(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】光学ガラス、光学プリフォーム、光学素子及び光学機器
(51)【国際特許分類】
C03C 3/247 20060101AFI20240807BHJP
G02B 1/00 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
C03C3/247
G02B1/00
(21)【出願番号】P 2023515261
(86)(22)【出願日】2021-07-21
(86)【国際出願番号】 CN2021107556
(87)【国際公開番号】W WO2022052642
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-03-07
(31)【優先権主張番号】202010934358.7
(32)【優先日】2020-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512264046
【氏名又は名称】成都光明光▲電▼股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHENGDU GUANG MING GUANG DIAN GLASS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.359,Sec.3,Chenglong Avenue,Long quan yi District,Chengdu,Sichuan China
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】匡 波
(72)【発明者】
【氏名】孫 偉
【審査官】有田 恭子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/196523(WO,A1)
【文献】特開2003-160356(JP,A)
【文献】特開2019-104670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 1/00-14/00
G02B 1/00
INTERGLAD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽イオン成分を、以下の重量%で含み:
P
5+:5.0~20.0%、Ba
2+:56.0~73.0%、Al
3+:7.0~18.0%、Sr
2+:0.5~12.0%、Ca
2+:0~5.0%、
Gd
3+
:0.1~5.0%、Y
3+
:0.1~5.0%、Ca
2++Ba
2++Al
3+の合計含有量は69.0~85.0%
、(Ca
2+
+Ba
2+
)/(Sr
2+
+Mg
2+
)は4.5~20.0である、
陰イオン成分を、以下の重量%で含む:
F
-:35.0~60.0%、O
2-:40.0~65.0%である光学ガラス。
【請求項2】
重量%で表し、陽イオン成分がさらに以下を含む、請求項1に記載の光学ガラス:
Mg
2+:0~3.0%、及び/又はZn
2+:0~3.0%、及び/又はLn
3+:0.
2~8.0%、及び/又はRn
+:0~5.0%、及び/又はNb
5+:0~3.0%、及び/又はW
6+:0~3.0%、及び/又はTi
4+:0~3.0%、及び/又はZr
4+:0~3.0%、及び/又はSi
4+:0~3.0%、及び/又はB
3+:0~3.0%であり、
Rn
+はLi
+、Na
+、K
+から選択される一種または複数種であり、Ln
3+は
、Gd
3+
およびY
3+
を必須とし、La
2+
およびYb
3+
を含んでいてもよい、二種
以上である。
【請求項3】
陽イオン成分が、以下の重量%からなり:
P
5+:5.0~20.0%、Ba
2+:56.0~73.0%、Al
3+:7.0~18.0%、Sr
2+:0.5~12.0%、Mg
2+:0~3.0%、Ca
2+:0~5.0%、Zn
2+:0~3.0%、Si
4+:0~3.0%、B
3+:0~3.0%、W
6+:0~3.0%、Zr
4+:0~3.0%、Ti
4+:0~3.0%、
Gd
3+
:0.1~5.0%、Y
3+
:0.1~5.0%、Ln
3+:0.
2~8.0%、Rn
+:0~5.0%、Nb
5+:0~3.0%であり、
Ca
2++Ba
2++Al
3+の合計含有量は69.0~85.0%
、(Ca
2+
+Ba
2+
)/(Sr
2+
+Mg
2+
)は4.5~20.0であり、Rn
+はLi
+、Na
+、K
+から選択される一種または複数種であり、Ln
3+は
、Gd
3+
およびY
3+
を必須とし、La
2+
およびYb
3+
を含んでいてもよい、二種
以上である、
陰イオン成分が、以下の重量%からなる:
F
-:35.0~60.0%、O
2-:40.0~65.0%である、
光学ガラス。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス:
P
5+:8.0~20.0%、及び/又はBa
2+:58.0~72.0%、及び/又はAl
3+:8.5~16.0%、及び/又はSr
2+:1.0~12.0%、及び/又はMg
2+:0~2.0%、及び/又はCa
2+:0~3.0%、及び/又はZn
2+:0~1.0%、及び/又はLn
3+:0.
2~5.0%、及び/又はRn
+:0~3.0%、及び/又はNb
5+:0~1.0%、及び/又はSi
4+:0~1.0%、及び/又はB
3+:0~1.0%、及び/又はW
6+:0~1.0%、及び/又はZr
4+:0~1.0%、及び/又はTi
4+:0~1.0%であ
り、Ln
3+
は、Gd
3+
およびY
3+
を必須とし、La
2+
およびYb
3+
を含んでいてもよい、二種以上である。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス:
P
5+:8.0~18.0%、及び/又はBa
2+:59.6~71.0%、及び/又はAl
3+:9~16.0%、及び/又はSr
2+:2.0~11.0%、及び/又はMg
2+:0~1.2%、及び/又はZn
2+を含まない、及び/又はLn
3+:0.
2~3.0%、及び/又はRn
+を含まない、及び/又はNb
5+を含まない、及び/又はSi
4+を含まない、及び/又はB
3+を含まない、及び/又はW
6+を含まない、及び/又はZr
4+を含まない、及び/又はTi
4+を含まないことであ
り、Ln
3+
は、Gd
3+
およびY
3+
を必須とし、La
2+
およびYb
3+
を含んでいてもよい、二種以上である。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス
:
Al
3+/Sr
2+は1.0~5.0、 及び/又は(Ca
2++Ba
2++Al
3+)/Sr
2+は5.6~20.0、 及び/又はCa
2++Ba
2++Al
3+の合計含有量は70.0~81.0%である。
【請求項7】
請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス:
(Ca
2++Ba
2+)/(Sr
2++Mg
2+)は5.0~15.0、 及び/又はAl
3+/Sr
2+は1.1~4.0、 及び/又は(Ca
2++Ba
2++Al
3+)/Sr
2+は7.0~18.0、 及び/又はCa
2++Ba
2++Al
3+の合計含有量は70.0~80.0%である。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス:
(Ca
2++Ba
2+)/(Sr
2++Mg
2+)は6.0~12.0、 及び/又はAl
3+/Sr
2+は1.1~2.0、 及び/又(Ca
2++Ba
2++Al
3+)/Sr
2+は9.0~15.0である。
【請求項9】
請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス
:
Gd
3+:0.1~
4.5%、及び/又はY
3+:0
.1~
4.5%である。
【請求項10】
請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス
:
Gd
3+:0.1~2.0%、及び/又はY
3+:0.5~4.5%である。
【請求項11】
請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス:
F
-:45.0~55.0%、及び/又はO
2-:45.0~55.0%である。
【請求項12】
請求項1又は2に記載の光学ガラス:
重量%でさらに0~1%の清澄剤を含み、前記清澄剤はSb
3+、Sn
4+、Ce
4+、Cl
-、Br
-およびI
-から選択される一種または複数種である。
【請求項13】
請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス:
前記光学ガラスの屈折率は1.50~1.58、及び/又はアッベ数は70~80、及び/又は屈折率温度係数dn/dtは5.0×10
-6/℃以下、及び/又は耐候性CRは2類以上、及び/又は摩耗度は450以下、及び/又はKnoop硬度H
Kは300×10
7 Pa 以上、及び/又は気泡度はB級以上である。
【請求項14】
請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス:
前記光学ガラスの屈折率が1.53~1.57、及び/又はアッベ数が72~78、及び/又は屈折率温度係数dn/dtは-5.5×10
-6/℃以下、及び/又は耐候性CRは1類、及び/又は摩耗度は410以下、及び/又はKnoop硬度H
Kは350×10
7Pa以上、及び/又は気泡度はA
0級以上である。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の光学ガラスで製造される、ガラスプリフォーム。
【請求項16】
請求項1~14のいずれか一項に記載の光学ガラス、又は請求項15に記載のガラスプリフォームで製造される、光学素子。
【請求項17】
請求項1~14のいずれか一項に記載の光学ガラス、又は請求項16に記載の光学素子で製造される、光学機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ガラスに関し、特に光学ガラス、及びその光学ガラスからなる光学プリフォーム、光学素子及び光学機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フツリン酸塩光学ガラスは、屈折率が低く、光の分散が低い光学ガラスであり、特殊な相対部分分散と負の屈折率温度係数を有し、二次スペクトルを効果的に除去し、光学レンズの結像品質を高めることができると同時に、このようなガラスの軟化温度が比較的低く、一次または二次プレス加工で非球面レンズを成形することができ、高級デジタル光学端末製品とハイエンド機器の製造に用いる優れた光学材料である。結像光学系製品の小型化、高性能化の発展に伴い、フルオロリン酸塩光学ガラスに対する光学設計の需要が高まりつつある。従来技術におけるフツリン酸塩ガラス製品の耐候安定性が比較的低く、大気浸食を受けたガラスの表面に「白斑」や「曇り」などの変質層が発生する。さらに、ガラスの屈折率は温度が大きく変化するにつれて温度差を引き起こし、特に高温環境下で使用する場合の屈折率の変化は結像品質を大幅に低下させる。このため、光電材料などの分野において、耐候性、屈折率温度係数など、フツリン酸塩光学ガラスに対する性能要求が高まり、その需要もますます差し迫っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする技術的課題は、屈折率温度係数(60~80℃)が-5.0×10-6/℃以下で耐候安定性に優れた光学ガラスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明が技術的課題を解決するために採用する技術方案は次のとおりである。
(1) 陽イオン成分が重量%で表し、以下の成分を含む、光学ガラス:
P5+:5.0~20.0%、Ba2+:56.0~73.0%、Al3+:7.0~18.0%、Sr2+:0.5~12.0%、Ca2+:0~5.0%であり、Ca2++Ba2++Al3+の合計含有量は69.0~85.0%である、
陰イオン成分が重量%で表し、以下の成分を含む: F-:35.0~60.0%、O2-:40.0~65.0%である。
(2) 重量%で表し、陽イオン成分がさらに以下を含む、(1)に記載の光学ガラス:
Mg2+:0~3.0%、及び/又はZn2+:0~3.0%、及び/又はLn3+:0.1~8.0%、及び/又はRn+:0~5.0%、及び/又はNb5+:0~3.0%、及び/又はW6+:0~3.0%、及び/又はTi4+:0~3.0%、及び/又はZr4+:0~3.0%、及び/又はSi4+:0~3.0%、及び/又はB3+:0~3.0%であり、Rn+はLi+、Na+、K+の一種または複数種であり、Ln3+はLa3+、Gd3+、Y3+とYb3+から一種または複数種である。
(3) 重量%で表し、陽イオン成分が以下の成分からなる、光学ガラス:
P5+:5.0~20.0%、Ba2+:56.0~73.0%、Al3+:7.0-18.0%、Sr2+:0.5~12.0%、Mg2+:0~3.0%、Ca2+:0~5.0%、Zn2+:0~3.0%、Si4+:0~3.0%、B3+:0~3.0%、W6+:0~3.0%、Zr4+:0~3.0%、Ti4+:0~3.0%、Ln3+:0.1~8.0%、Rn+:0~5.0%、Nb5+:0~3.0%であり、Ca2++Ba2++Al3+の合計含有量は69.0~85.0%であり、Rn+はLi+、Na+、K+の一種または複数種であり、Ln3+はLa3+、Gd3+、Y3+とYb3+の一種または複数種である、
陰イオン成分が重量%で表し、以下の成分からなる。 F-:35.0~60.0%、O2-:40.0~65.0%である。
(4) (1)~(3)のいずれか一つに記載の光学ガラス:
P5+:8.0-20.0%、好ましくは8.0~18.0%、及び/又はBa2+:58.0~72.0%、好ましくは59.6~71.0%、及び/又はAl3+:8.5-16.0%、好ましくは9~16.0%、及び/又はSr2+:1.0~12.0%、好ましくは2.0~11.0%、及び/又はMg2+:0~2.0%、好ましくは0~1.2%、及び/又はCa2+:0~3.0%、及び/又はZn2+:0~1.0%、好ましくは含まない、及び/又はLn3+:0.1~5.0%、好ましくは0.1~3.0%、及び/又はRn+:0~3.0%、好ましくは0~1.0%、より好ましくはRn+を含まない、及び/又はNb5+:0~1.0%、好ましくは含まない、及び/又はSi4+:0~1.0%、好ましくは含まない、及び/又はB3+:0~1.0%、好ましくは含まない、及び/又はW6+:0~1.0%、好ましくは含まない、及び/又はZr4+:0~1.0%、好ましくは含まない、及び/又はTi4+:0~1.0%、好ましくは含まないことである。
(5) (1)~(3)のいずれか一つに記載の光学ガラス:
(Ca2++Ba2+)/(Sr2++Mg2+)は4.5~20.0、好ましくは(Ca2++Ba2+)/(Sr2++Mg2+)が5.0~15.0、より好ましくは(Ca2++Ba2+)/(Sr2++Mg2+)が6.0~12.0である。
(6) (1)~(3)のいずれか一つに記載の光学ガラス:
Al3+/Sr2+は1.0~5.0、好ましくはAl3+/Sr2+が1.1~4.0、さらに好ましくはAl3+/Sr2+が1.1~2.5、より好ましくはAl3+/Sr2+が1.1~2.0である。
(7) (1)~(3)のいずれか一つに記載の光学ガラス:
(Ca2++Ba2++Al3+)/Sr2+は5.6~20.0、好ましくは7.0~18.0、より好ましくは(Ca2++Ba2++Al3+)/Sr2+が9.0-15.0である。
(8) (1)~(3)のいずれか一つに記載の光学ガラス:
前記Ca2++Ba2++Al3+の合計含有量は70.0~81.0%、より好ましくはCa2++Ba2++Al3+の合計含有量が70.0~80.0%である。
(9) (1)~(3)のいずれか一つに記載の光学ガラス:
Ln3+はGd3+及び/又はY3+であり、好ましくはGd3+、及び/又はGd3+:0.1~5.0%、好ましくは0.1~2.0%、より好ましくは0.1~1.0%、及び/又はY3+:0~5.0%、好ましくは0.5~4.5%である。
(10) (1)~(3)のいずれか一つに記載の光学ガラス:
F-:45.0~55.0%、及び/又はO2-:45.0~55.0%である。
(11) 重量%でさらに以下の成分を含む、(1)又は(2)に記載の光学ガラス:
清澄剤0~1%、前記清澄剤はSb3+、Sn4+、Ce4+、Cl-、Br-とI-の一種または複数種であり、好ましくは清澄剤がSb3+及び/又はCl-であり、清澄剤の含有量は、好ましくは0~0.5%である。
(12) (1)~(3)のいずれか一つに記載の光学ガラス:
前記光学ガラスの屈折率は1.50~1.58、好ましくは屈折率が1.53~1.57、アッベ数は70~80、好ましくはアッベ数が72~78である。
(13) (1)~(3)のいずれか一つに記載の光学ガラス:
前記光学ガラスの屈折率温度係数dn/dtは5.0×10-6/℃以下、好ましくは-5.5×10-6/℃以下、及び/又は耐候性CRは2類以上、好ましくは1類、及び/又は摩耗度は450以下、好ましくは410以下、及び/又はKnoop硬度HKは300×107 Pa 以上、好ましくは320×107Pa以上、より好ましくは350×107Pa以上、及び/又は気泡度はB級以上、好ましくはA級以上、より好ましくはA0級以上である。
(14) (1)~(13)のいずれか一つに記載の光学ガラスで製造される、ガラスプリフォーム。
(15) (1)~(13)のいずれか一つに記載の光学ガラス、又は(14)に記載のガラスプリフォームで製造される、光学素子。
(16) (1)~(13)のいずれか一つに記載の光学ガラス、又は(15)に記載の光学素子で製造される、光学機器。
【発明の効果】
【0005】
本発明の有益な効果は、以下のとおりである。合理的な成分設計により、本発明のフツリン酸塩光学ガラスの屈折率温度係数(60~80℃)は、-5.0×10-6/℃以下で耐候安定性に優れ、光電分野の最新応用ニーズを満たすことである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、本発明にかかるフツリン酸塩光学ガラスの実施形態について詳細に説明するが、本発明は以下に説明する実施形態に限定するものではなく、本発明の目的の範囲内で適宜変形して実施することが可能である。さらに、適宜省略はあるものの、記載を繰り返すことによって本発明の主旨が限定されるものではなく、以下では、本発明のフツリン酸塩光学ガラスを単に光学ガラス又はガラスと称することもある。
【0007】
[光学ガラス]
以下に、本発明のフツリン酸塩光学ガラスの各構成要素の範囲について説明する。
本明細書において、各成分はイオン形態で表し、その含有量は、特に指定のない限り、陽イオン組成物の含有量は全陽イオン組成物の総重量に対する該陽イオンの重量パーセント(wt%)で表し、陰イオン組成物の含有量は全陰イオン組成物の総重量に対する該陰イオンの重量パーセント(wt%)で表すものとする。
具体的には、本明細書に記載されている数値範囲には、上限値および下限値が含まれ、「以上」および「以下」には端点値、ならびに範囲に含まれるすべての整数および分数が含まれ、範囲が限定されている場合に記載されている具体的な値に限定されるものではない。本明細書で「及び/又は」と呼ばれるものは包括的であり、例えば「A及び/又はB」は、Aのみ、Bのみ、またはAとBの両方を意味する。
なお、以下に説明する各成分のイオン価は、便宜上用いられる代表値であり、他のイオン価と同じである。光学ガラスの各成分のイオン価は代表値以外の可能性がある。例えば、Pは通常イオン価が+5価の状態でガラスに存在する。そのため、本発明では「P5+」を代表値とするが、他のイオン価の状態で存在する可能性があり、これも本発明の保護範囲内である。
【0008】
<必須成分とオプション成分>
P5+は本発明の光学ガラスの主な成分であり、ガラスの失透を抑制し、ガラスの粘度を高め、アッべ数の低下を抑制し、ガラスの耐候安定性を高める役割を果たすが、その含有量が5.0%未満の場合、ガラスの安定性が低下し、耐失透性が低くなる。一方、その含有量が20.0%を超える場合、ガラスの熱膨張性能が悪くなり、屈折率が低下して本発明の光学設計要求を満たすことができなくなる。したがって、本発明におけるP5+含有量は、5.0~20.0%、好ましくは8.0-20.0%、より好ましくは8.0-18.0%である。
【0009】
Al3+はガラスネットワークの構造に用いることができ、ガラスの熱安定性と耐湿安定性を高め、適切に加えることでガラスの相分離を防止することができる。その含有量が7.0%未満の場合、安定したガラス骨格を形成することができず、上記の効果を得ることができない。その含有量が18.0%を超える場合、ガラスの溶融が困難になり、ガラスの表面張力が大きくなって粘度が増大し、気泡が解消しにくくなる。したがって、本発明においては、Al3+の含有量は7.0~18.0%、好ましくは8.5~16.0%、より好ましくは9~16.0%であり、ガラスの気泡度はA0級以上である。
【0010】
Ba2+はガラスの屈折率と耐失透性を高め、ガラスの熱膨張係数を調整することができる。特に、本発明では、56.0%以上のBa2+を添加することにより、ガラスの屈折率を顕著に向上させ、また使用中にガラスの屈折率が温度変化の影響を受けないようにすることができる。したがって、Ba2+含有量の下限値は56.0%、好ましくは58.0%、より好ましくは59.6%である。Ba2+の含有量が73.0%以上の場合、ガラスの化学安定性と熱安定性が明らかに低下し、ガラスの比重が増加する。したがって、Ba2+の含有量の上限値は73.0%、好ましくは上限値が72.0%、より好ましくは上限値が71.0%である。
【0011】
適量のSr2+を添加することにより、ガラスの光学定数の調整を補助し、ガラスの抗結晶性を高め、ガラス加工時の材料損失を低下することができるが、その含有量が12.0%を超えると、ガラスの耐失透性が低下し、熱膨張性が悪くなる。したがって、本発明においては、Sr2+の含有量は0.5~12.0%、好ましくは1.0~12.0%、より好ましくは2.0~11.0%である。
【0012】
適量のCa2+を添加することにより、ガラスの熱安定性を改善し、ガラスの機械的強度を高め、ガラスの加工性を向上させることができるが、Ca2+の含有量が5.0%以上の場合、ガラスの高温粘度が明らかに上昇し、結晶化傾向が顕著である。したがって、本発明においては、Ca2+の含有量は0~5.0%、好ましくは0~3.0%である。
【0013】
Mg2+を添加することにより、ガラスの密度を低下し、耐失透性を改善するのに有利であるが、高屈折率ガラスを得るのに不利である。したがって、本発明においては、3.0%を超えないMg2+を添加し、Mg2+を3.0%以下に制御することでガラスの構造をより安定化させ、ガラスの使用中に機械的応力が発生しにくくなるようにすることができる。したがって、本発明においては、Mg2+の含有量は0~3.0%、好ましくはMg2+の含有量が0-2.0%、より好ましくはMg2+の含有量が0-1.2%である。
【0014】
本発明のいくつか実施形態において、(Ca2++Ba2+)/(Sr2++Mg2+)の範囲を4.5~20.0に制御することにより、光学ガラスネットワークをより安定化させ、化学安定性と熱安定性を向上させ、理想的な屈折率温度係数を得、60~80℃屈折率温度係数が-5.0×10-6/℃以下に達することができる、さらに好ましい(Ca2++Ba2+)/(Sr2++Mg2+)範囲は5.0~15.0、より好ましくは6.0~12.0であり、より負の屈折率温度係数を得ながら屈折率を高め、結像視野を広げることをさらに保証することができる。
【0015】
本発明のいくつか実施形態において、Al3+/Sr2+を1.0~5.0に制御することにより、溶融ガラス液のるつぼに対する腐食を低減し、Fの揮発をある程度抑制し、ガラスのストライプを改善することができるが、Al3+/Sr2+が5.0未満の場合、ガラスの熱膨張係数が増加し、ガラスの安定性が低下する。好ましいAl3+/Sr2+範囲は1.1~4.0、さらに好ましくは1.1~2.5、より好ましくは1.1~2.0であり、ガラスの安定性がより良く、摩耗度がより理想的である。
【0016】
いくつか実施形態において、Ca2+、Ba2+、Al3+三者の合計含有量(Ca2++Ba2++Al3+)を69.0~85.0%に制御すると、その相乗作用が最適になり、ガラスの化学的安定性と耐候安定性を顕著に高めることができるが、85.0%を超えると、ガラスの溶融が明らかに困難になり、耐候安定性が低くなり、ガラスの比重も増加し、加工性が悪くなる。したがって、Ca2++Ba2++Al3+の合計含有量は、好ましくは70.0~81.0%、より好ましくは70.0~80.0%である。
【0017】
いくつか実施形態において、(Ca2++Ba2++Al3+)/Sr2+を5.6~20.0の範囲内に制御することにより、ガラスの耐失透性を高めることができ、さらに好ましくは(Ca2++Ba2++Al3+)/Sr2+は7.0~18.0の範囲内、より好ましくは9.0~15.0の範囲内で、ガラスの硬度が適度に増大し、ガラスの研磨加工性が良好で、ガラス光学研磨加工の歩留まりの向上に役立つ。
【0018】
本発明においては、Rn+で表されるアルカリ金属イオンは、Li+、Na+、K+から選択される一種または複数種である。Rn+は本発明において転移温度を下げ、プロセス性能を調整する役割を果たすが、その含有量が5.0%を超えると、ガラスの熱膨張係数が明らかに増加し、ガラスの化学安定性と加工性が低下し、ガラス液の揮発性が高くなり、ストライプの除去に不利である。したがって、Rn+の含有量は、好ましくは3.0%以下、より好ましくは1.0%以下である。いくつか実施形態において、少量のRn+を含んでも、ガラスの化学的安定性が急激に低下し、熱膨張性が著しく悪くなる。したがって、好ましくは、Rn+を含まないことである、本発明のガラスがLi+を含まない場合でも良好な軟化温度を保証でき、かつ、ガラス原料のコストを低減できる。
【0019】
Ln3+はガラスの屈折率を高め、ガラスの化学的安定性を向上させる成分であり、Ln3+はLa3+、Gd3+、Y3+およびYb3+から選択される一種または複数種であり、少量のLn3+を含むことで(Ca2++Ba2+)/(Sr2++Mg2+)の制御と相乗して本発明の理想的な発明効果を達成するのに有利である。したがって、Ln3+の下限値は0.1%に設計されている。一方、Ln3+の含有量を8.0%以下に制御することにより、ガラスの耐失透性を向上させ、光学性能が設計要求に達しないことを防止し、ガラスの密度を低下させることができる。したがって、本発明の光学ガラスにおいては、Ln3+含有量範囲の上限値は8.0%、好ましくは5.0%、より好ましくは3.0%である。Gd3+及び/又はY3+はいくつかの実施例で優れた相乗作用を示し、適量に添加することで屈折率を高めるとともに、ガラスの化学安定性を改善するのに有利である。したがって、Ln3+はGd3+及び/又はY3+であることが好ましく、含有量は0.1~5.0%、好ましくは0.1~4.5%、より好ましくは0.5~4.0%に制御される。
【0020】
Si4+はガラスの安定性を向上させ、ガラスの加工性を高めることができるが、その含有量が3%を超えると、ガラスの溶融性能が低下する。したがって、本発明の光学ガラスにおいては、Si4+の含有量は0~3.0%、好ましくは0~1.0%、さらに好ましくはSi4+を含まないことである。
【0021】
B3+はガラスの光学定数を改善することができるが、その含有量が3%を超えると、ガラスの安定性が悪くなる。したがって、B3+含有量が3.0%以下、好ましくは1.0%以下に限定され、さらに好ましくはB3+を含まないことである。
【0022】
適量のW6+を添加することにより、ガラスの屈折率を高めることができるが、その含有量が多すぎると、ガラスの光透過率が低下する。したがって、本発明においては、W6+の含有量の上限値は3.0%であり、好ましくは1.0%以下、さらに好ましくはW6+を含まないことである。
【0023】
適量のZr4+を添加することにより、ガラス中の揮発によるストライプの形成を抑制することができるが、その含有量が3.0%を超えると、光学ガラスが溶けにくくなり、光学定数の制御が難しくなる。したがって、その含有量が3.0%以下、好ましくは1.0%以下、さらに好ましくはZr4+を含まないことである。
【0024】
本発明において、Zn2+はガラスの転移温度を下げ、ガラスのプレス加工性能を向上させることができるが、Zn2+の含有量が3.0%を超えると、ガラスの異常分散性能が悪化し、粘度が低すぎてガラスの失透が発生しやすい。したがって、本発明の光学ガラスにおいては、Zn2+の含有量は0~3.0%であり、好ましくは0~1.0%である。また、Zn2+はガラスを小さくし、摩耗度を大きくし、Al3+/Sr2+の比を好ましい範囲に調整してもZn2+が耐摩耗性に悪影響を与えるので、さらに好ましくはZn2+を含まないことである。
【0025】
Ti4+はガラスの屈折率を高めることができるが、ガラスの低分散と透過率に悪影響を与える。したがって、Ti4+の含有量が0~3.0%、より好ましくは0~1.0%に限定され、さらに好ましくはTi4+を含まないことである。
【0026】
Nb5+をガラスに添加することにより、ガラスの光学定数を調整し、ガラスの安定性と抗結晶性を高めることができるが、その含有量が多すぎると、ガラスの光学定数が設計要求を満たすことが困難になり、ガラスの光学透過率が低下し、ガラスの二次プレス加工時の結晶が発生しやすいことである。したがって、本発明においては、Nb5+の含有量は0~3.0%、好ましくは0~1.0%、さらに好ましくはNb5+を含まないことである。
【0027】
F-は本発明の光学ガラスの必要な成分として、ガラスのアッベ数及び耐失透性を高めることができる。したがって、本発明においては、F-の下限値は40.0%、好ましくは下限値が45.0%である。F-の含有量が60.0%を超えると、ガラスの屈折率が低下し、高温揮発が増加し、品質安定性が低下し、摩耗度が低下する。したがって、本発明においては、その含有量の上限値は60.0%、好ましくは上限値が55.0%である。
【0028】
O2-はガラスの形成安定性と耐失透性を著しく向上させることができ、O2-の含有量の下限値は、好ましくは40.0%、より好ましくは45.0%である。しかし、O2-の含有量が60.0%を超えると、ガラスの屈折率温度係数が増大し、化学的安定性及び抗結晶性が低下する傾向がある。したがって、O2-の含有量の上限値は60.0%、好ましくは上限値が55.0%である。
【0029】
本発明においては、ガラス中の気泡の排出を促進するために0~1%の清澄剤を加えてもよい。前記清澄剤はSb3+、Sn4+、Ce4+、Cl-、Br-及びI-の一種または複数種であり、清澄剤の含有量は0~1.0%、好ましくは0~0.5%である。清澄剤は、好ましくはSb3+及び/又はCl-であり、Sb3+の含有量は0~0.5%、好ましくは0~0.1%であり、Cl-の含有量は0~1.0%、好ましくは0~0.5%である。
【0030】
本発明のガラス特性を損なわない範囲内で、必要に応じて、上記で記載されていない他の成分、例えば、Ge4+、Te4+、Lu3+、Bi3+、Ta5+及びGa3+などを少量添加することができる。
【0031】
<含まれるべきでない成分>
本発明のガラスにおいては、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag及びMo等の遷移金属のイオンは、単独又は複合的に少量に含まれる場合でも、ガラスが着色され、可視光領域における特定の波長が吸収され、本発明の可視光透過効果を弱めるので、特に可視光領域の波長透過率を要求する光学ガラスは、実際には含まないことが好ましい。
【0032】
Th、Cd、Tl、Os、Be及びSeの陽イオンは、近年、有害な化学物質として使用を制御する傾向にあり、ガラスの製造工程だけでなく、加工工程及び完成品の処置に至るまで、環境保護への取り組みが必要である。そのため、環境への影響を重視する場合は、不可避な混入以外は、それらを含まないことが好ましい。これにより、光学ガラスは実際に環境を汚染する物質を含まなくなる。したがって、本発明の光学ガラスは、特殊な環境措置を講じなくても、製造、加工及び廃棄が可能である。
【0033】
環境に配慮するため、本発明の光学ガラスは、As3+及びPb2+を含まないことが好ましい。As3+は、気泡を除去し、ガラスの着色をより防止する効果があるが。
【0034】
本明細書に記載されている「加えない」、「含まない」、「0%」という用語は、この成分を本発明のガラスの原料として意図的に添加しなかったことを意味する。しかし、ガラスを製造するための原料及び/又は設備として、意図的に添加されていない不純物や成分が、最終的なガラス中に少量または微量に存在することがあり、それらも本発明の特許の対象となる。
【0035】
以下では、本発明の光学ガラスの特性について説明する。
<屈折率とアッべ数>
ガラス材料の屈折率(nd)とアッベ数(vd)は、GB/T 7962.1-2010に規定された方法に従って試験されている。
本発明のガラス材料の屈折率(nd)は1.50~1.58、好ましくは1.53~1.57であり、アッベ数(vd)は70~80、好ましくは72~78である。
【0036】
<気泡度>
光学ガラスの気泡度は、GB/T7962.8-2010に規定された方法に従って試験されている。
本発明の光学ガラスの気泡度はB級以上、好ましくはA級以上、より好ましくはA0級以上である。
【0037】
<耐候安定性(耐候性)CR>
試料を相対湿度90%の飽和水蒸気環境の試験箱に入れ、40℃~50℃で1hおきに交互に循環させ、15回行う。試料の放置前後の濁度変化量に基づいて耐候性分類を行う。濁度とは、無色光学ガラスが大気に浸食された後、その表面に発生する「白斑」や「曇り」などの変質層を指す。ガラス表面の浸食程度は、試料浸食前、浸食後の濁度差を測定することにより決定する。濁度測定は濁度表示値の相対誤差が±5%以内である積分球式濁度計を採用する。耐候性の分類を表1に示す。
【0038】
【表1】
本発明の光学ガラスの耐候性(CR)は2類以上、好ましくは1類である。
【0039】
<屈折率温度係数>
屈折率温度係数(dn/dt)はGB/T 7962.4-2010に規定された方法に従って試験し、60~80 ℃d線の相対屈折率温度係数を測定する。
本発明の屈折率温度係数(dn/dt)は-5.0×10-6/℃以下、好ましくは-5.5×10-6/℃以下である。
【0040】
<摩耗度(FA)>
摩耗度とは、全く同じ条件下で、試料の摩耗量と標準試料(K9光学ガラス)の摩耗量(体積)の比に100を乗じた数値であり、式で表すと、
FA=V/V0×100=(W/ρ)÷(W0/ρ0)×100となる。ここで、VとV0はそれぞれ試料と標準サンプルの体積摩耗量、WとW0はそれぞれ試料と標準サンプルの質量摩耗量、ρとρ0はそれぞれ試料と標準サンプルの密度を表す。
本発明のガラスの摩耗度は450以下、好ましくは410以下である。
【0041】
<Knoop硬度Hk>
Knoop硬度は、GB/T 7962.18-2010に規定された方法に従って測定する。
本発明のKnoop硬度Hkは、300×107 Pa 以上、好ましくは320×107Pa以上、より好ましくは350×107以上である。
【0042】
[製造方法]
本発明の光学ガラスの製造方法は次のとおりである:本発明のガラスは、従来の原料と従来の工程で製造され、リン酸塩、メタリン酸塩、酸化物、フッ化物、炭酸塩、硝酸塩などの乾燥原料を使用し、常法により配合した後、調製した炉材を850~1100℃の溶解炉に投入して溶融する。その後、清澄化、十分に均一化して、1000℃以下の温度で流し込み又は液滴成形し(好ましくはN2保護雰囲気下で成形する)、本発明の光学ガラスを得る。当業者であれば、実際の必要に応じて、原料、製法およびプロセスパラメータを適宜選択することができる。
【0043】
[光学プリフォーム及び光学素子]
研磨加工や熱プレス成形、精密プレス成形などのプレス成形手段を用いて、製造された光学ガラスから光学プリフォームを製造することができる。すなわち、研削や研磨などの機械加工により光学ガラスから光学プリフォームを作製するか、光学ガラスからプレス成形用のブランクを作製し、このブランクを熱プレス成形した後、研磨して光学プリフォームを作製し、又は研磨して作製したブランクを精密プレス成形して光学プリフォームを作製することができる。
【0044】
なお、光学プリフォームの製造手段は上記手段に限定されない。上記のように、本発明の光学ガラスは、各種光学素子及び光学設計に有用であり、特に本発明の光学ガラスからブランクを形成し、このブランクを用いて熱プレス成形、精密プレス成形等を行い、レンズ、プリズム等の光学素子を作製することが好ましい。
【0045】
本発明の光学プリフォーム及び光学素子は、いずれも上記本発明の光学ガラスから形成されている。本発明の光学プリフォームは、光学ガラスが備えている優れた特性を有し、本発明の光学素子は、光学ガラスが備えている優れた特性を有し、光学的価値の高いさまざまなレンズ、プリズム等の光学素子を提供することができる。
【0046】
レンズの例としては、レンズ表面が球面または非球面の凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ、両凸レンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、平凹レンズなどのさまざまなレンズが挙げられる。
【0047】
[光学機器]
本発明の光学ガラスにより形成される光学素子は、写真装置、撮像装置、表示装置及び監視装置等の光学機器を作製することができる。
【実施例】
【0048】
<光学ガラス実施例>
本発明の技術的解決策をさらに明確に説明するために、以下の非限定的な実施例を提供する。
本実施例は、上記した光学ガラスの製造方法を用いて、表2~表4に示す組成を有する光学ガラスを得るものである。また、各ガラスの特性を本発明に記載の試験方法により測定し、その結果を表2~表4に表した。
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
<光学プリフォーム実施例>
光学ガラスの実施例1~27で得られたガラスを、研磨加工や熱プレス成形、精密プレス成形などのプレス成形手段を用いて、凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ、両凸レンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、平凹レンズなどのさまざまなレンズ、プリズムなどのガラスプリフォームを作製する。
【0053】
<光学素子実施例>
上記光学プリフォームの実施例で得られたプリフォームを焼き戻しし、屈折率などの光学特性が所望の値に達するように、ガラス内部の応力を低減しながら屈折率を微調整する。
次に、各プリフォームを研削し、研磨し、凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ、両凸レンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、平凹レンズなどのさまざまなレンズ、プリズムを作製する。得られた光学素子の表面には反射防止膜を塗布することもできる。
【0054】
<光学機器実施例>
上記光学素子の実施例で製造された光学素子は、光学設計により、1つまたは複数の光学素子を用いて光学部品または光学コンポーネントを形成することにより、撮像装置、センサ、顕微鏡、医薬技術、デジタル投影、通信、光学通信技術/情報伝送、自動車分野における光学/照明、フォトリソグラフィ技術、エキシマレーザ、ウエハ、コンピュータチップ及びこのような回路及びチップを含む集積回路及び電子デバイスに用いることができる。