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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-07
(45)【発行日】2024-08-16
(54)【発明の名称】脱硝触媒研磨装置
(51)【国際特許分類】
   B01J 38/00 20060101AFI20240808BHJP
   B01J 35/57 20240101ALI20240808BHJP
   B01D 53/96 20060101ALI20240808BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
B01J38/00 A ZAB
B01J35/57 J
B01D53/96 500
B01D53/86 222
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020535147
(86)(22)【出願日】2020-02-28
(86)【国際出願番号】 JP2020008545
(87)【国際公開番号】W WO2021171625
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】392026073
【氏名又は名称】ハシダ技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】吉河 敏和
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和広
(72)【発明者】
【氏名】盛田 啓一郎
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 亨浩
(72)【発明者】
【氏名】伊田 展充
(72)【発明者】
【氏名】坂本 大輔
(72)【発明者】
【氏名】日高 広大
【審査官】安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-104581(JP,A)
【文献】国際公開第2014/155628(WO,A1)
【文献】特開2008-055572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00-38/74
B01D 53/86-53/90,53/94-53/96
B24C 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延びる複数の貫通孔が設けられた脱硝触媒の前記貫通孔に、空気と共に研磨材を流通させて、前記貫通孔の内面を研磨する脱硝触媒研磨装置であって、
前記脱硝触媒の上流側に配置され、研磨材と空気とを混合する混合部と、
前記混合部と、前記脱硝触媒との間に配置され、空気と混合された研磨材が流通する流入路と、
前記脱硝触媒の下流側に配置され、空気と共に研磨材と被研磨物とを吸引する吸引部と、
前記混合部に研磨材を供給する研磨材供給路と、を有し、
前記研磨材供給路には、研磨材を圧送する圧送機構が設けられ
前記脱硝触媒の下流側に配置され、前記脱硝触媒を研磨後の研磨材と、被研磨物とを分離する分級部を有し、
前記分級部は、前記混合部よりも高い位置に配置され、
前記研磨材供給路は、前記分級部と上流側が連結され、前記分級部から下方に垂下する第1研磨材供給路と、
前記第1研磨材供給路の下流側に設けられ、前記混合部に連結される第2研磨材供給路と、
前記第1研磨材供給路と、前記第2研磨材供給路とを連結する連結部と、を有し、
前記圧送機構は、前記連結部、及び前記混合部に設けられるブラストガンに圧縮空気を供給して研磨材を圧送する、脱硝触媒研磨装置。
【請求項2】
前記研磨材供給路は、前記分級部で分離された研磨材を前記混合部に供給する、請求項1に記載の脱硝触媒研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱硝触媒を研磨する、脱硝触媒研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電所では、石炭燃焼に伴い窒素酸化物が発生する。環境保全のため、窒素酸化物の排出量は一定水準以下に抑える必要がある。このため、火力発電所には窒素酸化物を還元するための脱硝触媒が充てんされた脱硝装置が設置されている。脱硝触媒は、使用の継続に伴い性能が低下する。性能の低下した脱硝触媒を再生する技術の一つとして研磨再生が挙げられる。研磨再生は、性能の低下した脱硝触媒の表面を研磨することで、触媒性能を回復させる技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2014/155628号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、研磨材(研削材)と気体との混合物を脱硝触媒の貫通孔に通過させて、貫通孔の内壁を研磨する脱硝触媒の再生方法に関する技術が開示されている。脱硝触媒の上流側には、研磨材と気体とを混合する混合部が配置され、脱硝触媒の下流側には、混合部の気体を吸引する集塵部が設けられている。
【0005】
特許文献1に開示された技術は、主に脱硝触媒の下流側に設けられる集塵部の吸引力により研磨材と気体との混合物を吸引し、研磨材を脱硝触媒の貫通孔に流通させるものである。このため、脱硝触媒の貫通孔を流通する研磨材の流速に限界があり、脱硝触媒の研磨効率の観点から改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、研磨材の流速を向上させ、脱硝触媒の研磨効率を向上できる脱硝触媒研磨装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、長手方向に延びる複数の貫通孔が設けられた脱硝触媒の前記貫通孔に、空気と共に研磨材を流通させて、前記貫通孔の内面を研磨する脱硝触媒研磨装置であって、前記脱硝触媒の上流側に配置され、研磨材と空気とを混合する混合部と、前記混合部と、前記脱硝触媒との間に配置され、空気と混合された研磨材が流通する流入路と、前記脱硝触媒の下流側に配置され、空気と共に研磨材と被研磨物とを吸引する吸引部と、前記混合部に研磨材を供給する研磨材供給路と、を有し、前記研磨材供給路には、研磨材を圧送する圧送機構が設けられる、脱硝触媒研磨装置に関する。
【0008】
前記脱硝触媒の下流側に配置され、前記脱硝触媒を研磨後の研磨材と、被研磨物とを分離する分級部を有し、前記研磨材供給路は、前記分級部で分離された研磨材を前記混合部に供給することが好ましい。
【0009】
前記分級部は、前記混合部よりも高い位置に配置され、前記研磨材供給路は、上流側が前記分級部と連結され、前記分級部から下方に垂下する第1研磨材供給路と、前記第1研磨材供給路の下流側に設けられ、前記混合部に連結される第2研磨材供給路と、前記第1研磨材供給路と、前記第2研磨材供給路とを連結する連結部と、を有し、前記圧送機構は、前記連結部において圧縮空気を供給して研磨材を圧送することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、研磨材の流速を向上させ、脱硝触媒の研磨効率を向上できる脱硝触媒研磨装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る脱硝触媒が使用される火力発電設備の構成図である。
図2】火力発電設備における脱硝装置の構成例を示す図である。
図3】本実施形態に係る脱硝触媒研磨装置の概略構成図である。
図4】本実施形態に係る脱硝触媒研磨装置の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の実施形態に係る脱硝触媒研磨装置の被研磨対象である脱硝触媒は、例えば、以下説明する石炭火力発電設備100で一定期間使用され、性能の低下した脱硝触媒Cである。
【0013】
[石炭火力発電設備]
図1に示すように、石炭火力発電設備100は、石炭バンカ110と、給炭機115と、微粉炭機120と、微粉炭供給管130と、燃焼ボイラ140と、燃焼ボイラ140の下流側に設けられる排気通路150と、この排気通路150に設けられる脱硝装置160、空気予熱器170、熱回収用ガスヒータ180、電気集塵装置190、誘引通風機210、湿式脱硫装置220、再加熱用ガスヒータ230、脱硫通風機240、及び煙突250と、を備える。
【0014】
石炭バンカ110は、図示しない石炭サイロから運炭設備により供給される石炭を貯蔵する。給炭機115は、石炭バンカ110から供給される石炭を所定の供給スピードで微粉炭機120に供給する。
微粉炭機120は、給炭機115から供給された石炭を平均粒径60μm~80μmに粉砕して微粉炭を製造する。微粉炭機120としては、ローラミル、チューブミル、ボーラミル、ビータミル、インペラーミル等が用いられる。
【0015】
燃焼ボイラ140は、微粉炭供給管微粉炭機130から供給された微粉炭を、強制的に供給された空気と共に微粉炭バーナbにより燃焼する。微粉炭を燃焼することによりクリンカアッシュ及びフライアッシュなどの石炭灰が生成されると共に、排ガスが発生する。クリンカアッシュとは、石炭灰のうち、燃焼ボイラ140の底部に落下する塊状の石炭灰をいう。フライアッシュとは、石炭灰のうち、排ガスと共に排気通路150側に流通する、粒径の小さい(粒径200μm程度以下)の石炭灰をいう。
排気通路150は、燃焼ボイラ140の下流側に配置され、燃焼ボイラ140で発生した排ガス及び石炭灰を流通させる。
【0016】
脱硝装置160は、排ガス中の窒素酸化物を除去する。脱硝装置160は、例えば、乾式アンモニア接触還元法により排ガス中の窒素酸化物を除去する。乾式アンモニア接触還元法は、比較的高温(300℃~400℃)の排ガス中に還元剤としてアンモニアガスを注入し、脱硝触媒との作用により排ガス中の窒素酸化物を窒素と水蒸気に分解する方法である。
【0017】
脱硝装置160は、図2に示すように、脱硝反応が行われる脱硝反応器161と、脱硝反応器161の内部に配置される複数段の脱硝触媒層162とを備える。脱硝触媒層162は、複数のケーシング163により構成される。ケーシング163には、複数の脱硝触媒Cが収容される。
脱硝触媒Cは、長手方向に延びる複数の貫通孔C1が形成されたハニカム構造を有する、長尺状(直方体状)の触媒である。複数の脱硝触媒Cは、貫通孔C1の延びる方向が排ガスの流路に沿うように配置される。
【0018】
空気予熱器170は、排気通路150における脱硝装置160の下流側に配置される。空気予熱器170は、脱硝装置160を通過した排ガスと燃焼用空気とを熱交換させ、排ガスを冷却すると共に、燃焼用空気を加熱する。加熱された燃焼用空気は、押込通風機175によりボイラ140に供給される。
【0019】
熱回収用ガスヒータ180は、排気通路150における空気予熱器170の下流側に配置される。熱回収用ガスヒータ180には、空気予熱器170において熱回収された排ガスが供給される。熱回収用ガスヒータ180は、排ガスから更に熱回収を行う。
【0020】
電気集塵装置190は、排気通路150における熱回収用ガスヒータ180の下流側に配置される。電気集塵装置190には、熱回収用ガスヒータ180において熱回収された排ガスが供給される。電気集塵装置190は、電極に電圧を印加することによって排ガス中の石炭灰(フライアッシュ)を収集(捕捉)する装置である。電気集塵装置190において収集(捕捉)されるフライアッシュは、フライアッシュ回収装置191に回収される。
【0021】
誘引通風機210は、排気通路150における電気集塵装置190の下流側に配置される。誘引通風機210は、電気集塵装置190においてフライアッシュが除去された排ガスを、一次側から取り込んで二次側に送り出す。
【0022】
脱硫装置220は、排気通路150における誘引通風機210の下流側に配置される。脱硫装置220には、誘引通風機210から送り出された排ガスが供給される。脱硫装置220は、例えば湿式石灰-石膏法により排ガス中の硫黄酸化物を除去する。湿式石灰-石膏法は、排ガスに石灰石と水との混合液を吹き付けることにより、排ガスに含有されている硫黄酸化物を混合液に吸収させて脱硫石膏スラリーを生成させ、排ガス中の硫黄酸化物を除去する方法である。この際に発生したホウ素やセレン等の微量物質が含まれる排水は、排水処理装置221によって処理される。
【0023】
再加熱用ガスヒータ230は、排気通路150における脱硫装置220の下流側に配置される。再加熱用ガスヒータ230には、脱硫装置220において硫黄酸化物が除去された排ガスが供給される。再加熱用ガスヒータ230は、排ガスを加熱する。熱回収用ガスヒータ180及び再加熱用ガスヒータ230は、排気通路150における、空気予熱器170と電気集塵装置190との間を流通する排ガスと、脱硫装置220と脱硫通風機240との間を流通する排ガスと、の間で熱交換を行うガス-ガスヒータとして構成してもよい。
【0024】
脱硫通風機240は、排気通路150における再加熱用ガスヒータ230の下流側に配置される。脱硫通風機240は、再加熱用ガスヒータ230において加熱された排ガスを一次側から取り込んで二次側に送り出す。
【0025】
煙突250は、排気通路150における脱硫通風機240の下流側に配置される。煙突250には、再加熱用ガスヒータ230で加熱された排ガスが導入される。煙突250は、排ガスを排出する。
【0026】
[脱硝触媒研磨装置]
上記説明した石炭火力発電設備100に用いられる脱硝触媒Cは、使用の継続に伴いシンタリング等の熱的劣化、触媒成分の被毒による化学的劣化、及び煤塵が触媒表面を被覆する物理的劣化等により、脱硝性能が低下する。脱硝性能が低下した脱硝触媒Cは、触媒表面である貫通孔C1の内面を研磨し、表面の付着物等を除去することで脱硝性能が回復する。
以下、脱硝性能の低下した脱硝触媒Cの貫通孔C1の内面を研磨し、脱硝性能を回復させる脱硝触媒研磨装置1について説明する。
【0027】
本実施形態に係る脱硝触媒研磨装置1は、脱硝触媒Cの貫通孔C1に空気と共に研磨材Aを流通させて、貫通孔C1の内面を研磨する装置である。脱硝触媒研磨装置1は、図3に示すように、混合部10と、流入路20と、流出路30と、サイクロン40と、コンプレッサ50と、バグフィルタ60と、吸引ファン70と、を備える。脱硝触媒研磨装置1の被研磨対象である脱硝触媒Cは、流入路20における上流側固定部材22と、流出路30における下流側固定部材32との間に挟持される。脱硝触媒Cは、脱硝触媒Cの貫通孔C1の流路方向が水平面に対して略垂直になるように固定される。
【0028】
混合部10は、空気と研磨材Aとを混合し、流入路20を介して脱硝触媒Cに空気と混合された研磨材Aを供給する。混合部10には、ブラストガン11と、漏斗部12と、これらを収容するキャビネット13とが設けられる。ブラストガン11は、エアホース51aを介してコンプレッサ50と連結されており、圧縮空気を噴射可能である。ブラストガン11は、複数台設けられていてもよい。ブラストガン11には、後述する第2研磨材供給路33bが連結される。ブラストガン11から圧縮空気が噴射されると、エジェクター効果が生じ、第2研磨材供給路33bを通じて研磨材Aがブラストガン11内に供給される。そして、ブラストガン11の内部で研磨材Aと圧縮空気とが混合され、漏斗部12に噴射される。噴射された研磨材Aは、空気と均一に混合された状態で、漏斗部12を通じて流入路20に流入する。
【0029】
流入路20は、脱硝触媒Cの上流側の流路であり、空気と混合された研磨材Aが流入する流路である。流入路20は、上流側流路21及び上流側固定部材22からなる。上流側流路21は、屈曲部を有する流路であり、上流側が漏斗部12と連結され、下流側が上流側固定部材22と連結される。上流側固定部材22は、直線状の流路を有し、下流側が脱硝触媒Cの下端部(上流側端部)と連結されて脱硝触媒Cを固定する。
【0030】
流出路30は、脱硝触媒Cの下流側の流路である。流出路30は、研磨材Aと、脱硝触媒Cの表面が研磨されることで生じた被研磨物とが流通する流路である。研磨材Aと被研磨物とは、吸引部としての吸引ファン70により空気と共に吸引される。流出路30の途中にはサイクロン40が設けられ、研磨材Aと被研磨物とが分離される。
流出路30は、脱硝触媒Cの上端部(下流側端部)と連結されて脱硝触媒Cを固定する下流側固定部材32と、下流側固定部材32とサイクロン40とを連結する下流側流路31と、サイクロン40と混合部10とを連結する研磨材供給路と、を有する。研磨材供給路は、第1研磨材供給路33a、第2研磨材供給路33b、及び連結部34からなる。第1研磨材供給路33a及び第2研磨材供給路33bは、連結部34によって連結される。連結部34は、エアホース51bを通じてコンプレッサ50と連結される。連結部34には、圧縮空気が供給され、研磨材Aが第2研磨材供給路33bを通じて混合部10に圧送される。第1研磨材供給路33a、第2研磨材供給路33b、連結部34、及びエアホース51bの構成は後段で詳述する。
【0031】
サイクロン40は、分級部であり、混合部10よりも高い位置に配置される公知のサイクロン分級器である。サイクロン40の上流端は、下流側流路31と連結される。サイクロン40の下部には第1研磨材供給路33aが連結され、サイクロン40により分離された研磨材Aは、重力により落下し、第1研磨材供給路33aを通じて混合部10に供給される。なお、図3上、サイクロン40により分離される研磨材Aは、1つの流路を通じて混合部10に供給されるが、複数の流路を通じて混合部10に供給されてもよい。
サイクロン40の下流端は、搬送パイプ41と連結され、搬送パイプ41の下流端は、バグフィルタ60と連結される。サイクロン40により分離された被研磨物は、空気と共に搬送パイプ41を通じてバグフィルタ60に流入する。
【0032】
バグフィルタ60は、公知の集塵装置である。バグフィルタ60は、脱硝触媒Cの被研磨物を含む空気中の粉塵を捕集する。捕集された粉塵は、バグフィルタ60の下部に設けられた図示しない貯蔵部に貯蔵され、所望のタイミングで回収される。バグフィルタ60の下流端は、連結パイプ61と連結される。連結パイプ61の下流端は、吸引部としての吸引ファン70に連結される。バグフィルタ60を通過して粉塵が除去された清浄な空気は、吸引ファン70によって吸引されて、排気ダクト71により大気中に排出される。
【0033】
次に、第1研磨材供給路33a及び第2研磨材供給路33b、連結部34、及びエアホース51bの構成の詳細について、図面を参照して以下説明する。
図4は、脱硝触媒研磨装置1の連結部34付近を拡大した斜視図である。図4に示すように、本実施形態において、第1研磨材供給路33a及び第2研磨材供給路33bと、連結部34と、エアホース51bとは、4組配置される。第2研磨材供給路33bの下流側は、混合部10におけるブラストガン11と連結される。このように、複数組の研磨材供給路を設け、複数のブラストガン11で混合部10において研磨材Aを空気と混合させる。これにより、研磨材Aの流量を増加させた場合であっても、混合部10で研磨材Aを好ましく空気と混合させて分散できる。上記研磨材供給路の数は特に制限されない。
【0034】
図4における第1研磨材供給路33a1、33a2、33a3、及び33a4は、図3における第1研磨材供給路33aに対応し、図4における第2研磨材供給路33b1、33b2、33b3、及び33b4は、図3における第2研磨材供給路33bに対応し、図4における連結部341、342、343、及び344は、図3における連結部34に対応し、図4におけるエアホース51b1、51b2、51b3、及び51b4は、図3
におけるエアホース51bに対応する。
【0035】
第1研磨材供給路33aは、内部を研磨材Aが流通可能な流路であり、上流側がサイクロン40に連結される。第1研磨材供給路33aは、図3及び図4に示すように、水平面に対して略垂直の流路を有する。第1研磨材供給路33aの下流側端部は、連結部34と連結される。サイクロン40により分離された研磨材Aは、第1研磨材供給路33aに流入し、自重により落下して連結部34に供給される。
【0036】
連結部34は、3つの流路を連結可能な部材であり、例えば内部にT字型の流路を有する。連結部34の上端には第1研磨材供給路33aが連結され、一端には第2研磨材供給路33bが連結され、他端にはエアホース51bが連結される。第2研磨材供給路33bの連結箇所と、エアホース51bの連結箇所とは対向していることが好ましい。即ち、第2研磨材供給路33bと、エアホース51bの流路方向が略同一となるように、連結部34によって連結されることが好ましい。これにより、研磨材Aの圧送効率を向上できる。
【0037】
エアホース51bは、連結部34及びコンプレッサ50と連結されており、圧縮空気が流通する圧縮空気流路である。エアホース51bは、コンプレッサ50と共に連結部34に対し圧縮空気を供給する圧送機構を構成する。エアホース51bを通じて連結部34に供給される圧縮空気の空気圧は、図示しないレギュレータによって調整される。第1研磨材供給路33aを介して連結部34に供給される研磨材Aは、エアホース51bを通じて連結部34に供給される圧縮空気により、第2研磨材供給路33b側に圧送される。このような圧送機構を研磨材供給路内に設けることで、脱硝触媒Cの貫通孔C1に流入する研磨材Aの流速が向上する。例えば、脱硝触媒研磨装置1内に上記圧送機構を設けない場合と比較し、研磨材Aの流量を単位時間当たり重量で1.5倍以上に増加させることができる。また、吸引ファン70とブラストガン11のみを動力として研磨材Aを流通させる場合と比較し、特に脱硝触媒Cの上流側の研磨材Aの流速を向上できる。
【0038】
第2研磨材供給路33bは、内部を研磨材Aが流通可能な流路であり、上流側が連結部34に連結され、下流側が混合部10におけるブラストガン11に連結される。第2研磨材供給路33bは、第1研磨材供給路33aを介して連結部34に供給された研磨材Aを、ブラストガン11に供給する流路である。第2研磨材供給路33bの上記以外の構成は特に制限されないが、圧損を防止するため、可能な限り屈曲部を設けずに配置することが好ましい。
【0039】
(研磨再生方法)
次に、脱硝触媒研磨装置1を用いて脱硝触媒Cを研磨再生する方法について説明する。
脱硝触媒研磨装置1の被研磨対象である、脱硝性能が低下した脱硝触媒Cを、石炭火力発電設備100の脱硝装置160から取り外す。この際、脱硝触媒Cの貫通孔C1は、石炭灰等で閉塞されている場合があるため、適宜エアブローや水洗等により閉塞物を取り除く。次に、上流側固定部材22と、下流側固定部材32との間に脱硝触媒Cを挟持し、脱硝触媒Cを固定する。この際、例えば脱硝触媒Cの、脱硝装置160における排ガスの入口側端部であった付着物の多い側を、研磨材Aの流速の高い下流側となるように配置して固定してもよい。
【0040】
脱硝触媒研磨装置1の作動を開始すると、吸引ファン70及びコンプレッサ50が作動を開始し、混合部10で空気と混合された研磨材Aが吸引ファン70により上流側に吸引される。研磨材Aは、上流側流路21及び上流側固定部材22を介して脱硝触媒Cの貫通孔C1に流入し、下流側固定部材32から流出する。流出した研磨材Aと被研磨物とは、空気と共に吸引ファン70により吸引されて、下流側流路31を介してサイクロン40に流入する。サイクロン40では、研磨材Aと被研磨物とが分離され、研磨材Aは第1研磨材供給路33aを介して連結部34に流入する。連結部34に流入した研磨材Aは、エアホース51bを通じて供給される圧縮空気によって、第2研磨材供給路33bを介して混合部10に圧送される。即ち、研磨材Aは脱硝触媒研磨装置1内を循環する。混合部10に圧送された研磨材Aは、吸引ファン70とブラストガン11のみを動力として研磨材Aを流通させる場合と比較し、高い流速で脱硝触媒Cの貫通孔C1を流通する。
サイクロン40で分離された被研磨物は吸引ファン70により吸引されて、搬送パイプ41を介してバグフィルタ60に流入して捕集される。被研磨物が捕集された後の空気は排気ダクト71を通じて外部に排出される。所定時間、脱硝触媒研磨装置1の作動を継続させ、脱硝触媒Cの貫通孔C1の内面を研磨し、貫通孔C1の内面に付着した付着物等を取り除くことで脱硝触媒Cを再生する。
【0041】
以上説明した実施形態に係る脱硝触媒研磨装置1によれば、以下の効果が奏される。
脱硝触媒研磨装置1を、脱硝触媒Cの上流側に配置され、研磨材Aと空気とを混合する混合部10と、混合部10と脱硝触媒Cとの間に配置され、空気と混合された研磨材Aが流入する流入路20と、脱硝触媒Cの下流側に配置され、空気と共に研磨材Aと被研磨物とを吸引する吸引ファン70と、混合部10に研磨材を供給する研磨材供給路33a及び33bと、を有し、研磨材供給路には、圧縮空気を供給して研磨材Aを圧送する圧送機構としてのコンプレッサ50及びエアホース51bを設けた。これにより、脱硝触媒Cに空気と混合されて流入する研磨材Aの流速を向上でき、脱硝触媒の研磨効率を向上できる。
【0042】
脱硝触媒研磨装置1を、脱硝触媒Cの下流側に配置され、脱硝触媒Cを研磨後の研磨材Aと、被研磨物とを分離する分級部としてのサイクロン40を有し、研磨材供給路33a及び33bは、サイクロン40で分離された研磨材Aを混合部10に供給するものとした。これにより、サイクロン40から混合部10に研磨材Aを供給する供給路内に圧送機構が設けられる。従って、装置内を研磨材Aが循環する構成において、新たな構成の追加を最小限にしつつ、圧送機構を設けることができる。
【0043】
サイクロン40は、混合部10よりも高い位置に配置され、研磨材供給路を、サイクロン40と連結され、サイクロン40から下方に垂下する第1研磨材供給路33aと、第1研磨材供給路の下流側に設けられ、混合部10に連結される第2研磨材供給路33bと、これらを連結する連結部34と、を備え、コンプレッサ50とエアホース51bからなる圧送機構は、連結部34において圧縮気体を供給して研磨材Aを圧送するものとした。これにより、第1研磨材供給路を流通する研磨材Aは、自重により落下して連結部34に供給されるため、圧送機構による研磨材Aの圧送効率を向上できる。
【0044】
本発明は、上記実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0045】
上記実施形態において、第1研磨材供給路33aを、水平面に対して略垂直な流路を有するものとして説明したが、この構成に限定されない。第1研磨材供給路33aは、サイクロン40から下方に垂下し、流路内を流通する研磨材Aが自重により落下可能なものであればよい。例えば、斜方に傾斜した流路を含んでいてもよい。
【0046】
上記実施形態において、エアホース51aを通じてブラストガン11に圧縮空気を供給するコンプレッサ50と、エアホース51bを通じて連結部34に圧縮空気を供給するコンプレッサ50を共通のものとして説明したが、この構成に限定されない。ブラストガン11に圧縮空気を供給するコンプレッサとは別に、連結部34に圧縮空気を供給するコンプレッサを設けてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 脱硝触媒研磨装置
10 混合部
20 流入路
33a 第1研磨材供給路
33b 第2研磨材供給路
34 連結部
40 サイクロン(分級部)
50 コンプレッサ(圧送機構)
51b エアホース(圧送機構)
70 吸引ファン(吸引部)
C 脱硝触媒
C1 貫通孔
図1
図2
図3
図4