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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-07
(45)【発行日】2024-08-16
(54)【発明の名称】飛行装置
(51)【国際特許分類】
   B64D 25/00 20060101AFI20240808BHJP
   B64C 27/08 20230101ALI20240808BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20240808BHJP
   B64D 27/04 20060101ALI20240808BHJP
   B64D 27/10 20060101ALI20240808BHJP
   B64D 27/24 20240101ALI20240808BHJP
   B64U 10/16 20230101ALI20240808BHJP
   B64U 20/30 20230101ALI20240808BHJP
   B64U 50/33 20230101ALI20240808BHJP
【FI】
B64D25/00
B64C27/08
B64C39/02
B64D27/04
B64D27/10
B64D27/24
B64U10/16
B64U20/30
B64U50/33
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021177725
(22)【出願日】2021-10-29
(62)【分割の表示】P 2021149282の分割
【原出願日】2021-09-14
(65)【公開番号】P2023042495
(43)【公開日】2023-03-27
【審査請求日】2023-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】320011199
【氏名又は名称】株式会社石川エナジーリサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】石川 満
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/006339(WO,A1)
【文献】再公表特許第2018/084261(JP,A1)
【文献】特開2019-059362(JP,A)
【文献】国際公開第2020/137105(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 25/00
B64C 27/08
B64C 39/02
B64D 27/04
B64D 27/10
B64D 27/24
B64U 10/16
B64U 20/30
B64U 50/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1駆動系統と、前記第1駆動系統とは別系統である第2駆動系統と、を具備し、
前記第1駆動系統は、第1エンジンと、前記第1エンジンにより機械的に回転駆動される第1ロータと、を有し、
前記第2駆動系統は、前記第1エンジンとは別体である第2エンジンと、前記第2エンジンの駆動力により発電された電力により回転するモータと、前記モータより回転駆動される第ロータと、を有し、
前記第1駆動系統および前記第2駆動系統が稼働することで飛行する通常飛行状態と、前記第1駆動系統および前記第2駆動系統の何れか一方が飛行中に停止する緊急飛行状態と、で飛行可能であり、
前記緊急飛行状態では、
前記第1エンジンが停止した場合は、前記第2エンジンの駆動力により電力を発電し、前記電力により駆動する前記モータより回転される前記第2ロータにより飛行し、
前記第2エンジンが停止した場合は、前記第1エンジンにより機械的に回転駆動される前記第1ロータにより飛行し、前記第1エンジンにより発電した電力により、前記第2ロータを回転させることを特徴とする飛行装置。
【請求項2】
前記第1エンジンが停止した場合は、前記第2エンジンの駆動力を用いた発電の出力を高めることを特徴とする請求項1に記載の飛行装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行装置に関し、特に、複数の駆動源を有する飛行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、無人で空中を飛行することが可能な飛行装置が知られている。このような飛行装置は、垂直軸回りに回転駆動するロータの推力で、空中を飛行することが可能とされている。
【0003】
飛行装置の適用分野としては、例えば、輸送分野、測量分野および撮影分野等が考えられる。このような分野に飛行装置を適用させる場合は、測量機器や撮影機器を飛行装置に備え付ける。飛行装置を係る分野に適用させることで、人が立ち入れない地域に飛行装置を飛行させ、そのような地域の輸送、撮影および測量を行うことができる。係る飛行装置に関する発明は、例えば、特許文献1に記載されている。
【0004】
特許文献1を参照すると、基体に複数のアーム部が配備されており、各アーム部の外側端部に、モータと回転翼が設置されている。また、係る飛行装置は、中心部に機体ベースが配置され、この機体ベースから周囲にアームが伸び、アームの先端部にモータおよびロータが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-122674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した特許文献1に記載された飛行装置では、飛行時における冗長性の観点から改善の余地があった。
【0007】
具体的には、特許文献1に記載された飛行装置は、バッテリおよびモータから成る一つのみの駆動源を有する。従って、飛行中に於いて、モータやバッテリが故障する等して駆動源が停止した場合、飛行装置はそのまま落下してしまい、飛行装置および輸送物が損傷してしまう恐れがあった。輸送物が高価な高性能カメラ等であった場合、飛行装置の落下に伴う損失が大きくなってしまう課題がある。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数の駆動源を有し、何れかの駆動源が飛行中に停止した場合でも、他方の駆動源で飛行を続行することができる飛行装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の飛行装置は、第1駆動系統と、前記第1駆動系統とは別系統である第2駆動系統と、を具備し、前記第1駆動系統は、第1エンジンと、前記第1エンジンにより機械的に回転駆動される第1ロータと、を有し、前記第2駆動系統は、前記第1エンジンとは別体である第2エンジンと、前記第2エンジンの駆動力により発電された電力により回転するモータと、前記モータより回転駆動される第ロータと、を有し、前記第1駆動系統および前記第2駆動系統が稼働することで飛行する通常飛行状態と、前記第1駆動系統および前記第2駆動系統の何れか一方が飛行中に停止する緊急飛行状態と、で飛行可能であり、前記緊急飛行状態では、前記第1エンジンが停止した場合は、前記第2エンジンの駆動力により電力を発電し、前記電力により駆動する前記モータより回転される前記第2ロータにより飛行し、前記第2エンジンが停止した場合は、前記第1エンジンにより機械的に回転駆動される前記第1ロータにより飛行し、前記第1エンジンにより発電した電力により、前記第2ロータを回転させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
複数の駆動源を有し、何れかの駆動源が飛行中に停止した場合でも、他方の駆動源で飛行を続行することができる飛行装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る飛行装置の構成を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る飛行装置の動作を示すフローチャートである。
図3】本発明の他形態に係る飛行装置の構成を示す図である。
図4】本発明の他形態に係る飛行装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図を参照して本実施形態に係る飛行装置10を説明する。以下の説明では、同一の部材には原則的に同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。また、以下の説明では、上下前後左右の各方向を用いるが、左右とは図1において後方から飛行装置10を見た場合の左右である。
【0017】
図1は、飛行装置10の構成を示す図である。
【0018】
飛行装置10は、第1駆動系統11と、第1駆動系統11とは別系統である第2駆動系統12と、を具備する。図1では、第1駆動系統11を構成する各構成機器は、密な点線で示される接続線により接続される。また、第2駆動系統12を構成する各構成機器は、実線で示される接続線により接続される。更に、バッテリ27からモータ221等に電力が供給される経路を、粗な点線で示している。
【0019】
飛行装置10は、ここでは図示しない操作者が操作する操作機器と無線的に接続され、操作機器から入力される操作信号に基づき、飛行装置10の上昇、下降、移動、ホバリング等を行う。
【0020】
第1駆動系統11は、第1駆動源としてのバッテリ27と、バッテリ27から供給されるエネルギにより回転するロータ15(第1ロータ)としてのロータ151等と、ロータ151等を回転させるモータ221等と、飛行状況に応じてモータ221等の回転数を制御する第1制御部20とを有する。
【0021】
具体的には、第1駆動系統11は、ロータ15として、ロータ151、ロータ152、ロータ153およびロータ154を有する。ロータ151は前側左方に配置され、ロータ152は前側右方に配置され、ロータ153は後方右方に配置され、ロータ154は後方左方に配置される。また、ロータ151はモータ221により回転駆動され、ロータ152はモータ222により回転駆動され、ロータ153はモータ223により回転駆動され、ロータ154はモータ224により回転駆動される。モータ221ないしモータ224は、バッテリ27から供給される電力により回転駆動され、これらの回転速度は第1制御部20が制御している。
【0022】
第1制御部20は、フライトコントローラであり、飛行装置10に関連する各物理量に基づいて、飛行装置10の位置姿勢をコントロールするべく、モータ221ないしモータ224の回転数を制御する。第1制御部20には、ここでは図示しない各種センサ、具体的には、例えば、加速度センサ、角速度センサ、地磁気センサ、気圧センサおよびGNSSアンテナ等から、各種物理量が入力される。
【0023】
第2駆動系統12は、第2駆動源としてのバッテリ27と、第2駆動源17から供給されるエネルギにより回転するロータ18(第2ロータ)としてのロータ181等と、ロータ181等を回転させるモータ261等と、飛行状況に応じてのモータ261等の回転数を制御する第2制御部21とを有する。
【0024】
具体的には、第2駆動系統12は、ロータ18として、ロータ181、ロータ182、ロータ183およびロータ184を有する。ロータ181は前側左方に配置され、ロータ182は前側右方に配置され、ロータ183は後方右方に配置され、ロータ184は後方左方に配置される。また、ロータ181はモータ261により回転駆動され、ロータ182はモータ262により回転駆動され、ロータ183はモータ263により回転駆動され、ロータ184はモータ264により回転駆動される。モータ262ないしモータ264は、バッテリ27から供給される電力により駆動され、これらの回転速度は第2制御部21が制御している。
【0025】
第2制御部21は、第1制御部20とは別体として設けられるフライトコントローラであり、飛行装置10に関連する各物理量に基づいて、飛行装置10の位置姿勢をコントロールするために、モータ261ないしモータ264の回転数を制御する。
【0026】
飛行装置10は、第1駆動系統11および第2駆動系統12が稼働することで飛行する通常飛行状態と、第1駆動系統11および第2駆動系統12の何れか一方が飛行中に停止する緊急飛行状態と、で飛行可能である。
【0027】
緊急飛行状態では、第1駆動系統11が停止した場合は、第2制御部21の制御に基づいて、ロータ181等を回転させることにより着陸する。一方、第2駆動系統12が停止した場合は、第1制御部20の制御に基づいて、ロータ151等を回転させることにより着陸する。飛行装置10の具体的な動作は、図2を参照して、参照して後述する。
【0028】
ここで、ロータ181およびロータ151は、飛行装置10の前側左方に於いて、上下方向に重畳するように配置されても良いし、重畳しないように配置されても良い。かかる事項は、他のロータ152およびロータ182に関しても同様である。
【0029】
図2は、図1に示した飛行装置10の動作を示すフローチャートである。
【0030】
ステップS11では、飛行装置10は、ロータ15およびロータ18を回転させ、地上から離陸した後に、空中を飛行する。この際、飛行装置10は、地上に位置する操作者からの指示に基づき、上昇、ホバリング、移動、下降、農薬などの噴霧、写真撮影等を実行する。
【0031】
ステップS12では、第1駆動系統11および第2駆動系統12が稼働しているか否かを判断する。この判断は、第1制御部20または第2制御部21が行っても良いし、これらとは別途に設けられたコンパニオンコントローラが行っても良い。かかる事項は、以下の説明に関しても同様である。
【0032】
ステップS12でYESの場合、第1駆動系統11および第2駆動系統12の両方が稼働しているため、即ち、ロータ15およびロータ18が共に回転しているため、演算制御部13は、ステップS13に移行する。
【0033】
ステップS12でNOの場合、第1駆動系統11および第2駆動系統12の何れかが稼働していないため、即ち、ロータ15およびロータ18の何れかが回転していないため、演算制御部13は、ステップS14に移行する。
【0034】
ステップS13では、第1制御部20および第2制御部21は、通常飛行状態を実行する。具体的には、第1制御部20は、各種センサから入力される情報に基づいて、モータ221ないしモータ224を回転駆動することで、ロータ151ないしロータ154を所定の回転速度で回転させる。第2制御部21も同様に、各種センサから入力される情報に基づいて、モータ261ないしモータ264を回転駆動することで、ロータ181ないしロータ184を所定の回転速度で回転させる。
【0035】
ステップS14では、第1駆動系統11が稼働していないか否かを確認する。第1駆動系統11が稼働していないとは、具体的には、バッテリ27から第1駆動系統11への給電が途絶えた場合、第1制御部20が故障した場合、第1駆動系統11とモータ221等を接続する導線が断線した場合、モータ221ないしモータ224の何れかが故障した場合、ロータ151ないしロータ154の何れかが損傷した場合等である。第1駆動系統11が稼働していない場合は、ロータ151ないしロータ154を所定速度で回転させることができない。
【0036】
ステップS14でYESの場合、即ち、第1駆動系統11が稼働していない場合、ステップS15に移行する。
【0037】
ステップS14でNOの場合、即ち、第1駆動系統11が稼働している場合、ステップS16に移行する。
【0038】
ステップS15では、飛行装置10は、緊急飛行状態となる。具体的には、第1駆動系統11が停止することで、ロータ151ないしロータ154は回転せず、第2駆動系統12のロータ181ないしロータ184を回転させることで、飛行装置10の飛行状態を維持する。第2制御部21は、第2制御部21のロータ181ないしロータ184を回転させることで、着陸動作を実行する。このようにすることで、飛行中に第1駆動系統11が停止したとしても、第2駆動系統12により飛行装置10を安全に着陸させ、飛行装置10自体や飛行装置10に備えられた高価なカメラ等が破損することを防止できる。
【0039】
ステップS16では、第2駆動系統12が稼働していないか否かを確認する。第2駆動系統12が稼働していないとは、具体的には、バッテリ27から第2駆動系統12への給電が途絶えた場合、第2制御部21が故障した場合、第2駆動系統12とモータ221等を接続する導線が断線した場合、モータ261ないしモータ264の何れかが故障した場合、ロータ181ないしロータ184の何れかが損傷した場合等である。第2駆動系統12が稼働していない場合は、ロータ181ないしロータ184を所定速度で回転させることができない。
【0040】
ステップS16でYESの場合、即ち、第2駆動系統12が稼働していない場合、ステップS17に移行する。
【0041】
ステップS16でNOの場合、即ち、第2駆動系統12が稼働している場合、ステップS12に移行し、第1制御部20および第2制御部21を用いて飛行装置10を飛行させる通常飛行状態を実行する。
【0042】
ステップS17では、飛行装置10は、緊急飛行状態となる。具体的には、第2駆動系統12が停止することで、ロータ183ないしロータ184は回転せず、第1駆動系統11のロータ151ないしロータ154を回転させることで、飛行装置10の飛行状態を維持する。第1制御部20は、第1駆動系統11のロータ151ないしロータ154を回転させることで、着陸動作を実行する。このようにすることで、飛行中に第2駆動系統12が停止したとしても、第1駆動系統11により飛行装置10を安全に着陸させ、飛行装置10自体や飛行装置10に備えられた高価なカメラ等が破損することを防止できる。
【0043】
ステップS18では、飛行装置10を地上に着陸させる。この時、緊急飛行状態では、垂直に飛行装置10を着陸させても良いし、地上で操作する操作者が存在する箇所の近傍に飛行装置10を着陸させても良い。
【0044】
図3は、本発明の他形態に係る飛行装置10の構成を示す図である。図3に示す飛行装置10は、図1に示したものと同様であり、第1エンジン231等を備えるパラレルハイブリッド型ドローンである。
【0045】
飛行装置10は、動力源として、バッテリ27に加えて、第1エンジン231および第2エンジン232を有する。
【0046】
第1エンジン231は、後述するロータ281等を機械的に回転させ、更に、緊急飛行状態に於いては発電機としても機能する。
【0047】
第1エンジン231の回転軸には、切替部としてのクラッチ291、発電機301およびプーリー311が接続されている。
【0048】
クラッチ291は、例えば電磁クラッチや遠心クラッチであり、第1エンジン231の出力軸とプーリー311との間に配置される。クラッチ291は、第1エンジン231の出力が一定の範囲にある時に、出力軸とプーリー311とを駆動的に接続する。一方、クラッチ291は、第1エンジン231の始動時および停止時には、出力軸とプーリー311とを駆動的に接続しない。
【0049】
クラッチ292は、例えば電磁クラッチや遠心クラッチであり、第1エンジン231の他の出力軸とプーリー312との間に配置される。クラッチ292は、第1エンジン231の他の出力が一定の範囲にある時に、出力軸とプーリー312とを駆動的に接続する。一方、クラッチ292は、第1エンジン231の始動時および停止時には、出力軸とプーリー312とを駆動的に接続しない。
【0050】
発電機301は、通常飛行状態では運転されず、緊急飛行状態では、ここでは図示しないクラッチにより駆動的に第1エンジン231の出力軸と接続されることで緊急時発電機24として機能する。また、発電機301は、第1エンジン231を起動する際には、スタータとしても機能する。
【0051】
第1エンジン231の他の回転軸には、クラッチ292、発電機302およびプーリー312が接続されている。
【0052】
発電機302は、通常飛行状態では運転されず、緊急飛行状態では、ここでは図示しないクラッチにより駆動的に第1エンジン231の出力軸と接続されることで緊急時発電機24として機能する。また、発電機302は、第1エンジン231を起動する際には、スタータとしても機能する。
【0053】
ロータ281は、サブロータであるロータ181等と比較すると大径型のものであり、メインロータとも称されている。ロータ281の中心にはプーリー321が取り付けられており、プーリー321とプーリー311との間にはベルト331が架設されている。
【0054】
同様に、ロータ282の中心にはプーリー322が取り付けられており、プーリー322とプーリー312との間にはベルト332が架設されている。
【0055】
上記構成により、第1エンジン231を運転すると、プーリー311、ベルト331およびプーリー321を経由して伝達される動力により、ロータ281は所定速度で回転する。同様に、プーリー312、ベルト332およびプーリー322を経由して伝達される動力により、ロータ282が所定速度で回転する。
【0056】
第2エンジン232は、発電機341および発電機342を駆動する発電のためのエンジンである。第2エンジン232の出力は、発電機341および発電機342から得られる発電量が一定となるように設定されている。
【0057】
また、飛行装置10は、電力変換部として、パワーコンディショナー161ないしパワーコンディショナー164、および、パワーコンディショナー191ないしパワーコンディショナー194を有している。具体的には、パワーコンディショナー161は、バッテリ27とモータ221との間に配置され、パワーコンディショナー162は、バッテリ27とモータ222との間に配置され、パワーコンディショナー163は、バッテリ27とモータ223との間に配置され、パワーコンディショナー164は、バッテリ27とモータ224との間に配置される。また、パワーコンディショナー191は、バッテリ27とモータ261との間に配置され、パワーコンディショナー192は、バッテリ27とモータ262との間に配置され、パワーコンディショナー193は、バッテリ27とモータ263との間に配置され、パワーコンディショナー194は、バッテリ27とモータ264との間に配置される。ここで、パワーコンディショナー161ないしパワーコンディショナー194は、バッテリ27を経由せずに、発電機341または発電機342と直接に接続することもできる。
【0058】
パワーコンディショナー161ないしパワーコンディショナー194は、コンバータを内蔵し、発電機341または発電機342が発電した交流電力を直流電力に変換する。変換された電力は、各モータに備えられたドライバに含まれるインバータにより、所定の周波数の交流電力に変換され、かかる交流電力により各モータが回転し、これにより各ロータが所定速度で回転する。
【0059】
ここで、パワーコンディショナー161ないしパワーコンディショナー164は、第1制御部20により制御され、これによりモータ221ないしモータ224の回転速度を制御できる。また、パワーコンディショナー191ないしパワーコンディショナー194は、第2制御部21により制御され、これによりモータ261ないしモータ264の回転速度を制御できる。
【0060】
図4は、本発明の他形態に係る飛行装置10の動作を示すフローチャートである。飛行装置10では、第1エンジン231により機械的に駆動されるロータ281およびロータ282が、飛行装置10を浮遊させるための主な推力を発生させ。ロータ15およびロータ18が、飛行装置10の姿勢を制御するための推力を発生させる。
【0061】
ステップS21では、演算制御部13は、第1エンジン231および第2エンジン232を始動させ、両エンジンの回転数が一定に達したら、クラッチ291およびクラッチ292を接続することにより、駆動力をプーリー311およびプーリー312に伝達する。そうすると、係る伝達力は、ベルト331およびベルト332を介して、プーリー321およびプーリー322に伝達され、ロータ281およびロータ282が所定速度で回転する。また、ロータ15およびロータ18も、第2エンジン232により駆動される発電機341および発電機342から発生する電力を利用し、姿勢制御等のために所定速度で回転している。
【0062】
ステップS22では、演算制御部13は、第1エンジン231および第2エンジン232が正常に稼働しているか否かを確認する。
【0063】
ステップS22でYESの場合、動力源である第1エンジン231および第2エンジン232から、飛行装置10の飛行に必要とされるエネルギが発生しており、演算制御部13は、ステップS23に移行する。
【0064】
ステップS22でNOの場合は、動力源である第1エンジン231および第2エンジン232の何れかが停止しており、通常飛行状態を維持することが難しく緊急飛行状態であるため、演算制御部13は、ステップS24に移行する。
【0065】
ステップS23では、演算制御部13は、第1エンジン231および第2エンジン232が問題なく稼働しているので、そのまま通常飛行状態を続行する。
【0066】
ステップS24では、演算制御部13は、第1エンジン231が稼働していないかを確認する。
【0067】
ステップS24でYESの場合、演算制御部13は、ステップS25に移行する。
【0068】
ステップS24でNOの場合、演算制御部13は、ステップS26に移行する。
【0069】
ステップS25では、演算制御部13は、緊急飛行状態に於いて、第2エンジン232から得られるエネルギのみで、飛行装置10の飛行を続行させる。具体的には、第2エンジン232に駆動的に接続されている発電機341および発電機342を駆動する。例えば、ステップS25においては、通常飛行状態を行うステップS23よりも、発電機341および発電機342の出力を高める。このようにすることで、ステップS25におけるロータ15およびロータ18の推力を、ステップS23におけるロータ15およびロータ18の推力よりも大きくし、飛行装置10が急に落下することを抑制する。
【0070】
ここで、ステップS25において、クラッチ291およびクラッチ292による動力伝達を停止し、ここでは図示しないモータによりプーリー311およびプーリー312を回転させ、ロータ281およびロータ282を回転させることもできる。この場合、緊急時発電機24を動作させても良いし、動作させなくても良い。
【0071】
ステップS25における制御は、演算制御部13が行っても良いし、演算制御部13、第1制御部20および第2制御部21の何れかが行っても良い。
【0072】
ステップS26では、演算制御部13は、第2エンジン232が稼働していないか否かを確認する。
【0073】
ステップS26でYESの場合、演算制御部13は、ステップS27に移行する。
【0074】
ステップS26でNOの場合、演算制御部13は、ステップS22に移行する。
【0075】
ステップS27では、演算制御部13は、第1エンジン231から得られるエネルギのみで、飛行装置10の飛行を続行する。具体的には、第1エンジン231が稼働することで、ロータ281およびロータ282を回転させ、これにより飛行装置10が浮遊するための推力を得ている。この場合、ロータ281およびロータ282から発生する推力を、通常飛行状態の際よりも大きくすることもできる。
【0076】
更に、演算制御部13の指示に基づいて、ここでは図示しないクラッチを接続状態にすることで、第1エンジン231の駆動力により、緊急時発電機24である発電機301および発電機302による発電を行う。発電機301および発電機302により発電された電力は、ロータ15およびロータ18を回転させる各モータに供給される。このようにすることで、第1エンジン231から発生する動力によりロータ281およびロータ282を回転させることで推力を確保できる。また、緊急時発電機24である発電機301および発電機302から発生する電力により、ロータ15およびロータ18を回転させることで飛行装置10の姿勢制御を行う。
【0077】
ステップS28では、演算制御部13は、飛行装置10を着陸させる。具体的には、第1エンジン231から発生する駆動力によりロータ281およびロータ282を回転させ、飛行装置10を徐々に下降させる。また、発電機301および発電機302により発生する電力によりロータ15およびロータ18を回転させることで、着陸時における飛行装置10の姿勢制御を行うことができる。
【0078】
以上が、図3に構成が示された飛行装置10の、通常飛行状態および緊急飛行状態における動作に関する説明である。
【0079】
前述した本実施形態により、以下のような主要な効果を奏することができる。
【0080】
本発明の飛行装置10によれば、飛行時に第1駆動系統11および第2駆動系統12の何れか一方が停止する緊急飛行状態であっても、停止していない第1駆動系統11および第2駆動系統12の何れか他方のロータを回転させることで、安全に着陸させることができる。よって、飛行装置の墜落、破損等を防止することができる。
【0081】
また、第1駆動系統11および第2駆動系統12の各々が制御部を備えていることで、何れか一方の制御系統が飛行中に停止した場合でも、稼働している他方の制御系統の制御部から指示でロータ18等を回転させることで、安全に着陸させることができる。
【0082】
また、電動モータのみを駆動源とする電動式ドローンにおいて、飛行中に駆動系統に故障が生じた際に、飛行装置10が落下してしまうことを防止できる。
【0083】
また、動力源としてモータおよびエンジンを有する所謂パラレルハイブリッドドローンに於いて、何れか一方の制御系統が飛行中に停止した場合でも、稼働している他方の制御系統の制御部から指示でロータを回転させることで、安全に着陸させることができる。
【0084】
また、緊急時発電機24を備えていることで、緊急時発電機24により発電を行い、発電された電力で回転するロータ15等により基体の姿勢制御を実行しながら、着陸することができる。
【0085】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更が可能である。また、前述した各形態は相互に組み合わせることが可能である。
【0086】
図1に示した飛行装置10では、第1駆動系統11および第2駆動系統12が、個別の第1制御部20および第2制御部21を有していたが、第1駆動系統11および第2駆動系統12を一つの第1制御部20で制御することもできる。
【0087】
図3を参照して、飛行装置10は、ロータ15およびロータ18を有していたが、ロータ15およびロータ18の何れか一方のみを有するようにしても良い。
【0088】
前述した本実施形態から以下の発明を把握することができる。
【0089】
本発明の飛行装置は、第1駆動系統と、前記第1駆動系統とは別系統である第2駆動系統と、演算制御部と、を具備し、前記第1駆動系統は、第1駆動源と、前記第1駆動源から供給されるエネルギにより回転する第1ロータと、飛行状況に応じて前記第1ロータの回転数を制御する第1制御部と、を有し、前記第2駆動系統は、第2駆動源と、前記第2駆動源から供給されるエネルギにより回転する第2ロータと、飛行状況に応じて前記第2ロータの回転数を制御する第2制御部と、を有し、前記第1駆動系統および前記第2駆動系統が稼働することで飛行する通常飛行状態と、前記第1駆動系統および前記第2駆動系統の何れか一方が飛行中に停止する緊急飛行状態と、で飛行可能であり、前記緊急飛行状態では、前記演算制御部の指示に基づいて、前記第1駆動系統が停止した場合は、前記第2ロータを回転させることにより着陸し、前記第2駆動系統が停止した場合は、前記第1ロータを回転させることにより着陸することを特徴とする。従って、本発明の飛行装置によれば、飛行時に第1駆動系統および第2駆動系統の何れか一方が停止する緊急飛行状態であっても、停止していない第1駆動系統および第2駆動系統の何れか他方のロータを回転させることで、安全に着陸させることができる。よって、飛行装置の墜落、破損等を防止することができる。
【0090】
また、本発明の飛行装置は、第1駆動系統と、前記第1駆動系統とは別系統である第2駆動系統と、を具備し、前記第1駆動系統は、第1駆動源と、前記第1駆動源から供給されるエネルギにより回転する第1ロータと、飛行状況に応じて前記第1ロータの回転数を制御する第1制御部と、を有し、前記第2駆動系統は、第2駆動源と、前記第2駆動源から供給されるエネルギにより回転する第2ロータと、飛行状況に応じて前記第2ロータの回転数を制御する第2制御部と、を有し、前記第1駆動系統および前記第2駆動系統が稼働することで飛行する通常飛行状態と、前記第1駆動系統および前記第2駆動系統の何れか一方が飛行中に停止する緊急飛行状態と、で飛行可能であり、前記緊急飛行状態では、前記第1駆動系統が停止した場合は、前記第2制御部の制御に基づいて、前記第2ロータを回転させることにより着陸し、前記第2駆動系統が停止した場合は、前記第1制御部の制御に基づいて、前記第1ロータを回転させることにより着陸することを特徴とする。従って、本発明の飛行装置によれば、第1駆動系統および第2駆動系統の各々が制御部を備えていることで、何れか一方の制御系統が飛行中に停止した場合でも、稼働している他方の制御系統の制御部からの指示でロータを回転させることで、安全に着陸させることができる。
【0091】
また、本発明の飛行装置では、前記第1ロータおよび前記第2ロータは、夫々、モータにより回転させることを特徴とする。従って、本発明の飛行装置によれば、モータのみを駆動源とする電動式ドローンにおいて、飛行中に駆動系統に故障が生じた際に、飛行装置が落下してしまうことを防止できる。
【0092】
また、本発明の飛行装置は、第1駆動系統と、前記第1駆動系統とは別系統である第2駆動系統と、演算制御部と、を具備し、前記第1駆動系統は、バッテリと、前記バッテリの電力により回転するモータと、前記モータより回転駆動される第1ロータと、を有し、前記第2駆動系統は、エンジンと、前記エンジンにより回転駆動される第2ロータと、を有し、前記第1駆動系統および前記第2駆動系統が稼働することで飛行する通常飛行状態と、前記第1駆動系統および前記第2駆動系統の何れか一方が飛行中に停止する緊急飛行状態と、で飛行可能であり、前記緊急飛行状態では、前記演算制御部の指示に基づいて、前記第1駆動系統が停止した場合は、前記第2ロータを回転させつつ、前記エンジンで発電した電力により、前記第1ロータを回転させることにより着陸し、前記第2駆動系統が停止した場合は、前記第1ロータを回転させることにより着陸することを特徴とする。従って、本発明の飛行装置によれば、動力源としてモータおよびエンジンを有する所謂パラレルハイブリッドドローンに於いて、何れか一方の制御系統が飛行中に停止した場合でも、稼働している他方の制御系統の制御部からの指示でロータを回転させることで、安全に着陸させることができる。
【0093】
また、本発明の飛行装置では、前記第2駆動系統は、緊急時発電機と、切替部と、を更に有し、前記通常飛行状態では、前記切替部は、前記エンジンから前記緊急時発電機に動力を伝達させず、前記緊急飛行状態では、前記切替部は、前記エンジンから前記緊急時発電機に動力を伝達させることで、前記緊急時発電機は発電することを特徴とする。従って、本発明の飛行装置によれば、緊急時発電機を備えていることで、緊急飛行状態において、緊急時発電機により発電を行い、発電された電力で回転するロータにより基体の姿勢制御を実行しながら、着陸することができる。
【符号の説明】
【0094】
10 飛行装置
11 第1駆動系統
12 第2駆動系統
13 演算制御部
14 第1駆動源
151 ロータ
152 ロータ
153 ロータ
154 ロータ
161 パワーコンディショナー
162 パワーコンディショナー
163 パワーコンディショナー
164 パワーコンディショナー
17 第2駆動源
18 ロータ
181 ロータ
182 ロータ
183 ロータ
184 ロータ
191 パワーコンディショナー
192 パワーコンディショナー
193 パワーコンディショナー
194 パワーコンディショナー
20 第1制御部
21 第2制御部
22 モータ
221 モータ
222 モータ
223 モータ
224 モータ
231 第1エンジン
232 第2エンジン
24 緊急時発電機
25 切替部
26 モータ
261 モータ
262 モータ
263 モータ
264 モータ
27 バッテリ
281 ロータ
282 ロータ
291 クラッチ
292 クラッチ
301 発電機
302 発電機
311 プーリー
312 プーリー
321 プーリー
322 プーリー
331 ベルト
332 ベルト
341 発電機
342 発電機
図1
図2
図3
図4