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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】張り付き解消装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20240807BHJP
   H05K 13/00 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
B65G1/04 515A
H05K13/00 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023531238
(86)(22)【出願日】2021-06-30
(86)【国際出願番号】 JP2021024741
(87)【国際公開番号】W WO2023276041
(87)【国際公開日】2023-01-05
【審査請求日】2023-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 明伸
(72)【発明者】
【氏名】萩原 伸育
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/075049(WO,A1)
【文献】特表2020-517476(JP,A)
【文献】特開平05-042491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/04
H05K 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に所定の対基板作業を行う対基板作業機に用いられる物品を把持可能な把持部を備え、保管庫に入庫した前記物品を前記把持部が把持して前記保管庫に設けられる収納部に収納し、出庫時に前記収納部に収納されている前記物品を前記把持部が把持して前記収納部から移動する移載装置と、
前記把持部が前記物品の把持を解除しても前記物品が前記把持部に張り付いている前記物品の張り付きを解消する解消部と、
前記物品の前記張り付きの有無を判断する判断部と、
前記判断部によって前記物品の前記張り付きが有ると判断されたときに前記物品の前記張り付きを解消する第一モード、または、前記判断部による判断結果に関わらず前記物品の前記張り付きを解消する第二モードを作業者に選択させる選択部と、
を備える張り付き解消装置。
【請求項2】
前記把持部は、鉛直方向に対して所定角度、傾斜した所定方向から前記物品を把持可能な一対のグリッパを備え、
前記物品は、前記一対のグリッパのうちの上側のグリッパに張り付く可能性があり、
前記張り付き解消装置は、前記一対のグリッパによる前記物品の把持が解除されているアンクランプ状態で撮像装置を用いて前記物品を前記鉛直方向の上方から撮像する撮像部を備え、
前記判断部は、前記撮像部によって前記アンクランプ状態で撮像された第一画像において規定領域内で前記物品を検出したときに前記物品の前記張り付きが無いと判断し、前記第一画像において前記規定領域より広範な領域で前記物品を検出したときに前記物品の前記張り付きが有ると判断する請求項1に記載の張り付き解消装置。
【請求項3】
前記把持部は、鉛直方向に対して所定角度、傾斜した所定方向から前記物品を把持可能な一対のグリッパを備え、
前記物品は、前記一対のグリッパのうちの上側のグリッパに張り付く可能性があり、
前記張り付き解消装置は、前記一対のグリッパによる前記物品の把持が解除されているアンクランプ状態および前記一対のグリッパによって前記物品が把持されているクランプ状態のそれぞれにおいて撮像装置を用いて前記物品を前記鉛直方向の上方から撮像する撮像部を備え、
前記判断部は、前記撮像部によって前記アンクランプ状態で撮像された第一画像において前記物品を検出した第一領域の面積と前記撮像部によって前記クランプ状態で撮像された第二画像において前記物品を検出した第二領域の面積との差が許容範囲内のときに前記物品の前記張り付きが無いと判断し、前記第一領域の面積と前記第二領域の面積との差が前記許容範囲に含まれないときに前記物品の前記張り付きが有ると判断する請求項1に記載の張り付き解消装置。
【請求項4】
基板に所定の対基板作業を行う対基板作業機に用いられる物品を把持可能な把持部を備え、保管庫に入庫した前記物品を前記把持部が把持して前記保管庫に設けられる収納部に収納し、出庫時に前記収納部に収納されている前記物品を前記把持部が把持して前記収納部から移動する移載装置と、
前記把持部が前記物品の把持を解除しても前記物品が前記把持部に張り付いている前記物品の張り付きを解消する解消部と、
前記物品の前記張り付きの有無を判断する判断部と、
直方向に対して所定角度、傾斜した所定方向から前記物品を把持可能な一対のグリッパを備える前記把持部の前記一対のグリッパによる前記物品の把持が解除されているアンクランプ状態で撮像装置を用いて前記物品を前記鉛直方向の上方から撮像する撮像部と、
を備え、
前記物品は、前記一対のグリッパのうちの上側のグリッパに張り付く可能性があり、
前記判断部は、前記撮像部によって前記アンクランプ状態で撮像された第一画像において規定領域内で前記物品を検出したときに前記物品の前記張り付きが無いと判断し、前記第一画像において前記規定領域より広範な領域で前記物品を検出したときに前記物品の前記張り付きが有ると判断し、
前記解消部は、前記判断部によって前記物品の前記張り付きが有ると判断されたときに前記物品の前記張り付きを解消る張り付き解消装置。
【請求項5】
基板に所定の対基板作業を行う対基板作業機に用いられる物品を把持可能な把持部を備え、保管庫に入庫した前記物品を前記把持部が把持して前記保管庫に設けられる収納部に収納し、出庫時に前記収納部に収納されている前記物品を前記把持部が把持して前記収納部から移動する移載装置と、
前記把持部が前記物品の把持を解除しても前記物品が前記把持部に張り付いている前記物品の張り付きを解消する解消部と、
前記物品の前記張り付きの有無を判断する判断部と、
直方向に対して所定角度、傾斜した所定方向から前記物品を把持可能な一対のグリッパを備える前記把持部の前記一対のグリッパによる前記物品の把持が解除されているアンクランプ状態および前記一対のグリッパによって前記物品が把持されているクランプ状態のそれぞれにおいて撮像装置を用いて前記物品を前記鉛直方向の上方から撮像する撮像部と、
を備え、
前記物品は、前記一対のグリッパのうちの上側のグリッパに張り付く可能性があり、
前記判断部は、前記撮像部によって前記アンクランプ状態で撮像された第一画像において前記物品を検出した第一領域の面積と前記撮像部によって前記クランプ状態で撮像された第二画像において前記物品を検出した第二領域の面積との差が許容範囲内のときに前記物品の前記張り付きが無いと判断し、前記第一領域の面積と前記第二領域の面積との差が前記許容範囲に含まれないときに前記物品の前記張り付きが有ると判断し、
前記解消部は、前記判断部によって前記物品の前記張り付きが有ると判断されたときに前記物品の前記張り付きを解消る張り付き解消装置。
【請求項6】
前記判断部は、前記第二領域の面積が所定範囲内のときに前記物品の高さが適当であると判断し、前記第二領域の面積が前記所定範囲に含まれないときに前記物品の高さが不適当であると判断する請求項3または請求項5に記載の張り付き解消装置。
【請求項7】
前記解消部は、前記把持部による前記物品の把持が解除されているアンクランプ状態で、前進移動、後退移動、水平移動、旋回移動および鉛直移動のうちの少なくとも一つの移動を前記把持部にさせる請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の張り付き解消装置。
【請求項8】
前記解消部は、前記把持部による前記物品の把持が解除されているアンクランプ状態で、前記物品を所定部材に押し付ける請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の張り付き解消装置。
【請求項9】
前記所定部材は、前記収納部において前記物品が収納される収納スペースを形成する壁部材、または、入庫時若しくは出庫時に前記物品が一時的に載置される載置部に設けられる部材である請求項に記載の張り付き解消装置。
【請求項10】
前記物品は、前記基板に装着される部品を収容する部品テープが巻回されているリール、または、前記部品が配列されているトレイである請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の張り付き解消装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、張り付き解消装置に関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の保管庫は、収納物を把持して移動するアクチュエータを備えている。アクチュエータは、ケースの入庫時に把持部が搬入されたケースを把持して、ケースを収納ユニットに移動して収納する。また、アクチュエータは、ケースの出庫時に把持部が収納スペースに収納されているケースを把持して、ケースを出庫口に移動して搬出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2019/138548号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
対基板作業機に用いられる物品には、物品を識別可能な識別コードが付される。識別コードは、シールなどを用いて物品の表面などに付される。しかしながら、識別コードのシールが捲れると、シールの粘着材によって物品が把持部に張り付く可能性がある。また、シールの張り替えなどの際に物品などに残存した粘着材によって物品が把持部に張り付く可能性もある。
【0005】
このような事情に鑑みて、本明細書は、物品の張り付きを解消可能な張り付き解消装置を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、移載装置と、解消部とを具備する張り付き解消装置を開示する。前記移載装置は、基板に所定の対基板作業を行う対基板作業機に用いられる物品を把持可能な把持部を備え、保管庫に入庫した前記物品を前記把持部が把持して前記保管庫に設けられる収納部に収納し、出庫時に前記収納部に収納されている前記物品を前記把持部が把持して前記収納部から移動する。前記解消部は、前記把持部が前記物品の把持を解除しても前記物品が前記把持部に張り付いている前記物品の張り付きを解消する。
【発明の効果】
【0007】
上記の張り付き解消装置によれば、解消部を具備する。これにより、上記の張り付き解消装置は、物品の張り付きを解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】基板生産設備の構成例を示す構成図である。
図2】着荷部において物品が収容ケースに収容されている状態の一例を示す平面図である。
図3A】保管庫の一例を示す正面図である。
図3B図3Aの保管庫の平面図である。
図3C図3Aの保管庫の斜視図である。
図4図3Cの保管庫の矢印IV方向視の側面図である。
図5】張り付き解消装置の制御ブロックの一例を示すブロック図である。
図6】張り付き解消装置の制御ブロックの他の一例を示すブロック図である。
図7】物品の入庫作業における制御手順の一例を示すフローチャートである。
図8】物品の出庫作業における制御手順の一例を示すフローチャートである。
図9】物品の出庫作業における制御手順の他の一例を示すフローチャートである。
図10】物品が収納されるときの把持部、物品および収納部の位置関係の一例を示す平面図である。
図11】載置部における把持部、物品および撮像装置の位置関係の一例を示す側面図である。
図12】第一画像および第二画像の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.実施形態
図1に示すように、本実施形態の基板生産設備80は、対基板作業ライン10Lと、着荷部20と、搬送車30と、保管庫40とを備えている。本実施形態では、張り付き解消装置50は、保管庫40に設けられている。
【0010】
1-1.対基板作業ライン10L
対基板作業ライン10Lでは、基板90に所定の対基板作業を行う。対基板作業ライン10Lを構成する対基板作業機10の種類および数は、限定されない。図1に示すように、本実施形態の対基板作業ライン10Lは、印刷機10a、印刷検査機10b、部品装着機10c、リフロー炉10dおよび外観検査機10eの複数(5つ)の対基板作業機10を備えており、基板90は、基板搬送装置によって、この順に搬送される。
【0011】
印刷機10aは、基板90の部品の装着位置に、はんだを印刷する。印刷検査機10bは、印刷機10aによって印刷されたはんだの印刷状態を検査する。部品装着機10cは、はんだが印刷された基板90に複数の部品を装着する。部品装着機10cは、一つであっても良く、複数であっても良い。部品装着機10cが複数設けられる場合は、複数の部品装着機10cが分担して、基板90に複数の部品を装着することができる。
【0012】
部品装着機10cは、基板90に装着される部品を供給する部品供給装置を備えている。部品供給装置は、例えば、図2に示すリール21aを備えるフィーダ、部品が配列されているトレイ21bなどを用いて部品を供給することができる。リール21aは、部品を収容する部品テープ21a2が本体部21a1に巻回されている。リール21aは、フィーダに回転可能かつ着脱可能に設けられる。部品テープ21a2の先端部が、フィーダに設けられる部品取出し部まで引き出されて、部品が順次供給される。リール21aは、例えば、チップ部品などの比較的小型の部品を供給することができる。
【0013】
トレイ21bには、部品が配列されている。トレイ21bは、例えば、QFP(Quad Flat Package)、BGA(Ball Grid Array)などの比較的大型の部品を供給することができる。リフロー炉10dは、部品装着機10cによって部品が装着された基板90を加熱し、はんだを溶融させてはんだ付けを行う。外観検査機10eは、部品装着機10cによって装着された部品の装着状態などを検査する。
【0014】
このように、対基板作業ライン10Lは、複数(5つ)の対基板作業機10を用いて、基板90を順に搬送し、検査処理を含む生産処理を実行して基板製品を生産することができる。なお、対基板作業ライン10Lは、例えば、機能検査機、バッファ装置、基板供給装置、基板反転装置、シールド装着装置、接着剤塗布装置、紫外線照射装置などの対基板作業機10を必要に応じて備えることもできる。
【0015】
対基板作業ライン10Lを構成する複数(5つ)の対基板作業機10および管理装置19は、有線または無線の通信部によって、互いに通信可能に設けられている。管理装置19は、対基板作業ライン10Lを構成する複数(5つ)の対基板作業機10の制御を行い、対基板作業ライン10Lの動作状況を監視する。管理装置19には、複数(5つ)の対基板作業機10を制御する種々の制御データが記憶されている。管理装置19は、複数(5つ)の対基板作業機10の各々に制御データを送信する。また、複数(5つ)の対基板作業機10の各々は、管理装置19に動作状況および生産状況を送信する。
【0016】
1-2.着荷部20および搬送車30
物品21が着荷部20に到着すると、所定の着荷作業が行われる。そして、物品21は、例えば、収容ケース23に収容されて搬送車30に搭載され、保管庫40に搬送される。物品21は、保管庫40に保管された後、必要に応じて対基板作業ライン10Lに供給される。
【0017】
物品21は、基板90に所定の対基板作業を行う対基板作業機10に用いられるものであれば良く、限定されない。例えば、対基板作業ライン10Lは、部品装着機10cを備えている。この場合、部品を収容する部品テープ21a2が巻回されているリール21aは、物品21に相当する。また、部品が配列されているトレイ21bは、物品21に相当する。物品21には、物品21を識別可能な識別コード22が付される。識別コード22は、例えば、一次元コード、二次元コードなどが印刷されたシールが用いられる。
【0018】
具体的には、着荷部20に物品21が到着すると、着荷部20の作業者は、例えば、物品管理装置を用いて、識別情報を発行する。また、作業者は、バーコードリーダなどを用いて、供給元(ベンダ)によって物品21に付されているバーコードなどを読み取る。そして、作業者は、物品21に関する物品情報が登録されているデータベースから、物品情報を取得することもできる。作業者は、物品管理装置を用いて、識別情報および物品情報のうちの少なくとも識別情報を含む識別コード22を発行する。
【0019】
着荷部20の作業者は、少なくとも識別情報を含む識別コード22のシールを物品21の表面などに貼り付けて、物品21を収容ケース23に収容する。収容ケース23は、少なくとも一つの物品21を収容することができれば良く、種々の形態をとり得る。また、収容ケース23には、収容ケース23を特定可能な特定コード24が付されている。特定コード24は、例えば、一次元コード、二次元コード、無線タグなどを用いることができる。
【0020】
作業者は、物品21を収容ケース23に収容するときに、特定コード24を読み取り装置を用いて読み取り、当該物品21に付されている識別コード22を読み取り装置を用いて読み取る。これにより、物品21を収容する収容ケース23を特定する特定情報と、当該物品21を識別する識別情報との間の対応関係が生成され、対応関係が管理装置19の記憶装置に送信され記憶される。着荷部20の作業者は、物品21が収容された収容ケース23を搬送車30に搭載する。例えば、搬送車30は、作業者が牽引することができる。また、搬送車30は、自動走行可能な無人搬送車を用いることもできる。
【0021】
本実施形態の搬送車30は、無人搬送車である。対基板作業ライン10L、着荷部20、搬送車30および保管庫40は、有線または無線の通信部によって、互いに通信可能に設けられている。搬送車30に物品21が搭載されると、管理装置19は、搬送車30に搬送指令を送信する。搬送指令には、物品21の搬送先が含まれる。管理装置19は、当該物品21を収納可能な保管庫40を選定して搬送先を決定する。搬送車30は、搬送指令を受信すると、搬送先に指定された保管庫40に物品21を搬送する。
【0022】
なお、搬送車30は、収容ケース23を用いることなく、物品21を搬送することもできる。また、搬送車30を用いることなく、作業者が物品21を搬送することもできる。さらに、上述した作業者が行う作業の少なくとも一部は、搬送装置(例えば、ベルトコンベアなど)、アクチュエータ(例えば、ロボットアームなど)、物品管理装置などを用いて自動化することもできる。
【0023】
1-3.保管庫40
保管庫40は、物品21を保管することができれば良く、種々の形態をとり得る。図3A図3Cに示すように、本実施形態の保管庫40は、例えば、八角柱形状に形成されている。なお、図3Cでは、保管庫40の上部が開放されており、保管庫40の内部の様子が示されている。また、図4は、図3Cに示す矢印IV方向から視た保管庫40の内部の模式図であり、入出庫部41および収納部42の位置関係が主に図示されている。
【0024】
本実施形態の保管庫40は、入出庫部41と、収納部42と、制御装置40aと、移載装置40bと、読み取り装置40dと、表示装置40eとを備えている。入出庫部41は、開口部41aと、載置部40cとを備えており、物品21が入出庫する。図3Aに示すように、保管庫40の正面には、開口部41aが設けられている。開口部41aは、物品21が入庫可能または出庫可能に物品21より大形に形成されている。なお、保管庫40は、物品21が入庫する開口部41aと異なる開口部に出庫口を設けることもできる。
【0025】
図3Bおよび図4に示すように、載置部40cは、開口部41aの近傍の作業スペースに設けられている。載置部40cは、物品21の入庫時若しくは出庫時に物品21を一時的に載置する。例えば、物品21を搬入し載置部40cに載置する物品21の入庫作業は、作業者によって行われる。また、載置部40cには、開口部41aを介して出庫する物品21が載置される。載置部40cに載置されている物品21を搬出する物品21の出庫作業は、入庫作業と同様に作業者によって行われる。
【0026】
図4に示すように、載置部40cの上方には、読み取り装置40dが設けられている。読み取り装置40dは、物品21に付されている識別コード22を読み取って物品21を識別する識別情報を取得する。読み取り装置40dは、公知の読み取り装置(例えば、一次元コード、二次元コードを読み取るコードリーダなど)を用いることができる。読み取り装置40dは、開口部41aを介して物品21が入庫したときに、物品21に付されている識別コード22を読み取って、識別情報および物品情報のうちの少なくとも識別情報を取得する。
【0027】
収納部42は、物品21を収納する。収納部42は、物品21を収納することができれば良く、種々の形態をとり得る。例えば、物品21がリール21aの場合、図3Cおよび図4に示すように、収納部42は、本体部42aと、仕切り部42bとを備えると良い。本体部42aは、鉛直方向(Z軸方向)視においてU字形状に形成されている。仕切り部42bは、本体部42aに対して所定の角度で上方に突出するように設けられており、リール21aを収納することができる。仕切り部42bの角度は、リール21aの脱落を抑制可能に設定される。
【0028】
また、各収納ユニットの仕切り部42bは、複数対(図4では、15対30個)設けられており、複数(15個)のリール21aを収納することができる。複数対(15対)の仕切り部42bの各々は、移載装置40bと干渉しないように、2つの仕切り部42bが離間して設けられている。なお、図3Cおよび図4では、図示の便宜上、一部の部材に符号番号が付されており、すべての部材に符号番号が付されていない。
【0029】
図3Bおよび図3Cに示すように、本実施形態の収納部42は、鉛直方向(Z軸方向)視において楕円状に配置されている。また、本実施形態の収納部42は、第一収納ユニット42t1および第二収納ユニット42t2の二種類の収納ユニットを備えており、第一収納ユニット42t1および第二収納ユニット42t2の各々は、鉛直方向(Z軸方向)に沿って複数設けられている。第一収納ユニット42t1は、第二収納ユニット42t2と比べて幅広に形成されており、第二収納ユニット42t2が収納可能なリール21aと比べて大型のリール21aを収納することができる。
【0030】
図3Cおよび図4に示すように、第一収納ユニット42t1は、連結部42jによって鉛直方向(Z軸方向)に沿って連結されている。また、第二収納ユニット42t2は、連結部42jによって鉛直方向(Z軸方向)に沿って連結されている。さらに、隣接する第一収納ユニット42t1同士は、連結部42jによって連結され、隣接する第二収納ユニット42t2同士は、連結部42jによって連結されている。また、隣接する第一収納ユニット42t1と第二収納ユニット42t2は、連結部42jによって連結されている。
【0031】
なお、収納ユニットの種類、数および配置は、適宜変更することができる。また、収納ユニットは、収納する物品21に合わせて形状およびサイズ(幅、奥行き、および、高さ)を設定することができ、収納部42は、トレイ21bなどのリール21a以外の物品21を収納することもできる。さらに、物品21は、適合するいずれの収納ユニットに収納しても良く、基板生産設備80が複数の保管庫40を備える場合、適合する収納ユニットを備える保管庫40であれば、いずれの保管庫40に保管しても良い。
【0032】
制御装置40aは、公知の演算装置および記憶装置を備えており、制御回路が構成されている。制御装置40aは、移載装置40b、読み取り装置40dおよび表示装置40eと通信可能に設けられており、これらを制御することができる。また、制御装置40aは、後述する撮像装置43、測定装置44などの装置と通信可能に設けることができ、これらを制御することもできる。なお、制御装置40aは、物品21に関する物品情報を記憶する記憶装置を備え、当該物品情報を管理装置19に通知することもできる。例えば、物品21がリール21aの場合、物品情報は、リール21aに収容されている部品の部品種、部品数(残数)、リール径、リール厚み、型式および供給元(ベンダ)、使用期限などを含むことができる。
【0033】
移載装置40bは、保管庫40に入庫した物品21を収納部42に収納し、出庫時に収納部42に収納されている物品21を収納部42から移動する。具体的には、移載装置40bは、物品21の入庫作業において載置部40cに載置された物品21を収納部42に移動して収納する。また、移載装置40bは、物品21を出庫するときに収納部42に収納されている物品21を載置部40cに移動する。これにより、物品21の出庫作業が可能になる。
【0034】
図3Bおよび図3Cに示すように、本実施形態の移載装置40bは、鉛直方向(Z軸方向)視において、収納ユニット(第一収納ユニット42t1および第二収納ユニット42t2)より内側に設けられている。移載装置40bは、物品21を移動することができれば良く、種々の形態をとり得る。移載装置40bは、例えば、ロボットアーム(多関節ロボット)、昇降スライド機構などを用いることができる。図3Cに示すように、本実施形態の移載装置40bは、昇降部40b1と把持部40b2を備える。
【0035】
昇降部40b1は、鉛直方向(Z軸方向)に沿った軸線回りに旋回することができ、鉛直方向(Z軸方向)に沿って把持部40b2を昇降することができる。把持部40b2は、物品21を把持可能であり、図4に示す載置部40cの傾斜角度θ1と同じ角度で、前進または後退することができる。また、把持部40b2は、収納部42の仕切り部42bの傾斜角度θ1と同じ角度で、前進または後退することもできる。
【0036】
このように、本実施形態の保管庫40は、載置部40cの傾斜角度θ1と、収納部42の仕切り部42bの傾斜角度θ1とが一致している。よって、本実施形態の保管庫40は、載置部40cから物品21を取り出す入庫時取り出し作業と、取り出した物品21を収納部42に収納する入庫時収納作業とを、移載装置40bの昇降動作、旋回動作、前進動作および後退動作によって行うことができる。また、本実施形態の保管庫40は、収納ユニットから物品21を取り出す出庫時取り出し作業と、取り出した物品21を載置部40cに送出する出庫時送出作業とを、移載装置40bの昇降動作、旋回動作、前進動作および後退動作によって行うことができる。
【0037】
表示装置40eは、公知の表示装置を用いることができ、作業者が各種データを視認可能に表示する。表示装置40eは、例えば、収納部42に収納されている物品21に関する物品情報などを作業者の操作に応じて表示する。なお、本実施形態の表示装置40eは、タッチパネルによって構成されており、表示装置40eは、作業者による種々の操作を受け付ける入力装置としても機能する。
【0038】
また、制御装置40aは、収納部42における物品21の位置情報、入出庫情報および保管情報を記憶装置に記憶することができ、表示装置40eは、これらの情報を表示することもできる。位置情報は、物品21の収納場所を示す。入出庫情報は、物品21の入庫日時および出庫日時を示す。保管情報には、例えば、収納部42の雰囲気温度、収納部42の湿度などの情報が含まれる。制御装置40aは、物品21の収納時に物品21の位置情報および入庫日時を記憶する。制御装置40aは、物品21の保管中に保管情報を記憶する。制御装置40aは、物品21の出庫時に物品21の出庫日時を記憶する。
【0039】
1-4.張り付き解消装置50
既述したように、識別コード22は、シールなどを用いて物品21の表面などに付される。しかしながら、識別コード22のシールが捲れると、シールの粘着材によって物品21が把持部40b2に張り付く可能性がある。また、シールの張り替えなどの際に物品21などに残存した粘着材によって物品21が把持部40b2に張り付く可能性もある。
【0040】
そこで、本実施形態では、張り付き解消装置50が設けられている。張り付き解消装置50は、移載装置40bと、解消部51とを具備する。張り付き解消装置50は、判断部52を備えることもできる。張り付き解消装置50は、撮像部53を備えることもできる。また、張り付き解消装置50は、測定部54を備えることもできる。さらに、張り付き解消装置50は、選択部55を備えることもできる。
【0041】
解消部51、判断部52、撮像部53、測定部54および選択部55は、種々の制御装置に設けることができる。例えば、解消部51、判断部52、撮像部53、測定部54および選択部55のうちの少なくとも一部は、保管庫40の制御装置40aに設けることができる。解消部51、判断部52、撮像部53、測定部54および選択部55のうちの少なくとも一部は、管理装置19に設けることもできる。解消部51、判断部52、撮像部53、測定部54および選択部55のうちの少なくとも一部は、クラウド上に形成することもできる。
【0042】
図5に示すように、本実施形態の張り付き解消装置50は、移載装置40bと、解消部51と、判断部52と、撮像部53と、選択部55とを備えている。解消部51、判断部52、撮像部53および選択部55は、保管庫40の制御装置40aに設けられている。図6に示すように、変形形態の張り付き解消装置50は、移載装置40bと、解消部51と、判断部52と、測定部54と、選択部55とを備えている。解消部51、判断部52、測定部54および選択部55は、保管庫40の制御装置40aに設けられている。
【0043】
また、本実施形態の張り付き解消装置50は、図7および図8に示すフローチャートに従って、制御を実行する。図7は、物品21の入庫作業における制御の一例を示し、図8は、物品21の出庫作業における制御の一例を示している。変形形態の張り付き解消装置50は、図9に示すフローチャートに従って、制御を実行する。図9は、物品21の出庫作業における制御の一例を示している。
【0044】
1-4-1.移載装置40bおよび解消部51
既述したように、移載装置40bは、物品21を把持可能な把持部40b2を備える。移載装置40bは、保管庫40に入庫した物品21を把持部40b2が把持して保管庫40に設けられる収納部42に収納し、出庫時に収納部42に収納されている物品21を把持部40b2が把持して収納部42から移動する。
【0045】
図3C図10および図11に示すように、把持部40b2は、一対のグリッパGP1,GP2を備えている。図11に示すように、一対のグリッパGP1,GP2は、鉛直方向(Z軸方向)に対して所定角度、傾斜した所定方向(Z0方向)から物品21を把持することができる。本実施形態では、所定角度は、既述した載置部40cの傾斜角度θ1および収納部42の仕切り部42bの傾斜角度θ1と同じ角度に設定されている。
【0046】
一対のグリッパGP1,GP2は、上側のグリッパGP1および下側のグリッパGP2が所定方向(Z0方向)において互いに近づく方向に移動することにより、物品21を把持する。逆に、一対のグリッパGP1,GP2は、上側のグリッパGP1および下側のグリッパGP2が所定方向(Z0方向)において互いに離れる方向に移動することにより、物品21の把持を解除する。なお、下側のグリッパGP2は、昇降部40b1に連結されている。そのため、一対のグリッパGP1,GP2は、昇降部40b1と共に鉛直方向(Z軸方向)に沿った軸線回りに旋回することができ、昇降部40b1と共に鉛直方向(Z軸方向)に沿って昇降することができる。
【0047】
解消部51は、把持部40b2が物品21の把持を解除しても物品21が把持部40b2に張り付いている物品21の張り付きを解消する。解消部51は、物品21の張り付きを解消することができれば良く、種々の形態をとり得る。例えば、解消部51は、把持部40b2による物品21の把持が解除されているアンクランプ状態で、前進移動、後退移動、水平移動、旋回移動および鉛直移動のうちの少なくとも一つの移動を把持部40b2にさせる。例えば、解消部51は、物品21の入庫時に移載装置40bを駆動制御して、把持部40b2に上記の移動をさせることができる。
【0048】
図11に示すように、開口部41aと載置部40cとの間には、第一扉41fが設けられている。制御装置40aは、例えば、載置部40cにおける移載装置40bの現在の作業または所定期間の作業予定があるときに、開口部41aを介した物品21の入庫作業または出庫作業を禁止する。このとき、制御装置40aは、第一扉41fを閉状態に制御する。逆に、制御装置40aは、載置部40cにおける移載装置40bの現在の作業または所定期間の作業予定がないときに、開口部41aを介した物品21の入庫作業または出庫作業を許可する。このとき、制御装置40aは、第一扉41fを開状態に制御することができる。
【0049】
物品21を入庫する場合、例えば、作業者は、タッチパネル(入力装置として機能する表示装置40e)を用いて、第一扉41fの開動作を指示する。制御装置40aは、物品21の入庫作業が許可されているときに、第一扉41fの開動作を行う。第一扉41fが開状態になると、作業者は、開口部41aを介して載置部40cに物品21を載置する物品21の入庫作業を行う(図7に示すステップS11)。作業者は、物品21の入庫作業が終了すると、タッチパネルを用いて、入庫作業の終了を制御装置40aに知らせる。入庫作業の終了が通知されると、制御装置40aは、第一扉41fの閉動作を行う。
【0050】
第一扉41fの開動作を開始してから閉動作を完了するまでは、載置部40cと移載装置40bとの間に設けられる第二扉41sは、閉状態に制御されている。制御装置40aは、第一扉41fの閉動作が完了すると、第二扉41sの開動作を行う。第二扉41sが開状態になると、解消部51は、移載装置40bの把持部40b2を載置部40cに移動させて物品21を把持させる(ステップS12)。具体的には、移載装置40bの昇降部40b1は、把持部40b2が前進したときに把持部40b2が載置部40cに載置されている物品21に到達するように、必要に応じて旋回して鉛直方向(Z軸方向)に沿って把持部40b2を昇降させる。次に、把持部40b2は、前進して物品21を把持して、物品21を把持した状態で後退する。
【0051】
上記の入庫時取り出し作業の後に、解消部51は、物品21を収納する収納部42に把持部40b2を移動させる(ステップS13)。具体的には、昇降部40b1は、把持部40b2が前進したときに把持部40b2が所定の収納スペース42s(第一収納ユニット42t1または第二収納ユニット42t2の一対の仕切り部42b)に到達するように、必要に応じて旋回して鉛直方向(Z軸方向)に沿って把持部40b2を昇降する。次に、把持部40b2は、前進して物品21を収納スペース42s(一対の仕切り部42b)に挿入して、物品21の把持を解除する(ステップS14)。
【0052】
例えば、解消部51は、把持部40b2による物品21の把持が解除されているアンクランプ状態で、把持部40b2に前進移動をさせる(ステップS15)。既述したように、収納ユニットは、本体部42aと仕切り部42bを備えている。本体部42aは、鉛直方向(Z軸方向)視においてU字形状に形成されている。図10に示すように、本体部42aは、把持部40b2の前進方向または後退方向に直交する壁部材PM1(壁部材PM11)と、把持部40b2の前進方向または後退方向に沿って形成される二つの壁部材PM1(壁部材PM12,PM12)とを備えている。これらの壁部材PM1は、仕切り部42bと共に収納部42において物品21が収納される収納スペース42sを形成する。
【0053】
ステップS14において把持部40b2が前進して物品21の把持を解除した位置では、下側のグリッパGP2の先端部と壁部材PM11との間は、所定距離PD0、離間している。そのため、解消部51は、把持部40b2に最大、所定距離PD0分、前進移動をさせることができる。解消部51は、ステップS14において把持部40b2を前進させるときの速度(通常速度)と同等の速度で若しくは通常速度と比べて高速で把持部40b2に前進移動をさせる。これにより、把持部40b2に張り付いている物品21の張り付きが解消される。
【0054】
また、解消部51は、把持部40b2による物品21の把持が解除されているアンクランプ状態で、物品21を所定部材PM0に押し付けることもできる。この場合、所定部材PM0は、収納部42において物品21が収納される収納スペース42sを形成する壁部材PM1であると良い。上記の例では、所定部材PM0は、壁部材PM11である。解消部51は、アンクランプ状態で把持部40b2に前進移動をさせて物品21を壁部材PM11に押し付けることができる。これにより、把持部40b2の前進移動のみの場合と比べて、物品21の張り付きが解消され易くなる。なお、この場合、解消部51は、上記と同様の速度で把持部40b2に前進移動をさせても良く、上記の通常速度と比べて低速で把持部40b2に前進移動をさせても良い。
【0055】
同様に、解消部51は、アンクランプ状態で把持部40b2に後退移動をさせることもできる。また、解消部51は、アンクランプ状態で把持部40b2に後退移動をさせて物品21を所定部材PM0に押し付けることもできる。この場合の所定部材PM0は、物品21が収納スペース42sに挿入された後に収納スペース42sの開口部に進入する部材であると良い。当該部材は、アンクランプ状態で把持部40b2が後退移動するときに、把持部40b2の後退移動を許容し且つ把持部40b2に張り付いている物品21の移動を規制する。また、解消部51は、アンクランプ状態で把持部40b2が停止している状態で、当該部材を移動させて物品21を当該部材に押し付けることもできる。
【0056】
解消部51は、アンクランプ状態で把持部40b2に旋回移動をさせることもできる。本実施形態では、解消部51は、昇降部40b1に旋回移動をさせ、昇降部40b1の旋回移動に伴って把持部40b2に旋回移動をさせる。また、解消部51は、アンクランプ状態で把持部40b2に旋回移動をさせて物品21を所定部材PM0に押し付けることもできる。この場合の所定部材PM0は、壁部材PM1(壁部材PM12,PM12)であると良い。
【0057】
なお、把持部40b2のみ若しくは把持部40b2を含む昇降部40b1を水平移動可能な場合、解消部51は、アンクランプ状態で把持部40b2に水平移動をさせることもできる。また、解消部51は、アンクランプ状態で把持部40b2に水平移動をさせて物品21を所定部材PM0に押し付けることもできる。この場合の所定部材PM0は、壁部材PM1(壁部材PM12,PM12)であると良い。
【0058】
既述したように、収納ユニットの複数対(15対)の仕切り部42bの各々は、移載装置40bと干渉しないように、2つの仕切り部42bが離間している。そのため、解消部51は、アンクランプ状態で把持部40b2に鉛直移動をさせることもできる。なお、物品21を収納する収納スペース42sと鉛直方向(Z軸方向)に隣接する収納スペース42sに物品21が既に収納されている場合がある。この状態で把持部40b2に鉛直移動をさせると、把持部40b2が隣接する収納スペース42sに収納されている物品21と干渉する可能性がある。
【0059】
そこで、解消部51は、物品21を収納する収納スペース42sと鉛直方向(Z軸方向)に隣接する収納スペース42sに物品21が収納されていない場合に、アンクランプ状態で把持部40b2に鉛直移動をさせると良い。また、解消部51は、アンクランプ状態で把持部40b2に鉛直移動をさせて物品21を所定部材PM0に押し付けることもできる。この場合の所定部材PM0は、一対の仕切り部42bであると良い。
【0060】
また、解消部51は、アンクランプ状態で、前進移動、後退移動、水平移動、旋回移動および鉛直移動のうちの複数種類の移動(例えば、前進移動、後退移動および旋回移動)を把持部40b2にさせることもできる。このように、解消部51は、アンクランプ状態で、前進移動、後退移動、水平移動、旋回移動および鉛直移動のうちの少なくとも一つの移動を把持部40b2にさせることができる。また、いずれの場合も、解消部51は、アンクランプ状態で、物品21を所定部材PM0に押し付けることができる。さらに、解消部51は、把持部40b2または所定部材PM0を一定の速度で移動させても良く、移動中に把持部40b2または所定部材PM0の移動速度を増減させても良い。
【0061】
なお、上記の入庫時収納作業が終了すると、把持部40b2は、収納部42から後退して所定の待機位置に移動する(ステップS16)。次の物品21が入庫する場合は、上記の入庫時の制御が繰り返される。次の物品21が入庫しない場合は、制御は、一旦、終了する。また、解消部51は、例えば、物品21の出庫時に移載装置40bを駆動制御して、把持部40b2に所定の移動をさせることもできる。
【0062】
物品21を出庫する場合、例えば、作業者は、タッチパネルを用いて保管庫40から出庫させる所望の物品21を指定する。解消部51は、指定された物品21が収納されている収納部42に把持部40b2を移動させる(図8に示すステップS21)。具体的には、昇降部40b1は、把持部40b2が前進したときに把持部40b2が所望の収納スペース42s(一対の仕切り部42b)に収納されている物品21に到達するように、必要に応じて旋回して鉛直方向(Z軸方向)に沿って把持部40b2を昇降する。
【0063】
次に、把持部40b2は、前進して収納スペース42s(一対の仕切り部42b)に収納されている物品21を把持して、物品21を把持した状態で後退する(ステップS22)。上記の出庫時取り出し作業の後に、解消部51は、把持部40b2を載置部40cに移動させる(ステップS23)。具体的には、昇降部40b1は、把持部40b2が前進したときに把持部40b2によって把持されている物品21が載置部40cに到達するように、必要に応じて旋回して鉛直方向(Z軸方向)に沿って把持部40b2を昇降する。次に、把持部40b2は、前進して物品21を載置部40cに移動して、物品21の把持を解除する(ステップS24)。
【0064】
解消部51は、把持部40b2による物品21の把持が解除されているアンクランプ状態で、前進移動、後退移動、水平移動、旋回移動および鉛直移動のうちの少なくとも一つの移動を把持部40b2にさせる(ステップS25)。また、いずれの場合も、解消部51は、アンクランプ状態で、物品21を所定部材PM0に押し付けることができる。解消部51は、物品21の入庫時の場合と同様にして、把持部40b2を移動させることができ、物品21を所定部材PM0に押し付けることができる。但し、物品21の出庫時の場合、所定部材PM0は、入庫時若しくは出庫時に物品21が一時的に載置される載置部40cに設けられる部材PM2であると良い。
【0065】
例えば、図11に示すように、解消部51がアンクランプ状態で把持部40b2に前進移動をさせる場合、載置部40cに設けられる部材PM2は、把持部40b2の前進方向または後退方向に直交する面を備える部材PM21であると良い。例えば、部材PM21には、物品21を載置部40cに載置する際に物品21の載置場所を案内する案内部材が含まれる。部材PM21は、アンクランプ状態で把持部40b2が前進移動を開始する前の把持部40b2との位置関係が、図10に示す把持部40b2と壁部材PM11の位置関係と同様になるように配置されている。
【0066】
解消部51がアンクランプ状態で把持部40b2に後退移動をさせる場合、載置部40cに設けられる部材PM2は、物品21が載置部40cに載置された後に載置部40cに進入する部材であると良い。当該部材は、アンクランプ状態で把持部40b2が後退移動するときに、把持部40b2の後退移動を許容し且つ把持部40b2に張り付いている物品21の移動を規制する。解消部51は、アンクランプ状態で把持部40b2が停止している状態で、当該部材を移動させて物品21を当該部材に押し付けることもできる。また、所定部材PM0は、第二扉41sに形成される切り欠き部材であっても良い。切り欠き部材は、第二扉41sが閉状態にされ且つアンクランプ状態で把持部40b2が後退移動するときに、把持部40b2の後退移動を許容し且つ把持部40b2に張り付いている物品21の移動を規制する。
【0067】
解消部51がアンクランプ状態で把持部40b2に水平移動または旋回移動をさせる場合、載置部40cに設けられる部材PM2は、把持部40b2の前進方向または後退方向に沿って形成される面を備える部材であると良い。当該部材は、アンクランプ状態で把持部40b2が水平移動または旋回移動を開始する前の把持部40b2との位置関係が、図10に示す把持部40b2と壁部材PM12,PM12の位置関係と同様になるように載置部40cに配置される。
【0068】
載置部40cの鉛直方向(Z軸方向)の上方には、収納部42と比べて、把持部40b2と干渉する干渉部材が少ない。そのため、解消部51は、収納部42と比べて容易に、アンクランプ状態で把持部40b2に鉛直移動をさせることができる。解消部51がアンクランプ状態で把持部40b2に鉛直移動をさせる場合、載置部40cに設けられる部材PM2は、物品21が載置部40cに載置された後に載置部40cの上方に進入する部材であると良い。当該部材は、アンクランプ状態で把持部40b2が鉛直移動するときに、把持部40b2の鉛直移動を許容し且つ把持部40b2に張り付いている物品21の移動を規制する。解消部51は、アンクランプ状態で把持部40b2が停止している状態で、当該部材を移動させて物品21を当該部材に押し付けることもできる。
【0069】
なお、上記の出庫時送出作業が終了すると、把持部40b2は、載置部40cから後退して所定の待機位置に移動する(ステップS26)。また、第二扉41sが閉状態に制御される。そして、制御装置40aは、第一扉41fの開動作を行い、作業者は、開口部41aを介した物品21の出庫作業が可能になる。次の物品21を出庫する場合は、上記の出庫時の制御が繰り返される。次の物品21を出庫しない場合は、制御は、一旦、終了する。
【0070】
1-4-2.判断部52および撮像部53
物品21が入庫または出庫する度に、物品21の張り付きを解消する処理が行われると、物品21の入庫作業または出庫作業が遅延する可能性がある。そこで、張り付き解消装置50は、判断部52を備えることができる。判断部52は、物品21の張り付きの有無を判断する。この場合、解消部51は、判断部52によって物品21の張り付きが有ると判断されたときに物品21の張り付きを解消する。判断部52は、物品21の張り付きの有無を判断することができれば良く、種々の形態をとり得る。
【0071】
既述したように、載置部40cの上方には、読み取り装置40dが設けられている。読み取り装置40dは、物品21に付されている識別コード22を読み取って物品21を識別する識別情報を取得する。つまり、本実施形態では、識別コード22のシールは、物品21の上面に付される。また、把持部40b2は、一対のグリッパGP1,GP2を備え、一対のグリッパGP1,GP2によって物品21が把持される。よって、物品21は、一対のグリッパGP1,GP2のうちの上側のグリッパGP1に張り付く可能性がある。
【0072】
このような事情に鑑みて、張り付き解消装置50は、撮像部53を備えている。この形態では、張り付き解消装置50は、例えば、図9に示すフローチャートに従って、制御を実行する。図9は、物品21の出庫作業における制御の一例を示している。同図に示す制御では、図8に示すステップS25に示す処理が、ステップS25a~ステップS25cに示す処理および判断に変更されている。図9に示す他の処理は、図8に示す処理と同様であり、本明細書では、重複する説明が省略されている。
【0073】
撮像部53は、一対のグリッパGP1,GP2による物品21の把持が解除されているアンクランプ状態で撮像装置43を用いて物品21を鉛直方向(Z軸方向)の上方から撮像する(図9に示すステップS25a)。撮像装置43は、物品21を鉛直方向(Z軸方向)の上方から撮像することができれば良く、公知の撮像装置を用いることができる。図4および図11に示すように、撮像装置43は、光軸が鉛直方向(Z軸方向)に沿った方向になるように、載置部40cの上方の基台に固定されている。また、撮像装置43は、物品21に付されている識別コード22を読み取る読み取り装置40dと兼用されている。
【0074】
図11の実線で示す物品21(リール21a)は、アンクランプ状態の一対のグリッパGP1,GP2において、物品21の張り付きが生じていないときの位置を表している。同図の破線で示す物品21(リール21a)は、アンクランプ状態の一対のグリッパGP1,GP2において、物品21の張り付きが生じているときの位置を表している。同図の破線で示す物品21は、上側のグリッパGP1に張り付いている。このような物品21の張り付きが生じると、物品21の張り付きが生じていない場合と比べて、物品21と撮像装置43との間の距離が短くなる。そのため、物品21の張り付きが生じると、物品21の張り付きが生じていない場合と比べて、物品21は、大きく撮像される。
【0075】
図12に示す円C1は、物品21の張り付きが生じていないときの物品21(リール21a)の外縁の一例を表している。同図に示す円C2は、物品21の張り付きが生じているときの物品21(リール21a)の外縁の一例を表している。同図の破線で示す二つの円C3,C3によって囲まれる領域は、規定領域PR0を表している。規定領域PR0は、物品21の張り付きが生じていないときに想定される物品21(リール21a)の外縁が含まれる領域であり、予めシミュレーション、実機による検証などによって取得される。判断部52は、撮像部53によってアンクランプ状態で撮像された第一画像PC1において規定領域PR0内で物品21を検出したときに物品21の張り付きが無いと判断する(ステップS25bでYesの場合)。この場合、図12に示す第一画像PC1には、円C1が撮像され、解消部51による処理は行われずに、制御は、ステップS26に示す処理に進む。
【0076】
判断部52は、第一画像PC1において規定領域PR0より広範な領域で物品21を検出したときに物品21の張り付きが有ると判断する(ステップS25bでNoの場合)。この場合、図12に示す第一画像PC1には、円C2が撮像され、解消部51は、物品21の張り付きを解消する。既述したように、解消部51は、載置部40cにおいて把持部40b2に所定の移動をさせる(ステップS25c)。そして、制御は、ステップS26に示す処理に進む。
【0077】
なお、判断部52は、第一画像PC1を画像処理して、物品21を認識することができる。画像処理の方法は、限定されず、公知の方法を用いることができる。判断部52は、例えば、二値化処理によって物品21の外縁形状を認識することができる。このことは、以下に示す第二画像PC2についても同様に言える。また、張り付き解消装置50は、物品21の入庫時においても、同様の制御を行うことができる。例えば、張り付き解消装置50は、図7のステップS12に示す処理の後に、同図のステップS14に示す処理、上記のステップS25a~ステップS25cに示す処理および判断を行うことができる。この場合、同図のステップS15に示す処理は、省略することができる。
【0078】
撮像部53は、一対のグリッパGP1,GP2による物品21の把持が解除されているアンクランプ状態および一対のグリッパGP1,GP2によって物品21が把持されているクランプ状態のそれぞれにおいて、撮像装置43を用いて物品21を鉛直方向(Z軸方向)の上方から撮像することもできる。撮像部53によってアンクランプ状態で撮像された物品21の画像を第一画像PC1とし、撮像部53によってクランプ状態で撮像された物品21の画像を第二画像PC2とする。なお、撮像部53は、第一画像PC1を撮像する際の撮像装置43の撮像条件と、第二画像PC2を撮像する際の撮像装置43の撮像条件とを同一に設定する。撮像条件には、例えば、光源の種類、光の照射方向、露光時間、絞り値などが含まれる。
【0079】
例えば、第一画像PC1には、図12に示す円C1が撮像され、第二画像PC2には、円C1と概ね同等の円が撮像されている場合を想定する。この場合、第一画像PC1において物品21を検出した第一領域PR1の面積(円C1の面積)と、第二画像PC2において物品21を検出した第二領域PR2の面積(円C1と概ね同等の円の面積)とは、概ね同じである。よって、判断部52は、アンクランプ状態およびクランプ状態において、物品21と撮像装置43との間の距離が概ね同じであることを認識でき、物品21の張り付きが無いと判断することができる。そこで、判断部52は、第一画像PC1において物品21を検出した第一領域PR1の面積と第二画像PC2において物品21を検出した第二領域PR2の面積との差が許容範囲内のときに物品21の張り付きが無いと判断する。
【0080】
また、第一画像PC1には、図12に示す円C2が撮像され、第二画像PC2には、円C1と概ね同等の円が撮像されている場合を想定する。この場合、第一画像PC1において物品21を検出した第一領域PR1の面積(円C2の面積)と、第二画像PC2において物品21を検出した第二領域PR2の面積(円C1と概ね同等の円の面積)とは、異なる。よって、判断部52は、アンクランプ状態およびクランプ状態において、物品21と撮像装置43との間の距離が異なることを認識でき、物品21の張り付きが有ると判断することができる。そこで、判断部52は、第一画像PC1において物品21を検出した第一領域PR1の面積と第二画像PC2において物品21を検出した第二領域PR2の面積との差が許容範囲に含まれないときに物品21の張り付きが有ると判断する。なお、上記の許容範囲は、物品21の張り付きが生じていないときに想定される第一領域PR1の面積と第二領域PR2の面積との差の範囲であり、予めシミュレーション、実機による検証などによって取得される。
【0081】
さらに、クランプ状態で撮像された第二画像PC2において物品21を検出した第二領域PR2の面積が所定範囲に含まれない場合、物品21の高さ21hがそもそも不適当である。そこで、判断部52は、第二領域PR2の面積が所定範囲内のときに物品21の高さ21hが適当であると判断し、第二領域PR2の面積が所定範囲に含まれないときに物品21の高さ21hが不適当であると判断することもできる。このように、判断部52は、物品21の張り付きの有無の判断と共に、物品21の高さ21hの適否を判断することもできる。なお、上記の所定範囲は、物品21の高さ21hが適当なときに想定される第二領域PR2の面積の範囲であり、予めシミュレーション、実機による検証などによって取得される。
【0082】
1-4-3.判断部52および測定部54
張り付き解消装置50は、撮像部53の代わりに測定部54を備えることもできる。測定部54は、一対のグリッパGP1,GP2による物品21の把持が解除されているアンクランプ状態で、測定装置44を用いて物品21との間の距離を測定する。測定装置44は、物品21との間の距離を測定することができれば良く、公知の測定装置を用いることができる。図4に示すように、測定装置44は、載置部40cの上方の基台に固定されている。例えば、測定装置44は、物品21に超音波を発信してから物品21で反射された超音波を受信するまでの時間を測定して、測定装置44と物品21との間の距離を測定することができる。
【0083】
物品21が上側のグリッパGP1に張り付いていると、物品21の張り付きが生じていない場合と比べて、物品21と測定装置44との間の距離が短くなる。そこで、判断部52は、測定部54によってアンクランプ状態で測定された測定装置44と物品21との間の距離が所定距離内のときに、物品21の張り付きが無いと判断する。また、判断部52は、測定部54によってアンクランプ状態で測定された測定装置44と物品21との間の距離が所定距離に含まれないときに、物品21の張り付きが有ると判断する。なお、上記の所定距離は、物品21の張り付きが生じていないときに想定される測定装置44と物品21との間の距離の範囲であり、予めシミュレーション、実機による検証などによって取得される。
【0084】
測定部54は、一対のグリッパGP1,GP2による物品21の把持が解除されているアンクランプ状態および一対のグリッパGP1,GP2によって物品21が把持されているクランプ状態のそれぞれにおいて、測定装置44を用いて物品21との間の距離を測定することもできる。測定部54によってアンクランプ状態で測定された測定装置44と物品21との間の距離を第一距離とし、測定部54によってクランプ状態で測定された測定装置44と物品21との間の距離を第二距離とする。
【0085】
物品21の張り付きが生じていない場合、第一距離および第二距離は、概ね同じである。物品21の張り付きが生じている場合、第一距離および第二距離は、異なる。そこで、判断部52は、第一距離と第二距離との差が許容範囲内のときに物品21の張り付きが無いと判断し、第一距離と第二距離との差が許容範囲に含まれないときに物品21の張り付きが有ると判断することもできる。なお、上記の許容範囲は、物品21の張り付きが生じていないときに想定される第一距離と第二距離との差の範囲であり、予めシミュレーション、実機による検証などによって取得される。
【0086】
また、クランプ状態で測定された第二距離が所定範囲に含まれない場合、物品21の高さ21hがそもそも不適当である。そこで、判断部52は、第二距離が所定範囲内のときに物品21の高さ21hが適当であると判断し、第二距離が所定範囲に含まれないときに物品21の高さ21hが不適当であると判断することもできる。なお、上記の所定範囲は、物品21の高さ21hが適当なときに想定される第二距離の範囲であり、予めシミュレーション、実機による検証などによって取得される。
【0087】
1-4-4.選択部55
判断部52によって物品21の張り付きが有ると判断されたときに物品21の張り付きを解消する制御を第一モードとする。また、判断部52による判断結果に関わらず物品21の張り付きを解消する制御を第二モードとする。作業者によって第一モードまたは第二モードを選択可能であると、必要に応じて制御を変更することができる。
【0088】
そこで、選択部55は、第一モードまたは第二モードを作業者に選択させる。選択部55は、第一モードまたは第二モードを作業者に選択させることができれば良く、種々の形態をとり得る。例えば、選択部55は、タッチパネル(入力装置として機能する表示装置40e)を用いて、第一モードまたは第二モードを作業者に選択させることができる。
【0089】
1-5.その他
上述した形態では、主に、物品21がリール21aの場合を例に説明されている。しかしながら、物品21は、例えば、既述したトレイ21bなどであっても良い。また、上述した形態では、解消部51は、把持部40b2または所定部材PM0を移動させることによって、物品21の張り付きを解消する。しかしながら、把持部40b2に振動子を設けることもできる。この場合、解消部51は、振動子を振動させることによって、物品21の張り付きを解消することができる。
【0090】
2.実施形態の効果の一例
張り付き解消装置50によれば、解消部51を具備する。これにより、張り付き解消装置50は、物品21の張り付きを解消することができる。
【符号の説明】
【0091】
10:対基板作業機、21:物品、21a:リール、
21a2:部品テープ、21b:トレイ、40:保管庫、
40b:移載装置、40b2:把持部、40c:載置部、42:収納部、
42s:収納スペース、43:撮像装置、50:張り付き解消装置、
51:解消部、52:判断部、53:撮像部、55:選択部、90:基板、
GP1,GP2:一対のグリッパ、PC1:第一画像、PC2:第二画像、
PM0:所定部材、PM1:壁部材、PM2:部材、PR0:規定領域、
PR1:第一領域、PR2:第二領域。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12