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特許7535431対話型コミュニケーション装置、情報提供システム及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-07
(45)【発行日】2024-08-16
(54)【発明の名称】対話型コミュニケーション装置、情報提供システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/28 20060101AFI20240808BHJP
   G01D 7/00 20060101ALI20240808BHJP
   G06Q 50/06 20240101ALI20240808BHJP
   H04L 51/02 20220101ALI20240808BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
H04L12/28 500A
G01D7/00 302A
G06Q50/06
H04L51/02
H04Q9/00 301D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020176400
(22)【出願日】2020-10-21
(65)【公開番号】P2022067688
(43)【公開日】2022-05-09
【審査請求日】2023-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【弁理士】
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】平瀬 公太
(72)【発明者】
【氏名】川田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】大野 明子
【審査官】木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-224854(JP,A)
【文献】特開2016-109784(JP,A)
【文献】特開2013-172476(JP,A)
【文献】野本 裕介,スマートハウスにおける節電アドバイスロボットの試作開発,情報処理学会 研究報告 コンシューマ・デバイス&システム(CDS) 2019-CDS-024 [online] ,日本,情報処理学会,2019年01月17日,第1頁-第6頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/28
G01D 7/00
G06Q 50/06
H04L 51/02
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザとの会話によってコミュニケーションを進行させる対話型コミュニケーション装置であって、
前記ユーザからなされた機器のエネルギー消費状態に関するユーザ会話を取得する会話取得手段と、
機器のエネルギー消費量のデータである消費量データを取得する消費量データ取得手段と、
取得された前記消費量データに基づき、前記機器の使用に関するアドバイスを生成する生成手段と、
取得された前記ユーザ会話に応じて、前記アドバイスを前記ユーザに対して提供する提供手段と、
を備え
前記生成手段は、時間帯別の電気料金単価に基づき、蓄電池の充放電に関するアドバイスを生成する
ことを特徴とする対話型コミュニケーション装置。
【請求項2】
機器を測定するセンサからエネルギー消費量を取得する取得手段と、
取得した前記エネルギー消費量に基づき、前記機器の使用に関するアドバイスを生成する生成手段と、
生成された前記アドバイスを対話型コミュニケーション装置に送信する送信手段と、
を有し、
前記送信手段は、生成された前記アドバイスを前記対話型コミュニケーション装置とは異なる携帯端末に送信し、
前記送信手段による前記携帯端末への送信は、前記対話型コミュニケーション装置に送信した後の当該対話型コミュニケーション装置からの指示に応じて行われ
ことを特徴とする情報提供システム
【請求項3】
前記携帯端末に送信される前記アドバイスは、前記対話型コミュニケーション装置に送信される前記アドバイスとは異なる一方で互いに関連するものである、ことを特徴とする請求項に記載の情報提供システム。
【請求項4】
ユーザとの会話によってコミュニケーションを進行させる対話型コミュニケーション装置のコンピュータに、
前記ユーザからなされた機器のエネルギー消費状態に関するユーザ会話を取得する会話取得機能と、
機器のエネルギー消費量のデータである消費量データを取得する消費量データ取得機能と、
取得された前記消費量データに基づき、前記機器の使用に関するアドバイスを生成する生成機能と、
取得された前記ユーザ会話に応じて、前記アドバイスを前記ユーザに対して提供する提供機能と、
を実現させ、
前記生成機能は、時間帯別の電気料金単価に基づき、蓄電池の充放電に関するアドバイスを生成する、
プログラム。
【請求項5】
情報処理装置に、
機器を測定するセンサからエネルギー消費量を取得する取得機能と、
取得した前記エネルギー消費量に基づき、前記機器の使用に関するアドバイスを生成する生成機能と、
生成された前記アドバイスを対話型コミュニケーション装置に送信する送信機能と、
を実現させ、
前記送信機能は、生成された前記アドバイスを前記対話型コミュニケーション装置とは異なる携帯端末に送信し、
前記送信機能による前記携帯端末への送信は、前記対話型コミュニケーション装置に送信した後の当該対話型コミュニケーション装置からの指示に応じて行われ
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対話型コミュニケーション装置、情報提供システム及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
家庭内の家電や電気設備とネットワークで繋ぎ、電気やガスなどの使用状態を一元管理することにより、エネルギーの最適制御をするホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS)が普及してきている。HEMSでは、住宅内にホームサーバが設置されており、ホームサーバが宅内ネットワークを通じて、住宅内で使用される機器のエネルギー消費量の測定結果を収集し、その結果をユーザに報知する。この結果、ユーザは自身のエネルギー消費行動を見直して、省エネルギーを心がけるようになる。
しかし、エネルギー消費量等の情報は、家庭内で生活するユーザに、スムーズに情報伝達が行われないことがある。こうした課題に対し、HEMSサーバからの情報をロボットがユーザに対し、発光、音声、振動等で情報を報知する技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
特許文献1には、ホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS)の住宅に設置されたホームサーバから建物内の機器のエネルギー消費量のデータや建物外のコミュニティエネルギーマネジメントシステム(CEMS)サーバからの情報を受信したロボットがユーザに対し、発光、音声、振動等で情報を報知することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-102281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ロボットが一方的にユーザに報知する場合には、ユーザに対し適切に情報が伝達されないおそれがある。
本発明の目的は、家庭内の機器のエネルギー消費に関するアドバイスを確実にユーザに通知する対話型コミュニケーション装置、情報提供システム及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が適用される対話型コミュニケーション装置は、ユーザとの会話によってコミュニケーションを進行させる対話型コミュニケーション装置であって、前記ユーザからなされた機器のエネルギー消費状態に関するユーザ会話を取得する会話取得手段と、機器のエネルギー消費量のデータである消費量データを取得する消費量データ取得手段と、取得された前記消費量データに基づき、前記機器の使用に関するアドバイスを生成する生成手段と、取得された前記ユーザ会話に応じて、前記アドバイスを前記ユーザに対して提供する提供手段と、を備え、前記生成手段は、時間帯別の電気料金単価に基づき、蓄電池の充放電に関するアドバイスを生成する、ことを特徴とするものである
また、本発明が適用される情報提供システムは、機器を測定するセンサからエネルギー消費量を取得する取得手段と、取得した前記エネルギー消費量に基づき、前記機器の使用に関するアドバイスを生成する生成手段と、生成された前記アドバイスを対話型コミュニケーション装置に送信する送信手段と、を有し、前記送信手段は、生成された前記アドバイスを前記対話型コミュニケーション装置とは異なる携帯端末に送信し、前記送信手段による前記携帯端末への送信は、前記対話型コミュニケーション装置に送信した後の当該対話型コミュニケーション装置からの指示に応じて行われる、ことを特徴とするものである
ここで、前記携帯端末に送信される前記アドバイスは、前記対話型コミュニケーション装置に送信される前記アドバイスとは異なる一方で互いに関連するものである、ことを特徴としても良い。
さらに、本発明が適用されるプログラムは、ユーザとの会話によってコミュニケーションを進行させる対話型コミュニケーション装置のコンピュータに、前記ユーザからなされた機器のエネルギー消費状態に関するユーザ会話を取得する会話取得機能と、機器のエネルギー消費量のデータである消費量データを取得する消費量データ取得機能と、取得された前記消費量データに基づき、前記機器の使用に関するアドバイスを生成する生成機能と、取得された前記ユーザ会話に応じて、前記アドバイスを前記ユーザに対して提供する提供機能と、を実現させ、前記生成機能は、時間帯別の電気料金単価に基づき、蓄電池の充放電に関するアドバイスを生成すプログラムである。
さらにまた、本発明が適用されるプログラムは、情報処理装置に、機器を測定するセンサからエネルギー消費量を取得する取得機能と、取得した前記エネルギー消費量に基づき、前記機器の使用に関するアドバイスを生成する生成機能と、生成された前記アドバイスを対話型コミュニケーション装置に送信する送信機能と、を実現させ、前記送信機能は、生成された前記アドバイスを前記対話型コミュニケーション装置とは異なる携帯端末に送信し、前記送信機能による前記携帯端末への送信は、前記対話型コミュニケーション装置に送信した後の当該対話型コミュニケーション装置からの指示に応じて行われる、プログラムである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、家庭内の機器のエネルギー消費に関するアドバイスを確実にユーザに通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施の形態における情報提供システムの構成例を示す図である。
図2】住宅に設けられている各種の機器を説明する図である。
図3】ロボットを説明する図である。
図4】情報提供システムの機能構成例を示したブロック図である。
図5】情報提供システムが行う動作について説明するフローチャートである。
図6】ロボットと使用者との会話例を文字にして説明する図である。
図7】ロボットと使用者との会話例を文字にして説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<情報提供システム1全体の説明>
図1は、本実施の形態における情報提供システム1の構成例を示す図である。
図示するように本実施の形態の情報提供システム1は、ホームサーバ10と携帯端末20とロボット30とが、ネットワーク70、アクセスポイント90を介して接続されることにより構成されている。情報提供システム1は、ユーザないし使用者とロボット30とのコミュニケーションの中で、ロボット30が各種の機器の使用ないしエネルギー消費に関するアドバイスを提供する。
なお、図1では、ホームサーバ10、携帯端末20およびロボット30は、それぞれ1つずつしか示していないが、個数はいくつでもよい。
【0009】
ホームサーバ10は、使用者の住居に置かれ、各種の機器の情報を後述のスマートメータ51(以下、「メータ51」という)(図2参照)を介してまたはメータ51を介さずに受け付け、HEMS(Home Energy Management System(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム))により、エネルギー管理を実現するためのものである。ホームサーバ10は、家庭内におけるエネルギー消費や蓄電・蓄熱等のエネルギーの見える化や機器の遠隔操作等の機能を通じて使用者が自ら消費エネルギーを管理できるようにする。
【0010】
ホームサーバ10は、例えばガス・電気・お湯の消費量を表示可能にし、表示形式として、現在のエネルギー消費量、時間・日・月ごとのエネルギー消費量を選択できる。また、ホームサーバ10は、自宅のエネルギー消費量と、家族人数が同じ世帯の平均値との比較等、収集したデータを分析する。
【0011】
携帯端末20は、例えば、モバイルコンピュータ、携帯電話、スマートフォン、タブレット等のモバイル端末である。携帯端末20は、無線通信を行うためにアクセスポイント90に接続する。そして、携帯端末20は、アクセスポイント90を介して、有線で通信を行うネットワーク70に接続する。携帯端末20は、詳しくは後述するが、上記住居に居住する居住人物が所有する携帯端末である。
【0012】
ロボット30は、使用者の住居に置かれ、ホームサーバ10と通信可能に接続される。ロボット30は、人との間で発話(対話)を通じて自律的に情報の伝達を行うコミュニケーション機能(会話機能)を備える。ロボット30は、例えば大人が片手でも持てる程度の大きさである。ロボット30の詳細は後述する。
なお、ホームサーバ10と通信可能なロボットを複数台とし、使用者の住居に1台、その使用者とは非同居の家族(例えば使用者の子ども)が住む住居に1台を置く例も考えられる。なお、使用者や使用者との同居者を単に「使用者」と省略することがある。
【0013】
ホームサーバ10及び携帯端末20は、演算手段であるCPUと、記憶手段であるメインメモリ及びHDD(Hard Disk Drive)等のストレージとを備える。ここで、CPUは、OS(基本ソフトウェア)やアプリケーションプログラム(応用ソフトウェア)等の各種ソフトウェアを実行する。また、メインメモリは、各種ソフトウェアやその実行に用いるデータ等を記憶する記憶領域であり、ストレージは、各種ソフトウェアに対する入力データや各種ソフトウェアからの出力データ等を記憶する記憶領域である。
さらに、ホームサーバ10および携帯端末20は、外部との通信を行うための通信インタフェース(以下、「通信I/F」と表記する)と、ビデオメモリやディスプレイ等からなる表示機構と、入力ボタン、タッチパネル、キーボード等の入力機構とを備える。
【0014】
また、住居は、人が居住できる建築物であり、ホームサーバ10やロボット30が利用される場所である。例えば、一戸建て住宅や、マンション・アパートなどの集合住宅である。この場合、常設であるか、仮設であるかは問わない。
【0015】
ネットワーク70は、ホームサーバ10、携帯端末20及びロボット30の間の情報通信に用いられる通信手段であり、例えば、インターネットである。
【0016】
アクセスポイント90は、有線で通信を行うネットワーク70に対して、無線通信回線を利用して無線通信を行う機器である。アクセスポイント90は、ホームサーバ10とロボット30とネットワーク70との間の情報の送受信を媒介する。
無線通信回線の種類としては、携帯電話回線、PHS(Personal Handy-phone System)回線、Wi-Fi(Wireless Fidelity)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee、UWB(Ultra Wideband)、LPWA(Low Power Wide Area)等の各回線が使用可能である。
【0017】
図2は、住宅に設けられている各種の機器を説明する図である。
図2に示す例は、ホームサーバ10に接続された各種の機器として、メータ51、蓄電池52、燃料電池53、給湯器54、太陽光発電用セル55、エアコン56、照明器具57及びテレビ58を有する。
【0018】
メータ51は、通信機能を持ち、蓄電池52の蓄電量を測定するほか、燃料電池53や給湯器54のガス使用状況を測定する。また、メータ51は、太陽光発電用セル55の発電量やエアコン56、照明器具57、テレビ58による電気使用状況を測定する。メータ51は、電力測定用メータとガス測定用メータに分かれている場合、電力測定用メータは住居の分電盤に設けられ、ガス測定用メータは例えばガスメータに設けられる。また、メータ51が水量管理の水道測定用メータを含む場合には、水道測定用メータは例えば水道メータに設けられる。
メータ51による測定結果の情報は、HEMSのホームサーバ10に集約される。ホームサーバ10は、取得した情報を用いて使用量等を算出する。なお、算出結果に応じたアドバイスの生成は、ロボット30だけで行う場合のほか、ホームサーバ10だけで行う場合や、ロボット30及びホームサーバ10の双方で行う場合が考えられる。
【0019】
蓄電池52は、例えばリチウムイオン電池であり、燃料電池53や太陽光発電用セル55で発電された電気を蓄電する。蓄電した電気は、例えば夜間や停電時等に家庭内で使用する。
蓄電池52の電気を、電気を多く使う時間帯(ピーク時)に使うことでピークカットでき、単価が高い時間帯の電気料金を抑えることができる。また、蓄電池52に、電力の使用が少ない時間帯に電力会社からの電気を蓄電しておき、ピーク時に使用することでピークシフトでき、同様に電気料金を抑えることができる。時間帯によって電気料金が変わるシステムを利用できる場合、例えば深夜の電気料金が安く設定されていれば、深夜に蓄電するということで昼間に蓄電するよりも省エネルギーになる。
また、燃料電池53や太陽光発電用セル55で発電された電気のうち余った電気(余剰電力)を電力会社に買い取ってもらうことができる。
【0020】
ホームサーバ10が、このような蓄電池52に関連する制御を行う。なお、蓄電池52を、据え置きのバッテリーと電気自動車のバッテリーとで構成しても良く、電気自動車のバッテリーだけで構成しても良い。
【0021】
燃料電池53は、水素と酸素の電気化学的な反応によって発生した電気を利用する装置であり、住居で電気をつくることからエネルギーを無駄なく使うことができる。また、燃料電池53による発電に伴って発生する熱エネルギーは、給湯や暖房に利用することができる。
【0022】
給湯器54は、ガスで湯沸かしするものであり、燃料電池53による給湯の不足分をまかなう等のバックアップや、燃料電池53による給湯開始時のアシストを行うことができる。
【0023】
太陽光発電用セル55は、太陽の光エネルギーを電気エネルギー(電力)に変換する機器であり、発電された電力は、蓄電池52に蓄電されたり自家消費されたり売電されたりする。
【0024】
エアコン56、照明器具57及びテレビ58は、電気で動作する電化製品であり、これに限られず、図示を省略した例えば冷蔵庫等の一般家電製品も含まれる。
【0025】
ホームサーバ10は、エアコン56、照明器具57及びテレビ58等の電気機器で消費される電気を、燃料電池53や太陽光発電用セル55が発電した電力と電力会社から供給される電力のいずれとするのかを判断し、判断結果に従って制御する。また、このような制御は、使用者の指示に応じて行う場合もある。
【0026】
図3は、ロボット30を説明する図である。
図3に示した、ロボット30は、歩行等を行うことで移動する機能を有する移動式としてもよいが、移動しない非移動式としてもよい。
ロボット30は、送信情報の送信および受信を行う通信アンテナ301と、動画の撮影を行うカメラ302と、音声を取得するマイクロフォン303と、送信情報を表示するディスプレイ304と、音声等の音を出力するスピーカ305と、ユーザが操作を行う操作ボタン306と、ロボット30の周囲における人の有無を検知する人感センサ307と、ロボット30の全体の制御を行う制御部308と、ホームサーバ10から受信した各種の情報を記憶するメモリ309とを備える。メモリ309に記憶されている情報の全部または一部をそのまま乃至加工し、例えばディスプレイ304やスピーカ305からユーザに通知される。
また、操作ボタン306は、録画を行う録画ボタン306aと、送られた送信情報を再生する再生ボタン306bと、ロボット30の設定などを行うためのメニューボタン306cとを備える。
【0027】
<情報提供システム1の機能構成の説明>
図4は、情報提供システム1の機能構成例を示したブロック図である。なおここでは、情報提供システム1が有する種々の機能のうち本実施の形態に関係するものを選択して図示している。
ホームサーバ10は、情報の送受信を行う送受信部11と、受信情報を記憶する記憶部12と、ガス等の消費量を算出する算出部13とを備える。
【0028】
送受信部11は、例えば、通信I/Fであり、アクセスポイント90及びネットワーク70を介し、ホームサーバ10と情報の送受信を行う。
記憶部12は、送受信部11に受信された情報及び算出部13による算出結果を記憶する。また、記憶部12は、必要な場合にこれを出力する。
【0029】
携帯端末20は、送受信部21と、情報を入力する入力部22と、画像の表示を行う表示部23とを備える。
【0030】
送受信部21は、例えば、通信I/Fであり、アクセスポイント90及びネットワーク70を介し、ホームサーバ10と情報の送受信を行う。
【0031】
入力部22は、例えば、上述したタッチパネルである。つまりこの場合、タッチパネルは、入力部22および表示部23の双方の機能を有する。また、入力部22は、キーボードやマウス等で構成されていてもよい。
【0032】
表示部23は、例えば、タッチパネルである。この場合、表示部23は、各種情報が表示されるディスプレイと、指やスタイラスペン等で接触された位置を検出する位置検出シートとを備える。接触された位置を検出する手段としては、接触による圧力をもとに検出する抵抗膜方式や、接触した物の静電気をもとに検出する静電容量方式など、どのようなものが用いられてもよい。
【0033】
ロボット30は、情報の送受信を行う送受信部31と、受信情報を記憶する記憶部32と、音声の取得を行う取得部33と、音声を再生する再生部34と、音の分析を行う分析部35と、音声の再生の条件を決定する決定部36と、使用者により操作される操作部37とを備える。
【0034】
ロボット30は、使用者と会話を行うことができる機能(会話機能)を有する。会話機能を簡単に説明すると、取得部33により使用者の話し言葉が入力され、入力内容を分析部35が分析し、決定部36がその返事内容を決定し、決定された返事が再生部34により出力される。決定された返事内容には、機器の使用に関するアドバイスが含まれる。
会話機能は、ロボット30の内部処理で実現しているが、分析及び返事内容の決定をホームサーバ10に行わせる制御を採用しても良い。
【0035】
ロボット30の送受信部31は、ホームサーバ10からの送信情報を受信する。送受信部31は、例えば、通信I/Fであり、制御部308(図2参照)に含まれる。また、通信アンテナ301(図3参照)もこれに含まれる。送受信部31は、アクセスポイント90およびネットワーク70を介し、ホームサーバ10との間で情報の送受信を行う。
【0036】
記憶部32は、受信された情報を記憶する。また、記憶部32は、必要な場合にこれを出力する。記憶部32は、例えば、メモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)などであり、メモリ309(図3参照)に対応する。
【0037】
取得部33は、音声及び動画を取得する。取得部33は、音声を取得するマイクロフォン303(図3参照)に対応する。マイクロフォンの種類としては、ダイナミック型、コンデンサ型等、既存の種々のものを用いてよい。また、マイクロフォンとして、無指向性のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)型マイクロフォンであることが好ましい。
【0038】
また、取得部33は、動画の撮影を行うカメラ302(図3参照)に対応する。カメラ302は、撮影対象の像を収束する光学系と、光学系により収束された像を検出するイメージセンサとを備えるデジタルカメラである。光学系は、単一のレンズまたは複数のレンズを組み合わせて構成される。例えば、2つの半球レンズを使用し、その球面側を向かい合わせに組み合わせたツインレンズが用いられる。レンズの組み合わせおよびレンズ表面に施されたコーティング等により、各種の不要な収差は適切に除去されている。イメージセンサは、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を配列して構成される。
【0039】
また、取得部33は、周囲に人がいないか否かの情報を取得する。取得部は、人感センサ307(図3参照)に対応する。人感センサ307は、人を検知できる人感センサであれば特に限定されることはない。例えば、人が発する特定波長の赤外線を焦電効果を用いて検知することにより予め定められた領域内に人が入ってきたことを検出する焦電センサを用いることができる。また、赤外線発光ダイオード等からなる発光素子と発光素子から発した光が人に反射されたときにその反射光を受光する受光素子とを有する赤外線反射型の反射型センサを用いることができる。
【0040】
再生部34は、ロボット30の近くにいる使用者等に向けた音声の再生を行う。再生部34は、スピーカ305(図3参照)に対応する。
【0041】
分析部35は、取得部33により取得された音声や動画を分析する。
より詳細には、分析部35は、取得した音声を認識し、話し言葉を文字列に変換する。分析部35は、変換した文字列に、予め定められた文字が含まれているかどうかを分析する。本実施の形態での文字は、エネルギー消費状態に関するものである。例えば、ロボット30と使用者との会話(ユーザ会話)で使用者が「省エネ」に関する言及があったかどうかの分析を行う。
また、分析部35は、取得した音声が使用者又はその家族(同居人)の音声であるかどうかの分析を行う。
【0042】
また、分析部35は、取得した動画により人を認識し、その人の様子を分析する。分析部35は、例えば、動画に映っている人が長い間動いていないことの様子を分析する。また、再生部34により動画に映っている人に呼びかけをした場合に、音声の応答があるか否かの分析を行う。
また、分析部35は、動画に映っている人が使用者あるいはその同居人であるか否かの分析を動画により行う。かかる分析は、動画のほか音声も含めて行うと、分析の精度が高まる。
また、分析部35は、取得した人検知情報により、住居あるいは部屋に使用者や同居人が不在であるか否かを分析する。なお、分析部35は、人検知情報を取得したときに、動画によりその人の様子を分析し始める制御を採用してもよい。
【0043】
決定部36は、分析部35による分析の結果から、各種の機器の使用に関するアドバイスを生成する。ここにいうアドバイスは、HEMSの効果を最大限発揮させ得るようなもので、例えば、バッテリーの充放電に関し、電気料金の高い時間帯に電力系統に売電するように放電し、電気料金の安い時間帯に充電することを挙げることができる。また、エアコン56の定期的なフィルター掃除を行うことで省エネルギーを図ることを挙げることができる。
本実施の形態では、アドバイスの生成をロボット30側で行っているが、ホームサーバ10側で行う構成例を採用することができる。
【0044】
また、決定部36は、情報を伝えるコミュニケーションのタイミングの決定を行う。例えば、特定の人が在宅のときに情報を伝えること、使用者及び同居人以外の人がいるときには情報を伝えないこと等である。
分析部35および決定部36は、例えば、CPUであり、制御部308(図3参照)に含まれる。
【0045】
操作部37は、録音や再生を行うための使用者による操作を受け付ける。操作部37は、操作ボタン306(図2参照)に対応する。また、操作部37は、キーボードやマウス等で構成されていてもよい。
【0046】
なお、ロボット30は、対話型コミュニケーション装置の一例である。ロボット30において、送受信部31は、会話取得手段の一例であり、消費量データ取得手段の一例である。決定部36は生成手段の一例であり、再生部34は、提供手段の一例である。
また、ホームサーバ10は、情報提供システムの一例である。ホームサーバ10において、送受信部11は、取得手段の一例であり、送信手段の一例である。算出部13は、生成手段の一例である。
【0047】
<情報提供システム1の動作の例>
次に、本実施の形態の情報提供システム1が行う動作の例について、より詳細に説明を行う。
図5は、情報提供システム1が行う動作について説明するフローチャートである。
本実施の形態では、ホームサーバ10において、送受信部11がメータ51からの情報を受信すると(ステップ101)、記憶部12に記憶される(ステップ102)。ここにいうメータ51からの情報は、住居内の各種の機器の使用量に関する情報であり、ガス使用量や電気使用量が含まれ、また、水道使用量も含む場合がある。そして、記憶部12に記憶された情報は、ロボット30に送信される(ステップ104)。
【0048】
ロボット30において、送受信部31がホームサーバ10から情報を受信すると(ステップ105)、記憶部32に記憶される(ステップ106)。
使用者との会話(ステップ107)において、会話中に機器のエネルギー消費状態に関する質問ないし指示があるか否かを判断する(ステップ108)。使用者がロボット30と会話しているときに、予め定められている言葉群のいずれか(例えば「省エネ」という言葉)が発話されたかどうかを、決定部36が判断する。
【0049】
ここで、機器のエネルギー消費状態に関する質問ないし指示とは、住居にある機器のエネルギー消費状態に関する言葉をいい、直接的に表す言葉やそれを示唆する言葉である。
例えば水光熱費の話、住居にある機器についての話、温暖化の話等があったことを判断する。これにより、機器に関するアドバイスの会話にスムーズに移行できる。
【0050】
会話中に機器のエネルギー消費状態に関する質問があると判断された場合(ステップ108でYes)、質問により使用者が興味を持っていることが検知されたことから、その事柄について説明する(ステップ109)。かかる説明は、機器のエネルギー消費状況や、最適なエネルギー管理を実現するための消費のアドバイスである。
なお、会話中に機器のエネルギー消費状態に関する質問があると判断されない場合(ステップ108でNo)、ステップ108に戻る。
【0051】
次に、ロボット30は、詳細情報を携帯端末20に表示するか否かを使用者に確認する(ステップ110)。
ロボット30は、使用者が携帯端末20への表示を希望することを検出すると(ステップ110でYes)、携帯端末20への詳細情報表示の指示をホームサーバ10に送信する(ステップ111)。
ロボット30が使用者の携帯端末20への表示希望を検出しない場合(ステップ110でNo)、処理が終了する。
【0052】
ホームサーバ10は、ロボット30から携帯端末20への詳細情報表示の指示を受信すると(ステップ112)、携帯端末20に詳細情報を表示するための情報を送信する(ステップ113)。
携帯端末20は、ホームサーバ10から情報を受信すると(ステップ114)、その情報を表示する(ステップ115)。
【0053】
<情報提供システム1の第1会話例>
図6は、ロボット30と使用者との会話例を文字にして説明する図である。より詳細には、図6は、図5のS108~S109の処理が行われる例を示す図であり、左側の文字がロボット30の声、右側の文字が使用者の声をそれぞれ示し、上から下に時系列に表している。
使用者がロボット30との会話で、「今は、蓄電池を放電した方がいいの?」と話しかけた場合(c11)、ロボット30は、使用者がエネルギー消費について気にかけていることを検知し、記憶部32に記憶されている情報から、本会話例では「今は電気料金が安いから充電した方がお得ですよ。」という返答をする(c12)。なお、ロボット30の記憶部32に記憶されている情報に必要とする情報がない場合、ホームサーバ10から必要な情報を取得する態様も考えられる。
【0054】
さらに使用者が「今日は、太陽の光でどれくらい発電しているの?」とロボット30に質問した場合(c13)、記憶部32に記憶されている情報から、「今日は、○○kwhです。」と答える(c14)。
【0055】
そして、使用者が質問した内容に関連して、本会話例では、「天気予報によれば、午後から曇りになるので、昨日の発電量よりも少なくなりそうです。」とエネルギーに関する追加の情報を与える(c15)。使用者が「そうなの。午後から出掛けて用事を済ませてこようかしら。エアコンやテレビを止められるから、電気節約にもなる。」と話し(c16)、使用者は、ロボット30の情報により省エネルギーにつながる行動をとることになった。
使用者の行動に関する追加の情報として、「午後に雨の降る確率は30%なので、傘を持っていかなくても良いかもしれません。」と話しかけ(c17)、本会話例では、使用者は「ありがとう。」と答えている(c18)。
【0056】
このように、本会話では、従来のホームロボットの場合に比べて、コミュニケーション機能を有するロボット30との会話により機器のエネルギー消費状態に関する情報を使用者に伝えることができるので、確実に情報を伝達し、最適なエネルギー管理を実現することが可能になる。
【0057】
<情報提供システム1の第2会話例>
図7は、ロボット30と使用者との会話例を文字にして説明する図である。より詳細には、図7は、図5のS108~S115の処理が行われる例を示す図であり、左側の文字がロボット30の声、右側の文字が使用者の声をそれぞれ示し、上から下に時系列に表している。
ロボット30は、使用者との会話中に「省エネはできているのかしら?」と問い掛けた場合(c21)、ロボット30は、記憶部32に記憶されている情報から、「先月は、先々月よりも電気使用量は少ないですが、ガス使用量は多かったです。」と答える(c22)。
【0058】
さらに、ロボット30は、記憶部32に記憶されている情報から、「先月は、水道使用量も増えています。風呂で使うお湯を減らすと、もっと省エネになるかもしれません。」とアドバイスを提供する(c23)。使用者は、「アドバイスありがとう。家族に気をつけるように言っておくわ。」と答えている(c24)。
【0059】
使用者は、使用量を具体的に知りたくなり、「ところで、どれくらい増えているの?」と質問する(c25)。ロボット30は、使用者の携帯端末20への詳細情報の表示を希望するかどうかを確認するために、「詳しい情報を携帯端末に表示しましょうか?」と問い合わせた場合(c26)、使用者は、「はい、携帯端末に表示してください。」と答えている(c27)。
これに応じて、ロボット30は、「携帯端末に表示します。携帯端末を用意してお待ちください。」と案内する(c28)。さらに、ロボット30は、ホームサーバ10に対し、携帯端末20への詳細情報表示の指示を行う(ステップ111を参照)。ここにいう詳細情報としては、先月と今月の電気使用量、ガス使用量及び水道使用量の情報等であり、ロボット30を通じて提供されたアドバイスと関連性のあるアドバイスを含ませることができる。関連性のあるアドバイスは、例えば風呂で使うお湯を減らすためのやり方等であり、ロボット30により提供されたアドバイスとは異なる一方で互いに関連するものである。
【0060】
携帯端末20は、使用者のものであることを予めホームサーバ10に登録済みである。
携帯端末20による情報の通知には、アドバイスを含ませることができる。すなわち、ロボット30によるアドバイスの提供は、概要を説明し、使用者の要求に応じて詳細なアドバイスを携帯端末20により提供するようにしても良い。詳細なアドバイスは、使用者の要求があった場合にホームサーバ10側で生成することができる。
このように、通常は、ロボット30との会話を介して使用者に情報を提供するが、より詳細な情報の通知やより詳細なアドバイスの提供は、使用者の希望に応じて、携帯端末20の画面で行うという使用態様を採用する。これにより、使用者の要望に応じたアドバイスの提供を行うことができる。
【0061】
また、本実施の形態では、メータ51からホームサーバ10に情報の集約がなされているが、メータ51からの情報の集約をロボット30で行い、ホームサーバ10を省略する構成例も考えられる。
【0062】
<プログラムの説明>
ここで、以上説明を行った本実施の形態におけるロボット30が行う処理は、例えば、アプリケーションソフトウェア等のプログラムとして用意される。そして、この処理は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現される。即ち、ロボット30に設けられたコンピュータ内部の図示しないCPUが、上述した各機能を実現するプログラムを実行し、これらの各機能を実現させる。
【0063】
よって、本実施の形態で、ロボット30が行う処理は、ユーザとの会話によってコミュニケーションを進行させる対話型コミュニケーション装置のコンピュータに、ユーザからなされた機器のエネルギー消費状態に関するユーザ会話を取得する会話取得機能と、機器のエネルギー消費量のデータを取得する消費量データ取得機能と、取得された消費量データに基づき、機器の使用に関するアドバイスを生成する生成機能と、取得されたユーザ会話に応じて、アドバイスをユーザに対して提供する提供機能と、を実現させるためのプログラムとして捉えることもできる。
【0064】
なお、本実施の形態を実現するプログラムは、ネットワーク等の通信手段により提供することはもちろんCD-ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【符号の説明】
【0065】
1…情報提供システム、10…ホームサーバ、11、31…送受信部、13…算出部、30…ロボット、34…再生部、36…決定部
図1
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図3
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図5
図6
図7