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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-07
(45)【発行日】2024-08-16
(54)【発明の名称】荷役車両
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/48 20060101AFI20240808BHJP
【FI】
B60P1/48 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020062606
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021160462
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】加藤 祐太
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊博
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-050825(JP,A)
【文献】実開昭53-029305(JP,U)
【文献】特開2016-215915(JP,A)
【文献】特開2006-056414(JP,A)
【文献】特開2000-326780(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102005001444(DE,A1)
【文献】特開2002-309619(JP,A)
【文献】特開平1-106745(JP,A)
【文献】特開2010-121498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/48, 1/20, 1/00
F16C 17/00-17/26
F16C 33/00-33/28
F16C 35/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車台に備えられたメイン部材と、該メイン部材に前後方向に起伏回動可能に連結されるサブアームとを備えた荷役車両であって、
前記サブアームは、車両幅方向に沿った回動中心軸で連結されて、前記サブアームが前記メイン部材に対して前後方向に起伏回動可能となっており、
該回動中心軸は、前記メイン部材の側面部に向かい合う取付面部を備えて前記メイン部材に取付けられる取付部材を介して支持され、
前記取付面部は、前記前後方向の長さが該前後方向および前記車両幅方向に交差する上下方向の長さよりも長い板状に構成されており、他の部位よりも前記メイン部材の側面部の方へ突出された突出部を備え、該突出部の先端面が前記側面部に当接した状態で、前記前後方向の両端部が前記側面部に取り付けられていることを特徴とする荷役車両。
【請求項2】
車台に備えられたメイン部材と、該メイン部材に前後方向に起伏回動可能に連結されるサブアームとを備えた荷役車両であって、
前記サブアームは、車両幅方向に沿った回動中心軸で連結されて、前記サブアームが前記メイン部材に対して前後方向に起伏回動可能となっており、
該回動中心軸は、前記メイン部材の側面部に向かい合う取付面部を備えて前記メイン部材に取付けられる取付部材を介して支持され、
前記取付面部は、他の部位よりも前記メイン部材の側面部の方へ突出された突出部を備え、該突出部の先端面が、前記側面部に当接するよう構成され、
前記取付面部は、前記車両幅方向および前記前後方向に交差する上下方向における上方部位が前記前後方向に短く、下方部位が前記前後方向に長く形成され、
前記突出部は、上方側に形成される上周囲部と、該上周囲部よりも下方側に形成される下周囲部とを備え、
前記下周囲部の前記前後方向の長さは、前記上周囲部の前記前後方向の長さよりも長い荷役車両。
【請求項3】
前記取付部材は、前記取付面部の前記他の部位から前記メイン部材の方へ突出されるボス部を備え、
前記突出部は、前記ボス部に対し該ボス部の径方向に離間して、前記メイン部材に前記取付部材を取付けるためのボルト穴が形成されたボルト穴部を備え、
該ボルト穴部と前記ボス部とが、リブによって連結された請求項1または請求項2に記載の荷役車両。
【請求項4】
車台に備えられたメイン部材と、該メイン部材に前後方向に起伏回動可能に連結されるサブアームとを備えた荷役車両であって、
前記サブアームは、車両幅方向に沿った回動中心軸で連結されて、前記サブアームが前記メイン部材に対して前後方向に起伏回動可能となっており、
該回動中心軸は、前記メイン部材の側面部に向かい合う取付面部を備えて前記メイン部材に取付けられる取付部材を介して支持され、
前記取付面部は、他の部位よりも前記メイン部材の側面部の方へ突出された突出部を備え、該突出部の先端面が、前記側面部に当接するよう構成され、
前記取付面部は、前記他の部位から突出されるボス部と、前記突出部と前記ボス部との間に亘るように前記他の部位から突出されるリブと、を備える荷役車両。
【請求項5】
前記突出部は、前記ボス部に対し該ボス部の径方向に離間して、前記メイン部材に前記取付部材を取付けるためのボルト穴が形成されたボルト穴部を備え、
該ボルト穴部と前記ボス部とが、前記リブによって連結された請求項に記載の荷役車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、コンテナを車台と地上との間で積み込み、また、積み下ろしができる荷役車両に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に、従来の荷役車両が記載されている。この荷役車両では、サブアームであるリフトアーム用の回動中心軸と、リフトアームを、メイン部材であるダンプアームに対して回動可能とするよう位置調節部材とを備えている。位置調節部材の側面部は、平面状であり、ダンプアームの側面と向かい合うように接触している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-215915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記荷役車両では、位置調節部材の側面部は平面状であり、ダンプアームと向かい合うように接触しているが、位置調節部材の側面部とダンプアームの側面との接触する面が平滑でない場合では、位置調節部材がダンプアームに対して傾いてしまう結果、前記回動中心軸が斜めにずれてしまう。
【0005】
そのため、位置調節部材の側面部とダンプアームの側面とが接触する面を平滑面とする必要があるが、これを平滑面にするには多くの手間が掛かる。仮に、前記平滑面とするために、位置調節部材の側面部を平滑面とするには側面部を、全体的にかつ均一に加工しなければならず、この場合であっても多くの手間が掛かる。
【0006】
そこで本発明は、メイン部材に回動中心軸を、手間をかけずに確実に取付けることのできる荷役車両の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の荷役車両は、車台に備えられたメイン部材と、該メイン部材に前後方向に起伏回動可能に連結されるサブアームとを備えた荷役車両であって、前記サブアームは、車両幅方向に沿った回動中心軸で連結されて、前記サブアームが前記メイン部材に対して前後方向に起伏回動可能となっており、該回動中心軸は、前記メイン部材の側面部に向かい合う取付面部を備えて前記メイン部材に取付けられる取付部材を介して支持され、前記取付面部は、他の部位よりも前記メイン部材の側面部の方へ突出された突出部を備え、該突出部の先端面が、前記側面部に当接するよう構成されたことを特徴とする。
【0008】
上記構成の荷役車両では、取付部材の取付面部が他の部位より突出した突出部を備えているため、平滑面に加工した突出部の先端面を、メイン部材の側面部に当接することで、手間をかけずに調整することができ、また、メイン部材に対して取付部材を正しい向きで確実に取付けることができるから、回動中心軸をメイン部材に手間をかけずに確実に取付けることができる。
【0009】
本発明の荷役車両では、前記突出部は、前記回動中心軸の周囲であって、該回動中心軸の径方向の一方側および他方側の何れにも少なくとも一箇所配置された構成を採用できる。
【0010】
上記構成の荷役車両では、突出部は、回動中心軸の周囲であって、回動中心軸の径方向の一方側および他方側の何れにも少なくとも一箇所配置されているので、回動中心軸の径方向の一方側と他方側とで、突出部の先端面をメイン部材の側面部に当接させて、突出部が回動中心軸を跨ぐように配置されるため、メイン部材の側面部に対して取付部材を安定させて設置できる。
【0011】
本発明の荷役車両では、前記突出部は、前記取付面部の周囲の全周に亘って連続して形成された構成を採用できる。
【0012】
上記構成の荷役車両では、突出部が取付面部の周囲の全周に亘って連続して形成されているから、このような突出部はメイン部材の側面部に容易に取付け易く、また、突出部が取付面部の周囲の全周に亘って連続して形成されることで、メイン部材の側面部に対する取付け状態において、メイン部材側から外力が働いても、突出部の一部に応力集中することが抑制できる。
【0013】
本発明の荷役車両では、前記取付部材は、前記取付面部の前記他の部位から前記メイン部材の方へ突出されるボス部を備え、前記他の部位と前記ボス部とは、前記他の部位と前記ボス部との境界部分において該ボス部の外周面に沿って形成される肉厚傾斜部を介して連続され、前記突出部は、前記肉厚傾斜部よりも前記メイン部材側に突設された構成を採用できる。
【0014】
上記構成の荷役車両では、取付面部における突出部以外の他の部位とボス部とが、肉厚傾斜部を介して連続形成されているため、該連続部分(境界部分)への応力集中を抑制することができる。また、突出部が肉厚傾斜部よりも突出しているので、取付部材をメイン部材に取付ける際に、肉厚傾斜部がメイン部材に干渉することを防止できる。
【0015】
本発明の荷役車両では、前記突出部は、前記ボス部に対し該ボス部の径方向に離間して、前記メイン部材に前記取付部材を取付けるためのボルト穴が形成されたボルト穴部を備え、該ボルト穴部と前記ボス部とが、リブによって連結された構成を採用できる。
【0016】
上記構成の荷役車両では、取付部材をメイン部材に取付けるためのボルト穴部とボス部とがリブで連結されているため、メイン部材に取付部材が確実に取付けられたうえで、ボルト穴部とボス部との間を補強することができ、取付部材が壊れにくい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の荷役車両によれば、取付部材の取付面部が他の部位より突出した突出部を備えているため、メイン部材に回動中心軸を、手間をかけずに確実に取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態において、コンテナを搭載した荷役車両の全体側面図である。
図2】同リフトアームとダンプアームとを上から見た平面図である。
図3】同リフトアームを回動してコンテナを地上に降ろす直前の状態を示す荷役車両の全体側面図である。
図4】同リフトアームを回動してコンテナを地上に降ろした状態を示す荷役車両の全体側面図である。
図5】同コンテナをダンプした状態を示す荷役車両の全体側面図である。
図6】同ダンプアームと回動中心軸との取付け構造を示す平面図である。
図7】同取付部材の正面図である。
図8】同取付部材の側面図である。
図9】同取付部材の断面図である。
図10】同取付部材における背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態に係る荷役車両について説明する。本実施形態は、コンテナを車台と地上との間で積み込み、また、積み下ろしができる荷役車両に関する。
【0020】
図1に示すように、荷役車両Vは、前方に運転室Caを搭載し、運転室Caの後方に配置した車台F上に、荷役フレーム1を搭載している。荷役フレーム1は、図2に示すように、前後方向に長い左右一対の縦フレーム1A,1Aと、これら縦フレーム1A,1Aの中間部どうしを左右方向(車幅方向)で連結する横フレーム1Bとを備えている。この荷役フレーム1上に、図1で示すコンテナCtが昇降可能に搭載される。車台Fの後部には、アウトリガーDが設けられている。このアウトリガーDは、コンテナCtを積み下ろす時や積み込む際に、展開させて地上GRに荷役車両Vを安定させるためのものである。
【0021】
荷役フレーム1の後端部には、左右方向外側に突設される左右一対の案内ローラ2,2が回転自在に取付けられている。これら案内ローラ2,2は、荷役フレーム1上のコンテナCtを地上に降ろす際や、コンテナCtを地上から荷役フレーム1上に搭載する際に、回転しながらコンテナCtを移動案内する。
【0022】
また、図2に示すように、荷役フレーム1の後端部に、メイン部材であるダンプアーム3,3の後端部が回動自在に軸支されており、横軸3T回りでダンプアーム3,3が前後方向で回動可能に構成されている。ダンプアーム3,3は、横軸3T回りに、かつ車両幅方向の端部に対向するように配置されている。各ダンプアーム3,3は、断面を矩形に形成され、したがって、車両幅方向に一方の側面部(外側面部)3a、他方の側面部(内側面部)3bを備える。
【0023】
また、各ダンプアーム3,3は、前後方向に長い左右一対の縦フレーム3A,3Aを備え、縦フレーム3A,3Aどうしは、中間部どうしが左右方向に延びている中間部横フレーム3Bで連結され、前端部どうしが左右方向に延びる前端部横フレーム3Cで連結されている。
【0024】
縦フレーム3A,3Aの中間部の前側寄りに回動中心軸3Dが貫通されており、この回動中心軸3Dに、サブアームであるリフトアーム4の後端部が、軸受け4Aを介して一体回転自在に取付けられている。回動中心軸3Dは、車両幅方向に延長されている。
【0025】
本実施形態では、ダンプアーム3,3は、車両幅方向に離間して一対設けられ、リフトアーム4は、両ダンプアーム3,3の間に配置され、回動中心軸3Dを介して、リフトアーム4がダンプアーム3,3に対して起伏回動可能に連結されている。
【0026】
具体的には、リフトアーム4は、ダンプアーム3,3の縦フレーム3A,3A間に位置し、後端部がダンプアーム3,3の縦フレーム3A,3Aの前端部に前後方向で重なり合っている。また、リフトアーム4の中間部と荷役フレーム1の前端部とが一対の油圧式のリフトシリンダ5,5により連結されている。これらリフトシリンダ5,5を伸縮作動させることによって、回動中心軸3D回りにリフトアーム4を回動させることができる。
【0027】
図1に戻って、リフトアーム4の前端部に、略L字状のフックアーム6の基端部が左右方向の横軸7回りに回動自在に取付けられており、フックアーム6を、後述するフック8が、リフトアーム4の回動中心となる回動中心軸3Dに接近する方向(後側)へ傾動可能に構成している。
【0028】
フックアーム6の上端に、コンテナCtの係合部12に係合する略C字状のフック8を備えている。フックアーム6の中間部とリフトアーム4の前端部との間に油圧式のフックシリンダ9が連結されており、このフックシリンダ9の伸縮作動によって、フックアーム6を、図1に示す走行姿勢(直立姿勢)から図3図4に示す後側、すなわちフック8がリフトアーム4の回動中心軸3Dに接近する方向に所定角度傾動した傾動姿勢へ姿勢変更できるようになっている。
【0029】
コンテナCtは、下面に複数個の走行車輪11を備えた箱型に構成され、コンテナCtの前側には、フックアーム6のフック8と係合可能な係合部12を備え、コンテナCtの後側には、開放自在なリヤゲート13を備えている。
【0030】
図3に示すように、リフトアーム4の下面には、ロック装置18を備えている。ロック装置18は、ダンプアーム3,3とリフトアーム4とでコンテナCtをダンプさせるべくダンプアーム3,3に対するリフトアーム4の起伏回動をロックするロック状態と、フックアーム6とリフトアーム4とでコンテナCtを積み下ろす、またはコンテナCtを積み込むべくダンプアーム3,3に対するリフトアーム4の起伏回動のロックを解除するロック解除状態とに切替え可能な構成とされる。
【0031】
フックアーム6とロック装置18とは連動し、フックアーム6が走行姿勢となっている状態では、ロック装置18はロック状態であり、フックアーム6の後側への傾動(走行姿勢から傾動姿勢への姿勢変更)によりロック装置18がロック状態からロック解除状態へ切替えられるように構成されている。
【0032】
図3図4では、ロック装置18をロック解除してリフトアーム4を回動させてコンテナCtを地上GRに降ろす、または地上GRのコンテナCtを車台Fへ積み込む場合について説明したが、図5に示すように、ロック装置18のロック部15を被ロック部14(図2参照)にロックした状態でリフトシリンダ5を伸長作動させてダンプアーム3,3とリフトアーム4とを一緒に回動させることで、コンテナCtをダンプさせた状態にすることもできる。リヤゲート13を開放させてからコンテナCtをダンプさせることによって、コンテナCt内の収容物を下方へ落下排出することができる。なお、図5においては、コンテナCtのリヤゲート13を開放させた状態を、仮想線で示している。
【0033】
次に、ダンプアーム3,3と回動中心軸3Dとの取付け構造について説明する。取付け構造は、軸支持用ブラケット3Eと取付部材20とを備える。
【0034】
軸支持用ブラケット3Eは板状部材であり、ダンプアーム3の一方の側面部3aに配置されている。軸支持用ブラケット3Eは、後述する取付部材20と略同等の高さに形成されており、回動中心軸3Dに対して前後方向に延長されている。
【0035】
図2図6に示すように、リフトアーム4は、前記軸受け4Aを介して回動中心軸3Dに取付けられており、回動中心軸3Dは、縦フレーム3A,3Aを車両幅方向で貫通するように延長されて、その延長部分には、車両幅方向で一対とする前記取付部材(ブラケット)20,20が、回動中心軸3Dに回動自在に外嵌されている。
【0036】
各ダンプアーム3,3は、車両幅方向で対称形状である。したがって、各取付部材20,20もまた、車両幅方向で対称形状となる。このため、一方の取付部材20を説明して他方の取付部材20の説明に代える。
【0037】
図6ないし図10に、取付部材20の構成を示す。取付部材20は、取付面部(フランジ部)23と、ボス部21とを備える。取付面部23とボス部21とは、例えば鋳物により一体的に構成される。
【0038】
図6に示すように、取付面部23は、ダンプアーム3の他方の側面部3bに対向する部材である。ボス部21は、ダンプアーム3および軸支持用ブラケット3Eを内方から貫通するよう構成されている。本実施形態では、取付部材20は、ボス部21はダンプアーム3を内方から貫通し、取付面部23がダンプアーム3の他方の側面部3bに当接させてダンプアーム3に取付けられ、ボス部21の内部を回動中心軸3Dが挿通する。
【0039】
図7に示すように、取付面部23は、上方が前後方向に短く形成され、下方が上方に比べて長く形成された板状に形成されている。あるいは、取付面部23は、略扇型環(略環状扇)に形成されている。ボス部21は、取付面部23の中心を、車両幅方向に貫通している。
【0040】
ここで、取付面部23の詳細な構成を示す。取付面部23は、板状に形成されているため、図6図7図10に示すように、ダンプアーム3の他方の側面部3bに対向する外側面23Aと、外側面とは反対側に配置される内側面23Bとを備える。
【0041】
取付面部23は、ダンプアーム3に取付部材20を取付けるための複数のボルト穴(穿設穴であって、前後方向に沿った長穴)32が形成されている。図7図10に示すように、ボルト穴32は、取付面部23の隅部四箇所に設けられ、外側面23Aではボルト穴部27a,28aに形成され、内側面23Bでは延長部27b,28bに貫通して形成されている。
【0042】
図7図8に示すように、外側面23Aは、他の部位35よりもダンプアーム3の他方の側面部3bの方へ突出された突出部(凸面部)26を備えて、突出部26の先端面26aが、他方の側面部3bに当接する。この突出部26は、取付面部23の周囲領域に形成されている。突出部26は、ボス部21に対して径方向に離間するよう配置されている。
【0043】
突出部26は、上側の両ボルト穴部27a、下側の両ボルト穴部28aを含む。また、突出部26は、上側の両ボルト穴部27aの間に形成される上周囲部29と、下側の両ボルト穴部28aの間に形成される下周囲部30と、上側のボルト穴部27aと下側のボルト穴部28aとの間に、それぞれ形成されるサイド周囲部31とを含む。また、上周囲部29の前後方向中心は、下方向に向かって湾曲し、下周囲部30の前後方向中心は、下方向に向かって湾曲している。
【0044】
よって、突出部26は、取付面部23の周囲に、全周に亘って連続して形成されている。そして、これら突出部26の先端面26aは、面一とした構成である。つまり、上側の両ボルト穴部27a,27a、下側の両ボルト穴部28a,28a、上周囲部29、下周囲部30、およびサイド周囲部31は一体的に形成され、各先端面26aが面一となっている。突出部26の先端面26aは平面状である。
【0045】
本実施形態形態では、取付面部23は、上下の長さよりも前後の長さが長い板状であり、突出部26は取付面部23の外周全周に亘って形成され、ボルト穴部27a,28aは取付面部23における前後方向の両端部にそれぞれ設けられている。これにより、ボス部21をずれなく配置して、強固に固定することができる。
【0046】
他の部位35は、突出部26の内側と、ボス部21との間にあって、突出部26よりも窪んだ領域である。すなわち、他の部位35は取付面部23における内周部であり、突出部26は、取付面部23における外周部となっている。そして、図8に示すように、他の部位35の先端面35aは、面一とされている。
【0047】
ボス部21は、ダンプアーム3に車両幅方向で貫通して、内部に回動中心軸3Dが挿入される筒状の部材である。取付面部23の他の部位35からダンプアーム3の方へ突出されて形成されている。ボス部21では、取付面部23の外側面23Aにおいて車両幅方向に長い方が外ボス部36とされ、取付面部23に対向する裏面である内側面23Bにおいて、外ボス部36よりも短い内ボス部37とされる。
【0048】
ボス部21は円筒状であり、内部に回動中心軸3Dの車両幅方向端部を挿通するよう穴部24が、車両幅方向に沿って形成されている。また、穴部24の内周面途中には、回動中心軸3Dの軸受部25が形成されている。なお、ボス部21の中心軸線に対して、上側の両ボルト穴部27a,27a、および下側の両ボルト穴部28a,28aは、上方に配置されている。
【0049】
図9に示すように、他の部位35と外ボス部36とは、外ボス部36の外周面に沿って形成される肉厚傾斜部38を介して連続されている。肉厚傾斜部38は、ボス部21(外ボス部36)の外周面と、他の部位35の表面(外面)とに亘るように形成された肉盛部分であり、他の部位35とボス部21との境界部分を跨ぐように形成されている。突出部26の先端面26aは、肉厚傾斜部38よりもダンプアーム3側に突設されている。
【0050】
肉厚傾斜部38の先端面38aは円弧状である。肉厚傾斜部38は、外ボス部36より径方向外方に向けて肉厚な領域であり、肉厚傾斜部38の先端面38aと他の部位35とで、回動中心軸3Dの軸心に沿って凹(R形状)となる窪み部が形成されている。
【0051】
図8ないし図10に基づいて、取付面部23の内側面23Bの構成について説明する。内側面23Bは、ボルト穴部27a,28aを、回動中心軸3Dの軸心方向内側に延長された前記延長部27b,28b、他の部位35から回動中心軸3Dの軸心方向に延長されたリブ33、および内側底面40を備えている。
【0052】
延長部27b,28bにおいて、その内側である内側端面41は、それぞれ面一に形成されている。また、リブ33は、延長部27b,28bから内ボス部37まで延長されている。このように、リブ33は内ボス部37から放射状に延長部27b,28bに亘すように四本形成されている。各リブ33において、その内側である内側端面42は、延長部27b,28bの内側端面41と面一に形成されている。各リブ33は、外側面23Aにおける他の部位35に対して反対側に配置されている。また、内側面23Bとリブ33との間は、円弧面(R形状)によって連続している。
【0053】
内側底面40は、延長部27b,28bおよびリブ33以外の領域であり、延長部27b,28bおよびリブ33よりも、回動中心軸3Dの軸心に沿う方向において低い領域である。つまり、内側面23Bにおいては、延長部27b,28bおよびリブ33が、内側底面40から内方(ダンプアーム3から離れる方向)に突出している。以上、一方の取付部材20の構成を説明したが、他方の取付部材20は、一方の取付部材20と同様の構成であるので、その説明を省略する。
【0054】
上記構成の荷役車両Vにおいて、図1に示す初期状態から、コンテナCtを下すためには、フックアーム6を後退させる(フックアーム6を直立姿勢から傾動姿勢とする)とロック装置18がロック解除状態となり、図3図4で示すように、回動中心軸3D回りにリフトアーム4を回動させ、案内ローラ2,2によって、コンテナCtを荷役フレーム1から下すことができる。
【0055】
これとは反対に、荷役フレーム1にコンテナCtを搭載させるためには、図4の状態(コンテナCtの係合部12にフック8を係合した状態)から、図3で示すように、回動中心軸3D回りにリフトアーム4を回動させ、案内ローラ2,2によってコンテナCtを案内し、図1に示すように、フックアーム6を傾動姿勢から直立姿勢として、コンテナCtを前進させて、これによってロック装置18がロック状態となって搭載される。そして、図5に示すロック状態でリフトアーム4とダンプアーム3,3を横軸3T周りで回動させることで、コンテナCtをダンプさせることができる。
【0056】
ところで、リフトアーム4を、ダンプアーム3,3に対して回動可能とする回動中心軸3Dは、車両幅方向に延長された軸である。このため、回動中心軸3Dの組付けが正確でないと、ダンプアーム3,3に対してリフトアーム4が傾いてしまう。そこで、本実施形態では、ダンプアーム3,3と回動中心軸3Dとの取付け構造について、リフトアーム4は回動中心軸3Dに取付けられており、車両幅方向で一対とする取付部材20,20が、回動中心軸3Dに回動自在に外嵌された構成となっている。
【0057】
取付部材20は、ボルト穴31を用いて位置調整して、ダンプアーム3にボルト止めして取付けられる。このとき、ボルト穴32は、取付面部23の隅部四箇所に設けられているため、ダンプアーム3への取付けが容易である。また、上周囲部29の前後方向中心は、下方向に向かって湾曲し、下周囲部30の前後方向中心は、下方向に向かって湾曲しているため、ボス部21の中心軸線に対して、上側の両ボルト穴部27a,27a、および下側の両ボルト穴部28a,28aは、上方に配置されていて、ボス部21の周囲に他の部位35が配置されていても、取付部材20,20の強度を確保できる。
【0058】
取付面部23の外側面23Aは、ダンプアーム3,3の他方の側面部3bに対向する面であり、外側面23Aには、他の部位35より突出した突出部26を備えている。具体的には、突出部26は、上側の両ボルト穴部27a、下側の両ボルト穴部28a、上周囲部29、下周囲部30、および両サイド周囲部31を含み、外側面23Aの周囲に形成されることで、ボス部21における外ボス部36の周囲に配置されている。すなわち、突出部26は、外ボス部36(回動中心軸3D)の径方向において、回動中心軸3Dが介在されるように配置されている。
【0059】
具体的には、例えば下側のボルト穴部28aの間にボス部21が位置している。換言すると、ボス部21の前後に上側の両ボルト穴部27a,27aが位置している。また、上周囲部29と下周囲部30の間にボス部21が位置している。すなわち、ボス部21の上下に、上周囲部29と下周囲部30が位置している。このように突出部26は、ボス部21の径方向に離間して配置されている。また、突出部26の先端面26aは平面状である。つまり、外側面23Aは、ダンプアーム3,3の他方の側面部3bに対して、据え付けが良好である。
【0060】
このため、突出部26の先端面26aをダンプアーム3,3の他方の側面部3bに当接するようにして、取付部材20,20を、手間をかけずに調整することができる。また、ダンプアーム3,3に対して取付部材20,20を正しい向きで確実に取付けることができるから、回動中心軸3Dをダンプアーム3,3に手間をかけずに確実に取付けることができる。
【0061】
突出部26は取付面部23の外周全周に亘って形成されている。このように、突出部26が取付面部23の周囲の全周に亘って連続して形成されているから、突出部26はダンプアーム3,3の側面部3bに容易に取付け易い。また、突出部26が取付面部23の周囲の全周に亘って連続して形成されることで、ダンプアーム3,3の側面部3bに対する取付け状態において、ダンプアーム3,3側から外力が働いても、突出部26の一部に応力集中することが抑制できる。
【0062】
取付面部23における突出部26以外の他の部位35とボス部21(外ボス部36)とが、肉厚傾斜部38を介して連続形成されている。このため、連続部分(ボス部21と他の部位35との境界部分)への応力集中を抑制することができて、取付部材20,20が強固になる。また、突出部26が肉厚傾斜部38よりも突出しているので、取付部材20,20をダンプアーム3,3に取付ける際に、肉厚傾斜部38がダンプアーム3,3に干渉することを防止できる。
【0063】
取付部材20,20をダンプアーム3,3に取付けるためのボルト穴部27a,28a(延長部27b,28b)とボス部21(内ボス部37)とが四本のリブ33で連結され、各リブ33は、外側面23Aにおける他の部位35の反対側に配置されている。このため、ダンプアーム3,3に取付部材20,20が確実に取付けられたうえで、ボルト穴部27a,28a(延長部27b,28b)とボス部21との間を補強することができ、取付部材20,20が壊れにくい。また、取付部材20,20には、リブ33を設けてあるので、所定の強度を保ちつつ、取付部材20,20が軽量化できる。
【0064】
なお、ボス部21の中心軸線に対して、上側の両ボルト穴部27a,27a、下側の両ボルト穴部28a,28aは、上方に配置されている。このようにすれば、車両側の部材(例えば、電気的取り回し等)との干渉を防止しつつ、正確に取付けることができる。
【0065】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではない。
【0066】
例えば、上記実施形態では、突出部26として、上側の両ボルト穴部27a、下側の両ボルト穴部28a、上周囲部29、下周囲部30、およびサイド周囲部31が形成されて、回動中心軸3D(外ボス部36)に対して周囲全周を囲繞する形態で配置されていた。
【0067】
しかしながら、突出部26としては、回動中心軸3Dに対して全周を囲繞する形態である必要はなく、例えば、回動中心軸3Dを半周だけ囲む形態であってもよい。また、突出部26としては、例えば、回動中心軸3Dに対して前後に離間して複数設けることもできる。また、突出部26は、例えば回動中心軸3Dの上側(下側、前側、後側でもよい)のみに一箇所以上設けることもできる。さらに、突出部26は、回動中心軸3Dの周囲であって、回動中心軸3Dの径方向の一方側および他方側の何れにも少なくとも一箇所配置された構成とすることもできる。この場合の一方側、他方側とは、回動中心軸3Dを軸心方向から見て、その軸心方向を通る所定の直線に対し、一方の領域、他方の領域として定義される。このように突出部26を配置することにより、回動中心軸3Dを跨ぐように突出部26を配置できるので、ダンプアーム3,3の側面部3bに対して取付部材20,20を安定して設置できる。
【0068】
上記実施形態では、肉厚傾斜部38において、肉厚傾斜部38の先端面38aと他の部位35とで、回動中心軸3Dの軸心に沿ってR形状となる窪み部が形成されたが、肉厚傾斜部38の先端面38aは円弧状でなくてもよく、他の部位35の先端面35aに傾斜した面とすることもできる。
【0069】
上記実施形態では、取付部材20,20は、ボス部21と取付面部23とを備えて鋳物で構成した場合を例示したが、外ボス部36と取付面部23とを別体として、これらを溶接することもできる。この場合では、肉厚傾斜部38は、溶接ビードを利用して形成することができる。
【0070】
上記実施形態では、ボルト穴32を用いて、取付部材20がダンプアーム3,3にボルト止めして取付けられる例を例示したが、外側面23Aをダンプアーム3,3に溶接して、より強固に取付けることもできる。この場合、ボルト穴を省略してもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、ボルト穴32を用いて位置調整して、取付部材20,20がダンプアーム3にボルト止めして取付けられたが、ボルト穴32は前後方向に長く形成された長孔である必要はなく、丸孔とすることもできる。
【0072】
取付面部23は、上方が前後方向に短く形成され、下方が上方に比べて長く形成された板状に形成されていたが、取付面部23は、車両側の部材(例えば、電気的取り回し等)との干渉がなければ、上下対象な形状でもよい。
【0073】
上記実施形態では、ボス部21はダンプアーム(メイン部材)3,3に貫通した場合を挙げたが、ダンプアーム3,3の途中部分まで挿入することもできるし、ダンプアーム3,3に貫通(挿入)しなくてもよい。この場合では、回動中心軸3Dを支持する長さを確保するためには、突出部26をダンプアーム3,3の側面部3bに当接したうえで、ボス部21を車両幅方向内側に延長させることで対応できる。
【0074】
上記実施形態では、コンテナを車台と地上との間で積み込み、また、積み下ろしができる荷役車両Vに関するものであった。しかしながら、ダンプトラックに適用することもできる。この場合、サブアームが、ダンプトラックの荷箱を支持するダンプアームであり、メイン部材が車台上に固定されるサブフレームである構成である。また、サブフレームが無く、車台のフレームにダンプアームを連結したダンプトラックの場合では、車台のフレーム(車台の一部)がメイン部材となる。
【符号の説明】
【0075】
1…荷役フレーム、1B…横フレーム、3,3…ダンプアーム、3B…中間部横フレーム、3C…前端部横フレーム、3D…回動中心軸、3E…軸支持用ブラケット、3a…側面部(外側面部)、3b…側面部(内側面部)、4…リフトアーム、5,5…リフトシリンダ、6…フックアーム、8…フック、9…フックシリンダ、12…係合部、13…リヤゲート、18…ロック装置、20,20…取付部材(ブラケット)、21…ボス部、23…取付面部(フランジ部)、23A…取付部材の外側面、23B…取付部材の内側面、26…突出部(凸面部)、26a…先端面、27a,28a…ボルト穴部、27b,28b…延長部、29…上周囲部、30…下周囲部、31…サイド周囲部、32…ボルト穴、33…リブ、35…他の部位、35a…他の部位の先端面、36…外ボス部、37…内ボス部、38…肉厚傾斜部、38a…肉厚傾斜部の先端面、40…内側面の内側底面、41…延長部の内側端面、42…リブの内側端面、V…荷役車両、Ca…運転室、Ct…コンテナ、F…車台、GR…地上
図1
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図10