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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-07
(45)【発行日】2024-08-16
(54)【発明の名称】体位変換器
(51)【国際特許分類】
   A61G 7/07 20060101AFI20240808BHJP
   A47C 27/08 20060101ALI20240808BHJP
   A61G 7/008 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
A61G7/07
A47C27/08 G
A61G7/008
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018233839
(22)【出願日】2018-12-13
(65)【公開番号】P2020092914
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-10-14
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1-1)展示日 2018年10月10日、11日、12日 (1-2)展示会名等 第45回 国福祉機器展 H.C.R.2018 東京ビッグサイト (1-3)公開者 株式会社をくだ屋技研 (2-1)展示日 2018年11月18日 (2-2)展示会名等 ユニバーサルデザイン生活展 国際障害者交流センター (2-3)公開者 株式会社をくだ屋技研
(73)【特許権者】
【識別番号】000126182
【氏名又は名称】株式会社をくだ屋技研
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 洋一
【合議体】
【審判長】小川 恭司
【審判官】尾崎 和寛
【審判官】内田 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-133832(JP,A)
【文献】特開2011-143237(JP,A)
【文献】特開2008-284163(JP,A)
【文献】特開平11-318644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 7/00-7/16
A47C 27/08-27/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体を出し入れ可能なエア袋と、
前記エア袋に接続され、前記エア袋に気体を流入させるポンプと、
前記エア袋の上面および下面に配置され、前記エア袋よりも硬質の部材にて形成されたガイド板とを備え
前記エア袋の下面に配置された前記ガイド板の下面には、床面との間に生じる摩擦力が、前記エア袋の下面に配置された前記ガイド板よりも大きくなる摩擦板が設けられ
複数の前記エア袋を備え、複数の前記エア袋が上下方向に積層され、
複数の前記エア袋は互いに連結され、
互いに連結された複数の前記エア袋は、連結部において折り曲げることで積層状態とされるとともに、連結部において連通している
ことを特徴とする体位変換器。
【請求項2】
前記ガイド板は、複数の前記エア袋のうちの最も上方に位置するエア袋の上面、および複数の前記エア袋のうちの最も下方に位置するエア袋の下面に配置される、
ことを特徴とする請求項に記載の体位変換器。
【請求項3】
前記ガイド板は、隣接する前記エア袋と前記エア袋との間に配置される、
ことを特徴とする請求項に記載の体位変換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の体位を変換可能な体位変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、高齢、病気、けがなどの原因により長期間横たわった状態にある被介護者に対しては、身体の清拭を行う際に体位を変換する必要があった。
【0003】
被介護者の体位を変換する際には、例えば特許文献1に開示されるように、断面略三角形状に形成された発泡合成樹脂製のパッドを被介護者の背中などにあてがうことで体位を変換することが行われていた。
このようなパッドを仰臥姿勢にある被介護者の背中などにあてがうことで、被介護者の身体が側臥した姿勢となり、床面と背中との間に隙間ができた状態で保持されるため、介護者は両手を使って清拭作業を行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-143233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示されるようなパッドを被介護者の背中などにあてがうときには、介護者が仰臥姿勢にある被介護者の身体を持ち上げて側臥姿勢とした後に、側臥姿勢を保持しながら被介護者の背中と床面との間にパッドを差し入れることを行う必要がある。
従って、被介護者の体位を変換する際には、介護者の労力が多大となったり、複数の介護者が必要となったりしていた。
【0006】
そこで、本発明においては、簡単な構成でありながら、被介護者の体位を変換する際の介護者の労力を減少させることができる体位変換器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する体位変換器は、以下の特徴を有する。
即ち、本発明の体位変換器は、気体を出し入れ可能なエア袋と、前記エア袋に接続され、前記エア袋に気体を流入させるポンプと、前記エア袋の上面および下面の少なくとも一方に配置され、前記エア袋よりも硬質の部材にて形成されたガイド板とを備え、前記エア袋の下面に配置された前記ガイド板の下面には、床面との間に生じる摩擦力が、前記エア袋の下面に配置された前記ガイド板よりも大きくなる摩擦板が設けられ、複数の前記エア袋を備え、複数の前記エア袋が上下方向に積層され、複数の前記エア袋は互いに連結され、互いに連結された複数の前記エア袋は、連結部において折り曲げることで積層状態とされるとともに、連結部において連通している。
【0009】
また、前記ガイド板は、複数の前記エア袋のうちの最も上方に位置するエア袋の上面、および複数の前記エア袋のうちの最も下方に位置するエア袋の下面に配置される。
【0010】
また、前記ガイド板は、隣接する前記エア袋と前記エア袋との間に配置される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、被介護者の体位を変換する際には、エア袋内に流入した気体の圧力によって被介護者の背中が持ち上げられるため、介護者が被介護者の身体を持ち上げる必要がなく、簡単な構成で介護者の労力を軽減することができる。また、エア袋およびガイド板を被介護者の背中と床面との間に差し入れる際にガイド板が座屈しないため、容易に差し入れることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】体位変換器を示す斜視図である。
図2】体位変換器により被介護者の体位が仰臥姿勢から側臥姿勢に変換される様子を示す正面図である。
図3】体位変換器により体位が側臥姿勢に変換された被介護者を示す図である。
図4】第1ガイド板の下面に摩擦部材を設けた体位変換部を示す図である。
図5】エア袋を複数設けた体位変換部を示す斜視図である。
図6】連結部により連結された第1エア袋と第2エア袋とを示す図である。
図7】第1エア袋と第2エア袋との間にガイド板を設けた体位変換部を示す斜視図である。
図8】第1エア袋と第2エア袋との間に第1ガイド板および第2ガイド板を設けた体位変換部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための形態を、添付の図面を用いて説明する。
【0014】
図1に示す体位変換器1は、本発明に係る体位変換器の一実施形態であり、体位変換部1Aと、操作部1Bとを有している。
体位変換器1は、被介護者と被介護者が横たわる床面との間に体位変換部1Aを差し入れて、操作部1Bを操作することにより体位変換部1Aの形状を変化させることにより被介護者の体位を変換することが可能な器具である。
【0015】
体位変換器1の体位変換部1Aは、エア袋10およびガイド板20を備えている。体位変換器1の操作部1Bは、ポンプ30、エアチューブ40、コントローラ50、バッテリ60、およびケース70を備えている。
【0016】
エア袋10は、空気などの気体を出し入れ可能な袋体であり、気体を出し入れすることにより変形することが可能となっている。エア袋10は、内部に気体を流入させると厚みが増し、内部から気体を排出させると厚みが減少するように構成されている。エア袋10は、例えばフィルム状の樹脂部材にて構成されている。
【0017】
ガイド板20は、第1ガイド板21および第2ガイド板22を有している。第1ガイド板21および第2ガイド板22は、シート状の樹脂部材にて構成されている。第1ガイド板21および第2ガイド板22は、例えば矩形状に形成されている。
第1ガイド板21および第2ガイド板22を構成する樹脂部材は、エア袋10を構成する樹脂部材よりも硬質な樹脂部材であり、体位変換部1Aを被介護者と被介護者が横たわる床面との間に差し入れるときに座屈しない硬度を有している。
【0018】
第1ガイド板21はエア袋10の下面に配置されるとともに、エア袋10の下面に貼着されている。第2ガイド板22はエア袋10の上面に配置されるとともに、エア袋10の上面に貼着されている。
【0019】
第1ガイド板21の一辺21aと、第2ガイド板22の一辺21aに対応する位置に配置される一辺22aとは連結されている。第1ガイド板21および第2ガイド板22は、例えば第1ガイド板21と第2ガイド板22とを合わせた大きさの樹脂シートを途中部で折り曲げて形成することができる。この場合、樹脂シートの折り曲げ部分が第1ガイド板21の一辺21aおよび第2ガイド板22の一辺22aとなる。
【0020】
ポンプ30は、エア袋10の内部に気体を流入させることが可能に構成されている。ポンプ30は、例えばエアポンプにて構成されている。
エアチューブ40は、エア袋10とポンプ30とを接続しており、ポンプ30から供給される気体はエアチューブ40を通じてエア袋10内に流入する。
【0021】
コントローラ50は、ポンプ30の駆動、および気体を流入させた際のエア袋10内の圧力などを制御可能に構成されている。
バッテリ60は、コントローラ50およびポンプ30に電力を供給する電源である。
ケース70は、ポンプ30、コントローラ50、およびバッテリ60を収容する筐体である。
【0022】
体位変換器1は、エア袋10に気体を供給する供給状態と、エア袋10から気体を排出する排出状態とを切替可能に構成されており、ケース70は体位変換器1の供給状態と排出状態との切替操作を行う切替スイッチ71を有している。また、ケース70は、体位変換器1における電源のオン・オフの切替操作や、気体を流入させた際のエア袋10内の圧力の調節操作を行うための操作パネル72を有している。
【0023】
このように構成される体位変換器1においては、ポンプ30を駆動してエア袋10に気体を流入させると、エア袋10が膨らんで厚みが増し、ポンプ30の駆動を停止してエア袋10から気体を排出するとエア袋10が萎んで厚みが減少する。気体がエア袋10から完全に排出されると、第1ガイド板21と第2ガイド板22とが略平行な姿勢となる。
【0024】
本実施形態においては、ポンプ30は電動ポンプにて構成されており、ケース70に収容されるバッテリ60から電源の供給を受けているが、AC電源から電源の供給を受けるように構成することもできる。この場合、例えば操作パネル72に、商用電源からの交流電力が入力されるACアダプタの接続口を設けることが可能である。また、バッテリ60は、商用電源から充電可能に構成することもできる。
エア袋10内に気体を流入させるポンプ30としては、手動式のポンプを用いることも可能である。
【0025】
体位変換器1を用いて被介護者の体位を変換する際には、図2(a)に示すように、仰臥姿勢にある被介護者の背中と被介護者が横たわるベッドなどの床面Bとの間に、気体がエア袋10から排出され第1ガイド板21と第2ガイド板22とが略平行な姿勢となった状態の体位変換部1Aを差し入れる。
この場合、第1ガイド板21および第2ガイド板22は、体位変換部1Aを差し入れる際に座屈しない程度の硬度を有しているため、簡単な構成で体位変換部1Aを容易に被介護者の背中と床面Bとの間に差し入れることが可能である。つまり、体位変換部1Aを被介護者の背中と床面Bとの間に差し入れる際に体位変換部1Aが座屈しないため、容易に差し入れることが可能である。
【0026】
体位変換部1Aを被介護者の背中と床面Bとの間に差し入れた後、切替スイッチ71を体位変換器1が供給状態となるように切り替えると、ポンプ30が駆動されてエア袋10に気体が流入し、エア袋10が膨らむ。
エア袋10が膨らむと、図2(b)に示すようにエア袋10が膨らむと体位変換部1Aを差し入れた部分の被介護者の背中が持ち上がり、図3に示すように被介護者の体位が側臥姿勢に変換される。この場合、エア袋10の圧力が操作部72にて設定された圧力に達するとポンプ30の駆動は停止されるが、エアチューブ40に接続される逆止弁によってエア袋10内から気体が排出されることが抑制されており、エア袋10内の圧力は保持される。
【0027】
このように、被介護者の体位を変換する際には、エア袋10内に流入した気体の圧力によって被介護者の背中が持ち上げられるため、介護者が被介護者の身体を持ち上げる必要がなく、簡単な構成で介護者の労力を軽減することができる。また、介護者は体位変換部1Aを被介護者の背中と床面Bとの間に差し入れる作業、および体位変換器1の切替スイッチ71を操作する作業を行うだけで良いので、一人の介護者によって被介護者の体位変換を行うことが可能である。また、被介護者の体位は、体位変換部1Aによって側臥姿勢に保持されるため、介護者は両手を使って清拭作業を行うことが可能である。
【0028】
体位変換部1Aを被介護者の背中と床面Bとの間に差し入れる場合、第1ガイド板21の一辺21aおよび第2ガイド板22の一辺22aの側から差し入れることで、第1ガイド板21が側臥姿勢となった被介護者の背中の傾斜角度に沿った角度に傾斜するため、被介護者の体位を円滑に変換することができるとともに、被介護者が背中に違和感を抱くことがない。
【0029】
側臥姿勢にある被介護者の体位を仰臥姿勢に変換する際には、切替スイッチ71を操作して体位変換器1を供給状態から排出状態に切り替える。体位変換器1を供給状態から排出状態に切り替えると、エアチューブ40に接続される逆止弁が開放されてエア袋10内の気体が排出され、エア袋10の厚みが減少して、被介護者の体位が仰臥姿勢に変換される。この場合、被介護者の体重によってエア袋10内の気体の排出が促され、容易に第1ガイド板21と第2ガイド板22とが略平行な姿勢となるまでエア袋10から気体が排出される。
【0030】
図4に示すように、第1ガイド板21の下面には、床面Bとの間に生じる摩擦力が第1ガイド板21よりも大きくなる摩擦部材81を設けることができる。このように、
第1ガイド板21の下面に摩擦部材81を設けることで、エア袋10内に気体を流入させて被介護者の体位を変換する際に、体位変換部1Aが滑って被介護者の背中と床面Bとの間から抜け出ることを抑制することができる。摩擦部材81としては、例えばゴムシートを用いることができる。
【0031】
ここで、エア袋10から気体が排出された状態にあるとき(図2(a)に示す状態)よりもエア袋10に気体が流入した状態にあるとき(図2(b)に示す状態)のほうが、第1ガイド板21は床面Bに対して大きな力で接触する。
従って、摩擦部材81は、エア袋10から気体が排出された状態の体位変換部1Aを被介護者の背中と床面Bとの間に差し入れるときには、体位変換部1Aを円滑に差し入れることができる程度の摩擦力を生じ、エア袋10内に気体を流入させて被介護者の体位を変換するときには、体位変換部1Aに対して滑らない程度の摩擦力を生じる部材を用いることが好ましい。
【0032】
本実施形態においては、第1ガイド板21の一辺21aと第2ガイド板22の一辺22aとが連結されているが、第1ガイド板21の一辺21aと第2ガイド板22の一辺22aとは連結されていなくても、エア袋10内に気体を流入させることで容易に被介護者の体位を変換することが可能である。
【0033】
また、体位変換器1においては、第1ガイド板21および第2ガイド板22の何れか一方のみを設けることも可能である。第1ガイド板21および第2ガイド板22の何れか一方のみを設けた場合においても、体位変換部1Aを被介護者の背中と床面Bとの間に容易に差し入れて、被介護者の体位を容易に変換することが可能である。
【0034】
但し、第1ガイド板21および第2ガイド板22の両方を設けた場合は、体位変換部1Aを被介護者の背中と床面Bとの間に差し入れてエア袋10内に気体を流入させた際に、体位変換部1Aを楔形の形状に保持することが容易となるため、被介護者の側臥姿勢をより安定して保持することが可能となる。
【0035】
エア袋10の形状および大きさは、特に限定されるものではなく、任意の形状および大きさに形成することができる。第1ガイド板21および第2ガイド板22の形状および大きさは、体位変換部1Aを被介護者の背中と床面Bとの間に容易に差し入れることができる形状および大きさに形成されていればよい。
【0036】
また、体位変換器1においては、体位変換部1Aを全体的に布などで作成された袋カバーにて覆うこともできる。体位変換部1Aを全体的に布などの袋カバーにて覆うことで、体位変換部1Aが被介護者の背中に触れたときの感触が向上するとともに、体位変換部1Aの外観を向上することができる。
【0037】
体位変換部1Aは、次のように構成することもできる。
つまり、図5に示すように、体位変換部1Aはエア袋10を複数有していてもよい。
図5に示す体位変換器1においては、エア袋10は第1エア袋11および第2エア袋12を有している。第1エア袋11および第2エア袋12は上下方向に積層されており、第2エア袋12は第1エア袋11の上方に配置されている。
【0038】
第1ガイド板21は第1エア袋11の下面に配置されるとともに、第1エア袋11の下面に貼着されている。第2ガイド板22は第2エア袋12の上面に配置されるとともに、第2エア袋12の上面に貼着されている。
【0039】
体位変換部1Aは3以上のエア袋10を有していてもよい。この場合、第1ガイド板21は最も下方に位置するエア袋の下面に配置し、第2ガイド板22は最も上方に位置するエア袋の上面に配置することができる。
【0040】
図5に示すように、体位変換部1Aが複数の第1エア袋11および第2エア袋12を有することで、一つのエア袋10を設けた場合に比べて、第1エア袋11および第2エア袋12に気体を流入させたときの体位変換部1Aの厚みを大きくすることが可能である。体位変換部1Aの厚みが大きくなることで、被介護者の背中の持ち上がり度合が大きくなって被介護者の背中と床面Bとの間隔が広がり、被介護者に対する清拭作業がより行い易くなる。
【0041】
また、体位変換部1Aに複数の第1エア袋11および第2エア袋12を設けた場合においても、第1ガイド板21を第1エア袋11の下面に配置し、第2ガイド板22を第2エア袋12の上面に配置することで、体位変換部1Aを被介護者の背中と床面Bとの間に差し入れてエア袋10内に気体を流入させた際に、体位変換部1Aを楔形の形状に保持することが容易となり、被介護者の側臥姿勢をより安定して保持することが可能となる。
【0042】
図6に示すように、体位変換部1Aにおいて複数の第1エア袋11および第2エア袋12を設けた場合、第1エア袋11と第2エア袋12とを連結するとともに、第1エア袋11内と第2エア袋12内とを互いに連通させることができる。
図6においては、第1エア袋11と第2エア袋12とは連結部13にて連結されているとともに、連結部13の一部に開口された連通孔14によって互いに連通されている。連通孔14は連結部13の端部側に配置されている。連通孔14は連結部13の1箇所に形成してもよいし、複数箇所に形成してもよい。
【0043】
第1エア袋11と第2エア袋12とを連通孔14にて連通することで、第1エア袋11および第2エア袋12の一方にエアチューブ40を接続することで、第1エア袋11と第2エア袋12との両方に気体を流入させることが可能となる。
互いに連結された第1エア袋11と第2エア袋12とは、連結部13において折り曲げることで積層状態とすることができる。この場合、連通孔14を連結部13の端部側に配置することで、連通孔14の気体の通りを良好にすることが可能となる。
【0044】
体位変換部1Aは、次のように構成することもできる。
つまり、図7に示すように、体位変換部1Aにおいては、第1エア袋11と第2エア袋12との間にガイド板20を配置することもできる。この場合、ガイド板20は第1エア袋11の上面に配置されるとともに、第2エア袋12の下面に配置されている。ガイド板20は、第1エア袋11の上面および第2エア袋12の下面の少なくとも一方に貼着することができる。
【0045】
このように、第1エア袋11と第2エア袋12との間にガイド板20を配置した場合であっても、体位変換部1Aを被介護者と床面Bとの間に座屈させることなく差し入れることができ、差し入れる作業を容易に行うことが可能である。
【0046】
図8に示すように、第1エア袋11と第2エア袋12との間には、複数の第1ガイド板21および第2ガイド板22を配置することもできる。この場合、第1エア袋11の上面に第1ガイド板21を配置するとともに貼着し、第2エア袋12の下面に第2ガイド板22を配置するとともに貼着することができる。
【0047】
第1エア袋11と第2エア袋12との間に複数の第1ガイド板21および第2ガイド板22を配置した構成は、例えば図5に示した第1エア袋11の下面に第1ガイド板21を配置するとともに第2エア袋12の上面に第2ガイド板22を配置した構成の、第1エア袋11と第2エア袋12との連結部13における折り曲げ方向を逆方向にすることで構成することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 体位変換器
1A 体位変換部
1B 操作部
10 エア袋
11 第1エア袋
12 第2エア袋
20 ガイド板
21 第1ガイド板
22 第2ガイド板
30 ポンプ
40 エアチューブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8