(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-07
(45)【発行日】2024-08-16
(54)【発明の名称】微細気泡発生器
(51)【国際特許分類】
B01F 23/2326 20220101AFI20240808BHJP
A47K 3/28 20060101ALI20240808BHJP
B01F 23/2373 20220101ALI20240808BHJP
B01F 23/2375 20220101ALI20240808BHJP
B01F 25/314 20220101ALI20240808BHJP
B01F 25/452 20220101ALI20240808BHJP
C02F 1/68 20230101ALI20240808BHJP
B01F 101/48 20220101ALN20240808BHJP
【FI】
B01F23/2326
A47K3/28
B01F23/2373
B01F23/2375
B01F25/314
B01F25/452
C02F1/68 510A
C02F1/68 530C
C02F1/68 540Z
B01F101:48
(21)【出願番号】P 2024007985
(22)【出願日】2024-01-23
【審査請求日】2024-01-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522197383
【氏名又は名称】株式会社No.
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【氏名又は名称】伊藤 世子
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【氏名又は名称】山内 聡
(72)【発明者】
【氏名】浅川 一輝
(72)【発明者】
【氏名】孔 ▲てい▼▲てい▼
(72)【発明者】
【氏名】莫 一氷
【審査官】山田 陸翠
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-504133(JP,A)
【文献】特開2004-197488(JP,A)
【文献】特開2008-006397(JP,A)
【文献】特開2011-152485(JP,A)
【文献】国際公開第2011/051998(WO,A1)
【文献】特開2000-129739(JP,A)
【文献】特開2011-245406(JP,A)
【文献】特開2020-146675(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110404429(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第117211374(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 21/00 -25/90
A47K 3/00 - 3/40
C02F 1/68
D06F 39/08
E03C 1/084
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の軸方向に延びる管状形状を有し、前記軸方向の一方の端部が水の入口であり、他方の端部が水の出口となっている外殻部と、
前記外殻部内に、流水方向に沿って順に配置されている第1筒状部、板状部、および第2筒状部と
を備えている微細気泡発生器であって、
前記第1筒状部における前記軸方向の出水側の端部には、複数の第1流水孔を有する底板が設けられており、
前記板状部は、前記第2筒状部における前記軸方向の入水側の端部に配置され、
前記板状部には、前記第1流水孔と一対一に対応し、かつ、前記第1流水孔と同軸上に配置されている複数の第2流水孔が設けられており、
前記第1流水孔および前記第2流水孔は、前記流水方向に沿って縮径する形状をそれぞれ有し、
前記第1筒状部の前記底板と、前記板状部との間には、外部からの気体が流入する気体導入部に連通する空間が設けられて
おり、
前記第2筒状部の前記軸方向の入水側の端部には、前記底板に向かって延びる複数の第2凸部が設けられているとともに、
前記板状部には、前記第2凸部と対応する位置に、前記第2凸部が嵌まり込む凹みが設けられており、
前記第1筒状部の前記底板の外縁には、前記板状部に向かって延びる複数の第1凸部が設けられており、
前記第1凸部の先端が前記板状部の表面に当接することで、前記空間の前記軸方向の長さが規定される、
微細気泡発生器。
【請求項2】
前記第2流水孔の入水口の直径は前記第1流水孔の出水口の直径より大きくなっている、
請求項1に記載の微細気泡発生器。
【請求項3】
前記気体導入部には、逆止弁が設けられている、請求項1または2に記載の微細気泡発生器。
【請求項4】
任意の軸方向に延びる管状形状を有し、前記軸方向の一方の端部が水の入口であり、他方の端部が水の出口となっている外殻部と、
前記外殻部内に、流水方向に沿って順に配置されている第1筒状部、板状部、および第2筒状部と
を備えている微細気泡発生器であって、
前記第1筒状部における前記軸方向の出水側の端部には、複数の第1流水孔を有する底板が設けられており、
前記板状部は、前記第2筒状部における前記軸方向の入水側の端部に配置され、
前記板状部には、前記第1流水孔と一対一に対応し、かつ、前記第1流水孔と同軸上に配置されている複数の第2流水孔が設けられており、
前記第1流水孔および前記第2流水孔は、前記流水方向に沿って縮径する形状をそれぞれ有し、
前記第1筒状部の前記底板と、前記板状部との間には、前記外殻部の側方から気体を流入させる気体導入部に連通する空間が設けられており、
前記気体導入部には、逆止弁が設けられており、
前記第2流水孔の入水口の直径は前記第1流水孔の出水口の直径より大きくなっている、
微細気泡発生器。
【請求項5】
前記第2筒状部の前記軸方向の入水側の端部には、前記底板に向かって延びる複数の第2凸部が設けられているとともに、
前記板状部には、前記第2凸部と対応する位置に、前記第2凸部が嵌まり込む凹みが設けられており、
前記第1筒状部の前記底板の外縁には、前記板状部に向かって延びる複数の第1凸部が設けられており、
前記第1凸部の先端が前記板状部の表面に当接することで、前記空間の前記軸方向の長さが規定される、
請求項4に記載の微細気泡発生器。
【請求項6】
前記第1筒状部における前記軸方向の入水側には、フィルタ部品が設けられており、
第2筒状部内には、網状部が設けられている、
請求項1または4に記載の微細気泡発生器。
【請求項7】
前記気体導入部は、空気供給ポンプを有している、
請求項1または4に記載の微細気泡発生器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道水などの吐出口に取り付けられ、吐出される水に微細な気泡を含有させるための微細気泡発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
微細気泡は液体中の浮力が小さいため、液体中での滞留時間が長い。さらに、微細気泡は液体中で収縮し、最終的に破裂してさらに小さなナノ気泡を生成する。このような微細気泡を水道水などに含有させることで、水などの液体に種々の機能を持たせることができることが知られている。
【0003】
例えば、微細気泡を多く含む水を洗濯機用水やシャワー水などに使用することで、洗浄力を向上させることができることが知られている。特許文献1には、ウルトラファインバブルを多く発生させる微細気泡水生成器を備えた洗濯機用給水ホース及びシャワー用ホースが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、既存の微細気泡発生器の構造では、流水と気流との接触面積が小さく、水中の溶存気体量が不足する傾向にある。このような構成の微細気泡発生器を用いて得られる微細気泡含有水では、洗浄能力の向上に限界がある。
【0006】
そこで、本発明では、流水中に安定して大量の微細気泡を含有させることのできる微細気泡発生器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面にかかる微細気泡発生器は、任意の軸方向に延びる管状形状を有し、前記軸方向の一方の端部が水の入口であり、他方の端部が水の出口となっている外殻部と、前記外殻部内に、流水方向に沿って順に配置されている第1筒状部、板状部、および第2筒状部とを備えている。この微細気泡発生器において、前記第1筒状部における前記軸方向の出水側の端部には、複数の第1流水孔を有する底板が設けられており、前記板状部は、前記第2筒状部における前記軸方向の入水側の端部に配置されている。前記板状部には、前記第1流水孔と一対一に対応し、かつ、前記第1流水孔と同軸上に配置されている複数の第2流水孔が設けられており、前記第1流水孔および前記第2流水孔は、前記流水方向に沿って縮径する形状をそれぞれ有している。前記第1筒状部の前記底板と、前記板状部との間には、外部からの気体が流入する気体導入部に連通する空間が設けられている。
【0008】
本発明の一局面にかかる微細気泡発生器において、前記第2流水孔の入水口の直径は、前記第1流水孔の出水口の直径より大きくなっていることが好ましい。
【0009】
本発明の一局面にかかる微細気泡発生器において、前記第2筒状部の前記軸方向の入水側の端部には、前記底板に向かって延びる複数の第2凸部が設けられているとともに、前記板状部には、前記第2凸部と対応する位置に、前記第2凸部が嵌まり込む凹みが設けられており、前記第1筒状部の前記底板の外縁には、前記板状部に向かって延びる複数の第1凸部が設けられており、前記第1凸部の先端が前記板状部の表面に当接することで、前記空間の前記軸方向の長さが規定される構成であってもよい。
【0010】
本発明の一局面にかかる微細気泡発生器において、前記気体導入部には、逆止弁が設けられていてもよい。
【0011】
本発明の一局面にかかる微細気泡発生器において、前記第1筒状部における前記軸方向の入水側には、フィルタ部品が設けられており、第2筒状部内には、網状部が設けられていてもよい。
【0012】
本発明の一局面にかかる微細気泡発生器において、前記気体導入部は、空気供給ポンプを有していてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一局面によれば、流水中に安定して大量の微細気泡を含有させることのできる微細気泡発生器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1の実施形態にかかる微細気泡発生器の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す微細気泡発生器の外観を示す側面図である。
【
図3】
図2に示す微細気泡発生器のA-A線部分の内部構成を示す断面図である。
【
図4】微細気泡発生器の気体導入部から外装カバーを取り外した状態を示す斜視図である。
【
図5】微細気泡発生器の外殻部内に配置されている各部品を示す斜視図である。
【
図6】
図5に示す第2筒状部の内部の構成を示す分解斜視図である。
【
図7】
図5に示す第1筒状部および板状部を分解した状態で示す斜視図である。
【
図8】外殻部内に配置されている第1筒状部を示す斜視図である。
【
図9】
図5に示す第1筒状部および板状部を示す平面図である。
【
図10】
図5に示す第1筒状部および板状部のB-B線部分の内部構成を示す断面図である。
【
図11】第2の実施形態にかかる微細気泡発生器の外観を示す斜視図である。
【
図12】第3の実施形態にかかる微細気泡発生器の外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明の各実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0016】
<第1の実施形態>
本実施形態では、水道水などの液体の吐出口に取り付けられる微細気泡発生器1について説明する。微細気泡発生器1は、例えば、洗濯機の給水口、シャワーヘッドの手前などに取り付けて使用され、洗濯機用水およびシャワー水などに微細気泡を含有させるものである。
【0017】
ここで「微細気泡」とは、その気泡径が1~100マイクロメートル(μm)のマイクロバブルと、その気泡径が1~999ナノメートル(nm)のウルトラファインバブル(ナノバブルともいう)の両方または何れか一方を含む気泡を意味する。
【0018】
また、本願で用いられる用語「水道水」とは、主として、地方自治体の水道局や地方自治体から業務委託を受けた水道事業会社や第3セクター等の水道事業体が運営する公的な「水道水」を意味する。また、本願の「水道水」には、企業や団体が、特定の区域内において、例えば、事業所用や工業用の水として供給する供給水(地下水、河川水、湧き水などを水源とする供給水も含む)も含まれるものとする。
【0019】
図1および
図2には、本実施形態にかかる微細気泡発生器1の外観を示す。
図3には、微細気泡発生器1の内部の構成を示す。
図3は、
図2に示す微細気泡発生器1のA-A線部分の断面図である。
【0020】
微細気泡発生器1は、主として、外殻部10と、気体導入部50とを備えている。外殻部10内には、第1筒状部20、板状部30、および第2筒状部40などが含まれている。外殻部10は、任意の軸方向に延びる管状形状を有している。外殻部10において、管状部の軸方向の一方の端部(
図1では上側)が水の入口11となっており、他方の端部(
図1では下側)が水の出口12となっている。
図1および
図3などでは、外殻部10内を軸方向に沿って流れる水の方向(流水方向)を矢印で示している。
【0021】
外殻部10の入口11には、雄ネジ13が設けられており、出口12には、雌ネジ14が設けられている。これにより、微細気泡発生器1を洗濯機などの給水経路に配置する際に、配管接続を容易に行うことができる。なお、入口11および出口12に設けられているネジの形状は、これに限定されない。例えば、入口11に雌ネジが設けられており、出口12に雄ネジが設けられていてもよいし、入口11および出口12がともに同じネジ形状であってもよい。
【0022】
気体導入部50は、外殻部10の側面の一箇所から側方に枝分かれするように設けられている。
図4には、気体導入部50の外装カバー52を外した状態を示す。本実施形態では、気体導入部50は、軸方向に延びる外殻部10の略中央部付近(具体的には、気体混合室Qが存在する位置)の側面から軸方向に直交する方向に延びている。気体導入部50内には、第1筒状部20の底板22と、板状部30との間に設けられた気体混合室(空間)Qへ外気を供給するための吸気通路形成部53が設けられている。本実施形態では、吸気通路形成部53は、外殻部10と一体的に形成されている。
【0023】
外殻部10内には、第1筒状部20、板状部30、および第2筒状部40が、流水方向に沿ってこの順に配置されている。外殻部10の入口11から入った水は、第1筒状部20、板状部30、および第2筒状部40を通過して、出口12から流出する。
図5には、外殻部10内に配置されている各部品(具体的には、第1筒状部20、板状部30、第2筒状部40、逆止弁45など)を示す。
図6には、第2筒状部40などの内部の構成を示す。
図7には、第1筒状部20および板状部30を分解した状態を示す。
【0024】
第1筒状部20における軸方向の入水側には、フィルタ部品21が設けられている。本実施形態では、フィルタ部品21は、より粗い網目を有する第1フィルタ21a、および、より細かい網目を有する第2フィルタ21bという2つのフィルタを含む。第1フィルタ21aと第2フィルタ21bとは、流水方向に沿ってこの順に配置されている。第1フィルタ21aおよび第2フィルタ21bは、外殻部10の内壁に配置された板バネ26によって位置決めされている。
【0025】
第1筒状部20に対して水流方向の上流側にこのようなフィルタ部品21が設けられていることで、第1筒状部20内に供給される水中の不純物を除去し、不純物が微細気泡の生成に影響を与えることを抑制することができる。
【0026】
第1筒状部20は、外殻部10の内壁との間に密閉性を有した状態で、外殻部10内に配置されている。第1筒状部20は、中空の筒状部分と、底板22とを有している。底板22は、軸方向の出水側の端部に位置している。
図8には、第1筒状部20の底板22の構成を示す。底板22は、複数の第1流水孔23を有する。第1流水孔23は、流水方向に沿って縮径する形状を有している。流速が増加すると、水流は速くなり、底板22を通過して板状部30に入る。底板22と板状部30との間の空間(すなわち、気体混合室Q)では、高速で流れる流体の両側に負圧が生じる原理により、負圧が発生する。これにより、孔内を流れる水に負圧を発生させることができる。第1流水孔23の個数は特に限定はされないが、後述する第2流水孔31と同じ個数となっている。そして、第1流水孔23および第2流水孔は、垂直(すなわち、同軸上)に対応している。
【0027】
底板22の外縁には、板状部30に向かって延びる複数の第1凸部24が設けられている。複数の第1凸部24は、互いに均等な間隔で配置されている。第1凸部24の個数は特に限定はされないが、
図8に示すように、例えば3個設けられている。
【0028】
板状部30は、第2筒状部40における軸方向の入水側の端部に配置されている。板状部30には、第1流水孔23と一対一に対応し、かつ、第1流水孔23と同軸上に配置されている複数の第2流水孔31が設けられている(
図7参照)。第2流水孔31は、流水方向に沿って縮径する形状を有している。より具体的には、第2流水孔31の最大直径は、第1流水孔23の最小直径よりも大きくなっている(例えば、d3>d2)。これにより、水流は第1流水孔23を通過し、第2流水孔31に向かって射出された水は、第2流水孔31によって完全に受け入れられ、迅速に第2流水孔31から流出させることができる。水流が第1流水孔23から迅速に第2流水孔31へと移動する際、底板22と板状部30との間に負圧が生じ、これにより、孔内を流れる水に負圧を発生させることができる。
【0029】
また、板状部30には、外縁に複数の凹み(切り欠き)32が設けられている。各凹み32は、第2筒状部40に形成されている複数の第2凸部43とそれぞれ対応する位置に形成されている。各凹み32には、第2筒状部40に設けられている複数の第2凸部43がそれぞれ差し込まれる。
【0030】
第2筒状部40は、入水側に位置する大径部41と、出水側に位置する小径部42とを有している。第2筒状部40の軸方向の入水側の端部(すなわち、大径部41の先端部)には、第1筒状部20の底板22に向かって延びる複数の第2凸部43が設けられている。複数の第2凸部43は、互いに均等な間隔で配置されている。複数の第2凸部43は、板状部30に設けられている複数の凹み32と一対一に対応するように設けられている。そして、板状部30の凹み32に第2筒状部40の第2凸部43が嵌め込まれることにより、板状部30は、第2筒状部40に対して位置決めされて固定される。
【0031】
第2筒状部40内には、網状部44が設けられている。網状部44は、流水方向に沿って順番に配置された2つの網部(すなわち、第1網部44aおよび第2網部44b)を含む(
図6参照)。このような2段階の網部を含むことで微細気泡の生成効果を高めることができる。網状部44は、例えば、大径部41の内壁に形成されている段差Lに取り付けられる。
【0032】
第2筒状部40の軸方向の出水側の端部(すなわち、小径部42の端部)には、逆止弁45が配置されている。逆止弁45が設けられていることで、微細気泡発生器1の出口12側の出水が遮断されたときに生ずる逆流力によって内部の部品が損傷する可能性を減らすことができる。
【0033】
第1筒状部20、板状部30、および第2筒状部40が上記のような構成を有することで、板状部30が取り付けられた第2筒状部40上に第1筒状部20の底板22側を配置すると、第1筒状部20の底板22と板状部30との間には、空間が形成される。この空間は、気体導入部50(具体的には、吸気通路形成部53によって形成される吸気通路)に連通する気体混合室Qとなる。
【0034】
気体導入部50は、吸気口51を有する外装カバー52、吸気通路形成部53、および逆止弁54などを有している。外装カバー52の内壁および吸気通路形成部53の外壁には、ネジ形状が形成されており、外装カバー52は吸気通路形成部53に対してネジ接続される。これにより、外装カバー52の吸気口51と、吸気通路形成部53内の吸気通路は、連通する。そして、吸気口51から流入した外気は、吸気通路を通って気体混合室Qへ供給される。
【0035】
逆止弁54は、吸気通路形成部53内に配置されている。これにより、気体混合室Q内の負圧の程度が小さい場合や気体混合室Q内が陽圧の場合などに、気体混合室Q内の水が吸気口51側へ流出することを抑制することができる。
【0036】
第1筒状部20、板状部30、および第2筒状部40を組み付ける際には、例えば、第2筒状部40に、逆止弁45および網状部44の各網部44a・44bを取り付けた後に、入水側の端部に板状部30を取り付ける。その後、板状部30の入水側の端部に第1筒状部20の底板22側を配置する。このとき、底板22に形成されている第1凸部24を板状部30の表面に当接させる。これにより、底板22と板状部30との間に所定の間隔を有する空間(すなわち、気体混合室Q)を形成することができる。
【0037】
第1流水孔23を有する底板22と、第2流水孔31を有する板状部30との間に気体混合室Qが形成されていることで、外殻部10内を通過する水と、気体導入部50の吸気通路から供給される空気との接触面積を増大させることができる。
【0038】
気体混合室Qの軸方向の長さ(高さ)は、第1凸部24および第2凸部43の軸方向の長さ(高さ)によって規定される。この点について、
図10を参照しながら説明する。
図10には、板状部30上に第1筒状部20を配置した状態の断面構成を示す。
図10は、
図9に示す第1筒状部20および板状部30のB-B線部分の断面図である。
【0039】
板状部30が取り付けられた第2筒状部40上に第1筒状部20を配置する際には、各第1流水孔23と各第2流水孔31とが同軸上に位置するように位置合わせする。このとき、第1凸部24と凹み32に嵌め込まれた状態の第2凸部43とは、互いにずれた位置に存在する(
図9参照)。そして、第1凸部24は板状部30の上面に押し付けられ、第2凸部43は第1筒状部20の底板22の下面に押し付けられる(
図5参照)。
【0040】
ここで、第1凸部24の軸方向の長さ(高さ)をt1とし、板状部30の厚さをt2とすると、第2凸部43の軸方向の長さ(高さ)t3は、t1+t2(すなわち、第1凸部24の高さと板状部30の厚さの合計)とすることが好ましい。これにより、気体混合室Qの軸方向の長さは、第1凸部24の軸方向の長さ(高さ)t1と略同じ値となる。すなわち、板状部30の厚さに合わせて第1凸部24および第2凸部43の高さを規定することで、気体混合室Qの軸方向の長さを容易に規定することができる。このように、第1凸部24の先端を板状部30の表面に当接させることで、気体混合室Qの軸方向の長さが規定される。
【0041】
以上のようにして、第1筒状部20、板状部30、および第2筒状部40を組み付けると、気体混合室Qの外周には、複数の開口Jが形成される(
図5参照)。このような開口Jが形成されることで、気体導入部50から供給された空気を気体混合室Qの周囲から効率的に気体混合室内に供給することができる。これは、気体混合室Q内の水流と気流との接触面積を向上させるのに有利である。
【0042】
なお、一例では、気体混合室Qの軸方向の長さt1は、0.3mm以上1.5mm以下の範囲内とすることができる。長さt1をこのように規定することで、微細気泡発生器1を使用することによって得られる水中に適切な量の微細気泡を安定して含有させることができる。
【0043】
また、
図8に示すように、第1流水孔23および第2流水孔31は、流水方向に沿って縮径する形状をそれぞれ有している。すなわち、第1流水孔23および第2流水孔31は、ベンチュリ管のような構造をしており、孔内を流れる水に負圧を発生させるような構成となっている。微細気泡発生器1を使用した場合の水中の溶存気体量をより向上させることができる。
【0044】
より具体的には、第2流水孔31の入水口31aの直径d3は、第1流水孔23の出水口23bの直径d2より大きくなっており(すなわち、d3>d2)、かつ、第2流水孔31の出水口31bbの直径d4は、第1流水孔23の出水口23bの直径d2より大きくなっている(すなわち、d4>d2)。これにより、微細気泡発生器1を使用した場合の水中の溶存気体量をさらに向上させ、微細気泡含有水の洗浄能力をより向上させることができる。
【0045】
(第1の実施形態のまとめ)
以上のように、本実施形態にかかる微細気泡発生器1は、管状形状を有する外殻部10と、外殻部10内に流水方向に沿って順に配置されている第1筒状部20、板状部30、および第2筒状部40とを備えている。第1筒状部20における出水側の端部には、複数の第1流水孔23を有する底板22が設けられている。板状部30には、第1流水孔23と一対一に対応し、かつ、第1流水孔23と同軸上に配置されている複数の第2流水孔31が設けられている。第1筒状部20の底板22と、板状部30との間には、外部からの気体が流入する気体導入部50に連通する空間(気体混合室Q)が設けられている。
【0046】
上記の構成によれば、底板22と、板状部30との間に形成される空間に対して、側方から効率的に空気を流入させることができる。そのため、第1筒状部20および第2筒状部40内の流水中に安定して大量の微細気泡を含有させることができる。これにより、微細気泡発生器1によって得られる微細気泡含有水の洗浄能力をより向上させることができる。
【0047】
また、微細気泡発生器1に設けられている第1流水孔23および第2流水孔31は、流水方向に沿って縮径する形状をそれぞれ有している。すなわち、第1流水孔23の入水口23aの直径d1は、第1流水孔23の出水口23bの直径d2より大きくなっている(すなわち、d1>d2)。また、第2流水孔31の入水口31aの直径d3は、第2流水孔31の出水口31bの直径d4より大きくなっている(すなわち、d3>d4)。
【0048】
この構成によれば、底板22と板状部30との間で高速な水流を形成することができる。水が高速に流れると流体の両側に負圧が生じるという原理に基づき、気体混合室Qの空間に多くの空気が吸い込まれる。そのため、気体導入部50から気体混合室Qへより効率的に空気を供給することができ、微細気泡発生器1によって生成される微細気泡含有水中の溶存気体量をより向上させることができる。
【0049】
また、第2流水孔31の入水口31aの直径d3は、第1流水孔23の出水口23bの直径d2より大きくなっており(すなわち、d3>d2)ことが好ましい。これにより、微細気泡発生器1を使用した場合の水中の溶存気体量をさらに向上させ、微細気泡含有水の洗浄能力をさらに向上させることができる。なお、第2流水孔31の出水口31bの直径d4および第1流水孔23の出水口23bの直径d2の大小関係は、特に限定はされない。一例では、
図10に示すように、第2流水孔31の出水口31bの直径d4は、第1流水孔23の出水口23bの直径d2より大きくなっている(すなわち、d4>d2)。
【0050】
微細気泡発生器1は、例えば、洗濯機の給水口、シャワーヘッドの手前などに取り付けて使用することができる。これにより、洗濯機用水およびシャワー水などに安定して大量の微細気泡を含有させることができる。
【0051】
微細気泡発生器1を洗濯機の給水部に取り付けて使用する場合には、水道水の蛇口と給水ホースと間に微細気泡発生器1を配置するのがよい(例えば、特許文献1の
図12参照)。また、微細気泡発生器1をシャワーに取り付けて使用する場合には、シャワーヘッドと給水ホース(給水管)との間に微細気泡発生器1を配置するのがよい(例えば、特許文献1の
図14参照)。
【0052】
<第2の実施形態>
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。
図11には、第2の実施形態にかかる微細気泡発生器101の外観を示す。
図11に示すように、微細気泡発生器101は、フィルタカートリッジ160を備えている。
【0053】
水道水には、微生物の増殖を抑えるために塩素成分が添加されている。水道水に微細気泡を含有させた状態で、例えば、洗濯用の水として利用すると、水道水に含まれる塩素成分の影響を受けて、衣類などの生地を傷めてしまう可能性がある。そこで、微細気泡発生器101には、水道水に含まれる塩素を除去するために、フィルタカートリッジ160が設けられている。フィルタカートリッジ160内には、例えば、従来公知の塩素除去用のフィルタが配置されている。
【0054】
本実施形態では、第1の実施形態において説明した微細気泡発生器1に外付けされる形態でフィルタカートリッジ160が取り付けられている。例えば、フィルタカートリッジ160は、外殻部10の入水端(入口11)の雄ネジ13に対してネジ接続される。
【0055】
なお、別の実施形態では、外殻部10に内蔵する形態でフィルタカートリッジ160を配置してもい。微細気泡発生器101において、フィルタカートリッジ160以外の構成については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。
【0056】
本実施形態にかかる微細気泡発生器101によれば、水道水に含まれる塩素成分を除去した状態の微細気泡含有水を得ることができる。これにより、微細気泡含有水を洗濯用の水として利用する場合に起こり得る洗濯物の生地への悪影響を低減させることができる。また、微細気泡発生器1内の各部品の塩素成分に起因した劣化の進行を遅らせることができるため、微細気泡発生器1の使用寿命を延ばすことができる。
【0057】
<第3の実施形態>
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。
図12には、第3の実施形態にかかる微細気泡発生器201の外観を示す。
図12に示すように、微細気泡発生器201は、フィルタカートリッジ160に加えて、気体供給ポンプ250をさらに備えている。
【0058】
図12に示すように、気体供給ポンプ250は、気体導入部50に取り付けられている。具体的には、気体供給ポンプ250は、吸気通路形成部53に配置されている逆止弁54よりも気体流路の上流側に配置されている。このような気体供給ポンプ250が設けられていることで、気体導入部50における吸気量を増加させ、気体混合室Q内の負圧量の不足を補うことができる。これにより、微細気泡発生器201を使用した場合の水中の溶存気体量をさらに向上させ、微細気泡含有水の洗浄能力をさらに向上させることができる。
【0059】
なお、微細気泡発生器201において、フィルタカートリッジ160および気体供給ポンプ250以外の構成については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。フィルタカートリッジ160については、第2の実施形態と同様の構成が適用できる。
【0060】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
1 :微細気泡発生器
10 :外殻部
11 :水の入口
12 :水の出口
20 :第1筒状部
21 :フィルタ部品
22 :底板
23 :第1流水孔
23a:第1流水孔の入水口
23b:第1流水孔の出水口
24 :第1凸部
30 :板状部
31 :第2流水孔
31a:第2流水孔の入水口
31b:第2流水孔の出水口
32 :凹み
40 :第2筒状部
41 :大径部
42 :小径部
43 :第2凸部
44 :網状部
45 :逆止弁
50 :気体導入部
51 :吸気口
53 :吸気通路形成部
54 :逆止弁
101:微細気泡発生器
160:フィルタカートリッジ
201:微細気泡発生器
250:気体供給ポンプ
Q :気体混合室(空間)
【要約】
【課題】流水中に安定して大量の微細気泡を含有させることのできる微細気泡発生器を提供する。
【解決手段】微細気泡発生器1は、外殻部10と、外殻部10内に流水方向に沿って順に配置されている第1筒状部20、板状部30、および第2筒状部40とを備えている。第1筒状部20における出水側の端部には、複数の第1流水孔を有する底板22が設けられている。板状部30には、第1流水孔と一対一に対応し、かつ、第1流水孔と同軸上に配置されている複数の第2流水孔が設けられている。第1筒状部20の底板22と、板状部30との間には、外部からの気体が流入する気体導入部50に連通する空間Qが設けられている。
【選択図】
図3