(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】理学療法治療の効率化方法及び理学療法治療の効率化システム
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20240807BHJP
G16H 20/30 20180101ALI20240807BHJP
【FI】
A61N1/36
G16H20/30
(21)【出願番号】P 2023222295
(22)【出願日】2023-12-28
【審査請求日】2023-12-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522377273
【氏名又は名称】奥田 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100080768
【氏名又は名称】村田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100166327
【氏名又は名称】舟瀬 芳孝
(74)【代理人】
【識別番号】100106644
【氏名又は名称】戸塚 清貴
(72)【発明者】
【氏名】奥田 孝夫
【審査官】森田 充功
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-282334(JP,A)
【文献】特開2002-109073(JP,A)
【文献】特表2008-500850(JP,A)
【文献】特表平08-501946(JP,A)
【文献】特表2005-500109(JP,A)
【文献】特開2009-146037(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/36
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
理学療法施設における治療者による患者に対する診察結果に基づき、各種物理療法装置の中から該患者の治療に応じたものとして選択された物理療法装置を、該理学療法施設以外の場所であって該患者に関連する場所に運び、
前記治療者による患者に対する診察結果に基づき、前記選択された物理療法装置を作動させるための治療実現作動情報を、処理装置
により、該患者の治療に応じたもの
として作成し、
前記治療実現作動情報を、該治療実現作動情報を移動可能とする提供手段を用いることにより、前記処理装置から前記理学療法施設以外の場所であって前記患者に関連する場所に運ばれた前記選択された物理療法装置に
入力して、該物理療法装置を該治療実現作動情報に従って作動
させる理学療法治療の効率化方法であって、
前記処理装置により、前記治療実現作動情報に、該治療実現作動情報の作成に伴い、前記患者の識別情報を含ませ、
前記物理療法装置に、該物理療法装置を理学療法施設以外の場所であって前記患者に関連する場所に設置する前に、該患者の識別情報を組込み、
前記物理療法装置が、前記治療実現作動情報中の識別情報と
該物理療法装置に組み込まれた識別情報とが一致する
と判断するときに限り、該治療実現作動情報の該物理療法装置への入力を許容する、
ことを特徴とする理学療法治療の効率化方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記処理装置に、前記患者の治療に応じた物理療法装置の選択情報を含む該患者に関する情報を入力情報として入力し、
前記患者に関する情報を、前記処理装置を利用して外部配送機関に送信することにより、前記患者の治療に応じた物理療法装置の配送を手配する、
ことを特徴とする理学療法治療の効率化方法。
【請求項3】
請求項1において、
前記提供手段として、着脱可能な記憶媒体を用い、
前記治療実現作動情報を前記処理装置から前記物理療法装置に提供することを、前記着脱可能な記憶媒体に該治療実現作動情報を前記処理装置から記憶させ、該着脱可能な記憶媒体を前記物理療法装置まで運んで該物理療法装置に対して入出力可能に関連付けることにより行う、
ことを特徴とする理学療法治療の効率化方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記処理装置を、理学療法施設に設けられる端末装置と、該端末装置に対してネットワークを介して通信可能とされる管理サーバと、を備える構成とし、
前記治療実現作動情報を、前記管理サーバにおいて、前記端末装置からの入力情報に基づき作成し、
前記管理サーバで作成された治療実現作動情報を、該管理サーバで着脱可能な記憶媒体に記憶させた上で、該着脱可能な記憶媒体を該管理サーバから前記物理療法装置に運ぶか、又は、前記管理サーバで作成された治療実現作動情報を前記端末装置に配信して該端末装置に配信された治療実現作動情報を該端末装置において着脱可能な記憶媒体に記憶させ、該着脱可能な記憶媒体を該端末装置から前記物理療法装置に運ぶ、
ことを特徴とする理学療法治療の効率化方法。
【請求項5】
請求項3において、
前記処理装置を、前記理学療法施設に設けられる端末装置により構成し、
前記治療実現作動情報を、前記端末装置において、該端末装置からの入力情報に基づき作成し、
前記端末装置で作成された治療実現作動情報を、該端末装置で着脱可能な記憶媒体に記憶した上で、該着脱可能な記憶媒体を該端末装置から前記物理療法装置に運ぶ、
ことを特徴とする理学療法治療の効率化方法。
【請求項6】
請求項1において、
前記物理療法装置を、ネットワークを経由して前記処理装置に対して通信可能とし、
前記物理療法装置に前記治療実現作動情報を前記処理装置から提供することを、前記ネットワークを利用して、該処理装置から該物理療法装置に該治療実現作動情報を配信することにより行う、
ことを特徴とする理学療法治療の効率化方法。
【請求項7】
請求項6において、
前記処理装置を、理学療法施設に設けられる端末装置と、該端末装置に対して前記ネットワークを介して通信可能とされる管理サーバとにより構成し、
前記治療実現作動情報を、前記管理サーバにおいて、前記端末装置からの入力情報に基づき作成し、
前記管理サーバで作成された治療実現作動情報を、該管理サーバから前記物理療法装置に直接配信するか、又は、該管理サーバから該端末装置を介して前記物理療法装置に配信する、
ことを特徴とする理学療法治療の効率化方法。
【請求項8】
請求項6において、
前記処理装置を、理学療法施設に設けられる端末装置により構成して、前記物理療法装置と該端末装置とを前記ネットワークを介して通信可能とし、
前記治療実現作動情報を、前記端末装置において、該端末装置からの入力情報に基づき作成し、
前記端末装置で作成された治療実現作動情報を、該端末装置から前記物理療法装置に送信する、
ことを特徴とする理学療法治療の効率化方法。
【請求項9】
理学療法施設における治療者による患者に対する診察結果に基づき、処理装置を利用して、該患者の治療に応じた物理療法装置を作動させるための治療実現作動情報を作成し、
前記患者の治療に応じた物理療法装置を、前記理学療法施設以外の場所であって該患者に関連する場所に設置し、
前記治療実現作動情報を、該治療実現作動情報を移動可能とする提供手段を用いることにより、前記処理装置から前記物理療法装置に提供して、該物理療法装置を該治療実現作動情報に従って作動させる理学療法治療の効率化方法であって、
前記理学療法施設の診察予約状況情報を受け入れて該診察予約状況情報を最新の状態に記憶更新する管理サーバを用意すると共に、前記患者が保有する物理療法装置と前記管理サーバとをネットワークを介して通信可能とし、
前記物理療法装置が、前記患者の治療に応じた前記治療実現作動情報に基づき治療の終了又はその治療終了の所定時間前に至ったと判断しときに、該物理療法装置から前記管理サーバに治療終了情報を送信させ、
前記治療終了情報を前記管理サーバが受け入れたときには、該管理サーバに、前記理学療法施設の診察予約状況情報を前記物理療法装置に対して配信させる、
ことを特徴とする理学療法治療の効率化方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項において、
前記物理療法装置を電気的刺激装置とし、
前記治療実現作動情報を、前記電気的刺激装置を作動させる治療波データとする、
ことを特徴とする理学療法治療の効率化方法。
【請求項11】
理学療法施設以外の場所であって該理学療法施設における治療者が診察した患者に関連する場所に設置され、該治療者の診察結果に基づき、各種物理療法装置の中から該患者の治療に応じたものとして選択された物理療法装置と、
前記治療者による患者に対する診察結果に基づき、前記選択された物理療法装置を作動させるための治療実現作動情報を、該患者の治療に応じたものに作成する処理装置と、
前記処理装置により作成された前記治療実現作動情報を、前記該処理装置から前記選択された物理療法装置に提供する提供手段と、
を備え、
前記処理装置が、前記治療実現作動情報を作成するに当たって、該治療実現作動情報に前記患者の識別情報を含ませるように設定され、
前記物理療法装置が、前記処理装置から出力される情報により手配されたものであって、前記患者の識別情報を組み込んだものであり、
前記物理療法装置は、前記治療実現作動情報中の識別情報と前記物理療法装置に組み込まれた識別情報とが一致するときに限り、該患者の治療に応じた治療実現作動情報を受け入れるように設定されている、
ことを特徴とする理学療法治療の効率化システム。
【請求項12】
請求項11において、
前記提供手段が、着脱可能な記憶媒体とされ、
前記着脱可能な記憶媒体は、前記処理装置に対して、該処理装置で作成された前記治療実現作動情報を記憶できるように関連付けられていると共に、前記物理療法装置に対して、前記記憶された治療実現作動情報を出力できるように関連付けられている、
ことを特徴とする理学療法治療の効率化システム。
【請求項13】
請求項11において、
前記物理療法装置と前記処理装置とが、ネットワークを介して通信可能に設定され、
前記処理装置が、前記治療実現作動情報を前記物理療法装置に前記ネットワークを介して配信するように設定されている、
ことを特徴とする理学療法治療の効率化システム。
【請求項14】
理学療法施設以外の場所であって該理学療法施設における治療者が診察した患者に関連する場所に設置され、該治療者の診察結果に基づき、該患者の治療に応じたものとして選択される物理療法装置と、
前記治療者による患者に対する診察結果に基づき、該患者の治療に応じた物理療法装置を作動させるための治療実現作動情報を作成する処理装置と、
前記処理装置により作成された前記治療実現作動情報を、該処理装置から前記物理療法装置に提供する提供手段と、
を備えている理学療法治療の効率化システムであって、
前記理学療法施設の診察予約状況情報を受け入れて該診察予約状況情報を最新の状態に記憶更新する管理サーバが備えられ、
前記物理療法装置と前記管理サーバとが、ネットワークを介して通信可能に設定され、
前記物理療法装置は、前記患者の治療に応じた前記治療実現作動情報に基づき治療の終了又はその治療終了の所定時間前に至ったと判断したときに、治療終了情報を前記管理サーバに送信するように設定され、
前記管理サーバは、前記治療終了情報を受け入れたときには、前記理学療法施設の診察予約状況情報を前記物理療法装置に配信するように設定されている、
ことを特徴とする理学療法治療の効率化システム。
【請求項15】
請求項11において、
前記処理装置が、
前記治療実現作動情報を作成するために用いる複数の編集データを記憶する記憶部と、
前記記憶部から前記編集データを読み出し、調整情報が入力されることを条件に該編集データを調整処理して、前記治療実現作動情報を作成する作動情報作成部と、
前記作動情報作成部が作成した前記治療実現作動情報を外部に出力するための出力部と、
を備えている、
ことを特徴とする理学療法治療の効率化システム。
【請求項16】
請求項15において、
前記処理装置の記憶部が、各種物理療法装置と、該各種物理療法装置を準備して配送
できる外部配送機関との関係情報を記憶するように設定され、
前記処理装置が、前記関係情報中の外部配送機関の
端末装置にネットワークを介して通信可能とされ、
前記処理装置に配送依頼情報作成部が設けられ、
前記配送依頼情報作成部が、前記患者に関する情報として、前記物理療法装置の選択情報と、該物理療法装置の配送先情報とを受け取ることを条件に、前記記憶部が記憶する前記関係情報の中から外部配送機関を抽出すると共に、前記物理療法装置の配送先に該物理療法装置を配送することを依頼する配送依頼情報を作成して、該配送依頼情報を、前記抽出した外部配送機関に送信するように設定されている、
ことを特徴とする理学療法治療の効率化システム。
【請求項17】
請求項2において、
前記処理装置に、各種物理療法装置と、該各種物理療法装置を準備して配送できる外部配送機関との関係情報を記憶させる一方、該処理装置を該関係情報中の外部配送機関の
端末装置にネットワークを介して通信可能とし、
前記処理装置に前記患者の治療に応じた物理療法装置の選択情報を含む該患者に関する情報を入力することを条件に、該患者に関する情報を利用し、該処理装置に、前記関係情報の中から、前記患者の治療に応じた物理療法装置を準備して配送できる外部配送機関を抽出させて、該抽出した外部配送機関の端末装置に対して該物理療法装置の配送依頼情報を送信させる、
ことを特徴とする理学療法治療の効率化方法。
【請求項18】
請求項17において、
前記処理装置を、理学療法施設に設けられる端末装置と、該端末装置に対して
前記ネットワークを介して通信可能とされる管理サーバと、を備える構成とし、
前記管理サーバに、各種物理療法装置と、該各種物理療法装置を準備して配送できる外部配送機関との関係情報を記憶させる一方、該管理サーバを該関係情報中の外部配送機関の端末装置に前記ネットワークを介して通信可能とし、
少なくとも、前記端末装置に前記患者の治療に応じた物理療法装置の選択情報を含む該患者に関する情報を入力することを条件として、前記管理サーバに、前記関係情報中からの外部配送機関の抽出と、前記抽出した外部配送機関の端末装置への該物理療法装置の配送依頼情報の送信と、を行わせる、
ことを特徴とする理学療法治療の効率化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、理学療法治療の効率化方法及びその理学療法治療の効率化方法を使用する理学療法治療の効率化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
理学療法を行うための物理療法装置として、電気的刺激装置が知られている。その電気的刺激装置には、例えば、低周波(例えば1~200HZ)の刺激用電流を供給する低周波式のもの、中周波(例えば2500~6000HZ)の刺激用電流を供給する中周波式のもの(低周波式に対応して高周波式と称することもある)、互いに周波数の相違する中周波同士を干渉させて低周波の刺激用電流を得る干渉低周波式のもの等がある。このうち、干渉低周波式のものは、2組の対をなす一対の電極を用いることから、肘やひざ等の患者の立体的な部分への刺激付与として好適であり、また中周波による患者深部への刺激付与と、干渉低周波による大きな刺激感付与とを得ることができる。このような干渉低周波式の電気的刺激装置は、改良が進み、特許文献1に示すように、干渉低周波による利点を活かしつつ、中周波での刺激感をも十分に感じるものが提案されている。
【0003】
ところで、身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、理学療法施設で理学療法が用いられることがある。その理学療法では、ストレッチや筋力トレーニング、歩行訓練等の運動療法と、その運動療法に併せて、より効率よく身体機能を向上させるために物理療法とが行われる。そのうち、物理療法は、温熱、光線(レーザーなど)、電気(低周波、干渉波など)、マッサージ(ウォーターベッド、メドマー)などの物理療法装置を用いて、痛み緩和、循環改善、むくみ軽減等を図るものであり、その物理療法を用いる場合には、理学療法施設における治療者(医師等)が、先ず患者の状態を見極め、身体機能や基本動作などを評価した上で、その患者に対する治療方針を決める。そしてその治療方針に従い、その患者にとって最適な物理療法装置を選び、その物理療法装置の作動内容については、患者の症状に応じた的確なものが設定される。このため、理学療法施設での治療効果は高く、それを期待して、理学療法施設には、日々、多くの患者が訪れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、理学療法施設に多くの患者が訪れた場合、治療者は、多くの患者を診察、治療しなければならず、これに伴い、一日の診察、治療時間は長くならざるを得ない。
【0006】
他方、患者は、診察を受ける前において、診察を受けるために待合室で自己の順番が来るまで、長い間、待たなければならないばかりか、この後、診察を受けたとしても、その診察時間は短時間で終わる傾向にある。しかも、診察を終えて、その診察に基づく方針に従い理学治療施設内で物理療法を行おうとしても、理学療法施設内のスタッフの数、物理療法装置の数に限りがある一方、その物理療法装置の使用を待つ患者が少なからず存在していることから、各患者は、理学療法施設内で自己の治療順番を待たなければならない。このように、治療者及び患者は、いずれも、理学療法施設での診察、治療に関し、負担を感じている。
【0007】
このような事情の下、本発明者は、次の点に着目している。
(i)物理療法装置の実際の使用状態を見た場合、物理療法装置に対する各患者に応じた治療実現作動情報の設定が専門家(治療者)でなければ難しい一方で、その設定を除く物理療法装置の使い方が比較的容易であり、患者自身でも取り扱うことができる。
(ii)また、近年、物理療法装置は、高度な機能を有するものであっても、簡易で小型化されたものが開発され、その搬送は比較的容易となっている。このため、そのような物理療法装置を用い、その物理療法装置に対する各患者に応じた治療実現作動情報の設定の問題が解決できれば、必ずしも物理療法装置を理学療法施設で使用する必要がない。
【0008】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その第1の目的は、理学療法施設での理学療法治療に伴う、治療者及び患者の双方の負担を軽減できる理学療法治療の効率化方法を提供することにある。第2の目的は、前記理学療法治療の効率化方法を使用する理学療法治療の効率化システムを提供することにある。
【0009】
前記第1の目的を達成するために本発明にあっては、次の(1)~(10)のような構成とされている。
【0010】
(1)理学療法施設における治療者による患者に対する診察結果に基づき、各種物理療法装置の中から該患者の治療に応じたものとして選択された物理療法装置を、該理学療法施設以外の場所であって該患者に関連する場所に運び、
前記治療者による患者に対する診察結果に基づき、前記選択された物理療法装置を作動させるための治療実現作動情報を、処理装置により、該患者の治療に応じたものとして作成し、
前記治療実現作動情報を、該治療実現作動情報を移動可能とする提供手段を用いることにより、前記処理装置から前記理学療法施設以外の場所であって前記患者に関連する場所に運ばれた前記選択された物理療法装置に入力して、該物理療法装置を該治療実現作動情報に従って作動させる理学療法治療の効率化方法であって、
前記処理装置により、前記治療実現作動情報に、該治療実現作動情報の作成に伴い、前記患者の識別情報を含ませ、
前記物理療法装置に、該物理療法装置を理学療法施設以外の場所であって前記患者に関連する場所に設置する前に、該患者の識別情報を組込み、
前記物理療法装置が、前記治療実現作動情報中の識別情報と該物理療法装置に組み込まれた識別情報とが一致すると判断するときに限り、該治療実現作動情報の該物理療法装置への入力を許容する、
ことを特徴とする理学療法治療の効率化方法とした構成とされている。
【0011】
この構成によれば、理学療法施設における治療者による患者に対する診察結果に基づき、処理装置を利用して、患者の治療に応じた物理療法装置を作動させるための治療実現作動情報を作成し、その一方で、患者の治療に応じた物理療法装置を、理学療法施設以外の場所であって該患者に関連する場所に設置し、その物理療法装置に提供手段を利用して前記治療実現作動情報を提供することから、患者は、理学療法施設以外の場所で自己の治療に応じた物理療法装置を作動させて、診察結果に基づく治療方針に従った物理療法治療を受けることができる。このため、新たな指示を治療者から受ける必要がある場合を除き、患者は、基本的に理学療法施設を訪れる必要がなくなり、理学療法施設を訪れる患者数が常に多くなる状態を回避できる。この結果、治療者については、多くの患者を診察、治療しなければならない負担を回避でき、各患者については、的確な物理療法治療を受けることを確保しつつ、理学療法施設内で自己の診察、治療の順番を長い間待たなければならない場面に遭遇することを極力回避できる。
また、前記治療実現作動情報に、該治療実現作動情報の作成に伴い、前記患者の識別情報を含ませ、前記物理療法装置に、該物理療法装置を理学療法施設以外の場所であって該患者に関連する場所に設置する前に、前記患者の識別情報を組込み、前記治療実現作動情報中の識別情報と前記物理療法装置に組み込まれた識別情報とが一致するときに限り、該治療実現作動情報の該物理療法装置への入力を許容する構成とされていることから、治療実現作動情報中の識別情報と物理療法装置に組み込まれた識別情報とが一致するときにのみ、物理療法装置が作動することになり、治療者の管理の下で、患者に応じた治療をその患者に確実に行うことができる。
【0012】
(2)前述の(1)の構成の下で、
前記処理装置に、前記患者の治療に応じた物理療法装置の選択情報を含む該患者に関する情報を入力情報として入力し、
前記患者に関する情報を、前記処理装置を利用して外部配送機関に送信することにより、前記患者の治療に応じた物理療法装置の配送を手配する構成とされている。
【0013】
この構成によれば、治療者の診察結果を反映させた物理療法装置を一定の提供システムの下で患者に迅速且つ的確に提供でき、その物理療法装置によりその患者の治療を的確に行うことができると共に、物理療法装置の配送に関して、理学療法施設、治療者が負う負担を軽減することができる。
【0014】
【0015】
【0016】
(3)前述の(1)の構成の下で、
前記提供手段として、着脱可能な記憶媒体を用い、
前記治療実現作動情報を前記処理装置から前記物理療法装置に提供することを、前記着脱可能な記憶媒体に該治療実現作動情報を前記処理装置から記憶させ、該着脱可能な記憶媒体を前記物理療法装置まで運んで該物理療法装置に対して入出力可能に関連付けることにより行う構成とされている。
【0017】
この構成によれば、広く普及する着脱可能な記憶媒体を治療実現作動情報の提供手段として利用することができ、患者は、ネットワークを利用できる環境になく、特別な知識が無くても、その記憶媒体を、治療者や理学療法施設(運営機関)から直接受け取ったり、それらから郵送等により受け取ったりして、その記憶媒体中の治療実現作動情報を物理療法装置に入力することができる。このため、患者として多くの者が、理学療法施設以外の場所で、診察結果が反映された物理療法装置による治療を受けることができる。
【0018】
(4)前述の(3)の構成の下で、
前記処理装置を、理学療法施設に設けられる端末装置と、該端末装置に対してネットワークを介して通信可能とされる管理サーバと、を備える構成とし、
前記治療実現作動情報を、前記管理サーバにおいて、前記端末装置からの入力情報に基づき作成し、
前記管理サーバで作成された治療実現作動情報を、該管理サーバで着脱可能な記憶媒体に記憶させた上で、該着脱可能な記憶媒体を該管理サーバから前記物理療法装置に運ぶか、又は、前記管理サーバで作成された治療実現作動情報を前記端末装置に配信して該端末装置に配信された治療実現作動情報を該端末装置において着脱可能な記憶媒体に記憶させ、該着脱可能な記憶媒体を該端末装置から前記物理療法装置に運ぶ構成とされている。
【0019】
この構成によれば、理学療法施設における端末装置が入力手段として利用され、管理サーバが治療実現作動情報の作成処理手段として利用されることになり、理学療法施設における端末装置を治療実現作動情報の作成処理能力を有する特別のものにしなくてもよくなるばかりか、複数の端末装置(複数の理学療法施設の端末装置を含む)からの入力情報の入力があっても、単一の管理サーバにより治療実現作動情報をそれぞれ作成することができる。しかも、管理サーバは、端末装置から治療実現作動情報の配信要求があったときには、その治療実現作動情報をその端末装置に配信することもでき、管理サーバ又は端末装置において随意に、治療実現作動情報を着脱可能な記憶媒体に記憶させることができる。このため、着脱可能な記憶媒体の送り出し元の自由度を高めることができる。
【0020】
(5)前述の(3)の構成の下で、
前記処理装置を、前記理学療法施設に設けられる端末装置により構成し、
前記治療実現作動情報を、前記端末装置において、該端末装置からの入力情報に基づき作成し、
前記端末装置で作成された治療実現作動情報を、該端末装置で着脱可能な記憶媒体に記憶した上で、該着脱可能な記憶媒体を該端末装置から前記物理療法装置に運ぶ構成とされている。
【0021】
この構成によれば、理学療法施設の端末装置で治療実現作動情報が作成されることから、理学療法施設の管理の下で、治療実現作動情報を記憶する記憶媒体を、理学療法施設での直接の手渡し又は理学療法施設からの郵送等により、患者の自宅等の物理療法装置にまで運ぶことができる。このため、治療実現作動情報に基づき物理療法装置を確実に作動させることができる。
【0022】
(6)前述の(1)の構成の下で、
前記物理療法装置を、ネットワークを経由して前記処理装置に対して通信可能とし、
前記物理療法装置に前記治療実現作動情報を前記処理装置から提供することを、前記ネットワークを利用して、該処理装置から該物理療法装置に該治療実現作動情報を配信することにより行う構成とされている。
【0023】
この構成によれば、ネットワークの利用環境があるだけで、物理療法装置に治療実現作動情報を入力することができることになり、物理療法装置の使用に際しての利便性を著しく高めることができる。
【0024】
(7)前述の(6)の構成の下で、
前記処理装置を、理学療法施設に設けられる端末装置と、該端末装置に対して前記ネットワークを介して通信可能とされる管理サーバとにより構成し、
前記治療実現作動情報を、前記管理サーバにおいて、前記端末装置からの入力情報に基づき作成し、
前記管理サーバで作成された治療実現作動情報を、該管理サーバから前記物理療法装置に直接配信するか、又は、該管理サーバから該端末装置を介して前記物理療法装置に配信する構成とされている。
【0025】
この構成によれば、理学療法施設における端末装置が入力手段として利用され、管理サーバが治療実現作動情報の作成処理手段として利用されることになり、理学療法施設における端末装置を治療実現作動情報の作成処理能力を有する特別のものにしなくてもよくなるばかりか、複数の端末装置(理学療法施設の複数の端末装置を含む)からの入力があっても、単一の管理サーバにより治療実現作動情報をそれぞれ作成することができる。しかも、治療実現作動情報については、管理サーバから直接または間接的に物理療法装置に配信できることになり、物理療法装置の使用に際しての利便性を具体的に著しく高めることができる。
【0026】
(8)前述の(6)の構成の下で、
前記処理装置を、理学療法施設に設けられる端末装置により構成して、前記物理療法装置と該端末装置とを前記ネットワークを介して通信可能とし、
前記治療実現作動情報を、前記端末装置において、該端末装置からの入力情報に基づき作成し、
前記端末装置で作成された治療実現作動情報を、該端末装置から前記物理療法装置に送信する構成とされている。
【0027】
この構成によれば、理学療法施設における端末装置において、入力操作、治療実現作動情報の作成処理、物理療法装置への治療実現作動情報の送信処理を完結させ、外部に依存することを極力少なくできる。このため、治療実現作動情報の作成、取扱いに関して誤作業の抑制効果を高めることができると共に、治療実現作動情報(治療内容)に関して秘密性の確保を図ることができる。
【0028】
(9)理学療法施設における治療者による患者に対する診察結果に基づき、処理装置を利用して、該患者の治療に応じた物理療法装置を作動させるための治療実現作動情報を作成し、
前記患者の治療に応じた物理療法装置を、前記理学療法施設以外の場所であって該患者に関連する場所に設置し、
前記治療実現作動情報を、該治療実現作動情報を移動可能とする提供手段を用いることにより、前記処理装置から前記物理療法装置に提供して、該物理療法装置を該治療実現作動情報に従って作動させる理学療法治療の効率化方法であって、
前記理学療法施設の診察予約状況情報を受け入れて該診察予約状況情報を最新の状態に記憶更新する管理サーバを用意すると共に、前記患者が保有する物理療法装置と前記管理サーバとをネットワークを介して通信可能とし、
前記物理療法装置が、前記患者の治療に応じた前記治療実現作動情報に基づき治療の終了又はその治療終了の所定時間前に至ったと判断しときに、該物理療法装置から前記管理サーバに治療終了情報を送信させ、
前記治療終了情報を前記管理サーバが受け入れたときには、該管理サーバに、前記理学療法施設の診察予約状況情報を前記物理療法装置に対して配信させる構成とされている。
【0029】
この構成によれば、治療方針に基づき、物理療法装置による治療が終了又は終了間近になったときには、物理療法装置が診察予約状況情報を受け取って、次回の診察の予約を円滑且つ簡単に行うことができる。
【0030】
(10)前述の(1)~(9)のいずれかの構成の下で、
前記物理療法装置を電気的刺激装置とし、
前記治療実現作動情報を、前記電気的刺激装置を作動させるための治療波データとする構成とされている。
【0031】
この構成によれは、物理療法装置が電気的刺激装置であり、治療実現作動情報が治療波データであっても、前記(1)の作用効果等と同様の作用効果を生じさせることができる。
【0032】
前記第2の目的を達成するために本発明にあっては、次の(11)~(16)のような構成とされている。
【0033】
(11)理学療法施設以外の場所であって該理学療法施設における治療者が診察した患者に関連する場所に設置され、該治療者の診察結果に基づき、各種物理療法装置の中から該患者の治療に応じたものとして選択された物理療法装置と、
前記治療者による患者に対する診察結果に基づき、前記選択された物理療法装置を作動させるための治療実現作動情報を、該患者の治療に応じたものに作成する処理装置と、
前記処理装置により作成された前記治療実現作動情報を、前記該処理装置から前記選択された物理療法装置に提供する提供手段と、
を備え、
前記処理装置が、前記治療実現作動情報を作成するに当たって、該治療実現作動情報に前記患者の識別情報を含ませるように設定され、
前記物理療法装置が、前記処理装置から出力される情報により手配されたものであって、前記患者の識別情報を組み込んだものであり、
前記物理療法装置は、前記治療実現作動情報中の識別情報と前記物理療法装置に組み込まれた識別情報とが一致するときに限り、該患者の治療に応じた治療実現作動情報を受け入れるように設定されている、
ことを特徴とする理学療法治療の効率化システムとした構成としてある。
【0034】
この構成によれば、前記(1)に係る方法を使用する理学療法治療の効率化システムを提供できる。
【0035】
【0036】
【0037】
(12)前述の(11)の構成の下で、
前記提供手段が、着脱可能な記憶媒体とされ、
前記着脱可能な記憶媒体は、前記処理装置に対して、該処理装置で作成された前記治療実現作動情報を記憶できるように関連付けられていると共に、前記物理療法装置に対して、前記記憶された治療実現作動情報を出力できるように関連付けられている構成とされている。
【0038】
この構成によれば、前記(3)に係る方法を使用する理学療法治療の効率化システムを提供できる。
【0039】
(13)前述の(11)の構成の下で、
前記物理療法装置と前記処理装置とが、ネットワークを介して通信可能に設定され、
前記処理装置が、前記治療実現作動情報を前記物理療法装置に前記ネットワークを介して配信するように設定されている構成とされている。
【0040】
この構成によれば、前記(6)に係る方法を使用する理学療法治療の効率化システムを提供できる。
【0041】
(14)理学療法施設以外の場所であって該理学療法施設における治療者が診察した患者に関連する場所に設置され、該治療者の診察結果に基づき、該患者の治療に応じたものとして選択される物理療法装置と、
前記治療者による患者に対する診察結果に基づき、該患者の治療に応じた物理療法装置を作動させるための治療実現作動情報を作成する処理装置と、
前記処理装置により作成された前記治療実現作動情報を、該処理装置から前記物理療法装置に提供する提供手段と、
を備えている理学療法治療の効率化システムであって、
前記理学療法施設の診察予約状況情報を受け入れて該診察予約状況情報を最新の状態に記憶更新する管理サーバが備えられ、
前記物理療法装置と前記管理サーバとが、ネットワークを介して通信可能に設定され、
前記物理療法装置は、前記患者の治療に応じた前記治療実現作動情報に基づき治療の終了又はその治療終了の所定時間前に至ったと判断したときに、治療終了情報を前記管理サーバに送信するように設定され、
前記管理サーバは、前記治療終了情報を受け入れたときには、前記理学療法施設の診察予約状況情報を前記物理療法装置に配信するように設定されている構成とされている。
【0042】
この構成によれば、前記(9)に係る方法を使用する理学療法治療の効率化システムを提供できる。
【0043】
【0044】
(15)前述の(11)の構成の下で、
前記処理装置が、
前記治療実現作動情報を作成するために用いる複数の編集データを記憶する記憶部と、
前記記憶部から前記編集データを読み出し、調整情報が入力されることを条件に該編集データを調整処理して、前記治療実現作動情報を作成する作動情報作成部と、
前記作動情報作成部が作成した前記治療実現作動情報を外部に出力するための出力部と、
を備えている構成とされている。
【0045】
この構成によれば、編集データを利用して、患者の治療に応じた物理療法装置の治療実現作動情報を迅速に作成することができ、治療実現作動情報の作成負担を軽減できると共に、その治療実現作動情報を物理療法装置(患者)に迅速に提供できる。
【0046】
(16)前述の(15)の構成の下で、
前記処理装置の記憶部が、各種物理療法装置と、該各種物理療法装置を準備して配送できる外部配送機関との関係情報を記憶するように設定され、
前記処理装置が、前記関係情報中の外部配送機関の端末装置にネットワークを介して通信可能とされ、
前記処理装置に配送依頼情報作成部が設けられ、
前記配送依頼情報作成部が、前記患者に関する情報として、前記物理療法装置の選択情報と、該物理療法装置の配送先情報とを受け取ることを条件に、前記記憶部が記憶する前記関係情報の中から外部配送機関を抽出すると共に、前記物理療法装置の配送先に該物理療法装置を配送することを依頼する配送依頼情報を作成して、該配送依頼情報を、前記抽出した外部配送機関に送信するように設定されている構成とされている。
【0047】
この構成によれば、治療者の管理の下で、外部配送機関を利用して、患者の治療に応じた物理療法装置を的確に該患者(自宅又は居所等)に届けることができる。
【0048】
また、前記第1の目的を達成するために本発明にあっては、次の(17)(18)のような構成とされている。
(17)前述の(2)の構成の下で、
前記処理装置に、各種物理療法装置と、該各種物理療法装置を準備して配送できる外部配送機関との関係情報を記憶させる一方、該処理装置を該関係情報中の外部配送機関の端末装置にネットワークを介して通信可能とし、
前記処理装置に前記患者の治療に応じた物理療法装置の選択情報を含む該患者に関する情報を入力することを条件に、該患者に関する情報を利用し、該処理装置に、前記関係情報の中から、前記患者の治療に応じた物理療法装置を準備して配送できる外部配送機関を抽出させて、該抽出した外部配送機関の端末装置に対して該物理療法装置の配送依頼情報を送信させる構成とされている。
【0049】
(18)前述の(17)の構成の下で、
前記処理装置を、理学療法施設に設けられる端末装置と、該端末装置に対して前記ネットワークを介して通信可能とされる管理サーバと、を備える構成とし、
前記管理サーバに、各種物理療法装置と、該各種物理療法装置を準備して配送できる外部配送機関との関係情報を記憶させる一方、該管理サーバを該関係情報中の外部配送機関の端末装置に前記ネットワークを介して通信可能とし、
少なくとも、前記端末装置に前記患者の治療に応じた物理療法装置の選択情報を含む該患者に関する情報を入力することを条件として、前記管理サーバに、前記関係情報中からの外部配送機関の抽出と、前記抽出した外部配送機関の端末装置への該物理療法装置の配送依頼情報の送信と、を行わせる構成とされている。
【発明の効果】
【0050】
本発明によれば、理学療法施設で理学療法治療を行うに際して、治療者及び患者の双方が受ける負担を軽減できる理学療法治療の効率化方法、その理学療法治療の効率化方法に使用される理学療法治療の効率化システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】第1実施形態に係る理学療法治療の効率化方法及び理学療法治療の効率化システムを概念的に説明する説明図。
【
図2】第1実施形態に係る理学療法治療の効率化システムを示す全体説明図。
【
図3】第1実施形態に係る理学療法治療の効率化システムを示す全体構成図。
【
図4】第1実施形態に係る管理サーバの主要構成を説明する説明図。
【
図5】第1実施形態に係る理学療法治療の端末装置の主要構成を説明する説明図。
【
図6】第1実施形態に係る電気的刺激装置(制御装置)の演算制御部を説明する説明図。
【
図7】第1実施形態に係る電気的刺激装置の一例の構成を説明する説明図。
【
図8】第1実施形態に係る理学療法治療の効率化システムの全体的な動きを説明する説明図。
【
図9】第1実施形態に係る物理療法装置の制御例を示すフローチャート。
【
図11】第2実施形態に係る管理サーバを説明する説明図。
【
図12】第2実施形態に係る管理サーバの制御例を示すフローチャート。
【
図13】第3実施形態に係る理学療法治療の端末装置を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0053】
[理学療法治療の効率化方法及び理学療法治療の効率化システムの概要]
本発明に係る理学療法治療の効率化方法及びそれを使用する理学療法治療の効率化システムの構築においては、近年の物理療法装置が、高度な機能を有しながらも簡易で小型化されていること、その物理療法装置の取扱いに関して、治療に応じた的確な作動設定が難しいものの、それを除けば、その操作自体が比較的容易であることに着目されている。これらのことが、本発明に係る理学療法治療の効率化方法及びそれを使用する理学療法治療の効率化システムの構成において考慮され、その理学療法治療の効率化方法及び理学療法治療の効率化システムを用いることにより理学療法施設の治療の効率化等が図られている。
【0054】
図1は、理学療法治療の効率化方法等を概念的に説明する説明図である。理学療法施設では、治療者(医師等)が、その理学療法施設を訪れる患者を診察し、その診察結果に基づき、治療者は、物理療法治療を行うか否かを判断し、物理療法治療を行うべきと判断したときには、その患者の治療に応じた物理療法装置を選択すると共に、その物理療法装置を患者の治療に応じた状態で作動させるための治療実現作動情報(制御情報)を、処理装置(端末装置等)2を用いて作成する。その一方で、選択された物理療法装置3については、処理装置2を通じた配送システム等を利用することにより、患者の自宅又は居所等(以下、自宅等という)、理学療法施設以外の場所であってその患者に関連する場所に設置されるように手配され、選択された物理療法装置3を作動させるための治療実現作動情報については、着脱可能な記憶媒体、ネットワーク(通信ネットワーク)等の提供手段4を利用することにより、処理装置2から、患者が保有する物理療法装置3に提供される。これにより、患者は、理学療法施設以外の場所で、診察結果に基づく治療方針等に従いつつ、物理療法装置3を用いて物理療法治療を受けることができ、新たな指示を治療者から受ける必要がある場合を除き、患者は、基本的に理学療法施設を訪れる必要がなくなる。この結果、理学療法施設を訪れる患者数が常に多くなる状態を回避でき、治療者及び患者の双方が受ける負担を軽減できる。
【0055】
[理学療法治療の効率化システム]
以下、本発明の理学療法治療の効率化方法を使用する理学療法治療の効率化システム1を、物理療法装置3の一つである電気的刺激装置(以下、符号3を用いる)を用いて具体的に説明し、その中で、理学療法治療の効率化方法を説明する。
【0056】
理学療法治療の効率化システム1は、基本的構成として、
図2,
図3に示すように、理学療法施設の治療者が入力操作する処理装置2と、患者の自宅等に設置される物理療法装置としての電気的刺激装置3と、その電気的刺激装置3に治療実現作動情報としての治療波データを提供する提供手段4と、を備える。
【0057】
[処理装置2]
前記処理装置2は、本実施形態(第1実施形態)においては、
図2、
図3に示すように、理学療養施設に設けられる端末装置2Aと、その端末装置2Aに対してインターネット等のネットワーク5を介して通信可能となる管理サーバ2Bとを備える構成とされている。その端末装置2A及び管理サーバ2Bには、電気的刺激装置3及びその配送等を担う配送会社の端末装置6A1,6A2・・・(総括符号として6Aを用いる。)が上記ネットワーク5を利用して通信可能とされている。
【0058】
[管理サーバ2B]
前記処理装置2の構成要素である管理サーバ2Bは、主として、電気的刺激装置3を作動させる治療波データ(治療実現作動情報)を作成するための編集ベースとなる複数の編集データ(編集データ群)を保有し、そのうち、理学療法施設の端末装置2Aからの配信要求に応じたものを配信する役割を担うと共に、治療者が選択した電気的刺激装置3を外部配送機関としての配送会社に対して配送依頼する役割を担う。理学療法施設以外の場所で、診察に基づく治療方針等に沿う治療を、電気的刺激装置3を用いて可能にするためである。
【0059】
上記管理サーバ2Bには、単一のサーバ又はクラウドサーバのいずれかを用いることができる。その管理サーバ2Bについては、少なくとも外部から入力される治療波データに従って作動する所定規格を満たす電気的刺激装置(物理療法装置)3を製造販売する製造販売メーカーにより運営されることが好ましい。その所定規格を満たす豊富な電気的刺激装置3を作動させるための治療波データ(編集データ)を豊富に所有し、後述するように、それらを配信可能にできるからである。勿論、管理サーバ2Bの機能を発揮させることができる限り、理学療法施設の運営機関、その他の運営機関が管理サーバ2Bの運営を行ってもよい。
【0060】
前記管理サーバ2Bには、
図3に示すように、理学療法施設の端末装置2A等との間で通信を行う通信部2Baと、端末装置2Aから通信部2Ba等を介して受信された各種情報を記憶すると共に予め準備された記憶情報を記憶する記憶部2Bbと、端末装置2Aから受けた要求を実行する演算制御部2Bcと、着脱可能な記憶媒体を入出力可能に関連付けることができる入出力部2Bfとが備えられている。
【0061】
記憶部2Bbは、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶素子をもって構成されている。その記憶部2Bbには、
図4に示すように、必要な情報を保存するために、患者情報保存部2Bb1、配送会社情報保存部2Bb2、編集データ保存部2Bb3、診察予約状況情報保存部2Bb4が設けられ、必要なプログラムを格納するためにプログラム保存部2Bb5等が設けられている。
【0062】
患者情報保存部2Bb1には、端末装置2Aから送信されてくる後述の患者IDに紐づけられた患者に関する情報(患者の住所、氏名、治療者が選択した使用予定の電気的刺激装置3の選択情報、必要である場合(患者への提供委託を受けた場合)には、その電気的刺激装置3を作動させるための治療波データであって患者の治療に応じたもの等)が、順次或いは一括して記憶される。
【0063】
配送会社情報保存部2Bb2には、前記所定規格を満たす各種電気的刺激装置3(低周波治療器、中周波治療器、干渉電流型低周波治療器等)と、その各種電気的刺激装置3を準備、配送できる配送会社との関係情報が保存されている。この配送会社としては、所定規格を満たす電気的刺激装置3を製造販売する製造販売メーカーとすることが好ましい。選択される電気的刺激装置3を迅速且つ確実に配送できるからである。勿論、所定規格を満たす各種電気的刺激装置3を準備、配送できる限り、配送会社として、特に制限を受けない。
【0064】
編集データ保存部2Bb3には、治療波データ(各種電気的刺激装置3の作動を制御するための制御情報)を作成するための複数種類の編集データが保存されている。治療者が選択した(患者に応じた)電気的刺激装置3に応じた治療波データであって、患者の治療に適したものを迅速且つ容易に作成できるようにするためである。この編集データには、正弦波、矩形波等の標準治療波データ、予め生成されている波形パターンデータ等が含まれるだけでなく、治療者が過去に作成した(用いた)独自の治療波の治療波データが含まれる。過去の治療波データを有効に利用するためである。勿論、編集データには、周波数、周期、作動時間等も組込まれており、それらを適宜、編集調整することができる。
【0065】
診察予約状況保存部2Bb4は、理学療法施設(治療者)における診察予約状況情報であって、選択により診察予約希望情報を管理サーバ2Bに送信できる診察予約受付け許容情報(診察空き時間帯を示すもの)を含むものを保存しており、その情報は、常に最新のものに更新されることになっている。この場合、管理サーバ2Bを電気的刺激装置3(物理療法装置3)の製造販売メーカーが運営しているときには、その製造販売メーカーの運営機関は、理学療法施設(理学療法施設の管理サーバ又は端末装置2A)から最新の診察予約状況情報を取り込み、それを診察予約状況保存部2Bb4の診察予約状況情報に反映させることになる。しかも、管理サーバ2Bが受け入れた診察予約希望情報については、理学療法施設での診察予約の受付けが完了した状況を反映させた最新の診察予約状況情報に変更してもらうべく、理学療法施設(理学療法施設の管理サーバ又は端末装置2A)に配信する。
勿論、理学療法施設が管理サーバ2Bを管理運営している場合には、その管理サーバ2Bは、理学療法施設(治療者)の診察予約状況情報を直接、電気的刺激装置3に配信し、また、電気的刺激装置3からの診察予約希望情報については、直接受け入れて診察予約状況情報を更新し、最新の診察予約状況情報を電気的刺激装置3に配信することになる。
【0066】
プログラム保存部2Bb5には、必要なプログラムを記憶するべく、基本プログラムの他に、演算制御部2Bcが各種処理を行うものが格納されている。
【0067】
前記演算制御部2Bcは、CPU(Central Processing Unit)をもって構成されていて、記憶部2Bbから読み出されたプログラムに基づき、
図4に示すように、編集データ保存部内情報作成部2Bc1、編集データ抽出部2Bc2、配送依頼情報作成部2Bc3、診察予約状況引出部2Bc4等として機能する。
【0068】
編集データ保存部内情報作成部2Bc1は、端末装置2Aからの編集データ保存部2Bb3内における編集データの一覧情報の配信要求に対して、その最新の編集データの一覧情報を作成して、それを、端末装置2Aに配信すべく通信部2Baに送る機能を発揮する。この編集データの一覧情報は、端末装置2Aにおいて、編集データの一覧表(リスト表)として表示されるものであり、その一覧表中での一つ又は複数の選択は、端末装置2Aから管理サーバ2Bに対する特定の編集データの配信要求とされ、その配信要求は管理サーバ2Bに送信される。
【0069】
編集データ抽出部2Bc2は、前記端末装置2Aからの特定の編集データの配信要求に対して、その特定の編集データを編集データ保存部2Bb3から抽出し、それを、端末装置2Aに配信すべく通信部2Baに送る機能を発揮する。
【0070】
配送依頼情報作成部2Bc3は、患者IDと、電気的刺激装置3の配送依頼とを端末装置2Aから受け取ったときに、その患者IDに紐づけられた電気的刺激装置3と、患者に関する情報と、その電気的刺激装置3を配送できる配送会社とを記憶部2Bbから抽出する。そして、その電気的刺激装置3を当該患者の自宅等に配送依頼する配送依頼情報を作成し、それを、抽出された配送会社の端末装置6Aに配信すべく通信部2Baに送る機能を発揮する。これにより、配送会社は、電気的刺激装置3の配送依頼を受けて、その依頼を受けた電気的刺激装置3を、配送先である患者の自宅等に配送する。このとき、配送会社は、配送に先立ち、患者の患者IDを物理療法装置3に設定情報として組み込む。
【0071】
診察予約状況情報引出部2Bc4は、電気的刺激装置3からの治療終了情報を受け取ったとき、理学療法施設の最新の診察予約状況情報であって、選択により診察予約希望情報を管理サーバ2Bに送信できる診察予約受付け許容情報(例えば診察空き日時を示すもの)を含むものを記憶部2B(診察予約状況情報保存部2Bb4)から引き出して、それを、電気的刺激装置3に配信するべく通信部2Baに送る機能を発揮する。
【0072】
[理学療法施設の端末装置2A]
前記理学療法施設の端末装置2Aは、治療者が診察した患者に関する情報を入力に基づき記録する役割を基本的に担う。さらに、端末装置2Aは、治療者が診察した患者(自宅等)に対して、その診察結果に基づいて選択された電気的刺激装置3を手配する役割と、その電気的刺激装置3を作動させるための治療波データ(治療実現作動情報)であって患者の治療に応じたものを作成する役割を担う。治療者が選択した電気的刺激装置3、治療者が作成した治療波データを用いることができなければ、患者が治療方針等に沿う治療を的確に受けることができないからである。
【0073】
このような端末装置2Aには、タブレット端末、パーソナルコンピュータ(PC)等の通信可能な端末装置2Aを用いることができる。その端末装置2Aには、
図3に示すように、管理サーバ2B、電気的刺激装置3等と通信する通信部2Aaと、記憶部2Abと、演算制御部2Acと、管理サーバ2Bからの配信情報を表示する表示部2Adと、要求操作を入力する操作入力部(キーボード、マウス)2Aeと、着脱可能な記憶媒体、種々の治療波データを出力できる既存の治療波作成装置等に対して入出力可能に関連付けることができる入出力部2Afと、が備えられている。
【0074】
端末装置2Aの操作入力部2Aeからは、患者に関する情報を記録するに際して、治療者の入力操作により、患者の状況、患者の住所、氏名、患者の識別情報としてのID、患者の治療に応じた電気的刺激装置3の選択情報等が入力され、治療波データを作成するに際しては、後述の編集データに対する編集を行うための編集操作情報等が入力される。
【0075】
端末装置2Aの記憶部2Abも、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶素子をもって構成されている。その記憶部2Abには、
図5に示すように、必要な情報を保存するために、患者情報保存部2Ab1、治療波データ保存部2Ab2等が設けられていると共に、必要なプログラムを格納するためにプログラム保存部2Ab3等が設けられている。
【0076】
患者情報保存部2Ab1は、前述の操作入力部2Aeから入力された患者に関する情報(治療者が診察した患者の住所、氏名、患者ID、その診察結果に基づいて治療者が選択した患者の治療に応じた物理療法装置3の選択情報等)を保存する個所であり、その保存に際しては、その各患者に関する情報は、各患者IDに紐づけられた状態にされる。
【0077】
治療波データ保存部2Ab2は、治療者によって作成された治療波データ(外部の治療波作成装置から取り込んだ治療波データを含む)を保存する個所であり、この保存する治療波データには、後述するように、管理サーバ2Bに対する配信要求によって配信された編集データを編集することにより作成されるもの、外部の治療波作成装置(
図2参照)から取り込んだものが含まれる。この場合、外部の治療波作成装置から取り込んだ治療波データについても、治療者が関与して治療波データを取り込む限り、治療者が端末装置2A(処理装置2)で作成した治療波データに含まれる。
【0078】
プログラム保存部2Ab3には、端末装置2Aを作動させるために必要な基本的なプログラムの他に、プログラムとして、治療波作成ツールが格納されており(
図2参照)、その治療波作成ツールの下で、管理サーバ2Bからの配信情報(編集データ)を表示部2Adに表示させるための表示プログラム、操作入力部2Aeによる変更操作(ドラッグ操作、キーボード入力操作等)により表示を変更する表示変更プログラム、表示部2Adでの表示をデジタルデータに変換する変換プログラム、そのデジタルデータを保存させる保存プログラム等が備えられることになっている。
【0079】
端末装置2Aの演算制御部2Acは、記憶部2Abからプログラムを読み出し、その読み出されたプログラムに基づき、
図5に示すように、患者情報調整部2Ac1、表示処理部2Ac2、変更処理部2Ac3、変換処理部2Ac4、保存処理部2Ac5等として機能する。
【0080】
患者情報調整部2Ac1は、治療者におる指示(入力操作)を条件に、記憶部2Ab(患者情報保存部2Ab1)から患者IDに基づき患者に関する情報を引き出し、その患者に関する情報のうち電気的刺激装置3の配送に必要な情報を、管理サーバ2Bに送信すべく通信部2Abに送る機能を発揮する。この管理サーバ2Bへの患者に関する情報の送信は、その情報に基づき電気的刺激装置3の配送準備が開始されることになることから、診察結果に基づいて選択された電気的刺激装置3を患者のために手配する契機となる。
【0081】
表示処理部2Ac2は、管理サーバ2Bからの配信情報を表示部2Adに表示する機能を発揮する。これにより、管理サーバ2Bからの配信情報のうち、端末装置2Aからの配信要求に基づき配信される編集データ(正弦波、矩形波等の標準治療波データ、予め生成されている波形パターンデータ、過去に作成した治療波の治療波データ等)は、アナログ信号をなす波形の編集用治療波(グラフィックス)として表示部2Adに表示される。
【0082】
変更処理部2Ac3は、表示部2Adに表示されるアナログ信号をなす様々な波形の編集用治療波(グラフィックス)に対する編集操作(入力操作)に基づき、編集用治療波を変更(編集調整)する機能を発揮する。これにより、表示部2Adに表示される編集用治療波が変更されて、所望の治療波が作成される。この所望の治療波を形成するに当たっては、例えば、複数の異なる編集用治療波を連結する編集調整、複数の異なる編集治療波を重畳(合成)する編集調整、編集治療波の既存の波形をそのまま利用する編集調整等、種々の編集調整が行われる。この各編集調整に際しては、各編集用治療波の周期、作動時間、繰り返し回数等についても、入力操作により変更調整が行われる。
【0083】
変換処理部2Ac4は、デジタルデータへの変換指示(入力操作)を条件として、表示部2Acdに表示される上記治療波(アナログ信号)をデジタルデータ(治療波データ)に変換する機能を発揮する。例えば、治療波(アナログ信号)を所定のサンプリングレートの下でサンプリングしてその治療波の電圧値が取り出される(パルス符号変調(PCM))。
【0084】
保存処理部2Ac5は、保存個所とその保存個所への保存を指示(入力操作)することを条件に治療波データ(デジタルデータ)をその保存個所に記憶させる機能を発揮する。具体的には、治療波データは、保存処理部2Ac5により、前述の治療波データ保存部2Ab2、さらには、例えば着脱可能な記憶媒体が入出力部2Afに関連付けられているときには、その着脱可能な記憶媒体15に保存されることになる。この場合、保存に際し、保存情報の形式については生データの形式もあれば圧縮や暗号化などの利便性や秘匿性を扱った符号データなど多様な形式が選択可能である。
また、外部の治療波作成装置から端末装置2Aに治療波データを取り込む場合には、その治療波データは、入出力部2Afを経て、治療波データ保存部2Ab2に保存される。
【0085】
[電気的刺激装置(物理療法装置)3]
電気的刺激装置3は、治療者の診察を受けた患者の自宅等に設置して、その患者に対して、診察結果に基づく治療方針等に沿う治療を理学療法施設以外の場所で受けさせる役割を担う。このため、この電気的刺激装置3は、前述の通り、治療者によって患者の治療に応じたものが選択されて、治療者(理学療法施設の運営機関)の管理下(理学療法施設の運営機関が患者、配送会社等との間で行うレンタル契約等の下)、配送会社により理学療養施設以外の場所である患者の自宅等に配送される。
【0086】
電気的刺激装置3としては、低周波治療器(例えば1~200HZの刺激用電流を供給するもの)、中周波治療器(例えば2500~6000HZの刺激用電流を供給するもの)、干渉電流型低周波治療器(干渉低周波の刺激用電流を供給するもの)、干渉低周波の刺激用電流と中周波の刺激用電流とを交互に繰り返す治療器等、種々のものが存在し、その各種電気的刺激装置3の中から、患者の治療に応じた一又は複数の電気的刺激装置3が治療者により選択される。各種電気的刺激装置3は、その各種電気的刺激装置3に応じた治療波データ(治療実現作動情報)を入力することによりその入力内容が反映された作動となり、その作動内容は、治療者が患者のために作成した治療波データを入力することにより、さらに、患者の独自の治療に応じた作動となる。このため、各種電気的刺激装置3には、
図3に示すように、物理的手段を利用して患者に直接治療を施す本来の治療器本体3Aに加えて、その治療器本体3Aの作動を、治療波データが反映された作動とすべく、制御装置3Bが備えられている。
【0087】
前記制御装置3Bは、
図3に示すように、前記端末装置2A及び前記管理サーバ2Bと通信する通信部3Baと、記憶部3Bbと、演算制御部3Bcと、前記端末装置2A及び前記管理サーバ2Bからの配信情報を表示する表示部3Bdと、要求操作を入力する操作入力部(キーボード、マウス)3Beと、着脱可能な記憶媒体を入出力可能に関連付けることができる入出力部3Bfと、が備えられている。
【0088】
前記記憶部3Bbも、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶素子をもって構成され、その記憶部3Bbには、必要な設定情報として、患者の患者IDが記憶されている。この患者の患者IDについては、前述したように、配送会社が配送依頼を受けると、その配送会社により、記憶部3Bbに設定情報として記憶させられる。また、必要なプログラムとしては、基本プログラムの他に、演算制御部3Bcでの各種処理を行うものが格納されている。
【0089】
前記演算制御部3Bcも、CPU(Central Processing Unit)をもって構成されている。その演算制御部3Bcには、電源スイッチ3BgからのON,OFF信号、作動開始停止スイッチ3BhからのON,OFF信号が入力される状況にあり、その状況の下で、演算制御部3Bcは、記憶部3Bbから読み出されたプログラムに基づき、
図6に示すように、照合部3Bc1、情報取り込み部3Bc2、治療終了情報作成部3Bc3、表示処理部3Bc4等として機能する。
【0090】
照合部3Bc1は、電源スイッチ3BgからON信号が入力されている状態の下で、入出力部3Bf又は通信部3Baから外部入力情報として治療実現作動情報としての治療波データが入力されてきたとき、その治療波データに、記憶部3Bbに保存される設定情報としての患者IDと同じIDが含まれているか否かを照合する。そして、治療波データが患者IDを含んでいないとき又は治療波データの患者IDと電気的刺激装置3(制御装置3B)の患者IDとが一致しないと判断したときには、その治療波データを記憶部3Bbに記憶させず、治療波データの患者IDと電気的刺激装置3の患者IDとが一致すると判断したときには、その治療波データを記憶部3Bbに記憶させる機能を発揮する。
【0091】
情報取り込み部3Bc2は、電源スイッチ3Bgだけでなく作動開始停止スイッチ3BhからもON信号が入力されたとき、記憶部3Bbに保存されている治療波データを取り出して、その治療波データを、その治療波データに従って治療器本体3Aを作動させるべく、治療器本体3に出力させる機能を発揮する。このとき、記憶部3Bbに記憶された治療波データを取り出すに当たって、治療波データが符号データであるときには、この段階で、治療波データの復号が行われる。
【0092】
治療終了情報作成部3Bc3は、電気的刺激装置3の作動時間(治療全体を通じての作動時間)が終了又は終了所定時間前(治療終了近くの時間に到達)になったと判断したとき、治療終了情報を作成して、それを管理サーバ2Bに送信する機能を発揮する。
【0093】
表示処理部3Bc4は、管理サーバ2Bからの配信情報(診察予約状況情報等)を受け取ったときに、その配信情報を表示部3Bdに表示させる機能を発揮する。
【0094】
このような電気的刺激装置3の作動、制御内容の一例を具体的に説明する。電気的刺激装置3は、例えば
図7のブロック図で示すように、制御装置3Bと、その制御装置3Bにより制御されて一対の電極10A,10Bに対して刺激用電流を供給する治療器本体(治療波生成装置)3Aと、を備えている。制御装置3Bは、前述の通りの構成とされている一方、治療器本体3Aは、治療波データに従ってデジタル信号を出力するデジタル信号発生回路11と、そのデジタル信号発生回路11が出力するデジタル信号をアナログ信号に変換するDA変換回路12と、そのDA変換回路12から出力されるアナログ信号を増幅して一対の電極10A,10Bに刺激用電流を供給する増幅回路13と、を備えている。
【0095】
この構成において、電源スイッチ3BgのON信号が入力されている状態の下で、治療波データが制御装置3Bに外部から入力されようとすると(入出力部3Bfへの記憶媒体15の接続,通信部3Baへの配信)、電気的刺激装置3(制御装置3B)に組み込まれた患者IDと、その外部からの治療波データ中の患者IDとが一致するか否かが照合され、両者が一致することを条件に、治療波データは記憶部3Bbに記憶される。この後、作動開始停止スイッチ3BhのON信号が入力されると、記憶部3Bbの治療波データが治療器本体3Aのデジタル信号発生回路11に出力され、デジタル信号発生回路11は治療波データに従ってデジタル信号を出力する。そのデジタル信号は、DA変換回路12によりアナログ信号に変換され、そのアナログ信号は、増幅回路13により増幅された後、刺激用電流として、一対の電極10A,10Bに供給される。
【0096】
[治療波データ(治療実現作動情報)の提供手段4]
治療波データの提供手段4は、治療波データを、理学療養施設以外の場所に配置される電気的刺激装置3に提供することを可能として、電気的刺激装置3が理学療養施設以外の場所に配置されていても、その電気的刺激装置3に、診察結果に基づく治療方針等に沿う作動(治療)を行わせる役割を担う。
【0097】
本実施形態においては、提供手段4として、2つの手段を用いることができる。その一の手段は、着脱可能な記憶媒体15である。この着脱可能な記憶媒体15は、
図2、
図3に示すように、理学療法施設の端末装置2Aの入出力部2Bf及び物理療法装置3の入出力部3Bfに対して入出力可能に関連付けること(装着)ができ、記憶媒体15内部に治療波データを記憶させることも、その記憶された治療波データを外部に出力することもできることになっている。このようなものとして、USBメモリ、SDカード、光ディスク媒体等を用いることができ、このような着脱可能な記憶媒体15を用いる場合には、理学療法装置の端末装置2Aで作成された治療波データを記憶媒体15に記憶させ、その着脱可能な記憶媒体15を電気的刺激装置3まで運んで、その内部に記憶された治療波データを電気的刺激装置3にその入出力部3Bfから入力することが行われる。このとき、着脱可能な記憶媒体15を電気的刺激装置3まで運ぶに当たっては、患者が理学療法施設を訪問した際に、その記憶媒体15を直接受け取り、その患者がその記憶媒体15を自宅等に運ぶ態様と、郵送等により記憶媒体15を患者の自宅等に運ぶ態様を取ることができ、いずれの態様を取るかは、治療者、患者の意向等により適宜決められる。
【0098】
他の手段は、ネットワーク5である。電気的刺激装置3が、ネットワーク5を経由して理学療法施設の端末装置2Aに対して通信可能となっていることから、そのネットワーク5を利用することによっても、端末装置2Aから電気的刺激装置3に治療波データを送信してその治療波データを電気的刺激装置3に入力することができる。このネットワーク5の利用と、前述の着脱可能な記憶媒体15の利用のいずれを選択するかについては、患者の状況等に基づき、治療者、患者の意向等により判断される。
【0099】
[理学療法治療の効率化システム1の全体的な動き]
次に、理学療法治療の効率化システム1の全体の動きについて、
図8に基づき説明する。
【0100】
理学療法施設では、治療者(医師等)が、患者を診察してその患者に対する治療方針を決める。この際、治療者は、診察結果情報として、患者の状況と共にその患者に関する情報(名前、住所又は居所、識別情報としての患者ID)を端末装置2Aに入力し、さらには、そのとき或いはその後に、患者の状況から判断した電気的刺激装置3の選択情報を端末装置2Aに入力する。これに伴い、これら情報は、患者IDに紐づけられた状態で端末装置2Aの記憶部2Abに記憶される。このうち、患者に関する情報(名前、住所又は居所、識別情報としての患者ID、電気的刺激装置3の選択情報)は管理サーバ2Bに送信され、それらは管理サーバ2Bの記憶部2Bb(患者情報保存部2Bb1)に記憶される。そしてこの後、治療者が患者に電気的刺激装置3を配送することを決めた場合には、その患者の患者IDと、電気的刺激装置3の配送依頼情報とが管理サーバ2Bに送信される。
【0101】
前記管理サーバ2Bは、患者IDと電気的刺激装置3の配送依頼とを端末装置2Aから受け取ると、患者IDから、配送先である患者の名前及び住所等と、配送すべき電気的刺激装置3とを抽出すると共に、その抽出された電気的刺激装置3を準備できる配送会社を抽出し、その配送会社の端末装置6Aに、患者に関する情報を含む配送依頼情報を配信する。これに基づき、配送会社は、患者に関する情報に基づき、患者の治療に応じた電気的刺激装置3を準備し、その電気的刺激装置3を、理学療法施設以外の場所である患者の自宅等に配送する。このとき、その電気的刺激装置3を配送するに先立ち、配送会社は、その電気的刺激装置3における制御装置3Bの記憶部3Bbに、設定情報として患者IDを記憶させる。勿論、端末装置2Aから管理サーバ2Bに患者に関する情報を送信するに当たっては、前提として、その送信に先立ち、理学療法施設(運営機関又は治療者)と患者との間、また、理学療法施設と配送会社(製造販売メーカー)との間で、電気的刺激装置(物理療法装置)3を貸すレンタル契約等がなされることになる。
【0102】
前述の診察後において、治療者は、前記選択された電気的刺激装置3が患者にとって効果的に働くように作動させるべく、その電気的刺激装置3の治療波データであって患者の治療に応じたもの(所望の治療波データ)を作成する。その治療波データの作成に際しては、例えば、次のような処理と作業とが行われる。すなわち、先ず、端末装置2Aが管理サーバ2Bにアクセスすると、管理サーバ2Bから初期画面情報が端末装置2Aに配信され、端末装置2Aの表示部2Adには初期画面が表示される。この初期画面中には、編集データ保存部2Bb3内における編集データの一覧表の配信要求表示(ボタン)が含まれ、その配信要求を選択することを条件に、端末装置2Aの表示部2Adには、編集データ保存部2Bb3内における編集データの一覧表(リスト表示)が表示される。その編集データ保存部2Bb3内の一覧表の一つ又は複数を選択することにより、管理サーバ2Bからその選択された編集データが配信され、それは、端末装置2Aの表示部2Adにおいて編集用治療波(アナログ信号のグラフィックス)として表示される。
【0103】
治療者が、表示部2Adに表示される編集用治療波を見て、その編集用治療波を所望の治療波としてそのまま用いることができると判断したときには、その所望の治療波は治療波データにデジタル変換され、その治療波データは、治療波データ保存部2Ab2、着脱可能な記憶媒体15等に保存される。他方、治療者が、上記編集用治療波を所望の治療波としてそのまま用いることができないと判断したときには、その編集用治療波に対して治療者による編集調整が、その編集用治療波が所望の治療波になるまで続けられ、その編集調整により作成された所望の治療波が、デジタル変換を経て治療波データとして、上記同様、治療波データ保存部2Ab2、着脱可能な記憶媒体15等に保存される。この治療波データの作成に際しては、その治療波データ中に、患者の識別情報としての患者IDが組み込まれる。
【0104】
一方、電気的刺激装置3の配送によって、その電気的刺激装置3が患者の自宅等に保有(設置)された状態になると、端末装置2Aで作成された治療波データが、その端末装置2Aから電気的刺激装置3に提供される。治療波データを電気的刺激装置3に提供するに当たっては、前述の通り、患者の状況に応じて、着脱可能な記憶媒体15と、ネットワーク5とが利用される(
図2参照)。これにより、着脱可能な記憶媒体15を利用する場合には、ネットワーク5を利用する環境になくても、電気的刺激装置3による治療を受けることができ、患者になる傾向が強い世代を含む多くの人の利用を可能にすることができる。他方、ネットワーク5を利用する場合には、端末装置2Aから電気的刺激装置3に治療波データを送信してその治療波データを電気的刺激装置3に入力することができ、記憶媒体15の利用を不要にすることができ、利便性を高めることができる。
【0105】
この治療波データを電気的刺激装置3に入力するに当たっては、制御装置3Bの照合部3Bc1が、電気的刺激装置3に組み込まれた患者IDと、治療波データ中に組み込まれた患者IDとが一致するか否かの照合を行う。その照合の結果、両患者IDが一致しない限り、照合部3Bc1は、入力情報としての治療波データを制御装置3Bの記憶部3Bbに入力(記憶)させない。対象患者以外の者が、入力情報となる治療波データに基づく治療を受けさせないようにするためである。
【0106】
治療波データが制御装置3Bの記憶部3Bbに入力された状態の下で、電気的刺激装置3による治療を受けるべく、電源スイッチ3Bgだけでなく、作動開始停止スイッチ3BhもONとされると、情報取り込み部3Bc2により記憶部3Bbから治療波データが取り出され、その治療波データは、治療器本体3Aに出力される。これにより、治療器本体3Aは、その治療波データに従って作動することになる。この記憶部3Bbから治療波データを取り出す際、治療波データが符号データであるときには、演算制御部3Bcからの制御信号に基づき情報取り込み部3Bc2がその復号を行う。
【0107】
この後、治療終了情報作成部3Bc3が、複数日に亘って行われる複数回の治療のうちの最後の治療であって、治療波データに基づき治療の終了又はその治療終了の所定時間前(治療終了に近い時点)に至ったと判断したときには、電気的刺激装置3から治療終了情報が管理サーバ2Bに送信される。この治療終了情報を管理サーバ2Bが受け取ると、電気的刺激装置3は、管理サーバ2Bから配信情報として、理学療法施設の診察予約状況情報であって、選択により診察予約希望情報を送信できる診察予約受付け許容情報(診察空き日時を示すもの)を含むものを受け取り、それを、表示部3Bdにおいて、診察予約状況表として表示する。患者は、その診察予約状況表中の診察予約希望日時(例えば空白日時欄)を選択し、その選択情報である診察予約希望情報を管理サーバ2Bに送信する。これに応答して、予約希望情報を取り込んだ最新の診察予約状況情報が電気的刺激装置3に配信されることになり、その表示を表示部3Bdで見ることにより、患者は、次の診察予約が完了したことを確認することになる。
【0108】
図9、
図10は、電気的刺激装置3の制御例を具体的に示すフローチャートである。この制御例では、電気的刺激装置3による治療が1日1回、複数日に亘って行われることを前提とする。
図9、
図10において、符号Qはステップを示す。
【0109】
電源スイッチ3BgがONされると、先ず、Q1において、各種情報が読み込まれる。具体的には、治療器本体3Aの作動に際してのタイマ時間T0(定数:例えば15~30分の所定値)、経過時間ΔT(定数:例えば1秒)、作動回数C0(初期定数)、フラグF=0が読み込まれる。ここで、フラグFは、治療器本体3Aの作動中に作動開始停止スイッチ3BhがOFFとされているか否かを示すもので、F=1は、治療器本体3Aの作動中に作動開始停止スイッチ3BhがOFF(治療器本体3Aが停止)とされた状態を示し、F=0は、F=1以外の状態を示す。
【0110】
次のQ2においては、電気的刺激装置3における制御装置3Bの記憶部3Bbに、電気的刺激装置3(治療器本体3A)を作動させるための治療波データが記憶されているか否かが判別される。記憶部3Bbに治療波データを記憶されていなければ、患者の治療を開始する状況にないからである。このため、Q2がNOであるときには、Q3において、入出力部3Bf又は通信部3Baから治療波データが入力される状態になっているか否か(Q3)、また、電気的刺激装置3に組込まれた患者IDと同じ患者IDが、その治療波データ中に組込まれているか否かが判別される(Q4)。その判別において、Q3,Q4のいずれかがNOのときには、Q2にリターンされる一方、Q3,Q4のいずれもがYESのときには、Q5に進んで、外部からの治療波データを記憶部3Bbに記憶させる。
【0111】
次のQ6においては、作動開始停止スイッチ3BhがONされたか否かが判別される。患者に電気的刺激装置3(治療器本体3A)を作動させる意思があるか否かを判断するためである。このため。Q6がNOのときには、その判別が繰り返される一方、Q6がYESのときには、情報取り込み部3Bc2が、記憶部3Bbから治療波データを取り出して治療器本体3Aに出力する(Q7)。このとき、治療波データが符号データである場合には、その治療波データの復号が行われる。これにより、治療器本体3Aは、治療波データに従った作動を開始する(Q8)。
【0112】
治療器本体3Aの作動が開始すると、Q9におけるF=1か否かの判別を経てQ10においてタイマーが作動を開始する。当初は、F=0の状態にあることから、Q9の判別NOを経てタイマーの作動が開始することになり、そのタイマー時間だけ治療器本体3Aの作動が続行される(Q10,Q11,Q12NO)。そのタイマーの作動の途中(治療器本体3A作動中)、患者が、何らかの理由により、作動開始停止スイッチ3BhをOFFとし、治療器本体3Aの作動が停止されたときには(Q12YES)、Q13においてフラグFがセットされ(F=1)、処理は前記Q6に進む。そしてこの後、再度、作動開始停止スイッチ3BhがONとされると、前記Q6~Q9に進み、Q9ではYESと判断される。これにより、Q14に進んで、治療器本体3Aの作動の残り時間T=T0-Tが算出され、その残り時間T=T0-Tが、Q15でのフラグのリセット処理(F=0)を経て前記Q10に提供される。これにより、治療器本体3Aは、残り時間T=T0-Tだけ、作動することになる。
【0113】
タイマー時間T0が終了すると(Q11YES)、Q16において、作動開始停止スイッチ3BhがOFFとされ、その上で、Q17において、作動回数(日数:C)が最後(C=1)に当たるか否かが判別される。次の診察予約を行う必要があるか否かを判断するためである。このため、Q17の判別において、作動回数が最後ではないときには、Q18において、作動回数C(当初はCo)から1を差し引いたものが作動回数Cとされ、Q19において、その作動回数Cを次回の初期値Coとすべく、作動回数Cの初期値Coがこれまでのものから作動回数Cに変更される。この後、Q20において、電源スイッチ3BgがOFFとされる。この場合、電源スイッチ3BgがOFFとされても、Q19において変更されたCoが記憶され続け、電気刺激装置3の作動が次回開始されるときには、その変更されたCoが初期値として読み込まれる。
【0114】
前記Q17がYESのときには(作動回数が最後の回数であるとき)、Q21において、治療終了情報が管理サーバ2Bに送信され、これに伴い、次のQ22において、管理サーバ2Bから診察予約状況情報の配信があるか否かが判別される。Q22がNOのときには、Q21に戻される一方、Q22がYESのときには、Q23において、配信を受けた診察予約状況情報中の診察予約希望日時情報が選択されたか否かによって、管理サーバ2Bに送信されたか否かが判別される。そのQ23がYESであることを条件に、その診察予約希望日時を取り込んだ新たな診察予約状況情報の配信を受け(Q24)、患者は、表示部3Bdに表示される新たな診察予約状況表を見ることにより、次の診察予約が完了したことを確認する。
【0115】
前記Q2がYESのときは、記憶部3Bbに治療波データが記憶されているときであり、このときには、Q21において、作動回数Cが0以下であるか否かが判別される。規定の作動回数Coを終了しているか否かを判断するためである。このため、Q21がYESのときには、既定の作動回数が終了したとして、処理が前記Q20に進む一方、Q21がNOのときには、作動回数が未だ終了していないとして、前記Q6に進む。
【0116】
したがって、理学療法治療の効率化システム1を用いれば、患者は、理学療法施設以外の場所である患者の自宅等で、診察結果に基づく治療方針等に従いつつ電気的刺激装置3を用いて、通常、1週間程度の日数に亘って、1日当たり15~30分の間の所定時間、物理療法治療を受けることができ、新たな指示を治療者から受ける必要がある場合を除き、患者は、基本的に理学療法施設を訪れる必要がなくなる。この結果、理学療法施設を訪れる患者数が常に多くなる状態を回避でき、治療者は、多くの患者を診察、治療しなければならない問題を解消でき、患者は、理学療法施設内で自己の診察、治療の順番を長い間、待たなければならない問題を解消できる。
【0117】
また、患者が自宅等で使用する電気的刺激装置3は、レンタル契約に基づくことから、患者の出費負担を抑えつつ、適宜、症状に応じて電気的刺激装置3を変えることができ、治療効果を高めることができる。しかも、電気的刺激装置3を患者の自宅等に配送することが、治療者からの指示を契機として、システム的に行われることになり、患者がその電気的刺激装置3を的確に保有できると共に、電気的刺激装置3の手配に関して、治療者(理学療法施設)、患者が負う負担を低減させることができる。
【0118】
さらに、電気的刺激装置3による治療が終了又はその治療終了の終了間近になったときには、電気的刺激装置3が診察予約状況情報を受け取って、その診察予約状況情報中の予約受付け許容情報に対する選択により、次回の診察の予約を円滑且つ簡単に行うことができ、患者の利便性を高めることができる。
【0119】
図11、
図12は第2実施形態、
図13は第3実施形態を示す。この各実施形態において、前記第1実施形態と同一構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0120】
図11、
図12に示す第2実施形態は、第1実施形態の変形例を示すものである。この第2実施形態においては、第1実施形態とは異なり、治療波データの作成、保存が、管理サーバ2Bにおいて行われる。
【0121】
第2実施形態においては、端末装置2A(演算処理部2Ac)の変更処理部2Ac3(
図5参照)が、その端末装置2Aの表示部2Adに表示される編集用治療波のグラフィックスの状態を入力操作(ドラッグ等の変更操作等)により変更すると、その変更情報(デジタル化したもの)を、直ちに管理サーバ2Bに送信するべく通信部2Aaに送信する機能を発揮する。その一方で、管理サーバ2Bの記憶部2Bbには、
図11に示すように、治療波データ保存部2Bb6が設けられ、管理サーバ2Bの演算制御部2Bcには、変更処理部2Bc5が設けられている。
【0122】
治療波データ保存部2Bb6は、編集データ抽出部2Bc2、後述の変更処理部2Bc5(さらには外部の治療波作成装置)から送り込まれるデータを治療波データとして保存する機能を発揮する。すなわち、端末装置2Aからの編集データ保存部2Bb3中の編集データの配信要求を管理サーバ2Bが受け取ると、編集データ抽出部2Bc2は、その配信要求された編集データを抽出した上で端末装置2Aに配信すると共に、その配信要求された編集データを管理サーバ2Bの治療波データ保存部2Bb6に送る。治療波データ保存部2Bb6はその配信要求された編集データを治療波データとしてとりあえず保存し、仮に、その保存以後、その治療波データ(編集データ)が変更された場合(後述の変更処理部2Bc5により変更される場合)には、その変更された治療波データを最新の治療波データとして保存(更新)する。
【0123】
変更処理部2Bc5は、端末装置2Aの変更処理部2Ac3が送ってきた変更情報(編集操作に基づくもの)を治療波データ保存部2Bb6に送ることにより、その変更情報を治療波データ保存部2Bb6に記憶される治療波データ(編集操作を行った編集データに対応するもの)に組み込む機能を発揮する。これにより、治療波データ保存部2Bb6は、上述の通り、変更情報の組み込みにより変更された治療波データを最新の治療波データとして保存(更新)する。また、変更処理部2Bc5は、変更情報が組み込まれた治療波データ(最新の治療波データ)を端末装置2Aに配信する機能を発揮する。これにより、編集操作された編集用治療波が、その操作に追従して表示されることになり、編集操作された編集用治療波が所望の治療波になったか否かを表示部2Adを通じて即座に確認できることになる。
【0124】
これにより、端末装置2Aにおいて、編集データがグラフィックスとして表示される編集用治療波が編集により変更されると、その変更情報が管理サーバ2Bに送られて、その変更情報を組み込んだ治療波データが、管理サーバ2B(治療波データ保存部2Bb6)において、最新の治療波データとして作成、保存される。しかも、その最新の治療波データが、端末装置2Aに編集データとして直ちに配信されて、その表示部2Adに編集用治療波のグラフィックスとして表示される。このため、端末装置2Aでその編集用治療波に対して編集操作を繰り返せば、所望の治療波のグラフィックスとして表示される治療波データが得られることになり、表示部2Adに表示される編集用治療波を治療者が所望の治療波であると判断したときには、そのときには、その所望の治療波をなす所望の治療波データは、管理サーバ2Bの治療波データ保存部2Ab2に保存されていることになる。
【0125】
したがって、この第2実施形態においては、管理サーバ2Bで治療波データを作成、保存できる結果、管理サーバ2Bの入出力部2Bfに着脱可能な記憶媒体15を関連付けることにより、その記憶媒体15に、管理サーバ2B(治療波データ保存部2Bb6)に保存されている所望の治療波データを記憶させることができ、その記憶媒体15を患者の自宅等に郵送等を用いて送付することができる。また、管理サーバ2Bと電気的刺激装置3とがネットワーク5を介して通信可能でもあることから、配信操作を行うことにより、管理サーバ2Bから電気的刺激装置3に所望の治療波データを配信することもできる。これにより、治療波データの提供を、理学療法施設の運営機関、治療者以外の者に行わせることができ、理学療法施設の運営機関、治療者の負担を、一層軽減できることになる。
【0126】
さらには、管理サーバ2Bで作成された所望の治療波データが端末装置2Aに配信されることから、理学療法施設の運営機関、治療者も、着脱可能な記憶媒体15及びネットワーク5を利用して、その配信された所望の治療波データを患者の自宅等の電気的刺激装置3に提供できる。これにより、理学療法施設の運営機関、治療者が患者に治療波データを提供するという基本的スタイル(処方箋を渡すようなスタイル)を維持できることになる。
【0127】
図12は、第2実施形態に係る管理サーバの制御例を具体的に示すフローチャートである。
図12において、符号Rはステップを示す。
【0128】
端末装置2Aが管理サーバ2Bにアクセスすることを条件に、管理サーバ2Bは初期画面情報を端末装置2Aに配信する(R1,R2)。この配信により端末装置2Aの表示部2Adに初期画面が表示され、その初期画面中に編集データ保存部2Bb3内における編集データの一覧情報の配信要求表示(ボタン)も含まれることになる。それを受けて、その編集データの一覧情報が配信要求されているか否かが判別され(R3)、その配信要求があることを条件に編集データの一覧情報が端末装置2Aに配信される(R4)。この配信によって、端末装置2Aの表示部2Adに編集データの一覧表(リスト表示)が表示され、その編集データの一覧表の一又は複数の編集データを選択できることになり、それを受けて、その選択情報を受け取っているか否かが判別される(R5)。その選択情報を受け取ったことを条件に(R5YES)、その選択された編集データが編集データ保存部2Bb3から抽出され、その抽出された編集データは、記憶部2Bbの治療波データ保存部2Bb6に治療波データとして保存される(Q6)と共に、端末装置2Aに編集データとして配信される(Q7)。
【0129】
次のR8では、端末装置2Aの変更処理部2Ac3から変更情報が送信されてきたか否かが判別される。前記R7を受けて、端末装置2Aの表示部2Adにおいて、編集データが編集用治療波のグラフィックスとして表示され、それが治療者により編集変更される可能性があるからである。端末装置2Aから管理サーバ2Bに変更情報が送信されてきたときには、変更処理部2Bc5は、その変更情報を治療波データ保存部2Bb6に保存される治療波データに組込むべく、その変更情報を治療波データ保存部2Bb6に送り(R9)、治療波データ保存部2Bb6は、その変更情報が組込まれた治療波データを最新の治療波データとして保存(更新)する(R10)。また、その変更情報が組込まれた治療波データは、編集操作を行ったものとして端末装置2Aに配信され(R11)、端末装置2Aの表示部2Adにおいて、この後も編集操作を続けるか否か(治療波データの作成が完了したか否か)を治療者に判断させるべく、治療波データのグラフィックスが表示される。
【0130】
図13に示す第3実施形態は、処理装置2が、理学療法施設の端末装置2Aだけからなり、その端末装置2Aにおいて、電気的刺激装置3の配送の手配を行うこと、治療波データを作成すること、その治療波データを端末装置2Aから電気的刺激装置3に提供することが行われる。
【0131】
このため、端末装置2Aにおいては、記憶部2Abに第1記憶部2Ab(1)と第2記憶部2Ab(2)とが設けられている。第1記憶部(1)には、前記第1実施形態に係る端末装置2Aの記憶部2Abと同様のものが備えられ、第2記憶部2Ab(2)には、前記第1実施形態に係る管理サーバ2Bの記憶部2Bbに備えられたもの中から患者情報保存部2Bb1を除いて、配送会社情報保存部2Bb2、編集データ保存部2Bb3、診断予約状況情報保存部2Bb4、プログラム保存部2Bb5と同様のものが備えられている。また、演算制御部2Acには、第1演算制御部2Ac(1)と第2演算制御部2Ac(2)とが設けられている。第1演算制御部2Ac(1)には、前記第1実施形態に係る端末装置2Aの演算制御部2Acに備えられたもの中から患者情報調整部2Ac1を除いて、表示処理部2Ac2、変更処理部2Ac3、変換処理部2Ac4、保存処理部2Ac5と同様のものが備えられ、第2演算制御部2Ac(2)には、前記第1実施形態に係る管理サーバ2Bの演算制御部2Bcと同様のものが備えられている。これにより、理学療法施設の端末装置2Aは、第1実施形態において行ってきたことに加えて、その第1実施形態で管理サーバ2Bが行っていたことも行うことになる。尚、
図13において、管理サーバ2Bで用いられている構成要素と同様のものについても、その説明を省略するため、管理サーバ2Bで用いられている構成要素の符号を用いている。
【0132】
以上実施形態について説明したが本発明にあっては、次の態様を包含する。
(1)物理療法装置3として、電気的刺激装置(低周波治療器、中周波治療器、干渉電流型低周波治療器)の他に、電磁超音波を用いその機械的振動による温熱作用や機械的作用を利用する超音波治療器、波の熱を利用して患部を温めて鎮痛効果を高めるマイクロ波治療器、温めたパックを患部に当てて血流を促進することにより痛みの緩和を図るホットパック、頚椎、骨盤を牽引することにより各椎間の圧迫を取り除き、筋緊張の痛みの改善等を図る牽引装置、空気圧を用いたマッサージ効果によりリンパや血液の流れを促進して筋肉の疲れ等を改善するメドマー、水圧刺激を利用したウォータベッド型マッサージ器等、種々のものを本件対象とし、その各物理療法装置3を作動させるために、その各物理療法装置3に応じた治療実現作動情報を用いること。
(2)入力情報の入力操作、電気的刺激装置(物理療法装置)3の配送依頼等を行うに当たり、治療者の指示を受け或いは管理の下で当該治療者以外の者が行う行為も、治療者の実質上の行為に含まれること。
(3)治療波データ(治療実現作動情報)を暗号化して電気的刺激装置(物理療法装置)3に提供し、治療波データ(治療実現作動情報)を電気的刺激装置(物理療法装置)3に使用するに当たり、その暗号を解除すること。
(4)治療者のサポートを受けて、患者が、電気的刺激装置(物理療法装置)3を用意(購入又は借り入れ)すること。
(5)電気的刺激装置(物理療法装置)3での治療に当たり、治療中(作動中)又は治療後において、患者の状況(体温、脈拍等)をセンサより検出し、その検出結果を、治療者によるその後の診察に役立たせ、或いは、電気的刺激装置(物理療法装置)3によるその後の治療(治療波データ(治療実現作動情報))に反映させること。この場合、上記患者の状況の検出結果の解析に当たっては、AIを活用すること。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明は、理学療法施設での理学療法治療に伴う、治療者及び患者の双方の負担を軽減することに利用できる。
【符号の説明】
【0134】
1 理学療法治療の効率化システム
2 処理装置
2A 理学療法施設の端末装置(処理装置2)
2Ab 記憶部
2Ab2 治療波データ保存部(記憶部)
2Ac3 変更処理部(作動情報作成部)
2B 管理サーバ(処理装置2)
2Ba 通信部(配信部)
2Bb 記憶部
2Bb2 配送会社情報保存部
2Bb3 編集データ保存部
2Bb4 診察予約状況情報保存部
2Bb6 治療波データ保存部(記憶部)
2Bb2 編集データ抽出部(作動情報作成部)
2Bc3 配送依頼情報作成部
2Bc4 診察予約状況情報引出部
2Bc5 変更処理部(作動情報作成部)
3 電気的刺激装置(物理療法装置)
3Bb 記憶部
3Bc 演算制御部
3Bc1 照合部
3Bc3 治療終了情報作成部
4 提供手段
5 ネットワーク(提供手段4)
6A,6A1,6A2 配送会社の端末装置(外部配送機関の端末装置)
15 着脱可能な記憶媒体(提供手段4)
【要約】
【課題】理学療法施設での理学療法治療に伴う、治療者及び患者の双方の負担を軽減する。
【解決手段】理学療法施設における治療者による患者に対する診察結果に基づき、処理装置2を利用して、患者の治療に応じた物理療法装置3を作動させるための治療実現作動情報を作成し、患者の治療に応じた物理療法装置3を、理学療法施設以外の場所であって患者に関連する場所に設置し、治療実現作動情報を、該治療実現作動情報を移動可能とする提供手段5,15を用いることにより、処理装置2から物理療法装置3に提供して、物理療法装置3を治療実現作動情報に従って作動させる。
【選択図】
図2