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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-07
(45)【発行日】2024-08-16
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/16 20060101AFI20240808BHJP
   H02G 3/14 20060101ALI20240808BHJP
   H05K 7/06 20060101ALI20240808BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240808BHJP
   H05K 5/00 20060101ALN20240808BHJP
   B60R 16/02 20060101ALN20240808BHJP
【FI】
H02G3/16
H02G3/14
H05K7/06 C
H05K7/20 G
H05K5/00 C
B60R16/02 610A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021066190
(22)【出願日】2021-04-09
(65)【公開番号】P2022161402
(43)【公開日】2022-10-21
【審査請求日】2023-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】勝瀬 俊介
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-7424(JP,A)
【文献】特開2008-125317(JP,A)
【文献】特開2018-190914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/16
H02G 3/14
H05K 7/06
H05K 7/20
H05K 5/00
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品収容室を有するベース部材と、
前記ベース部材とは別体の部材であって、前記ベース部材に組み付けられる側壁部材とを備え、
前記側壁部材は、バスバー収容室が形成された側壁本体と、前記バスバー収容室に挿入されるバスバーとを有し、
前記ベース部材は、前記バスバーが前記バスバー収容室外へ離脱することを規制する離脱規制部を有している電気接続箱。
【請求項2】
前記側壁本体は、前記バスバー収容室に前記バスバーを挿入するためのバスバー取付口を有し、
前記離脱規制部が、前記バスバー取付口を覆うように配置されている請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記離脱規制部には、前記バスバー収容室内と前記側壁本体の外部とを連通させる連通孔が形成されている請求項2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記バスバーの前端部には、前記ベース部材に設けた接続部材に固定される接続板部が形成され、
前記離脱規制部は、前記バスバーの後端部のみを支持するように配置され、
前記バスバーにおける前後方向中央部は、前記バスバー取付口において前記側壁本体の外部へ露出している請求項2又は請求項3に記載の電気接続箱。
【請求項5】
前記バスバー収容室は、前記側壁本体の外側面を構成する外壁部と、前記外壁部と前記ベース部材との間に位置する内壁部とによって区画され、
前記離脱規制部は、前記バスバー取付口において前記内壁部に対して外側から引っ掛かる引掛部を有している請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気接続箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、樹脂製の電子部品ブロックにバスバーを取り付けた電気接続箱が開示されている。バスバーを電子部品ブロックに取り付ける際には、面押し治具を用い、バスバーを電気部品ブロックのバスバー組み付け部に押し込む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-080587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の電気接続箱は、面押し治具を用いなければならない程、バスバーをバスバー組み付け部に対して強く押し付けるため、作業性が悪い。作業性向上のためには、バスバーを組み付けるときの抵抗を低減すればよいのであるが、抵抗を低減すると、バスバーが外れ易くなるため、組付けの信頼性が低下する。つまり、従来の電気接続箱のバスバー組付け構造において、組付け作業性の向上と組付けの信頼性は、トレードオフの関係にあるため、両立が難しい。
【0005】
本開示の電気接続箱は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、バスバーの組付け作業性の向上と組付けの信頼性を両立させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電気接続箱は、
部品収容室を有するベース部材と、
前記ベース部材とは別体の部材であって、前記ベース部材に組み付けられる側壁部材とを備え、
前記側壁部材は、バスバー収容室が形成された側壁本体と、前記バスバー収容室に挿入されるバスバーとを有し、
前記ベース部材は、前記バスバーが前記バスバー収容室外へ離脱することを規制する離脱規制部を有している。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、バスバーの組付け作業性の向上と組付けの信頼性を両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施例1の電気接続箱の斜視図である。
図2図2は、ベース部材の斜視図である。
図3図3は、側壁部材を側壁本体とバスバーとに分離した状態をあらわす斜視図である。
図4図4は、電気接続箱の底面図である。
図5図5は、電気接続箱の正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
本開示の電気接続箱は、
(1)部品収容室を有するベース部材と、前記ベース部材とは別体の部材であって、前記ベース部材に組み付けられる側壁部材とを備え、前記側壁部材は、バスバー収容室が形成された側壁本体と、前記バスバー収容室に挿入されるバスバーとを有し、前記ベース部材は、前記バスバーが前記バスバー収容室外へ離脱することを規制する離脱規制部を有している。本開示の電気接続箱によれば、バスバー収容室にバスバーを挿入するときの抵抗を低減しても、バスバーは、離脱規制部によってバスバー収容室内に収容された状態に保持される。したがって、本開示によれば、バスバーの組付け作業性の向上と組付けの信頼性を両立させることができる。
【0010】
(2)前記側壁本体は、前記バスバー収容室に前記バスバーを挿入するためのバスバー取付口を有し、前記離脱規制部が、前記バスバー取付口を覆うように配置されていることが好ましい。この構成によれば、側壁本体に離脱規制部を嵌合させるための部位を形成する必要がないので、離脱規制部を設けたことに起因して側壁本体の形状が複雑化することを、回避できる。
【0011】
(3)(2)において、前記離脱規制部には、前記バスバー収容室内と前記側壁本体の外部とを連通させる連通孔が形成されていることが好ましい。この構成によれば、バスバーで発生した熱を、連通孔を通してバスバー収容室の外へ放出することができる。
【0012】
(4)(2)又は(3)において、前記バスバーの前端部には、前記ベース部材に設けた接続部材に固定される接続板部が形成され、前記離脱規制部は、前記バスバーの後端部のみを支持するように配置され、前記バスバーにおける前後方向中央部は、前記バスバー取付口において前記側壁本体の外部へ露出していることが好ましい。この構成によれば、バスバーを前後2カ所で安定して保持できるとともに、バスバーの熱を側壁本体外へ効率的に放出することができる。
【0013】
(5)(2)~(4)において、前記バスバー収容室は、前記側壁本体の外側面を構成する外壁部と、前記外壁部と前記ベース部材との間に位置する内壁部とによって区画され、前記離脱規制部は、前記バスバー取付口において前記内壁部に対して外側から引っ掛かる引掛部を有していることが好ましい。この構成によれば、引掛部が内壁部に引っ掛かることによって、側壁部材がベース部材から離隔することを防止できる。
【0014】
[本開示の実施形態の詳細]
[実施例1]
本開示の電気接続箱を具体化した実施例1を、図1図5を参照して説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。本実施例1において、電気接続箱Aの前後の方向については、図1,2における斜め左下方、図3における斜め左上方、及び図4における左方を前方と定義する。上下の方向については、図1~3,5にあらわれる向きを、そのまま上方、下方と定義する。左右の方向については、図4にあらわれる向きを、そのまま左方、右方と定義する。
【0015】
<電気接続箱Aの概要>
図1,4に示すように、本実施例1の電気接続箱Aは、1つのベース部材10と、ベース部材10とは別体の部材である左右対称な一対の側壁部材11を備えている。一対の側壁部材11は、ベース部材10に対して左右から挟むように組み付けられている。電気接続箱Aは、ベース部材10と一対の側壁部材11とによって区画された部品収容室12を有している。部品収容室12は、電気接続箱Aの上面に開放されている。部品収容室12内には、ヒュージブルリンク等の複数の電気部品13が収容されるようになっている。
【0016】
ベース部材10の前端部には左右一対の前側嵌合部14が形成され、ベース部材10の後端部には左右一対の後側嵌合部15が形成されている。図3に示すように、側壁部材11の前端部には左右一対の前側嵌込み部16が形成され、側壁部材11の後端部には左右一対の後側嵌込み部17が形成されている。前側嵌合部14と前側嵌込み部16との嵌合、及び後側嵌合部15と後側嵌込み部17との嵌合によって、ベース部材10と側壁部材11が組付け状態に保持されている。
【0017】
<ベース部材10>
ベース部材10は、合成樹脂製の保持部材20と、保持部材20とは別体の部品である合成樹脂製の端子台30と、左右対称な一対の接続部材としてのプレート36とを備えている。図2に示すように、保持部材20は、長辺を前後方向に向けた直方形をなす本体部21と、本体部21の前端縁から上方へ延出した前板部22と、本体部21の後端縁から上方へ延出した後板部23とを有する単一部品である。本体部21の上面と、前板部22の後面と、後板部23の前面とで囲まれた空間は、部品収容室12として機能する。ベース部材10に側壁部材11を組み付けいない状態では、部品収容室12が、ベース部材10の上面及びベース部材10の左右両側面においてベース部材10の外部へ開放されている。
【0018】
後板部23の左右両端部には、左右対称な一対の後側嵌合部15が形成されている。後側嵌合部15には、上下方向に細長く、前方及び上方に開放されたガイド溝24が形成されている。後側嵌合部15には、ガイド溝24内と、後側嵌合部15の後面とを連通させる係止孔25が形成されている。
【0019】
図2,4,5に示すように、本体部21には、左右対称な一対の離脱規制部26が形成されている。離脱規制部26は、本体部21の外側面の下端縁から左右方向外方へ突出している。前後方向における離脱規制部26の形成領域は、本体部21の後端部のみである。離脱規制部26の突出端縁には、上方へ突出するリブ状の引掛部27が形成されている。離脱規制部26のうち本体部21と引掛部27との間には、前後方向に間隔を空けた複数の連通孔28が形成されている。連通孔28は、離脱規制部26を上下方向に貫通した形態である。
【0020】
端子台30は、板厚方向を前後方向に向けた支持板部31(図4参照)と、板厚方向を上下方向に向けた受け板部32とを有する単一部品である。端子台30の左右両端部には、左右対称な一対の前側嵌合部14が形成されている。前側嵌合部14の後面には、上方及び後方へ開放された上下方向の溝部33(図2参照)が形成されている。受け板部32には、上下に貫通するボルト孔34(図4参照)が形成されている。端子台30は、前板部22の前面を覆う状態で、保持部材20に組み付けられている。前板部22と支持板部31との間には、左右一対の収容空間35(図2参照)が形成されている。
【0021】
図2に示すように、プレート36は、互いに直角をなして連なる板状給電部37と板状取付部38を有する単一部品である。板状給電部37は、板厚方向を前後方向に向けた平板状をなす。板状取付部38は、板厚方向を上下方向に向けた平板状をなし、板状給電部37の上端縁から前方へ延出している。板状取付部38には取付孔39が形成されている。プレート36は、板状給電部37を収容空間35内に収容し、板状取付部38を受け板部32に載置させた状態でベース部材10に組み付けられている。板状給電部37には、バッテリー(図示省略)に接続された給電端子(図示省略)が接続されるようになっている。
【0022】
<側壁部材11>
側壁部材11は、合成樹脂製の側壁本体40と、金属製のバスバー55とを組み付けて構成されている。図1,3に示すように、側壁本体40は、平面視形状が前後方向に細長く、壁厚方向を左右方向に向けた単一部品である。図3~5に示すように、側壁本体40は、壁厚方向を左右方向に向けた外壁部41と、壁厚方向を左右方向に向けた内壁部42とを有する。側壁本体40の前端縁部のうち下端側の部位は、前側嵌込み部16として機能する。側壁本体40の後端縁部のうち下端側の部位は、後側嵌込み部17として機能する。側壁本体40の後端面には、突起状の係止突起(図示省略)が形成されている。
【0023】
側壁本体40の内部には、外壁部41と内壁部42とに挟まれた1つのバスバー収容室44が形成されている。バスバー収容室44は、前後寸法及び上下寸法に対して左右寸法の小さい幅狭の空間である。バスバー収容室44の下端は、側壁本体40の下面において、バスバー取付口45として前後方向のスリット状に開口している。バスバー取付口45は、バスバー55をバスバー収容室44に取り付けるための開口である。
【0024】
図1に示すように、側壁本体40の上端部には、幅広の拡幅部46が形成されている。拡幅部46内には、側壁本体40の上面に開口する複数のヒューズ収容室47が、前後方向に一列に並ぶように配置されている。複数のヒューズ収容室47の下端部は、バスバー収容室44と連通している。ヒューズ収容室47には、側壁部材11の上方からヒューズ48が取り付けられる。ヒューズ48の一方のリード49は、バスバー55のタブ58に接続される。図3に示すように、拡幅部46の下端側領域内には、側壁本体40の下面に開口する複数のキャビティ50が、前後方向に一列に並ぶように配置されている。複数のキャビティ50の上端は、複数のヒューズ収容室47の下端に対して個別に連通している。各キャビティ50内には、複数の電線51に個別に接続されたハーネス端子52が収容されている。ハーネス端子52はヒューズ48の他方のリード49に接続されるようになっている。
【0025】
バスバー55は、所定形状に打ち抜いた金属製の平板に、曲げ加工を施して成形された単一部品である。図3に示すように、バスバー55は、板厚方向を左右方向に向けた1枚の平板状の基板部56と、1枚の平板状の放熱板部57と、複数のタブ58と、1つの平板状の接続板部59とを有する。バスバー55を左右方向から見た側面視において、基板部56と放熱板部57は長方形をなす。放熱板部57は、基板部56の内面に重なるように配置されている。基板部56の下端縁と放熱板部57の下端縁は、U字形断面の屈曲部60を介して連なっている。複数のタブ58は、基板部56の上端縁から上方へ突出し、前後方向に間隔を空けて並ぶように配置されている。接続板部59は、基板部56の前端部の支持部61の上端縁から、水平方向内側へ突出している。接続板部59には、上下方向に貫通する貫通孔62が形成されている。
【0026】
バスバー55は、側壁本体40に対して下から組み付けられている。具体的には、基板部56と放熱板部57とタブ58を、バスバー取付口45からバスバー収容室44内に収容する。接続板部59は、内壁部42の切欠部63から側壁本体40の外部へ突出させる。接続板部59は、左右方向において側壁本体40よりも内側、即ちベース部材10側へ突出している。図5に示すように、バスバー55の下端縁の屈曲部60は、バスバー取付口45の近傍に位置する。つまり、屈曲部60は、バスバー取付口45から容易に目視できる位置にある。
【0027】
<電気接続箱Aの組み付け手順>
電気接続箱Aを組み付ける際には、保持部材20と端子台30を分離した状態で、プレート36の板状取付部38を受け板部32に載置し、端子台30の後面に板状給電部37を重ねる。この状態で、端子台30とプレート36を組み付けると、収容空間35が構成されるとともに、収容空間35内にプレート36の板状給電部が収容され、ベース部材10の組付けが完了する。
【0028】
ベース部材10を組み付けた後、電気部品13をベース部材10の上方から部品収容室12に収容するようにして保持部材20に取り付ける。部品収容室12は、ベース部材10の左右両側方へ開放されているので、作業者が電気部品13を左右から摘むようにすれば、電気部品13を摘んでいる指がベース部材10と干渉することはない。電気部品13を自動機で取り付ける場合も、自動機のフィンガーで電気部品13を左右から挟むように保持すれば、フィンガーがベース部材10と干渉することはない。
【0029】
次に、ベース部材10に一対の側壁部材11を組み付ける。組み付けの際には、前側嵌合部14の溝部33に対して前側嵌込み部16を上から差し込むように嵌合するとともに、後側嵌合部15のガイド溝24に対して後側嵌込み部17を上から差し込むように嵌合する。側壁部材11がベース部材10に対して所定の組付け状態に至ると、係止突起が係止孔25に係止する。前側嵌込み部16が前側嵌合部14に嵌合することによって、側壁部材11がベース部材10に対して前後方向及び左右方向に位置決めされる。係止突起と係止孔25の係止によって、側壁部材11がベース部材10に対して上方への離脱を規制される。
【0030】
側壁部材11をベース部材10に取り付けると、部品収容室12が側壁部材11によって左右両側から覆われ、電気接続箱Aの組付けが完了する。部品収容室12は、前後方向及び左右方向から全周に亘って囲まれた状態になる。バスバー55の接続板部59がプレート36の板状取付部38の上面に重ねられる。ボルト65を、貫通孔62と取付孔39とボルト孔34に挿通し、受け板部32の下面に設けたナット66にねじ込んで締め付けると、プレート36とバスバー55が端子台30に固定される。接続板部59を受け板部32に固定することによって、側壁部材11の前端部がベース部材10の前端部に固定される。
【0031】
側壁部材11をベース部材10に取り付けた状態では、側壁部材11の下面のうち後端部のみが、離脱規制部26によって下から覆われる。離脱規制部26は、バスバー取付口45の開口領域のうち後端部のみを覆う。バスバー取付口45の開口領域のうち離脱規制部26よりも前方は、離脱規制部26で覆われずに開放されているので、バスバー55の熱やバスバー収容室44内の熱は、バスバー取付口45から側壁本体40の外部へ放出される。離脱規制部26には、複数の連通孔28が形成されているので、バスバー55の熱とバスバー収容室44内の熱は、連通孔28を通すことによっても側壁本体40の外部へ放出される。
【0032】
引掛部27は、バスバー取付口45からバスバー収容室44内に僅かに進入し、バスバー55の屈曲部60に対して下から当接した状態、又は下から接近して対向した状態となる。これにより、バスバー55が側壁本体40に対して下方へ離脱しようとしても、屈曲部60が引掛部27に当接するので、バスバー55は側壁本体40から離脱せず、バスバー収容室44内に保持される。引掛部27は、側壁本体40の内壁部42に対して内側から、つまりベース部材10とは反対側から係止する。この係止によって、側壁部材11はベース部材10に対して左右方向へ離隔することを規制される。
【0033】
<実施例の作用及び効果>
本実施例の電気接続箱Aは、部品収容室12を有するベース部材10と、ベース部材10とは別体の部材であって、ベース部材10に組み付けられる側壁部材11とを備えている。側壁部材11は、バスバー収容室44が形成された側壁本体40と、バスバー収容室44に挿入されたバスバー55とを有している。ベース部材10は、バスバー55がバスバー収容室44外へ離脱することを規制する離脱規制部26を有している。この構成によれば、バスバー収容室44にバスバー55を挿入するときの抵抗を低減しても、離脱規制部26によってバスバー55をバスバー収容室44内に収容された状態に保持することができる。したがって、本実施例の電気接続箱Aは、バスバー55の組付け作業性の向上と組付けの信頼性を両立させることができる。
【0034】
側壁本体40は、バスバー収容室44にバスバー55を挿入するためのバスバー取付口45を有している。離脱規制部26が、バスバー取付口45を覆うように配置されている。この構成によれば、側壁本体40に離脱規制部26を嵌合させるための部位を形成する必要がないので、離脱規制部26を設けたことに起因して側壁本体40の形状が複雑化することを、回避できる。
【0035】
離脱規制部26には、バスバー収容室44内と側壁本体40の外部とを連通させる連通孔28が形成されているので、バスバー55で発生した熱を、連通孔28を通してバスバー収容室44の外へ放出することができる。
【0036】
バスバー55の前端部には、ベース部材10に設けたプレート36に固定される接続板部59が形成されている。離脱規制部26は、バスバー55の後端部のみを支持するように配置されている。バスバー55における前後方向中央部は、バスバー取付口45において側壁本体40の外部へ露出している。この構成によれば、バスバー55を前後2カ所で安定して保持できるとともに、バスバー55の熱を側壁本体40外へ効率的に放出することができる。
【0037】
バスバー収容室44は、側壁本体40の外側面を構成する外壁部41と、外壁部41とベース部材10との間に位置する内壁部42とによって区画されている。離脱規制部26は、バスバー取付口45において内壁部42に対して外側から引っ掛かる引掛部27を有している。この構成によれば、引掛部27が内壁部42に引っ掛かることによって、側壁部材11がベース部材10から離隔することを防止できる。
【0038】
[他の実施例]
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示される。本発明には、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれ、下記のような実施形態も含まれることが意図される。
上記実施例では、離脱規制部がバスバー取付口を覆うように配置されているが、側壁本体に、バスバー取付口以外の切欠部を形成し、この切欠部からバスバー収容室内のバスバーに離脱規制部を係止させるようにしてもよい。
上記実施例では、離脱規制部に連通孔を形成したが、離脱規制部は連通孔を有しない形状でもよい。
上記実施例では、離脱規制部がバスバーの後端部のみを支持するように配置されているが、離脱規制部は、バスバーの前端部のみを支持してもよく、バスバーの前後方向中央部のみを支持してもよく、バスバーの前端部から後端部に至る全領域を支持してもよい。
【符号の説明】
【0039】
A…電気接続箱
10…ベース部材
11…側壁部材
12…部品収容室
13…電気部品
14…前側嵌合部
15…後側嵌合部
16…前側嵌込み部
17…後側嵌込み部
20…保持部材
21…本体部
22…前板部
23…後板部
24…ガイド溝
25…係止孔
26…離脱規制部
27…引掛部
28…連通孔
30…端子台
31…支持板部
32…受け板部
33…溝部
34…ボルト孔
35…収容空間
36…プレート(接続部材)
37…板状給電部
38…板状取付部
39…取付孔
40…側壁本体
41…外壁部
42…内壁部
44…バスバー収容室
45…バスバー取付口
46…拡幅部
47…ヒューズ収容室
48…ヒューズ
49…リード
50…キャビティ
51…電線
52…ハーネス端子
55…バスバー
56…基板部
57…放熱板部
58…タブ
59…接続板部
60…屈曲部
61…支持部
62…貫通孔
63…切欠部
65…ボルト
66…ナット
図1
図2
図3
図4
図5