(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】再生可能な資源から得られるエネルギーを最適化するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G05F 1/67 20060101AFI20240807BHJP
【FI】
G05F1/67 A
(21)【出願番号】P 2023514025
(86)(22)【出願日】2021-09-25
(86)【国際出願番号】 US2021052103
(87)【国際公開番号】W WO2022067136
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-04-27
(32)【優先日】2020-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516247155
【氏名又は名称】ソーラーリティックス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SOLARLYTICS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】グエン,ソン エイチ
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-061263(JP,A)
【文献】特開2011-228598(JP,A)
【文献】特開2000-181555(JP,A)
【文献】特開2017-110609(JP,A)
【文献】特開2016-175058(JP,A)
【文献】特開平07-194134(JP,A)
【文献】特表2018-506946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/67
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作環境内に配置されて、エネルギー変換手段にエネルギーを供給するエネルギー源の効率を最適化するための方法であって、前記エネルギー変換手段は、前記供給エネルギーに基づいて出力電力を生成するものであり、
前記方法は、
過去の変換システム情報およびセンサシステム情報を集約するステップと、
前記エネルギー変換手段から
前記変換システム情報を受信し、前記動作環境内の1つ以上のセンサ手段から
前記センサシステム情報を受信するステップと、
受信した前記変換システム情報及び受信した前記センサシステム情報に基づいて、前記エネルギー源の動作挙動を予測するための定量モデルの1つ以上の定量モデルパラメータを計算するステップと、
計算により求めた前記定量モデルパラメータに基づいて、前記エネルギー源の最適動作領域を確立するための変換器制御信号を生成するステップと、
前記エネルギー変換手段に対して、前記変換器制御信号を送信するステップと、
を含み、
前記エネルギー変換手段は、前記変換器制御信号に基づいて、前記エネルギー源がピーク電力で動作することを可能にする第1の動作領域を確立するように、前記エネルギー源からの前記供給エネルギーを設定する、方法。
【請求項2】
前記変換システム情報及び前記センサシステム情報を受信するステップが、前記変換システム情報及び前記センサシステム情報をリアルタイムで受信するステップを含み、
前記定量モデルの前記定量モデルパラメータを計算するステップが、前記定量モデルの前記定量モデルパラメータをリアルタイムで計算するステップを含み、
前記変換器制御信号を生成するステップが、前記変換器制御信号をリアルタイムで生成するステップを含み、
前記変換器制御信号を送信するステップが、前記変換器制御信号をリアルタイムで前記エネルギー変換手段に送信するステップを含み、
前記エネルギー変換手段は、前記エネルギー源からの前記供給エネルギーをリアルタイムで設定する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記変換システム情報及び前記センサシステム情報を受信するステップが、前記エネルギー変換手段から最新の変換システム情報を受信し、前記動作環境内の1つ以上のセンサ手段から最新のセンサシステム情報を受信するステップを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記最新の変換システム情報を、過去の変換システム情報として保存するステップ、
前記最新のセンサシステム情報を、過去のセンサシステム情報として保存するステップ、及び/又は、
前記最適動作領域を、過去の動作領域情報として保存するステップ、
をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記エネルギー変換手段から更新変換システム情報を受信し、前記動作環境内の1つ以上のセンサ手段から更新センサシステム情報を受信するステップと、
受信した前記更新変換システム情報及び受信した前記更新センサシステム情報に基づいて、前記定量モデルの1つ以上の更新定量モデルパラメータを計算するステップと、
計算により求めた前記更新定量モデルパラメータに基づいて、前記エネルギー源の更新最適動作領域を確立するための更新変換器制御信号を生成するステップと、
前記エネルギー変換手段に対して、前記更新変換器制御信号を送信するステップと、
をさらに含み、
前記エネルギー変換手段は、前記更新変換器制御信号に基づいて、前記エネルギー源がピーク効率で動作を継続することを可能にする第2の動作領域を確立するように、前記エネルギー源からの前記供給エネルギーを調整する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記更新変換システム情報を、前記過去の変換システム情報の間に保存するステップ、
前記更新センサシステム情報を、前記過去のセンサシステム情報の間に保存するステップ、及び/又は、
前記更新最適動作領域を、前記過去の動作領域情報の間に保存するステップ、
をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
システムユーザ要求を受信するステップと、
前記システムユーザ要求に応答して、前記更新変換システム情報、前記過去の変換システム情報、前記更新センサシステム情報、前記過去のセンサシステム情報、前記更新最適動作領域、及び/又は前記過去の動作領域情報を提示するステップと、
をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記エネルギー変換手段が、前記エネルギー源からの前記供給エネルギーを継続的に調整する、請求項5~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記エネルギー変換手段が、前記動作環境の任意の環境変化及び/又は前記エネルギー源の任意の動作変化を補償するように、前記エネルギー源の前記動作領域を調整する、請求項5~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
保存した前記過去の変換システム情報、前記過去のセンサシステム情報、及び/又は前記過去の動作領域情報を読み出すステップをさらに含み、
前記更新定量モデルパラメータを計算するステップが、保存した前記過去の変換システム情報、前記過去のセンサシステム情報、及び/又は前記過去の動作領域情報を使用して、前記更新定量モデルパラメータを計算するステップを含む、請求項5~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記エネルギー源が再生可能エネルギー源を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記センサシステム情報が、前記エネルギー源が生成した出力電圧を測定するための電圧センサ手段からの出力電圧測定データ信号、前記エネルギー源が生成した出力電流を測定するための電流センサ手段からの出力電流測定データ信号、又はその両方を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記エネルギー源が光起電デバイスを含み、
前記センサシステム情報が、前記光起電デバイス内部の温度を測定するための内部温度センサ手段からの内部温度データ信号、前記光起電デバイス外部の前記動作環境の温度を測定するための外部温度センサ手段からの外部温度データ信号、又はその両方を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記センサシステム情報が、前記動作環境、前記光起電デバイス、又はその両方の画像を取り込むための画像センサ手段からの画像データ信号をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
測定した前記光起電デバイス内部の前記温度が所定のエネルギー源閾値温度以上であるとき、測定した前記動作環境の温度が所定の動作環境閾値温度以上であるとき、又はその両方であるときに、前記画像センサ手段を起動して前記画像を取り込む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記センサシステム情報が、前記動作環境、前記光起電デバイス、又はその両方における放射照度を測定するための日射計センサ手段からの放射照度データ信号をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記エネルギー源が風力エネルギー源を含み、
前記センサシステム情報が、前記風力エネルギー源における風速を測定するための風速計センサ手段からの風速データ信号、前記風力エネルギー源が生成するトルクを測定するためのトルクセンサ手段からのトルクデータ信号、前記風力エネルギー源の角速度を測定するための角速度センサ手段からの角速度信号、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記エネルギー源が潮汐エネルギー源を含み、
前記センサシステム情報が、水位を測定するための水位センサ手段からの水位データ信号を含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記変換器制御信号を送信するステップが、前記エネルギー変換手段の直流-直流(DC-DC)変換手段及び/又は直流-交流(DC-AC)インバータ手段に前記変換器制御信号を送信するステップを含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記直流-直流(DC-DC)変換手段が、昇圧変換器手段、降圧変換器手段、及び/又はフライバック変換器手段を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記変換器制御信号を生成するステップが、デューティ比、パルス幅、及び/又はパルス持続時間を有する前記変換器制御信号を生成するステップを含み、
前記変換器制御信号を送信するステップが、前記直流-直流(DC-DC)変換手段のパルス幅変調手段及び/又はパルス持続時間変調手段に前記変換器制御信号を送信するステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記パルス幅変調手段及び/又は前記パルス持続時間変調手段が、送信された前記変換器制御信号を受信するためのゲート電極をそれぞれ有する1つ以上のトランジスタを備える、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記変換器制御信号を生成するステップが、前記変換器制御信号の前記デューティ比、前記パルス幅、及び/又は前記パルス持続時間を調整するステップを含み、
前記変換器制御信号を送信するステップが、調整後の前記変換器制御信号を前記エネルギー変換手段に送信するステップを含み、
前記直流-直流(DC-DC)変換手段が、調整後の前記変換器制御信号に基づいて前記エネルギー源からの前記供給エネルギーを調整する、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
前記変換器制御信号を生成するステップが、デューティ比、パルス幅、及び/又はパルス持続時間を有する前記変換器制御信号を生成するステップを含み、
前記変換器制御信号を送信するステップが、前記直流-交流(DC-AC)インバータ手段のパルス幅変調手段及び/又はパルス持続時間変調手段に前記変換器制御信号を送信するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記パルス幅変調手段及び/又は前記パルス持続時間変調手段が、送信された前記変換器制御信号を受信するためのゲート電極をそれぞれ有する1つ以上のトランジスタを備える、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記変換器制御信号を生成するステップが、前記変換器制御信号の前記デューティ比、前記パルス幅、及び/又は前記パルス持続時間を調整するステップを含み、
前記変換器制御信号を送信するステップが、調整後の前記変換器制御信号を前記エネルギー変換手段に送信するステップを含み、
前記直流-交流(DC-AC)インバータ手段が、調整後の前記変換器制御信号に基づいて前記エネルギー源からの前記供給エネルギーを調整する、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
前記動作環境が、前記エネルギー変換手段から遠い位置にある、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記変換システム情報及び前記センサシステム情報を受信するステップが、前記変換システム情報及び前記センサシステム情報を制御手段で受信するステップと、前記変換システム情報及び前記センサシステム情報を前記制御手段から補助制御手段に送信するステップと、を含み、
前記1つ以上の定量モデルパラメータを計算するステップが、送信された前記変換システム情報及び送信された前記センサシステム情報を前記補助制御手段で受信するステップと、送信された前記変換システム情報及び送信された前記センサシステム情報に基づいて、前記補助制御手段で、前記定量モデルの前記1つ以上の定量モデルパラメータを計算するステップと、計算により求めた前記定量モデルパラメータを前記補助制御手段から前記制御手段に送信するステップと、を含み、
前記変換器制御信号を生成するステップが、受信した計算により求めた前記定量モデルパラメータに基づいて、前記制御手段で前記変換器制御信号を生成するステップを含み、
前記変換器制御信号を送信するステップが、前記制御手段から前記エネルギー変換手段に前記変換器制御信号を送信するステップを含む、請求項1~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
動作環境内に配置されて、エネルギー変換手段にエネルギーを供給するエネルギー源の効率を最適化するためのシステムであって、前記エネルギー変換手段は、前記供給エネルギーに基づいて出力電力を生成するものである、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法を実施するための手段を備えるシステム。
【請求項30】
動作環境内に配置されて、エネルギー変換手段にエネルギーを供給するエネルギー源の効率を最適化するためのコンピュータプログラム製品であって、前記エネルギー変換手段は、前記供給エネルギーに基づいて出力電力を生成するものである、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法を実施するための命令を含むコンピュータプログラム製品。
【請求項31】
1つ以上の非一時的な機械可読記憶媒体上で符号化されている、請求項30に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項32】
動作環境内に配置されて、エネルギー変換手段にエネルギーを供給するエネルギー源の効率を最適化するためのコンピュータプログラム製品であって、前記エネルギー変換手段は、前記供給エネルギーに基づいて出力電力を生成するものであり、
前記コンピュータプログラム製品は、
過去の変換システム情報およびセンサシステム情報を集約する命令と、
前記エネルギー変換手段から
前記変換システム情報を受信し、前記動作環境内の1つ以上のセンサ手段から
前記センサシステム情報を受信する命令と、
受信した前記変換システム情報及び受信した前記センサシステム情報に基づいて、前記エネルギー源の動作挙動を予測するための定量モデルの1つ以上の定量モデルパラメータを計算する命令と、
計算により求めた前記定量モデルパラメータに基づいて、前記エネルギー源の最適動作領域を確立するための変換器制御信号を生成する命令と、
前記エネルギー変換手段に対して、前記変換器制御信号を送信する命令と、
を含み、
前記エネルギー変換手段は、前記変換器制御信号に基づいて、前記エネルギー源がピーク電力で動作することを可能にする第1の動作領域を確立するように、前記エネルギー源からの前記供給エネルギーを設定する、コンピュータプログラム製品。
【請求項33】
1つ以上の非一時的な機械可読記憶媒体上で符号化されている、請求項32に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項34】
動作環境内に配置されて、エネルギー変換手段にエネルギーを供給するエネルギー源の効率を最適化するためのシステムであって、前記エネルギー変換手段は、前記供給エネルギーに基づいて出力電力を生成するものであり、
前記システムは、
前記動作環境内に配置された1つ以上のセンサ手段と、
過去の変換システム情報およびセンサシステム情報を集約するステップと、前記エネルギー変換手段から
前記変換システム情報を受信し、前記センサ手段から
前記センサシステム情報を受信するステップと、受信した前記変換システム情報及び受信した前記センサシステム情報に基づいて、前記エネルギー源の動作挙動を予測するための定量モデルの1つ以上の定量モデルパラメータを計算するステップと、計算により求めた前記定量モデルパラメータに基づいて、前記エネルギー源の最適動作領域を確立するための変換器制御信号を生成するステップと、前記エネルギー変換手段に対して、前記変換器制御信号を送信するステップと、を行うように構成された処理手段と、
を備え、
前記エネルギー変換手段は、前記変換器制御信号に基づいて、前記エネルギー源がピーク電力で動作することを可能にする第1の動作領域を確立するように、前記エネルギー源からの前記供給エネルギーを設定する、システム。
【請求項35】
動作環境内に配置されて、エネルギー変換手段にエネルギーを供給するエネルギー源の効率を最適化するためのエネルギー最適化システムの設置方法であって、前記エネルギー変換手段は、前記供給エネルギーに基づいて出力電力を生成するものであり、
前記方法は、
処理手段を前記エネルギー変換手段に結合するステップと、
前記処理手段を、前記動作環境内に配置された1つ以上のセンサ手段に結合するステップと、
を含み、
前記処理手段は、
過去の変換システム情報およびセンサシステム情報を集約するステップと、前記エネルギー変換手段から
前記変換システム情報を受信し、前記センサ手段から
前記センサシステム情報を受信するステップと、受信した前記変換システム情報及び受信した前記センサシステム情報に基づいて、前記エネルギー源の動作挙動を予測するための定量モデルの1つ以上の定量モデルパラメータを計算するステップと、計算により求めた前記定量モデルパラメータに基づいて、前記エネルギー源の最適動作領域を確立するための変換器制御信号を生成するステップと、前記エネルギー変換手段に対して、前記変換器制御信号を送信するステップと、を行うように構成され、
前記エネルギー変換手段は、前記変換器制御信号に基づいて、前記エネルギー源がピーク電力で動作することを可能にする第1の動作領域を確立するように、前記エネルギー源からの前記供給エネルギーを設定する、方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2020年9月28日を出願日とする米国仮特許出願第63/084489号の利益及び優先権を主張するものであり、この仮出願のすべての開示内容は、その用途を問わず、参照することにより本明細書の一部をなすものとする。
【技術分野】
【0002】
本開示の実施形態は、概して、エネルギー生成システムに関し、限定されるものではないが、より詳細には、太陽、風力、潮汐、熱エネルギー源などの再生可能エネルギー源から得られるエネルギーを最適化するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
膨大な量の太陽エネルギーが、日々地球上に降り注いでいる。実は、90分間に地球に降り注ぐ太陽エネルギーは、世界の年間消費エネルギー量に相当する。太陽エネルギー資源は、常に利用できる状態で存在し続ける資源であるため、太陽エネルギーの回収に大きな関心が集まっている。
【0004】
太陽エネルギーを電気に変換する方法は、従来からいくつも存在している。かかる方法の1つとして、鏡やレンズで光を集光し、集光した光を熱エネルギーに変換し、水を加熱して、蒸気を発生させる方法がある。そして、この蒸気を利用して発電機を駆動し、電気を作る。
【0005】
また、太陽エネルギーを電気に変換する方法としてより一般的なのが、太陽光を電気に直接変換する太陽電池を利用する方法である。光が太陽電池に降り注ぐと、光子エネルギー(photonic energy)が電子に伝達され、その電子が太陽電池の中を流れて電気が作られる。作られる電気の量は、光の波長、入射角、温度、太陽電池からの光の反射、再結合(電子が「正孔」に衝突する、望ましくない過程)などの多くの因子に依存している。
【0006】
しかし、上記の従来の太陽エネルギー変換方法には、落とし穴がないわけではない。放射照度が安定している場合でも、ピーク電力を特定するには、時間をかけて何度も試行錯誤を繰り返す必要がある。ピーク電力の特定に向けて模索している間は、太陽電池がピーク電力点に達することはないことから、この期間中には、潜在的な電力損失が生じていることになる。例えば、太陽電池を、初期電圧点、低電圧点、高電圧点の3点に、同じ長さの時間にわたり設定したとすると、少なくとも3分の2の時間は、太陽電池がピーク電力に達していないことになる。また、かかる設定点にピーク電力を示すものが含まれない場合には、ピーク電力に達している時間はゼロになってしまう。
【0007】
また実際には、放射照度は、決して安定することがなく、太陽が上空を移動する間に常に変化し続けるものである。よって結局、試行錯誤的なプロセスを延々と続けざるを得ない。さらに、大気の状態が変化して、空を覆う雲や風、気温が変化し、太陽スペクトルの潜在的な変化が起こるなどすると、ピーク電力の動作点が予想外に大きく変動する場合もある。その結果、太陽電池は、試行錯誤的なプロセスを行う潜時状態となり、ピーク動作点に達することがほとんどないため、電力損失が生じてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上を鑑みれば、現在利用可能なエネルギー生成システムが抱える上述の障壁や欠陥を克服する、改良された、エネルギーを最適化するためのシステム及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、少なくとも1つのエネルギー源から得られるエネルギーを最適化するためのシステム、及びその製造・利用方法に関する。エネルギー最適化システムは、エネルギー源の動作環境及び/又はエネルギー源自体の動作状態を監視することにより、エネルギー源から供給されるエネルギーを最適化するようにエネルギー源の動作領域を確立及び/又は維持するとともに、動作環境又は動作状態のいかなる変化にもリアルタイムで適応するように動作領域を適宜調整することができる。これにより、エネルギー最適化システムは、エネルギー源が、最新のピーク効率及びピーク電力で継続的に動作することを可能にすることができる。補助制御システムは、エネルギー最適化システムの監視、指令、及び制御を強化させることができる。有利なことに、エネルギー最適化システムを利用することにより、太陽、風力、潮汐、熱エネルギー源などの再生可能エネルギー源から得られるエネルギーを最適化することができる。
【0010】
本明細書に開示の第1の態様によれば、エネルギー源の効率を最適化するための方法が提供される。エネルギー源は、動作環境内に配置されて、エネルギー変換手段にエネルギーを供給し、エネルギー変換手段は、供給エネルギーに基づいて出力電力を生成する。本方法は、以下を含むことができる。
【0011】
エネルギー変換手段から変換システム情報を受信し、動作環境内の1つ以上のセンサ手段からセンサシステム情報を受信するステップ、
受信した変換システム情報及び受信したセンサシステム情報に基づいて、エネルギー源の動作挙動を予測するための定量モデルの1つ以上の定量モデルパラメータを計算するステップ、
計算により求めた定量モデルパラメータに基づいて、エネルギー源の最適動作領域を確立するための変換器制御信号を生成するステップ、及び/又は、
エネルギー変換手段に対して、変換器制御信号を送信するステップ。
【0012】
なお、エネルギー変換手段は、変換器制御信号に基づいて、エネルギー源がピーク電力で動作することを可能にする第1の動作領域を確立するように、エネルギー源からの供給エネルギーを設定する。
【0013】
本開示の第1の態様に係る方法のいくつかの実施形態では、変換システム情報及びセンサシステム情報を受信するステップが、変換システム情報及びセンサシステム情報をリアルタイムで受信するステップを含むことができ、定量モデルの定量モデルパラメータを計算するステップが、定量モデルの定量モデルパラメータをリアルタイムで計算するステップを含むことができ、変換器制御信号を生成するステップが、変換器制御信号をリアルタイムで生成するステップを含むことができ、変換器制御信号を送信するステップが、変換器制御信号をリアルタイムでエネルギー変換手段に送信するステップを含むことができ、及び/又は、エネルギー変換手段は、エネルギー源からの供給エネルギーをリアルタイムで設定することができる。
【0014】
本開示の第1の態様に係る方法のいくつかの実施形態では、変換システム情報及びセンサシステム情報を受信するステップが、エネルギー変換手段から最新の変換システム情報を受信し、動作環境内の1つ以上のセンサ手段から最新のセンサシステム情報を受信するステップを含むことができる。また、本開示の方法は、任意選択的に、最新の変換システム情報を、過去の変換システム情報として保存するステップ、最新のセンサシステム情報を、過去のセンサシステム情報として保存するステップ、及び/又は、最適動作領域を、過去の動作領域情報として保存するステップ、を含むことができる。
【0015】
これに加えて及び/又は代えて、本開示の方法は、以下を含むことができる。
【0016】
エネルギー変換手段から更新変換システム情報を受信し、動作環境内の1つ以上のセンサ手段から更新センサシステム情報を受信するステップ、
受信した更新変換システム情報及び受信した更新センサシステム情報に基づいて、定量モデルの1つ以上の更新定量モデルパラメータを計算するステップと、
計算により求めた更新定量モデルパラメータに基づいて、エネルギー源の更新最適動作領域を確立するための更新変換器制御信号を生成するステップ、
エネルギー変換手段に対して、更新変換器制御信号を送信するステップ。
【0017】
なお、エネルギー変換手段は、更新変換器制御信号に基づいて、エネルギー源がピーク効率で動作を継続することを可能にする第2の動作領域を確立するように、エネルギー源からの供給エネルギーを調整する。
【0018】
例えば、更新変換システム情報を、過去の変換システム情報の間に保存することができ、更新センサシステム情報を、過去のセンサシステム情報の間に保存することができ、及び/又は、更新最適動作領域を、過去の動作領域情報の間に保存することができる。また、本開示の方法は、任意選択的に、システムユーザ要求を受信するステップと、システムユーザ要求に応答して、更新変換システム情報、過去の変換システム情報、更新センサシステム情報、過去のセンサシステム情報、更新最適動作領域、及び/又は過去の動作領域情報を提示するステップと、を含むことができる。これに加えて及び/又は代えて、エネルギー変換手段は、エネルギー源からの供給エネルギーを継続的に調整することができ、及び/又は、エネルギー変換手段が、動作環境の任意の環境変化及び/又はエネルギー源の任意の動作変化を補償するように、エネルギー源の動作領域を調整することができる。また、本開示の方法は、任意選択的に、保存した過去の変換システム情報、過去のセンサシステム情報、及び/又は過去の動作領域情報を読み出すステップを含むことができ、よって、更新定量モデルパラメータを計算するステップが、保存した過去の変換システム情報、過去のセンサシステム情報、及び/又は過去の動作領域情報を使用して、更新定量モデルパラメータを計算するステップを含むことができる。
【0019】
本開示の第1の態様に係る方法のいくつかの実施形態では、エネルギー源が再生可能エネルギー源を含むことができ、及び/又は、センサシステム情報が、エネルギー源が生成した出力電圧を測定するための電圧センサ手段からの出力電圧測定データ信号、エネルギー源が生成した出力電流を測定するための電流センサ手段からの出力電流測定データ信号、又はその両方を含むことができる。
【0020】
本開示の第1の態様に係る方法のいくつかの実施形態では、エネルギー源が光起電デバイスを含むことができ、センサシステム情報が、光起電デバイス内部の温度を測定するための内部温度センサ手段からの内部温度データ信号、光起電デバイス外部の動作環境の温度を測定するための外部温度センサ手段からの外部温度データ信号、又はその両方を含むことができる。これに加えて及び/又は代えて、センサシステム情報は、動作環境、光起電デバイス、又はその両方の画像を取り込むための画像センサ手段からの画像データ信号をさらに含むことができる。任意選択的に、測定した光起電デバイス内部の温度が所定のエネルギー源閾値温度以上であるとき、測定した動作環境の温度が所定の動作環境閾値温度以上であるとき、又はその両方であるときに、画像センサ手段を起動して画像を取り込むことができる。選択された実施形態では、センサシステム情報が、動作環境、光起電デバイス、又はその両方における放射照度を測定するための日射計センサ手段からの放射照度データ信号をさらに含むことができる。
【0021】
本開示の第1の態様に係る方法のいくつかの実施形態では、エネルギー源が風力エネルギー源を含むことができ、及び/又は、センサシステム情報が、風力エネルギー源における風速を測定するための風速計センサ手段からの風速データ信号、風力エネルギー源が生成するトルクを測定するためのトルクセンサ手段からのトルクデータ信号、風力エネルギー源の角速度を測定するための角速度センサ手段からの角速度信号、又はこれらの組み合わせを含むことができる。これに加えて及び/又は代えて、エネルギー源が潮汐エネルギー源を含むことができ、及び/又は、センサシステム情報が、水位を測定するための水位センサ手段からの水位データ信号を含むことができる。
【0022】
本開示の第1の態様に係る方法のいくつかの実施形態では、変換器制御信号を送信するステップが、エネルギー変換手段の直流-直流(DC-DC)変換手段及び/又は直流-交流(DC-AC)インバータ手段に変換器制御信号を送信するステップを含むことができる。任意選択的に、直流-直流(DC-DC)変換手段は、昇圧変換器手段、降圧変換器手段、及び/又はフライバック変換器手段を含むことができる。これに加えて及び/又は代えて、変換器制御信号を生成するステップは、デューティ比、パルス幅、及び/又はパルス持続時間を有する変換器制御信号を生成するステップを含むことができ、及び/又は、変換器制御信号を送信するステップは、直流-直流(DC-DC)変換手段のパルス幅変調手段及び/又はパルス持続時間変調手段に変換器制御信号を送信するステップを含むことができる。例えば、パルス幅変調手段及び/又はパルス持続時間変調手段は、送信された変換器制御信号を受信するためのゲート電極をそれぞれ有する1つ以上のトランジスタを備えることができる。
【0023】
例えば、変換器制御信号を生成するステップが、変換器制御信号のデューティ比、パルス幅、及び/又はパルス持続時間を調整するステップを含むことができ、変換器制御信号を送信するステップが、調整後の変換器制御信号をエネルギー変換手段に送信するステップを含むことができ、及び/又は、直流-直流(DC-DC)変換手段は、調整後の変換器制御信号に基づいてエネルギー源からの供給エネルギーを調整することができる。これに加えて及び/又は代えて、変換器制御信号を生成するステップは、デューティ比、パルス幅、及び/又はパルス持続時間を有する変換器制御信号を生成するステップを含むことができ、及び/又は、変換器制御信号を送信するステップが、直流-交流(DC-AC)インバータ手段のパルス幅変調手段及び/又はパルス持続時間変調手段に変換器制御信号を送信するステップを含むことができる。
【0024】
例えば、パルス幅変調手段及び/又はパルス持続時間変調手段は、送信された変換器制御信号を受信するためのゲート電極をそれぞれ有する1つ以上のトランジスタを備えることができる。選択された実施形態では、変換器制御信号を生成するステップが、変換器制御信号のデューティ比、パルス幅、及び/又はパルス持続時間を調整するステップを含むことができ、変換器制御信号を送信するステップが、調整後の変換器制御信号をエネルギー変換手段に送信するステップを含むことができ、及び/又は、直流-交流(DC-AC)インバータ手段は、調整後の変換器制御信号に基づいてエネルギー源からの供給エネルギーを調整することができる。
【0025】
本開示の第1の態様に係る方法のいくつかの実施形態では、動作環境が、エネルギー変換手段から遠い位置にあることができる。
【0026】
本開示の第1の態様に係る方法のいくつかの実施形態では、
変換システム情報及びセンサシステム情報を受信するステップが、変換システム情報及びセンサシステム情報を制御手段で受信するステップと、変換システム情報及びセンサシステム情報を制御手段から補助制御手段に送信するステップと、を含むことができ、
1つ以上の定量モデルパラメータを計算するステップが、送信された変換システム情報及び送信されたセンサシステム情報を補助制御手段で受信するステップと、送信された変換システム情報及び送信されたセンサシステム情報に基づいて、補助制御手段で、定量モデルの1つ以上の定量モデルパラメータを計算するステップと、計算により求めた定量モデルパラメータを補助制御手段から制御手段に送信するステップと、を含むことができ、
変換器制御信号を生成するステップが、受信した計算により求めた定量モデルパラメータに基づいて、制御手段で変換器制御信号を生成するステップを含むことができ、及び/又は、
変換器制御信号を送信するステップが、制御手段からエネルギー変換手段に変換器制御信号を送信するステップを含むことができる。
【0027】
本明細書に開示の第2の態様によれば、エネルギー源の効率を最適化するためのシステムが提供される。エネルギー源は、動作環境内に配置されて、エネルギー変換手段にエネルギーを供給し、エネルギー変換手段は、供給エネルギーに基づいて出力電力を生成する。本システムは、第1の態様に係る方法の各実施形態を実施するための手段を備えることができる。
【0028】
本明細書に開示の第3の態様によれば、エネルギー源の効率を最適化するためのコンピュータプログラム製品が提供される。エネルギー源は、動作環境内に配置されて、エネルギー変換手段にエネルギーを供給し、エネルギー変換手段は、供給エネルギーに基づいて出力電力を生成する。本コンピュータプログラム製品は、第1の態様に係る方法の各実施形態を実施するための命令を含むことができる。また、任意選択的に、第3の態様に係るコンピュータプログラム製品は、1つ以上の非一時的な機械可読記憶媒体上で符号化されている。
【0029】
本明細書に開示の第4の態様によれば、エネルギー源の効率を最適化するためのコンピュータプログラム製品が提供される。エネルギー源は、動作環境内に配置されて、エネルギー変換手段にエネルギーを供給し、エネルギー変換手段は、供給エネルギーに基づいて出力電力を生成する。本コンピュータプログラム製品は、以下を含むことができる。
【0030】
エネルギー変換手段から変換システム情報を受信し、動作環境内の1つ以上のセンサ手段からセンサシステム情報を受信する命令、
受信した変換システム情報及び受信したセンサシステム情報に基づいて、エネルギー源の動作挙動を予測するための定量モデルの1つ以上の定量モデルパラメータを計算する命令、
計算により求めた定量モデルパラメータに基づいて、エネルギー源の最適動作領域を確立するための変換器制御信号を生成する命令、及び
エネルギー変換手段に対して、変換器制御信号を送信する命令。
【0031】
なお、エネルギー変換手段は、変換器制御信号に基づいて、エネルギー源がピーク電力で動作することを可能にする第1の動作領域を確立するように、エネルギー源からの供給エネルギーを設定する。
【0032】
また、任意選択的に、第4の態様に係るコンピュータプログラム製品は、1つ以上の非一時的な機械可読記憶媒体上で符号化されている。
【0033】
本明細書に開示の第5の態様によれば、エネルギー源の効率を最適化するためのシステムが提供される。エネルギー源は、動作環境内に配置されて、エネルギー変換手段にエネルギーを供給し、エネルギー変換手段は、供給エネルギーに基づいて出力電力を生成する。本システムは、以下を備えることができる。
【0034】
動作環境内に配置された1つ以上のセンサ手段、及び
エネルギー変換手段から変換システム情報を受信し、センサ手段からセンサシステム情報を受信するステップと、受信した変換システム情報及び受信したセンサシステム情報に基づいて、エネルギー源の動作挙動を予測するための定量モデルの1つ以上の定量モデルパラメータを計算するステップと、計算により求めた定量モデルパラメータに基づいて、エネルギー源の最適動作領域を確立するための変換器制御信号を生成するステップと、エネルギー変換手段に対して、変換器制御信号を送信するステップと、を行うように構成された処理手段。
【0035】
なお、エネルギー変換手段は、変換器制御信号に基づいて、エネルギー源がピーク電力で動作することを可能にする第1の動作領域を確立するように、エネルギー源からの供給エネルギーを設定する。
【0036】
本明細書に開示の第6の態様によれば、エネルギー源の効率を最適化するためのエネルギー最適化システムの設置方法が提供される。エネルギー源は、動作環境内に配置されて、エネルギー変換手段にエネルギーを供給し、エネルギー変換手段は、供給エネルギーに基づいて出力電力を生成する。本方法は、以下を含むことができる。
【0037】
処理手段をエネルギー変換手段に結合するステップ、及び
処理手段を、動作環境内に配置された1つ以上のセンサ手段に結合するステップ。
【0038】
なお、処理手段は、エネルギー変換手段から変換システム情報を受信し、センサ手段からセンサシステム情報を受信するステップと、受信した変換システム情報及び受信したセンサシステム情報に基づいて、エネルギー源の動作挙動を予測するための定量モデルの1つ以上の定量モデルパラメータを計算するステップと、計算により求めた定量モデルパラメータに基づいて、エネルギー源の最適動作領域を確立するための変換器制御信号を生成するステップと、エネルギー変換手段に対して、変換器制御信号を送信するステップと、を行うように構成される。
【0039】
なお、エネルギー変換手段は、変換器制御信号に基づいて、エネルギー源がピーク電力で動作することを可能にする第1の動作領域を確立するように、エネルギー源からの供給エネルギーを設定する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1A】少なくとも1つのエネルギー源から得られるエネルギーを最適化するためのエネルギー最適化システムの例示的実施形態を示す上位ブロック図
【
図1B】選択されたエネルギー源が光起電デバイスを含む、
図1Aに示すエネルギー最適化システムの代替的な例示的実施形態を示す上位ブロック図
【
図2A】光起電デバイスに入射する光について、様々な光強度に対する、
図1Bに示す光起電デバイスの例示的な電流-電圧特性曲線を示す図
【
図2B】光起電デバイスに関連する動作環境の温度について、様々な温度に対する、
図1Bに示す光起電デバイスの例示的な電流-電圧特性曲線を示す図
【
図3A】光起電デバイスに入射する光について、様々な光強度に対する、
図1Bに示す光起電デバイスの例示的な電力-電圧特性曲線を示す図
【
図3B】光起電デバイスに関連する動作環境の温度について、様々な温度に対する、
図1Bに示す光起電デバイスの例示的な電力-電圧特性曲線を示す図
【
図4】
図1A及び
図1Bに示すエネルギー最適化システムの他の代替的な例示的実施形態として、各エネルギー源の動作領域を確立、維持、及び/又は調整するための制御システムを備えるエネルギー最適化システムを示す上位ブロック図
【
図5A】
図4に示すエネルギー変換システムの例示的実施形態として、エネルギー源から受け取った電気エネルギーに基づいて出力電力を生成するエネルギー変換システムを示す詳細図
【
図5B】エネルギー源に関連する動作環境及び/又はエネルギー源の動作状態に関する測定情報を
図4に示す制御システムに伝達するための1つ以上のセンサ信号を提供するためのセンサシステムの例示的実施形態を示す詳細図
【
図5C】
図4に示す制御システムの例示的実施形態を示す詳細図
【
図6A】
図4に示す制御システムにより実行されるエネルギー最適化方法の例示的実施形態を示す上位フローチャート
【
図6B】
図6Aに示すエネルギー最適化方法の例示的な代替的実施形態として、定量モデルパラメータを計算するステップを含む方法を示す上位フローチャート
【
図7A】
図4に示すエネルギー最適化システムの代替的な例示的実施形態として、エネルギー最適化システムを監視、指令、及び/又は制御するための補助制御システムを備えるエネルギー最適化システムを示す上位ブロック図
【
図7B】
図7Aに示すエネルギー最適化システムの代替的な例示的実施形態として、ユーザコンピュータシステムを備えるエネルギー最適化システムを示す上位ブロック図
【
図9】
図6A及び
図6Bに示すエネルギー最適化方法の他の例示的な代替的実施形態を示す詳細フローチャート
【
図10A】
図9に示すエネルギー最適化方法の例示的な代替的実施形態を示す詳細フローチャート
【
図10B】
図9に示すエネルギー最適化方法の例示的な代替的実施形態を示す詳細フローチャート
【
図10C】
図9に示すエネルギー最適化方法の例示的な代替的実施形態を示す詳細フローチャート
【
図11】
図7A及び
図7Bに示す補助制御システムが
図4に示す制御システムと相互作用する方法である、第1の相互作用方法の例示的実施形態を示す詳細フローチャート
【
図12A】
図7A及び
図7Bに示す補助制御システムの機械学習方法の例示的実施形態を示す詳細フローチャート
【
図12B】
図7A及び
図7Bに示す補助制御システムの機械学習方法の例示的実施形態を示す詳細フローチャート
【
図12C】
図7A及び
図7Bに示す補助制御システムの機械学習方法の例示的実施形態を示す詳細フローチャート
【
図12D】
図7A及び
図7Bに示す補助制御システムの機械学習方法の例示的実施形態を示す詳細フローチャート
【
図14】
図7A及び
図7Bに示す補助制御システムが
図7Bに示すユーザコンピュータシステムと相互作用する方法である、第2の相互作用方法の例示的実施形態を示す詳細フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0041】
なお、図面が縮尺通りの図ではないこと、並びに、説明のために、図面全体を通して、同様の構造又は機能を有する要素を同様の参照番号で総称的に表す場合があることに留意されたい。また、図面が、好ましい実施形態の説明を円滑に行うことを意図したものに過ぎないことにも留意されたい。図面は、本明細書に記載の実施形態のすべての態様を示すものではなく、本開示の範囲を限定するものでもない。
【0042】
エネルギー源の出力を最大化しようとする試みは、現在も行われているが、現在利用可能な方法は、試行錯誤で進められるものであり、ピーク出力動作が実現することはまずない上、動作や環境の変化に迅速に対応することができるものでもなかった。したがって、これらの欠点を克服する、エネルギーを最適化するためのシステム及び方法が望まれている。これらのシステム及び方法は、太陽、風力、潮汐、熱エネルギー源などの再生可能エネルギー源から得られるエネルギーの最適化を含めた幅広いシステムアプリケーションの基礎を提供するものである。そして、本明細書に開示する選択された実施形態によれば、
図1A及び
図1Bに示すようなエネルギー最適化システム100により、かかる効果を達成することができる。
【0043】
図1Aを参照すると、図示のエネルギー最適化システム100は、供給電圧、供給電流、及び/又は供給電力などのエネルギー220を供給する1つ以上のエネルギー源200と通信するためのエネルギー変換手段(エネルギー変換システム)300を備えている。エネルギー変換システム300は、任意の従来型の方法で、エネルギー源200から供給エネルギー220を受け取ることができる。エネルギー源200は、例えば、無線伝送システム(図示せず)及び/又は1つ以上のケーブルを備える有線伝送システム(図示せず)を介して、供給エネルギー220をエネルギー変換システム300に提供することができる。エネルギー変換システム300は、受け取った供給エネルギー220に基づいて、出力電圧及び/又は出力電流などの出力電力230(
図1Bに図示)を生成することができる。つまり、やや異なる言い方をすれば、エネルギー源200は、生成された出力電力230に寄与することができる。
【0044】
この1つ以上のエネルギー源200は、エネルギー変換システム300から遠い場所、及び/又はエネルギー変換システム300に近い場所に位置することができる。つまり、やや異なる言い方をすれば、エネルギー変換システム300は、その少なくとも一部(又は全体)を、1つ以上のエネルギー源200のうちの少なくとも1つのエネルギー源200の動作環境250内に配置することができ、及び/又は、かかる動作環境250から遠隔に位置することもできる。選択された実施形態では、エネルギー源200のうちの1つ以上を共通の動作環境250に関連付けることができ、及び/又はエネルギー源200を、複数の切り離された動作環境250に分散させることもできる。第1の動作環境250は、第2の動作環境250に近く且つ/又は第3の動作環境250から遠い位置とすることができる。
【0045】
有利なことに、エネルギー最適化システム100は、好ましくはリアルタイムで、各エネルギー源200が提供する供給エネルギー220の最大化などの最適化を行うことができる。エネルギー最適化システム100は、例えば、エネルギー源200が提供する供給エネルギー220を最適化するように、それぞれのエネルギー源200の動作点(又は、動作領域)を確立及び/又は維持することができる。選択された実施形態では、任意選択的に、エネルギー最適化システム100は、動作領域を適宜調整することができる。この調整は、関連エネルギー源200の動作環境250における1つ以上の環境変化、及び/又は当該エネルギー源200自体に対する1つ以上の動作変化に適応するために行われ得る。これにより、エネルギー最適化システム100は、エネルギー源200が、ピーク効率及び/又はピーク電力(又は、そのごく近傍)で継続的に動作することを可能にすることができる。つまり、やや異なる言い方をすれば、有利なことに、エネルギー最適化システム100により、試行錯誤的なアプローチで模索を行うことも、それに伴う電力損失を生じることもなく、エネルギー源200がピーク効率及び/又はピーク電力を瞬時に達成(又は、ほぼ達成)することが可能となり得る。
【0046】
各エネルギー源200は、任意の従来型のエネルギー源を含むことができる。選択された実施形態では、エネルギー源200として、太陽、風力、潮汐、熱エネルギー源などの再生可能エネルギー源を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。例示的な風力エネルギー源としては、風で駆動するように構成された発電機(図示せず)を挙げることができ、例示的な潮汐エネルギー源としては、潮汐変化により作動するように構成された発電機(図示せず)を挙げることができる。
図1Bの例示的なエネルギー最適化システム100に示すように、例えば、エネルギー源200は、光起電デバイス210を含むことができる。例示的な光起電デバイス210としては、太陽エネルギーを受け取り、受け取った太陽エネルギーを供給エネルギー220に変換するための、太陽電池、太陽電池のアレイ、太陽電池パネル、及び/又は太陽電池パネルアレイなどを挙げることができる。
【0047】
太陽電池アレイは、例えば、所定の太陽電池構成で配置された複数の太陽電池を含むことができる。所定の太陽電池構成は、並列の太陽電池配置及び/又は直列の太陽電池配置を含むことができるが、これらに限定されるものではない。これに加えて及び/又は代えて、太陽電池パネルアレイは、所定の太陽電池パネル構成で配置された複数の太陽電池パネルを含むことができる。所定の太陽電池パネル構成は、並列の太陽電池パネル配置及び/又は直列の太陽電池パネル配置を含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0048】
任意選択的に、変換システム300は、
図1Bに示すように、生成された出力電力230を負荷400に提供することができる。例示的な負荷400としては、送配電網410を挙げることができるが、これに限定されるものではない。エネルギー変換システム300は、光起電デバイス210から供給エネルギー220を受け取り、必要に応じて、受け取った供給エネルギー220を、負荷400が使用するのに適した形式の出力電力230に変換することができる。例えば、エネルギー変換システム300は、任意選択的に、少なくとも1つの電力インバータ320を備えることができる。電力インバータ320は、光起電デバイス210が提供する直流(DC)電気エネルギーを、負荷400が使用するのに適した交流(AC)電気エネルギーに変換することができる。交流電気エネルギーの振幅、周波数、デューティ比、位相、位相数、及び/又は他の特性は、国、地域などの現地の電気エネルギー要件に基づいたものとすることができる。
【0049】
選択された実施形態では、エネルギー変換システム300は、2つ以上の出力電圧で、及び/又は2つ以上の出力電流で、出力電力230を特定の負荷400に提供することができる。これに加えて及び/又は代えて、エネルギー変換システム300は、出力電力230を2つ以上の負荷400に提供することができる。出力電力230は、負荷400間で均一とする且つ/又は変化させることができる。例えば、エネルギー変換システム300は、第1の出力電流を有する第1の出力電圧と、第2の出力電流を有する第2の出力電圧とを生成することができる。限定されるものではないが、これにより、エネルギー変換システム300は、第1の出力電圧及び第2の出力電圧を第1の負荷400に提供することができ、及び/又は、第1の出力電圧を第2の負荷400に、第2の出力電圧を第3の負荷400に提供することができる。
【0050】
各エネルギー源200は、1つ以上の供給源特性を有することができる。供給源特性は、1つ以上の特性曲線1500で規定することができる。供給源特性は、異なる種類のエネルギー源200間で、同様且つ/又は異なり得る。光起電デバイス210(
図1Bに図示)の例示的な特性曲線1500を、
図2A、
図2B、
図3A、及び
図3Bに示す。
図2Aを参照すると、例えば、特性曲線1500は、少なくとも1つの電流-電圧特性曲線1510を含むことができる。電流-電圧特性曲線1510は、光起電デバイス210から供給される電流と電圧との間の関係を例示し得るものである。
図2Aに示すように、電流-電圧特性曲線1510は、X軸に電圧、Y軸に電流をとったグラフで示すことができる。
【0051】
図2Aに示す電流-電圧特性曲線1510は、光起電デバイス210の電流-電圧特性を示している。なお、光起電デバイス210が有する供給源特性のうち、所定の数の供給源特性が調整などにより可変とされる一方、1つ以上の他の供給源特性は固定(すなわち、一定)のレベルに維持される。所定の数の可変の供給源特性は、好ましくは、少数(又は、限られた数)で構成され、選択された実施形態では、1つの可変の供給源特性で構成することができる。
【0052】
光起電デバイス210の供給電流と供給電圧の関係は、例えば、光起電デバイス210に入射する光の強度に応じて変化し得る。光起電デバイス210に入射する光の強度が大きくなると、光起電デバイス210の供給電流レベルが上昇し得る。
図2Aは、光起電デバイス210の動作温度などの他の供給源特性をそれぞれ一定レベルに維持した場合の、光起電デバイス210に入射する、選択された強度の光に対する光起電デバイス210の例示的な電流-電圧特性を示している。つまり、やや異なる言い方をすれば、図示の各電流-電圧特性曲線1510は、予め選択された固定温度を有する動作環境250(
図1Aに図示)内に光起電デバイス210が配置されている場合の、所定の(太陽)放射照度に対する特性曲線である。
【0053】
図2Aは、光起電デバイス210に入射する光について、3つの異なる選択された光強度に対する光起電デバイス210の3つの例示的な電流-電圧特性曲線1510A~Cを示している。
図2Aに示すように、第1の選択された放射照度である1平方メートルあたり200ワットの放射照度に対する第1の電流-電圧特性曲線1510Aに関連する供給電流レベルは、第2の選択された放射照度である1平方メートルあたり600ワットの放射照度に対する第2の電流-電圧特性曲線1510Bに関連する供給電流レベルを下回り得る。また、第2の選択された放射照度である1平方メートルあたり600ワットの放射照度に対する第2の電流-電圧特性曲線1510Bに関連する供給電流レベルは、第3の選択された放射照度である1平方メートルあたり1000ワットの放射照度に対する第3の電流-電圧特性曲線1510Cに関連する供給電流レベルを下回り得る。
【0054】
図示の各電流-電圧特性曲線1510A~Cの傾き1518は、電流-電圧特性曲線1510の変曲点(又は、変曲領域)1512に達するまでほぼゼロに等しい。また、変曲領域1512を越えると、傾き1518が急な負の傾きに変化することが示されている。電流-電圧特性曲線1510の傾き1518の変化は、様々な放射照度に対して起こり得る。
【0055】
電流-電圧特性曲線1510は、開放手段電圧1514及び/又は短絡手段電流1516を有することができる。開放手段電圧1514は、電流-電圧特性曲線1510がx軸と交差する電圧で構成することができる。つまり、やや異なる言い方をすれば、光起電デバイス210の供給電流は、開放手段電圧1514においてゼロに等しくなり得る。短絡手段電流1516は、電流-電圧特性曲線1510がy軸と交差する電流で構成することができる。言い換えれば、光起電デバイス210の供給電圧は、短絡手段電流1516においてゼロに等しくなり得る。
【0056】
光起電デバイス210(
図1Bに図示)のさらなる特性曲線1500を、
図2Bに示す。
図2Bに示す特性曲線1500は、光起電デバイス210(
図1Bに図示)の少なくとも1つの他の電流-電圧特性曲線1520を含むことができ、光起電デバイス210の供給電流と供給電圧との他の関係を例示し得るものである。
図2Aに示すグラフと同様に、電流-電圧特性曲線1520は、X軸に電圧、Y軸に電流をとったグラフで示されている。
【0057】
図2Aに示す電流-電圧特性曲線1510に関して上述したように、
図2Bに示す電流-電圧特性曲線1520も、光起電デバイス210の電流-電圧特性を示している。なお、光起電デバイス210が有する供給源特性のうち、所定の数の供給源特性が調整などにより可変とされる一方、1つ以上の他の供給源特性は固定(すなわち、一定)のレベルに維持される。光起電デバイス210の供給電流と供給電圧の関係は、光起電デバイス210の動作環境250(
図1Aに図示)における少なくとも1つの環境変化に応じて変化し得る。
【0058】
選択された実施形態では、動作温度が上昇すると、光起電デバイス210の供給電流レベルが上昇し得る。
図2Bは、光起電デバイス210に入射する光の強度などの他の供給源特性をそれぞれ一定レベルに維持した場合の、選択された動作温度に対する光起電デバイス210の例示的な電流-電圧特性曲線1520を示している。言い換えれば、光起電デバイス210が一定の放射照度を受けた場合の電流-電圧特性曲線1520を例示している。
【0059】
図2Bは、3つの異なる選択された動作温度に対する光起電デバイス210の3つの例示的な電流-電圧特性曲線1520A~Cを示している。
図2Bに示すように、各電流-電圧特性曲線1520の傾き1528は、変曲点(又は、変曲領域)1522に達するまで、ほぼゼロに等しくなり得る。また、変曲領域1522を越えると、傾き1528が急な負の傾きに変化することが示されている。各電流-電圧特性曲線1520は、開放手段電圧1524及び/又は短絡手段電流1526を有することができる。開放手段電圧1524は、電流-電圧特性曲線1520がx軸と交差する電圧で構成することができる。つまり、やや異なる言い方をすれば、光起電デバイス210の供給電流は、開放手段電圧1524においてゼロに等しくなり得る。短絡手段電流1526は、電流-電圧特性曲線1520がy軸と交差する電流で構成することができる。言い換えれば、光起電デバイス210の供給電圧は、短絡手段電流1526においてゼロに等しくなり得る。
【0060】
動作温度の変化に伴い、光起電デバイス210の1つ以上の動作特性も変化し得る。動作温度が上昇すると、電流-電圧特性曲線1520の変曲領域1522、短絡手段電流1526、及び/又は開放手段電圧1524は、
図2Bに示すようにシフトし得る。例えば、短絡手段電流1526は、動作温度が上昇(又は低下)するにつれて増大(又は減少)し得る。これに加えて及び/又は代えて、選択された温度が-10℃の場合の第1の電流-電圧特性曲線1520Aに対する変曲領域1522及び開放手段電圧1524は、選択された温度が20℃の場合の第2の電流-電圧特性曲線1520Bに対する変曲領域1522及び開放手段電圧1524よりも、それぞれ図の右側にある。同様に、選択された温度が20℃の場合の第2の電流-電圧特性曲線1520Bに対する変曲領域1522及び開放手段電圧1524は、選択された温度が40℃の場合の第3の電流-電圧特性曲線1520Cに対する変曲領域1522及び開放手段電圧1524よりも、それぞれ図の右側にある。
【0061】
これに加えて及び/又は代えて、エネルギー源200の1つ以上の他の特性に関するグラフを生成することもできる。例えば、特性曲線1500は、エネルギー源200(
図1Aに図示)の少なくとも1つの電力-電圧特性曲線を含むことができる。
図3A及び
図3Bに示すように、例示的な電力-電圧特性曲線1530、1540は、光起電デバイス210(
図1Bに図示)の供給電力と供給電圧との関係を例示し得るものである。光起電デバイス210の供給電力と供給電圧の関係の少なくとも一部は、上記にて
図2A及び
図2Bを参照しながら詳細に説明した光起電デバイス210の供給電流と供給電圧の関係に基づき得る。
【0062】
図3A及び
図3Bに示すように、電力-電圧特性曲線1530、1540は、X軸に電圧、Y軸に電力をとったグラフで示すことができる。電力-電圧特性曲線1530、1540は、光起電デバイス210の電力-電圧特性を示している。なお、光起電デバイス210が有する供給源特性のうち、所定の数の供給源特性が調整などにより可変とされる一方、1つ以上の他の供給源特性は固定(すなわち、一定)のレベルに維持される。所定の数の可変の供給源特性は、好ましくは、少数(又は、限られた数)で構成され、選択された実施形態では、1つの可変の供給源特性で構成することができる。
【0063】
図3Aを参照すると、光起電デバイス210の供給電力と供給電圧の関係は、例えば、光起電デバイス210に入射する光の強度に応じて変化し得る。光起電デバイス210に入射する光の強度が大きくなると、光起電デバイス210の供給電力レベルが上昇し得る。
図3Aは、光起電デバイス210の動作温度などの他の供給源特性をそれぞれ一定レベルに維持した場合の、光起電デバイス210に入射する、選択された強度の光に対する光起電デバイス210の例示的な電力-電圧特性を示している。つまり、やや異なる言い方をすれば、図示の電力-電圧特性曲線1530は、予め選択された固定温度を有する動作環境250(
図1Aに図示)内に光起電デバイス210が配置されている場合の、所定の放射照度に対する特性曲線である。
【0064】
図3Aは、光起電デバイス210に入射する光について、3つの異なる選択された光強度に対する光起電デバイス210の3つの例示的な電力-電圧特性曲線1530A~Cを示している。
図3Aに示すように、第1の選択された放射照度である1平方メートルあたり200ワットの放射照度に対する第1の電力-電圧特性曲線1530Aに関連する供給電力レベルは、第2の選択された放射照度である1平方メートルあたり600ワットの放射照度に対する第2の電力-電圧特性曲線1530Bに関連する供給電力レベルを下回り得る。同様に、第2の選択された放射照度である1平方メートルあたり600ワットの放射照度に対する第2の電力-電圧特性曲線1530Bに関連する供給電力レベルは、第3の選択された放射照度である1平方メートルあたり1000ワットの放射照度に対する第3の電力-電圧特性曲線1530Cに関連する供給電力レベルを下回り得る。
【0065】
各電力-電圧特性曲線1530は、開放手段電圧1534を有することができる。開放手段電圧1534は、電力-電圧特性曲線1530がx軸と交差する電圧で構成することができる。つまり、やや異なる言い方をすれば、光起電デバイス210の供給電力は、開放手段電圧1534においてゼロに等しくなり得る。各電力-電圧特性曲線1530の傾き1538は、グラフの縦軸(又は、原点)1550と電力-電圧特性曲線1530の変曲点(又は、変曲領域)1532との間では、正の傾きとなる。そして、傾き1538は変曲領域1532で負に変化し、開放手段電圧1534に達するまで負の傾きである。
【0066】
これに加えて及び/又は代えて、光起電デバイス210の供給電力と供給電圧の関係は、光起電デバイス210の動作環境250(
図1Aに図示)に応じて変化し得る。選択された実施形態では、動作温度が上昇すると、光起電デバイス210の供給電力レベルが低下し得る。
図3Bは、光起電デバイス210(
図1Bに図示)に入射する光の強度などの他の供給源特性をそれぞれ一定レベルに維持した場合の、選択された動作温度に対する光起電デバイス210の例示的な電力-電圧特性曲線1540を示している。言い換えれば、光起電デバイス210が一定の放射照度を受けた場合の電力-電圧特性曲線1540を例示している。
【0067】
図3Bは、3つの異なる選択された動作温度に対する光起電デバイス210の3つの例示的な電力-電圧特性曲線1540A~Cを示している。
図3Bに示すように、選択された温度が-10℃の場合の第1の電力-電圧特性曲線1540Aに関連する供給電力レベルは、選択された温度が20℃の場合の第2の電力-電圧特性曲線1540Bに関連する供給電力レベルを下回り得る。同様に、選択された温度が20℃の場合の第2の電力-電圧特性曲線1540Bに関連する供給電力レベルは、選択された温度が40℃の場合の第3の電力-電圧特性曲線1540Cに関連する供給電力レベルを下回り得る。
【0068】
各電力-電圧特性曲線1540A~Cは、開放手段電圧1544を有することができる。開放手段電圧1544は、電力-電圧特性曲線1540がx軸と交差する電圧で構成することができる。言い換えれば、光起電デバイス210の供給電力は、開放手段電圧1544においてゼロに等しくなり得る。各電力-電圧特性曲線1540の傾き1548は、グラフの縦軸(又は、原点)1550と電力-電圧特性曲線1540の変曲点1542との間では、正の傾きとなる。そして、傾き1548は変曲点1542で負に変化し、開放手段電圧1544に達するまで負の傾きである。なお、
図2A、
図2B、
図3A、及び
図3B、ならびにこれらを参照して行った説明では、特性曲線1500を、光起電デバイス210の電流-電圧特性曲線及び電力-電圧特性曲線を含むものとして記載しているが、かかる説明は例示的なものに過ぎない。特性曲線1500は、任意の所定の種類のエネルギー源200の任意の予め選択された供給源特性に対する1つ以上のグラフを含むことができ、特に限定されるものではない。
【0069】
有利なことに、
図1A及び
図1Bに示すエネルギー最適化システム100は、光起電デバイス210などのエネルギー源200の動作環境250における、温度変化などの変動を考慮して、エネルギー源200の動作領域を確立及び/又は維持することができる。エネルギー最適化システム100は、例えば、エネルギー源200の動作環境250の変動を直接的なやり方及び/又は間接的なやり方で考慮することができる。選択された実施形態では、エネルギー最適化システム100は、エネルギー源200の動作環境250内の温度及び/又は放射照度などの変動に少なくとも一部基づいて、エネルギー源200のピーク効率及び/又はピーク電力を発見及び/又は追跡することができる。
【0070】
図3Aに示す電力-電圧特性曲線1530A~Cを参照して、例えば、光起電デバイス210の動作領域が、第3の電力-電圧特性曲線1530Cの変曲領域1532Cに設定されている時に、光起電デバイス210への放射照度が、1平方メートルあたり1000ワットから1平方メートルあたり200ワットに変化した場合を考える。その場合、有利なことに、エネルギー最適化システム100は、1平方メートルあたり200ワットの放射照度に対応する第1の電力-電圧特性曲線1530Aの変曲領域1532Aまで、光起電デバイス210の動作領域を調整することができる。言い換えれば、エネルギー最適化システム100は、光起電デバイス210の動作領域を、第3の電力-電圧特性曲線1530Cの変曲領域1532Cから第1の電力-電圧特性曲線1530Aの変曲領域1532Aへとシフトさせることができる。これにより、エネルギー最適化システム100は、エネルギー源200の動作環境250の変動及び/又はエネルギー源200自体の動作状態の変動に関わらず、エネルギー源200が、ピーク効率及び/又はピーク電力(又は、そのごく近傍)で継続的に動作することを可能にする動作領域を確立及び/又は維持することができる。
【0071】
図1A及び
図1Bを参照しながら上述したように、エネルギー最適化システム100は、エネルギー源200が、好ましくはリアルタイムで、ピーク電力(又は、そのごく近傍)で継続的に動作することを可能にすることができる。
図4を参照すると、図示のエネルギー最適化システム100は、エネルギー変換システム300と通信するための制御手段(制御システム)110を備えている。制御システム110は、エネルギー源200が提供する供給エネルギー220を最適化するように、それぞれのエネルギー源200の動作点(又は、動作領域)を確立及び/又は維持することができる。選択された実施形態では、制御システム110は、各エネルギー源200に関連する動作環境250及び/又は各エネルギー源200の動作状態を監視することができる。
【0072】
制御システム110は、各エネルギー源200の動作領域を調整して、監視対象の動作環境250におけるいかなる環境変化及び/又は監視対象のエネルギー源200に対するいかなる動作変化にも、動作領域を適応させることができる。制御システム110は、各エネルギー源200の動作領域の確立、維持、及び/又は調整を行うことにより、各エネルギー源200から取得することのできる供給エネルギー220、及び/又はエネルギー最適化システム100により生成される出力電力230(
図1A及び
図1Bに図示)を制御することができる。有利なことに、制御システム110は、監視対象の動作環境250におけるいかなる環境変化及び/又は監視対象のエネルギー源200に対するいかなる動作変化も考慮することによって、各エネルギー源200から取得することのできる最適又は(ほぼ)最大のレベルの供給エネルギー220を抽出することができる。
【0073】
図4に示すように、制御システム110は、エネルギー変換システム300に対して、1つ以上の変換器制御信号119Bを送信することができる。エネルギー変換システム300は、変換器制御信号119Bを使って、各エネルギー源200の動作領域を確立及び/又は維持することができる。エネルギー変換システム300の例示的実施形態を、
図5Aに示す。
図5Aを参照すると、
図1Bを参照しながら上述したように、エネルギー変換システム300は、電力インバータ320を備えることができる。
図5Aに示すエネルギー変換システム300は、直流-交流(DC-AC)インバータ手段(インバータシステム)322と通信する直流-直流(DC-DC)変換手段(変換システム)310を備えている。例えば、電力インバータ320が、DC-ACインバータシステム322を備えることができるが、これに限定されるものではない。
【0074】
DC-DC変換システム310は、関連エネルギー源200(
図1A及び
図1Bに図示)により供給される電圧、電流、及び/又は電力などの電気エネルギー220を受け取り、受け取った電気エネルギー220を、中間DC電圧及び/又は中間DC電流などの中間直流(DC)電力225に変換することができる。例示的なDC-DC変換システム310としては、昇圧(boost)変換器手段(変換器システム)、降圧(buck)変換器手段(変換器システム)、及び/又はフライバック(flyback)変換器手段(変換器システム)を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。選択された実施形態では、昇圧変換器システムは、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、及び/若しくは絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)などの1つ以上のトランジスタ、並びに/又は1つ以上のインダクタを有する従来型の昇圧変換器を備えることができるが、これに限定されるものではない。これに加えて及び/又は代えて、降圧変換器システムは、1つ以上のトランジスタ及び/又は1つ以上のインダクタを有する従来型の降圧変換器を備えることができるが、これに限定されるものではない。
【0075】
金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ及び/又は絶縁ゲートバイポーラトランジスタの1つ以上のゲート電極(図示せず)は、制御システム110が送信する変換器制御信号119Bなどの、中間DC電力225を制御するための1つ以上の制御信号を受信することができる。有利なことに、変換器制御信号119Bにより、関連エネルギー源200から供給される電気エネルギー220及び/又は関連エネルギー源200の動作領域を制御することができる。DC-DC変換システム310内のゲート電極に印加する変換器制御信号119Bのデューティ比、パルス幅、及び/又はパルス持続時間を変化させることにより、例えば、中間DC電力225、供給電気エネルギー220、及び関連エネルギー源200の動作領域を制御することができる。いくつかの実施形態では、エネルギー変換システム300は、関連エネルギー源200から供給される電気エネルギー220及び/又は関連エネルギー源200の動作領域を制御するためのパルス幅変調手段(変調システム)及び/又はパルス持続時間変調手段(変調システム)を備えることができる。
【0076】
図5Aに示すように、DC-DC変換システム310は、DC-ACインバータシステム322に、中間DC電力225を提供することができる。言い換えれば、DC-DC変換システム310は、DC-ACインバータシステム322の入力電極(入力端子)に結合し、中間DC電力225を提供するための出力電極(出力端子)を備えることができる。DC-ACインバータシステム322は、中間DC電力225を交流(AC)出力電力230に変換するための、1つ以上のMOSFET及び/又は1つ以上のIGBTなどの1つ以上のスイッチ(図示せず)を備えることができる。
【0077】
DC-ACインバータシステム322のスイッチは、制御システム110が送信する変換器制御信号119Bなどの、DC-ACインバータシステム322及び/又は出力電力230を制御するための1つ以上の制御信号を受信することができる。選択された実施形態では、スイッチは、DC-ACインバータシステム322が中間DC電力225から正弦波波形を有するAC出力電力230を形成することを可能にする1つ以上のインダクタ(図示せず)及び/又は変圧器(図示せず)に、パルス列を印加することができる。そして、
図1Bを参照しながら上述したように、DC-ACインバータシステム322は、負荷400(
図1Bに図示)が使用するのに適した形式で出力電力230を提供することができる。
【0078】
図4を再び参照すると、図示の制御システム110は、少なくとも1つのセンサ手段(センサシステム)120を介して、各エネルギー源200に関連する動作環境250及び/又は各エネルギー源200の動作状態を監視するように構成されている。言い換えれば、1つ以上のセンサシステム120を、複数のエネルギー源200に関連する(1つ以上の)動作環境250内に配置することができる。例えば、第1の供給源センサシステム120を、第1のエネルギー源200に関連する第1の動作環境250内に配置することができ、第2の供給源センサシステム120を、第2のエネルギー源200及び第3のエネルギー源200に関連する第2の動作環境250内に配置することができ、及び/又は、第3のセンサシステム120及び第4のセンサシステム120を、第4のエネルギー源200に関連する第3の動作環境250内に配置することができる。選択された実施形態では、供給源センサシステム120は、関連エネルギー源200に隣接して配置することができ、且つ/又は関連エネルギー源200と結合などの方法で通信することができる。
【0079】
供給源センサシステム120は、複数のエネルギー源200に関連する(1つ以上の)動作環境250及び/又は複数のエネルギー源200の動作状態についての少なくとも1つの特性を測定するように構成することができ、測定した特性に関する情報を制御システム110に伝達するための1つ以上のセンサデータ信号129を提供することができる。
図5Bに示すように、例えば、予め選択された動作環境250及び/又は予め選択されたエネルギー源200用の供給源センサシステム120は、所定の数のセンサ手段(センササブシステム)121~127を備えることができる。センササブシステム121~127は、選択された動作環境250及び/又は選択されたエネルギー源200の動作状態についての特性をそれぞれ測定する。センササブシステム121~127は、(1つ以上の)動作環境250及び/又はエネルギー源200の任意の予め選択された種類の動作状態についての任意の予め選択された特性を測定するのに適した任意の従来型のセンササブシステムを含むことができる。
【0080】
例示的なセンササブシステムとしては、選択されたエネルギー源200の内部の温度を測定するための1つ以上の内部温度センサ手段(センササブシステム)121、及び/又は選択されたエネルギー源200の外部の選択された動作環境250の温度を測定するための1つ以上の外部温度センサ手段(センササブシステム)122を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。内部温度センササブシステム121は、測定した内部の温度に基づいて内部温度データ信号121Aを生成し、内部温度データ信号121Aを制御システム110に提供することができる。選択された実施形態では、外部温度センササブシステム122は、測定した外部の温度に基づいて外部温度データ信号122Aを生成し、外部温度データ信号122Aを制御システム110に提供することができる。
【0081】
例示的な内部温度センササブシステム121及び/又は例示的な外部温度センササブシステム122は、温度に相関する電圧レベル、インピーダンスレベルなどの値を生成する1つ以上の熱電対(図示せず)、1つ以上のダイオード(図示せず)、1つ以上の抵抗器(図示せず)、及び/又は1つ以上の他の電気的(電子的)温度感知デバイス(図示せず)を備えることができるが、これらに限定されるものではない。選択された実施形態では、内部温度センササブシステム121及び/又は外部温度センササブシステム122のうちの少なくとも1つは、選択されたエネルギー源200における熱温度を示す1つ以上の画像を取り込むように構成されたカメラシステム(図示せず)を備えることができる。
【0082】
これに加えて及び/又は代えて、センササブシステムには、選択されたエネルギー源200により生成された出力電圧を測定するための1つ以上の電圧センサ手段(センササブシステム)123、選択されたエネルギー源200により生成された出力電流を測定するための1つ以上の電流センサ手段(センササブシステム)124、及び/又は、選択されたエネルギー源200により生成された出力電力を測定するための1つ以上の電力センサ手段(センササブシステム)(図示せず)が含まれ得るが、これらに限定されるものではない。電圧センササブシステム123は、選択されたエネルギー源200により生成された出力電圧の測定値に基づいて出力電圧測定データ信号123Aを生成し、出力電圧測定データ信号123Aを制御システム110に提供することができる。選択された実施形態では、電流センササブシステム124は、選択されたエネルギー源200により生成された出力電流の測定値に基づいて出力電流測定データ信号124Aを生成し、出力電流測定データ信号124Aを制御システム110に提供することができ、一方、電力センササブシステムは、選択されたエネルギー源200により生成された出力電力の測定値に基づいて出力電力測定データ信号(図示せず)を生成し、出力電力測定データ信号を制御システム110に提供することができる。
【0083】
任意選択的に、センササブシステムには、選択された動作環境250及び/又は選択されたエネルギー源200のうちの少なくとも1つの画像を取り込むための1つ以上の画像センサ手段(センササブシステム)125、選択された動作環境250及び/又は選択されたエネルギー源200における(太陽)放射照度を測定するための1つ以上の日射計センサ手段(センサシステム)126、及び/又は選択された動作環境250及び/又は選択されたエネルギー源200における風速を測定するための1つ以上の風速計センサ手段(センササブシステム)127が含まれ得る。画像センササブシステム125は、取り込んだ画像に基づいて画像データ信号125Aを生成し、画像データ信号125Aを制御システム110に提供することができる。
【0084】
選択された実施形態では、画像センササブシステム125は、選択されたエネルギー源200の内部の温度及び/又は選択された動作環境250の温度に応答することができる温度作動型の撮像センササブシステムで構成することができる。例えば、選択されたエネルギー源200の内部の温度が所定のエネルギー源閾値温度以上であるとき、及び/又は選択された動作環境250内の温度が所定の動作環境閾値温度以上であるときに、画像センササブシステム125を起動して、選択された動作環境250及び/又は選択されたエネルギー源200の画像を取り込むことができる。言い換えれば、内部温度センササブシステム121により測定される、選択されたエネルギー源200の内部温度の値が、所定のエネルギー源閾値温度以上であるとき、及び/又は外部温度センササブシステム122により測定される、選択された動作環境250における選択されたエネルギー源200の外部の温度の値が、所定の動作環境閾値温度以上であるときに、画像センササブシステム125を起動して、選択された動作環境250及び/又は選択されたエネルギー源200の画像を取り込むことができる。
【0085】
これに加えて及び/又は代えて、日射計センササブシステム126は、放射照度の測定値に基づいて放射照度データ信号126Aを生成し、放射照度データ信号126Aを制御システム110に提供することができ、及び/又は風速計センササブシステム127は、風速の測定値に基づいて風速データ信号127Aを生成し、風速データ信号127Aを制御システム110に提供することができる。なお、
図5B及びこれを参照して行った説明では、供給源センサシステム120を、選択された例示的なセンササブシステム121~127を備えるものとして記載しているが、かかる説明は例示的なものに過ぎない。供給源センサシステム120は、複数のエネルギー源200に関連する(1つ以上の)動作環境250及び/又は複数のエネルギー源200の動作状態についての選択された特性を測定して、測定した特性に関する情報を制御システム110に伝達するためのセンサ信号121A~127Aを提供するためのセンササブシステムを、任意の組み合わせ、配置又は集合で備えることができる。
【0086】
有利なことに、供給源センサシステム120は、エネルギー源200の動作環境250内の現在の環境状態(及び/又は、任意の環境変化)、及び/又はエネルギー源200自体の現在の動作状態(及び/又は、任意の動作変化)を検出することができる。
図5Bを参照すると、例えば、内部温度センササブシステム121及び/又は外部温度センササブシステム122は、動作環境250における現在の温度状態及び/又は任意の温度変化を測定することができる。限定されるものではないが、日射計センササブシステム126は、動作環境250における現在の放射照度又は放射照度の変化を測定することができ、風速計センササブシステム127は、動作環境250における風速又は風速の変化を測定することができる。
【0087】
現在の水位(潮位)及び/又は任意の水位(潮位)変化などの他の任意の環境要因も、供給源センサシステム120の1つ以上の(例えば、エネルギー源200の性質に応じた)適切なセンササブシステムを介して測定することができる。センササブシステムの選択は、例えば、特定のエネルギー源200の性質に一部基づいて行うことができる。言い換えれば、太陽発電、風力発電、潮汐発電、及び熱発電などの、特定のエネルギー源200が供給エネルギー220を供給する方法に基づいて、1つ以上のセンササブシステムを選択することができる。
【0088】
例えば、エネルギー源200が風力エネルギー源を含む場合、センササブシステムは、1つ以上の上述した風速計センササブシステム127、風力エネルギー源が生成するトルクを測定するための1つ以上のトルクセンサ手段(センササブシステム)(図示せず)、及び/又は風力エネルギー源の角速度を測定するための1つ以上の角速度センサ手段(センササブシステム)(図示せず)を含むことができるが、これらに限定されるものではない。これに加えて及び/又は代えて、エネルギー源200が潮汐エネルギー源を含む場合、センササブシステムは、現在の水位及び/又は任意の水位変化率を測定するための1つ以上の加速度計などの水位センサ手段(センササブシステム)(図示せず)を含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0089】
動作環境250内の環境変化は、温度、太陽の位置及び/又は天候の変化に関連したものであり得る。これに加えて及び/又は代えて、エネルギー源200の経年劣化、(徐々に蓄積する)汚れ、受けた太陽光の量、及び/又は洗浄などの保守といった要因の影響を受ける、エネルギー源200の現在の動作状態及び/又は任意の動作変化も、供給源センサシステム120により検出することができる。エネルギー源200の現在の動作状態及び/又は任意の動作変化を検出するための例示的なセンササブシステムとしては、電圧センササブシステム123、電流センササブシステム124、及び/又は画像センササブシステム125を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0090】
センササブシステム121~127は、任意の従来型の方法で、センサ信号121A~127Aを制御システム110に提供することができる。
図5Bに示すように、センササブシステム121~127と制御システム110は、例えば、無線通信システム(図示せず)及び/又は有線通信システム128を介して結合することができる。これに加えて及び/又は代えて、センササブシステム121~127は、制御システム110と直接的及び/又は間接的に通信することができる。言い換えれば、センササブシステム121~127は、制御システム110に直接結合することができ、且つ/又は、1つ以上の中間システム要素を介して間接的に制御システム110に結合することができる。
【0091】
図5Bに示すように、例えば、センササブシステム121~127は、センサインタフェース手段(インタフェースシステム)128Aを介して、制御システム110に結合することができる。図示のセンサインタフェースシステム128Aは、センササブシステム121~127のそれぞれからセンサ信号121A~127Aを受信し、センサ信号121A~127Aをセンサデータ信号129として制御システム110に提供している。言い換えれば、センサインタフェースシステム128Aは、センサ信号121A~127Aを合成することにより、センサ信号121A~127Aの合成信号であるセンサデータ信号129を提供することができる。センサインタフェースシステム128Aは、限定されないが、時分割多重化法、周波数分割多重化法、及び/又は重層化法などの任意の適切な方法で、センサ信号121A~127Aを合成することができる。
【0092】
ここで一旦
図5Aに戻ると、変換器センサ手段(センサシステム)330を、エネルギー変換システム300に関連付けることができる。選択された実施形態では、変換器センサシステム330は、エネルギー変換システム300で受け取った電気エネルギー220の電流、電圧、及び/又は電力、中間DC電力225、及び/又はエネルギー変換システム300が生成した出力電力230を測定することができる。変換器センサシステム330は、1つ以上の変換器データ信号119Aを介して、電流、電圧、及び/又は電力の測定値を制御システム110に提供することができる。
【0093】
選択された実施形態では、変換器センサシステム330は、電圧測定値を制御システム110に提供するための1つ以上の電圧センサ手段(センササブシステム)、電流測定値を制御システム110に提供するための1つ以上の電流センサ手段(センササブシステム)(図示せず)、及び/又は、電力測定値を制御システム110に提供するための1つ以上の電力センサ手段(センササブシステム)を備えることができる。かかる電圧センササブシステムは、例えば、
図5Bに示す電圧センササブシステム123のように設けることができる。これに加えて及び/又は代えて、かかる電流センササブシステムは、例えば、
図5Bに示す電流センササブシステム124のように設けることができる。
【0094】
選択された実施形態では、変換器センサシステム330の選択された電圧センササブシステムを、DC-DC変換システム310の入力端子と結合し、DC-DC変換システム310で受け取った供給電気エネルギー220の電圧レベルを測定することができる。当該選択された電圧センササブシステムは、測定された電圧レベルに対応するデジタルワードを有する選択された変換器データ信号119Aを提供するためのアナログ-デジタル変換器(ADC)電圧センササブシステムを備えることができる。任意選択的に、変換器センサシステム330の選択された電流センササブシステム(又は、電力センササブシステム)を、DC-DC変換システム310の入力端子と結合し、DC-DC変換システム310で受け取った供給電気エネルギー220の電流レベル(又は、電力レベル)を測定することもできる。当該選択された電力センササブシステムは、測定された電力レベルに対応する信号電圧レベルを有する選択された変換器データ信号119Aを提供するためのシャント抵抗器、差動演算増幅器センササブシステム、及び/又はホール効果センササブシステムを備えることができる。
【0095】
これに加えて及び/又は代えて、変換器センサシステム330は、例えば、DC-DC変換システム310の出力端子と結合することができる1つ以上の電流センサ手段(センササブシステム)(又は、電力センサ手段(センササブシステム))(図示せず)を備えることができる。かかる電流センササブシステム(又は、電力センササブシステム)は、
図5Bに示す電流センササブシステム124及び/又は電力センササブシステムのように設けることができ、及び/又は、DC-DC変換システム310から供給される電流(又は、電力)を測定することができる。選択された実施形態では、電力センササブシステムは、測定された電力レベルに対応する信号電圧レベルを有する選択された変換器データ信号119Aを提供するためのシャント抵抗器、差動演算増幅器センササブシステム、及び/又はホール効果センササブシステムを備えることができる。電流センササブシステムは、DC-DC変換システム310により供給される測定電流(又は、測定電力)に基づいて電流測定データ信号(又は、電力測定データ信号)を生成し、この出力電流測定データ信号(又は、出力電力測定データ信号)を、エネルギー変換システム300及び/又は変換器センサシステム330によって制御システム110に提供される変換器データ信号119Aの中に含めることができる。
【0096】
任意選択的に、変換器センサシステム330は、DC-DC変換システム310から供給される中間直流(DC)電圧225を測定するための1つ以上の電圧センサ手段(センササブシステム)(図示せず)を備えることもできる。電圧センササブシステムは、
図5Bに示す電圧センササブシステム123のように設けることができ、及び/又はDC-DC変換システム310の出力端子と結合することができる。選択された実施形態では、当該電圧センササブシステムは、測定された電圧レベルに対応するデジタルワードを有する選択された変換器データ信号119Aを提供するためのアナログ-デジタル変換器(ADC)電圧センササブシステムを備えることができる。当該電圧センササブシステムは、DC-DC変換システム310により供給される測定電圧に基づいて電圧測定データ信号を生成し、この出力電圧測定データ信号を、エネルギー変換システム300及び/又は変換器センサシステム330によって制御システム110に提供される変換器データ信号119Aの中に含めることができる。
【0097】
これに加えて及び/又は代えて、任意選択的に、変換器センサシステム330は、DC-DC変換システム310から供給される電力を測定するための1つ以上の電力センサ手段(センササブシステム)(図示せず)を備えることもできる。電力センササブシステムは、
図5Bを参照しながら説明した電力センササブシステムのように設けることができ、及び/又はDC-DC変換システム310の出力端子と結合することができる。当該電力センササブシステムは、DC-DC変換システム310により供給される測定電力に基づいて電力測定データ信号を生成し、この出力電力測定データ信号を、エネルギー変換システム300及び/又は変換器センサシステム330によって制御システム110に提供される変換器データ信号119Aの中に含めることができる。
【0098】
選択された実施形態では、変換器センサシステム330は、エネルギー変換システム300とは別体とすることができ、及び/又は、少なくとも一部をエネルギー変換システム300と一体とすることもできる。変換器センサシステム330がエネルギー変換システム300と一体とされる場合、変換器センサシステム330を、DC-DC変換システム310及び/又はDC-ACインバータシステム322に隣接配置することができる。任意選択的に、変換器センサシステム330は、DC-DC変換システム310及び/又はDC-ACインバータシステム322と結合などの方法で通信することができる。なお、
図5A及びこれを参照して行った説明では、変換器センサシステム330を、電圧、電流、及び/又は電力を測定するものとして記載しているが、変換器センサシステム330は、エネルギー変換システム300の任意の(1つ以上の)特性を測定などの方法で監視するように構成することができる。例えば、変換器センサシステム330を、エネルギー変換システム300の内部温度などの温度を測定などの方法で監視するように構成することができる。つまり、やや異なる言い方をすれば、変換器センサシステム330は、エネルギー変換システム300の健全性を監視することができる。
【0099】
制御システム110は、各供給源センサシステム120からのセンサデータ信号129及び/又はエネルギー変換システム300からの変換器データ信号119Aを受信することができる。例示的な制御システム110を、
図5Cに示す。
図5Cを参照すると、図示の例示的な制御システム110は、入力インタフェース手段(インタフェースシステム)112及び/又は出力インタフェース手段(インタフェースシステム)113と通信するプロセッサ手段(プロセッサシステム)111を備えている。選択された実施形態では、入力インタフェースシステム112及び出力インタフェースシステム113の少なくとも一部を、入出力(I/O)インタフェースシステムに組み込むことができる。プロセッサシステム111は、任意の適切な数及び種類の従来型のコンピュータ処理システムを備えることができる。かかるコンピュータ処理システムとしては、例えば、1つ以上のマイクロプロセッサ(μP)、中央処理装置(CPU)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、及び/又はコーデック(coder/decoder:CODEC)を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0100】
これに加えて及び/又は代えて、制御システム110を、マイクロコントローラ(図示せず)により実装することもできる。マイクロコントローラは、プロセッサ、ランダムアクセスメモリ、不揮発性消去可能メモリ、及び/又は入出力インタフェースシステムとして構成可能な汎用レジスタを備えることができる。例えば、一部のマイクロコントローラは、ネットワーク信号の送受信が可能なイーサネットインタフェースを有している。これに関連する他の代替的実施形態では、制御システム110は、複数のマイクロコントローラを備え、制御システム110の作業負荷をこれら複数のマイクロコントローラの間で分散させるように構成することもできる。
【0101】
図5Cに示す制御システム110は、内部通信バス114を介して入力インタフェースシステム112及び/又は出力インタフェースシステム113と通信するように構成されている。内部通信バス114を介して、プロセッサシステム111は、入力インタフェースシステム112及び/又は出力インタフェースシステム113と、データ信号、アドレス信号、及び/又は制御信号(図示せず)を交換することができる。また、任意選択的に、制御システム110は、メモリシステム115及び/又はデータ記憶システム116を備えることもできる。
【0102】
メモリシステム115及び/又はデータ記憶システム116は、内部通信バス114を介して、プロセッサシステム111、入力インタフェースシステム112、及び/又は出力インタフェースシステム113と通信することができる。メモリシステム115及び/又はデータ記憶システム116は、任意の従来型の揮発性及び/又は不揮発性のメモリシステムを含むことができる。かかる従来型のメモリシステムとしては、任意の適切な電子的、磁気的、及び/又は光学的記憶媒体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。例示的な記憶媒体としては、1つ以上の任意の種類の、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、ハードドライブ(HDD)、コンパクトディスク(CD)、及び/又はデジタルビデオディスク(DVD)を挙げることができる。
【0103】
選択された実施形態では、メモリシステム115及び/又はデータ記憶システム116は、エネルギー最適化システム100が生成したデータなどの情報を保存することができる。例示的な情報としては、エネルギー変換システム300(
図4に図示)が変換器データ信号119A(
図4に図示)により提供する変換システム情報、及び/又は供給源センサシステム120(
図4に図示)がセンサデータ信号129により提供するセンサシステム情報を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これに加えて及び/又は代えて、任意選択的なメモリシステム115及び/又はデータ記憶システム116は、プロセッサシステム111が実行するソフトウェアコードを保存した非一時的な機械可読記憶媒体を含むことができる。ソフトウェアコードは、プロセッサシステム111によって実行されると、制御システム110及び/又はエネルギー最適化システム100が行うプロセスなどの動作方法を決定することができる。
【0104】
再び
図4、
図5A及び
図5Bを参照すると、制御システム110は、入力インタフェースシステム112を介して供給源センサシステム120からセンサデータ信号129のすべて及び/又は一部を受信することができる。例えば、制御システム110は、センサ信号121A~127Aを、センササブシステム121~127から直接的に、又はセンササブシステム121~127から、センサインタフェースシステム128Aを介してなど間接的に受信することができる。これに加えて及び/又は代えて、制御システム110は、入力インタフェースシステム112及び/又は出力インタフェースシステム113を介して、エネルギー変換システム300と通信することができる。
【0105】
例えば、制御システム110は、入力インタフェースシステム112を介してエネルギー変換システム300から変換器データ信号119Aを受信し、及び/又は、出力インタフェースシステム113を介してエネルギー変換システム300に変換器制御信号119Bを送信することができる。制御システム110は、供給源センサシステム120から受信したセンサデータ信号129及び/又はエネルギー変換システム300から受信した変換器データ信号119Aを利用して、エネルギー変換システム300に送信するための変換器制御信号119Bを生成することができる。つまり、やや異なる言い方をすれば、エネルギー変換システム300が変換器データ信号119Aにより提供する変換システム情報、及び/又は供給源センサシステム120がセンサデータ信号129により提供するセンサシステム情報に基づいて、制御システム110は、変換器制御信号119Bを生成することができる。
【0106】
上記にて
図5Aを参照しながら詳細に説明したように、変換器制御信号119Bは、DC-DC変換システム310及び/又はDC-ACインバータシステム322の動作を制御するためのパルス幅変調信号及び/又はパルス持続時間変調信号を含むことができる。言い換えれば、制御システム110は、変換器制御信号119Bを利用して、エネルギー変換システム300のパルス幅変調手段(変調システム)及び/又はパルス持続時間変調手段(変調システム)を制御することができる。
【0107】
例えば、制御システム110により、エネルギー変換システム300は、関連エネルギー源200から供給される電圧、電流、及び/又は電力などの電気エネルギー220を設定及び/又は調整することによって、関連エネルギー源200の動作領域を確立及び/又は維持することが可能となり得る。言い換えれば、エネルギー変換システム300は、制御システム110が提供する変換器制御信号119Bにより電気エネルギー220を設定及び/又は調整することにより、関連エネルギー源200の動作領域を確立及び/又は維持することができる。これにより、関連エネルギー源200により供給される電気エネルギー220を、ピーク(又はピークに近い状態)とすることができる。
【0108】
言い換えれば、エネルギー変換システム300と制御システム110が相互作用して、関連エネルギー源200の動作領域を確立及び/又は維持することができる。選択された実施形態では、制御システム110は、定量的方法(又は、定量モデル)を利用して、関連エネルギー源200の最適(又は、準最適)動作領域を計算などにより求めることができる。例えば、制御システム110とエネルギー変換システム300は、データなどの情報を交換することができる。エネルギー変換システム300により提供される例示的な情報としては、変換器データ信号119Aによる変換システム情報を挙げることができるが、これに限定されるものではない。限定するものではないが、変換器データ信号119Aは、エネルギー変換システム300で受け取った電気エネルギー220の電流、電圧、及び/又は電力、中間DC電力225(
図5Aに図示)、及び/又はエネルギー変換システム300が生成した出力電力230の測定値を含むことができる。
【0109】
これに加えて及び/又は代えて、供給源センサシステム120がセンサデータ信号129により提供するセンサシステム情報を、制御システム110と供給源センサシステム120との間で交換することもできる。例示的なセンサシステム情報としては、センサ信号121A~127A(
図5Bに図示)に含まれる、センササブシステム121~127(
図5Bに図示)が生成した測定値などのデータを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。制御システム110は、変換システム情報及び/又はセンサシステム情報を処理することができる。
【0110】
ここで、関連エネルギー源200が、光起電デバイス210(
図1Bに図示)を含み、光起電デバイス210が受ける放射照度が、1平方メートルあたり1000ワットから1平方メートルあたり200ワットに減少した場合を考える。その場合、制御システム110は、1つ以上の変換器制御信号119Bをエネルギー変換システム300に送信することができる。そして、これにより、エネルギー変換システム300は、1平方メートルあたり1000ワットの放射照度に対応する第3の電力-電圧特性曲線1530C(
図3Aに図示)の変曲領域1532C(
図3Aに図示)から、1平方メートルあたり200ワットの放射照度に対応する第1の電力-電圧特性曲線1530A(
図3Aに図示)の変曲領域1532A(
図3Aに図示)まで、光起電デバイス210の動作領域を調整することができる。
【0111】
例えば、制御システム110は、上記にて
図5Aを参照しながら詳細に説明したように、エネルギー変換システム300に対して提供する変換器制御信号119Bのデューティ比、パルス幅、及び/又はパルス持続時間を変更することができる。つまり、やや異なる言い方をすれば、制御システム110は、DC-DC変換システム310(
図5Aに図示)及び/又はDC-ACインバータシステム322(
図5Aに図示)のデューティ比をリアルタイムで調整することができる。これにより、エネルギー変換システム300は、関連エネルギー源200から供給される電気エネルギー220、関連エネルギー源200の動作領域、及び/又は中間DC電力225(
図5Aに図示)を制御することができ、DC-ACインバータシステム322は、中間DC電力225を交流(AC)出力電力230に変換することができる。よって、有利なことに、関連エネルギー源200に関連付けられた動作環境250及び/又は関連エネルギー源200自体の動作状態の変化に関わらず、関連エネルギー源200はピーク電力(又は、そのごく近傍)で継続的に動作することができる。
【0112】
任意選択的に、制御システム110は、エネルギー最適化システム100の1つ以上の他のシステム要素と通信することもできる。例えば、制御システム110の入力インタフェースシステム112及び/又は出力インタフェースシステム113は、1つ以上のセンサデータ信号129(
図4に図示)及び/又は、任意選択的に、1つ以上のセンサ制御信号を、供給源センサシステム120と交換することができる。つまり、やや異なる言い方をすれば、制御システム110は、供給源センサシステム120からセンサデータ信号129を受信すること、及び/又は、供給源センサシステム120にセンサ制御信号を送信することができる。
【0113】
したがって、制御システム110は、エネルギー最適化システム100に関連付けられた(1つ以上の)エネルギー源200の動作領域の確立、維持、及び/又は調整を、ほぼ瞬時に(リアルタイムで)行うことを可能にすることができる。有利なことに、制御システム110は、監視対象の動作環境250におけるいかなる環境変化及び/又は監視対象のエネルギー源200に対するいかなる動作変化にもかかわらず、(1つ以上の)エネルギー源200の動作領域の確立、維持、及び/又は調整を行うことができる。選択された実施形態では、制御システム110は、(1つ以上の)エネルギー源200の動作領域の確立、維持、及び/又は調整を行う際に、急激な環境変化及び/又は動作変化を考慮することができる。これにより、エネルギー最適化システム100は、(1つ以上の)エネルギー源200が、ピーク電力(又は、そのごく近傍)で継続的に動作することを可能にすることができる。
【0114】
選択された実施形態では、エネルギー最適化システム100は、
図4、
図5A、及び
図5Bを参照しながら上述したように、定量的方法を利用して、エネルギー源200の最適(又は、準最適)動作領域を、計算などによりリアルタイムで求めることができる。言い換えれば、定量的方法は、(1つ以上の)エネルギー源200がピーク電力(又は、そのごく近傍)で継続的に動作することを可能にし得るものである。例えば、制御システム110は、エネルギー変換システム300が変換器データ信号119Aにより提供する変換システム情報、及び/又は供給源センサシステム120がセンサデータ信号129により提供するセンサシステム情報を、定量モデルで統合して、エネルギー源200の動作領域を計算することができる。
【0115】
例えば、この定量モデルが、各エネルギー源200についての定量モデルを含むことができる。選択されたエネルギー源200の定量モデルを使用して、エネルギー最適化システム100は、当該選択されたエネルギー源200の最適(又は、準最適)動作領域を求め、さらに、必要に応じて、エネルギー変換システム300に対して提供する変換器制御信号119Bのパルス幅変調信号及び/又はパルス持続時間変調信号を確立、維持、及び/又は調整して、エネルギー変換システム300により生成される出力電力230の最大化などの最適化を行うことができる。
【0116】
例えば、選択されたエネルギー源200が光起電デバイス210(
図1Bに図示)を含む場合、定量モデルの一実施形態は、光起電デバイス210から供給される出力電圧及び/又は出力電流と所定の定量モデルパラメータセットとの関係を表す関係式を含み得る。下記の式1は、代表的な光起電デバイス210の例示的な定量モデル式を含む:
I
OUT=I
LIGHT-I
o*(exp(V
OUT/((n*K*T)/q))) (式1)
式中、I
OUTは光起電デバイス210から供給される出力電流、I
LIGHTは入射光から発生する電流、I
oは逆飽和電流、V
OUTは光起電デバイス210から供給される出力電圧、nはダイオード理想因子、Kはボルツマン定数、Tは光起電デバイス210の温度(ケルビン)、qは電子の素電荷である。
【0117】
光起電デバイス210から供給される電気エネルギー220による電力は、光起電デバイス210から供給される出力電流IOUTと光起電デバイス210から供給される出力電圧VOUTの積として定義することができる。よって、逆飽和電流Io、ダイオード理想因子n、ボルツマン定数K、温度T(ケルビン)、素電荷qを所与とし、光起電デバイス210から供給される出力電流IOUT及び出力電圧VOUTは測定により求めることができることから、式1を、入射光から発生する電流ILIGHTを求める式2に書き換えることができる。
【0118】
ILIGHT=IOUT+Io*(exp(VOUT/((n*K*T)/q))) (式2)
式2で入射光から発生する電流ILIGHTを求めると、上述したように、制御システム110は、光起電デバイス210から供給される出力電圧VOUTを変化させて、光起電デバイス210から供給される出力電流IOUTと出力電圧VOUTの積である、光起電デバイス210から供給される電力の最大化などの最適化を行うことができる。
【0119】
選択された実施形態では、選択された特性(例えば、光起電デバイス210の逆飽和電流Io及び/又はダイオード理想因子nなど)を、近似的に求めることもでき、及び/又は、選択された特性を、例えば、光起電デバイス210の経年劣化に応じて変化させることもできる。したがって、光起電デバイス210からの供給が予想される出力電流IOUT_ANTICIPATEDが、光起電デバイス210から実際に供給される出力電流IOUT_ACTUALとは異なる場合がある。この光起電デバイス210の予想出力電流IOUT_ANTICIPATEDと光起電デバイス210の実際の出力電流IOUT_ACTUALとの差は、通常はわずかであるとはいえ、制御システム110を介して光起電デバイス210から供給される電力に悪影響を及ぼす恐れがある。したがって、光起電デバイス210は、ピーク電力に(非常に)近い電力で動作することができる。
【0120】
光起電デバイス210の実際の出力電流IOUT_ACTUALをさらに向上するため、エネルギー最適化システム100は、定量的方法を用いて、光起電デバイス210の選択された特性の値をより正確に計算することができる。例えば、定量的方法を用いて、光起電デバイス210の逆飽和電流Io及び/又はダイオード理想因子nの値をより正確に計算することができる。一実施形態では、光起電デバイス210の実際の出力電流IOUT_ACTUAL、光起電デバイス210の予想出力電流IOUT_ANTICIPATED、光起電デバイス210から供給される出力電圧VOUT、温度T、光起電デバイス210の逆飽和電流Io、及び/又はダイオード理想因子nに関するデータを所定期間にわたり収集することができる。
【0121】
エネルギー最適化システム100は、勾配降下法などの定量化方法を利用して、収集したデータに基づいた、光起電デバイス210の逆飽和電流Ioの更新値及び/又はダイオード理想因子nの更新値を求めることができる。光起電デバイス210の逆飽和電流Ioの更新値及び/又はダイオード理想因子nの更新値を用いることにより、エネルギー最適化システム100は、光起電デバイス210の更新最適動作領域(又は、更新準最適動作領域)を求め、光起電デバイス210が、向上したピーク電力で動作することを可能にすることができる。
【0122】
以上、選択された定量モデルを参照しながら説明を行ったが、かかる説明は例示的なものに過ぎない。エネルギー最適化システム100は、光起電デバイス210の定量モデルの1つ以上の他の実施形態を利用することができる。定量モデルの他の実施形態としては、より複雑な太陽電池/太陽電池アレイ/太陽電池ストリングモデル、又は測定データ点間の補間を試みるモデルなどの任意の定量モデルを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これに加えて及び/又は代えて、エネルギー最適化システム100は、
図1Aを参照しながら上述したように、風力エネルギー源、潮汐エネルギー源、及び/又は熱エネルギー源を含む任意の数及び/又は種類のエネルギー源200を備えることができ、1つ以上の定量モデルを利用して各エネルギー源200の動作挙動を予測することができる。
【0123】
エネルギー最適化システム100のエネルギー最適化方法500の例示的実施形態を、
図6Aに示す。エネルギー最適化方法500は、例えば、制御システム110により実行することができる。
図6Aを参照すると、エネルギー最適化方法500は、エネルギー変換システム300により提供される変換システム情報を受信するステップ510を含むことができる。変換システム情報は、例えば、上記にて
図4及び
図5A~
図5Cを参照しながら詳細に説明したように、エネルギー変換システム300からの変換器データ信号119Aにより受信することができる。そして、ステップ520で、(1つ以上の)供給源センサシステム120により提供されるセンサシステム情報を受信することができる。選択された実施形態では、センサシステム情報は、上記にて
図4及び
図5A~
図5Cを参照しながら詳細に説明したように、供給源センサシステム120がセンサデータ信号129により提供することができる。
【0124】
エネルギー最適化方法500は、受信した変換システム情報及び/又は受信したセンサシステム情報に基づいて、1つ以上の制御信号を生成するステップ530を含むことができる。制御信号は、上記にて
図4及び
図5A~
図5Cを参照しながら詳細に説明したように、エネルギー変換システム300の動作を制御するための変換器制御信号119Bを含むことができる。そして、ステップ540で、エネルギー変換システム300及び/又は供給源センサシステム120に対して、制御信号を送信することができる。
【0125】
任意選択的に、エネルギー変換システム300から新規変換システム情報などの更新変換システム情報を取得できる状態となった場合、及び/又は、(1つ以上の)供給源センサシステム120から新規センサシステム情報などの更新センサシステム情報を取得できる状態となった場合に、エネルギー最適化方法500を再度実行することができる。言い換えれば、ステップ510で、エネルギー変換システム300から更新変換システム情報を受信することができ、及び/又は、ステップ520で、(1つ以上の)供給源センサシステム120から更新センサシステム情報を受信することができる。また、エネルギー最適化方法500は、更新変換システム情報及び/又は更新センサシステム情報に基づいて、1つ以上の制御信号を生成するステップ530を含むことができる。そして、ステップ540で、エネルギー変換システム300及び/又は供給源センサシステム120に対して、制御信号を送信することができる。
【0126】
有利には、エネルギー最適化方法500は、ステップ510で、変換システム情報を継続的に受信することができ、及び/又は、ステップ520で、センサシステム情報を継続的に受信することができる。同様に、エネルギー変換システム300の動作を制御するための変換器制御信号119Bを、ステップ530で継続的に生成し、ステップ540で、好ましくはリアルタイムで、エネルギー変換システム300に送信することができる。例えば、上記にて
図4及び
図5A~
図5Cを参照しながら詳細に説明したように、エネルギー変換システム300は、変換器制御信号119Bを利用して、各エネルギー源200の動作領域を確立、維持、及び/又は調整することができる。
【0127】
例示的な代替的エネルギー最適化方法500を、
図6Bに示す。
図1A及び
図1Bに図示し、上記にてこれらを参照しながら詳細に説明したように、エネルギー最適化方法500を利用して、動作環境250内に配置されたエネルギー源200のピーク電力を最適化することができる。なお、このエネルギー源200は、エネルギー変換システム300に電気エネルギー220を供給するものであり、この供給された電気エネルギー220に基づいてエネルギー変換システム300は出力電力230を生成する。
図6Bに示すように、エネルギー最適化方法500は、エネルギー変換システム300から変換システム情報を受信し、動作環境250内の1つ以上のセンサシステム120からセンサシステム情報を受信するステップ515を含むことができる。例えば、上記にて
図4及び
図5A~
図5Cを参照しながら詳細に説明したように、エネルギー変換システム300からの変換器データ信号119Aにより変換システム情報を受信することができ、及び/又は、供給源センサシステム120からのセンサデータ信号129によりセンサシステム情報を受信することができる。
【0128】
そして、ステップ525で、受信した変換システム情報及び受信したセンサシステム情報に基づいて、エネルギー源の動作挙動を予測するための定量モデルの1つ以上の定量モデルパラメータを計算することができる。任意選択的に、定量モデルパラメータを継続的に再計算し、これにより、動作環境250における任意の環境変化、及び/又はエネルギー源200自体に対する任意の動作変化を考慮することもできる。選択された実施形態では、定量モデルパラメータは、上記にて
図4及び
図5A~
図5Cに関連して説明したように計算することができる。例えば、定量モデルパラメータは、上記の式1及び式2に従って計算することができる。
【0129】
そして、ステップ535で、計算により求めた定量モデルパラメータに基づいて、エネルギー源の最適動作領域を確立するための変換器制御信号を生成することができる。上記にて
図4及び
図5A~
図5Cを参照しながら詳細に説明したように、制御信号が、エネルギー変換システム300の動作を制御するための変換器制御信号119Bを含むことができる。エネルギー源200の定量モデルを使用して、エネルギー最適化方法500は、エネルギー源200の最適(又は、準最適)動作領域を求めることができ、さらに、選択された実施形態では、変換器制御信号119Bのパルス幅変調信号及び/又はパルス持続時間変調信号を確立、維持、及び/又は調整することができる。
【0130】
そして、ステップ545で、エネルギー変換システム300及び/又は供給源センサシステム120に対して、変換器制御信号を送信することができる。これにより、エネルギー変換システム300は、変換器制御信号に基づいて、エネルギー源200がピーク電力で動作することを可能にする第1の動作領域を確立するように、エネルギー源200からの供給エネルギー220を設定することができる。
【0131】
任意選択的に、エネルギー変換システム300から新規変換システム情報などの更新変換システム情報を取得できる状態となった場合、及び/又は、(1つ以上の)供給源センサシステム120から新規センサシステム情報などの更新センサシステム情報を取得できる状態となった場合に、エネルギー最適化方法500を再度実行することができる。つまり、やや異なる言い方をすれば、ステップ555で、エネルギー変換システム300から更新変換システム情報を受信することができ、及び/又は、(1つ以上の)供給源センサシステム120から更新センサシステム情報を受信することができる。また、エネルギー最適化方法500は、更新変換システム情報及び/又は更新センサシステム情報に基づいて定量モデルの更新定量モデルパラメータを計算するステップ525と、更新定量モデルパラメータに基づいてエネルギー源の更新最適動作領域を確立するための更新変換器制御信号を生成するステップ535と、を含むことができる。そして、ステップ545で、エネルギー変換システム300及び/又は供給源センサシステム120に対して、更新変換器制御信号を送信することができる。これにより、エネルギー変換システム300は、更新変換器制御信号に基づいて、エネルギー源200がピーク電力で動作を継続することを可能にする第2の動作領域を確立するように、エネルギー源200からの供給エネルギー220を調整することができる。
【0132】
選択された実施形態では、エネルギー最適化方法500は、変換システム情報及び/又はセンサシステム情報を継続的に受信することができる。有利には、エネルギー最適化方法500は、ステップ525で、受信した変換システム情報及び/又はセンサシステム情報に基づいて定量モデルの更新定量モデルパラメータを継続的に計算し、ステップ535で、定量モデルパラメータに基づいて、更新変換器制御信号を継続的に生成し、ステップ545で、好ましくはリアルタイムで、エネルギー変換システム300及び/又は供給源センサシステム120に更新変換器制御信号を送信することができる。例えば、上記にて
図4及び
図5A~
図5Cを参照しながら詳細に説明したように、エネルギー変換システム300は、変換器制御信号119Bを利用して、各エネルギー源200の動作領域を確立、維持、及び/又は調整することができる。
【0133】
図7Aに示すエネルギー最適化システム100は、エネルギー最適化システム100を監視、指令、及び/又は制御するための任意選択的な補助制御システム130を備えている。
図7Aを参照すると、補助制御システム130は、制御システム110と任意の従来型の通信を行うように構成することができる。制御システム110は、例えば、制御システム110の入力インタフェースシステム112(
図5Cに図示)及び/又は出力インタフェースシステム113(
図5Cに図示)を介して、補助制御システム130と通信することができる。これにより、好ましくはパケット通信プロトコルに従って、及び/又は周期的又は非周期的に、補助制御システム130と制御システム110との間で、システムデータ、システムの状態、及び/又はシステム指令信号を交換することができる。
【0134】
図7Aに示すように、制御システム110は、1つ以上の制御データ信号139Aを補助制御システム130に送信することができ、補助制御システム130は、1つ以上の指令信号139Bを制御システム110に送信することができる。補助制御システム130は、制御システム110から遠い場所、及び/又は制御システム110に近い場所に位置することができる。つまり、やや異なる言い方をすれば、補助制御システム130の少なくとも一部は、制御システム110と一体に設ける、又は制御システム110に外付けすることができる。エネルギー管理処理手段(処理システム)が、制御システム110及び/又は補助制御システム130を備えることもできる。
【0135】
選択された実施形態では、システムオペレータなどのユーザ(図示せず)が、相互作用などの形でエネルギー最適化システム100と通信することができる。選択された実施形態では、ユーザは、エネルギー最適化システム100と直接通信することができ、及び/又は、任意選択的なユーザコンピュータシステム150(
図7Bに図示)又は同様のデバイスを利用して、制御システム110及び/又は補助制御システム130を介してエネルギー最適化システム100と通信することができる。例えば、制御システム110及び/又は補助制御システム130は、好ましくはパケット通信プロトコルに従って、ユーザコンピュータシステム150とデータ、状態、及び/又は指令信号を交換することができる。補助制御システム130を介して、システムユーザは、1つ以上のシステム機能を始動させることができる。かかるシステム機能としては、エネルギー最適化システム100の状態確認、エネルギー最適化システム100が担うエネルギー生成に関する情報のチェック、及び/又はエネルギー最適化システム100の健全性評価などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0136】
これに加えて及び/又は代えて、補助制御システム130は、エネルギー最適化システム100の過去のシステムデータを集約することができる。選択された実施形態では、エネルギー最適化システム100の過去のシステムデータは、制御システム110から取得可能とすることができる。過去のシステムデータは、エネルギー変換システム300がそれまでに提供した過去の変換システム情報、及び/又は供給源センサシステム120がそれまでに提供した過去のセンサシステム情報を含むことができるが、これらに限定されるものではない。例えば、過去のシステムデータは、過去の電圧、電流、及び/又は電力の測定データを含むことができる。例示的な過去の電圧測定データとしては、電圧センササブシステム123(
図5Bに図示)及び/又は変換器センサシステム330(
図5Aに図示)からの過去の電圧測定データが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0137】
また、過去の電流測定データとしては、電流センササブシステム124(
図5Bに図示)及び/又は変換器センサシステム330からの過去の電流測定データが挙げられ、過去の電力測定データとしては、電力センササブシステム(図示せず)及び/又は変換器センサシステム330からの過去の電力測定データが挙げられるが、これに限定されるものではない。選択された実施形態では、過去のシステムデータは、制御システム110、エネルギー変換システム300、及び/又はエネルギー最適化システム100の任意の他の構成要素と関連性のある可能性を有している任意の他の情報を含むことができる。
【0138】
例えば、補助制御システム130は、過去のシステムデータのスナップショットなどの選択された部分を使用して、1つ以上の詳細定量モデルパラメータを生成することができる。かかる詳細定量モデルパラメータは、制御システム110が各エネルギー源200の動作領域を効率的に確立、維持、及び/又は調整することを可能にし、よって、各エネルギー源200がピーク電力(又は、そのごく近傍)で継続的に動作することを可能にするものである。補助制御システム130は、過去のシステムデータのみを集約してもよく、あるいは、過去のシステムデータを最新のシステムデータと組み合わせて集約してもよい。かかる最新のシステムデータとしては、例えば、エネルギー変換システム300が現在提供中の(又は、最近提供した)最新の変換システム情報、及び/又は供給源センサシステム120が現在提供中の(又は、最近提供した)最新のセンサシステム情報が挙げられる。つまり、やや異なる言い方をすれば、補助制御システム130は、過去のシステムデータを集約すること、又は過去のシステムデータを最新のシステムデータと組み合わせることができる。選択された実施形態では、最新のシステムデータは、制御システム110、エネルギー変換システム300、及び/又はエネルギー最適化システム100の任意の他の構成要素と関連性のある可能性を有している任意の他の情報を含むことができる。
【0139】
制御システム110は、制御データ信号139Aにより、過去のシステムデータ、最新のシステムデータ、及び/又は任意の他のエネルギー最適化システム情報を補助制御システム130に提供することができる。選択された実施形態では、補助制御システム130は、機械学習などの統計的方法を用いて、選択されたエネルギー源200の詳細定量モデルパラメータを計算することができ、及び/又は、指令信号139Bにより、詳細定量モデルパラメータを制御システム110に送信することができる。有利には、補助制御システム130は、過去のシステムデータ、最新のシステムデータ、及び/又は任意の他のエネルギー最適化システム情報を利用して、選択されたエネルギー源200の詳細定量モデルパラメータをより良く計算することができる。
【0140】
選択された実施形態では、補助制御システム130は、制御システム110の能力を補足などの方法で補完して、エネルギー最適化システム100の動作を向上させることができる。例えば、エネルギー最適化システム100が、定量的方法を利用して、上述したようにリアルタイムで(1つ以上の)エネルギー源200の最適(又は、準最適)動作領域を、計算などにより求める場合、制御システム110及び/又は補助制御システム130により、エネルギー源200の定量モデルの1つ以上の定量モデルパラメータを計算することができる。特定の物理定量モデルによっては、補助制御システム130で定量モデルパラメータを使って計算を行い、その計算結果を制御システム110に渡す方が、計算上の要求により良く応えられる場合がある。
【0141】
上記でより詳細に説明したように、エネルギー変換システム300が変換器データ信号119Aにより提供する変換システム情報、及び/又は供給源センサシステム120がセンサデータ信号129により提供するセンサシステム情報に基づいて、定量モデルパラメータの確立、維持、又は調整などを行うことができる。選択された実施形態では、補助制御システム130は、関連エネルギー源200の選択された特性を計算することができる。例えば、関連エネルギー源200が光起電デバイス210(
図1Bに図示)を含む場合、補助制御システム130は、式1及び式2を参照しながら上述したやり方で、光起電デバイス210の逆飽和電流I
o及び/又はダイオード理想因子nを計算することができる。
【0142】
そして、光起電デバイス210の予想出力電流IOUT_ANTICIPATED、光起電デバイス210の実際の出力電流IOUT_ACTUAL、光起電デバイス210から供給される出力電圧VOUT、温度T、光起電デバイス210の逆飽和電流Io及び/又はダイオード理想因子nに関するシステムデータを所定期間にわたり収集して、補助制御システム130に提供することができる。そして、収集したシステムデータを基に、勾配降下法などの定量化方法を用いて、選択された特性の修正値を計算することができる。補助制御システム130は、選択された特性の計算値を制御システム110に送信することができ、制御システム110は、この選択された特性の計算値を使用して、光起電デバイス210の動作領域を確立、維持、及び/又は調整し、これにより、光起電デバイス210のピーク電力の設定を向上することができる。
【0143】
任意選択的に、エネルギー最適化システム100の過去のシステムデータ及び/又は最新のシステムデータを利用して、定量モデルパラメータを確立、維持、及び/又は調整することにより、定量モデルパラメータにエネルギー源200の経年劣化による影響が実質的に出ないように、定量モデルパラメータを計算することもできる。有利なことに、このように計算された定量モデルパラメータを用いることにより、選択されたエネルギー源200の定量モデルを使用して、当該選択されたエネルギー源200の最適(又は、準最適)動作領域を求め、さらに、必要に応じて、エネルギー変換システム300に対して提供する変換器制御信号119Bのパルス幅変調信号及び/又はパルス持続時間変調信号を確立、維持、及び/又は調整して、エネルギー変換システム300により生成される出力電力230の最大化などの最適化を行うことを容易に実現することができる。
【0144】
なお、
図7A及びこれを参照して行った説明では、補助制御システム130を、単体の制御システム110と通信するものとして記載しているが、かかる説明は例示的なものに過ぎない。有利には、補助制御システム130は、任意の所定の数の制御システム110と通信することができる。複数の制御システム110を共通の補助制御システム130に接続することにより、集約されたシステム情報のシステムユーザによる監視、必要に応じたシステムデータの合成、及び/又は、制御システム110の制御向上が可能となる。これに加えて及び/又は代えて、エネルギー源200が地理的に分散している場合には、補助制御システム130の監視を通じて、環境に対して潜在的に及ぼす可能性のあるマクロな影響に関する情報を観測することもできる。これにより、ユーザ及び/又は制御システム110は、その影響をさらに利用することができる。
【0145】
図7Aに示すエネルギー最適化システム100の代替的な例示的実施形態を、
図7Bに示す。
図7Bを参照すると、図示のエネルギー変換システム300は、上記にて
図1A及び
図1Bを参照しながら詳細に説明したように、エネルギー源200から供給エネルギー220を受け取り、受け取った供給エネルギー220に基づいて出力電力230を生成し、生成した出力電力230を負荷400に提供している。
【0146】
制御システム110と補助制御システム130は、任意の従来型の通信により、システムデータ、システムの状態、及び/又はシステム指令信号を交換することができる。選択された実施形態では、制御システム110は、上記にて
図7Aを参照しながら説明したように、好ましくはパケット通信プロトコルに従って、及び/又は周期的又は非周期的に、制御システム110の入力インタフェースシステム112(
図5Cに図示)及び/又は出力インタフェースシステム113(
図5Cに図示)を介して、補助制御システム130と通信することができる。
図7Bに示す補助制御システム130及び制御システム110は、1つ以上の通信ケーブル及び/又は従来型の有線及び/又は無線通信ネットワーク140を介して通信を行うように構成されている。
【0147】
例示的な通信ネットワーク140としては、インターネット、及び/又は、任意の種類の、イーサネットネットワーク、電話ネットワーク、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、キャンパスエリアネットワーク(CAN)、パーソナルエリアネットワーク(PAN)、及び/又は、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。例示的な無線ローカルエリアネットワークとしては、米国電気電子技術者協会(Institute of Electrical and Electronics Engineers:IEEE)規格802.11準拠のワイファイ(wireless fidelity:Wi-Fi)ネットワーク、IEEE規格802.15.1準拠のBluetooth(登録商標)ネットワーク、及び/又は、IEEE規格802.16準拠のワイヤレスマン(wireless metropolitan-area network:Wireless MAN)(別名:WiMaxワイヤレスブロードバンド)を挙げることができる。選択された実施形態では、通信ネットワーク140は、補助制御システム130と制御システム110との非周期的通信接続及び/又は周期的通信接続を提供することができる。これに加えて及び/又は代えて、通信ネットワーク140は、特注のケーブル配線システム(図示せず)を含むこともできる。
【0148】
図7Aを参照しながら上述したように、補助制御システム130と制御システム110の間で、制御データ信号139A及び/又は指令信号139Bを交換することができる。例えば、制御データ信号139Aは、エネルギー変換システム300が変換器データ信号119Aにより提供する変換システム情報、及び/又は供給源センサシステム120がセンサデータ信号129により提供するセンサシステム情報を含むことができる。
【0149】
これにより、補助制御システム130は、
図7Aを参照しながら説明したように、変換システム情報及び/又はセンサシステム情報を利用して、定量モデルのパラメータを確立、維持、及び/又は調整することができる。選択された実施形態では、補助制御システム130は、関連エネルギー源200の選択された特性を計算することができる。例えば、関連エネルギー源200が光起電デバイス210(
図1Bに図示)を含む場合、補助制御システム130は、式1及び式2を参照しながら上述したやり方で、光起電デバイス210の逆飽和電流I
o及び/又はダイオード理想因子nを計算することができる。補助制御システム130は、計算された定量モデルパラメータ、及び他の任意のシステムのデータ、状態及び/又は指令の情報を、指令信号139Bにより制御システム110に送信することができる。
【0150】
図7Bに示すエネルギー最適化システム100は、任意選択的なユーザコンピュータシステム150を備えている。ユーザコンピュータシステム150は、システムオペレータなどのユーザ(図示せず)が、相互作用などの形でエネルギー最適化システム100と通信することを可能にするためのものである。ユーザコンピュータシステム150は、エネルギー最適化システム100と任意の従来型の通信を行うように構成することができる。
図7Bに示すように、例えば、ユーザコンピュータシステム150は、通信ネットワーク140を介して、制御システム110及び/又は補助制御システム130と通信することができる。これにより、ユーザコンピュータシステム150は、好ましくはパケット通信プロトコルに従って、制御システム110及び/又は補助制御システム130とデータ、状態、及び/又は指令信号を交換することができる。
【0151】
有利には、ユーザコンピュータシステム150を使用して、システムユーザは、制御システム110、センサシステム120、補助制御システム130、及び/又はエネルギー変換システム300などのエネルギー最適化システム100に対する指令、制御、及び/又は演算の1つ以上の側面を監視することができる。これに加えて及び/又は代えて、システムユーザは、ユーザコンピュータシステム150を利用して、1つ以上のシステム機能を始動させることができる。かかるシステム機能としては、エネルギー最適化システム100の状態確認、エネルギー最適化システム100から取得可能な最新及び/又は過去のシステムデータの閲覧、エネルギー最適化システム100が担うエネルギー生成に関する情報のチェック、エネルギー最適化システム100の健全性評価、及び/又は、適切なシステム是正措置の発動などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0152】
補助制御システム130は、物理デバイス、又はクラウドにある物理デバイスにホストされた仮想デバイスとすることができる。例示的な補助制御システム130を、
図8に示す。
図8を参照すると、図示の例示的な補助制御システム130は、入力インタフェース手段(インタフェースシステム)132及び/又は出力インタフェース手段(インタフェースシステム)133と通信するプロセッサ手段(プロセッサシステム)131を備えている。選択された実施形態では、入力インタフェースシステム132及び出力インタフェースシステム133の少なくとも一部を、入出力(I/O)インタフェースシステムに組み込むことができる。プロセッサシステム131は、任意の適切な数及び種類の従来型のコンピュータ処理システムを備えることができる。かかるコンピュータ処理システムとしては、例えば、1つ以上のマイクロプロセッサ(μP)、中央処理装置(CPU)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、及び/又はコーデック(CODEC)を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0153】
これに加えて及び/又は代えて、補助制御システム130を、マイクロコントローラ(図示せず)により実装することもできる。マイクロコントローラは、プロセッサ、ランダムアクセスメモリ、不揮発性消去可能メモリ、及び/又は入出力インタフェースシステムとして構成可能な汎用レジスタを備えることができる。例えば、一部のマイクロコントローラは、ネットワーク信号の送受信が可能なイーサネットインタフェースを有している。これに関連する他の代替的実施形態では、補助制御システム130は、複数のマイクロコントローラを備え、補助制御システム130の作業負荷をこれら複数のマイクロコントローラの間で分散させるように構成することもできる。
【0154】
有利には、補助制御システム130は、入力インタフェースシステム132及び/又は出力インタフェースシステム133を利用して、制御データ信号139A、指令信号139B、及び/又は他のシステムデータ、状態、及び/又は指令信号を、制御システム110及び/又はユーザコンピュータシステム150に伝送すること、及び/又は、制御システム110及び/又はユーザコンピュータシステム150と交換することができる。補助制御システム130の入力インタフェースシステム132及び/又は出力インタフェースシステム133は、1つ以上の通信ケーブル及び/又は通信ネットワーク140を介して制御システム110及び/又はユーザコンピュータシステム150と通信するように構成することができる。
【0155】
図8に示す補助制御システム130は、内部通信バス134を介して入力インタフェースシステム132及び/又は出力インタフェースシステム133と通信するように構成されている。内部通信バス134を介して、プロセッサシステム131は、入力インタフェースシステム132及び/又は出力インタフェースシステム133と、データ信号、アドレス信号、及び/又は制御信号(図示せず)を交換することができる。選択された実施形態では、プロセッサシステム131は、制御システム110及び/又はユーザコンピュータシステム150と補助制御システム130との間の信号交換などの通信を管理することができる。
【0156】
また、任意選択的に、補助制御システム130は、メモリシステム135及び/又はデータ記憶システム136を備えることもできる。メモリシステム135及び/又はデータ記憶システム136は、内部通信バス134を介して、プロセッサシステム131、入力インタフェースシステム132、及び/又は出力インタフェースシステム133と通信することができる。メモリシステム135及び/又はデータ記憶システム136は、任意の従来型の揮発性及び/又は不揮発性のメモリシステムを含むことができる。かかる従来型のメモリシステムとしては、任意の適切な電子的、磁気的、及び/又は光学的記憶媒体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。例示的な記憶媒体としては、1つ以上の任意の種類の、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、ハードドライブ(HDD)、コンパクトディスク(CD)、及び/又はデジタルビデオディスク(DVD)を挙げることができる。
【0157】
選択された実施形態では、メモリシステム135及び/又はデータ記憶システム136は、エネルギー最適化システム100が生成したデータなどの情報を保存することができる。例示的な情報としては、エネルギー変換システム300が変換器データ信号119Aにより提供する変換システム情報、供給源センサシステム120がセンサデータ信号129により提供するセンサシステム情報、制御システム110が制御データ信号139Aにより提供する制御情報、補助制御システム130が生成して指令信号139Bにより提供する指令情報、エネルギー最適化システム100の過去のシステムデータ、及び/又はエネルギー最適化システム100の最新のシステムデータを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。選択された実施形態では、エネルギー最適化システム100から取得した保存情報が、サンプリングデータなどの情報を含み得る。これに加えて及び/又は代えて、任意選択的なメモリシステム135及び/又はデータ記憶システム136は、プロセッサシステム131が実行するソフトウェアコードを保存した非一時的な機械可読記憶媒体を含むことができる。ソフトウェアコードは、プロセッサシステム131によって実行されると、補助制御システム130及び/又はエネルギー最適化システム100が行うプロセスなどの動作方法を決定することができる。
【0158】
図7Bに示すように、選択された実施形態では、補助制御システム130は、補助記憶システム160と通信することができる。選択された実施形態では、補助記憶システム160は、
図8に示すメモリシステム135及び/又はデータ記憶システム136に関して上述したように設けることができ、及び/又は、メモリシステム135及び/又はデータ記憶システム136により保存されるシステムデータなどの情報のバックアップなどの補助的な記憶を行うことができる。補助記憶システム160は、補助制御システム130と通信するように構成することができ、かかる通信は、1つ以上のケーブルを介するなど直接的に行うこと、及び/又は通信ネットワーク140などの1つ以上の中間システムを介して間接的に行うことができる。
【0159】
エネルギー最適化システム100は、エネルギー源200の動作領域の確立、維持、及び/又は調整によりエネルギー源200のピーク電力を向上させることに加え、有利には、エネルギー変換システム300(
図4に図示)が変換器データ信号119A(
図4に図示)により提供する変換システム情報、及び/又は供給源センサシステム120(
図4に図示)がセンサデータ信号129により提供するセンサシステム情報を収集することにより、強力な分析を可能にすることができる。変換システム情報及び/又はセンサシステム情報の収集及び保存は、例えば、制御システム110、補助制御システム130、及び/又は補助記憶システム160で行うことができる。
【0160】
選択された実施形態では、収集した情報が電流、電圧、及び温度データを含むことができ、かかる収集情報を用いて、光起電デバイス210(
図1Bに図示)などの複数のエネルギー源200の保守及び性能の監視、分析、及び最適化を図ることができる。温度データを用いて、光起電デバイス210の温度勾配を可視化し、統計データを計算することにより、エネルギー生成量の差が変化する理由を明らかにすることができる。電流及び電圧のデータにより、1つ以上の光起電デバイス210うち性能の悪いデバイス群を特定することができる。これに加えて及び/又は代えて、電流及び電圧のデータを利用して、光起電デバイス210群ごとの電力を計算し、計算で求めた各デバイス群の電力を統計的に比較することもできる。これにより、統計的上下限値からの好ましくない逸脱を起こしている光起電デバイス210群を特定し、さらなる調査、さらに将来的には修理、を行えるようにすることができる。
【0161】
任意選択的に、電流及び電圧のデータを利用した計算により、他の種類の分析や最適化を行うこともできる。例えば、光起電デバイス210の洗浄費用は、太陽光発電資産の所有者にとって多大なものとなるため、洗浄が必要な光起電デバイス210群を計算で突き止めることにより、利益を最大化することができる。また、洗浄前の光起電デバイス210の電流及び電圧のデータを用いて、洗浄後に期待される光起電デバイス210の太陽光発電性能の予測、並びに、洗浄コスト、汚れ率、及び利益を最大化する最適な光起電デバイス210の洗浄時間を計算することもできる。また、変換システム情報及び/又はセンサシステム情報を集約することにより、他の同様の分析及び最適化も実行することが可能となる。
【0162】
図9に、エネルギー最適化方法500の他の例示的な代替的実施形態を示す。エネルギー最適化方法500は、例えば、エネルギー管理処理システムにより実行することができる。選択された実施形態では、制御システム110により、エネルギー最適化方法500を実行することができるが、制御システム110と補助制御システム130とを連携させることにより、エネルギー最適化方法500の他の実施形態を実行することもできる。
図9を参照すると、ステップ610で、エネルギー最適化方法600を開始することができる。図示のエネルギー最適化方法600は、ステップ620で処理ループを開始する。
【0163】
処理ループは、エネルギー変換システム300が変換器データ信号119Aにより提供する変換システム情報、及び/又は供給源センサシステム120がセンサデータ信号129(
図4にまとめて図示)により提供するセンサシステム情報を受信するステップ630を含むことができる。任意選択的に、ステップ630で、エネルギー最適化方法600は、1つ以上の変換器制御信号119Bを発信することができる。変換器制御信号119Bの生成及び発信は、例えば、上記にて
図4及び
図5A~
図5Cを参照しながら詳細に説明した定量的方法に基づいて行うことができる。
【0164】
ステップ640で、(例えば、制御システム110により)変換システム情報及び/又はセンサシステム情報の処理及びフォーマットを行うことができる。そして、ステップ650で、処理及びフォーマットを経た変換システム情報及び/又はセンサシステム情報を、制御システム110により補助制御システム130に送信することができる。補助制御システム130は、送信された変換システム情報及び/又はセンサシステム情報に基づき、1つ以上の変換器制御信号119Bを生成し、変換器制御信号119Bを制御システム110に送信することができる。また、任意選択的に、補助制御システム130は、上記にて
図4及び
図5A~
図5Cを参照しながら詳細に説明した定量的方法に基づき、1つ以上の定量モデルパラメータを生成して、制御システム110に送信することができる。
【0165】
ステップ660で、制御システム110は、送信された変換器制御信号119B及び/又は定量モデルパラメータを受信することができる。ステップ670で、制御システム110は、エネルギー変換システム300及び/又は供給源センサシステム120に対して、変換器制御信号119Bを送信することができる。これにより、制御システム110は、エネルギー変換システム300及び/又は供給源センサシステム120の制御を実施することができる。そして、ステップ680で、処理ループが完了したか否かを判定する。処理ループが完了していない場合には、処理ループを繰り返し、完了した場合には、ステップ690で、処理ループ及びエネルギー最適化方法600を終了する。
【0166】
選択された実施形態では、エネルギー最適化方法600が、少なくとも1つのプロセッサ(又は、ハードウェア)によるエネルギー管理処理システムへの割り込みを含むこともできる。変換システム情報及び/又はセンサシステム情報を受信するステップ630、及び/又は、送信された変換器制御信号119B及び/又は定量モデルパラメータを受信するステップ660などの1つ以上のイベント依存処理を、ハードウェア割り込みに基づいて実行することができる。例えば、エネルギー管理処理システムがイベント依存処理に関連付けられたデータを受信すると、ハードウェア割り込みがトリガされ、イベント依存処理及びこれに後続する本方法の1つ以上の処理が実行される。
【0167】
これに加えて及び/又は代えて、マルチスレッドを用いてエネルギー最適化方法600を実装することもできる。本実施形態では、複数の命令セットをそれぞれ別個のループで実行することができる。例示的なループは、変換システム情報及び/又はセンサシステム情報を受信し、及び/又は1つ以上の変換器制御信号119Bを発信するステップ630を含むことができる。エネルギー管理処理システムがイベント依存処理に関連付けられたデータを受信すると、エネルギー最適化方法600は、ループを終了して、これに後続する本方法の1つ以上の処理に進むことができる。
【0168】
エネルギー最適化方法500のさらに他の代替的な実施形態を、
図10A~
図10Cに示す。
図10A~
図10Cを参照すると、図示のエネルギー最適化方法500は、例示的なエネルギー最適化方法700を含んでいる。例示的なエネルギー最適化方法700は、エネルギー源200の動作環境250の変動及び/又はエネルギー源200自体の動作状態の変動に関わらず、エネルギー源200が、ピーク電力(又は、そのごく近傍)で継続的に動作することを可能にする動作領域を確立、維持、及び/又は調整することができる。エネルギー最適化方法700は、例えば、エネルギー管理処理システムにより実行することができる。
【0169】
図10Aに示すように、エネルギー最適化方法700は、関連エネルギー源200の定量モデルの1つ以上の定量モデルパラメータを初期化するステップから開始することができる。例えば、エネルギー最適化方法700は、ステップ702で、逆飽和電流I
o及びダイオード理想因子nを初期化することができる。例えば、逆飽和電流I
o及びダイオード理想因子nを、所定の初期値に設定することができる。
図10Aに示すように、逆飽和電流I
oを初期値Initial Value_Aに設定し、ダイオード理想因子nを初期値Initial Value_Bに設定することができる。なお、逆飽和電流I
oの初期推定値で初期値Initial Value_Aを構成し、及び/又は、ダイオード理想因子nの初期推定値で初期値Initial Value_Bを構成することができる。
【0170】
これに加えて及び/又は代えて、エネルギー最適化方法700は、ステップ704で、ボルツマン定数K及び電子の素電荷qを初期化することができる。例えば、ボルツマン定数K及び電子の素電荷qを、所定の値に設定することができる。
図10Aに示すように、ボルツマン定数Kを定数Constant_1に設定し、電子の素電荷qを定数Constant_2に設定することができる。任意選択的に、ステップ706で、第1のループカウント(Count)を初期化することができる。
図10Aでは、第1のループカウントの値を「1」に設定している。
【0171】
ステップ708で、関連エネルギー源200から供給される出力電流I
OUT、関連エネルギー源200から供給される出力電圧V
OUT、及び温度T(ケルビン)の初期測定値を、動作環境250内に配置されたセンサシステム120から受信することができる。例えば、電流センササブシステム124(
図5Bに図示)により、出力電流I
OUTの初期測定値を提供することができ、電圧センササブシステム123(
図5Bに図示)により、出力電圧V
OUTの初期測定値を提供することができる。ステップ710で、入射光から発生する電流I
LIGHTの初期値を求めることができる。電流I
LIGHTの初期値は、例えば、関連エネルギー源200の定量モデルに基づいて求めることができる。関連エネルギー源200が光起電デバイス210(
図1Bに図示)を含む場合、入射光から発生する電流I
LIGHTの初期値は、光起電デバイス210の定量モデルに基づいて、上記の式2に従って求めることができる。
【0172】
ステップ712で、光起電デバイス210から供給される出力電圧VOUTの初期測定値と光起電デバイス210から供給される出力電流IOUTの初期測定値の積を求め、これを光起電デバイス210の最大出力電力PMAXの推定値とすることができる。また、光起電デバイス210の出力電圧VOUTの初期測定値を、光起電デバイス210の最大出力電圧VOUTMAXの推定値と推定することができ、光起電デバイス210の出力電流IOUTの初期測定値を、光起電デバイス210の最大出力電流IOUTMAXの推定値と推定することができる。選択された実施形態では、最大出力電力PMAX、最大出力電圧VOUTMAX、及び/又は最大出力電流IOUTMAXの推定値を、光起電デバイス210の最大ピーク電力に係る値とすることもできる。
【0173】
図10Bに示すように、ステップ716で、第2のループを開始することができる。第2のループは、第2のループカウントiに関連付けることができる。第2のループカウントは、第2のループカウント初期値である「1」から始まり得る。第2のループに対して、所定の繰り返し限度数Limitを設定することもできる。所定の繰り返し限度数Limitは、任意の適切な整数値で構成することができる。
【0174】
第2のループ内のステップ718で、出力電圧V
OUTの推定値を求めることができる。出力電圧V
OUTの推定値は、出力電圧V
OUTの初期測定値に増分をインクリメントした値で構成することができる。
図10A~
図10Cに示すように、例えば、出力電圧V
OUTの推定値は、出力電圧V
OUTの初期測定値と増分電圧V
DELTAとの和で構成することができる。増分電圧V
DELTAは、任意の適切な増分電圧値で構成することができる。
【0175】
有利には、エネルギー最適化方法700は、定量的方法を利用することができる。例えば、ステップ720で、エネルギー最適化方法700は、ステップ718で求めた出力電圧VOUTの更新値に基づいて、出力電流IOUTの更新値を求めることができる。出力電流IOUTは、例えば、上記の式1に基づいて計算することができる。
【0176】
ステップ722で、ステップ718で求めた出力電圧VOUTの推定値とステップ720で求めた出力電流IOUTの更新値の積を求め、これを光起電デバイス210の最大出力電力PMAXの更新値とすることができる。そしてステップ724で、最大出力電力PMAXの更新値を、ステップ712で求めた最大出力電力PMAXの推定値と比較することができる。最大出力電力PMAXの更新値が最大出力電力PMAXの推定値よりも大きい場合には、最大出力電力PMAXの推定値を、ステップ722で求めた最大出力電力PMAXの更新値と等しい値に更新することができる。
【0177】
これに加えて及び/又は代えて、最大出力電力PMAXの更新値が最大出力電力PMAXの推定値よりも大きい場合に、最大出力電力電圧VOUTMAXの推定値を、ステップ718で求めた最大出力電圧VOUTの更新値と等しい値に更新することができ、及び/又は最大出力電力電流IOUTMAXの推定値を、ステップ720で求めた最大出力電流IOUTの更新値と等しい値に更新することができる。一方、最大出力電力PMAXの更新値が最大出力電力PMAXの推定値よりも小さい(又は、等しい)場合には、最大出力電力PMAX、最大出力電圧VOUTMAX、及び/又は最大出力電流IOUTMAXの推定値を変更せずにそのまま維持することができる。
【0178】
そしてステップ728で、第2のループカウントiを、所定の繰り返し限度数Limitと比較することができる。第2のループカウントiが所定の繰り返し限度数Limitより小さい(又は、等しい)場合には、第2のループカウントiに「1」などの増分をインクリメントし、(例えば、ステップ718で出力電圧VOUTの更新値をもう一度求めることにより)第2のループを繰り返すことができる。一方、第2のループカウントiが所定の繰り返し限度数Limitより大きい場合には、第2のループを終了し、最大出力電力PMAX、最大出力電圧VOUTMAX、及び/又は最大出力電流IOUTMAXの推定値を、正確な推定値であると判定することができる。
【0179】
エネルギー最適化方法700は、ステップ718で求めた出力電圧V
OUTの更新値を利用して、変換器制御信号119Bのデューティ比、パルス幅、及び/又はパルス持続時間を、光起電デバイス210から供給される出力電圧V
OUTが最大出力電圧V
OUTMAXに等しくなるように調整することができる。言い換えれば、光起電デバイス210から供給される出力電圧V
OUTの更新測定値が最大出力電圧V
OUTMAXの最新の値に等しくなるように、変換器制御信号119Bのデューティ比、パルス幅、及び/又はパルス持続時間を調整することができる。変換器制御信号119Bのデューティ比、パルス幅、及び/又はパルス持続時間を調整できることにより、
図10Cに示すステップ732で、関連エネルギー源200から供給される出力電流I
OUTの更新測定値を、センサシステム120から受信することができる。
【0180】
選択された実施形態では、ステップ734で、光起電デバイス210の定量モデルの選択された定量モデルパラメータに対する1つ以上の値を、保存定量モデルパラメータとして保存することができる。
図10Cに示すように、選択された定量モデルパラメータには、出力電流I
OUTの更新測定値、最大出力電流I
OUTMAXの更新値、出力電圧V
OUTの更新測定値、最大出力電圧V
OUTMAXの更新値、ダイオード理想因子nの受信値、逆飽和電流I
oの受信値、及び/又は温度T(ケルビン)の受信値が含まれ得る。そして、ステップ736で、光起電デバイス210の逆飽和電流I
o及び/又はダイオード理想因子nなどの1つ以上の特性の更新値が取得できる状態にあるか否かを判定することができる。そして、ステップ738で、光起電デバイス210の1つ以上の特性の更新値を受信することができる。光起電デバイス210の他の任意の特性の値は、変更せずにそのまま維持することができる。
【0181】
ステップ740で、第1のループカウントに「1」などの増分をインクリメントすることができる。ステップ728で、第1のループカウントを、所定の最大カウント数(Max_Count)と比較することができる。第1のループカウントが所定の最大カウント数より大きい場合には、ステップ734で保存した保存定量モデルパラメータを送信することができる。例えば、補助制御システム130が、保存定量モデルパラメータを制御システム110に送信することができる。そして、ステップ746で、第1のループカウントを「1」に再び初期化することができる。一方、第1のループカウントが所定の最大カウント数より小さい(又は、等しい)場合には、(例えば、ステップ708でセンサシステム120から出力電流IOUT、出力電圧VOUT、及び温度T(ケルビン)の測定値を再受信することにより)第1のループを繰り返すことができる。
【0182】
図11に、補助制御システム130(
図7A及び
図7Bに図示)が制御システム110(
図7A及び
図7Bに図示)と相互作用する方法である、第1の相互作用方法800を示す。図示の第1の相互作用方法800は、ステップ810で処理ループを開始する。処理ループは、補助制御システム130が、デバイスクライアントメッセージをリッスンするステップ820を含むことができる。デバイスクライアントメッセージには、エネルギー変換システム300(
図7A及び
図7Bに図示)が提供する変換システム情報、供給源センサシステム120(
図7A及び
図7Bに図示)が提供するセンサシステム情報、及び/又は、制御システム110から取得できる他のシステム状態及びデータ情報が含まれる。例えば、補助制御システム130は、1つ以上の制御データ信号139Aにより、制御システム110から、変換システム情報、センサシステム情報、及び/又は他のシステム状態及びデータ情報を受信することができる。
【0183】
システム状態及びデータ情報を受信すると、補助制御システム130は、ステップ830で、受信したシステム状態及びデータ情報を処理し、ステップ840で、関連エネルギー源200の定量モデル(
図7A及び
図7Bに図示)の1つ以上の定量モデルパラメータを更新することができる。例えば、補助制御システム130は、受信したシステム状態及びデータ情報に基づいて定量モデルパラメータを更新することができる。そして、ステップ850で、補助制御システム130は、定量モデルパラメータに基づいて、少なくとも1つの指令を策定することができる。選択された実施形態では、ステップ860で、受信したシステム状態及びデータ情報、更新した定量モデルパラメータ、及び/又は策定した指令を保存することができ、及び/又は、ステップ870で、1つ以上の指令信号139Bにより、指令及び/又は定量モデルパラメータを制御システム110に送信することができる。そして、ステップ880で、処理ループを繰り返すか、ステップ890に進んで第1の相互作用方法800を終了するかの判定を行うことができる。
【0184】
図12A~
図12Dに、例示的な機械学習方法900を示す。機械学習方法900を利用して、例えば、(
図11に示す)ステップ840で、関連エネルギー源200の定量モデルの1つ以上の定量モデルパラメータを更新することができ、選択された実施形態では、補助制御システム130により機械学習方法900を実装することができる。
図12Aを参照すると、機械学習方法900は、制御システム110からファイルを受信するステップ902を含むことができる。
【0185】
受信ファイルは、
図10A~
図10Cに示すエネルギー最適化方法700及び
図11に示す第1の相互作用方法800を参照しながら上述したような、選択された定量モデルパラメータの更新値を含むことができる。受信ファイルが含む更新値には、上述したような、出力電流I
OUTの更新測定値、最大出力電流I
OUTMAXの更新値、出力電圧V
OUTの更新測定値、最大出力電圧V
OUTMAXの更新値、ダイオード理想因子nの受信値、逆飽和電流I
oの受信値、及び/又は温度T(ケルビン)の受信値が含まれ得るが、これらに限定されるものではない。
【0186】
図12Aに示すように、受信ファイルを、ステップ904で第1のアレイArray_1に保存し、ステップ906で第2のアレイArray_2に保存し、及び/又は、ステップ908で第3のアレイArray_3に保存することができる。第1のアレイArray_1の例示的な構造を、
図13Aに示す。
図13Aに示す第1のアレイArray_1は、出力電流I
OUTの値、最大出力電流I
OUTMAXの値、ダイオード理想因子nの値、逆飽和電流I
oの値、出力電圧V
OUTの値、及び温度Tの値をそれぞれ複数含んでいる。第1のアレイArray_1に対して、これらの値からなる行を追加保存することができる。追加行の保存は、例えば、
図11に示す第1の相互作用方法800の処理ループを繰り返す度に、関連エネルギー源200の定量モデルの1つ以上の定量モデルパラメータを更新するステップ840に従って行われる。
【0187】
第2のアレイArray_2の例示的な構造を
図13Bに、第3のアレイArray_3の例示的な構造を
図13Cに示す。第1のアレイArray_1と同様に、第2のアレイArray_2及び第3のアレイArray_3は、出力電流I
OUTの値、最大出力電流I
OUTMAXの値、ダイオード理想因子nの値、逆飽和電流I
oの値、出力電圧V
OUTの値、及び温度Tの値をそれぞれ複数含んでいる。選択された実施形態では、
図11に示す第1の相互作用方法800の処理ループを繰り返す度に、関連エネルギー源200の定量モデルの1つ以上の定量モデルパラメータを更新するステップ840に従って、これらの値からなる行を第2のアレイArray_2及び第3のアレイArray_3に追加保存することができる。
【0188】
ステップ910で、第1のフラグであるFlag_2を「偽(false)」に設定し、ステップ912で、第2のフラグであるFlag_3を「偽」に設定することができる。第1のフラグであるFlag_2は、機械学習プロセスなどによるダイオード理想因子nの更新が完了したときに「真(true)」になることができる。これに加えて及び/又は代えて、第2のフラグであるFlag_3は、機械学習プロセスなどによる逆飽和電流Ioの更新が完了したときに「真」になることができる。
【0189】
図12Aに示すように、ステップ914で、第1のフラグであるFlag_2及び第2のフラグであるFlag_3が共に「偽」であることを条件とするwhile文により、処理ループを開始することができる。ステップ916で、第1の誤差であるError_1を計算することができる。第1の誤差であるError_1は、第1のアレイArray_1に保存されている出力電流I
OUTの値と最大出力電流I
OUTMAXの値との差の平均二乗の平均値とすることができ、この値は、関連するダイオード理想因子n、逆飽和電流I
o、出力電圧V
OUT、及び温度Tの保存値に基づくものである。
【0190】
図12Bに示すように、ステップ918で、第1のフラグであるFlag_2の状態を調べることができる。第1のフラグであるFlag_2は、ダイオード理想因子nの新しい値への収束が完了したときに「真」になることができる。第1のフラグであるFlag_2が「偽」の場合、ダイオード理想因子nの値をさらに微調整する必要がある。ステップ920で、ダイオード理想因子nの新しい値n2を計算することができる。ダイオード理想因子nの新しい値n2は、例えば、第1のアレイArray_1のダイオード理想因子nの値と所定の増倍率Epsilon_Aとの積を、第2のアレイArray_2のダイオード理想因子nの値に加算することにより計算することができる。そしてステップ922で、計算により求めたダイオード理想因子nの新しい値n2を、第2のアレイArray_2に保存することができる。
【0191】
ステップ922で、ダイオード理想因子nの新しい値n2に基づいて、最大出力電流I
OUTMAXの新しい値を計算することができる。関連エネルギー源200が光起電デバイス210(
図1Bに図示)を含む場合、最大出力電流I
OUTMAXの新しい値は、ダイオード理想因子nの新しい値n2を用いて上記の式1に従って計算することができる。計算により求めた最大出力電流I
OUTMAXの新しい値は、第2のアレイArray_2に保存することができる。
【0192】
ステップ926で、第2の誤差であるError_2を計算することができる。第2の誤差であるError_2は、例えば、第2のアレイArray_2の値を用いて
図12Bに示す方法で計算することができる。選択された実施形態では、第2の誤差であるError_2は、ダイオード理想因子nの調整値に基づくものとすることができ、かかる調整値は、第1のアレイArray_1に保存されているダイオード理想因子nに、所定の微小値Δを加算することにより生成することができる。第2の誤差であるError_2は、出力電流I
OUTの値と最大出力電流I
OUTMAXの値との平均二乗誤差の平均値で構成することができる。
【0193】
ステップ928で、第1の勾配(又は、導関数)であるDel_f(n)を生成することができる。第1の勾配であるDel_f(n)は、第1の誤差であるError_1と第2の誤差であるError_2との差を、第1のアレイArray_1に保存されているダイオード理想因子nと第2のアレイArray_2に保存されているダイオード理想因子nとの差で除算することにより計算することができる。選択された実施形態では、第1の勾配であるDel_f(n)は、ダイオード理想因子nの変化に対する誤差の変化を表すことができる。
【0194】
機械学習方法900は、ステップ930で、ダイオード理想因子nの新しい値n2newを計算することができる。
図12Bに示すように、新しい値n2newは、学習率(learn rate:LR)と事前に計算した第1の勾配Del_f(n)との積を、第2のアレイArray_2に保存されているダイオード理想因子nの値から減算することにより求めることができる。学習率は、1より小さく0より大きい値とすることができ、ダイオード理想因子nに関する計算ステップ数と収束率との均衡点で構成することができる。そしてステップ932で、計算により求めたダイオード理想因子nの新しい値n2newを、ダイオード理想因子nの新しい値として第2のアレイArray_2に保存することができる。
【0195】
図12Cを参照すると、ステップ934で、ダイオード理想因子nの値が収束に達したか否かを判定することができる。
図12Cに示すように、この判定は、出力電流I
OUTの値と最大出力電流I
OUTMAXの値との差と、所定の収束係数Epsilon_Bとの比較に基づいて行うことができる。選択された実施形態では、収束係数Epsilon_Bは、ダイオード理想因子nの理想値とダイオード理想因子nの更新値との間の許容誤差に基づき定めることができる。許容誤差が小さいほど、計算回数は多くなる。出力電流I
OUTの値と最大出力電流I
OUTMAXの値との差の絶対値が収束係数Epsilon_Bより小さい場合、収束したと判定することができ、ステップ936で、第1のフラグであるFlag_2を「真」に設定することができる。
【0196】
出力電流IOUTの値と最大出力電流IOUTMAXの値との差の絶対値が収束係数Epsilon_Bより大きい場合、ステップ938で、第2のフラグであるFlag_3の現在の状態を調べることができる。第2のフラグであるFlag_3が「真」である場合、ステップ940で、第1のアレイArray_1に保存されている逆飽和電流Ioの値Io1と所定の調整係数Epsilon_Cとの積と、値Io1との和を計算し、これを逆飽和電流Ioの新しい値Io3とすることができる。そしてステップ942で、計算により求めた逆飽和電流Ioの新しい値Io3を、逆飽和電流Ioの新しい値として第3のアレイArray_3に保存することができる。
【0197】
ステップ944で、計算により求めた逆飽和電流Ioの新しい値Io3に基づいて、最大出力電流IOUTMAXの新しい値を計算することができる。言い換えれば、計算により求めた逆飽和電流Ioの新しい値Io3に基づいて、最大出力電流IOUTMAXの値を再計算することができる。関連エネルギー源200が光起電デバイス210を含む場合、最大出力電流IOUTMAXの新しい値は、計算により求めた逆飽和電流Ioの新しい値Io3を用いて上記の式1に従って計算することができる。計算により求めた最大出力電流IOUTMAXの新しい値は、第3のアレイArray_3に保存することができる。
【0198】
ステップ946で、第3の誤差であるError_3を計算することができる。
図12Cに示すように、第3の誤差であるError_3は、第3のアレイArray_3の出力電流I
OUTの値と最大出力電流I
OUTMAXの値との平均二乗誤差の平均値で構成することができる。そして、
図12Dに示すように、ステップ948で、第2の勾配(又は、導関数)であるDel_f(I
o)を生成することができる。第2の勾配であるDel_f(I
o)は、第1の誤差であるError_1と第3の誤差であるError_3との差を、第1のアレイArray_1に保存されている逆飽和電流I
oの値I
o1と第3のアレイArray_3に保存されている逆飽和電流I
oの値I
o3との差で除算することにより計算することができる。選択された実施形態では、第2の勾配であるDel_f(I
o)は、逆飽和電流I
oの変化に対する誤差の変化を表すことができる。
【0199】
機械学習方法900は、ステップ950で、逆飽和電流I
oの新しい値I
o3newを計算することができる。
図12Dに示すように、新しい値I
o3newは、学習率と事前に計算した第2の勾配Del_f(I
o)との積を、第3のアレイArray_3に保存されている逆飽和電流I
oの値I
o3から減算することにより求めることができる。上述のように、学習率は、1より小さく0より大きい値とすることができ、及び/又は、逆飽和電流I
oに関する計算ステップ数と収束率との均衡点で構成することができる。そしてステップ952で、計算により求めた逆飽和電流I
oの新しい値I
o3newを、逆飽和電流I
oの新しい値として第3のアレイArray_3に保存することができる。
【0200】
ステップ954で、逆飽和電流I
oの値が収束に達したか否かを判定することができる。
図12Dに示すように、この判定は、出力電流I
OUTの値と最大出力電流I
OUTMAXの値との差と、事前に求めた収束係数Epsilon_Bとの比較に基づいて行うことができる。上記でより詳細に説明したように、収束係数Epsilon_Bは、逆飽和電流I
oの理想値と逆飽和電流I
oの更新値との間の許容誤差に基づき定めることができる。出力電流I
OUTの値と最大出力電流I
OUTMAXの値との差の絶対値が収束係数Epsilon_Bより小さい場合、収束したと判定することができ、ステップ956で、第2のフラグであるFlag_3を「真」に設定することができる。
【0201】
ステップ958で、第1のフラグであるFlag_2及び第2のフラグであるFlag_3の現在の状態を調べることができる。第1のフラグであるFlag_2と第2のフラグであるFlag_3が共に「真」に設定されている場合、ダイオード理想因子nの値及び逆飽和電流I
oの値は収束したと判定することができる。したがって、ステップ960で、第2のアレイArray_2に保存されているダイオード理想因子nの値n2及び第3のアレイArray_3に保存されている逆飽和電流I
oの値I
o3を、制御システム110に提供することができる。そしてステップ962で、機械学習方法900を終了することができる。機械学習方法900が終了すると、定量モデルの定量モデルパラメータの更新が完了する。また、第1のフラグであるFlag_2と第2のフラグであるFlag_3が共に「真」に設定されてはいない場合、ダイオード理想因子nの値及び逆飽和電流I
oの値が収束したと判定することはできない。したがって、例えば、
図12Aに示すステップ916で、第1の誤差であるError_1を計算することにより、機械学習方法900を継続することができる。
【0202】
図14に、補助制御システム130の第2の相互作用方法1000の一実施形態を示す。第2の相互作用方法1000は、補助制御システム130がユーザコンピュータシステム150(
図7Bに図示)と通信することを可能にするものである。
図14を参照すると、第2の相互作用方法1000は、処理ループを開始するステップ1010を含むことができる。処理ループは、補助制御システム130(
図7A及び
図7Bに図示)が、ユーザクライアントメッセージ要求をリッスンするステップ1020を含むことができる。ユーザクライアントメッセージ要求の受信があった場合、補助制御システム130は、ステップ1030で、受信したユーザクライアントメッセージ要求を検証することができる。
【0203】
そしてステップ1040で、受信したユーザクライアントメッセージ要求が、容認可能な要求であるか容認不可な要求であるかを判定することができる。受信したユーザクライアントメッセージ要求が、容認不可な要求と判定されるなどにより失敗した場合、第2の相互作用方法1000は、ステップ1045で、失敗メッセージを返して、処理ループを再始動することができる。例えば、ユーザコンピュータシステム150を介してエネルギー最適化システム100にアクセスを試みているユーザが、承認済みユーザのリストに含まれていない場合に、受信したユーザクライアントメッセージ要求を容認不可な要求であると判定することができる。一方、例えば、承認済みユーザのリストにより有効と確認された場合などには、受信したユーザクライアントメッセージ要求を、容認可能な要求と判定して、処理ループを進めることができる。
【0204】
そしてステップ1050で、クエリを策定して実行することができる。クエリの実行は、補助制御システム130により行われ、結果を返すことができる。そしてステップ1060で、クエリの結果を、ユーザコンピュータシステム150に送信することができる。ステップ1070で、クエリをログに記録することができる。そして、ステップ1080で、処理ループを繰り返すか、ステップ1090に進んで第2の相互作用方法1000を終了するかの判定を行うことができる。
【0205】
選択された実施形態では、
図11に示す第1の相互作用方法800と
図14に示す第2の相互作用方法1000を、同時に動作させることができる。また任意選択的に、
図11に示す第1の相互作用方法800及び第2の相互作用方法1000を、1つのマルチスレッドプログラム又は方法の一部とすることもできる。これに加えて及び/又は代えて、
図11に示す第1の相互作用方法800と第2の相互作用方法1000は、共通のオペレーティングシステム上で同時に動作することが可能な個別のプログラム又は方法を含むこともできる。
【0206】
選択された実施形態では、本明細書に開示の特徴の1つ以上を、1つ以上の非一時的な機械可読記憶媒体上で符号化されたコンピュータプログラム製品として提供することができる。本明細書における「A、B、C及びDのうち少なくとも1つ」という形式の表現は、「1つ以上のA、1つ以上のB、1つ以上のC、及び/又は、1つ以上のD」を意味すると解釈すべきである。
【0207】
本明細書に記載の実施形態は様々な変形や外形変更が可能であるが、一例として、そのうちの特定的な例を図面に示し、明細書において詳細に説明している。しかしながら、本明細書に記載の実施形態は、開示した特定の形態又は方法に限定されるものではなく、逆に、本開示が、すべての変形例、均等物、及び代替物を包含するものであることを理解されたい。
【符号の説明】
【0208】
100 エネルギー最適化システム
110 制御システム
111 (制御システムの)プロセッサシステム
112 (制御システムの)入力インタフェースシステム
113 (制御システムの)出力インタフェースシステム
114 (制御システムの)内部通信バス
115 (制御システムの)メモリシステム
116 (制御システムの)データ記憶システム
119A 変換器データ信号
119B 変換器制御信号
120 供給源センサシステム
121 内部温度センササブシステム
121A 内部温度データ信号
122 外部温度センササブシステム
122A 外部温度データ信号
123 電圧センササブシステム
123A 出力電圧測定データ信号
124 電流センササブシステム
124A 出力電流測定データ信号
125 画像センササブシステム
125A 画像データ信号
126 日射計センササブシステム
126A 放射照度データ信号
127 風速計センササブシステム
127A 風速データ信号
128 有線通信システム
128A センサインタフェースシステム
129 センサデータ信号
130 補助制御システム
131 (補助制御システムの)プロセッサシステム
132 (補助制御システムの)入力インタフェースシステム
133 (補助制御システムの)出力インタフェースシステム
134 (補助制御システムの)内部通信バス
135 (補助制御システムの)メモリシステム
136 (補助制御システムの)データ記憶システム
139A 制御データ信号
139B 指令信号
140 通信ネットワーク
150 ユーザコンピュータシステム
160 補助記憶システム
200 エネルギー源
210 光起電デバイス
220 供給エネルギー
225 中間DC電力
230 AC出力電力
250 動作環境
300 エネルギー変換システム
310 DC-DC変換システム
320 電力インバータ
322 DC-ACインバータシステム
330 変換器センサシステム
400 負荷
410 送配電網
1500 特性曲線
1510、1520 電流-電圧特性曲線
1512、1522、1532、1542 変曲領域(変曲点)
1514、1524、1534、1544 開放手段電圧
1516、1526 短絡手段電流
1518、1528、1538、1548 傾き
1530、1540 電力-電圧特性曲線
1550 縦軸(又は、原点)