IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル)の特許一覧

特許7535134ビデオビットストリーム内の第1のピクチャを復号する能力の判定
<>
  • 特許-ビデオビットストリーム内の第1のピクチャを復号する能力の判定 図1
  • 特許-ビデオビットストリーム内の第1のピクチャを復号する能力の判定 図2
  • 特許-ビデオビットストリーム内の第1のピクチャを復号する能力の判定 図3
  • 特許-ビデオビットストリーム内の第1のピクチャを復号する能力の判定 図4
  • 特許-ビデオビットストリーム内の第1のピクチャを復号する能力の判定 図5
  • 特許-ビデオビットストリーム内の第1のピクチャを復号する能力の判定 図6
  • 特許-ビデオビットストリーム内の第1のピクチャを復号する能力の判定 図7
  • 特許-ビデオビットストリーム内の第1のピクチャを復号する能力の判定 図8
  • 特許-ビデオビットストリーム内の第1のピクチャを復号する能力の判定 図9
  • 特許-ビデオビットストリーム内の第1のピクチャを復号する能力の判定 図10
  • 特許-ビデオビットストリーム内の第1のピクチャを復号する能力の判定 図11
  • 特許-ビデオビットストリーム内の第1のピクチャを復号する能力の判定 図12
  • 特許-ビデオビットストリーム内の第1のピクチャを復号する能力の判定 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】ビデオビットストリーム内の第1のピクチャを復号する能力の判定
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/70 20140101AFI20240807BHJP
   H04N 19/44 20140101ALI20240807BHJP
   H04N 19/593 20140101ALI20240807BHJP
   H04N 19/172 20140101ALI20240807BHJP
【FI】
H04N19/70
H04N19/44
H04N19/593
H04N19/172
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2022575337
(86)(22)【出願日】2021-06-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-07
(86)【国際出願番号】 SE2021050541
(87)【国際公開番号】W WO2021251878
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】63/036,080
(32)【優先日】2020-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100150670
【弁理士】
【氏名又は名称】小梶 晴美
(74)【代理人】
【識別番号】100194294
【弁理士】
【氏名又は名称】石岡 利康
(72)【発明者】
【氏名】ペッテション, マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ショバーリ, リキャルド
(72)【発明者】
【氏名】ダムガニアン, ミトラ
(72)【発明者】
【氏名】ユー, ルオヤン
(72)【発明者】
【氏名】ストレム, ヤコブ
(72)【発明者】
【氏名】エンホーン, ジャック
(72)【発明者】
【氏名】リュー, ドゥ
【審査官】久保 光宏
(56)【参考文献】
【文献】Benjamin Bross, et al.,"Versatile Video Coding (Draft 9)",Document: JVET-R2001-vA, [online],JVET-R2001 (version 10),Joint Video Experts Team (JVET) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11,2020年05月15日,Pages 2,3,56,57,138,139,434-436,[令和5年4月14日検索], インターネット, <URL: https://jvet-experts.org/doc_end_user/current_document.php?id=10155> and <URL: https://jvet-experts.org/doc_end_user/documents/18_Alpbach/wg11/JVET-R2001-v10.zip>.,(See document file "JVET-R2001-vA.docx" in the zip file "JVET-R2001-v10.zip".)
【文献】Martin Pettersson, et al.,"On definition of the VVC Still Picture profiles",Document: JVET-S0210-v1, [online],JVET-S0210 (version 1),Joint Video Experts Team (JVET) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11,2020年06月10日,Pages 1-6,[令和6年1月23日検索], インターネット, <URL: https://jvet-experts.org/doc_end_user/current_document.php?id=10332> and <URL: https://jvet-experts.org/doc_end_user/documents/19_Teleconference/wg11/JVET-S0210-v1.zip>.,(See document file "JVET-S0210-v1.docx" in the zip file "JVET-S0210-v1.zip".)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N19/00-19/98
CSDB(日本国特許庁)
学術文献等データベース(日本国特許庁)
IEEEXplore(IEEE)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のプロファイルに適合するデコーダが、第2のプロファイルに適合するビデオビットストリーム内の第1のピクチャを復号することができると判定するための方法であって、前記第1のプロファイルが静止画プロファイルであり、前記第2のプロファイルがビデオプロファイルであり、
プロファイルに対する適合を示すインジケータ値を取得すること(601)と、
前記ビデオビットストリーム内の前記第1のピクチャが静止画であるかどうかを判定すること(603)と、
前記インジケータ値が前記第2のプロファイルに対する適合を示すこと、および前記第1のピクチャが静止画であると判定されたことに応答して、前記第1のプロファイルに適合する前記デコーダが、前記ビデオビットストリーム内の前記第1のピクチャを復号することができると判定すること(705)とを含む、方法。
【請求項2】
前記インジケータ値が前記プロファイルに対するビットストリームの適合を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記インジケータ値が第3のプロファイルに対する適合を示すこと、または前記第1のピクチャが静止画ではないと判定されたことに応答して、
前記ビデオビットストリームが前記第1のプロファイルに適合しないと判定すること(1101)と、前記デコーダが前記ビデオビットストリームの前記第1のピクチャを復号することができない場合があると判定すること(1103)とのうちの少なくとも1つを実施することをさらに含み、
前記第3のプロファイルが、前記第1のプロファイルおよび前記第2のプロファイルとは異なる、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記インジケータ値を取得することが、
前記ビットストリーム内の構文エレメントから前記インジケータ値を復号すること(801)と、
前記インジケータ値を外部手段から取得すること(805)と、のうちの1つを含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記インジケータ値を取得することが、復号能力情報(DCI)またはパラメータセットにおける構文エレメントから前記インジケータ値を復号すること(803)を含み、前記パラメータセットが、ビデオパラメータセット(VPS)、シーケンスパラメータセット(SPS)、またはピクチャパラメータセット(PPS)の1つを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記インジケータ値が前記第2のプロファイルに対する適合を示すこと、および前記第1のピクチャが静止画であると判定されたことに応答して、前記第1のプロファイルに適合するデコーダを使用して、前記ビットストリームの前記第1のピクチャを復号すること(707)、または
前記インジケータ値が前記第3のプロファイルに対する適合を示すこと、または前記第1のピクチャが静止画ではないと判定されたことのどちらかに応答して、前記第1のプロファイルに適合するデコーダを使用して前記ビットストリームの前記第1のピクチャを復号しないこと(709)
をさらに含む、請求項請求項3を引用する場合の請求項4、または請求項4が請求項3を引用する場合の請求項5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ビデオビットストリーム内の前記第1のピクチャが静止画であるかどうかを判定することが、
前記第1のピクチャがイントラランダムアクセスポイント(IRAP)ピクチャであるかどうかを判定することと、
前記第1のピクチャが、0に等しいリカバリピクチャ順序カウント(POC)を有する漸次復号リフレッシュ(GDR)ピクチャであるかどうかを判定することと、
構文エレメントから1つまたは複数の値を取得することであって、構文エレメントからの前記1つまたは複数の値が、前記ビデオビットストリーム内の前記第1のピクチャが静止画であるかどうかを指定する、取得することと、
前記第1のピクチャのピクチャヘッダから、前記第1のピクチャのスライスヘッダから、または前記第1のピクチャと関連付けられたアクセスユニットデリミッタ(AUD)から、1つまたは複数の構文エレメントからの1つまたは複数の値を復号すること(1001)および、前記1つまたは複数の値から、前記ピクチャが静止画であると判定すること(1003)と、
前記第1のピクチャの各ビデオコーディングレイヤネットワーク抽象化レイヤ(NAL)ユニットのNALユニットタイプを取得すること(901)および、前記第1のピクチャのすべてのビデオコーディングレイヤNALユニットが、イントラランダムアクセスポイント(IRAP)ピクチャを表すNALユニットタイプを有すると判定すること(903)と
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のピクチャが前記ビットストリーム内の唯一のピクチャであるかどうかを判定すること(1201)と、
前記インジケータ値が前記第2のプロファイルに対する適合を示すこと、および前記第1のピクチャが静止画であると判定されたこと、および前記第1のピクチャが前記ビットストリーム内の前記唯一のピクチャであると判定されたことに応答して、前記デコーダが前記ビットストリームの前記第1のピクチャを復号することができると判定すること(1203)と
をさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
パラメータセットを前記ビットストリームから抽出すること(1301)と、
前記ビットストリーム内の構文エレメントから前記インジケータ値を復号することによって、前記インジケータ値を取得すること(1303)と、
前記インジケータ値が、前記第1のプロファイルまたは前記第2のプロファイルとのビットストリームの適合を示すこと(1305)に応答して、
前記パラメータセットと関連付けられた静止画を前記ビットストリームから抽出すること(1307)と、
前記ビットストリームから抽出された前記パラメータセットを前記ビットストリームから抽出された前記静止画と組み合わせて、前記インジケータ値を前記構文エレメントに再書き込みすることなく静止画ビットストリームを形成すること(1309)と
をさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
第1のプロファイルに適合するデコーダが、第2のプロファイルに適合するビデオビットストリーム内の第1のピクチャを復号することができると判定するためのデコーダ(306)であって、前記第1のプロファイルが静止画プロファイルであり、前記第2のプロファイルがビデオプロファイルであり、
プロファイルに対する適合を示すインジケータ値を取得すること(601)と、
前記ビデオビットストリーム内の前記第1のピクチャが静止画であるかどうかを判定すること(603)と、
前記インジケータ値が前記第2のプロファイルに対する適合を示すこと、および前記第1のピクチャが静止画であると判定されたことに応答して、前記第1のプロファイルに適合する前記デコーダが、前記ビデオビットストリーム内の前記第1のピクチャを復号することができると判定すること(705)と
を行うように設定された、デコーダ(306)。
【請求項11】
前記インジケータ値が前記プロファイルに対するビットストリームの適合を示す、請求項10に記載のデコーダ(306)。
【請求項12】
前記デコーダ(306)が、
前記インジケータ値が第3のプロファイルに対する適合を示すこと、または前記第1のピクチャが静止画ではないと判定されたことに応答して、前記ビデオビットストリームが前記第1のプロファイルに適合しないと判定すること(1101)と、
前記インジケータ値が第3のプロファイルに対する適合を示すこと、または前記第1のピクチャが静止画ではないと判定されたことに応答して、前記デコーダが前記ビデオビットストリームの前記第1のピクチャを復号することができない場合があると判定すること(1103)と
のうちの少なくとも1つを含む動作を実施するように設定され、
前記第3のプロファイルが、前記第1のプロファイルおよび前記第2のプロファイルとは異なる、
請求項10または11に記載のデコーダ(306)。
【請求項13】
前記インジケータ値を取得することにおいて、
前記ビットストリーム内の構文エレメントから前記インジケータ値を復号すること(801)と、
前記インジケータ値を外部手段から取得すること(805)と
のうちの少なくとも1つを含む動作を実施するように設定された、請求項10から12のいずれか一項に記載のデコーダ(306)。
【請求項14】
前記インジケータ値を取得することにおいて、
復号能力情報(DCI)またはパラメータセットにおける構文エレメントから前記インジケータ値を復号する(803)ように設定され、前記パラメータセットが、ビデオパラメータセット(VPS)、シーケンスパラメータセット(SPS)、またはピクチャパラメータセット(PPS)の1つを含む、
請求項13に記載のデコーダ(306)。
【請求項15】
前記デコーダが、
前記インジケータ値が前記第2のプロファイルに対する適合を示すこと、および前記第1のピクチャが静止画であると判定されたことに応答して、前記第1のプロファイルに適合するデコーダを使用して、前記ビットストリームの前記第1のピクチャを復号すること(707)と、
前記インジケータ値が前記第3のプロファイルに対する適合を示すこと、または前記第1のピクチャが静止画ではないと判定されたことのどちらかに応答して、前記第1のプロファイルに適合するデコーダを使用して前記ビットストリームの前記第1のピクチャを復号しないこと(709)と
のうちの1つを含む動作を実施するように設定された、請求項12、請求項12を引用する場合の請求項13、または請求項13が請求項12を引用する場合の請求項14のいずれか一項に記載のデコーダ(306)。
【請求項16】
前記ビデオビットストリーム内の前記第1のピクチャが静止画であるかどうかを判定することにおいて、
前記第1のピクチャがイントラランダムアクセスポイント(IRAP)ピクチャであるかどうかを判定することと、
前記第1のピクチャが0に等しいリカバリPOCカウントを有するGDRピクチャであるかどうかを判定することと、
構文エレメントから1つまたは複数の値を取得することであって、構文エレメントからの前記値が、前記ビデオビットストリーム内の前記第1のピクチャが静止画であるかどうかを指定する、取得することと、
前記第1のピクチャのピクチャヘッダから、前記第1のピクチャのスライスヘッダから、または前記第1のピクチャと関連付けられたアクセスユニットデリミッタ(AUD)から、1つまたは複数の構文エレメントからの1つまたは複数の値を復号すること(1001)と、前記1つまたは複数の値から、前記ピクチャが静止画であると判定すること(1003)と、
前記第1のピクチャの各ビデオコーディングレイヤネットワーク抽象化レイヤ(NAL)ユニットのNALユニットタイプを取得すること(901)および、前記第1のピクチャのすべてのビデオコーディングレイヤNALユニットが、IRAPピクチャを表すNALユニットタイプを有すると判定すること(903)と
のうちの少なくとも1つを含む動作を実施するように設定された、請求項10から15のいずれか一項に記載のデコーダ(306)。
【請求項17】
前記デコーダが、
前記第1のピクチャが前記ビットストリーム内の唯一のピクチャであるかどうかを判定すること(1201)と、
前記インジケータ値が前記第2のプロファイルに対する適合を示すこと、および前記第1のピクチャが静止画であると判定されたこと、および前記第1のピクチャが前記ビットストリーム内の前記唯一のピクチャであると判定されたことに応答して、前記デコーダが前記ビットストリームの前記第1のピクチャを復号することができると判定すること(1203)と
を行うように設定された、請求項10から16のいずれか一項に記載のデコーダ(306)。
【請求項18】
前記デコーダが、
パラメータセットを前記ビットストリームから抽出すること(1301)と、
前記ビットストリーム内の構文エレメントから前記インジケータ値を復号することによって、前記インジケータ値を取得すること(1303)と、
前記インジケータ値が前記第1のプロファイルまたは前記第2のプロファイルとのビットストリームの適合を示すこと(1305)に応答して、
前記パラメータセットと関連付けられた静止画を前記ビットストリームから抽出すること(1307)と、
前記ビットストリームから抽出された前記パラメータセットを前記ビットストリームから抽出された前記静止画と組み合わせて、前記インジケータ値を前記構文エレメントに再書き込みすることなく静止画ビットストリームを形成すること(1309)と
を行うように設定された、請求項10から17のいずれか一項に記載のデコーダ(306)。
【請求項19】
前記デコーダ(306)が、メディアプレーヤー(312)を有するデバイス(310)の一部である、請求項10から18のいずれか一項に記載のデコーダ(306)。
【請求項20】
第1のプロファイルに適合するデコーダ(306)の処理回路(401)によって実行されるプログラムコードを含むコンピュータプログラムであって、前記第1のプロファイルが静止画プロファイルであり、前記プログラムコードを実行することによって、
プロファイルに対する適合を示すインジケータ値を取得すること(601)と、
ビデオビットストリーム内の第1のピクチャが静止画であるかどうかを判定すること(603)と、
前記インジケータ値が第2のプロファイルに対する適合を示すこと、前記第2のプロファイルがビデオプロファイルであること、および前記第1のピクチャが静止画であると判定されたことに応答して、前記第1のプロファイルに適合する前記デコーダ(306)が、前記ビデオビットストリームの前記第1のピクチャを復号することができると判定すること(705)と
を含む動作を前記デコーダ(306)に実施させる、コンピュータプログラム。
【請求項21】
前記コンピュータプログラムが、前記デコーダ(306)の前記処理回路(401)によって実行されるさらなるプログラムコードを含み、前記プログラムコードを実行することによって、請求項2から19のいずれか一項に記載の動作を前記デコーダ(306)に実施させる、請求項20に記載のコンピュータプログラム。
【請求項22】
請求項20または21に記載の前記コンピュータプログラムを含む非一時的記憶媒体
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ビデオエンコーディングおよび復号のための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
HEVCおよびVVC
高効率ビデオコーディング(HEVC)は、時間予測および空間予測の両方を利用する、ITU-T(Telecommunication Standardization Sector of the International Telecommunications Union:国際電気通信連合電気通信標準化部門)およびMPEG(Moving Pictures Expert Group:動画専門家集団)によって標準化された、ブロックベースのビデオコーデックである。空間予測は、現在のピクチャ内からのイントラ(I)予測を使用して達成される。時間予測は、以前復号された参照ピクチャからのブロックレベルの一方向(P)または二方向インター(B)予測を使用して達成される。エンコーダにおいて、残差と呼ばれる元のピクセルデータと予測ピクセルデータとの差が、周波数ドメインに変換され、量子化され、次にエントロピーコード化されてから、やはりエントロピーコード化された、予測モードおよび動きベクトルなどの必要な予測パラメータとともに送信される。デコーダは、エントロピー復号、逆量子化、および逆方向変換を実施して残差を取得し、次に残差をイントラ予測またはインター予測に追加してピクチャを再構築する。
【0003】
MPEGおよびITU-Tは、共同ビデオ探索チーム(JVET)内のHEVCの後継に取り組んでいる。開発中のこのビデオコーデックの名前は多用途ビデオコーディング(Versatile Video Coding:VVC)である。VVC規格の現在のバージョンはJVET-S0152-v5である。
【0004】
成分
ビデオシーケンスは一連の画像から成り、各画像は1つまたは複数の成分から成る。各成分は、サンプル値の二次元矩形アレイとして説明することができる。一般的に、ビデオシーケンス内の画像は、サンプル値がルマ値である1つのルマ成分Yと、サンプル値がクロマ値である2つのクロマ成分CbおよびCrとの、3つの成分から成る。一般的に、各次元でクロマ成分の寸法はルマ成分の2分の1である。例えば、高精細(HD)画像のルマ成分のサイズは1920×1080であり、クロマ成分はそれぞれ960×540の寸法を有するであろう。クロマ成分はカラー成分と呼ばれる場合がある。
【0005】
ブロックおよびユニット
ブロックはサンプルの二次元アレイである。ビデオコーディングでは、各成分はブロックに分割され、コード化ビデオビットストリームは一連のブロックから成る。一般的に、ビデオコーディングでは、画像は、画像の特定の範囲をカバーするユニットに分割される。各ユニットは、特定の範囲を構成するすべての成分からのすべてのブロックから成り、各ブロックは1つのユニットに属する。H.264のマクロブロック、および高効率ビデオコーディング(HEVC)のコーディングユニット(CU)、およびVVCの現在のバージョンが、ユニットの例である。CUは、より小さいCUへと再帰的に分割されてもよい。最上位のCUは、コーディングツリーユニット(CTU)と呼ばれる。
【0006】
あるいは、ブロックは、コーディングで使用される変換が適用される二次元アレイとして規定することができる。これらのブロックは「変換ブロック」の名で呼ばれる。あるいは、ブロックは、単一の予測モードが適用される二次元アレイとして規定することができる。これらのブロックは「予測ブロック」と呼ぶことができる。本出願では、「ブロック」という用語は、本明細書の説明がいずれの規定にも当てはまり得るので、これらの規定のいずれか特定の1つに拘束されない。
【0007】
NALユニット
HEVCおよびVVCは両方とも、ネットワーク抽象化レイヤ(NAL)を規定する。すべてのデータ、即ち、HEVCおよびVVCのビデオコーディングレイヤ(VCL)または非VCL両方のデータは、NALユニット内にカプセル化される。VCL NALユニットは、ピクチャサンプル値を表すデータを包含する。非VCL NALユニットは、パラメータセットおよび補足拡張情報(SEI)メッセージなど、追加の関連データを包含する。HEVCにおけるNALユニット、およびVVCの現在のバージョンは、NALユニットヘッダと呼ばれるヘッダで始まる。HEVCのNALユニットヘッダ、およびVVCの現在のバージョンのための構文は、スタートコードエミュレーションを防ぐために常に0に等しいものとする、forbidden_zero_bitで始まる。それがなければ、一部のMPEGシステムは、HEVCビデオビットストリームおよびVVCビデオビットストリームを他のデータと混同することがあるが、NALユニットヘッダの0ビットは、可能性があるすべてのHEVCビットストリームおよびVVCビットストリームを、VVCビットストリームのHEVCビットストリームとして一意に識別可能にする。nal_unit_type、nuh_unit_type、およびnuh_temporal_id_plus1のコードワードは、どのタイプのデータがNALユニットに保持されているかを識別する、NALユニットのNALユニットタイプ、NALユニットがどれに属するかのレイヤIDおよび時間IDを指定する。NALユニットタイプは、NALユニットをどのように解析し復号すべきかを示し指定する。表1に示される、VVCの現在のバージョンにおけるNALユニットヘッダは、HEVCのものに非常に類似しているが、nal_unit_typeに使用するのが1ビット少なく、代わりにこのビットを将来使用するために予約している。
【0008】
NALユニットのバイトの残りは、NALユニットタイプによって示されるタイプのペイロードである。ビットストリームは、一連の連結されたNALユニットから成る。
【0009】
デコーダまたはビットストリームパーサは、NALユニットヘッダを判断した後、NALユニットがどのように扱われるべきか、例えば解析され復号されるべきかを結論付けることができる。NALユニットのバイトの残りは、NALユニットタイプによって示されるタイプのペイロードである。ビットストリームは、一連の連結されたNALユニットから成る。
【0010】
復号順序は、NALユニットが復号されるべき順序であり、ビットストリーム内のNALユニットの順序と同じである。復号順序は、復号されたピクチャが表示などのためにデコーダによって出力されるべき順序である、出力順序と異なってもよい。
【0011】
NALユニットタイプは、NALユニットがどのように解析され復号されるべきかを示し規定する。VCL NALユニットは、現在のピクチャのピクチャタイプに関する情報を提供する。VVCドラフトの現在のバージョンのNALユニットタイプは、表2に示されている。
【0012】
時間レイヤ
HEVC、およびVVCドラフトの現在のバージョンでは、すべてのピクチャは、ピクチャがどの時間レイヤに属するかを指定するTemporalId値と関連付けられる。TemporalId値は、NALユニットヘッダにおけるnuh_temporal_id_plus1の構文エレメントから復号される。HEVCでは、エンコーダは、上位時間レイヤが破棄されたときに下位レイヤに属するピクチャが完璧に復号可能であるように、TemporalId値を設定することが必要とされる。例えば、エンコーダが時間レイヤ0、1、および2を使用してビットストリームを出力しているものと仮定する。次いで、レイヤ2のNALユニットをすべて除去するか、またはレイヤ1および2のNALユニットをすべて除去することにより、問題なく復号することができるビットストリームが得られる。これは、エンコーダが準拠しなければならないHEVC仕様およびVVC仕様における制約によって確保される。例えば、時間レイヤのピクチャが上位時間レイヤのピクチャを参照することは許可されない。
【0013】
ピクチャユニット、アクセスユニット、およびアクセスユニットデリミッタ
VVCの現在のバージョンにおけるピクチャユニット(PU)は、指定された分類規則に従って互いに関連付けられ、復号順序が連続しており、正確に1つのコード化ピクチャを包含する、VCL NALユニットがすべて同じレイヤに属するNALユニットのセットとして規定される。VVCの以前のバージョンでは、PUはレイヤアクセスユニットと呼ばれていた。HEVCでは、PUはアクセスユニット(AU)と呼ばれる。
【0014】
VVCでは、アクセスユニットは、異なるレイヤに属し、復号ピクチャバッファ(DPB)から出力するための同時に関連付けられたコード化ピクチャを包含する、すなわち同じPOC値を有する、PUのセットである。
【0015】
アクセスユニットは、VVCの現在のバージョンでは、アクセスユニットの始まり、およびコード化ピクチャにおいて許可されたスライスのタイプ、即ちI、I-P、またはI-P-B、およびアクセスユニットがIRAPまたはGDRアクセスユニットのどちらであるかを示す、アクセスユニットデリミッタ(AUD)NALユニットで始まってもよい。HEVCでは、アクセスユニットがAUDで始まることは任意である。VVCドラフトの現在のバージョンにおけるアクセスユニットデリミッタNALユニットの構文および意味論は、下記の表3に示されている。
【0016】
1に等しいaud_irap_or_gdr_au_flagは、AUデリミッタを包含するAUがIRAPまたはGDR AUであることを指定し、0に等しいaud_irap_or_gdr_au_flagは、AUデリミッタを包含するAUがIRAPまたはGDR AUではないことを指定する。
【0017】
aud_pic_typeは、AUデリミッタNALユニットを包含するAUにおけるコード化ピクチャのすべてのスライスに対するsh_slice_type値が、aud_pic_typeの所与の値に対して表4に列挙されたセットのメンバーであることを示す。aud_pic_typeの値は、ビットストリームでは0、1、または2に等しいものとする。aud_pic_typeの他の値は、ITU-T|ISO/IECによる将来の使用のために予約される。この仕様のこのバージョンに適合するデコーダは、aud_pic_typeの予約された値を無視するものとする。
【0018】
レイヤ-依存レイヤおよび独立レイヤ
レイヤは、VVCでは、nuh_unit_typeの特定の値をすべて有するVCL NALユニット、および関連する非VCL NALユニットのセットとして規定される。
【0019】
VVCの現在のバージョンにおけるコード化レイヤビデオシーケンス(CLVS)は、復号順序でCLVS開始(CLVSS)PUと、それに続く、CLVSS PUである後続の任意のPU未満のすべての後続のPUを含む、CLVSS PUではないゼロまたはそれ以上のPUとから成る、PUのシーケンスとして規定される。
【0020】
PU、AU、およびCLVSの間の関係は図1に示されている。
【0021】
VCCの現在のバージョンでは、レイヤは互いに独立してコード化されてもよく、即ち、例えばnuh_unit_type 0を有するレイヤは、例えばnuh_unit_type 1を有する別のレイヤからのビデオデータを予測しなくてもよい。VVCの現在のバージョンでは、レイヤ間の依存コーディングも使用されてもよく、それにより、SNR、空間、および視点のスケーラビリティを有するスケーラブルコーディングをサポートすることができる。
【0022】
ピクチャ順序カウント(POC)
HEVCのピクチャは、フルPOC値としても知られる、それらのピクチャ順序カウント(POC)値によって識別される。各スライスは、コードワードpic_order_cnt_lsbを包含し、それはピクチャのすべてのスライスで同じものとする。pic_order_cnt_lsbは、固定長のコードワードであるため、POC全体の最下位ビット(lsb)としても知られており、POC全体の最下位ビットのみがシグナリングされる。エンコーダおよびデコーダは両方ともPOCを追跡し、POC値を、符号化/復号される各ピクチャに割り振る。pic_order_cnt_lsbは4~16ビットによってシグナリングすることができる。最大のpic_order_cnt_lsb値+1に設定される、HEVCで使用される変数MaxPicOrderCntLsbがある。これは、pic_order_cnt_lsbをシグナリングするのに8ビットが使用される場合、最大値は255であり、MaxPicOrderCntLsbは2^8=256に設定されることを意味する。ピクチャのピクチャ順序カウント値は、HEVCにおいてPicOrderCntValと呼ばれる。通常、現在のピクチャに対するPicOrderCntValは単にPicOrderCntValと呼ばれる。POCは、VVCの最終バージョンにおいて同様の手法で働くことが予期される。
【0023】
イントラランダムアクセスポイント(IRAP)ピクチャおよびコード化ビデオシーケンス(CVS)
HEVCにおけるイントラランダムアクセスポイント(IRAP)ピクチャは、復号プロセスでの予測のために自身以外のいずれのピクチャも参照しないピクチャである。HEVCの復号順序でビットストリーム内の第1のピクチャは、IRAPピクチャでなければならないが、IRAPピクチャは、それに加えてビットストリーム内において後で現れることもある。HEVCは、リンク切れアクセス(BLA)ピクチャ、瞬時デコーダリフレッシュ(IDR)ピクチャ、およびクリーンランダムアクセス(CRA)ピクチャの3つのタイプのIRAPピクチャを指定する。
【0024】
HEVCにおけるコード化ビデオシーケンス(CVS)は、IRAPアクセスユニットで始まり、復号順序で次のIRAPアクセスユニット未満のゼロまたはそれ以上のAUが続く、アクセスユニットのシーケンスである。
【0025】
IDRピクチャは常に新しいCVSを開始する。IDRピクチャは、関連するランダムアクセス復号可能先頭(RADL)ピクチャを有してもよい。IDRピクチャは、関連するランダムアクセススキップ先頭(RASL)ピクチャを有さない。
【0026】
HEVCにおけるBLAピクチャも新しいCVSを開始し、復号プロセスに対してIDRピクチャと同じ効果を有する。しかしながら、HEVCにおけるBLAピクチャは、参照ピクチャの非空集合を指定する構文エレメントを包含してもよい。BLAピクチャは関連するRASLピクチャを有してもよく、それらはビットストリームに存在しなくてもよいピクチャに対する参照を包含してもよいため、デコーダによって出力されず復号可能でなくてもよい。BLAピクチャはまた、復号された関連するRADLピクチャを有してもよい。BLAピクチャはVVCの現在のバージョンでは規定されていない。
【0027】
CRAピクチャは、関連するRADLまたはRASLピクチャを有してもよい。BLAピクチャと同様に、CRAピクチャは、参照ピクチャの非空集合を指定する構文エレメントを包含してもよい。CRAピクチャの場合、ビットストリームに存在しないピクチャに対する参照を包含してもよいため、復号可能でなくてもよいので、関連するRASLピクチャがデコーダによって出力されないことを指定するフラグを設定することができる。CRAはCVSを開始してもよい。
【0028】
VVCドラフトの現在のバージョンでは、CVSは、CVS開始(CVSS)アクセスユニットで始まり、復号順序で次のCVSSアクセスユニット未満のゼロまたはそれ以上のAUが続く、アクセスユニットのシーケンスである。CVSSアクセスユニットは、IRAPピクチャ、即ちIDRもしくはCRAピクチャ、または漸次復号リフレッシュ(GDR)ピクチャを包含してもよい。CVSは1つまたは複数のCLVSを包含してもよい。
【0029】
GDRピクチャは、本質的に、IRAPピクチャ全体が多すぎる遅延を引き起こすであろう低遅延コーディングのために符号化される、ビットストリーム内のランダムアクセスに使用される。GDRピクチャは、各ピクチャが部分的にのみイントラコード化されるピクチャによってビデオピクチャを更新する、漸次イントラリフレッシュを使用してもよい。リカバリPOCカウントは、ビットストリームがGDRピクチャにおいて調整されたことを所与として、いつビデオが完全にリフレッシュされ、出力の準備ができるかを指定する、GDRピクチャでシグナリングされる。VCCにおけるGDRピクチャはCVSまたはCLVSを開始してもよい。GDRピクチャは、現在のVVCドラフトに含まれるがHEVC規格の規範部分ではなく、その場合、代わりにSEIメッセージで示されることがある。
【0030】
スライス
HEVCにおけるスライスの概念は、ピクチャの1つのスライスの復号が同じピクチャの他のスライスとは独立している、独立してコード化されたスライスへとピクチャを分割するものである。VVCドラフト仕様の以前のバージョンでは、スライスはタイルグループと呼ばれていた。
【0031】
スライスの1つの目的は、データ損失の場合に再同期できるようにすることである。HEVCでは、スライスはCTUのセットである。スライスはVVCの現在のバージョンでもサポートされており、VVCピクチャは、ラスタスキャンスライスまたは矩形スライスのいずれへと区分されてもよい。ラスタスキャンスライスは、ラスタスキャン順序の多数の完全なタイルから成る。矩形スライスは、合わせてピクチャの矩形領域を占めるタイルのグループ、または1つのタイル内部の連続番号のCTU行から成る。各スライスは構文エレメントを備えるスライスヘッダを有する。これらの構文エレメントからの復号スライスヘッダ値は、スライスを復号するときに使用される。各スライスは1つのVCL NALユニットで保持される。
【0032】
各スライスは、スライスによって使用されるコーディングタイプ(即ち、予測のタイプ)、即ち、スライスが、イントラ予測コード化Iスライス、一方向予測コード化Pスライス、または二方向予測コード化Bスライスのどれであるかを規定する、スライスタイプを有する。スライスタイプは、表5における下記の値の1つを有してもよい、スライスヘッダのslice_type構文エレメントでシグナリングされる。
【0033】
ピクチャは、異なるスライスタイプのスライスから成ることができる。しかしながら、特定のpic_type値またはNALユニットタイプを有するピクチャは、Iスライスのみをサポートする、またはIスライスおよびPスライスのみをサポートするように限定されてもよい。例えば、IRAP NALユニットタイプを有するピクチャ、またはAUDにおいて0に等しいpic_typeを有するピクチャは、Iスライスのみを包含するものとし、AUDにおいて1に等しいpic_typeを有するピクチャは、IスライスおよびPスライスのみを包含してもよいが、2に等しいpic_typeを有するピクチャは、任意のスライスタイプのスライス、即ちIスライス、Pスライス、またはBスライスを包含してもよい。
【0034】
本明細書に記載する発明の概念を理解することに関連する、VVCの現在のバージョンにおけるスライスヘッダ構文の部分が、表6に例示されている。
【0035】
パラメータセット
HEVCおよびVVCは、ピクチャパラメータセット(PPS)、シーケンスパラメータセット(SPS)、およびビデオパラメータセット(VPS)の3つのタイプのパラメータセットを指定する。PPSは、ピクチャ全体に対して共通のデータを包含し、SPSは、コード化ビデオシーケンス(CVS)に対して共通のデータを包含し、VPSは、複数のCVSに対して共通のデータ、例えばビットストリームの複数のレイヤに対するデータを包含する。
【0036】
VVCの現在のバージョンはまた、1つの追加のパラメータセットである、適応パラメータセット(APS)を指定する。APSは、適応ループフィルタ(ALF)ツール、ルママッピングおよびクロマスケーリング(LMCS)ツール、ならびにスケーリングリストツールに必要なパラメータを保持する。
【0037】
復号能力情報(DCI)
DCIは、復号セッション中は変化しなくてもよく、デコーダが例えば、許可されるサブレイヤの最大数に関して知るために有用であってもよい情報を指定する。DCIの情報は復号プロセスの動作に必須ではない。VVC仕様の以前のドラフトでは、DCIは復号パラメータセット(DPS)と呼ばれていた。本明細書の説明では、DCIはパラメータセットであるものと規定される。
【0038】
復号能力情報はまた、コーディングツール、NALユニットのタイプなどに関してビットストリームから予期するもののデコーダ情報を与える、ビットストリームに対する一般的制約のセットを包含する。VVCの現在のバージョンでは、一般的制約情報はVPSまたはSPSでもシグナリングされ得る。
【0039】
ピクチャヘッダ
VVCの現在のバージョンでは、コード化ピクチャはピクチャヘッダを包含する。ピクチャヘッダは、関連するピクチャのすべてのスライスに共通する構文エレメントを包含する。ピクチャヘッダは、それ自体のNALユニットにおいてNALユニットタイプPH_NUTでシグナリングされるか、またはコード化ピクチャに1つのスライスのみがあることを所与として、スライスヘッダに含まれてもよい。これは、スライスヘッダ構文エレメントpicture_header_in_slice_header_flagによって示され、1に等しい値は、ピクチャヘッダがスライスヘッダに含まれることを指定し、0に等しい値は、ピクチャヘッダがそれ自体のNALユニットにおいて保持されることを指定する。すべてのピクチャがシングルスライスピクチャではないCVSの場合、各コード化ピクチャに先行して、それ自体のNALユニットでシグナリングされるピクチャヘッダがなければならない。HEVCはピクチャヘッダをサポートしない。
【0040】
本明細書に記載する発明の概念を理解することに関連する、VVCの現在のバージョンにおけるピクチャヘッダ構文および意味論の部分が、表7に示されている。
【0041】
1に等しいph_gdr_or_irap_pic_flagは、現在のピクチャがGDRまたはIRAPピクチャであることを指定する。0に等しいph_gdr_or_irap_pic_flagは、現在のピクチャがGDRピクチャではなく、IRAPピクチャであってもなくてもよいことを指定する。
【0042】
1に等しいph_gdr_pic_flagは、PHと関連付けられたピクチャがGDRピクチャであることを指定する。0に等しいph_gdr_pic_flagは、PHと関連付けられたピクチャがGDRピクチャではないことを指定する。存在しない場合、ph_gdr_pic_flagの値は0に等しいと推論される。sps_gdr_enabled_flagが0に等しいとき、ph_gdr_pic_flagの値は0に等しいものとする。
【0043】
注1-ph_gdr_or_irap_pic_flagが1に等しく、ph_gdr_pic_flagが0に等しいとき、PHと関連付けられたピクチャはIRAPピクチャである。
【0044】
プロファイル、ティア、およびレベル
HEVCおよびVVCにおけるプロファイルは、仕様の構文の指定されたサブセットとして規定される。
【0045】
現在のVVC仕様は、Main 10プロファイル、Main 10 Still Pictureプロファイル、Main 4:4:4 10プロファイル、およびMain 4:4:4 10 Still Pictureプロファイルを備え、ここで、10はピクセル当たり10ビットのビット深度のサポートを示し、4:4:4は4:4:4クロマサンプリングされたピクセルのサポートを示す。Main 10およびMain 4:4:4 10はビデオプロファイルであり、Main 10 Still PictureおよびMain 4:4:4 10 Still Pictureプロファイルは静止画プロファイルである。HEVCもこれら4つのプロファイルを備え、加えて多数の範囲拡張プロファイルおよびスケーラブルプロファイルを備える。
【0046】
HEVCおよびVVCは、仕様の構文エレメントおよび変数が取ってもよい値に対する制約の規定されたセットとしてレベルを規定する。レベルの同じセットがすべてのプロファイルに対して規定され、各レベルの規定の大部分の態様は異なるプロファイルにわたって共通している。個々の実現例は、指定された制約内で、サポートされるプロファイルそれぞれに対する異なるレベルをサポートしてもよい。
【0047】
HEVCおよびVVCは、ビットストリーム内の構文エレメントの値に対して課されるレベル制約の指定されたカテゴリとしてのティアを規定する。レベル制約はティア内に入れ込まれ、特定のティアおよびレベルに適合するデコーダは、そのレベルまたはそれよりも下位の任意のレベルの同じティアもしくは下位のティアに適合する、すべてのビットストリームを復号することができる。
【0048】
Main 10およびMain 10 Still Pictureプロファイルは、VVCの現在のバージョンでは下記のように規定される。
【0049】
Main 10およびMain 10 Still Pictureプロファイル
Main 10またはMain 10 Still Pictureプロファイルに適合するビットストリームは、下記の制約に従うものとする。
- Main 10 Still Pictureプロファイルに適合するビットストリームでは、ビットストリームは1つのピクチャのみを包含するものとする。
- 参照SPSは、0または1に等しいsps_chroma_format_idcを有するものとする。
- 参照SPSは、0~2の範囲のsps_bitdepth_minus8を有するものとする。
- Main 10 Still Pictureプロファイルに適合するビットストリームでは、参照SPSは、0に等しいmax_dec_pic_buffering_minus1[sps_max_sublayers_minus1]を有するものとする。
- 参照SPSは、0に等しいsps_palette_enabled_flagを有するものとする。
- Main 10 Still Pictureプロファイルに適合しない、Main 10プロファイルに適合するビットストリームでは、参照VPS(利用可能な場合)および参照SPSにおけるiのすべての値に対するgeneral_level_idcおよびsublayer_level_idc[i]は、255(レベル15.5を示す)に等しくないものとする。
- 条項A.4でMain 10またはMain 10 Still Pictureプロファイルに対して指定されるティアおよびレベル制約は、適用できる場合、満たされるものとする。
【0050】
Main 10プロファイルに対するビットストリームの適合は、general_profile_idcが1に等しいことによって示される。
【0051】
Main 10 Still Pictureプロファイルに対するビットストリームの適合は、general_profile_idcが3に等しいことによって示される。
【0052】
注-Main 10 Still Pictureプロファイルに対するビットストリームの適合が上記に指定したように示され、また示されるレベルがレベル15.5ではない場合、Main 10プロファイルに対するビットストリームの適合の指示に対する条件も満たされる。
【0053】
特定のティアの特定のレベルにおけるMain 10プロファイルに適合するデコーダは、下記の条件すべてが当てはまるすべてのビットストリームを復号することができるものとする。
- ビットストリームが、Main 10またはMain 10 Still Pictureプロファイルに適合することが示される。
- ビットストリームが、指定されたティアまたはそれよりも下位のティアに適合することが示される。
- ビットストリームが、レベル15.5ではなく、指定されたレベルまたはそれよりも下位のレベルに適合することが示される。
【0054】
特定のティアの特定のレベルにおけるMain 10 Still Pictureプロファイルに適合するデコーダは、下記の条件すべてが当てはまるすべてのビットストリームを復号することができるものとする。
- ビットストリームが、Main 10 Still Pictureプロファイルに適合することが示される。
- ビットストリームが、指定されたティアまたはそれよりも下位のティアに適合することが示される。
- ビットストリームが、レベル15.5ではなく、指定されたレベルまたはそれよりも下位のレベルに適合することが示される。
【0055】
VVCにおけるMain 4:4:4 10およびMain 4:4:4 10 Still Pictureプロファイルは、sps_chroma_format_idcが0から3の範囲であってもよいことを例外として、Main 10およびMain 10 Still Pictureプロファイルと同様の手法で指定される。
【発明の概要】
【0056】
VVC仕様の現在のバージョンに関する問題は、Main 10 Still Pictureプロファイルに適合するがMain 10プロファイルには適合しないデコーダは、抽出されたビットストリームのSPSにおけるgeneral_profile_idcが最初に再書き込みされない限り、Main 10ビデオビットストリームから抽出されたIRAPピクチャを復号できない点である。この機能性をサポートするためにビットストリームを再書き込みしなければならないことは、望ましくない。
【0057】
VVC仕様の現在のバージョンに関する別の問題は、general_profile_idcが1つを超えるピクチャを備えるビデオビットストリームのためのMain 10 Still Pictureプロファイルに再書き込みされた場合であっても、Main 10 Still Pictureプロファイルはビットストリーム内に1つのピクチャのみが存在することを要するので、ビットストリームは正規のビットストリームではない点である。ビットストリーム内の第1のピクチャを復号するために、残りすべてのピクチャをビットストリームから破棄して、ビットストリームを復号する前に1ピクチャのビットストリームにする必要がある。
【0058】
発明の概念のいくつかの実施形態によれば、第1のプロファイルに適合するデコーダが、第2のプロファイルに適合するビデオビットストリームの第1のピクチャを復号することができると判定するための方法は、プロファイルに対する適合を示すインジケータ値を取得することを含む。方法は、ビデオビットストリーム内の第1のピクチャが静止画であるかどうかを判定することを含む。方法は、インジケータ値が第2のプロファイルに対する適合を示すこと、および第1のピクチャが静止画であると判定されたことに応答して、第1のプロファイルに適合するデコーダが、ビデオビットストリームの第1のピクチャを復号することができると判定することを含む。
【0059】
達成することができる利点は、Main 10 Still PictureデコーダがMain 10ビットストリームからの1つのピクチャを復号できるように、Main 10ビットストリームを再書き込みすることを必要としない点である。
【0060】
発明の概念のいくつかのバージョンに関する別の利点は、ビデオビットストリームの第1のピクチャを復号したいプログラムが、準拠している静止画デコーダにビットストリームを送る前に、ピクチャの残りを最初に取り除くことを必要としない点である。
【0061】
発明の概念の他の実施形態によれば、発明の概念の上記実施形態の類似した動作を含む、デコーダ、コンピュータプログラム、およびコンピュータプログラム製品が提供される。
【0062】
添付図面は、本開示のさらなる理解を提供するとともに本出願の一部に組み込まれ、それを構成するために含まれ、発明の概念の特定の非限定的実施形態を例証する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1】ピクチャユニット(PU)、アクセスユニット(AU)、およびコード化レイヤシーケンス(CLVS)の間の関係を示す図である。
図2】発明の概念の様々な実施形態を説明するのに使用される、ビットストリームおよび専門用語を示すブロック図である。
図3】発明の概念のいくつかの実施形態による、エンコーダおよびデコーダが実装されてもよいシステムの環境の一例を示すブロック図である。
図4】いくつかの実施形態によるデコーダを示すブロック図である。
図5】いくつかの実施形態によるエンコーダを示すブロック図である。
図6】発明の概念のいくつかの実施形態による、デコーダの動作を示すフローチャートである。
図7】発明の概念のいくつかの実施形態による、デコーダの動作を示すフローチャートである。
図8】発明の概念のいくつかの実施形態による、デコーダの動作を示すフローチャートである。
図9】発明の概念のいくつかの実施形態による、デコーダの動作を示すフローチャートである。
図10】発明の概念のいくつかの実施形態による、デコーダの動作を示すフローチャートである。
図11】発明の概念のいくつかの実施形態による、デコーダの動作を示すフローチャートである。
図12】発明の概念のいくつかの実施形態による、デコーダの動作を示すフローチャートである。
図13】発明の概念のいくつかの実施形態による、デコーダの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0064】
次に、以下、発明の概念の実施形態の例が示される添付図面を参照して、発明の概念についてさらに十分に記載する。しかしながら、発明の概念は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書で説明される実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。それよりもむしろ、これらの実施形態は、本開示が包括的で完全なものであるように、また本発明の概念の範囲を当業者に十分に伝達するように提供されるものである。また、これらの実施形態は相互に排他的ではないことが注目されるべきである。1つの実施形態からの構成要素は、別の実施形態に存在する/別の実施形態で使用されるものと暗黙的に仮定することができる。
【0065】
以下の記載は、開示する主題の様々な実施形態を提示する。これらの実施形態は、教示の例として提示されるものであり、開示する主題の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。例えば、記載する実施形態の特定の詳細は、記載する主題の範囲から逸脱することなく、変更、省略、または拡張されてもよい。
【0066】
発明の概念の様々な実施形態は、(例えば、ビットストリーム内のパラメータセットにおける構文エレメントから復号された)インジケータ値が、ビットストリームがプロファイルB(例えば、ビデオプロファイル)に適合することを示し、またビットストリームの第1のピクチャが静止画(例えば、IRAPピクチャ)であると判定された場合、ビデオビットストリームがプロファイルA(例えば、静止画プロファイル)に適合すると判定するための方法を提供する。
【0067】
発明の概念の実施形態では、第1のピクチャにおけるすべてのVCL NALユニットのNALユニットタイプがIRAP NALユニットタイプであると判定することによって、第1のピクチャがIRAPピクチャであるという判定が行われる。
【0068】
発明の概念の別の実施形態では、ピクチャヘッダまたはアクセスユニットデリミッタにおける構文エレメントから復号された値から、第1のピクチャがIRAPピクチャであるという判定が行われる。
【0069】
発明の概念について記載するのに使用される専門用語は、図2でさらに例示している。図2の破線は、ボックスがVVCでは任意であることを示している。ビットストリーム1は、1つまたは複数のコード化ピクチャを保持する。コード化ピクチャと関連付けられたNALユニットのセットは、VVCの現在のバージョンにあり、ピクチャユニット(PU)2と呼ばれる。VVCビットストリームは、復号能力情報(DCI)12で始まり、各コード化ビデオシーケンス(CVS)の最初に、ビデオパラメータセット(VPS)13、シーケンスパラメータセット(SPS)14、およびピクチャパラメータセット(PPS)15が続いてもよい。PPS14はまた、任意のコード化ピクチャの前にシグナリングされてもよい。PU2は、スライスヘッダ(SH)31およびスライスデータ32を備える、少なくとも1つのコード化スライス22を備えていなければならない。PU2は1つのピクチャヘッダ(PH)21を含まなければならない。VVCの現在のバージョンでは、PH21は、それ自体のNALユニットにおいて、またはスライス22と同じNALユニットにおいて、より具体的にはSH31においてシグナリングされてもよい。アクセスユニットデリミッタ(AUD)11は、アクセスユニットにおける第1のNALユニットとしてシグナリングされてもよい。
【0070】
発明の概念は主に、VVCで使用される用語によって説明するものとするが、発明の概念は他の現在および今後のビデオコーデックにも適用可能であってもよいことが、当業者には理解されるべきものである。
【0071】
「静止画」は単一の静的ピクチャとして規定される。コード化静止画は常にイントラコード化され、即ち、それ自体以外のいずれのピクチャからも予測しない。これは、ピクチャ内のすべてのブロックがイントラコード化ブロックであり、他のいずれかのピクチャからの予測を使用するコード化静止画内のデータはないことを意味する。静止画は、動画のセットから抽出、即ちビデオから抽出されてもよい。
【0072】
予測ピクチャは、それ自体以外の別のピクチャから予測する、コード化ピクチャとして規定される。
【0073】
「外部手段」という用語は、ビットストリーム内で提供されるのではなく、例えば、異なるデータチャネル内で提供される場合があるメタデータを介して、デコーダ内の制約などとして、他の何らかの手段によって提供される情報として規定される。HEVCおよびVVCは両方とも、特定の情報(例えば、パラメータセット)が外部手段によって提供されることを可能にする。
【0074】
実施形態についてさらに詳細に記載する前に、図3は、本明細書に記載されるようなビットストリームを符号化および復号するのにそれぞれ使用されてもよい、エンコーダ300およびデコーダ306の動作環境の一例を示している。エンコーダ300は、ネットワーク302から、および/またはストレージ304からビデオを受信し、後述するようにビデオをビットストリームに符号化し、ネットワーク308を介して符号化されたビデオをデコーダ306に送信する。ストレージデバイス304は、店舗またはストリーミングビデオサービスのストレージリポジトリ、別個のストレージ構成要素、移動デバイスの構成要素など、マルチチャネル音声信号のストレージデポジトリの一部であってもよい。デコーダ306は、メディアプレーヤー312を有するデバイス310の一部であってもよい。デバイス310は、移動デバイス、セットトップデバイス、デスクトップコンピュータなどであってもよい。
【0075】
図4は、発明の概念のいくつかの実施形態による、ビデオフレームを復号するように設定されたデコーダ306のエレメントを示すブロック図である。図示されるように、デコーダ306は、他のデバイス/エンティティ/機能/などとの通信を提供するように設定された、ネットワークインターフェース回路405(ネットワークインターフェースとも呼ばれる)を含んでもよい。デコーダ306はまた、ネットワークインターフェース回路405に結合されたプロセッサ回路401(プロセッサとも呼ばれる)と、プロセッサ回路に結合されたメモリ回路403(メモリとも呼ばれる)とを含んでもよい。メモリ回路403は、プロセッサ回路401によって実行されると、本明細書に開示する実施形態による動作をプロセッサ回路に実施させる、コンピュータ可読プログラムコードを含んでもよい。
【0076】
他の実施形態によれば、プロセッサ回路401は、別個のメモリ回路が不要であるように、メモリを含むものと規定されてもよい。本明細書で考察されるように、デコーダ306の動作は、プロセッサ401および/またはネットワークインターフェース405によって実施されてもよい。例えば、プロセッサ401は、ネットワークインターフェース405を制御して、エンコーダ300からの通信を受信してもよい。さらに、モジュールがメモリ403に格納されてもよく、これらのモジュールは、モジュールの命令がプロセッサ401によって実行されると、プロセッサ401がそれぞれの動作を実施するように、ならびに/あるいはデコーダ306または他のノード/機能にそれぞれの動作を実施させるように、命令を提供してもよい。いくつかの実施形態によれば、デコーダ306および/またはそのエレメント/機能は、仮想ノードおよび/または仮想マシンとして具体化されてもよい。
【0077】
図5は、発明の概念のいくつかの実施形態による、ビデオフレームを符号化するように設定されたエンコーダ300のエレメントを示すブロック図である。図示されるように、エンコーダ300は、他のデバイス/エンティティ/機能/などとの通信を提供するように設定された、ネットワークインターフェース回路505(ネットワークインターフェースとも呼ばれる)を含んでもよい。エンコーダ300はまた、ネットワークインターフェース回路505に結合されたプロセッサ回路501(プロセッサとも呼ばれる)と、プロセッサ回路に結合されたメモリ回路503(メモリとも呼ばれる)とを含んでもよい。メモリ回路503は、プロセッサ回路501によって実行されると、本明細書に開示する実施形態による動作をプロセッサ回路に実施させる、コンピュータ可読プログラムコードを含んでもよい。
【0078】
他の実施形態によれば、プロセッサ回路501は、別個のメモリ回路が不要であるように、メモリを含むものと規定されてもよい。本明細書で考察されるように、エンコーダ300の動作は、プロセッサ501および/またはネットワークインターフェース505によって実施されてもよい。例えば、プロセッサ501は、ネットワークインターフェース505を制御して、デコーダ306に通信を送信するように、ならびに/あるいはネットワークインターフェース505を通して、他のエンコーダノード、デポジトリサーバなど、1つまたは複数の他のネットワークノード/エンティティ/サーバからの通信を受信してもよい。さらに、モジュールがメモリ503に格納されてもよく、これらのモジュールは、モジュールの命令がプロセッサ501によって実行されると、プロセッサ501がそれぞれの動作を実施するように、命令を提供してもよい。いくつかの実施形態によれば、エンコーダ300および/またはそのエレメント/機能は、仮想ノードおよび/または仮想マシンとして具体化されてもよい。
【0079】
上記に示したように、現在のVVC仕様に関する問題は、Main 10 Still Pictureプロファイルに適合するがMain 10プロファイルには適合しないデコーダは、抽出されたビットストリームのSPSにおけるgeneral_profile_idcが最初に再書き込みされない限り、Main 10ビデオビットストリームから抽出されたIRAPピクチャを復号できない点である。この機能性をサポートするためにビットストリームを再書き込みしなければならないことは、望ましくない。
【0080】
現在のVVC仕様に関する別の問題は、general_profile_idcが1つを超えるピクチャを備えるビデオビットストリームのためのMain 10 Still Pictureプロファイルに再書き込みされた場合であっても、Main 10 Still Pictureプロファイルはビットストリーム内に1つのピクチャのみが存在することを要するので、ビットストリームは正規のビットストリームではない点である。ビットストリーム内の第1のピクチャを復号するために、残りすべてのピクチャをビットストリームから破棄して、ビットストリームを復号する前に1ピクチャのビットストリームにする必要がある。
【0081】
以下の説明では、プロファイルA、プロファイルB、およびプロファイルCという専門用語は、ビデオビットストリームなどのビットストリーム内に存在する様々なプロファイル同士を区別するのに使用される。
【0082】
発明の概念の第1の実施形態では、(例えば、ビットストリーム内のパラメータセットにおける構文エレメントで復号された、または外部手段によって提供された)インジケータ値が、ビットストリームがプロファイルB(例えば、ビデオプロファイル)に適合することを示し、またビットストリームの第1のピクチャが静止画(例えば、IRAPピクチャ)であると判定された場合、ビデオビットストリームがプロファイルA(例えば、静止画プロファイル)に適合すると判定される。
【0083】
エンコーダは、ビデオビットストリームがプロファイルAに適合することを示すため、以下のステップのサブセットまたはすべてを実施してもよい(プロファイルAは静止画プロファイルであってもよい)。
1.ビットストリーム内の(例えば、パラメータセット内の)構文エレメントのインジケータ値を符号化する。ここで、インジケータ値は、プロファイルAまたはプロファイルB(例えば、ビデオプロファイル)に対する適合を示す。構文エレメントは、例えば、general_profile_idcであってもよい。
2.静止画をビットストリームに符号化し、静止画においてそれが静止画であることをシグナリングする(例えば、静止画のすべてのVCL NALユニットのNALユニットタイプをIRAP NALユニットタイプに設定することによるか、あるいはピクチャがIRAPピクチャであることを示す、ピクチャヘッダまたはAUDにおける1つまたは複数の値をシグナリングすることによる)。
【0084】
抽出器は、プロファイルBに適合するビデオビットストリームからピクチャを抽出してプロファイルAに適合するため、以下のステップのサブセットまたはすべてを実施してもよい。
1.パラメータセットをビットストリームから抽出する。
2.ビットストリーム内の構文エレメントから(例えば、パラメータセットから)インジケータ値を復号する。ここで、インジケータ値は、特定のプロファイルに対する適合を示す。構文エレメントは、例えば、general_profile_idcであってもよい。
3.インジケータ値が、プロファイルAまたはプロファイルBに対するビットストリームの適合を示すことを判定する。
4.パラメータセット(パラメータセットが抽出された場合)と関連付けられた静止画(例えば、IRAPピクチャ)をビットストリームから抽出する。
5.抽出されたパラメータセットおよび抽出された静止画を組み合わせて、静止画ビットストリームを形成する。
【0085】
デコーダは、ビデオビットストリームがプロファイルAに適合するかどうかを判定する、以下のステップのサブセットまたはすべてを実施してもよい(プロファイルAは静止画プロファイルであってもよい)。
1.インジケータ値を取得する。ここで、インジケータ値は、特定のプロファイルに対する適合を示す。インジケータ値は、ビットストリーム内の構文エレメントから(例えば、パラメータセットから)復号されるか、または外部手段によって提供されてもよい。構文エレメントは、例えば、general_profile_idcであってもよい。
2.ビットストリーム内の第1のピクチャから、第1のピクチャが静止画であるかどうかを判定する。
3.インジケータ値がプロファイルBを示し(ここで、プロファイルBはビデオプロファイルであってもよい)、第1のピクチャが静止画であると判定されたことに応答して、
a.ビットストリームがプロファイルAに適合すると判定し、
b.プロファイルAに適合するデコーダを使用してビットストリームを復号する。
4.インジケータ値がプロファイルCを示す(ここで、プロファイルCは、プロファイルAおよびBとは異なるプロファイルである)か、または第1のピクチャが静止画ではない(即ち、予測ピクチャである)ことに応答して、
a.ビットストリームがプロファイルAに適合しないと判定する。
【0086】
デコーダが実施してもよい上記のステップでは、「静止画」は、IRAPピクチャなどの他の任意のピクチャに依存しない(例えば、それから予測しない)画像またはピクチャを指すことを意味する。
【0087】
上記ステップは必ずしも順序通りでなくてもよく、いくつかのステップは省略されてもよい。例えば、デコーダは、インジケータ値がプロファイルBに対する適合を示すかどうかを最初にチェックすることを選んでもよい。ビットストリームがプロファイルBに適合する場合、デコーダはまた、第1のピクチャが静止画であるかどうかをチェックし、次いでビットストリームがプロファイルAに適合するかどうかを判定する。そうでない場合(ビットストリームがプロファイルBに適合しない場合)、デコーダは、第1のピクチャが静止画であるかどうかをチェックするステップをスキップし、ビットストリームがプロファイルAに適合しないことを直接判定する。
【0088】
第1の実施形態の1つのバージョンでは、静止画はIRAPピクチャであり、即ち、ビットストリーム内の第1のピクチャから、第1のピクチャが静止画であるかどうかを判定することは、第1のピクチャがIRAPピクチャであるかどうかを判定することを含む。
【0089】
実施形態の別のバージョンでは、静止画は、他のピクチャから予測しない任意のタイプのピクチャであってもよい。かかるピクチャの一例は、瞬時にリフレッシュされる、即ち、リカバリPOCカウントが0に等しいGDRピクチャである。かかるピクチャのより一般的な例は、予測ピクチャであることを示すピクチャタイプのピクチャであるが、そのピクチャは完全にイントラコード化される。
【0090】
この第1の実施形態の別のバージョンでは、ビットストリームがプロファイルAに適合することの判定はさらに、第1のピクチャがビットストリームの唯一のピクチャであると検証することを含む。デコーダは、ピクチャがビットストリーム内の唯一のピクチャであるかどうかを、以下によってチェックしてもよい。
- ビットストリームから(例えば、パラメータセット、ピクチャヘッダ、またはスライスヘッダから)、ピクチャがビットストリーム内の唯一のピクチャであるかどうかを示すインジケータ値を取得する。
- ピクチャがビットストリーム内の唯一のピクチャであるという情報を外部手段によって取得する。
- (例えば、第1のピクチャとは異なるPOCを有するNALユニットを識別すること、または第2のピクチャに属するAUDを識別することによって)ビットストリームが1つを超えるピクチャを備えるかどうかを検出するのに、あるいは(例えば、第1のピクチャの直後にNALユニットタイプEOB_NUTを有するNALユニットを取得すること、または第1のピクチャとは別のピクチャを識別することなくビットストリームの終わりまで解析することによって)第1のピクチャがビットストリーム内の唯一のピクチャであるかを検出するのに、ビットストリームを解析する。
【0091】
この第1の実施形態の別のバージョンでは、静止画プロファイルAに適合し、プロファイルBには適合しないデコーダは、1つを超えるピクチャを備えるプロファイルBのビデオビットストリームの第1のピクチャ(残りのものではなく)を復号することができる。
【0092】
この第1の実施形態のさらに別の変形例では、ビデオビットストリームが静止画プロファイルAに適合することを判定するのに、以下のステップが実施される。
1.インジケータ値を取得する。ここで、インジケータ値は、静止画プロファイルAではないビデオプロファイルBに対する適合を示す。
2.ビデオビットストリーム内の第1のピクチャが静止画であることを判定する。1つのバージョンでは、これは、第1のピクチャがIRAPピクチャであると判定することを含む。
3.静止画プロファイルではないビデオプロファイルBに対する適合を示すインジケータ値、およびビデオビットストリーム内の第1のピクチャが静止画であると判定されたことに応答して、ビットストリームが静止画プロファイルAに適合していると判定する。
【0093】
第1の実施形態による第2の実施形態では、第1のピクチャがIRAPピクチャであるかどうかの判定は、第1のピクチャ内の各VCL NALユニットのNALユニットタイプをチェックすることによって行われる。これは、NALユニットヘッダに関してビットストリームの第1のピクチャをスキャンすることによって行われ、各NALユニットタイプがIRAPタイプに対応する値を有すると判定してもよい。VVCでは、IRAP NALユニットタイプは、IDR_W_RADL、IDR_N_LP、およびCRA_NUTである。
【0094】
現在のVVC仕様におけるMain 10およびMain 10 Still Pictureプロファイルの規定を、この実施形態に従ってどのように変更できるかの一例を、イタリック体および太字の追加テキストで以下に示す。
Main 10およびMain 10 Still Pictureプロファイル
Main 10またはMain 10 Still Pictureプロファイルに適合するビットストリームは、下記の制約に従うものとする。

特定のティアの特定のレベルにおけるMain 10 Still Pictureプロファイルに適合するデコーダは、下記の条件すべてが当てはまるすべてのビットストリームを復号することができるものとする。
- ビットストリームがMain 10 Still Pictureプロファイルに適合することが示され、またはビットストリームがMain 10プロファイルに適合することが示され、ビットストリームが1つのピクチャのみを包含し、すべてのVCL NALユニットのnal_unit_typeが、IDR_W_RADL~CRA_NUTの範囲である。
- ビットストリームが、指定されたティアまたはそれよりも下位のティアに適合することが示される。
- ビットストリームが、レベル15.5ではなく、指定されたレベルまたはそれよりも下位のレベルに適合することが示される。
【0095】
現在のVVC仕様におけるMain 10およびMain 10 Still Pictureプロファイルの規定を、この実施形態に従ってどのように変更できるかの別の例を、イタリック体および太字の追加テキストで以下に示す。この例では、Main 10 Still Pictureプロファイルは、上述の例に加えて、1つを超えるピクチャを備えるビデオビットストリームの第1のIRAPピクチャの復号をサポートする。
Main 10およびMain 10 Still Pictureプロファイル
Main 10またはMain 10 Still Pictureプロファイルに適合するビットストリームは、下記の制約に従うものとする。

- 特定のティアの特定のレベルにおけるMain 10 Still Pictureプロファイルに適合するデコーダは、下記の条件すべてが当てはまるすべてのビットストリームの第1のピクチャを復号することができるものとする。
- ビットストリームがMain 10 Still Pictureプロファイルに適合することが示され、またはビットストリームがMain 10プロファイルに適合することが示され、ビットストリームの第1のピクチャに対するすべてのVCL NALユニットのnal_unit_typeが、IDR_W_RADL~CRA_NUTの範囲である。
- ビットストリームが、指定されたティアまたはそれよりも下位のティアに適合することが示される。
- ビットストリームが、レベル15.5ではなく、指定されたレベルまたはそれよりも下位のレベルに適合することが示される。
【0096】
現在のVVC仕様におけるMain 10、Main 10 Still Picture、Main 4:4:4 10、およびMain 4:4:4 10 Still Pictureプロファイルの規定をどのように変更できるかの他の例は、Joint Video Experts Team(JVED) of ITU-T SG 16 WP 3およびISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11(遠隔会議による第19回ミーティング、2020年6月22日~7月1日)に提供されている提案にある。
【0097】
この提案によれば、単一のIRAPピクチャを包含し、Main 10プロファイルに適合するビットストリームは、Main 10 Still Pictureプロファイルにも適合する。同様に、単一のIRAPピクチャを包含し、Main 4:4:4 10プロファイルに適合するビットストリームは、Main 4:4:4 10 Still Pictureプロファイルにも適合する。この提案に関するさらなる詳細は以下のパラグラフに記載される。
【0098】
発明の概念の第3の実施形態では、第1のピクチャが静止画であるかどうかの判定は、ビットストリーム内の第1のピクチャのピクチャヘッダ(またはスライスヘッダ)における1つもしくは複数の構文エレメントから復号された、1つもしくは複数の値から判定される。
【0099】
Main 4:4:4 10およびMain 4:4:4 10 Still Pictureプロファイルの規定をどのように変更できるかの一例を、イタリック体および太字の追加テキストで以下に示す。
Main 4:4:4 10またはMain 4:4:4 10 Still Pictureプロファイルに適合するビットストリームは、下記の制約に従うものとする。

特定のティアの特定のレベルにおけるMain 4:4:4 10 Still Pictureプロファイルに適合するデコーダは、下記の条件すべてが当てはまるすべてのビットストリームを復号することができるものとする。
- ビットストリームは、
・ Main 4:4:4 10 Still PictureまたはMain 10 Still Pictureプロファイルに適合するか、あるいは
・ Main 10プロファイルに適合し、ビットストリームが1つのピクチャのみを包含し、すべてのVCL NALユニットのnal_unit_typeがIDR_W_RADL~CRA_NUTの範囲であるか、あるいは
・ Main 4:4:4 10プロファイルに適合し、ビットストリームが1つのピクチャのみを包含し、すべてのVCL NALユニットのnal_unit_typeがIDR_W_RADL~CRA_NUTの範囲であることが示される。
- ビットストリームが、指定されたティアまたはそれよりも下位のティアに適合することが示される。
- ビットストリームが、レベル15.5ではなく、指定されたレベルまたはそれよりも下位のレベルに適合することが示される。
【0100】
現在のVVC仕様におけるMain 10およびMain 10 Still Pictureプロファイルの規定を、この実施形態に従ってどのように変更できるかの一例を、イタリック体および太字の追加テキストで以下に示す。
Main 10およびMain 10 Still Pictureプロファイル
Main 10またはMain 10 Still Pictureプロファイルに適合するビットストリームは、下記の制約に従うものとする。

特定のティアの特定のレベルにおけるMain 10 Still Pictureプロファイルに適合するデコーダは、下記の条件すべてが当てはまるすべてのビットストリームを復号することができるものとする。
- ビットストリームがMain 10 Still Pictureプロファイルに適合することが示され、またはビットストリームがMain 10プロファイルに適合することが示され、ビットストリームが1つのピクチャのみを包含し、ph_gdr_or_irap_pic_flagが1に等しく、ph_gdr_pic_flagが0に等しい。
- ビットストリームが、指定されたティアまたはそれよりも下位のティアに適合することが示される。
- ビットストリームが、レベル15.5ではなく、指定されたレベルまたはそれよりも下位のレベルに適合することが示される。
【0101】
現在のVVC仕様におけるMain 10、Main 10 Still Picture、Main 4:4:4 10、およびMain 4:4:4 10 Still Pictureプロファイルの規定をどのように変更できるかの他の例は、Joint Video Experts Team(JVED) of ITU-T SG 16 WP 3およびISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11(遠隔会議による第19回ミーティング、2020年6月22日~7月1日)に提供されている提案にあり、その詳細を下記に示す。
【0102】
別の例では、ピクチャヘッダは、ピクチャがIRAPピクチャであるかどうかのみを示す、新しいフラグを備える。フラグは、例えば、ph_irap_pic_flagと呼ばれることがあり、現在のVVC仕様におけるMain 10およびMain 10 Still Pictureプロファイルの規定は、イタリック体および太字の追加テキストで以下に示すように変更することができる。
Main 10およびMain 10 Still Pictureプロファイル
Main 10またはMain 10 Still Pictureプロファイルに適合するビットストリームは、下記の制約に従うものとする。

- 特定のティアの特定のレベルにおけるMain 10 Still Pictureプロファイルに適合するデコーダは、下記の条件すべてが当てはまるすべてのビットストリームを復号することができるものとする。
- ビットストリームがMain 10 Still Pictureプロファイルに適合することが示され、またはビットストリームがMain 10プロファイルに適合することが示され、ビットストリームが1つのピクチャのみを包含し、ph_irap_pic_flagが1に等しい。
- ビットストリームが、指定されたティアまたはそれよりも下位のティアに適合することが示される。
- ビットストリームが、レベル15.5ではなく、指定されたレベルまたはそれよりも下位のレベルに適合することが示される。
【0103】
Main 4:4:4 10およびMain 4:4:4 10 Still Pictureプロファイル
Main 4:4:4 10またはMain 4:4:4 10 Still Pictureプロファイルに適合するビットストリームは、下記の制約に従うものとする。

- 特定のティアの特定のレベルにおけるMain 4:4:4 10 Still Pictureプロファイルに適合するデコーダは、下記の条件すべてが当てはまるすべてのビットストリームを復号することができるものとする。
- ビットストリームは、
・ Main 4:4:4 10 Still PictureまたはMain 10 Still Pictureプロファイルに適合するか、あるいは
・ Main 10プロファイルに適合し、ビットストリームが1つのピクチャのみを包含し、ph_gdr_or_irap_pic_flagが1に等しく、ph_gdr_pic_flagが0に等しいか、あるいは
・ Main 4:4:4 10プロファイルに適合し、ビットストリームが1つのピクチャのみを包含し、ph_gdr_or_irap_pic_flagが1に等しく、ph_gdr_pic_flagが0に等しいことが示される。
- ビットストリームが、指定されたティアまたはそれよりも下位のティアに適合することが示される。
- ビットストリームが、レベル15.5ではなく、指定されたレベルまたはそれよりも下位のレベルに適合することが示される。
【0104】
VVCにおける現在のプロファイル規定
VVCにおけるプロファイルは、JVET-S0152-v5では以下のように規定される。
【0105】
Main 10およびMain 10 Still Pictureプロファイル
Main 10またはMain 10 Still Pictureプロファイルに適合するビットストリームは、下記の制約に従うものとする。
- Main 10 Still Pictureプロファイルに適合するビットストリームでは、ビットストリームは1つのピクチャのみを包含するものとする。
- 参照SPSは、0または1に等しいsps_chroma_format_idcを有するものとする。
- 参照SPSは、0~2の範囲のsps_bitdepth_minus8を有するものとする。
- Main 10 Still Pictureプロファイルに適合するビットストリームでは、参照SPSは、0に等しいmax_dec_pic_buffering_minus1[sps_max_sublayers_minus1]を有するものとする。[Ed.(YK):イントラピクチャをMain 10ビットストリームから抽出してMain 10 Still Pictureビットストリームを形成するときに、抽出器/「エンコーダ」がSPSのmax_dec_pic_buffering_minus1[]の値を変更する必要がないように、Main 10 Still Pictureプロファイルに対するこの制約を有さない方が良いであろう。]
- 参照SPSは、0に等しいsps_palette_enabled_flagを有するものとする。
- Main 10 Still Pictureプロファイルに適合しない、Main 10プロファイルに適合するビットストリームでは、参照VPS(利用可能な場合)および参照SPSにおけるiのすべての値に対するgeneral_level_idcおよびsublayer_level_idc[i]は、255(レベル15.5を示す)に等しくないものとする。
- 条項A.4でMain 10またはMain 10 Still Pictureプロファイルに対して指定されるティアおよびレベル制約は、適用できる場合、満たされるものとする。
【0106】
Main 10プロファイルに対するビットストリームの適合は、general_profile_idcが1に等しいことによって示される。
【0107】
Main 10 Still Pictureプロファイルに対するビットストリームの適合は、general_profile_idcが3に等しいことによって示される。
【0108】
注-Main 10 Still Pictureに対するプロファイルビットストリームの適合が上記に指定したように示され、また示されるレベルがレベル15.5ではない場合、Main 10プロファイルに対するビットストリームの適合の指示に対する条件も満たされる。
【0109】
特定のティアの特定のレベルにおけるMain 10プロファイルに適合するデコーダは、下記の条件すべてが当てはまるすべてのビットストリームを復号することができるものとする。
- ビットストリームが、Main 10またはMain 10 Still Pictureプロファイルに適合することが示される。
- ビットストリームが、指定されたティアまたはそれよりも下位のティアに適合することが示される。
- ビットストリームが、レベル15.5ではなく、指定されたレベルまたはそれよりも下位のレベルに適合することが示される。
【0110】
特定のティアの特定のレベルにおけるMain 10 Still Pictureプロファイルに適合するデコーダは、下記の条件すべてが当てはまるすべてのビットストリームを復号することができるものとする。
- ビットストリームが、Main 10 Still Pictureプロファイルに適合することが示される。
- ビットストリームが、指定されたティアまたはそれよりも下位のティアに適合することが示される。
- ビットストリームが、レベル15.5ではなく、指定されたレベルまたはそれよりも下位のレベルに適合することが示される。
【0111】
Main 4:4:4 10およびMain 4:4:4 10 Still Pictureプロファイル
Main 4:4:4 10またはMain 4:4:4 10 Still Pictureプロファイルに適合するビットストリームは、下記の制約に従うものとする。
- Main 4:4:4 10 Still Pictureプロファイルに適合するビットストリームでは、ビットストリームは1つのピクチャのみを包含するものとする。
- 参照SPSは、0~3の範囲のsps_chroma_format_idcを有するものとする。
- 参照SPSは、0~2の範囲のsps_bitdepth_minus8を有するものとする。
- Main 4:4:4 10 Still Pictureプロファイルに適合するビットストリームでは、参照SPSは、0に等しいmax_dec_pic_buffering_minus1[sps_max_sublayers_minus1]を有するものとする。[Ed.(YK):イントラピクチャをMain 4:4:4 10ビットストリームから抽出してMain 4:4:4 10 Still Pictureビットストリームを形成するときに、抽出器/「エンコーダ」がSPSのmax_dec_pic_buffering_minus1[]の値を変更する必要がないように、Main 4:4:4 10 Still Pictureプロファイルに対するこの制約を有さない方が良いであろう。]
- Main 4:4:4 10 Still Pictureプロファイルに適合しない、Main 4:4:4 10プロファイルに適合するビットストリームでは、参照VPS(利用可能な場合)および参照SPSにおけるiのすべての値に対するgeneral_level_idcおよびsublayer_level_idc[i]は、255(レベル15.5を示す)に等しくないものとする。
- 条項A.4でMain 4:4:4 10またはMain 4:4:4 10 Still Pictureプロファイルに対して指定されるティアおよびレベル制約は、適用できる場合、満たされるものとする。
【0112】
Main 4:4:4 10プロファイルに対するビットストリームの適合は、general_profile_idcが2に等しいことによって示される。
【0113】
Main 4:4:4 10 Still Pictureプロファイルに対するビットストリームの適合は、general_profile_idcが4に等しいことによって示される。
【0114】
注-Main 4:4:4 10 Still Pictureに対するプロファイルビットストリームの適合が上記に指定したように示され、また示されるレベルがレベル15.5ではない場合、Main 4:4:4 10プロファイルに対するビットストリームの適合の指示に対する条件も満たされる。
【0115】
特定のティアの特定のレベルにおけるMain 4:4:4 10プロファイルに適合するデコーダは、下記の条件すべてが当てはまるすべてのビットストリームを復号することができるものとする。
- ビットストリームが、Main 4:4:4 10、Main 10、Main 4:4:4 10 Still Picture、またはMain 10 Still Pictureプロファイルに適合することが示される。
- ビットストリームが、指定されたティアまたはそれよりも下位のティアに適合することが示される。
- ビットストリームが、レベル15.5ではなく、指定されたレベルまたはそれよりも下位のレベルに適合することが示される。
【0116】
特定のティアの特定のレベルにおけるMain 4:4:4 10 Still Pictureプロファイルに適合するデコーダは、下記の条件すべてが当てはまるすべてのビットストリームを復号することができるものとする。
- ビットストリームが、Main 4:4:4 10 Still PictureまたはMain 10 Still Pictureプロファイルに適合することが示される。
- ビットストリームが、指定されたティアまたはそれよりも下位のティアに適合することが示される。
- ビットストリームが、レベル15.5ではなく、指定されたレベルまたはそれよりも下位のレベルに適合することが示される。
【0117】
発明の概念の代替実施形態では、第1のピクチャが静止画であるかどうかの判定は、第1のピクチャのアクセスユニットのアクセスユニットデリミッタ(AUD)における構文エレメントから復号された値から判定される。構文エレメントは、例えば、アクセスユニットがIRAPまたはGDRアクセスユニットなどの静止画を備えるかどうかを指定する、フラグ(例えば、aud_irap_or_gdr_au_flag)であることができる。別のバージョンでは、AUDにおける構文エレメントは、ピクチャがIRAPピクチャであるかどうかのみを指定する。
【0118】
デコーダ306(図4のブロック図の構造を使用して実装される)の動作について、発明の概念のいくつかの実施形態による、図6図13のフローチャートを参照して次に考察する。例えば、モジュールは図4のメモリ403に格納されてもよく、これらのモジュールは、モジュールの命令がそれぞれの通信デバイス処理回路401によって実行されると、処理回路401がフローチャートのそれぞれの動作を実施するように、命令を提供してもよい。
【0119】
図6に移ると、ブロック601で、ブロック601の処理回路401は、プロファイルに対する適合を示すインジケータ値を取得する。例えば、インジケータ値は、ビデオビットストリームが第1のプロファイル、第2のプロファイル、または第3のプロファイルに適合することを示してもよい。
【0120】
図8に移ると、発明の概念の一実施形態では、ブロック801で、処理回路401は、ビットストリーム内の構文エレメントからインジケータ値を取得することができる。
【0121】
発明の概念の別の実施形態では、処理回路401は、ブロック803で、復号能力情報(DCI)またはパラメータセットにおける構文エレメントからインジケータ値を取得することができる。パラメータセットは、ビデオパラメータセット(VPS)、シーケンスパラメータセット(SPS)、またはピクチャパラメータセット(PPS)などの1つであってもよい。
【0122】
発明の概念のさらに別の実施形態では、処理回路401は、ブロック805で、インジケータ値を外部手段から取得することができる。外部手段は、デコーダにおける定数として、ビデオビットストリームとは異なるデータチャネルで提供されるメタデータであってもよい。
【0123】
図6に戻ると、ブロック603で、処理回路401は、ビデオビットストリーム内の第1のピクチャが静止画であるかどうかを判定する。発明の概念の一実施形態では、処理回路401は、第1のピクチャがイントラランダムアクセスポイント(IRAP)ピクチャであるかどうかを判定することによって、ビデオビットストリーム内の第1のピクチャが静止画であるかどうかを判定することができる。あるいは、処理回路401は、構文エレメントから1つまたは複数の値を取得することによって、ビデオビットストリーム内の第1のピクチャが静止画であるかどうかを判定することができ、ここで、構文エレメントからの値は、ビデオビットストリーム内の第1のピクチャが静止画であるかどうかを指定する。構文エレメントはビデオビットストリーム内に存在してもよい。別の例では、構文エレメントは、ビデオビットストリーム内には存在しないが、ビデオビットストリームとは異なるデータチャネルなど、外部手段から取得される。
【0124】
図9に移ると、発明の概念の別の実施形態では、処理回路401は、ブロック901で、第1のピクチャの各ビデオコーディングレイヤネットワーク抽象化レイヤ(NAL)ユニットのNALユニットタイプを取得し、ブロック903で、第1のピクチャのすべてのビデオコーディングレイヤNALユニットが、イントラランダムアクセスポイント(IRAP)ピクチャを表すNALユニットタイプを有すると判定することにより、第1のピクチャが静止画であると判定することによって、第1のピクチャが静止画であるかどうかを判定することができる。
【0125】
図10に移ると、発明の概念の別の実施形態では、処理回路401は、ブロック1001で、第1のピクチャのピクチャヘッダから、第1のピクチャのスライスヘッダから、または第1のピクチャと関連付けられたアクセスユニットデリミッタ(AUD)からの、1つまたは複数の構文エレメントからの1つまたは複数の値を復号し、ブロック1003で、1つまたは複数の値からピクチャが静止画であるかどうかを判定することにより、第1のピクチャが静止画であると判定することによって、第1のピクチャが静止画であるかどうかを判定することができる。値は、ピクチャヘッダのみから、もしくはスライスヘッダのみから、またはピクチャヘッダおよびスライスヘッダの両方からの構文エレメントの組合せから復号されてもよい。
【0126】
発明の概念のさらなる実施形態では、処理回路401は、第1のピクチャが、0に等しいリカバリピクチャ順序カウント(POC)を有する漸次復号リフレッシュ(GDR)ピクチャであるかどうかを判定することによって、第1のピクチャが静止画であるかどうかを判定することができる。
【0127】
発明の概念のさらに他の実施形態では、処理回路401は、第1のピクチャが1つまたは複数の値を構文エレメントから取得している静止画であるかどうかを判定することができ、構文エレメントからの値は、ビデオビットストリーム内の第1のピクチャが静止画であるかどうかを指定する。
【0128】
図6に戻ると、ブロック605で、処理回路401は、インジケータ値が第2のプロファイルに対する適合を示すこと、および第1のピクチャが静止画であることに応答して、ビットストリームが第1のプロファイルに適合すると判定する。図7に示されるような他の実施形態では、ブロック705で、処理回路401は、インジケータ値が第2のプロファイルに対する適合を示すこと、および第1のピクチャが静止画であると判定されたことに応答して、第1のプロファイルに適合するデコーダが、ビデオビットストリームの第1のピクチャを復号することができると判定する。換言すれば、デコーダは、ビデオビットストリームの第1のピクチャを復号することができる。第1のプロファイルは静止画プロファイルであってもよい。第2のプロファイルは、ビデオプロファイルであってもよく、ならびに/あるいは第1のプロファイルとは異なってもよい。
【0129】
ブロック607で、処理回路401は、インジケータ値が第2のプロファイルに対する適合を示すこと、および第1のピクチャが静止画であることに応答して、第1のプロファイルに適合するデコーダを使用して、ビットストリームを復号することができる。上述したように、図7に示されるようないくつかの実施形態では、処理回路401は、ブロック707で、インジケータ値が第2のプロファイルに対する適合を示すこと、および第1のピクチャが静止画であると判定されたことに応答して、第1のプロファイルに適合するデコーダを使用して、ビットストリームの第1のピクチャを復号することができる。これらの実施形態では、処理回路401は、ビットストリームの他の部分を復号することができてもできなくてもよい。
【0130】
ブロック609で、処理回路401は、インジケータ値が第3のプロファイルに対する適合を示すこと、または第1のピクチャが静止画ではないことのどちらかに応答して、第1のプロファイルに適合するデコーダを使用してビットストリームを復号しない。換言すれば、上述したように、図7に示されるようないくつかの実施形態では、処理回路401は、ブロック709で、インジケータ値が第3のプロファイルに対する適合を示すこと、または第1のピクチャが静止画ではないと判定されたことのどちらかに応答して、第1のプロファイルに適合するデコーダを使用してビットストリームの第1のピクチャを復号しない。第3のプロファイルは、第1のプロファイルおよび第2のプロファイルとは異なる。
【0131】
図11に戻ると、ブロック1101で、処理回路401は、インジケータ値が第3のプロファイルに対する適合を示すこと、または第1のピクチャが静止画ではないと判定されたことに応答して、ビデオビットストリームは第1のプロファイルに適合しないと判定する。これは、第1のピクチャが第1のプロファイルに適合しないためである。いくつかの実施形態では、図11に示されるように、ブロック1103で、処理回路401は、インジケータ値が第3のプロファイルに対する適合を示すこと、または第1のピクチャが静止画ではないと判定されたことに応答して、デコーダが、上述したように、ビデオビットストリームの第1のピクチャを復号することができない場合があると判定する。
【0132】
図6のフローチャートからの様々な動作は、通信デバイスのいくつかの実施形態および関連する方法に関して任意であってもよい。例示の実施形態1(後述)の方法に関して、例えば、図6のブロック607および609の動作は任意であってもよい。
【0133】
図7のフローチャートからの様々な動作は、通信デバイスのいくつかの実施形態および関連する方法に関して任意であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ブロック707および709の動作は任意であってもよい。
【0134】
図12に移ると、ビデオビットストリームが第1のプロファイルに適合するかどうかを判定する、発明の概念のさらなる実施形態が示されている。ブロック1201で、処理回路401は、第1のピクチャがビットストリーム内の唯一のピクチャであるかどうかを判定する。ブロック1203で、処理回路401は、インジケータ値が第2のプロファイルに対する適合を示すこと、および第1のピクチャが静止画であると判定されたこと、および第1のピクチャがビットストリーム内の唯一のピクチャであると判定されたことに応答して、デコーダがビデオビットストリームの第1のピクチャを復号することができると判定する。
【0135】
静止画は、他の任意のピクチャ、IRAPピクチャ、または0に等しいリカバリPOCカウントを有するGDRピクチャに依存しない(例えば、それから予測されない)画像またはピクチャの少なくとも1つであってもよい。換言すれば、静止画は、他の任意のピクチャ、他の任意のピクチャから予測しない画像、IRAPピクチャ、または0に等しいリカバリPOCカウントを有するGDRピクチャに依存しない、画像またはピクチャの少なくとも1つであってもよい。
【0136】
デコーダ306は、静止画ビットストリームを形成するなど、発明の概念である他のアクションを実施してもよい。図13に移ると、ブロック1301で、処理回路401は、パラメータセットをビットストリームから抽出してもよい。ブロック1303で、処理回路401は、ビットストリーム内の構文エレメントからインジケータ値を復号することによって、インジケータ値を取得してもよい。ブロック1305で、インジケータ値が第1のプロファイルまたは第2のプロファイルとのビットストリームの適合を示すことに応答して、処理回路401は、ブロック1307で、パラメータセットと関連付けられた静止画をビットストリームから抽出してもよく、ブロック1309で、ビットストリームから抽出されたパラメータセットをビットストリームから抽出された静止画と組み合わせて、インジケータ値を構文エレメントに再書き込みすることなく静止画ビットストリームを形成してもよい。
【0137】
例示の実施形態について以下に考察する。
【0138】
実施形態1.第1のプロファイルに対するビデオビットストリームの適合を判定するための方法であって、
プロファイルに対する適合を示すインジケータ値を取得すること(601)と、
ビデオビットストリーム内の第1のピクチャが静止画であるかどうかを判定すること(603)と、
インジケータ値が第2のプロファイルに対する適合を示すこと、および第1のピクチャが静止画であることに応答して、ビットストリームが第1のプロファイルに適合すると判定すること(605)とを含む、方法。
【0139】
実施形態2.インジケータ値が第3のプロファイルに対する適合を示すこと、または第1のピクチャが静止画ではないと判定されたことに応答して、ビデオビットストリームが第1のプロファイルに適合しないと判定すること(1101)をさらに含む、実施形態1の方法。
【0140】
実施形態3.インジケータ値を取得することが、ビットストリーム内の構文エレメントからインジケータ値を復号すること(801)を含む、実施形態1から2のいずれかの方法。
【0141】
実施形態4.インジケータ値を取得することが、復号能力情報(DCI)またはパラメータセットにおける構文エレメントからインジケータ値を復号すること(803)を含む、実施形態1から2のいずれかの方法。
【0142】
実施形態5.パラメータセットが、ビデオパラメータセット(VPS)、シーケンスパラメータセット(SPS)、またはピクチャパラメータセット(PPS)の1つを含む、実施形態4の方法。
【0143】
実施形態6.インジケータ値を取得することが、インジケータ値を外部手段から取得すること(805)を含む、実施形態1から2のいずれかの方法。
【0144】
実施形態7.第1のプロファイルが静止画プロファイルである、実施形態1から6のいずれかの方法。
【0145】
実施形態8.第2のプロファイルがビデオプロファイルである、実施形態1から7のいずれかの方法。
【0146】
実施形態9.第2のプロファイルが第1のプロファイルとは異なる、実施形態1から8のいずれかの方法。
【0147】
実施形態10.第3のプロファイルが第1のプロファイルおよび第2のプロファイルとは異なる、実施形態2から9のいずれかの方法。
【0148】
実施形態11.インジケータ値が第2のプロファイルに対する適合を示すこと、および第1のピクチャが静止画であることに応答して、第1のプロファイルに適合するデコーダを使用して、ビットストリームを復号すること(607)をさらに含む、実施形態1から10のいずれかの方法。
【0149】
実施形態12.インジケータ値が第3のプロファイルに対する適合を示すこと、または第1のピクチャが静止画ではないことのどちらかに応答して、第1のプロファイルに適合するデコーダを使用してビットストリームを復号しないこと(609)をさらに含む、実施形態2から11のいずれかの方法。
【0150】
実施形態13.ビデオビットストリーム内の第1のピクチャが静止画であるかどうかを判定することが、第1のピクチャがイントラランダムアクセスポイント(IRAP)ピクチャであるかどうかを判定することを含む、実施形態1から12のいずれかの方法。
【0151】
実施形態14.ビデオビットストリーム内の第1のピクチャが静止画であるかどうかを判定することが、構文エレメントから1つまたは複数の値を取得することを含み、構文エレメントからの値が、ビデオビットストリーム内の第1のピクチャが静止画であるかどうかを指定する、実施形態1から12のいずれかの方法。
【0152】
実施形態15.第1のピクチャが静止画であるかどうかを判定することが、
第1のピクチャの各ビデオコーディングレイヤネットワーク抽象化レイヤ(NAL)ユニットのNALユニットタイプを取得すること(901)と、
第1のピクチャのすべてのビデオコーディングレイヤNALユニットが、イントラランダムアクセスポイント(IRAP)ピクチャを表すNALユニットタイプを有すると判定すること(903)とによって、
第1のピクチャが静止画であると判定することを含む、実施形態1から12のいずれかの方法。
【0153】
実施形態16.第1のピクチャが静止画であるかどうかを判定することが、
第1のピクチャのピクチャヘッダまたは第1のピクチャのスライスヘッダから、1つまたは複数の構文エレメントからの1つまたは複数の値を復号すること(1001)と、
1つまたは複数の値から、ピクチャが静止画であると判定すること(1003)とによって、
第1のピクチャが静止画であると判定することを含む、実施形態1から12のいずれかの方法。
【0154】
実施形態17.第1のピクチャがビットストリーム内の唯一のピクチャであるかどうかを判定すること(1201)と、
インジケータ値が第2のプロファイルに対する適合を示すこと、および第1のピクチャが静止画であると判定されたこと、および第1のピクチャがビットストリーム内の唯一のピクチャであると判定されたことに応答して、ビットストリームが第1のプロファイルに適合すると判定すること(1203)とをさらに含む、実施形態1から16のいずれかの方法。
【0155】
実施形態18.パラメータセットをビットストリームから抽出すること(1301)と、
ビットストリーム内の構文エレメントからインジケータ値を復号することによって、インジケータ値を取得すること(1303)と、
インジケータ値が第1のプロファイルまたは第2のプロファイルとのビットストリームの適合を示すこと(1305)に応答して、
パラメータセットと関連付けられた静止画をビットストリームから抽出すること(1307)と、
ビットストリームから抽出されたパラメータセットをビットストリームから抽出された静止画と組み合わせて、インジケータ値を構文エレメントに再書き込みすることなく静止画ビットストリームを形成すること(1309)とをさらに備える、実施形態1から17のいずれかの方法。
【0156】
実施形態19.第1のプロファイルに対するビデオビットストリームの適合を判定するためのデコーダ(306)であって、
プロファイルに対する適合を示すインジケータ値を取得すること(601)と、
ビデオビットストリーム内の第1のピクチャが静止画であるかどうかを判定すること(603)と、
インジケータ値が第2のプロファイルに対する適合を示すこと、および第1のピクチャが静止画であることに応答して、ビットストリームが第1のプロファイルに適合すると判定すること(605)とを含む動作を実施するように適合された、デコーダ(306)。
【0157】
実施形態20.デコーダが、実施形態2から18のいずれかに記載の動作を実施するようにさらに適合された、実施形態19のデコーダ(306)。
【0158】
実施形態21.第1のプロファイルに対するビデオビットストリームの適合を判定するためのデコーダ(306)であって、
処理回路(401)と、
処理回路と結合された、命令を含むメモリ(403)とを備え、命令が処理回路によって実行されると、
プロファイルに対する適合を示すインジケータ値を取得すること(601)と、
ビデオビットストリーム内の第1のピクチャが静止画であるかどうかを判定すること(603)と、
インジケータ値が第2のプロファイルに対する適合を示すこと、および第1のピクチャが静止画であることに応答して、ビットストリームが第1のプロファイルに適合すると判定すること(605)とを含む動作をデコーダに実施させる、デコーダ(306)。
【0159】
実施形態22.メモリがさらなる命令を含み、さらなる命令が処理回路によって実行されると、
インジケータ値が第3のプロファイルに対する適合を示すこと、または第1のピクチャが静止画ではないと判定されたことに応答して、ビデオビットストリームが第1のプロファイルに適合しないと判定すること(1101)を含む、さらなる動作をデコーダに実施させる、実施形態21のデコーダ。
【0160】
実施形態23.インジケータ値を取得することにおいて、メモリがさらなる命令を含み、さらなる命令が処理回路によって実行されると、ビットストリーム内の構文エレメントからインジケータ値を復号すること(801)を含む、さらなる動作をデコーダに実施させる、実施形態21から22のいずれかのデコーダ。
【0161】
実施形態24.インジケータ値を取得することにおいて、メモリがさらなる命令を含み、さらなる命令が処理回路によって実行されると、復号能力情報(DCI)またはパラメータセットにおける構文エレメントからインジケータ値を復号すること(803)を含む、さらなる動作をデコーダに実施させる、実施形態21から22のいずれかのデコーダ。
【0162】
実施形態25.パラメータセットが、ビデオパラメータセット(VPS)、シーケンスパラメータセット(SPS)、またはピクチャパラメータセット(PPS)の1つを含む、実施形態24のデコーダ。
【0163】
実施形態26.インジケータ値を取得することにおいて、メモリがさらなる命令を含み、さらなる命令が処理回路によって実行されると、インジケータ値を外部手段から取得すること(805)を含む、さらなる動作をデコーダに実施させる、実施形態22から25のいずれかのデコーダ。
【0164】
実施形態27.第1のプロファイルが静止画プロファイルである、実施形態21から26のいずれかのデコーダ。
【0165】
実施形態28.第2のプロファイルがビデオプロファイルである、実施形態21から27のいずれかのデコーダ。
【0166】
実施形態29.第2のプロファイルが第1のプロファイルとは異なる、実施形態21から28のいずれかのデコーダ。
【0167】
実施形態30。第3のプロファイルが第1のプロファイルおよび第2のプロファイルとは異なる、実施形態22から29のいずれかのデコーダ。
【0168】
実施形態31.メモリがさらなる命令を含み、さらなる命令が処理回路によって実行されると、インジケータ値が第2のプロファイルに対する適合を示すこと、および第1のピクチャが静止画であることに応答して、第1のプロファイルに適合するデコーダを使用してビットストリームを復号すること(607)を含む、さらなる動作をデコーダに実施させる、実施形態21から30のいずれかのデコーダ。
【0169】
実施形態32.メモリがさらなる命令を含み、さらなる命令が処理回路によって実施されると、インジケータ値が第3のプロファイルに対する適合を示すこと、または第1のピクチャが静止画ではないことのどちらかに応答して、第1のプロファイルに適合するデコーダを使用してビットストリームを復号しないこと(609)を含む、さらなる動作をデコーダに実施させる、実施形態21から31のいずれかのデコーダ。
【0170】
実施形態33.ビデオビットストリーム内の第1のピクチャが静止画であるかどうかを判定することにおいて、メモリがさらなる命令を含み、さらなる命令が処理回路によって実行されると、第1のピクチャがイントラランダムアクセスポイント(IRAP)ピクチャであるかどうかを判定することを含む、さらなる動作をデコーダに実施させる、実施形態21から32のいずれかのデコーダ。
【0171】
実施形態34.ビデオビットストリーム内の第1のピクチャが静止画であるかどうかを判定することが、構文エレメントから1つまたは複数の値を取得することを含み、構文エレメントからの値が、ビデオビットストリーム内の第1のピクチャが静止画であるかどうかを指定する、実施形態21から32のいずれかのデコーダ。
【0172】
実施形態35.第1のピクチャが静止画であるかどうかを判定することにおいて、メモリがさらなる命令を含み、さらなる命令が処理回路によって実行されると、
第1のピクチャの各ビデオコーディングレイヤネットワーク抽象化レイヤ(NAL)ユニットのNALユニットタイプを取得すること(901)と、
第1のピクチャのすべてのビデオコーディングレイヤNALユニットが、IRAPピクチャを表すNALユニットタイプを有すると判定すること(903)とによって、
第1のピクチャが静止画であると判定することを含む、さらなる動作をデコーダに実施させる、実施形態21から32のいずれかのデコーダ。
【0173】
実施形態36.第1のピクチャが静止画であるかどうかを判定することにおいて、メモリがさらなる命令を含み、さらなる命令が処理回路によって実行されると、
第1のピクチャのピクチャヘッダまたは第1のピクチャのスライスヘッダから、1つまたは複数の構文エレメントからの1つまたは複数の値を復号すること(1001)と、
1つまたは複数の値から、ピクチャが静止画であると判定すること(1003)とによって、
第1のピクチャが静止画であると判定することを含む、さらなる動作をデコーダに実施させる、実施形態21から32のいずれかのデコーダ。
【0174】
実施形態37.メモリがさらなる命令を含み、さらなる命令が処理回路によって実行されると、
第1のピクチャがビットストリーム内の唯一のピクチャであるかどうかを判定すること(1201)と、
インジケータ値が第2のプロファイルに対する適合を示すこと、および第1のピクチャが静止画であると判定されたこと、および第1のピクチャがビットストリーム内の唯一のピクチャであると判定されたことに応答して、ビットストリームが第1のプロファイルに適合すると判定すること(1203)と
を含む、さらなる動作をデコーダに実施させる、実施形態21から36のいずれかのデコーダ。
【0175】
実施形態38.メモリがさらなる命令を含み、さらなる命令が処理回路によって実行されると、
パラメータセットをビットストリームから抽出すること(1301)と、
ビットストリーム内の構文エレメントからインジケータ値を復号することによって、インジケータ値を取得すること(1303)と、
インジケータ値が第1のプロファイルまたは第2のプロファイルとのビットストリームの適合を示すこと(1305)に応答して、
パラメータセットと関連付けられた静止画をビットストリームから抽出すること(1307)と、
ビットストリームから抽出されたパラメータセットをビットストリームから抽出された静止画と組み合わせて、インジケータ値を構文エレメントに再書き込みすることなく静止画ビットストリームを形成すること(1309)と
を含む、さらなる動作をデコーダに実施させる、実施形態21から37のいずれかのデコーダ。
【0176】
実施形態39.デコーダ(306)の処理回路(401)によって実行されるプログラムコードを含むコンピュータプログラムであって、プログラムコードを実行することによって、
プロファイルに対する適合を示すインジケータ値を取得すること(601)と、
ビデオビットストリーム内の第1のピクチャが静止画であるかどうかを判定すること(603)と、
インジケータ値が第2のプロファイルに対する適合を示すこと、および第1のピクチャが静止画であることに応答して、ビットストリームが第1のプロファイルに適合すると判定すること(605)と
を含む動作をデコーダ(306)に実施させる、コンピュータプログラム。
【0177】
実施形態40.コンピュータプログラムが、デコーダ(306)の処理回路(401)によって実行されるさらなるプログラムコードを含み、プログラムコードを実行することによって、実施形態2から18のいずれかに記載の動作をデコーダ(306)に実施させる、実施形態39のコンピュータプログラム。
【0178】
実施形態41.デコーダ(306)の処理回路(401)によって実行されるプログラムコードを含む非一時的記憶媒体を備える、コンピュータプログラム製品であって、プログラムコードを実行することによって、
プロファイルに対する適合を示すインジケータ値を取得すること(601)と、
ビデオビットストリーム内の第1のピクチャが静止画であるかどうかを判定すること(603)と、
インジケータ値が第2のプロファイルに対する適合を示すこと、および第1のピクチャが静止画であることに応答して、ビットストリームが第1のプロファイルに適合すると判定すること(605)と
を含む動作をデコーダ(306)に実施させる、コンピュータプログラム製品。
【0179】
実施形態42.非一時的記憶媒体が、デコーダ(306)の処理回路(401)によって実行されるさらなるプログラムコードを含み、プログラムコードを実行することによって、実施形態2から18のいずれかに記載の動作をデコーダ(306)に実施させる、実施形態41のコンピュータプログラム製品。
【0180】
本開示で使用される様々な略語/頭字語に関する説明を以下に提供する。
略語 説明
AU アクセスユニット
AUD アクセスユニットデリミッタ
ALF 適応ループフィルタ
APS 適応パラメータセット
BDOF 二方向性光学フロー
BLA リンク切れアクセス
CLVS コード化レイヤビデオシーケンス
CRA クリーンランダムアクセス
CVS コード化ビデオストリーム
CVSS CVS開始
CU コーディングユニット
DCI 復号能力情報
DMVR デコーダ動きベクトル精密化
DPS 復号パラメータセット
DRAP 依存ランダムアクセスポイント
GDR 漸次復号リフレッシュ
HEVC 高効率ビデオコーディング
IDR 瞬時復号リフレッシュ
IRAP イントラランダムアクセスポイント
LMCS ルママッピングおよびクロマスケーリング
MPEG 動画専門家集団
MVD 動きベクトル差
NAL ネットワーク抽象化レイヤ
NALU NALユニット
NUT NALユニットタイプ
PPS ピクチャパラメータセット
RADL ランダムアクセス復号可能先頭
RAP ランダムアクセスポイント
RASL ランダムアクセススキップ先頭
RBSP 生バイトシーケンスペイロード
RPL 参照ピクチャリスト
SEI 補足拡張レイヤ
SPS シーケンスパラメータセット
STSA 段階的時間レイヤアクセス
VCL ビデオコーディングレイヤ
VPS ビデオパラメータセット
VVC 多用途ビデオコーディング
【0181】
参考文献を下記に特定する。
1.JVET-S0152-v5、多用途ビデオコーディング、共同映像専門家集団
【0182】
一般に、本明細書で使用するすべての用語は、別の意味が明確に与えられない限り、および/またはその用語が使用される文脈から示唆されない限り、関連技術分野におけるそれらの本来の意味に従って解釈されるべきである。エレメント、装置、構成要素、手段、ステップなどに対するすべての参照は、別の形で明示的に規定されない限り、エレメント、装置、構成要素、手段、ステップなどの少なくとも一例を指すものと広く解釈されるべきである。本明細書に開示する任意の方法のステップは、あるステップが別のステップの前もしくは後に行われるものと明示的に記載されない限り、および/またはあるステップが別のステップの前もしくは後に行われなければならないことが暗示されていない限り、開示される正確な順序で必ずしも実施されなくてもよい。本明細書に開示する実施形態のいずれかの任意の特徴は、適切であれば、他のいずれかの実施形態に適用されてもよい。同様に、実施形態のいずれかの任意の利点が他のいずれかの実施形態に適用されてもよく、その逆もまた真である。開示する実施形態の他の目的、特徴、および利点は、以下の記載から明白となるであろう。
【0183】
ユニットという用語は、エレクトロニクス、電気デバイス、および/または電子デバイスの分野における従来の意味を有してもよく、例えば、本明細書に記載するものなどの、それぞれのタスク、手順、計算、出力、および/または表示機能などを実施するための、電気および/または電子回路、デバイス、モジュール、プロセッサ、メモリ、論理のソリッドステートおよび/またはディスクリート素子、コンピュータプログラムまたは命令を含んでもよい。
【0184】
本発明の概念の様々な実施形態の上記記載において、本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態のみについて記載するためのものであり、本発明の概念を限定しようとするものではないことが理解されるべきである。別段の規定がない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術的および科学的用語を含む)は、本発明の概念が属する分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。さらに、一般的に使用される辞書において規定されるものなどの用語は、本明細書および関連分野の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、本明細書で明示的に規定されない限り、理想的なまたは過度に形式的な意味で解釈されるべきでないことが理解されるであろう。
【0185】
あるエレメントが、別のエレメントに対して「接続された」、「結合された」、「応答する」、またはそれらの変形であるものとして言及される場合、他方のエレメントに直接接続されるか、結合されるか、または応答するものであることができ、あるいは介在するエレメントが存在してもよい。対照的に、あるエレメントが別のエレメントに「直接接続される」、「直接結合される」、「直接応答する」、またはそれらの変形であるものとして言及される場合、介在エレメントは存在しない。明細書全体を通して、同様の番号は同様のエレメントを指す。さらに、「結合された」、「接続された」、「応答する」、またはそれらの変形は、本明細書で使用するとき、無線で結合される、接続される、または応答することを含んでもよい。本明細書で使用するとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈によって別段の明示がない限り、複数形も含むものとする。良く知られている機能または構造は、簡潔および/または明瞭にするため、詳細には記載されないことがある。「および/または」という用語(それを省略した「/」)は、関連して列挙される項目の1つまたは複数のあらゆる組合せを含む。
【0186】
第1、第2、第3などの用語が、様々なエレメント/動作について記載するのに本明細書で使用されることがあるが、これらのエレメント/動作はこれらの用語によって限定されるべきではないことが理解される。これらの用語は、1つのエレメント/動作を別のエレメント/動作と区別するためにのみ使用される。したがって、本発明の概念の教示から逸脱することなく、いくつかの実施形態における第1のエレメント/動作が、他の実施形態では第2のエレメント/動作と称される場合がある。同じ参照番号または同じ参照指示子は、明細書全体を通して同じまたは同様のエレメントを指す。
【0187】
本明細書で使用するとき、備える(「comprise」、「comprising」、「comprises」)、含む(「include」、「including」、「includes」)、有する(「have」、「has」、「having」)という用語、またはそれらの変形は、オープンエンドであり、1つもしくは複数の提示された特徴、整数、エレメント、ステップ、構成要素、または機能を含むが、1つもしくは複数の他の特徴、整数、エレメント、ステップ、構成要素、機能、またはそれらの群の存在または追加を除外しない。さらに、本明細書で使用するとき、ラテン語の句の「exempli gratia」に由来する一般的略語「e.g.」は、先に言及された項目の一般例を紹介または指定するのに使用されることがあり、かかる項目を限定しようとするものではない。ラテン語の句の「id est」に由来する一般的略語「i.e.」は、より一般的な列挙から特定の項目を指定するのに使用されることがある。
【0188】
コンピュータ実装方法、装置(システムおよび/またはデバイス)、ならびに/あるいはコンピュータプログラム製品のブロック図および/またはフローチャート図を参照して、例示の実施形態が本明細書に記載される。ブロック図および/またはフローチャート図のブロック、ならびにブロック図および/またはフローチャート図におけるブロックの組合せは、1つまたは複数のコンピュータ回路によって実施されるコンピュータプログラム命令によって実現することができる。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ回路、専用コンピュータ回路、および/または他のプログラム可能データ処理回路のプロセッサ回路に提供されて、マシンを作成してもよく、それによって、コンピュータおよび/または他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサを介して実行する命令は、トランジスタ、メモリロケーションに格納された値、およびかかる回路内の他のハードウェア構成要素を変換し制御して、ブロック図および/または1つもしくは複数のフローチャートのブロックで指定された機能/動作を実現することにより、ブロック図および/またはフローチャートのブロックで指定された機能/動作を実現するための手段(機能性)および/または構造を作り出す。
【0189】
これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置に特定の方式で機能するように指令することができる、有形のコンピュータ可読媒体に格納されてもよく、それによって、コンピュータ可読媒体に格納された命令は、ブロック図および/または1つもしくは複数のフローチャートのブロックで指定された機能/動作を実現する命令を含む、製品を作成する。したがって、本発明の概念の実施形態は、「回路」、「モジュール」、またはそれらの変形などで集合的に呼ばれることがある、デジタル信号プロセッサなどのプロセッサ上で動作する、ハードウェアおよび/またはソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)の形で具体化されてもよい。
【0190】
また、いくつかの代替実現例では、ブロックに示される機能/動作は、フローチャートに示される以外の順序で行われてもよいことが注目されるべきである。例えば、連続して示される2つのブロックは、関与する機能性/動作に応じて、実際には実質的に同時に実行されてもよく、またはブロックは場合によっては逆の順序で実行されてもよい。さらに、フローチャートおよび/またはブロック図の所与のブロックの機能性が、複数のブロックに分割されてもよく、ならびに/あるいはフローチャートおよび/またはブロック図の2つ以上のブロックの機能性が、少なくとも部分的に統合されてもよい。最後に、発明の概念の範囲から逸脱することなく、図示されているブロックの間に他のブロックが追加/挿入されてもよく、ならびに/あるいはブロック/動作が省略されてもよい。さらに、図のいくつかは、主要な通信方向を示すのに通信経路上に矢印を含むが、通信は図示される矢印とは逆方向で行われてもよいことが理解されるべきである。
【0191】
本発明の概念の原理から実質的に逸脱することなく、実施形態に対して多数の変形および変更を行うことができる。すべてのかかる変形および変更は、本明細書では、本発明の概念の範囲内に含まれるものとする。したがって、上記に開示した主題は限定ではなく例示とみなされるべきであり、実施形態の例は、本発明の概念の趣旨および範囲内にある、すべてのかかる変更、拡張、および他の実施形態を網羅するものとする。故に、法律が許す最大限の範囲で、本発明の概念の範囲は、実施形態の例およびそれらの等価物を含む本開示の最も広い許容可能な解釈によって決定されるべきものであり、上述の詳細な記載によって限定または制限されないものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13