特許 7535220 予混合装置およびこれを備えた燃焼装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-08-07

(45)【発行日】2024-08-16

(54)【発明の名称】予混合装置およびこれを備えた燃焼装置

(51)【国際特許分類】

   F23D 14/62 20060101AFI20240808BHJP

【ＦＩ】

F23D14/62

【請求項の数】 8

(21)【出願番号】P 2020213539

(22)【出願日】2020-12-23

(65)【公開番号】P2022099648

(43)【公開日】2022-07-05

【審査請求日】2023-11-09

(73)【特許権者】

【識別番号】000004709

【氏名又は名称】株式会社ノーリツ

(74)【代理人】

【識別番号】100120514

【弁理士】

【氏名又は名称】筒井 雅人

(72)【発明者】

【氏名】船引 恒男

(72)【発明者】

【氏名】三浦 敬一

【審査官】柳本 幸雄

(56)【参考文献】

【文献】実公昭５５－４６８２７（ＪＰ，Ｙ２）

【文献】特開２０１８－１３２２５７（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１５－１４４４８（ＪＰ，Ａ）

【文献】特表２０１５－５１９５３２（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１５－２３０１１３（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０００－２３４７３８（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０２１－１７８８０（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｆ２３Ｄ １４／６２－１４／６４

Ｆ２３Ｎ １／０２

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

一端側から他端側に向けて空気を流れさせ、かつこの空気に燃料ガスを混合させるための予混合流路を形成している予混合流路形成部材と、
前記予混合流路に開口する燃料ガス流出口を有し、かつ外部から供給されてきた燃料ガスを前記燃料ガス流出口に導くことが可能な燃料ガス流路と、
を備えている、予混合装置であって、
前記燃料ガス流路として、発熱量が相違する２種類の燃料ガスに対応させるための第１および第２の燃料ガス流路が設けられており、かつこれら第１および第２の燃料ガス流路にそれぞれ設けられている前記燃料ガス流出口は、開口面積が互いに相違する第１および第２の燃料ガス流出口とされていることを特徴とする、予混合装置。

【請求項2】

請求項１に記載の予混合装置であって、
前記予混合流路における空気流に起因して発生する負圧の作用により、前記燃料ガス流出口から前記予混合流路に前記燃料ガスが流出可能とされている、予混合装置。

【請求項3】

請求項１または２に記載の予混合装置であって、
前記第１および第２の燃料ガス流路のうち、前記燃料ガスの供給に利用しない側の燃料ガス流路を、閉塞しておくための閉塞部材を、さらに備えている、予混合装置。

【請求項4】

請求項１ないし３のいずれかに記載の予混合装置であって、
前記燃料ガスを供給してくるガス管を、前記第１および第２の燃料ガス流路にそれぞれ接続可能とする第１および第２の管継手部を備えており、
これら第１および第２の管継手部は、形状およびサイズが同一に揃えられている、予混合装置。

【請求項5】

請求項１ないし４のいずれかに記載の予混合装置であって、
前記第１および第２の燃料ガス流路のそれぞれが、前記２種類の燃料ガスのいずれに対応するかを表示するガス種表示部を、さらに備えている、予混合装置。

【請求項6】

請求項１ないし５のいずれかに記載の予混合装置であって、
前記予混合流路は、ベンチュリ状であり、
前記予混合流路に位置し、かつ空気流れ方向とは交差する方向に延びるブレード部を、さらに備えており、
前記ブレード部の前記空気流れ方向の下流側部分に、前記第１および第２の燃料ガス流出口が設けられている、予混合装置。

【請求項7】

請求項１ないし５のいずれかに記載の予混合装置であって、
前記予混合流路は、ベンチュリ状であり、
前記予混合流路に位置し、かつ空気流れ方向とは交差する方向に延びる第１および第２のブレード部を、さらに備えており、
前記第１および第２のブレード部の前記空気流れ方向の下流側部分に、前記第１および第２の燃料ガス流出口がそれぞれ設けられている、予混合装置。

【請求項8】

請求項１ないし７のいずれかに記載の予混合装置を備えていることを特徴とする、燃焼装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、予混合装置およびこれを備えた燃焼装置に関する。
ここで、「予混合」とは、予混合燃焼（Premixing combustion）を行なうことを目的として、空気と燃料ガスとを混合させ、可燃混合ガスを生成する処理である。

【背景技術】

【0002】

予混合装置の具体例として、特許文献1に記載のものがある。
同文献に記載の予混合装置は、ベンチュリ状の予混合流路を形成している管状部材（予混合流路形成部材）と、この管状部材内に取付けられた縦横２つのブレード部、とを備えている。予混合流路の下流側（終端側）には、ファンの吸気側が接続され、予混合流路には、その上流側（始端側）から空気が流入する。前記ブレード部には、燃料ガス流出口が設けられており、予混合流路に空気が流れて負圧が発生すると、この負圧の作用により、燃料ガス流出口から予混合流路に燃料ガスが流出し、空気と混合される。

【0003】

しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、改善すべき余地があった。

【0004】

すなわち、予混合装置で用いられる燃料ガスの種類は、１種類ではなく、一般的には、ナチュラルガス、およびＬＰガスの２種類の燃料ガスのうちのいずれかが用いられる。ただし、これら２種類の燃料ガスは、成分、発熱量が相違するため、予混合装置を燃料ガスの種類に対応したものとする必要がある。
具体的には、予混合装置には、燃料ガスを予混合流路形成部材の外部から燃料ガス流出口まで導くための燃料ガス流路が設けられているが、この燃料ガス流路は、燃料ガスの種類に対応したものとする必要がある。予混合流路内において発生する負圧が同一である場合、発熱量が多い燃料ガスよりも発熱量が少ない燃料ガスの方が、燃料ガス流出口から予混合流路内への流出量が多くなるように設定しなければならない。

【0005】

これに対し、従来においては、前記したようなことに対して、簡易かつ適切に対応する手段は提案されていない。従来においては、燃料ガスの種類に応じた部品を予め製作して準備しておき、予定されている燃料ガスとは異なる種類の燃料ガスが用いられる場合には、部品交換を行ない、または新たな部品を追加するなどの対応措置を採用しているのが実情である。

【0006】

ところが、そのような手段を採用したのでは、交換用または追加用の部品が必要であり、これらの在庫数も多くなるため、そのコストは高価となる。また、部品管理も面倒なものとなる。さらに、部品を交換した場合、交換された元の部品が不用品とされる虞もある。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0007】

【文献】特表平１１－５０２２７８号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0008】

本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、燃料ガスの種類に対応して部品の交換や新たな部品の追加を行なうことなく、複数種類の燃料ガスに対して適切に対応することが可能な予混合装置、およびこれを備えた燃焼装置を提供することを、
その課題としている。

【課題を解決するための手段】

【0009】

上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。

【0010】

本発明の第１の側面により提供される予混合装置は、一端側から他端側に向けて空気を流れさせ、かつこの空気に燃料ガスを混合させるための予混合流路を形成している予混合流路形成部材と、前記予混合流路に開口する燃料ガス流出口を有し、かつ外部から供給されてきた燃料ガスを前記燃料ガス流出口に導くことが可能な燃料ガス流路と、を備えている、予混合装置であって、前記燃料ガス流路として、発熱量が相違する２種類の燃料ガスに対応させるための第１および第２の燃料ガス流路が設けられ、かつこれら第１および第２の燃料ガス流路にそれぞれ設けられている前記燃料ガス流出口は、開口面積が互いに相違する第１および第２の燃料ガス流出口とされていることを特徴としている。

【0011】

このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、第１および第２の燃料ガス流路のうち、一方を、燃料ガス供給に利用し、かつ他方を燃料ガス供給には不利用とすることにより、第１の燃料ガス流出口から予混合流路に燃料ガスを流出させる状態、および第２の燃料ガス流出口から予混合流路に燃料ガスを流出させる状態のいずれかを、選択的に設定することが可能である。発熱量が多い燃料ガスの場合には、第１および第２の燃料ガス流出口のうち、開口面積が小さい側の燃料ガス流出口から燃料ガスが流出するように設定し、発熱量が少ない燃料ガスの場合には、開口面積が大きい側の燃料ガス流出口から燃料ガスが流出するように設定することにより、予混合流路における燃料ガスと空気との混合比を適切な比率にすることが可能となる。
このようなことから、本発明によれば、燃料ガスの種類が予定されていた燃料ガスの種類とは異なる場合に、従来技術とは異なり、予混合装置の部品交換を行なう必要や、新たな部品を追加して組み込むといった必要をなくすことが可能となり、対応作業が容易となる。また、燃料ガスの種類に応じた部品を予め製作して準備しておく必要もなくなるため、部品管理も容易となり、経済性に優れたものとすることも可能である。

【0012】

本発明において、好ましくは、前記予混合流路における空気流に起因して発生する負圧の作用により、前記燃料ガス流出口から前記予混合流路に前記燃料ガスが流出可能とされている。
本発明は、このような構成の予混合装置に最適である。

【0013】

本発明において、好ましくは、前記第１および第２の燃料ガス流路のうち、前記燃料ガスの供給に利用しない側の燃料ガス流路を、閉塞しておくための閉塞部材を、さらに備えている。

【0014】

このような構成によれば、第１および第２の燃料ガス流路のうち、燃料ガスの供給に利用しない側の燃料ガス流路に外部空気が進入し、この空気が予混合流路に導入されるといったことを適切に防止することができる。

【0015】

本発明において、好ましくは、前記燃料ガスを供給してくるガス管を、前記第１および第２の燃料ガス流路にそれぞれ接続可能とする第１および第２の管継手部を備えており、これら第１および第２の管継手部は、形状およびサイズが同一に揃えられている。

【0016】

このような構成によれば、ガス管を第１および第２の管継手部のいずれに接続するかによって、ガス管のサイズを変更する必要はなく、便利である。また、閉塞部材を、第１および第２の管継手部に取付ける場合においても、第１および第２の管継手部のいずれに取付けるかによって、閉塞部材の形状やサイズを変更する必要はなく、便利である。

【0017】

本発明において、好ましくは、前記第１および第２の燃料ガス流路のそれぞれが、前記２種類の燃料ガスのいずれに対応するかを表示するガス種表示部を、さらに備えている。

【0018】

このような構成によれば、実際に用いられる燃料ガスの種類と、ガス管が接続されて燃料ガス供給に用いられている燃料ガス流路（第１および第２の燃料ガス流路の一方）とが、適切に対応している否かを容易かつ迅速に確認することが可能となる。したがって、予混合装置が燃料ガスの種類に対応していない誤った設定状態で使用されることを防止するのに役立つ。

【0019】

本発明において、好ましくは、前記予混合流路は、ベンチュリ状であり、前記予混合流路に位置し、かつ空気流れ方向とは交差する方向に延びるブレード部を、さらに備えており、前記ブレード部の前記空気流れ方向の下流側部分に、前記第１および第２の燃料ガス流出口が設けられている。

【0020】

このような構成によれば、全体の構成を簡易にしつつ、第１および第２の燃料ガス流出口を合理的な配置に設けることができる。また、予混合流路がベンチュリ状とされているため、空気の流速を速めて、予混合流路内における静圧を低くすることが可能であり、第１および第２の燃料ガス流出口のいずれか一方から燃料ガスを流出させるように作用する負圧を強くすることができる。このため、空気流量が少ない場合であっても、燃料ガス流出を適切に行なわせることが可能となり、ターンダウン比を高めることが可能である。前記ブレード部は、空気流に対して大きな抵抗にならない薄手の構成とすることが可能であり、圧力損失を小さくすることも可能である。

【0021】

本発明において、好ましくは、前記予混合流路は、ベンチュリ状であり、前記予混合流路に位置し、かつ空気流れ方向とは交差する方向に延びる第１および第２のブレード部を、さらに備えており、前記第１および第２のブレード部の前記空気流れ方向の下流側部分に、前記第１および第２の燃料ガス流出口がそれぞれ設けられている。

【0022】

このような構成においても、先に述べたブレード部を具備する構成と同様に、全体の構成を簡易にしつつ、第１および第２の燃料ガス流出口を合理的な配置に設けることが可能である。また、ターンダウン比を高めることも可能である。

【0023】

本発明の第２の側面により提供される燃焼装置は、本発明の第１の側面により提供される予混合装置を備えていることを特徴としている。

【0024】

このような構成によれば、本発明の第１の側面により提供される予混合装置について述べたのと同様な効果が得られる。

【0025】

本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。

【図面の簡単な説明】

【0026】

【図1】本発明に係る予混合装置を備えた燃焼装置、およびこれを利用した給湯装置の一例を示す説明図である。

【図2】図１のII-II断面図である。

【図3】図１のIII-III断面図である。

【図4】図１のIV-IV断面図である。

【図5】図１に示す予混合装置の外観の一例を示す正面図である。

【図6】図１に示す予混合装置の設定を変更した状態を示す断面図である。

【図7】（ａ），（ｂ）は、本発明の他の例を示す要部断面説明図である。

【図8】（ａ），（ｂ）は、本発明の他の例を示す要部断面説明図である。

【発明を実施するための形態】

【0027】

以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。

【0028】

図１は、予混合装置Ａ、この予混合装置Ａにファン１および燃焼プレート２を組み合わせて構成された燃焼装置Ｂ（予混合燃焼装置）、およびこの燃焼装置Ｂに熱交換器１１を組み合わせて構成された給湯装置ＷＨを示している。

【0029】

予混合装置Ａの詳細については、後述するが、この予混合装置Ａを利用して空気と燃料ガスとの混合ガス（可燃混合ガス）が生成され、かつこの混合ガスが、ファン１を経由して燃焼プレート２に向けて吐出される。燃焼プレート２は、複数の通気孔２０を有する多孔状プレートであって、ケース１０内に収容されており、前記混合ガスは、燃焼プレート２を通過し、その下方において燃焼する。このことにより発生する燃焼ガスは、熱交換器１１に作用し、熱交換器１１内を通過する湯水は加熱される。このことにより、温水が生成され、この温水は所望の給湯先に供給される。

【0030】

予混合装置Ａは、予混合流路４０を内部に形成する予混合流路形成部材４、この予混合流路形成部材４の周壁部４１の外面に突設された第１および第２の筒状部５Ａ，５Ｂ、これらの先端に設けられた管継手部５０Ａ，５０Ｂ、一対のブレード部６、各ブレード部６に設けられた第１および第２の燃料ガス流出口７０ａ，７０ｂを有する第１および第２の燃料ガス流路７Ａ，７Ｂ、ならびに閉塞部材８を備えている。

【0031】

予混合流路４０は、ファン１の吸気側に接続されており、ファン１が駆動されると、予混合流路４０内には、その一端側開口部から外部の空気が流入し、他端側に進行する。予混合流路４０は、ベンチュリ状であり、空気流れ方向上流側領域は、空気流れ方向下流側ほど内径が漸次減少するテーパ状領域４０ａとされ、かつこのテーパ状領域４０ａの下流側に隣接する領域は、この予混合流路４０の中で内径が最も小さくされた絞り領域４０ｂである（図３を参照）。この絞り領域４０ｂよりも下流側領域は、下流側ほど内径が漸次拡大するテーパ状領域４０ｃである。
予混合流路形成部材４には、ボルト挿通用孔４８を有するフランジ部４９が設けられている。予混合流路形成部材４は、フランジ部４９を利用してファン１に対する直接または間接的な接続が可能である。

【0032】

一対のブレード部６のそれぞれは、第１および第２の燃料ガス流出口７０ａ，７０ｂから予混合流路４０に燃料ガスを流出させるノズルとしての役割を果たす部位であり、図１および図２に示すように、予混合流路４０内に位置して、空気流れ方向とは交差する方向に延びており、かつその長手方向両端部は、予混合流路形成部材４の周壁部４１に繋がっている。一対のブレード部６は、これらの厚み方向（図２の上下方向）に適当な間隔を隔てて略平行に並んでいる。

【0033】

各ブレード部６の内部には、第１および第２の燃料ガス流路７Ａ，７Ｂの一部をなす第１および第２の空間部７１ａ，７１ｂが、隔壁部６８を介して図１および図２の左右に分離した状態に設けられている。これら第１および第２の空間部７１ａ，７１ｂに、第１および第２の燃料ガス流出口７０ａ，７０ｂが連通している。これら第１の燃料ガス流出口７０ａの開口面積Ｓａは、第２の燃料ガス流出口７０ｂの開口面積Ｓｂよりも大きくされており、第１の燃料ガス流出口７０ａを有する第１の燃料ガス流路７Ａは、ナチュラルガスに適合する。第２の燃料ガス流出口７０ｂを有する第２の燃料ガス流路７Ｂは、ＬＰガスに適合する。ＬＰガスは、ナチュラルガスよりも発熱量が多い。
図５に示すように、予混合流路形成部材４の外面部のうち、第１および第２の燃料ガス流路７Ａ，７Ｂに対応する箇所には、これら第１および第２の燃料ガス流路７Ａ，７ＢがＬＰガス、およびナチュラルガスのいずれに対応するかを表示するガス種表示部３が設けられている。

【0034】

第１および第２の燃料ガス流出口７０ａ，７０ｂは、各ブレード部６のうち、空気流れ方向の下流側部分に設けられている（図３も参照）。一方、予混合流路４０における空気流は、第１および第２の燃料ガス流出口７０ａ，７０ｂの付近に負圧を発生させる。この負圧の作用により、第１および第２の燃料ガス流出口７０ａ，７０ｂから予混合流路４０に燃料ガスが流出し、空気と燃料ガスとの混合が図られる。
なお、ブレード部６の数は２つに限らず、１つのみ、あるいは３以上設けられた構成とすることもできる。

【0035】

第１および第２の筒状部５Ａ，５Ｂは、予混合流路形成部材４の外面部に突設されており、これらの内側領域は、ブレード部６内の第１および第２の空間部７１ａ，７１ｂと連通している。第１の燃料ガス流路７Ａは、第１の筒状部５Ａの内側領域および第１の空間部７１ａが互いに繋がった燃料ガス流路であり、第２の燃料ガス流路７Ｂは、第２の筒状部５Ｂの内側領域および第２の空間部７１ｂが互いに繋がった燃料ガス流路である。

【0036】

管継手部５０Ａ，５０Ｂは、第１および第２の筒状部５Ａ，５Ｂの先端部であって、配管接続用のフランジ形成部である。これら管継手部５０Ａ，５０Ｂのそれぞれの形状およびサイズは、同一に揃えられている。図１および図６に示すように、管継手部５０Ａ，５０Ｂには、燃料ガスを供給してくるガス管９を、継手配管９０を介して接続可能であり、また閉塞部材８も接続可能である。ガス管９は、金属製管体にかぎらず、金属製以外のホースも含む。閉塞部材８は、図１に示すように、第２の燃料ガス流路７Ｂを閉塞し、または図６に示すように、第１の燃料ガス流路７Ａを閉塞可能な部材である。

【0037】

継手配管９０や閉塞部材８の接続には、クイックファスナと称される公知の係止部材９８が用いられている。この係止部材９８は、図４に示すような断面形状を有するバネ性部材であり、管継手部５０Ａ，５０Ｂから継手配管９０のフランジ部９０ｃや、閉塞部材８のフランジ部８ｃが離反しないように、これらに係止可能である。ただし、このような係止部材９８に代えて、継手配管９０や閉塞部材８を、ビスなどの締結手段を用いて管継手部５０Ａ，５０Ｂに接続してもよい。

【0038】

次に、前記した予混合装置Ａの作用について説明する。

【0039】

まず、予混合装置Ａが使用される環境として、燃料ガスが、たとえばナチュラルガスである場合、図１および図２に示したように、第１の燃料ガス流路７Ａ側の管継手部５０Ａに、継手配管９０を介してガス管９を接続する。第２の燃料ガス流路７Ｂ側の管継手部５０Ｂには、閉塞部材８を接続する。このような設定状態においては、ガス管９から供給されたナチュラルガスが、第１の燃料ガス流出口７０ａから予混合流路４０に流出する。ここで、ナチュラルガスは、既述したように、ＬＰガスよりも発熱量が少ないため、ＬＰガスよりも予混合流路４０への流出量を多くする必要があるが、第１の燃料ガス流出口７０ａは、その開口面積Ｓａが大きめとされている。したがって、ナチュラルガスの流出量を多くし、空気との混合比を適切なものとすることが可能である。

【0040】

前記とは異なり、燃料ガスが、たとえばＬＰガスである場合には、図６に示すように、ガス管９および閉塞部材８の接続態様を前記とは逆とする。具体的には、第１の燃料ガス流路７Ａ側の管継手部５０Ａに、閉塞部材８を接続し、第２の燃料ガス流路７Ｂ側の管継手部５０Ｂに、継手配管９０を介してガス管９を接続する。このような設定状態において
は、ガス管９から供給されたＬＰガスが、第２の燃料ガス流出口７０ｂから予混合流路４０に流出する。ＬＰガスは、ナチュラルガスよりも発熱量が多いものの、第２の燃料ガス流出口７０ｂの開口面積Ｓｂは、小さめである。したがって、ＬＰガスの流出量を少なくし、空気との混合比を適切なものとすることが可能である。

【0041】

このように、本実施形態によれば、燃料ガスが、ナチュラルガスおよびＬＰガスのいずれであっても、部品交換を行なったり、あるいは新たな部品を追加して取付ける必要はない。ガス管９および閉塞部材８のそれぞれの接続先を変更するだけで、前記２種類の燃料ガスに適切に対応することが可能である。したがって、燃料ガスが２種類存在することに対応するための部品の在庫数が多くなるといった不具合はなく、部品の在庫コストを低減することができる。部品管理も容易となる。

【0042】

また、本実施形態によれば、ガス種表示部３を見れば、第１および第２の燃料ガス流路７Ａ，７Ｂのいずれの側がナチュラルガスやＬＰガスに対応するのかが容易に判別できる。したがって、ガス管９や閉塞部材８を誤った状態に接続することを防止する効果も得られる。

【0043】

その他、本実施形態によれば、予混合流路４０内に、第１および第２の燃料ガス流出口７０ａ，７０ｂが設けられたブレード部６を配設し、かつこのブレード部６の内側に、第１および第２の燃料ガス流路７Ａ，７Ｂを設けているため、全体の構成を簡素にすることができる。また、予混合流路４０は、ベンチュリ状であるため、この予混合流路４０内における空気の流速を速めて、予混合流路４０内の静圧を低くし、第１および第２の燃料ガス流出口７０ａ，７０ｂのいずれか一方から燃料ガスを流出させるように作用する負圧を強くすることができる。このため、空気流量が少ない場合であっても、燃料ガス流出を適切に行なわせることが可能となり、ターンダウン比を高めることが可能である。

【0044】

図７および図８は、本発明の他の実施形態を示している。これらの図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付すこととし、重複説明は省略する。

【0045】

図７に示す予混合装置Ａａにおいては、予混合流路４０内に設けられるブレード部として、第１および第２のブレード部６Ａ，６Ｂが設けられている。第１のブレード部６Ａには、第１の燃料ガス流路７Ａを構成する第１の燃料ガス流出口７０ａ、および第１の空間部７１ａが形成されている。第２のブレード部６Ｂには、第２の燃料ガス流路７Ｂを構成する第２の燃料ガス流出口７０ｂ、および第２の空間部７１ｂが形成されている。

【0046】

本実施形態においては、燃料ガスがナチュラルガスである場合には、図７（ａ）に示すように、第１の燃料ガス流路７Ａ側の管継手部５０Ａに、継手配管９０を介してガス管（不図示）を接続し、第２の燃料ガス流路７Ｂ側の管継手部５０Ｂに、閉塞部材８を接続する。燃料ガスがＬＰガスである場合には、図７（ｂ）示すように、同図（ａ）とは反対の接続態様とする。このことにより、ナチュラルガスである場合には、このナチュラルガスを大きめの開口面積である第１の燃料ガス流出口７０ａから予混合流路４０に流出させることができる。また、ＬＰガスである場合には、このＬＰガスを小さめの開口面積である第２の燃料ガス流出口７０ｂから予混合流路４０に流出させることができる。したがって、前記実施形態と同様な作用を得ることができる。

【0047】

図８に示す予混合装置Ａｂにおいては、第１および第２のブレード部６Ａ，６Ｂの内部に設けられている第１および第２の空間部７１ａ，７１ｂのそれぞれの一端開口部７１ａ’，７１ｂ’が、いずれも予混合流路形成部材４の周壁部４１の同一側の端部（図８の右側の端部）に設けられている。第１および第２の燃料ガス流路７Ａ，７Ｂは、前記した一
端開口部７１ａ’，７１ｂ’を介して、第１および第２の空間部７１ａ，７１ｂと、第１および第２の筒状部５Ａ，５Ｂの内側領域とが繋がった構成である。

【0048】

本実施形態においても、図８（ａ），（ｂ）に示すように、燃料ガスがナチュラルガスである場合と、ＬＰガスである場合とで、第１および第２の燃料ガス流路７Ａ，７Ｂへのガス管９（図８では、継手配管９０を省略）および閉塞部材８の接続態様を変更し、燃料ガスの種類に適切に対応することが可能である。したがって、本発明が意図する作用を得ることができる。

【0049】

本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る予混合装置、および燃焼装置の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。

【0050】

閉塞部材は、第１および第２の燃料ガス流路のうち、利用しない側を閉塞する部材であるため、燃料ガス流路への異物の進入などを確実に防止し、安全対策を徹底する観点からすると、この閉塞部材を用いることが望まれる。閉塞部材を用いる場合、この閉塞部材は、いわゆる専用品でなくてもよく、たとえばキャップ状の部材（汎用品）などであってもよい。

【0051】

上述の実施形態においては、予混合流路にブレード部を設け、かつこのブレード部に、第１および第２の燃料ガス流出口を設けているが、ブレード部を用いることなく、第１および第２の燃料ガス流出口を設けた構成（たとえば、予混合流路形成部材の周壁部に設けた構成）とすることも可能である。

【0052】

燃料ガスは、ナチュラルガスやＬＰガスに限定されず、他の種類の燃料ガスの場合にも本発明を適用対象とすることができる。
本発明に係る燃焼装置は、給湯装置用に限定されず、たとえば暖房用や焼却用などの他の用途の燃焼装置とすることもできる。また、燃焼ガスを下向きに進行させるタイプに限らず、燃料ガスをたとえば上向きに進行させるタイプとすることもできる。

【符号の説明】

【0053】

Ａ，Ａａ，Ａｂ 予混合装置
Ｂ 燃焼装置
３ ガス種表示部
４ 予混合流路形成部材
４０ 予混合流路
４１ 周壁部（予混合流路の）
５Ａ，５Ｂ 第１および第２の筒状部
５０Ａ，５０Ｂ 管継手部
７Ａ，７Ｂ 第１および第２の燃料ガス流路
７０ａ，７０ｂ 第１および第２の燃料ガス流出口
７１ａ，７１ｂ 第１および第２の空間部
８ 閉塞部材
９ ガス管

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】