(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-07
(45)【発行日】2024-08-16
(54)【発明の名称】自律的に車両を制御する方法
(51)【国際特許分類】
B60W 50/04 20060101AFI20240808BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20240808BHJP
【FI】
B60W50/04
B60W60/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020114677
(22)【出願日】2020-07-02
【審査請求日】2023-05-08
(32)【優先日】2019-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508108578
【氏名又は名称】リープヘル マイニング イクイップメント ニューポート ニューズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィットフィールド ジェイムズ ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】アルティス ジェイソン
【審査官】櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-016477(JP,A)
【文献】特許第6519829(JP,B1)
【文献】国際公開第2011/055823(WO,A1)
【文献】特許第6519830(JP,B1)
【文献】特開2001-109519(JP,A)
【文献】特開2013-196051(JP,A)
【文献】特開2019-107930(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0192431(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 50/04
B60W 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転可能な車両から離れて配置された中央制御システムのミッションコントローラから受け取られるミッションに基づいて、前記車両の制御システムによって実行される、前記車両を自律的に制御する方法であって、
前記ミッションコントローラから命令群のセットを含むミッションであって、前記車両により追従される、スタート位置からエンド位置までの軌道を定義するミッションを遠隔で受け取ること、
前記ミッションが要件群の第1セットを満たすかを、前記車両の前記制御システムにより前記中央制御システムから独立してチェックすることによって、前記ミッションを検証すること、
前記スタート位置から前記エンド位置までの軌道に沿って走行するような前記車両の自律的な制御により、前記ミッションが前記要件群の第1セットを満たすときには、前記ミッションを実行すること、及び
前記ミッションが前記要件群の第1セットを満たさないときには、前記ミッションを拒否すること
を含む方法。
【請求項2】
前記ミッションコントローラから受け取られた前記ミッションを記憶すること、
前記ミッションコントローラから前記ミッションを実行するためのコマンドを受け取ること、及び前記ミッションを実行するための前記コマンドを受け取ると、前記ミッションを検証するステップを実行すること
のステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの動的変数の現在の値を求めることであって、前記動的変数は、車両パラメータ及び環境パラメータのうちの少なくとも1つを記述する、現在の値を求めること、及び
前記少なくとも1つの動的変数の前記現在の値を用いて前記ミッションを検証するステップを実行すること
のステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの動的変数は、前記車両の重量、積載条件、天候条件、及び道路条件のうちの少なくとも1つを記述する
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ミッションコントローラから受け取られたミッションを記憶すること、
前記ミッションコントローラから前記ミッションを実行するコマンドを受け取ること、及び前記ミッションを実行するコマンドを受け取ると、以下のサブステップ
少なくとも1つの動的変数の現在の値を求めることであって、前記動的変数は、車両パラメータ及び環境パラメータのうちの少なくとも1つを記述する、現在の値を求めること、及び
前記動的変数の前記現在の値を用いて前記ミッションを検証するステップを実行すること
を実行すること
のステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
自動運転可能な車両から離れて配置された中央制御システムのミッションコントローラから受け取られるミッションに基づいて、前記車両の制御システムによって実行される、前記車両を自律的に制御する方法であって、
前記ミッションコントローラから命令群のセットを含むミッションであって、前記車両により追従される、スタート位置からエンド位置までの軌道を定義するミッションを遠隔で受け取ること、
前記ミッションが要件群の第1セットを満たすかをチェックすることによって、前記ミッションを検証すること、
前記スタート位置から前記エンド位置までの軌道に沿って走行するような前記車両の自律的な制御により、前記ミッションが前記要件群の第1セットを満たすときには、前記ミッションを実行すること、及び
前記ミッションが前記要件群の第1セットを満たさないときには、前記ミッションを拒否すること
を含み、
前記ミッションを検証するステップは、
車両の重量に依存する回転半径及び車両速度を検証することによって、前記ミッションの間に横方向車両安定性を検証すること
のサブステップを含
む方法。
【請求項7】
自動運転可能な車両から離れて配置された中央制御システムのミッションコントローラから受け取られるミッションに基づいて、前記車両の制御システムによって実行される、前記車両を自律的に制御する方法であって、
前記ミッションコントローラから命令群のセットを含むミッションであって、前記車両により追従される、スタート位置からエンド位置までの軌道を定義するミッションを遠隔で受け取ること、
前記ミッションが要件群の第1セットを満たすかをチェックすることによって、前記ミッションを検証すること、
前記スタート位置から前記エンド位置までの軌道に沿って走行するような前記車両の自律的な制御により、前記ミッションが前記要件群の第1セットを満たすときには、前記ミッションを実行すること、及び
前記ミッションが前記要件群の第1セットを満たさないときには、前記ミッションを拒否すること
を含み、
前記車両は、電気リターダ及び少なくとも1つのサービスブレーキを備え、前記ミッションを検証するステップは、
前記ミッションが電気リターダだけを用いて実行され得るかを検証すること
のサブステップを含
む方法。
【請求項8】
自動運転可能な車両から離れて配置された中央制御システムのミッションコントローラから受け取られるミッションに基づいて、前記車両の制御システムによって実行される、前記車両を自律的に制御する方法であって、
前記ミッションコントローラから命令群のセットを含むミッションであって、前記車両により追従される、スタート位置からエンド位置までの軌道を定義するミッションを遠隔で受け取ること、
前記ミッションが要件群の第1セットを満たすかをチェックすることによって、前記ミッションを検証すること、
前記スタート位置から前記エンド位置までの軌道に沿って走行するような前記車両の自律的な制御により、前記ミッションが前記要件群の第1セットを満たすときには、前記ミッションを実行すること、及び
前記ミッションが前記要件群の第1セットを満たさないときには、前記ミッションを拒否すること
を含み、
3D地形図を記憶すること、及び
前記3D地形図を用いて検証するステップを実行すること
のステップを含
む方法。
【請求項9】
前記3D地形図から地形勾配を決定すること、及び
車両重量及び前記地形勾配に基づいて前記車両が操作限界内に留まるかを検証することのステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記操作限界は、
前記車両のリターダによって許容される最大降坂速度を記述する制動限界であって、前記最大降坂速度は、前記地形勾配及び前記車両重量に依存する、制動限界、
前記車両の最大登坂速度を記述する登坂能力限界であって、前記最大登坂速度は、前記地形勾配及び前記車両重量に依存する、登坂能力限界、及び
前記地形勾配及び前記車両の重量に依存する回転半径及び車両速度を記述する横方向車両安定性
のうちの少なくとも1つである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
通過可能領域が前記3D地形図上に表示され、前記方法は、
前記ミッションが前記通過可能領域内に留まるかを検証すること
のステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
自動運転可能な車両から離れて配置された中央制御システムのミッションコントローラから受け取られるミッションに基づいて、前記車両の制御システムによって実行される、前記車両を自律的に制御する方法であって、
前記ミッションコントローラから命令群のセットを含むミッションであって、前記車両により追従される、スタート位置からエンド位置までの軌道を定義するミッションを遠隔で受け取ること、
前記ミッションが要件群の第1セットを満たすかをチェックすることによって、前記ミッションを検証すること、
前記スタート位置から前記エンド位置までの軌道に沿って走行するような前記車両の自律的な制御により、前記ミッションが前記要件群の第1セットを満たすときには、前記ミッションを実行すること、及び
前記ミッションが前記要件群の第1セットを満たさないときには、前記ミッションを拒否すること
を含み、
前記ミッションは、複数のセグメントを含み、それぞれのセグメントは、セグメント距離及び基準速度を含み、
前記ミッションを検証するステップは、
それぞれのセグメントについて、セグメント距離に対して基準速度が車両の性能の範囲内であるかを検証すること、及び
前記基準速度が前記車両の前記性能の範囲外であるときには、前記セグメントの前記基準速度又は隣接するセグメントの基準速度を適用すること
を含
む方法。
【請求項13】
前記ミッションを検証するステップは、以下のサブステップ
ミッションのルートの始点が前記車両の現在位置について定義された領域の中に存在するかを検証すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ミッションを検証するステップは、以下のサブステップ
前記ミッションに含まれる緯度及び経度が全て、内側境界値の中に存在するかを検証すること、
前記ミッションに含まれる速度コマンドが全て、最大車両速度以下であるかを検証すること、
前記ミッションの全てのセグメントが受け取られ、かつ連続的であるかを検証すること、
前記ミッションに含まれるカーブの半径が前記車両の回転半径として小さすぎないかを検証すること、
いかなるミッションセグメントも垂直又は垂直に近い高度変化を横切らないことを検証すること、
全てのセグメントが有効な緯度、経度、及び高度を有するかを検証すること、及び
前記ミッションが逆方向速度制限を遵守するかを検証すること
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
自動運転可能な車両から離れて配置された中央制御システムのミッションコントローラから受け取られるミッションに基づいて、前記車両の制御システムによって実行される、前記車両を自律的に制御する方法であって、
前記ミッションコントローラから命令群の第1セットを含む第1ミッションであって、前記車両により追従される、スタート位置からエンド位置までの第1軌道を定義するミッションを遠隔で受け取ること、
前記第1ミッションが実行される前に、前記第1ミッションが要件群の第1セットを満たすかをチェックすることによって前記第1ミッションを検証すること、
前記第1軌道に沿って走行するような前記車両の自律的な制御により、前記第1ミッションが前記要件群の第1セットを満たすときには、前記第1ミッションを実行すること、
前記第1ミッションの実行の間に、前記車両により追従される第2軌道を定義する第2ミッションを含むミッションアップデートを前記ミッションコントローラから受け取り、前記第1ミッションを実行する間に前記第2ミッションを検証すること
を含む方法。
【請求項16】
前記第2軌道に沿って走行するような前記車両の自律的な制御により、前記第2ミッションが検証をパスするときには、前記第1ミッションの実行を停止し、前記第2ミッションの実行を開始すること、
前記第2ミッションが検証で拒否されるときには、前記第1ミッションを中止し、前記車両を停止させること
のうちの少なくとも1つを含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2ミッションは、前記車両の現在の姿勢について検証され、前記姿勢は、車両の現在位置、進行方向、及び速度を含む
請求項15に記載の方法。
【請求項18】
自動運転可能な車両から離れて配置された中央制御システムのミッションコントローラから受け取られるミッションに基づいて、前記車両を自律的に制御する制御システムであって、前記制御システムは、
前記ミッションコントローラから命令群のセットを含むミッションであって、前記車両により追従される、スタート位置からエンド位置までの軌道を定義するミッションを遠隔で受け取ること、
前記ミッションが要件群の第1セットを満たすかを、前記中央制御システムから独立してチェックすることによって、前記ミッションを検証すること、
もし、前記スタート位置から前記エンド位置までの軌道に沿って走行するような前記車両の自律的な制御により、前記ミッションが前記要件群の第1セットを満たすなら、前記ミッションを実行すること、及び、もし前記ミッションが前記要件群の第1セットを満たさないなら、前記ミッションを拒否すること
のステップを含む方法を実行するよう構成される、制御システム。
【請求項19】
ミッションコントローラから受け取られた複数のミッションを記憶するミッション記憶システムを備え、前記制御システムは、
前記ミッションコントローラから前記ミッションを実行するコマンドを受け取ること、及び前記ミッションを実行するコマンドを受け取ると、以下のサブステップ
少なくとも1つの動的変数の現在の値を求めることであって、前記動的変数は、車両パラメータ及び環境パラメータのうちの少なくとも1つを記述する、現在の値を求めること、及び前記動的変数の前記現在の値を用いて前記ミッションを検証するステップを実行すること
を実行するよう構成された、請求項18に記載の制御システム。
【請求項20】
自動運転可能な車両から離れて配置された中央制御システムのミッションコントローラから受け取られるミッションに基づいて、前記車両を自律的に制御する制御システムであって、前記制御システムは、
前記ミッションコントローラから命令群のセットを含むミッションであって、前記車両により追従される、スタート位置からエンド位置までの軌道を定義するミッションを遠隔で受け取ること、
前記ミッションが要件群の第1セットを満たすかをチェックすることによって、前記ミッションを検証すること、
もし、前記スタート位置から前記エンド位置までの軌道に沿って走行するような前記車両の自律的な制御により、前記ミッションが前記要件群の第1セットを満たすなら、前記ミッションを実行すること、及び、もし前記ミッションが前記要件群の第1セットを満たさないなら、前記ミッションを拒否すること
のステップを含む方法を実行するよう構成され、
前記ミッションの実行の間に、前記ミッション又は前記ミッションのセグメントが要件群の第2セットを満たすかをリアルタイムで検証する
よう構成され
た制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミッションコントローラから受け取られたミッションに基づいて、車両の制御システムによって実行される、車両を自律的に制御する方法に関する。さらに、本願は、自律的に車両を制御するための車両の制御システムに関する。
【0002】
本願の文脈において、ミッションは、自動化された運搬を実行するのに要求されるように、空間軌道、速度基準、補助コマンド、及び他の属性から少なくとも1つを提供する自律車両のための命令群のセットを特に含み得る。
【背景技術】
【0003】
従来のシステムにおいては、ミッションのエラーチェックは、中央制御システムのレベルにおいて、すなわち、そのミッションが実行のために車両に送られる前に行われる。
【0004】
問題は、自律車両は、原形が損なわれた、不正確な、誤った、又は悪意のあるミッションを中央化された制御システムから受け取ることがあり得ることである。そのようなエラーは、車両の制御の喪失につながったり、車両をその設計パラメータの外で操作させたり、許可されていない領域に入ったり、又はUターン(ミッションが現在の進行方向とは反対であるために)のような予測不可能な挙動をさせたり又はたどることが不可能な遠く離れたスタート地点を目指したりし得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、中央化された制御システムへの依存を低減した、車両を制御する方法を提供することである。
【0006】
これら及び他の目的は、本開示の実施形態によって解決され得る。
【0007】
ある局面において、車両側に搭載されたパス基準を持つ前検証及びリアルタイムのミッション検証のうちの少なくとも1つの概念が示される。このアプローチは、したがって中央プラットフォームには不可知論的であり、ミッションをチェックする中央化された制御システムには依存しない。
【0008】
第1実施形態において、ミッションコントローラから受け取られるミッションに基づいて、車両の制御システムによって実行される、前記車両を自律的に制御する方法が提供され、前記方法は、
前記ミッションコントローラから命令群のセットを含むミッションを受け取ること、
前記ミッションが要件群の第1セットを満たすかをチェックすることによって、前記ミッションを検証すること、
前記ミッションが前記要件群の第1セットを満たすときには、前記ミッションを実行すること、及び
前記ミッションが前記要件群の第1セットを満たさないときには、前記ミッションを拒否すること
を含む。
【0009】
第2実施形態において、ミッションコントローラから受け取られるミッションに基づいて、車両の制御システムによって実行される、前記車両を自律的に制御する方法が提供され、前記方法は、
前記ミッションコントローラから命令群のセットを含むミッションを受け取ること、
前記ミッションが実行される前に、前記ミッションが要件群の第1セットを満たすかをチェックすることによって前記ミッションを検証すること、
前記ミッションの実行の間に、リアルタイムで前記ミッション又は前記ミッションのセグメントが要件群の第2セットを満たすかを検証すること
を含む。
【0010】
第3実施形態において、ミッションコントローラから受け取られるミッションに基づいて、車両を自律的に制御する制御システムが提供され、前記制御システムは、
前記ミッションコントローラから命令群のセットを含むミッションを受け取ること、
前記ミッションが要件群の第1セットを満たすかをチェックすることによって、前記ミッションを検証すること、
前記ミッションが前記要件群の第1セットを満たすときには、前記ミッションを実行すること、及び、
前記ミッションが前記要件群の第1セットを満たさないときには、前記ミッションを拒否すること
のステップを含む方法を実行するよう構成される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】車両制御システム及び車両の実施形態の機能要素を示す概略図である。
【
図3A】車両を自律的に制御する方法の第1実施形態のステップを示す概略図である。
【
図3B】車両を自律的に制御する方法の第1実施形態のステップを示す概略図である。
【
図4】車両を自律的に制御する方法の第2実施形態のステップを示す概略図である。
【
図5】ミッションを検証するステップにおいて用いられる第1操作限界の実施形態を示す概略図である。
【
図6】ミッションを検証するステップにおいて用いられる第2操作限界の実施形態を示す概略図である。
【
図7】ミッションを検証する第1サブステップの実施形態を示す概略図である。
【
図8】ミッションを検証する第2サブステップの実施形態を示す概略図である。
【
図9】ミッションを検証する第3サブステップの実施形態を示す概略図である。
【
図10】ミッションを検証する第4サブステップの実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、車両の例示的実施形態として、運搬目的で鉱山で用いられるダンプカーを示す。このダンプカーは、100メートル制トン以上の積載量を有し得る。本開示の概念は、他のタイプの車両にも等しく適用され得る。
【0013】
ダンプカー10は、車輪1で移動可能なシャーシ2を備える。車輪1は、少なくとも1つのエンジンを備える駆動ユニット6によって駆動される。エンジンは、内燃機関、例えばディーゼルエンジンであり得る。ある実施形態では、駆動ユニット6は、ディーゼル・エレクトリック駆動ユニットであり得る。これら車輪は、発電機によって電力供給される電気モータによって駆動され得て、この発電機は、ディーゼルエンジンによって駆動される。
【0014】
図1に示されるダンプカーは、シャーシ2上に搭載されたダンプボディ3を備える。ダンプボディは、水平ピボット軸でシャーシに取り付けられ、ダンプボディ内に収容されている資材がダンプボディからダンプカーの後部へ滑り出すようにするためにホイストシリンダ4によって上に回転され得る。
【0015】
図1に示されるように、ある実施形態では、車両は、車両の手動操作をさらに可能にするために、ドライバーのためのキャビン5を備え得る。このキャビンには、手動モードにおいて車両を制御するための入力要素が設けられ得る。例えば、ステアリングホイール50及びアクセルペダル52がステアリング角及び車両の速度を制御するためにキャビン内に設けられ得る。他の実施形態ではキャビンが設けられない。
【0016】
図1に示されるように、ある実施形態では、車両はキャビンに上がるための階段7を備えてもよい。その実施形態では、キャビン5には、階段7を介してアクセス可能な踊り場8が設けられている。
【0017】
車両10の制御システム20の実施形態の機能要素及び車両が
図2に示される。
【0018】
制御システム20は、車両10を自律的に操作するよう構成されている。制御システムは、車両を、ミッションコントローラ40から受け取られたミッションに従ってスタート位置からエンド位置に自律的に移動させる。ミッションは、車両の軌道を定義し得る。制御システム20は、検出システム33を用いて車両の現在位置を特定し得て、車両を軌道に沿って自律的に制御し得る。
【0019】
制御システム20は、車両を制御するソフトウェアを走らせるマイクロコントローラを備え得る。このソフトウェアは、非一時的メモリ上に記憶され得る。
【0020】
車両制御システムは、ドライブバイワイヤ制御システム25を備え得る。ドライブバイワイヤ制御システム25は、車両のブレーキシステムを制御するブレーキ制御システム27、車両のステアリングシステム29を制御するステアリング制御システム26、及び車両の推進システム32を制御する推進制御システム28を備え得る。
【0021】
ブレーキシステムは、電気リターダ30及びサービスブレーキ31を備え得る。電気リターダは、車両の電気ドライブモータを制御することによって、ホイールへのブレーキトルクを提供するよう動作し得る。電気ドライブモータは、それにより電気エネルギーを発生し、この電気エネルギーは、抵抗システムによって熱として放散され得て、又はエネルギー貯蔵システムによって回収され得る。サービスブレーキは、ディスクブレーキのような摩擦ブレーキであり得る。
【0022】
制御システム20は、軌道制御システム24をさらに備え得る。軌道制御システムは、ミッションを受け取り、車両の軌道を生成し得る。軌道制御システム24は、軌道に基づいて、軌道に沿って車両をガイドするためにドライブバイワイヤ制御システム25にコマンドを発行し得る。
【0023】
車両制御システム20は、インターフェイス21を介して交通管理システムのミッションコントローラ40と遠隔で通信し得る。インターフェイスは、無線通信インターフェイスであり得る。
【0024】
車両制御システム20は、ミッション記憶システム23及びミッション検証システム22を備え得る。
【0025】
車両は、中央化された制御システムのミッションコントローラ40からオープンプロトコルを介してミッションを受け取るよう構成され得る。ミッションは、中央制御システムが自律機械に走行させたい場所を定義する、属性(例えば目標速度、勾配、曲率)を持つロードセグメント群及び自律機械が実行し得る操作のセットを自律機械に提供する手段であり得る。中央制御システムは、車両制御システム20と遠隔で通信する鉱山サイト交通管理システムであり得る。
【0026】
ミッション検証システム22は、中央制御システムから受け取られたミッションを検証するよう構成され得る。
【0027】
ミッション検証システム22は、車両の制御の喪失につながり得るミッションを車両が開始しようと試みることや、非許可の路面/道路を通行することを回避するよう構成され得る。ミッション検証の概念は、リアルタイムの検証だけでなく、静的な検証(例えば実行開始前のミッションのプリチェック)も含み得る。
【0028】
図3Aは、ミッションコントローラ40から受け取られたミッションに基づいて車両10の制御システム20実行される、車両を自律的に制御する方法の第1実施形態を示す。この方法は、以下のステップを含み得る。
【0029】
ステップS1は、ミッションコントローラから命令群のセットを含むミッションを受け取ることを含み得る。
【0030】
ステップS2は、そのミッションが要件群の第1セットを満たすかをチェックすることによって、ミッションを検証することを含み得る。
【0031】
もし検証ステップが、そのミッションが要件群の第1セットを満たすと確認するなら、本方法は、ステップS3に進む。ステップS3において、制御システム20は、ミッションを実行する。
【0032】
もし検証ステップが、ミッションが要件群の第1セットを満たさないことを明らかにするなら、本方法は、ステップS4に進む。ステップS4において、制御システム20は、このミッションを拒否する。
【0033】
ミッションの実行及び拒否は、インターフェイス21を介して制御システム20からミッションコントローラ40へ通信され得る。
【0034】
実施形態において、本方法は、ミッションコントローラから受け取られたミッションを記憶するステップ、ミッションコントローラからそのミッションを実行するためのコマンドを受け取るステップ、及びそのミッションを実行しろというコマンドを受領したときに、そのミッションを検証するステップを実行するステップという、さらなるステップ群を含み得る。
【0035】
ある実施形態では、本方法は、少なくとも1つの動的変数の現在の値を求めるステップであって、前記動的変数は、車両パラメータ及び環境パラメータのうちの少なくとも1つを記述する、ステップ、及び少なくとも1つの動的変数の現在の値を用いてミッションを検証するステップというさらなるステップ群を含み得る。
【0036】
少なくとも1つの動的変数は、車両の重量、積載条件、天候条件、及び道路条件のうちの少なくとも1つを記述してもよい。
【0037】
図3Bは、ミッションコントローラ40から受け取られたミッションに基づいて車両10の制御システム20によって実行される、車両を自律的に制御する方法の第2実施形態を示す。この方法は、以下のステップを含み得る。
【0038】
ステップS1は、ミッションコントローラから命令群のセットを含むミッションを受け取ることを含み得る。
【0039】
ステップS1.1は、ミッションコントローラから受け取られたミッションを記憶することを含み得る。ある実施形態では、ステップS1.1は、複数のミッションを記憶することを含み得る。
【0040】
ステップS1.2は、ミッションを実行しろというコマンドをミッションコントローラから受け取ることを含み得る。
【0041】
ミッションを実行しろというコマンドを受領すると、本方法は、続いて以下のサブステップを実行し得る。
【0042】
ステップS1.3は、少なくとも1つの動的変数の現在の値を求めることを含み得て、この動的変数は、車両パラメータ及び環境パラメータのうちの少なくとも1つを記述する。
【0043】
ステップS2は、動的変数の現在の値を用いてミッションを検証するステップを実行することを含み得る。
【0044】
上述のように、ステップS2は、ミッションが要件群の第1セットを満たすかをチェックすることによってミッションを検証することを含み得る。
【0045】
図3Bで示される方法は、
図3Aで説明された方法のステップS3又はS4にそれから進む。
【0046】
ミッション検証は、横方向車両安定性の検証を含み得る。
【0047】
ある実施形態では、ミッションを検証するステップは、車両の重量に応じて回転半径及び車両速度を検証することによって、ミッションの間に横方向車両安定性を検証するサブステップを含み得る。
【0048】
ある実施形態では、車両は、電気リターダ及び少なくとも1つのサービスブレーキを備え得て、ミッションを検証するステップは、そのミッションが電気リターダだけを用いて実行され得るかを検証するサブステップを含み得る。
【0049】
ある実施形態では、ミッション検証は、3D地形図に対して実行され得る。この3D地形図は、制動限界(retarding envelope)の検証のための地面の勾配を提供し得る。通過可能領域(Traversable areas)は、妥当性チェックのために地図上でマークが付され得る。
【0050】
ある実施形態では、本方法は、3D地形図を記憶するさらなるステップを含み得て、ここで検証ステップは、3D地形図を用いて実行され得る。
【0051】
ミッション検証は、制動限界の検証を含み得る。リターダ30は、固定された出力を有し得て、したがって速度が速いと牽引力は減少し得る。したがってミッションは、制動限界内に留まること、すなわちリターダによって提供され得るブレーキングだけしか要求されないことについて検証がなされ得る。このことは、トラックが加速しないようにするために、リターダがパワーを吸収し得る降坂を進む場合について検証がなされ得る。
【0052】
ある実施形態では、本方法は、3D地形図から地面勾配を求めるステップ、及び車両重量及び地面勾配に基づいて、車両が操作限界内に留まるかを検証するステップというさらなるステップを含み得る。
【0053】
ある実施形態では、操作限界は、車両のリターダによって許容される最大降坂速度を記述する制動限界であり得て、この最大降坂速度は、地面勾配及び車両重量に依存し得る。
【0054】
ある実施形態では、操作限界は、車両の最大登坂速度を記述する登坂能力限界(gradeability envelope)であり得て、この最大登坂速度は、地面勾配及び車両重量に依存する。
【0055】
ある実施形態では、操作限界は、地面勾配及び車両の重量に応じて回転半径及び車両速度を記述する横方向車両安定性限界であり得る。
【0056】
ある実施形態では、ミッションを検証するステップは、その車両が、上述の操作限界群の任意の組み合わせの中に留まるかを検証することを含み得る。
【0057】
ある実施形態では、通過可能領域は、3D地形図上にマークが付され得て、本方法は、ミッションが通過可能領域内に留まるかを検証するステップを含み得る。
【0058】
ある実施形態では、ミッションは、複数のセグメントを含み得て、それぞれのセグメントは、セグメント距離及び基準速度を含み、ここでミッションを検証するステップは、セグメント距離について基準速度が車両性能の範囲内であるかをそれぞれのセグメントについて検証をするサブステップを含み得て、もし速度が車両性能の範囲外であるなら、当該セグメントの基準速度又は隣接するセグメントの基準速度を適用し得る。
【0059】
ある実施形態では、ミッションを検証するステップは、ミッションのルートの始点が、車両の現在位置について定義された領域内にあるかを検証するサブステップを含む。
【0060】
ある実施形態では、ミッションを検証するステップは、以下のサブステップ群
- ミッションに含まれた緯度及び経度が全て、内側境界値の中にあるかを検証すること、
- ミッションに含まれた速度コマンドが全て、最大車両速度以下であるかを検証すること、
- ミッションの全てのセグメントが受け取られ、それらが連続的であるかを検証すること、
- ミッションに含まれたカーブの半径が車両の回転半径に対して小さすぎないかを検証すること、
- いかなるミッションも垂直又は垂直に近い高度変化を横切らないことを検証すること、
- 全てのセグメントが有効な緯度、経度、及び高度を有するかを検証すること、
- ミッションが逆方向速度制限を遵守するかを検証すること
のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0061】
ある実施形態では、本方法は、ミッション又はミッションのセグメントが要件群の第2セットを満たすかを、リアルタイムでのミッションの実行の間に検証をする、さらなるステップを含み得る。
【0062】
ある実施形態では、本方法は、ミッションの実行の間に、車両が操作限界内に留まるような速度及び曲率のうちから少なくとも1つを適用するステップであって、この操作限界は、登坂能力限界、制動限界、及び横方向安定性限界のうちの少なくとも1つである、さらなるステップを含み得る。
【0063】
ミッションコントローラ40から受け取られたミッションに基づいて車両の制御システム20によって実行される、車両10を自律的に制御する方法の第3実施形態が
図4を参照してこれから説明される。
【0064】
ある実施形態では、本方法は、以下のステップを含み得る。
【0065】
ステップS1は、ミッションコントローラから命令群のセットを含む第1ミッションを受け取ることを含み得る。
【0066】
ステップS2は、第1ミッションが要件群の第1セットを満たすかをチェックすることによって、実行される前に第1ミッションを検証することを含み得る。
【0067】
ステップS3は、第1ミッションを実行することを含み得る。
【0068】
ステップS4は、第1ミッションの実行の間に、第2ミッションを含むミッションアップデートをミッションコントローラから受け取ることを含み得る。
【0069】
ステップS5は、第1ミッションの実行の間に、第2ミッションを検証することを含み得る。
【0070】
ある実施形態では、本方法は、第1ミッションの実行を停止し、第2ミッションが検証にパスするときには、第2ミッションの実行を開始する、さらなるステップを含み得る。
【0071】
ある実施形態では、本方法は、第1ミッションを中止し、第2ミッションが検証中に拒否されたときには車両を停止させる、さらなるステップを含み得る。
【0072】
ある実施形態では、第2ミッションは、車両の現在の姿勢について検証され得て、この姿勢は、車両の現在位置、進行方向、及び速度を含む。
【0073】
ある実施形態では、ミッション検証は、アーキテクチャ内の複数のレベルにおいて提供され得る。例えば、ミッション検証システム22は、ミッションをそれが実行される前にチェックし得て、軌道制御システム24は、ミッションをそれが実行されている間にチェックし得る。
【0074】
第3実施形態による方法は、第1及び第2実施形態について説明された局面の任意のものと組み合わせられてもよい。
【0075】
ミッションコントローラ40から受け取られたミッションに基づいて車両10を自律的に制御するための制御システム20のある実施形態では、制御システムは、
- ミッションコントローラから命令群のセットを含むミッションを受け取るステップであって、このステップは、インターフェイス21によって実行され得る、受け取るステップ、
- ミッションが要件群の第1セットを満たすかをチェックすることによってミッションを検証するステップであって、このステップは、ミッション検証システム22によって実行され得る、検証するステップ、
- ミッションが要件群の第1セットを満たすときには、そのミッションを実行するステップであって、このステップは、軌道制御システム24及びドライブバイワイヤ制御システム25によって実行され得る、実行するステップ、及び
- ミッションが要件群の第1セットを満たさないときには、ミッションを拒否するステップであって、このステップは、ミッション検証システム22及びインターフェイス21によって実行され得る、拒否するステップ
を含む方法を実行するよう構成され得る。
【0076】
ある実施形態では、制御システムは、ミッションコントローラ40から受け取られた複数のミッションを記憶するミッション記憶システム23を備え得て、この制御システムは、
- ミッションコントローラからコマンドを受け取ることによって、ミッションを実行し、このステップは、インターフェイス21によって実行され得る、受け取ること、及び
- ミッションを実行するためのコマンドを受領したときには、以下のサブステップを実行すること
のために構成され得て、
前記サブステップは、
- 少なくとも1つの動的変数の現在の値を求めることであって、動的変数は、車両パラメータ及び環境パラメータのうちの少なくとも1つを記述し、このサブステップは、ミッション検証システム22によって実行され得る、求めること、及び
- 動的変数の現在の値を用いてミッションを検証するステップを実行することであって、このサブステップは、ミッション検証システム22によって実行され得る、実行すること
である。
【0077】
ある実施形態では、制御システムは、そのミッション又はミッションのセグメントが要件群の第2セットを満たすかをミッションの実行の間にリアルタイムで検証するよう構成され得る。このステップは、軌道制御システム24によって実行され得る。
【0078】
制御システムは、さらに上述のように構成され得て、方法の第1から第3実施形態について上で説明した方法ステップの任意のものを実行するよう構成され得る。
【0079】
方法及び制御システムの実施形態のさらなる特徴が以下に説明される。
【0080】
ミッションを予め検証することは、以下のパス基準
1.ミッションセグメントの位置が内側許可境界の中に含まれていること
2.ミッションセグメントの位置が、通過可能領域地図(表面ベースライン地形図)で参照されている機械の登坂能力を超えないこと
3.ミッションセグメントの位置が、機械の電気制動能力を超える勾配及び速度の組み合わせを超えないこと。これは、機械が制動限界(例えば性能曲線)内で操作されることを確保するためである
4.ミッションセグメントの速度が、全て、最大車両速度以下であること
5.ミッションが完全であり、全てのセグメントが受け取られて、かつ連続であること(不連続性が存在しないこと、例えば連続するセグメントの始点及び終点は一致しなければならない)
6.カーブの半径は、車両に対して小さすぎないこと
7.トラックが始点を自分で「探す」のを回避し、ミッションを開始するためにUターンのような誤った振る舞いをトラックがしないようにするために、ミッションの始点は、車両の前にあり、かつ3次元的に(高度も含めて)極めて近接していること
8.所望のミッション速度が車両性能を超えているときには、セグメント速度を調節すること。例:高速のセグメントの次の低速の非常に短い最終セグメントは、その次のセグメントでの違反につながる
9.ミッションは、逆方向速度制限を遵守すること
10.ミッションは、GVW(車両総重量)、速度、及び曲率の組み合わせによって定義される横方向安定性限界を遵守すること
11.ミッションセグメントは、全て、通過可能な「道路」上にあること
12.いかなるセグメントも垂直又は垂直に近い高度変化(例えば崖)を横切らないこと
13.全てのセグメントは、有効な緯度、経度、及び高度を有すること
のうちの少なくとも1つ、複数、又は全てをチェックすることによって実行され得る。
【0081】
静的なミッション検証に加えて、自律車両の制御システムは、機械が運転中である時に、以下の
1.登坂能力について機械の操作限界の厳守、
2.電気リターダの能力を超えないように速度を調節することによる、機械の制動限界の厳守、
3.横方向安定性限界を遵守するために速度及び/又は曲率を調整することによる、横方向安定性限界の厳守、
4.ミッションアップデートは、許容される十分な正確さで車両の現在の姿勢を考慮しなければならず、そうでなければ機械は停止する。例:機械が運転中であり、交換ミッションが望まれるとする。ミッションからミッションへと停止することなくスムーズな遷移を達成するために、交換ミッションの位置が許容範囲内にあるように、この交換ミッションは、車両速度を考慮し、始点の「時間を測ら」なければならない、
のうちの少なくとも1つ、複数、又は全てをリアルタイムで確保し得る。
【0082】
ある実施形態では、ミッション検証は以下のように進み得る。
【0083】
複数のミッションは、ミッションコントローラ40から受け取られ、ミッション記憶システム23のバッファに記憶され得る。それぞれのミッションは、ミッションIDによって特定され得る。
【0084】
ミッションコマンドリクエストが「ラン」であり、かつコマンドのミッションIDが、ミッション記憶システム内の既存のミッションIDと一致するときには、ミッション検証システムのミッションハンドラは、そのミッションが以下のサブ要件群のうちの全てを満たすことを確保し得る。ミッション検証は、車両がミッションをランさせるように命令されるときには毎回、実行され得る。これは、ミッション検証が、動的変数をチェックし得て、異なる状況については異なる結果を与え得るからである。
【0085】
サブ要件は、ミッション全体が、表面ベースライン地形図によって定義された通過可能な表面上に存在することであり得る。
【0086】
図7は、この検証サブステップの例を示す。3D地形図において、通過可能な表面領域60が定義される。通過可能な表面領域60は、通過不可能な表面領域61に対して境界80を有する。
【0087】
検証サブステップは、ミッションの全てのセグメントが通過可能な表面領域60内に存在するかをチェックする。ミッション62は、通過可能な表面領域60の外に部分的に存在し、したがって拒否される。ミッション63及び64は、通過可能な表面領域60の中に全体が含まれており、したがって検証サブステップにパスする。
【0088】
サブ要件は、ミッションによって定義されたルートの始まりが、規定の回転半径内の車両の前にあり、設定可能なメートル数未満しか離れていないことであり得る。さらなるサブ要件は、ミッションが連続的な軌道を提供することであり得る。
【0089】
図8は、これらの検証サブステップの例を示す。第1サブステップの説明として、第1ミッション65の始点65’と車両10との間の距離67は、3D地形図において求められ、閾値と比較される。
図8において、第1ミッション65は、この距離が閾値より大きいので拒否される。第2サブステップの例として、第2ミッション66は、連続した空間軌道を提供するという要件についてチェックされ、66’において不連続なセグメントを有する、すなわちセグメントの終点及び次のセグメントの始点が一致しないので拒否される。
【0090】
さらなるサブ要件は、ミッション全体が、車両重量、積載量、及び地形勾配についての車両の操作限界内に留まることであり得る。
【0091】
図9は、横方向安定性限界についてミッションを検証するそのようなサブステップの実施形態を示す。そのような横方向安定性限界の例は、
図6に示される。これは、GVWに依存した最大速度及び曲率の組み合わせを定義する。全てのセグメントは、横方向安定性限界の中に留まることを検証される。
図9においてミッション68は拒否されるが、それは、ミッション68が、横方向安定性限界に違反する速度及び曲率を要求する、2つのセグメント69及び70を含むからである。横方向安定性限界は、地形の勾配をさらに考慮し得る。
【0092】
さらなるサブ要件は、ミッション全体が、車両の最小回転半径のような車両制限を遵守することであり得る。このチェックは、固定された最小回転半径、加えて又は、車両の横方向安定性限界によって規定される可変最小回転半径より小さい回転半径をいかなるセグメントも要求しないことをチェックすることによって、
図9に示したのと同じように実行され得る。
【0093】
図10は、登坂能力限界及び制動限界についてミッションを検証するそのようなサブステップの実施形態を示す。登坂能力限界は、
図5に示されるけん引力曲線によって定義され得て、GVWに依存する最大登坂速度及び勾配の組み合わせを示す。制動限界は、GVWに依存する最大降坂速度及び勾配の組み合わせを記述し得る。
図10において、ミッション72によって定義される降坂ルートは、制動限界71の外側にあるので、拒否される。
【0094】
さらなるサブ要件は、
- 緯度及び経度は、全て、内側境界(内側境界設定値)の中に存在する
- 速度コマンドは、全て、最大車両速度値(最大速度設定値)以下である
- ミッションは「完全」であり、つまり全てのセグメントが受領されている
- カーブの半径は、車両の回転半径に対して小さすぎることはない
- 指定された速度/距離が機械の性能の範囲内であることを確保するために、全てのセグメントについて基準速度対セグメント距離を検証する。セグメント距離を移動する中で、速度が車両性能の範囲外であるときには、ミッションハンドラは、障害の「速度変更済み」を起動し、ミッションハンドラは、そのセグメントの速度を調整する
- 指定された速度/距離が機械の性能の範囲内であることを確保するために、他の隣接セグメントの要件について基準速度対セグメント距離を検証する。例えば、非常に短い最終セグメントが存在し、かつその前のセグメントの所望の速度が速いときには、トラックは、最終セグメントの距離内では止まれないかもしれない。これは、トラックの積載量が多く、したがってその制動距離が長い場合に特にあてはまる。そのような場合には、このミッションは、ミッションハンドラによって拒否されず、以前のセグメントの所望の速度がミッションハンドラによって低減されることによって、最終セグメントの間の安全な停止が保証される
であり得る。
【0095】
もしミッション検証条件群のうちのいずれかが満たされないなら、「速度変更済み」を除いて、ミッションコマンド応答は、「ミッション検証拒否」に設定された応答コードを有することになる。
【0096】
ミッション検証条件群の全てがパスするときには、ミッションハンドラは、ミッションコマンドリクエストを軌道制御システム24に送る。
【0097】
ミッションの実行の間、軌道制御システム24は、制御システム25を介して車両を制御するためのいくつかのリアルタイム検証ステップを実行する。
【0098】
軌道制御システム24は、所望の基準速度を発行する。軌道制御システム24は、その車両についての設定可能なけん引曲線内で速度プロファイルを計画し得る。けん引曲線の実施形態は
図5に示される。
【0099】
正常な動作において、軌道制御システム24は、(ドライブバイワイヤ)制御システム25がサービスブレーキ31を使用することを要求するような基準速度は決して発行しないかもしれない。加えて、軌道制御システム24は、基準速度が運搬道路のより急な部分に進入する前に低減されるよう、変化する運搬道路勾配に対応するために速度プロファイルを計画し得る。制限のための所望の加速及び減速パラメータは、基準速度変化として軌道制御システム24に記憶される。
【0100】
軌道制御システム24は、インターフェイス21を介して交通管理システムのミッションコントローラ40から低い忠実度の速度ターゲットを受け取る。この情報は、現在のパス計画についての高忠実度の速度プロファイルを計算するために、軌道制御システム24によって使用され得る。軌道制御システム24は、速度コマンドを制御システム25に発行することによって、速度の大きさ及び方向指示によって指定された、自律的に制御された車両の前進又は後進の動きを達成する。
【0101】
それぞれの自律的に制御された車両は、天候、トラックの機械的状況、路面状況等を含む多くのファクタに依存して、その全体で利用可能な出力は異なる。積載した状態で登坂を上がる時、軌道制御システム24は、トラックが走行している速度よりも設定可能な値だけ速い速度を常に命令することによって、これを処理し得る。これは、制御システム25が、トラック駆動システム32からフルパワーリクエストを連続的に発行することを可能にする。
【0102】
軌道制御システム24は、不必要なサービスブレーキ31の利用及び/又はアグレッシブな操作を回避するために、速度リクエストを発行する時には、適切な加速レート及び減速レートを計算し得る。
【0103】
軌道制御システム24は、そのミッションを実現するために、パス曲率を維持し又は変化させるよう、制御システム25に所望の曲率を発行し得る。制御システム25は、ステアリングされたホイール角(理論的曲率)の閉ループ制御によって所望の曲率コマンドを達成するよう試みる。制御システム25は、推定された曲率に対する連続的フィードバックを軌道制御システム24に提供する。
【0104】
軌道制御システム24は、自律制御車両の実際の曲率を、制御システム25によって報告された推定された曲率と比較することによって、スリップ及び/又はスライド状態が起こりつつあるかを決定し得る。軌道制御システム24は、スリップによる逸脱に基づいて高忠実度のパス計画を再計算することによってそれから適宜、反応し、低減された速度及び/又は増大された曲率を含み得る後続のコマンドをリクエストし得る。
【0105】
軌道制御システム24は、受領するとセグメントを検証し、操作限界を超える任意のセグメントを拒否し得る。無効なミッションは、セグメント応答メッセージを介してアナウンスされ得る。キューの中の任意のセグメントは、もし現在、実行中であるなら、継続してナビゲートされ得る。
【0106】
軌道制御システム24は、前進運動の間のその制動限界内で自律制御車両によって達成され得る最大許容速度を連続的に計算し得る。軌道制御システムは、障害物回避における操作を除いて、いかなる状況においても、自律制御車両を制動限界の外においやるような所望の速さは命令しないかもしれない。
【0107】
軌道制御システム24は、以下の条件
i.前進運動空荷
ii.前進運動積載
iii.後進運動空荷
iv.下り勾配が、後進における設定された最大許容下り勾配を超えない場合の後進運動積載
について、その設定された最大速度を超える速さは命令しないかもしれない。
【0108】
軌道制御システム24は、いかなる状況においても後進における下り勾配が設定された最大許容下り勾配を超えるとき、自律制御車両の後進運動を命令しないかもしれない。
【0109】
軌道制御システム24は、自律制御車両が横方向又は長手方向の安定性を失うことを引き起こす速度/曲率の組み合わせは命令しないかもしれない。
【0110】
軌道制御システム24は、現在の環境、速度及び積載の条件の下で車両安定性を維持しながら自律制御車両によって安全に達成され得る最大ステアリング曲率を連続的に求め得る。
【0111】
交通管理システムのミッションコントローラ40は、割当アップデート(Assignment updates)を自律制御車両に発行し得る。この割当変更は、グローバルファクタを適用させること(すなわち速度を20%だけ減らす)、ミッション割当についての速度プロファイルを再定義することによる、現在のミッション速度プロファイルの変化であり得る。
【0112】
軌道制御システムは、リクエストされた割当変更アップデートを検証し、それらの実現可能性を決定した後でそれらを受け入れ得る。
【0113】
割当は、同じ周囲の他の割当とだけ共に変更され得る。ミッション割当は、他のミッション割当によってのみ変更され得る。速度プロファイル変更は、ミッション割当にだけ適用し得る。グローバルファクタ変更は、任意の割当に適用し得る。
【0114】
もしリクエストされた変更アップデートが、軌道制御システム24によって、実現可能ではないと決定されるなら、軌道制御システム24は、その変更を受け入れず、交通管理システムのミッションコントローラ40に通知し、所定のタイムフレームの中で停止し得る。
【0115】
割当アップデートを受け入れると、軌道制御システム24は、所定のタイムフレーム内でその変更に準拠するよう、その現在のミッションを変更し、交通管理システムのミッションコントローラ40にその受け入れを通知し得る。