃ 2minを1 cycleに、95℃ 30s、65℃ 30s、72℃ 30sを28 cycleに、72℃ 10minを1 cycleにする。NK003軽鎖DNA(SEQ ID NO:11)をテンプレートとし、プライマーを用いてCL1/CL2に対して軽鎖CL領域を増幅する。反応条件として、95℃ 2minを1 cycleに、95℃ 30s、65℃ 30s、72℃ 30sを30 cycleに、72℃ 5minを1 cycleにする。天根製回収キットを用いてPCR標的断片を回収する。プライマーは以下の通りである。
VL1:5’- ctatcgcgattgcagtggcactggctg -3’
VL2:5’- ccagatttcaactgctcatcagatggc-3’
VL3:5’- ctaccgtggcccaggcggccgagctc -3’
VL4:5’- gaagacagatggtgcagccacagttcg-3’
CL1:5’- cgaactgtggctgcaccatctgtcttc -3’
CL2:5’- tatctagattaattaaatcactctcccctgttgaagctc-3’
上記VL、CLのPCR産物をoverlap PCR増幅し、NK003軽鎖突然変異バンクを獲得する。反応条件として、95℃ 2minを1 cycleに、95℃ 30s、65℃ 30s、72℃ 40sを8 cycleにするが、VL3/CL2プライマーを加えた場合、95℃ 30s、65℃ 30s、72℃ 40sを27 cycleに、72℃ 10minを1 cycleにする。SacIおよびPacIを用いてそれぞれNK003軽鎖突然変異バンクおよびpcomb3ベクターを二重切断し、天根製回収キットを用いてPCR標的断片を回収する。突然変異バンク遺伝子とベクターは、モル比3:1でT4リガーゼを介して25℃で3h連結する。電気転換法を用いて連結産物をXL1-Blue形質転換受容性状態に転換させ、容量1×105の軽鎖突然変異バンクを構築し、pcomb3-NK003-VLと命名する。
NK003重鎖DNA(SEQ ID NO:75)をテンプレートとし、プライマーを用いてVH1/VH2、VH3/VH4に対してネストPCRを行い、重鎖VH領域を増幅する。反応条件3として、95℃ 2minを1 cycleに、95℃ 30s、65℃ 30s、72℃ 30sを28cycleに、72℃ 10minを1 cycleにする。NK003重鎖DNA(SEQ ID NO:12)をテンプレートとし、プライマーを用いてCH1-1/CH1-2に対して重鎖CH1領域を増幅する。反応条件として、95℃ 2minを1 cycleに、95℃ 30s、65℃ 30s、72℃ 30sを32cycleに、72℃ 10minを1 cycleにする。天根製回収キットを用いてPCR標的断片を回収する。プライマーは以下の通りである。
VH1:5’- gccgctggattgttattactcgctgc -3’
VH2:5’- cagaggtgctcttggaggagggtgcc-3’
VH3:5’- gccatggccgaggtgcagctgctcgag-3’
VH4:5’- gaagaccgatgggcccttggtggaggc-3’
CH1-1:5’- gcctccaccaagggcccatcggtcttc -3’
CH1-2:5’- gcctggccactagttttgtcaactttcttgtcc-3’
上記VH、CH1のPCR産物をoverlap PCR増幅し、NK003重鎖突然変異バンクを獲得する。反応条件として、95℃ 2minを1 cycleに、95℃ 30s、65℃ 30s、72℃ 40sを8 cycleにするが、VH3/CH1-2プライマーを加えた場合、95℃ 30s、65℃ 30s、72℃ 40sを27 cycleに、72℃ 10minを1 cycleにする。SpeIとXhoIを用いてそれぞれNK003重鎖突然変異バンクおよびpcomb3-NK003-VLベクターを二重切断し、天根製回収キットを用いてPCR標的断片を回収する。突然変異バンク遺伝子とベクターは、モル比3:1でT4リガーゼを介して25℃で3h連結する。電気転換法を用いて連結産物をXL1-Blue形質転換受容性状態に転換させ、容量2.4×107の軽重鎖二重突然変異バンクを構築し、pcomb3-NK003-EPと命名する。
9.2.2 ファージ変異抗体バンクのスクリーニング
pcomb3-NK003-EP抗体バンクを用いて、CD40と結合する抗体をスクリーニングする。具体的なスクリーニング方法は実施例2を参照する。スクリーニングの結果を表2に示す。
3回目で溶出したファージをXL1-blueに感染させた後に、プレートに塗布する。スキージで均一にした後、天根製プラスミドミニキットを用いてNK003-EPプラスミドを抽出する。SacIとSpeIを二重切断した後、1500bpぐらいの標的断片を回収し、GENEWIZ社で三世代シークエンシングを行う。シークエンシング結果を図21に示す。三世代シークエンシング結果に基づき、抗体NK003-AM-18-EP1重鎖DNA(GENEWIZ)を合成し、ベクターpFUSEにクローニングする。標準手順に従い、PEIを用いて、NK003-AM-18軽鎖とNK003-AM-18-EP1重鎖をそれぞれ含むプラスミドを、1:1で293F懸濁細胞に瞬時にコトランスフェクションし、完全長NK003-AM-18-EP1抗体を発現させる。精製発現の具体的方法は実施例4を参照する。NK003-AM-18-EP1のVH配列は配列表6を参照する。
9.2.3 NK003の骨格領域親和性成熟活性の同定
本実施例において、NK003-AM-18-EP1抗体がNF-κB-GFP+hCD40レポーター細胞株を活性化する様子をフローサイトメトリーにより検出する。具体的なステップは以下の通りである。
実施例1で得られたNF-κB-GFP+hCD40レポーター細胞をそれぞれ3×105個/管採取し、それぞれ各濃度のNK003-AM-18、NK003-AM-18-EP1およびNK003:0.0075 nM、0.025 nM、0.075 nM、0.25 nM、0. 75 nM、2.5 nM、7.5 nMを加える。架橋のために、各群に2.5μg/ml濃度の二次抗体、すなわちヤギ抗ヒトFcを同時に添加する。10%のウシ胎児血清(Biological Industries、04-001-1A)を含むRPMI 1640培地(Lifetechnologies、C11875500CP)で37℃で24h共培養した後、PBSで3回洗浄し、フローサイトメトリーで分析を行う。得られたデータは、GraphPad Prism 6.0を使用してカーブフィッティングを行い、EC50を計算する。結果は図22に示す通りであり、NK003-AM-18-EP1は、NF-κB-GFP+hCD40レポーター細胞株を架橋形式で活性化し、EC50は0.35nMであり、NK003-AM-18と類似した活性を示す。




配列:


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
【配列表】
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