IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マース インコーポレーテッドの特許一覧

特許7535125動物の栄養ニーズを特徴付ける方法および飼料製品を選択する方法
<>
  • 特許-動物の栄養ニーズを特徴付ける方法および飼料製品を選択する方法 図1A
  • 特許-動物の栄養ニーズを特徴付ける方法および飼料製品を選択する方法 図1B
  • 特許-動物の栄養ニーズを特徴付ける方法および飼料製品を選択する方法 図2
  • 特許-動物の栄養ニーズを特徴付ける方法および飼料製品を選択する方法 図3A
  • 特許-動物の栄養ニーズを特徴付ける方法および飼料製品を選択する方法 図3B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】動物の栄養ニーズを特徴付ける方法および飼料製品を選択する方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 29/00 20060101AFI20240807BHJP
   A23K 50/40 20160101ALI20240807BHJP
【FI】
A01K29/00 B
A23K50/40
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022560479
(86)(22)【出願日】2021-04-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(86)【国際出願番号】 US2021026197
(87)【国際公開番号】W WO2021207370
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-12-16
(31)【優先権主張番号】20168471.9
(32)【優先日】2020-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390037914
【氏名又は名称】マース インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】MARS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ロッシュ,ジャン-バティスト
(72)【発明者】
【氏名】モントーヤ,マチュー
(72)【発明者】
【氏名】ペレア,サリー
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-511332(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0045909(US,A1)
【文献】特表2016-508027(JP,A)
【文献】国際公開第2014/078856(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0072048(US,A1)
【文献】特表2002-534107(JP,A)
【文献】米国特許第06358546(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23K 10/00 - 50/90
A01K 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の栄養ニーズを特徴付けるコンピュータに実装された方法であって、
a)好ましくは動物の種、活動レベル、病歴、品種、繁殖状況、給餌方法、年齢、性別、卵巣摘出または去勢状況、食餌スケジュール、生体サンプルからの生物学的値、身体状態、健康状態、ライフスタイル、被毛情報、危険因子、体重から選択される複数の動物基準を含む動物プロファイルを提供する工程、
b)各動物基準に対する主要成分のリストを含む第1のデータベースを提供する工程であって、前記主要成分の各々が、(i)好ましくは最小量および/または最大量および/または目標量によって定義される量の範囲、ならびに(ii)各範囲について、前記第1のデータベースにリスト化される他の主要成分の重要性と比較した前記成分の重要性を提供する評定に割り当てられる工程、
c)前記動物プロファイルおよび前記第1のデータベースを処理し、それにより前記動物の栄養プロファイルを提供する工程
を含む、方法。
【請求項2】
動物に対して飼料製品を選択する方法であって、
)前記動物の栄養プロファイルを提供する工程、
b)複数の既製の飼料製品を含む第2のデータベースを提供する工程であって、各々が、前記既製の飼料製品を構成する主要成分の個々の含有量によって特徴付けられる、第2のデータベースを提供する工程、
c)前記栄養プロファイルに基づいて前記第2のデータベースから少なくとも1つの既製の飼料製品を選択する工程、
d)選択された前記既製の飼料製品をランク付けする工程、
e)前記選択された既製の飼料製品に関する推奨を提供する工程
を含み、
前記a)の工程は、
a1)複数の動物基準を含む動物プロファイルを提供する工程、
a2)各動物基準に対する主要成分のリストを含む第1のデータベースを提供する工程であって、前記主要成分の各々が、(i)好ましくは最小量および/または最大量および/または目標量によって定義される量の範囲、ならびに(ii)各範囲について、前記第1のデータベースにリスト化される他の主要成分の重要性と比較した前記成分の重要性を提供する評定に割り当てられる工程、
a3)前記動物プロファイルおよび前記第1のデータベースを処理し、それにより前記動物の栄養プロファイルを提供する工程
を含む、方法。
【請求項3】
前記複数の動物基準から1つ以上が、前記動物プロファイルについて考慮される1つ以上の他の動物基準よりも優先される、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記栄養プロファイルに基づいて前記第2のデータベースから複数の既製の飼料製品を選択する工程を含む、請求項2記載の方法。
【請求項5】
工程e)の前記選択された既製の飼料製品をランク付けする工程を含む、請求項2記載の方法。
【請求項6】
前記選択された既製の飼料製品に関する飼料推奨を提供する工程を含む、請求項2記載の方法。
【請求項7】
前記既製の飼料製品が市販品である、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記既製の飼料製品が栄養学的に完全である、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記既製の飼料製品が、ドライフード製品、ウェットフード製品、セミモイストフード製品、おやつ、機能性食餌補強剤(FME)を含む群から選択される、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記動物がペットである、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記動物がイヌまたはネコである、請求項10記載の方法。
【請求項12】
身体状態を示す1つ以上の値が、動物の品種、動物の年齢、動物の実際の体重、動物の目標体重、動物のボディコンディションスコア(BCS)、動物の活動、動物のライフスタイル、動物の性的状態、動物の妊娠状態を含む群から選択される、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記動物がネコであり、工程a)における健康状態を示す1つ以上の値が、体重減少後、過体重、肥満、変形性関節症、運動性危険因子、慢性腎臓病(CKD)ステージIまたはII、CKDステージIIIまたはIV、タンパク尿、ストルバイト結石溶解、ストルバイト結石予防、CaOx予防、CaP予防、特発性膀胱炎、皮膚および被毛不良、アトピー、非飼料関連皮膚障害、歯石、急性または慢性下痢、急性または慢性嘔吐、胃炎、腸炎、大腸炎、消化不良、吸収不良、糖尿病、膵炎、膵外分泌機能不全(EPI)、高脂血症を含む群から選択される、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記動物がイヌであり、工程a)において健康状態を示す1つ以上の値が、体重減少後、過体重、肥満、変形性関節症、運動性危険因子、CKDステージIまたはII、CKDステージIIIまたはIV、タンパク尿、ストルバイト結石溶解、ストルバイト結石予防、CaOx予防、CaP予防、特発性膀胱炎、皮膚および被毛不良、アトピー、非飼料関連皮膚障害、歯石、急性または慢性下痢、急性または慢性嘔吐、胃炎、腸炎、大腸炎、消化不良、吸収不良、糖尿病、膵炎、膵外分泌機能不全(EPI)、高脂血症、食物有害反応を含む群から選択される、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
コンピュータに実装された方法を含む、請求項から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか1項記載の方法の工程を実行するように適合された手段を有する、動物の栄養ニーズを特徴付け、かつ/または前記動物に対して飼料製品を選択するデータ処理装置
【請求項17】
請求項16記載の装置に、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法の工程を実行させるための命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項18】
請求項17記載のコンピュータプログラムが格納されたコンピュータ可読媒体。
【請求項19】
動物に給餌する非治療的方法であって、請求項2記載の方法の工程e)において選択された少なくとも1つの既製の飼料製品を前記動物に投与する工程を含む、方法。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
この出願は、2020年4月7日に出願された欧州特許出願第20168471.9号に対する優先権を主張し、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする。
【技術分野】
【0002】
或る特定の非限定的な実施形態は、カスタマイズおよび/または個別化された動物飼料製品、例えばペット用動物飼料製品に関する。
【背景技術】
【0003】
動物、特にペットの健康維持および疾患予防または治療のための適当な食餌の重要性に対する認識が高まっている。動物、特にコンパニオンアニマルおよびペットについては、様々なライフステージおよび状態にカスタマイズまたは個別化された食餌が利用可能である。ペットケア製品の消費者は、多数の供給業者および製品を利用することができるが、顧客が多数の選択肢の中から特定の動物のニーズに最も適した製品を決定するには、多大な時間、労力および調査を要する場合がある。獣医および他の専門家は、特定のペットに対して所与のブランドのペットフードを推奨する助けとなることがあるが、ペットフードは、通例、ペットの年齢および/または大きさ等の所与の範囲内の平均的なペットのニーズを満たすように大量生産されている。
【0004】
しかしながら、栄養ニーズはペットによって異なり、特定のペットまたはペットの品種に適切な成分のカスタマイズまたは個別化されたレジメンが有益である。特定のペットに食餌を特別に合わせることの難しさおよび費用を考えると、消費者は、多くの場合、大量生産された限られた種類の利用可能なペットフードおよび製品の中から選ばざるを得ない。幾つかの製造業者は、コンパニオンアニマルの特定の栄養要求とより良好に関連する食物を設計することができるシステムを考案している。限定ではなく例示を目的として、特許文献1および特許文献2は、カスタマイズされたペットフード配合の生成に使用される個々のペットプロファイルを形成するためにユーザ入力が用いられる、ペットフードをカスタマイズまたは製造する方法に関する。
【0005】
限定ではなく例示を目的として、特許文献3は、特定のペット情報を収集し、その情報を利用して特注のペットフード製品を作製するシステムおよび方法に関する。コンピュータによる相関関係に基づいて、考えられる多数の既製のキッブル(kibbles)またはブレンドからキッブルまたはブレンドを提案することができ、特定のペットフード製品の配合に基づき、ペットのペットプロファイルに従ってペットフード添加物を作製することができる。
【0006】
特許文献4は、カスタマイズされたペットフードのブレンドを作製するシステムおよび方法に関する。この方法は、例えば、年齢、品種、体重および飼料嗜好性等のペットの特性をコンピュータシステムに入力する工程を含む、ペットの第1の環境プロファイルを作成することを含む。この方法はまた、公開されたペット栄養情報等のデータを取得することと、データを第1の環境プロファイルと比較することと、データおよび第1の環境プロファイルから栄養目標を生成することと、次いで、コンピュータシステムを用いて栄養ブレンドレシピを生成することとを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第6,358,546号明細書
【文献】米国特許第6,493,641号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0272028号明細書
【文献】国際公開第2014/078856号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の点にもかかわらず、長期にわたって調整可能かつ再現可能な複数の個別化された飼料製品を決定または提供するシステム、方法および/または装置が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
或る特定の非限定的な実施形態は、動物の栄養ニーズを特徴付ける方法に関し得る。この方法は、例えば、動物の種、活動レベル、病歴、品種、繁殖状況、給餌方法、年齢、性別、卵巣摘出もしくは去勢状況、食餌スケジュール、生体サンプルからの生物学的値、身体状態、健康状態、ライフスタイル、被毛情報、危険因子および/または体重から選択することができる複数の基準を含む動物プロファイルを提供することを含み得る。本方法はまた、各動物基準に対する主要成分のリストを含む第1のデータベース120を提供することを含み得る。主要成分の各々は、最小量および/または最大量および/または目標量によって定義される量の範囲に割り当てられ得る。各範囲について、評定が、第1のデータベースにリスト化される他の成分または主要成分の重要性と比較した成分の重要性を提供し得る。加えて、本方法は、動物プロファイルおよび第1のデータベースを処理し、それにより動物の栄養プロファイルを提供することを含み得る。
【0010】
或る特定の非限定的な実施形態は、動物に対して飼料製品を選択する方法に関し得る。本方法は、動物の栄養プロファイル160を提供することを含む。本方法はまた、複数の既製の飼料製品を含む第2のデータベース170を提供することであって、各々が、既製の飼料製品を構成する主要成分の個々の含有量によって特徴付けられる、第2のデータベース170を提供することを含み得る。加えて、本方法は、栄養プロファイルに基づいて第2のデータベース180から少なくとも1つの既製の飼料製品を選択することを含み得る。幾つかの非限定的な実施形態では、本方法は、選択された既製の飼料製品185をランク付けすること、および/または選択された既製の飼料製品から推奨を提供することを含み得る。
【0011】
或る特定の非限定的な実施形態は、動物の栄養ニーズを特徴付ける方法および/または動物に対する飼料製品を選択する方法の工程を実行するように適合または構成された手段を有する、動物に対する飼料製品を選択するデバイスに関する。
【0012】
或る特定の非限定的な実施形態は、デバイスに、動物の栄養ニーズを特徴付ける方法および/または動物に対する飼料製品を選択する方法の工程を実行させるための命令を含むコンピュータプログラムに関する。
【0013】
或る特定の非限定的な実施形態は、コンピュータプログラムが格納されたコンピュータ可読媒体に関する。
【0014】
或る特定の非限定的な実施形態は、動物に給餌する方法、特に非治療的方法に関する。非治療的方法は、選択された少なくとも1つの既製の飼料製品を動物に投与することを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A】或る特定の非限定的な実施形態による動物の栄養プロファイルを決定する方法またはプロセスを示す図である。
図1B】或る特定の非限定的な実施形態による動物に対して少なくとも1つの既製の飼料製品を選択する方法またはプロセスを示す図である。
図2】或る特定の非限定的な実施形態によるコンピュータシステムを示す図である。
図3A】或る特定の非限定的な実施形態による動物の栄養プロファイルを決定する方法またはプロセスを示す図である。
図3B】或る特定の非限定的な実施形態による動物に対して少なくとも1つの既製の飼料製品を選択する方法またはプロセスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書で使用される場合、「a」または「an」という単語は、特許請求の範囲および/または本明細書において「含む(comprising)」という用語とともに使用される場合に、「1つ」を意味し得るが、「1つ以上」、「少なくとも1つ」および/または「1つまたは2つ以上」の意味とも合致する。「有する(having)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」および「含む(comprising)」という用語は置き替え可能であり、当業者であれば、これらの用語がオープンエンドな用語であることを認識するであろう。
【0017】
本明細書で使用される場合、「約」または「およそ」という用語は、当業者によって決定される特定の値の許容可能な誤差範囲内であることを意味し、これは値を測定または決定する方法、すなわち、測定システムの限界に部分的に依存する。
【0018】
本明細書で使用される場合、「哺乳動物」という用語は、ヒトまたは動物を含む。特に、「動物」という用語は反芻動物、家禽、ブタ、哺乳動物、ウマ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ハムスター、ウシ、ネコまたはイヌを指すことができる。
【0019】
本明細書で使用される場合、「成体」という用語は、動物が春機発動期を過ぎ、生物学的成熟点に達していることを意味する。
【0020】
本明細書で使用される場合、「ペット動物」はペット哺乳動物を含み得る。ペット哺乳動物はイヌ、ネコ、ウサギ、ハムスター、モルモット、ラットおよびマウスを包含する。本明細書における好ましいペット動物は、特にイヌおよびネコのようなネコ科動物またはイヌ科動物を含み得る。
【0021】
本明細書で使用される場合、「ネコ科動物」という用語は、チーター、ピューマ、ジャガー、レパード、ライオン、オオヤマネコ、ライガー、トラ、パンサー、ボブキャット、オセロット、スミロドン、カラカル、サーバルおよびネコを含む群で選択されるペット動物を含む動物を包含する。本明細書で使用される場合、ネコは野良ネコおよび家ネコを包含する。
【0022】
本明細書で使用される場合、「イヌ科動物」という用語は、認識されているイヌ品種(そのうち幾つかはさらに細分される)を含む群で選択されるペット動物を含む動物を包含し、アフガンハウンド、エアデール、秋田犬、アラスカンマラミュート、バセットハウンド、ビーグル、ベルジアンシェパード、ブラッドハウンド、ボーダーコリー、ボーダーテリア、ボルゾイ、ボクサー、ブルドッグ、ブルテリア、ケアーンテリア、チワワ、チャウチャウ、コッカースパニエル、コリー、コーギー、ダックスフント、ダルメシアン、ドーベルマン、イングリッシュセター、フォックステリア、ジャーマンシェパード、ゴールデンレトリーバー、グレートデン、グレイハウンド、グリフォンブリュッセル、アイリッシュセッター、アイリッシュウルフハウンド、キングチャールズスパニエル、ラブラドールレトリーバー、ラサアプソ、マスティフ、ニューファンドランド、オールドイングリッシュシープドッグ、パピヨン、ペキニーズ、ポインター、ポメラニアン、プードル、パグ、ロットワイラー、セントバーナード、サルーキ、サモエド、シュナウザー、スコティッシュテリア、シェットランドシープドッグ、シーズー、シベリアンハスキー、スカイテリア、スプリンガースパニエル、ウエストハイランドテリア、ウィペット、ヨークシャーテリア等を含み得る。
【0023】
本明細書で使用される場合、「亜集団」は、1つの種の、種全体よりも少ない1ないし複数の動物の集合であり、2以上の成員の亜集団において亜集団の成員に共通する遺伝子型および/または生理学的条件の1つ以上の属性の観点から定義可能である。或る特定の実施形態では、亜集団は特定の品種によって少なくとも部分的に定義される。例えば、混合品種の動物の場合、亜集団は、親品種の知識、表現型特性、遺伝子型評価、または一塩基多型(「SNP」)等の遺伝マーカーによって確立され得る品種継承によって少なくとも部分的に定義することができる。或る特定の実施形態では、亜集団は生理学的条件によって少なくとも部分的に定義される。
【0024】
本明細書で使用される場合、「動物プロファイル」または「生理学的プロファイル」という用語は、動物の種、品種、繁殖状況、性別、卵巣摘出または去勢状況、大きさ、体重、理想体重、ボディコンディションスコア(「BCS」)、年齢、活動レベル、ライフスタイル、被毛情報、素因、ウェルネス状態、給餌方法、食餌スケジュール、危険因子および病歴を含む動物の属性のいずれか1つまたは組合せを指す。生理学的プロファイルは、遺伝子型と動物の環境との相互作用の産物である。生理学的プロファイルによって少なくとも部分的に定義される亜集団は、品種の枠を超えることがある。あるいは、亜集団は生理学的条件によって部分的に定義されるが、1つもしくは幾つかの品種または規定の品種継承に制限されることがある。かかる亜集団の例は、攻撃的なプードル、条虫侵襲を有するラブラドールレトリーバー、ビーグルを含む品種を継承する卵巣摘出した雌イヌ、股関節形成不全のジャーマンシェパード、肥満のラブラドールレトリーバー、慢性下痢(またはタンパク喪失性腸症)のヨークシャーテリア、歯科疾患を有するチワワ、心臓病(または肥大型心筋症)のラグドール、変形性関節症のメインクーン、シュウ酸カルシウム尿石を有するペルシャ等である。
【0025】
アルゴリズムの観点からすれば、危険因子および疾患はどちらも基準である。しかしながら、危険因子が「予防」の概念に関連する一方で、疾患は疾患の臨床兆候および進行の管理および軽減に関連するため、区別を行うことができる。危険因子は、生理学的機能の維持(疾患の発症前)を支持するのを助けるために動物の栄養/成分プロファイル内で考慮すべき領域を特定する、患者プロファイル内の情報(限定されるものではないが、病歴、品種、年齢および身体状態等)に基づいて特定される。例えば、動物の品種(例えば、大型犬)は、動物が関節または運動性疾患を発症する素因となり得るため、栄養/成分プロファイルは、食事性カルシウムおよびリンのレベルの制御、ならびに適度なエネルギー密度(緩やかで安定した成長速度を促すため)、ならびに例えばグルコサミン、コンドロイチンおよびEPA+DHA等の成分/栄養を含むことによる関節/運動性病態のリスクに対する配慮を含む。
【0026】
特に、「生理学的プロファイル」という用語は、動物の種、品種、性別、去勢状況、大きさ、体重、理想体重、BCS、年齢、活動レベル、素因、ウェルネス状態および病歴を含む動物の属性のいずれか1つまたは組合せを指す。
【0027】
「病理学的プロファイル」という用語は、一連の属性が、所与の動物に関連付けられているか、または上記動物に存在すると疑われる一連の病的状態の指標をさらに含む、特定のタイプの動物/生理学的プロファイルである。このため、本明細書で使用される場合、「病理学的プロファイル」という用語は、臨床兆候、獣医学的検査、診断的血液検査、画像診断(X線写真、超音波)、DNA検査および診断的細胞診/生検を含むが、これらに限定されない獣医学的評価によって決定される診断病状または医学的状態のいずれか1つまたは組合せを指す。
【0028】
例えば、亜集団は過剰な脱毛を示す成体ネコ科動物、肥満のイヌ、呼吸器疾患を有するトイドッグ、大型犬種の老犬、腎機能障害を有する長毛種のネコ等を含み得る。したがって、動物プロファイルには、限定されるものではないが、動物の名前、種、年齢、体重、性別、品種、卵巣摘出/去勢、活動レベル、繁殖状況、消化器の健康、病歴および遺伝情報、現在の健康状態、身体状態、給餌方法、おやつのスケジュール、ならびに味嗜好性に関する情報が含まれ得る。さらに、動物プロファイルは季節、日付または時期に関する情報を含んでいてもよい。
【0029】
限定ではなく例示を目的として、生理学的または病理学的プロファイルの確立のために、公開VENOM DATABASE(venomcoding.org)またはVeterinary Terminology Services Laboratory(https://vtsl.vetmed.vt.edu/aaha/)からの公開AAHA(アメリカ動物病院協会)リストにリスト化される障害/病態を部分的に用いることができる。或る特定の非限定的な実施形態では、生理学的または病理学的プロファイルの確立のために、以下の一連の障害/病態を部分的に考慮することができる:
【0030】
【表1】
【0031】
或る特定の非限定的な実施形態では、イヌにおいて、かかる疾患および障害は、限定されるものではないが、例えば以下の1つ以上によって現れる可能性がある、食物に対する有害反応(食物アレルギーおよび食物不耐性を含む)を含み得る:慢性大腸炎、慢性胃腸炎、慢性外耳炎または掻痒性皮膚炎;変形性関節症を含む関節炎;脳老化および関連する行動変化;癌または新生物;腹水または浮腫(体液鬱滞)、心臓病、心不全、フィラリア症および原発性高血圧を含む心血管疾患;発育期整形外科的疾患;糖尿病;大腸炎、繊維反応性大腸炎、繊維反応性便秘、繊維増加に反応しない便秘、急性または慢性下痢、繊維反応性下痢、膵外分泌機能不全、鼓腸、急性または慢性胃腸炎、炎症性腸疾患(IBD)、消化不良または吸収不良、非高脂血症性膵炎、高脂血症性膵炎、胃腸手術の回復、および急性または慢性嘔吐を含む胃腸障害、腹水または浮腫(体液鬱滞)、銅蓄積症、肝性脳症および肝疾患、高脂血症、肥満を含む肝障害、歯肉炎、口臭および歯石、プラークまたは歯の着色汚れを含む口腔健康障害;貧血、無食欲症、悪液質または体重減少、回復期、衰弱、代謝亢進状態、栄養失調、ならびに術前状態および術後状態を含む回復状態;高血圧、腎不全および腎機能障害を含む腎疾患;ならびにシュウ酸カルシウム、尿酸塩およびシスチン管理、ストルバイト溶解、ストルバイト管理、ならびに肥満傾向のイヌにおけるストルバイト管理を含む尿石症。
【0032】
幾つかの非限定的な実施形態では、ネコにおいて、かかる疾患および障害は、限定されるものではないが、例えば以下の1つによって現れる可能性がある、食物に対する有害反応(食物アレルギーおよび食物不耐性を含む)を含む:慢性大腸炎、好酸球性肉芽腫群、慢性胃腸炎または掻痒性皮膚炎;腹水または浮腫(体液鬱滞)、心臓病、心不全および原発性高血圧を含む心血管疾患;糖尿病;特発性膀胱炎、シュウ酸塩管理、ストルバイト溶解、ストルバイト管理、肥満のネコにおけるストルバイト管理、および肥満傾向のネコにおけるストルバイト管理を含むネコ科動物の下部尿路疾患;大腸炎、繊維反応性大腸炎、繊維反応性便秘、繊維増加に反応しない便秘、急性または慢性下痢、繊維反応性下痢、急性または慢性胃腸炎、IBD、膵炎、胃腸手術後の回復、および急性または慢性嘔吐を含む胃腸障害;腹水または浮腫(体液鬱滞)、銅蓄積症、肝性脳症および肝疾患を含む肝障害;高脂血症;肥満;歯肉炎、口臭および歯石、プラークまたは歯の着色汚れを含む口腔健康障害;貧血、無食欲症、悪液質または体重減少、回復期、衰弱、代謝亢進状態、栄養失調、ならびに術前状態および術後状態を含む回復状態;高血圧、腎不全および腎機能障害を含む腎疾患;ならびにシュウ酸カルシウム、尿酸塩およびシスチン管理、ストルバイト溶解、ストルバイト管理、ならびに肥満傾向のネコにおけるストルバイト管理を含む尿石症。
【0033】
本明細書で使用される場合、「理想体重」は、動物の測定質量、またはキログラムもしくはポンド等の重量単位で定義される動物の理想的な質量を指す。BCSは、動物が立った状態での側面および上方からの視覚的評価による動物の身体の形状に基づく動物の尺度となり得る。BCS評価はまた、動物の肋骨上の体脂肪量のレベルを感じ取るための手を使った触覚評価を含み得る(肋骨の触診がどの程度容易または困難であるかに基づく評価)。BCSは、典型的には1~5または1~9の範囲のスケールでのスコアを参照することができ、1が最低体重を表し、9が最高体重を表す。或る特定の非限定的な実施形態では、BCSは1~9のスケールに関し、スコア5が理想体重である。
【0034】
本明細書で使用される場合、「生体サンプル」という用語は、糞便、尿、毛髪、血液、唾液および組織の少なくとも1つを指すことができるが、これらに限定されない。実際に、「生体サンプル」という用語は、生体物質自体(タンパク質、核酸、組織等)だけでなく、生体物質またはその一部の検出に使用される、それに関連する他の物質(例えば色素、標識、染色液、または物質の特定に使用される任意の他のマーカー)も指す。
【0035】
例えば、生体物質は、限定されるものではないが、例えば血液、血漿、血清、糞便物質、尿、骨髄、胆汁、髄液、リンパ組織およびリンパ液、皮膚のサンプル、皮膚、気道、腸管および尿生殖路の外分泌物、涙液、唾液、乳汁、血球、器官、生検、さらには培養培地中での細胞および組織、例えば組換え細胞および細胞成分の増殖によって得られる馴化培地を含むが、これに限定されないin vitro細胞培養成分のサンプルを含む、被験体から単離された組織または流体のサンプルを指すことができる。生体サンプルは、例えばポリペプチドもしくはポリヌクレオチド、または空中の病原体等の環境のサンプリングによって得られた生物もしくは細胞の断片化部分を含み得る。
【0036】
本明細書で使用される場合、「予防する」という用語は、動物における所与の病態の発生または再発の可能性の低減も含み得る。
【0037】
本明細書で使用される場合、「飼料製品」または「飼料組成物」または「食餌」または「食物」という用語は、食物、食餌、飼料サプリメント、液体、またはタンパク質、炭水化物および/または粗脂肪を含有し得る材料の全てを包含することができる。飼料は補助物質または添加物、例えばミネラル、ビタミンおよび調味料も含有し得る(Merriam-Webster's Collegiate Dictionary, 10th Edition, 1993を参照されたい)。かかる飼料組成物または製品は、栄養学的に完全であっても、または完全でなくてもよい。
【0038】
幾つかの非限定的な実施形態では、治療食または食餌療法食は、泌尿器系の良好な健康のための飼料組成物、例えばRoyal Canin(登録商標)製のRenal Select FelineまたはInstinctiveであり得る。
【0039】
本明細書で使用される場合、「栄養学的に完全な」という用語は、対象動物(すなわち、ペット動物)に完全かつバランスのとれた栄養要求を提供する組成物(すなわち、食餌または食物)を指すことができる。例えば、かかる栄養学的に完全な組成物は、完全ドッグフードまたは完全キャットフードであり得る。栄養学的に完全な乾燥組成物は、ペット動物、例えばイヌを栄養学的に満足させることができ、1日分の飼料として与えることができる(すなわち、水を除き、追加の飼料なしに生命を維持することができる)ようなものである。幾つかの非限定的な実施形態では、栄養学的に完全な飼料組成物は、穀物および植物性タンパク質抽出物、繊維、油脂、タンパク質、チコリパルプ、酵母およびその一部、ミネラル、ビタミン、保存料、酸化防止剤、水、アミノ酸、ナトリウムの1つ以上を非排他的に含み得る。栄養学的に完全な組成物は例えば、タンパク質抽出物等の少なくとも1つのタンパク質(またはポリペプチドもしくはアミノ酸)源、少なくとも1つのビタミン源、少なくとも1つの脂肪(または脂肪酸)源、および少なくとも1つのミネラル源を含み得る。
【0040】
本明細書で使用される場合、「ペットフード」または「動物飼料」は、加工、部分加工または未加工にかかわらず、市場に出た後にペット動物によって摂取されることを意図した、ペットフード製造業者によって製造された任意の製品を指す。「ペットフード」または「動物飼料」は、或る特定の非限定的な実施形態では、欧州連合(EU)規則第767/2009号に準拠して定義され得る。
【0041】
本明細書で使用される場合、「完全ペットフード」は、ペットフードに適合した飼料の市場および使用(第3条(i))に関する欧州連合(EU)規則第767/2009号に準拠して定義され得る。製造業者が確定されたライフステージの指定なしに製品を完全ペットフードとして表示した場合、製品は全てのライフステージに完全であるとみなされ、推奨されるレベルに従って(すなわち、初期成長および繁殖用に)配合する必要がある。製品が特定のライフステージに対して設計されている場合、ラベルにその旨を明記する必要がある。
【0042】
本明細書で使用される場合、「低アレルギー食」または「非アレルギー食」という用語は、アレルゲン制限食に適合した飼料組成物を指す。これらの低アレルギー食は、或る特定の動物には口に合わないか、または不適切であり、動物がこの飼料組成物を嫌悪する原因となる場合がある。
【0043】
本明細書で使用される場合、「食餌スケジュール」は、対象動物に与えられ得る食餌の頻度を指し、これは依然としてその動物に与えるべき予想される1日分の飼料と一致している。
【0044】
本明細書で使用される場合、「1日分の飼料」は、所与の種、年齢区分および収量の動物がニーズを満たすために毎日必要とする飼料の平均総量を表す。所与の種、年齢区分、ライフスタイルおよび/または活動のペットが毎日必要とする特定のペットフードの平均総量は、動物のエネルギーおよび成分必要量を満たすために使用することができる。或る特定の非限定的な実施形態では、「1日分の飼料」または「毎日必要とする」は、EU規則第767/2009号および飼料の使用(第2条(c))に定義され得る。
【0045】
本明細書で使用される場合、「補助ペットフード」は、同様にペットフードに適合したEU規則第767/2009号および飼料の使用(第3条(j))を参照すると、或る特定の物質の高い含有量を有するが、その組成のために、他のペットフードと組み合わせて使用した場合にのみ1日分の飼料に十分なペットフードである。
【0046】
本明細書で使用される場合、「許容量」または「1日推奨摂取量(RDI)」は、実質的に全ての健常個体の既知の栄養ニーズを満たすようである成分または飼料構成成分の摂取量のレベルである。これは個々の動物間の利用可能性の差および成分の相互作用についての安全マージンを加えた最低要求量を反映する。実際には、これは健常個体が適切かつ安全な栄養摂取を確実にするために長期にわたって摂取する必要がある必須栄養素のレベルと言い換えられる。
【0047】
本明細書で使用される場合、「栄養要求量」または「成分要求量」は、動物の代謝ニーズを満たすために動物に供給しなければならない栄養/成分の量である。これは、集団において所望の生化学的生理機能を維持するために必要な栄養素を提供するのに長期にわたって十分な成分の摂取量の最小平均レベルを反映する。
【0048】
本明細書で使用される場合、重量/Mcalとして表される構成成分の量は、全飼料組成物の代謝エネルギー(「ME」)単位当たりの構成成分の重量での量を含む。
【0049】
本明細書で使用される場合、「代謝エネルギー」は、可消化エネルギーから尿および可燃性ガス中に失われるエネルギーを差し引いたものを指す。
【0050】
本明細書で使用される場合、「維持エネルギー要求量(「MER」)」は、エネルギー平衡を支持するために必要とされるエネルギーであり、MEは長時間にわたる熱産生と等しくなり得る。
【0051】
或る特定の非限定的な実施形態では、ME値は、給餌試験を用いて測定することができる。実際には、飼料の総エネルギー(GE)を実験室において決定し、動物が食べた飼料の量を記録する。動物から糞便および尿を採取し、それぞれに含まれるエネルギーを決定し、それぞれ糞便エネルギー(FE)および尿エネルギー(UE)と称する。次いで、MEを以下のように計算する:ME(kcal/kg)=[GE-(FE+UE)]/(消費された飼料のKg)。代謝エネルギーは、標準方法に従い、特に2017年7月付の欧州規格EN 16967(ICS.65.120)に準拠して従来通りに決定することができる。したがって、本明細書で使用される場合、食餌または食物に含まれる所与の物質に関する「xg/Mcal」という用語は、食餌または食物に含まれる1Mcal当たりxグラムの量で物質が含まれることを意味する。
【0052】
エネルギー密度を乾物1グラム当たり16.7kJ(4kcal)のMEと仮定すると、以下の換算係数を適用することができる:
単位/100gの乾物×2.5=単位/1000kcal(約4184kJ)。
【0053】
本明細書で使用される場合、「ppm」または「ppm単位」という用語(「パーツ・パー・ミリオン」とも称される)は、組成物/製品に含まれる物質の量を特定する方法である。特に指定のない限り、これを本明細書において組成物/製品の質量当たりの物質の量として用いることができる。したがって、ppmという用語は、組成物/製品の質量(kg)当たりの量(mg)を指すことができる。
【0054】
本明細書で使用される場合、「既製組成物」は、動物による飼料消費に適した組成物を指し、これは栄養学的に完全であっても、または完全でなくてもよい。
【0055】
本明細書で使用される場合、「ウェットフード組成物」に見られるような「ウェットフード」という用語は、飼料組成物の総重量に対して30%以上の含水率を有する飼料組成物、40質量%超の飼料組成物を指すことができ、またはウェットフード組成物は、飼料組成物の総重量に対して90質量%未満の含水率を有する。これは(乾燥工程の代わりに)最終減菌工程を含むプロセスの最終生成物であってもよい。或る特定の実施形態では、ウェットフードはチャンク形態、より詳細にはグレイビー中のチャンクの形態を含む。ウェットフードは、チャンクおよびグレイビー、ゼリー、ローフ、ムース、テリーヌおよび/またはバイト(bites)中のチャンクの形態を含み得る。「チャンクおよびグレイビー」製品は、肉エマルジョンを作製し、この肉エマルジョンを加圧下でマズル(muzzle)に通した後、加熱調理することによって調製される、予め形成された肉の粒を含み得る。調理済みの肉等の製品をチャンク状に角切りし、これをグレイビーまたはソースと混合することができる。次いで、2つの構成成分を缶またはパウチであり得る容器に充填し、これを縫合または封止し、滅菌することができる。グラウンドローフ(ground loaf)とは対照的に、チャンクおよびグレイビー組成物は、調製された状態で物理的に分離された個別のチャンク(すなわち、挽き肉の小片および粒)を有し得る。これらの個別の粒は、最終容器においてグレイビー状の液体中に存在し得る。給餌の際に、チャンクおよびグレイビー製品は、缶から流れ出て、他の乾燥製品と容易に混合することができる。チャンクおよびグレイビー製品は、個々の成分のより良好な一体性を可能にするが、チャンクおよびグレイビー製品の不均一な配合は、消費者に嫌われることもある。ウェットフード組成物は概して、缶状容器にパッケージングすることができ、それに含まれる水分のために外観上「湿潤」とみなされる。或る特定の非限定的な実施形態は、「グラウンドローフ」として知られるタイプの湿潤組成物を含み得る。ローフ製品は通例、構成成分の混合物を加熱下で接触させ、「グラウンドローフ」としても知られる、概ね均一なセル内ハニカム(intracellular honeycomb)状の塊を作製することによって調製される。次いで、グラウンドローフ塊を缶等の円筒状容器にパッケージングする。充填後に、グラウンドローフは容器の形となり得るため、コンパニオンアニマルに与える際にグラウンドローフを切る必要がある。ウェットフード組成物をパッケージングすることができる。このようにして、消費者はパッケージから飼料製品中の成分を特定し、それが対象となる特定のペットに適しているか確認することができる。パッケージは金属、プラスチック、紙またはカードであり得る。
【0056】
本明細書で使用される場合、「ドライフード組成物」に見られるような「ドライフード」という用語は、飼料組成物の総重量に対して12質量%未満の含水率、一般に飼料組成物の総重量に対してさらには7質量%未満の含水率を有する飼料または組成物を指すことができる。或る特定の実施形態では、本開示によるドライフードは、最大で12質量%の含水率を有する。幾つかの実施形態では、ドライフードは7%以下、例えば5質量%の含水率を有する。或る特定の実施形態では、ドライフードは、飼料組成物の総重量に対して3質量%超の含水率を有する。例えば、本明細書で提供される例では、飼料組成物の総重量に対して9.5質量%の含水率を有するドライフードを例示する。或る特定の実施形態では、ドライフードはキッブルを含み得る。例えば、限定されるものではないが、キッブルとしては、粒状物;ペレット;ペットフードの小片、脱水肉、代替肉、野菜およびそれらの組合せ;ならびに肉または野菜のジャーキー、ローハイド(rawhide)およびビスケット等のペット用スナックが挙げられる。ドライフード組成物は、成分を混合し、混練して、加熱調理され得る粘稠性のドウ(consistent dough)を作製することによって製造することができる。概して、これは押出工程に続く乾燥工程を含むプロセスの最終生成物であり得る。幾つかの実施形態によると、これは押出工程に続くコーティング工程を含むプロセスの最終生成物であり得る。
【0057】
ドライフードを作製するプロセスは、焼成および/または押出によって行うことができる。ドウを通例、成分の加熱調理に加圧蒸気または熱水を用いるエキスパンダーおよび/または押出機と呼ばれる機械に投入する。押出機内でドウは超高圧および高温を受ける。次いで、ドウをダイ(特定のサイズおよび形状の穴)に押し通した後、ナイフを用いて切断することができる。膨らんだドウ片を乾燥機に通し、摂取されるまでの飼料の安定性を確実にする規定の目標値まで水分を低下させることでキッブルにする。次いで、キッブルに脂肪、油、ミネラル、ビタミン、天然抽出物のカクテルを噴霧し、任意にパッケージに密封することができる。ドライフード組成物をパッケージングすることができる。このようにして、消費者はパッケージから飼料製品中の成分を特定し、それが対象となるペット、例えばイヌに適しているか確認することができる。パッケージは金属、プラスチック、紙またはカードであり得る。
【0058】
本明細書で使用される場合、「セミモイストフード」または「セミモイストフード組成物」という用語は、飼料組成物の総重量に対して約12質量%~約30質量%の中間含水率を有する飼料組成物を指すことができる。したがって、かかるセミモイストフード組成物は、ドライフードとウェットフードとの中間の含水率値を可能にするプロセスの最終生成物であり得る。幾つかの非限定的な実施形態では、プロセスは湿潤剤を添加する工程を含み得る。幾つかの実施形態では、プロセスは押出工程およびその後の過熱蒸気(「SHS」)による処理工程を含む。幾つかの実施形態では、本開示によるセミモイストフードは、飼料組成物の総重量に対して12質量%超かつ最大で30質量%の水分を含有する。或る特定の非限定的な実施形態では、セミモイストフード組成物は、飼料組成物の総重量に対して11質量%~25質量%の水分および/または0.64~0.75の水分活性を有する。
【0059】
本明細書で使用される場合、「栄養上限」は、科学的データに基づいて、健常なペット、特に健常なイヌおよびネコにおける有害事象と関連付けられていない完全ペットフード中の成分の最大レベルである。健常なペットにおける有害事象は、欧州ペットフード工業連合のガイドラインに基づき得る。加えて、栄養添加物(すなわち、微量元素およびビタミンD)として添加される場合、幾つかの成分についての最大許容レベルが立法者によって決定されている(法定最大値)。これらは、飼料中の添加物に関する議会および理事会規則1831/2002/ECに準じて飼料添加物の共同登録簿に記載されている。法定最大レベルは、全てのライフステージに適用される(飼料添加物のEU登録簿と併せたEU規則1831/2003)。
【0060】
栄養ニーズを特徴付ける方法および飼料製品を選択する方法
図1Aに、動物の栄養ニーズを特徴付ける方法に関する第1の実施形態を示す。或る特定の非限定的な実施形態では、本方法は、動物の種、活動レベル、病歴、品種、繁殖状況、給餌方法、年齢、性別、卵巣摘出または去勢状況、食餌スケジュール、生体サンプルからの生物学的値、身体状態、健康状態、ライフスタイル、被毛情報、危険因子、体重から選択される複数の基準を含む動物プロファイル110を提供すること;各動物基準に対する主要成分のリストを含む第1のデータベース120を提供することであって、主要成分の各々が、最小量および/または最大量および/または目標量によって定義される量の範囲、ならびに各範囲について、第1のデータベースにリスト化される他の主要成分の重要性と比較した成分の重要性を提供する評定に割り当てられること;動物プロファイル130および第1のデータベースを処理し、それにより動物の栄養プロファイル140を提供することを含み得る。
【0061】
複数の基準の一部または全部を重み係数と関連付けることができる。かかる「重み係数」または「重み付け係数」は、データ点(この場合、所与の動物基準または動物基準の群に関連付けられる一連の栄養推奨)に対し、別のデータ点またはデータ点の群(すなわち、別の所与の動物基準または動物基準の群に関連付けられる一連の栄養推奨)と比べて軽いまたは重い重要性を割り当てるために与えられる重みである。
【0062】
群の成員により低い(またはより高い)重要性を与えるために、重み係数を用いて加重平均を計算することができる。したがって、或る特定の非限定的な実施形態は特に、一部または全てが重み係数と関連付けられる複数の基準を含む動物プロファイルを提供する工程;第1のデータベース120から各動物基準に対する主要成分のリストを抽出する工程であって、主要成分の各々が、最小量および/または最大量および/または目標量によって定義される量の範囲、ならびに各範囲について、第1のデータベース120にリスト化される他の主要成分の重要性と比較した成分の重要性を提供する評定に割り当てられる工程;動物プロファイルおよび第1のデータベースを処理し、それにより動物の栄養プロファイルを提供する工程を含み得る、動物の栄養ニーズを特徴付ける方法に関する。一実施形態によると、このため、複数の基準から1つ以上が、動物プロファイルについて考慮される1つ以上の他の動物基準よりも優先され得る。したがって、かかる一実施形態によると、優先される1つ以上の動物基準により、優先されない動物基準を却下することができる。図1Bに、動物に対して飼料製品を選択する方法に関する第2の例示的な実施形態を示す。或る特定の非限定的な実施形態では、本方法は、動物の栄養ニーズを特徴付ける上述の方法に従って動物の栄養プロファイル160を提供することと、各々が既製の飼料製品を構成する主要成分の個々の含有量によって特徴付けられる、複数の既製の飼料製品を含む第2のデータベース170を提供することと、栄養プロファイルに基づいて第2のデータベース180から少なくとも1つの既製の飼料製品を選択することと、選択された既製の飼料製品185をランク付けすることと、選択された既製の飼料製品に基づく推奨190を提供することとを含み得る。推奨190は、ユーザが推奨されたものを購入するのを助け、かつ/または購入の可能性がある飼料製品を決定するために、一部、ユーザディスプレイまたはグラフィカルユーザインタフェースにさらに表示することができる。飼料製品は、任意の既知の動物飼料またはペットフードであり得る。
【0063】
有利には、第1および第2の実施形態を組み合わせることができる。したがって、或る特定の非限定的な実施形態は、動物に対して飼料製品を選択する方法にも関する。或る特定の非限定的な実施形態では、本方法は、動物の種、活動レベル、病歴、品種、繁殖状況、給餌方法、年齢、性別、卵巣摘出または去勢状況、食餌スケジュール、生体サンプルからの生物学的値、身体状態、健康状態、ライフスタイル、被毛情報、危険因子、体重から選択される複数の基準を含む動物プロファイル110を提供すること;第1のデータベース120から各動物基準に対する主要成分のリストを抽出することであって、主要成分の各々が、最小量および最大量によって定義される範囲、ならびに各範囲について、第1のデータベースにリスト化される他の主要成分の重要性と比較した成分の重要性を提供する評定に割り当てられること;動物プロファイルおよび第1のデータベース130を処理し、それにより動物の栄養プロファイル140を提供すること;各々が既製の飼料製品を構成する主要成分の個々の含有量によって特徴付けられる複数の既製の飼料製品を第2のデータベース170から抽出すること;栄養プロファイルに基づいて第2のデータベース180から少なくとも1つの既製の飼料製品を選択すること;選択された既製の飼料製品185をランク付けすること;選択された既製の飼料製品190に関する推奨を提供することを含み得る。
【0064】
或る特定の非限定的な実施形態では、本方法は、栄養プロファイルに基づいて第2のデータベースから複数の既製の飼料製品を選択することができる。或る特定の非限定的な実施形態では、既製の飼料製品は市販品である。例示的な一実施形態では、本明細書に記載される方法は、栄養学的に完全である。或る特定の非限定的な実施形態では、既製の飼料製品はドライフード製品、ウェットフード製品、セミモイストフード製品、おやつ、機能性食餌補強剤(「FME」)を含む群から選択される。或る特定の非限定的な実施形態では、動物はペットである。或る特定の非限定的な実施形態では、動物はイヌまたはネコである。
【0065】
或る特定の非限定的な実施形態では、身体状態を示す1つ以上の値は、動物の品種、動物の年齢、動物の実際の体重、動物の目標体重、動物のBCS、動物の活動、動物のライフスタイル、動物の性的状態、動物の妊娠状態を含む群から選択される。
【0066】
或る特定の非限定的な実施形態では、動物はネコであり、健康状態を示す1つ以上の値は、以下の群から選択することができる:体重減少後、過体重、肥満、変形性関節症、運動性危険因子、慢性腎臓病(CKD)ステージIもしくはII、CKDステージIIIもしくはIV、タンパク尿、ストルバイト結石溶解、ストルバイト結石予防、CaOx予防、CaP予防、特発性膀胱炎、皮膚および被毛不良、アトピー、非飼料関連皮膚障害、歯石、急性もしくは慢性下痢、急性もしくは慢性嘔吐、胃炎、腸炎、大腸炎、消化不良、吸収不良、糖尿病、膵炎、膵外分泌機能不全(「EPI」)、ならびに/または高脂血症。
【0067】
或る特定の非限定的な実施形態では、動物はイヌであり、健康状態を示す1つ以上の値は、体重減少後、過体重、肥満、変形性関節症、運動性危険因子、CKDステージIまたはII、CKDステージIIIまたはIV、タンパク尿、ストルバイト結石溶解、ストルバイト結石予防、CaOx予防、CaP予防、特発性膀胱炎、皮膚および被毛不良、アトピー、非飼料関連皮膚障害、歯石、急性または慢性下痢、急性または慢性嘔吐、胃炎、腸炎、大腸炎、消化不良、吸収不良、糖尿病、膵炎、膵外分泌機能不全(EPI)、高脂血症、食物有害反応を含む群から選択される。
【0068】
或る特定の非限定的な実施形態では、健康状態を示す1つ以上の値は、急性大腸炎、急性嘔吐もしくは下痢、急性肝炎、急性腎傷害(AKI)、急性膵炎、食物有害反応(AFR)、食物有害反応(AFR)疑い/除去食チャレンジ、無食欲症、抗生物質反応性腸症(ARE)/小腸内細菌異常増殖症(SIBO)、アトピー性皮膚炎(アトピー)、慢性腎臓病(CKD)IRISステージ2、慢性腎臓病(CKD)IRISステージ3、慢性腎臓病(CKD)IRISステージ4、悪液質、胆管炎/肝胆管炎、慢性不安、慢性大腸炎、慢性嘔吐もしくは下痢、慢性腸症(食事およびステロイド反応性を含む)、慢性肝炎、慢性特発性大腸疾患(CILBD)、慢性膵炎、中等度慢性膵炎(適度な脂肪制限が許容される)、重度慢性膵炎(著しい脂肪制限が必要とされる)、慢性心臓弁膜症(CVHD)、高血圧を伴う慢性腎臓病(CKD)、タンパク尿を伴う慢性腎臓病(CKD)、鬱血性心不全(CHF)、便秘(軽度/中等度)、銅蓄積症、皮膚食物有害反応(AFR)、胃排出遅延、歯垢、皮膚炎/皮膚症、糖尿病(DM)、拡張型心筋症(DCM)、食欲不振(Dysrexia)、慢性腎臓病(CKD)IRISステージ1、膵外分泌機能不全(EPI)、ネコ科動物の肝リピドーシス、ネコ科動物の特発性膀胱炎(FIC)、ネコ科動物の三重炎(腸炎および/または肝胆管炎および/または膵炎)、繊維反応性大腸炎(ストレス性下痢を含む)、ノミ刺傷アレルギー性皮膚炎、胃拡張捻転(再発予防)、胃炎、胃腸食物有害反応(AFR)、高繊維含量を必要とする胃腸病態、歯肉炎、糸球体腎炎、毛玉管理、肝性脳症、高脂血症(軽度/中等度)、高脂血症(重度)、高血圧、甲状腺機能亢進症肥大型心筋症(HCM)、甲状腺機能低下症、ステロイド反応性腸症(SRE)/炎症性腸疾患(IBD)、腎異形成、肝不全、リンパ管拡張症、消化不良・吸収不良、巨大結腸(非閉塞性)、巨大食道、新生物(癌)、肥満BCS 7(9中)、肥満BCS 8(9中)、肥満BCS 9(9中)、便秘(重度)/腸閉塞(再発予防)、食道炎、変形性関節症、骨軟骨炎、過体重BCS 6(9中)、肛門周囲瘻孔、歯周病、多発性嚢胞腎(PKD)、門脈体循環シャント(PSS)、タンパク喪失性腸症(PLE)、タンパク喪失性腎症(PLN)、タンパク尿、膿皮症/化膿性皮膚炎(Pyodermatitis)、吐き戻し、サルコペニア、自己誘発性脱毛症、歯石、低体重BCS 1(9中)、低体重BCS 2(9中)、低体重BCS 3(9中)、尿路感染症(UTI)/ストルバイト予防、シュウ酸カルシウム尿石症(疾患管理)、シスチン尿石症、ストルバイト尿石症(溶解/疾患管理)、尿酸塩尿石症、心臓病の傾向、消化管過敏症、毛玉の傾向、骨関節過敏症、シュウ酸カルシウム尿石症の傾向、皮膚および被毛過敏症、ストレスおよび不安の傾向、ストルバイト尿石症の傾向、歯石の傾向、体重増加の傾向、体重減少後/再増加の予防、ならびに/または低体重の傾向を含む群から選択される。
【0069】
第1のデータベース220は、各動物基準に対する主要成分のリストを含むデータベースを参照することができる。主要成分は、最小量および/または最大量および/または目標量によって定義される量の範囲に割り当てることができる。各範囲について、成分の重要性を提供する評定を第1のデータベース220にリスト化される他の主要成分の重要性と比較することができる。
【0070】
或る特定の非限定的な実施形態による主要成分の非包括的リストを表3~5および7~9に提示する。リスト化された主要成分の各々に対応する最小量および最大量によって規定される範囲の非包括的リストも表3~5および7~9に提示する。かかる範囲は、維持エネルギー要求量(MER)の形で表すことができる。
【0071】
このため、本明細書で定義される「範囲」は、少なくとも最小量および最大量を含み、特定の一実施形態によると、各範囲は、表3~5および7~9にさらに提示される「目標」量にさらに関連付けられる。
【0072】
「目標」量は、科学的証拠に関連付けられた量からなり得る。目標は、飼料製品もしくは飼料組成物、またはさらには市販の飼料製品のポートフォリオ(すなわち、RoyalCanin(著作権) Portfolio)等の第2のデータベースからの複数の飼料製品もしくは組成物の選択において見出される目標値または最大値もしくは最小値であってもよい。正確な証拠がない場合、または証拠が閾値のみに基づく場合、「最適目標」を生成することができる。
【0073】
例えば、かかる「目標」量は、特定の栄養プロファイルに関連付けられた最小量と最大量との間に含まれる量として定義することができる。幾つかの実施形態によると、目標量は最小量または最大量に等しい。
【0074】
このため、最小量、最大量および/または目標量は、第2のデータベース230に属する複数の既製の飼料製品からの複数の値であり得る複数の値から平均または中央値等の個別の値を参照することにより第1のデータベース220において定義することができる。このため、一実施形態によると、量の範囲は、最小量および最大量および目標量によって定義される。一実施形態によると、量の範囲は、最小量および目標量によって定義される。一実施形態によると、量の範囲は、最大量および目標量によって定義される。目標量の計算のための非限定的な実施形態を以下に記載する。
【0075】
下記表1において、xは、定義された特定の値を表すことができ、nullは、定義された値がないことを表すことができ、maxFは、RoyalCanin(登録商標) Portfolio(ネコまたはイヌの種に対する)等の既製の飼料製品のデータベースにおいて見出された最大値を表すことができ、MinFは、RoyalCanin(登録商標) Portfolio等の既製の飼料製品のデータベースにおいて見出された最小値を表すことができる。
【0076】
【表2】
【0077】
各主要成分について、最大量(max)、最小量(min)、目標量、および他の主要成分の重要性と比較した成分の重要性を提供する評定が得られる。2つのフィールドは例えば、最小量、最大量および/または目標量の少なくとも1つから選択される第1のフィールド、ならびに評定である第2のフィールドを含み得る。この2つのフィールドは例えば、各主要成分について少なくとも1つの目標量および1つの評定を含む。
【0078】
1つ以上の成分の重要性を提供する評定は、栄養プロファイルに基づいて、第1のデータベース220にリスト化される1つ以上の他の主要成分の評定と比較することができる。或る特定の非限定的な実施形態では、評定は、個体生理学的プロファイルの内容および/または個体病理学的プロファイルの内容および/または動物プロファイルによってさらに調整することができる。
【0079】
或る特定の実施形態によると、生理学的または病理学的または動物プロファイルは、矛盾する推奨に部分的にまたは完全に関連付けられた特性に基づいて決定することができ、その場合、割り当てられた評定は、アルゴリズムによって相応に調整される。このため、評定を調整する特定の方法は、動物プロファイルまたは栄養プロファイルに基づいて最適プロファイルを生成することによって達成することができる。
【0080】
或る特定の実施形態によると、第1のデータベース220からの1つ以上の主要成分の最小量、最大量、目標量および/または評定を調整することによって最適プロファイルが生成される。或る特定の実施形態によると、1つ以上の動物基準が他のものよりも優先され得る。代替的には、最適プロファイルを生成するために全ての基準を考慮することができる。
【0081】
有利には、最適プロファイルからの目標値および重み係数を用いて、第2のデータベース230からの既製の飼料製品をランク付けすることもできる。例えば、最適プロファイルからのmin、maxおよび重みを全体のカバレッジ率および基準の製品のカバレッジ率の計算において用いることができる。
【0082】
或る特定の非限定的な実施形態では、第2のデータベース230は、各々が既製の飼料製品を構成する主要成分の個々の含有量によって特徴付けられる複数の既製の飼料製品を含む。第2のデータベース230に格納され得る動物飼料またはペットフード等の飼料製品の幾つかの例は、https://www.royalcanin.com/fr/cats/products/retail-products、https://www.royalcanin.com/fr/cats/products/vet-products、https://www.royalcanin.com/fr/dogs/products/retail-products、https://www.royalcanin.com/fr/dogs/products/vet-products、https://www.petsmart.com/dog/food/dryfood/#page_name=flyout&category=dog&cta=dryfood、https://www.zooplus.fr/shop/chiens/croquettes_chienおよび/またはhttps://www.chewy.com/に見ることができる。
【0083】
有利には、或る特定の非限定的な実施形態は、第2のデータベース230から複数(すなわち、2つ以上)の飼料製品を選択することができる。幾つかの非限定的な実施形態では、選択された既製の飼料製品をランク付けすることができる。一実施形態では、本明細書に記載される方法は、選択された既製の飼料製品をランク付けする工程を含む。選択された既製の飼料製品をランク付けする工程は、選択された既製の飼料製品の1つ以上に栄養プロファイルに基づく品質係数を割り当てた後、第2のデータベースの非選択飼料製品を参照することにより、第2のデータベースの選択された既製の飼料製品を品質係数に基づいてランク付けすること、および/または選択された既製の飼料製品の1つ以上に栄養プロファイルに基づく品質係数を割り当てた後、異なるデータベースの非選択飼料製品を参照することにより、第2のデータベースの選択された既製の飼料製品を品質係数に基づいてランク付けすることによって達成することができる。
【0084】
一実施形態では、本明細書に開示される方法は、選択された既製の飼料製品に関する飼料推奨を提供する工程を含む。一実施形態では、選択された既製の飼料製品に関する推奨を提供する工程は、選択された既製の飼料製品の1つ以上に栄養プロファイルに基づく推奨を割り当てることによって達成することができる。この推奨は、非包括的に、動物の既知の栄養ニーズを満足させるか、または満たすようである成分または飼料構成成分の摂取レベルに関する推奨を含み得る。
【0085】
図3Aに、或る特定の非限定的な実施形態による、動物の栄養プロファイルを決定する方法またはプロセス300を示す。或る特定の非限定的な実施形態では、本方法は、310に示すように、1つ以上の基準を含む動物プロファイルを提供することを含み得る。1つ以上の基準は、例えば動物の種、活動レベル、病歴、品種、繁殖状況、給餌方法、年齢、性別、卵巣摘出もしくは去勢状況、食餌スケジュール、生体サンプルからの生物学的値、身体状態、健康状態、ライフスタイル、被毛情報、危険因子または体重を含み得る。320に示すように、成分リストは、第1のデータベースから抽出することができる。成分リストを各動物基準と関連付けることができる。成分の各々に量の範囲を割り当てることができる。量の範囲は、例えば最小量、最大量および/または目標量の少なくとも1つを含み得る。或る特定の非限定的な実施形態では、1つ以上の成分に対して評定を提供することができる。評定は例えば、第1のデータベースにリスト化される1つ以上の他の成分の重要性と比較した所与の成分の重要性と関連付けることができる。幾つかの非限定的な実施形態では、栄養プロファイルは、330に示すように、動物プロファイルおよび成分リストに基づいて決定することができる。この決定は、様々な因子に基づき、多数の方法で行うことができる。或る特定の実施形態では、複数の栄養基準を生成し、各基準に基準値を割り当てる。次いで、これらの栄養基準の各々を複数の動物基準に関連する成分のリストと比較することができる。各基準には、さらにまたは代替的に、どの基準を他よりも優先させるべきかを示す優先順位付け値を割り当てることができる。最後に、成分リスト、基準値および優先順位付け値の組合せに基づいて栄養プロファイルを計算または表示することができる。栄養プロファイルをさらにユーザディスプレイに出力するか、または他の形でエクスポートすることができる。
【0086】
図3Bに、或る特定の非限定的な実施形態による、動物に対して少なくとも1つの既製の飼料製品を選択する方法またはプロセス350を示す。或る特定の非限定的な実施形態では、方法またはプロセスは、工程360に示すように、動物の特徴付けられた栄養ニーズに基づいて動物の栄養プロファイルを提供することを含み得る。工程370では、方法は、第2のデータベース370から既製の飼料製品等の1つ以上の飼料製品を抽出することを含み得る。飼料製品の各々を、既製の飼料製品に含まれる成分によって特徴付けることができる。380に示すように、少なくとも1つの既製の飼料製品を、栄養プロファイルに基づいて第2のデータベースから選択することができる。選択された既製の飼料製品を工程385においてランク付けすることができ、かつ/または選択された既製の飼料製品に基づいて工程390において推奨を提供することができる。推奨は例えば、ユーザディスプレイまたはグラフィカルユーザインタフェースにさらに表示することができる。或る特定の非限定的な実施形態では、ユーザは推奨される飼料製品を購入することができる。
【0087】
デバイス、コンピュータシステム、装置、ならびにコンピュータに実装された方法および媒体
或る特定の非限定的な実施形態では、提供される方法は、コンピュータに実装された方法ではない。代替的には、一実施形態では、提供される方法は、コンピュータに実装された方法である。したがって、幾つかの実施形態では、動物の栄養ニーズを特徴付け、かつ/または上記動物に対して飼料製品を選択するための提供される方法は、オフラインで、すなわち、コンピュータ支援システム等のデバイスによって制御されずに、または代替的にはオンラインで、すなわち、栄養ニーズを特徴付け、動物に対して飼料製品を選択するのに適しており、方法の工程を実行するように構成されるか、もしくはそのように適合された手段を有するデバイスを含むもの等のコンピュータ支援システムによって制御されて、または代替的にはオフラインおよびオンラインの両方で達成することができる。
【0088】
したがって、幾つかの非限定的な実施形態は、或る特定の非限定的な実施形態の方法の工程を実行するように構成されるか、またはそのように適合された手段を有する、動物の栄養ニーズを特徴付け、かつ/または動物に対して飼料製品を選択するデバイスに関する。
【0089】
他の非限定的な実施形態は、先の請求項によるデバイスに或る特定の非限定的な実施形態の方法の工程を実行させるための命令を含むコンピュータプログラムに関する。
【0090】
他の非限定的な実施形態は、上記のコンピュータプログラムが格納されたコンピュータ可読ストレージ媒体に関する。かかるコンピュータ可読媒体は、1ないし複数のデータベースで構成され得る1ないし複数のデータセットを含むデータの集合の物理的実施形態を含むことができる。かかるデータが格納された媒体をさらに含むことができる。かかるコンピュータ可読媒体は、2つ以上の媒体を含んでいてもよいが、このような場合には媒体が機能的に連結する。
【0091】
或る特定の非限定的な実施形態によるコンピュータ支援システムは通例、入力データの入力を可能にする1つ以上のユーザインタフェース210を含む。かかる入力データは例えば、1つ以上のデータベース、例えば或る特定の非限定的な実施形態による方法の一部である第1および第2のデータベースの全部または一部をユーザによって提供する手段を含むことができる。
【0092】
有利には、かかるデバイスは、第2のデータベースから選択された既製の飼料製品を提供および/または製造するようにさらに構成され得る。さらに、デバイスは、選択された既製の飼料製品が外部ウェブサイトから購入されるように構成することができる。
【0093】
或る特定の非限定的な実施形態では、かかる製造は、部分的または全体的に、栄養配合に最も適合または一致するように既存の選択肢の範囲、例えば既存のペットフード製品ラインからのコンピュータ支援システムの拡張機能の制御下にあり、かつ/またはそれによって駆動することができる。
【0094】
幾つかの非限定的な実施形態は、デジタル電子回路、または図2に示すような本明細書に開示される構造およびそれらの構造的等価物を含む、コンピュータソフトウェア、ファームウェアもしくはハードウェア、またはそれらの1つ以上の組合せにおいて実行することができる。或る特定の非限定的な実施形態は、1つ以上のコンピュータプログラム製品、すなわち、データ処理装置による実行またはその操作の制御のためにコンピュータ可読媒体に符号化されたコンピュータプログラム命令の1つ以上のモジュールとして実装することができる。コンピュータ可読媒体は、機械可読ストレージデバイス、機械可読ストレージ基板、メモリデバイス、機械可読伝搬信号を生じさせる合成物、またはそれらの1つ以上の組合せであり得る。「データ処理装置」という用語は、データを処理するための全ての装置、システム、例えばコンピュータシステム200、デバイスおよび機械を包含し、例としてはプログラマブルプロセッサ、コンピュータ、または複数のプロセッサもしくはコンピュータが挙げられる。装置は、ハードウェアに加えて、当該コンピュータプログラムの実行環境を構築するコード、例えばプロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、またはそれらの1つ以上の組合せを構成するコードを含み得る。伝搬信号は、人工的に生成された信号、例えば機械により生成された電気、光または電磁信号であり、情報を好適な受信装置に送信するために符号化するように生成される。
【0095】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプトまたはコードとしても知られる)は、コンパイル型またはインタプリタ型言語を含む任意の形式のプログラム言語で書くことができ、例えばスタンドアロンプログラム、またはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、またはコンピュータ環境での使用に適した他のユニットとして任意の形式で展開することができる。コンピュータプログラムは、必ずしもファイルシステム内のファイルに対応するものではない。プログラムは、他のプログラムまたはデータ(例えば、マークアップ言語文書に格納された1つ以上のスクリプト)を保持するファイルの一部、当該プログラム専用の単一ファイル、または複数の協調ファイル(例えば、1つ以上のモジュール、サブプログラムまたはコードの一部を格納するファイル)に格納することができる。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータで、または1つのサイトに配置されるか、もしくは複数のサイトに分散され、通信ネットワークによって相互接続される複数のコンピュータで実行されるように展開することができる。
【0096】
コンピュータは別のデバイス、例えば数例を挙げると、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、携帯オーディオプレーヤー、全地球測位システム(GPS)受信機に組み込むことができる。コンピュータプログラム命令およびデータを格納するのに適したコンピュータ可読媒体は、不揮発性メモリ、媒体およびメモリデバイスの全ての形式を含み、例としては半導体メモリデバイス、例えばEPROM、EEPROMおよびフラッシュメモリデバイス;磁気ディスク、例えば内部ハードディスクまたはリムーバブルディスク;光磁気ディスク;ならびにCD-ROMおよびDVD-ROMディスクが挙げられる。
【0097】
ユーザとの相互作用を提供するために、或る特定の非限定的な実施形態は、ユーザに情報を表示するためのディスプレイデバイス、例えばCRT(ブラウン管)またはLCD(液晶ディスプレイ)モニタと、ユーザがコンピュータに入力を行うことができるキーボードおよびポインティングデバイス、例えばマウスまたはトラックボールとを有するコンピュータで実行することができる。他の種類のデバイスもユーザとの相互作用を提供するために用いることができる。例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形態の感覚フィードバック、例えば視覚フィードバック、聴覚フィードバックまたは触覚フィードバックとすることができ、ユーザからの入力は、音響、音声または触覚入力を含む任意の形態で受け取ることができる。
【0098】
或る特定の非限定的な実施形態では、ディスプレイおよび/またはユーザインタフェースは、相応して生成された1つ以上の推奨を表示するように構成することができる。ディスプレイまたはユーザインタフェースは、推奨および/または既製の飼料製品のランク付けに基づいて購入指示を表示し、ユーザまたは他の外部デバイスが飼料製品の購入要求を提出することを可能にするように構成することもできる。ディスプレイまたはユーザインタフェースは、飼料製品の1つ以上の購入要求に対する出荷情報を表示するように構成することもできる。
【0099】
或る特定の非限定的な実施形態は、バックエンドコンポーネント、例えばデータサーバを含むか、またはミドルウェアコンポーネント、例えばアプリケーションサーバを含むか、またはフロントエンドコンポーネント、例えばユーザの或る特定の非限定的な実施形態との相互作用を可能にするグラフィカルユーザインタフェースもしくはウェブブラウザを有するクライアントコンピュータ、または1つ以上のかかるバックエンド、ミドルウェアもしくはフロントエンドコンポーネントの任意の組合せを含む計算システムで実行することができる。システムのコンポーネントは、デジタルデータ通信の任意の形態または媒体、例えば通信ネットワークによって相互接続することができる。通信ネットワークの例としては、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)およびワイドエリアネットワーク(「WAN」)、例えばインターネットが挙げられる。
【0100】
或る特定の非限定的な実施形態は、推奨される飼料製品またはランク付けに含まれる他の製品の購入に使用することができる。購入は、システムで自動的に行うことができ、またはそうでなければ外部コンピュータもしくはユーザ等の外部ソースによって開始され得る。幾つかの非限定的な実施形態では、システムは、推奨された飼料製品またはランク付けされた飼料製品のいずれかの購入要求を提出することができる。さらに、或る特定の非限定的な実施形態による方法は、1つ以上の購入要求に対する出荷情報を表示することを含み得る。
【0101】
或る特定の非限定的な実施形態では、アルゴリズムは、栄養プロファイル140を提供すること、選択された既製の飼料製品185をランク付けすること、および/または選択された既製の飼料製品190から推奨を提供することの1つ以上に使用することができる。飼料製品185/190は、本明細書に記載のまたは当該技術分野で既知の任意のペットフードまたは動物飼料であり得る。例えば、アルゴリズムは初めに複数の栄養基準を生成することができる。複数の栄養基準の各々に基準重み値を割り当てることができる。次いで、基準の各々を第1のデータベース220内に格納された成分または他の因子と比較することができ、かつ/または優先順位付け値を複数の基準の各々に割り当てることができる。次いで、或る特定の優先順位付け値より上に位置する基準を用いて栄養プロファイルを計算する。各基準は、複数の潜在的な成分のmin、max、目標および重み値をさらに含む。
【0102】
第1のデータベース220を用いて栄養基準を生成した後、アルゴリズムにより、第2のデータベース230から選択された既製の飼料製品をランク付けし、かつ/または選択された既製の飼料製品から推奨を提供することができる。第2のデータベースは、複数の既製の飼料製品を含むことができ、複数の既製の飼料製品の各々が複数の成分をさらに含む。アルゴリズムにより、複数の成分の各々のリストを生成し、各基準についての複数の潜在的な成分のmin、max、目標および重み値の各々と比較することができる。各製品について、複数の成分の各々のmin、max、目標および重み値と比べた製品の各成分の比較に基づいて栄養スコアを生成することができる。次いで、各製品中の複数の成分と比較した複数の基準に基づいて製品をランク付けすることができる。或る特定の非限定的な実施形態では、アルゴリズムにより製品のランク付けに基づいて推奨を生成することができる。
【0103】
或る特定の非限定的な実施形態は、機械学習システムまたはモデルを用いて栄養プロファイルを生成し、選択された既製の飼料製品をランク付けし、かつ/または選択された既製の飼料製品から推奨を決定するためのシステム、方法、媒体およびそれらの組合せを提供する。上で論考されるアルゴリズムは例えば、本明細書に記載される機械学習モデルのいずれかの形をとることができる。幾つかの非限定的な実施形態では、機械学習モデルまたはツールは、K近傍法(KNN)、ナイーブベイズ(NB)、決定木もしくはランダムフォレスト、サポートベクターマシン(SVM)、深層学習モデル、例えば畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、領域ベースCNN(RCNN)、一次元(1-D)CNN、リカレントニューラルネットワーク(RNN)、または任意の他の機械学習モデルまたは技法であり得る。機械学習システムまたはツールは、栄養プロファイル140を決定し、飼料製品185をランク付けし、かつ/または飼料製品を推奨するように訓練することができる。或る特定の非限定的な実施形態では、機械学習システムまたはモデルを、システムまたはモデルが成分と対応する栄養基準との間の相関を決定することができるように、成分リストおよび対応する栄養基準を用いて訓練することができる。システムまたはモデルは、成分リストと一連の栄養基準とを比較して、所定の一連の栄養基準を満たす飼料製品を決定するように訓練することができる。他の非限定的な実施形態では、システムまたはモデルは、動物またはペットの栄養プロファイルに基づいて1つ以上の飼料製品を推奨するように訓練することができる。
【実施例
【0104】
実施例1
病気の成体去勢イヌの栄養プロファイル
本実施例では、個体生理学的プロファイルおよび個体病理学的プロファイルが以下のように提供された成体イヌについて考察する:
【0105】
【表3】
【0106】
イヌの個体プロファイルに基づき、以下にライフステージ、危険因子および/または疾患等の各一般的基準について栄養プロファイル(または栄養推奨)を提供する。
【0107】
【表4】
【0108】
【表5】
【0109】
【表6】
【0110】
値範囲を割り当てた成分名のみを上述の表に定義した。この場合、同じ成分に関連付けられた過体重および肥満状態の存在のために去勢重み値の優先度が下げられる。
【0111】
実施例2
病気の成体非去勢ネコの栄養プロファイル
本実施例では、個体生理学的プロファイルおよび個体病理学的プロファイルが以下のように提供された成体ネコについて考察する:
【0112】
【表7】
【0113】
【表8】
【0114】
【表9】
【0115】
【表10】
【0116】
実施例3
第1のデータベースにおけるランク付けの計算の説明
本実施例は3つの栄養基準から始めることができる。本実施例は本願に従って使用することができる計算モードを単に説明すること以外の目的を有しない。
【0117】
A-ペットの説明:
【0118】
【表11】
【0119】
B-栄養プロファイルの生成に使用される第1のデータベースは以下の表を含む:
【0120】
【表12】
【0121】
Aに記載されるペットの説明に従い、上記3つの栄養基準をアルゴリズムによって呼び出す。
【0122】
【表13】
【0123】
この場合、「基準3」は「基準2」よりも優先される。「基準3」および「基準1」のみが栄養プロファイルの計算に用いられる。
【0124】
C-製品と成分とからなる第2のデータベースは以下の表を含む:
【0125】
【表14】
【0126】
D-最適化モデルにより以下の表のような栄養プロファイルが計算される:
【0127】
【表15】
【0128】
基準1および基準3からのMin、Max、目標および重み値を組み合わせて、本発明者らの最適化アルゴリズムでこのプロファイルを生成する。
【0129】
E-製品のランク付けおよび重み付きカバレッジ率:
Dの栄養プロファイルをCの製品データベースに投影した後、製品は以下のようにランク付けされる:
【0130】
【表16】
【0131】
製品の列は、栄養プロファイルに最も適合する製品の順にランク付けされる。或る特定の非限定的な実施形態では、ランク付けは機械学習モデルまたはツールを用いて行うことができる。
【0132】
実施例4
病気の成体中型犬の栄養プロファイル
本実施例は、単に角疾患に対して2つの基準を用いて、特定の成分の重みまたは重要性を高めることを実証する。基準は例えば、種、品種、去勢状況、出生日、BCS、体重および/または病態もしくは疾患の2つ以上であり得る。本実施例では、以下のような個体生理学的プロファイルおよび個体病理学的プロファイルを有する成体イヌについて考察する:
【0133】
【表17】
【0134】
イヌの個体プロファイルに基づき、ライフステージ、危険因子および疾患等の各一般的基準について栄養プロファイル(または栄養推奨)を提供することができる。
【0135】
【表18】
【0136】
【表19】
【0137】
【表20】
【0138】
値範囲を割り当てた成分名を上述の表に定義することができる。或る特定の非限定的な実施形態では、IRISステージIIの重みは、リン栄養素/成分の重要性に与えられる相加的影響のためにリン(P)が2つの別々の基準に含まれる「4」とすることができる。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
動物の栄養ニーズを特徴付ける方法であって、
a)好ましくは動物の種、活動レベル、病歴、品種、繁殖状況、給餌方法、年齢、性別、卵巣摘出または去勢状況、食餌スケジュール、生体サンプルからの生物学的値、身体状態、健康状態、ライフスタイル、被毛情報、危険因子、体重から選択される複数の動物基準を含む動物プロファイルを提供する工程、
b)各動物基準に対する主要成分のリストを含む第1のデータベースを提供する工程であって、前記主要成分の各々が、(i)好ましくは最小量および/または最大量および/または目標量によって定義される量の範囲、ならびに(ii)各範囲について、前記第1のデータベースにリスト化される他の主要成分の重要性と比較した前記成分の重要性を提供する評定に割り当てられる工程、
c)前記動物プロファイルおよび前記第1のデータベースを処理し、それにより前記動物の栄養プロファイルを提供する工程
を含む、方法。
実施形態2
動物に対して飼料製品を選択する方法であって、
a)実施形態1記載の方法に従って前記動物の栄養プロファイルを提供する工程、
b)複数の既製の飼料製品を含む第2のデータベースを提供する工程であって、各々が、前記既製の飼料製品を構成する主要成分の個々の含有量によって特徴付けられる、第2のデータベースを提供する工程、
c)前記栄養プロファイルに基づいて前記第2のデータベースから少なくとも1つの既製の飼料製品を選択する工程、
d)選択された前記既製の飼料製品をランク付けする工程、
e)前記選択された既製の飼料製品に関する推奨を提供する工程
を含む、方法。
実施形態3
前記複数の動物基準から1つ以上が、前記動物プロファイルについて考慮される1つ以上の他の動物基準よりも優先される、実施形態1または2に記載の方法。
実施形態4
前記栄養プロファイルに基づいて前記第2のデータベースから複数の既製の飼料製品を選択する工程を含む、実施形態2に記載の方法。
実施形態5
工程e)の前記選択された既製の飼料製品をランク付けする工程を含む、実施形態2に記載の方法。
実施形態6
前記選択された既製の飼料製品に関する飼料推奨を提供する工程を含む、実施形態2に記載の方法。
実施形態7
前記既製の飼料製品が市販品である、実施形態1から6までのいずれか1つに記載の方法。
実施形態8
前記既製の飼料製品が栄養学的に完全である、実施形態1から7までのいずれか1つに記載の方法。
実施形態9
前記既製の飼料製品が、ドライフード製品、ウェットフード製品、セミモイストフード製品、おやつ、機能性食餌補強剤(FME)を含む群から選択される、実施形態1から8までのいずれか1つに記載の方法。
実施形態10
前記動物がペットである、実施形態1から9までのいずれか1つに記載の方法。
実施形態11
前記動物がイヌまたはネコである、実施形態10に記載の方法。
実施形態12
身体状態を示す1つ以上の値が、動物の品種、動物の年齢、動物の実際の体重、動物の目標体重、動物のボディコンディションスコア(BCS)、動物の活動、動物のライフスタイル、動物の性的状態、動物の妊娠状態を含む群から選択される、実施形態1から11までのいずれか1つに記載の方法。
実施形態13
前記動物がネコであり、工程a)における健康状態を示す1つ以上の値が、体重減少後、過体重、肥満、変形性関節症、運動性危険因子、慢性腎臓病(CKD)ステージIまたはII、CKDステージIIIまたはIV、タンパク尿、ストルバイト結石溶解、ストルバイト結石予防、CaOx予防、CaP予防、特発性膀胱炎、皮膚および被毛不良、アトピー、非飼料関連皮膚障害、歯石、急性または慢性下痢、急性または慢性嘔吐、胃炎、腸炎、大腸炎、消化不良、吸収不良、糖尿病、膵炎、膵外分泌機能不全(EPI)、高脂血症を含む群から選択される、実施形態1から12までのいずれか1つに記載の方法。
実施形態14
前記動物がイヌであり、工程a)において健康状態を示す1つ以上の値が、体重減少後、過体重、肥満、変形性関節症、運動性危険因子、CKDステージIまたはII、CKDステージIIIまたはIV、タンパク尿、ストルバイト結石溶解、ストルバイト結石予防、CaOx予防、CaP予防、特発性膀胱炎、皮膚および被毛不良、アトピー、非飼料関連皮膚障害、歯石、急性または慢性下痢、急性または慢性嘔吐、胃炎、腸炎、大腸炎、消化不良、吸収不良、糖尿病、膵炎、膵外分泌機能不全(EPI)、高脂血症、食物有害反応を含む群から選択される、実施形態1から13までのいずれか1つに記載の方法。
実施形態15
コンピュータに実装された方法を含む、実施形態1から14までのいずれか1つに記載の方法。
実施形態16
実施形態1から15までのいずれか1つに記載の方法の工程を実行するように適合された手段を有する、動物の栄養ニーズを特徴付け、かつ/または前記動物に対して飼料製品を選択するデバイス。
実施形態17
実施形態16に記載のデバイスに、実施形態1から15までのいずれか1項記載の方法の工程を実行させるための命令を含むコンピュータプログラム。
実施形態18
実施形態17に記載のコンピュータプログラムが格納されたコンピュータ可読媒体。
実施形態19
動物に給餌する非治療的方法であって、実施形態2に記載の方法の工程e)において選択された少なくとも1つの既製の飼料製品を前記動物に投与する工程を含む、方法。
実施形態20
動物の栄養ニーズを特徴付ける方法であって、
1つ以上の動物基準を含む動物プロファイルを提供する工程、
第1のデータベースから、前記1つ以上の動物基準に関連する1つ以上の成分リストを抽出する工程、
抽出された前記成分リストに関連する評定を決定する工程、
前記評定と前記1つ以上の成分リストからの少なくとも1つの成分とを比較する工程、
前記動物プロファイル、前記抽出された成分リストおよび前記抽出された成分リストの評定の少なくとも1つに基づいて前記動物の栄養プロファイルを決定する工程
を含む、方法。
実施形態21
第2のデータベースから飼料製品のリストを抽出する工程、
前記栄養プロファイルに基づいて前記飼料製品のリストから少なくとも1つの飼料製品を選択する工程、
選択された前記飼料製品をランク付けする工程、
前記選択された飼料製品のランク付けに基づいて、推奨される飼料製品を決定する工程
をさらに含む、実施形態20に記載の方法。
実施形態22
前記成分の各々に、最小量、最大量または目標量の少なくとも1つによって定義される範囲量が割り当てられる、実施形態20または21に記載の方法。
実施形態23
前記1つ以上の動物基準が、前記動物の種、活動レベル、病歴、品種、繁殖状況、給餌方法、年齢、性別、卵巣摘出または去勢状況、食餌スケジュール、生体サンプルからの生物学的値、身体状態、健康状態、ライフスタイル、被毛情報、危険因子、体重の少なくとも1つを含む、実施形態20から22までのいずれか1つに記載の方法。
実施形態24
前記栄養プロファイルを決定する工程が、
1つ以上の栄養基準を生成する工程、
前記1つ以上の栄養基準に基準値を割り当てる工程、
前記基準値を前記成分リストと比較する工程、
前記栄養基準、前記成分リストおよび前記基準値の少なくとも1つに基づいて前記栄養プロファイルを計算する工程
をさらに含む、実施形態20から23までのいずれか1つに記載の方法。
実施形態25
前記栄養プロファイルを決定する工程が、
前記1つ以上の栄養基準に優先順位付け値を割り当てる工程、
前記栄養基準、前記成分リスト、前記基準値および前記優先順位付け値の少なくとも1つに基づいて栄養価を計算する工程
をさらに含む、実施形態20から24までのいずれか1つに記載の方法。
実施形態26
推奨される前記飼料製品を、ユーザインタフェースを用いて購入する工程をさらに含む、実施形態20から25までのいずれか1つに記載の方法。
実施形態27
推奨される前記飼料製品を、ユーザインタフェースを用いて出荷する工程をさらに含む、実施形態20から26までのいずれか1つに記載の方法。
実施形態28
前記飼料製品が既製の飼料製品である、実施形態20から27までのいずれか1つに記載の方法。
実施形態29
前記飼料製品が、ドライフード製品、ウェットフード製品、セミモイストフード製品、おやつおよび機能性食餌補強剤を含む群から選択される、実施形態20から28までのいずれか1つに記載の方法。
実施形態30
前記ランク付けする工程が、
前記選択された飼料製品の1つ以上に前記栄養プロファイルに基づく品質係数を割り当てる工程、
前記第2のデータベースの少なくとも1つの非選択飼料製品を参照することにより、前記選択された飼料製品を前記品質係数に基づいてランク付けする工程
さらに含む、実施形態20から29までのいずれか1つに記載の方法。
実施形態31
前記栄養プロファイルに基づいて前記第2のデータベースから1つ以上の飼料製品を選択する工程をさらに含む、実施形態20から30までのいずれか1つに記載の方法。
実施形態32
前記推奨される飼料製品をユーザディスプレイに表示する工程をさらに含む、実施形態20から31までのいずれか1つに記載の方法。
実施形態33
動物の栄養ニーズを特徴付けるシステムであって、
プロセッサと、
記憶装置と、
メモリと、
ディスプレイに示されるユーザインタフェースと、
1つ以上の動物基準に関連する1つ以上の成分リストを含む第1のデータベースと
を含み、
前記メモリが、前記プロセッサによって実行されると、
1つ以上の動物基準を含む動物プロファイルを提供すること、
前記第1のデータベースから前記1つ以上の成分リストを抽出すること、
抽出された前記成分リストに関連する評定を決定すること、
前記評定を前記1つ以上の成分リストからの少なくとも1つの成分と比較すること、
前記動物プロファイルおよび前記1つ以上の成分リストに基づいて前記動物の栄養プロファイルを決定すること
を前記システムに行わせるように構成される命令を含む、
システム。
実施形態34
複数の飼料製品を含む第2のデータベースをさらに含み、前記命令が、
前記第2のデータベースから飼料製品のリストを抽出すること、
前記栄養プロファイルに基づいて前記第2のデータベースから少なくとも1つの飼料製品を選択すること、
選択された前記飼料製品をランク付けすること、
選択された各飼料製品のランクに基づいて、推奨される飼料製品を決定すること
を前記システムに行わせるようにさらに構成される、実施形態33に記載のシステム。
実施形態35
前記命令が、
前記成分の各々に、最小量、最大量および目標量の少なくとも1つを含む範囲量を割り当て、
各範囲量について、前記成分リストに関連する評定を決定する
ようにさらに構成される、実施形態33または34に記載のシステム。
実施形態36
前記1つ以上の動物基準が、前記動物の種、活動レベル、病歴、品種、繁殖状況、給餌方法、年齢、性別、卵巣摘出または去勢状況、食餌スケジュール、生体サンプルからの生物学的値、身体状態、健康状態、ライフスタイル、被毛情報、危険因子、体重の少なくとも1つから選択される、実施形態33から35までのいずれか1つに記載のシステム。
実施形態37
前記ユーザインタフェースが、前記推奨される飼料製品を表示するようにさらに構成される、実施形態34から36までのいずれか1つに記載のシステム。
実施形態38
前記ユーザインタフェースが、前記推奨される飼料製品に基づく購入画面を表示するようにさらに構成される、実施形態34から37までのいずれか1つに記載のシステム。
実施形態39
前記命令が、前記推奨される飼料製品について購入注文を行うようにさらに構成される、実施形態34から38までのいずれか1つに記載のシステム。
実施形態40
前記飼料製品が既製の飼料製品である、実施形態34から39までのいずれか1つに記載のシステム。
実施形態41
前記飼料製品が、ドライフード製品、ウェットフード製品、セミモイストフード製品、おやつおよび機能性食餌補強剤の少なくとも1つである、実施形態34から40までのいずれか1つに記載のシステム。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B