(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-07
(45)【発行日】2024-08-16
(54)【発明の名称】異種金属接合方法
(51)【国際特許分類】
B21D 39/00 20060101AFI20240808BHJP
B23K 20/00 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
B21D39/00 A
B23K20/00 350
(21)【出願番号】P 2020038837
(22)【出願日】2020-03-06
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩二
(72)【発明者】
【氏名】手島 政和
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-001209(JP,A)
【文献】特開2003-305524(JP,A)
【文献】特開2019-195851(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 39/00
B23K 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金属部材と第2金属部材とを接合する異種金属部材の接合方法において、
第1金属部材は、頭付き部品であって、平板状の頭部と、この頭部に一体成形されるとともに一端に凹部が形成された軸部とから成り、
第2金属部材は、棒状部品であって、第1金属部材の軸部に形成された凹部に嵌合可能な凸部を一端に有し
、当該凸部の厚みは、前記第1金属部材の頭部の厚みよりも大きく成形され、
受け型は、第1金属部材の軸部および第2金属部材が挿通可能な挿入孔を有し、これら第1金属部材および第2金属部材を、第1金属部材の頭部が露出するように受け型で保持するとともに第2金属部材を下方から支持するノックアウトピンを受け型の挿入孔に配置し、第1金属部材の頭部を上方からプレス金型で圧縮することにより、頭部を扁平させるとともに、第1金属部材の凹部と第2金属部材の凸部とが圧着することにより両部材を接合すること、
を特徴とする異種金属接合方法。
【請求項2】
第2金属部材の凸部は、圧縮に伴って端面が外方に扁平することによりアンダーカット部が成形されていることを特徴とする請求項1に記載の異種金属接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械的接合による異種金属接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、機械的接合により、異種金属同士を接合する方法としては、特許文献1に示す方法が知られている。この異種金属接合体は、電池の端子部品として用いられるもので、アルミニウム材で成る板状体に凹部を設け、この凹部に銅材で成る軸部を圧入することにより両部材が接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記接合方法による異種金属接合体は、圧入により接合されているので、圧入される側の部品(板状体)には圧入代として、所定の厚みが必要になるため、厚みに制限があった。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みて創成されたものであり、厚みの薄い第1金属部と第2金属部材とを機械的接合により接合可能な異種金属接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、第1金属部材と第2金属部材とを接合する異種金属部材の接合方法において、第1金属部材は、頭付き部品であって、平板状の頭部と、この頭部に一体成形されるとともに一端に凹部が形成された軸部とから成り、第2金属部材は、棒状部品であって、第1金属部材の軸部に形成された凹部に嵌合可能な凸部を一端に有し、当該凸部の厚みは、前記第1金属部材の頭部の厚みよりも大きく成形され、受け型は、第1金属部材の軸部および第2金属部材が挿通可能な挿入孔を有し、これら第1金属部材および第2金属部材を、第1金属部材の頭部が露出するように受け型で保持するとともに第2金属部材を下方から支持するノックアウトピンを受け型の挿入孔に配置し、第1金属部材の頭部を上方からプレス金型で圧縮することにより、頭部を扁平させるとともに、第1金属部材の凹部と第2金属部材の凸部とが圧着することにより両部材を接合する異種金属接合方法による。
【0007】
なお、第2金属部材の凸部は、圧縮に伴ってその端面が外方に扁平することによりアンダーカット部が成形されることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第1金属部材の厚みが薄いため、第1金属部材および第2金属部材の接合において接合部に圧入代をとれない構造であっても、両部材を機械的接合により強固に接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明である異種金属部材の接合方法の第1工程を示す図である。
【
図2】本発明である異種金属部材の接合方法の第2工程を示す図である。
【
図3】本発明である異種金属部材の接合方法の第3工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明である異種金属部材の接合方法を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
図1において、10はアルミニウム材料でなる第1金属部材、20は銅でなる第2金属部材である。これら第1金属部材10および第2金属部材20は、予め別個に成形され準備されるものである。
【0011】
第1金属部材10は、頭付き部品であり、平板状の頭部11と、この頭部11に一体成形される軸部12とから成る。また、第1金属部材10の軸部12の端部には、凹部13が設けられている。
【0012】
第2金属部材20は、棒状部品であって、第1金属部材10の凹部13に嵌合可能な凸部21を一端に有する。
【0013】
第1金属部材10の凹部13の内径および第2金属部材20の凸部21の外径は嵌合可能な程度に同一寸法に設定されている。
【0014】
これら第1金属部材10および第2金属部材20を接合する方法として、まずは、第1工程として、
図1に示すように、両部材10,20の凹凸13,21を嵌合させた状態のものを受け型1で保持する。受け型1は、第1金属部材10の軸部12および第2金属部材20が挿通可能な挿入孔2を有しており、第1金属部材10の頭部11の座面14を受け型の上面に着座させ、当該第1金属部材10の頭部11を露出させて保持するように構成されている。このとき、受け型1の挿入孔2の内部には、ノックアウトピン3が配置されており、第2金属部材20の他端を下方から支持するように構成されている。
【0015】
続いて、第2工程として、
図2に示すように、プレス金型4で第1金属部材10の頭部11を上方から圧縮する。これにより、第1金属部材10の頭部11は、外方へ扁平し、厚みが薄くなる。これに伴い、第1金属部材10の凹部13と第2金属部材20の凸部21とが圧着することにより両部材10,20が接合される。
【0016】
さらに、圧縮を継続することにより、第2金属部材20の凸部21は、その端面が外方に扁平するに塑性変形することによりアンダーカット部22が成形される。アンダーカット部22の成形に伴い、第1金属部材10の凹部13は塑性変形し、アンダーカット部22の背面へ流動する。これにより、第1金属部材10と、第2金属部材20とを軸方向に係合させて強固な抜け止め効果を発揮する。
【0017】
最後に、第3工程として、
図3に示すように、ノックアウトピン3を上方へ前進させることにより、第1金属部材10と第2金属部材20の接合体が受け型1から排出される。
【0018】
なお、排出された接合体については、第1金属部材10の頭部11の外周を打ち抜き加工することにより、所望の寸法にすることも可能である。その他にも、本発明は上記の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0019】
1 受け型
2 挿入孔
3 ノックアウトピン
4 プレス金型
10 第1金属部材
11 頭部
12 軸部
13 凹部
14 座面
20 第2金属部材
21 凸部
22 アンダーカット部