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特許7535242電子カルテシステム、電子カルテシステムの処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-07
(45)【発行日】2024-08-16
(54)【発明の名称】電子カルテシステム、電子カルテシステムの処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/60 20180101AFI20240808BHJP
【FI】
G16H10/60
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020109053
(22)【出願日】2020-06-24
(65)【公開番号】P2022006681
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】505192431
【氏名又は名称】株式会社かごしま医療ITセンター
(73)【特許権者】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】宇都 由美子
(72)【発明者】
【氏名】平鹿 裕美
(72)【発明者】
【氏名】岡田 靖士
(72)【発明者】
【氏名】松本 崇
(72)【発明者】
【氏名】冨山 北斗
(72)【発明者】
【氏名】南 祐希
【審査官】鹿野 博嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-057283(JP,A)
【文献】特開2015-153148(JP,A)
【文献】特開2014-174635(JP,A)
【文献】特開2016-218646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の診療情報が格納された診療情報データベースを有する情報管理装置と、
ネットワークを介して前記情報管理装置にアクセス可能に構成され、前記診療情報データベースに格納された患者の診療情報を表示するユーザ端末装置と、を備え、
前記患者の診療情報は、主観的情報を示すS(Subjective)、客観的情報を示すO(Objective)、評価を示すA(Assessment)、計画及び方針を示すP(Plan)からなるSOAP形式で記載され、
前記情報管理装置は、前記ユーザ端末装置を操作するユーザの属性に応じて、SOAPのうちで表示を許可する項目を選択する、
電子カルテシステム。
【請求項2】
前記情報管理装置は、前記ユーザ端末装置を操作するユーザが医療提供者である場合にはSOAPの全ての表示を許可し、前記ユーザ端末装置を操作するユーザが医療被提供者である場合にはSOAPのうちの一部の項目の表示を許可する、
請求項に記載の電子カルテシステム。
【請求項3】
前記情報管理装置は、前記ユーザ端末装置を操作するユーザが医療被提供者である場合にはSOAPのうちでS及びAの表示を許可する、
請求項に記載の電子カルテシステム。
【請求項4】
医療提供者は、前記ユーザ端末装置を操作することで、患者の診療情報が入力可能であり、
入力された診療情報は、前記診療情報データベースに格納される、
請求項乃至のいずれか一項に記載の電子カルテシステム。
【請求項5】
医療提供者は、患者の診療情報を入力するときに、前記ユーザ端末装置を操作するユーザが医療被提供者である場合に表示を許可する項目のそれぞれについて、表示を許可する記載と表示を許可しない記載とを指定することが可能である、
請求項に記載の電子カルテシステム。
【請求項6】
患者の診療情報を入力する医療提供者は、患者の診療情報を入力するときに、前記ユーザ端末装置を操作するユーザが他の医療提供者である場合に表示を許可する項目のそれぞれについて、前記他の医療提供者に表示を許可する記載と表示を許可しない記載とを指定することが可能である、
請求項又はのいずれか一項に記載の電子カルテシステム。
【請求項7】
前記ユーザ端末装置を操作するユーザは、表示された患者の診療情報の項目のそれぞれについて、当該項目を入力した医療提供者に対して、メッセージを送信することが可能である、
請求項乃至のいずれか一項に記載の電子カルテシステム。
【請求項8】
前記メッセージを受け取った医療提供者は、ユーザ端末装置を操作することで、前記メッセージを送信した者へ回答メッセージを送信可能である、
請求項に記載の電子カルテシステム。
【請求項9】
前記診療情報には、SOAP以外の項目が含まれ、
前記情報管理装置は、SOAPの一部又は全部と、前記SOAP以外の項目の一部又は全部と、の相関を機械学習可能に構成される、
請求項乃至のいずれか一項に記載の電子カルテシステム。
【請求項10】
前記SOAP以外の項目は、患者の病名及び薬歴である、
請求項に記載の電子カルテシステム。
【請求項11】
医療提供者は、患者の診療情報を入力するときに、Sについて所感を入力することが可能である、
請求項乃至10のいずれか一項に記載の電子カルテシステム。
【請求項12】
患者の診療情報が格納された診療情報データベースを有する情報管理装置と、ネットワークを介して前記情報管理装置にアクセス可能に構成され、前記診療情報データベースに格納された患者の診療情報を表示するユーザ端末装置と、を備える電子カルテシステムにおいて、
前記患者の診療情報は、主観的情報を示すS(Subjective)、客観的情報を示すO(Objective)、評価を示すA(Assessment)、計画及び方針を示すP(Plan)からなるSOAP形式で記載され、
前記情報管理装置によって、
前記ユーザ端末装置を操作するユーザの属性を判定し、
前記ユーザの属性に応じて、SOAPのうちで表示を許可する項目を選択する、
電子カルテシステムの処理方法。
【請求項13】
患者の診療情報が格納された診療情報データベースを有する、コンピュータにより構成される情報管理装置と、ネットワークを介して前記情報管理装置にアクセス可能に構成され、前記診療情報データベースに格納された患者の診療情報を表示するユーザ端末装置と、を備える電子カルテシステムにおいて、
前記患者の診療情報は、主観的情報を示すS(Subjective)、客観的情報を示すO(Objective)、評価を示すA(Assessment)、計画及び方針を示すP(Plan)からなるSOAP形式で記載され、
前記ユーザ端末装置を操作するユーザの属性を判定する処理と、
前記ユーザの属性に応じて、SOAPのうちで表示を許可する項目を選択する処理と、
を前記情報管理装置に実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子カルテシステム、電子カルテシステムの処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院等の医療機関において、診察記録、検査記録、看護記録などの診療記録を管理するため、電子カルテシステムが広く用いられている(例えば、特許文献1及び2)。電子カルテでは、保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和三十二年厚生省令第十五号)の第22条で規定される様式第一号のように、「真正性」、「見読性」及び「保存性」の3原則に則って、診療に関し必要な事項を記録することが求められる。
【0003】
また、電子カルテシステムでは、SOAP形式によって情報を記録することが行われている。SOAP形式では、主観的情報(S:Subjective)、客観的情報(O:Objective)、評価(A:Assessment)、計画(P:Plan)の4つの項目に分けて情報が記録される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-277550号公報
【文献】特開2006-338522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、一般的な電子カルテシステムは上述の3原則を満たすように構成されているものの、電子カルテシステムごとに記録項目などが異なっている。そのため、異なる電子カルテシステムからデータを収集して統合し、効率的に診療記録を管理することは、医療関係者間においてさえ困難である。
【0006】
電子カルテになるべく多くの情報を集約し、記載内容の正確性を担保するには、なるべく多くの職種の医療関係者(医師、看護師、薬剤等)が電子カルテシステムを閲覧、入力して情報共有できることが望ましい。また、患者などの医療を受ける者としても、自己の症状の訴えが正確に電子カルテに反映されているかを確認できれば、患者にとっても、かつ、電子カルテの正確性を担保するためにも望ましいと考えられる。
【0007】
よって、患者までをも含んだ多種多様なユーザが使用することができる電子カルテシステムの構築が求められている。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、ユーザの属性に応じて適切な情報を表示できる電子カルテシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様である電子カルテシステムは、患者の診療情報が格納された診療情報データベースを有する情報管理装置と、ネットワークを介して前記情報管理装置にアクセス可能に構成され、前記診療情報データベースに格納された患者の診療情報を表示するユーザ端末装置と、を備え、前記情報管理装置は、前記ユーザ端末装置を操作するユーザの属性に応じて、患者の診療記録のうちで表示を許可する項目を選択するものである。
【0010】
本発明の一態様である電子カルテシステムの処理方法は、患者の診療情報が格納された診療情報データベースを有する情報管理装置と、ネットワークを介して前記情報管理装置にアクセス可能に構成され、前記診療情報データベースに格納された患者の診療情報を表示するユーザ端末装置と、を備える電子カルテシステムにおいて、前記情報管理装置によって、前記ユーザ端末装置を操作するユーザの属性を判定し、前記ユーザの属性に応じて、患者の診療記録のうちで表示を許可する項目を選択するものである。
【0011】
本発明の一態様であるプログラムは、患者の診療情報が格納された診療情報データベースを有する、コンピュータにより構成される情報管理装置と、ネットワークを介して前記情報管理装置にアクセス可能に構成され、前記診療情報データベースに格納された患者の診療情報を表示するユーザ端末装置と、を備える電子カルテシステムにおいて、前記ユーザ端末装置を操作するユーザの属性を判定する処理と、前記ユーザの属性に応じて、患者の診療記録のうちで表示を許可する項目を選択する処理と、を前記情報管理装置に実行させるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザの属性に応じて適切な情報を表示できる電子カルテシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態1にかかる電子カルテシステムの構成を模式的に示す図である。
図2】実施の形態1にかかる電子カルテの表示例を示す図である。
図3】端末装置、サーバ及びユーザ端末装置のハードウェア構成の例を模式的に示す図である。
図4】実施の形態1にかかる情報管理装置の構成を模式的に示す図である。
図5】実施の形態1にかかるユーザ端末装置の構成を模式的に示す図である。
図6】実施の形態1にかかる電子カルテシステムの動作のシーケンス図である。
図7】医療被提供者が閲覧する場合の電子カルテの表示例を示す図である。
図8】医療被提供者の閲覧項目を制限する場合における医療提供者向けの電子カルテの表示例を示す図である。
図9】医療被提供者の閲覧項目を制限する場合における医療被提供者向けの電子カルテの表示例を示す図である。
図10】実施の形態2にかかる電子カルテシステムの構成を模式的に示す図である。
図11】質問メッセージの入力フォームの例を模式的に示す図である。
図12】質問スレッドの例を模式的に示す図である。
図13】回答メッセージの入力フォームの例を模式的に示す図である。
図14】医療被提供者から医療提供者へ向けてのメッセージ送信機能を有する電子カルテシステムの表示例を示す図である。
図15】実施の形態4にかかる電子カルテシステムの表示画面の例を示す図である。
図16】他のデータベースから薬歴を読み出して診療情報データベースに統合する場合の電子カルテシステムの構成を模式的に示す図である。
図17】実施の形態4にかかる電子カルテシステムの変形例の構成を模式的に示す図である。
図18】実施の形態5にかかる電子カルテシステムの表示画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。各図面においては、同一要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略される。
【0015】
実施の形態1
実施の形態1にかかる電子カルテシステムについて説明する。実施の形態1にかかる電子カルテシステムは、サーバに蓄積された診療情報を、ネットワークを介して端末により閲覧可能なものとして構成される。
【0016】
図1に、実施の形態1にかかる電子カルテシステム100の構成を模式的に示す。電子カルテシステム100は、ネットワーク130を介して通信可能に接続された、情報管理装置110及び複数のユーザ端末装置120を有するものとして構成される。
【0017】
情報管理装置110は、複数の患者の電子カルテを含む診療情報を管理するハードウェアとして構成される。図1では、情報管理装置110は、電子カルテへの診療情報の入力、変更及び表示を行う機能を有する端末装置111と、電子カルテを構成する情報を管理するサーバ112とを有している。
【0018】
サーバ112は、複数の患者の診療情報を記録した診療情報データベース(診療情報DB)20を格納している。診療情報データベース20には、電子カルテを構成する、いわゆる診療履歴を記録するプログレスノート、患者ごとに傷病名の履歴などを記録するプロブレムノート、患者に対する看護計画及び患者の状態等を記録した看護記録などの各種の診療情報が記憶される。このうち、プログレスノートは、一般にSOAP形式によって記載される。SOAP形式の詳細は後述する。
【0019】
なお、図1では、情報管理装置110が端末装置111及びサーバ112を有するものとして説明したが、情報管理装置110は、プログラムを実行することで診療情報の入力、変更及び表示と、診療情報の管理とを行う一台のPC等のコンピュータとして構成されてもよい。
【0020】
情報管理装置110及び複数のユーザ端末装置120は、有線通信及び無線通信のいずれによってもネットワーク130に接続可能である。ネットワーク130は、LAN(Local Area Network)、VPN(Virtual Private Network)及びクラウドサービスなどの各種のネットワークを適用することができる。
【0021】
ユーザ端末装置120は、プログラムを実行して情報管理装置110にアクセスすることで、所望の診療情報の入力、変更及び表示を行うものとして構成される。ユーザ端末装置120は、医師、看護師及び検査技師等などの医療を提供する側のユーザ(以下、医療提供者とも称する)だけでなく、患者及び患者の家族などの医療を受ける側のユーザ(以下、医療被提供者とも称する)が操作可能な場所に設置されている。ユーザは、ユーザ端末装置120を操作して情報管理装置110にアクセスすることで、電子カルテを閲覧することができる。
【0022】
具体的には、ユーザ端末装置120は、特定の患者の診療情報を表示する操作をユーザから受け付けて当該診療情報へのアクセスを情報管理装置110に要求し、情報管理装置110から送られてきた診療情報を表示する。また、ユーザがユーザ端末装置120を操作してユーザ端末装置120に表示された診療情報に項目内容の追加又は修正等を施した場合、変更された診療情報が情報管理装置110に送信されて書き換えられる。書き換えられた診療情報は、診療情報データベース20に格納される。また、ユーザ端末装置120によって新規の診療情報が入力された場合、情報管理装置110に送信され、情報管理装置110により各患者に対応付けられて、診療情報データベース20に格納される。
【0023】
ここで、SOAP形式について、説明する。SOAP形式は、S(Subjective)、O(Objective)、A(Assessment)及びP(Plan)の4つの項目を含んでいる。S(Subjective)は主観的情報であり、患者が訴えた症状など、対象者の主観に基づいた情報のことをいう。O(Objective)は客観的情報であり、患者に対する診察や検査から得られた情報、例えば診断画像やバイタルサインなどの、対象者の状況を客観的に示す情報のことをいう。A(Assessment、評価)は、S(Subjective、主観的情報)及びO(Objective、客観的情報)に基づいて医師が行った診断などの、総合的な評価を示す情報のことをいう。P(Plan、計画及び方針)は、A(Assessment、評価)に基づいて医師が決定した患者への治療、手術、投薬及び生活指導などの計画や方針などのアクションを示す情報のことをいう。
【0024】
図2に、実施の形態1にかかる電子カルテの表示例を示す。図2では、列に項目名、行にイベントが時系列で配列される。項目としては、左から右へ、日時、重要度、Title/Problem(項目名)、Subjective/Data(S、主観的情報)、Objective/Data(O、客観的情報)、Assessment/Data(A、評価)及びPlan/Action(P、計画、方針)が配列されている。なお、この例では、上から3行目、5行目及び8行目にあるように、SOAPの項目は、必要に応じてマージされ得る。なお、図2に示す電子カルテの表示は、後述する医療提供者向けのものであり、医療提供者は必要に応じて各項目について情報を入力することが可能である。
【0025】
続いて、端末装置111、サーバ112及びユーザ端末装置120のハードウェア構成の例について説明する。図3に、端末装置111、サーバ112及びユーザ端末装置120のハードウェア構成の例を模式的に示す。端末装置111、サーバ112及びユーザ端末装置120は、専用コンピュータ、パーソナルコンピュータ(PC)などのコンピュータ10により実現可能である。なお、コンピュータは、物理的に単一である必要はなく、分散処理を実行する場合には、複数であってもよい。また、情報管理装置110が1台のコンピュータで構成される場合には、情報管理装置110を図3に示す構成としてもよい。
【0026】
図3に示すように、コンピュータ10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、記憶部14、通信インターフェイス15を有し、これらがバス16を介して相互に接続されている。尚、コンピュータを動作させるためのOSソフトなどについては説明を省略するが、このコンピュータ10はOSソフトなどに基づいて動作することは、言うまでもない。
【0027】
CPU11は、ROM12に記憶されている各種プログラム、又は記憶部14からRAM13にロードされた各種プログラムに従って各種の処理、本実施の形態においては、例えば後述する情報管理装置110又はユーザ端末装置120における処理を実行する。また、RAM13は、CPU11が各種の処理を実行するのに必要なデータなども適宜記憶してもよい。
【0028】
記憶部14は、ハードディスクやSSD(Solid State Disc)などの記憶装置として構成される。CPU11は、適宜、記憶部14へデータを書き込み、かつ、記憶部14からデータを読み出すことができる。
【0029】
通信インターフェイス(I/F)15は、コンピュータ10(すなわち、サーバ112及びユーザ端末装置120)をネットワーク130と接続するモデムやターミナルアダプタなどの通信手段として構成される。通信I/F15は、ネットワーク130を介して通信を行い、CPU11から提供されたデータの送信し、通信相手から受信したデータをCPU11、RAM13及び記憶部14へ転送する。また、通信I/F15は、他の装置との間で、アナログ信号又はディジタル信号の通信処理を行う。
【0030】
バス16には、入力部17及び出力部18が接続されてもよい。入力部17は、例えば、キーボードやマウスなどのユーザが操作する機器、センサ及びマイクなど入力機器として構成されてもよい。出力部18は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)などの表示装置及びヘッドフォンやスピーカなどの音響機器などの出力機器として構成されてもよい。
【0031】
また、バス16には、必要に応じて外付けの記憶装置19が接続されてもよい。外付けの記憶装置19としては、例えば、磁気ディスク、光ディスク、フレキシブルディスク及び半導体メモリなどの各種の記憶装置を用いることができる。コンピュータ10は、必要に応じて、外付けの記憶装置19から情報を読み込み、かつ、外付けの記憶装置19に情報を書き込むことができる。
【0032】
次に、電子カルテシステム100の構成及び動作について具体的に説明する。図4に、実施の形態1にかかる情報管理装置110の構成を模式的に示す。情報管理装置110は、ログイン認証部1、表示項目決定部2、アクセス許可部3及び診療情報データベース(診療情報DBとも表記する)20を有する。
【0033】
ログイン認証部1、表示項目決定部2、アクセス許可部3及び診療情報データベース20は、情報管理装置110の端末装置111及びサーバ112のハードウェア構成によって実現される。診療情報データベース20は、例えば記憶部14などに格納される。例えば、ログイン認証部1、表示項目決定部2及びアクセス許可部3による処理は、端末装置111及びサーバ112の両方又は一方において、CPU11が記憶部14等に格納されたプログラムを読み込んで実行し、かつ、診療情報データベース20を参照することで実現される。なお、端末装置111は、後述するユーザ端末装置120として使用することも可能である。
【0034】
図5に、実施の形態1にかかるユーザ端末装置120の構成を模式的に示す。ユーザ端末装置120は、ログイン要求部4、表示情報取得部5及び表示部6を有する。ログイン要求部4、表示情報取得部5及び表示部6は、ユーザ端末装置120のハードウェア構成によって実現される。ログイン要求部4及び表示情報取得部5の処理は、例えば、CPU11が記憶部14等に格納されたプログラムを読み込んで実行することで実現される。
【0035】
続いて、実施の形態1にかかる電子カルテシステム100の動作について説明する。図6に、実施の形態1にかかる電子カルテシステム100の動作のシーケンス図を示す。
【0036】
ステップS11
電子カルテを閲覧するユーザは、ユーザ端末装置120を操作して、ユーザID及びパスワードの入力や、指紋認証及び顔認証などの各種の認証技術を用いて電子カルテシステム100にログインする操作を行う。これにより、ログイン要求部4は、ネットワーク130を介して、ログイン要求REQを情報管理装置110へ送信する。
【0037】
ステップS12
ログイン認証部1は、ログイン要求REQを受け取ったならば、ログイン要求REQに含まれるユーザ認証情報を参照し、ユーザ認証情報が示すユーザが登録されたユーザで有るかを判定する。ユーザが登録されたユーザである場合にはログインを許可し、それ以外の場合にはログインを拒絶する。
【0038】
ステップS13
表示項目決定部2は、診療情報データベース20に含まれるログインを許可したユーザの属性を参照し、診療情報データベース20に含まれる診療情報の項目を選択、決定する。本実施の形態にかかる電子カルテシステム100では、医師及び看護師などのコメディカル(パラメディカル)といった医療を提供する医療提供者だけでなく、患者や患者の家族などの医療被提供者についても診療情報を閲覧可能なものとして構成される。
【0039】
例えば、上述の医療提供者が電子カルテを閲覧する場合には、的確な診断や治療を行うため、SOAPのすべてを閲覧できることが望ましい。
【0040】
これに対し、医療被提供者が電子カルテを閲覧する場合には、解釈に医学的な専門性が求められるO(Objective、客観的情報)及びA(Assessment、評価)については、開示したとしても解釈できないばかりでなく、不正確な知識に基づく誤解が生じるおそれがある。そのため、医療被提供者に対しては、S(Subjective、主観的情報)及びA(Assessment、評価)のみを公開し、O(Objective、客観的情報)及びP(Plan、計画)については公開しない、という方針を採用することが望ましいと考え得る。
【0041】
この場合、医療被提供者は、S(Subjective、主観的情報)を閲覧することで、自己が訴えた症状等の情報について、医療提供者が正確に認識しているかを確認することができる。これにより、これまでは確認できなかった医療提供者による患者の主訴の把握状況を確認できる点で、医療被提供者にとっては有用であるといえる。また、医療被提供者は、A(Assessment、評価)を閲覧することで、患者の健康状態を任意のタイミングで把握することができる。一般に、医師などの医療提供者から患者等の医療被提供者への告知などは口頭で行われることがほとんどであるが、電子カルテを閲覧することで、医療被提供者は所望の時期に患者の健康状態を確認することができる。また、診療の進捗に応じて診断内容が変更された場合でも、医療被提供者は適時にその変更を確認することができる。
【0042】
ステップS14
アクセス許可部3は、ユーザ端末装置120に対して、例えばアクセス許可PERを送信し、診療情報データベース20に含まれる診療情報のうち、ユーザの属性に基づいて選択した項目のデータにアクセスすることを許可する。
【0043】
ステップS15
ユーザ端末装置120の表示情報取得部5は、SOAPのうち、アクセスが許可された項目のデータを取得する。
【0044】
ステップS16
表示部6は、表示情報取得部5が取得したデータに基づいて、アクセスが許可された項目を表示する。ログインした者が医療提供者である場合には、図2に示した画面が表示される。ログインした者が医療被提供者である場合には、図2に示した表示画面のうちで、SOAPのうちS(Subjective、主観的情報)及びA(Assessment、評価)のみが表示される。図7に、医療被提供者が閲覧する場合の電子カルテの表示例を示す。
【0045】
以上、電子カルテシステム100によれば、電子カルテを閲覧するユーザの属性に応じて、電子カルテに含まれる必要な項目を適切に表示することが可能となる。
【0046】
なお、医療被提供者が閲覧する項目はS(Subjective、主観的情報)及びA(Assessment、評価)であるものとして説明したが、これらの中には医療被提供者の閲覧に供するべきでない情報が含まれることがある。例えば、S(Subjective、主観的情報)においては、患者の訴えの中には、患者本人の希望により、患者の家族等に閲覧させたくない情報が含まれる場合がある。また、例えば、A(Assessment、評価)においては、がんなどの重篤な病気にかかる診断結果や、確定診断に至っていない中間的な疑いレベルの情報など、患者に伝えることによって動揺を惹起し得る情報が含まれることがある。こうした場合には、医療被提供者が閲覧できる情報からS(Subjective、主観的情報)及びA(Assessment、評価)の一部又は全部を除外することが望ましい。
【0047】
この場合、医療提供者は、電子カルテに情報を入力するときに、S(Subjective、主観的情報)及びA(Assessment、評価)の記載事項のうち、医療被提供者に開示しない記載事項を指定することで、医療被提供者の閲覧に供するべきでない情報を閲覧対象から除外することもできる。図8に、医療被提供者の閲覧項目を制限する場合における医療提供者向けの電子カルテの表示例を示す。この例では、各イベント(各行)のS(Subjective、主観的情報)及びA(Assessment、評価)の各入力欄の右下部に、チェックボックスが表示されている。情報を入力する医療提供者は、医療被提供者へは非公開とする入力欄のチェックボックスをクリックしてチェックを付することで、チェックを付した欄の情報を非公開とすることができる。図8では、上から1行目のA(Assessment、評価)にチェックが付されており、この欄の内容は医療被提供者に対しては公開されないこととなる。
【0048】
図9に、医療被提供者の閲覧項目を制限する場合における医療被提供者向けの電子カルテの表示例を示す。この場合には、図7と比べて、上から1行目のA(Assessment、評価)の欄が空欄となっていることが確認できる。以上、図8及び図9を参照して説明したように、必要な情報を選択的に医療被提供者の閲覧に供することが可能となる。
【0049】
ここでは、非公開とする項目をS(Subjective、主観的情報)及びA(Assessment、評価)としたが、SOAP及びそれ以外の項目の一部又は全部について、公開及び非公開を選択できるようにしてもよい。
【0050】
なお、説明の簡略化のため、電子カルテを使用する者として、医療提供者及び医療被提供者について説明したが、電子カルテを使用する者はより細分化されてもよい。
【0051】
例えば、医療提供者については、医師、看護師及びそれ以外の医療提供者等に分けて、それぞれについて閲覧及び入力が可能な項目を指定してもよい。また、図8及び図9を参照して説明したのと同様の手法で、医療提供者間においても閲覧及び入力できる項目を制限してもよい。
【0052】
例えば、医療被提供者については、患者本人及び患者の家族などに分けて、それぞれについて閲覧及び入力が可能な項目を指定してもよい。
【0053】
実施の形態2
実施の形態1にかかる電子カルテシステム100は、電子カルテの閲覧を目的とするものであったが、電子カルテシステムの特定の項目について質問し、質問に対して回答し、又は意見を述べることができれば、電子カルテシステムの有用性をより向上させることができると考え得る。そこで、実施の形態2では、実施の形態1にかかる電子カルテシステム100に、医療提供者間でのメッセージの送信機能を付加した電子カルテシステム200について説明する。
【0054】
図10に、実施の形態2にかかる電子カルテシステム200の構成を模式的に示す。電子カルテシステム200は、実施の形態1にかかる電子カルテシステム100のユーザ端末装置120を、ユーザ端末装置220に置換した構成を有する。ユーザ端末装置220は、ユーザ端末装置120にメッセージ送信部7を追加した構成を有する。以下で説明する質問及び回答の送信は、ユーザ端末装置220のメッセージ送信部7によって行われる。
【0055】
本実施の形態では、メッセージ送信機能の例として、医療提供者間でのメッセージ送信機能について説明する。患者を診察して治療する際には、医師、薬剤師、看護師、臨床検査技師、理学療法士及び作業療法士など、多種多様な医療提供者が関与することが一般的である。また、同じ患者が、別の医療機関で診察を受ける場合も考えうる。この場合、各医療機関に属する各医療提供者がSOAP形式で記載された電子カルテを閲覧し、必要に応じて情報の入力を行うこととなる。この際、電子カルテを閲覧しただけでは、詳細な情報を把握しにくい事態が想定されるため、電子カルテに情報を入力した担当者に質問をして、回答を得られることが望ましい。
【0056】
質問者による質問の送信について説明する。図11に、質問メッセージの入力フォームの例を模式的に示す。質問者は、例えば図2に示す画面の特定の行又は特定の項目をクリックすると、同一画面の別フレーム又は別ウィンドウなどに、図11に示す質問メッセージの入力フォームが表示される。質問者(例えば、他の医療機関に属する医師)は、質問入力欄に質問事項を入力して送信処理を行うことで、選択したイベント又は項目に関する質問が、後述する質問スレッドに紐付けられる。質問が入力されると、当該イベント又は当該項目の担当者(例えば担当医師)へ宛てて、例えば質問が送信されたことを通知する電子メールが送信される。
【0057】
当該イベント又は当該項目の担当者は、通知を受けて電子カルテシステムにログインし、例えば当該イベント又は当該項目をクリックすることで、質問スレッドを閲覧することができる。図12に、質問スレッドの例を模式的に示す。図12に示した質問スレッドに表示された質問のうち、担当者が回答すべき質問をクリックすることで、同一画面の別フレーム又は別ウィンドウなどに、その質問に対する回答を入力する回答入力フォームが表示される。図13に、回答メッセージの入力フォームの例を模式的に示す。担当者は、回答入力欄に回答を入力して送信処理を行うことで、当該回答が質問スレッドに紐付けられる。回答が入力されると、質問者へ宛てて、例えば回答が送信されたことを通知する電子メールが送信される。これにより、質問者は、担当者から質問の回答を受け取ることが可能となる。
【0058】
上述の質問及び回答の閲覧は、質問者及び回答者の当事者間に限定されてもよいし、当事者以外の医療提供者に公開されてもよい。また、質問及び回答を当事者以外の医療提供者に公開するか否かについては、質問入力欄及び回答入力欄に設けたチェックボックスをチェックするなどして指定してもよい。なお、指定方法はこれに限られないことは、言うまでもない。
【0059】
以上、本構成によれば、医療提供者間において、診察記録について質問及び回答を行うことができる。これにより、異なる医療機関や異なる医療提供者間での意思疎通及び患者の診療記録の情報共有をより容易に行うことが可能となる。
【0060】
実施の形態3
実施の形態2では、医療提供者間でのメッセージの送信機能を付加した電子カルテシステムについて説明したが、医療被提供者が電子カルテの記載について意見を述べたい場合も想定しうる。そこで、実施の形態3では、実施の形態1にかかる電子カルテシステム100に、医療被提供者と医療提供者との間でのメッセージの送信機能を付加した電子カルテシステムについて説明する。なお、本実施の形態にかかる電子カルテシステムの構成は、実施の形態2にかかる電子カルテシステム200と同様であり、メッセージの送信はユーザ端末装置220のメッセージ送信部7によって行われるものとする。
【0061】
上述の実施の形態では、医療被提供者はSOAPのうちでS(Subjective、主観的情報)及びA(Assessment、評価)だけを閲覧するものとして説明したが、患者が電子カルテシステムを閲覧したときに、誤解などによって、症状に対して自己が医療提供者に対して行った説明と、担当者たる医療提供者がS(Subjective、主観的情報)の欄に入力した内容とが相違する場合があり得る。また、A(Assessment、評価)の項目についても、医療被提供者にとっては理解が困難な医学用語が使用される場合もあり得る。このような場合、医療被提供者から医療提供者へ向けて、S(Subjective、主観的情報)の記載内容について意見したり、A(Assessment、評価)について質問できることが望ましい。
【0062】
図14に、医療被提供者から医療提供者へ向けてのメッセージ送信機能を有する電子カルテシステムの表示例を示す。図14では、上から2行目のイベントである「診察記事036」のS(Subjective、主観的情報)について、医療被提供者(例えば患者)が医療提供者(例えば、担当医師)へメッセージを送付する場合について示している。医療被提供者は、例えば「診察記事036」のS(Subjective、主観的情報)の欄をクリックすると、図14の左下に示すように、同一画面の別フレーム又は別ウィンドウなどに、メッセージ入力欄が表示される。医療被提供者は、メッセージ入力欄に質問事項を入力して送信処理を行うことで、「診察記事036」のS(Subjective、主観的情報)の欄の記載についてのメッセージを送信することができる。メッセージが送信されると、「診察記事036」のS(Subjective、主観的情報)の欄を入力した医療提供者(例えば担当医師)へ宛てて、例えばメッセージが送信されたことを通知する電子メールが送信される。「診察記事036」のS(Subjective、主観的情報)の欄を入力した医療提供者は、通知を受けて電子カルテシステムにログインし、例えば「診察記事036」のS(Subjective、主観的情報)の項目をクリックすることで、送信されたメッセージの内容を閲覧することができる。
【0063】
上述の送信メッセージの閲覧は、医療被提供者及び送信メッセージの対象の欄に関する医療提供者の当事者に限定されてもよいし、当事者以外の医療被提供者及び医療提供者に公開されてもよい。また、送信メッセージを当事者以外に公開するか否かについては、送信メッセージ入力欄に設けたチェックボックスをチェックするなどして指定してもよい。なお、指定方法はこれに限られないことは、言うまでもない。
【0064】
なお、本実施の形態においても、実施の形態2と同様に、送信されたメッセージに対する回答を送信する機能を有していてもよい。この場合、実施の形態2における質問スレッドと同様のメッセージスレッドを設け、送信メッセージに対する回答を送信すればよい。なお、回答を公開するか否かについては、送信メッセージと同様に行うことが可能であることは、言うまでもない。
【0065】
以上、本構成によれば、医療被提供者は、診療情報について意見及び質問などが有る場合に、医療提供者へメッセージを送信することができる。
【0066】
一般的な電子カルテシステムでは、医療被提供者が電子カルテを閲覧してその記載内容について意見又は質問することはできなかった。これに対し、本実施の形態にかかる電子カルテシステムによれば、医療被提供者が医療提供者に対して、特定の項目について意見又は質問をすることで、電子カルテの記載内容をより適切なものに改善し、かつ、両者間における記載内容の理解を一致させることできる。これにより、電子カルテを利用した診察及び治療等をより効果的かつ適切に行うことが可能となる。
【0067】
実施の形態4
上述の実施の形態では、SOAP形式によって電子カルテに診療情報を記録していたが、診療情報としてはSOAP以外の項目も含まれ得る。本実施の形態では、電子カルテがSOAPに加えて、病名及び薬歴情報を含む場合について説明する。
【0068】
図15に、実施の形態4にかかる電子カルテシステムの表示画面の例を示す。図15は、ユーザが医療提供者の場合の表示画面を示している。図15に示すように、SOAPの右側の列に、担当医師が判断した病名及び薬歴(投薬の履歴)が表示されている。
【0069】
SOAP、病名及び薬歴を医療提供者が逐次入力することで、これらの情報が統合されて診療情報データベース20に格納されていてもよい。この場合には、上述の実施の形態と同様の構成を有する電子カルテシステムにおいて、電子カルテの表示項目を追加することで実現できる。
【0070】
一方で、例えば薬歴が他のデータベースに格納されている場合には、電子カルテシステムが他のデータベースから薬歴を読み出して、診療情報データベース20と統合してもよい。図16に、他のデータベースから薬歴を読み出して診療情報データベースに統合する場合の電子カルテシステム400の構成を模式的に示す。電子カルテシステム400は、実施の形態1にかかる電子カルテシステム100の情報管理装置110を、情報管理装置410に置換した構成を有する。情報管理装置410は、情報管理装置110に薬歴取得部8及び薬歴統合部9を追加した構成を有する。
【0071】
薬歴取得部8は、外部のデータベースにアクセスして、必要な薬歴情報を取得する。薬歴統合部9は、取得した薬歴を対応する診療情報に含まれるイベント及び項目に紐付けて、薬歴情報を診療情報に統合して、診療情報データベース20に格納する。
【0072】
以上説明したように、外部のデータベースに薬歴情報が格納されている場合でも、容易に薬歴情報を診療情報データベース20に統合して、電子カルテシステムによって薬歴を表示させることができる。
【0073】
なお、SOAPに含まれる項目、例えばS(Subjective、主観的情報)と、病名及び薬歴と、を診療情報データベース20から取得し、これらの相関を機械学習することで、S(Subjective、主観的情報)、病名及び薬歴の相関を分類することも可能である。
【0074】
図17に、実施の形態4にかかる電子カルテシステム400の変形例である電子カルテシステム401の構成を模式的に示す。電子カルテシステム401は、電子カルテシステム400の情報管理装置410を、情報管理装置411に置換した構成を有する。情報管理装置411は、情報管理装置410に機械学習部30を追加した構成を有する。
【0075】
機械学習部30は、診療情報データベース20から、所定の患者の各イベントのS(Subjective、主観的情報)、病名及び薬歴を読み込み、例えばこれらを教師なし学習によって機械学習を行うことで、S(Subjective、主観的情報)、病名及び薬歴の相関を学習することが可能である。学習した相関については、別途設けたデータベースに格納し、例えばS(Subjective、主観的情報)に応じて病名や投薬などの予測に用いることが可能となる。
【0076】
なお、本実施の形態では、例として病名及び薬歴を統合することについて説明したが、それ以外の項目をSOAPに統合してもよいことは、言うまでもない。
【0077】
実施の形態5
次いで、実施の形態5にかかる電子カルテシステムについて説明する。実施の形態5にかかる電子カルテシステムは、電子カルテに情報の入力を行う医療提供者が、患者の状態や気分を示す情報をS(Subjective、主観的情報)に紐付けて入力する機能を有するものとして構成される。
【0078】
図18に、実施の形態5にかかる電子カルテシステムの表示画面の例を示す。図18に示すように、各イベント(各行)のS(Subjective、主観的情報)の欄の下側に、星印が5つ並んだ枠が表示されている。初期状態においては、5つの星印は全て白抜きで表示されており、S(Subjective、主観的情報)の欄を入力する医療提供者が星印をクリックすることで、黒塗りの星印に変更することができる。これにより、黒塗りの星印の個数によって、患者の状態や気分について、すなわち医療提供者の所感について、5段階で評価することが可能となる。
【0079】
以上、本構成によれば、S(Subjective、主観的情報)に患者の状態や気分について医療提供者の所感を入力する手段を付加することで、診察の際に医師等の医療提供者が受けた印象を簡易に記録することが可能となる。これにより、後日電子カルテを閲覧する者は、S(Subjective、主観的情報)の欄に記録されている患者からの情報と、これに対する医療提供者の判断と、を把握してS(Subjective、主観的情報)の欄の記載を解釈することが可能となる。
【0080】
なお、本実施の形態では、例としてS(Subjective、主観的情報)について医療提供者が所感を入力する場合について説明したが、OAP又はSOAP以外の項目についても医療提供者が所感を入力可能に構成してもよいことは、言うまでもない。
【0081】
また、本実施の形態では、医療提供者の所感を5段階評価として入力する例について説明したが、評価は5段階以外の任意の段階としてもよいし、段階評価以外のテキスト上場であってもよい。
【0082】
その他の実施の形態
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、実施の形態4では、実施の形態1にかかる電子カルテシステム100と同様の構成において、患者の診療情報に病名及び薬歴などのSOAP以外の項目を統合することについて説明したが、これは例示に過ぎない。実施の形態2、3又は5にかかる電子カルテシステムと同様の構成において、患者の診療情報に病名及び薬歴などのSOAP以外の項目を統合してもよいことは、言うまでもない。
【0083】
実施の形態4では、実施の形態1にかかる電子カルテシステム100の情報管理装置110に薬歴取得部8及び薬歴統合部9を追加して、患者の診療情報に病名及び薬歴などのSOAP以外の項目を統合することについて説明したが、これは例示に過ぎない。実施の形態2、3又は5にかかる電子カルテシステムに薬歴取得部8及び薬歴統合部9を追加して、患者の診療情報に病名及び薬歴などのSOAP以外の項目を統合してもよいことは、言うまでもない。
【0084】
実施の形態4では、情報管理装置に機械学習部30を設けて診療情報の項目の相関を機械学習することについて説明したが、実施の形態1、2、3及び5にかかる電子カルテシステムの情報管理装置に機械学習部30を設けて、同様に診療情報の項目の相関を機械学習してもよいことは、言うまでもない。
【0085】
実施の形態5では、実施の形態1にかかる電子カルテシステムにおいて、特定の項目に医療提供者が所感を入力する構成について説明したが、実施の形態2~4にかかる電子カルテシステムを特定の項目に医療提供者が所感を入力する構成としてもよいことは、言うまでもない。
【0086】
上述の実施の形態では、本発明を主にハードウェアの構成として説明したが、これに限定されるものではなく、任意の処理を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。この場合、コンピュータプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0087】
1 ログイン認証部
2 表示項目決定部
3 アクセス許可部
4 ログイン要求部
5 表示情報取得部
6 表示部
7 メッセージ送信部
8 薬歴取得部
9 薬歴統合部
10 コンピュータ
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 記憶部
15 通信インターフェイス
16 バス
17 入力部
18 出力部
19 記憶装置
20 診療情報データベース
30 機械学習部
100、200、400、401 電子カルテシステム
110、210、410、411 情報管理装置
111 端末装置
112 サーバ
120、220 ユーザ端末装置
130 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図16
図17
図18