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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20240807BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
G06F3/041 480
G06F3/01 560
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023128506
(22)【出願日】2023-08-07
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】吉冨 圭一
(72)【発明者】
【氏名】山▲ざき▼ 充弘
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 義従
【審査官】佐藤 光起
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-144964(JP,A)
【文献】特開2011-008532(JP,A)
【文献】特開2018-045491(JP,A)
【文献】特開2014-222492(JP,A)
【文献】特開2008-191086(JP,A)
【文献】国際公開第2015/045482(WO,A1)
【文献】特開2009-181282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペン型入力デバイスが接触している操作対象面の位置に対応する座標を検出する座標検出部と、
前記ペン型入力デバイスが前記操作対象面に接触しながら移動しているときに前記座標検出部により検出される座標の移動軌跡を所定の距離に応じて区分した区間パターンに従って、前記ペン型入力デバイスに行わせる振動のオン・オフが切り替わるように制御する振動制御部と
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記振動制御部は、前記区間パターンは、検出される座標の移動に応じて描画される破線のパターンに対応する
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
ペン型入力デバイスが接触している操作対象面の位置に対応する座標を検出する座標検出部と、
前記座標検出部による座標の検出状況に基づき、前記ペン型入力デバイスが前記操作対象面に接触しながら移動している場合に、検出される座標の移動状態が所定の条件を満たしたタイミングで一時振動を前記ペン型入力デバイスに行わせる振動制御部とを備え、
前記振動制御部は、前記座標検出部により検出される座標が、前記操作対象面に対応する座標面に対して設定された所定パターンの境界線に到達することに応じて前記一時振動を前記ペン型入力デバイスに行わせ、
前記境界線は、前記操作対象面に対する前記ペン型入力デバイスの接触が開始されたときに前記座標検出部により検出された座標に基づいて設定される
情報処理システム。
【請求項4】
ペン型入力デバイスが接触している操作対象面の位置に対応する座標を検出する座標検出部と、
前記座標検出部による座標の検出状況に基づき、前記ペン型入力デバイスが前記操作対象面に接触しながら移動している場合に、検出される座標の移動状態が所定の条件を満たしたタイミングで一時振動を前記ペン型入力デバイスに行わせる振動制御部とを備え、
前記振動制御部は、前記ペン型入力デバイスが前記操作対象面に接触しながら移動しているときに前記座標検出部により検出される座標が基準座標から所定距離に到達したことに応じて前記一時振動を前記ペン型入力デバイスに行わせる
情報処理システム。
【請求項5】
ペン型入力デバイスが接触している操作対象面の位置に対応する座標を検出する座標検出部と、
前記座標検出部による座標の検出状況に基づき、前記ペン型入力デバイスが前記操作対象面に接触しながら移動している場合に、検出される座標の移動状態が所定の条件を満たしたタイミングで一時振動を前記ペン型入力デバイスに行わせる振動制御部とを備え、
前記振動制御部は、前記ペン型入力デバイスが前記操作対象面に接触しながら移動しているときに、所定の基準座標を起点として、前記座標検出部により検出される座標の所定距離を移動するごとに前記一時振動を前記ペン型入力デバイスに行わせる
情報処理システム。
【請求項6】
前記基準座標は、前記操作対象面に対する前記ペン型入力デバイスの接触が開始されたときの座標である
請求項4または5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
ペン型入力デバイスが接触している操作対象面の位置に対応する座標を検出する座標検出部と、
前記ペン型入力デバイスが前記操作対象面に接触しながら移動しているときに前記座標検出部により検出される座標についての所定の基準座標に対する状態に基づいて、前記ペン型入力デバイスにより行わせる振動の強度を変化させる振動制御部とを備え、
前記振動制御部は、前記ペン型入力デバイスが前記操作対象面に接触しながら移動しているときに前記座標検出部により検出される座標の移動方向が前記基準座標に対して離間する方向と接近する方向とのいずれであるのかに応じて、前記ペン型入力デバイスにより行わせる振動の強度を変化させるにあたり、前記離間する方向であるときには所定の強度で振動させ、前記接近する方向であるときには、前記離間する方向であるときと異なる所定の強度で振動させ
前記基準座標は、前記操作対象面に対する前記ペン型入力デバイスの接触が開始されたときの座標である
情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
対話型ディスプレイシステムに対する入力にあたり、触覚アクチュエータを駆動した振動を発生させることで触覚フィードバックが可能とされたペン状のスタイラス(ペン型入力デバイス)を入力装置として用いることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2017-537395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ペン型入力デバイスが振動することで、例えば紙等の筆記媒体にペン先を滑らせているときの触感が疑似的に得られることから、ペン型入力デバイスを用いて入力しているユーザは、実物の筆記具を用いて筆記しているときに近い感覚を得ることができる。
ペン型入力デバイスにて振動が発せられるようにすることで、実物の筆記具で筆記している触感を体感させる以外にも、ユーザにとって有用性をもたらすことが可能となれば、ユーザの利便性等が向上する。
そこで、本発明は、ペン型入力デバイスの振動を利用することでユーザに有用性をもたらすことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決する本発明の一態様は、ペン型入力デバイスが接触している操作対象面の位置に対応する座標を検出する座標検出部と、前記ペン型入力デバイスが前記操作対象面に接触しながら移動しているときに前記座標検出部により検出される座標の移動軌跡を所定の距離に応じて区分した区間パターンに従って、前記ペン型入力デバイスに行わせる振動のオン・オフが切り替わるように制御する振動制御部とを備える情報処理システムである。
【0006】
本発明の一態様は、ペン型入力デバイスが接触している操作対象面の位置に対応する座標を検出する座標検出部と、前記座標検出部による座標の検出状況に基づき、前記ペン型入力デバイスが前記操作対象面に接触しながら移動している場合に、検出される座標の移動状態が所定の条件を満たしたタイミングで一時振動を前記ペン型入力デバイスに行わせる振動制御部とを備える情報処理システムである。
【0007】
本発明の一態様は、ペン型入力デバイスが接触している操作対象面の位置に対応する座標を検出する座標検出部と、前記ペン型入力デバイスが前記操作対象面に接触しながら移動しているときに前記座標検出部により検出される座標についての所定の基準座標に対する状態に基づいて、前記ペン型入力デバイスにより行わせる振動の強度を変化させる振動制御部とを備える情報処理システムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ペン型入力デバイスの振動を利用してユーザに有用性をもたらすことができるようになるとの効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態における情報処理システムの外観構成例を示す図である。
図2】第1実施形態における振動制御に応じた情報処理装置とペン型入力デバイスとの機能構成例を示す図である。
図3】第1実施形態における振動制御の態様例を説明する図である。
図4】第1実施形態における情報処理装置とペン型入力デバイスとが振動制御に対応して実行する処理手順例を示すフローチャートである。
図5】第2実施形態の第1適用例における振動制御の一例を説明する図である。
図6】第2実施形態の第1適用例における振動制御の一例を説明する図である。
図7】第2実施形態の第2適用例における振動制御の一例を説明する図である。
図8】第2実施形態の第2適用例における振動制御に対応して情報処理装置とペン型入力デバイスとが実行する処理手順例を示すフローチャートである。
図9】第2実施形態の第3適用例における振動制御の一例を説明する図である。
図10】第3実施形態の第1適用例における振動制御の一例を説明する図である。
図11】第3実施形態の第2適用例における振動制御の一例を説明する図である。
図12】第3実施形態の第2適用例における座標移動方向の判定手法例を説明する図である。
図13】第3実施形態の第2適用例における座標移動方向の判定手法例を説明する図である。
図14】第3実施形態の第2適用例における振動制御に対応して情報処理装置とペン型入力デバイスとが振動制御に対応して実行する処理手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態の情報処理システムの外観構成例を示している。同図に示されるように、本実施形態の情報処理システムは、情報処理装置100とペン型入力デバイス200とを有する。
【0011】
情報処理装置100は、ペン型入力デバイス200による入力操作に応じて情報処理を実行可能とされる。同図の情報処理装置100は、端末あるいはノート型パーソナルコンピュータ等とされた例を示している。
【0012】
情報処理装置100は、タッチパネル表示部102を備える。タッチパネル表示部102は、タッチパネルと表示部とが組み合わされた部位である。タッチパネル表示部102は、表示面に画像を表示するとともに、表示面に対してペン型入力デバイスや指等の操作体を接触させることによる操作が可能とされる。
【0013】
ペン型入力デバイス200は、ユーザが情報処理装置100のタッチパネル表示部102におけるタッチパネルに対して操作を行うのに用いるペン型の入力デバイスである。
ユーザは、ペン型入力デバイス200を把持し、ペン先をタッチパネル表示部102の表示面に接触させるようにして移動させることで、文字、絵、図形等の手書き入力の操作を行うようにされる。
【0014】
なお、ペン型入力デバイス200を用いた操作として、タッチパネル表示部102に表示されているユーザインターフェース画像に対するポインティング操作なども可能とされてよい。
【0015】
なお、本実施形態のタッチパネル表示部102におけるタッチパネルによるペン型入力デバイス200の検出方式については特に限定されるものではないが、例えば静電容量方式や電磁誘導方式等を挙げることができる。以下の説明においては、静電容量方式が用いられる場合を例に挙げる。
【0016】
情報処理装置100には、ペン型入力デバイス200による入力操作に対応するアプリケーション(ペン操作対応アプリケーション)がインストールされている。
ペン操作対応アプリケーションは、例えばペン型入力デバイス200のペン先をタッチパネル表示部102の操作対象面に対して接触させて行う文字入力、絵描き等の手書き入力操作に応じて描画した文字や絵をタッチパネル表示部102に表示したり、操作により描画された文字や絵をデータ化する処理などを実行可能とされてよい。
【0017】
また、本実施形態の情報処理システムにおいて、ペン型入力デバイス200は、筆記に応じた操作(筆記操作)が行われているときに対応して、ペン型入力デバイス200が振動する。このようなペン型入力デバイス200の振動により、ユーザは、例えば紙等の筆記媒体に筆記しているときに近い触覚が感じられることとなり、実物の筆記具により筆記媒体に筆記しているときに近い感覚を得ることが可能となる。
【0018】
以降の説明において、ペン型入力デバイス200により筆記操作が行われているときの振動発生については、「触覚フィードバック」とも呼ぶ。触覚フィードバックとしては、ペン型入力デバイス200がタッチパネル表示部102の操作対象面に接触しながら移動しているときの速度、ペン型入力デバイス200のペン先が操作対象面に接触しているときの圧力等に応じて振動が変化するように制御されてよい。
【0019】
図2は、本実施形態の振動制御に応じた情報処理装置100とペン型入力デバイス200との機能構成例を示している。
まず、情報処理装置100の機能構成例について説明する。同図に示される情報処理装置100としての機能は、情報処理装置100としてのハードウェアが備えるCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等がプログラムを実行することにより実現される。
同図の情報処理装置100は、通信部101、タッチパネル表示部102、制御部103、記憶部104、および座標検出部105を備える。
【0020】
通信部101は、ペン型入力デバイス200と無線通信を行う。通信部101が対応する無線通信の方式については特に限定されないが、例えばBluetooth(登録商標)を挙げることができる。なお、通信部101は、有線によるペン型入力デバイス200との通信に対応可能とされてもよい。
通信部101が対応するハードウェアは、情報処理装置100に実装される通信方式に対応する通信モジュールを備えて構成されてよい。
【0021】
タッチパネル表示部102は、表示部121とタッチパネル122(センサ部の一例)とが組み合わされたデバイスである。
表示部121は、制御部103の制御に応じて画像を表示する。
タッチパネル122は、表示部121の表示面に対応して設けられ、ペン型入力デバイス200のペン先の位置を検出し、検出した位置を示す操作位置情報を出力する。具体的に、静電容量方式のタッチパネル122は、パネル面(操作対象面の一例)に対するペン型入力デバイス200のペン先の接触により発生する静電容量を電極で検出することにより、パネル面におけるペン先の位置を検出してよい。
【0022】
座標検出部105は、タッチパネル122から出力された操作位置情報に対応する座標を検出する。つまり、座標検出部105は、タッチパネル122から出力された操作位置情報が示すパネル面の位置を座標に変換する。この場合、座標検出部105が検出する座標は、例えばペン操作対応アプリケーションによりタッチパネル表示部102にて表示される描画エリアに対応させた二次元座標であってよい。
なお、座標検出部105は、タッチパネル表示部102に備えられてもよいし、制御部103に備えられてもよい。
【0023】
制御部103は、情報処理装置100における各種の制御を実行する。制御部103は、ペン操作対応アプリケーションに対応する処理を実行するアプリケーション対応処理部131と振動制御部132とを備える。
【0024】
ペン操作対応アプリケーションに対する操作としてペン型入力デバイス200のペン先をタッチパネル122のパネル面に接触させているとき、タッチパネル122からアプリケーション対応処理部131にペン操作情報が入力される。アプリケーション対応処理部131は、入力されたペン操作情報が入力されたことに応じて、例えば描画などの処理を行う。
【0025】
振動制御部132は、ペン型入力デバイス200を振動させる制御(振動制御)を実行する。振動制御部132は、ペン型入力デバイス200に振動を指示する振動制御情報をペン型入力デバイス200に送信する。振動制御情報は、例えば振動強度をパラメータとして含んでよい。ペン型入力デバイス200は、振動制御情報の受信に応じて、当該振動制御情報に含まれる振動強度で振動するように動作する。
【0026】
制御部103は、ハードウェアとして、CPU、GPU、RAM、ROM等を備えたコンピュータとして構成されてよい。
【0027】
記憶部104は、情報処理装置100に対応する各種の情報を記憶する。
記憶部104が対応するハードウェアは、例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等であってよい。
【0028】
次に、ペン型入力デバイス200の機能構成例について説明する。同図に示されるペン型入力デバイス200の機能は、例えばハードウェアとしてのペン型入力デバイス200が備えるMCU(Micro Controller Unit)等のマイクロプロセッサにプログラムを実行させることにより実現されてよい。
【0029】
同図のペン型入力デバイス200は、通信部201、振動部202、制御部204、および記憶部205を備える。
【0030】
通信部201は、情報処理装置100の通信部101と通信可能に接続する。通信部201は、例えば実装される通信方式に対応するハードウェアを備えて構成されてよい。
通信部201が対応するハードウェアは、ペン型入力デバイス200に実装される通信方式に対応する通信モジュールを備えて構成されてよい。
【0031】
振動部202(アクチュエータ)は、ペン型入力デバイス200のペン先をタッチパネル122のパネル面上で移動させる操作を行っているユーザに、例えば筆記操作時の触覚を与えられるように振動する部位である。振動部202は、駆動制御部241により振動が制御される。
【0032】
制御部204は、ペン型入力デバイス200における各種の制御を実行する。制御部204は、駆動制御部241を備える。
【0033】
駆動制御部241は、振動波形データ記憶部251が記憶する振動波形データを利用して振動部202を振動させるように駆動する。
【0034】
記憶部205は、ペン型入力デバイス200が対応する各種の情報を記憶する。記憶部205は、振動波形データ記憶部251を備える。振動波形データ記憶部251は、振動波形データを記憶する。振動波形データは、ペン型入力デバイス200に所望の振動状態を発生させるための振動波形を示すデータである。
記憶部205が対応するハードウェアは、例えばフラシュメモリ等であってよい。
【0035】
上記構成による本実施形態の情報処理システムのペン型入力デバイス200は、触覚フィードバックを与えることができる。つまり、本実施形態のペン型入力デバイス200は、タッチパネル表示部102(タッチパネル122)のパネル面にペン先を接触させながら移動させる操作(ペン移動操作)が行われているときに対応して振動するように動作することが可能とされる。このようなペン移動操作として筆記の操作が行われているときにペン型入力デバイス200が振動することで、実物の筆記具により筆記媒体に筆記しているときの感覚に近づけることが可能となる。
【0036】
ペン型入力デバイス200を振動させる振動制御は、例えば情報処理装置100を利用するユーザの利便性等を考慮すれば、触覚フィードバックの機能を拡張させたり、触覚フィードバック以外の他の機能にも適用されたりすることで、有用性が高められることが好ましい。
【0037】
本実施形態のペン操作対応アプリケーションでは、点線、破線、鎖線(一点鎖線、二点鎖線等)のように所定のパターンで線部分と非線部分とが繰り返される線(パターン線)を、ペン型入力デバイス200を用いて描画することができる。パターン線の描画に際しては、ユーザは、ペン型入力デバイス200のペン先を操作対象面に接触させながら1本の線を引くようにして移動させる筆記操作を行うようにされる。このように筆記操作が行われたことに応じて、ペン型入力デバイス200のペン先の移動軌跡に応じて、選択されたパターン線が描画される。
そこで、本実施形態の情報処理システムでは、パターン線を描画に対応してパネル面上でペン先を移動させる筆記操作が行われているとき、パターン線の線部分では触覚フィードバックとしての振動を発生させ、非線部分では振動を発生させないように、振動制御が行われる。
このように振動制御が行われることで、パターン線を引くためにパネル面上でペン先を移動させる筆記操作に対応して、線部分が描画されるタイミングでは振動し、非線部分が描画されるタイミングでは振動しないように触覚フィードバックが拡張される。これにより、ユーザは、パターン線を引く筆記操作を行っているときに振動と非振動とが切り替わるようにされた触覚フィードバックを受けることとなり、パターン線を引いていることを実感できることとなる。
【0038】
図3を参照して、本実施形態におけるパターン線の描画に対応する振動制御の一例について説明する。
例えばユーザは、ペン操作対応アプリケーションを操作して描画対象として或るパターン線を選択した。そのうえで、ユーザは、時刻t1からパターン線を引くための筆記操作を開始した。つまり、ユーザは、時刻t1において、パターン線を引くためにタッチパネル122のパネル面にペン型入力デバイス200のペン先を接触させた。
情報処理装置100において振動制御部132は、パターン線の描画に対応して、パネル面におけるペン先の移動距離範囲としてゼロ(「0」)から所定の最大値(max)までの範囲を設定し、移動距離範囲における或る距離を閾値thとして設定している。移動距離範囲における最大値(max)と閾値thは、パターン線における線部分と非線部分との繰り返しパターンに応じて定まる。同図の説明にあたっては、パターン線が破線であって線部分と非線部分とが同じ長さで繰り返されるパターン(区間パターンの一例)を有する場合を例に挙げている。
【0039】
時刻t1以降において、ユーザは、線描のためにパネル面にペン型入力デバイス200のペン先を移動させていくようにして筆記操作を行う。振動制御部132は、時刻t1以降において、パネル面上でのペン先の移動に応じて座標検出部105にて検出される座標の変化に基づいてペン先の移動距離を計測する。振動制御部132は、ペン先の移動が開始される時刻t1における移動距離の初期値として、同図に示されるように閾値thを設定する。
時刻t1以降において計測される移動距離は時間経過に応じて増加し、時刻t2において最大値maxに到達した。振動制御部132は、移動距離が最大値maxに到達すると、ゼロにリセットしたうえで、ゼロから計測を再開させる。時刻t2以降において振動制御部132が移動距離を計測していくことに応じて移動距離は増加していき、時刻t3において閾値thに到達し、さらに時刻t4において最大値maxに到達する。振動制御部132は、時刻t4において移動距離をゼロにリセットしたうえで計測を再開する。このように、振動制御部132は、パネル面上でのペン先の移動に応じて座標検出部105にて検出される座標に基づいて、ゼロから最大値maxまでによる移動距離の計測を繰り返すようにされる。
【0040】
アプリケーション対応処理部131は、破線の描画にあたり、振動制御部132が計測した移動距離が閾値th以上のときに線部分LPを描画し、閾値th未満のときに非線部分を描画する。
また、振動制御部132は、移動距離が閾値th以上とされているときにペン型入力デバイス200を振動させ、閾値th未満のときにペン型入力デバイス200の振動が停止されるように制御する。このように振動制御部132は、移動距離が閾値th以上であるか否かに応じて、ペン型入力デバイス200に行わせる振動のオン・オフを切り替えるように制御する。
このように描画と振動制御とが行われることで、ユーザの筆記操作に応じてタッチパネル表示部102にて破線が描画されていくととともに、ペン型入力デバイス200は、線部分が描画されるタイミングごとに振動することができる。
【0041】
図4のフローチャートを参照して、本実施形態の情報処理装置100とペン型入力デバイス200とがパターン線の描画における振動制御に関連して実行する処理手順例について説明する。同図の処理手順は、図3と同様に、描画対象のパターン線が、線部分と被線部分とが同じ流さで交互となるパターンの破線である場合を例に挙げる。
【0042】
まず、情報処理装置100が実行する処理手順例について説明する。
ステップS100:情報処理装置100において振動制御部132は、座標検出部105による座標の検出が開始されるのを待機する。座標検出部105は、ペン型入力デバイス200のペン先がタッチパネル122のパネル面に対して接触を開始したことに応じて座標の検出を開始することとなる。
【0043】
ステップS102:振動制御部132は、ステップS100にて座標の検出が開始されたことに応じて、計測対象とする移動距離に初期値として閾値thを設定する。
【0044】
ステップS104:また、振動制御部132は、ステップS100にて座標の検出が開始されたことに応じて、移動距離の計測を開始する。
【0045】
ステップS106:現時点において移動距離は閾値th以上の状態にある。そこで、アプリケーション対応処理部131は、破線における線部分の描画を開始する。アプリケーション対応処理部131は、描画用の平面において座標検出部105により検出された座標に対応する位置に線部分の描画を行うようにされる。
【0046】
ステップS108:また、振動制御部132は、ペン型入力デバイス200振動するようにペン型入力デバイス200への振動制御情報の送信を開始する。
【0047】
ステップS110:振動制御部132は、これまでの座標検出部105による座標の検出が停止したか否かを判定する。ユーザが線描のための筆記操作を終えるためにペン型入力デバイス200のペン先をタッチパネル122のパネル面から離間させることに応じて、座標検出部105による座標の検出が停止する。
【0048】
ステップS112:ステップS110にて座標の検出が停止されていないと判定された場合、振動制御部132は、現在において計測している移動距離が最大値max以上である否かを判定する。移動距離が最大値max未満である場合には、ステップS110に処理が戻される。
【0049】
ステップS114:ステップS112にて移動距離が最大値max以上であると判定された場合、振動制御部132は、ステップS108から開始された振動制御情報の送信を停止させる。
【0050】
ステップS116:また、移動距離が最大値max以上となったことに応じて、アプリケーション対応処理部131は、ステップS106から開始した線部分の描画を停止する。
【0051】
ステップS118:また、移動距離が最大値max以上となったことに応じて、振動制御部132は、これまでに測定した移動距離をゼロにリセットしたうえで、移動距離の計測を再開させる。
【0052】
ステップS120:振動制御部132は、これまでの座標検出部105による座標の検出が停止したか否かを判定する。
【0053】
ステップS122:また、振動制御部132は、現在において計測している移動距離が閾値th以上である否かを判定する。移動距離が閾値th未満である場合には、ステップS120に処理が戻される。ステップS120、S122の処理がループされている間は、破線における線部分の描画は行われず非線部分が形成され、ペン型入力デバイス200の振動も停止されている。
一方、移動距離が閾値th以上である場合には、ステップS106に処理が戻されることで、線部分の描画とペン型入力デバイス200を振動させるための振動制御情報の送信とが開始される。
【0054】
ステップS124:ステップS110またはステップS120にて座標の検出が停止されたと判定された場合には、停止処理が実行される。停止処理として、アプリケーション対応処理部131は、線部分を描画していた場合には、線部分の描画を停止し、振動制御部132は、移動距離の計測を終了するとともに、振動制御情報を送信していた場合には振動制御情報の送信を停止させる。
【0055】
次に、ペン型入力デバイス200が実行する処理手順例について説明する。
ステップS200:ペン型入力デバイス200において駆動制御部241は、ステップS108により送信される振動制御情報の受信が開始されるのを待機する。
【0056】
ステップS202:振動制御情報の受信が開始されると、駆動制御部241は、振動波形データ記憶部251が記憶する振動波形データにより振動部202の駆動を開始する。この際、振動制御情報により振動強度が指定される場合には、駆動制御部241は、指定された振動強度により振動部202が振動するように駆動してよい。
【0057】
ステップS204:ステップS202により振動部202の駆動を開始した後、駆動制御部241は、これまでの振動制御情報の受信が停止するのを待機する。
【0058】
ステップS206:振動制御情報の受信が停止したことに応じて、駆動制御部241は、これまでの振動部202の駆動を停止する。
【0059】
<第2実施形態>
続いて、第2実施形態について説明する。本実施形態においては、ユーザがタッチパネル122のパネル面上にペン型入力デバイス200のペン先を接触させながら移動させる操作(ペン移動操作)を行うようにされる。ペン先移動操作に際しては、座標検出部105により検出される座標が変化(移動)する。本実施形態においては、振動制御として、ペン移動操作が行われているとき、ペン先の移動に対応して変化する座標が、パネル面に対応する座標平面に設定された所定パターンの境界線を通過する際に、一時的にペン型入力デバイス200を振動させる。
情報処理装置100とペン型入力デバイス200の構成は図2でよい。
【0060】
図5は、本実施形態の振動制御の適用例の1つ(第1適用例)を示している。本実施形態において、ユーザがはじめにペン型入力デバイス200のペン先をタッチパネル122のパネル面に接触させたことに応じて、振動制御部132は、座標平面においてペン先が接触された位置の座標を基準座標p0として設定する。また、振動制御部132は、グリッドGDを設定する。振動制御部132はグリッドGDの設定にあたり、水平方向のグリッドライン(境界線)と垂直方向のグリッドラインとの交点のうちの1つに基準座標p0が対応するようにされる。
【0061】
ユーザは、基準座標p0からペン先をパネル面に接触させた状態で任意の方向にペン移動操作を行う。図5においては、破線の矢印により示すように、基準座標p0から右斜め上方向にペン先を移動させている例が示されている。
図5のようにペン先が移動される場合には、行方向に配置された垂直方向のグリッドライン上の座標p1、p2、p3の順でペン先がグリッドライン上に位置することとなる。本実施形態において振動制御部132は、ペン先が座標p1、p2、p3に位置した状態となるごとに、一時的にペン型入力デバイス200を振動させる。つまり、本実施形態においては、ペン先が座標平面上のグリッドラインを通過するごとに一時的なパルス状の振動(パルス振動(一時振動の一例))が発せられる。
このようにパルス振動が発せられることで、ユーザは、ペン移動操作により移動させているペン先に応じた座標平面での基準座標p0からの移動距離がどの程度であるのかについて感覚的に把握できる。
【0062】
図6は、図5と異なる移動方向で基準座標p0からペン先を移動させた場合の振動制御の結果例を示している。図6の場合には、基準座標p0からペン先が移動されたことに応じて、座標p1、p2、p3、p4、p5、p6の順でグリッドラインを通過するごとにパルス振動が発せられることになる。
この場合、図5よりも傾きが小さくなっていることで、ペン先は、水平方向に配置されたグリッドラインの座標p1、p3、p5だけでなく、垂直方向に配置されたグリッドライン上の座標p2、p4、p6も通過することとなる。このため、ユーザは基準座標p0からの移動距離について、垂直方向と水平方向とのそれぞれの方向成分でどの程度であるのかについて感覚的に把握できる。
【0063】
つまり、本実施形態においては、ペン型入力デバイス200によるペン移動操作の開始に応じて座標平面に基準位置と、当該基準位置を基準とする境界線とが設定される。そのうえで、ペン先の移動に応じて基準位置から移動する座標が境界線を通過するタイミングでペン型入力デバイス200にてパルス振動が発せられるように振動制御が行われるものである。
【0064】
図7は、本実施形態の振動制御の適用例の他の例(第2適用例)を示している。第2適用例では、ペン操作対応アプリケーションは地図を提示する機能を有する。本適用例では、図示するようにタッチパネル表示部102において地図が表示される。
ユーザは、表示された地図上の任意の位置をスタート地点として指定する操作(スタート地点指定操作)を行う。スタート地点指定操作は、地図上のスタート地点の位置にペン型入力デバイス200のペン先を接触させる操作であってよい。
スタート地点指定操作により指定された地図上のスタート地点の位置は、座標平面における基準座標p0として設定される。
また、スタート地点指定操作に応じて、基準座標p0を共通の中心とする複数の円形の境界線BD(BD1~BD4)を設定する。同図では、境界線BD1が単位移動距離udに対応する半径を有するようにされたうえで、互いに隣接する境界線BD間は単位移動距離udで等間隔となるようにされている。
境界線BDは、地図上にて表示されてもよいし、表示されなくともよい。また、例えばユーザによるペン操作対応アプリケーションに対する操作に応じて、境界線BDの表示と非表示とを切り替え可能とされてよい。
【0065】
単位移動距離udは、ペン操作対応アプリケーションに対する操作により、地図の縮尺に対応させてユーザが任意に設定可能とされる。なお、単位移動距離udは固定であってもよい。
【0066】
ユーザは、スタート地点指定操作により地図が表示されたパネル面にペン型入力デバイス200のペン先を接触させた状態から目的地に向かってペン先を移動させるようにする。このようにペン先が移動されていくことで、ペン先は図7に示すように、例えば境界線BD1上の座標p1、境界線BD2上の座標p2、境界線BD3上の座標p3の順で、境界線BDを通過する。
本適用例では、ペン先が境界線BD上の座標に位置するごとにペン型入力デバイス200にてパルス振動が発せられるように振動制御が行われる。このように振動制御が行われることで、ユーザは、スタート地点から目的地までペン先を移動させる間に発せられたパルス振動の数により、スタート地点から目的地までのおおよその距離を容易に把握できる。
なお、本歴用例において、スタート地点から目的地までの距離に応じて、パルス振動の強度が変更されるようにしてもよい。
【0067】
図8のフローチャートを参照して、図7の振動制御に対応して情報処理装置100とペン型入力デバイス200とが実行する処理手順例について説明する。
【0068】
まず、情報処理装置100が実行する処理手順例について説明する。
ステップS300:情報処理装置100において振動制御部132は、座標検出部105による座標の検出が開始されるのを待機する。
【0069】
ステップS302:座標の検出が開始されると、振動制御部132は、地図が対応する座標平面にて最初に検出された座標を基準座標p0として設定する。
【0070】
ステップS304:また、座標の検出が開始されたことに応じて、振動制御部132は、ユーザにより設定された単位移動距離udを取得する。
【0071】
ステップS306:振動制御部132は、ステップS302にて設定された基準座標p0とステップS304にて取得された単位移動距離とを利用して、地図が対応する座標平面にて境界線BDを設定する。
【0072】
ステップS308:振動制御部132は、ステップS300にて開始された座標の検出が停止したか否かを判定する。
【0073】
ステップS310:ステップS308にて座標の検出が停止していないと判定された場合、振動制御部132は、現在において検出される座標が境界線BDに到達したか否かを判定する。座標が境界線BDに到達していないと判定された場合には、ステップS308に処理が戻される。
【0074】
ステップS312:ステップS310にて座標が境界線BDに到達したと判定された場合、振動制御部132は、パルス振動制御情報をペン型入力デバイス200に送信する。
【0075】
ステップS314:ステップS308にて座標の検出が停止されたと判定されると、停止処理が実行される。停止処理として、振動制御部132は、ステップS302により設定した基準座標p0とステップS306により設定した境界線BDとをクリアする。
【0076】
次に、ペン型入力デバイス200が実行する処理手順例について説明する。
ステップS400:ペン型入力デバイス200において駆動制御部241は、ステップS312により情報処理装置100から送信されたパルス振動制御情報が受信されるのを待機する。
【0077】
ステップS402:パルス振動制御情報が受信されたことに応じて、駆動制御部241は、パルス振動が発せられるように振動部202を駆動する。
【0078】
図9は、第2実施形態の第3適用例を示している。本適用例においても、ペン操作対応アプリケーションは地図を提示する機能を有し、図示するようにタッチパネル表示部102において地図が表示される。
【0079】
ユーザは、表示された地図に対してスタート地点指定操作を行う。スタート地点指定操作により指定された地図上のスタート地点の座標が基準座標p0として設定される。
ユーザは、スタート地点指定操作により地図が表示されたパネル面にペン型入力デバイス200のペン先を接触させた状態から目的地までの経路に沿ってペン先を移動させるようにする。ユーザは、地図上で任意に決めた経路に沿ってペン先を移動させることができる。ペン操作対応アプリケーションは、ペン先が移動された軌跡を表示することで経路を示すようにされてよい。
【0080】
本適用例では、ペン先の移動に応じた地図上での経路に沿った移動距離が地図の縮尺に対応して設定された単位移動距離udを経るごとに、ペン型入力デバイス200にてパルス振動が発せられるように振動制御が行われる。
このように振動制御が行われることで、ユーザは、スタート地点から目的地までペン先を移動させる間に発せられたパルス振動の数により、スタート地点からの経路の距離を容易に把握できる。
なお、地図上で経路を表示する場合において、表示された経路における基準座標p0の位置と、基準座標p0からの単位移動距離udごとにマークMが表示されるようにしてよい。
【0081】
<第3実施形態>
続いて、第3実施形態について説明する。第3実施形態は、ユーザがペン移動操作を行っているときに対応して継続的にペン型入力デバイス200が振動するようにされたうえで、ペン移動操作の際に検出される座標(現座標)の基準座標p0に対する位置関係に応じて、ペン型入力デバイス200の振動強度が変更される。
【0082】
図10は、第3実施形態における第1適用例を示している。本適用例においては、ユーザのペン移動操作の開始に対応して基準座標p0が設定される。つまり、ユーザはペン移動操作の開始のためにペン型入力デバイス200のペン先を、タッチパネル122のパネル面に接触させる。情報処理装置100の振動制御部132は、パネル面にペン先が接触されたことに応じて、最初に座標検出部105にて検出された座標を基準座標p0として設定する。
ユーザは、上記のようにペン型入力デバイス200のペン先をパネル面に接触させた後、ペン先をパネル面に接触させた状態を維持させながらペン先を移動させるようにペン移動操作を行う。
【0083】
ペン移動操作が行われることに応じて座標検出部105が検出する現座標は変化する。振動制御部132は、現座標と基準座標p0との距離を算出し、算出した距離に応じてペン型入力デバイス200の振動強度を変更する。具体的に、振動制御部132は、算出される距離dsが大きくなることに応じて振動強度も大きくするように設定してよい。振動制御部132は、設定した振動強度を含む振動制御情報をペン型入力デバイス200に送信する。
【0084】
ペン型入力デバイス200における駆動制御部241は、は振動制御情報の受信に応じて、受信された振動制御情報に含まれる振動強度により振動部202を振動させる。この結果、ペン型入力デバイス200は、ペン移動操作が行われているときの基準座標p0からの距離dsの変化に応じて振動強度が変化するようにされる。このように振動強度が変化することで、ユーザは、現在におけるパネル面上のペン型入力デバイス200のペン先が基準座標p0からどの程度の距離であるのかを感覚的に把握できる。
【0085】
なお、同図においては基準座標p0を中心とする破線の円が示されている。同図の破線の円は、本適用例の距離dsが基準座標p0を中心として360°の方向において計算されるものであることを示す補助的な線であり、タッチパネル表示部102にて表示されていなくともよい。
【0086】
図11は、第3実施形態における第2適用例を示している。本適用例においても、ペン移動操作の開始に際して最初にペン型入力デバイス200のペン先がパネル面に接触したときに座標検出部105により検出される座標が基準座標p0として設定される。
この後、ユーザはペン先をパネル面に接触させた状態を維持させながら任意の方向にペン先を移動させるようにペン移動操作を行うことができる。図11においては、最初にペン先がパネル面に接触された基準座標p0を起点として行われたペン移動操作によるペン先の移動軌跡TRが示されている。
【0087】
本適用例においては、上記のようにペン移動操作により任意の方向にペン先が移動されている際に、ペン先の移動に応じて座標検出部105により検出される座標が移動する方向(座標移動方向)が基準座標p0に対して接近しているか離間しているかに応じて、ペン型入力デバイス200の振動強度が変更される。
【0088】
図12図13を参照して、座標移動方向が基準座標p0に対して接近と離間のいずれの方向であるのかを判定する手法例について説明する。
振動制御部132は、例えば座標検出部105により検出された異なる時間の複数の現座標について微分するなどして、現座標が変化する方向(座標移動方向)を算出する。このような座標移動方向は、ベクトルにおける方向成分として求められてよい。
【0089】
振動制御部132は、図12に示すように基準座標p0と現座標psを通過する直線Aと、当該直線Aに直交し現座標psを通過する直線Bを設定する。振動制御部132は、例えば直線A、Bをそれぞれy軸、x軸とし、現座標psを中心とする0°~360°の角度を設定する。
【0090】
図12においては、上記のように振動制御部132が算出した座標移動方向として、角度θ1を有する座標移動方向dr1と角度θ2を有する座標移動方向dr2との2つの例が示されている。振動制御部132は、単位円において形成される角度θ(n)が0°から180°の範囲である場合には、座標移動方向が基準座標p0から離間する方向(離間方向)である判定する。つまり、振動制御部132は、図12に示される座標移動方向dr1、dr2について、いずれも離間方向であると判定する。
【0091】
また、図13においては、振動制御部132が算出した座標移動方向として、角度θ11を有する座標移動方向dr11と角度θ12を有する座標移動方向dr12との2つの例が示されている。振動制御部132は、単位円において形成される角度θ(n)が180°より大きく360°未満の範囲である場合には、座標移動方向が基準座標p0に接近する方向(接近方向)であると判定する。従って、振動制御部132は、図13に示される座標移動方向dr11、dr12について、いずれも接近方向であると判定する。
【0092】
振動制御部132は、座標移動方向が離間方向と接近方向とのいずれであるのかに応じてペン型入力デバイス200の振動の態様が変更されるように制御する。
例えば、振動制御部132は、座標移動方向が離間方向と接近方向とのいずれであるのかに応じてペン型入力デバイス200を振動させる強度(振動強度)を変更してよい。具体的には、座標移動方向が離間方向であるときに対応してペン型入力デバイス200が所定の強度で振動し、座標移動方向が接近方向であるときに対応してペン型入力デバイス200が振動しない(振動強度ゼロ)あるいは離間方向の場合よりも小さい強度で振動するように制御してよい。
【0093】
図14のフローチャートを参照して、第3実施形態における第2適用例に対応して情報処理装置100とペン型入力デバイス200とが実行する処理手順例について説明する。
まず、情報処理装置100が実行する処理手順例について説明する。
ステップS500:情報処理装置100において振動制御部132は、座標検出部105による座標の検出が開始されるのを待機する。
【0094】
ステップS502:座標の検出が開始されると、振動制御部132は、地図が対応する座標平面にて最初に検出された座標を基準座標p0として設定する。
【0095】
ステップS504:振動制御部132は、基準座標p0が設定された後のペン移動操作に対応して移動する現座標の座標移動方向が離間方向と接近方向とのいずれであるのかを判定する。
【0096】
ステップS506:振動制御部132は、ステップS504により判定された座標移動方向が離間方向であるか否かを判定する。
【0097】
ステップS508:ステップS506にて離間方向であると判定された場合、振動制御部132は、振動制御情報を送信する。
【0098】
ステップS510:ステップS506にて離間方向ではなく接近方向であると判定された場合、振動制御部132は、振動制御情報の送信を行わないようにする。この際、これまでにおいて振動制御情報が送信されていた場合には、振動制御部132は、当該ステップS510にてこれまでの振動制御情報の送信を停止させる。
【0099】
ステップS512:振動制御部132は、ステップS300にて開始された座標の検出が停止したか否かを判定する。座標の検出が停止されていないと判定された場合には、ステップS504に処理が戻される。
【0100】
ステップS514:ステップS512にて座標の検出が停止されたと判定されると、停止処理が実行される。停止処理として、振動制御部132は、ステップS502により設定した基準座標p0をクリアするとともに、これまでステップS508により振動制御情報が送信されていた場合には、振動制御情報の送信を停止させる。
【0101】
次に、ペン型入力デバイス200が実行する処理手順例について説明する。
ステップS600:ペン型入力デバイス200において駆動制御部241は、ステップS312により情報処理装置100から送信された振動制御情報が受信されるのを待機する。
ステップS602:振動制御情報が受信されたことに応じて、駆動制御部241は、振動部202を駆動して、ペン型入力デバイス200に振動が発せられるようにする。
【0102】
ステップS604:駆動制御部241は、これまでの振動制御情報の受信が停止されるのを待機する。
【0103】
ステップS606:振動制御情報の受信が停止されると、駆動制御部241は、振動部202の駆動を停止させる。振動部202の駆動が停止されることでペン型入力デバイス200の振動が停止する。
【0104】
なお、ステップS510において振動制御部132は、振動強度としてゼロを指定する振動制御情報を送信してよい。この場合、ペン型入力デバイス200の駆動制御部241は、受信した振動制御情報が示す振動強度により振動部202を駆動するように制御してよい。この場合において、振動制御情報が示す振動強度がゼロである場合には、駆動制御部241は、振動部202の駆動を停止してよい。
【0105】
そのうえで、本適用例においては、例えば現座標psを原点とする単位円における座標移動方向の角度θに応じて振動強度が変更されるようにしてよい。例えば、振動制御部132は、座標移動方向が離間方向である場合には、角度θが90°に近づくほどペン型入力デバイス200の振動強度が大きくなるように制御し、座標移動方向が接近方向である場合には、角度θが270°に近づくほどペン型入力デバイス200の振動強度が大きくなるように制御してよい。
さらに、振動制御部132は、基準座標p0から現座標psまでの距離に応じてペン型入力デバイス200の振動強度が変化するように制御してよい。
【0106】
なお、上述の情報処理装置100、ペン型入力デバイス200等としての機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述の情報処理装置100、ペン型入力デバイス200等としての処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置(本実施形態との対応では、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等であって、ペン型入力デバイスによる入力に対応するコンピュータ装置)を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるHDD、SSD等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部または外部に設けられた記録媒体も含まれる。配信サーバの記録媒体に記憶されるプログラムのコードは、端末装置で実行可能な形式のプログラムのコードと異なるものでもよい。すなわち、配信サーバからダウンロードされて端末装置で実行可能な形でインストールができるものであれば、配信サーバで記憶される形式は問わない。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に端末装置で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0107】
100 情報処理装置、101 通信部、102 タッチパネル表示部、103 制御部、104 記憶部、105 座標検出部、121 表示部、122 タッチパネル、131 アプリケーション対応処理部、132 振動制御部、200 ペン型入力デバイス、201 通信部、202 振動部、204 制御部、205 記憶部、241 駆動制御部、251 振動波形データ記憶部
【要約】
【課題】ペン型入力デバイスの振動を利用してユーザに有用性をもたらすことができるようにする。
【解決手段】ペン型入力デバイスが接触している操作対象面の位置に対応する座標を検出する座標検出部と、前記ペン型入力デバイスが前記操作対象面に接触しながら移動しているときに前記座標検出部により検出される座標の移動軌跡を所定の距離に応じて区分した区間パターンに従って、前記ペン型入力デバイスに行わせる振動のオン・オフが切り替わるように制御する振動制御部とを備えて情報処理システムを構成する。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14