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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-07
(45)【発行日】2024-08-16
(54)【発明の名称】複合導光光学素子の作製の方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20240808BHJP
   G02B 5/00 20060101ALN20240808BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B5/00 Z
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023142287
(22)【出願日】2023-09-01
(62)【分割の表示】P 2022551401の分割
【原出願日】2021-05-24
(65)【公開番号】P2023162389
(43)【公開日】2023-11-08
【審査請求日】2023-09-01
(31)【優先権主張番号】63/029,500
(32)【優先日】2020-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518105275
【氏名又は名称】ルーマス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Lumus Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シモン・グレイバーニク
(72)【発明者】
【氏名】ツィオン・アイゼンフェルト
【審査官】河村 麻梨子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/049542(WO,A1)
【文献】特開2018-165741(JP,A)
【文献】特表2018-503121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01-27/02
G02B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合導光光学素子(LOE)を作製する方法であって、
複数のLOE前駆体のスタックであって、前記スタックは、第1の表面と第2の表面とを含む平行表面の第1の対を有し、各LOE前駆体は、主平行面の対と、前記主平行面の対に対して傾斜した第1の複数の相互に平行な部分反射性内部面とを含む、スタックを取得することと、
第1のブロックであって、第3の表面と第4の表面とを含む平行表面の第2の対と、第2の複数の相互に平行な部分反射性内部面と、前記第3の表面または前記第4の表面に接合された透明なプレートと、を有する、第1のブロックを取得することと、
前記透明なプレートの外部面が、前記スタックの前記第1の表面または前記第2の表面のうちの1つに連結され、前記第1の複数の部分反射性内部面が、前記第2の複数の部分反射性内部面と非平行となるように、前記第1のブロックおよび前記スタックを一緒に接合し、それにより第2のブロックを形成することと、
前記LOE前駆体の前記主平行面に実質的に平行な少なくとも2つの切断面を通して前記第2のブロックを切断することにより、前記第2のブロックから少なくとも1つの複合LOEをスライス状に切り出すことと、を含む、方法。
【請求項2】
前記透明なプレートが、いずれの反射面または半反射面も有さない光学的に不活性なエリアである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記透明なプレートが、中に埋め込まれた少なくとも1つの光学素子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの光学素子が、部分反射面を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの光学素子が、偏光素子を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記透明なプレートが、いずれの反射面または半反射面も有さない光学的に不活性なエリアと、部分反射面を含むエリアと、偏光素子を含むエリアとの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のブロックおよび前記スタックを一緒に接合する前に、前記透明なプレートの前記外部面を研磨することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のブロックおよび前記スタックを一緒に接合する前に、前記スタックの前記第1の表面または前記第2の表面を研磨することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のブロックおよび前記スタックを一緒に接合する前に、第1の複数の部分反射性内部面と前記第2の複数の部分反射性内部面とが直交するように、前記第1のブロックと前記スタックとを位置合わせすることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記LOE前駆体の前記主平行面に平行な前記スライス状に切り出された少なくとも1つの複合LOEの外部面を研磨することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記スタックが、複数の透明なスペーサプレートを含む接合されたスタックであり、前記LOE前駆体および前記透明なスペーサプレートが、前記平行表面の第1の対に垂直な前記接合されたスタックの長さに沿って交互に配置されるように、前記接合されたスタック内に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも2つの切断面は、LOE前駆体が間に挟持された少なくとも2つの連続するスペーサプレート内にある、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
複合導光光学素子(LOE)の作製工程の中間作業生成物である光学構造体であって、前記光学構造体は、
複数のLOE前駆体を含む第1の領域であって、各LOE前駆体は、主平行面の対と、前記主平行面の対に対して傾斜した第1の複数の相互に平行な部分反射性内部面とを含む、第1の領域と、
前記第1の複数の部分反射性内部面に非平行な第2の複数の相互に平行な部分反射性内部面を含む、第2の領域と、
前記第1の領域と前記第2の領域とを分離する第3の領域であって、前記第3の領域は、前記主平行面の対に垂直な主外部面を有する透明なプレートから形成されている、第3の領域と、を含む、光学構造体。
【請求項14】
前記透明なプレートが、いずれの反射面または半反射面も有さない光学的に不活性なエリアである、請求項13に記載の光学構造体。
【請求項15】
前記透明なプレートが、中に埋め込まれた少なくとも1つの光学素子を含む、請求項13に記載の光学構造体。
【請求項16】
前記少なくとも1つの光学素子が、部分反射面を含む、請求項15に記載の光学構造体。
【請求項17】
前記少なくとも1つの光学素子が、偏光素子を含む、請求項15に記載の光学構造体。
【請求項18】
前記透明なプレートが、いずれの反射面または半反射面も有さない光学的に不活性なエリアと、部分反射面を含むエリアと、偏光素子を含むエリアとの任意の組み合わせを含む、請求項13に記載の光学構造体。
【請求項19】
前記複数のLOE前駆体が、透明なスペーサプレートによって分離されている、請求項13に記載の光学構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光光学素子(LOE)に関し、特に、二次元画像拡大のための複合LOEおよびその製造の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複合LOEまたは「二次元拡大導光体」は、先行する出版物においてLumus Ltd.(イスラエル)によって記載されている。かかる複合LOEの例は、例えばPCT公開第2020/049542号に見出される。一般に、これらの複合LOEは、2つの領域を利用し、その各々は、主面における内部反射によって平行像を伝える光の伝播を支援するための透明材料の平行表面を有するブロックであり、光学的開口の拡大を実現しながら平行像の向きを変える、相互に平行な内部の部分反射性の面すなわち「ファセット」のセットを含む。異なるファセットの向きを有する2つのかかる素子を組み合わせることにより、単一の素子内で光学的開口の二次元的拡大を実現し、それによって画像投射器からの入力画像を拡大して観察者の目に向けてより大きな面積にわたって出力することが可能となる。
【発明の概要】
【0003】
本発明の一態様によれば、複合導光光学素子(LOE)を作製する方法であって、複数のLOE前駆体および複数の透明なスペーサプレートの接合されたスタックを提供することであって、スタックは、平行表面の第1の対を有し、スタックは、平行表面の対に垂直なスタックの長さに沿って、交互に配置されたLOE前駆体および透明なスペーサプレートを有し、各LOE前駆体は、主平行面の対、および平行面の対に対して傾斜した第1の複数の相互に平行な部分反射性内部面を含む、提供することと、平行表面の第2の対および平行表面の第2の対に対して傾斜した複数の相互に平行な内部面を有する第1の光学ブロックを提供することであって、内部面は、少なくとも部分的に反射性であり、それにより第1のブロックが、第2の複数の相互に平行な部分反射性内部面を含む、提供することと、第1のブロックの表面のうちの1つが、スタックの表面のうちの1つに連結され、第1の複数の部分反射性内部面が、第2の複数の部分反射性内部面と非平行となるように、第1のブロックをスタックに接合し、それにより第2の光学ブロックを形成することと、LOE前駆体が間に挟持された少なくとも2つの連続するスペーサプレートを通して第2のブロックを切断することにより、第2のブロックから少なくとも1つの複合LOEをスライス状に切り出すことと、を含む方法が提供される。
【0004】
いくつかの態様によれば、第1のブロックの内部面はそれぞれ、部分反射性コーティングにより部分的にのみコーティングされ、内部面は、間隙を間に有する複数の反射性コーティングのストリップを含む。
【0005】
いくつかの態様によれば、本方法は、スタックを第1のブロックに接合する前に、第1のブロックに連結されることとなるスタックの表面を研磨すること、および/または第1のブロックをスタックに接合する前に、スタックに連結されることとなる第1のブロックの表面を研磨することを含む。
【0006】
いくつかの態様によれば、第1のブロックをスタックに接合する前に、第1の複数の部分反射性内部面と第2の複数の部分反射性内部面とが直交するように、第1のブロックとスタックとを位置合わせすることを含む。
【0007】
いくつかの態様によれば、本方法は、LOE前駆体の主平行面に平行なスライス状に切り出された少なくとも1つの複合LOEの外部面を研磨することを含む。
【0008】
いくつかの態様によれば、第1のブロックの内部面はそれぞれ、部分反射性コーティングにより部分的にのみコーティングされ、内部面は、間隙を間に有する複数の反射性コーティングのストリップを含む。
【0009】
本発明の別の態様によれば、複合LOEの作製工程の中間作業生成物である光学構造体であって、光学構造体は、間にある透明なスペーサプレートにより分離された複数のLOE前駆体を含む第1の領域であって、各LOE前駆体は、主外部平行面の対と、平行面の対に対して傾斜した第1の複数の相互に平行な部分反射性内部面とを含む、第1の領域と、第1の複数の部分反射性内部面に非平行な第2の複数の相互に平行な部分反射性内部面を含む、第2の領域と、第1の領域と第2の領域とを分離する少なくとも1つの内部面であって、該内部面は、平行面の対に垂直である、少なくとも1つの内部面と、を含む光学構造体が提供される。
【0010】
いくつかの態様によれば、光学構造体は、第1の領域を含む第1の光学ブロックを、第2の領域を含む第2の光学ブロックと接合することにより形成される。
【0011】
いくつかの態様によれば、光学構造体は、第1の領域と第2の領域との間に第3の光学領域を含んでも良い。第3の光学領域は、1つ以上の光学素子を含んでも良い。光学素子は、光学的に活性な素子であっても良いし、または光学的に不活性な素子であっても良い。いくつかの態様においては、第2の領域内の少なくとも1つのサブ領域は、いずれの部分反射性内部面をも有さず、および/または、第1の領域内の各LOE前駆体は、いずれの部分反射性内部面をも有さない少なくとも1つのサブ領域を含んでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
発明を、添付の図面を参照して、実施例としてのみ本明細書に記載する。
【0013】
図1(a)】先行技術による複合LOEの一実施形態を示す。
図1(b)】先行技術による複合LOEの一実施形態を示す。
図2】複合LOEを作製する既知の方法を示す。
図3(a)】複合LOEの別の実施形態を示す。
図3(b)】複合LOEの別の実施形態を示す。
図4(a)】所与の厚さd1を有するLOEを示す。
図4(b)】所与の厚さd1を有するLOEを示す。
図5(a)】所与の厚さd2の透明なプレートにより分離された接合されたLOE前駆体のスタックを示す。
図5(b)】所与の厚さd2の透明なプレートにより分離された接合されたLOE前駆体のスタックを示す。
図6(a)】透明なプレートのブロックを示す。
図6(b)】透明なプレートのブロックを示す。
図6(c)】図6(a)~図6(b)のブロックを形成する方法を示す。
図7(a)】図6(a)~図6(b)のブロックを図5(a)~図5(b)のスタックに接合して形成された光学構造体を示す。
図7(b)】図6(a)~図6(b)のブロックを図5(a)~図5(b)のスタックに接合して形成された光学構造体を示す。
図7(c)】図7(a)~図7(b)のブロックから取り出されたスライスを示す。
図7(d)】図7(a)~図7(b)のブロックから取り出されたスライスを示す。
図8(a)】図6(a)~図6(b)のブロックの代替の実施形態を示す。
図8(b)】図6(a)~図6(b)のブロックの代替の実施形態を示す。
図9(a)】図5(a)~図5(b)のスタックとの図8(a)~図8(b)のブロックの接合により形成される光学構造体を示す。
図9(b)】図5(a)~図5(b)のスタックとの図8(a)~図8(b)のブロックの接合により形成される光学構造体を示す。
図10(a)】図9(a)~図9(b)の光学構造体から切り取られた複合LOEを示す。
図10(b)】図9(a)~図9(b)の光学構造体から切り取られた複合LOEを示す。
図11(a)】ブロック16の別の実施形態を示す。
図11(b)】ブロック16の別の実施形態を示す。
図12(a)】図5(a)~図5(b)のスタックとの図11(a)~図11(b)のブロックの接合により形成される光学構造体を示す。
図12(b)】図5(a)~図5(b)のスタックとの図11(a)~図11(b)のブロックの接合により形成される光学構造体を示す。
図12(c)】図12(a)~(b)の光学構造体から取り出されたスライスを示す。
図12(d)】図12(a)~(b)の光学構造体から取り出されたスライスを示す。
図13(a)】ブロック16の別の実施形態を示す。
図13(b)】ブロック16の別の実施形態を示す。
図13(c)】図13(a)~(b)の光学構造体から取り出されたスライスを示す。
図13(d)】図13(a)~(b)の光学構造体から取り出されたスライスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1(a)~図1(b)は、先行技術による複合LOE100の一実施形態を示す。複合LOE100は、界面102においてともに接合された第1のLOE1および第2のLOE2を含む。LOE1は、主平行面101、102の対と、面101、102に対して傾斜した複数の相互に平行な部分反射性内部面(「ファセット」)4とを含む。反射性は、LOE1を形成する前に、内部面上のコーティングを介して提供される。各ファセットの反射率は、互いと同じであっても良いし、または異なっていても良い。ファセット4は、外部のマイクロ投射器(図示されていない)からの画像を、1つの次元(本例においてはx次元)において該画像を拡大しながら、LOE2に向けて導くように構成される。LOE1は、面101、102に垂直な面103を含む。
【0015】
LOE2もまた、LOE1の面101、102に垂直な主平行面201の対と、面201に対して傾斜した複数の相互に平行な部分反射性ファセット5とを含む。いくつかの実施形態においては、図1(a)~図1(b)に示されるように、ファセット4に対するファセット5の空間的な向きは直交していても良いが、複合LOEに対する特定の用途の設計仕様に依存して、他の向きも可能である。ファセット5の反射性は、LOE2を形成する前に、内部面上のコーティングを介して提供される。ファセットのそれぞれの反射率は、互いと同じであっても良いし、または異なっていても良い。ファセット5は、LOE1(ここでは1つの次元で拡大されている)からの画像を、第2の次元(本例においてはz次元)において拡大しながら、観察者に導くように構成される。
【0016】
複合LOE100はさらに、XZ平面におけるLOE100の面上に透明なカバープレート3を含む。プレート3によってカバーされる面は、LOE1の面103およびLOE2の面201を含む。したがって、プレート3を貼付するためには、これらの面が正確に位置合わせされる必要がある。
【0017】
図2(a)~図2(c)は、複合LOEを作製する既知の方法を示す。典型的には、LOE1とLOE2とは別々に製造され、ともに接合される。本明細書を通して、「接合」なる用語は、光学接着剤または粘着剤を用いて取り付けることを意味することは、理解されるべきである。接合されたLOEは次いで、外部面を研磨される。この研磨された面にカバープレート3が貼付され、これらのカバープレートも典型的には次いで研磨される。この作製方法を使用する場合、LOE1の面103がLOE2の対応する面201と同一平面上となるように、LOE1~LOE2の接合工程が非常に高い精度で実行される必要がある。この方法は、図2(a)~図2(c)に示されるように、不適切な位置合わせを起こし易い。
【0018】
以上に説明された困難を克服するため、本発明は、複合LOEを作製する新たな方法を開示する。LOE2に対するLOE1の接合の間の正確な位置合わせの問題を克服することに加えて、ここで開示される工程は、図3(a)~図3(b)に示されるように、透明カバープレート3’がLOE2の面201上にのみ存在する、複合LOE100の新たな実施形態の作製を可能にする。複合LOEのこの実施形態は、2020年5月24日に出願された米国仮特許出願第63/029,496号から優先権を得る、本出願と同日に出願された「Compound Light-Guide Optical Elements」と題された同時係属中のPCT出願においてさらに詳細に議論されている。
【0019】
図4(a)~図4(b)は、LOE2の製造における中間の光学素子を意味すると理解されるべき、LOE「前駆体」2’を示す。LOE前駆体2’は、主平行外部面6の対と、該平行面の対に対して傾斜した複数の相互に平行な部分反射性内部面(「ファセット」)5とを含む。LOE前駆体は、本明細書においてd1とも示される、面6間の所定の厚さを有する。例えばPCT公開第2016/103263号に記載されるような、LOE前駆体を製造するための既知の方法が存在する。
【0020】
ここで図5(a)~図5(b)を参照すると、複数のLOE前駆体を作製した後、同じ厚さd1を有する複数のLOE前駆体と複数の透明なスペーサプレート7との接合されたスタック15が形成される。スタックは、スタックの長さ(y次元)に沿って交互に配置されたLOE前駆体と透明なスペーサプレートとから構成されている。各透明なプレートは、本明細書においてd2と示される、同一の所定の厚さを有する。スタック15は、面6に垂直なスタックの長さに沿って延在する平行表面8a、8bの対を有する。
【0021】
ここで図6(a)~図6(b)を参照すると、平行表面10a、10bを有する光学ブロック16が、複数の接合された透明なコーティングされたプレート17(各プレートは部分反射性コーティングでコーティングされる)から形成され、それにより、それぞれが表面10bに対して所定の角度11(「ファセット傾斜角」とも呼ばれる)で傾斜している複数の相互に平行な部分反射性内部面9を形成する。
【0022】
光学ブロック16を形成するための既知の方法が存在する。例えば、図6(c)に示されるように、1つの方法は、ブロックを取り出すために、複数のコーティングされたプレート17をスタック化および接合することと、図6(c)に示される破線に沿ってそのスタックを切断することとを含む。表面10bは次いで、最終的な複合LOEの特定の設計仕様に従って変わり得る所望のファセット傾斜角11を達成するために、研磨機器18によって研磨される。
【0023】
ここで図7(a)~図7(b)を参照すると、ブロック16はスタック15と位置合わせされて接合され、それによって光学ブロック18を形成する。より具体的には、ブロック16の表面10bが、スタック15の表面8aに接合される。表面10bおよび8aのいずれかまたは両方は、接合の前に平坦に研磨されても良い。ブロック16とスタックとの間の特定の位置合わせは、製品の設計仕様に従って変わり得る。図3(a)~図3(b)に示される複合LOEに対応する実施形態においては、ブロック15とブロック16との位置合わせは、図7(a)~図7(b)に示される座標系XYZを参照して、以下のように理解されることができる。スタック15およびブロック16は、LOE前駆体2’の面6が平面XZに平行となり、スタック15の表面8aが平面XYに平行となり、LOE前駆体2’のファセット5が平面YZに垂直となり、ブロック16のプレート17が平面XZに垂直となり、ブロック16の表面10bが平面XYに平行となるように位置合わせされることとなる。位置合わせの後、プレート17は、スタック15内のLOE前駆体2’の面6に垂直となる。
【0024】
位置合わせされ接合された構造体は、本明細書では光学ブロック18として示され、実際には複合LOE作製工程の中間作業生成物である光学構造体である。図示されるように、ブロック18は、LOE前駆体間の透明なスペーサプレートによって分離された複数のLOE前駆体を有する第1の領域と、複数の相互に平行な部分反射性内部面を有する第2の領域と、第1の領域と第2の領域とを分離する内部面とを含む。他の実施形態においては、以下にさらに詳述されるように、中間ブロック18は、第1および/または第2の領域において1つ以上の追加的なサブ領域を含んでも良い。これらのサブ領域は、ファセットのない領域に加えて、1つ以上の光学的に活性な素子または光学的に不活性な素子を含む領域を含んでも良い。これらのサブ領域は、図11(a)~図13(d)を参照して以下に詳述されるように、スタック15と接合する前に、そのいくつかが光学的に活性な素子を含んでも良い1つ以上のプレートをブロック16に追加することによって、ブロック18に追加されることができる。
【0025】
ブロック18は、スタック15の長さ(y次元)に沿って所定の間隔でスペーサプレート7を通して切断機器(図示されていない)を用いてスライスされ、ブロック18からスライス状に切り出された複数の複合LOE構造を形成する。スライスの面は図7(a)~図7(b)において破線12として示され、1枚のスライスが図7(c)~図7(d)に示される。ブロック18からスライス状に切り出された複合LOEは、図3(a)~図3(b)に示された複合LOEと同様の構造を有している。スライスの後、スペーサプレート(より正確には、半分のスペーサプレート)が、図3(a)~図3(b)におけるカバープレート3’と同様の構造を提供し、それにより、別個のカバープレート3’を取り付ける必要性を排除していることは注目されるべきである。スライス状に切り出された複合LOE構造のそれぞれは次いで、プレート7および17から構成される外部面で研磨されて、内部反射を介して導光に適した最終的な複合LOEを形成する。
【0026】
任意に、追加的な透明なカバープレートが、プレート17および17上で最終的な複合LOEに接合され、それらのカバープレートが研磨されても良い(この例においては、LOE1は単一のカバープレートを有し、LOE2は二重のカバープレートを有することになる)。
【0027】
図5(a)~図5(b)を参照して以上に詳述されたように、透明なプレートは、所定の厚さd2を有する。いくつかの実施形態においては、所定の厚さd2は、以下の式に従って決定される。
d2=2t+2p+s
ここでtは、第1のLOEのカバープレートと第2のLOEのカバープレートとの厚さの所望の差を示し、pは、研磨の間に除去される材料の厚さを示し、sは、製材機における切断位置決めのための公差を含む切断の厚さを示す。カバープレートがLOE2のみに所望されLOE1には所望されない場合、tは単にLOE2のカバープレートの厚さを示すことは留意されるべきである。tの典型的な値は、50ミクロン~500ミクロンの範囲にわたり得る。
【0028】
図8(a)~図8(b)は、ここではブロック16’と示される、ブロック16の代替の実施形態を示す。この実施形態においては、透明なプレートはそれぞれ、間に間隙を有するストリップで各プレートに貼付される部分反射性コーティングで部分的にのみコーティングされる。Lumus Ltd.に対する米国特許公開第2018/0292599号に記載されているように、各コーティングストリップは同じ所定の厚さd3を有し、コーティングストリップ間の間隙はそれぞれ同じ所定の厚さd4を有する。本実施形態において、d3は、最終的な複合LOEにおけるLOE1の反射領域の所望の幅に対応し、d4は、以下の式に従って計算される。
d4=d1+d2-d3
ここで、d1およびd2は、以上に定義されている。
【0029】
図9(a)~図9(b)は、図7(a)~図7(b)を参照して以上に説明されたものと同様の態様で、スタック15に位置合わせされて接合され、平面12に沿って切断された、ブロック16’を示す。取り出されたスライスは、図10(a)~図10(b)に示されている。これらのスライスは、同様に、外部平行面上で研磨されて、最終的な複合LOEを形成しても良い。この実施形態により形成された複合LOEは、LOE1の部分反射ファセット4と外部面14との間に緩衝部を含み、この緩衝部は、コーティングストリップ間の間隙によって提供され、物理的なカバープレートを必要とすることなく透明なカバープレートと同様の効果を達成することは、留意されるべきである。
【0030】
接合されたブロック16’およびスタック15は、中間の光学構造体ブロック18の別の実施形態を表すことは、理解されるべきである。実際に、LOE1に関して異なる構造を有する様々な複合LOEをもたらすために、ブロック16(およびそれ故ブロック18)の様々な他の実施形態が可能であり、そのいくつかが以下に説明される。
【0031】
例えば、いくつかの実施形態においては、LOE1のファセット4のいくつかがLOE1全体にわたっては延在せず、それにより、以下の例に示されるように、LOE1内に1つ以上のファセットのない領域(すなわち部分反射性内部面を有さない)を提供することが望ましいこととなり得る。
【0032】
図11(a)~図11(b)は、ここではブロック19と示される、ブロック16の別の実施形態を示す。ブロック19は、ブロック16の表面10bに追加的な面平行な透明なプレート20が接合された、ブロック16(図6(a)~図6(b)におけるような)からなる。プレート20の外側面10b’は、表面10bと平行に研磨されている。
【0033】
ブロック19とスタック15とは、図12(a)~(b)に示されるようにともに位置合わせされて接合され、中間の光学ブロック21を形成する。ブロック21は続いて、XZ平面に平行な面12に沿ってスライスされる。結果として得られるかかる1枚のスライスが、図12(c)~(d)に示される。かかるスライスは、LOE1、LOE2、およびいずれの反射面または半反射面も有さない光学的にクリーンなエリア22(不活性エリアとも呼ばれる)からなる。代替としては、エリア22は、部分反射性混合器または偏光子のような1つ以上の光学素子を含んでも良い。この場合には、透明なプレート20が、所望の1つ以上の光学素子(すなわち混合器、偏光子など)を組み込んだプレートで代用されることができる。
【0034】
図13(a)~図13(b)は、ブロック16を切断し他の光学プレートおよび/またはプリズムと接合することによってLOE1のより複雑な形状が製造されることができる、ブロック16の別の実施形態を示している。図13(a)~(b)においては、ブロック16は、平面31および32に沿って切断および研磨され、透明なプレート24ならびに三角プリズム25および26と接合される。プレート24の研磨される面10b’’は、ブロック16の表面10bと平行である。プレート24ならびにプリズム25および26を有するブロック16は、ブロック内に1つ以上のファセットのないサブ領域を含む新たな光学ブロック23を形成する。図12(a)~(b)に示されたものと同様の態様で、ブロック23は、スタック15と位置合わせされて接合され、新たな中間の構造体を形成する。中間の構造体はその後、平面12に沿ってスライスされ、図13(c)~(d)に示されるスライスに帰着する。かかるスライスは、いずれの反射面または半反射面も有さない、不活性エリア27、28および29を有する。
【0035】
他の実施形態(図示されていない)においては、スタック15のLOE前駆体は、LOE前駆体内に1つ以上のファセットのない領域を含むように修正され、それによって、LOE2が1つ以上のファセットのない(すなわち部分反射性内部面を含まない)サブ領域を含む複合LOEをもたらしても良い。
【0036】
上記の説明は、実施例としてのみ役立つことが意図されること、および添付の特許請求の範囲で定義されるような本発明の範囲内で、多くの他の実施形態が可能であることが理解されよう。
図1(a)】
図1(b)】
図2
図3(a)】
図3(b)】
図4(a)】
図4(b)】
図5(a)】
図5(b)】
図6(a)】
図6(b)】
図6(c)】
図7(a)】
図7(b)】
図7(c)】
図7(d)】
図8(a)】
図8(b)】
図9(a)】
図9(b)】
図10(a)】
図10(b)】
図11(a)】
図11(b)】
図12(a)】
図12(b)】
図12(c)】
図12(d)】
図13(a)】
図13(b)】
図13(c)】
図13(d)】