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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】調光データ送信装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/155 20200101AFI20240807BHJP
   H05B 45/44 20200101ALI20240807BHJP
   H05B 47/18 20200101ALI20240807BHJP
【FI】
H05B47/155
H05B45/44
H05B47/18
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022527579
(86)(22)【出願日】2021-04-19
(86)【国際出願番号】 JP2021015799
(87)【国際公開番号】W WO2021241066
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2024-02-19
(31)【優先権主張番号】P 2020094283
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】玉野 泰寛
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-078699(JP,A)
【文献】国際公開第2019/106829(WO,A1)
【文献】特開2016-025090(JP,A)
【文献】特開2017-035980(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00
H05B 47/00
G02F 1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明装置の点灯可能領域を分割した複数の分割領域毎に点灯領域か消灯領域のいずれであるかを決定するよう構成される決定部と、
前記点灯領域である前記分割領域のみを調光する調光データを送信するよう構成される送信部と、
を備え
前記照明装置が液晶表示装置のバックライトであり、
前記送信部が、表示領域の部分、非表示領域の部分、及びブランキング領域の部分を含む映像信号の前記非表示領域の部分に前記調光データを格納する信号処理を行い、前記信号処理が行われた後の前記映像信号を送信するよう構成される、調光データ送信装置。
【請求項2】
前記点灯領域である前記分割領域全てを、前記点灯領域である前記分割領域全ての個数より少ない個数のグループに分類するよう構成される分類部を備え、
前記調光データは、前記グループ毎に個別に調光可能なデータである、請求項1に記載の調光データ送信装置。
【請求項3】
前記グループの個数が1個である、請求項2に記載の調光データ送信装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の調光データ送信装置を有し、調光データ及び映像信号を送信するよう構成される映像信号送信装置と、
前記映像信号送信装置から送信される前記調光データ及び前記映像信号を受信するよう構成される映像信号受信装置と、
液晶表示パネルと、
前記液晶表示パネルに光を照射するよう構成されるバックライトと、を備え、
前記液晶表示パネルは、前記映像信号受信装置によって受信された前記映像信号に基づく画像を表示するよう構成され、
前記バックライトは、前記映像信号受信装置によって受信された前記調光データに基づき発光するよう構成される、映像表示システム。
【請求項5】
前記映像信号受信装置が、前記映像信号内の前記点灯領域に対応する映像データのみを対象として異常検出を行う異常検出部を備える、請求項に記載の映像表示システム。
【請求項6】
前記映像信号受信装置が、前記映像信号内の前記消灯領域に対応する映像データのみを対象として異常検出を行う異常検出部を備える、請求項に記載の映像表示システム。
【請求項7】
前記映像信号受信装置が、前記映像信号内の前記点灯領域に対応する映像データ及び前記映像信号内の前記消灯領域に対応する映像データを対象として互いに異なる手法で異常検出を行う異常検出部を備える、請求項に記載の映像表示システム。
【請求項8】
請求項1~のいずれか一項に記載の調光データ送信装置又は請求項のいずれか一項に記載の映像表示システムを備える、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示されている発明は、調光の手法及び調光データの送信に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の表示装置を有する映像表示システムの構成例として、単一の制御装置が複数の表示装置それぞれに映像信号を送信する構成が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-35980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば表示装置が液晶表示装置である場合、表示装置は液晶表示パネル及びバックライトを備える構成となる。上述した単一の制御装置がバックライトの調光制御も行う場合、単一の制御装置が調光データを送信する必要がある。ここで、例えば液晶表示装置における調光制御をローカルディミング制御にすることで、液晶表示装置の表示画像のコントラスト比を向上させることができる。
【0005】
しかしながら、調光制御をローカルディミング制御にした場合、調光データのデータ量増大が課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書中に開示されている調光データ送信装置は、照明装置の点灯可能領域を分割した複数の分割領域毎に点灯領域か消灯領域のいずれであるかを決定するよう構成される決定部と、前記点灯領域である前記分割領域のみを調光する調光データを送信するよう構成される送信部と、を備える構成である。
【0007】
本明細書中に開示されている映像表示システムは、前記照明装置が液晶表示装置のバックライトである上記構成の調光データ送信装置を有し、調光データ及び映像信号を送信するよう構成される映像信号送信装置と、前記映像信号送信装置から送信される前記調光データ及び前記映像信号を受信するよう構成される映像信号受信装置と、液晶表示パネルと、前記液晶表示パネルに光を照射するよう構成されるバックライトと、を備え、前記液晶表示パネルは、前記映像信号受信装置によって受信された前記映像信号に基づく画像を表示するよう構成される、前記バックライトは、前記映像信号受信装置によって受信された前記調光データに基づき発光するよう構成される構成である。
【0008】
本明細書中に開示されている車両は、上記構成の調光データ送信装置又は上記構成の映像表示システムを備える構成である。
【発明の効果】
【0009】
本明細書中に開示されている調光データ送信装置によれば、調光データのデータ量を大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、車両の外観図である。
図2図2は、車両の室内を示す図である。
図3図3は、第1実施形態に係る映像表示システムの構成を示すブロック図である。
図4A図4Aは、固定パターンの例を示す図である。
図4B図4Bは、表示画像の例を示す図である。
図5図5は、第1実施形態に係る映像表示システムの調光データに関連する動作を示すフローチャートである。
図6図6は、映像信号のフレーム構成を示す模式図である。
図7図7は、第2実施形態に係る映像表示システムの構成を示すブロック図である。
図8図8は、第3実施形態に係る映像表示システムの構成を示すブロック図である。
図9図9は、第4実施形態に係る映像表示システムの構成を示すブロック図である。
図10図10は、第5実施形態に係る映像表示システムの構成を示すブロック図である。
図11図11は、第6実施形態に係る映像表示システムの構成を示すブロック図である。
図12図12は、第7実施形態に係る映像表示システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
詳細を後述する第1実施形態に係る映像表示システム1A(以下、「映像表示システム1A」と略す)は、例えば、図1で示す車両101に搭載される。映像表示システム1Aを図1で示す車両101に搭載する場合、映像表示システム1Aは、例えばカーナビゲーションの地図表示などを行うCID (Center Information Display)102、インストルメント・クラスタ103、電子サイドミラーシステムの表示装置104L及び104R、並びにHUD(Head-Up Display)105(図2参照)の少なくとも一部を備える。なお、インストルメント・クラスタ103は、複数の計器に関する表示を行う1つの液晶表示装置で構成されてもよく、各々が少なくとも1つの計器に関する表示を行う複数の液晶表示装置で構成されてもよい。HUD105は、HUD105内の液晶表示装置が表示する画像を車両101のフロントガラスに投影し、車両101の運転者に対して虚像を表示する。
【0012】
以下の説明では、単純化して、映像表示システム1Aが、1つの液晶表示装置4を備える場合を例に挙げて説明する。
【0013】
図3は、映像表示システム1Aの構成を示すブロック図である。映像表示システム1Aは、映像信号送信装置2と、映像信号受信装置3と、液晶表示装置4と、を備える。
【0014】
映像信号送信装置2は、調光データ及び映像信号を映像信号受信装置3に送信する。映像信号送信装置2は、映像信号送信部20を備える。本実施形態では、映像信号送信部20は、調光データ送信装置21を含む。なお、本実施形態とは異なり、映像信号送信部20と調光データ送信装置21とが別々に設けられてもよい。調光データ送信装置21は、決定部22と、分類部23と、送信部24と、を備える。
【0015】
決定部22は、液晶表示装置4に設けられる直下型のバックライト41の点灯可能領域を分割した複数の分割領域毎に点灯領域か消灯領域のいずれであるかを決定する。後述する第2駆動部43は、調光データに従って、バックライト41の点灯領域に属するLED(Light Emitting Diode)のみを点灯させる。これにより、液晶表示装置4の表示画像のコントラスト比を向上させることができる。
【0016】
本実施形態では、バックライト41の点灯可能領域(バックライトの前面)を図4Aに示すように32個の分割領域R1~R32にマトリクス状に分割する。図4Aに示す例では、決定部22は、分割領域R1~R5、R8、R11、R14~R17、R19、R22、R24~R27、及びR30~R32を点灯領域に決定し、分割領域R6~R7、R9~R10、R12~R13、R18、R20~R21、R23、及びR28~R29を消灯領域に決定している。決定部22による決定結果を固定パターンと呼ぶ。図4Aに示す固定パターンは、例えば図4Bに示す表示画像に適している。なお、上述した説明では、図面を簡素化するために分割領域を32個にしたが、実際には例えば100~6000個程度にすることが望ましい。
【0017】
分類部23は、点灯領域である分割領域全てを、点灯領域である分割領域全ての個数より少ない個数のグループに分類する。分類の一例として、分類部23は、図4Aに示す例において、分割領域R6及びR7を第1グループ、分割領域R9、R10、及びR18を第2グループ、分割領域R12、R13、R20、R21、R28、及びR29を第3グループ、分割領域R23を第4グループに分類する。上記の分類例では、水平方向及び垂直方向の少なくとも一方で隣り合う点灯領域が集められて1つのグループが形成される。分類の他の例として、分類部23は、図4Aに示す例において、分割領域R6、R7、R9、R10、R12、R13、R18、R20、R21、R23、R28、及びR29を一つのグループに分類する。
【0018】
以下の説明では、固定パターンが図4Aに示す例であり、分類部23によって分類されるグループが1つの場合について説明する。
【0019】
本実施形態では、調光データは、グループ毎に個別に調光可能なデータである。したがって、グループの個数を少なくするほど、調光データのデータ量を低減することができる。なお、本実施形態とは異なり、調光データ送信装置21が分類部23を備えない構成であってもよい。この場合、調光データは、点灯領域毎に個別に調光可能なデータとなる。
【0020】
送信部24は、点灯領域である分割領域のみを調光する調光データを送信する。つまり、調光データには、消灯領域である分割領域を調光するデータは含まれていない。これにより、調光データのデータ量を低減することができる。
【0021】
映像信号受信装置3は、映像信号送信装置2から送信される調光データ及び映像信号を受信する。映像信号受信装置3は、信号処理部30と、車両通信部36と、を備える。信号処理部30は、映像信号受信部31と、異常検出部33と、マッピング設定部34と、調光データ変換部35と、を備える。映像信号受信部31は、ローカルディミング設定抽出部32を含む。
【0022】
信号処理部30は、例えばタイミングコントローラ、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)ブリッジIC(Integrated Circuit)、ビデオLSI(Large Scale Integration)等を用いることができる。
【0023】
映像信号受信部31は、映像信号送信装置2から送信される映像信号を受信する。本実施形態では、映像信号受信部31は、映像信号送信装置2から送信される固定パターン情報及び調光データも受信する。
【0024】
ローカルディミング設定抽出部32は、映像信号送信装置2から送信される信号等から、ローカルディミング設定(固定パターン情報及び調光データ)を抽出する。
【0025】
異常検出部33は、映像信号受信部31から出力される映像データの異常を検出する。映像データに異常がなければ、異常検出部33は、映像データを液晶表示装置4の第1駆動部42に出力する。
【0026】
マッピング設定部34は、ローカルディミング設定抽出部32で抽出された調光データを、固定パターン情報によって特定される点灯領域にマッピングする。
【0027】
調光データ変換部35は、マッピング設定部34の出力にバックライト41の消灯領域に対応する調光データを追加することで、マッピング設定部34の出力を液晶表示装置4に出力するための調光データに変換する。調光データ変換部35は、変換後の調光データを液晶表示装置4の第2駆動部43に出力する。
【0028】
車両通信部36は、LIN(Local Interconnect Network)、CAN(Controller Area Network)、MOST(Media Oriented Systems Transport)、CXPI(Clock Extension Peripheral Interface)、Ethernetなどの車内通信ネットワークを介して、同じ車両に搭載される他の部品(映像信号送信装置2を含む)との間で各種情報の通信を行う。
【0029】
液晶表示装置4は、液晶表示パネル40と、液晶表示パネル40に光を照射するバックライト41と、液晶表示パネル40を駆動する第1駆動部42と、バックライト41を駆動する第2駆動部43と、を備える。液晶表示パネル40は、映像信号受信装置3によって受信された映像信号に基づく画像を表示する。バックライト41は、映像信号受信装置3によって受信された調光データに基づき発光する。
【0030】
図5は、映像表示システム1Aの調光データに関連する動作を示すフローチャートである。
【0031】
映像信号送信装置2の映像信号送信部20は、映像信号を映像信号受信装置3の映像信号受信部31に伝送する(ステップS1)。本実施形態では、映像信号送信部20が、映像信号に固定パターン情報及び調光データを含める。本実施形態では、固定パターン情報は、分割領域が点灯領域であるか消灯領域であるかを順に示す情報である。したがって、図4Aに示す例では、分割領域R1~R32の順で、(消灯、消灯、消灯、消灯、消灯、点灯、点灯、消灯、点灯、点灯、消灯、点灯、点灯、消灯、消灯、消灯、消灯、点灯、消灯、点灯、点灯、消灯、点灯、消灯、消灯、消灯、消灯、点灯、点灯、消灯、消灯、消灯)を示す情報である。例えば点灯に対してデジタル値「1」を割り当て、消灯に対してデジタル値「0」を割り当てて(00000110110110000101101000011000)にすればよい。本実施形態では、映像信号は、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)方式の信号である。なお、映像信号は、eDP(embedded Display Port)規格や、oLDI(open LDI)規格や、MipiDSI規格の信号であってもよい。
【0032】
映像信号の各フレームは、図6に示すように、表示領域の部分P1、非表示領域の部分P2、垂直ブランキング領域の部分P3、及び水平ブランキング領域の部分P4を含む。非表示領域の部分P2の列数は垂直ブランキング領域の部分P3の列数より水平ブランキング領域の部分P4の列数だけ少ない。非表示領域の部分P2の行数は例えば4行である。
【0033】
映像信号送信部20は、表示領域の部分P1に画像データを格納し、非表示領域の部分P2に送信部24から出力される固定パターン情報及び調光データを格納する。映像信号送信部20は、固定パターン情報及び調光データを必ずしも各フレームに格納しなくてもよい。なお、映像データとの正確に同期させる場合には、映像信号送信部20は固定パターン情報及び調光データを各フレームに格納すればよい。
【0034】
ステップS1に続くステップS2において、映像信号送信装置2の映像信号送信部20は、分割領域の設定情報を映像信号受信装置3の映像信号受信部31に伝送する。本実施形態では、映像信号送信部20が、映像信号に分割領域の設定情報を含める。分割領域の設定情報は、分割数(図4Aに示す例では32個)及び各分割領域の位置情報(各分割領域が映像データのどのピクセルに対応しているかに関する情報)を含む。
【0035】
ステップS2に続くステップS3において、ローカルディミング設定抽出部32は、映像信号から固定パターン情報を抽出する。
【0036】
ステップS3に続くステップS4において、異常検出部33は、映像データに異常があるか否かを検出する。本実施形態では、異常検出部33は、点灯領域に対応する映像データのみを対象として異常があるか否かを検出する。消灯領域に対応する映像データに異常があっても表示画像に影響を及ぼさないためである。しかしながら、本実施形態とは異なり、異常検出部33は、消灯領域に対応する映像データのみを対象として異常があるか否かを検出してもよく、点灯領域に対応する映像データ及び消灯領域に対応する映像データを対象として異常があるか否かを検出してもよい。なお、点灯領域に対応する映像データ及び消灯領域に対応する映像データを対象として異常があるか否かを検出する場合、異常検出部33は、点灯領域に対応する映像データ及び消灯領域に対応する映像データを対象として互いに異なる手法で異常検出を行うとよい。例えば、後述する映像データがアナログデータである場合、異常検出部33は、点灯領域に対応する映像データに関してパラメータがしきい値以上であれば正常であると判定し、消灯領域に対応する映像データに関してパラメータがしきい値未満であれば正常であると判定すればよい。
【0037】
映像データがデジタルデータである場合、例えば、映像データにCRCデータを含ませてCRCデータを利用して異常検出部33が異常検出を行う方法、異常検出部33が所定の点灯領域のRGBデータの合計値を計算し、合計値と期待値との比較結果に基づいて異常検出を行う方法等を採用すればよい。
【0038】
映像データがアナログデータである場合、例えば、異常検出部33が所定の点灯領域のピクセル明度のヒストグラムを求め、当該ヒストグラムに基づくパラメータ(例えば平均値、中央値等)を求め、当該パラメータに基づいて異常検出を行う方法等を採用すればよい。異常検出部33が所定の点灯領域のピクセル明度のヒストグラムを求め、当該ヒストグラムに基づくパラメータを求め、当該パラメータに基づいて異常検出を行う方法は、ピクセル明度の確認しか行っていないため、簡易的な異常検出方法である。
【0039】
映像データに異常が検出された場合(ステップS4のYES)、異常検出部33は、映像信号送信装置2に異常を通知し、映像データを液晶表示装置4に出力しない(ステップS5)。異常の通知方法は特に限定されないが、例えば映像信号送信部20がシリアライザを備え、映像信号受信部31がデシリアライザを備えるようにし、シリアライザとデシリアライザとの間のバックチャネルを用いたI2C通信により異常検出部33が映像信号送信装置2に異常を通知すればよい。なお、シリアライザは、映像信号をシリアライザ独自のアルゴリズムで変換してデシリアライザに送信する。また、デシリアライザは、受信した映像信号に対して、シリアライザによる変換の逆変換を行う。シリアライザとデシリアライザとの間のバックチャネルを用いたI2C通信を用いた異常の通知を採用した場合、異常を通知するために映像信号送信装置2と映像信号受信装置3との間に新たな通信線を設けなくてすむ。なお、映像信号受信装置3が液晶表示装置4の異常の有無を監視し、監視結果をシリアライザとデシリアライザとの間のバックチャネルを用いたI2C通信、又は、LIN、CAN、MOST、CXPI、Ethernetなどの車両通信を用いて映像信号送信装置2に通知してもよい。
【0040】
一方、映像データに異常が検出されなかった場合(ステップS4のNO)、異常検出部33は映像データを液晶表示装置4に出力し、ローカルディミング設定抽出部32は映像信号から調光データを抽出する(ステップS6)。
【0041】
ステップS6に続くステップS7において、マッピング設定部34は、ステップS6で抽出された調光データを、固定パターン情報によって特定される点灯領域にマッピングする。また、ステップS7において、調光データ変換部35は、マッピング設定部34の出力にバックライト41の消灯領域に対応する調光データ(最も暗い輝度値)を追加することで、マッピング設定部34の出力を液晶表示装置4に出力するための調光データに変換する。また、ステップS7において、調光データ変換部35は、変換後の調光データを液晶表示装置4の第2駆動部43に出力する。
【0042】
映像表示システム1Aでは、信号処理部30において映像信号の処理及び調光データの処理が完結するため、システムの構築が容易である。
【0043】
<第2実施形態>
図7は、第2実施形態に係る映像表示システム1B(以下、「映像表示システム1B」と略す)の構成を示すブロック図である。図7において、図3と同一に部分には同一の符号を付す。
【0044】
映像表示システム1Bは、送信部24が、車内通信ネットワークを介して、調光データを映像信号受信装置3の車両通信部36に送信する点で映像表示システム1Aと異なる。それ以外の点においては、映像表示システム1Bは基本的に映像表示システム1Aと同じ構成である。
【0045】
したがって、映像表示システム1Bの調光データに関連する動作を示すフローチャートは、映像表示システム1Aの調光データに関連する動作を示すフローチャートと同様に図に示すフローチャートになる。ただし、映像表示システム1Bでは、ステップS6において、異常検出部33は映像データを液晶表示装置4に出力し、ローカルディミング設定抽出部32は車両通信部36によって受信された情報から調光データを抽出する。
【0046】
なお、本実施形態とは異なり、送信部24が決定部22及び分類部23と離れた場所に設けられてもよい。例えば、液晶表示装置4に照度センサを設け、当該照度センサが送信部24として機能してもよい。当該照度センサは、検出した液晶表示装置4周辺の照度に応じた調光データを生成し、当該調光データを車内通信ネットワークを介して映像信号受信装置3の車両通信部36に送信すればよい。
【0047】
<第3実施形態>
図8は、第3実施形態に係る映像表示システム1C(以下、「映像表示システム1C」と略す)の構成を示すブロック図である。図8において、図3と同一に部分には同一の符号を付す。
【0048】
映像表示システム1Cは、映像信号送信部20が、固定パターン情報として、固定パターンの識別情報を送る点で映像表示システム1Aと異なる。また、映像表示システム1Cは、マッピング設定部34が不揮発性メモリ37から固定パターンの配列を読み出す点も映像表示システム1Aと異なっている。それら以外の点においては、映像表示システム1Cは基本的に映像表示システム1Aと同じ構成である。
【0049】
映像表示システム1Cでは、例えば、映像信号送信部20が、固定パターン情報として、第1固定パターンを選択する旨の情報を送る。不揮発性メモリ37は、第1固定パターンと、分割領域R1~R32の順で、(消灯、消灯、消灯、消灯、消灯、点灯、点灯、消灯、点灯、点灯、消灯、点灯、点灯、消灯、消灯、消灯、消灯、点灯、消灯、点灯、点灯、消灯、点灯、消灯、消灯、消灯、消灯、点灯、点灯、消灯、消灯、消灯)を示す情報とが紐付けられて記憶されている。不揮発性メモリ37が、予め複数の固定パターンに関する情報を記憶しておくことで、映像表示システム1Cは、固定パターンを変化させることができる。
【0050】
映像表示システム1Cの調光データに関連する動作を示すフローチャートは、映像表示システム1Aの調光データに関連する動作を示すフローチャートと同様に図に示すフローチャートになる。ただし、映像表示システム1Cでは、ステップS3において、ローカルディミング設定抽出部32は映像信号から固定パターン情報を抽出し、マッピング設定部34は当該固定パターン情報と紐付けられている情報を不揮発性メモリ37から読み出す。
【0051】
本実施形態では、第1実施形態及び第2実施形態と比べて、映像信号送信部20から信号処理部30に送る固定パターン情報のデータ量を低減することができる。
【0052】
<第4実施形態>
図9は、第4実施形態に係る映像表示システム1D(以下、「映像表示システム1D」と略す)の構成を示すブロック図である。図9において、図3と同一に部分には同一の符号を付す。
【0053】
映像表示システム1Dは、送信部24が、車内通信ネットワークを介して、調光データを映像信号受信装置3の車両通信部36に送信する点、及び、映像信号送信部20が、固定パターン情報として、固定パターンの識別情報を送る点で映像表示システム1Aと異なる。また、映像表示システム1Dはマッピング設定部34が不揮発性メモリ37から固定パターンの配列を読み出す点も映像表示システム1Aと異なっている。それら以外の点においては、映像表示システム1Dは基本的に映像表示システム1Aと同じ構成である。つまり、映像表示システム1Dは、映像表示システム1Bと映像表示システム1Cとを組み合わせた構成といえる。
【0054】
映像表示システム1Dの調光データに関連する動作を示すフローチャートは、映像表示システム1Aの調光データに関連する動作を示すフローチャートと同様に図に示すフローチャートになる。ただし、映像表示システム1Dでは、ステップS3において、ローカルディミング設定抽出部32は映像信号から固定パターン情報を抽出し、マッピング設定部34は当該固定パターン情報と紐付けられている情報を不揮発性メモリ37から読み出す。また、映像表示システム1Dでは、ステップS6において、異常検出部33は映像データを液晶表示装置4に出力し、ローカルディミング設定抽出部32は車両通信部36によって受信された情報から調光データを抽出する。
【0055】
なお、本実施形態とは異なり、送信部24が決定部22及び分類部23と離れた場所に設けられてもよい。例えば、液晶表示装置4に照度センサを設け、当該照度センサが送信部24として機能してもよい。当該照度センサは、検出した液晶表示装置4周辺の照度に応じた調光データを生成し、当該調光データを車内通信ネットワークを介して映像信号受信装置3の車両通信部36に送信すればよい。
【0056】
<第5実施形態>
図10は、第5実施形態に係る映像表示システム1E(以下、「映像表示システム1E」と略す)の構成を示すブロック図である。図10において、図3と同一に部分には同一の符号を付す。
【0057】
映像表示システム1Eは、送信部24が、車内通信ネットワークを介して、調光データを映像信号受信装置3の車両通信部36に送信する点で映像表示システム1Aと異なる。また、映像表示システム1Eは、送信部24が、車内通信ネットワークを介して、固定パターン情報として、固定パターンの識別情報を映像信号受信装置3の車両通信部36に送信する点も映像表示システム1Aと異なる。また、映像表示システム1Eは、マッピング設定部34が不揮発性メモリ37から固定パターンの配列を読み出す点も映像表示システム1Aと異なっている。それら以外の点においては、映像表示システム1は基本的に映像表示システム1Aと同じ構成である。
【0058】
映像表示システム1Eの調光データに関連する動作を示すフローチャートは、映像表示システム1Aの調光データに関連する動作を示すフローチャートと同様に図に示すフローチャートになる。ただし、映像表示システム1Eでは、ステップS3においてローカルディミング設定抽出部32は車両通信部36によって受信された情報から固定パターン情報を抽出し、マッピング設定部34は当該固定パターン情報と紐付けられている情報を不揮発性メモリ37から読み出す。また、映像表示システム1Eでは、ステップS6において、異常検出部33は映像データを液晶表示装置4に出力し、ローカルディミング設定抽出部32は車両通信部36によって受信された情報から調光データを抽出する。
【0059】
本実施形態では、第1~第4実施形態と比べて、映像信号送信部20から信号処理部30に送る映像信号のデータ量を低減することができる。
【0060】
<第6実施形態>
図11は、第6実施形態に係る映像表示システム1F(以下、「映像表示システム1F」と略す)の構成を示すブロック図である。図11において、図10と同一に部分には同一の符号を付す。
【0061】
映像表示システム1Fは、車両通信部36が映像表示システム1Eのローカルディミング設定抽出部32の機能を有する点で映像表示システム1Eと異なる。それ以外の点においては、映像表示システム1Fは基本的に映像表示システム1Eと同じ構成である。
【0062】
映像表示システム1Fの調光データに関連する動作を示すフローチャートは、映像表示システム1Aの調光データに関連する動作を示すフローチャートと同様に図に示すフローチャートになる。ただし、映像表示システム1Fでは、ステップS3において、車両通信部36は自己が受信した情報から固定パターン情報を抽出し、マッピング設定部34は当該固定パターン情報と紐付けられている情報を不揮発性メモリ37から読み出す。また、映像表示システム1Fでは、ステップS6において、異常検出部33は映像データを液晶表示装置4に出力し、車両通信部36は自己が受信した情報から調光データを抽出する。

【0063】
本実施形態では、第1~第4実施形態と比べて、映像信号送信部20から信号処理部30に送る映像信号のデータ量を低減することができる。
【0064】
<第7実施形態>
図12は、第7実施形態に係る映像表示システム1G(以下、「映像表示システム1G」と略す)の構成を示すブロック図である。図12において、図11と同一に部分には同一の符号を付す。
【0065】
映像表示システム1Gは、車両通信部36がマッピング設定部34及び調光データ変換部35を備える点で映像表示システム1Fと異なる。それ以外の点においては、映像表示システム1Gは基本的に映像表示システム1Fと同じ構成である。
【0066】
映像表示システム1Gの調光データに関連する動作を示すフローチャートは、映像表示システム1Aの調光データに関連する動作を示すフローチャートと同様に図に示すフローチャートになる。ただし、映像表示システム1Gでは、ステップS3において、車両通信部36は自己が受信した情報から固定パターン情報を抽出し、車両通信部36内のマッピング設定部34は当該固定パターン情報と紐付けられている情報を不揮発性メモリ37から読み出す。また、映像表示システム1Gでは、ステップS6において、異常検出部33は映像データを液晶表示装置4に出力し、車両通信部36は自己が受信した情報から調光データを抽出する。
【0067】
本実施形態では、第1~第4実施形態と比べて、映像信号送信部20から信号処理部30に送る映像信号のデータ量を低減することができる。
【0068】
また、映像表示システム1Gでは、車両通信部36において調光データの処理が完結するため、システムの構築が容易である。
【0069】
<留意点>
本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
【0070】
例えば、上述した実施形態では、液晶表示装置4のバックライト41が照明装置であっったが、液晶表示装置4のバックライト41以外の照明装置であってもよい。例えば、車両の外側に設けられるLEDランプをADB(Adaptive Driving Beam)ランプ、矢印、顔文字などをアニメーション表示するアニメーションランプとして用いる場合などに上述した調光データ送信装置を用いるとよい。
【0071】
以上説明した調光データ送信装置は、照明装置の点灯可能領域を分割した複数の分割領域毎に点灯領域か消灯領域のいずれであるかを決定するよう構成される決定部と、前記点灯領域である前記分割領域のみを調光する調光データを送信するよう構成される送信部と、を備える構成(第1の構成)である。
【0072】
第1の構成の調光データ送信装置は、調光データのデータ量を大幅に低減することができる。
【0073】
上記第1の構成の調光データ送信装置において、前記点灯領域である前記分割領域全てを、前記点灯領域である前記分割領域全ての個数より少ない個数のグループに分類するよう構成される分類部を備え、前記調光データは、前記グループ毎に個別に調光可能なデータである構成(第2の構成)にしてもよい。
【0074】
第2の構成の調光データ送信装置は、グループの個数を少なくするほど、調光データのデータ量を低減することができる。
【0075】
上記第2の構成の調光データ送信装置において、前記グループの個数が1個である構成(第3の構成)にしてもよい。
【0076】
第3の構成の調光データ送信装置は、グループの個数が1個であるので、調光データのデータ量を最も低減することができる。
【0077】
上記第1~第3いずれかの構成の調光データ送信装置において、前記照明装置が液晶表示装置のバックライトである構成(第4の構成)にしてもよい。
【0078】
上記第4の構成の調光データ送信装置において、前記送信部が、表示領域の部分、非表示領域の部分、及びブランキング領域の部分を含む映像信号の前記非表示領域の部分に前記調光データを格納する信号処理を行い、前記信号処理が行われた後の前記映像信号を送信するよう構成される構成(第5の構成)にしてもよい。
【0079】
第5の構成の調光データ送信装置は、映像信号の非表示領域の部分を有効に活用して記調光データを送信することができる。
【0080】
本明細書中に開示されている映像表示システムは、上記第4又は第5の構成の調光データ送信装置を有し、調光データ及び映像信号を送信するよう構成される映像信号送信装置と、前記映像信号送信装置から送信される前記調光データ及び前記映像信号を受信するよう構成される映像信号受信装置と、液晶表示パネルと、前記液晶表示パネルに光を照射するよう構成されるバックライトと、を備え、前記液晶表示パネルは、前記映像信号受信装置によって受信された前記映像信号に基づく画像を表示するよう構成され前記バックライトは、前記映像信号受信装置によって受信された前記調光データに基づき発光するよう構成される構成(第6の構成)である。
【0081】
第6の構成の映像表示システムは、調光データのデータ量を大幅に低減することができる。
【0082】
上記第6の構成の映像表示システムにおいて、前記映像信号受信装置が、前記映像信号内の前記点灯領域に対応する映像データのみを対象として異常検出を行うよう構成される異常検出部を備える構成(第7の構成)である。
【0083】
第7の構成の映像表示システムは、表示画像に影響を及ぼさない異常を不検出にすることができる。
【0084】
上記第6の構成の映像表示システムにおいて、前記映像信号受信装置が、前記映像信号内の前記消灯領域に対応する映像データのみを対象として異常検出を行うよう構成される異常検出部を備える構成(第8の構成)である。
【0085】
第8の構成の映像表示システムは、表示画像に影響を及ぼさない異常を検出することができる。
【0086】
上記第6の構成の映像表示システムにおいて、映像信号受信装置が、前記映像信号内の前記点灯領域に対応する映像データ及び前記映像信号内の前記消灯領域に対応する映像データを対象として互いに異なる手法で異常検出を行うよう構成される異常検出部を備える構成(第9の構成)である。
【0087】
第9の構成の映像表示システムは、点灯領域に対応する映像データ及び消灯領域に対応する映像データそれぞれに対して適切に異常を検出することができる。
【0088】
上記第1~第3いずれかの構成の調光データ送信装置において、前記照明装置が車両の外側に設けられる構成(第10の構成)である。
【0089】
第10の構成の調光データ送信装置は、調光データのデータ量を大幅に低減することができるので、照明装置をADBランプ、アニメーションランプとして用いる場合などに特に好適である。
【0090】
本明細書中に開示されている車両は、上記第1~第5、第10いずれかの構成の調光データ送信装置又は上記第6~第9いずれかの構成の映像表示システムを備える構成(第11の構成)である。
【0091】
第11の構成の車両は、調光データのデータ量を大幅に低減することができる。
【符号の説明】
【0092】
1A~1G 第1~第7実施形態に係る映像表示システム
2 映像信号送信装置
20 映像信号送信部
21 調光データ送信装置
22 決定部
23 分類部
24 送信部
3 映像信号受信装置
30 信号処理部
31 映像信号受信部
32 ローカルディミング設定抽出部
33 異常検出部
34 マッピング設定部
35 調光データ変換部
36 車両通信部
37 不揮発性メモリ
4 液晶表示装置
40 液晶表示パネル
41 バックライト
42 第1駆動部
43 第2駆動部
101 車両
102 CID
103 インストルメント・クラスタ
104L、104R 表示装置
105 HUD
P1 表示領域の部分
P2 非表示領域の部分
P3 垂直ブランキング領域の部分
P4 水平ブランキング領域の部分
R1~R32 分割領域
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12