(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】保護カバー
(51)【国際特許分類】
F16L 57/00 20060101AFI20240807BHJP
F16K 27/12 20060101ALI20240807BHJP
B65D 33/28 20060101ALI20240807BHJP
B65D 65/04 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
F16L57/00 A
F16K27/12
B65D33/28
B65D65/04 A
(21)【出願番号】P 2022186378
(22)【出願日】2022-11-22
【審査請求日】2022-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000241957
【氏名又は名称】北海道電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100202913
【氏名又は名称】武山 敦史
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(72)【発明者】
【氏名】鳴海 真教
(72)【発明者】
【氏名】平沢 怜
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-030465(JP,U)
【文献】実開昭61-202236(JP,U)
【文献】登録実用新案第3144857(JP,U)
【文献】実開昭61-188937(JP,U)
【文献】実開平02-019754(JP,U)
【文献】特開2010-149926(JP,A)
【文献】特開平09-014477(JP,A)
【文献】中国実用新案第210770521(CN,U)
【文献】実開昭56-059371(JP,U)
【文献】登録実用新案第3116232(JP,U)
【文献】実開昭62-039474(JP,U)
【文献】実開平07-037967(JP,U)
【文献】実開平01-152173(JP,U)
【文献】特開2013-096556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 57/00
F16K 27/12
B65D 33/28
B65D 65/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管に付設された機器を保護する保護カバーであって、
変形可能なシートで形成され、開口から前記機器に被せることが可能なカバー本体と、
前記カバー本体の前記開口側に設けられ、前記カバー本体を前記機器に被せた状態で前記機器に向かって前記開口を締め付ける締め付け手段と、
を備え、
前記カバー本体は、筒形に形成された側面部と、前記側面部により形成された前記開口と反対側の端部に接合され、前記開口と反対側の端部を覆う頂面部と、
前記側面部のうち前記頂面部側の端部と前記締め付け手段との間に設けられ、前記側面部の内側と外側とに連通し、湿気及び水が通過可能な連通孔と、を備える、
保護カバー。
【請求項2】
前記カバー本体には、3つ以上の連通孔が前記カバー本体の側面部の同一円周上に等間隔で配置されている、
請求項1に記載の保護カバー。
【請求項3】
前記連通孔の直径は、5mm~20mmである、
請求項1に記載の保護カバー。
【請求項4】
前記連通孔には、リング状の補強金具が取り付けられている、
請求項1に記載の保護カバー。
【請求項5】
前記カバー本体の前記開口側の端部は、前記側面部の内側に折り返された状態で前記側面部の内面に接合されている、
請求項
1に記載の保護カバー。
【請求項6】
前記カバー本体の少なくとも一部が透明材料のシートで形成されている、
請求項1から
5のいずれか1項に記載の保護カバー。
【請求項7】
前記締め付け手段は、
前記カバー本体の前記開口に沿って並べて形成された複数の挿通孔と、
前記カバー本体の外側及び内側に交互に配置されるように各挿通孔に挿通され、両端部がいずれも前記カバー本体の外側に露出している紐状部材と、を備える、
請求項1から
5のいずれか1項に記載の保護カバー。
【請求項8】
前記締め付け手段は、一対の紐状部材を備え、
各紐状部材の前記両端部は、前記カバー本体において互いに対向する位置に配置された挿通孔から外側に露出している、
請求項
7に記載の保護カバー。
【請求項9】
前記カバー本体のうち各挿通孔が形成された部分には、シート状の補強部材が前記カバー本体に重ねられた状態で接合されている、
請求項
7に記載の保護カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
発電所には、水や油を輸送する多数の配管が屋外に設置され、これらの配管には、配管の流路を開閉する弁が設置されている。弁では、長期間雨風に晒されると、その狭隘部に塩やダストが付着し、塗装が剥離したり錆が発生したりすることがある。このような不具合が発生した場合には、弁の再塗装、修繕、取り替えといった補修作業を実施する必要があり、多くの費用や労力を要している。この問題を解決するために、例えば、特許文献1に開示されているようなカバーを用いて弁を保護することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実願平4-23529号(実開平5-77352号)のCD-ROM
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の弁カバーは、本管に設置された受け台と、受け台の上に載せられた円筒と、円筒の上に被せられた上蓋と、を備え、各部材がボルト締めにより固定されている。このような形状を有しているため、先端側が大きく基端側が小さいという覆いづらい形状の弁であっても覆うことができる。しかしながら、弁に対する取り付け及び取り外しに手間を要するため、緊急時に迅速に弁の状態を確認したり操作を行ったりすることができない、という問題がある。このような問題は、カバーを用いて弁を保護する場合に限られず、配管に付設された他の機器を保護する場合にも存在している。
【0005】
本発明は、このような背景に基づいてなされたものであり、配管に付設された機器への取り付け及び取り外しを簡単に行うことが可能な保護カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る保護カバーは、
配管に付設された機器を保護する保護カバーであって、
変形可能なシートで形成され、開口から前記機器に被せることが可能なカバー本体と、
前記カバー本体の前記開口側に設けられ、前記カバー本体を前記機器に被せた状態で前記機器に向かって前記開口を締め付ける締め付け手段と、
を備え、
前記カバー本体は、筒形に形成された側面部と、前記側面部により形成された前記開口と反対側の端部に接合され、前記開口と反対側の端部を覆う頂面部と、前記側面部のうち前記頂面部側の端部と前記締め付け手段との間に設けられ、前記側面部の内側と外側とに連通し、湿気及び水が通過可能な連通孔と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、配管に付設された機器への取り付け及び取り外しを簡単に行うことが可能な保護カバーを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態に係る保護カバーを縦向きに設置された弁に装着した様子を示す図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る保護カバーの構成を示す斜視図である。
【
図3】
図1の保護カバーの開口側を拡大した拡大図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る保護カバーを横向きに設置された弁に装着した様子を示す図である。
【
図5】本発明の変形例に係る保護カバーの開口側を拡大した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態に係る保護カバーを、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面では、同一又は同等の部分に同一の符号を付す。
【0010】
図1に示すように、保護カバー1は、配管に付設された機器を覆い、風雨やダストといった当該機器を劣化させる要因から当該機器を保護するカバーである。配管に付設された機器は、例えば、弁、管継手、計器類である。以下、配管に付設された機器としてハンドルが円形状である弁を保護する場合を例に説明する。
【0011】
保護カバー1は、開口から弁に被せることが可能なカバー本体2と、カバー本体2に設けられ、カバー本体2の内側と外側とを連通する連通孔3と、カバー本体2の開口側に設けられ、カバー本体2を弁に被せた状態で弁に向かってカバー本体2の開口を締め付ける締め付け手段4と、を備える。保護カバー1は、少なくとも弁のハンドル、弁棒及び弁グランド部を覆い、配管に接続された弁箱の上方にある弁棒の周りに締め付けられるように構成されている。
【0012】
カバー本体2は、変形可能な透明材料のシートで形成されている。透明材料のシートは、液体及び気体を通さず、開口を弁に向かって締め付けることができる程度の可撓性を有する樹脂材料で形成されている。保護カバー1は、カバー本体2が透明材料のシートで形成されているため、弁に保護カバー1が被せられた状態であっても弁に対する視認性を確保でき、例えば、日常点検や巡視点検時の際に弁の開閉状態や漏洩の有無といった弁の状態を観察できる。また、カバー本体2が弁に接触することで錆を発生させることがなく、カバー本体2が弁に取り付けた状態でも弁のハンドルを操作できる。
【0013】
配管が危険物施設に該当する場合には、カバー本体2を構成するシートとして素材自体が不燃性、難燃性といった耐燃性を有するものか、素材に防炎加工を施したものを用いるとよく、例えば、市販の防炎シートを用いるとよい。具体的には、塩化ビニール樹脂で形成された透明な防炎シートが好適である。このようなシートでは、熱融着によるシート同士の接合が困難であるため、シート同士の接合には、糸による縫い付けを行うとよい。
【0014】
図2に示すように、カバー本体2は、円筒形に形成された側面部21と、側面部21の端部の一方に接合され、側面部21の端部の一方を覆う円板部22と、を備える。側面部21は、円板部22が接合された端部と反対側に開口を備える。円板部22は、側面部21の開口の反対側を覆う頂面部の一例である。側面部21と円板部22とは、例えば、糸により互いの端部が縫い付けられている。
【0015】
側面部21の開口側の端部は、側面部21の内側に折り返された状態で側面部21の内面に接合されている。この接合部も糸により互いの端部が縫い付けられている。端部が折り返されているため、外力の加わりやすい端部を補強できると共に、端部の端面に手指が接触して傷つくことを防止できる。また、側面部21の開口側の端部は、側面部21の内側に折り返されているため、折り返された部分に水やダストが侵入することを防止できる。
【0016】
カバー本体2は、個々のハンドルのサイズ及び形状に合わせた大きさで円筒形に形成されている。具体的には、側面部21が構成する円筒の内径は、対象となる弁に設けられたハンドルの外径よりも大きく形成されている。このため、弁に取り付けたときにカバー本体2に無理な力が掛かり、歪みが発生することを抑制できる。また、側面部21と円板部22との接合部が弁に接触することを回避でき、結果として当該接合部からしみ出した水が弁に接触することを回避できる。そして、当該接合部とハンドルの上面に設けられた弁の名称板とが重ならないため、名称板の視認性を向上できる。なお、名称板には、弁の管理番号、管理名称、回転方向といった弁に関する情報が表示されている。
【0017】
側面部21には、側面部21を貫通するように形成され、カバー本体2内の湿気や水を排出する複数の連通孔3が設けられている。各連通孔3は、円板部22側の端部と締め付け手段4との間に設けられ、好ましくは側面部21の同一円周上に等間隔に形成されている。一例として側面部21には3つの連通孔3が同一円周上に120°の間隔を空けて形成されている。各連通孔3の直径は、通気性及び排水性を考慮しつつ内部への雨水の流入を抑制できる程度に設定され、例えば、5mm~20mmの範囲内であり、好ましくは10mmである。各連通孔3には、リング状の補強金具が取り付けられている。保護カバー1は、連通孔3を備えるため、外気温の変化により内部に結露に由来する曇りが発生したとしても、連通孔3を介して内部の空気が入れ替わることにより曇りを取り除くことができる。また、曇りを防止することにより弁に錆が発生することを抑制できる。
【0018】
締め付け手段4は、カバー本体2の開口に沿って同一円周上に並べて形成された複数の挿通孔41と、カバー本体2の外側及び内側に交互に配置されるように各挿通孔41に挿通され、両端部がいずれもカバー本体2の外側に露出している2本の紐状部材42と、を備える。
【0019】
図3に示すように、締め付け手段4は、紐状部材42毎に両端部を把持し、それぞれの両端部を左右に牽引することで、カバー本体2の開口を締め付けられるように構成されている。各挿通孔41は、側面部21の同一円周上に等間隔に並べて形成されている。一例として側面部21には12個の挿通孔41が同一円周上に30°の間隔を空けて形成されている。挿通孔41の直径は、紐状部材42を出し入れ可能な程度に設定され、例えば、10mmである。隣り合う挿通孔41の間隔は、挿通孔41の数及び側面部21の直径を考慮して設定され、例えば、60mmである。
【0020】
紐状部材42は、変形可能な紐状の部材であり、例えば、紐、ロープである。配管が危険物施設に該当する場合には、紐状部材42は、難燃ロープであることが好ましい。各紐状部材42は、カバー本体2の外側及び内側に交互に行き来するように各挿通孔41に挿通されている。このとき、同一の挿通孔41に対して両方の紐状部材42が同一方向に挿通されている。
【0021】
また、各紐状部材42の両端部は、それぞれカバー本体2の径方向に対向する位置に配置された挿通孔41から外部に露出している。このとき、紐状部材42の両端部は、隣り合う挿通孔41のそれぞれから外部に露出している。このため、各紐状部材42の両端部を左右に牽引することで、カバー本体2の開口を簡単に締め付けることができる。なお、紐状部材42の挿通孔41からの脱落を防止するため、紐状部材42の両端部を縛ってリング状に一体化してもよい。
【0022】
締め付け手段4は、紐状部材42毎に両端部に対して着脱自在に取り付けられるストッパー43をさらに備える。ストッパー43は、紐状部材42の2つの端部が移動可能に挿通され、当該2つの端部を任意の位置でロックできる器具である。ストッパー43は、例えば、スプリングの圧力により紐状部材42に固定されるスプリングコードストッパーである。各紐状部材42に取り付けられたストッパー43で紐状部材42がカバー本体2の開口を締め付けた状態を維持することで、保護カバー1が弁から外れることを防止できる。
【0023】
カバー本体2の側面部21のうち各挿通孔41が形成された部分には、シート状の補強部材44が側面部21に対して重ねられた状態で接合されている。補強部材44は、カバー本体2と同一又は同等のシートで形成されている。補強部材44は、その下端部が側面部21の開口側の端部から50mm~200mmの範囲内で、好ましくは100mm離れた位置に配置され、挿通孔41を形成したことによるカバー本体2の強度の低下を補っている。
【0024】
保護カバー1は、複数の挿通孔41に挿通された紐状部材42でカバー本体2の開口を締め付けるように構成されているため、カバー本体2の開口を迅速に締め付けたり開放したりできる。また、カバー本体2の開口を締め付けた状態で弁との間に隙間があり、弁から漏洩した流体をカバー本体2内に封じ込めないため、漏洩の兆候を早期に把握できる。
以上が、保護カバー1の構成である。
【0025】
なお、保護カバー1は、
図4に示すように横向きに設置された弁に対して取り付けられてもよい。このとき、側面部21に少なくとも3つ以上の連通孔3を同一円周上に等間隔で配置するとよい。このような構成にすることにより、隣り合う連通孔3が同一円周上に120°以下の間隔で配置され、その結果として少なくとも1つの連通孔3が必ず下向きに配置される。このため、保護カバー1がどのような姿勢であったとしても内部に溜まった水を連通孔3から排出できる。
【0026】
次に、実施の形態に係る保護カバー1の製造方法の流れを説明する。
まず、透明材料のシートからカバー本体2の側面部21に相当する長方形のシート部材と、円板部22に相当する円形のシート部材を切り出す。
【0027】
次に、長方形のシート部材に補強部材44に相当する細長いシートを重ねて接合し、その後、連通孔3及び挿通孔41を開け、開けられた連通孔3及び挿通孔41にそれぞれリング状の補強金具を取り付ける。
【0028】
次に、各シート部材を接合してカバー本体2を形成する。具体的には、長方形のシート部材が円筒形となるように端部同士を接合し、円筒形に形成されたシート部材の端部に円形のシート部材の端部を接合する。シート部材の接合には、糸による縫い付けを施せばよい。
【0029】
次に、
図3に示すようにカバー本体2の各挿通孔41に2本の紐状部材42をそれぞれ挿通し、各紐状部材42の両端部にそれぞれ別個のストッパー43を取り付ける。
以上が、保護カバー1の製造方法の流れである。
【0030】
次に、実施の形態に係る保護カバー1の使用方法の流れを説明する。
まず、対象となる弁に保護カバー1のカバー本体2を被せ、カバー本体2の開口を弁の周りに締め付ける。具体的には、対象となる弁にカバー本体2を被せた後に、2つの紐状部材42を左右に牽引し、牽引した状態で各ストッパー43をカバー本体2に近接させることで、カバー本体2の開口を弁の周りに締め付けることができる。この状態で弁を雨風から保護しつつ、必要に応じて弁の状態を目視で確認できる。
【0031】
弁にタグを取り付けたり弁の開閉操作を行ったりする場合には、カバー本体2の開口を緩め、カバー本体2を弁から取り外す。具体的には、2つの紐状部材42に取り付けされた各ストッパー43を紐状部材42の両端部に移動させ、カバー本体2の開口を大きく広げた後、カバー本体2を弁から取り外せばよい。タグを取り付けや弁の開閉操作が終了した後、弁に対して再び保護カバー1を被せるとよい。
以上が、保護カバー1の使用方法の流れである。
【0032】
以上説明したように、実施の形態に係る保護カバー1は、変形可能なシートで形成され、開口から弁に被せることが可能なカバー本体2と、カバー本体2の開口側に設けられ、カバー本体2を弁に被せた状態で弁に向かって開口を締め付ける締め付け手段4と、を備える。このため、先端側が大きく基端側が小さいという覆いづらい形状の弁への保護カバー1の取り付け及び取り外しを簡単に行うことができる。結果として弁の再塗装、修繕、取り替えといった補修作業の頻度を削減でき、配管設備を停止させる頻度も削減できる。また、迅速な取り付け及び取り外しを行えるため、配管が危険物施設に該当する場合にも取り付けることができる。
【0033】
実施の形態に係る保護カバー1は、シンプルな構成であり、十分に軽量であるため、弁に取り付けられた場合に配管及びその支持構造物における耐震性及び耐荷重性に影響を与えず、配管及びその支持構造物の補強や改造を行うことなく使用できる。
【0034】
また、実施の形態に係る保護カバー1は、カバー本体2の少なくとも一部が透明材料のシートで形成され、カバー本体2には、カバー本体2の内側と外側とを連通する連通孔3が設けられている。このため、湿気により曇りが生じる頻度が抑制され、保護カバー1を取り外すことなく弁の状態を視認できる。
【0035】
本発明は上記実施の形態に限られず、以下に述べる変形も可能である。
【0036】
(変形例)
上記実施の形態では、カバー本体2の側面部21及び円板部22を透明材料で形成していたが、本発明はこれに限られない。例えば、円板部22を透明材料のシートで形成し、側面部21を非透明材料のシートで形成してもよく、側面部21及び円板部22を非透明材料のシートで形成し、側面部21及び円板部22のいずれかに透明材料のシートで形成された窓を設けてもよい。また、弁の状態を視認する必要がなければ、カバー本体2の全体を非透明材料のシートで形成してもよい。非透明材料のシートとしては、例えば、防水、防炎に優れたテント生地を用いればよい。
【0037】
また、弁の種類や状態を識別するため、カバー本体2の一部に着色された部分(着色部)を設けてもよい。着色部は、例えば、カバー本体2に着色されたシートを接合するか、カバー本体2に塗料を塗布することで実現すればよい。着色部を設ける部分は、例えば、補強部材44の全体又は一部であってもよい。着色部は、単一の色を用いてもよく、複数の色を組み合わせてもよい。弁の種類や状態としては、例えば、通常時の弁の開閉状態、特に操作が頻繁な弁の識別、固有の注意点、系統、内包流体(例えば、水素、放射性物質を含む流体)の種類が例示される。
【0038】
加えて、カバー本体2には、文字を書ける領域を設けてもよい。文字を書ける領域には、例えば、弁の設置時期、担当者、メモを書き込んでもよい。
【0039】
上記実施の形態では、カバー本体2の横断面が円形であったが、本発明はこれに限られない。カバー本体2の横断面は、円形以外の形状、例えば、楕円形、正方形であってもよい。また、カバー本体2の形状を球体の一部が切り欠かれて開口が形成された略球体形状としてもよく、同一形状である2つの長方形シートを重ねて3辺が接合された袋状に形成してもよい。
【0040】
上記実施の形態では、糸を用いて縫い付けることでシート部材同士を接合していたが、本発明はこれに限られない。シート部材同士の接合には、例えば、シートの材質に応じて熱融着、接着剤による接着、プレスによる圧着といった手法を用いてもよい。また、成形型を用いてカバー本体2を一体成形してもよい。
【0041】
上記実施の形態では、側面部21に3つの連通孔3が設けられていたが、本発明はこれに限られない。例えば、連通孔3の数は、1つ又は2つであってもよく、4つ以上であってもよい。また、温度や湿度がコントロールされた屋内環境などで保護カバー1の通気性を確保する必要がなければ、連通孔3を省略してもよい。
【0042】
上記実施の形態では、各連通孔3が同一円周上に等間隔に形成されていたが、本発明はこれに限られない。各連通孔3は、側面部21の任意の位置に配置されてもよく、例えば、側面部21に複数の連通孔3を千鳥状に配置してもよい。
【0043】
上記実施の形態では、2本の紐状部材42を複数の挿通孔41に挿通していたが、本発明はこれに限られない。例えば、1本の紐状部材42を複数の挿通孔41に挿通してもよい。
【0044】
上記実施の形態では、同一の挿通孔41に対して2つの紐状部材42が同一方向に挿通されているが、本発明はこれに限られない。例えば、
図5に示すように、同一の挿通孔41に対して一方の紐状部材42がカバー本体2の内側から外側に向かって挿通され、他方の紐状部材42がカバー本体2の外側から内側に向かって挿通されてもよい。
【0045】
上記実施の形態は、紐状部材42をカバー本体2の側面部21に円周状に並べられた複数の挿通孔41に挿通していたが、本発明はこれに限られない。例えば、カバー本体2の側面部21に対して細長いシートを円周方向に延びるように配置し、細長いシートの幅方向に対向する両端部での側面部21に接合することで、紐状部材42を移動可能に収容する空間を形成し、当該細長いシートに設けた挿通孔41を通して当該空間から紐状部材42の両端部が露出するように構成してもよい。
【0046】
上記実施の形態では、紐状部材42をストッパー43で固定していたが、本発明はこれに限られない。例えば、クリップを用いて紐状部材42を固定してもよい。また、ストッパー43、クリップのようなロック手段を省略し、カバー本体2の開口を締め付けた状態で紐状部材42を結ぶように構成してもよい。
【0047】
上記実施の形態では、側面部21に相当するシート部材に補強部材44を重ねて接合し、連通孔3及び挿通孔41を開け、その後、各シート部材を接合して保護カバー1のカバー本体2を形成していたが、本発明はこれに限られない。例えば、各シート部材を接合して保護カバー1のカバー本体2を形成した後、側面部21に連通孔3及び挿通孔41を開けてもよい。
【0048】
上記実施の形態は、保護カバー1を弁に装着していたが、本発明はこれに限られない。例えば、フランジ、カップラーといった管継手や、圧力計、流速計といった計器類に保護カバー1を装着してもよい。
【0049】
上記実施の形態は例示であり、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の趣旨を逸脱しない範囲でさまざまな実施の形態が可能である。実施の形態や変形例で記載した構成要素は自由に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した発明と均等な発明も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1 保護カバー
2 カバー本体
3 連通孔
4 締め付け手段
21 側面部
22 円板部
41 挿通孔
42 紐状部材
44 補強部材