(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】エッチングマスクの製造方法、構造体を基板にエッチングする方法、テトレル(tetrel)層の使用及びマスクを製造するための構造体
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20240807BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
H01L21/30 570
H01L21/302 105A
(21)【出願番号】P 2023580481
(86)(22)【出願日】2022-06-20
(86)【国際出願番号】 EP2022066735
(87)【国際公開番号】W WO2023274771
(87)【国際公開日】2023-01-05
【審査請求日】2024-01-23
(31)【優先権主張番号】102021116587.3
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513155138
【氏名又は名称】イェノプティック オプティカル システムズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】メイク パニッツ
(72)【発明者】
【氏名】ルーツ ラウパッハ
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ティルケ
(72)【発明者】
【氏名】サビーネ ザイベル
【審査官】小林 幹
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-185496(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1492496(CN,A)
【文献】特開2014-173935(JP,A)
【文献】特開平09-027453(JP,A)
【文献】米国特許第05053105(US,A)
【文献】特表2002-525681(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エッチングマスクを製造する方法(100)であって、前記方法(100)は、以下の工程(105、110、115、120、125、130、135):
基板(300)を提供する工程(105)と、
金属層厚を有する金属層(305)を前記基板(300)に塗布する工程(110)であって、前記金属層(305)が、少なくとも1つの遷移金属及び/又はアルミニウムを含むか、又はそのような金属から形成される、工程と、
マスキング層厚を有する少なくとも1つのマスキング層(310)を、前記金属層(305)でコーティングされた前記基板(300)に塗布する工程(115)と、
前記マスキング層(310)を構造化する工程(120)であって、前記金属層(305)が、少なくとも1つの処理領域(320)において露出される、工程と、
前記マスキング層(310)を構造化する工程(120)の後に、前記基板(300)をテトレル層厚を有するテトレル層(325)でコーティングする工程(125)であって、前記テトレル層(325)が、少なくとも部分的にテトレルを含み、相互拡散ゾーン(330)が、前記処理領域(320)において、前記金属層(305)と前記テトレル層(325)との間の界面に形成され
、前記テトレル層(325)が、シリコンを含むか又はシリコンから形成され
、前記相互拡散ゾーン(330)が、遷移金属シリサイド層又はアルミニウムシリサイド層として存在する、工程と、
前記マスキング層(310)を除去する工程(130)と、
前記金属層(305)を選択的にエッチングする工程(135)であって、前記基板(300)が、前記処理領域(320)以外の少なくとも1つのエッチング領域(335、340)において露出され、前記金属層(305)が、前記処理領域(320)において少なくとも部分的に維持される、工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記テトレル層(325)を除去する工程(205)を含み、前記相互拡散ゾーン(330)が、前記処理領域(320)に残り、前記テトレル層(325)を除去する工程が、前記コーティングする工程(125)の後かつ前記除去する工程(130)の前に実行され、及び/又は前記マスキング層(310)を除去する工程(130)において、前記テトレル層(325)が少なくとも部分的に除去される、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
前記テトレル層(325)を除去する工程が、KOH及び/又はNaOH及び/又はNH
4
OH及び/又は有機塩基性エッチング剤を用いて湿式化学的に実行される、請求項2に記載の方法(100)。
【請求項4】
構造化する工程(120)において、前記マスキング層(310)が、露光及び現像によって、及び/又は電子ビームを用いて構造化される、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項5】
前記除去する工程(130)において、前記マスキング層(310)が、アッシングによって、及び/又は湿式化学的に、及び/又は溶媒に溶解することによって、及び/又は溶解と化学的除去との組み合わせによって除去され、及び/又は前記選択的にエッチングする工程(135)において、前記金属層(305)のエッチングが、反応性イオンビームエッチング(RIE)及び/又は非反応性イオンビームエッチングによって、及び/又は酸性及び/又はハロゲン含有エッチング剤を用いて湿式化学的に実行される、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項6】
前記塗布する工程(110)において、前記金属層(305)が、Ti、Zr、Ta、Cr、Mo及び/又はWからなる、又はこれらの金属のうちの少なくとも1つを含む、及び/又は前記提供する工程(105)において、前記基板(300)が、ガラス、石英ガラス、石英単結晶、Si、Ge、BiTe、GaAs、SiC、InP、GaInAsP、又はポリマーのウェハとして提供される、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項7】
前記金属層厚が1nm~2000nmであり、及び/又は前記マスキング層厚が1nm~500nmであり、及び/又は前記テトレル層厚が1nm~30nmである、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項8】
前記塗布する工程(110)において、前記金属層(305)が、スパッタリング又は蒸着によって塗布され、及び/又は前記コーティングする工程(125)において、前記基板(300)が、スパッタリング又は蒸着によって前記テトレル層(325)でコーティングされる、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項9】
露出された前記処理領域(320)の表面を洗浄する工程(200)を含み、前記洗浄する工程(200)が、前記構造化する工程(120)の後でかつ前記コーティングする工程(125)の前に実行される、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項10】
構造体を基板(300)にエッチングする方法(1000)であって、前記方法(1000)は、以下の工程(1005、1010):
請求項1に記載のエッチングマスクを製造する工程(1005)と、
前記エッチングマスクを使用して前記基板(300)にディープエッチング
する工程(1010
)と、を含む、方法。
【請求項11】
前記基板(300)への前記ディープエッチングが、RIE又はDRIEによって実行される、請求項10に記載の方法(1000)。
【請求項12】
前記基板(300)への前記ディープエッチン
グと同時に、及び/又は前記基板(300)への前記ディープエッチン
グの後に、前記エッチングマスクを除去する工程を更に含む、請求項10に記載の方法(1000)。
【請求項13】
対応するユニット(1105、1110)において、請求項1~1
2のいずれか一項に記載の方法(100、1000)のうちの1つの前記工程(105、110、115、120、125、130、135、1005、1010)を実行及び/又は制御するように構成されたデバイス(1100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エッチングマスクを製造する方法、基板に構造体をエッチングする方法、テトレル層の使用、及びマスクを製造するための構造体に関する。
【0002】
チタン、アルミニウム、及びタングステン層のリソグラフィは、多くの標準CMOS製品に広く使用されている標準技術である。クロム層のリソグラフィは、広波長スペクトル用の光吸収体として多くの非CMOS標準製品に広く使用されている標準技術である。電子ビームリソグラフィ又は光リソグラフィなどの構造化技術は、マイクロテクノロジ及びナノテクノロジにおいて長年知られている。同じことが、クロム及び場合によってはシリコンのスパッタ堆積(スパッタコーティング)などのコーティングプロセスにも当てはまる。ドライエッチングプロセスは、例えば、塩素系プラズマを用いたクロム及び酸窒化クロム層の反応性イオンエッチングが長年にわたって一般的な方法であったフォトマスク産業において使用される。
【背景技術】
【0003】
シリサイドマスクを用いたエッチングプロセスが、特開平第06-061000号から既知である。シリサイドマスクを用いた別のエッチングプロセスが、特開第2007-115830号から既知である。シリサイド膜が、米国特許第5906950号から既知である。シリサイドマスクを用いた別のエッチングプロセスが、米国特許第5001085号から既知である。シリサイドマスクを用いた別のエッチングプロセスが、欧州特許第0284308号から既知である。シリサイドマスクを用いた別のエッチングプロセスが、独国特許出願公開第3315719号から既知である。エッチングマスクを製造する方法が、米国特許第5053105号から既知である。エッチングプロセスによる電極の製造が、米国特許出願公開第2002/0177280号から既知である。エッチングプロセスを用いてゲート電極を製造する別の方法が、独国特許出願公開第10355581号から既知である。上述のエッチングプロセスは全て、狭いトレンチをエッチングすることが困難であるという欠点を有する。
【0004】
発明の開示
これを背景として、本アプローチは、主請求項による、エッチングマスクを製造する方法、基板に構造体をエッチングする方法、テトレル層の使用、及びマスクを製造するための構造体を提示する。有利な実施形態は、それぞれの従属請求項及び以下の説明からもたらされる。
【0005】
本明細書で提示される方法は、有利なことに、高価なフォトマスキング又は塗装プロセスを変更することなく階調反転を可能にする。更に、レジストエッジのシェーディング及びローディング効果を低減することができる。更に、基板トレンチが形成される位置にレジストバーを形成することができ、これはリソグラフィシステムの解像限界よりも狭くすることができる。
【0006】
エッチングマスクを製造する方法が提示され、この方法は、以下の工程:
基板を提供する工程と、
金属層厚を有する金属層を基板に塗布する工程であって、金属層が、少なくとも1つの遷移金属及び/又はアルミニウムを含むか、又はそのような金属から形成される、工程と、
マスキング層厚を有するマスキング層を、金属層でコーティングされた基板に塗布する工程と、
マスキング層を構造化する工程であって、金属層が、少なくとも1つの処理領域において露出される、工程と、
続いて、基板をテトレル層厚さを有するテトレル層でコーティングする工程であって、テトレル層が、少なくとも部分的にテトレルを含み、遷移金属又はアルミニウムとテトレルとの間の相互拡散ゾーンが、処理領域において、金属層とテトレル層との間の界面に形成される、工程と、
マスキング層を除去する工程と、
金属層を選択的にエッチングする工程であって、基板は、処理領域以外の少なくとも1つのエッチング領域において露出され、金属層は、処理領域において少なくとも部分的に維持される、工程と、を含む。
【0007】
特に、テトレル層は、シリコンを含んでもよく、又はシリコンから形成されてもよく、相互拡散ゾーンは、遷移金属シリサイド層又はアルミニウムシリサイド層として存在し得る。
【0008】
提供する工程において、基板は、例えば、ガラス、石英ガラス、シリコン、ポリマー、又は他の材料で作製されたいわゆるウェハとして提供することができる。続いて、金属層が、例えばクロムから形成され得る基板の少なくとも1つの面に塗布される。特に、金属層は、いくつかの又は正確に1つの遷移金属を含んでもよく、及び/又はいくつかの又は正確に1つの遷移金属からなってもよい。適切な遷移金属は、原子番号21~30、39~48、及び57~79を有する化学元素であり得る。有利なことに、これらのいくつか又は塩基性遷移金属が選択され得る。酸化還元対が標準水素電極に対して負の標準電位を有する金属は、卑金属と記載することができる。金属層は、特に有利なことに、例えばTi、Cr、Mo及び/又はWなどのいくつかの又は正確に1つの高融点金属を含むことができる、あるいはいくつかの又は正確に1つの高融点金属からなることができる。また有利なことに、金属層は、アルミニウムを含むか、又はアルミニウムからなってもよい。
【0009】
金属層によって覆われた基板の側は、塗布する工程においてマスキング層(レジストとしても知られる)でコーティングされ、マスキング層は、例えばフォトレジストであり得る。構造化の工程において、マスキング層は、例えばフォトレジストを露光することによって構造化される。マスキング層は、第1の位置とも称され得る少なくとも1つの処理領域において完全に除去され、その結果、下にある金属層が露出する。続いて、金属層及びマスキング層が配置された基板の側は、更にテトレル層でコーティングされる。テトレルは、炭素族として知られる元素周期表の主な第四族(現在のIUPAC表記では第14族)の元素である。本発明の文脈において有利なテトレルは、例えば、炭素(C)、シリコン(Si)、又はゲルマニウム(Ge)、特に有利なことにSiであり得る。テトレルとしてのSi又はCの使用は、金属層がベース金属、有利なことに例えば高融点金属又はアルミニウムから形成される場合に特に有利であり得る。あるいは、金などの貴遷移金属を金属層に使用することができる。例えば、ゲルマニウムをテトレルとして選択することができ、これにより、相互拡散ゾーン内の界面に金-ゲルマニウム合金を形成することができる。テトレル層は、少なくとも1種のテトレルを含み、有利なことに1種のテトレルからなり、特に有利なことに正確に1種のテトレルからなる層であってよい。半金属テトレル及び非金属テトレルが特に適切であり得るが、金属テトレルは不適切であり得る。先の構造化により金属層が露出した処理領域では、テトレルと金属層との間に相互拡散ゾーンが形成される。この相互拡散ゾーンは、金属層とテトレル層との間の界面で生じる可能性があり、テトレル層のテトレルと金属層の金属との間に形成される可能性がある。例えば、テトレルとしてシリコンを選択すれば、金属シリサイド層、すなわち遷移金属シリサイド層やアルミニウムシリサイド層を形成することができる。相互拡散ゾーンは、金属層の金属とテトレルとが混合され得る遷移ゾーンとも呼ぶことができる。混合とは、合金がこの遷移領域に存在し得ることを意味すると理解することができる。合金は、1つ以上の金属間混合相を含んでもよい。その後、マスキング層を除去すると、テトレル層でコーティングされた金属層又は遷移金属シリサイド層が処理領域に残る。次の選択的にエッチングする工程において、テトレル層でコーティングされていない領域の金属層を除去することができる。したがって、基板はエッチング領域において露出し、処理領域に配置された基板は相互拡散ゾーンによって不動態化される。これは、ケイ化クロムのような合金が、そのエッチング挙動において、純粋なクロム及び純粋なシリコンと大きく異なる可能性があるという事実を利用している。これは、2つの連続して堆積された層の相互拡散ゾーンなどの接触領域にも当てはまる。このような相互拡散ゾーンは、非常に薄く、例えば1ナノメートル程度であり得るが、特定のエッチングプロセスに対して非常に耐性がある。本明細書に提示される方法では、そのような薄い相互拡散ゾーンを使用して、リソグラフィにおけるいくつかの固有の問題を有利に克服することができる。このプロセスシーケンスは、使用される露光マスクを変更することなく、又は新しいフォトマスクを作成することなく、ポジ-ネガ反転、すなわち階調反転を可能にする。更に、階調の変化は、リソグラフィにおけるいくつかの特定の問題を解決するのに役立つことができる。ポジ型トーンレジスト及び所与の距離がテストグリッドを解像するために使用されると仮定すると、通常、距離の50%未満である微細なレジストラインを実現することがより容易であり、これは、レジストストリップの幅、及び時にはレジストの高さを低減するために、露光中の過剰投与又は過剰現像によって調整することができるためである。それにもかかわらず、リソグラフィシステムの解像限界に近づくほど、テストグリッドの距離の50%よりも小さいレジスト溝を解像することが困難になる。本明細書で提示される方法を用いて、距離の50%未満のトレンチを有利に解像することができる。これは、将来のパルス圧縮格子のi線リソグラフィ製造を可能にする。更に、この方法は、例えば、化学的に耐性のあるAR層又は屈折率勾配を構造化することによって、非有効媒体から、光学的に有効な媒体などの有効媒体を製造するために使用することもできる。本発明は、CMOS技術及び他の技術を用いて製品を製造するために使用することができる。
【0010】
一実施形態によれば、本方法は、テトレル層を除去する工程を含むことができ、相互拡散ゾーンは処理領域に残ることができ、テトレル層の除去は、コーティングする工程の後、かつ除去する工程の前に行うことができる。追加的又は代替的に、テトレル層は、マスキング層を除去する工程において少なくとも部分的に除去することができる。例えば、テトレル層、及び追加的又は代替的にテトレル層を有するマスキング層は、エッチングプロセスによって除去することができる。テトレル層をレジストストリップから選択的に除去することができるため、除去する工程は、従来のリフトオフプロセスとは異なってもよい。この利点は、シリコンフレーク又はフェンスが残らないことである。
【0011】
更なる実施形態によれば、テトレル層は、水酸化カリウム(KOH)、及び追加的又は代替的に水酸化ナトリウム(NaOH)、及び追加的又は代替的に水酸化アンモニウム(NH4OH)、及び追加的又は代替的に有機塩基性エッチング剤を使用する湿式化学手段によって除去することができる。これらの又は類似のエッチング剤を使用することは、除去する工程を費用効果的に実行することができるという利点を有する。
【0012】
更なる実施形態によれば、構造化の工程において、マスキング層は、露光及び現像によって、及び追加的に又は代替的に電子ビームによって構造化することができる。例えば、マスキング層は、ポジ型レジスト又はネガ型レジストとすることができる。これらは、例えば露光マスクを使用して構造化する工程において露光され、次いで現像され得る。有利なことに、そのような方法工程は、費用効果的に実行することができる。任意選択的に、構造化は、電子ビームリソグラフィによって行うこともできる。電子ビームを使用する主な利点は、フォトリソグラフィと比較して、著しく小さい寸法、例えばナノメートル範囲の寸法を有する構造体を製造できることである。
【0013】
更なる実施形態によると、除去する工程において、マスキング層は、アッシングによって、及び追加的又は代替的に湿式化学的に、及び追加的又は代替的に溶媒中で溶解することによって、及び追加的又は代替的に溶解及び化学的除去の組み合わせによって除去することができる。追加的又は代替的に、選択的にエッチングする工程において、金属層のエッチングは、反応性イオンビームエッチング(RIE)及び追加的又は代替的に非反応性イオンビームエッチングによって、並びに追加的又は代替的に、酸性及び追加的又は代替的にハロゲン含有エッチング剤を用いて湿式化学的に行うことができる。除去プロセス及び選択的エッチング時に使用される薬剤は、マスキング層及び金属層の材料に適合させることができる。有利なことに、本方法は、所与の状況並びに本方法に利用可能な溶媒及び材料に最適に適合させることができる。
【0014】
更なる実施形態によれば、塗布する工程において、金属層は、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、及び追加的又は代替的にタングステン(W)からなってもよく、又はこれらの金属のうちの少なくとも1つを含んでもよい。追加的に又は代替的に、提供する工程において、基板は、ガラス、石英ガラス、石英単結晶、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、BiTe、ガリウムヒ素(GaAs)、炭化ケイ素(SiC)、リン化インジウム(InP)、GaInAsP、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、又はポリマーで作製されたウェハとして提供することができる。使用される材料は、既存の要件に有利に適合させることができる。
【0015】
更なる実施形態によると、金属層厚は、1nm~2000nmであってもよく、追加的又は代替的に、マスキング層厚は、1nm~500nmであってもよく、追加的又は代替的に、テトレル層厚は、1nm~30nm、特に1nm~5nm及び1nm~2nmであってもよい。例えば、金属層厚さ及びマスキング層厚は、例えば20nm~200nmであってもよい。これは、有利なことに、クロム層の構造化に対する共通の障害が高分解能で克服されることを可能にする。レジストの高いアスペクト比は、この方法で構造化する場合、特に微細な特徴を有する場合、時として障害となり得る。例えば、厚さ300nmのレジスト層を用いて、厚さ100nmのCr層を構造化することができる。100nmの溝を溶解するために、幅の3倍の深さのレジストキャビティでエッチングを行うことができる。これは、サイズ依存エッチング深さ又はサイズ依存アンダーカット(RIEラグ)の唯一の理由ではなく、重要な理由である。本明細書で提示される方法は、有利なことに、例えば1又は2ナノメートル程度のより薄いエッチングマスクを製造するために使用することができる。これにより、レジスト側壁のシェーディングやいわゆるローディング効果などの影響を大幅に低減することができる。更に、基板に高密度特性を導入することによって応力を回避することができる。これは、特に曲げに敏感な製品の場合、機能層を有する代替コーティングと比較して有利であり得る。
【0016】
有利な実施形態では、テトレル層は、塗布されたテトレルが処理領域で相互拡散ゾーンに完全に吸収されるように薄く塗布することができる。この場合、表面には純粋なテトレルが存在していなくてもよい。
【0017】
更なる実施形態によれば、塗布する工程において、金属層をスパッタリング又は蒸着によって塗布することができ、追加的に又は代替的に、コーティングする工程において、基板をスパッタリング又は蒸着によってテトレル層でコーティングすることができる。有利なことに、そのような既知の方法を使用することによって、時間及びコストを節約することができる。
【0018】
更なる実施形態によると、本方法は、露出した処理領域の表面を洗浄する工程を含んでもよく、洗浄する工程は、構造化する工程の後でかつコーティングする工程の前に実行されてもよい。例えば、洗浄は、ドライエッチング、特にスパッタエッチング又はプラズマエッチング又はプラズマフリー熱ガスエッチングによって実行することができる。有利なことに、洗浄工程において、構造化マスキング層及び構造化によって露出した金属層の表面を、テトレル層によるコーティングのために最適に調製することができる。
【0019】
更に、構造を基板内にエッチングする方法が提示され、この方法は、上記で提示された方法の変形例によるエッチングマスクを製造する工程と、エッチングマスクを使用して基板内にディープエッチングする工程と、を含む。有利なことに、上述の製造方法に従って製造されたエッチングマスクを使用することによって、前述の利点の全てを最適に実現することができる。
【0020】
例えば、基板にエッチングされた構造体は、高解像度及び低露光コストを有する微細なSiO2ピラーアレイを有することができる。これらは、例えば、光学液浸センサに対して、又は特定の屈折率を有するメタマテリアルとして有利であり得る。これらのピラー上の非常に薄い疎水性コーティングは、表面の疎水性を非常に高くするためにロータス効果を作り出すことができる。ピラーは、例えば、純SiO2で作製することができ、UV放射及び腐食によって引き起こされる劣化に対して高い耐性を有することができる。
【0021】
一実施形態によれば、基板へのディープエッチングは、反応性イオンエッチング(RIE)又は反応性イオンディープエッチング(DRIE)によって実行することができる。有利なことに、例えばマイクロ及びナノシステム技術のためのトポグラフィ構造の製造のために、均質性、エッチング速度、エッチングプロファイル、及び選択性に関して高度の制御性を有するディープエッチングを実行することができる。
【0022】
有利なことに、エッチングマスクを除去することも提供され得る。エッチングマスクを除去する工程は、相互拡散ゾーン及び相互拡散ゾーンの下に残っている金属層を除去する工程を含むことができる。基板にエッチングされた構造体を維持することができる。次いで、エッチングされた構造体を有する基板は、金属層を含まなくてもよい。このことは、光学部品が製造される場合に特に有利であり得る。エッチングマスクの除去は、基板へのディープエッチングと同時に、及び/又は基板へのディープエッチングの後に実行することができる。エッチングマスクは、有利なことに、ディープエッチング後に除去することができる。また、ディープエッチング中にエッチングマスクの除去を既に開始することも有利である。例えば、相互拡散ゾーンは、ディープエッチング中に部分的に又は完全に除去することができる。有利なことに、金属層の少なくとも一部は、ディープエッチングの終了まで維持することができ、その結果、ディープエッチングの終了までマスキングが保証される。
【0023】
更に、この金属層をマスクするための金属層上のレジストマスクに対して反転された補助マスクを製造する際のテトレル層の使用が提示され、金属層は遷移金属及び/又はアルミニウムを含み、補助マスクは、テトレルと金属との合金、特に金属シリサイドから形成される。合金は、金属層とテトレル層との間の界面における相互拡散ゾーンに存在することができる。
【0024】
金属層は、有利なことに、遷移金属又はアルミニウムからなることができる。単一金属からなる金属層は、より再現性のある方法で製造することができるという利点を有し得る。
【0025】
更に、マスクを製造するための構造体が提供され、この構造体は、基板と、基板上に配置された少なくとも1つの遷移金属又はアルミニウムの連続金属層と、金属層上に配置された構造化マスキング層と、マスキング層が中断される少なくとも1つの処理領域と、を備え、金属層は、処理領域において遷移金属又はアルミニウムとテトレルとの合金を含む相互拡散ゾーンで表面が覆われており、特に合金はシリコンを含む。テトレルと合金化されていない金属層の材料は、相互拡散ゾーンと基板との間に配置することができる。この材料は、処理領域における金属層の無テトレル部分を表すことができる。これは、層厚の最大割合を構成することができる一方、相互拡散ゾーンの層厚は、合金の層厚と無テトレル層厚との合計層厚の10%未満、有利なことに2%未満とすることができる。例えば、相互拡散ゾーンの層厚は、1nm~10nm、有利なことに1nm~5nm、特に有利なことに1nm~3nmとすることができる。したがって、有利なことに、相互拡散ゾーンは、金属層の表面上にのみ形成することができ、一方、処理領域の内側及び外側の金属層は、実質的に均一な層厚を有することができる。相互拡散ゾーンに形成されたテトレルとの合金は、マスキング層の中断された位置にのみ存在することができる。中断されていない場所、すなわち処理領域の外側では、マスキング層を金属層上に直接配置することができ、処理領域にはマスキング層の材料が存在しない。マスクを製造するための構造体は、マスクを製造することができる半製品として理解することができる。マスクは、マスクを製造するための構造体から、マスキング層を除去することによって作製することができる。このマスクは、マスキング層に対して反転された補助マスクとみなすことができる。この半製品から作られたマスクは、所望の製品を製造するために、基板内に構造体をエッチングするために使用することができる。
【0026】
提示された方法は、例えばソフトウェア又はハードウェアで、又はソフトウェアとハードウェアのハイブリッド形態で、例えば制御ユニットで実施することができる。
【0027】
ここで提示されるアプローチはまた、ここで提示される方法の変形例において、対応するデバイスにおける工程を実行、制御、又は実装するように設計されるデバイスを作り出す。デバイスの形態の本発明のこの実施形態の変形例は、本発明の根底にある目的が迅速かつ効率的に解決されることを可能にする。
【0028】
この目的のために、デバイスは、信号又はデータを処理するための少なくとも1つの計算ユニット、信号又はデータを記憶するための少なくとも1つの記憶ユニット、センサからセンサ信号を読み取るための、又はアクチュエータにデータ又は制御信号を出力するためのセンサ又はアクチュエータへの少なくとも1つのインターフェース、及び/又は通信プロトコルに埋め込まれたデータを読み取る又は出力するための少なくとも1つの通信インターフェースを有することができる。計算ユニットは、例えば、信号プロセッサ、マイクロコントローラなどとすることができ、メモリユニットは、フラッシュメモリ、EEPROM、又は磁気メモリユニットとすることができる。通信インターフェースは、データを無線で及び/又は有線で読み出し又は出力するように構成することができ、有線のデータを読み出し又は出力することができる通信インターフェースは、例えば、これらのデータを対応するデータ伝送線から電気的又は光学的に読み出すか、又は対応するデータ伝送線に出力することができる。
【0029】
この場合、デバイスとは、センサ信号を処理し、その関数として制御信号及び/又はデータ信号を出力する電気的なデバイスであると理解することができる。本デバイスは、ハードウェア及び/又はソフトウェアとして設計され得るインターフェースを有し得る。ハードウェア実施形態では、インターフェースは、例えば、デバイスの多種多様な機能を含むいわゆるシステムASICの一部であり得る。しかしながら、インターフェースが別個の集積回路であるか、又は少なくとも部分的に個別の構成要素からなることも可能である。ソフトウェア設計において、インターフェースは、例えば、他のソフトウェアモジュールに加えてマイクロコントローラ上に存在するソフトウェアモジュールであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
ここで提示されるアプローチの例示的な実施形態は、図面に示され、以下の説明においてより詳細に説明される。以下が示されている。
【
図1】エッチングマスクを製造する方法の例示的な実施形態のフローチャートである。
【
図2】エッチングマスクを製造する方法の例示的な実施形態のフローチャートである。
【
図3】従来のプロセス工程と比較した、エッチングマスクを製造する方法における様々なプロセス工程の例示的な実施形態の概略的表現である。
【
図4】テトレル層を塗布する前のエッチングマスクを製造するための構造体の概略的表現である。
【
図5】テトレル層を塗布した後のエッチングマスクを製造するための構造体の概略的表現である。
【
図6】補助マスクの段階でのエッチングマスクを製造するための構造体の概略的表現である。
【
図7】製造されたエッチングマスクの概略的表現である。
【
図8】エッチングマスクによって基板内にエッチングされた構造体の概略的表現である。
【
図9】基板にエッチングされた別の構造体と比較した、基板にエッチングされた構造体の斜視上面図である。
【
図10】構造体を基板にエッチングする方法の例示的な実施形態のフローチャートである。
【
図11】構造体を基板にエッチングする方法を制御するためのデバイスの例示的な実施形態のブロック図である。
【
図12】エッチングマスクを製造する方法における様々なプロセス工程の例示的な実施形態の概略的表現である。
【
図13】エッチングマスクを製造するための構造体を示す。
【
図14】エッチングマスクを製造するための別の構造体を示す。
【0031】
本発明の有利な例示的な実施形態の以下の説明では、様々な図に示され、同様な効果を有する要素には同一又は類似の参照符号が使用され、これらの要素の繰り返しの説明は省略する。
【0032】
図1は、エッチングマスクを製造する方法100の例示的な実施形態のフローチャートである。方法100は、単に例として炭化ケイ素のウェハである基板を提供する工程105を含む。別の例示的な実施形態では、基板は、ガラス、石英ガラス、石英単結晶、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、BiTe、ガリウムヒ素(GaAs)、リン化インジウム(InP)、GaInAsP、又はポリマーで形成することもできる。
【0033】
提供する工程105の後に、金属層を基板に塗布する工程110が続き、金属層は、この例示的な実施形態ではクロム(Cr)である遷移金属又はアルミニウムを含む。別の例示的な実施形態では、金属層はまた、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、及び追加的又は代替的にタングステン(W)、及び追加的又は代替的にアルミニウムから形成することができる、又はこれらの金属のうちの少なくとも1つを含むことができる。単に例として、この例示的な実施形態における金属層は、30nmの金属層厚を有する。他の例示的な実施形態では、金属層厚は、1nm~200nmとすることができる。この例示的な実施形態では、金属層は、蒸着によって塗布される。他の例示的な実施形態では、金属層は、スパッタリングによって塗布することもできる。
【0034】
この後に、金属層でコーティングされた基板にマスキング層を塗布する工程115が続く。この例示的な実施形態では、単に例としてポジ型レジストを有するフォトレジスト層がマスキング層として使用され、マスキング層は、単に例として100nmのマスキング層厚さを有する。別の例示的な実施形態では、マスキング層厚は、1nm~500nmとすることができる。
【0035】
マスキング層は、マスキング層を構造化する次の工程120において構造化され、金属層は処理領域で露出される。この例示的な実施形態では、構造化120は、ポジ型レジスト層を露光及び現像することによって実行される。別の例示的な実施形態では、構造化は、電子ビームによって行うこともできる。
【0036】
後続のコーティングする工程125では、基板はテトレル層でコーティングされ、この例示的な実施形態におけるテトレル層はシリコンから形成される。別の例示的な実施形態では、テトレル層は、追加的に又は代替的に、IV族の他の元素を含有してもよく、追加的に又は代替的に、シリコンから部分的にのみ形成されていてもよい。この例示的な実施形態では、テトレル層は、例として、6nmのテトレル層厚を有し、スパッタリングによって塗布される。別の例示的な実施形態では、テトレル層は、1nm~30nmの厚さを有することができ、蒸着によって塗布することができる。コーティングする工程125では、遷移金属元素又はアルミニウムとテトレルとの間の相互拡散ゾーンが、処理領域において金属層とテトレル層との間の界面に形成される。この例示的な実施形態では、Cr3Siのみの遷移金属シリサイド層が形成される。他の例示的な実施形態では、TiSi、TiSi2、Ti5Si4、Ti5Si3、ZrSi2、Zr3Si2、Zr3Si、Zr5Si4、TaSi2、Ta5Si3、Cr5Si3、CrSi、CrSi2、MoSi2、Mo3Si、Mo5Si3、WSi2又はW5Si3、又はAlxSiyも、相互拡散ゾーンで形成することができる。
【0037】
この後、マスキング層を除去する工程130が続き、この例示的な実施形態では、テトレル層も少なくとも部分的に除去される。しかしながら、相互拡散ゾーンは残る。単なる例として、マスキング層の除去は、マスキング層を溶媒に溶解させることによって実行される。他の例示的な実施形態では、除去する工程は、アッシングによって、及び追加的に又は代替的に湿式化学的に、及び追加的に又は代替的に溶解及び化学的除去の組み合わせによって実行することもできる。
【0038】
マスキング層を除去した後、金属層を選択的にエッチングする工程135が続き、基板は、処理領域以外の少なくとも1つのエッチング領域において露出され、金属層は、処理領域において少なくとも部分的に維持される。この例示的な実施形態では、選択的にエッチングする工程135は、単に例として、反応性イオンビームエッチング(RIE)によって実行される。別の例示的な実施形態では、非反応性イオンビームエッチングが追加的又は代替的に使用され得る。任意選択的に、選択的エッチングは、酸性及び追加的又は代替的にハロゲン含有エッチング剤を用いて湿式化学的に行うこともできる。
【0039】
図2は、エッチングマスクを製造する方法100の例示的な実施形態を示す。本明細書に示される方法100は、前の図で説明された方法に対応するか、又は同様であるが、追加の工程を有する点が異なる。したがって、この例示的な実施形態では、マスキング層を構造化する工程120の後に、露出した処理領域の表面を洗浄する工程200が続く。この例示的な実施形態では、洗浄後にのみ、基板をテトレル層でコーティングする工程125が実行される。
【0040】
単に例として、この例示的な実施形態では、コーティングする工程125の後に、テトレル層を除去する工程205が続く。相互拡散ゾーンは、処理領域に残る。この例示的な実施形態では、テトレル層は、水酸化カリウム(KOH)を用いて湿式化学的に除去される。別の例示的な実施形態では、除去する工程は、追加的に又は代替的に水酸化ナトリウム(NaOH)、及び追加的に又は代替的に水酸化アンモニウム(NH4OH)、及び追加的に又は代替的に有機塩基性エッチング剤を使用して実行され得る。
【0041】
図3は、従来のプロセス工程と比較した、先の図で説明したエッチングマスクを製造する方法における様々なプロセス工程の例示的な実施形態の概略的表現を示す。左側の列Aには、従来の構造化戦略の違いが示されており、右側の列Bには、階調反転のためのエッチングマスクを製造するための、先の図に記載された方法のプロセス工程が示されている。列A及び列Bの両方において、同一形状の半製品A1及びB1が、図の上部に示されている。半製品A1及びB1はそれぞれ、単に例としてシリコンウェハである基板300を備え、基板300はそれぞれ、単に例としてクロムから形成された層である金属層305でコーティングされている。金属層305上には、それぞれマスキング層310が配置されており、この例示的な実施形態では、このマスキング層は、フォトポジ型レジスト層として形成されている。半製品A1及びB1は、先の図で説明したように、マスキング層を構造化する工程中に示されており、したがって露光315の影響下にある。
【0042】
露光されたマスキング層310を現像することによって、構造化が実行され、金属層305は、半製品A2及びB2を使用して本明細書に示される表現に示されるように、処理領域320において露出する。これまでのところ、半製品A1及びB1も半製品A2及びB2も、互いに違いを示さない。
【0043】
製造方法の違いは、右側の列Bに示される半製品B3からのみ認識可能である。半製品B3は、マスキング層310に沿って、及び金属層305に沿った処理領域320において、追加のテトレル層325でコーティングされ、この例示的な実施形態では、追加のテトレル層はシリコンから形成され、単に例として10nmのテトレル層厚を有する。ここで、遷移金属元素又は任意選択でアルミニウムとテトレルとの間の相互拡散ゾーン330が、処理領域320において、金属層305とテトレル層325との間の界面に形成される。
【0044】
ここに示す図では、テトレル層325を部分的に除去した後の半製品B4が、半製品B3の下の右側の列Bに示されている。ここで、テトレル層325は、相互拡散ゾーン330を除いて選択的に除去され、シリコンフレーク又はフェンスは残っていない。
【0045】
ここに示す表現では、マスキング層310が除去された半製品B5が、半製品B4の下に示されている。半製品B5は、依然として相互拡散ゾーン330を有する。
【0046】
ここに示されている表現では、半製品B5の下に示されている半製品B6が、左側の列Aに示されている半製品A6とは対照的に示されている。半製品A6では、レジストマスクを用いたRIEエッチングによって、基板300が処理領域320のみにおいて露出されているが、これは半製品B6の場合と全く逆である。ここで、基板300は、第1のエッチング領域335及び第2のエッチング領域340において露出するが、処理領域320における金属層305のエッチングは、相互拡散ゾーン330によって回避されている。
【0047】
列Aに示されている従来の構造化戦略では、半製品A7に示されているように、マスキング層のみがここで除去される。その後、半製品A8及びB8に示すように、基板300へのパターンの転写がおそらく可能である。その結果、半製品A8及びB8は、階調が反転したパターンとなる。したがって、従来通りに製造された半製品A8では、パターンは、処理領域320の下で基板300に導入され、一方、前の図に提示された新しい製造方法によって製造された半製品B8では、パターンは、エッチング領域335、340の下で基板300に導入される。換言すれば、半製品A8は、半製品B8上の非常に薄いCrSiマスクと比較して厚いレジストマスクを用いたクロムエッチングを示し、これによりレジストエッジにおける遮光効果及び帯電効果を回避する。
【0048】
図4は、エッチングマスクを製造するための構造体400の概略的表現を示す。左側の部分図は、構造体400の断面図であり、右側の部分図は、構造体400の上面図である。構造体400は、先の
図1及び
図2で説明した構造化の方法工程中に示されており、金属層305及び構造化マスキング層310でコーティングされた基板300を含む。処理領域320では、金属層305が露出され、その結果、構造体400に平坦な形状の穴が生じる。言い換えれば、この図は、現像後のレジストパターンを示している。先の
図1及び
図2に記載されたエッチングマスクを製造する方法を使用して、ピンホールとも呼ばれ得る10
10個の穴を有するピンホールアレイ、及び例示的な600nmの六角形のフィールドを、この例示的な実施形態におけるデモパターンとして使用して、重要なCDの処理能力を試験した。UV露光はi線ステッパーを用いて行った。
【0049】
図5は、エッチングマスクを製造するための構造体400の概略的表現を示す。左側の部分図は、構造体400の断面図であり、右側の部分図は、構造体400の上面図である。ここに示される構造体は、先の
図4に記載された構造体に対応するか又は類似しているが、ここに示される構造体400が追加のテトレル層325でコーティングされている点が異なる。言い換えれば、この図は、シリコンでコーティングした後のレジストを示す。
【0050】
図6は、補助マスクの段階でのエッチングマスクを製造するための構造体400の概略的表現を示す。左側の部分図は、構造体400の断面図であり、右側の部分図は、構造体400の上面図である。ここで示される構造体は、先の
図4で説明された構造体に対応するか又は類似しているが、ここで示される構造体400ではマスキング層が除去されている点が異なる。したがって、構造体400は、金属層が露出するエッチング領域335、340の間に配置されるテトレル層325で不動態化された相互拡散ゾーン330を有する。言い換えれば、この図は、KOH及びレジストストリップを用いたSiエッチング後の改質されたCr表面を示す。表面改質は、SEMにおいて特定のコントラストを示す。改質ゾーンの厚さは、Cr表面粗さのために測定することが困難であるが、ピンホールは、突起よりも浅い穴のように見える。
【0051】
図7は、製造されたエッチングマスクの概略的表現を示す。左側の部分図は構造体400の断面図であり、右側の部分図は基板内にエッチングされた構造体400の上面図である。ここに示される構造体は、先の
図4に記載された構造体に対応するか又は類似しているが、金属層305がエッチング領域で除去されている点が異なる。換言すれば、この図は、RIE-Clエッチング後のクロムを示す。その結果、Crドット径が軽減される。傾斜したサンプルの右の画像は、Crドットの上側の1種の非常に薄いアンダーエッチングされた膜700を示す。これは、アンダーエッチング後に残存する相互拡散ゾーンであり得る。階調反転はこの工程で作成された。
【0052】
図8は、エッチングマスクを用いて基板にエッチングされた構造体の概略的表現を示す。左側の部分図は構造体400の断面図であり、右側の部分図は基板内にエッチングされた構造体400の上面図である。ここに示される構造体は、先の
図4に記載された構造体に対応するか、又は類似しているが、エッチング領域335、340の下の基板300が部分的に除去されている点が異なる。したがって、RIE-Fエッチングによる基板へのパターン転写が示されている。提案されるプロセスは、RIE-Fを使用してパターンを基板に転写した後に完了した。
図7からの薄層残留物は消失している。これは、フッ素系プラズマ中の相互拡散ゾーンのエッチング挙動及びToF-SIMS分析に対応する。
【0053】
図9は、基板にエッチングされた別の構造体900と比較した、基板にエッチングされた構造体400の斜視上面図である。ここで、更なる構造体900は、先の
図3で説明したような従来のプロセスを使用して製造され、従来のポジ型トーンリソグラフィ及びホールマスクを用いたRIEを示す。構造体400は、先の
図1及び
図2で説明した階調反転のためのエッチングマスクを製造する方法の結果である。同じフォトマスク及び同じレジストプロセスを使用して、構造体400及び更なる構造体900を作成した。諧調反転の結果を視覚化するために、従来のポジ型トーンリソグラフィのパターンと比較した。同じフォトマスクをこのために使用した。従来のプロセスシーケンスの画像は、Crエッチングマスクを除去した後のサンプルを示す。Crエッチングマスクは、反転された階調を有するサンプル中に依然として存在する。底部粗さの上昇は、おそらく、RIEエッチング後に底部粗さが上昇することが知られている特殊なガラス基板によるものである。
【0054】
図10は、構造体を基板にエッチングするための方法1000の例示的な実施形態のフローチャートである。この方法は、エッチングマスクを製造する工程1005と、エッチングマスクを使用して基板をディープエッチングする工程1010とを含む。単なる例として、基板へのディープエッチングは、RIE又はDRIEによって実行される。
【0055】
図11は、構造体を基板にエッチングする方法を制御するためのデバイス1100の例示的な実施形態のブロック図である。このデバイスは、エッチングマスクの製造を制御する製造ユニット1105と、ディープエッチングを制御するエッチングユニット1110と、を備える。別の例示的な実施形態では、デバイス1100はまた、先の
図1及び
図2で説明したエッチングマスクを製造する方法を制御するように設計されてもよい。
【0056】
図12は、先の
図1及び
図2で説明したエッチングマスクを製造する方法における様々なプロセス工程の例示的な実施形態の概略的表現を示す。この表現は、先の
図3で説明した右側の列のプロセス工程に対応するか、又は類似している。半製品B6及びB8から分かるように、特に先の
図3の左側の列に示されるプロセス工程と比較して、特に狭いトレンチが第1のエッチング領域335においてエッチングされる。
図15は、例示的な実施形態の変形例を示しており、この変形例では、エッチングマスクが、基板へのディープエッチングの後に続いて除去され、金属層を含まない半製品又は最終製品B9が得られる。
【0057】
図13は、
図3の表現B4と同様に、マスクを製造するための構造体を示す。破線で示される相互拡散ゾーン330は、金属層の遷移金属又はアルミニウムとテトレル、好ましくはシリコンとの合金から形成され、金属層310は、処理領域320において相互拡散ゾーン330で被覆される。金属層305は、基板300上の処理領域320の内側及び外側の両方で連続的であるように設計される。処理領域320において、マスキング層310は中断される。処理領域の外側では、マスキング層310は金属層305上に直接配置されているが、処理領域320にはマスキング層の材料がない。
【0058】
図14は、
図12の表現B4と同様に、マスクを製造するための更なる構造体を示している。ここで、処理領域320は、マスキング層310のマスクされた領域の左右に相互拡散ゾーン330を有して示されている。マスクを製造するためのこのような構造体は、その後、基板にトレンチをエッチングするために使用することができる。