(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-07
(45)【発行日】2024-08-16
(54)【発明の名称】技術的な設備へのデータの提供のために用いられる記憶装置
(51)【国際特許分類】
H01R 13/622 20060101AFI20240808BHJP
H01R 13/629 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
H01R13/622
H01R13/629
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020029546
(22)【出願日】2020-02-25
【審査請求日】2022-11-29
(31)【優先権主張番号】10 2019 104 881.8
(32)【優先日】2019-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501493037
【氏名又は名称】ピルツ ゲーエムベーハー アンド コー.カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ツェヒ
(72)【発明者】
【氏名】ドミトリー ムラヴエフ
【審査官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3106612(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2008/0026641(US,A1)
【文献】特表2006-513543(JP,A)
【文献】特開2015-065167(JP,A)
【文献】特開2010-272478(JP,A)
【文献】特開2006-228735(JP,A)
【文献】米国特許第06422469(US,B1)
【文献】特表2018-511913(JP,A)
【文献】中国実用新案第201084160(CN,Y)
【文献】登録実用新案第3084721(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/56-13/72
H01R 31/06
G06K 19/077
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
技術的な設備におけるデータの移動のための記憶装置(10)であって、
相補型の相手側コネクタ(70)への機械的接続のための第1コネクタ(12)と、
前記第1コネクタに連結される第2コネクタ(14)と、
前記第1コネクタ(12)および前記第2コネクタ(14)を収容する容器(16)とを備え、
前記第2コネクタ(14)はレセプタクル(26)に記憶素子を着脱可能に受けて、前記記憶素子がレセプタクル(26)に装着されたときに前記記憶素子の電源およびデータ接続端子に接触するように構成され、
前記第1コネクタ(12)は、前記第2コネクタ(14)に結合し、結合の結果として、前記記憶素子の電源およびデータ接続端子は、前記第1コネクタ(12)を介して接触されることができ、
前記第1コネクタ(12)は、連結要素(20)を含む円形横断面を有す
るプラグコネクタであり、
前記第1コネクタ(12)が相補型の相手側コネクタ(70)上へ挿入されるプラグイン方向(S)が定められ、
前記容器(16)は、前記プラグイン方向(S)で決定される縦方向を有する円筒状で、
前記第1コネクタ(12)および前記第2コネクタ(14)は、1ユニットとして互いに動かないように接続され、前記容器(16)内に、前記容器(16)の縦方向を中心として回転可能に取り付けられている、記憶装置。
【請求項2】
前記容器(16)は、
前記第1コネクタ(12)の連結要素(20)をスリーブのように取り囲む第1
の部分(30)と、
前記第1コネクタ(12)が相補型の相手側コネクタ(70)に機械的に接続されるように、前記相補型の相手側コネクタ(70)に螺着可能なねじ溝(44
)とを有する、請求項1に記載の記憶装置。
【請求項3】
前記連結要素(20)は標準化された係合面
を持つ、請求項1または請求項2に記載の記憶装置。
【請求項4】
前記容器(16)は、前記第1の部分(30)
に連結するとともに、前記第2コネクタ(14)をスリーブのように取り囲む第2の部分(32)と、
前記容器(16)を一方側から閉じて、前記第2の部分(32)に着脱可能に設置される第3の部分(34)とを有する、
請求項2に記載の記憶装置。
【請求項5】
前記第2の部分(32)は、前記第3の部分(34)にねじで止められる、請求項4に記載の記憶装置。
【請求項6】
前記第1の部分、第2の部分および第3の部分(30、32、34)は、前記第1コネクタ(12)が、相補型の相手側コネクタ(70)にねじ止めされたときに
、閉じた、塵および水を防ぐ容器を形成する、請求項5に記載の記憶装置。
【請求項7】
前記第2の部分(32)および/または前記第3の部分(34)は、ローレットが形成された部分を有する、請求項4~請求項6のいずれか1項に記載の記憶装置。
【請求項8】
前記第2コネクタ(14)は、容器(16)の中の、電源およびデータ接続が導体路として引き出されるプリント回路基板(28)上に配置され、
前記第1コネクタ(12)は、プリント回路基板(28)を介して、前記第2コネクタ(14)に連結されている、請求項1~
請求項7のいずれか1項に記載の記憶装置。
【請求項9】
前記容器(16)に対して所定の位置に前記
プリント回路基板(28)を保持する回路基板ホルダ(40)をさらに有し、それは、回転可能に取り付けられている、
請求項8に記載の記憶装置。
【請求項10】
前記第2コネクタ(14)は、メモリカー
ドが、前記記憶素子として挿入されることができるメモリカード・ホルダである、請求項1~
請求項9のいずれか1項に記載の記憶装置。
【請求項11】
前記丸いプラグコネクタは5本またはそれ以上の本数のピンを備
える、請求項1~
請求項10のいずれか1項に記載の記憶装置。
【請求項12】
前記容器(16)は、横断面において21.5mmもしくはそれより小さな直径を有する、請求項1~
請求項11のいずれか1項に記載の記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、技術的な設備(technical installation)においてデータを提供するために使用される可搬型記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
産業的な環境下にある技術的な設備および機器にデータを提供するために、技術的な設備へのデータ転送またはネットワークへの接続を有効にする通信インタフェースが設けられている。
【0003】
この種の通信インタフェースは、より大きなシステムまたは制御デバイスのために有用である一方、ほんの少量のデータだけが交換される、または、データの交換が極めてまれにしか実行されない小規模システムにとっては、それほど合理的でない。
【0004】
むしろここは、着脱可能な記憶素子の概念が効果を示し始めるところである。そこにおいて、予め構成された異なるデータ・セットを有することのできる、または対応するデータをリモートユニット(例えばワークステーションPC)から書き込むことのできる、着脱可能な記憶装置が用いられる。
【0005】
着脱可能なデータキャリアを用いた技術的な設備のセットアップは、従来からのデータキャリア(例えばUSBスティックまたはSDカード)を接続するための統合されたコンセント(統合レセプタクルと言う)を通常有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、統合レセプタクルは、産業的な環境の中の厳しい環境条件で使用するために、適切に固定され、封止されなければならない。
【0007】
その結果、これらのデバイスの設計と構成は、すべてのユーザが着脱可能な記憶装置を介してデータを交換するわけでなく、または、極めてまれにしかそれを使用しないにもかかわらず、しばしば必要以上に高価なものとなる。
【0008】
加えて、統合レセプタクルの操作は、記憶素子を交換することを困難にして、しばしばなんらかのツールの助けを必要とする。
【0009】
他方で、産業的な環境において一般的なインタフェースを備えるハードな記憶装置(hardened storage device)、例えばTERZ Industrial Electronics GmbH製のデータキャリア、Industrial M12 USBメモリスティックの名で販売されているものがもし用いられる場合、記憶装置が書き込まれるワークステーション側で、この種のインタフェースまたは対応するアダプタが設けられていなければならないという課題がある。
【0010】
これはハードな記憶装置を使用することを困難にする。それは、例えば相当なメモリ容量を有する産業的に使用可能なメモリカードよりもしばしば、より高価である。
【0011】
したがって、本発明の目的は、上記の不利な点を回避して、低コストで実現することができて、柔軟な形態の使用ができ、産業的な厳しい環境条件でも使用できる、技術的な設備のための可搬型のデータ記憶装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様によれば、前記目的は、技術的な装置にデータを提供するための移動可能な記憶装置により解決される。記憶装置は、相補型の対抗するコネクタに機械的に接続するための第1コネクタ、前記第1コネクタに隣接してつながっている第2コネクタ、および第1コネクタおよび第2コネクタを収容する容器(housing)を備える。ここにおいて、第2コネクタは、記憶素子をレセプタクルに着脱可能に受け入れて、記憶素子がレセプタクルに装着されたときに、記憶素子の電源およびデータ接続端子に接触するように、構成される。第1コネクタは第2コネクタに結合されている。この結合の結果、記憶素子の電源およびデータ接続端子は第1コネクタを介して接触することができる。ここで第1コネクタは連結要素を有する横断面の丸いプラグコネクタであり、頑丈なコネクタである。
【0013】
このように本発明は、アダプタとしての記憶装置を構成して、それを容器内に集積すると言う着想に基づく。当該アダプタは、一方では、産業的な環境下において設備と接続するための第1コネクタを搭載し、他方では着脱可能な記憶素子(例えば市販の、工業グレードのマイクロSDカード)の挿入のための第2コネクタを搭載する。アダプタは、容器(好ましくは頑丈な容器)内に集積される。
【0014】
この記憶装置は、頑丈なメモリスティックとして、産業的な環境において公知のインタフェースに直接接続できる。これは、工業用途の丸いプラグコネクタのような周知かつ証明された接続技術を、記憶装置を読み込むのに用いることができるという効果がある。
【0015】
カードリーダのような市販の記憶素子のための統合インタフェースは、これらの装置では必要でない。
【0016】
データが提供される装置は、このように低コストで製造することができて、自体が公知の工業的な環境の中の厳しい環境条件のために設定され得る。加えて、公知のインタフェースはツールなしで作動されるようにも設計されている。その結果、統合レセプタクル中の従来のメモリカードと比較しても、取扱が単純化される。
【0017】
アダプタとして構成される記憶装置は、PC技術において公知の市販の記憶素子を柔軟に備えていることもできる。
【0018】
このように、異なった着脱可能な媒体を低コストで設けることができ、その着脱可能な媒体は新しいデータによって、容易に構成されることができて、書き直されることもできる。この目的のために、シンプルなPCを、標準のPCで用意されるような接続を越えた特別なインタフェースまたは適切なアダプタを必要とすることなく、用いることが可能である。これは、技術的な設備へのデータの提供を単純化して、ユーザによる取扱いを容易にする。
【0019】
このようにして、上述した目的は完全に達成される。
【0020】
さらなる改良において、容器は第1コネクタの連結要素をスリーブのように取り囲む第1の円筒形部分を有することができる。第1の円筒形部分は、ねじ、特にM12、M8、M23または7/8-インチのねじを形成する。このねじを介して、容器は相補型の(complementary)相手側コネクタ(mating connector; はめ合わせコネクタ)にねじ止めされ、第1コネクタが機械的に相手側コネクタに接続されることが可能である。
【0021】
第1コネクタの連結要素は、相手側にねじ止めされることができるねじ溝を有する円筒状容器によって、このように囲まれることができる。
【0022】
容器はこのように接続構造の一部をなす。その結果、追加の要素は必要とされない。特に記憶装置は、延長により固められるインタフェースアダプタで用いられるような継ぎナット(union nut)を必要としない。
【0023】
さらなる改良において、容器は、第1の部分と、第1の部分にしっかりと連結して、スリーブのように第2コネクタを取り囲む第2の部分を有することができる。また、容器を一方の側から閉鎖して、第2の部分に着脱可能に取り付けられる第3の部分を有することができる。
【0024】
このように容器は、第1コネクタおよび第2コネクタを含む、スリーブのように収容する3つの部分から、成ることができる。
【0025】
第1の部分は連結要素を取り囲み、相手側コネクタへの接続ピースを形成する。第2の部分は着脱可能な記憶素子のためのレセプタクルを含む第2コネクタを収容する。第3の部分は容器を一方側から封止するカバーとして構成される。
【0026】
これらの部分は切れ目なしに結合し、第1コネクタおよび第2コネクタが収納される管のような容器を形成する。
【0027】
さらなる改良において、第2の部分は、第3の部分にねじで止められることが可能である。
【0028】
第3の部分を第2の部分にねじで止めることによって、容器の内部へのアクセスが、ツールを必要とすることなく容易に成し遂げられることができる。これは、記憶装置の取り扱いを改善する。
【0029】
特に、着脱可能な記憶素子をこのようにして、アダプタが第1コネクタを介して相手側コネクタに接続されている場合を含め、記憶装置から容易にそして都合よく取り外しすることができる。
【0030】
同時に、第3の部分をねじることによって、第2の部分(それは特に容易に封止されることができる)への接続が可能になる。その接続は、例えばオーリングによって容易に封止され、その結果、容器は全体的に、高い安全カテゴリのために設計されることができる。
【0031】
さらなる改良において、第1コネクタが相補型の相手側コネクタにねじで止められたときに、特にIP67に準拠しつつ、第1の部分、第2の部分および第3の部分は一体となって密封容器を形成する。
【0032】
容器はこのようにして、第1コネクタが相手側コネクタにねじで止められるときに、第1コネクタおよび第2コネクタを完全に隠蔽する。
【0033】
これによって、記憶装置は、技術的な設備の動作中にさえ技術的な設備に接続されることができる。
【0034】
記憶装置はこのように技術的な設備の筐体の拡張を表す。すなわち技術的な設備の中に、技術的な設備のために必要とされる記憶素子が収納される。
【0035】
技術的な設備には、着脱可能な記憶素子のための統合された接続(integrated connection)が、このように必要でなくなる。
【0036】
さらなる改良において、第2の部分および/または第3の部分は、ローレットが形成されていてもよい(knurled)。
【0037】
ローレット(knurl)は、第1の部分および/または第2の部分の円周の表面に印される凹凸であってもよい。ローレットは容器をより掴みやすくする。そして、容器が第1コネクタと接続をするために回されなければならない場合、それは組み立ての間、落とすことを防ぐ。記憶装置の取扱いは、このようにさらに単純化される。
【0038】
さらなる改良において、ユニットが容器に対して相対的に回転できるように容器内に搭載されているならば、第1コネクタおよび第2コネクタは、互いに固定されていてもよい。
【0039】
第1コネクタおよび第2コネクタは、対応端末に接続するために、外へ面する端子を各々備えていてもよい。
【0040】
加えて、第1コネクタおよび第2コネクタは、第1コネクタおよび第2コネクタが一体の強固なユニットを形成するように、互いに結合された内部接続を持っていてもよい。この目的のために、第1コネクタおよび第2コネクタの内側接点は、例えば、はんだ付けされることができる。
【0041】
1つのユニットとして、第1コネクタおよび第2コネクタは、容器内で集積される。容器は、第1コネクタの一部として、このユニットの回りで回転できる。この改良によって、記憶装置を非常に小さくできる。
【0042】
さらなる改良において、第2コネクタを、容器内で、電源およびデータが導体路として引き出されるプリント回路基板上に配置できる。そして第1コネクタはプリント回路基板を介して第2コネクタに結合できる。
【0043】
第2コネクタがプリント回路基板上に配置される場合、市販のコネクタを使用することが可能である。その結果、それは特に安いコストを実現する。加えて、プリント回路基板は、接続端子のみならず、他の電子部品を搭載することができる。それにより、例えば、変換タスクまたは保護タスクを遂行できる。
【0044】
さらなる改良において、装置は、容器に対して所定の位置にあるプリント回路基板(PCB)を保持して、容器に回転可能に載置されるPCBホルダを備えていることができる。
【0045】
このPCBホルダによって、立方形のPCBでも、基本的に円筒状容器内に配置することができる。
【0046】
PCBホルダは、また、丸い容器内で安定して保存される矩形の横断面を有するコネクタを可能にする。
【0047】
さらなる改良において、接続要素は、特にIEC61076-2および/またはIEC60352-4に従った標準化された合わせ面を有する。
【0048】
記憶装置はこのように、標準化されたインタフェースを有するデバイスへの直接の接続に適している。
【0049】
さらなる改良において、第2コネクタは、メモリカード、特に(マイクロ)SDカードを記憶素子として挿入することが可能なメモリカード・ホルダであってもよい。
【0050】
メモリカード・ホルダは、それらに着脱可能な記憶素子を接続するために、多種多様な電子デバイスで用いられる。したがって、メモリカードは、PCおよび家電セクターにおいてメモリを供給するための事実上の標準である。
【0051】
対応する安価なメモリカードは、このように、工業的な設備の用途にこのように供することもできる。それと同時に、メモリカード・リーダは、多くの市販のPCまたはラップトップにおいてすでに利用されており、また工業部門の相当するインタフェースより安いコストで改造することができる。
【0052】
さらなる改良において、丸いプラグコネクタは5本以上のピンを備えていることができること、特に、8ピンコネクタを備えている。
【0053】
5ピンコネクタまたはマルチピンコネクタは、記憶素子がいくつかのデータラインを介してアドレスされることができるという効果があり、読出速度を増加できる。例えば、マイクロSDカードは、さらなる接続(additional connections)によって、高速モードで作動されることができる。
【0054】
さらなる改良において、第1コネクタが相補型の相手方コネクタに差し込まれる接続方向を定めることができる。円筒状の容器は、前記接続方向で決定される縦方向に延び、21.5mmまたはそれ以下の横断面直径を有することができる。
【0055】
記憶装置は、このように、例えば接続ケーブルに通常使用される丸いプラグコネクタと同じサイズであり得る。技術的な設備への接続は、周知のパッキング密度でこのように配置されることができる。
【0056】
加えて、挿入時のアダプタの高さは、通常の丸いプラグコネクタの挿入時のレベルと同一であり得る。
【0057】
前述した特徴および以下で説明される特徴は、各場合において示される組合せのみで用いられるものではないことを理解すべきである。本発明の範囲を出ない限り、他の組合せでも、または、単独の状況でも採用可能なものである。
【0058】
本発明の実施の形態は、図面に示され、以下の説明において、さらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図1】実施の形態に係る記憶装置を示す分解図である。
【
図2】
図1の記憶装置を示す概略図であり、密封容器とともに組み立てた状態を示す。
【
図4】実施の形態に係る記憶装置を示す縦断面図である。
【
図6】記憶装置とともに用いられる技術的な設備を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
図1は、記憶装置の実施の形態を示す分解図である。記憶装置の全体は、
図1において参照番号10で示される。
【0061】
記憶装置は、第1コネクタおよび第2コネクタを備え、それらは、ユニットを形成し、かつ該ユニットがその中に集積される容器16を形成するために、連結される。
【0062】
第1コネクタ12は、技術的な設備(図示せず)へのインタフェースであり、技術的な設備に配置された相補型な相手側コネクタに連結される。
【0063】
第2コネクタ14は、第2コネクタに着脱可能に接続される記憶素子へのインタフェースを含む。第2コネクタは、記憶素子の電源に接続され、かつデータに接続されるように構成される。
【0064】
第1コネクタ12と第2コネクタ14との間の結合は、第1コネクタ12の接点18が、第2コネクタに装着される記憶素子の電源接点およびデータ接点に接続できるように構成される。
【0065】
第1コネクタ12および第2コネクタ14を含むこのユニットは、記憶素子の電源およびデータ接続端子を、工業的に標準化されたコネクタに変換するアダプタであると云える。
【0066】
ここで、円形横断面を有する連結要素20で示されるように、第1コネクタ12は丸いプラグコネクタであり得る。
【0067】
あるいは、第1コネクタ12は、技術的な設備のために特定のプラグ接続を実施できる専用の頑丈なコネクタ(heavy-duty connector; HDC)であってもよい。
【0068】
この種の頑丈なコネクタは、堅牢な容器および特定用途向けの構成によって、常に特徴づけられる。
【0069】
ここで示される実施の形態において、丸いコネクタの連結要素20は、中空の円柱被覆22を有する雄プラグで、そこに、プラグイン方向Sを指向する独立した起立型の各接点18を含む。接点18は、相補型のはめ合いコネクタ(雌)上の対応するソケットを介して、相手側コネクタへの電気的接続を行うことができる。
【0070】
連結要素20および接点18の横断面は、丸いプラグコネクタのいわゆる合わせ面(mating face)を定める。工業部門において、さまざまな合わせ面が公知で、関連した標準(例えばM12の丸形プラグコネクタのためのIEC61076-2-100)にしたがって標準化されている。
【0071】
接点18および被覆22の直径に加えて、他の構造を、被覆22に含ませることが可能であり、合わせ面をさらに定める。これらのさらなる構造は、誤った挿入を防止するためにコネクタを挿入する所定の方法を定める規則(coding)として、特に利用される。
【0072】
第1コネクタ12は、特に、これらの準備にしたがって標準化された、規則化されたコネクタであってもよい。
【0073】
接点素子24は第1コネクタ12の連結要素20に接続している。それを介して、第2コネクタ14との接続が実現される。
【0074】
接点素子24は、連結要素20からの接点18を延長することができて、それらは第2コネクタ14の接点に接続される。
【0075】
加えて接点素子24は、第2コネクタ14を第1コネクタ12に一体に保持するような手段を備えることができる。
【0076】
第2コネクタ14は、記憶素子が着脱可能に装着されることが可能であるレセプタクル26を有する。レセプタクル26はこのように記憶素子へのインタフェースであり、それを介して、記憶素子の電源およびデータの接続を実現できる。
【0077】
レセプタクル26は、例えば、メモリカードが挿入されることができるカードリーダであってもよい。メモリカードをカードリーダ26に挿入することで構成される第1コネクタ12と第2コネクタ14との間の結合は、第1コネクタ12の接点18につながる接続となる。第2コネクタ14のレセプタクル26は、この目的のためにプリント回路基板28に集積される。
【0078】
プリント回路基板28は接点素子24に接続される。その結果、接点素子24を介して引き出される接点18は、導体路を経て引き出される記憶素子の電源およびデータを第1コネクタ12の接点18に接続するために、プリント回路基板28上の導体路につながる。
【0079】
他の実施の形態において、レセプタクル26は、例えば記憶素子が接続されるUSBインターフェースのような通信インタフェースであることもできる。このインタフェースは、周知の方法でプリント回路基板に集積される。加えて回路基板28は、例えば、通信インタフェースに対応するプロトコルを実装した電子部品を含むこともできる。
【0080】
第1コネクタ12および第2コネクタ14を収納する容器16は、いくつかの部分を有することができる。特に容器16のある部分は、第1コネクタ12でなされる接続の一部であるように構成できる。換言すれば、第1コネクタ12および容器16の一部は、接続の技術(connection technique)をともに定める。
【0081】
例えば、容器16は、組み立てた状態の連結要素20を収容する第1の部分30を有していてもよい。その組み立てた状態において連結要素20は、第1コネクタ12とはめ合い接続の関係を確立するか、もしくは固定するために、相手側コネクタ(mating connector)と協働する。
【0082】
このために、ねじ溝が第1の部分30の表面に設けられていてもよい。当該ねじ溝は、容器16を相補型の相手側コネクタに固定するために、相補型の相手側コネクタ上のねじ溝に噛合する。
【0083】
接続がねじ込み式接続方法に限られないことは言うまでもなく、他の接続手段がコネクタもしくは容器の関連した部品上に設けられていてもよい。
【0084】
例えば、異なる実施例では、相補型の相手側コネクタ上の対応する凹部と係合するラッチ手段が、容器の一部に配置されてもよい。
【0085】
さらなる部分が、容器16の第1の部分30に接続している。そこにおいて、それに挿入される第2コネクタ14および記憶素子が配置される。この第2の部分32は、第1の部分30のすぐあとに続いて、それに強固に接続することができる。第2の部分32は、このようにケース16のコア部分に対応して、記憶装置の部品が収納される実質的な収容部を形成する。
【0086】
最後に、第2の部分32の後に第3の部分34が続いてもよい。それは一端で容器16を密閉する。第3の部分34は、このように、容器16を閉鎖するために第2の部分32に着脱可能に設けられたカバーに対応する。
【0087】
組み立てた状態で、3つの部分30、32、34は、第1コネクタおよび第2コネクタが完全に囲まれ、連結要素20の領域のみに開口部36を有する閉じた容器を形成する。その結果、第1コネクタ12は、相手側コネクタと係合できる。
【0088】
第1コネクタ12の連結要素20は、開口部36を経て、対応する相補型の相手側コネクタに接続されることができる。接続は、容器16が完全に閉じて密閉された形態で構成される。その結果、塵も、水も容器16の内部に入りこむことができない。
【0089】
このように、容器16は組み立てられた際に、少なくともIP67に準拠する。
【0090】
第3の部分34は、第2の部分32に対して着脱可能である。その結果、レセプタクル26上の記憶素子に物理的アクセスができるように、容器16は、好ましくは開口部36と反対の側に開口することができる。
【0091】
特に、第3の部分34は、第2の部分32にねじで止めされるカバーであっても良い。そこを通して、レセプタクル26に装着された記憶素子にアクセスできて、記憶素子を容器16から取り出すこともできる。
【0092】
カバーはこのように、記憶素子を交換するときに容器16を開くために用いることができる。その一方で、第1コネクタ12はまだ接続されている。
【0093】
図1に示すように、容器16を密閉するために、シールが、カバー状の部分34に結合されていてもよく、それに挿入されてもよい。シールは、オーリング38であってもよい。オーリング38は、特に、単純であると同時に信頼性の高い、塵および水に対する、容器16のシールを提供する。
【0094】
記憶装置が第1コネクタ12および第2コネクタ14を接続するためのプリント回路基板(PCB)28を備えている場合、プリント回路基板(PCB)ホルダ40を設けることもできる。
【0095】
PCB28はPCBホルダ40に接続され、その結果、それは容器16内を移動できる。この可動式マウントのために、PCBホルダ40は、1つまたはそれ以上の位置で容器16の内径に対応する直径を有する1つまたはそれ以上の保持環(retaining ring)42を備えていることができる。
【0096】
PCBホルダ40は、保持環42を介して容器16内で保持される。その結果、それはそれ自身の縦軸のまわりを回転できる。
【0097】
しかしながら、保持環の代わりに、PCBホルダ40は、挿入のための容器16に適合した部材を備えていることもできる。
【0098】
図2は、密封容器16を含む、
図1の記憶装置の組み立て状態を示す。
【0099】
組み立てられた状態において、容器16は、特に第1コネクタ12が相手側コネクタに接続されているときに、IP67に適合するように、第1コネクタ12および第2コネクタ14を完全に収容する。
【0100】
個々に
図1に示される容器16の部分30、32、34は、このように各々直接結合され、閉じた容器を形成する。
【0101】
第1コネクタ12と相補型の相手側コネクタとの間で接続がなされるときに、容器は第1コネクタによってなされる接続の一部分となる。あるいは少なくともその接続をサポートする。
【0102】
特に、ねじ溝44は第1の部分30の外部表面に設けられる。それによって、容器16を対応するねじ溝に装着し固定できる。
【0103】
シリンダ状の容器16は回転方向Dに回され得る。ねじ溝44は容器とともに回り、連結要素20はSの方向に相補型の相手側コネクタへ挿入される。容器16は、回転可能にはめこまれた第1コネクタ12および第2コネクタ14と関連して、このように回転される。
【0104】
組み立てを容易にするために、容器16は4番目の部分46によって支持されることができる。4番目の部分46は、好ましくは直接第1の部分30に隣接して、六角形の横断面を有する。対応するレンチを用いてそれに装着されることができる。
【0105】
【0106】
ここに示すように、容器16は、個々の収容部品から組み立てられることが可能である。特に容器は、第1部品48および第2部品50から組み立てられることが可能である。
【0107】
第1部品48は、筒状であり、前述のとおりに容器16の第1の部分30、第2の部分32および第4の部分46を形成するために形づくられることが可能である。
【0108】
第2部品50は、カバーのような第3の部分34を形成して、組み立てられた容器16を一方から閉鎖する。
【0109】
管状の第1部品48は、このように連結要素20により一方から塞がれ、第1部品48のカバーとして装着されるかまたはねじられる第2部品50により他方から塞がれる。
【0110】
第2部品50は、第1部品48から着脱可能で、内部の第2コネクタ14にアクセスするために取り外されることができる。
【0111】
都合のよいことに、第2コネクタ14は、記憶素子(例えばメモリカード)がプラグイン方向Sとは反対方向にレセプタクル26から取り外されることができるように、第2部品50の裏で容器16に結合される。
【0112】
第1コネクタ12および第2コネクタ14からなるユニットは、このように、好ましくはプラグイン方向Sに沿って延びている。その結果、容器16の横断面積をできるだけ小さく保つことができる。
【0113】
好ましい実施例において、直径は、21.5mmまたはそれ以下であり、M12規格のねじに接続するケーブルコネクタより大きくない。
【0114】
図4および
図5は、記憶装置の好適な実施例を示す側断面図および側面図である。
図1~
図3と同一の参照符号は、同一の部材を示す。
【0115】
この実施形態の容器16も、第1部品48および第2部品50から組み立てられる。
【0116】
第1部品48は筒状で、両端で雄ねじ溝44と雄ねじ溝52とを有する。第1のねじ溝44は容器16を、前述の方法で相補型の相手側コネクタに固定するために用いられる。カバー状の第2部品50は第2のねじ溝52にねじで止められる。ねじ溝52は対応する雌ねじ溝54を有する。オーリング38は第2部品50が第1部品48にねじで止められるときに、容器16の内部を封止する。
【0117】
第2部品50の外部表面上のローレット(knurl)56は容器16の開閉を容易にする。そして第1部品48の外部表面上の他のローレットは、記憶装置を技術的な設備に接続するときに、操作を容易にする。
【0118】
第1コネクタ12および第2コネクタ14は、容器16の中に配置されている。第1コネクタ12および第2コネクタ14は、プリント回路基板(PCB)28を介して、ここで連結される。PCB28は、接続方向Sと平行して延びる1つまたはそれ以上の平面(層)を有する商業的な標準のPCBであり得る。
【0119】
この実施の形態において、第1コネクタ12および第2コネクタ14は、平坦なモジュールを形成し、第1コネクタ12はワイヤ接続部品で、スルーホール・マウントによって、プリント回路基板28に搭載される。そして、第2コネクタ14は半田付け可能な接続面を用いた表面実装によって、プリント回路基板28に直接半田付けされる。
【0120】
両方の組立て技術の組合せは、より高い機械的安定度が得られるという効果がある。
【0121】
回路基板28上のレセプタクル(図示せず)は、メモリカード58が挿入されることができるメモリカード・リーダである。
【0122】
メモリカード58は、産業用に適している市販のマイクロSDカードであり得る。特にメモリカードは、「高速SDモード」で動作することができるSDカードであってもよい。5本またはそれ以上のピンが丸いプラグコネクタを介してカードを接続するために提供され、追加データ線を用いることも可能である。マイクロSDカードはM12の丸いコネクタと比べてそれほど横幅が広くないので特に適している。よって、メモリ素子を特に細長くできる。
【0123】
PCB28はPCBホルダ40上に配置されることもできる。PCBホルダ40は、それは第1部品48に完全な適合状態で挿入されることができる。PCBホルダ40は第1部品48に回転可能に装着される。その結果、第1部品48は固定PCBホルダ40の周りに回転できる。
【0124】
あるいは、PCBホルダ40は第1部品48および第2部品50の内表面と少なくとも部分的に同一平面上にある。その結果、PCBホルダ40は回転できるが、容器16内において移動することはない。
【0125】
図6は、本発明による記憶装置が適用される技術的な設備の一例を示す。
【0126】
技術的な設備は、ここでは周辺装置60である。周辺装置60は技術な複数のシステムおよびそれらに付随する各センサおよび各アクチュエータを制御システムに接続するために用いられる。
【0127】
周辺装置60は、例えば、通信媒体への接続のための通信インタフェース62を備えていて、技術システムのセンサおよびアクチュエータと結合するためのの入出力64を有する。プロセス・データは、例えば、フィールドバス接続または他のネットワーク手段を含む通信インタフェース62を介して交換される。あるいは、周辺装置は、制御装置に直結されていてもよい。
【0128】
前記入力は、プロセス・データを受信することができ、プロセス・データを取扱いすることができ、および/または、技術システムからプロセス・データを送り出すことができる。アクチュエータは、出力64を介して、プロセス・データに基づいて制御されることができる。
【0129】
表示手段66は、各入力および各出力64の現在の状態を示すことができる。
【0130】
このタイプの周辺装置は、技術システムの設備費および維持費を減らして、制御キャビネットのスペースを作るために、野外(field)で分散した状態で使用されるように設計されている。
【0131】
したがって、周辺装置は、野外の厳しい環境条件に耐えるために、通常、強固で、ほこりおよび水に対する耐性(IP67)を持つ容器に収納されていなければならない。
【0132】
入力および出力のみならず、インタフェースのための接続も、厳しい環境条件に適していなければならない。
【0133】
通信インタフェース62、入力および出力64のそれぞれ異なる機能にもかかわらず、同一の接続型が、周辺装置60の設計の複雑性をできるだけ少なく保つために、通常使われる。
【0134】
回すことのできる(screwable)丸いプラグコネクタは、オートメーション技術の分野で、単純化が可能で、エラーが少なく、なによりもツールの必要がないアセンブリを保証し、同時に、高度な保護(IP67または以上)を保証する。
【0135】
この種の周辺装置60の構成は、経費を節約するために、着脱可能な記憶領域の概念に基づくことができる。すなわち、周辺装置は、周辺装置を構成するために用いられる構成データを記憶した着脱可能な記憶素子を扱うことができる端子を通常備えていることを意味する。
【0136】
着脱可能な記憶領域の概念のおかげで、周辺装置を容易に構成することができる。加えて、着脱可能な記憶素子だけを再装着すればよく、装置をいかなる課題なしで交換することができる。
【0137】
この着脱可能な記憶領域の概念は、本発明の記憶装置によってさらに単純化することができる。
【0138】
特に、メモリカード・リーダを統合する必要性がない。その理由は、本発明による記憶装置が対応するコネクタを必要とするだけであるからである。この種のコネクタは、コネクタ68によって、周辺装置60に組み込むことができる。コネクタ68は、同様に通信インタフェース62のための、あるいは入力および出力64のためのコネクタとして設計される。よって、通信インタフェースまたは入力および出力のために用いられる着脱可能な記憶装置のために、産業的に実証されている接続技術と同じ技術を用いることが可能である。しかし同時に、この種の接続技術のために本来設計されない記憶素子を用いることが可能である。
【0139】
さらにまた、周辺装置60の構成を、その分野(field)でメモリカードを交換(change)する必要なく、メモリカードを単に挿入するかまたは入れ替える(replace)ことによって、設定することができる。
【0140】
このように新規な記憶装置によって、取扱いおよび保守が単純化される。
【0141】
本発明の保護の範囲は、以下の請求項によって決定される。保護の範囲は、明細書において説明され、または図に示された各特徴によって制限されるものではない。