(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20240807BHJP
H01L 25/18 20230101ALI20240807BHJP
H01L 23/50 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L23/50 Y
(21)【出願番号】P 2022070330
(22)【出願日】2022-04-21
【審査請求日】2024-06-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390022471
【氏名又は名称】アオイ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敬史
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0216054(US,A1)
【文献】特開2001-308263(JP,A)
【文献】特開2018-26476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/07
H01L 23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1半導体チップと、第2半導体チップと、複数のリード部と、それらを封止する封止部とを有する基板と、
第1ドレイン配線、第1ソース配線、第1ゲート配線、第2ソース配線、第2ゲート配線および第3ゲート配線と、
を含み、
前記第1半導体チップは、ドレイン用の第1裏面電極と、前記第1裏面電極とは反対側にソース用の第1表面電極および第1ゲート電極とを有し、
前記第2半導体チップは、ドレイン用の第2裏面電極と、前記第2裏面電極とは反対側にソース用の第2表面電極および第2ゲート電極とを有し、
前記第1半導体チップの
前記第1裏面電極は、前記基板の第1主面で
前記封止部から露出されており、
前記第2半導体チップの前記第2裏面電極は、前記基板の前記第1主面とは反対側の第2主面で前記封止部から露出されており、
前記第1ドレイン配線は、前記基板の前記第1主面上に形成され、かつ、前記第1半導体チップの前記第1裏面電極に電気的に接続され、
前記第1ソース配線は、前記基板の前記第2主面上に形成され、かつ前記第1半導体チップの前記第1表面電極と前記第2半導体チップの前記第2裏面電極との両方に電気的に接続され、
前記第1ゲート配線は、前記基板の前記第2主面上に形成され、かつ前記第1半導体チップの前記第1ゲート電極に電気的に接続され、
前記第2ソース配線は、前記基板の第1主面上に形成され、かつ前記第2半導体チップの前記第2表面電極に電気的に接続され、
前記第2ゲート配線は、前記基板の第1主面上に形成され、かつ前記第2半導体チップの前記第2ゲート電極に電気的に接続され、
前記複数のリード部は、ゲート用リード部を含み、
前記第3ゲート配線は、前記基板の前記第2主面上に形成され、かつ、前記ゲート用リード部を介して前記第2ゲート配線に電気的に接続され、
前記基板の前記第1主面側において、前記第1
ドレイン配線は、前記第1半導体チップの
前記第1裏面電極上と前記封止部上とにわたって形成され、かつ、前記第1半導体チップの
前記第1裏面電極全体に接している、半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第1
ドレイン配線と前記第1半導体チップの
前記第1裏面電極との間には、絶縁体は介在していない、半導体装置。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置において、
前記基板の前記第1主面上に形成された第1絶縁層を更に含み、
平面視において、
前記第1ドレイン配線および前記第2ソース配線は前記第1絶縁層で囲まれており、
前記第1絶縁層から露出された
前記第1ドレイン配線および前記第2ソース配線は、それぞれ外部端子として機能する、半導体装置。
【請求項4】
請求項
3記載の半導体装置において
、
前記第2ゲート配線は、前記第1
ドレイン配線および前記第2ソース配線よりも薄く、
前記第2ゲート配線は前記第1絶縁層で覆われている、半導体装置。
【請求項5】
請求項
1記載の半導体装置において、
前記第2ソース配線は、前記第2半導体チップの前記第2表面電極全体に接する、半導体装置。
【請求項6】
請求項
1記載の半導体装置において、
前記基板は、前記封止部で封止された第3半導体チップを更に有し、
前記基板の第2主面上に形成され、かつ前記第3半導体チップの複数の電極と前記複数のリード部とをそれぞれ電気的に接続する複数の
配線を更に含む、半導体装置。
【請求項7】
請求項
1記載の半導体装置において、
前記第1半導体チップの前記第1裏面電極は、めっきによる増膜が設けられている、半導体装置。
【請求項8】
以下の工程を含む半導体装置の製造方法:
(a)シート部材上に、複数のリード部を有するリードフレームを配置する工程、
(b)前記シート部材上に、第1裏面電極を有する第1半導体チップを、前記第1裏面電極が前記シート部材に対向する向きで配置する工程、
(c)前記(a)工程および前記(b)工程後、前記シート部材上に、前記第1半導体チップおよび前記複数のリード部を封止する封止部を形成する工程、
ここで、前記封止部は、前記シート部材に対向する第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面とを有する、
(d)前記(c)工程後、前記封止部から前記シート部材を剥がす工程、
(e)前記(d)工程後、前記封止部の前記第1主面側に、前記第1半導体チップの前記第1裏面電極に電気的に接続された第1配線を形成する工程、
ここで、前記第1配線は、前記第1半導体チップの前記第1裏面電極全体に接する。
【請求項9】
請求項
8記載の半導体装置の製造方法において、
前記封止部の前記第1主面と前記第1半導体チップの前記第1裏面電極の表面とは、同一平面上に位置し、
前記(e)工程では、前記第1配線は、前記封止部の前記第1主面上と前記第1半導体チップの前記第1裏面電極の表面上とにわたって形成される、半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項
8記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1配線と前記第1半導体チップの前記第1裏面電極との間には、絶縁体は介在していない、半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項
8記載の半導体装置の製造方法において、
(f)前記(e)工程後、前記封止部の前記第1主面上に、前記第1配線を覆うように、第1絶縁層を形成する工程、
(g)前記(f)工程後、前記第1絶縁層を研磨して前記第1配線を露出させる工程、
を更に有し、
前記第1絶縁層から露出された前記第1配線は外部端子として機能する、半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項
8記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1半導体チップは、前記第1裏面電極とは反対側に第1ソース電極および第1ゲート電極を有し、
前記第1裏面電極はドレイン用であり、
(d1)前記(d)工程後で、前記(e)工程前に、前記封止部の前記第2主面側に、前記第1半導体チップの前記第1ソース電極に電気的に接続された第1ソース配線と、前記第1半導体チップの前記第1ゲート電極に電気的に接続された第1ゲート配線を形成する工程、
を更に有する、半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項
12記載の半導体装置の製造方法において、
(b2)前記(c)工程前に、ドレイン用の第2裏面電極を有する第2半導体チップを前記シート部材上に配置する工程、
を更に有し、
前記第2半導体チップは、前記第2裏面電極とは反対側に第2ソース電極および第2ゲート電極を有し、
前記(b2)工程では、前記第2半導体チップは、前記第2ソース電極および前記第2ゲート電極が前記シート部材に対向する向きで前記シート部材上に配置され、
前記(c)工程では、前記第2半導体チップも前記封止部によって封止され、
前記(e)工程では、前記封止部の前記第1主面側に、前記第2半導体チップの前記第2ソース電極に電気的に接続された第2ソース配線と、前記第2半導体チップの前記第2ゲート電極に電気的に接続された第2ゲート配線も形成される、半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項
13記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2ソース配線は、前記第2半導体チップの前記第2ソース電極全体に接する、半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項
13記載の半導体装置の製造方法において、
前記(d1)工程で形成された前記第1ソース配線は、前記第1半導体チップの前記第1ソース電極と前記第2半導体チップの前記第2裏面電極との両方に電気的に接続される、半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項
13記載の半導体装置の製造方法において、
(f)前記(e)工程後、前記封止部の前記第1主面上に、前記第1配線、前記第2ソース配線および前記第2ゲート配線を覆うように、第1絶縁層を形成する工程、
(g)前記(f)工程後、前記第1絶縁層を研磨して前記第1配線および前記第2ソース配線を露出させる工程、
を更に有し、
前記第2ゲート配線は、前記第1配線および前記第2ソース配線よりも薄く、
前記(g)工程では、前記第2ゲート配線が前記第1絶縁層で覆われる状態が維持される、半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項
12記載の半導体装置の製造方法において、
(b1)前記(c)工程前に、複数の電極を有する第3半導体チップを前記シート部材上に配置する工程、
を更に有し、
前記(c)工程では、前記第3半導体チップも前記封止部によって封止され、
前記(d1)工程では、前記封止部の前記第2主面側に、前記第3半導体チップの複数の電極と前記複数のリード部とをそれぞれ電気的に接続する複数の第2配線も形成される、半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項
8記載の半導体装置の製造方法において、
前記(e)工程では、前記封止部から露出する前記複数のリード部上に、前記第1配線と同層の導電膜が形成される、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関し、例えば、スイッチング用の電界効果トランジスタを含む半導体チップを封止した半導体装置およびその製造方法に好適に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
電源回路として、例えばDC-DCコンバータは、ハイサイドスイッチ用のパワーMOSFETとロウサイドスイッチ用のパワーMOSFETとが直列に接続された構成を有している。このため、ハイサイドスイッチ用のパワーMOSFETが形成された半導体チップと、ロウサイドスイッチ用のパワーMOSFETが形成された半導体チップと、それらを制御する半導体チップとを、一緒にパッケージ化した半導体装置が用いられている。
【0003】
特開2018-85452号公報(特許文献1)には、パワー素子を封止した半導体装置に関する技術が記載されている。
【0004】
米国特許出願公開US2018/0358326号明細書(特許文献2)には、電子チップを封止した半導体装置に関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-85452号公報
【文献】米国特許出願公開US2018/0358326号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スイッチング用の半導体チップは、互いに反対側に位置する表面電極および裏面電極を有しており、表面電極(ソース電極)と裏面電極(ドレイン電極)との間に大電流が流れる。スイッチング用の半導体チップを含む半導体装置では、スイッチング用の半導体チップの表面電極または裏面電極に電気的に接続された外部端子が設けられるが、スイッチング用の半導体チップの表面電極または裏面電極と外部端子との接続抵抗が高いと、オン抵抗が増大し、半導体装置の性能が低下する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態によれば、半導体装置は、半導体チップと複数のリード部とそれらを封止する封止部とを有する基板と、前記基板の主面上に形成された配線と、を含む。前記半導体チップの表面電極および裏面電極の一方は、前記基板の前記主面で露出されている。前記配線は、前記封止部上と前記半導体チップの前記表面電極および前記裏面電極の前記一方上とにわたって形成され、かつ、前記半導体チップの前記表面電極および前記裏面電極の前記一方の全体に接している。
【0008】
一実施の形態によれば、半導体装置の製造方法は、(a)シート部材上にリードフレームを配置する工程、(b)前記シート部材上に半導体チップを、前記半導体チップの裏面電極が前記シート部材に対向する向きで配置する工程、を含む。半導体装置の製造方法は、(c)前記(a)工程および前記(b)工程後、前記シート部材上に、前記半導体チップおよび前記リードフレームの複数のリード部を封止する封止部を形成する工程を更に含み、前記封止部は、前記シート部材に対向する第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面とを有する。半導体装置の製造方法は、更に、(d)前記(c)工程後、前記封止部から前記シート部材を剥がす工程、(e)前記(d)工程後、前記封止部の前記第1主面側に、前記半導体チップの前記裏面電極に電気的に接続された配線を形成する工程、を含む。前記配線は、前記半導体チップの前記裏面電極全体に接する。
【発明の効果】
【0009】
一実施の形態によれば、半導体装置の性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施の形態の半導体装置の回路構成例を示す回路図である。
【
図2】一実施の形態の半導体装置に用いられる半導体チップの上面図である。
【
図3】一実施の形態の半導体装置に用いられる半導体チップの下面図である。
【
図4】一実施の形態の半導体装置の製造工程中の平面図である。
【
図5】
図4と同じ半導体装置の製造工程中の断面図である。
【
図6】
図4と同じ半導体装置の製造工程中の断面図である。
【
図7】
図4~
図6に続く半導体装置の製造工程中の平面図である。
【
図8】
図7と同じ半導体装置の製造工程中の断面図である。
【
図9】
図7と同じ半導体装置の製造工程中の断面図である。
【
図10】
図7と同じ半導体装置の製造工程中の断面図である。
【
図12】
図11と同じ半導体装置の製造工程中の断面図である。
【
図14】
図13と同じ半導体装置の製造工程中の断面図である。
【
図16】
図15と同じ半導体装置の製造工程中の断面図である。
【
図18】
図17と同じ半導体装置の製造工程中の断面図である。
【
図19】
図17と同じ半導体装置の製造工程中の断面図である。
【
図20】
図17と同じ半導体装置の製造工程中の平面図である。
【
図22】
図21と同じ半導体装置の製造工程中の断面図である。
【
図24】
図23と同じ半導体装置の製造工程中の断面図である。
【
図26】
図25と同じ半導体装置の製造工程中の断面図である。
【
図27】
図26と同じ半導体装置の製造工程中の断面図である。
【
図28】
図26と同じ半導体装置の製造工程中の平面図である。
【
図30】
図29と同じ半導体装置の製造工程中の断面図である。
【
図32】
図31と同じ半導体装置の製造工程中の断面図である。
【
図34】
図33と同じ半導体装置の製造工程中の断面図である。
【
図36】
図35と同じ半導体装置の製造工程中の断面図である。
【
図38】
図37と同じ半導体装置の製造工程中の断面図である。
【
図40】
図39と同じ半導体装置の製造工程中の断面図である。
【
図41】
図39と同じ半導体装置の製造工程中の断面図である。
【
図42】
図39と同じ半導体装置の製造工程中の平面図である。
【
図44】
図43と同じ半導体装置の製造工程中の断面図である。
【
図46】
図45と同じ半導体装置の製造工程中の断面図である。
【
図48】
図47と同じ半導体装置の製造工程中の断面図である。
【
図49】
図47と同じ半導体装置の製造工程中の断面図である。
【
図50】
図47と同じ半導体装置の製造工程中の平面図である。
【
図51】他の実施の形態の半導体装置の製造工程中の断面図である。
【
図52】
図51に続く半導体装置の製造工程中の断面図である。
【
図53】
図52に続く半導体装置の製造工程中の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0012】
また、本願においては、電界効果トランジスタをMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)と記載するが、ゲート絶縁膜として非酸化膜を除外するものではない。
【0013】
<回路構成について>
図1は、本発明の一実施の形態の半導体装置(半導体パッケージ)1の回路構成例を示す回路図である。半導体装置1は、例えば、非絶縁型DC-DCコンバータや、あるいはインバータに用いることができる。
図1において、符号1を付した一点鎖線で囲まれた部分が、半導体装置1に形成される回路を示す図である。そのうち、符号2を付した点線で囲まれた部分が、半導体チップ2に形成される部分であり、符号3を付した点線で囲まれた部分が、半導体チップ3に形成される部分であり、符号4を付した点線で囲まれた部分が、半導体チップ4に形成される部分である。
【0014】
図1に示されるように、半導体装置1は、半導体チップ2,3,4を有しており、これら3つの半導体チップ2,3,4が1つのパッケージ内に封止されて、半導体装置1が形成されている。半導体チップ2内には、パワーMOSFET12が形成され、半導体チップ3内には、パワーMOSFET13が形成され、半導体チップ4内には、制御回路14が形成されている。パワーMOSFETとしては、例えばトレンチゲート型のMOSFETなどを用いることができる。
【0015】
半導体チップ2は、半導体チップ2内に形成されたパワーMOSFET12のソース(S)に電気的に接続されたソース電極2Sと、半導体チップ2内に形成されたパワーMOSFET12のドレイン(D)に電気的に接続されたドレイン電極2Dと、半導体チップ2内に形成されたパワーMOSFET12のゲート(G)に電気的に接続されたゲート電極2Gとを有している。また、半導体チップ3は、半導体チップ3内に形成されたパワーMOSFET13のソース(S)に電気的に接続されたソース電極3Sと、半導体チップ3内に形成されたパワーMOSFET13のドレイン(D)に電気的に接続されたドレイン電極3Dと、半導体チップ3内に形成されたパワーMOSFET13のゲート(G)に電気的に接続されたゲート電極3Gとを有している。また、半導体チップ4は、半導体チップ4内に形成された制御回路14に電気的に接続された複数の電極4Cを有している。
【0016】
パワーMOSFET12は、ハイサイドスイッチ(高電位側スイッチ)用の電界効果トランジスタであり、パワーMOSFET13は、ロウサイドスイッチ(低電位側スイッチ)用の電界効果トランジスタである。
【0017】
パワーMOSFET12とパワーMOSFET13とは、端子T1と端子T2との間に直列に接続されており、パワーMOSFET12のドレイン(D)が端子T1と接続され、パワーMOSFET12のソース(S)がパワーMOSFET13のドレイン(D)と接続され、パワーMOSFET13のソース(S)が端子T2と接続されている。具体的には、半導体チップ2のドレイン電極2Dが、端子T1と電気的に接続され、半導体チップ2のソース電極2Sが、半導体チップ3のドレイン電極3Dと電気的に接続され、半導体チップ3のソース電極3Sが、端子T2と電気的に接続されている。端子T3は、半導体チップ2のソース電極2Sと半導体チップ3のドレイン電極3Dとの両方に、電気的に接続されている。
【0018】
端子T1,T2,T3は、半導体装置1の外部端子(外部接続用端子)である。端子T1には、半導体装置1の外部の電源などから電源電位(VIN)が供給される。端子T2には、電源電位よりも低い基準電位、例えばグランド電位(GND)が供給される。端子T3は、出力用の端子である。端子T3は、例えば、半導体装置1の外部に設けられた負荷に接続される。
【0019】
半導体チップ2のゲート電極2Gは、半導体チップ4の電極4Cと電気的に接続され、半導体チップ3のゲート電極3Gは、半導体チップ4の他の電極4Cと電気的に接続されている。半導体チップ4内に形成された制御回路14は、パワーMOSFET12,13の動作を制御する回路(駆動回路)を含んでいる。制御回路14は、半導体チップ4の電極4Cから半導体チップ2,3のゲート電極2G,3Gに供給するゲート電圧を制御することにより、パワーMOSFET12,13の動作を制御することができる。半導体チップ4のさらに他の電極4Cは、端子T4と電気的に接続されている。端子T4も半導体装置1の外部端子であり、端子T4を通じて制御回路14を半導体装置1の外部の回路に接続することができる。
【0020】
【0021】
半導体装置1を製造するには、まず、半導体チップ2と半導体チップ3と半導体チップ4とリードフレーム20とバックテープ25とを準備する。これらを準備する順序は任意であり、また、同時に準備してもよい。
【0022】
半導体チップ2,3,4のそれぞれは、一方の主面である表面と、それとは反対側の主面である裏面とを有しており、
図2には、各半導体チップ2,3,4の表面側が示され、
図3には、各半導体チップ2,3,4の裏面側が示されている。半導体チップ2において、ソース電極2Sおよびゲート電極2Gは半導体チップ2の表面側に形成され、ドレイン電極2Dは半導体チップ2の裏面側に形成されている。すなわち、半導体チップ2において、ソース電極2Sおよびゲート電極2Gと、ドレイン電極2Dとは、互いに反対側の面に形成されており、互いに反対側に位置している。ソース電極2Sおよびゲート電極2Gのそれぞれは、半導体チップ2の最上層保護膜2aの開口部から露出する導電膜からなる。ソース電極2Sおよびゲート電極2Gは、半導体チップ2の表面電極であり、ドレイン電極2Dは、半導体チップ2の裏面電極であり、半導体チップ2の裏面全体に形成されている。このため、半導体チップ2の裏面は、ドレイン電極2Dの表面により構成される。同様に、半導体チップ3において、ソース電極3Sおよびゲート電極3Gは半導体チップ3の表面側に形成され、ドレイン電極3Dは半導体チップ3の裏面側に形成されている。すなわち、半導体チップ3において、ソース電極3Sおよびゲート電極3Gと、ドレイン電極3Dとは、互いに反対側の面に形成されており、互いに反対側に位置している。ソース電極3Sおよびゲート電極3Gのそれぞれは、半導体チップ3の最上層保護膜3aの開口部から露出する導電膜からなる。ソース電極3Sおよびゲート電極3Gは、半導体チップ3の表面電極であり、ドレイン電極3Dは、半導体チップ3の裏面電極であり、半導体チップ3の裏面全体に形成されている。このため、半導体チップ3の裏面は、ドレイン電極3Dの表面により構成される。半導体チップ4において、複数の電極4Cは半導体チップ4の表面側に形成されている。各電極4Cは、半導体チップ4の最上層保護膜3aの開口部から露出する導電膜からなる。半導体チップ4の裏面には、電極(裏面電極)は形成されていない。このため、半導体チップ4の裏面は、半導体チップ4を構成する半導体基板の裏面により構成される。また、半導体チップ2,3,4の各電極上には、後の工程で形成するめっき層と接続しやすいように、予め金属層を形成しておくこともでき、その場合は、その金属層も各電極の一部とみなすことができる。
【0023】
次に、
図4~
図6に示されるように、リードフレーム20をバックテープ25上に配置(搭載)する。
【0024】
リードフレーム20は、リード部(導体部、端子部)21,22,23,24を有している。リードフレーム20は、導電体からなり、好ましくは銅(Cu)または銅合金(例えばニッケルを含有する銅合金)などの金属材料からなる。リード部21,22,23,24は、導体部とみなすことができる。各図面では、簡略化のために、リードフレーム20のフレーム枠については図示を省略している。
【0025】
バックテープ25は、シート状(フィルム状)の部材であり、例えばポリイミドフィルムなどの絶縁性フィルムからなる。このため、バックテープ25は、シート部材(フィルム部材)とみなすことができる。バックテープ25は、半導体チップ2,3,4およびリードフレーム20が配置される側の表面に、接着層(接着材層、粘着層)を有している。バックテープ25の接着層にリードフレーム20の下面が接することで、リードフレーム20はバックテープ25に固定される。
【0026】
なお、
図4は、平面図であるが、理解を簡単にするために、リードフレーム20にドットのハッチングと斜線のハッチングを付してある。このうち、ドットのハッチングを付した領域に比べて、斜線のハッチングを付した領域は、上面側からハーフエッチングを行うことにより、厚さが薄くなっている。
【0027】
次に、
図7~
図10に示されるように、半導体チップ2,3,4をバックテープ25上に配置(搭載)する。
【0028】
半導体チップ2と半導体チップ3とは、バックテープ25上に配置する際の上下(表裏)の向きが反対である。具体的には、半導体チップ2は、ソース電極2Sおよびゲート電極2Gが上を向き、ドレイン電極2Dがバックテープ25に対向する向きで、バックテープ25上に配置される。このため、半導体チップ2は、裏面電極であるドレイン電極2Dがバックテープ25の接着層に接触した状態で、バックテープ25上に配置されて固定される。また、半導体チップ3は、ドレイン電極3Dが上を向き、ソース電極3Sおよびゲート電極3Gがバックテープ25に対向する向きで、バックテープ25上に配置される。このため、半導体チップ3は、表面側の保護膜(半導体チップ3の最上層保護膜)がバックテープ25の接着層に接触した状態で、バックテープ25上に配置されて固定される。
【0029】
半導体チップ4は、表面側が上を向き、半導体チップ4の裏面がバックテープ25に対向する向きで、バックテープ25上に配置されて固定される。また、半導体チップ4の裏面にDAF(Die Attach Film:ダイアタッチフィルム)26を予め貼り付けておき、半導体チップ4をDAF26を介してバックテープ25上に配置して固定することもできる。この場合、半導体チップ4の裏面とバックテープ25との間にはDAF26が介在し、
図8および
図9は、この場合が示されている。
【0030】
また、バックテープ25上に半導体チップ2,3,4を搭載する際に、バックテープ25の接着層が半導体チップ2,3,4の側面上にまで盛り上がる場合には、その接着層の盛り上がり部分を、プラズマクリーニング処理により除去してもよい。これにより、後で封止部31を形成する際に、バックテープ25の接着層の盛り上がり部分に起因して、封止部31の充填不良が生じるのを防止することができる。
【0031】
バックテープ25上へのリードフレーム20搭載工程と半導体チップ2,3,4搭載工程とは、どちらが先でもよいが、リードフレーム20搭載工程が先である方が、より好ましい。これにより、バックテープ25上へのリードフレーム20搭載工程と半導体チップ2,3,4搭載工程とを行いやすくなる。
【0032】
次に、
図11および
図12に示されるように、半導体チップ2,3,4およびリードフレーム20を封止する封止部(封止樹脂部)31を形成する。封止部31は、互いに反対側に位置する上面31aと下面31bとを有している。封止部31は、例えば熱硬化性樹脂などの絶縁性の樹脂材料などからなる。この段階では、半導体チップ2,3,4およびその各電極2S,2G,3D,4Cは、封止部31で覆われている。このため、封止部31の上面31aでは、半導体チップ2,3,4およびその各電極2S,2G,3D,4Cは露出されず、また、リードフレーム20のリード部21,22,23,24も露出されない。また、リードフレーム20の下面側と半導体チップ2,4の裏面側と半導体チップ3の表面側とは、バックテープ25に固定されているため、リードフレーム20の下面上と半導体チップ2,4の裏面上と半導体チップ3の表面上には、封止部31は形成されない。このため、リードフレーム20のリード部21,22,23,24の下面と半導体チップ2の裏面(すなわちドレイン電極2Dの表面)と半導体チップ3の表面とDAF26の下面とは、封止部31の下面31bと面一になる。
【0033】
次に、
図13および
図14に示されるように、封止部31の上面31aを研磨して封止部31の厚さを薄くする。この際、リードフレーム20のリード部21,22,23,24の上面が封止部31の上面31aから露出されるまで、封止部31を研磨することで、封止部31の上面31aからリードフレーム20のリード部21,22,23,24の上面が露出した状態となる。従って、
図13および
図14の段階(封止部31の研磨工程を終了した段階)では、上記
図4のリードフレーム20において、ドットのハッチングを付した領域は封止部31の上面で露出し、斜線のハッチングを付した領域は、封止部31の上面で露出しない状態が維持される。また、
図13および
図14の段階では、封止部31の上面31aから半導体チップ2,3,4およびその各電極2S,2G,3D,4Cは、露出されていない。
【0034】
このようにして、半導体チップ2,3,4が封止された基板30が形成される。基板30は、半導体チップ2,3,4と、リードフレーム20のリード部21,22,23,24と、それらを封止する封止部31とを有している。基板30は、互いに反対側に位置する上面(主面)30aと下面(主面)30bとを有している。基板30の上面30aは、封止部31の上面31aとリードフレーム20(リード部21,22,23,24)の上面とで構成され、基板30の下面30bは、封止部31の下面31bとリードフレーム20(リード部21,22,23,24)の下面と半導体チップ2の裏面(ドレイン電極2Dの表面)と半導体チップ3の表面とで構成されている。基板30の下面30b側において、封止部31の下面31bと半導体チップ2の裏面(すなわちドレイン電極2Dの表面)とは、同一平面上に位置している。また、基板30の下面30b側において、封止部31の下面31bと半導体チップ3の表面(すなわち半導体チップ3を構成する最上層保護膜3aの表面)とは、同一平面上に位置している。
【0035】
次に、
図15および
図16に示されるように、例えばレーザー加工などにより、封止部31に開口部(孔部)32を形成する。この際、基板30の上面30a側から、封止部31の上面31aにおける開口部32形成予定領域に、レーザーを照射する。開口部32は、半導体チップ2のソース電極2S上およびゲート電極2G上と、半導体チップ3のドレイン電極3D上と、半導体チップ4の複数の電極4C上とに、それぞれ形成される。各開口部32の底部では、半導体チップ2のソース電極2S、半導体チップ2のゲート電極2G、半導体チップ3のドレイン電極3D、半導体チップ4の電極4Cが露出する。これにより、基板30の上面30a側において、封止部31から半導体チップ2のソース電極2Sおよびゲート電極2Gと半導体チップ3のドレイン電極3Dと半導体チップ4の電極4Cとが、それぞれ露出される。
【0036】
次に、
図17~
図19に示されるように、基板30の下面30bからバックテープ25を剥がす(引き剥がす)。
図20は、バックテープ25を引き剥がした後の、基板30の下面30b側を示す平面図である。バックテープ25を引き剥がすと、基板30の下面30bが露出される。すなわち、封止部31の下面31bと、リードフレーム20(リード部21,22,23,24)の下面と、半導体チップ2の裏面(ドレイン電極2D)と、半導体チップ3の表面(ソース電極3Sおよびゲート電極3G)とDAF26の下面が、露出される。
【0037】
DAF26を用いずにバックテープ25上に半導体チップ4を直接的に搭載していた場合は、基板30の下面30bからバックテープ25を引き剥がすと、DAF26の下面の代わりに半導体チップ4の裏面が露出される。
【0038】
次に、
図21および
図22に示されるように、基板30の上面30aにシード層(金属層)34aを形成する。シード層34aは、例えば無電解めっき法を用いて形成することができる。このため、シード層34aとしては、例えば無電解銅めっき層を用いることができる。
【0039】
シード層34aは、基板30の上面30a全体に形成される。すなわち、シード層34aは、封止部31の上面31a上と、開口部32から露出するソース電極2S上、ゲート電極2G上、ドレイン電極3D上、電極4C上と、封止部31の上面31aから露出するリードフレーム20のリード部21,22,23,24の上面上とに、連続的に形成される。
【0040】
次に、
図23および
図24に示されるように、シード層34a上に、レジストパターン35を形成する。レジストパターン35は、例えば、フォトレジストフィルムをシード層34a上に貼り付けてから、そのフォトレジストフィルムを露光、現像することにより、形成することができる。
【0041】
次に、レジストパターン35で覆われずに露出する部分のシード層34a上に、電解めっき法を用いて金属層(電解めっき層)34bを形成する。金属層34bとしては、銅層(銅めっき層)が好適である。その後、レジストパターン35を除去してから、金属層34bで覆われずに露出する部分のシード層34aを、エッチングなどにより除去する。
図25~
図27にはこの段階が示されている。これにより、基板30の上面30a上に、シード層34aとシード層34a上の金属層(電解めっき層)34bとの積層膜からなる配線(配線層)36が形成される。
図28は、
図25~
図27の段階の基板30の上面30a側の平面図であり、配線36が形成されるとともに、半導体チップ2,3,4の位置を二点鎖線で示してある。配線36は、配線36DSと配線36GHと配線36GLと複数の配線36Cとを含んでいる。
【0042】
配線36DSは、半導体チップ2のソース電極2Sと半導体チップ3のドレイン電極3Dとを電気的に接続するための配線である。配線36DSは、半導体チップ2のソース電極2S上に位置してそのソース電極2Sに電気的に接続される部分と、半導体チップ3のドレイン電極3D上に位置してそのドレイン電極3Dに電気的に接続される部分と、それらをつなぐ部分とを、一体的に有している。これにより、半導体チップ2のソース電極2Sと半導体チップ3のドレイン電極3Dとは、配線36DSを通じて、電気的に接続される。
【0043】
配線36GHは、半導体チップ2のゲート電極2Gと半導体チップ4の電極4Cとを電気的に接続するための配線である。配線36GHの一方の端部は、半導体チップ2のゲート電極2G上に位置してそのゲート電極2Gに電気的に接続され、配線36GHの他方の端部は、半導体チップ4の電極4C上に位置してその電極4Cに電気的に接続される。これにより、半導体チップ2のゲート電極2Gと半導体チップ4の電極4Cとは、配線36GHを通じて電気的に接続される。
【0044】
配線36GLは、半導体チップ3のゲート電極3Gと半導体チップ4の電極4Cとを電気的に接続するための配線である。配線36GLの一方の端部は、リード部(ゲート接続用導体部)22上に位置してそのリード部22に電気的に接続され、配線36GLの他方の端部は、半導体チップ4の電極4C上に位置してその電極4Cに電気的に接続される。半導体チップ3のゲート電極3Gとリード部22とは、後で形成する配線57GLを通じて電気的に接続される。これにより、半導体チップ3のゲート電極3Gと半導体チップ4の電極4Cとは、配線36GLとリード部22と後で形成する配線57GLとを通じて電気的に接続される。
【0045】
配線36Cは、リード部21と半導体チップ4の電極4Cとを電気的に接続するための配線である。配線36Cの一方の端部は、リード部21上に位置してそのリード部21に電気的に接続され、配線36Cの他方の端部は、半導体チップ4の電極4C上に位置してその電極4Cに電気的に接続される。これにより、半導体チップ4の電極4Cとリード部21とは、配線36Cを通じて電気的に接続される。
【0046】
また、配線36は、リード部23,24上にも形成される。
【0047】
次に、
図29および
図30に示されるように、封止部31の上面31a上に、配線36を覆うように、絶縁層37を形成する。絶縁層37は、例えば熱硬化性樹脂などの絶縁性の樹脂材料などからなる。なお、
図29および
図30とこれ以降の図では、簡略化のために、配線36を構成するシード層34aと金属層34bとを分けて示さずに、一体化して示してある。
【0048】
次に、
図31および
図32に示されるように、例えばレーザー加工などにより絶縁層37に、配線36の一部を露出する開口部を形成する。
【0049】
次に、絶縁層37上に配線(配線層)40を形成する。配線40の形成法は、配線36の形成法と基本的には同じであるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。配線40は、絶縁層37の開口部から露出される配線36と電気的に接続される。
【0050】
次に、絶縁層37の上面上に、配線40を覆うように、絶縁層42を形成する。絶縁層42は、絶縁層37と同様の材料により形成することができる。それから、例えばレーザー加工などにより絶縁層42に、配線40の一部を露出する開口部を形成する。それから、絶縁層42上に配線(配線層)44を、配線36,40と同様の手法により形成する。
図31および
図32には、この段階が示されている。配線44は、絶縁層42の開口部から露出される配線40と電気的に接続される。
【0051】
次に、
図33および
図34に示されるように、基板30の下面30bにシード層(金属層)51aを形成する。シード層51aは、例えば無電解めっき法を用いて形成することができる。このため、シード層51aとしては、例えば無電解銅めっき層を用いることができる。
【0052】
シード層51aは、基板30の下面30b全体に形成される。すなわち、シード層51aは、封止部31の下面31b上と、リードフレーム20(リード部21,22,23,24)の下面上と、半導体チップ2の裏面上(すなわちドレイン電極3D上)と、半導体チップ3の表面上(ソース電極3S上とゲート電極3G上を含む)と、DAF26の下面上とに、連続的に形成される。
【0053】
次に、
図35および
図36に示されるように、シード層51a上にレジストパターン53を、レジストパターン35と同様の手法により形成する。
【0054】
次に、レジストパターン53で覆われずに露出する部分のシード層51a上に、電解めっき法を用いて金属層(電解めっき層)51bを形成する。金属層51bとしては、銅層(銅めっき層)が好適である。
図35および
図36にはこの段階が示されている。
【0055】
次に、レジストパターン53を除去してから、
図37および
図38に示されるように、シード層51a上にレジストパターン54を、レジストパターン53と同様の手法により形成する。レジストパターン54は、金属層51bを露出する開口部を有しているが、金属層51bの一部はレジストパターン54で覆われている。
【0056】
次に、レジストパターン54で覆われずに露出する部分の金属層51b上に、電解めっき法を用いて金属層(電解めっき層)51cを形成する。金属層51cとしては、銅層(銅めっき層)が好適である。
図37および
図38にはこの段階が示されている。
【0057】
次に、レジストパターン54を除去してから、金属層51b,51cで覆われずに露出する部分のシード層51aを、エッチングなどにより除去する。
図39~
図41にはこの段階が示されている。これにより、基板30の下面30b上に、シード層51aとシード層51a上の金属層(電解めっき層)51bと金属層51b上の金属層(電解めっき層)51cとの積層膜からなる配線(配線層)56と、シード層51aとシード層51a上の金属層(電解めっき層)51bとの積層膜からなる配線(配線層)57とが形成される。配線56を構成する金属層51b上には金属層51cが形成されているが、配線57を構成する金属層51b上には、金属層51cは形成されていない。シード層51aと金属層51bと金属層51cの三層からなる配線56の厚さは、シード層51aと金属層51bの二層からなる配線57の厚さよりも厚い。
図42は、
図39~
図41の段階の基板30の下面30b側の平面図であり、配線56が示されるとともに、半導体チップ2,3,4の位置を二点鎖線で示し、半導体チップ3のソース電極3Sおよびゲート電極3Gの位置を点線で示してある。
【0058】
本実施の形態では、基板30の下面30b上に厚い配線56と、配線56よりも薄い配線57とを形成している。他の形態として、配線56と配線57の厚さを同じとすることも可能であり、その場合は、レジストパターン54および金属層51cを形成せずに、レジストパターン53の除去後に、金属層51bで覆われずに露出する部分のシード層51aをエッチングなどにより除去すればよい。これにより、配線56と配線57のどちらも、シード層51aと金属層51bの二層で構成され、配線56と配線57の厚さは同じになる。
【0059】
配線56は、配線56DHと配線56SLと配線56Cを含んでいる。配線56DHと配線56SLと配線56Cとは、同層の導電膜からなる。また、配線57は、配線57GLを含んでいる。
【0060】
配線56DHは、半導体チップ2のドレイン電極2Dと電気的に接続されている。封止部31の下面31bと半導体チップ2のドレイン電極2Dの表面とは、同一平面上に位置しており、配線56DHは、封止部31の下面31b上と半導体チップ2のドレイン電極2Dの表面上とにわたって形成される。
図42が示すように、配線56DHは、下面31b側からの平面視において、半導体チップ2のドレイン電極2Dを被覆している。なお、平面視とは、基板30の上面30aまたは下面30bに平行な平面で見た場合に対応している。半導体チップ2のドレイン電極2Dと配線56DHとの間には、絶縁層は介在しておらず、半導体チップ2のドレイン電極2D全体が配線56DHと接している。また、配線56DHは、半導体チップ2のドレイン電極2Dに接する部分と、封止部31の下面31bに接する部分と、リード部24に接する部分とを、一体的に有している。このため、リード部24と半導体チップ2のドレイン電極2Dとは、配線56DHを通じて電気的に接続される。これにより、半導体チップ2のドレイン電極2Dと半導体装置1の上面1aに形成されている配線44の一部とを、配線56DHとリード部24と配線36と配線40とを介して電気的に接続することができる。
【0061】
配線56SLは、半導体チップ3のソース電極3Sと電気的に接続されている。
図42が示すように、配線56SLは、下面31b側からの平面視において、半導体チップ3のソース電極3Sを被覆している。但し、平面視において、配線56SLは、半導体チップ3のゲート電極3Gと重なっていない。半導体チップ3のソース電極3Sと配線56SLとの間には、絶縁層は介在しておらず、半導体チップ3のソース電極3S全体が配線56SLと接している。また、配線56SLは、半導体チップ3のソース電極3Sに接する部分と、封止部31の下面31bに接する部分と、リード部23に接する部分とを、一体的に有している。このため、リード部23と半導体チップ3のソース電極3Sとは、配線56SLを通じて電気的に接続される。これにより、半導体チップ3のソース電極3Sと半導体装置1の上面1aに形成されている配線44の一部とを、配線56SLとリード部23と配線36と配線40とを介して電気的に接続することができる。
【0062】
配線56Cは、リード部21の下面上に形成されており、そのリード部21と電気的に接続されている。このため、配線56Cは、リード部21および配線36Cを通じて、半導体チップ4の電極4Cと電気的に接続されている。
【0063】
配線57GLは、半導体チップ3のゲート電極3Gと半導体チップ4の電極4Cとを電気的に接続するための配線である。配線57GLの一方の端部は、リード部(ゲート接続用導体部)22の下面上に位置してそのリード部22に電気的に接続され、配線57GLの他方の端部は、半導体チップ3のゲート電極3G上に位置してそのゲート電極3Gに電気的に接続されている。
図42が示すように、配線57GLは、下面31b側からの平面視において、半導体チップ3のゲート電極3Gを被覆している。但し、平面視において、配線57GLは、半導体チップ3のソース電極3Sと重なっていない。半導体チップ3のゲート電極3Gと配線57GLとの間には、絶縁層は介在しておらず、半導体チップ3のゲート電極3G全体が配線57GLと接している。また、配線57GLは、半導体チップ3のゲート電極3Gに接する部分と、封止部31の下面31bに接する部分と、リード部22の下面に接する部分とを、一体的に有している。このため、リード部22と半導体チップ3のゲート電極3Gとは、配線57GLを通じて電気的に接続される。半導体チップ2のゲート電極2Gは、配線57GLとリード部22と上述した配線36GLとを通じて、半導体チップ4の電極4Cと電気的に接続される。配線57GLの厚さは、配線56(56DH,56SL,56C)の厚さよりも薄い。
【0064】
シード層51aは、無電解めっき法ではなくスパッタリング法により形成することもできる。例えば、スパッタリング法により形成したチタン(Ti)層を、シード層51aとして用いることができる。
【0065】
DAF26を用いずにバックテープ25上に半導体チップ4を直接的に搭載した場合は、基板30の下面30bでは半導体チップ4の裏面が露出することになるため、シード層51aは半導体チップ4の裏面に接触する。すなわち、シード層51aは半導体チップ4を構成する半導体基板に接触することになる。半導体基板、特にシリコン基板への銅の拡散係数は高いため、シード層51aとして無電解銅めっき層を形成すると、シード層51a中の銅(Cu)が半導体チップ4を構成する半導体基板中に拡散し、信頼性の低下を招くことが懸念される。
【0066】
それに対して、スパッタリング法により形成したチタン(Ti)膜をシード層51aとして用いた場合には、DAF26を用いなかったことで半導体チップ4の裏面にシード層51aが接触したとしても、半導体基板への拡散の問題は生じない。
【0067】
また、上述したように、バックテープ25上に半導体チップ2,3,4を搭載する際に、バックテープ25の接着層が半導体チップ2,3,4の側面上にまで盛り上がる場合には、その接着層の盛り上がり部分には封止部31が充填されないため、基板30の下面30b側で半導体チップ2,3,4の側面の一部が露出する虞がある。基板30の下面30b側で半導体チップ2,3,4の側面の一部が露出している場合は、露出部にシード層51aが接触するため、シード層51aとして無電解銅めっき層を用いた場合は、シード層51aから半導体チップ4を構成する半導体基板中に銅(Cu)がより拡散しやすい状態になることが懸念される。それに対して、スパッタリング法により形成したチタン膜をシード層51aとして用いた場合には、基板30の下面30b側で半導体チップ4の側面の一部が露出する場合であっても、半導体基板への拡散の問題は生じない。よって、スパッタリング法により形成したチタン(Ti)膜をシード層51aとして用いた場合には、基板30の下面30b側で半導体チップ4の側面の一部が露出することも、許容され得る。このため、封止樹脂の充填不足問題への対策となる。
【0068】
または、半導体チップ2,3,4のバックテープ25に対向する面を厚くすることで、問題を解消することもできる。例えば、半導体チップ2のドレイン電極2D上、半導体チップ3のゲート電極3G及びソース電極3S上に、銅などのめっき膜による増膜をし、半導体チップ4の裏面にめっき膜と同程度の厚さを持つDAF26の形成を行う。バックテープ25の接着層は、バックテープの種類により1~5μm程度の厚さがあるが、めっきによる増膜やDAF26の厚さを、バックテープ25の接着層より厚く設けることで、封止部31が充填されない領域が生じても、無電解銅めっき層(シード層51a)が半導体チップ2,3,4の側面まで達することを防ぐことができる。
【0069】
また、基板30の下面30b側の配線(ここでは配線56,57)を形成する工程を、基板30の上面30a側の配線(配線36,40,44のいずれか)を形成する工程と一緒(同時)に行うことも可能である。これにより、半導体装置の製造工程数を低減することができる。
【0070】
次に、
図43および
図44に示されるように、基板30の下面30b上に、配線56,57を覆うように、絶縁層59を形成する。絶縁層59は、例えば熱硬化性樹脂などの絶縁性の樹脂材料などからなる。なお、
図43および
図44とこれ以降の図では、簡略化のために、配線56を構成するシード層51aと金属層51bと金属層51cとを分けて示さずに、一体化して示してあり、また、配線57を構成するシード層51aと金属層51bとを分けて示さずに、一体化して示してある。
【0071】
次に、
図45および
図46に示されるように、絶縁層59を研磨して絶縁層59の厚さを薄くする。この際、配線56の下面が絶縁層59の下面59bから露出されるまで、絶縁層59の下面59bを研磨する。これにより、絶縁層59の研磨工程を終了すると、絶縁層59の下面59bから配線56の下面が露出した状態となる。配線57は配線56よりも薄いため、絶縁層59の研磨を終了した後も、配線57が絶縁層59で覆われた状態は維持される。このため、絶縁層59の下面59bから配線56(56C,56DH,56SL)の下面は露出されるが、絶縁層59の下面59bから配線57(57GL)は露出されない。なお、絶縁層59の下面59bは、絶縁層59が基板30の下面30bに接する(対向する)側とは反対側の面である。
【0072】
なお、絶縁層59の下面59bから露出する配線56の下面上に、必要に応じてめっき層(例えば金めっき層)を形成することもできる。
【0073】
その後、隣り合う半導体パッケージ間をダイシングブレードなどにより切断することで、
図47~
図50に示される半導体装置1を得ることができる。なお、
図50は、半導体装置1の下面図である。
【0074】
本実施の形態の半導体装置1は、半導体チップ2,3,4が封止された基板30と、基板30の上面30a上に形成された配線構造と、基板30の下面30b上に形成された配線構造とを有している。基板30の上面30a上に形成された配線構造は、上述した配線36,40,44および絶縁層37,42からなる。基板30の下面30b上に形成された配線構造は、上述した配線56,57および絶縁層59からなる。すなわち、基板30の下面30b上には、配線56,57および絶縁層59が形成されている。平面視において、配線56(56C,56DH,56SL)は、絶縁層59で周囲を囲まれてはいるが、絶縁層59とは重なっていない。一方、配線57(57GL)は、配線56(56C,56DH,56SL)よりも薄く、かつ、絶縁層59で覆われている。基板30は、半導体チップ2,3,4と、リード部21,22,23,24と、それらを封止する封止部31とを有している。
【0075】
半導体装置1の下面1bは、絶縁層59の下面59bと配線56の下面とにより構成されている。半導体装置1の下面1bでは、配線56の下面が露出しており、この配線56の露出部(下面)は、半導体装置1の外部端子(外部接続用端子)として機能することができる。すなわち、絶縁層59から露出された配線56(56C,56DH,56SL)は、外部端子として機能することができる。
【0076】
半導体装置1の下面1bで露出する配線56C(すなわち絶縁層59から露出された配線56C)は、リード部21および配線36Cを通じて半導体チップ4の電極4Cと電気的に接続されているため、上記端子T4(
図1参照)として機能することができる。
【0077】
半導体装置1の下面1bで露出する配線56DH(すなわち絶縁層59から露出された配線56DH)は、半導体チップ2のドレイン電極2Dと電気的に接続されているため、端子T1(
図1参照)として機能することができる。
【0078】
半導体装置1の下面1bで露出する配線56SL(すなわち絶縁層59から露出された配線56SL)は、半導体チップ3のソース電極3Sと電気的に接続されているため、端子T2(
図1参照)として機能することができる。
【0079】
また、端子T3(
図1参照)は、半導体装置1の下面1bで露出する配線56により形成しても、あるいは、半導体装置1の上面1aで露出する配線44により形成してもよいが、いずれにしても、配線36DSと電気的に接続される。
【0080】
本実施の形態の半導体装置1では、基板30の上面30a上に形成された配線構造が含んでいる配線(配線層)は3層であるが、少なくとも1層以上であればよく、4層以上であってもよい。
【0081】
半導体装置1を配線基板に実装する際には、半導体装置1の下面1bが配線基板に対向する向きで半導体装置1を配線基板に搭載し、半導体装置1の外部端子である配線56を配線基板の端子に、半田などの導電性接合材を介して電気的に接続する。また、その際、例えばコイルなどの電子部品を半導体装置1の上面1a上に搭載することもできる。その場合は、電子部品の電極を半導体装置1の上面1aの配線44に、半田などの導電性接合材を介して電気的に接続する。また、半導体装置1の上面1a上に電子部品を搭載しない場合は、配線44の形成を省略することができる。
【0082】
<主要な特徴と効果について>
本発明者は、スイッチング用の半導体チップ(ここでは半導体チップ2,3)を含む半導体装置(半導体パッケージ)について検討している。スイッチング用の半導体チップは、互いに反対側に位置する表面電極および裏面電極を有しており、表面電極(ここではソース電極2S,3S)と裏面電極(ここではドレイン電極2D,3D)との間に大電流が流れる。このような半導体装置では、スイッチング用の半導体チップの表面電極または裏面電極に電気的に接続された外部端子(ここでは配線56DH,56SL)が設けられているが、その外部端子とスイッチング用の半導体チップの表面電極または裏面電極とを低抵抗で電気的に接続することが重要である。なぜなら、スイッチング用の半導体チップの表面電極または裏面電極と外部端子との接続抵抗が高いと、オン抵抗が増大し、スイッチング用の半導体チップを含む半導体装置の性能が低下するからである。
【0083】
本実施の形態の半導体装置1においては、裏面電極であるドレイン電極2Dを有する半導体チップ2を封止部31で封止した基板30の下面30b上に、半導体チップ2のドレイン電極2Dと電気的に接続された配線56DHが形成されている。半導体チップ2のドレイン電極2D(裏面電極)は、基板30の下面30bで露出されており、配線56DHは、封止部31上と半導体チップ2のドレイン電極2D上とにわたって形成されている。
【0084】
本実施の形態では、配線56DHは、半導体チップ2のドレイン電極2D(裏面電極)全体に接している。このため、配線56DHと半導体チップ2のドレイン電極2Dとの間には、絶縁体(絶縁層)は介在していない。
【0085】
本実施の形態とは異なり、半導体チップ2のドレイン電極2D(裏面電極)と配線56DHとの間に絶縁層が介在している場合を仮定し、この場合を第1検討例と称することとする。第1検討例の場合は、半導体チップ2のドレイン電極2Dと配線56DHとを電気的に接続するために、ドレイン電極2D上の絶縁層にレーザー加工などにより開口部を形成しておき、この開口部を通じて半導体チップ2のドレイン電極2Dと配線56DHとを電気的に接続する必要がある。しかしながら、この場合は、絶縁層の開口部から露出されるのは、半導体チップ2のドレイン電極2Dの一部であり、絶縁層の開口部から露出する部分のドレイン電極2Dを通じて半導体チップ2のドレイン電極2Dと配線56DHとが電気的に接続されることになる。このため、第1検討例の場合は、半導体チップ2のドレイン電極2Dと配線56DHとの接続抵抗が大きくなることが懸念される。また、半導体チップ2で生じた熱は、ドレイン電極2Dから配線56DHに伝導され、配線56DHから実装先の配線基板に放熱されるが、半導体チップ2のドレイン電極2Dから配線56DHへの熱伝導の抵抗(熱抵抗)も大きくなる虞がある。また、抵抗抑制のために絶縁層の開口部の面積を大きくしようとすると、レーザー加工の負荷が増大し、半導体装置の生産性が低下してしまう。また、抵抗抑制のために絶縁層の開口部の面積を大きくしようとしても限界があり、第1検討例の場合は、半導体チップ2のドレイン電極2Dと配線56DHとの間の接続抵抗を低下させることは容易ではない。
【0086】
それに対して、本実施の形態では、配線56DHと半導体チップ2のドレイン電極2Dとの間には、絶縁体(絶縁層)は介在しておらず、配線56DHは、半導体チップ2のドレイン電極2D(裏面電極)全体に接している。このため、本実施の形態では、半導体チップ2のドレイン電極2Dと配線56DHとの間の接続抵抗(電気抵抗)を低減することができる。その結果、オン抵抗(半導体チップ2内のパワーMOSFET12をオン状態としたときの導通抵抗)を抑制することができ、半導体装置の性能を向上させることができる。また、半導体チップ2のドレイン電極2Dから配線56DHへの熱伝導の抵抗(熱抵抗)も抑制することができるため、半導体装置の放熱特性を向上させることができ、この点でも半導体装置の性能を向上させることができる。
【0087】
また、本実施の形態では、配線56DHと半導体チップ2のドレイン電極2Dとの間には、絶縁体(絶縁層)は介在していないため、半導体装置の厚さを抑制することができる。
【0088】
また、本実施の形態では、半導体チップ2のドレイン電極2Dと配線56DHとに絶縁層は介在しておらず、それゆえその絶縁層にレーザー加工などで開口部を形成する工程は必要ない。このため、半導体装置の製造工程を簡略化することができる。
【0089】
また、本実施の形態では、半導体チップ3のソース電極3Sが基板30の下面30bで露出されており、基板30の下面30b上に、半導体チップ3のソース電極3Sと電気的に接続された配線56SLが形成されている。配線56SLは、封止部31上と半導体チップ3のソース電極3S上と半導体チップ3の表面保護膜上とにわたって形成されている。
【0090】
本実施の形態では、配線56SLは、半導体チップ3のソース電極3S全体に接している。このため、配線56SLと半導体チップ3のソース電極3Sとの間には、絶縁体(絶縁層)は介在していない。本実施の形態では、配線56SLが半導体チップ3のソース電極3S全体に接していることで、半導体チップ3のソース電極3Sと配線56SLとの間の接続抵抗(電気抵抗)を低減することができる。その結果、オン抵抗(半導体チップ3内のパワーMOSFET13をオン状態としたときの導通抵抗)を抑制することができ、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0091】
また、本実施の形態では、配線56DHと半導体チップ2のドレイン電極2Dとの間に絶縁体(絶縁層)が介在せずに、配線56DHが半導体チップ2のドレイン電極2D(裏面電極)全体に接することができるように、半導体装置の製造工程を工夫している。
【0092】
本実施の形態では、半導体装置を製造するには、まず、バックテープ25(シート部材)上に、リード部21,22,23,24を有するリードフレーム20と半導体チップ2,3,4とを配置している(
図7~
図10参照)。この際、半導体チップ2は、半導体チップ2のドレイン電極2D(裏面電極)がバックテープ25に対向する向きで、バックテープ25上に配置している。それから、バックテープ25上に、半導体チップ2,3,4およびリード部21,22,23,24を封止する封止部31を形成している(
図11および
図12参照)。そして、封止部31(基板30)からバックテープ25を剥がし(
図17~
図20参照)、その後、封止部31の下面31b側(すなわち基板30の下面30b側)に、半導体チップ2のドレイン電極2Dに電気的に接続された配線56DHを形成する(
図33~
図42参照)。
【0093】
半導体チップ2のドレイン電極2Dがバックテープ25に対向する向きで、半導体チップ2をバックテープ25上に配置した後に、バックテープ25上に封止部31を形成している。このため、封止部31(基板30)からバックテープ25を引き剥がすと、封止部31の下面31b側(すなわち基板30の下面30b側)で、半導体チップ2のドレイン電極2D全体が露出されることになる。そして、封止部31の下面31b側(すなわち基板30の下面30b側)で半導体チップ2のドレイン電極2D全体が露出された状態で、平面視で半導体チップ2のドレイン電極2Dを被覆するような形状および大きさの配線56DHを形成することにより、配線56DHは、半導体チップ2のドレイン電極2D全体に接した状態となる。このため、半導体チップ2のドレイン電極2D全体が配線56DHに接した構造を、容易かつ的確に得ることができる。
【0094】
また、本実施の形態では、半導体チップ3は、半導体チップ3のゲート電極3Gおよびソース電極3Sがバックテープ25に対向する向きで、バックテープ25上に配置し、その後に、バックテープ25上に封止部31を形成している。このため、封止部31(基板30)からバックテープ25を引き剥がすと、封止部31の下面31b側(すなわち基板30の下面30b側)で、半導体チップ3のソース電極3S全体が露出されることになる。そして、封止部31の下面31b側(すなわち基板30の下面30b側)で半導体チップ3のソース電極3S全体が露出された状態で、平面視で半導体チップ3のソース電極3Sを被覆するような形状および大きさの配線56SLを形成することにより、配線56SLは、半導体チップ3のソース電極3S全体に接した状態となる。このため、半導体チップ3のソース電極3S全体が配線56SLに接した構造を、容易かつ的確に得ることができる。
【0095】
また、本実施の形態では、半導体チップ2のソース電極2Sと半導体チップ3のドレイン電極3Dとを、めっきにより形成された配線36DSによって電気的に接続しているため、配線幅の自由度が高く、また、半導体チップ2のソース電極2Sと半導体チップ3のドレイン電極3Dとを最短経路で接続することができる。このため、半導体装置の低インピーダンスや低オン抵抗を実現しやすくなる。従って、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0096】
また、半導体チップ2,3だけでなく、それらを制御する半導体チップ4も、一緒にパッケージ化して1つの半導体装置とすることで、半導体チップ4を別にパッケージ化する場合と比べて、所望の回路を構成するのに必要な半導体装置の数を低減することができる。
【0097】
また、半導体チップ2のゲート電極2Gは、封止部31の上面31a側(すなわち基板30の上面30a側)の配線36GHを用いて、半導体チップ4の電極4Cと電気的に接続することができる。また、半導体チップ3のゲート電極3Gは、封止部31の下面31b側(すなわち基板30の下面30b側)の配線57GLと、封止部31で封止されたリード部22と、封止部31の上面31a側(すなわち基板30の上面30a側)の配線36GLとを用いて、半導体チップ4の電極4Cと電気的に接続することができる。また、リード部21は、封止部31の上面31a側(すなわち基板30の上面30a側)の配線36Cを用いて、半導体チップ4の電極4Cと電気的に接続することができる。このように、半導体装置において、電気的に接続すべき部材同士を、封止部31の上面31a側(すなわち基板30の上面30a側)に形成された配線36,40,44と、封止部31の下面31b側(すなわち基板30の下面30b側)に形成された配線56,57を用いて電気的に接続することができる。金属板やワイヤではなく、配線を用いているため、電気的な接続に要するスペースが少なくて済み、半導体装置の小型化(小面積化)を図ることができる。また、半導体装置の各構成部材のレイアウト設計も行いやすくなる。また、半導体装置の製造コストも抑制することができる。
【0098】
(実施の形態2)
本実施の形態2の半導体装置1は、上記実施の形態1の半導体装置1の変形例である。
図51~
図53は、本実施の形態2の半導体装置1の製造工程を示す断面図であり、上記A1-A1線に対応する位置での断面図が示されている。
【0099】
以下では、本実施の形態2が上記実施の形態1と相違する点について説明し、上記実施の形態1と同様である点については、繰り返しの説明は省略する。
【0100】
図51は、上記
図7~
図9と同じ工程段階の断面図である。
図51と上記
図8とを比べると分かるように、本実施の形態2(
図51)では、リードフレーム20は、半導体チップ4を搭載するためのダイパッド(半導体チップ搭載部)61を更に有している。そして、半導体チップ4は、バックテープ25上に配置されたリードフレーム20のダイパッド61上に、DAF26を介して固定される。ダイパッド61の厚さは、リード部21,22,23,24の厚さよりも薄い。半導体チップ4とダイパッド61とは、間に介在する絶縁性の接合材(ここではDAF26)により、電気的に絶縁される。
【0101】
図52は、上記
図17~
図19と同じ工程段階の断面図である。
図52と上記
図17とを比べると分かるように、本実施の形態2(
図52)では、基板30の下面30bからバックテープ25を引き剥がすと、基板30の下面30bでダイパッド61の下面が露出される。その代わり、基板30の下面30bにおいて、DAF26や半導体チップ4は露出されない。
【0102】
図53は、上記47~
図49と同じ工程段階の断面図である。
図53と上記
図47とを比べると分かるように、本実施の形態2(
図53)では、基板30の下面30bで露出するダイパッド61の下面上にも配線56が形成され得る。
【0103】
半導体装置の製造工程中における封止樹脂の熱硬化工程などにおいて、バックテープ25が撓んで変形した場合には、バックテープ25上に配置した半導体チップ2,3,4の位置がずれ、配線と各電極との接続に不具合が生じる虞がある。このため、半導体装置の製造工程中において、バックテープ25が撓んで変形することは、できるだけ抑制することが望ましい。バックテープ25上にリードフレーム20が配置されない面積が小さいほど、バックテープ25は撓みにくくなり、変形しにくくなる。本実施の形態2の場合は、リードフレーム20がダイパッド61を含んでいる分、バックテープ25が撓んで変形することを、抑制しやすくなる。このため、半導体装置の接続不良を抑制することができる。
【0104】
また、本実施の形態2では、半導体チップ4の下にダイパッド61と配線56が存在するため、半導体チップ4で生じた熱を、DAF26およびダイパッド61を通じてダイパッド61の下の配線56に伝導させ、そこから半導体装置1の実装先の配線基板に放熱させることができる。これにより、半導体チップ4で生じた熱を半導体装置1の外部に放熱しやすくなるため、半導体装置1の放熱特性をより向上させることができる。
【0105】
また、本実施の形態2の場合は、半導体チップ4はバックテープ25上に直接的に搭載するわけではないため、半導体チップ4を搭載する際に、バックテープ25の接着層が半導体チップ4の側面上にまで盛り上がる現象が生じる懸念はない。
【0106】
一方、本実施の形態2の場合は、ダイパッド61の厚さが生じる分、半導体チップ4の厚さを薄くする必要がある。これにより半導体チップ4の取り回しの難易度が上がるため、その点においては、本実施の形態2よりも上記実施の形態1の方が有利である。
【0107】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0108】
1 半導体装置
2,3,4 半導体チップ
2D,3D ドレイン電極
2G,3G ゲート電極
2S,3S ソース電極
4C 電極
12,13 パワーMOSFET
14 制御回路
20 リードフレーム
21,22,23,24 リード部
25 バックテープ
26 DAF
30 基板
30a 上面(基板上面)
30b 下面(基板下面)
31 封止部
31a 上面(封止部上面)
31b 下面(封止部下面)
32 開口部
34a シード層
34b 金属層
35 レジストパターン
36,36C,36DS,36GH,36GL 配線
37 絶縁層
40 配線
42 絶縁層
44 配線
51a シード層
51b,51c 金属層
53,54 レジストパターン
56,56C,56DH,56SL,57,57GL 配線
59 絶縁層
61 ダイパッド