IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェの特許一覧

<>
  • 特許-リード係合装置 図1
  • 特許-リード係合装置 図2
  • 特許-リード係合装置 図3
  • 特許-リード係合装置 図4A
  • 特許-リード係合装置 図4B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-07
(45)【発行日】2024-08-16
(54)【発明の名称】リード係合装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/05 20060101AFI20240808BHJP
【FI】
A61N1/05
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021559773
(86)(22)【出願日】2020-04-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-28
(86)【国際出願番号】 EP2020061334
(87)【国際公開番号】W WO2020221651
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】62/840,308
(32)【優先日】2019-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】ボウェ ウェイド アレン
(72)【発明者】
【氏名】ペイン ジェフ
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-234866(JP,A)
【文献】特表2003-533300(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0236396(US,A1)
【文献】特表2008-529735(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0053665(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/05
A61N 1/372
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リードのリード管腔内に配置されるように構成されたリード係合装置において、
前記リード係合装置は、ハイポチューブを有し、前記ハイポチューブは、
内腔を規定する内面、及び前記内面と反対側の外面を有し、前記ハイポチューブの長手方向軸を規定する壁と、
前記壁に結合された複数のリード係合フィンガであって、前記複数のリード係合フィンガは、前記外面から外向きかつ近位に延在し、前記複数のリード係合フィンガの各々が延在する方向は、前記外面に対して鋭角であり、前記長手方向軸に対して斜めである、前記複数のリード係合フィンガと、
を有する、リード係合装置。
【請求項2】
前記複数のリード係合フィンガは、(A1)前記リード係合装置に近位方向の力を加え、(A2)前記リードに対して、前記複数のリード係合フィンガが前記リードに係合する第1の方向に回転するように前記リード係合装置を促すか、又は前記リードに対して回転するように前記リード係合装置を促さない場合に、前記複数のリード係合フィンガは、前記リードに係合し、前記リード係合装置と前記リードとの間の相対運動を阻止し、(B1)前記近位方向の力を前記リード係合装置に加え、(B2)前記リードに対して前記第1の方向とは反対の第2の方向に回転するように前記リード係合装置を促す場合に、前記複数のリード係合フィンガは、前記リードに対して平行移動し、前記リード係合装置と前記リードとの間の相対運動を可能にするように構成される、請求項1に記載のリード係合装置。
【請求項3】
前記壁は、遠位端部分を更に有し、前記複数のリード係合フィンガの各々は、フィンガ回転方向において、前記遠位端部分から見て、前記壁に結合された遠位端から自由近位端まで延在し、前記フィンガ回転方向は、前記第1の方向と同じであり、前記第2の方向と反対側である、請求項2に記載のリード係合装置。
【請求項4】
前記ハイポチューブは、前記内面から前記外面まで前記壁を通って延在する複数の開口を更に有し、前記複数の開口のそれぞれは、前記複数のリード係合フィンガのうちの1つに隣接して配置される、請求項1に記載のリード係合装置。
【請求項5】
前記複数のリード係合フィンガは、長方形形状を有する、請求項1に記載のリード係合装置。
【請求項6】
前記複数のリード係合フィンガは、三角形形状を有する、請求項1に記載のリード係合装置。
【請求項7】
前記複数のリード係合フィンガのうちの少なくとも1つが、前記壁に結合された遠位端と、前記遠位端の反対側の近位自由端とを有する、請求項1に記載のリード係合装置。
【請求項8】
前記複数のリード係合フィンガの少なくとも1つと前記外面との間の角度は、5乃至45度の範囲である、請求項1に記載のリード係合装置。
【請求項9】
前記複数のリード係合フィンガの各々が延在する方向と前記長手方向軸との間の角度は、5乃至45度の範囲である、請求項1に記載のリード係合装置。
【請求項10】
リード係合装置を製造する方法において、
壁を有するハイポチューブを提供するステップであって、前記壁は、内腔を規定する内面、及び前記内面と反対側の外面を有し、前記壁は、前記ハイポチューブの長手方向軸を規定する、ステップと、
前記長手方向軸に対して斜めに延在する複数のリード係合フィンガを形成するために前記壁を切断するステップと、
前記複数のリード係合フィンガが、通常、前記外面から外向きかつ近位に延在し、前記リード係合フィンガが延在する方向は、前記外面に対して鋭角であるように、前記複数のリード係合フィンガを変形させるステップと、
を有する方法。
【請求項11】
前記壁を切断するステップは、前記壁をレーザ切断するステップを有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記変形するステップは、前記内面から前記外面に前記壁を通って延在し、前記複数のリード係合フィンガに隣接して配置される複数の開口を形成するステップを更に有する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記切断は、長方形形状を有する前記複数のリード係合フィンガを提供する、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記切断は、三角形状を有する前記複数のリード係合フィンガを提供する、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記複数のリード係合フィンガの少なくとも1つと前記外面との間の角度が、5乃至45度の範囲にある、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記複数のリード係合フィンガの各々が延在する方向と前記長手方向軸との間の角度は、5乃至45度の範囲である、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2019年4月29日に出願された米国仮出願第62/840,308号の利益を主張する。
【0002】
本明細書に記載される装置は、一般に、患者の身体から、心臓植込み型電子装置(「CIED」)リードなどの植込み型リードの係合、及び除去の容易化のためのリード係合装置に関し、より具体的には、植込み型リードに係合するための比較的大きな面積を提供するリード係合装置に関する。
【背景技術】
【0003】
様々な医療処置は、心臓植込み型電子装置(「CIED」)のための電気リードのような、患者の身体の内部部分にワイヤ状の装置を取り付ける。CIEDリードは、患者の心臓の内壁に取り付けられた電極に達する導電性ワイヤである。CIEDリードは、典型的には、電気絶縁材料の外側円筒シース内に封入されたワイヤのコイルである。ワイヤのコイルは、通常、CIEDリードの中心(「ルーメン」)を下に走る中空空間を残す。
【0004】
CIEDリードは、通常、患者内に数年間留置する意図で植え込まれる。このような時間の間に、線維組織は、電極及びリードの部分の上に成長する。CIEDリードは、患者の心臓の内壁への接着を促進するために、しばしば、追加のとげ状構造又はコルク栓抜き型構造を設けられる。
【0005】
CIEDリードは、感染、機能不全、静脈閉塞、助言などを含む様々な理由で、時々、抜去される必要がある。
【0006】
したがって、リードに牽引力を加えるために、CIEDリードの管腔に挿入され、CIEDリードに取り付けられることができる多数のリード係合装置が、開発されている。しかしながら、これらの装置は、典型的には、局所的な領域においてCIEDリードに取り付けるという欠点を有する。CIEDリード及び/又はCIEDリード係合装置に牽引力を加えることは、CIEDリードが、患者から取り外されることができる前に歪められる及び/又は破損される結果となる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、改善されたリード係合装置を提供することが、望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、リードのリード管腔内に配置されるように構成されたリード係合装置を提示する。リード係合装置は、ハイポチューブを含む。ハイポチューブは、壁を含み、壁は、内腔を規定する内面と、内面の反対側の外面とを含む。壁は、ハイポチューブの長手方向軸を規定する。複数のリード係合フィンガが、壁に結合される。複数のリード係合フィンガは、鋭角で外面から外側に、かつ近位に延在し、鋭角が配置される面は、長手方向軸に対して斜めに延在する。複数のリード係合フィンガは、リードに対して平行移動し、リード係合装置に第1の力を加える場合に、リード係合装置とリードとの間の相対運動を可能にするように構成される。複数のリード係合フィンガは、リード係合装置に第2の力を加える場合に、リードを係合し、リード係合装置とリードとの間の相対運動を阻止するように構成され、第2の力は、第1の力とは反対方向に加えられる。
【0009】
複数のリード係合フィンガは、(A1)リード係合装置に第2の力を加え、(A2)リードに対して第1の方向に回転するようにリード係合装置を促すか、又はリードに対して回転するようにリード係合装置を促さない場合、複数のリード係合フィンガが、リードに係合し、リード係合装置とリードとの間の相対運動を阻止し、(B1)リード係合装置に第2の力を加え、(B2)リードに対して第1の方向とは反対の第2の方向に回転するようにリード係合装置をを促す場合、複数のリード係合フィンガが、リードに対して平行移動し、リード係合装置とリードとの間の相対運動を可能にするように構成される、前段落に記載のリード係合装置。
【0010】
壁は、遠位端部分を更に有し、複数のリード係合フィンガの各々は、壁に結合された遠位端から自由近位端まで、遠位端部分から見て、フィンガ回転方向に延在し、フィンガ回転方向は、第1の方向と同じであり、第2の方向と反対側である、前段落のいずれかに記載のリード係合装置。
【0011】
ハイポチューブは、壁を通って内面から外面まで延在する複数の開口を更に有し、複数の開口の各々は、複数のリード係合フィンガのうちの1つに隣接して配置される、前段落のいずれかに記載のリード係合装置。
【0012】
複数のリード係合フィンガは、長方形形状を有する、前段落のいずれかに記載のリード係合装置。
【0013】
複数のリード係合フィンガは、三角形形状を有する、前段落のいずれかに記載のリード係合装置。
【0014】
複数のリード係合フィンガのうちの少なくとも1つが、壁に結合された遠位端と、遠位端の反対側の近位自由端とを有する、前段落のいずれかに記載のリード係合装置。
【0015】
鋭角のうちの少なくとも1つは、5乃至45度の範囲にある、前段落のいずれかに記載のリード係合装置。
【0016】
鋭角が配置される面は、長手方向軸に対して斜めに、5乃至45度の範囲の斜角で延在する、前段落のいずれかに記載のリード係合装置。
【0017】
本開示は、また、リード係合装置を製造する方法を提示する。この方法は、壁を含むハイポチューブを提供するステップを含み、壁は、内腔を規定する内面と、内面と反対側の外面とを含み、壁は、ハイポチューブの長手方向軸を規定する。本方法は、複数のリード係合フィンガを形成するように壁を切断するステップを更に含む。この方法は、複数のリード係合フィンガが、通常、外側に、近位に、及び外面から鋭角に延在し、鋭角が配置される面が、長手方向軸に対して斜めに延在するように、複数のリード係合フィンガを変形させるステップを更に含む。
【0018】
壁を切断するステップが、壁をレーザ切断するステップを有する、前段落に記載の方法。
【0019】
変形させるステップが、壁を通って内面から外面まで延在し、複数のリード係合フィンガに隣接して配置される複数の開口を形成するステップを更に有する、前段落のいずれかに記載の方法。
【0020】
切断が、複数のリード係合フィンガに長方形形状を提供する、前段落のいずれかに記載の方法。
【0021】
切断が、複数のリード係合フィンガに三角形形状を提供する、前段落のいずれかに記載の方法。
【0022】
鋭角のうちの少なくとも1つが、5乃至45度の範囲にある、前段落のいずれかに記載の方法。
【0023】
鋭角が配置される面が、5乃至45度の範囲の斜角で長手方向軸に対して斜めに延在する、前段落のいずれかに記載の方法。
【0024】
「少なくとも1つ」、「1つ以上」及び「及び/又は」という語句は、演算において連接的かつ分離的な制限のない表現である。例えば、表現「A、B及びCのうちの少なくとも1つ」、「A、B又はCのうちの少なくとも1つ」、「A、B及びCのうちの1つ以上」、「A、B又はCのうちの1つ以上」及び「A、B及び/又はC」は、A単独、B単独、C単独、A及びB同士、A及びC同士、B及びC同士、又はA、B及びC同士を意味する。上の表現のA、B、C のそれぞれが、X、Y、Z などの要素、又はX1‐Xn、Y1‐Ym、及びZ1‐Zoなどの要素のクラスを指す場合、この語句は、X、Y、及びZ から選択された単一の要素、同じクラスから選択された要素の組み合わせ(例えばX1及びX2)、及び2つ以上のクラスから選択された要素の組み合わせ(例えばY1及びZo)を指すことを意図される。
【0025】
用語「a」又は「an」エンティティは、そのエンティティの1つ又は複数を指す。したがって、用語「a」(又は「an」)、「1つ又は複数」及び「少なくとも1つ」は、本明細書では交換可能に使用されてもよい。用語「有する」、「含む」、及び「持つ」は、交換可能に使用されてもよいことにも留意されたい。
【0026】
本明細書で使用される「手段」という用語は、35 U.S.C. Section 112(f)に従って可能な限り最も広い解釈を与えられるものとする。したがって、「手段」という用語を組み込む請求項は、本明細書に記載されるすべての構造、材料、又は動作、及びその同等のすべてを包含するものとする。更に、構造、材料、又は動作、及びそれらの同等物は、概要、図面の簡単な説明、詳細な説明、要約、及び特許請求の範囲自体に記載される全てのものを含むべきである。
【0027】
本開示全体を通して与えられる全ての最大数値限定は、より低い数値限定が本明細書で明示的に書かれているかのように、代替として、あらゆるより低い数値限定を含むと見なされることを理解されたい。本開示全体を通して与えられる全ての最小数値限定は、より高い数値限定が本明細書で明示的に記載されているかのように、代替として、あらゆるより高い数値限定を含むとみなされる。本開示全体を通して与えられる全ての数値範囲は、より狭い数値範囲が全て本明細書に明示的に記載されているかのように、より広い数値範囲内に入るあらゆるより狭い数値範囲を含むとみなされる。
【0028】
上記は、本開示のいくつかの態様の理解を提供するための、本開示の簡略化された概要である。この概要は、本開示並びにその様々な態様、実施形態、及び構成の広範な概観でも網羅的な概観でもない。本開示の鍵となる要素又はクリティカルな要素を識別することも、本開示の範囲を描写することも意図されないが、以下に提示されるより詳細な説明の序論として、本開示の選択された概念を簡略化された形態で提示することが意図される。理解されるように、本開示の他の態様、実施形態、及び構成は、単独で又は組み合わせて、上記で説明されるか、又は以下で詳細に説明される特徴のうちの1つ又は複数を利用することが可能である。
【0029】
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成して、本開示のいくつかの例を示す。これらの図面は、記載と共に、本開示の原理を説明する。図面は、本開示がどのようになされ、使用され得るかの好ましい例及び代替の例を単に示し、図示及び説明された例のみに本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。更なる特徴及び利点は、以下に参照される図面によって示されるような、本開示の様々な態様、実施形態、及び構成の以下のより詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本開示の一実施形態によるリード係合装置の斜視図である。
図2図1のリード係合装置の遠位リード係合部分の詳細な斜視図である。
図3】本発明の一実施形態によるリード係合装置の製造方法を示す図である。
図4A】本開示の別の実施形態によるリード係合装置の斜視図である。
図4B図4Aのリード係合装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図面は、必ずしも縮尺通りではないことを理解されたい。場合によっては、本開示の理解のために必要でない詳細、又は他の詳細を知覚することを困難にする詳細は、省略されてもよい。もちろん、本開示は、本明細書に示された特定の実施形態に必ずしも限定されないことを理解されたい。
【0032】
本開示の任意の実施形態が詳細に説明される前に、本開示は、その応用において、以下の説明に記載される又は以下の図面に図示される構成の詳細及び構成要素の配置に限定されないことが理解されるべきである。本開示は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施又は実行されることができる。また、本明細書で使用される語法及び用語は、説明の目的であり、限定とみなされるべきではないことを理解されたい。本明細書における「含む」、「有する」、又は「持つ」及びその変形の使用は、その後に列挙される項目及びその均等物、並びに追加の項目を包含することを意味する。
【0033】
本開示は、一般に、心臓植込み型電子装置(「CIED」)リードなどの植込み型リードを患者の身体に係合させ、患者の身体から取り外すことを容易にするためのリード係合装置に関する。図1を参照すると、本明細書に記載のリード係合装置の例示的な実施形態が示される。リード係合装置100は、一般に、遠位リード係合部分102及び近位ハンドル部分106を含む。図1は、例示目的のために、遠位リード係合部分102と近位ハンドル部分106との間のインタフェースを含むリード係合装置100のセクションを省略している。結果的に、図1は、リード係合装置100のスケールされた長さを図示していない。リード係合装置100は、例えば、少なくとも約71cmの作業長さを有してもよい。しかしながら、リード係合装置100は、意図される用途に応じて、他の長さを備えてもよい。
【0034】
続けて図1を参照すると、近位ハンドル部分106の少なくとも一部は、遠位リード係合部分102がリード除去手順中に、植込み型リードに入り、係合する間、患者の外部に留まる。そのようなものとして、牽引が、患者からリードを取り除くように近位ハンドル部分106に加えられてもよい。近位ハンドル部分106は、ワイヤ、例えばステンレス鋼ワイヤ、又は開口のないハイポチューブの連続であってもよい。近位ハンドル部分106は、リード係合装置100に牽引力を加えることを容易化するように、近位端部分にループ(図示せず)を含んでもよい。
【0035】
ここで図2を参照すると、遠位リード係合部分102が、示される。一般に、遠位リード係合部分102は、ステンレス鋼、ニチノールなどの様々な適切な材料のうちの1つ又は複数を有するハイポチューブ200である。ハイポチューブ200は、外面204及び反対側の内面206を規定する壁202を含み、内面206は、ハイポチューブ200の内腔208を規定する。外面204は、リードの管腔内に遠位リード係合部分102を配置するのを容易化する直径を有してもよい。外面204の直径は、例えば、約0.013乃至0.027インチであってもよい。内面206の直径は、例えば、約0.010乃至0.024インチであってもよい。内側管腔208は、遠位端部分214における遠位開口212から近位端部分(図示せず)における近位開口(図示せず)まで延在する長手方向軸210を規定する。内側管腔208は、また、長手方向軸210に垂直であり、その周りに延びる円周方向216を規定する。壁202は、例えば、少なくとも約71cmの、遠位開口212と近位開口との間の長さを持つ。いくつかの実施形態では、ハイポチューブ200は、遠位開口212の近くの半球(図示せず)によってキャップされたコイルに結合する。
【0036】
ハイポチューブ200は、更に、複数の開口218と、複数の隣接するリード係合フィンガ220とを含む。開口218及びリード係合フィンガ220は、両方とも、例えば、以下で更に詳細に説明されるように、ハイポチューブ200の部分をレーザ切断し、曲げることによって形成されてもよい。一般に、リード係合フィンガ220は、壁202の外面204から外向きに延在し、遠位端部分214から離れて、近位端部分に向かって、長手方向軸210に対して斜めに進む。以下で更に詳細に説明されるように、リード係合フィンガ220は、リードの管腔内で遠位リード係合部分102を選択的に移動させ、固定することを容易にする。
【0037】
いくつかの実施形態では、図示のように、リード係合フィンガ220の各々は、壁202に結合された遠位端222と、遠位端222の反対側の近位自由端224とを有する。いくつかの実施態様において、及び図示されるように、リード係合フィンガ220は、遠位端222において壁202にモノリシックに結合され、壁から片持ち支持される。いくつかの実施形態では、図示のように、リード係合フィンガ220は、通常、壁202の外面204に対して鋭角226に配置される(「通常」及びその変形は、構成要素に外力が加えられない状況を指す)。いくつかの実施形態では、図示されるように、鋭角226は、通常、10乃至30度の範囲である。いくつかの実施形態では、図示されるように、鋭角226が配置される面228は、長手方向軸210に対して斜めに(例えば、5乃至45度の範囲の斜角で)延在する。別の言い方をすれば、各フィンガ220は、「フィンガ回転方向」において、ハイポチューブ200の遠位端部分214から見て、遠位端222から近位自由端224まで延在する いくつかの実施態様において、及び図示されるように、フィンガ220は、反時計回りのフィンガ回転方向に延在してもよい。他の実施形態では、フィンガ220は、時計回りのフィンガ回転方向に延在してもよい。
【0038】
上述したフィンガ220の一般的な構造は、以下のように、リードの管腔内で遠位リード係合部分102を選択的に移動させ、固定することを容易にする。リード係合部分102に第1の力を加えると(例えば、一般に遠位方向に押す力を加えると)、フィンガ220は、リードに対してスライドし、リード係合部分102とリードとの間の相対運動を可能にする。リード係合部分102に第2の力を加え(例えば、一般に近位方向に引っ張り力又は牽引力を加え)、フィンガ回転方向とは反対の方向(例えば、図示のように時計回り方向)にリード内で回転するようにリード係合装置100を促すと、複数のリード係合フィンガ220は、リードに対してスライドし、(遠位方向及び近位方向の両方における)リード係合装置100とリードとの間の相対運動を可能にする。対照的に、第2の力をリード係合装置100に加え、フィンガ回転方向(例えば、図示のように、反時計回り方向)にリード内で回転するようにリード係合装置100を促すか、又はリードに対して回転するようにリード係合装置100を促さない場合、フィンガ220は、リードと係合し、リード係合装置100とリードとの間の相対運動を阻止する。
【0039】
いくつかの実施形態では、リード係合フィンガ220は、一般に、ハイポチューブ200の長さの大部分に沿って存在する。より具体的には、リード係合フィンガ220は、最遠位フィンガ220から最近位フィンガまで50乃至75cmの範囲の長さにわたって存在してもよい。したがって、リード係合フィンガ220は、植込み型リードを係合するための比較的大きな面積を提供してもよい。いくつかの実施形態では、図示されるように、リード係合フィンガ220は、ハイポチューブ200に沿って1つ以上の螺旋パターンに配置されてもよい。いくつかの実施形態では、複数のリード係合フィンガ220は、ハイポチューブ200の壁202に沿った同じ長手方向位置に配置されてもよく、又は様々な長手方向位置でグループ化されてもよい。リード係合フィンガ220のグループは、図示されるように、同じ長手方向距離だけ離れて配置されてもよく、又は異なる長手方向距離だけ離れて配置されてもよい。いくつかの実施形態では、各リード係合フィンガ220は、他のリード係合フィンガ220とは異なる長手方向位置に配置されてもよい。
【0040】
リード係合フィンガ220及び開口218は、様々な形状、サイズ、及び配置で提供されてもよい。開口218は、内面206から外面204まで壁202を通って延在する。いくつかの実施形態では、図示されるように、フィンガ220の各々は、長方形形状を有する。長方形形状は、例えば、0.010乃至0.250インチの長さ(遠位端222と近位自由端224との間)を有してもよい。長方形形状は、例えば、45度の幅(長さに垂直)を有してもよい。他の実施形態では、フィンガ220の1つ又は複数が、三角形状、半楕円形状、半放物線形状などの異なる形状を有する。
【0041】
各開口218は、隣接するフィンガ220と同じ形状を有してもよい(ただし、各開口218は、以下で更に詳細に説明されるように、特徴が形成される方法によって、隣接するフィンガ220よりもわずかに大きくてもよい)。いくつかの実施形態では、図示されるように、開口218の各々は、長方形形状を有する。他の実施形態では、開口218のうちの1つ又は複数が、三角形形状、半楕円形形状、半放物線形状などの異なる形状を有する。
【0042】
図3は、本開示によるリード係合装置100を製造するための例示的な方法を示す。この方法の説明は、例示の目的のために、リード係合装置100及び上記の構成要素に言及し、この方法は、本開示によるリード係合装置のいずれかを製造するために使用されることができる。この方法は、ハイポチューブ200及び近位ハンドル部分104を提供することによって、ブロック300で開始する。ブロック302では、ハイポチューブ200の壁202が、複数のリード係合フィンガ220を形成するように、切断(例えば、レーザ切断)される。ブロック304において、リード係合フィンガ220は、フィンガ220が、通常、外面204から外側に及び近位に、かつ、長手方向軸210に対して斜めに延在し、複数の開口218を形成するように、変形される(例えば、機械的に曲げられる)。ブロック306において、ハイポチューブ200及び近位ハンドル部分104は、互いに結合される(例えば、溶接、圧着などを介して)。
【0043】
ここで図4A及び図4Bを参照すると、本開示によるリード係合装置400の別の例示的な実施形態が、示される。リード係合装置400は、概して、遠位リード係合部分402及び近位ハンドル部分(図示せず)を含み、これらは、ハイポチューブ404が三角形形状を有する開口406及びリード係合フィンガ408を含むことを除いて、それぞれ、上記の遠位リード係合部分102及び近位ハンドル部分104と同じ又は同様であり得る。更に、複数のリード係合フィンガ408は、ハイポチューブ404に沿った様々な長手方向位置にグループ化される。
【0044】
前述の議論は、例示及び説明の目的で提示されている。上記は、本開示を本明細書に開示される形態に限定することを意図するものではない。前述の「発明の概要」では、例えば、開示の様々な特徴は、開示を効率化する目的で、1つ又は複数の態様、実施形態、及び/又は構成で一緒にグループ化される。本開示の態様、実施形態、及び/又は構成の特徴は、上で論じられたもの以外の代替の態様、実施形態、及び/又は構成で組み合わせられてもよい。この開示方法は、請求項が、各請求項に明示的に記載されているよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、本発明の態様は、単一の前述の開示された態様、実施形態、及び/又は構成の全ての特徴未満にある。したがって、以下の特許請求の範囲は、本発明の詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、それ自体が本開示の別個の好ましい実施形態として存在する。
【0045】
更に、説明は、1つ又は複数の態様、実施形態、及び/又は構成、並びに特定の変形及び修正の説明を含んでいるが、他の変形、組み合わせ、及び修正は、例えば、本開示を理解した後に、当業者の技能及び知識の範囲内であり得るように、本開示の範囲内である。本明細書に開示されているか否かにかかわらず、かつ任意の特許性のある主題を公に専用にすることを意図することなく、特許請求されているものに対する代替の、互換性のある及び/又は同等の構造、機能、範囲、又はステップを含む、代替の態様、実施形態、及び/又は構成を許可される程度で含む権利を取得することが意図される。
図1
図2
図3
図4A
図4B