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特許7535156スプリングガイド及びサスペンション装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】スプリングガイド及びサスペンション装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/32 20060101AFI20240807BHJP
   F16F 1/12 20060101ALI20240807BHJP
   B60G 11/16 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
F16F9/32 B
F16F1/12 N
B60G11/16
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023074896
(22)【出願日】2023-04-28
(62)【分割の表示】P 2019175848の分割
【原出願日】2019-09-26
(65)【公開番号】P2023100794
(43)【公開日】2023-07-19
【審査請求日】2023-04-28
(31)【優先権主張番号】P 2019095069
(32)【優先日】2019-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】カヤバ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗原 健太
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-198406(JP,A)
【文献】特開2017-172801(JP,A)
【文献】特開2018-105492(JP,A)
【文献】特開2017-150641(JP,A)
【文献】特開2011-069446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 1/12
F16F 9/00-9/58
B60G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と車輪との間に設けられるショックアブソーバに取り付けられ、前記車体を弾性支持するコイルスプリングを支持するスプリングガイドであって、
樹脂材料からなる本体部と、
前記本体部と前記コイルスプリングの端部との間に設けられる弾性部と、を有し、
前記本体部は、
前記コイルスプリングの下端部が載置される円板状のベース部と、
前記コイルスプリングの内側において前記ベース部から突出するように設けられ、前記コイルスプリングの下端部の位置を規定する位置規定部と、
前記ショックアブソーバの円筒状のシリンダが挿通される円筒状の筒部と、を有し、
前記弾性部は、
前記ベース部に一体成形される第1弾性シート部と、
前記位置規定部に一体成形される第3弾性シート部と、を有し、
前記弾性部は、前記本体部の材料よりも弾性率が低い材料からなり、前記本体部に一体成形され、
前記第3弾性シート部は、前記シリンダと、前記シリンダが挿通される前記筒部の挿通孔と、の間の隙間を閉塞し、
前記筒部は、内周が前記シリンダに当接する
ことを特徴とするスプリングガイド。
【請求項2】
車体と車輪との間に設けられるショックアブソーバに取り付けられ、前記車体を弾性支持するコイルスプリングを支持するスプリングガイドであって、
樹脂材料からなる本体部と、
前記本体部と前記コイルスプリングの端部との間に設けられる弾性部と、を有し、
前記本体部は、
前記コイルスプリングが載置される載置領域を有する円板状のベース部と、
前記ベース部の径方向外側端部から上方に向かって延在する側壁と、を有し、
前記弾性部は、
前記ベース部における前記載置領域に一体成形される第1弾性シート部と、
前記ベース部における前記載置領域の径方向外側の領域及び前記側壁に一体成形される第2弾性シート部と、を有し、
前記弾性部は、前記本体部の材料よりも弾性率が低い材料からなり、前記本体部に一体成形され、
前記第2弾性シート部は、前記第1弾性シート部の材料よりも弾性率が高い材料からなる
ことを特徴とするスプリングガイド。
【請求項3】
車体と車輪との間に設けられるショックアブソーバに取り付けられ、前記車体を弾性支持するコイルスプリングを支持するスプリングガイドであって、
樹脂材料からなる本体部と、
前記本体部と前記コイルスプリングの端部との間に設けられる弾性部と、を有し、
前記本体部は、
前記コイルスプリングの下端部が載置される円板状のベース部と、
前記コイルスプリングの内側において前記ベース部から突出するように設けられ、前記コイルスプリングの下端部の位置を規定する位置規定部と、
前記ショックアブソーバのシリンダが挿通される円筒状の筒部と、を有し、
前記弾性部は、
前記ベース部に一体成形される第1弾性シート部と、
前記位置規定部に一体成形される第3弾性シート部と、を有し、
前記弾性部は、前記本体部の材料よりも弾性率が低い材料からなり、前記本体部に一体成形され、
前記第3弾性シート部は、前記ショックアブソーバの前記シリンダと接して、前記シリンダと、前記シリンダが挿通される前記筒部の挿通孔と、の間の隙間を閉塞するリップを有する
ことを特徴とするスプリングガイド。
【請求項4】
車体と車輪との間に設けられるショックアブソーバに取り付けられ、前記車体を弾性支持するコイルスプリングを支持するスプリングガイドであって、
樹脂材料からなる本体部と、
前記本体部と前記コイルスプリングの端部との間に設けられる弾性部と、を有し、
前記本体部は、
前記コイルスプリングの下端部が載置される円板状のベース部と、
前記コイルスプリングの内側において前記ベース部から突出するように設けられ、前記コイルスプリングの下端部の位置を規定する位置規定部と、
前記ショックアブソーバのシリンダが挿通される円筒状の筒部と、を有し、
前記弾性部は、
前記ベース部に一体成形される第1弾性シート部と、
前記位置規定部に一体成形される第3弾性シート部と、を有し、
前記弾性部は、前記本体部の材料よりも弾性率が低い材料からなり、前記本体部に一体成形され、
前記第3弾性シート部は、前記第1弾性シート部の材料よりも弾性率が低い材料からなり、前記シリンダと、前記シリンダが挿通される前記筒部の挿通孔と、の間の隙間を閉塞する
ことを特徴とするスプリングガイド。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のスプリングガイドと、
前記ショックアブソーバと、
前記ショックアブソーバのロッドの先端に取り付けられるアッパーマウントと、
前記スプリングガイドと前記アッパーマウントとの間に設けられる前記コイルスプリングと、
前記ショックアブソーバのシリンダに固定され、前記スプリングガイドを支持する金属製の支持部と、を備える
ことを特徴とするサスペンション装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプリングガイド及びサスペンション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ショックアブソーバと、ショックアブソーバに外装されたコイルスプリングと、コイルスプリングの下端部分を支持するスプリングガイドと、を備えたサスペンション装置が知られている(特許文献1参照)。スプリングガイドは、金属製のスプリング受け部材と、スプリング受け部材とコイルスプリングの下端部分との間に設けられるラバーシートと、を有する。
【0003】
ラバーシートには、スプリング受け部材に対して位置決めするための2つの位置決め突起が設けられている。ラバーシートは、各突起部がスプリング受け部材に設けられた位置決め穴に嵌合することにより、スプリング受け部材に装着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-219825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のサスペンション装置では、スプリングガイドを構成するスプリング受け部材とラバーシートとが別体であった。このため、ラバーシートをスプリング受け部材に装着する必要があり、組み立てに手間がかかっていた。また、自動車等の車両に搭載される装置の軽量化の要望もますます高くなっている。このため、スプリングガイドの軽量化が要望されている。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、スプリングガイドを軽量化するとともに、スプリングガイドの部品点数を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車体と車輪との間に設けられるショックアブソーバに取り付けられ、車体を弾性支持するコイルスプリングを支持するスプリングガイドであって、樹脂材料からなる本体部と、本体部とコイルスプリングの端部との間に設けられる弾性部と、を有し、本体部は、コイルスプリングの下端部が載置される円板状のベース部と、コイルスプリングの内側においてベース部から突出するように設けられ、コイルスプリングの下端部の位置を規定する位置規定部と、ショックアブソーバの円筒状のシリンダが挿通される円筒状の筒部と、を有し、弾性部は、ベース部に一体成形される第1弾性シート部と、位置規定部に一体成形される第3弾性シート部と、を有し、弾性部は、本体部の材料よりも弾性率が低い材料からなり、本体部に一体成形され、第3弾性シート部は、シリンダと、シリンダが挿通される筒部の挿通孔と、の間の隙間を閉塞し、筒部は、内周がシリンダに当接することを特徴とする。
【0008】
この発明では、スプリングガイドの本体部が樹脂材料により形成されているため、本体部が金属材料により形成される場合に比べて、軽量化を図ることができる。また、弾性部が本体部に一体成形されているため、本体部と弾性部とが別部品である場合に比べて、部品点数を低減できる。また、この発明では、コイルスプリングの内側に設けられる位置規定部に第3弾性シート部が一体成形されている。したがって、コイルスプリングが破断し、破断したコイルスプリングの一部が位置規定部に落下したとしても、第3弾性シート部によって、コイルスプリングの破断部からの衝撃を吸収することができるため、スプリングガイドの位置規定部の破損を効果的に防止することができる。さらに、この発明では、第3弾性シート部によって、シリンダと挿通孔との間の隙間に、砂、水等の異物が侵入することを防止することができる。
【0009】
本発明は、車体と車輪との間に設けられるショックアブソーバに取り付けられ、車体を弾性支持するコイルスプリングを支持するスプリングガイドであって、樹脂材料からなる本体部と、本体部とコイルスプリングの端部との間に設けられる弾性部と、を有し、本体部は、コイルスプリングが載置される載置領域を有する円板状のベース部と、ベース部の径方向外側端部から上方に向かって延在する側壁と、を有し、弾性部は、ベース部における載置領域に一体成形される第1弾性シート部と、ベース部における載置領域の径方向外側の領域及び側壁に一体成形される第2弾性シート部と、を有し、弾性部は、本体部の材料よりも弾性率が低い材料からなり、本体部に一体成形され、第2弾性シート部は、第1弾性シート部の材料よりも弾性率が高い材料からなることを特徴とする。
【0010】
この発明では、スプリングガイドの本体部が樹脂材料により形成されているため、本体部が金属材料により形成される場合に比べて、軽量化を図ることができる。また、弾性部が本体部に一体成形されているため、本体部と弾性部とが別部品である場合に比べて、部品点数を低減できる。さらに、破断したコイルスプリングの一部がベース部及び側壁に落下したときに、ベース部及び側壁の破損をより効果的に防止することができる。
【0011】
本発明は、車体と車輪との間に設けられるショックアブソーバに取り付けられ、車体を弾性支持するコイルスプリングを支持するスプリングガイドであって、樹脂材料からなる本体部と、本体部とコイルスプリングの端部との間に設けられる弾性部と、を有し、本体部は、コイルスプリングの下端部が載置される円板状のベース部と、コイルスプリングの内側においてベース部から突出するように設けられ、コイルスプリングの下端部の位置を規定する位置規定部と、ショックアブソーバのシリンダが挿通される円筒状の筒部と、を有し、弾性部は、ベース部に一体成形される第1弾性シート部と、位置規定部に一体成形される第3弾性シート部と、を有し、弾性部は、本体部の材料よりも弾性率が低い材料からなり、本体部に一体成形され、第3弾性シート部は、ショックアブソーバのシリンダと接して、シリンダと、シリンダが挿通される筒部の挿通孔と、の間の隙間を閉塞するリップを有することを特徴とする。
【0012】
この発明では、スプリングガイドの本体部が樹脂材料により形成されているため、本体部が金属材料により形成される場合に比べて、軽量化を図ることができる。また、弾性部が本体部に一体成形されているため、本体部と弾性部とが別部品である場合に比べて、部品点数を低減できる。また、この発明では、シリンダを挿通孔に挿通する際に、第3弾性シート部にシリンダの挿通方向への力が加わりづらくなる。これにより、第3弾性シート部と位置規定部との剥離を抑制することができる。
【0013】
本発明は、車体と車輪との間に設けられるショックアブソーバに取り付けられ、車体を弾性支持するコイルスプリングを支持するスプリングガイドであって、樹脂材料からなる本体部と、本体部とコイルスプリングの端部との間に設けられる弾性部と、を有し、本体部は、コイルスプリングの下端部が載置される円板状のベース部と、コイルスプリングの内側においてベース部から突出するように設けられ、コイルスプリングの下端部の位置を規定する位置規定部と、ショックアブソーバのシリンダが挿通される円筒状の筒部と、を有し、弾性部は、ベース部に一体成形される第1弾性シート部と、位置規定部に一体成形される第3弾性シート部と、を有し、弾性部は、本体部の材料よりも弾性率が低い材料からなり、本体部に一体成形され、第3弾性シート部は、第1弾性シート部の材料よりも弾性率が低い材料からなり、シリンダと、シリンダが挿通される筒部の挿通孔と、の間の隙間を閉塞することを特徴とする。
【0014】
この発明では、スプリングガイドの本体部が樹脂材料により形成されているため、本体部が金属材料により形成される場合に比べて、軽量化を図ることができる。また、弾性部が本体部に一体成形されているため、本体部と弾性部とが別部品である場合に比べて、部品点数を低減できる。また、ショックアブソーバの動作時に、シリンダに対してスプリングガイドが軸方向に位置ずれしたとしてもシリンダの外周に対して第3弾性シート部を適切に追従させ、シリンダと挿通孔との間を第3弾性シート部で閉塞することができる。
【0015】
本発明は、サスペンション装置であって、上記スプリングガイドと、ショックアブソーバと、ショックアブソーバのロッドの先端に取り付けられるアッパーマウントと、スプリングガイドとアッパーマウントとの間に設けられるコイルスプリングと、ショックアブソーバのシリンダに固定され、スプリングガイドを支持する金属製の支持部と、を備えることを特徴とする。
【0016】
この発明では、上記スプリングガイドを備えているため、部品点数の増加を招くことなく、軽量化が実現されたサスペンション装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、スプリングガイドを軽量化するとともに、スプリングガイドの部品点数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態に係るサスペンション装置の部分断面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るスプリングガイドの斜視図である。
図3A】本発明の第1実施形態に係るスプリングガイドを上方から見た平面模式図であり、その形状を簡略化し、弾性部の形成領域をハッチングで模式的に示す。
図3B】本発明の第1実施形態に係るスプリングガイドの側面断面図である。
図4A】本発明の第1実施形態の変形例に係るスプリングガイドを上方から見た平面模式図であり、その形状を簡略化し、弾性部の形成領域をハッチングで模式的に示す。
図4B】本発明の第1実施形態の変形例に係るスプリングガイドの側面断面図である。
図5A】本発明の第2実施形態に係るスプリングガイドを上方から見た平面模式図であり、その形状を簡略化し、弾性部の形成領域をハッチングで模式的に示す。
図5B】本発明の第2実施形態に係るスプリングガイドの側面断面図である。
図6A】本発明の第2実施形態の変形例に係るスプリングガイドを上方から見た平面模式図であり、その形状を簡略化し、弾性部の形成領域をハッチングで模式的に示す。
図6B】本発明の第2実施形態の変形例に係るスプリングガイドの側面断面図である。
図7A】本発明の第3実施形態に係るスプリングガイドを上方から見た平面模式図であり、その形状を簡略化し、弾性部の形成領域をハッチングで模式的に示す。
図7B】本発明の第3実施形態に係るスプリングガイドの側面断面図である。
図8A】本発明の第3実施形態の変形例に係るスプリングガイドを上方から見た平面模式図であり、その形状を簡略化し、弾性部の形成領域をハッチングで模式的に示す。
図8B】本発明の第3実施形態の変形例に係るスプリングガイドの側面断面図である。
図9A】本発明の第4実施形態に係るスプリングガイドを上方から見た平面模式図であり、その形状を簡略化し、弾性部の形成領域をハッチングで模式的に示す。
図9B】本発明の第4実施形態に係るスプリングガイドの側面断面図である。
図10A】本発明の第4実施形態の変形例に係るスプリングガイドを上方から見た平面模式図であり、その形状を簡略化し、弾性部の形成領域をハッチングで模式的に示す。
図10B】本発明の第4実施形態の変形例に係るスプリングガイドの側面断面図である。
図11A】本実施形態の変形例1に係るスプリングガイドを上方から見た平面模式図であり、その形状を簡略化し、弾性部の形成領域をハッチングで模式的に示す。
図11B】本実施形態の変形例1に係るスプリングガイドの側面断面図である。
図12A】本実施形態の変形例2に係るスプリングガイドを上方から見た平面模式図であり、その形状を簡略化し、弾性部の形成領域をハッチングで模式的に示す。
図12B】本実施形態の変形例2に係るスプリングガイドの側面断面図である。
図13】本実施形態の変形例3に係るスプリングガイドの側面断面図である。
図14】本実施形態の変形例5に係るスプリングガイドのリップ付近の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面を参照して、本発明の実施形態に係るサスペンション装置10について説明する。サスペンション装置10は、自動車(図示せず)に取り付けられ、車輪(図示せず)を位置決めするとともに減衰力を発生させて車両走行中に路面から受ける衝撃や振動を吸収して車体を安定的に懸架する装置である。
【0020】
<第1実施形態>
図1図2図3A及び図3Bを参照して、本発明の第1実施形態に係るサスペンション装置10について説明する。図1は、サスペンション装置10の部分断面図である。図1に示すように、サスペンション装置10は、車体と車輪との間に設けられるショックアブソーバ1と、ショックアブソーバ1のピストンロッド(以下、ロッドと記す)1aの先端に取り付けられるアッパーマウント2と、ショックアブソーバ1のシリンダ1bの外周に取り付けられるスプリングガイド100Aと、スプリングガイド100Aとアッパーマウント2との間に設けられ、車体を弾性支持するコイルスプリング4と、ロッド1aに嵌装されショックアブソーバ1の縮み側のストロークを規制するバンプクッション5と、シリンダ1bのロッド1a側の端部に嵌装されるバンプストッパ6と、ロッド1aを保護する筒状のダストブーツ7と、を備える。
【0021】
ショックアブソーバ1は、シリンダ1bと、シリンダ1bの開口部から突出する円柱状のロッド1aと、を有する。ショックアブソーバ1は、複筒型のショックアブソーバであり、シリンダ1bは、シリンダ1bの外郭を構成する有底円筒状のアウターチューブと、アウターチューブの内側に設けられるインナーチューブ(不図示)と、を有する。ロッド1aの下端部には、インナーチューブ(不図示)内を伸側室と圧側室とに区画するピストン(不図示)が連結されている。
【0022】
シリンダ1bのロッド1a側とは反対側の端部には、車輪を保持するナックル(不図示)とショックアブソーバ1とを連結するためのナックルブラケット1cが設けられる。説明の便宜上、アッパーマウント2側をサスペンション装置10の上側、ナックルブラケット1c側をサスペンション装置10の下側として上下方向を図示するように規定する。なお、サスペンション装置10の上下方向は、サスペンション装置10の軸方向(中心軸方向)であり、ショックアブソーバ1の伸縮方向である。また、サスペンション装置10の径方向(ショックアブソーバ1の径方向)は、サスペンション装置10の軸方向に直交する。
【0023】
ショックアブソーバ1は、アッパーマウント2を介して車体に連結されるとともに、ナックルブラケット1cによりナックルに連結されて車両に組み付けられる。このように構成されたショックアブソーバ1は、ロッド1aがシリンダ1bに対して軸方向(図1の上下方向)に移動したときに、減衰力が発生するように構成されている。サスペンション装置10は、このショックアブソーバ1の減衰力によって車体の振動を素早く減衰させる。
【0024】
コイルスプリング4は、スプリングガイド100Aとアッパーマウント2との間に設けられる。コイルスプリング4は、スプリングガイド100Aとアッパーマウント2とによって圧縮された状態で挟持され、ショックアブソーバ1を伸長方向に付勢する。
【0025】
アッパーマウント2とコイルスプリング4の上端部との間にはラバーシート8が設けられる。これにより、アッパーマウント2とコイルスプリング4とが直接当接しないようになっている。スプリングガイド100Aの本体部101とコイルスプリング4の下端部との間には、後述する弾性部103Aが設けられる。これにより、スプリングガイド100Aの本体部101とコイルスプリング4とが直接当接しないようになっている。
【0026】
図2は、スプリングガイド100Aの斜視図である。図1及び図2に示すように、スプリングガイド100Aは、シリンダ1bの外周に取り付けられ、コイルスプリング4を下方から支持する部材である。スプリングガイド100Aは、樹脂材料からなる本体部101と、本体部101の上面に一体成形された弾性部103Aと、を有する。
【0027】
スプリングガイド100Aの本体部101は、コイルスプリング4の下端部が載置される円板状のベース部110と、ベース部110から上方及び下方に突出するように形成される円筒状の筒部112と、ベース部110の径方向外側端部から斜め上方に向かって延在する側壁111と、筒部112の外周側に設けられるハブ113と、を備える。側壁111は、円環状であり、ベース部110から上方に向かうにしたがって内径が大きくなるように傾斜している。
【0028】
図2に示すように、ベース部110は、スプリングガイド100Aのハブ113の周囲に設定される載置領域110cを有する。載置領域110cは、コイルスプリング4の下端部が載置される円弧状の領域である。載置領域110cは、180度以上の任意の角度で、その範囲が設定される。
【0029】
筒部112は、サスペンション装置10の軸方向(上下方向)に貫通し、ショックアブソーバ1のシリンダ1bが挿通される挿通孔120を有する。図1に示すように、挿通孔120は、スプリングガイド100Aをシリンダ1bの外周に取り付けたときに、スプリングガイド100Aの中心から車体側に偏心した位置に形成される。
【0030】
図2に示すように、挿通孔120には、その内周面121から径方向内側に向かって突出する凸部としてのリブ122が設けられる。リブ122は、ショックアブソーバ1のシリンダ1bの外周面を支持する支持部として機能する。各リブ122は、挿通孔120の軸方向(すなわち、サスペンション装置10の軸方向)に沿って直線状に設けられる。
【0031】
リブ122は、例えば、その断面形状が丸みを帯びた台形状あるいは半円形状となるように形成され、シリンダ1bの外周面に線接触する。リブ122は、挿通孔120の周方向に沿って等間隔で複数配置される。このため、スプリングガイド100Aは、挿通孔120の中心軸がシリンダ1bの中心軸に一致するように位置決めされる。
【0032】
なお、シリンダ1bと挿通孔120のはめあい、具体的にはシリンダ1bと挿通孔120に形成されるリブ122(図2参照)とのはめあいは、「すきまばめ」であってもよいし、「しまりばめ」であってもよい。「しまりばめ」を採用する場合、挿通孔120とシリンダ1bとの間のガタがなくなり、ガタによる異音の発生を防止することができる。また、サスペンション装置10の動作の応答性を向上することもできる。
【0033】
図1に示すように、シリンダ1bの外周面には、金属製の支持リング3が溶接により固定されている。支持リング3は、スプリングガイド100Aを支持する支持部である。なお、支持リング3を設けずにシリンダ1bを拡管させて支持部を形成してもよい。スプリングガイド100Aは、挿通孔120がシリンダ1bの外周に嵌合され、スプリングガイド100Aの筒部112の下端部が支持リング3によって支持されることにより、シリンダ1bの外周に取り付けられる。
【0034】
スプリングガイド100Aは、上方からシリンダ1bに嵌め込まれ、支持リング3に当接することで、シリンダ1bに取り付けられる。換言すれば、シリンダ1bは、スプリングガイド100Aの挿通孔120の下部開口端125Lから挿入される。つまり、下部開口端125Lは、シリンダ1bが挿入される入口であり、下部開口端125Lとは反対側の開口端である上部開口端125Uからシリンダ1bの上端部が突出する。
【0035】
ハブ113は、コイルスプリング4の内側において、ベース部110から上方に突出するように設けられる。ハブ113は、有底円筒形状であり、上部113bが底部とされ、下部に開口部を有する。ハブ113の筒部113cの内側には、ハブ113の剛性を向上させるために、複数のリブが設けられている。ハブ113の筒部113cの外周は、コイルスプリング4の下端部の内周に当接し、コイルスプリング4の径方向の位置を規定する。つまり、ハブ113は、コイルスプリング4の下端部の位置を規定する位置規定部として機能する。ハブ113によってコイルスプリング4の下端部が保持されるので、コイルスプリング4の傾き(倒れ)が防止される。
【0036】
弾性部103Aは、本体部101の樹脂材料よりも弾性率が低い材料からなり、樹脂製の本体部101に一体成形されている。弾性部103Aの材料としては、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、シリコーンエラストマー等の熱可塑性エラストマーが採用される。なお、弾性部103Aの材料は、熱可塑性エラストマーに限定されることなく、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の熱硬化性エラストマーを採用してもよい。少なくとも、弾性部103Aの材料は、本体部101の樹脂材料よりも弾性率が低い材料であればよく、エラストマーに限定されることもなく、樹脂材料を採用してもよい。
【0037】
弾性部103Aは、例えば、2色成形法により本体部101に一体成形される。本体部101の材料及び弾性部103Aの材料は、種々の材料の中から選定できるが、本体部101の材料と弾性部103Aの材料との結合力が高くなる材料の組み合わせを考慮して選定することが好ましい。
【0038】
特許文献1に記載のスプリングガイドは、ラバーシートをスプリング受け部材に装着する際、ラバーシートの突起部をスプリング受け部材の穴に嵌合させて位置決めを行う構成である。つまり、特許文献1に記載のスプリングガイドでは、スプリング受け部材に、ラバーシートを装着するための凹凸を形成する必要があった。スプリング受け部材に形成される凹凸は、スプリング受け部材に作用する応力の偏りの原因となる場合がある。
【0039】
これに対して、本実施形態では、弾性部103Aが本体部101に一体成形されるため、従来に比べて、本体部101の凹凸の数を減らすことができる。その結果、本体部101に作用する応力の偏りを防止できる。また、弾性部103Aが本体部101とは別に成形される場合に発生する装着作業を省略することができるので、サスペンション装置10の組み立て作業性の向上を図ることができる。
【0040】
図3A及び図3Bを参照して、弾性部103Aが形成される領域について説明する。図3Aは、スプリングガイド100Aを上方から見た平面模式図であり、その形状を簡略化し、弾性部103Aの形成領域をハッチングで模式的に示す。図3Bは、スプリングガイド100Aの側面断面図である。
【0041】
図3A及び図3Bに示すように、弾性部103Aは、載置領域110cを含むベース部110の上面の全体及び側壁111の上面(内側面)の全体を覆うように形成される。弾性部103Aは、その厚みが一様となるように形成される。
【0042】
本実施形態では、載置領域110cに弾性部103Aが形成されている。また、本実施形態では、載置領域110cだけでなく、載置領域110cを除くベース部110の上面の全体及び側壁111の上面(内側面)の全体に弾性部103Aが形成されている。
【0043】
換言すれば、弾性部103Aは、ベース部110における載置領域110cを含む円環状の領域に一体成形される第1弾性シート部131Aと、ベース部110における載置領域110cの径方向外側の領域及び側壁111に一体成形される第2弾性シート部132Aと、を有する。
【0044】
載置領域110cに第1弾性シート部131Aが一体成形されているため、コイルスプリング4の下端部が、直接、本体部101に接触することが防止される。したがって、サスペンション装置10が圧縮、伸長を繰り返す際、コイルスプリング4の下端部によって本体部101が摩耗することが防止され、スプリングガイド100Aの寿命を向上することができる。また、コイルスプリング4の下端部が、直接、本体部101によって支持される場合、コイルスプリング4の下端部と本体部101との間で異音が発生する場合がある。これに対して、本実施形態では、コイルスプリング4の下端部と、スプリングガイド100Aの本体部101との間に第1弾性シート部131Aが設けられているため、異音の発生を抑制することができる。
【0045】
さらに、ベース部110における載置領域110cの径方向外側の領域及び側壁111に第2弾性シート部132Aが一体成形されている。したがって、コイルスプリング4が破断(折損)した場合、コイルスプリング4の破断部(例えば、コイルスプリング4の破断時に飛散した破片の破断部、及び、コイルスプリング4が上下に分離されるように破断したときの上側のコイルスプリング4の下端の破断部)が、ベース部110及び側壁111の上面に落下したとしても、弾性部103Aにおける第2弾性シート部132Aによって、破断部からの衝撃を吸収することができる。これにより、スプリングガイド100Aの本体部101に作用する荷重が分散される。その結果、スプリングガイド100Aのベース部110及び側壁111の破損を効果的に防止することができる。
【0046】
スプリングガイド100Aのベース部110の上面の全面及び側壁111の上面(内側面)の全面が、弾性部103Aによって被覆されている。これにより、衝突位置の予測が難しい飛び石等の衝突に起因する本体部101の損傷も防止することができる。
【0047】
上述した実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
【0048】
本実施形態では、スプリングガイド100Aの本体部101が樹脂材料により形成されているため、本体部101が金属材料により形成される場合に比べて、軽量化を図ることができる。また、弾性部103Aが本体部101に一体成形され、スプリングガイド100Aが一部品として構成されている。したがって、本体部101と弾性部103Aとが個別に形成された別部品とされ、本体部101に弾性部103Aを嵌合等により装着する場合に比べて、スプリングガイド100Aの部品点数を低減できる。つまり、本実施形態によれば、スプリングガイド100Aを軽量化するとともに、スプリングガイド100Aの部品点数を低減することができる。
【0049】
その結果、部品点数の増加を招くことなく、軽量化が実現されたサスペンション装置10を提供することができる。
【0050】
<第1実施形態の変形例>
上記第1実施形態では、ベース部110が載置領域110cの径方向外方まで広がり、その径方向外側端部から斜め上方に向かって側壁111が延在するスプリングガイド100A(図2図3B参照)について説明したが、本発明はこれに限定されない。側壁111は省略することができる。
【0051】
図4A及び図4Bに示すように、本変形例に係るスプリングガイド200Aは、本体部201が、載置領域110cよりも僅かに広い幅(径方向寸法)を有する円形状のベース部210を有する。なお、本体部201は、ベース部210の径方向外側端部に第1実施形態で説明した側壁111(図3B参照)を有していない。本変形例では、弾性部203Aは、載置領域110cを含むベース部210の上面の全体を覆うように形成される。
【0052】
本変形例によれば、上記第1実施形態と同様、スプリングガイド200Aの部品点数を低減することができる。また、上記第1実施形態よりもスプリングガイド200Aを軽量化することができる。
【0053】
<第2実施形態>
図5A及び図5Bを参照して、本発明の第2実施形態に係るスプリングガイド100Bについて説明する。以下では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、図中、上記第1実施形態で説明した構成と同一の構成または相当する構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0054】
上記第1実施形態では、弾性部103Aが、ベース部110及び側壁111に一体成形されていた(図3A図3B参照)。これに対して、本第2実施形態では、弾性部103Bが、ベース部110及び側壁111だけでなく、ハブ113及び筒部112にも一体成形されている。弾性部103Bには、円形状の貫通孔135Bが形成されており、この貫通孔135Bにシリンダ1bが挿通される。
【0055】
弾性部103Bは、ハブ113の上面の全体及び筒部112の上端面の全体を覆うように形成されている。このように、本第2実施形態では、弾性部103Bは、ベース部110における載置領域110cに一体成形される第1弾性シート部131Bと、ベース部110における載置領域110cの径方向外側の領域及び側壁111に一体成形される第2弾性シート部132Bと、ハブ113及び筒部112に一体成形される第3弾性シート部133Bと、を有する。
【0056】
車両は様々な環境で使用される。例えば、降雪の多い地域において車両が走行する場合、サスペンション装置10は、融雪剤を含んだ水と接触することがある。融雪剤は塩化カルシウムを含んでいる。このため、シリンダ1bの外周と挿通孔120の内周との間に塩化カルシウムを含んだ水が侵入してしまうと、挿通孔120の内周が劣化し、損傷してしまうおそれがある。
【0057】
弾性部103Bにおける第3弾性シート部133Bに形成される貫通孔135Bは、その内周部が全周に亘ってシリンダ1bの外周に当接するように形成されている。弾性部103Bにおける第3弾性シート部133Bは、シリンダ1bと、シリンダ1bが挿通される筒部112の挿通孔120と、の間の隙間を閉塞する。したがって、弾性部103Bにおける第3弾性シート部133Bによって、シリンダ1bと挿通孔120との間の隙間に、砂、水等の異物が侵入することを防止することができる。その結果、シリンダ1bの外周と挿通孔120の内周との間の隙間に異物が侵入することに起因した劣化、損傷を防止することができる。
【0058】
このような第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果に加え、次の作用効果を奏する。
【0059】
コイルスプリング4の内側に設けられるハブ113及び筒部112に第3弾性シート部133Bが一体成形されている。したがって、コイルスプリング4が破断(折損)し、破断したコイルスプリング4の一部がハブ113及び筒部112の上面に落下したとしても、弾性部103Bの第3弾性シート部133Bによって、コイルスプリング4の破断部からの衝撃を吸収することができる。これにより、スプリングガイド100Bの本体部101に作用する荷重が分散される。その結果、ハブ113及び筒部112の損傷を防止することができる。
【0060】
また、弾性部103Bの第3弾性シート部133Bによって、シリンダ1bと挿通孔120との間の隙間に、砂、水等の異物が侵入することを防止することにより、シリンダ1bの劣化、損傷を防止することができる。
【0061】
なお、弾性部103Bの第3弾性シート部133Bは、ハブ113の上部113bとベース部110との間におけるハブ113の筒部113cの外周面の全体も覆っている。これにより、コイルスプリング4の下端部によって、ハブ113の筒部113cの外周面が摩耗することを抑制することができる。
【0062】
<第2実施形態の変形例>
上記第2実施形態では、ベース部110が載置領域110cの径方向外方まで広がり、その径方向外側端部から斜め上方に向かって側壁111が延在するスプリングガイド100B(図5B参照)について説明したが、本発明はこれに限定されない。側壁111は省略することができる。
【0063】
図6A及び図6Bに示すように、本変形例に係るスプリングガイド200Bは、上記第1実施形態の変形例で説明した本体部201(図4B参照)に対して、上記第2実施形態と同様、弾性部203Bがハブ113及び筒部112に一体成形されている。
【0064】
<第3実施形態>
図7A及び図7Bを参照して、本発明の第3実施形態に係るスプリングガイド100Cについて説明する。以下では、上記第2実施形態と異なる点を中心に説明し、図中、上記第2実施形態で説明した構成と同一の構成または相当する構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0065】
上記第2実施形態では、弾性部103Bの厚みが一様であった。これに対して、第3実施形態では、弾性部103Cの厚みが一様でない。
【0066】
コイルスプリング4が破断した場合、破断したコイルスプリング4の一部は、載置領域110cの径方向内側よりも載置領域110cの径方向外側の領域に落下することが多い。また、破断したコイルスプリング4の一部がスプリングガイド100C上に落下したときに、コイルスプリング4の破断部の鋭利な部分が、スプリングガイド100Cに接触すると、局所的に過大な衝撃力が作用する場合がある。
【0067】
このため、本実施形態では、載置領域110cの径方向外側の領域に形成される第2弾性シート部132Cの厚みt2が、載置領域110cに形成される第1弾性シート部131Cの厚みt1よりも厚い(t2>t1)。これにより、より適切に、コイルスプリング4の破断部からの衝撃を第2弾性シート部132Cで吸収することができる。
【0068】
第3弾性シート部133Cには、シリンダ1bが挿通する貫通孔135Cが形成され、その内周部(径方向内側端部)がシリンダ1bに当接する。このため、第3弾性シート部133Cの厚みが厚すぎると、シリンダ1bにスプリングガイド100Cを装着する際に、貫通孔135Cの内周部とシリンダ1bの外周部との間の摩擦抵抗により、装着に手間がかかるおそれがある。
【0069】
本第3実施形態では、ハブ113に形成される第3弾性シート部133Cの厚みt3が、第1弾性シート部131Cの厚みt1よりも薄い(t3<t1)。これにより、シリンダ1bにスプリングガイド100Cを装着する際の第3弾性シート部133Cの貫通孔135Cの内周部とシリンダ1bの外周部との間の摩擦抵抗を低減できる。その結果、ショックアブソーバ1に対するスプリングガイド100Cの装着作業性を向上することができる。
【0070】
このような第3実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏する。さらに、載置領域110cの径方向外側の領域に対するコイルスプリング4の破断部からの衝撃力をより効果的に吸収することができるとともに、ショックアブソーバ1へのスプリングガイド100Cの装着作業性を向上することができる。
【0071】
<第3実施形態の変形例>
上記第3実施形態では、ベース部110が載置領域110cの径方向外方まで広がり、その径方向外側端部から斜め上方に向かって側壁111が延在するスプリングガイド100C(図7B参照)について説明したが、本発明はこれに限定されない。側壁111は省略することができる。
【0072】
図8A及び図8Bに示すように、本変形例に係るスプリングガイド200Cは、上記第1実施形態の変形例で説明した本体部201(図4B参照)に対して、上記第3実施形態と同様、本体部201の部位によって厚みが異なる弾性部203Cが一体成形されている。弾性部203Cは、ベース部210に一体成形された厚みt1の第1弾性シート部131Cと、ハブ113及び筒部112に一体成形された厚みt3の第3弾性シート部133Cと、を有する。
【0073】
<第4実施形態>
図9A及び図9Bを参照して、本発明の第4実施形態に係るスプリングガイド100Dについて説明する。以下では、上記第2実施形態と異なる点を中心に説明し、図中、上記第2実施形態で説明した構成と同一の構成または相当する構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0074】
上記第2実施形態では、1種類の材料から弾性部103Bが形成されている例について説明した。これに対して、第4実施形態では、互いに異なる3種類の材料によって、複数の部分弾性シート部(第1弾性シート部131D、第2弾性シート部132D及び第3弾性シート部133D)が形成され、3種類の部分弾性シート部によって弾性部103Dが構成される。
【0075】
第1弾性シート部131Dは、ベース部110における載置領域110cを含む円環状の領域に一体成形される。第2弾性シート部132Dは、ベース部110における載置領域110cの径方向外側の領域及び側壁111の上面(内側面)に一体成形される。第3弾性シート部133Dは、ハブ113の上面及び筒部112の上端面に一体成形される。
【0076】
第2弾性シート部132Dは、ベース部110の上面の全体及び側壁111の上面(内側面)の全体を覆うように形成されている。したがって、コイルスプリング4が破断(折損)した場合、破断したコイルスプリング4の一部がベース部110及び側壁111の上面に落下したとしても、第2弾性シート部132Dによって、破断部からの衝撃を吸収することができる。その結果、ベース部110及び側壁111の損傷を防止することができる。
【0077】
第2弾性シート部132Dの材料が第1弾性シート部131Dの材料よりも弾性率が低い材料である場合、コイルスプリング4の破断部の鋭利な部分が、第2弾性シート部132Dに衝突したときに、第2弾性シート部132Dを大きく変形させることがある。このため、第2弾性シート部132Dにおいて衝撃力が十分に吸収されず、第2弾性シート部132Dを介して衝撃力が本体部101に伝達され、本体部101が損傷するおそれがある。
【0078】
これに対して、本第4実施形態では、第2弾性シート部132Dが、第1弾性シート部131Dの材料よりも弾性率が高い材料からなる。このため、コイルスプリング4の破断部の鋭利な部分が第2弾性シート部132Dに衝突したときに、第2弾性シート部132Dの変形量が抑えられ、第2弾性シート部132Dにおいて衝撃力を効果的に吸収することができる。これにより、破断したコイルスプリング4の一部がベース部110及び側壁111に落下したときに、ベース部110及び側壁111の破損をより効果的に防止することができる。
【0079】
第3弾性シート部133Dには、円形状の貫通孔135Dが形成されており、この貫通孔135Dにシリンダ1bが挿通される。第3弾性シート部133Dは、ハブ113の上面の全体及び筒部112の上端面の全体を覆うように形成されている。したがって、コイルスプリング4が破断(折損)した場合、破断したコイルスプリング4の一部がハブ113及び筒部112の上面に落下したとしても、第3弾性シート部133Dによって、破断部からの衝撃を吸収することができる。その結果、ハブ113及び筒部112の損傷を防止することができる。
【0080】
第3弾性シート部133Dの貫通孔135Dは、その内周部が全周に亘ってシリンダ1bの外周に当接するように形成されている。第3弾性シート部133Dは、シリンダ1bと、シリンダ1bが挿通される筒部112の挿通孔120と、の間の隙間を閉塞する。これにより、第3弾性シート部133Dによって、シリンダ1bと挿通孔120との間の隙間に、砂、水等の異物が侵入することを防止することができる。したがって、シリンダ1bの外周と挿通孔120の内周との間の隙間に異物が侵入することに起因した劣化、損傷を防止することができる。
【0081】
第3弾性シート部133Dは、第1弾性シート部131Dの材料よりも弾性率が低い材料からなる。このため、ショックアブソーバ1の動作時に、シリンダ1bに対してスプリングガイド100Dが軸方向に位置ずれしたとしても、シリンダ1bの外周に対して第3弾性シート部133Dが適切に追従する。したがって、ショックアブソーバ1の動作時において、第3弾性シート部133Dによるシリンダ1bと挿通孔120との間の隙間の閉塞状態が適切に維持される。これにより、第3弾性シート部133Dが、第1弾性シート部131Dの材料よりも弾性率が高い材料からなる場合に比べて、シリンダ1bの外周と挿通孔120の内周との間のシール性を向上することができる。
【0082】
このような第4実施形態によれば、第2実施形態と同様の作用効果を奏する。さらに、破断したコイルスプリング4の破断部が、載置領域110cの径方向外側の領域に衝突することによって本体部101が破損してしまうことを、より効果的に防止することができる。また、シリンダ1bの外周と挿通孔120の内周との間のシール性をより向上することができ、シリンダ1bの外周と挿通孔120の内周との間の隙間に異物が侵入することに起因した劣化、損傷をより効果的に防止することができる。
【0083】
<第4実施形態の変形例>
上記第4実施形態では、ベース部110が載置領域110cの径方向外方まで広がり、その径方向外側端部から斜め上方に向かって側壁111が延在するスプリングガイド100D(図9B参照)について説明したが、本発明はこれに限定されない。側壁111は省略することができる。
【0084】
図10A及び図10Bに示すように、本変形例に係るスプリングガイド200Dは、上記第1実施形態の変形例で説明した本体部201(図4B参照)に対して、上記第4実施形態と同様、本体部201の部位によって材料が異なる部分弾性シート部が一体成形されている。本体部201に一体成形される弾性部203Dは、ベース部210に一体成形される第1弾性シート部131Dと、ハブ113及び筒部112に一体成形される第3弾性シート部133Dと、を有する。第3弾性シート部133Dは、第1弾性シート部131Dの材料よりも弾性率が低い材料からなる。
【0085】
次のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、上述の異なる実施形態で説明した構成同士を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせることも可能である。
【0086】
<変形例1>
例えば、上述した第3実施形態で説明した構成と、上述した第4実施形態で説明した構成と、を組み合わせてもよい。図11A及び図11Bに示すように、本変形例に係るスプリングガイド100Eの弾性部103Eは、載置領域110cを含む円環状領域に一体成形された厚みt1の第1弾性シート部131Eと、載置領域110cの径方向外側の領域及び側壁111の上面(内側面)に一体成形された厚みt2の第2弾性シート部132Eと、ハブ113及び筒部112に一体成形された厚みt3の第3弾性シート部133Eと、を有する。厚みt1,t2,t3の大小関係は、t3<t1<t2である。また、第2弾性シート部132Eの弾性率は、第1弾性シート部131Eの弾性率よりも高く、第3弾性シート部133Eの弾性率は、第1弾性シート部131Eの弾性率よりも低い。このような変形例によれば、上述した第3実施形態及び第4実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0087】
なお、本変形例及び上記第3実施形態では、厚みt1,t2,t3の大小関係がt3<t1<t2である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。厚みt1,t2,t3の大小関係は、サスペンション装置10の仕様によって適宜変更が可能である。例えば、第3弾性シート部133Cの厚みt3が、第1弾性シート部131Cの厚みt1よりも厚くてもよい。この場合、ハブ113及び筒部112の上面に落下するコイルスプリング4の破断部の衝撃力を効果的に吸収し、ハブ113及び筒部112の破損を効果的に防止することができる。
【0088】
また、第1弾性シート部131Cの厚みt1が、第2弾性シート部132Cの厚みt2よりも厚くてもよい。第1弾性シート部131Cの厚みt1は、サスペンション装置10が搭載される車両の乗り心地に影響する。第1弾性シート部131Cの厚みt1を厚くすることで、コイルスプリング4が破断しておらず正常に車体を弾性支持した状態において、コイルスプリング4に路面から作用する力を第1弾性シート部131Cで十分に吸収することができる。よって、サスペンション装置10が搭載される車両の乗り心地を良くすることができる。
【0089】
この際、第2弾性シート部132Cの厚みt2は、コイルスプリング4の破片部からの衝撃を適切に吸収することができる厚さ以上に設定されることが望ましい。これにより、サスペンション装置10が搭載される車両の乗り心地を良くするとともに、コイルスプリング4の破断部からの衝撃を第2弾性シート部132Cで吸収することができる。
【0090】
なお、第1弾性シート部131Cの厚みt1は一様でなく、場所によって厚さが異なってもよい。つまり、第1弾性シート部131Cの厚みt1と第2弾性シート部132Cの厚みt2の大小関係は、第1弾性シート部131C内で場所によって異なってもよい。例えば、第1弾性シート部131Cの厚みt1を変化させ、コイルスプリング4において第1弾性シート部131Cに着座する端部の形状に沿うように第1弾性シート部131Cを形成してもよい。これにより、コイルスプリング4を安定して載置することができる。
【0091】
<変形例2>
また、上述した第3実施形態の変形例で説明した構成と、上述した第4実施形態の変形例で説明した構成と、を組み合わせてもよい。図12A及び図12Bに示すように、本変形例に係るスプリングガイド200Eの弾性部203Eは、載置領域110cを含む円環状領域に一体成形された厚みt1の第1弾性シート部131Eと、ハブ113及び筒部112に一体成形された厚みt3の第3弾性シート部133Eと、を有する。厚みt1,t3の大小関係は、t3<t1である。また、第3弾性シート部133Eの弾性率は、第1弾性シート部131Eの弾性率よりも低い。
【0092】
なお、本変形例及び上記第4実施形態では、第2弾性シート部132Dの弾性率が、第1弾性シート部131Dの弾性率よりも高く、第3弾性シート部133Dの弾性率が、第1弾性シート部131Dの弾性率よりも低い例について説明したが、本発明はこれに限定されない。弾性率の大小関係は、サスペンション装置10の仕様によって適宜変更が可能である。例えば、第3弾性シート部133Dの弾性率が、第1弾性シート部131Cの弾性率よりも高くてもよい。この場合、ハブ113及び筒部112の上面に落下するコイルスプリング4の破断部の衝撃力を効果的に吸収し、ハブ113及び筒部112の破損を効果的に防止することができる。
【0093】
また、第1弾性シート部131Dの弾性率が、第2弾性シート部132Dの弾性率よりも高くてもよい。第1弾性シート部131Dの弾性率は、サスペンション装置10が搭載される車両の乗り心地に影響する。第1弾性シート部131Dの弾性率を高くすることで、コイルスプリング4に作用する衝撃を第1弾性シート部131Dで十分に吸収することができる。よって、サスペンション装置10が搭載される車両の乗り心地を良くすることができる。また、第3弾性シート部133Dの弾性率が、第2弾性シート部132Dの弾性率よりも高くてもよい。第1弾性シート部131D、第2弾性シート部132D、及び第3弾性シート部133Dの弾性率が、全て同じであってもよい。
【0094】
<変形例3>
図13に示すように、コイルスプリング4の下端部が着座する着座部140を弾性部103Fに形成してもよい。着座部140は、その断面がコイルスプリング4の断面形状に沿うように湾曲する湾曲面を有する。着座部140は、コイルスプリング4の下端部の径方向外方への位置ずれを防止する。これにより、スプリングガイド100Fによってコイルスプリング4をより安定して保持することができる。
【0095】
<変形例4>
本体部101,201のベース部110,210が円板状である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。ベース部110,210は、多角形の板状であってもよい。
【0096】
<変形例5>
図14に示すように、第3弾性シート部133Gに形成される貫通孔135Gに設けられるリップ136が、シリンダ1bの外周に当接してもよい。つまり、第3弾性シート部133Gは、ショックアブソーバ1のシリンダ1bの外周と接するリップ136を有してもよい。リップ136は、第3弾性シート部133Gから貫通孔135Gの中心側に突出して設けられる。リップ136は、貫通孔135Gの全周にわたって設けられる。リップ136は、シリンダ1bと、シリンダ1bが挿通される筒部112の挿通孔120と、の間の隙間を閉塞する。
【0097】
リップ136によって、第2実施形態と同様に、シリンダ1bの外周と挿通孔120の内周との間の隙間に異物が侵入することに起因した劣化、損傷を防止することができる。
【0098】
また、第2実施形態では、第3弾性シート部133Bの内周面全体でシリンダ1bと挿通孔120との間の隙間を閉塞するため、シリンダ1bに対し第3弾性シート部133Bの内周面に締め代を有している。そのため、シリンダ1bを挿通孔120に挿通する際に、第3弾性シート部133Bの締め代によってシリンダ1bを締め付ける緊迫力が生じる。第3弾性シート部133Bの厚みが大きい程、大きな緊迫力が生じる。第3弾性シート部133Bは厚みがあり、シリンダ1bを押さえつける軸方向の領域が大きいため、大きな緊迫力によって第3弾性シート部133Bがシリンダ1bに対して移動しづらくなる。これにより、シリンダ1bを挿通孔120に挿通する際に第3弾性シート部133Bに大きな力がかかり、第3弾性シート部133Bとハブ113とが剥離するおそれがある。
【0099】
これに対して、本変形例では、第3弾性シート部133Gではなくリップ136でシリンダ1bと挿通孔120との間の隙間を閉塞する。これにより、第2実施形態と比較して第3弾性シート部133Gがシリンダ1bを押さえつける軸方向の領域を小さくでき、第3弾性シート部133Gがシリンダ1bに対して移動しやすくなる。これにより、シリンダ1bを挿通孔120に挿通する際に第3弾性シート部133Gにかかる力が小さくなり、第3弾性シート部133Gとハブ113との剥離を抑制することができる。なお、第3弾性シート部133Gは、第3弾性シート部133B,133C,133D,133E,133Fであってもよい。
【0100】
以上のように構成された本発明の実施形態の構成、作用、および効果をまとめて説明する。
【0101】
スプリングガイド100A,100B,100C,100D,100E,100F,200A,200B,200C,200D,200Eは、車体と車輪との間に設けられるショックアブソーバ1に取り付けられ、車体を弾性支持するコイルスプリング4を支持するスプリングガイドであって、樹脂材料からなる本体部101,201と、本体部101,201とコイルスプリング4の端部との間に設けられる弾性部103A,103B,103C,103D,103E,103F,203A,203B,203C,203D,203Eと、を有し、弾性部103A,103B,103C,103D,103E,103F,203A,203B,203C,203D,203Eが、本体部101,201の材料よりも弾性率が低い材料からなり、本体部101,201に一体成形されている。
【0102】
この構成では、スプリングガイド100A,100B,100C,100D,100E,100F,200A,200B,200C,200D,200Eの本体部101,201が樹脂材料により形成されているため、本体部101,201が金属材料により形成される場合に比べて、軽量化を図ることができる。また、弾性部103A,103B,103C,103D,103E,103F,203A,203B,203C,203D,203Eが本体部101,201に一体成形されているため、本体部101,201と弾性部103A,103B,103C,103D,103E,103F,203A,203B,203C,203D,203Eとが個別に形成された別部品である場合に比べて、部品点数を低減できる。
【0103】
スプリングガイド100A,100B,100C,100D,100E,100Fは、本体部101が、コイルスプリング4が載置される載置領域110cを有する円板状のベース部110と、ベース部110の径方向外側端部から上方に向かって延在する側壁111と、を有し、弾性部103A,103B,103C,103D,103E,103Fが、ベース部110における載置領域110cに一体成形される第1弾性シート部131A,131B,131C,131D,131Eと、ベース部110における載置領域110cの径方向外側の領域及び側壁111に一体成形される第2弾性シート部132A,132B,132C,132D,132Eと、を有する。
【0104】
この構成では、ベース部110における載置領域110cの径方向外側の領域及び側壁111に第2弾性シート部132A,132B,132C,132D,132Eが一体成形されている。したがって、コイルスプリング4が破断し、破断したコイルスプリング4の一部がベース部110及び側壁111に落下したとしても、第2弾性シート部132A,132B,132C,132D,132Eによって、コイルスプリング4の破断部からの衝撃を吸収することができるため、スプリングガイド100A,100B,100C,100D,100E,100Fのベース部110及び側壁111の破損を効果的に防止することができる。
【0105】
スプリングガイド100Cは、第1弾性シート部131Cの厚みt1が、第2弾性シート部132Cの厚みt2よりも厚い。
【0106】
この構成では、コイルスプリング4が破断しておらず正常に車体を弾性支持した状態において、コイルスプリング4に路面から作用する力を第1弾性シート部131Cで十分に吸収することができる。よって、サスペンション装置10が搭載される車両の乗り心地を良くすることができる。
【0107】
スプリングガイド100C,100Eは、第2弾性シート部132C,132Eの厚みt2が、第1弾性シート部131C,131Eの厚みt1よりも厚い。
【0108】
スプリングガイド100D,100Eは、第2弾性シート部132D,132Eが、第1弾性シート部131D,131Eの材料よりも弾性率が高い材料からなる。
【0109】
これらの構成では、破断したコイルスプリング4の一部がベース部110及び側壁111に落下したときに、ベース部110及び側壁111の破損をより効果的に防止することができる。
【0110】
スプリングガイド100B,100C,100D,100E,100F,200B,200C,200D,200Eは、本体部101,201が、コイルスプリング4の下端部が載置される円板状のベース部110,210と、コイルスプリング4の内側においてベース部110,210から突出するように設けられ、コイルスプリング4の下端部の位置を規定する位置規定部(ハブ113)と、を有し、弾性部103B,103C,103D,103E,103F,203B,203C,203D,203Eが、ベース部110,210に一体成形される第1弾性シート部131B,131C,131D,131Eと、位置規定部(ハブ113)に一体成形される第3弾性シート部133B,133C,133D,133Eと、を有する。
【0111】
この構成では、コイルスプリング4の内側に設けられる位置規定部(ハブ113)に第3弾性シート部133B,133C,133D,133Eが一体成形されている。したがって、コイルスプリング4が破断し、破断したコイルスプリング4の一部が位置規定部(ハブ113)に落下したとしても、第3弾性シート部133B,133C,133D,133Eによって、コイルスプリング4の破断部からの衝撃を吸収することができるため、スプリングガイド100B,100C,100D,100E,100F,200B,200C,200D,200Eの位置規定部(ハブ113)の破損を効果的に防止することができる。
【0112】
スプリングガイド100B,100C,100D,100E,100F,200B,200C,200D,200Eは、本体部101,201が、ショックアブソーバ1のシリンダ1bが挿通される円筒状の筒部112を有し、第3弾性シート部133B,133C,133D,133Eが、シリンダ1bと、シリンダ1bが挿通される筒部112の挿通孔120と、の間の隙間を閉塞する。
【0113】
この構成では、第3弾性シート部133B,133C,133D,133Eによって、シリンダ1bと挿通孔120との間の隙間に、砂、水等の異物が侵入することを防止することができる。
【0114】
スプリングガイド100B,100C,100D,100E,100F,200B,200C,200D,200Eは、第3弾性シート部133B,133C,133D,133E,133Fが、ショックアブソーバ1のシリンダ1bと接してシリンダ1bと挿通孔120との間の隙間を閉塞するリップ136を有する。
【0115】
この構成では、シリンダ1bを挿通孔120に挿通する際に、第3弾性シート部133B,133C,133D,133E,133Fにシリンダ1bの挿通方向への力が加わりづらくなる。これにより、第3弾性シート部133B,133C,133D,133E,133Fとハブ113との剥離を抑制することができる。
【0116】
スプリングガイド100C,100E,200C,200Eは、第3弾性シート部133C,133Eの厚みt3が、第1弾性シート部131C,131Eの厚みt1よりも薄い。
【0117】
この構成では、シリンダ1bにスプリングガイド100C,100E,200C,200Eを装着する際の第3弾性シート部133C,133Eとシリンダ1bの外周部との間の摩擦抵抗を低減できる。その結果、ショックアブソーバ1に対するスプリングガイド100C,100Eの装着作業性を向上することができる。
【0118】
スプリングガイド100D,100E,200D,200Eは、第3弾性シート部133D,133Eが、第1弾性シート部131D,131Eの材料よりも弾性率が低い材料からなる。
【0119】
この構成では、ショックアブソーバ1の動作時に、シリンダ1bに対してスプリングガイド100D,100E,200D,200Eが軸方向に位置ずれしたとしてもシリンダ1bの外周に対して第3弾性シート部133D,133Eを適切に追従させ、シリンダ1bと挿通孔120との間を第3弾性シート部133D,133Eで閉塞することができる。
【0120】
サスペンション装置10は、上記スプリングガイド100A,100B,100C,100D,100E,100F,200A,200B,200C,200D,200Eと、ショックアブソーバ1と、ショックアブソーバ1のロッド1aの先端に取り付けられるアッパーマウント2と、スプリングガイド100A,100B,100C,100D,100E,100F,200A,200B,200C,200D,200Eとアッパーマウント2との間に設けられるコイルスプリング4と、ショックアブソーバ1のシリンダ1bに固定され、スプリングガイド100A,100B,100C,100D,100E,100F,200A,200B,200C,200D,200Eを支持する金属製の支持部(支持リング3)と、を備える。
【0121】
この構成では、上記スプリングガイド100A,100B,100C,100D,100E,100F,200A,200B,200C,200D,200Eを備えているため、部品点数の増加を招くことなく、軽量化が実現されたサスペンション装置10を提供することができる。
【0122】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0123】
1・・・ショックアブソーバ、1a・・・ロッド、1b・・・シリンダ、2・・・アッパーマウント、3・・・支持リング(支持部)、4・・・コイルスプリング、10・・・サスペンション装置、100A,100B,100C,100D,100E,100F,200A,200B,200C,200D,200E・・・スプリングガイド、101,201・・・本体部、103A,103B,103C,103D,103E,103F,203A,203B,203C,203D,203E・・・弾性部,110,210・・・ベース部、110c・・・載置領域、111・・・側壁、112・・・筒部、113・・・ハブ(位置規定部)、120・・・挿通孔、131A,131B,131C,131D,131E・・・第1弾性シート部、132A,132B,132C,132D,132E・・・第2弾性シート部、133B,133C,133D,133E,133F,133G・・・第3弾性シート部、136・・・リップ
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14