(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-07
(45)【発行日】2024-08-16
(54)【発明の名称】積層体、チューブ容器本体およびチューブ容器
(51)【国際特許分類】
B32B 27/32 20060101AFI20240808BHJP
B65D 35/10 20060101ALI20240808BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
B32B27/32 E
B65D35/10 A BRH
B65D65/40 D BSG
(21)【出願番号】P 2023128744
(22)【出願日】2023-08-07
(62)【分割の表示】P 2023056714の分割
【原出願日】2023-03-30
【審査請求日】2023-11-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【氏名又は名称】浅野 真理
(72)【発明者】
【氏名】勝又 淑江
(72)【発明者】
【氏名】大村 寛美
(72)【発明者】
【氏名】土田 雅子
【審査官】川井 美佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-160267(JP,A)
【文献】特開2022-128096(JP,A)
【文献】特開2021-017286(JP,A)
【文献】特開2021-053993(JP,A)
【文献】特開2022-082378(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B65D 35/00-53/42
B65D 35/56-37/00
B65D 65/00-65/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、第1のヒートシール層と、バリア性樹脂層と、第2のヒートシール層と、
をこの順に備える積層体であって、
前記第1のヒートシール層は、ポリエチレンを主成分として含有し、
前記第2のヒートシール層は、ポリエチレンを主成分として含有し、
前記バリア性樹脂層は、ガスバリア性樹脂を主成分として含有し、
前記積層体は、第1の表面
と第2の表面と、を有し、前記第1のヒートシール層が前記第1の表面を構成し、前記第2のヒートシール層が前記第2の表面を構成し、
前記第1のヒートシール層と前記バリア性樹脂層とが、ポリエチレンを主成分として含有する押出ポリエチレン層を介して積層されているか、および/または、前記バリア性樹脂層と第2のヒートシール層とが、ポリエチレンを主成分として含有する押出ポリエチレン層を介して積層されており、
前記バリア性樹脂層と前記第1の表面との間に位置する、
第1の表面を含めたポリエチレンを主成分として含有する層の合計厚さ(T
in)の、前記バリア性樹脂層の厚さ(T
b1)に対する比(T
in/T
b1)が、8.0以上であり、
前記積層体全体におけるポリエチレンの含有割合が、90質量%以上であ
り、
蒸着膜を備えない、積層体。
【請求項2】
前記バリア性樹脂層が、エチレン-ビニルアルコール共重合体を主成分として含有する、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記積層体が、第1のポリエチレン層と、第1の接着性樹脂層と、前記バリア性樹脂層と、第2の接着性樹脂層と、第2のポリエチレン層と、を備えるバリアフィルムを備える、請求項1に記載の積層体。
【請求項4】
前記バリアフィルムの厚さが、20μm以上100μm以下である、請求項3に記載の積層体。
【請求項5】
前記合計厚さ(T
in)が、120μm以上250μm以下である、請求項1に記載の積層体。
【請求項6】
前記バリア性樹脂層と前記第2の表面との間に位置する、
第2の表面を含めたポリエチレンを主成分として含有する層の合計厚さ(T
out)の、前記バリア性樹脂層の厚さ(T
b2)に対する比(T
out/T
b2)が、6.0以上14.0以下である、請求項1に記載の積層体。
【請求項7】
前記合計厚さ(T
out)が、100μm以上220μm以下である、請求項6に記載の積層体。
【請求項8】
前記積層体が、前記第1のヒートシール層と前記バリア性樹脂層との間、および/または、前記バリア性樹脂層と前記第2のヒートシール層との間に、印刷基材をさらに備え、
前記印刷基材が、ポリエチレンを主成分として含有する基材と、該基材の少なくともいずれか一方の表面に設けられた印刷層と、を備える、
請求項1に記載の積層体。
【請求項9】
前記積層体が、前記バリア性樹脂層、前記印刷基材における基材、前記印刷基材における印刷層および前記第2のヒートシール層をこの順に備える、請求項8に記載の積層体。
【請求項10】
前記印刷基材における基材が、中密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレンから選択される少なくとも1種を含有する延伸フィルムである、請求項8に記載の積層体。
【請求項11】
チューブ容器本体の胴部を形成するための積層体であって、前記第1のヒートシール層が前記胴部の内面側のシーラント層であり、前記第2のヒートシール層が前記胴部の外面側のシーラント層である、請求項1に記載の積層体。
【請求項12】
前記積層体が、前記第1のヒートシール層と前記バリア性樹脂層との間、および/または、前記バリア性樹脂層と前記第2のヒートシール層との間に、印刷基材をさらに備え、
前記印刷基材が、ポリエチレンを主成分として含有する基材と、該基材の少なくともいずれか一方の表面に設けられた印刷層と、を備え、
前記印刷基材において、前記チューブ容器本体の胴部を形成するためのヒートシールの予定領域に対応する領域に、前記印刷層が形成されていない、
請求項11に記載の積層体。
【請求項13】
前記積層体が、前記内面から順に、
前記第1のヒートシール層と、
所望により押出ポリエチレン層と、
前記バリア性樹脂層を備えるバリアフィルムと、
所望により押出ポリエチレン層と、
ポリエチレンを主成分として含有する基材、および印刷層を備える印刷基材と、
所望により押出ポリエチレン層と、
前記第2のヒートシール層と、
をこの順に備える、請求項11に記載の積層体。
【請求項14】
前記第1のヒートシール層が白色顔料を含有する、請求項13に記載の積層体。
【請求項15】
前記第1のヒートシール層が、5%以上40%以下の全光線透過率(JIS K7375:2008に準拠して測定)を有するポリエチレンフィルムである、請求項13に記載
の積層体。
【請求項16】
前記積層体が、前記内面から順に、
前記第1のヒートシール層と、
所望により押出ポリエチレン層と、
ポリエチレンを主成分として含有する基材と、
所望により押出ポリエチレン層と、
前記バリア性樹脂層を備えるバリアフィルムと、
所望により押出ポリエチレン層と、
ポリエチレンを主成分として含有する基材、および印刷層を備える印刷基材と、
所望により押出ポリエチレン層と、
前記第2のヒートシール層と、
をこの順に備える、請求項11に記載の積層体。
【請求項17】
前記第1のヒートシール層および前記ポリエチレンを主成分として含有する基材から選択される少なくとも一つが、白色顔料を含有する、請求項16に記載の積層体。
【請求項18】
前記第1のヒートシール層および前記ポリエチレンを主成分として含有する基材から選択される少なくとも一つが、5%以上40%以下の全光線透過率(JIS K7375:2008に準拠して測定)を有するポリエチレンフィルムである、請求項16に記載の積層体。
【請求項19】
頭部と胴部とを備えるチューブ容器本体であって、
前記頭部が、前記胴部の一端に連接している肩部と、前記肩部に連接している抽出口部とを備え、前記胴部が、請求項1~18のいずれか一項に記載の積層体により構成されている、
チューブ容器本体。
【請求項20】
前記頭部が、ポリエチレンを含有する樹脂組成物により形成されている、請求項19に記載のチューブ容器本体。
【請求項21】
請求項19に記載のチューブ容器本体と、
キャップと、
を備えるチューブ容器。
【請求項22】
前記キャップが、ポリエチレンを含有する樹脂組成物により形成されている、請求項21に記載のチューブ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層体、チューブ容器本体およびチューブ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
歯磨ペーストおよび洗顔クリーム等のペースト状の半流動体物を充填しておき、搾り出して使用するための包装容器として、チューブ容器が知られている。チューブ容器は、通常、チューブ容器本体とキャップとを備える。チューブ容器本体は、一般的に、一端が閉塞し、かつ他端が開口した胴部と、その胴部の開口他端に連接する、注出口を有する頭部と、を備える。胴部の一端の閉塞前に胴部内に内容物を充填して、次いで胴部の一端を閉塞することで、内容物を収容したチューブ容器が製造される。
【0003】
チューブ容器本体の胴部を構成する部材として、ポリエチレンフィルム、ポリエステルフィルム、蒸着フィルムおよびアルミニウム箔などを積層して得られる積層体が広く使用されている(例えば、特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-282184号公報
【文献】特開2014-231372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、循環型社会の構築という観点から、包装容器には高いリサイクル性が求められている。また、包装容器は、バリア性を有することが望ましい。しかしながら、従来のチューブ容器本体を構成する胴部は、上記したように、例えばポリエチレンフィルムとアルミニウム箔とを備える積層体により構成されている。積層体においてポリエチレンフィルムとアルミニウム箔とを分離することは一般的に困難である。このため、現状ではこのようなチューブ容器本体は、積極的にはリサイクルされてはいない。
【0006】
本発明者らは、積層体におけるポリエチレンの含有割合を高く維持しながら、ガスバリア性樹脂を主成分として含有するバリア性樹脂層を設けることにより、バリア性を高めることを検討した。このような構成であれば、リサイクル性およびバリア性を両立できると考えられる。このような積層体を筒状に丸めて、積層体の一方の端部の内面側ヒートシール層と積層体の他方の端部の外面側ヒートシール層とを重ね合わせ、重ね合わされた部分をヒートシールして接合部(溶着部)を形成して、チューブ容器本体の胴部を形成できる。しかしながら、本発明者らは、このような場合、接合部における接合強度が充分に得られずにデラミネーションが発生する場合があることを見出した。
【0007】
本開示は、リサイクル性およびバリア性に優れるとともに、ヒートシール後の接合部におけるデラミネーションの発生を抑制できる積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の積層体は、少なくとも、第1のヒートシール層と、バリア性樹脂層と、第2のヒートシール層と、をこの順に備え、第1のヒートシール層は、ポリエチレンを主成分として含有し、第2のヒートシール層は、ポリエチレンを主成分として含有し、バリア性樹脂層は、ガスバリア性樹脂を主成分として含有し、積層体は、第1の表面と、第1の表面に対向する第2の表面と、を有し、第1のヒートシール層が第1の表面を構成し、第2のヒートシール層が第2の表面を構成し、バリア性樹脂層と第1の表面との間に位置する、ポリエチレンを主成分として含有する層の合計厚さ(Tin)の、バリア性樹脂層の厚さ(Tb1)に対する比(Tin/Tb1)が、8.0以上であり、積層体全体におけるポリエチレンの含有割合が、90質量%以上である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、リサイクル性およびバリア性に優れるとともに、ヒートシール後の接合部におけるデラミネーションの発生を抑制できる積層体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の積層体の一実施形態を示す断面概略図である。
【
図2】
図2は、本開示の積層体の一実施形態を示す断面概略図である。
【
図3】
図3は、本開示の積層体の一実施形態を示す断面概略図である。
【
図4】
図4は、本開示の積層体の一実施形態を示す断面概略図である。
【
図5】
図5は、チューブ容器本体の筒状胴部の原反の上視図である。
【
図6】
図6は、本開示の積層体を含むチューブ容器本体と、キャップと、を備えるチューブ容器の一実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において、あるパラメータに関して複数の上限値の候補および複数の下限値の候補が挙げられている場合、そのパラメータの数値範囲は、任意の1つの上限値の候補と任意の1つの下限値の候補とを組み合わせることによって構成されてもよい。一例として、「パラメータBは、好ましくはA1以上、より好ましくはA2以上、さらに好ましくはA3以上である。パラメータBは、好ましくはA4以下、より好ましくはA5以下、さらに好ましくはA6以下である。」との記載について説明する。この例において、パラメータBの数値範囲は、A1以上A4以下でもよく、A1以上A5以下でもよく、A1以上A6以下でもよく、A2以上A4以下でもよく、A2以上A5以下でもよく、A2以上A6以下でもよく、A3以上A4以下でもよく、A3以上A5以下でもよく、A3以上A6以下でもよい。
【0012】
以下、本開示の実施形態について、詳細に説明する。本開示は多くの異なる形態で実施でき、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されない。図面は、説明をより明確にするため、実施形態に比べ、各層の幅、厚さおよび形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定しない。本明細書と各図において、既出の図に関してすでに説明したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0013】
以下、本開示の積層体の実施形態について、適宜図面を用いながら説明する。なお、以下の説明において、記載した成分(例えばポリエチレン、ガスバリア性樹脂、添加剤、白色顔料)は、それぞれ1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
【0014】
[積層体]
本開示の積層体は、少なくとも、第1のヒートシール層と、バリア性樹脂層と、第2のヒートシール層と、をこの順に備える。積層体が各層を「この順に備える」とは、積層体が各層を積層体の厚さ方向にこの順に備えることを意味する。
【0015】
本開示の積層体は、第1の表面と、厚さ方向において第1の表面に対向する第2の表面と、を有する。一実施形態において、第1のヒートシール層が積層体の第1の表面を構成し、第2のヒートシール層が積層体の第2の表面を構成する。
【0016】
第1のヒートシール層は、ポリエチレンを主成分として含有する層である。第2のヒートシール層は、ポリエチレンを主成分として含有する層である。したがって、本開示の積層体は、高いリサイクル性を有する。この積層体を備えるチューブ容器本体も、同様に高いリサイクル性を有する。第1のヒートシール層に含まれるポリエチレンは、第2のヒートシール層に含まれるポリエチレンと同一でもよく、異なってもよい。
【0017】
本開示において「ポリエチレンを主成分として含有する層」とは、当該層100質量%中のポリエチレンの含有割合が50質量%以上である層を意味する。上記含有割合は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、よりさらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。
【0018】
本開示の積層体は、第1のヒートシール層とバリア性樹脂層との間、およびバリア性樹脂層と第2のヒートシール層との間から選ばれる1つ以上に、ポリエチレンを主成分として含有する基材をさらに備えてもよい。本開示の積層体は、第1のヒートシール層とバリア性樹脂層との間、およびバリア性樹脂層と第2のヒートシール層との間から選ばれる1つ以上に、印刷基材をさらに備えてもよい。印刷基材は、基材と、該基材の少なくともいずれか一方の表面に設けられた印刷層と、を備える。
【0019】
本開示の積層体は、上記バリア性樹脂層を備えるバリアフィルムを備えてもよい。
【0020】
本開示の積層体は、第1のヒートシール層と、所望により接着層と、バリアフィルムと、所望により接着層と、第2のヒートシール層と、をこの順に備えてもよい。この実施形態において、第1のヒートシール層は、全光線透過率が5%以上40%以下の、または白色顔料を含有するポリエチレンフィルムでもよい。
本開示の積層体は、第1のヒートシール層と、所望により接着層と、バリアフィルムと、所望により接着層と、印刷基材と、所望により接着層と、第2のヒートシール層と、をこの順に備えてもよい。この実施形態において、第1のヒートシール層は、全光線透過率が5%以上40%以下の、または白色顔料を含有するポリエチレンフィルムでもよい。
本開示の積層体は、第1のヒートシール層と、所望により接着層と、基材と、所望により接着層と、バリアフィルムと、所望により接着層と、印刷基材と、所望により接着層と、第2のヒートシール層と、をこの順に備えてもよい。この実施形態において、第1のヒートシール層および/または基材は、全光線透過率が5%以上40%以下の、または白色顔料を含有するポリエチレンフィルムでもよい。
【0021】
本開示の積層体の一実施形態を
図1~
図4に示す。
図1の積層体1は、(第1の表面1S)第1のヒートシール層10と、バリア性樹脂層32と、第2のヒートシール層20(第2の表面2S)と、をこの順に備える。
図2の積層体1は、(第1の表面1S)第1のヒートシール層10と、接着層Adと、バリアフィルム30と、接着層Adと、第2のヒートシール層20(第2の表面2S)と、をこの順に備える。
図3の積層体1は、(第1の表面1S)第1のヒートシール層10と、接着層Adと、バリアフィルム30と、接着層Adと、印刷基材40と、接着層Adと、第2のヒートシール層20(第2の表面2S)と、をこの順に備える。
図4の積層体1は、(第1の表面1S)第1のヒートシール層10と、接着層Adと、基材50と、接着層Adと、バリアフィルム30と、接着層Adと、印刷基材40と、接着層Adと、第2のヒートシール層20(第2の表面2S)と、をこの順に備える。
【0022】
図2~
図4に示す例では、バリアフィルム30は、第1のポリエチレン層34Aと、第1の接着性樹脂層36Aと、バリア性樹脂層32と、第2の接着性樹脂層36Bと、第2のポリエチレン層34Bと、をこの順に備える。この例に限られず、バリアフィルム30は、バリア性樹脂層32からなってもよく、バリア性樹脂層32と図示せぬ他の層とからなってもよい。
図2~
図4に示す例では、印刷基材40は、基材42と、基材の一方の表面上に設けられた印刷層44と、を備える。
図3~
図4に示す例では、積層体1は、接着層Adと印刷層44との間に、図示せぬアンカーコート層をさらに備えてもよい。
【0023】
本開示の積層体は、ポリエチレンの含有割合が90質量%以上と高く、リサイクル性に優れる。本開示の積層体は、ガスバリア性樹脂を主成分として含有するバリア性樹脂層を備え、バリア性に優れる。すなわち本開示の積層体は、リサイクル性およびバリア性を両立できる。
【0024】
上記バリア性樹脂層を備える積層体をヒートシールしてチューブ容器本体の胴部を形成すると、接合部(筒貼り箇所)においてデラミネーションが発生する場合がある。デラミネーションは、チューブ容器内に内容物を充填した後、一定期間の経過後に、より発生する傾向にある。これは、接合部においてバリア性樹脂層が積層体の端面に露出して伸びており、バリア性樹脂層が例えば内容物の水分を取り込み、剥離しやすくなることに起因すると推測される。しかしながら本開示の積層体では、以下に説明するとおり各層の厚さを適切に制御することにより、接合部におけるこのようなバリア性樹脂層の端面露出を抑制でき、したがってデラミネーションの発生を抑制できる。
【0025】
バリア性樹脂層と積層体の第1の表面との間に位置する、ポリエチレンを主成分として含有する層の合計厚さを「Tin」と記載する。バリア性樹脂層の厚さを「Tb1」と記載する。バリア性樹脂層が2層以上存在する場合は、「Tin」の定義における上記バリア性樹脂層とは、バリア性樹脂層の中でも積層体の第1の表面に対して最も近くに位置するバリア性樹脂層を意味する。この場合のバリア性樹脂層の厚さ(Tb1)とは、バリア性樹脂層の中でも積層体の第1の表面に対して最も近くに位置するバリア性樹脂層の厚さを意味し、ただし、バリア性樹脂層の中でも積層体の第1の表面に対して最も近くに位置するバリア性樹脂層上に他の層を介さずに積層されたバリア性樹脂層が1層または2層以上存在する場合は、これらのバリア性樹脂層の厚さの合計、を意味する。
バリア性樹脂層と積層体の第2の表面との間に位置する、ポリエチレンを主成分として含有する層の合計厚さを「Tout」と記載する。バリア性樹脂層の厚さを「Tb2」と記載する。バリア性樹脂層が2層以上存在する場合は、「Tout」の定義における上記バリア性樹脂層とは、バリア性樹脂層の中でも積層体の第2の表面に対して最も近くに位置するバリア性樹脂層を意味する。この場合のバリア性樹脂層の厚さ(Tb2)とは、バリア性樹脂層の中でも積層体の第2の表面に対して最も近くに位置するバリア性樹脂層の厚さを意味し、ただし、バリア性樹脂層の中でも積層体の第2の表面に対して最も近くに位置するバリア性樹脂層上に他の層を介さずに積層されたバリア性樹脂層が1層または2層以上存在する場合は、これらのバリア性樹脂層の厚さの合計、を意味する。
【0026】
合計厚さ(Tin)の、厚さ(Tb1)に対する比(Tin/Tb1)は、好ましくは8.0以上、より好ましくは8.5以上、さらに好ましくは9.0以上、よりさらに好ましくは9.5以上、特に好ましくは10.0以上、11.0以上または12.0以上である。比(Tin/Tb1)は、好ましくは15.0以下、より好ましくは14.5以下、さらに好ましくは14.0以下である。このような態様であると、チューブ容器本体の胴部の内面における接合部(筒貼り箇所)において、ポリエチレンを主成分として含有する層がバリア性樹脂層の端面を充分に被覆でき、したがってデラミネーションの発生を抑制できる。一実施形態では、接合部において、胴部の径方向の内側(以下、単に内側という)に位置する積層体の第1のヒートシール層等がヒートシール時に溶融して、内側に位置する積層体のバリア性樹脂層の端面を覆うとともに、胴部の径方向の外側(以下、単に外側という)に位置する積層体の第1のヒートシール層に接着している。これにより、内側に位置する積層体と外側に位置する積層体との間の接合強度を高めることができる。このため、接合部におけるデラミネーションの発生を抑制できる傾向にある。
【0027】
合計厚さ(Tin)は、好ましくは120μm以上、より好ましくは130μm以上、さらに好ましくは140μm以上、よりさらに好ましくは150μm以上、特に好ましくは160μm以上、170μm以上または180μm以上である。合計厚さ(Tin)は、好ましくは250μm以下、より好ましくは230μm以下、さらに好ましくは210μm以下である。このような態様であると、チューブ容器本体の胴部の内面における接合部(筒貼り箇所)において、ポリエチレンを主成分として含有する層がバリア性樹脂層を充分に被覆でき、したがってデラミネーションの発生を抑制できる傾向にある。
【0028】
合計厚さ(Tout)の、厚さ(Tb2)に対する比(Tout/Tb2)は、好ましくは6.0以上、より好ましくは7.0以上、さらに好ましくは8.0以上である。比(Tout/Tb2)は、好ましくは14.0以下、より好ましくは13.0以下、さらに好ましくは12.0以下、よりさらに好ましくは11.0以下、特に好ましくは10.0以下である。このような態様であると、チューブ容器本体の胴部の外面における接合部(筒貼り箇所)において、ポリエチレンを主成分として含有する層がバリア性樹脂層の端面を充分に被覆でき、したがってデラミネーションの発生を抑制できる。一実施形態では、接合部において、胴部の外側に位置する積層体の第2のヒートシール層等がヒートシール時に溶融して、外側に位置する積層体のバリア性樹脂層の端面を覆うとともに、胴部の内側に位置する積層体の第2のヒートシール層に接着している。これにより、外側に位置する積層体と内側に位置する積層体との間の接合強度を高めることができる。このため、接合部におけるデラミネーションの発生を抑制できる傾向にある。
【0029】
合計厚さ(Tout)は、好ましくは100μm以上、より好ましくは110μm以上、さらに好ましくは120μm以上である。合計厚さ(Tout)は、好ましくは220μm以下、より好ましくは210μm以下、さらに好ましくは200μm以下、よりさらに好ましくは190μm以下、特に好ましくは180μm以下、170μm以下または160μm以下である。このような態様であると、チューブ容器本体の胴部の外面における接合部(筒貼り箇所)において、ポリエチレンを主成分として含有する層がバリア性樹脂層を充分に被覆でき、したがってデラミネーションの発生を抑制できる傾向にある。
【0030】
厚さ(Tb1)および厚さ(Tb2)は、それぞれ独立して、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上である。厚さ(Tb1)および厚さ(Tb2)は、それぞれ独立して、好ましくは40μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。積層体がバリア性樹脂層を1層のみ備える場合、または積層体が2層以上のバリア性樹脂層を備えるが、これらのバリア性樹脂層が他の層を介さずに積層されている場合、Tb1=Tb2である。この場合、単に「Tb」とも記載する。
【0031】
本開示の積層体の総厚さは、好ましくは260μm以上、より好ましくは280μm以上、さらに好ましくは300μm以上、よりさらに好ましくは320μm以上、特に好ましくは340μm以上である。本開示の積層体の総厚さは、好ましくは440μm以下、より好ましくは420μm以下、さらに好ましくは400μm以下、よりさらに好ましくは380μm以下、特に好ましくは360μm以下である。
【0032】
本開示の積層体全体におけるポリエチレンの含有割合は、好ましくは90質量%以上、より好ましくは92質量%以上、さらに好ましくは93質量%以上、特に好ましくは94質量%以上である。これにより、本開示の積層体および該積層体を備えるチューブ容器(特にラミネートチューブ容器)本体のリサイクル性を向上できる。
【0033】
一実施形態において、本開示の積層体は、ポリエチレンテレフタレートフィルム、アルミニウム箔、蒸着膜、および樹脂フィルム上に蒸着膜が形成された蒸着フィルムをいずれも備えない。これにより、本開示の積層体および該積層体を備えるチューブ容器(特にラミネートチューブ容器)本体のリサイクル性を向上できる。
【0034】
本明細書において「積層体」とは、上述した層構成を備える、製造ラインで製造された原反そのものを指すこともあり、また、該原反を切断して得られる積層体個片それぞれを指すこともあり、上記層構成を備えていれば特に限定されない。積層体個片は、例えば、チューブ容器本体の胴部を形成するために用いられる。
【0035】
図5に、切断線Lに沿って切断される前の、本開示の積層体としての原反の上視図を示す。この原反には、連続する複数の、チューブ容器本体の胴部を形成するための積層体(個片)が含まれる。この原反を切断線Lに沿って切断することにより、チューブ容器本体の胴部を形成するための積層体個片を複数得ることができる。この積層体個片を平面視した場合において、原反流れ方向に対して垂直方向の両端部に対応する領域には、印刷層が形成されていないことが好ましい。これにより、例えば、胴部における筒貼り箇所からのデラミネーションをより抑制できる。
【0036】
本開示の積層体の、JIS K7126-2:2006に準拠して測定される、温度23℃、湿度90%RH環境下における酸素透過度は、好ましくは2.0cc/m2・day・atm以下、より好ましくは1.5cc/m2・day・atm以下、さらに好ましくは1.0cc/m2・day・atm以下である。上記酸素透過度は低いほど好ましいが、その下限値は、例えば0.01cc/m2・day・atmでもよい。
【0037】
本開示の積層体の、JIS K7129-2:2019に準拠して測定される、温度40℃、湿度90%RH環境下における水蒸気透過度は、好ましくは3.0g/m2・day以下、より好ましくは2.0g/m2・day以下、さらに好ましくは1.5g/m2・day以下である。上記水蒸気透過度は低いほど好ましいが、その下限値は、例えば0.01g/m2・dayでもよい。
【0038】
本開示の積層体の、JIS K7375:2008に準拠して測定される全光線透過率は、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下、特に好ましくは15%以下である。本開示の積層体の上記全光線透過率は、例えば、5%以上でもよく、8%以上でもよい。
【0039】
<第1のヒートシール層および第2のヒートシール層>
第1のヒートシール層は、ポリエチレンを主成分として含有する。第2のヒートシール層は、ポリエチレンを主成分として含有する。第1のヒートシール層に含まれるポリエチレンと、第2のヒートシール層に含まれるポリエチレンとは、同一でもよく、異なってもよい。第1のヒートシール層および第2のヒートシール層は、それぞれ加熱によって溶融し、相互に融着し得る。
【0040】
本開示の積層体を、チューブ容器本体の胴部を形成するために用いる場合、第1のヒートシール層は胴部の内面側のシーラント層であり、第2のヒートシール層は胴部の外面側のシーラント層である。すなわち、上記胴部は、胴部の内側から外側に向かって、第1のヒートシール層と、バリア性樹脂層と、第2のヒートシール層と、をこの順に備える。一実施形態において、第1のヒートシール層が積層体の第1の表面を構成し、第2のヒートシール層が積層体の第2の表面を構成する。
【0041】
ポリエチレンとしては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンおよび超低密度ポリエチレンが挙げられる。これらの中でも、ヒートシール性という観点から、低密度ポリエチレンおよび直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。本開示において、高密度ポリエチレンとしては、密度が0.945g/cm3超のポリエチレンを使用してもよく、中密度ポリエチレンとしては、密度が0.932g/cm3超0.945g/cm3以下のポリエチレンを使用してもよく、低密度ポリエチレンとしては、密度が0.900g/cm3超0.932g/cm3以下のポリエチレンを使用してもよく、直鎖状低密度ポリエチレンとしては、密度が0.900g/cm3超0.932g/cm3以下のポリエチレンを使用してもよく、超低密度ポリエチレンとしては、密度が0.900g/cm3以下のポリエチレンを使用してもよい。ポリエチレンの密度は、JIS K7112:1999のD法(密度勾配管法、23℃)に準拠して測定する。
【0042】
低密度ポリエチレンは、通常、高圧重合法によりエチレンを重合して得られるポリエチレン(高圧法低密度ポリエチレン)である。直鎖状低密度ポリエチレンは、通常、低圧重合法(例:チーグラー・ナッタ触媒またはメタロセン触媒を用いた重合法)によりエチレンおよび少量のα-オレフィンを重合して得られるポリエチレンである。
【0043】
密度または分岐が異なるポリエチレンは、重合方法を適宜選択することによって得られる。例えば、重合触媒として、チーグラー・ナッタ触媒などのマルチサイト触媒、またはメタロセン触媒などのシングルサイト触媒を用いて、気相重合、スラリー重合、溶液重合および高圧イオン重合のいずれかの方法により、1段または2段以上の多段で重合を行うことが好ましい。
【0044】
本開示において、ポリエチレンには、エチレンと他のモノマーとの共重合体(以下「エチレン共重合体」ともいう)が包含される。本開示において、ポリエチレンにおけるエチレン由来の構成単位の含有割合は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、よりさらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上である。上記含有割合は、核磁気共鳴法(NMR法)により測定する。
【0045】
エチレン共重合体としては、例えば、エチレンと炭素数3以上20以下のα-オレフィンとの共重合体が挙げられる。炭素数3以上20以下のα-オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、3-メチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペンテンおよび6-メチル-1-ヘプテンが挙げられる。ポリエチレンは、エチレンと、酢酸ビニルまたは(メタ)アクリル酸エステルなどとの共重合体でもよい。
【0046】
ポリエチレンとしては、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレン(以下「バイオマスポリエチレン」ともいう)を使用してもよい。このようなバイオマスポリエチレンはカーボニュートラルな材料であるため、本開示の積層体作製における環境負荷を低減できる。
【0047】
ポリエチレンとしては、リサイクルされたポリエチレン(以下「リサイクルポリエチレン」ともいう)を使用してもよい。リサイクルポリエチレンとしては、例えば、メカニカルリサイクルまたはケミカルリサイクルによりリサイクルされたポリエチレンが挙げられる。メカニカルリサイクルとは、一般的に、回収されたポリエチレンフィルムなどを粉砕し、アルカリ洗浄してフィルム表面の汚れ、異物を除去した後、高温・減圧下で一定時間乾燥してフィルム内部に留まっている汚染物質を拡散させ除染を行い、フィルムの汚れを取り除き、再びポリエチレンに戻す方法である。ケミカルリサイクルとは、一般的に、回収されたポリエチレンフィルムなどをモノマーレベルまで分解し、当該モノマーを再度重合してポリエチレンを得る方法である。
【0048】
本開示において、ポリエチレンのメルトフローレート(MFR)は、製膜性および加工性という観点から、好ましくは0.1g/10分以上、より好ましくは0.3g/10分以上、さらに好ましくは0.5g/10分以上であり、好ましくは50g/10分以下、より好ましくは30g/10分以下、さらに好ましくは10g/10分以下である。ポリエチレンのMFRは、JIS K7210:1999に準拠し、温度190℃、荷重2.16kgの条件で、A法により測定する。
【0049】
上記ポリエチレンについての説明は、他の層に含まれるポリエチレンにも適用できる。
【0050】
第1のヒートシール層および第2のヒートシール層は、一実施形態において、それぞれ独立して、JIS K7375:2008に準拠して測定される全光線透過率が、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上、よりさらに好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上であるポリエチレンフィルムでもよい。
【0051】
第1のヒートシール層におけるポリエチレンの含有割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上であり、99質量%以下でもよく、97.5質量%以下でもよく、95質量%以下でもよい。このような構成により、例えば、本開示の積層体を備える包装容器のリサイクル性を向上できる。
第2のヒートシール層におけるポリエチレンの含有割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上であり、99質量%以下でもよく、97.5質量%以下でもよく、95質量%以下でもよい。このような構成により、例えば、本開示の積層体を備える包装容器のリサイクル性を向上できる。
【0052】
第1のヒートシール層は、一実施形態において、白色顔料を含有する。このような構成により、例えば、白インキなどのインキを用いずに積層体に隠蔽力(例えば白色の隠蔽感)を付与できる。例えば包装容器の内容物が歯磨ペーストなどである場合は、包装容器に歯の白さを表現する意匠を付与できる。また、インキを用いると溶剤を揮発除去する必要があることから積層体製造時に環境に負荷がかかる場合があるが、上記構成により、積層体製造時における環境負荷をより低減できる。
【0053】
白色顔料としては、例えば、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、クレイ、タルクおよび硫酸バリウムが挙げられる。
【0054】
白色顔料を含有する第1のヒートシール層における白色顔料の含有割合は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2.5質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、特に好ましくは20質量%以下である。これにより、上述した効果をより向上できる。
【0055】
第1のヒートシール層は、一実施形態において、JIS K7375:2008に準拠して測定される全光線透過率が、5%以上40%以下であるポリエチレンフィルムでもよく、例えば乳白ポリエチレンフィルムでもよい。これにより、例えば、積層体に隠蔽力を付与できる。
【0056】
第1のヒートシール層は、添加剤を含有してもよい。第2のヒートシール層は、添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、架橋剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料および改質用樹脂が挙げられる。
【0057】
第1のヒートシール層は、多層構造を有してもよい。第2のヒートシール層は、多層構造を有してもよい。多層構造としては、例えば、中密度ポリエチレンを含有する層、中密度ポリエチレンを含有する層、および中密度ポリエチレンを含有する層を備える構造が挙げられる。
【0058】
第1のヒートシール層は、ポリエチレンを含有するフィルムでもよい。第2のヒートシール層は、ポリエチレンを含有するフィルムでもよい。該フィルムは、延伸フィルムでもよく、未延伸フィルムでもよい。該フィルムは、ヒートシール性という観点から、未延伸フィルムであることが好ましい。
【0059】
第1のヒートシール層の表面には、表面処理が施されていてもよい。第2のヒートシール層の表面には、表面処理が施されていてもよい。これにより、これらのヒートシール層と、該ヒートシール層に隣接する層と、の密着性を向上できる。表面処理の方法としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガスおよび/または窒素ガスなどを用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理などの物理的処理、ならびに化学薬品を用いた酸化処理などの化学的処理が挙げられる。
【0060】
第1のヒートシール層の表面に、従来公知のアンカーコート剤を用いて、アンカーコート層を形成してもよい。第2のヒートシール層の表面に、従来公知のアンカーコート剤を用いて、アンカーコート層を形成してもよい。
【0061】
第1のヒートシール層の厚さは、好ましくは30μm以上、より好ましくは50μm以上であり、好ましくは150μm以下、より好ましくは130μm以下である。第2のヒートシール層の厚さは、好ましくは20μm以上、より好ましくは40μm以上であり、好ましくは140μm以下、より好ましくは120μm以下である。上記厚さが下限値以上であると、そのヒートシール性をより向上できる。上記厚さが上限値以下であると、積層体の加工性を向上できる。
【0062】
第1のヒートシール層および第2のヒートシール層は、それぞれ、例えば、ポリエチレンを少なくとも含有する樹脂組成物を、Tダイ法またはインフレーション法などを利用してフィルム化することにより形成してもよい。第1のヒートシール層および第2のヒートシール層は、それぞれ、例えば、後述する押出ポリエチレン層を介して積層してもよい。
【0063】
<バリア性樹脂層およびバリアフィルム>
本開示の積層体は、バリア性樹脂層を備える。バリア性樹脂層は、ガスバリア性樹脂を主成分として含有する層である。このような積層体は、例えば、蒸着膜、蒸着フィルムおよびアルミニウム箔などの異種層を備えることなく、酸素バリア性および水蒸気バリア性などのバリア性に優れる。
【0064】
ガスバリア性樹脂としては、例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル;ナイロン6、ナイロン6,6およびポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)などのポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ならびに(メタ)アクリル樹脂が挙げられる。これらの中でも、耐熱性およびガスバリア性の観点から、EVOHが好ましい。
【0065】
EVOHは、例えば、エチレンとビニルエステル系モノマーとを共重合させた後にケン化させることにより得られる。エチレンとビニルエステル系モノマーとの共重合は、公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合などにより行うことができる。ビニルエステル系モノマーとしては、一般的に酢酸ビニルが用いられるが、他のビニルエステル系モノマーを用いてもよい。他のビニルエステル系モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニルおよびバーサチック酸ビニル等の脂肪族ビニルエステル;安息香酸ビニル等の芳香族ビニルエステルが挙げられる。EVOHは、公知の方法により、ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化、オキシアルキレン化などの変性がされていてもよい。
【0066】
エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)においてエチレンに由来する構成単位の含有割合(エチレン含有割合)は、好ましくは20モル%以上、より好ましくは25モル%以上であり、好ましくは60モル%以下、より好ましくは50モル%以下である。エチレン含有割合が下限値以上であると、例えば、積層体の加工性を向上できる。エチレン含有割合が上限値以下であると、例えば、積層体の酸素バリア性および/または水蒸気バリア性を向上できる。エチレン含有割合は、NMR法により測定する。
【0067】
EVOHの融点(Tm)は、耐熱性の観点から、好ましくは140℃以上、より好ましくは145℃以上、さらに好ましくは150℃以上であり、好ましくは200℃以下、より好ましくは195℃以下、さらに好ましくは190℃以下である。EVOHのTmは、JIS K7121:2012に準拠して、示差走査熱量測定(DSC)により得られる融解ピーク温度である。
【0068】
EVOHにおけるビニルエステル成分の平均ケン化度は、ガスバリア性の観点から、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは99モル%以上である。平均ケン化度は、JIS K6726-1994(ただしEVOHは水/メタノール溶媒に均一に溶解した溶液を使用)に準拠して測定する。
【0069】
EVOHのメルトフローレート(MFR)は、製膜性および加工性という観点から、好ましくは0.1g/10分以上、より好ましくは0.3g/10分以上、さらに好ましくは0.5g/10分以上であり、好ましくは50g/10分以下、より好ましくは30g/10分以下、さらに好ましくは10g/10分以下である。EVOHのMFRは、JIS K7210:1999に準拠し、温度190℃、荷重2.16kgの条件で、A法により測定するが、測定温度はEVOHの融点に応じて、210℃でもよい。
【0070】
バリア性樹脂層におけるガスバリア性樹脂の含有割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは75質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、85質量%以上または90質量%以上である。これにより、例えば、積層体の酸素バリア性および水蒸気バリア性などのバリア性を向上できる。
【0071】
バリア性樹脂層は、ガスバリア性樹脂以外の樹脂を含有してもよい。このような樹脂としては、例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン;ビニル樹脂;ならびにセルロール樹脂が挙げられる。
バリア性樹脂層は、上記添加剤を含有してもよい。
【0072】
バリア性樹脂層は、例えば、ガスバリア性樹脂を少なくとも含有する樹脂組成物を、Tダイ法またはインフレーション法などを利用してフィルム化することにより形成してもよい。
【0073】
バリア性樹脂層の厚さは、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上であり、好ましくは40μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。厚さが下限値以上であると、例えば、バリア性樹脂層による効果を向上できる。厚さが上限値以下であると、例えば、積層体のリサイクル性を向上できる。以下に説明するバリアフィルムの総厚さに対するバリア性樹脂層の厚さの割合は、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは15%以上であり、好ましくは40%以下、より好ましくは35%以下、さらに好ましくは30%以下である。
【0074】
本開示の積層体は、上記バリア性樹脂層を備えるバリアフィルムを備えてもよい。バリアフィルムは、例えば、ポリエチレン層とバリア性樹脂層とを備え、ポリエチレン層とバリア性樹脂層との間に、接着性樹脂層を備えてもよい。バリアフィルムは、一実施形態において、第1のポリエチレン層と、第1の接着性樹脂層と、バリア性樹脂層と、第2の接着性樹脂層と、第2のポリエチレン層と、をこの順に備える。例えば、直鎖状低密度ポリエチレン層、接着性樹脂層、エチレン-ビニルアルコール共重合体層、接着性樹脂層および直鎖状低密度ポリエチレン層をこの順に備えるバリアフィルム、ならびに中密度ポリエチレン層、接着性樹脂層、エチレン-ビニルアルコール共重合体層、接着性樹脂層および中密度ポリエチレン層をこの順に備えるバリアフィルムでもよい。以下の記載において、第1のポリエチレン層と第2のポリエチレン層とを特に区別しない場合は、単にポリエチレン層と記載する。
【0075】
第1のポリエチレン層および第2のポリエチレン層などのポリエチレン層は、ポリエチレンを主成分として含有する。ポリエチレンとしては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンおよび超低密度ポリエチレンが挙げられる。第1のポリエチレン層に含まれるポリエチレンと、第2のポリエチレン層に含まれるポリエチレンとは、同一でもよく、異なってもよい。
【0076】
ポリエチレン層は、バイオマスポリエチレンを含有してもよい。
ポリエチレン層は、リサイクルポリエチレンを含有してもよい。
ポリエチレン層は、上記添加剤を含有してもよい。
【0077】
ポリエチレン層におけるポリエチレンの含有割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。このような構成により、例えば、本開示の積層体を備える包装容器のリサイクル性を向上できる。
【0078】
バリアフィルムの総厚さに対する第1のポリエチレン層の厚さの割合は、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上、さらに好ましくは20%以上であり、好ましくは45%以下、より好ましくは43%以下、さらに好ましくは40%以下である。バリアフィルムの総厚さに対する第2のポリエチレン層の厚さの割合は、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上、さらに好ましくは20%以上であり、好ましくは45%以下、より好ましくは43%以下、さらに好ましくは40%以下である。
【0079】
接着性樹脂層は、接着性樹脂を含有する。
接着性樹脂としては、例えば、ポリエチレンなどのポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ビニル樹脂、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂が挙げられる。これらの中でも、リサイクル性および密着性という観点から、ポリオレフィンおよび変性ポリオレフィンが好ましく、酸変性ポリオレフィン等の変性ポリオレフィンがより好ましい。変性ポリオレフィンとしては、例えば、マレイン酸およびフマル酸等の不飽和カルボン酸、またはその酸無水物、エステルもしくは金属塩による、ポリオレフィンの変性物(特にポリオレフィンのグラフト変性物)が挙げられる。接着性樹脂の中でも、モノマテリアル包装材料に適した構成が得られるという観点から、変性ポリエチレンなどの変性ポリオレフィンが好ましく、酸変性ポリエチレンなどの酸変性ポリオレフィンがより好ましく、無水マレイン酸変性ポリエチレンがさらに好ましい。
【0080】
接着性樹脂層は、上記添加剤を含有してもよい。
【0081】
バリアフィルムの総厚さに対する第1の接着性樹脂層の厚さの割合は、好ましくは1%以上、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは5%以上であり、好ましくは20%以下、より好ましくは18%以下、さらに好ましくは15%以下である。バリアフィルムの総厚さに対する第2の接着性樹脂層の厚さの割合は、好ましくは1%以上、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは5%以上であり、好ましくは20%以下、より好ましくは18%以下、さらに好ましくは15%以下である。
【0082】
バリア性樹脂層を備えるバリアフィルムは、共押出樹脂フィルムでもよい。共押出樹脂フィルムは、例えば、インフレーション法またはTダイ法などを利用して製膜することにより作製してもよい。バリア性樹脂層を備えるバリアフィルムは、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン層、接着性樹脂層、エチレン-ビニルアルコール共重合体層、接着性樹脂層および直鎖状低密度ポリエチレン層をこの順に備える共押出樹脂フィルムでもよい。バリアフィルムとヒートシール層等との積層は、後述する押出ポリエチレン層を介して行うことができる。
【0083】
バリアフィルムは、相溶化剤を含有してもよい。バリアフィルムにおける2層以上の層が相溶化剤を含有してもよい。バリアフィルムが相溶化剤を含有することにより、本開示の積層体を用いて作製したチューブ容器本体を加熱溶融し、リサイクルする際において、バリア性樹脂層に含まれるガスバリア性樹脂と、ヒートシール層等に含まれるポリエチレンと、の混合性を向上できる。これにより、その物性が低下してしまうことを効果的に抑制できる。また、その透明性が低下してしまうことを効果的に抑制できる。
【0084】
相溶化剤は、従来公知のものを適宜選択して使用できるが、リサイクル性の観点から、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィンが好ましく、無水マレイン酸変性ポリエチレンがより好ましい。
【0085】
バリアフィルム全体における相溶化剤の含有割合は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは20質量%以下である。上記含有割合が5質量%以上であると、上述の物性低下および透明性低下をより効果的に抑制できる。上記含有割合が20質量%以下であると、バリアフィルムの成形性を向上でき、また、本開示の積層体をリサイクルして得られる樹脂を用いて作製されるフィルムの強度低下を抑制できる。
【0086】
バリアフィルムは、延伸フィルムでもよく、未延伸フィルムでもよい。バリアフィルムは、積層体の強度という観点から、延伸フィルムでもよい。延伸フィルムは、一軸延伸フィルムでもよく、二軸延伸フィルムでもよい。
【0087】
バリアフィルムの表面には、上記表面処理が施されていることが好ましい。これにより、バリアフィルムと、該バリアフィルムに隣接する層と、の密着性を向上できる。
【0088】
バリアフィルムの総厚さは、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは90μm以下である。上記厚さが20μm以上であると、積層体のガスバリア性をより向上できる。上記厚さが100μm以下であると、積層体のリサイクル性をより向上できる。
【0089】
<基材>
本開示の積層体は、第1のヒートシール層とバリア性樹脂層との間、およびバリア性樹脂層と第2のヒートシール層との間から選ばれる1つ以上に、基材をさらに備えてもよい。本開示の積層体は、第1のヒートシール層とバリアフィルムとの間、およびバリアフィルムと第2のヒートシール層との間から選ばれる1つ以上に、基材をさらに備えてもよい。基材は、ポリエチレンを主成分として含有する。
【0090】
ポリエチレンとしては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンおよび超低密度ポリエチレンが挙げられる。これらの中でも、基材の強度および耐熱性という観点から、高密度ポリエチレンおよび中密度ポリエチレンが好ましく、基材の延伸適性という観点から、中密度ポリエチレンがより好ましい。
【0091】
基材におけるポリエチレンの含有割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上である。このような構成により、例えば、本開示の積層体を備える包装容器のリサイクル性を向上できる。
【0092】
基材は、バイオマスポリエチレンを含有してもよい。
基材は、リサイクルポリエチレンを含有してもよい。
基材は、上記添加剤を含有してもよい。
【0093】
基材は、一実施形態において、JIS K7375:2008に準拠して測定される全光線透過率が、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上、よりさらに好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上であるポリエチレンフィルムでもよい。
【0094】
本開示の積層体は、印刷基材と第1のヒートシール層との間に、白色顔料を含有する基材をさらに備えてもよい。このような構成により、例えば、白インキなどのインキを用いずに積層体に隠蔽力(例えば白色の隠蔽感)を付与でき、環境負荷を低減できる。
【0095】
白色顔料としては、例えば、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、クレイ、タルクおよび硫酸バリウムが挙げられる。
【0096】
白色顔料を含有する基材における白色顔料の含有割合は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2.5質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、特に好ましくは20質量%以下である。これにより、上述した効果をより向上できる。
【0097】
基材は、一実施形態において、JIS K7375:2008に準拠して測定される全光線透過率が、5%以上40%以下であるポリエチレンフィルムでもよく、例えば乳白ポリエチレンフィルムでもよい。これにより、例えば、積層体に隠蔽力を付与できる。
【0098】
基材は、多層構造を有してもよい。多層構造としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレンを含有する層、高密度ポリエチレンを含有する層、および直鎖状低密度ポリエチレンを含有する層を備える構造が挙げられる。
【0099】
基材は、ポリエチレンを含有するフィルムでもよい。該フィルムは、延伸フィルムでもよく、未延伸フィルムでもよい。該フィルムは、積層体の強度という観点から、延伸フィルムが好ましい。延伸フィルムは、一軸延伸フィルムでもよく、二軸延伸フィルムでもよい。延伸フィルムにおける長手方向(MD)の延伸倍率は、一実施形態において、好ましくは2倍以上10倍以下、より好ましくは3倍以上7倍以下である。延伸フィルムにおける横手方向(TD)の延伸倍率は、一実施形態において、好ましくは2倍以上10倍以下、より好ましくは3倍以上7倍以下である。延伸倍率が2倍以上であると、例えば、ポリエチレンフィルムの剛性、強度および耐熱性を向上でき、ポリエチレンフィルムへの印刷適性を向上でき、また、ポリエチレンフィルムの透明性を向上できる。延伸倍率が10倍以下であると、例えば、フィルムの破断等を起こさず、良好な延伸を実施できる。延伸フィルムは、一実施形態において、一軸延伸フィルムであり、より具体的には、長手方向(MD)に延伸処理された一軸延伸フィルムである。
【0100】
基材の表面には、上記表面処理が施されていてもよい。これにより、基材と、該基材に隣接する層と、の密着性を向上できる。基材の表面に、従来公知のアンカーコート剤を用いて、アンカーコート層を形成してもよい。
【0101】
基材の厚さは、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは70μm以下である。基材の厚さが10μm以上であると、その強度および耐熱性をより向上できる。基材の厚さが100μm以下であると、積層体の加工性を向上できる。
【0102】
基材は、例えば、ポリエチレンを少なくとも含有する樹脂組成物を、Tダイ法またはインフレーション法などを利用してフィルム化することにより作製してもよい。
【0103】
<印刷層>
本開示の積層体は、印刷層を備えてもよい。印刷層は、画像を含む。
画像としては、例えば、文字、図形、記号、模様およびこれらの組合せが挙げられる。画像は、商品名、包装容器中の内容物の名称、製造者および原材料名等の文字情報を含んでもよい。画像は、単色無地(いわゆるベタ画像)でもよい。
【0104】
印刷層は、例えば、それぞれ着色剤を含有する、熱可塑性樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物およびエネルギー線硬化性樹脂組成物などの印刷層用組成物を用いて形成してもよい。具体的には、印刷層は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の硬化物またはエネルギー線硬化性樹脂の硬化物などの樹脂成分と、着色剤とを含有する。
【0105】
着色剤としては、例えば、無機顔料および有機顔料等の顔料;酸性染料、直接染料、分散染料、油溶性染料、含金属油溶性染料および昇華性染料等の染料が挙げられる。顔料としては、具体的には、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、酸化鉄、鉄黄、群青、メタリック顔料、パール顔料および蛍光顔料が挙げられる。
印刷層は、高い金属光沢感を有する高輝度層でもよい。
【0106】
印刷層における樹脂成分の含有割合は、10質量%以上でもよく、30質量%以上でもよく、50質量%以上でもよく、99質量%以下でもよく、97質量%以下でもよく、95質量%以下でもよい。印刷層における着色剤の含有割合は、1質量%以上でもよく、3質量%以上でもよく、5質量%以上でもよく、90質量%以下でもよく、70質量%以下でもよく、50質量%以下でもよい。
【0107】
印刷層用組成物は、塗布性等を向上させるという観点から、有機溶剤および/または水を含有してもよい。有機溶剤としては、例えば、トルエンおよびキシレン等の炭化水素類;アセトンおよびメチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、セロソルブアセテートおよびブチルセロソルブアセテート等のエステル類;プロパノール等のアルコール類が挙げられる。
【0108】
印刷層は、例えば、基材の少なくともいずれか一方の表面に設けられていてもよい。例えば、本開示の積層体は、第2のヒートシール層とバリア性樹脂層との間、具体的には第2のヒートシール層とバリアフィルムとの間に、印刷基材を備えてもよい。印刷基材は、ポリエチレンを主成分として含有する基材と、該基材の少なくともいずれか一方の表面に設けられた印刷層と、を備える。印刷基材における印刷層は、基材における第2のヒートシール層に向かう面上に設けられていてもよく、基材における第1のヒートシール層に向かう面上に設けられていてもよい。印刷基材における印刷層は、基材における第2のヒートシール層に向かう面上に設けられていることが好ましい。
【0109】
印刷層の厚さは、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは1μm以上であり、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。
【0110】
印刷層の印刷方法としては、例えば、活版印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷および熱転写印刷が挙げられる。印刷層を活版印刷またはフレキソ印刷により形成する場合、エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いることが好ましく、紫外線硬化性樹脂組成物を用いることがより好ましい。
【0111】
本開示の積層体を平面視した場合において、チューブ容器本体の胴部を形成するためのヒートシールの予定領域に対応する領域には、印刷層が形成されていないことが好ましい。「平面視」とは、積層体の第2の表面の法線方向から積層体を視ることをいう。上述した接合部におけるバリア性樹脂層の端面露出を抑制することに加えて、このような印刷層の構成により、印刷層を起点として接合部(筒貼り箇所)においてデラミネーションが発生することを抑制できる。
【0112】
<アンカーコート層>
本開示の積層体は、印刷層と押出ポリエチレン層との間に、アンカーコート層をさらに備えてもよい。このような積層体は、例えば、層間密着性に優れる。アンカーコート層は、例えば、アンカーコート剤により形成される。
【0113】
アンカーコート剤としては、例えば、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリエチレンイミン系またはエポキシ樹脂系のアンカーコート剤が挙げられる。アンカーコート剤は、一実施形態において、2液硬化型樹脂であり、例えば、主剤のポリオールと硬化剤のポリイソシアネートとからなる。ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよび(メタ)アクリルポリオールが挙げられる。ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートおよびポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ならびにヘキサメチレンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。アンカーコート層は、一実施形態において、ポリオールとポリイソシアネートとの反応によって得られるポリウレタンからなる。ポリウレタンとしては、具体的には、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタンおよびポリ(メタ)アクリルポリウレタンが挙げられる。
【0114】
アンカーコート層は、例えば、印刷基材にアンカーコート剤を塗布することにより形成できる。アンカーコート剤は、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法およびキスコート法等のコート法、または印刷法によって塗布できる。
【0115】
アンカーコート層の厚さは、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.3μm以上、さらに好ましくは0.5μm以上であり、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは2μm以下である。
【0116】
<接着層>
本開示の積層体は、任意の層間、例えば、第2のヒートシール層とバリアフィルムとの間、バリアフィルムと第1のヒートシール層との間、第2のヒートシール層と基材との間、基材とバリアフィルムとの間、基材と第1のヒートシール層との間から選ばれる1つ以上に、接着層を備えることができる。これにより、積層体中の層間密着強度を向上でき、したがって、例えば積層体およびチューブ容器におけるデラミネーションを抑制できる。
【0117】
接着層としては、例えば、ポリエチレンを主成分として含有する押出ポリエチレン層が好ましい。押出ポリエチレン層を備える積層体は、ポリエチレンの含有割合が高く、リサイクル性に優れる。
【0118】
押出ポリエチレン層に含まれるポリエチレンとしては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンおよび超低密度ポリエチレンが挙げられる。これらの中でも、層間密着性という観点から、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンおよび超低密度ポリエチレンが好ましく、低密度ポリエチレンがより好ましい。
【0119】
押出ポリエチレン層に含まれるポリエチレンのメルトフローレート(MFR)は、製膜性および加工性という観点から、好ましくは1g/10分以上、より好ましくは2g/10分以上、さらに好ましくは3g/10分以上であり、好ましくは50g/10分以下、より好ましくは30g/10分以下、さらに好ましくは20g/10分以下である。ポリエチレンのMFRは、JIS K7210:1999に準拠し、温度190℃、荷重2.16kgの条件で、A法により測定する。
【0120】
押出ポリエチレン層に含まれるポリエチレンの融点(Tm)は、耐熱性および接着性のバランスという観点から、好ましくは100℃以上であり、好ましくは140℃以下、より好ましくは130℃以下、さらに好ましくは120℃以下である。ポリエチレンのTmは、JIS K7121:2012に準拠して、示差走査熱量測定(DSC)により得られる融解ピーク温度である。
【0121】
押出ポリエチレン層は、バイオマスポリエチレンを含有してもよい。
押出ポリエチレン層は、リサイクルポリエチレンを含有してもよい。
押出ポリエチレン層は、上記添加剤を含有してもよい。
【0122】
押出ポリエチレン層におけるポリエチレンの含有割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。このような構成により、例えば、接着性およびリサイクル性を向上できる。
【0123】
押出ポリエチレン層の厚さは、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは15μm以上であり、好ましくは40μm以下、より好ましくは35μm以下、さらに好ましく30μm以下である。上記厚さが5μm以上であると、層間密着性をより向上できる。上記厚さが40μm以下であると、積層体の生産コストを低減できると共に、その生産性を向上できる。
【0124】
押出ポリエチレン層は、例えば、ポリエチレンを少なくとも含有する樹脂組成物を、対象フィルム上に溶融押出することにより形成してもよい。このときの溶融温度は、例えば、好ましくは280℃以上、より好ましくは290℃以上であり、好ましくは340℃以下、より好ましくは335℃以下である。
【0125】
[チューブ容器本体]
本開示のチューブ容器本体は、上記積層体を備える。
以下、本開示のチューブ容器本体について図面を参照しながら説明する。
図6は、チューブ容器100の構成を簡略的に示す図であり、
図7は、
図6のA-A断面図である。
図6に示すように、チューブ容器本体101は、頭部102と胴部103とを備え、該胴部103が本開示の積層体により構成されている。
【0126】
<頭部>
頭部102は、胴部103の一端に連接している肩部104と、肩部104に連接している抽出口部105と、を備える。一実施形態において、注出口部105は、キャップ106を螺合するための螺条107を備える。
【0127】
一実施形態において、頭部は、ポリエチレンを含有する樹脂組成物により形成されている。これにより、チューブ容器本体のリサイクル性を向上できる。ポリエチレンとしては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンおよび超低密度ポリエチレンが挙げられる。これらの中でも、保型性および成型性という観点から、高密度ポリエチレンが好ましい。
【0128】
上記樹脂組成物は、バイオマスポリエチレンおよびリサイクルポリエチレンから選ばれる少なくとも1種を含有してもよい。
上記樹脂組成物は、上記添加剤を含有してもよい。
【0129】
頭部は、従来公知の方法により製造できる。例えば、圧縮成形法(コンプレッション成形法)や射出成形法(インジェクション成形法)により頭部を製造すると共に、胴部と接合させることができる。
【0130】
圧縮成形法(コンプレッション成形法)を用いてチューブ容器本体を製造する場合、上部に凸部を有する雄型に胴部を装着した後、雄型と雌型とを対向させ、溶融した樹脂組成物を雌雄内に供給し、圧縮成形して頭部を成形すると共に、頭部を胴部の一方の開口に接合させることにより、頭部と胴部とを備えるチューブ容器本体を製造してもよい。
【0131】
射出成形法(インジェクション成形法)を用いてチューブ容器本体を製造する場合、上部に凸部を有する雄型に胴部を装着した後、雄型と雌型とを対向させ、ゲートから溶融した樹脂組成物を供給し、射出成形して頭部を成形すると共に、頭部を胴部の一方の開口に接合させることにより、頭部と胴部とを備えるチューブ容器本体を製造してもよい。
【0132】
<胴部>
本開示のチューブ容器本体101において、胴部103は、頭部102の肩部104に連接されている。胴部103は、例えば、本開示の積層体の一方の端部の第1のヒートシール層側表面と、他方の端部の第2のヒートシール層側表面とが接するように重ね合わせて筒状(例えば円筒状)に丸め、重ね合わされた部分をヒートシールすることにより形成された接合部108を備える。胴部103は、例えば、筒状に丸めた積層体の開口部をヒートシールすることにより形成された底接合部109を備える。
【0133】
ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シールおよび火炎シールなどの従来公知の方法が挙げられる。
【0134】
例えば、本開示の積層体の一方の端部の第1のヒートシール層側表面と、他方の端部の第2のヒートシール層側表面とが接するように重ね合わせて筒状に丸め、重ね合わされた部分をヒートシールすることにより、筒状の胴部を製造してもよい。ヒートシール性という観点から、重ね合わせた一方の端部が第1のヒートシール層であり、他方の端部が第2のヒートシール層であることが好ましい。この場合、第1のヒートシール層と第2のヒートシール層とが溶融して接合され、接合部が形成される。
【0135】
上記実施形態では、接合部は重ね合わせにより形成されるが、積層体の両端部の同一表面を突き合わせて、第1のヒートシール層同士をヒートシールして接合してもよい。
【0136】
[チューブ容器]
以下、本開示のチューブ容器について図面を参照しながら説明する。
図6に示すように、本開示のチューブ容器100は、チューブ容器本体101と、頭部102に装着されるキャップ106とを備える。
【0137】
<チューブ容器本体>
チューブ容器本体については上述したため、ここでは記載を省略する。
【0138】
<キャップ>
キャップは、頭部の抽出口部に着脱可能に装着されており、抽出口部を閉鎖する役割を担う。一実施形態において、キャップは、熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物により形成されている。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエステル、セルロース樹脂ならびにビニル樹脂が挙げられる。リサイクル性という観点から、ポリエチレンが特に好ましい。ポリエチレンとしては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンおよび超低密度ポリエチレンが挙げられる。これらの中でも、保型性および開封性という観点から、高密度ポリエチレンが好ましい。
【0139】
上記樹脂組成物は、バイオマスポリエチレンおよびリサイクルポリエチレンから選ばれる少なくとも1種を含有してもよい。
上記樹脂組成物は、上記添加剤を含有してもよい。
【0140】
キャップは、
図6に示すように、抽出口部105が有する螺条107に螺合するように、キャップ内面に凹溝を有するスクリュータイプでもよく、また、抽出口部105に打栓することにより嵌合される打栓タイプでもよい。
【0141】
本開示は、例えば以下の[1]~[22]に関する。
[1]少なくとも、第1のヒートシール層と、バリア性樹脂層と、第2のヒートシール層と、をこの順に備える積層体であって、前記第1のヒートシール層は、ポリエチレンを主成分として含有し、前記第2のヒートシール層は、ポリエチレンを主成分として含有し、前記バリア性樹脂層は、ガスバリア性樹脂を主成分として含有し、前記積層体は、第1の表面と、前記第1の表面に対向する第2の表面と、を有し、前記第1のヒートシール層が前記第1の表面を構成し、前記第2のヒートシール層が前記第2の表面を構成し、前記バリア性樹脂層と前記第1の表面との間に位置する、ポリエチレンを主成分として含有する層の合計厚さ(Tin)の、前記バリア性樹脂層の厚さ(Tb1)に対する比(Tin/Tb1)が、8.0以上であり、前記積層体全体におけるポリエチレンの含有割合が、90質量%以上である、積層体。
[2]前記バリア性樹脂層が、エチレン-ビニルアルコール共重合体を主成分として含有する、前記[1]に記載の積層体。
[3]前記積層体が、第1のポリエチレン層と、第1の接着性樹脂層と、前記バリア性樹脂層と、第2の接着性樹脂層と、第2のポリエチレン層と、を備えるバリアフィルムを備える、前記[1]または[2]に記載の積層体。
[4]前記バリアフィルムの厚さが、20μm以上100μm以下である、前記[3]に記載の積層体。
[5]前記合計厚さ(Tin)が、120μm以上250μm以下である、前記[1]~[4]のいずれか一項に記載の積層体。
[6]前記バリア性樹脂層と前記第2の表面との間に位置する、ポリエチレンを主成分として含有する層の合計厚さ(Tout)の、前記バリア性樹脂層の厚さ(Tb2)に対する比(Tout/Tb2)が、6.0以上14.0以下である、前記[1]~[5]のいずれか一項に記載の積層体。
[7]前記合計厚さ(Tout)が、100μm以上220μm以下である、前記[6]に記載の積層体。
[8]前記積層体が、前記第1のヒートシール層と前記バリア性樹脂層との間、および/または、前記バリア性樹脂層と前記第2のヒートシール層との間に、印刷基材をさらに備え、前記印刷基材が、ポリエチレンを主成分として含有する基材と、該基材の少なくともいずれか一方の表面に設けられた印刷層と、を備える、前記[1]~[7]のいずれか一項に記載の積層体。
[9]前記積層体が、前記バリア性樹脂層、前記印刷基材における基材、前記印刷基材における印刷層および前記第2のヒートシール層をこの順に備える、前記[8]に記載の積層体。
[10]前記印刷基材における基材が、中密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレンから選択される少なくとも1種を含有する延伸フィルムである、前記[8]または[9]に記載の積層体。
[11]チューブ容器本体の胴部を形成するための積層体であって、前記第1のヒートシール層が前記胴部の内面側のシーラント層であり、前記第2のヒートシール層が前記胴部の外面側のシーラント層である、前記[1]~[10]のいずれか一項に記載の積層体。
[12]前記積層体が、前記第1のヒートシール層と前記バリア性樹脂層との間、および/または、前記バリア性樹脂層と前記第2のヒートシール層との間に、印刷基材をさらに備え、前記印刷基材が、ポリエチレンを主成分として含有する基材と、該基材の少なくともいずれか一方の表面に設けられた印刷層と、を備え、前記印刷基材において、前記チューブ容器本体の胴部を形成するためのヒートシールの予定領域に対応する領域に、前記印刷層が形成されていない、前記[11]に記載の積層体。
[13]前記積層体が、前記内面から順に、前記第1のヒートシール層と、所望により押出ポリエチレン層と、前記バリア性樹脂層を備えるバリアフィルムと、所望により押出ポリエチレン層と、ポリエチレンを主成分として含有する基材、および印刷層を備える印刷基材と、所望により押出ポリエチレン層と、前記第2のヒートシール層と、をこの順に備える、前記[11]または[12]に記載の積層体。
[14]前記第1のヒートシール層が白色顔料を含有する、前記[13]に記載の積層体。
[15]前記第1のヒートシール層が、5%以上40%以下の全光線透過率(JIS K7375:2008に準拠して測定)を有するポリエチレンフィルムである、前記[13]または[14]に記載の積層体。
[16]前記積層体が、前記内面から順に、前記第1のヒートシール層と、所望により押出ポリエチレン層と、ポリエチレンを主成分として含有する基材と、所望により押出ポリエチレン層と、前記バリア性樹脂層を備えるバリアフィルムと、所望により押出ポリエチレン層と、ポリエチレンを主成分として含有する基材、および印刷層を備える印刷基材と、所望により押出ポリエチレン層と、前記第2のヒートシール層と、をこの順に備える、前記[11]~[15]のいずれか一項に記載の積層体。
[17]前記第1のヒートシール層および前記ポリエチレンを主成分として含有する基材から選択される少なくとも一つが、白色顔料を含有する、前記[16]に記載の積層体。
[18]前記第1のヒートシール層および前記ポリエチレンを主成分として含有する基材から選択される少なくとも一つが、5%以上40%以下の全光線透過率(JIS K7375:2008に準拠して測定)を有するポリエチレンフィルムである、前記[16]または[17]に記載の積層体。
[19]頭部と胴部とを備えるチューブ容器本体であって、前記頭部が、前記胴部の一端に連接している肩部と、前記肩部に連接している抽出口部とを備え、前記胴部が、前記[1]~[18]のいずれか一項に記載の積層体により構成されている、チューブ容器本体。
[20]前記頭部が、ポリエチレンを含有する樹脂組成物により形成されている、前記[19]に記載のチューブ容器本体。
[21]前記[19]または[20]に記載のチューブ容器本体と、キャップと、を備えるチューブ容器。
[22]前記キャップが、ポリエチレンを含有する樹脂組成物により形成されている、前記[21]に記載のチューブ容器。
【実施例】
【0142】
以下、実施例により本開示の積層体をより具体的に説明するが、本開示の積層体は以下の実施例に限定されない。以下の記載において、ポリエチレンを「PE」とも記載し、直鎖状低密度ポリエチレンを「LLDPE」とも記載し、高密度ポリエチレンを「HDPE」とも記載し、低密度ポリエチレンを「LDPE」とも記載し、エチレン-ビニルアルコール共重合体を「EVOH」とも記載し、ポリエチレンテレフタレートを「PET」とも記載し、ポリエチレンフィルムを「PEF」とも記載し、バリアフィルムを「BF」とも記載し、押出ポチエチレン層を「EC-PE」とも記載する。
【0143】
[使用したフィルム]
実施例または比較例において使用したフィルムを以下に記載する。
・一軸延伸HDPEフィルム
東京インキ製、ハイブロンSMKQW、HDPE、厚さ25μm
・二軸延伸PETフィルム
東洋紡製、E5200、厚さ12μm
・アルミ蒸着二軸延伸PETフィルム
東レフィルム加工製、BR-PET1312、厚さ12μm
・透明蒸着二軸延伸PETフィルム
厚さ12μmのPETフィルムの一方の表面にCVD法によりシリカ蒸着膜が形成されたフィルム
・ポリエチレンフィルム
アイセロ製、スズロンL-100N、LLDPE、
厚さ30μm、50μmまたは80μm
・ポリエチレンフィルムA
厚さ50μmまたは80μm、ポリエチレン(密度:0.931g/cm3、MFR:2.1g/10分)を製膜して得られたフィルム
・ポリエチレンフィルムB
厚さ180μm、ポリエチレン(密度:0.920g/cm3、MFR:1.9g/10分)を製膜して得られたフィルム
・乳白ポリエチレンフィルムA
厚さ130μm、100μm、80μmまたは50μm、ポリエチレン(密度:0.920g/cm3、MFR:1.9g/10分)94質量%および白色顔料(酸化チタン系顔料)6質量%の混合物を製膜して得られたフィルム
・乳白ポリエチレンフィルムB
厚さ80μm、ポリエチレン(密度:0.924g/cm3、MFR:2.0g/10分)85質量%および白色顔料(酸化チタン系顔料)15質量%の混合物を製膜して得られたフィルム
・帯電防止剤含有ポリエチレンフィルムA
厚さ110μm、80μm、50μmまたは30μm、ポリエチレン(密度:0.920g/cm3、MFR:1.9g/10分)98質量%および帯電防止剤2質量%の混合物を製膜して得られたフィルム
・帯電防止剤含有ポリエチレンフィルムB
厚さ50μmまたは30μm、ポリエチレン(密度:0.930g/cm3、MFR:2.1g/10分)98.5質量%および帯電防止剤、アンチブロッキング剤1.5質量%の混合物を製膜して得られたフィルム
・帯電防止剤含有ポリエチレンフィルムC
厚さ130μm、50μmまたは30μm、ポリエチレン(密度:0.920g/cm3、MFR:1.9g/10分)98質量%および帯電防止剤2質量%の混合物を製膜して得られたフィルム
・EVOH系バリアフィルム
LLDPE(ダウケミカル製、DOWLEX2045G、密度:0.920g/cm3)と、接着性樹脂(三井化学製、アドマーNF557)と、EVOH(クラレ製、エバールH171B、密度:1.17g/cm3、エチレン含有割合:38モル%)と、接着性樹脂(三井化学製、アドマーNF557)と、LLDPE(ダウケミカル製、DOWLEX2045G、密度:0.920g/cm3)とを、インフレーション法により5層共押出成膜して、バリアフィルムを得た。バリアフィルムは、厚さ30μmのLLDPE層と、接着性樹脂層と、厚さ15μmのEVOH層と、接着性樹脂層と、厚さ30μmのLLDPE層と、をこの順に備え、総厚さ約75μmを有する。
【0144】
[実施例1-1]
基材として厚さ25μmの一軸延伸HDPEフィルム(ハイブロンSMKQW)の一方の表面に、ウレタン系グラビアインキ(東洋インキ製)をグラビア印刷により塗布および乾燥して、厚さ1μmの印刷層を形成した。このようにして、印刷基材を得た。ただし、後述する加工により得られる積層体個片の幅方向(原反の流れ方向に対して垂直な方向)において一方の端部4.0mmの領域および他方の端部2.0mmの領域に対応する箇所(筒貼り予定箇所)には、印刷層は形成しなかった。
【0145】
シングル押出ラミネート法により以下のとおりラミネート処理を行った。EVOH系バリアフィルムの一方の表面に、LDPE(日本ポリエチレン製、ノバテックLD LC602A、MFR:8.2g/10分、密度:0.919g/cm3、融点:107℃)を330℃で溶融押し出して厚さ30μmの押出ポリエチレン層を形成すると共に、この押出ポリエチレン層を介して、厚さ100μmの乳白ポリエチレンフィルムAを貼り合わせた。
【0146】
タンデム押出ラミネート法により以下のとおりラミネート処理を行った。EVOH系バリアフィルムの他方の表面に、LDPE(LC602A)を330℃で溶融押し出して厚さ20μmの押出ポリエチレン層を形成すると共に、この押出ポリエチレン層面に、印刷基材における印刷層の非形成面を貼り合わせた。印刷基材における印刷層の形成面に、アンカーコート剤(東洋モートン製、EL-510/CAT-RT80、希釈溶剤:酢酸エチル)を塗布および乾燥して、厚さ1μmのアンカーコート層を形成した。アンカーコート層の表面に、LDPE(LC602A)を330℃で溶融押し出して厚さ20μmの押出ポリエチレン層を形成すると共に、この押出ポリエチレン層を介して、厚さ80μmの帯電防止剤含有ポリエチレンフィルムAを貼り合わせた。
【0147】
以上のようにして、積層体を得た。
積層体は、(最外層)帯電防止剤含有ポリエチレンフィルム(80μm、第2のヒートシール層)、押出ポリエチレン層(20μm)、アンカーコート層(1μm)、印刷層(1μm)、一軸延伸HDPEフィルム(25μm)、押出ポリエチレン層(20μm)、EVOH系バリアフィルム(75μm)、押出ポリエチレン層(30μm)および乳白ポリエチレンフィルム(100μm、第1のヒートシール層)(最内層)をこの順に備える。括弧内の数値は、厚さを示す。
【0148】
[実施例1-2~1-4]
最外層の帯電防止剤含有ポリエチレンフィルムおよび/または最内層の乳白ポリエチレンフィルムを表1に記載したとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして、積層体を作製した。
[実施例1-5]
上記筒貼り予定箇所にも印刷層を形成したこと以外は実施例1-1と同様にして、積層体を作製した。
【0149】
[実施例2-1]
基材として厚さ25μmの一軸延伸HDPEフィルム(ハイブロンSMKQW)の一方の表面に、ウレタン系グラビアインキ(東洋インキ製)をグラビア印刷により塗布および乾燥して、厚さ1μmの印刷層を形成した。このようにして、印刷基材を得た。ただし、上記筒貼り予定箇所には、印刷層は形成しなかった。
【0150】
タンデム押出ラミネート法により以下のとおりラミネート処理を行った。EVOH系バリアフィルムの一方の表面に、LDPE(LC602A)を330℃で溶融押し出して厚さ20μmの押出ポリエチレン層を形成すると共に、この押出ポリエチレン層を介して、厚さ50μmの乳白ポリエチレンフィルムAを貼り合わせた。貼り合わせた乳白ポリエチレンフィルムの表面に、LDPE(LC602A)を330℃で溶融押し出して厚さ30μmの押出ポリエチレン層を形成すると共に、この押出ポリエチレン層を介して、厚さ50μmのポリエチレンフィルム(スズロンL-100N)を貼り合わせた。
【0151】
タンデム押出ラミネート法により以下のとおりラミネート処理を行った。EVOH系バリアフィルムの他方の表面に、LDPE(LC602A)を330℃で溶融押し出して厚さ20μmの押出ポリエチレン層を形成すると共に、この押出ポリエチレン層面に、印刷基材における印刷層の非形成面を貼り合わせた。印刷基材における印刷層の形成面に、アンカーコート剤(東洋モートン製、EL-510/CAT-RT80、希釈溶剤:酢酸エチル)を塗布および乾燥して、厚さ1μmのアンカーコート層を形成した。アンカーコート層の表面に、LDPE(LC602A)を330℃で溶融押し出して厚さ20μmの押出ポリエチレン層を形成すると共に、この押出ポリエチレン層を介して、厚さ50μmの帯電防止剤含有ポリエチレンフィルムAを貼り合わせた。
【0152】
以上のようにして、積層体を得た。
積層体は、(最外層)帯電防止剤含有ポリエチレンフィルム(50μm、第2のヒートシール層)、押出ポリエチレン層(20μm)、アンカーコート層(1μm)、印刷層(1μm)、一軸延伸HDPEフィルム(25μm)、押出ポリエチレン層(20μm)、EVOH系バリアフィルム(75μm)、押出ポリエチレン層(20μm)、乳白ポリエチレンフィルム(50μm)、押出ポリエチレン層(30μm)、ポリエチレンフィルム(50μm、第1のヒートシール層)(最内層)を順に備える。
【0153】
[実施例2-2~2-3]
最外層の帯電防止剤含有ポリエチレンフィルムおよび/または最内層のポリエチレンフィルムを表1に記載したとおりに変更したこと以外は実施例2-1と同様にして、積層体を作製した。
【0154】
[実施例2-4]
上記筒貼り予定箇所にも印刷層を形成したこと以外は実施例2-1と同様にして、積層体を作製した。
【0155】
[実施例3-1]
基材として厚さ25μmの一軸延伸HDPEフィルム(ハイブロンSMKQW)の一方の表面に、ウレタン系グラビアインキ(東洋インキ製)をグラビア印刷により塗布および乾燥して、厚さ1μmの印刷層を形成した。このようにして、印刷基材を得た。ただし、上記筒貼り予定箇所には、印刷層は形成しなかった。
【0156】
タンデム押出ラミネート法により以下のとおりラミネート処理を行った。EVOH系バリアフィルムの一方の表面に、LDPE(LC602A)を330℃で溶融押し出して厚さ20μmの押出ポリエチレン層を形成すると共に、この押出ポリエチレン層を介して、厚さ50μmの乳白ポリエチレンフィルムAを貼り合わせた。貼り合わせた乳白ポリエチレンフィルムの表面に、LDPE(LC602A)を330℃で溶融押し出して厚さ30μmの押出ポリエチレン層を形成すると共に、この押出ポリエチレン層を介して、厚さ50μmのポリエチレンフィルムAを貼り合わせた。
【0157】
タンデム押出ラミネート法により以下のとおりラミネート処理を行った。EVOH系バリアフィルムの他方の表面に、LDPE(LC602A)を330℃で溶融押し出して厚さ20μmの押出ポリエチレン層を形成すると共に、この押出ポリエチレン層面に、印刷基材における印刷層の非形成面を貼り合わせた。印刷基材における印刷層の形成面に、アンカーコート剤(東洋モートン製、EL-510/CAT-RT80、希釈溶剤:酢酸エチル)を塗布および乾燥して、厚さ1μmのアンカーコート層を形成した。アンカーコート層の表面に、LDPE(LC602A)を330℃で溶融押し出して厚さ20μmの押出ポリエチレン層を形成すると共に、この押出ポリエチレン層を介して、厚さ50μmの帯電防止剤含有ポリエチレンフィルムBを貼り合わせた。
【0158】
以上のようにして、積層体を得た。
積層体は、(最外層)帯電防止剤含有ポリエチレンフィルム(50μm、第2のヒートシール層)、押出ポリエチレン層(20μm)、アンカーコート層(1μm)、印刷層(1μm)、一軸延伸HDPEフィルム(25μm)、押出ポリエチレン層(20μm)、EVOH系バリアフィルム(75μm)、押出ポリエチレン層(20μm)、乳白ポリエチレンフィルム(50μm)、押出ポリエチレン層(30μm)、ポリエチレンフィルム(50μm、第1のヒートシール層)(最内層)を順に備える。
【0159】
[実施例3-2~2-3]
最外層の帯電防止剤含有ポリエチレンフィルムおよび/または最内層のポリエチレンフィルムを表1に記載したとおりに変更したこと以外は実施例3-1と同様にして、積層体を作製した。
[実施例3-4]
上記筒貼り予定箇所にも印刷層を形成したこと以外は実施例3-1と同様にして、積層体を作製した。
【0160】
[比較例1-1]
基材として厚さ25μmの一軸延伸HDPEフィルム(ハイブロンSMKQW)の一方の表面に、ウレタン系グラビアインキ(東洋インキ製)をグラビア印刷により塗布および乾燥して、厚さ1μmの印刷層を形成した。このようにして、印刷基材を得た。ただし、上記筒貼り予定箇所には、印刷層は形成しなかった。
【0161】
タンデム押出ラミネート法により以下のとおりラミネート処理を行った。厚さ50μmの乳白ポリエチレンフィルムAの一方の表面に、LDPE(LC602A)を330℃で溶融押し出して厚さ20μmの押出ポリエチレン層を形成すると共に、この押出ポリエチレン層を介して、EVOH系バリアフィルムを貼り合わせた。貼り合わせたEVOH系バリアフィルムの表面に、LDPE(LC602A)を330℃で溶融押し出して厚さ30μmの押出ポリエチレン層を形成すると共に、この押出ポリエチレン層を介して、厚さ50μmのポリエチレンフィルム(スズロンL-100N)を貼り合わせた。
【0162】
タンデム押出ラミネート法により以下のとおりラミネート処理を行った。乳白ポリエチレンフィルムAの他方の表面に、LDPE(LC602A)を330℃で溶融押し出して厚さ20μmの押出ポリエチレン層を形成すると共に、この押出ポリエチレン層面に、印刷基材における印刷層の非形成面を貼り合わせた。印刷基材における印刷層の形成面に、アンカーコート剤(東洋モートン製、EL-510/CAT-RT80、希釈溶剤:酢酸エチル)を塗布および乾燥して、厚さ1μmのアンカーコート層を形成した。アンカーコート層の表面に、LDPE(LC602A)を330℃で溶融押し出して厚さ20μmの押出ポリエチレン層を形成すると共に、この押出ポリエチレン層を介して、厚さ50μmの帯電防止剤含有ポリエチレンフィルムCを貼り合わせた。
【0163】
以上のようにして、積層体を得た。
積層体は、(最外層)帯電防止剤含有ポリエチレンフィルム(50μm、第2のヒートシール層)、押出ポリエチレン層(20μm)、アンカーコート層(1μm)、印刷層(1μm)、一軸延伸HDPEフィルム(25μm)、押出ポリエチレン層(20μm)、乳白ポリエチレンフィルム(50μm)、押出ポリエチレン層(20μm)、EVOH系バリアフィルム(75μm)、押出ポリエチレン層(30μm)、ポリエチレンフィルム(50μm、第1のヒートシール層)(最内層)を順に備える。
【0164】
[比較例1-2~1-3]
最外層の帯電防止剤含有ポリエチレンフィルムおよび/または最内層のポリエチレンフィルムを表1に記載したとおりに変更したこと以外は比較例1-1と同様にして、積層体を作製した。
【0165】
[比較例1-4]
上記筒貼予定り箇所にも印刷層を形成したこと以外は比較例1-1と同様にして、積層体を作製した。
【0166】
[比較例2]
基材として厚さ12μmの二軸延伸PETフィルム(E5200)の一方の表面に、ウレタン系グラビアインキ(東洋インキ製)をグラビア印刷により塗布および乾燥して、厚さ1μmの印刷層を形成した。このようにして、印刷基材を得た。
【0167】
タンデムドライラミネート法により以下のとおりラミネート処理を行った。印刷基材における印刷層の形成面に、ウレタン系2液硬化型接着剤(ロックペイント製、主剤:RU-80、硬化剤:H-5)を塗布および乾燥して厚さ3μmの接着剤層を形成すると共に、この接着剤層を介して、厚さ12μmのアルミ蒸着二軸延伸PETフィルム(BR-PET1312)を貼り合わせた。貼り合わせたアルミ蒸着PETフィルムの表面に、上記ウレタン系2液硬化型接着剤を塗布および乾燥して厚さ3μmの接着剤層を形成すると共に、この接着剤層を介して、厚さ180μmのポリエチレンフィルムBを貼り合わせた。
【0168】
シングルドライラミネート法により以下のとおりラミネート処理を行った。印刷基材における印刷層の非形成面に、上記ウレタン系2液硬化型接着剤を塗布および乾燥して厚さ3μmの接着剤層を形成すると共に、この接着剤層を介して、厚さ130μmの帯電防止剤含有ポリエチレンフィルムCを貼り合わせた。
【0169】
以上のようにして、積層体を得た。
積層体は、(最外層)帯電防止剤含有ポリエチレンフィルム(130μm、第2のヒートシール層)、接着剤層(3μm)、二軸延伸PETフィルム(12μm)、印刷層(1μm)、接着剤層(3μm)、アルミ蒸着二軸延伸PETフィルム(12μm)、接着剤層(3μm)およびポリエチレンフィルム(180μm、第1のヒートシール層)(最内層)を順に備える。
【0170】
[比較例3]
基材として厚さ12μmの二軸延伸PETフィルム(E5200)の一方の表面に、ウレタン系グラビアインキ(東洋インキ製)をグラビア印刷により塗布および乾燥して、厚さ1μmの印刷層を形成した。このようにして、印刷基材を得た。
【0171】
シングルドライラミネート法により以下のとおりラミネート処理を行った。厚さ80μmの乳白ポリエチレンフィルムBの一方の表面に、ウレタン系2液硬化型接着剤(三井化学製、主剤:XA-311、硬化剤:A-3)を塗布および乾燥して厚さ3μmの接着剤層を形成すると共に、この接着剤層を介して、厚さ12μmの透明蒸着二軸延伸PETフィルムを貼り合わせた。
【0172】
タンデム押出ラミネート法により以下のとおりラミネート処理を行った。貼り合わせた透明蒸着二軸延伸PETフィルムの表面に、アンカーコート剤(東洋モートン製、EL-510/CAT-RT80、希釈溶剤:酢酸エチル)を塗布および乾燥して、厚さ1μmのアンカーコート層を形成した。アンカーコート層の表面に、エチレン-メタクリル酸共重合体(三井・ダウポリケミカル製、ニュクレルN0908C)を290℃で溶融押し出して厚さ25μmの押出樹脂層を形成すると共に、この押出樹脂層を介して、厚さ80μmのポリエチレンフィルム(スズロンL-100N)を貼り合わせた。乳白ポリエチレンフィルムBの他方の表面に、LDPE(LC602A)を330℃で溶融押し出して厚さ25μmの押出ポリエチレン層を形成すると共に、この押出ポリエチレン層面に、印刷基材における印刷層の形成面を貼り合わせた。
【0173】
シングル押出ラミネート法により以下のとおりラミネート処理を行った。印刷基材における印刷層の非形成面に、アンカーコート剤(東洋モートン製、EL-510/CAT-RT80、希釈溶剤:酢酸エチル)を塗布および乾燥して、厚さ1μmのアンカーコート層を形成した。アンカーコート層の表面に、LDPE(LC602A)を330℃で溶融押し出して厚さ25μmの押出ポリエチレン層を形成すると共に、この押出ポリエチレン層を介して、厚さ80μmの帯電防止剤含有ポリエチレンフィルムAを貼り合わせた。
【0174】
以上のようにして、積層体を得た。
積層体は、(最外層)帯電防止剤含有ポリエチレンフィルム(80μm、第2のヒートシール層)、押出ポリエチレン層(25μm)、アンカーコート層(1μm)、二軸延伸PETフィルム(12μm)、印刷層(1μm)、押出ポリエチレン層(25μm)、乳白ポリエチレンフィルム(80μm)、接着剤層(3μm)、透明蒸着二軸延伸PETフィルム(12μm)、アンカーコート層(1μm)、押出樹脂層(25μm)およびポリエチレンフィルム(80μm、第1のヒートシール層)(最内層)を順に備える。
【0175】
[チューブ容器の作製]
実施例および比較例で得られた積層体を、ボビンカッターを用いて幅120.0mmの積層体個片に加工し、幅方向の両端を、重ね幅が約1.2mmとなるようにして重ね合わせた後に、重ね合わせた両端同士を0.1MPa、120℃および1.0秒の条件でヒートシールすることにより、筒貼りした円筒状の原反を得た。得られた原反を長さ方向の長さが141.6mmとなるように切断して、チューブ容器の胴部となる筒状胴部を作製した。筒状胴部をチューブ容器成形用のマンドレルに装着し、筒状胴部の一方の端部に、円錐台形状の肩部とそれに連続する筒上の抽出口部とからなる頭部を、高密度ポリエチレン(旭化成製 サンテック J345、密度0.956g/cm
3)を用いて圧縮成形法により成形し、
図6に示すようなチューブ容器本体を作製した。次いで、上記高密度ポリエチレンをキャップ成形用の金型内に射出すると共に成形してキャップを作製した。以上のようにして、チューブ容器を得た。
【0176】
チューブ容器にラックススーパーリッチトリートメント(ユニリーバ・ジャパン製)180gおよびデンタースペアミント(ライオン製)100gを充填して、50℃dry下に1ヵ月保存した。保存前後のチューブ容器の物性を以下のとおり測定した。
【0177】
[サイドシーム引張試験]
上記チューブ容器の胴部を、そのサイドシーム部(筒貼り箇所)に対して垂直方向(積層体のTD方向)に15mm幅で短冊状にカットして、試験片を得た。この試験片を引張試験機(オリエンテック社製、STA-1150)にて試験速度300mm/minで引っ張った。サイドシーム引張時に端面箇所の剥がれ等の外観不良が無い場合を「A」と記載し、サイドシーム引張時に端面箇所の剥がれ等の外観不良が有る場合を「B」と記載した。
【0178】
[肩部引張試験]
上記チューブ容器の胴部と肩部との接着箇所であってサイドシーム部(筒貼り箇所)およびその180°反対の箇所の2箇所を、裾部方向(積層体のMD方向)に15mm幅で短冊状にカットして、試験片を得た。この試験片を引張試験機(オリエンテック社製、STA-1150)にて試験速度300mm/minで引っ張った。肩部引張時にサイドシーム端面箇所の剥がれ等の外観不良が無い場合を「A」と記載し、肩部引張時にサイドシーム端面箇所の剥がれ等の外観不良が有る場合を「B」と記載した。
【0179】
[端面露出]
チューブ容器から、胴部の筒貼り箇所を含む60mm角の試験片を切り取った。試験片における筒貼り箇所の付近を胴部の外面側から見て筒貼り箇所に沿って山折りし、圧力を加えて折り目を付けた。顕微鏡で試験片の筒貼り箇所に対して垂直方向(積層体のTD方向)における断面を撮影して画像を取得し、撮影画像を目視して、筒貼り箇所の外面側にバリア性樹脂層が露出しているか否かを確認した。同様にして、チューブ容器から、胴部の筒貼り箇所を含む60mm角の試験片を切り取った。試験片における筒貼り箇所の付近を胴部の外面側から見て筒貼り箇所に沿って谷折りし、圧力を加えて折り目を付けた。顕微鏡で試験片の筒貼り箇所に対して垂直方向(積層体のTD方向)における断面を撮影して画像を取得し、撮影画像を目視して、筒貼り箇所の内面側にバリア性樹脂層が露出しているか否かを確認した。
筒貼り箇所における積層体の端面においてバリア性樹脂層が露出していない場合を「A」と記載した。筒貼り箇所における積層体の端面においてバリア性樹脂層が露出している場合を「B」と記載し、端面被覆が難しい場合を「C」と記載した。
【0180】
[モノマテリアル]
実施例および比較例で得られた積層体の各層を構成する材料の比重と各層の厚さとから、ポリエチレンの含有割合(モノマテリアル率)を算出した。実施例および比較例で得られた積層体について、CEFLEXのガイドラインに準拠して、モノマテリアルであるか否かの判断を行った。CEFLEXのガイドラインに適合している場合を「A」、適合していない場合を「B」と評価した。
【0181】
[全光線透過率]
JIS K7375:2008に準拠して、ヘイズメーター(株式会社村上色彩技術研究所製、ヘーズ測定器HM-150)を用いて全光線透過率を測定した。測定は試験片3枚について行い、得られた値の平均値を算出した。
【0182】
[酸素透過度および水蒸気透過度の測定]
実施例および比較例で得られた積層体から100mm×100mmの大きさの試験片を切り出し、酸素透過度および水蒸気透過度を測定した。該積層体の、JIS K7126-2:2006に準拠して測定される、温度23℃、湿度90%RH環境下における酸素透過度は、いずれも1.0cc/m2・day・atm以下であった。該積層体の、JIS K7129-2:2019に準拠して測定される、温度40℃、湿度90%RH環境下における水蒸気透過度は、いずれも2.0g/m2・day以下であった。
【0183】
【0184】
【符号の説明】
【0185】
1:積層体
1S:第1の表面
2S:第2の表面
10:第1のヒートシール層
20:第2のヒートシール層
30:バリアフィルム
34A:第1のポリエチレン層
34B:第2のポリエチレン層
36A:第1の接着性樹脂層
36B:第2の接着性樹脂層
32:バリア性樹脂層
40:印刷基材
42:基材
44:印刷層
50:基材
Ad:接着層
100:チューブ容器
101:チューブ容器本体
102:頭部
103:胴部
104:肩部
105:抽出口部
106:キャップ
107:螺条
108:接合部
109:底接合部
【要約】
【課題】リサイクル性およびバリア性に優れるとともに、ヒートシール後の接合部におけるデラミネーションの発生を抑制できる積層体を提供する。
【解決手段】少なくとも、第1のヒートシール層と、バリア性樹脂層と、第2のヒートシール層と、をこの順に備える積層体であって、第1のヒートシール層は、ポリエチレンを主成分として含有し、第2のヒートシール層は、ポリエチレンを主成分として含有し、バリア性樹脂層は、ガスバリア性樹脂を主成分として含有し、積層体は、第1の表面と、第1の表面に対向する第2の表面と、を有し、第1のヒートシール層が第1の表面を構成し、第2のヒートシール層が第2の表面を構成し、比(T
in/T
b1)が、8.0以上であり、積層体全体におけるポリエチレンの含有割合が、90質量%以上である、積層体。
【選択図】
図1