(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-07
(45)【発行日】2024-08-16
(54)【発明の名称】財布
(51)【国際特許分類】
A45C 1/02 20060101AFI20240808BHJP
【FI】
A45C1/02 C
(21)【出願番号】P 2024092841
(22)【出願日】2024-06-07
【審査請求日】2024-06-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】718004758
【氏名又は名称】北里 良一郎
(72)【発明者】
【氏名】北里 良一郎
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-078995(JP,A)
【文献】特開2011-110296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
財布の外皮が上部外皮材と下部外皮材で構成され、該外皮材の間に収納パーツが挟まれた、縦に開く構造の財布であり、
該外皮材は、上下の外皮材が直接重ね合わさる端部を直線状に固定しており、
該収納パーツの表面は、硬貨の最小径より1ミリ小さい深さと10ミリ以内の厚さで外皮材に近似の幅に作られた硬貨ポケットと、該硬貨ポケットの奥壁を該硬貨ポケット開口部の先に延長した硬貨受けと、財布を縦に開いたとき該硬貨ポケットの下に縦列し該硬貨ポケットと同じ厚さと幅であるカードポケットとで構成され、
該収納パーツの裏面が外皮材に接する向きでの該硬貨ポケットの開口部と外皮材合わせ目を近接させ、
該外皮材を直角に開いたときに、硬貨受けの外皮材の合わせ目にかかっている部分の中央と、上部外皮材と下部外皮材との距離が、それぞれ3ミリから5ミリになる位置で、
該収納パーツの片側端部と最下端を外皮材に直線状に固定した財布。
【請求項2】
請求項1のカードポケットの硬貨ポケット側が開口し、かつ該開口部に連続して上部外皮材側の面が斜めに開口している請求項1の財布
【請求項3】
上部外皮材の合わせ目の反対側に、一つまたは複数のカギホックを設け、収納パーツの後端部かつ上部外皮材側に該カギホックを受けるスリットを設けた請求項1及び請求項2に記載の財布
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、財布に関わる。
【背景技術】
【0002】
日常生活で財布を使用する際、一般的な深さの硬貨ポケットの財布で特定の硬貨を取り出すには硬貨ポケットをのぞき込み、種々の硬貨からより分ける作業を要する。これを改善した特許文献1は、硬貨一つ分程度の深さで、奥行きが小さい横長の硬貨ポケットとすることにより、硬貨の視認性を向上し特定の硬貨をとり出しやすくするとともに、該硬貨ポケットとカード収納部分が重ならない配置にして財布のサイズを小さく厚さを薄くしている。
【0003】
しかし特許文献1では硬貨ポケットの開口部にある蓋状のかぶせが邪魔になり、深型硬貨ポケットでは頻繁に行われる複数の硬貨の流し入れができず、慎重に硬貨をつまみ入れなければならない不便さがあり、これを改善した特許文献2は硬貨ポケット開口部に大きく開く口金を設け硬貨を入れやすくしているが、硬貨の出し入れに口金を開かなければならない煩雑さが残る。また、特許文献3は硬貨ポケットの開口部に蓋や金具がなく財布を開いた時の硬貨の視認性は極めて良いが、硬貨をポケットに流し入れると手前のカード収納部に入ってしまうため特許文献1と同様硬貨をつまみ入れなければならない不便さがある。
【0004】
また、特許文献1、特許文献2,特許文献3は使用中に財布を意図せず傾けたときや財布が落としたときの硬貨が飛び出し散乱する不都合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【0006】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
財布を開くと同時に収納した硬貨、紙幣、カードを識別でき、特定の硬貨の取り出しが容易で、複数の硬貨をまとめて流し入れることができる硬貨ポケットを持ち、使用中に該ポケットの開口が意図せず下向きになるときや財布本体が落下したときに、自動的に収納した硬貨の飛び出しを防止する構造の財布を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
収納パーツとその上下を覆う外皮材で構成する縦開きの財布であって、収納パーツは蓋や金具のない開口を持つ浅型硬貨ポケットと該ポケットの奥壁が開口の上部に延長した硬貨受け、上下の外皮材が直接重ね合わさる端部を縫製、接着、金具により直線状に固定し、その合わせ目に収納パーツの硬貨ポケットの開口部を近接させた位置で 、該収納パーツを外皮材の間に挟み固定した構造の財布。
【発明の効果】
【0010】
本発明の財布は開いた瞬間から硬貨ポケットに収納された硬貨一つ一つを視認でき、特定の硬貨を容易に取り出すことができる。
【0011】
本発明の財布は、複数の硬貨を、硬貨ポケットの収納部奥壁を延長させた硬貨受けで流し落として容易に収納することができる。
【0012】
本発明の財布は、使用中の意図せぬ方向への硬貨ポケットの傾斜や、財布本体の落下の際に、外皮が硬貨ポケットからの硬貨の飛び出しを防止する。
【0013】
本発明の財布は、使用に際して収納したお金とカードを直接上部から出し入れでき、持ち替えや角度を変えることなく短時間でスムーズな支払作業を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の財布の外観と構成説明図
図1ー1 本発明の財布の外観斜視図
図1ー2 本発明の財布の使用時の外観斜視図
図1ー3 本発明の財布の構成
【
図2】本発明の部材の説明図
図2ー1 本発明の部材の詳細説明図
図2ー2 本発明の硬貨受けの機能説明図
【
図3】本発明の外皮部材と収納パーツの関係説明図
図3ー1 外皮部材と収納パーツの位置関係を示すaーa’断面図
図3ー2 本発明の財布を閉じた状態に維持した際のaーa’断面図
図3ー3 本発明の財布の硬貨飛び出し防止を説明するaーa’断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の財布は外皮(
図1ー1の1)の間に収納パーツ(
図1ー1の2)を挟み込み縦に開いて使う(
図1ー2)構造であり、外皮は、上部(
図1ー3の1ー1)と下部(
図1ー3の1ー2)の2枚の独立した外皮材を重ね合わせても(
図1ー1)、一枚の長い外皮材を折り曲げても(
図1ー1´)よく、該外皮材は一層でも多層でもよく、多層の場合には各層の素材が同一でも異なる素材でもよく、層の一部が曲げ強度を補強する芯材であっても良い。該外皮材は縁端を支点にして水平に持ち上げた際に、少なくとも持ち上げた支点の直ぐ先から垂れ下がらない程度の曲げ強度を持つ。なお本申請の図面は外皮材が2枚に分かれていて各外皮材が複層である例である。
【0016】
上部外皮材と下部外皮材が独立している場合(
図1ー1)では上下の外皮材を重ね合わせた一端部(
図1ー1の3)を、また一枚の長い外皮材を折り返した場合(
図1ー1′)ではその合わせ目に平行で近接した位置(
図1ー1′の3)を、縫製・接着・金物にて直線状に固定する。これにより、外皮材の曲げ強度が常時外皮を閉じ合わせる方向に働く構造を生じる。
【0017】
上部外皮材と下部外皮材には、収納パーツを挟んだときに外に広がらないように、前記外皮材の合わせ目に近接した部分(
図1ー3の1ー4)に収納パーツ側に凹となる反りを設けてもよい。
【0018】
収納パーツ(
図1ー1の2)は、硬貨ポケット(
図1ー3の2ー1)と硬貨受け(
図1ー3の2ー2)とカードポケット(
図1ー3の2ー3)とで構成される。
【0019】
該硬貨ポケットはその深さ(
図1ー3のLh)硬貨の最小径より1ミリ程度短く、厚さ(
図1ー3のLd)は10ミリ以内とし、幅(
図1ー3のLw)は該外皮材の幅に近似の横長の形状をしており、該硬貨ポケットの奥壁を該硬貨ポケットの開口部の先に延長した複数の硬貨を載せることができる広さもった硬貨受け(
図2ー2の2ー2)になっており、該硬貨受けは紙幣の識別のため上部の片側を隅切りしても良い。
【0020】
本発明の財布を縦に開いたときに該硬貨ポケットの下に縦列する位置に、該硬貨ポケットと同じ厚さと幅を持ち、該硬貨ポケット側の開口と、上部外皮材側の面に斜めの開口を持つカードポケット(
図2ー1の2ー3)を設ける。
【0021】
該収納パーツの裏側
が外皮材に接する向きで、硬貨ポケットの開口部を外皮材の合わせ目に近接させ、該外皮材を直角に開いたときに、硬貨受けの合わせ目(
図2-1の1-3)に
掛かっている部分の中央と、上部外皮材と下部外皮材との距離(
図3-1のdおよびd’)がそれぞれ3ミリから5ミリとなる位置で、
図2-1の3に示すように、収納パーツの
長手方向の片側端部
を、該合わせ目をまたいで外皮材に縫製・接着・金具により直線状に固定し、また、該収納パーツの短手方向の下部外皮材に接する端部を、外皮材に縫製・接着・金具により直線状に固定する。
【0022】
該外皮と該収納パーツとの前記の固定
の結果、図3-1で示すように上下外皮材の角度が直角以下では、上下外皮材につながった硬貨受けが硬貨ポケットの開口部の先で硬貨の移動を遮る構造になり、それ以上に角度を大きくする力が加わると、硬貨受けが引き延ばされて生じた引張応力が外皮材の曲げ強度に加わって、上下外皮材を合わせ閉じる力を補強する
。本発明の財布は、図1-1に示すように、通常、外皮材の曲げ強度によって上下外皮材が鋭角の状態に閉じており、使用の際は図1-2に示すように上下外皮材を指で大きく広げて鈍角の状態になるが、図3-3に示すように指が外れて硬貨ポケットの開口部が下を向
き硬貨が自重で外皮材を押し下げる際や、落下
により上下外皮材を広げていた力がなくなった際には、外皮材の曲げ強度による上下外皮材を合わせ閉じる力に該引張応力が加わって、より強く、より素早く、上下外皮材を硬貨ポケットの開口部の先で硬貨の移動を遮る角度に戻して硬貨の飛び出しを防止する機能を持つ。
【0023】
カードポケットは、硬貨ポケットの底部に向いた面と上部外皮材側の面が連続して開口しているので、硬貨を硬貨ポケットに流し入れる際に該硬貨ポケットを越えて滑り落ちても、該カードポケットが受け止める構造である。
【0024】
上部外皮材(
図3の1)の外皮材の合わせ目とは反対側の先端部にカギホック(
図3の4)を取り付け、カードポケット後端の上部外皮材側に設けたホック受けスリット(
図3の5)に掛けることにより財布本体を閉じた状態(
図3ー2)で維持する。
【0025】
上部外皮材と収納パーツの固定は片側の側面と後端だけなので、財布の上方と固定されていない側方から、外皮材と収納パーツの間に紙幣を収納する(
図1ー2の6ー1)。
【0026】
カードポケットは収納したカードの上部をつまんで手前上方に引くとカードポケットがたわみ、上からカードを押さえていた硬貨ポケットを避けて容易に引き出すことができ、カードをカードポケットに入れると該硬貨ポケットの底部がカードの上部を抑えカードの飛び出しを防止する
【0027】
本発明の財布の使用に際しては
図1ー2に示すように、開いた手の指で上部外皮材を開き留めておけば、そのままの状態で紙幣や硬貨、カードをすべて、同一方向から直接出し入れできるので、出し入れするものによって財布を持ち替えたり角度を変える手間がない。
【産業上の利用可能性】
【0028】
財布
【符号の説明】
【0029】
1 外皮
1ー1 上部外皮材
1ー2 下部外皮材
1ー3 外皮材の合わせ部分
1ー4 外皮材の反り部分
2 収納パーツ
2ー1 硬貨ポケット
2ー2 硬貨受け
2ー3 カードポケット
2ー4 紙幣収納部
3 固定部分(縫製・接着・金具固定)
4 カギホック
5 ホック受けスリット
6ー1 紙幣
6ー2 硬貨
6ー3 カード
a―a’ 断面線
d、d’ 外皮材合わせ部分からの硬貨受けまでの距離
【要約】
【課題】
財布を開くと同時に収納した硬貨、紙幣、カードを識別でき、特定の硬貨の取り出しが容易であり、複数の硬貨をまとめて流し入れることができる硬貨ポケットを持ち、使用中に該ポケットの開口が意図せず下向きになるときや財布本体が落下したときに、収納した硬貨の飛び出しを防止する構造の財布を提供する。
【解決手段】
収納パーツとその上下を覆う外皮材で構成する縦開きの財布であって、該収納パーツは蓋や金具のない開口を持つ浅型の硬貨ポケットと該ポケットの奥壁を開口部の先に延長した硬貨受けとを含んでおり、上下の外皮材が直接重ね合わさる端部を直線状に固定し、外皮材の該合わせ目に該収納パーツの硬貨ポケットの開口部を近接させた位置で該収納パーツを該外皮材の間に挟み込んだ構造の財布。
【選択図】
図1