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特許7535369MEMSデバイスを音響試験するための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-07
(45)【発行日】2024-08-16
(54)【発明の名称】MEMSデバイスを音響試験するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20240808BHJP
   G01H 17/00 20060101ALI20240808BHJP
   G01N 29/04 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
H01L21/66 B
G01H17/00 D
G01N29/04
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2022546416
(86)(22)【出願日】2021-01-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-23
(86)【国際出願番号】 EP2021051680
(87)【国際公開番号】W WO2021151861
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-09-27
(31)【優先権主張番号】102020201124.9
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500341779
【氏名又は名称】フラウンホーファー-ゲゼルシャフト・ツール・フェルデルング・デル・アンゲヴァンテン・フォルシュング・アインゲトラーゲネル・フェライン
(74)【代理人】
【識別番号】100134119
【弁理士】
【氏名又は名称】奥町 哲行
(72)【発明者】
【氏名】フリッチ・トビアス
(72)【発明者】
【氏名】クラウス・トビアス
(72)【発明者】
【氏名】フリッツチェ・パウル
(72)【発明者】
【氏名】フィードラー・マティアス
【審査官】金田 孝之
(56)【参考文献】
【文献】F. Casset, et al.,A 256 MEMS Membrane Digital Loudspeaker Array Based on PZT Actuators,Procedia Engineering,Elsevier Ltd.,2015年,Volume 120,Pages 49-52,<DOI: https://doi.org/10.1016/j.proeng.2015.08.563>
【文献】Eyglis Ledesma, et al.,ALN PMUT WITH CROSSED-CAVITY FOR BETTER ACOUSTIC PRESSURE OUTPUTS IN LIQUID AT HIGH FREQUENCY,2019 20th International Conference on Solid-State Sensors, Actuators and Microsystems & Eurosensors XXXIII (TRANSDUCERS & EUROSENSORS XXXIII),IEEE,2019年,Pages 825-828,<DOI: 10.1109/TRANSDUCERS.2019.8808260>
【文献】Didem Ozevin, et al.,Development of a MEMS device for acoustic emission testing,Proc. SPIE 5057, Smart Structures and Materials 2003: Smart Systems and Nondestructive Evaluation for Civil Infrastructures,2003年08月18日,Pages 64-74,<DOI: 10.1117/12.482383>
【文献】平野 栄樹,MEMS構造に損傷を与えないパーティクル除去方法,電気学会論文誌E(センサ・マイクロマシン部門誌),一般社団法人 電気学会,2013年,Vol. 133, No. 5,p. 157-163,<DOI: https://doi.org/10.1541/ieejsmas.133.157>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01H 17/00
G01N 29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のMEMSデバイス(7_1~7_3)のうちの少なくとも1つのMEMSデバイス(7)を音響的に試験するための方法(100)であって、前記方法(100)は、
前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)を備える前記複数のMEMSデバイス(7_1~7_3)に提供する(102)ステップと、
試験装置(10)を提供し、前記試験装置(10)によって前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)に接触するステップと、
前記試験装置(10)を介して前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)を励起して(104)音響振動させるステップと、
前記試験装置(10)の少なくとも1つの音センサ(8)によって前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)の前記音響振動を検出する(106)ステップと、
意図された機能に関して前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)を試験するために、前記少なくとも1つの音センサ(8)によって検出された前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)の前記音響振動を評価する(108)ステップと、
を含み、
前記試験装置(10)は、プローブ、プローブの一部、または試験カードである、
方法(100)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7_2)は、前記複数のMEMSデバイス(7_1~7_3)をダイシングする前にウェハレベルで試験される、
または、前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7_2)は、前記複数のMEMSデバイス(7_1~7_3)をダイシングした後に試験される、
請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7_2)は、前記複数のMEMSデバイス(7_1~7_3)をダイシングする前にウェハレベルで試験される、
請求項2に記載の方法(100)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)を備える集積回路またはチップが、前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)を提供する際に提供される、
請求項1に記載の方法(100)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)は、前記集積回路またはチップを製造している間に試験され、および/または
前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)は、前記集積回路またはチップの製造の終わりに試験される、
請求項4に記載の方法(100)。
【請求項6】
前記方法(100)は、
試験装置(10)を提供し、前記試験装置(10)によって前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)に接触させるステップ、
をさらに含み、
前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)は、前記試験装置(10)を介して励起される、
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項7】
前記試験装置(10)が、プローブ、プローブの一部またはプローブカードである、
請求項3に記載の方法(100)。
【請求項8】
前記試験装置(10)は、前記少なくとも1つの音センサ(8)を備える、
請求項6または7に記載の方法(100)。
【請求項9】
前記試験装置(10)は、少なくとも前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)に隣接する領域(14)において少なくとも部分的に音響透過性であり、
前記少なくとも1つの音センサ(8)は、前記試験装置(10)の前記少なくとも部分的に音響透過性の領域(7)に隣接して配置される、
請求項8に記載の方法(100)。
【請求項10】
前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)はMEMSデバイス(7_1~7_3)のグループであり、
前記試験装置(10)は、少なくとも前記MEMSデバイス(7_1~7_3)のグループに隣接する領域(14_1~14_3)において少なくとも部分的に音響透過性であり、
前記少なくとも1つの音センサ(8)は、前記試験装置(10)の前記少なくとも部分的に音響透過性の領域(14_1~14_3)に隣接して配置される、
請求項9に記載の方法(100)。
【請求項11】
前記試験装置(10)は第1の試験装置であり、
前記第1の試験装置(10)は、前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)の第1の側面(32)に接触し、
前記方法(100)は、
第2の試験装置(34)を提供し、前記第2の試験装置(34)によって前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)の前記第1の側面(32)とは反対側の第2の面(36)に接触させるステップ、
をさらに含み、
前記第2の試験装置(34)が前記少なくとも1つの音センサ(8)を備える、
請求項6または7に記載の方法(100)。
【請求項12】
前記第2の試験装置(34)は、前記ウェハ(2)用の支持体(1)を備え、前記支持体(1)は、少なくとも前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)に隣接する領域(14)において少なくとも部分的に音響透過性であり、
前記少なくとも1つの音センサ(8)は、前記支持体(1)の前記少なくとも部分的に音響透過性の領域(14)に隣接して配置される、
請求項11に記載の方法(100)。
【請求項13】
前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)はMEMSデバイス(7_1~7_3)のグループであり、
前記支持体(1)は、少なくとも前記MEMSデバイス(7_1~7_3)のグループに隣接する領域(14_1~14_3)において少なくとも部分的に音響透過性であり、
前記少なくとも1つの音センサ(8)は、前記支持体(1)の前記少なくとも部分的に音響透過性の領域(14_1~14_3)に隣接して配置される、
請求項12に記載の方法(100)。
【請求項14】
前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)はMEMSデバイス(7_1~7_3)のグループであり、
前記MEMSデバイス(7_1~7_3)のグループは音響振動をするように励起され、
前記MEMSデバイス(7_1~7_3)のグループの前記音響振動は、前記少なくとも1つの音センサ(8)によって検出される、
請求項1から13のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項15】
少なくとも1つのMEMSデバイス(7)を音響的に試験するための方法(100)であって、
前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)を提供するステップ(102)と、
1の試験装置(10)を提供し、前記第1の試験装置(10)によって前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)の第1の側面(32)に接触、前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)に、前記第1の試験装置(10)を介して音響振動をするように励起する、ステップと、
第2の試験装置(34)を提供し、前記第2の試験装置(34)によって前記第1の側面(32)の反対側の前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)の第2の面(36)に接触するステップ
前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)の前記音響振動を少なくとも1つの音センサ(8)によって検出するステップ(106)と、
前記少なくとも1つの音センサ(8)によって検出された前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)の前記音響振動を評価して(108)、前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)を意図された機能に関して試験するステップと、
を含み、
前記第2の試験装置(34)は前記少なくとも1つの音センサ(8)を備える
方法(100)。
【請求項16】
前記第2の試験装置(34)は、前記ウェハ(2)用の支持体(1)を備え、前記支持体(1)は、少なくとも前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)に隣接する領域(14)において少なくとも部分的に音響透過性であり、
前記少なくとも1つの音センサ(8)は、前記支持体(1)の前記少なくとも部分的に音響透過性の領域(14)に隣接して配置される、
請求項15に記載の方法(100)。
【請求項17】
前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)はMEMSデバイス(7_1~7_3)のグループであり、
前記支持体(1)は、少なくとも前記MEMSデバイス(7_1~7_3)のグループに隣接する領域(14_1~14_3)において少なくとも部分的に音響透過性であり、
前記少なくとも1つの音センサ(8)は、前記支持体(1)の前記少なくとも部分的に音響透過性の領域(14_1~14_3)に隣接して配置される、
請求項16に記載の方法(100)。
【請求項18】
少なくとも1つのMEMSデバイス(7)を音響的に試験するための方法(100)であって、
前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)を提供するステップ(102)と、
試験装置(10)を提供し、前記試験装置(10)によって前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)に接触するステップと、
前記試験装置(10)を介して前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)を音響振動をするように励起するステップ(104)と、
前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)の前記音響振動を、前記試験装置(10)の少なくとも1つの音センサ(8)によって検出するステップ(106)と、
前記少なくとも1つの音センサ(8)によって検出された前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)の前記音響振動を評価して(108)、前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)を意図された機能に関して試験するステップと、
を含み、
前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)はMEMSデバイス(7_1~7_3)のグループであり、
前記MEMSデバイス(7_1~7_3)のグループは音響振動をするように励起され、
前記MEMSデバイス(7_1~7_3)のグループの前記音響振動は、前記少なくとも1つの音センサ(8)によって検出され、
前記少なくとも1つの音センサ(8)は、複数の音センサ(8_1~8_3)を備え、前記複数の音センサ(8_1~8_3)の各々の1つの音センサは、前記MEMSデバイス(7_1~7_3)のグループのうちの1つのMEMSデバイスに関連付けられ、
または、前記少なくとも1つの音センサ(8)は、複数の音センサアレイ(8_1~8_3)を備え、前記複数の音センサアレイ(8_1~8_3)の各々の1つの音センサアレイは、前記MEMSデバイス(7_1~7_3)のグループのうちの1つのMEMSデバイスに関連付けられている、
方法(100)。
【請求項19】
前記複数の音センサ(8_1~8_3)または音センサアレイ(8_1~8_3)は、互いに音響的に遮蔽され、
および/または、前記MEMSデバイスのグループ(7_1~7_3)の前記MEMSデバイスは、相互に音響的にシールドされている、
請求項18に記載の方法(100)。
【請求項20】
前記MEMSデバイスのグループ(7_1~7_3)は、周波数が重複しない異なる信号によって同時に励起される、
請求項18または19に記載の方法(100)。
【請求項21】
前記MEMSデバイスのグループ(7_1~7_3)は、周波数が重複する異なる信号によって同時に励起される、
請求項18または19に記載の方法(100)。
【請求項22】
前記MEMSデバイスのグループ(7_1~7_3)は、同じ信号によって連続的に励起される、
請求項18または19に記載の方法(100)。
【請求項23】
集積回路またはチップの製造中に前記集積回路またはチップの少なくとも1つのMEMSデバイス(7)を音響的に試験するための方法(100)であって、
前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)を備える前記集積回路またはチップの部分製品を提供するステップ(102)と、
試験装置(10)を提供し、前記試験装置(10)によって前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)に接触するステップと、
前記試験装置(10)を介して前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)を音響振動をするように励起するステップ(104)と、
前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)の前記音響振動を、前記試験装置(10)の少なくとも1つの音センサ(8)によって検出するステップ(106)と、
前記少なくとも1つの音センサ(8)によって検出された前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)の前記音響振動を評価して(108)、前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7)を意図された機能に関して試験するステップと、
を含む、方法(100)。
【請求項24】
ウェハ(2)上に配置された複数のMEMSデバイス(7_1~7_3)のうちの少なくとも1つのMEMSデバイス(7_2)を音響的に試験するための試験装置(10)であって、
前記試験装置(10)は、前記ウェハ(2)上に配置された前記複数のMEMSデバイス(7_1~7_3)のうちの少なくとも1つのMEMSデバイス(7_2)に接触するように構成され、
前記試験装置(10)は、前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7_2)を音響振動をするように励起するように構成され、
前記試験装置は、前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7_2)の前記音響振動を検出するように構成された少なくとも1つの音センサ(8)を備え、
前記試験装置(10)は、前記音センサによって検出された前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7_2)の前記音響振動に依存する少なくとも1つの信号を提供するように構成され、
前記試験装置(10)は、前記少なくとも1つの信号を初期化し、前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7_2)について音響的に前記試験を実行し、前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7_2)の個々の音響特性を生成するように構成され、
前記試験装置(10)が、プローブ、プローブの一部またはプローブカードである、
試験装置(10)。
【請求項25】
ウェハ(2)上に配置された複数のMEMSデバイス(7_1~7_3)のうちの少なくとも1つのMEMSデバイス(7_2)を音響的に試験するための装置(11)であって、
前記装置(11)が、第1の試験装置(10)および第2の試験装置(34)を備え、
前記第1の試験装置(10)は、前記ウェハ(2)上に配置された前記複数のMEMSデバイス(7_1~7_3)のうちの前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7_2)の第1の側面(32)に接触するように構成され、
前記第1の試験装置(10)は、前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7_2)を音響振動をするように励起するように構成され、
前記第2の試験装置(34)は、前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7_2)の前記第1の側面(32)とは反対側の第2の側面(34)に接触するように構成され、
前記第2の試験装置(34)は、前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7_2)の前記音響振動を検出するように構成された少なくとも1つの音センサ(8)を備え、
前記装置(11)は、前記少なくとも1つの音センサ(8)によって検出された前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7_2)の前記音響振動を評価して、前記少なくとも1つのMEMSデバイス(7_2)を意図された機能に関して試験するように構成される、
装置(11)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、複数のMEMSデバイスのうちの少なくとも1つのMEMS(Micro-Electro-Mechanical System:微小電気機械システム)デバイスを音響的に試験するための方法に関する。さらなる実施形態は、複数のMEMSデバイスのうちの少なくとも1つのMEMSデバイスを音響的に試験するための装置に関する。いくつかの実施形態は、MEMSの音響試験に関する。
【背景技術】
【0002】
微小電気機械システム(MEMS)をその所望の機能モードに関してチェックすることは、重要な技術的問題を伴う。したがって、電気的に完全に機能することが証明されたMEMSは、機械的に欠陥がある可能性がある。逆に、機械的運動が可能であるが、例えば電気的短絡の場合には電気的機能が不可能である場合も可能である。
【0003】
さらに、所望の機能における特定のMEMS構造は非常に低い電流のみを通過し、それに対応して高い抵抗/インピーダンス(MOhmまたはGOhmの範囲)が存在するため、純粋に電気的な測定は問題となり得る。その結果、計測方法はしばしば長い積分時間を必要とする。最適化された生産ラインに関して、これらの方法は不経済であるように思われる。潜在的な解決策は、MEMSの電気的励起(または刺激)が機械的運動をもたらすかどうかをチェックすることである。これは、従来技術で行われているように光学的に実行することができるが、これは複数のチップでの測定の非常に高い複雑さを表す。基礎となる光学系およびそれらのフォームファクタは問題の一部である。非常に小さいMEMS構造では非常に高価な測定距離が必要であり、これは、それらのモード機能(例えば、ストロボ)のために非常に時間がかかる場合もある。さらに、現在の従来技術では、収容またはキャップされたMEMSの内部構造の光学試験を実行することはできず、その結果、ハウジング/キャップに起因する欠陥を検査することはできない。さらに、シリコンによる構造、すなわちハウジング/キャップを露出させることができる現在研究されている光学システムは、依然としてその範囲が限定されており、その結果、より大きなチップを完全に検査することはできない。製造プロセス中に既に存在するまたは導入された欠陥がサプライチェーンで発見されるのが遅いほど、製造プロセス全体がより高価になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の根底にある目的は、現在の状況を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態は、少なくとも1つのMEMSデバイスを音響的に試験するための方法を提供する。本方法は、少なくとも1つのMEMSデバイスを提供するステップを含む。さらに、本方法は、少なくとも1つのMEMSデバイスを音響振動(または振動)に励起するステップを含む。さらに、本方法は、少なくとも1つの音センサ(または音響センサ)によって少なくとも1つのMEMSデバイスの音響振動を検出するステップを含む。さらに、本方法は、少なくとも1つの音センサによって検出された少なくとも1つのMEMSデバイスの音響振動を評価して、少なくとも1つのMEMSデバイスを意図された機能に関して試験するステップを含む。
【0006】
実施形態では、少なくとも1つのMEMSデバイスを提供する際に、複数のMEMSデバイスを含むウェハを提供することができ、複数のMEMSデバイスのうちの少なくとも1つのMEMSデバイスは、少なくとも1つのMEMSデバイスを励起する際に励起されることができる。
実施形態では、少なくとも1つのMEMSデバイスは、複数のMEMSデバイスをダイシングする前にウェハレベルで試験することができる。
【0007】
実施形態では、少なくとも1つのMEMSデバイスを備える集積回路またはチップは、少なくとも1つのMEMSデバイスを提供する際に提供され得る。
実施形態では、少なくとも1つのMEMSデバイスは、集積回路またはチップを製造しながら試験することができる。
実施形態では、少なくとも1つのMEMSデバイスは、集積回路またはチップの製造の終わりに試験することができる。
【0008】
実施形態では、本方法は、試験装置を提供することと、試験装置によって少なくとも1つのMEMSデバイスを接触させることとをさらに含むことができ、少なくとも1つのMEMSデバイスは試験装置によって励起される。
実施形態では、試験装置は、プローブ、プローブの一部または試験カードであり得る。
実施形態では、試験装置は、少なくとも1つの音センサを備えることができる。
【0009】
実施形態において、試験装置は、少なくとも、少なくとも1つのMEMSデバイスに隣接する領域において少なくとも部分的に音響透過性であり得、少なくとも1つの音センサは、試験装置の少なくとも部分的に音響透過性の領域に隣接して配置され得る。
【0010】
実施形態において、少なくとも1つのMEMSデバイスは、MEMSデバイスのグループとすることができ、試験装置は、少なくともMEMSデバイスのグループに隣接する領域において少なくとも部分的に音響透過性であり、少なくとも1つの音センサは、試験装置の少なくとも部分的に音響透過性の領域に隣接して配置される。
【0011】
実施形態では、試験装置は、第1の試験装置であってもよく、第1の試験装置は、少なくとも1つのMEMSデバイスの第1の側面に接触し、方法は、第2の試験装置を提供することと、第2の試験装置によって第1の側面の反対側の少なくとも1つのMEMSデバイスの第2の側面に接触することとをさらに含むことができ、第2の試験装置は、少なくとも1つの音センサを備える。
【0012】
実施形態において、第2の試験装置は、ウェハのための支持体を備えることができ、支持体は、少なくとも、少なくとも1つのMEMSデバイスに隣接する領域において少なくとも部分的に音響透過性であり、少なくとも1つの音センサは、支持体の少なくとも部分的に音響透過性の領域に隣接して配置される。
【0013】
実施形態において、少なくとも1つのMEMSデバイスは、MEMSデバイスのグループとすることができ、支持体は、少なくともMEMSデバイスのグループに隣接する領域において少なくとも部分的に音響透過性であり、少なくとも1つの音センサは、支持体の少なくとも部分的に音響透過性の領域に隣接して配置される。
【0014】
実施形態では、少なくとも1つのMEMSデバイスはMEMSデバイスのグループとすることができ、MEMSデバイスのグループは音響振動をするように励起され、MEMSデバイスのグループの音響振動は少なくとも1つの音センサによって検出される。
実施形態では、少なくとも1つの音センサは、MEMSデバイスのグループに関連付けられた正確に1つの音センサとすることができる。
実施形態では、少なくとも1つの音センサは、MEMSデバイスのグループに関連付けられた正確に1つの音センサアレイを含むことができる。
【0015】
実施形態において、少なくとも1つの音センサは、複数の音センサを備えることができ、複数の音センサの各々のうちの1つの音センサは、MEMSデバイスのグループのうちの1つのMEMSデバイスに関連付けられる。
【0016】
実施形態において、少なくとも1つの音センサは、複数の音センサアレイを備えることができ、複数の音センサアレイの各々の1つの音センサアレイは、MEMSデバイスのグループのうちの1つのMEMSデバイスに関連付けられる。
実施形態では、複数の音センサまたは音センサアレイは、相互に音響的に遮蔽することができる。
実施形態では、MEMSデバイスのグループのMEMSデバイスは、相互に音響的にシールドすることができる。
【0017】
実施形態では、MEMSデバイスのグループは、周波数が重複しない異なる信号によって同時に励起され得る。
実施形態では、MEMSデバイスのグループは、周波数が重複する異なる信号によって同時に励起することができる。
実施形態では、MEMSデバイスのグループは、同じ信号によって連続的に励起され得る。
実施形態では、MEMSデバイスのグループを同時に励起することができる。
【0018】
実施形態では、少なくとも1つのMEMSデバイスは、MEMSスピーカ、MEMSマイクロフォン、MEMSポンプ、MEMSドライブ、MEMS伝送、またはMEMSベースの医療検査装置とすることができる。
実施形態では、少なくとも1つの音センサは、マイクロフォンまたは構造物伝播音センサとすることができる。
【0019】
さらなる実施形態は、ウェハ上に配置された複数のMEMSデバイスのうちの少なくとも1つのMEMSデバイスを音響的に試験するための試験装置を提供し、試験装置は、ウェハ上に配置された複数のMEMSデバイスのうちの少なくとも1つのMEMSデバイスに接触するように構成され、試験装置は、少なくとも1つのMEMSデバイスを音響振動するように励起するように構成され、試験装置は、少なくとも1つのMEMSデバイスの音響振動を検出するように構成された少なくとも1つの音センサを備え、試験装置は、音センサによって検出された少なくとも1つのMEMSデバイスの音響振動に依存する少なくとも1つの信号を提供するように構成され、試験装置はプローブまたは試験カードである。
【0020】
さらなる実施形態は、ウェハ上に配置された複数のMEMSデバイスのうちの少なくとも1つのMEMSデバイスを音響的に試験するための装置を提供し、装置は、第1の試験装置および第2の試験装置を備え、第1の試験装置は、ウェハ上に配置された複数のMEMSデバイスのうちの少なくとも1つのMEMSデバイスの第1の側面に接触するように構成され、第1の試験装置は、少なくとも1つのMEMSデバイスを音響振動に励起するように構成され、第2の試験装置は、第1の側面の反対側の少なくとも1つのMEMSデバイスの第2の側面に接触するように構成され、第2の試験装置は、少なくとも1つのMEMSデバイスの音響振動を検出するように構成された少なくとも1つの音センサを備え、装置は、少なくとも1つの音センサによって検出された少なくとも1つのMEMSデバイスの音響振動を評価して、少なくとも1つのMEMSデバイスを意図された機能に関して試験するように構成される。
【0021】
さらなる実施形態は、微小電気機械システム(MEMS)を音響試験および音響特性評価するための方法、装置およびコンピュータプログラムを提供する。
本発明の実施形態は、添付の図面を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態による、複数のMEMSデバイスのうちの少なくとも1つのMEMSデバイスを音響的に試験するための方法のフローチャートである。
図2】一実施形態による、ウェハレベルで複数のMEMSデバイスのうちの少なくとも1つのMEMSデバイスを音響的に試験するための装置の概略図である。
図3】一実施形態による、音センサを使用してウェハレベルで複数のMEMSデバイスのうちのMEMSデバイスを音響的に試験するための装置の概略図である。
図4】一実施形態による、音センサアレイを使用してウェハレベルで複数のMEMSデバイスのうちのMEMSデバイスを音響的に試験するための装置の概略図である。
図5】一実施形態による、複数のMEMSデバイスのうちのMEMSデバイスのグループを、MEMSデバイスのグループのMEMSデバイスごとに1つの音センサを使用してウェハレベルで音響的に試験するための装置の概略図である。
図6】一実施形態による、MEMSデバイスのグループのMEMSデバイスごとに1つの音センサアレイを使用してウェハレベルで複数のMEMSデバイスのMEMSデバイスのグループを音響的に試験するための装置の概略図である。
図7】一実施形態による、複数のMEMSデバイスのうちのMEMSデバイスのグループを、MEMSデバイスのグループのための音センサを使用してウェハレベルで音響的に試験するための装置の概略図である。
図8】一実施形態による、複数のMEMSデバイスのうちのMEMSデバイスのグループを、MEMSデバイスのグループのための音センサアレイを使用してウェハレベルで音響的に試験するための装置の概略図である。
図9】一実施形態による、音センサを使用してウェハレベルで複数のMEMSデバイスのうちのMEMSデバイスを音響的に試験するための装置の概略図である。
図10】一実施形態による、音センサアレイを使用してウェハレベルで複数のMEMSデバイスのMEMSデバイスを音響的に試験するための装置の概略図である。
図11】一実施形態による、MEMSデバイスのグループのMEMSデバイスごとに1つの音センサを使用して、複数のMEMSデバイスのMEMSデバイスのグループをウェハレベルで音響的に試験するための装置の概略図である。
図12】一実施形態による、MEMSデバイスのグループのMEMSデバイスごとに1つの音センサアレイを使用して、複数のMEMSデバイスのMEMSデバイスのグループをウェハレベルで音響的に試験するための装置の概略図である。
図13】一実施形態による、複数のMEMSデバイスのうちのMEMSデバイスのグループを、MEMSデバイスのグループのための音センサを使用してウェハレベルで音響的に試験するための装置の概略図である。
図14】一実施形態による、複数のMEMSデバイスのうちのMEMSデバイスのグループを、MEMSデバイスのグループのための音センサアレイを使用してウェハレベルで音響的に試験するための装置の概略図である。
図15図3図14に記載の実施形態が採用され得るプローブを有するウェハテスタの概略図である。
図16】一実施形態による、少なくとも1つのMEMSデバイスを成形/パッケージングした後に少なくとも1つのMEMSデバイスを音響的に試験するための装置の概略図である。
図17】製品ラインおよび製造ラインの端部における少なくとも1つのMEMSデバイスを音響的にチェックする概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の本発明の実施形態の説明において、同一の要素または同一の効果を有する要素には、それらの説明が相互に交換可能であるように、図面において同一の参照符号が付される。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態による、複数のMEMSデバイスのうちの少なくとも1つのMEMSデバイスを音響的に試験するための方法100のフローチャートを示す。方法100は、少なくとも1つのMEMSデバイスを提供するステップ102を含む。さらに、方法100は、少なくとも1つのMEMSデバイスを音響振動をするように励起するステップ104を含む。さらに、方法100は、少なくとも1つの音センサによって少なくとも1つのMEMSデバイスの音響振動を検出するステップ106を含む。さらに、方法100は、少なくとも1つの音センサによって検出された少なくとも1つのMEMSデバイスの音響振動を評価して、少なくとも1つのMEMSデバイスを意図された機能に関して試験するステップ108を含む。
【0025】
実施形態では、ステップ102において、複数のMEMSデバイスを含むウェハを提供することができ、ステップ104において、複数のMEMSデバイスのうちの少なくとも1つのMEMSデバイスが音響振動をするように励起される。もちろん、ステップ104において、複数のMEMSデバイスのうちのより多くの(例えば真のサブセットのような)またはすべてを、音響振動をするように、すなわち次々に、グループで、または同時に励起することができる。したがって、例えば意図された機能に関して、複数のMEMSデバイスをダイシングする前に、複数のMEMSデバイスの少なくとも1つ、複数、またはすべてをウェハレベルで試験することが可能である。
【0026】
実施形態では、ステップ102において、個々のまたはいくつかの既にダイシングされたMEMSデバイスを当然ながら提供し、ステップ104において音響振動をするように励起して、例えばパッケージングの前および/または後に意図された機能に関してそれらを試験することもできる。
【0027】
加えて、実施形態では、ステップ102において、少なくとも1つのMEMSデバイスを含む部分製品または最終製品を提供することができ、ステップ104において、意図された機能性に関してその製品を試験するために音響振動をするように励起することができる。したがって、製品の製造中(すなわち、インライン)または製品の製造直後(すなわち、エンド・オブ・ライン)に、少なくとも1つのMEMSデバイスを含む製品を試験することが可能である。
【0028】
本発明の実施形態は、少なくとも1つのMEMSデバイスを製造中または製造後、包装前または包装後、または製品への一体化中または一体化後に試験することを可能にする。
続いて、図1に示す方法100およびそれを実行するためのコンピュータプログラム、ならびに対応する装置の詳細な実施形態をより詳細に説明する。
【0029】
実施形態は、例えば、半導体製造の分野、および生産ラインまたは製品バリューチェーンの分野における手動、半自動または完全自動の実施において、1つまたは複数のMEMSデバイスの音響試験および/または音響特性評価を可能にする。したがって、実施形態は、製造プロセス全体またはその一部の製造ライン内のバリューチェーンの各ステップに関することができる。したがって、それぞれの実施形態は、以下で簡単に説明される1つまたはいくつかの下位態様を含むことができる。
【0030】
実施形態では、半導体製造の領域における1つまたは複数のMEMSデバイスの音響試験および/または音響特性評価は、とりわけ、例えばプローブを使用した手動または半自動試験(プローブ試験)またはウェハ用のプローブカードを使用した全自動試験(ウェハプローブカード試験)によるウェハ試験、ならびに成形/パッケージング後の試験およびさらに適切なまたは半導体固有の製造ステップのような組み立て中の試験(組み立て試験)を含む。
【0031】
実施形態では、半導体製造、生産ラインまたは製品バリューチェーンの分野における1つまたは複数のMEMSデバイスの音響試験および/または音響特性評価は、製造中にチェーン内で可能な任意の試験(インライン試験)、例えば、プリント回路基板の組み立て中の試験(PCBアセンブリ試験または回路内試験)または温度ステップ後の試験(温度後試験)またはストレス試験、および対応する製品または製品サブステップの製造後の試験(エンド・オブ・ライン試験)、を含む。
【0032】
音響試験および音響特性評価の実施形態は、1つまたは複数のDUT(DUT=被試験デバイス)に関し、半導体製造の分野では、DUTは、チップまたはチップのサブ構造体を指し、生産ラインの分野では、電気的または機械的または電気機械的励起/活性化/信号によってそれらの電気的および/または機械的パラメータに関してチェックされる統合MEMSを有する製品またはサブ製品を指し、これらの機能は、定義されたおよび/または確立された音響試験の観点から評価される。
【0033】
例示的には、DUTは、評価によって4つのグループに分類することができる:1.)DUTは完全な音響機能性を示す(例えば、緑色の特性評価)、2.)DUTは制限された音響機能性を示すが、定義された音響限界内(例えば黄色の特性評価)、3.)DUTは制限された音響機能性を示すが、定義された音響限界外(例えば、オレンジの特性評価)、および4.)DUTは音響機能性を示さない(赤)。実施形態では、DUTは、当然ながら、例えば、2つのグループ、1.)DUT機能性および2.)DUT非機能性のように、評価によって異なる数のグループに分類することもできる。
【0034】
DUTを評価するために、例えば、以下に説明する音響試験を使用することができ、DUTの音響限界を定義することができる。
実施形態では、個々の欠陥DUTの時間効率の良い認識は、識別可能な刺激を使用した多くのDUTの狭帯域同時励起によって実行することができる。
実施形態では、得られた音圧レベルに関する個々のDUTの試験は、広帯域励起によって実行することができる。
【0035】
実施形態では、「こすれおよびブザー」原理による音響検査を実行することができる。緩んだデバイスまたはきつすぎるデバイスによって引き起こされる引っかきまたはがたつくノイズを特に検索することができる。例えば、欠陥は狭帯域励起を生成し、広帯域スペクトルをもたらす。ここで、環境ノイズの絶縁または補償を行うことができる。
実施形態では、DUTは、共振周波数、相互変調歪み、マルチトーン歪み、全高調波歪みおよび/または位相応答/群遅延に関して試験することができる。
【0036】
実施形態では、マイクロフォンアレイを使用することにより、例えば干渉またはモアレ効果を介して個々のDUTの発光特性を認識および定義することが可能になる。さらに、ウェハ上の欠陥領域を非常に迅速に認識することができる。これは、例えば、致命的な生産エラーを早期に認識するための短期試験として機能し得る。加えて、任意のDUTの並列測定は、時間遅延を考慮しながら、インパルスを用いた測定によって実現することができる。
実施形態では、DUTを音響ストレス試験に供することができる。
【0037】
実施形態では、MEMSまたはDUTを収容するための装置、プローブ、および/または音響検査に使用されるさらなる装置またはデバイスは、以下に説明する特定の構成によって拡張および/または補足される。ここでの主な動作は、音センサ(マイクロフォンまたは構造物伝播音センサのような)または音センサアレイ(例えば、マイクロフォンアレイまたは構造物伝播音センサアレイのような)を、1つまたは複数のDUTに直接近接して、例えばDUTの音出口孔の上方の音響的に感知可能な位置に配置することである。したがって、製造方法およびMEMSの試験変動に応じて、半導体製造においてプローブを賢明に配置することは、ウェハまたはチップの上方または下方の位置によって表される。これは、生産ラインにおいてかなり変動する可能性があり、前述の主要な点にのみ接続される。二次的な点は、1つまたは複数のDUTの正確な電気的、機械的または電気機械的駆動を保証することである。半導体製造および製造ラインの両方において、例えば、応用シナリオに対応する接触圧力によって、微細な針またはピンなどの適切な電気接点を使用して電気駆動を実行することができる。必要に応じて、例えばスピーカなどの適切なアクチュエータを使用して機械的駆動を達成することができる。
【0038】
以下、本発明の具体的な実施形態について説明する。
1.ウェハ試験
実施形態では、(1つまたは複数のMEMSの)音響検査および/または音響特性評価は、まだ純粋なMEMS IC(IC=集積回路)を有するウェハを仕上げた後に実行することができる。
【0039】
1.1 音響プローブ試験
図2は、一実施形態による、ウェハレベルで複数のMEMSデバイスのうちの少なくとも1つのMEMSデバイス7を音響的に試験するための装置11の概略図を示す。
【0040】
装置11は、複数のMEMSデバイスを有するウェハ2を収容する(および、例えば、位置決めのために)ための収容デバイス1を備えることができる。さらに、装置11は、少なくとも1つのMEMSデバイス7に接触し、例えば少なくとも1つのMEMSデバイス7の接点6に接触する試験針5によって、例えば機械的または電気的に少なくとも1つのMEMSデバイス7を音響振動に励起するように構成された試験装置10(例えば、プローブカード、プローブ、またはプローブの一部のような)を備えることができる。試験装置10は、少なくとも1つのMEMSデバイス7の音響振動を検出するように構成された少なくとも1つの音センサ8(マイクロフォンのような)をさらに備えることができる。
【0041】
少なくとも1つの音センサ8は、ここでは、少なくとも1つのMEMSデバイス7に隣接して、例えば、少なくとも1つのMEMSデバイス7に接触する試験針5の間の(または隣接する)領域、および/または少なくとも1つのMEMSデバイス7に隣接して配置され、(例えば、音孔によって)少なくとも部分的に音響透過性である試験装置10の領域14の上のように、少なくとも1つのMEMSデバイス7の音響振動の放射角(例えば主出射角のような)の領域に配置することができる。装置11(例えば試験装置10のような)は、任意選択的に、(例えば、必要に応じて)少なくとも1つの音センサ8を環境および/または複数のMEMSデバイスの他のMEMSデバイスから遮蔽するように構成された音響遮蔽デバイス13(ノイズ保護のような)を備えることができる。
【0042】
図2に例示的に示すように、試験装置10は、装置11のプローブカードまたはプローブ3の一部とすることができる。プローブ3は、例えば、プローブカード10のためのデバイス4と、例えば、評価ユニット、および該当する場合はテスタへの接続部を有する基板9とを備えることができる。
【0043】
言い換えれば、図2は、単一の音センサ(例えばマイクロフォン)によって個々のDUT(MEMSデバイス)が試験される実施形態による、音響プローブ試験のための装置の概略図を示す。
【0044】
図2に示す実施形態では、複数のMEMSデバイスのうちの単一のMEMSデバイス7が単一の音センサ8によって試験されることを例示的に想定しているが、本発明はそのような実施形態に限定されないことが指摘される。むしろ、実施形態では、単一のMEMSデバイス、MEMSデバイスのグループ、または複数のMEMSデバイスのすべてのMEMSデバイスを音響的に試験することができる。ここで、MEMSデバイスごとに1つの音センサまたは音センサアレイ、あるいは(少なくとも2つのMEMSデバイスを有するMEMSデバイスのグループのような)いくつかのMEMSデバイスまたは複数のMEMSデバイスのすべてのMEMSデバイスに対して1つの音センサまたは音センサアレイをそれぞれ使用することができる。これらの異なる実施態様について、図3図14を参照して簡単に以下に説明する。
【0045】
図3は、一実施形態による、音センサ8を使用してウェハレベルで複数のMEMSデバイスのうちのMEMSデバイス7を音響的に試験するための装置11の概略図を示す。図2に示す実施形態と同様に、試験装置10は、複数のMEMSデバイスのうちの1つのMEMSデバイス7に隣接して配置された音センサ8を備えることができる。言い換えれば、図3は、単一の音センサ(例えばマイクロフォンのような)によるいわゆる単一DUT試験(MEMSデバイス試験)を示す。
【0046】
図4は、一実施形態による、音センサアレイ8を使用してウェハレベルで複数のMEMSデバイスのうちのMEMSデバイス7を音響的に試験するための装置11の概略図を示す。図3に示す実施形態と比較すると、図4に示す実施形態では、単一の音センサの代わりに、MEMSデバイス7を音響的に試験するために音センサアレイ(例えばマイクロフォンアレイのような)8を使用することができる。言い換えれば、図4は、音センサアレイ(例えばマイクロフォンアレイのような)によるいわゆる単一DUT(MEMSデバイス)試験を示す。
【0047】
図5は、一実施形態による、MEMSデバイス7_1~7_3のグループ30のMEMSデバイス7_1~7_3ごとに1つの音センサ8_1~8_3を使用して、ウェハレベルで複数のMEMSデバイスのMEMSデバイス7_1~7_3のグループ30を音響的に試験するための装置11の概略図を示す。図3に示す実施形態と比較すると、図5に示す実施形態では、MEMSデバイス7_1~7_3のグループ30を試験することができ、1つの音センサ8_1~8_3が各々、MEMSデバイス7_1~7_3のグループ30の各MEMSデバイスに関連付けられる。ここで、音センサ8_1~8_3は、MEMSデバイス7_1~7_3のグループ30のそれぞれのMEMSデバイス7_1~7_3に隣接して、例えば、それぞれのMEMSデバイス7_1~7_3に接触する試験針の間の(または隣接する)領域内に、および/またはそれぞれのMEMSデバイス7_1~7_3に隣接して配置され、(例えば、音孔によって)少なくとも部分的に音響透過性である試験装置10のそれぞれの領域14_1~14_3の上方に配置することができる。言い換えれば、図5は、DUTごとに単一の音センサ(例えばマイクロフォンのような)によるいわゆる多重DUT(MEMSデバイス)試験を示す。
【0048】
図6は、一実施形態による、MEMSデバイス7_1~7_3のグループ30のMEMSデバイス7_1~7_3ごとの音センサアレイ8_1~8_3を使用して、ウェハレベルで複数のMEMSデバイスのMEMSデバイス7_1~7_3のグループ30を音響的に試験するための装置11の概略図を示す。図5に示す実施形態と比較すると、図6に示す実施形態では、MEMSデバイスごとに1つの音センサの代わりに、MEMSデバイス7_1~7_3のグループ30のMEMSデバイス7_1~7_3ごとに1つの音センサアレイ8_1~8_3を使用することができる。言い換えれば、図6は、DUTごとに1つの音センサアレイ(例えばマイクロフォンアレイのような)によるいわゆる多重DUT(MEMSデバイス)試験を示す。
【0049】
図7は、一実施形態による、MEMSデバイス7_1~7_3のグループ30のための音センサ8を使用して、ウェハレベルで複数のMEMSデバイスのうちのMEMSデバイス7_1~7_3のグループ30を音響的に試験するための装置11の概略図を示す。図5に示す実施形態と比較すると、図7に示す実施形態では、MEMSデバイスごとに1つの音センサの代わりに、MEMSデバイス7_1~7_3のグループ30を音響的に試験するために単一の音センサ8を使用することができる。言い換えれば、図7は、単一の音センサ(例えばマイクロフォンのような)によるいわゆる多重DUT(MEMSデバイス)試験を示す。
【0050】
図8は、一実施形態による、MEMSデバイス7_1~7_3のグループ30のための音センサアレイ8を使用して、ウェハレベルで複数のMEMSデバイスのうちのMEMSデバイス7_1~7_3のグループ30を音響的に試験するための装置11の概略図を示す。図7に示す実施形態と比較すると、図8に示す実施形態では、単一の音センサの代わりに、MEMSデバイス7_1~7_3のグループ30を音響的に試験するために音センサアレイ8を使用することができる。言い換えれば、図8は、単一の音センサアレイ(例えばマイクロフォンアレイのような)によるいわゆる多重DUT(MEMSデバイス)試験を示す。
【0051】
図9は、一実施形態による、音センサ8を使用してウェハレベルで複数のMEMSデバイスのうちのMEMSデバイス7を音響的に試験するための装置11の概略図を示す。装置11は、少なくとも1つのMEMSデバイス7の第1の側面32に接触し、例えば少なくとも1つのMEMSデバイス7の接点6に接触する試験針5によって、例えば機械的または電気的に少なくとも1つのMEMSデバイス7を音響振動に励起するように構成された第1の試験装置10(プローブカード、プローブ、またはプローブの一部)を備えることができる。さらに、装置11は、MEMSデバイス7の第2の側面36に接触するように構成された第2の試験装置34を備えることができ、第2の試験装置34は、少なくとも1つのMEMSデバイス7の音響振動を検出するように構成された少なくとも1つの音センサ8(例えばマイクロフォンのような)を備えることができる。
【0052】
ここで、少なくとも1つの音センサ8は、少なくとも1つのMEMSデバイス7に隣接して、例えば、少なくとも1つのMEMSデバイス7の音響振動の(裏側)放射角(主放射角のような)の領域において、例えば、少なくとも1つのMEMSデバイス7に隣接して配置され、(例えば、音孔を用いて)少なくとも部分的に音響透過性である試験装置10の領域14の下に配置することができる。代替的に(または追加的に)、図7に示すように、音センサは、MEMSデバイス7に接触する検査針の間の(または隣接する)第1の試験装置10の領域に配置することもできる。装置11(例えば、第2の試験装置34のような)は、任意選択的に(例えば、必要に応じて)、少なくとも1つの音センサ8を環境および/または複数のMEMSデバイスの他のMEMSデバイスから遮蔽するように構成された音響遮蔽デバイス13(ノイズ保護のような)を備えることができる。
【0053】
図9に例示されるように、第2の試験装置34は、ウェハ2を収容する(例えば、位置決めのために)ための収容装置1の一部であり得る。
言い換えれば、図9は、単一の音センサ(マイクロフォン8)によるいわゆる単一DUT(MEMSデバイス)試験を示す。
【0054】
図10は、一実施形態による、音センサアレイ8を使用してウェハレベルで複数のMEMSデバイスのうちのMEMSデバイス7を音響的に試験するための装置11の概略図を示す。図9に示す実施形態と比較すると、図10に示す実施形態では、単一の音センサの代わりに、MEMSデバイス7を音響的に試験するために音センサアレイ(例えばマイクロフォンアレイのような)8を使用することができる。言い換えれば、図10は、音センサアレイ(例えばマイクロフォンアレイのような)によるいわゆる単一DUT(MEMSデバイス)試験を示す。
【0055】
図11は、一実施形態による、MEMSデバイス7_1~7_3のグループ30のMEMSデバイス7_1~7_3ごとに音センサ8_1~8_3を使用して、複数のMEMSデバイスのうちのMEMSデバイス7_1~7_3のグループ30をウェハレベルで音響的に試験するための装置11の概略図を示す。図10に示す実施形態と比較すると、図11に示す実施形態では、MEMSデバイス7_1~7_3のグループ30を試験することができ、1つの音センサ8_1~8_3が各々、MEMSデバイス7_1~7_3のグループ30の各MEMSデバイス7_1~7_3に関連付けられる。ここで、音センサ8_1~8_3は各々、MEMSデバイス7_1~7_3のグループ30のそれぞれのMEMSデバイス7_1~7_3に隣接して、第2の試験装置34のそれぞれの領域14_1~14_3の下方に配置することができ、第2の試験装置34は、それぞれのMEMSデバイス7_1~7_3に隣接して配置され、少なくとも部分的に音響透過性である(例えば、音孔によって)。代替的に(または追加的に)、それぞれの音センサは、図11に示すように、それぞれのMEMSデバイス7_1~7_3に接触するプローブ針の間の(または隣接する)第1の試験装置10の領域にそれぞれ配置することもできる。言い換えれば、図11は、DUTごとに単一の音センサ(例えばマイクロフォンのような)によるいわゆる多重DUT(MEMSデバイス)試験を示す。
【0056】
図12は、一実施形態による、MEMSデバイス7_1~7_3のグループ30のMEMSデバイス7_1~7_3ごとに音センサアレイ8_1~8_3を使用して、複数のMEMSデバイスのMEMSデバイス7_1~7_3のグループ30をウェハレベルで音響的に試験するための装置11の概略図を示す。図11に示す実施形態と比較すると、図12に示す実施形態では、MEMSデバイスごとに単一の音センサの代わりに、MEMSデバイス7_1~7_3のグループ30のMEMSデバイス7_1~7_3ごとに1つの音センサアレイ8_1~8_3を使用することができる。言い換えれば、図12は、DUTごとに1つの音センサアレイ(例えばマイクロフォンアレイのような)によるいわゆる多重DUT(MEMSデバイス)試験を示す。
【0057】
図13は、一実施形態による、MEMSデバイス7_1~7_3のグループ30のための音センサ8を使用して、ウェハレベルで複数のMEMSデバイスのうちのMEMSデバイス7_1~7_3のグループ30を音響的に試験するための装置11の概略図を示す。図11に示す実施形態と比較すると、図13に示す実施形態では、MEMSデバイスごとに1つの音センサの代わりに、MEMSデバイス7_1~7_3のグループ30を音響的に試験するために単一の音センサ8を使用することができる。言い換えれば、図13は、単一の音センサ(例えばマイクロフォンのような)によるいわゆる多重DUT(MEMSデバイス)試験を示す。
【0058】
図14は、一実施形態による、MEMSデバイス7_1~7_3のグループ30のための音センサアレイ8を使用して、ウェハレベルで複数のMEMSデバイスのうちのMEMSデバイス7_1~7_3のグループ30を音響的に試験するための装置11の概略図を示す。図13に示す実施形態と比較すると、図8に示す実施形態では、単一の音センサの代わりに、MEMSデバイス7_1~7_3のグループ30を音響的に試験するために音センサアレイ8を使用することができる。言い換えれば、図14は、単一の音センサアレイ(例えばマイクロフォンアレイのような)によるいわゆる多重DUT(MEMSデバイス)試験を示す。
【0059】
実施形態では、いわゆる音響プローブ試験は、手動または半自動プロセスで使用することができる。ここで、試験中のウェハ2は、それを規定の位置にもたらす装置1に導入される。それぞれのデバイス4を含むプローブ3は、(設定に応じて)ウェハ2の上方に適用される。DUT7の個々のMEMS-ICの微視的に小さい接点6への電気的接続は、プローブ3に適用された試験針5によって行われる。用途(図3図8および図9図14を参照されたい)に応じて異なる位置にあるマイクロフォン8またはマイクロフォンアレイ(例えば、図3を参照されたい)が、試験針アレイ内に配置される。試験針5およびマイクロフォン8またはマイクロフォンアレイ8は、規定の位置でプローブ3に取り付けられる。位置は、被試験MEMSまたはDUT7のタイプおよび複雑さに応じて生じる。プローブ3は、規定の位置および規定の接触圧力でウェハ2に適用される。プローバ9は、電気的、機械的、または電気機械的信号を初期化し、上述の音響検査/試験を実行し、MEMS-ICまたはDUT7の個々の音響特性を生成し、これにより、個々のMEMS-ICまたはDUT7がどの機能クラスに割り当てられるかを決定する。
【0060】
1.2 音響ウェハプローブカード試験
図15は、プローブ17と、プローブのためのデバイス18と、プローブカード10と、ウェハ(ウェハチャック)のための収容デバイス16とを有するウェハプローバの概略図を示しており、前記ウェハプローバには、図3図14において前述した実施形態を用いることができる。特に、例えば、プローブ17とウェハ2との間のプローブカード10の形態で図3図8において説明した試験装置10は、ウェハ2の少なくとも1つのMEMSデバイスを音響的に試験するために使用され得る。当然のことながら、図9図14で説明した試験装置10および34も使用することができ、例えばプローブ17とウェハ2との間のプローブカード10の形態の第1の装置10を使用することができ、ウェハ2とウェハチャック16との間のまたは(拡張された)ウェハチャック16の形態の第2の試験装置34を使用することができる。言い換えれば、図15は、いわゆる音響ウェハプローブ試験プローブを有するいわゆるウェハプローバを示す。
【0061】
実施形態では、全自動プロセスにおいて、いわゆる音響ウェハプローブカード試験を使用することができる。ここで、試験中のウェハ2は、ウェハチャック16上のデバイス15に導入される。それぞれのデバイス18を含む、ウェハ2の上方に適用されたプローブ17は、ウェハ2がそれを使用して試験されるプローブカード10との界面(例えば、プローブ18とプローブカード10との間)を含む。プローブカード10に取り付けられた試験針5は、個々のMEMS ICまたはDUT7(図2を参照されたい)の微視的に小さい接点6(図2を参照されたい)に電気的に接触する。テキスト針アレイ内には、適用事例(図2図14を参照されたい)に応じて異なる位置にあるマイクロフォンまたはマイクロフォンアレイ8(図2を参照されたい)が存在する。試験針およびマイクロフォンまたはマイクロフォンアレイは、プローブカードの所定の位置に装着される。位置は、被試験MEMSまたはDUT7のタイプおよび複雑さに依存する。したがって、プローブカードのサイズは、可能なMEMSまたはDUTの最大数を規定する。プローブカードを有するプローブは、規定の位置および規定の接触圧力でウェハに適用される。プローバ19は、電気的、機械的または電気機械的信号を初期化し、上述の音響チェック/試験を実行し、MEMS ICまたはDUTの個々の音響特性を生成し、これにより、個々のMEMS ICまたはDUTがどの機能クラスに割り当てられるかが決定される。さらに、プローバ20は、プローバを使用して現在試験中のMEMS ICまたはDUTにさらなる電気試験を行うことができる。試験プロセスは、視野22によって確認することができる。機械の状態は、信号灯21によって認識することができる。ここでの色分けは、例えば、以下の通りであり得る:赤色-プログラムフローのエラーまたは機械の機能エラー、黄色-現在のプログラムフローの警告または機械機能の警告、緑色-プログラムまたは機械機能が正常に終了した。すべてのサブユニットは、(ケーブル束のような)ライン23に接続されている。
【0062】
2.組み立て試験/組み立て中の試験
図16は、一実施形態による、少なくとも1つのMEMSデバイスを成形/パッケージングした後に少なくとも1つのMEMSデバイス7を音響的に試験するための装置11の概略図を示す。
【0063】
装置11は、少なくとも1つのMEMSデバイスを有する集積回路のような、少なくとも1つのMEMSデバイスを収容する(および、例えば、位置決めのために)ための収容デバイス25を備えることができる。さらに、装置11は、少なくとも1つのMEMSデバイス7に接触し、例えば少なくとも1つのMEMSデバイス7の接点6に接触する試験針5によって、例えば機械的または電気的に少なくとも1つのMEMSデバイス7を音響振動に励起するように構成された試験装置10(プローブカードまたはプローブの一部のような)を備えることができる。試験装置10は、少なくとも1つのMEMSデバイス7の音響振動を検出するように構成された少なくとも1つの音センサ8(マイクロフォンのような)をさらに備えることができる。
【0064】
ここで、少なくとも1つの音センサ8は、少なくとも1つのMEMSデバイス7に隣接して、例えば、少なくとも1つのMEMSデバイス7に接触する試験針5の間の(または隣接する)領域、および/または少なくとも1つのMEMSデバイス7に隣接して配置され、(例えば、音孔による)少なくとも部分的に音響透過性である試験装置10の領域14の上方のように、少なくとも1つのMEMSデバイス7の音響振動の放出角(主放出角のような)の領域に配置することができる。装置11(例えば、試験装置10)は、任意選択的に(例えば、必要に応じて)、少なくとも1つの音センサ8を環境および/または複数のMEMSデバイスの他のMEMSデバイスから遮蔽するように構成された音響遮蔽デバイス13(ノイズ保護のような)を備えることができる。
【0065】
図16に例示的に示すように、試験装置10は、装置11のプローブカードまたはプローブ27の一部とすることができる。プローブ27は、例示的に、プローブカード10のためのデバイス24と、例えば、電子部品12と、適用可能であれば、評価ユニットへの接続部26と、適用可能であれば、プローバへの接続部とを備えることができる。
換言すれば、図16は、いわゆる音響事後成形/パッケージング試験を使用したいわゆる組み立て試験または組み立て中の試験の実施形態を示す。
【0066】
実施形態では、個々のMEMS(IC)またはDUTがエポキシ樹脂に埋め込まれる成形/パッケージングのプロセスの後、例えば、完成した個別化MEMS(IC)またはDUTは、後続の最終半導体試験、いわゆる音響事後成形/パッケージング試験において音響試験および音響特性評価を受けることができる。試験スタンドは、パッケージに応じて、MEMS ICまたはDUT7を位置決めおよび固定するためのデバイス24および25を備える。これは、MEMS ICまたはDUT7を収容する。適用事例(図2図14の実施形態を参照されたい)に応じて異なる設定を有する音響試験部28を含むプローブ27は、MEMS ICまたはDUT7の上方に配置され、接点6を介して所定の接続を行う。プローバ19(図15参照)は、電気的、機械的、または電気機械的信号を初期化し、上述の音響チェック/試験を実行し、MEMS ICまたはDUTの個々の音響特性を生成し、これにより、個々のMEMS ICまたはDUTがどの機能クラスに割り当てられるかが決定される。さらに、プローバ20(図15参照)は、プローバを使用して現在試験中のMEMS ICまたはDUT7に対してさらなる電気試験を行うことができる。
【0067】
3.生産ライン試験
3.1 音響インライン試験
いわゆる音響インライン試験は、図17に示すように、個々の製品製造工程の間に副製品を音響試験および音響特性評価に供するプロセスを記載する。
【0068】
詳細には、図17は、生産ライン(インライン)および生産ラインの端部(エンド・オブ・ライン)で少なくとも1つのMEMSデバイスを音響的に試験する概略図を示す。言い換えれば、図17は、いわゆる生産ライン試験、すなわちいわゆる音響インライン試験およびいわゆる音響エンド・オブ・ライン試験のための位置を、特別なプローブ装置を有する特別な収容デバイスによって示している。
【0069】
当該アプリケーションケースに固有の収容デバイス30は、DUTを保持する。DUTの上方には、音響試験部28(図16参照)を有するプローブ27(図16参照)が位置する。プローバ19(図15参照)は、電気的、機械的、または電気機械的信号を初期化し、上述の音響チェック/試験を実行し、DUTの個々の音響特性を生成し、これにより、DUTが生産の継続に適しているか、修理されるかまたは拒否されるかを決定する。この実施形態の別の態様は、個々のチップを識別するまで分類する可能性である。チップを製造の位置および時間に関連付けるためにMEMS上に配置されたマーキングは、認識目的のためにこの方法で追加することができる。
【0070】
3.2 音響エンド・オブ・ライン試験
いわゆる音響エンド・オブ・ライン試験は、最終製品を1つまたはいくつかの製造チェーンの終わりに音響試験および音響特性評価に供するプロセスを記載する。当該アプリケーションケースに固有の収容デバイス30は、DUTを保持する。音響的試験部28(図16参照)を有するプローブ27(図16参照)は、DUTの上方に位置する。プローバ19(図15参照)は、電気的または機械的または電気機械的信号を初期化し、上述の音響チェック/試験を実行し、DUTの個々の音響特性を生成し、これにより、DUTが規定の品質要件に準拠しているかどうか、またはDUTが拒絶されるかどうかを決定する。
【0071】
3.3 MEMSの最終用途の動作
サブ態様として前述したすべての方法は、最終用途におけるMEMSが動作中に監視され、特徴付けられ、駆動が追跡されるときに使用される。ここでは、システム内で変換されたエネルギーを用いて駆動するコンピュータプログラムによる信号処理が用いられる。前述の実施形態からのデータによって供給され、挙動は、連続的な音響特性評価なしに、以前に達成されたパラメータを使用して評価され、駆動はMEMS状態に調整される。
【0072】
4.さらなる実施形態
本明細書に記載の実施形態を使用して、MEMSによって受け取られた電気エネルギーの変換を音響的に評価する方法がある。例示的に(例えば、コンピュータプログラムによって)、バリューチェーンの1つ、複数、または各ステップにおいて、所定のパラメータに関してデバイスが機能する確率への割り当て、およびそのさらなる処理が経済的観点から理にかなっているかどうかの割り当てを実行することができる。電気エネルギーから熱エネルギーおよび音響エネルギー(空中伝播音など)に変換されたエネルギーの種類を評価に使用することができる。さらなる実施形態では、本構成を使用して電磁波を検出することができる。
【0073】
本明細書では、MEMSデバイスによって生成された音響振動が音センサによって直接検出される実施形態について説明したが、実施形態では、音響フィルタを音経路に設けることもできることを指摘しておくべきである。さらに、駆動において、増幅器または信号処理デバイスを設けることができることを指摘しておくべきである。
実施形態では、MEMS内のエネルギー分布を検出し、例えば評価することができる。
【0074】
実施形態では(例えば、コンピュータプログラムを使用して)、音センサ(例えばマイクロフォンのような)によって放出および測定されたエネルギーの信号または信号クラスを評価するための音響特性評価を実行することができる。非線形挙動を補償するための方法をここで使用することができる。
【0075】
小型化されたMEMSデバイスはまた、NEMS(nanoelectromechanical system:ナノ電気機械システム)デバイスまたはさらには小型化された電気機械システムのようなMEMSデバイスであると理解されるべきであることが指摘されるべきである。
【0076】
いくつかの態様を装置の文脈で説明したが、これらの態様が対応する方法の説明も表すことは明らかであり、装置のブロックまたはデバイスも対応する方法ステップまたは方法ステップの特徴に対応する。同様に、方法ステップの文脈で、または方法ステップとして説明される態様はまた、対応する装置の対応するブロックまたは項目または特徴の説明を表す。方法ステップの一部またはすべては、例えば、マイクロプロセッサ、プログラマブルコンピュータ、または電子回路などのハードウェア装置によって(または使用して)実行されてもよい。いくつかの実施形態では、最も重要な方法ステップのいくつかまたはいくつかは、そのような装置によって実行されてもよい。
【0077】
特定の実装要件に応じて、本発明の実施形態は、ハードウェアまたはソフトウェアで実装することができる。実装は、デジタル記憶媒体、例えば、フロッピーディスク、DVD、Blu-Rayディスク、CD、ROM、PROM、EPROM、EEPROMまたはフラッシュメモリ、ハードドライブ、または電子的に読み取り可能な制御信号が格納された別の磁気もしくは光学メモリを使用して実行することができ、これらは、それぞれの方法が実行されるようにプログラム可能なコンピュータシステムと協働するか、または協働することができる。したがって、デジタル記憶媒体はコンピュータ可読であり得る。
【0078】
本発明によるいくつかの実施形態は、本明細書に記載の方法のうちの1つが実行されるようにプログラム可能なコンピュータシステムと協働することができる電子的に読み取り可能な制御信号を含むデータキャリアを含む。
【0079】
一般に、本発明の実施形態は、プログラムコードを有するコンピュータプログラム製品として実装することができ、プログラムコードは、コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実行されるときに方法のうちの1つを実行するように動作する。
プログラムコードは、例えば、機械可読キャリアに格納することができる。
【0080】
他の実施形態は、本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するためのコンピュータプログラムを含み、コンピュータプログラムは、機械可読キャリアに記憶される。
【0081】
言い換えれば、したがって、本発明の方法の一実施形態は、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるときに、本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するためのプログラムコードを含むコンピュータプログラムである。
【0082】
したがって、本発明の方法のさらなる実施形態は、本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するためのコンピュータプログラムを記録して含むデータキャリア(またはデジタル記憶媒体もしくはコンピュータ可読媒体)である。データキャリア、デジタル記憶媒体、またはコンピュータ可読媒体は、典型的には、有形および/または非一時的または不揮発性である。
【0083】
したがって、本発明の方法のさらなる実施形態は、本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するためのコンピュータプログラムを表すデータストリームまたは信号シーケンスである。データストリームまたは信号シーケンスは、例えば、データ通信接続を介して、例えばインターネットを介して転送されるように構成することができる。
【0084】
さらなる実施形態は、本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するように構成または適合された処理手段、例えばコンピュータ、またはプログラマブル論理デバイスを含む。
さらなる実施形態は、本明細書に記載の方法の1つを実行するためのコンピュータプログラムがインストールされたコンピュータを含む。
【0085】
本発明によるさらなる実施形態は、本明細書に記載の方法のうちの少なくとも1つを実行するためのコンピュータプログラムを受信機に転送するように構成された装置またはシステムを含む。送信は、例えば、電子的または光学的に実行することができる。受信機は、例えば、コンピュータ、モバイルデバイス、メモリデバイスなどであってもよい。装置またはシステムは、例えば、コンピュータプログラムを受信機に転送するためのファイルサーバを備えることができる。
【0086】
いくつかの実施形態では、プログラマブル論理デバイス(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ、FPGA)を使用して、本明細書に記載の方法の機能の一部またはすべてを実行することができる。いくつかの実施形態では、フィールドプログラマブルゲートアレイは、本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するためにマイクロプロセッサと協働することができる。一般に、いくつかの実施形態では、方法は任意のハードウェア装置によって実行される。これは、コンピュータプロセッサ(CPU)などの普遍的に適用可能なハードウェア、またはASICなどの方法に固有のハードウェアであり得る。
【0087】
本明細書に記載の装置は、例えば、ハードウェア装置を使用して、またはコンピュータを使用して、またはハードウェア装置とコンピュータとの組み合わせを使用して実装することができる。
【0088】
本明細書に記載の装置、または本明細書に記載の装置の任意の構成要素は、少なくとも部分的に、ハードウェアおよび/またはソフトウェア(コンピュータプログラム)で実装することができる。
【0089】
本明細書に記載の方法は、例えば、ハードウェア装置を使用して、またはコンピュータを使用して、またはハードウェア装置とコンピュータとの組み合わせを使用して実施することができる。
【0090】
本明細書に記載の方法、または本明細書に記載の方法の任意の構成要素は、少なくとも部分的に、ハードウェアおよび/またはソフトウェアによって実行することができる。
【0091】
上述の実施形態は、本発明の原理の単なる例示である。本明細書に記載の構成および詳細の修正および変形は、当業者には明らかであることが理解される。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、本明細書の実施形態の説明および説明として提示される特定の詳細によっては限定されないことが意図される。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17