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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-07
(45)【発行日】2024-08-16
(54)【発明の名称】耐火シールアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/10 20060101AFI20240808BHJP
【FI】
F16J15/10 A
【請求項の数】 44
(21)【出願番号】P 2020547106
(86)(22)【出願日】2019-03-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 US2019021710
(87)【国際公開番号】W WO2019194937
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2022-03-11
(31)【優先権主張番号】62/640,961
(32)【優先日】2018-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514179458
【氏名又は名称】グリーン, ツイード テクノロジーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】プレイト, デヴィン
(72)【発明者】
【氏名】オクラデック, スティーブ
(72)【発明者】
【氏名】ロンドン, ローレンス エス.
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0124193(US,A1)
【文献】米国特許第03907307(US,A)
【文献】米国特許第04234197(US,A)
【文献】実開昭53-104863(JP,U)
【文献】米国特許第06318729(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0219592(US,A1)
【文献】米国特許第05611547(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0257441(US,A1)
【文献】特開昭63-030665(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0087977(US,A1)
【文献】特表平09-506160(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0025119(US,A1)
【文献】特開昭57-161385(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/00-15/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐火シールアセンブリであって、
エラストマ材料を含む第1のシールと、
前記第1のシールを受容するための第1のシールに面した表面を有する第1の押出防止シールであって、前記第1のシールに面した表面は、前記第1のシールに面した表面に沿って延在する溝と、縦断面で視認されたときにグランドとのシール接触のために構成されている切頂V字形部分および斜切端部分を有する外面とを画定する、第1の押出防止シールと、
前記第1の押出防止シールを受容するための第2のシールに面した表面を有する少なくとも1つの第2の押出防止シールであって、前記第2のシールに面した表面は、前記第2のシールに面した表面に沿って延在する溝と、縦断面で視認されたときにグランドとのシール接触のために構成されている切頂V字形部分および斜切端部分を有する外面とを画定し、前記第1の押出防止シールの外面は、前記第1の押出防止シールの外面の一部が前記少なくとも1つの第2の押出防止シールの第2のシールに面した表面に接触するように、前記少なくとも1つの第2の押出防止シールの溝内に少なくとも部分的に位置付けられている、少なくとも1つの第2の押出防止シールと、
前記少なくとも1つの第2の押出防止シールを受容するための第3のシールに面した表面を有する少なくとも1つのバッカリングであって、前記第3のシールに面した表面は、前記第3のシールに面した表面に沿って延在する溝と、縦断面で視認されたときに切頂V字形を有する外面とを画定し、前記少なくとも1つの第2の押出防止シールの外面は、前記少なくとも1つの第2の押出防止シールの外面の一部が前記少なくとも1つのバッカリングの第3のシールに面した表面に接触するように、前記少なくとも1つのバッカリングの溝内に少なくとも部分的に位置付けられている、少なくとも1つのバッカリングと
を備え、
前記第1の押出防止シールは、第1のポリマー材料を含み、前記少なくとも1つの第2の押出防止シールは、第2のポリマー材料を含み、
前記第1の押出防止シールの前記第1のポリマー材料の分解温度は、前記第1のシールの前記エラストマ材料の分解温度よりも高く、
前記少なくとも1つの第2の押出防止シールの前記第2のポリマー材料の分解温度は、
前記第1の押出防止シールの前記第1のポリマー材料の分解温度よりも高く、
分解温度は、シールがもはやグランドとシールを形成することができないように、前記シールが分解する、劣化する、または、不可逆的に破損する温度である、耐火シールアセンブリ。
【請求項2】
前記シールアセンブリは、不燃性である、請求項1に記載の耐火シールアセンブリ。
【請求項3】
前記第1のシールは、環状であり、かつ、略円形縦断面を有する、請求項1に記載の耐火シールアセンブリ。
【請求項4】
前記エラストマ材料は、エチレンプロピレンゴム、ニトリルゴム、シリコーン、フルオロシリコーン、フルオロエラストマ、パーフルオロエラストマから選択される、請求項1に記載の耐火シールアセンブリ。
【請求項5】
前記エラストマ材料は、エチレンプロピレンゴム、ニトリルゴム、フルオロエラストマから選択される、請求項4に記載の耐火シールアセンブリ。
【請求項6】
前記第1の押出防止シールの第1のシールに面した表面によって画定されている前記溝は、前記第1のシールに面した表面の周囲に環状に延在する、請求項1に記載の耐火シールアセンブリ。
【請求項7】
前記第1の押出防止シールの第1のシールに面した表面は、縦断面図で略V字形である、請求項1に記載の耐火シールアセンブリ。
【請求項8】
前記第1の押出防止シールの第1のシールに面した表面は、第1の脚部と第2の脚部とを備え、前記第1の脚部および前記第2の脚部は、交差点において交差し、前記交差点から前記第1の脚部と前記第2の脚部との間で測定される角度は、約60度~約120度である、請求項7に記載の耐火シールアセンブリ。
【請求項9】
前記第1のシールに面した表面の前記第1の脚部と前記第2の脚部との間で測定される角度は、約80度~約100度である、請求項8に記載の耐火シールアセンブリ。
【請求項10】
前記第1の脚部および前記第2の脚部は、前記第1のシールに面した表面内の円弧状屈曲部において交差する、請求項8に記載の耐火シールアセンブリ。
【請求項11】
前記第1の押出防止シールは、第1のポリマー材料を含み、前記第1のポリマー材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリイミド(PI)、および、これらのコポリマー、誘導体、組み合わせから選択される、請求項1に記載の耐火シールアセンブリ。
【請求項12】
前記第1のポリマー材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である、請求項11に記載の耐火シールアセンブリ。
【請求項13】
前記第1のポリマー材料は、充填材、補強材料、または、充填材および補強材料の組み合わせを含む、請求項11に記載の耐火シールアセンブリ。
【請求項14】
前記第2のポリマー材料は、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリイミド(PI)、および、これらのコポリマー、誘導体、組み合わせを含む、請求項1に記載の耐火シールアセ
ンブリ。
【請求項15】
前記第2のポリマー材料は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)である、請求項14に記載の耐火シールアセンブリ。
【請求項16】
前記第2のポリマー材料は、充填材、補強材料、または、充填材および補強材料の組み合わせを含む、請求項1に記載の耐火シールアセンブリ。
【請求項17】
前記少なくとも1つのバッカリングは、前記第1のポリマー材料または前記第2のポリマー材料のいずれかよりも剛性である第3の材料を含む、請求項1に記載の耐火シールアセンブリ。
【請求項18】
前記少なくとも1つのバッカリングの第3の材料は、金属または金属合金を含む、請求項17に記載の耐火シールアセンブリ。
【請求項19】
前記第3の材料は、アルミニウム-ニッケル-青銅合金を含む、請求項18に記載の耐火シールアセンブリ。
【請求項20】
前記第3の材料は、真鍮を含む、請求項18に記載の耐火シールアセンブリ。
【請求項21】
前記少なくとも1つのバッカリングは、実質的に一様な厚さを有し、前記厚さは、前記少なくとも1つのバッカリングを通して前記第3のシールに面した表面と垂直な軸に沿って、前記第3のシールに面した表面から前記少なくとも1つのバッカリングの外面まで測定される、請求項1に記載の耐火シールアセンブリ。
【請求項22】
前記耐火シールアセンブリは、少なくとも2つのバッカリングを備え、前記少なくとも2つのバッカリングは、対向係合でスタックされる、請求項1に記載の耐火シールアセンブリ。
【請求項23】
前記耐火シールアセンブリは、双方向構成を有する、請求項1に記載の耐火シールアセンブリ。
【請求項24】
前記耐火シールアセンブリは、油圧構成要素のグランド内に配設されており、前記油圧構成要素が約2,000°Fの温度を有する火炎に暴露されるとき、前記耐火シールアセンブリは、前記耐火シールアセンブリの破損に先立って少なくとも約6分にわたってシールを維持する、請求項1に記載の耐火シールアセンブリ。
【請求項25】
前記耐火シールアセンブリは、前記耐火シールアセンブリの破損に先立って少なくとも15分にわたってシールを維持する、請求項24に記載の耐火シールアセンブリ。
【請求項26】
前記耐火シールアセンブリは、3つの押出防止シールを有し、第3の押出防止シールが、前記第1の押出防止シールと前記少なくとも1つの第2の押出防止シールとの間に位置する、請求項1に記載の耐火シールアセンブリ。
【請求項27】
耐火油圧構成要素であって、
前記耐火油圧構成要素は、請求項1に記載の耐火シールアセンブリを有する油圧構成要素を備え、
前記耐火シールアセンブリは、前記油圧構成要素からの油圧流体の漏出を防止するように構成されている、耐火油圧構成要素。
【請求項28】
前記油圧構成要素は、油圧アクチュエータである、請求項24に記載の耐火油圧構成要素。
【請求項29】
油圧構成要素内の耐火性を改良する方法であって、前記方法は、油圧構成要素のグランド内に請求項1に記載の耐火シールアセンブリを配設することを含む、方法。
【請求項30】
前記油圧構成要素が加熱されるとき、前記耐火シールアセンブリの破損時の前記油圧構成要素の最高内部温度は、少なくとも約1,075°Fである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記油圧構成要素が加熱されるとき、前記耐火シールアセンブリの破損時の前記油圧構成要素の最高内部温度は、少なくとも約1,175°Fである、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
耐火シールアセンブリであって、
エラストマ材料を含む第1のシールと、
前記第1のシールを受容するための第1のシールに面した表面を有する第1の押出防止シールであって、前記第1のシールに面した表面は、前記第1のシールに面した表面に沿って延在する溝と、外面とを画定し、前記第1の押出防止シールは、前記第1のシールのエラストマ材料の分解温度よりも高い分解温度を有する第1のポリマー材料を含む、第1の押出防止シールと、
前記第1の押出防止シールを受容するための第2のシールに面した表面を有する少なくとも1つの第2の押出防止シールであって、前記第2のシールに面した表面は、前記第2のシールに面した表面に沿って延在する溝と、外面とを画定し、前記第2のシールに面した表面は、前記第1の押出防止シールの外面に面し、前記少なくとも1つの第2の押出防止シールのそれぞれは、前記第1の押出防止シールの前記第1のポリマー材料の分解温度よりも高い分解温度を有する第2のポリマー材料を含む、第2の押出防止シールと、
前記少なくとも1つの第2の押出防止シールを受容するための第3のシールに面した表面を有する少なくとも1つのバッカリングであって、前記第3のシールに面した表面は、前記第3のシールに面した表面に沿って延在する溝を画定し、前記少なくとも1つのバッカリングの第3のシールに面した表面は、前記少なくとも1つの第2の押出防止シールの外面に面し、前記少なくとも1つのバッカリングは、金属または金属合金を含む、少なくとも1つのバッカリングと
を備え、
分解温度は、シールがもはやグランドとシールを形成することができないように、前記シールが分解する、劣化する、または、不可逆的に破損する温度である、耐火シールアセンブリ。
【請求項33】
前記第1のポリマー材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリイミド(PI)、および、これらのコポリマー、誘導体、組み合わせから選択される、請求項32に記載の耐火シールアセンブリ。
【請求項34】
前記第2のポリマー材料は、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリイミド(PI)、および、これらのコポリマー、誘導体、組み合わせから選択され、前記少なくとも1つの第2の押出防止シールのそれぞれは、同一または異なる第2のポリマー材料を有する、請求項33に記載の耐火シールアセンブリ。
【請求項35】
前記第1のポリマー材料および/または前記第2のポリマー材料は、充填材料、補強材料、または、充填材料および補強材料の組み合わせを含む、請求項32に記載の耐火シールアセンブリ。
【請求項36】
前記第1のシール、前記第1の押出防止シール、前記少なくとも1つの第2の押出防止シール、および前記少なくとも1つのバッカリングは、スタックされた構成で配列されている、請求項32に記載の耐火シールアセンブリ。
【請求項37】
縦断面図では、前記第1の押出防止シールの外面は、グランドとのシール接触のために構成されている斜切端部分を有する切頂V字形構成を備える、請求項32に記載の耐火シールアセンブリ。
【請求項38】
前記第1の押出防止シールの第1のシールに面した表面は、縦断面図で略V字形である、請求項32に記載の耐火シールアセンブリ。
【請求項39】
耐火油圧構成要素であって、
前記耐火油圧構成要素は、請求項32に記載の耐火シールアセンブリを有する油圧構成要素を備え、
前記耐火シールアセンブリは、前記油圧構成要素からの油圧流体の漏出を防止するように構成されている、耐火油圧構成要素。
【請求項40】
前記油圧構成要素は、油圧アクチュエータである、請求項39に記載の耐火油圧構成要素。
【請求項41】
油圧構成要素内の耐火性を改良する方法であって、前記方法は、油圧構成要素のグランド内に請求項32に記載の耐火シールアセンブリを配設することを含む、方法。
【請求項42】
前記耐火シールアセンブリが加熱されるとき、前記耐火シールアセンブリの破損時の前記油圧構成要素の最高内部温度は、少なくとも約1,075°Fである、請求項41に記載の油圧構成要素内の耐火性を改良する方法。
【請求項43】
前記耐火シールアセンブリが加熱されるとき、前記耐火シールアセンブリの破損時の前記油圧構成要素の最高内部温度は、少なくとも約1,175°Fである、請求項42に記載の油圧構成要素内の耐火性を改良する方法。
【請求項44】
耐火シールアセンブリであって、
エラストマ材料を含む第1のシールと、
前記第1のシールを受容するための第1のシールに面した表面を有する第1の押出防止シールであって、前記第1のシールに面した表面は、前記第1のシールに面した表面に沿って延在する溝と、縦断面で視認されたときにグランドとのシール接触のために構成されている切頂V字形部分および斜切端部分を有する外面とを画定し、前記第1の押出防止シールは、第1のポリマー材料を含む、第1の押出防止シールと、
前記第1の押出防止シールを受容するための第2のシールに面した表面を有する少なくとも1つの第2の押出防止シールであって、前記第2のシールに面した表面は、前記第2のシールに面した表面に沿って延在する溝と、縦断面で視認されたときに切頂V字形部分および斜切端部分を有する外面とを画定し、前記第1の押出防止シールの外面は、前記第1の押出防止シールの外面の一部は、前記少なくとも1つの第2の押出防止シールの第2のシールに面した表面に接触するように、前記少なくとも1つの第2の押出防止シールの溝内に少なくとも部分的に位置付けられており、前記第2の押出防止シールは、前記第1のポリマー材料と異なる第2のポリマー材料を含む、少なくとも1つの第2の押出防止シールと、
前記少なくとも1つの第2の押出防止シールを受容するための第3のシールに面した表面を有する、1つのバッカリングであって、前記第3のシールに面した表面は、前記第3のシールに面した表面に沿って延在する溝と、外面とを画定し、前記少なくとも1つの第2の押出防止シールは、前記バッカリングの溝内に少なくとも部分的に位置付けられているとき、前記少なくとも1つの第2の押出防止シールの外面の一部は、前記バッカリングの第3のシールに面した表面に接触し、前記バッカリングは、前記第2のポリマー材料の分解温度よりも高い分解温度を有する、ポリマー材料を含む、1つのバッカリングと
を備え、
前記第1の押出防止シールの前記第1のポリマー材料の分解温度は、前記第1のシールの前記エラストマ材料の分解温度よりも高く、
前記少なくとも1つの第2の押出防止シールの前記第2のポリマー材料の分解温度は、前記第1の押出防止シールの前記第1のポリマー材料の分解温度よりも高く、
分解温度は、シールがもはやグランドとにシールを形成することができないように、前記シールが分解する、劣化する、または、不可逆的に破損する温度である、耐火シールアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本非仮特許出願は、その開示全体が参照することによって本明細書に組み込まれる、2018年3月9日に出願された米国仮特許出願第62/640,961号の35 U.S.C. §119(e)の下での利益を主張する。
【0002】
本発明は、シールアセンブリに関する。具体的には、本発明は、特に、航空機エンジンの発火区域等の発火区域内の油圧アクチュエータおよび他の構成要素で使用するために適している、耐火シールアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
耐火および/または不燃性シールが、種々の業界および環境で要求される。耐火シールは、多くの場合、逆推力装置システム、ホース結合部、および燃料ポンプ等の航空機エンジン構成要素内で、および火災条件に暴露され得る他の航空機面積内で使用される。火災事象が、航空機エンジン内または周囲で発生するとき、油圧アクチュエータおよび他の油圧または燃料取扱構成要素は、火を伝搬するであろう流体を漏出することを可能にされてはならない。故に、油圧および燃料取扱構成要素のためのシールは、高温および火炎への暴露に耐え、流体がこれらの構成要素から漏出しないことを確実にするように設計されなければならない。
【0004】
航空機エンジン構成要素で使用されるシールは、概して、火災シールが、5分または15分等の固定時間周期にわたって火炎に暴露されたときにシールを維持することを要求する、「耐火性」または「不燃性」のための業界標準を満たさなければならない。業界標準は、Radio Technical Commission for Aeronautics (RTCA)によって公開されたDO-160G(Environmental Conditions and Test Procedures for Airborne Equipment)、Federal Aviation Administration (FAA) Advisory Circular 20-135(Powerplant Installation and Propulsion System Component Fire Protection Test Methods, Standards and Criteria)、FAA Advisory Circular 33.17-1A(Engine Fire Protection 33.17)、およびISO 2685(Aircraft-Environmental Test Procedure for Airborne Equipment-Resistance to Fire in Designated Fire Zone)に記載される火災試験要件を含む。RTCA/DO-160Gは、「耐火性」が、構成要素が「構造劣化を伴わずに5分の火災の間に危険な条件を引き起こしてはならない。流体取扱構成要素に関しては、バーナが除去された後に火炎を支援するための漏出が存在しないものとする」ことを要求すると規定する。異なる標準の間にある程度の変動が存在するが、発火区域で使用されるべき構成要素を試験するための一般的火災試験パラメータは、1,100℃(2,012°F)±80℃(176°F)の火炎温度および4,500BTU/時間の最小火炎熱流束密度を用いた、動作圧力における試験を含む。AC 20-135およびFAA (およびTCCA)の下でのより新しい標準は、「不燃性」材料を、少なくとも15分にわたって2,000°Fの火炎(±150°F)、または較正の間に1,850°Fを下回る熱電対読取値を伴わずに平均で最低2,000°Fに耐えることが可能であると解釈する。
【0005】
耐火性を提供するための従来の解決策が、概して、航空機の発火区域内の油圧ユニットまたは他の類似構成要素のための防火障壁または外部遮蔽の使用を含む一方で、従来のシールは、油圧ユニットの内側の流体構成要素に使用される。防火障壁は、概して、火災が航空機エンジンに到達しないように、かつ航空機の他の部品に拡散することを防止することに役立つように構成される。防火障壁は、航空機の本体とエンジン室との間等の航空機内の対向面または部品の間に位置付けられるべき高温シール構造を説明する、米国特許第4,468,043号に開示される。高温シールは、側方に圧縮可能である長いばね部材と、アブレーション材料の外側円形カバーと、耐高温材料の内側コアとを含む。カバーは、熱障壁として作用し、そのコアは、熱および火炎障壁としての役割を果たす。
【0006】
他の防火障壁タイプデバイスは、タービンエンジン構成要素の間の間隙をシールし、エンジン火災がタービンエンジンの別の部品に拡散することを防止するための防火シールを開示する、米国特許出願公開第2014/0075948号を含む。防火シールは、基礎部分およびそこから延在する曲線状部分を伴う、成型された本体を含む。防火シールはさらに、基礎部分を囲繞する金属シール支持体と、曲線状部分の半径方向内向きの表面とを含む。
【0007】
米国特許第5,251,917号は、航空機エンジン室とエンジン支持構造との間の相対移動が存在する面積内で効果的な熱および火炎障壁を維持するように、航空機エンジンで使用するための耐火シールを開示する。防火シールは、エラストマ材料の内層、耐火性であるセラミック繊維の中間層、および弾性生地の外層から形成される。耐火シールは、環状形の圧縮可能部分と、一体的に形成されたフランジ部分とを有してもよい。
【0008】
同様に、外部遮蔽が、油圧ユニットの加熱を防止する、または最小限にするために、かつ油圧ユニットが火炎に直接暴露されることを防止するために、油圧ユニットの上または周囲に位置付けられている。防火障壁および外部遮蔽は、延焼が油圧ユニットに到達することを防止する、および/または油圧ユニットの加熱を防止することに役立つが、空間制約が、典型的には、防火障壁および外部遮蔽の使用を困難または非実用的にする。さらに、外部防火解決策は、流体が火災事象を加速するように火災事象において油圧構成要素から漏出することを防止しない。
【0009】
防火シールが、油圧構成要素内での使用のために公知である。そのようなシールは、概して、典型的Oリングシールまたは金属シールのいずれかを含む。金属シールは、概して、完全に金属または合金から構築され、多くの場合、全ての温度レベルにおいて使用され得る、CまたはE字形シールの形態である。金属を使用して形成されるシールは、良好な耐高温性を提供し、多くの場合、定期的に高温条件に暴露されるエンジンホースおよびエンジン結合部内の面シールとして使用される。しかしながら、金属シールは、概して、金属間界面により、不良な漏出制御を有し、ロッドまたはピストンタイプシール用途では頻繁に使用されない。さらに、金属シールは、高価であり、特に、閉鎖グランド内に配設することが困難であり得る。
【0010】
油圧構成要素内での使用のための1つの防火シール解決策は、プレスリリース“Greene, Tweed Develops New Line of Flame Resistant Sealing Systems for Commercial Aircraft,” Greene, Tweed(2015年6月)、また、“Design Techniques to Protect Elastomeric Seals During Engine Fire Tests,” ASTN Aerospace Sealing Technology Newsletter, vol. 10, no. 1(1994年春)(その開示は、参照することによって関連性がある部分において本明細書に組み込まれる)に説明されるような本出願人のシール設計である。これらの出版物は、L字形エラストマシールと、1,000°Fを超える温度において押出抵抗を提供するためのカム付きバックアッププリングアセンブリとを有する、防火シールアセンブリを開示する。カム付きバックアッププリングアセンブリは、充填された熱可塑性材料の内蔵または内側バックアップリングと、銅合金をから成る外付けまたは外側バックアップリングとを含む。
【0011】
加えて、Taylor et al.の米国特許第3,869,132号は、火災の場合にフェイルセーフとして動作する、高温および圧力における流体を閉じ込めるためのシーリングリングの組み合わせを開示する。そのようなシーリングリングの組み合わせは、航空機内の油圧配管システムで使用するために教示される。シーリングリングの組み合わせは、一次エラストマシーリングリングと、エラストマシーリングリングの一部を少なくとも部分的に囲繞する曲線状脚部分を有する、二次偏向可能金属シーリングリングとを含む。
【0012】
特に、航空機内で、シールを維持し、延焼を防止することの重大な性質に起因して、火災事象の間に、高温においてより長い周期にわたって確実に、かつ一貫してシールを維持し得る、油圧および燃料取扱構成要素で使用するための耐火シールアセンブリの必要性が、当技術分野内に存在する。従来の防火シール解決策に対して削減されたコストにおいて十分な耐火性を提供する、耐火シール解決策も、所望される。
【0013】
さらに、火災を加速する、または部品破損を引き起こすであろう、構成要素からの流体の漏出を防止するように、航空機内の発火区域内、または他の環境内の発火区域内の油圧および燃料取扱構成要素で使用するために好適である、耐火シールアセンブリの必要性が、当技術分野内に存在する。さらに、火災から構成要素を保護するための既存の方法および不燃性または耐火性を提供するための既存の方法に対して、単純な設計、改良された耐火性、および改良された流体シールを有する、耐火シールアセンブリの必要性が存在する。加えて、航空機および/またはエンジン製造業者によって設定される耐火性および/または不燃性標準を満たし、または達成し、外部遮蔽または金属防火シールを必要とすることなく、火災事象の間に確実なシールを提供する、耐火シールアセンブリの必要性が当技術分野内に存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】米国特許第4,468,043号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、シールアセンブリ、特に、航空機の発火区域内の油圧構成要素で使用するために適したものに関する。本発明は、最小限でも耐火性であり、また、いくつかの実施形態では不燃性である、アセンブリを含む。本明細書で使用されるように、用語「耐火」または「耐火性」は、上記の標準によって定義されるような「耐火」の定義を少なくとも満たし、いくつかの事例では、本明細書の「耐火」シールアセンブリの言及が、特定の事例において別様に示されない限り、少なくとも耐火性である、および/または不燃性でもある、シールアセンブリを包含するであろうように、その用語がそれらの同一標準で定義される際に「不燃性」のレベルも達成する、レベルを達成することを意図している。(「耐火」とは対照的な)「不燃性」単独の言及は、「不燃性」のレベルを達成する、高レベルの「耐火性」が適用されることを伝えることを意図している。
【0016】
本明細書の本発明は、エラストマ材料を含む第1のシールと、第1のシールを受容するための第1のシールに面した表面を有する、第1の押出防止シールであって、第1のシールに面した表面は、第1のシールに面した表面に沿って延在する溝と、縦断面で視認されたときに、グランドとのシール接触のために構成される切頂V字形部分および斜切端部分を有する、外面とを画定する、第1の押出防止シールと、第1の押出防止シールを受容するための第2のシールに面した表面を有する、少なくとも1つの第2の押出防止シールであって、第2のシールに面した表面は、第2のシールに面した表面に沿って延在する溝と、縦断面で視認されたときに、グランドとのシール接触のために構成される切頂V字形部分および斜切端部分を有する、外面とを画定し、第1の押出防止シールの外面は、第1の押出防止シールの外面の一部が、少なくとも1つの第2の押出防止シールの第2のシールに面した表面に接触するように、少なくとも部分的に少なくとも1つの第2の押出防止シールの溝内に位置付けられる、少なくとも1つの第2の押出防止シールと、少なくとも1つの第2の押出防止シールを受容するための第3のシールに面した表面を有する、少なくとも1つのバッカリングであって、第3のシールに面した表面は、第3のシールに面した表面に沿って延在する溝と、縦断面で視認されたときに切頂V字形を有する、外面とを画定し、少なくとも1つの第2の押出防止シールの外面は、少なくとも1つの第2の押出防止シールの外面の一部が、少なくとも1つのバッカリングの第3のシールに面した表面に接触するように、少なくとも部分的に少なくとも1つのバッカリングの溝内に位置付けられる、少なくとも1つのバッカリングとを備える、耐火シールアセンブリを含む。
【0017】
上記の耐火シールアセンブリの一実施形態では、アセンブリは、不燃性である。そのさらなる実施形態では、第1のシールは、環状であり得、略円形縦断面積を有してもよい。第1のシールのエラストマ材料は、エチレンプロピレンゴム(エチレンプロピレンゴム(EPM)およびエチレンプロピレンジエン(EPDM)等)、ニトリルゴム、シリコーン、フルオロシリコーン、フルオロエラストマ、およびパーフルオロエラストマの群から選択され得る。好ましくは、エラストマ材料は、エチレンプロピレンゴム、ニトリルゴム、およびフルオロエラストマから選択される。
【0018】
第1の押出防止シールの第1のシールに面した表面によって画定される溝は、第1の押出防止シールの第1のシールに面した表面の周囲に環状に延在してもよい。第1の押出防止シールの第1のシールに面した表面は、縦断面図で略V字形であり得る。第1のシールに面した表面が、縦断面図で略V字形であるとき、第1のシールに面した表面は、第1の脚部と、第2の脚部とを備えてもよく、第1の脚部および第2の脚部は、交差点において交差し、交差点から第1の脚部と第2の脚部との間で測定される角度は、約60~約120度である。好ましくは、第1の脚部と第2の脚部との間で測定される角度は、約80~約100度である。第1の脚部および第2の脚部は、第1のシールに面した表面内の円弧状屈曲部において交差してもよい。
【0019】
第1の押出防止シールは、本明細書のある実施形態では、熱可塑性または熱硬化性ポリマー材料であり得る、第1のポリマー材料を含む。第1のポリマー材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリイミド(PI)、およびそれらのコポリマー、誘導体、および組み合わせの群から選択され得る。好ましくは、第1のポリマー材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。いくつかの実施形態では、第1のポリマー材料は、充填材料および/または補強材料を含む。
【0020】
少なくとも1つの第2の押出防止シールはそれぞれ、好ましくは、同様に熱可塑性または熱硬化性ポリマー材料であり得、第1のポリマー材料と同一である、または異なり得る、第2のポリマー材料を含む。1つを上回る第2の押出防止シールが存在する場合、それらは、好ましくは、上記の第2のポリマー材料から選択される、同一または異なる材料を含んでもよい。好ましくは、第2のポリマー材料は、第1の押出防止シールの第1のポリマー材料の分解温度よりも高い分解温度を有する。好ましい実施形態では、第2のポリマー材料は、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリイミド(PI)、およびそれらのコポリマー、誘導体、および組み合わせの群から選定され得る。好ましくは、第2のポリマー材料は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)である。第2のポリマー材料は、充填材料および/または補強材料を含んでもよい。
【0021】
第1の押出防止シールは、第1のポリマー材料を含んでもよく、少なくとも1つの第2の押出防止シールはそれぞれ、第2のポリマー材料のうちの1つを含んでもよく、少なくとも1つのバッカリングは、第1または第2のポリマー材料のいずれかよりも剛性である第3の材料を含んでもよい。少なくとも1つのバッカリングの第3の材料は、高弾性率プラスチック、またはより好ましくは、とりわけ、アルミニウム-ニッケル-青銅合金または真鍮等の金属または金属合金を含んでもよい。少なくとも1つのバッカリングは、実質的に一様な厚さを有してもよく、厚さは、少なくとも1つのバッカリングを通して第3のシールに面した表面と垂直な軸に沿って、少なくとも1つのバッカリングの第3のシールに面した表面からその外面まで測定される。少なくとも1つのバッカリングは、2つのバッカリングを備えてもよく、バッカリングは、対向係合でスタックされる。
【0022】
本明細書に説明されるような耐火シールアセンブリは、一方向構成を有してもよい、または双方向構成を有してもよい。
【0023】
耐火シールアセンブリは、耐火シールアセンブリが、油圧構成要素のグランド内に配設され、油圧構成要素が、約2,000°Fの温度を有する火炎に暴露されるときに、耐火シールアセンブリが、耐火シールアセンブリの破損に先立って少なくとも約6分にわたってシールを維持し、好ましい実施形態では、耐火シールアセンブリの破損に先立って少なくとも15分にわたってシールを維持するように、構築されてもよい。
【0024】
一実施形態では、耐火シールアセンブリは、第3の押出防止シールが、第1の押出防止シールと少なくとも1つの第2の押出防止シールとの間に位置するように、3つの押出防止シールを有する。
【0025】
本発明はさらに、油圧構成要素からの油圧流体の漏出を防止するように構成される、本明細書に説明されるような耐火シールアセンブリを有する、油圧構成要素を備える、耐火油圧構成要素に関する。油圧構成要素は、とりわけ、油圧アクチュエータであってもよい。
【0026】
本発明はまた、油圧構成要素のグランド内に本明細書に説明されるような耐火シールアセンブリを配設するステップを含む、油圧構成要素内の耐火性を改良する方法に関する。耐火シールアセンブリが、油圧構成要素のグランド内に配設され、加熱されるとき、耐火シールアセンブリの破損時の油圧構成要素の最高内部温度は、好ましくは、少なくとも約1,075°Fであり、より好ましくは、少なくとも約1,175°Fである。
【0027】
本発明のさらなる実施形態によると、本発明は、エラストマ材料を含む第1のシールと、第1のシールを受容するための第1のシールに面した表面を有する、第1の押出防止シールであって、第1のシールに面した表面は、第1のシールに面した表面に沿って延在する溝と、外面とを画定し、第1の押出防止シールは、第1のシールのエラストマ材料の分解温度よりも高い分解温度を有する、第1のポリマー材料を含む、第1の押出防止シールと、第1の押出防止シールを受容するための第2のシールに面した表面を有する、少なくとも1つの第2の押出防止シールであって、第2のシールに面した表面は、第2のシールに面した表面に沿って延在する溝と、外面とを画定し、第2のシールに面した表面は、第1の押出防止シールの外面に面し、少なくとも1つの第2の押出防止シールは、第1のポリマー材料の分解温度よりも高い分解温度を有する、第2のポリマー材料を含む、第2の押出防止シールと、少なくとも1つの第2の押出防止シールを受容するための第3のシールに面した表面を有する、少なくとも1つのバッカリングであって、第3のシールに面した表面は、第3のシールに面した表面に沿って延在する溝と、外面とを画定し、少なくとも1つのバッカリングの第3のシールに面した表面は、少なくとも1つの第2の押出防止シールの外面に面し、少なくとも1つのバッカリングは、金属または金属合金を含む、少なくとも1つのバッカリングとを備える、耐火シールアセンブリに関する。
【0028】
第1のポリマー材料および第2のポリマー材料は、それぞれ、第1および第2の押出防止シールに関して上記に説明されるような材料のうちのいずれかであってもよい。第1のシール、第1の押出防止シール、第2の押出防止シール、および少なくとも1つのバッカリングは、好ましくは、スタックされた構成で配列され、少なくとも1つの第2の押出防止シールに関して、2つ以上のそのようなシールが存在するとき、それらは、同一であり、または異なり得、両方とも、好ましくは、上記の第2のポリマー材料から選定される。第1の押出防止シールの外面は、縦断面で視認されたときに、グランドとのシール接触のために構成される切頂V字形部分および斜切端部分を有してもよい。さらなる実施形態では、第1の押出防止シールの第1のシールに面した表面は、縦断面図で略V字形である。
【0029】
本発明の別の実施形態では、本発明は、エラストマ材料を含む第1のシールと、第1のシールを受容するためのシールに面した表面を有する、少なくとも1つの固体押出防止シールであって、シールに面した表面は、シールに面した表面に沿って延在する溝を画定し、シールに面した表面は、縦断面図内の略V字形構成と、縦断面で視認されたときに、グランドとのシール接触のために構成される切頂V字形部分および斜切端部分を有する、外面とを有し、シールに面した表面は、第1のシールの少なくとも一部が、シールに面した表面と接触するように、第1のシールに面し、少なくとも1つの固体押出防止シールは、耐火シールアセンブリが、油圧構成要素内に配設され、加熱されるときに、シールアセンブリの破損時の油圧構成要素の最高内部温度が、少なくとも約1,020°Fであるように、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含む、少なくとも1つの固体押出防止シールとを備える、耐火シールアセンブリに関する。そのようなアセンブリの一実施形態では、1つだけの固体押出防止シールが存在する。
【0030】
さらなる実施形態では、本発明は、エラストマ材料を含む第1のシールと、第1のシールを受容するための第1のシールに面した表面を有する、第1の押出防止シールであって、第1のシールに面した表面は、第1のシールに面した表面に沿って延在する溝と、縦断面で視認されたときに、グランドとのシール接触のために構成される切頂V字形部分および斜切端部分を有する、外面とを画定し、第1の押出防止シールは、第1のポリマー材料を含む、第1の押出防止シールと、第1の押出防止シールを受容するための第2のシールに面した表面を有する、少なくとも1つの第2の押出防止シールであって、第2のシールに面した表面は、第2のシールに面した表面に沿って延在する溝と、縦断面で視認されたときに、グランドとのシール接触のために構成される切頂V字形部分および斜切端部分を有する、外面とを画定し、第1の押出防止シールの外面は、第1の押出防止シールの外面の一部が、少なくとも1つの第2の押出防止シールの第2のシールに面した表面に接触するように、少なくとも部分的に少なくとも1つの第2の押出防止シールの溝内に位置付けられ、少なくとも1つの第2の押出防止シールは、第1のポリマー材料の分解温度よりも高い分解温度を有する、第2のポリマー材料を含む、少なくとも1つの第2の押出防止シールと、少なくとも1つの第2の押出防止シールを受容するための第3のシールに面した表面を有する、1つのバッカリングであって、第3のシールに面した表面は、第3のシールに面した表面に沿って延在する溝と、外面とを画定し、少なくとも1つの第2の押出防止シールは、第2の押出防止シールの外面の一部が、少なくとも1つのバッカリングの第3のシールに面した表面に接触するように、少なくとも部分的にバッカリングの溝内に位置付けられ、バッカリングは、第2のポリマー材料の分解温度よりも高い分解温度を有する、ポリマー材料を含む、1つのバッカリングとを備える、耐火シールアセンブリに関する。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
耐火シールアセンブリであって、
エラストマ材料を含む第1のシールと、
前記第1のシールを受容するための第1のシールに面した表面を有する第1の押出防止シールであって、前記第1のシールに面した表面は、前記第1のシールに面した表面に沿って延在する溝と、縦断面で視認されたときにグランドとのシール接触のために構成される切頂V字形部分および斜切端部分を有する外面とを画定する、第1の押出防止シールと、
前記第1の押出防止シールを受容するための第2のシールに面した表面を有する少なくとも1つの第2の押出防止シールであって、前記第2のシールに面した表面は、前記第2のシールに面した表面に沿って延在する溝と、縦断面で視認されたときにグランドとのシール接触のために構成される切頂V字形部分および斜切端部分を有する外面とを画定し、前記第1の押出防止シールの外面は、前記第1の押出防止シールの外面の一部が、前記少なくとも1つの第2の押出防止シールの第2のシールに面した表面に接触するように、少なくとも部分的に前記少なくとも1つの第2の押出防止シールの溝内に位置付けられる、少なくとも1つの第2の押出防止シールと、
前記少なくとも1つの第2の押出防止シールを受容するための第3のシールに面した表面を有する少なくとも1つのバッカリングであって、前記第3のシールに面した表面は、前記第3のシールに面した表面に沿って延在する溝と、縦断面で視認されたときに切頂V字形を有する外面とを画定し、前記少なくとも1つの第2の押出防止シールの外面は、前記少なくとも1つの第2の押出防止シールの外面の一部が、前記少なくとも1つのバッカリングの第3のシールに面した表面に接触するように、少なくとも部分的に前記少なくとも1つのバッカリングの溝内に位置付けられる、少なくとも1つのバッカリングと
を備える、耐火シールアセンブリ。
(項目2)
前記シールアセンブリは、不燃性である、項目1に記載の耐火シールアセンブリ。
(項目3)
前記第1のシールは、環状であり、略円形縦断面を有する、項目1に記載の耐火シールアセンブリ。
(項目4)
前記エラストマ材料は、エチレンプロピレンゴム、ニトリルゴム、シリコーン、フルオロシリコーン、フルオロエラストマ、およびパーフルオロエラストマから選択される、項目1に記載の耐火シールアセンブリ。
(項目5)
前記エラストマ材料は、エチレンプロピレンゴム、ニトリルゴム、およびフルオロエラストマから選択される、項目4に記載の耐火シールアセンブリ。
(項目6)
前記第1の押出防止シールの第1のシールに面した表面によって画定される前記溝は、前記第1のシールに面した表面の周囲に環状に延在する、項目1に記載の耐火シールアセンブリ。
(項目7)
前記第1の押出防止シールの第1のシールに面した表面は、縦断面図で略V字形である、項目1に記載の耐火シールアセンブリ。
(項目8)
前記第1の押出防止シールの第1のシールに面した表面は、第1の脚部と、第2の脚部とを備え、前記第1の脚部および前記第2の脚部は、交差点において交差し、前記交差点から前記第1の脚部と前記第2の脚部との間で測定される角度は、約60度~約120度である、項目7に記載の耐火シールアセンブリ。
(項目9)
前記第1のシールに面した表面の前記第1の脚部と前記第2の脚部との間で測定される角度は、約80度~約100度である、項目8に記載の耐火シールアセンブリ。
(項目10)
前記第1の脚部および前記第2の脚部は、前記第1のシールに面した表面内の円弧状屈曲部において交差する、項目8に記載の耐火シールアセンブリ。
(項目11)
前記第1の押出防止シールは、第1のポリマー材料を含み、前記第1のポリマー材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリイミド(PI)、およびそれらのコポリマー、誘導体、および組み合わせから選択される、項目1に記載の耐火シールアセンブリ。
(項目12)
前記第1のポリマー材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である、項目11に記載の耐火シールアセンブリ。
(項目13)
前記第1のポリマー材料は、充填材、補強材料、または充填材および補強材料の組み合わせを含む、項目11に記載の耐火シールアセンブリ。
(項目14)
前記少なくとも1つの第2の押出防止シールは、前記第1のポリマー材料と異なる第2のポリマー材料を含む、項目11に記載の耐火シールアセンブリ。
(項目15)
前記少なくとも1つの第2のポリマー材料は、前記第1のポリマー材料の分解温度よりも高い分解温度を有する、項目14に記載の耐火シールアセンブリ。
(項目16)
前記第2のポリマー材料は、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリイミド(PI)、およびそれらのコポリマー、誘導体、および組み合わせを含む、項目14に記載の耐火シールアセンブリ。
(項目17)
前記第2のポリマー材料は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)である、項目16に記載の耐火シールアセンブリ。
(項目18)
前記第2のポリマー材料は、充填材、補強材料、または充填材および補強材料の組み合わせを含む、項目14に記載の耐火シールアセンブリ。
(項目19)
前記第1の押出防止シールは、第1のポリマー材料を含み、前記少なくとも1つの第2の押出防止シールはそれぞれ、第2のポリマー材料を含み、前記少なくとも1つのバッカリングは、前記第1のポリマー材料または前記第2のポリマー材料のいずれかよりも剛性である第3の材料を含む、項目1に記載の耐火シールアセンブリ。
(項目20)
前記少なくとも1つのバッカリングの第3の材料は、金属または金属合金を含む、項目19に記載の耐火シールアセンブリ。
(項目21)
前記第3の材料は、アルミニウム-ニッケル-青銅合金を含む、項目20に記載の耐火シールアセンブリ。
(項目22)
前記第3の材料は、真鍮を含む、項目20に記載の耐火シールアセンブリ。
(項目23)
前記少なくとも1つのバッカリングは、実質的に一様な厚さを有し、前記厚さは、前記少なくとも1つのバッカリングを通して前記第3のシールに面した表面と垂直な軸に沿って、前記第3のシールに面した表面から前記少なくとも1つのバッカリングの外面まで測定される、項目1に記載の耐火シールアセンブリ。
(項目24)
少なくとも2つのバッカリングを備え、前記少なくとも2つのバッカリングは、対向係合でスタックされる、項目1に記載の耐火シールアセンブリ。
(項目25)
前記耐火シールアセンブリは、双方向構成を有する、項目1に記載の耐火シールアセンブリ。
(項目26)
前記耐火シールアセンブリが、油圧構成要素のグランド内に配設され、前記油圧構成要素が、約2,000°Fの温度を有する火炎に暴露されるとき、前記耐火シールアセンブリは、前記耐火シールアセンブリの破損に先立って少なくとも約6分にわたってシールを維持する、項目1に記載の耐火シールアセンブリ。
(項目27)
前記耐火シールアセンブリは、前記耐火シールアセンブリの破損に先立って少なくとも15分にわたってシールを維持する、項目26に記載の耐火シールアセンブリ。
(項目28)
3つの押出防止シールを有し、第3の押出防止シールが、前記第1の押出防止シールと前記少なくとも1つの第2の押出防止シールとの間に位置する、項目1に記載の耐火シールアセンブリ。
(項目29)
耐火油圧構成要素であって、
項目1に記載の耐火シールアセンブリを有する油圧構成要素を備え、前記耐火シールアセンブリは、前記油圧構成要素からの油圧流体の漏出を防止するように構成される、耐火油圧構成要素。
(項目30)
前記油圧構成要素は、油圧アクチュエータである、項目26に記載の耐火油圧構成要素。
(項目31)
油圧構成要素のグランド内に項目1に記載の耐火シールアセンブリを配設するステップを含む、油圧構成要素内の耐火性を改良する方法。
(項目32)
前記油圧構成要素が、加熱されるとき、前記耐火シールアセンブリの破損時の前記油圧構成要素の最高内部温度は、少なくとも約1,075°Fである、項目28に記載の方法。
(項目33)
前記油圧構成要素が、加熱されるとき、前記耐火シールアセンブリの破損時の前記油圧構成要素の最高内部温度は、少なくとも約1,175°Fである、項目29に記載の方法。
(項目34)
耐火シールアセンブリであって、
エラストマ材料を含む第1のシールと、
前記第1のシールを受容するための第1のシールに面した表面を有する第1の押出防止シールであって、前記第1のシールに面した表面は、前記第1のシールに面した表面に沿って延在する溝と、外面とを画定し、前記第1の押出防止シールは、前記第1のシールのエラストマ材料の分解温度よりも高い分解温度を有する、第1のポリマー材料を含む、第1の押出防止シールと、
前記第1の押出防止シールを受容するための第2のシールに面した表面を有する少なくとも1つの第2の押出防止シールであって、前記第2のシールに面した表面は、前記第2のシールに面した表面に沿って延在する溝と、外面とを画定し、前記第2のシールに面した表面は、前記第1の押出防止シールの外面に面し、前記少なくとも1つの第2の押出防止シールはそれぞれ、前記第1の押出防止シールの第1のポリマー材料の分解温度よりも高い分解温度を有する第2のポリマー材料を含む、第2の押出防止シールと、
前記少なくとも1つの第2の押出防止シールを受容するための第3のシールに面した表面を有する少なくとも1つのバッカリングであって、前記第3のシールに面した表面は、前記第3のシールに面した表面に沿って延在する溝を画定し、前記少なくとも1つのバッカリングの第3のシールに面した表面は、前記少なくとも1つの第2の押出防止シールの外面に面し、前記少なくとも1つのバッカリングは、金属または金属合金を含む、少なくとも1つのバッカリングと
を備える、耐火シールアセンブリ。
(項目35)
前記第1のポリマー材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリイミド(PI)、およびそれらのコポリマー、誘導体、および組み合わせから選択される、項目34に記載の耐火シールアセンブリ。
(項目36)
前記第2のポリマー材料は、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリイミド(PI)、およびそれらのコポリマー、誘導体、および組み合わせから選択され、前記少なくとも1つの第2の押出防止シールはそれぞれ、同一または異なる第2のポリマー材料を有する、項目35に記載の耐火シールアセンブリ。
(項目37)
前記第1のポリマー材料および/または前記第2のポリマー材料は、充填材料、補強材料、または充填材料および補強材料の組み合わせを含む、項目34に記載の耐火シールアセンブリ。
(項目38)
前記第1のシール、前記第1の押出防止シール、前記少なくとも1つの第2の押出防止シール、および前記少なくとも1つのバッカリングは、スタックされた構成で配列される、項目34に記載の耐火シールアセンブリ。
(項目39)
縦断面図では、前記第1の押出防止シールの外面は、グランドとのシール接触のために構成される斜切端部分を有する、切頂V字形構成を備える、項目34に記載の耐火シールアセンブリ。
(項目40)
前記第1の押出防止シールの第1のシールに面した表面は、縦断面図で略V字形である、項目34に記載の耐火シールアセンブリ。
(項目41)
耐火油圧構成要素であって、
項目34に記載の耐火シールアセンブリを有する油圧構成要素を備え、前記耐火シールアセンブリは、前記油圧構成要素からの油圧流体の漏出を防止するように構成される、耐火油圧構成要素。
(項目42)
前記油圧構成要素は、油圧アクチュエータである、項目41に記載の耐火油圧構成要素。
(項目43)
油圧構成要素のグランド内に項目34に記載の耐火シールアセンブリを配設するステップを含む、油圧構成要素内の耐火性を改良する方法。
(項目44)
前記耐火シールアセンブリが、加熱されるとき、前記耐火シールアセンブリの破損時の前記油圧構成要素の最高内部温度は、少なくとも約1,075°Fである、項目43に記載の油圧構成要素に耐火性を提供する方法。
(項目45)
前記耐火シールアセンブリが、加熱されるとき、前記耐火シールアセンブリの破損時の前記油圧構成要素の最高内部温度は、少なくとも約1,175°Fである、項目44に記載の油圧構成要素に耐火性を提供する方法。
(項目46)
耐火シールアセンブリであって、
エラストマ材料を含む第1のシールと、
前記シールに面した表面に沿って延在する溝を画定するシールに面した表面を有する少なくとも1つの固体押出防止シールであって、前記シールに面した表面は、縦断面図内のV字形と、縦断面で視認されたときにグランドとのシール接触のために構成される切頂V字形部分および斜切端部分を有する外面とを有し、前記シールに面した表面は、前記第1のシールの少なくとも一部が、前記シールに面した表面と接触するように、前記第1のシールに面し、前記少なくとも1つの固体押出防止シールは、前記耐火シールアセンブリが、油圧構成要素内に配設され、加熱されるときに、前記耐火シールアセンブリの破損時の前記油圧構成要素の最高内部温度が、少なくとも約1,020°Fであるように、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含む、少なくとも1つの固体押出防止シールと
を備える、耐火シールアセンブリ。
(項目47)
1つだけの固体押出防止シールが存在する、項目46に記載の耐火シールアセンブリ。
(項目48)
耐火シールアセンブリであって、
エラストマ材料を含む第1のシールと、
前記第1のシールを受容するための第1のシールに面した表面を有する第1の押出防止シールであって、前記第1のシールに面した表面は、前記第1のシールに面した表面に沿って延在する溝と、縦断面で視認されたときにグランドとのシール接触のために構成される切頂V字形部分および斜切端部分を有する外面とを画定し、前記第1の押出防止シールは、第1のポリマー材料を含む、第1の押出防止シールと、
前記第1の押出防止シールを受容するための第2のシールに面した表面を有する少なくとも1つの第2の押出防止シールであって、前記第2のシールに面した表面は、前記第2のシールに面した表面に沿って延在する溝と、縦断面で視認されたときに切頂V字形部分および斜切端部分を有する外面とを画定し、前記第1の押出防止シールの外面は、前記第1の押出防止シールの外面の一部が、前記少なくとも1つの第2の押出防止シールの第2のシールに面した表面に接触するように、少なくとも部分的に前記少なくとも1つの第2の押出防止シールの溝内に位置付けられ、前記第2の押出防止シールは、前記第1のポリマー材料と異なる第2のポリマー材料を含む、少なくとも1つの第2の押出防止シールと、
前記少なくとも1つの第2の押出防止シールを受容するための第3のシールに面した表面を有する、1つのバッカリングであって、前記第3のシールに面した表面は、前記第3のシールに面した表面に沿って延在する溝と、外面とを画定し、前記少なくとも1つの第2の押出防止シールが、少なくとも部分的に前記バッカリングの溝内に位置付けられるとき、前記少なくとも1つの第2の押出防止シールの外面の一部は、前記バッカリングの第3のシールに面した表面に接触し、前記バッカリングは、前記第2のポリマー材料の分解温度よりも高い分解温度を有する、ポリマー材料を含む、1つのバッカリングと
を備える、耐火シールアセンブリ。
【図面の簡単な説明】
【0031】
前述の概要、および本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて熟読されたときに、より理解されるであろう。本発明を例証する目的のために、現在好ましい実施形態が、図面に示されている。しかしながら、本発明は、示される精密な配列および手段に限定されないことを理解されたい。
【0032】
図1図1は、本発明の耐火シールアセンブリの実施形態の斜視図である。
【0033】
図2図2は、図1の耐火シールアセンブリの分解斜視図である。
【0034】
図3図3は、図1の耐火シールアセンブリの縦断面の斜視図である。
【0035】
図4図4は、図3の耐火シールアセンブリの縦断面の分解斜視図である。
【0036】
図5図5は、図1の耐火シールアセンブリの拡大縦断面図である。
【0037】
図6図6は、図5の耐火シールアセンブリの分解縦断面図である。
【0038】
図6A図6Aは、図1の耐火シールアセンブリの第1のシールの上平面図である。
【0039】
図6B図6Bは、線6B-6Bに沿って得られた図6Aの縦断面図である。
【0040】
図6C図6Cは、図1の耐火シールアセンブリの第1の押出防止シールの上平面図である。
【0041】
図6D図6Dは、図6Cの第1の押出防止シールの側面立面図である。
【0042】
図6E図6Eは、線6E-6Eに沿って得られた図6Cの第1の押出防止シールの拡大部分縦断面図である。
【0043】
図6F図6Fは、図1の耐火シールアセンブリの第2の押出防止シールの上平面図である。
【0044】
図6G図6Gは、図6Fの第2の押出防止シールの側面立面図である。
【0045】
図6H図6Hは、線6H-6Hに沿って得られた図6Fの第2の押出防止シールの拡大部分断面図である。
【0046】
図6I図6Iは、図1の耐火シールアセンブリの第1のバッカリングの上平面図である。
【0047】
図6J図6Jは、図6Iの第1のバッカリングの側面立面図である。
【0048】
図6K図6Kは、線6K-6Kに沿って得られた図6Iの第1のバッカリングの拡大部分縦断面図である。
【0049】
図6L図6Lは、図1の耐火シールアセンブリの第2のバッカリングの上平面図である。
【0050】
図6M図6Mは、図6Lの第2のバッカリングの側面立面図である。
【0051】
図6N図6Nは、線6N-6Nに沿って得られた図6Lの第2のバッカリングの拡大部分縦断面図である。
【0052】
図7A図7Aは、動作に先立ったグランド内に位置付けられた図1の耐火シールアセンブリの縦断面図である。
【0053】
図7B図7Bは、動作時のグランド内に位置付けられた図7Aの耐火シールアセンブリの縦断面図である。
【0054】
図8図8は、双方向構成を有する、図1の耐火シールアセンブリの代替実施形態である。
【0055】
図9図9は、本発明による、単一のバッカリングのみを有する、耐火シールアセンブリのさらなる代替実施形態の縦断面図である。
【0056】
図10図10は、本発明による、単一の押出防止シールを有する、耐火シールアセンブリのさらなる代替実施形態の分解斜視図である。
【0057】
図11図11は、組み立てられたときの図10の耐火シールアセンブリの縦断面図である。
【0058】
図11A図11Aは、本発明による、耐火シールアセンブリのさらなる実施形態 の縦断面図である。
【0059】
図12図12は、火災条件下で種々のサンプルシールアセンブリの性能を試験するための実験装置の縦断面図である。
【0060】
図13図13は、図12の実験装置の斜視図である。
【0061】
図14図14は、その外部の周囲にサンプルシールアセンブリが試験のために位置付けられる、図12の実験設定の円筒形構成要素の斜視図である。
【0062】
図15図15は、実施例2における比較サンプル1で使用されるような従来技術のシールアセンブリの縦断面図である。
【0063】
図16図16は、実施例2における比較サンプル2で使用されるようなシールアセンブリの縦断面図である。
【0064】
図17図17は、実施例2における発明サンプル1で使用されるようなシールアセンブリの実施形態の縦断面図である。
【0065】
図18図18は、実施例2における発明サンプル2で使用されるようなシールアセンブリの実施形態の縦断面図である。
【0066】
図19図19は、実施例2における発明サンプル3で使用されるようなシールアセンブリの実施形態の縦断面図である。
【0067】
図20図20は、実施例5における比較サンプル3で使用されるようなシールの縦断面図である。
【0068】
図21図21は、実施例5における発明サンプル7で使用されるようなシールアセンブリの縦断面図である。
【0069】
図22図22は、実施例2における発明サンプル5および6で使用されるようなシールアセンブリの実施形態の縦断面図である。
【0070】
図23図23は、本明細書の実施例6のサンプル10で使用されるアセンブリの 縦断面図である。
【0071】
図24図24は、本明細書の実施例6のサンプル12で使用されるアセンブリの 縦断面図である。
【0072】
図25図25は、本明細書の実施例6のサンプル13で使用されるアセンブリの 縦断面図である。
【0073】
図26図26は、本明細書の実施例6のサンプル14~19で使用されるアセン ブリの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
本発明は、シールアセンブリに関する。シールアセンブリは、特に、航空機の発火区域内の油圧アクチュエータ等の発火区域内の油圧構成要素で有用である。本発明のシールアセンブリは、逆推力装置作動システム(TRAS)、燃料または流体ラインおよび結合部、および航空機エンジン内の他の燃料取扱構成要素等の発火区域内の種々の他の構成要素で使用されてもよい。「発火区域」は、火災検出および/または消火機器および高度な固有耐火性を要求するように製造業者によって指定される、航空機の面積である。航空機内の発火区域は、限定ではないが、とりわけ、エンジン、補助電源ユニット(APU)、貨物および手荷物コンパートメント、トイレ、電子ベイ、車輪格納部、および抽気ダクトを含む。シールアセンブリの使用は、主に、航空機内の発火区域に関連して説明されるが、本発明のシールアセンブリはまた、耐火性が所望される他の環境内で使用するためにも適し得る。さらに、シールアセンブリは、ユニットが動作不可能にされることに先立った単一の事象として、シールアセンブリが配設されるユニットが、800°F以上の等の高温を受ける用途で使用されてもよい。
【0075】
配設されたとき、本発明のシールアセンブリは、動作条件の間に油圧構成要素からの油圧流体の漏出を防止するように、かつ火災条件の間にある時間周期にわたってシールを維持するように構成される。従来技術で識別される欠点に対処するために、本発明のシールアセンブリは、ある範囲の温度および条件を通して、一貫した確実なシールを提供するように構成される。さらに、本発明のシールアセンブリは、外部遮蔽または全ての金属シールを使用することなく、耐火性、好ましい実施形態では、不燃性を提供し、これは、シールアセンブリの生産のコストが、油圧構成要素のための防火を提供するための従来の解決策に対して削減される、または最小限にされることを可能にする。本発明のシールアセンブリはまた、従来の防火シールに対して改良された耐火性を提供し、好ましくは、不燃性でもある。本明細書で使用されるような用語「耐火」または「耐火性」および「不燃性」は、上記に記載されるように、かつ上記に議論されるRTCA/DO-160GおよびISO 2685等の適用可能な業界標準およびFAA規制で定義されるように、定義されるものとする。
【0076】
本明細書で使用されるように、「内側」および「外側」、「上側」および「下側」、「上部」および「底部」、「左」および「右」、「内向きに」および「外向きに」、および類似趣旨の言葉等の言葉は、付随する図を参照して、図に示されるようなシーリングアセンブリの配向に関して、本発明の好ましい実施形態の理解を支援することを意図しており、本発明の範囲に限定的であること、または本発明の範囲を図に示される好ましい実施形態に限定することを意図していない。本明細書の実施形態はそれぞれ、同様の参照番号を使用し、特定の特徴のための代替構成を反対に説明する言語がない場合、当業者が、本開示およびそれに添付された図面に基づいて、1つのそのような特徴の説明が、別様に規定されない限り、本明細書の別の実施形態における類似特徴に適用可能であることを理解するであろうように、本明細書に説明されるような、かつ図面に示されるような本発明の類似特徴を指す。
【0077】
さらに、本明細書で使用されるように、用語「a」および「少なくとも1つの」は、具体的な数を示す用語等の反対の言語がない場合、「1つ以上の」を意味することができる。
【0078】
ここで図1-7Bを参照すると、概して、本明細書ではアセンブリ100と称される、本発明による、耐火シールアセンブリの実施形態の図が示されている。軸Z-Z’が、図1に示されるように、耐火シールアセンブリ100の中心を通して縦方向に延在する軸として画定される。第2の軸X-X’が、耐火シールアセンブリ100の中心から半径方向に、かつZ-Z’軸と垂直に延在する軸として画定される。耐火シールアセンブリ100の縦断面が、X-X’およびZ-Z’軸によって形成される平面(X-Z)によって耐火シールアセンブリ100を通して得られる断面として画定される。横断面は、平面X-Zに直交するX-X’軸を含む、平面を通して得られる断面である。
【0079】
ここで図2を参照すると、耐火シールアセンブリ100は、第1のシール101と、第1の押出防止シール110と、少なくとも1つの第2の押出防止シール120と、少なくとも1つのバッカリング130とを含む。図示される実施形態では、1つだけの第2の押出防止シール120が示され(しかしながら、2つ以上のものが、本発明の範囲内に該当する)、2つだけのバッカリング130、140が、示される(但し、より多いまたは少ないものが組み込まれ得る)。シール110、120、130、140は、好ましくは、示されるようなシールアセンブリ100が、構成において一方向であるように、第1のシール101の大気圧または低圧側でZ-方向にスタックされた構成で配列される。
【0080】
各シール110、120、130、140は、独立して、固体シールまたは分割シールであってもよい。「固体シール」は、裂け目、切り込み、分割、または同等物を伴わない、単一の連続環状本体として画定される。固体シールは、概して、シールが配設されるものであるグランドが、単一のハードウェアから成り、「閉鎖」されるときに、使用に適していない。2つ以上の構成要素から形成されるグランドを有する、ハードウェアでは、固体シールが、使用されてもよい。「分割シール」は、1つ以上の切り込みを有するシールとして画定され、第1の端部および第2の端部を有する、単一の連続本体として画定され、第1の端部および第2の端部は、環状シールを形成するように、対向係合で設置されることができる。図示される実施形態では、押出防止シール110、120およびバッカリング130、140は、各シールの配設および交換を促進するように、分割シールとして示される。各分割シールは、切り込み111、121、131、141を含む。分割の実施例が、スカーフ切り込みとして図2に示されるが、切り込みのタイプは、変動し得る。切り込みは、X-Z平面に沿って、またはいくつかある角度の中でも、X-Z平面に対して30度の角度等のX-Z平面に対してある角度において、各シールを通して加えられてもよい。さらに、隣接するシール内の切り込みは、対向角度において形成されてもよく、例えば、第1の押出防止シールが、X-Z平面に対して30度の角度で形成されてもよい一方で、隣接する第2の押出防止シールは、X-Z平面に対して150度の角度で形成される切り込みを有してもよい。これは、隣接するシール内の切り込みが、相互と重複または干渉することを防止することに役立つ。
【0081】
組み込まれた場合、シールアセンブリ100内の隣接するシール内の切り込みは、好ましくは、約90度だけ、より好ましくは、約180度だけ、シールの円周の周囲で相互から円周方向にオフセットされる。このように、隣接するシール内の切り込みは、相互から変位される。シールの切り込みは、シールアセンブリ100を通した流体の漏出のための潜在的通路を提供し、連続または隣接するシール内の切り込みをオフセットすることによって、シールアセンブリ100を通した漏出の伝搬が、阻止される。
【0082】
ここで図3および4を参照すると、図1のシールアセンブリ内のシールの縦断面の斜視図が示されている。示されるような第1のシール101は、好ましくは、構成が環状であり、その縦方向断面102で略円形である。第1のシール101は、Oリングであってもよい。いくつかの実施形態では、第1のシール101は、斜切端部分を伴う、八角形、七角形、六角形、楕円形、卵形、または切頂V字形である、縦断面102を有してもよい。第1のシール101は、好ましくは、用途、動作温度、流体媒質適合性、動的対静的条件、および他の関連性があるシール使用因子に応じて選択され得る、いくつかある好適な材料の中でも、エチレンプロピレンジエン(EPDM)ゴムまたは他のエチレンプロピレン(EPM)ゴム、ニトリルゴム、シリコーン、フルオロシリコーン、フルオロエラストマ、またはパーフルオロエラストマ等のエラストマ材料から形成される。好ましくは、エラストマ材料は、エチレンプロピレンゴム、ニトリルゴム、またはフルオロエラストマである。
【0083】
第1のシール101のエラストマ材料は、シールを提供し、通常の動作温度および圧力において漏出を防止するように選択され、シールアセンブリ100の耐火性質に有意に寄与しない。エラストマ材料は、当業者によって理解されるであろうように、期待動作温度、流体媒質適合性に基づいて、シールアセンブリが静的または動的条件で使用されるかどうかに応じて、選択される。例えば、流体媒質が、Skydrol(R)または他のリン酸エステルベースの流体である場合、エラストマ材料は、EPMゴムであってもよい。流体媒質が、ジェット燃料であるとき、エラストマ材料は、フルオロエラストマまたはパーフルオロエラストマであってもよい。
【0084】
図4-6に示されるように、第1の押出防止シール110は、外面116と、第1のシール101を受容するための第1のシールに面した表面114とを有する。第1のシールに面した表面114は、第1のシールに面した表面114に沿って延在する溝118を画定する。溝118は、好ましくは、第1のシールに面した表面114の周囲に環状に延在する。いくつかの実施形態では、第1のシールに面した表面114は、縦断面図で略V字形であり、ある点において交差する、または円弧状屈曲部181によって接続される、第1の脚部114aおよび第2の脚部114bを含む。第1のシール101は、第1のシール101が、第1のシールに面した表面114の少なくとも一部193に接触するように、第1のシールに面した表面114によって受容される。部分193に類似する接触部分もまた、好ましくは、シールの下側脚部114b上で見出され、複数の接触部分が、シールの設計に応じて形成され得ることが、当業者によって理解されるであろう。第1のシール101の少なくとも一部は、溝118内に位置付けられ、第1のシール101は、(例えば、図7Aに示されるように)シールアセンブリ100が位置付けられるグランドとシールを形成するように構成される。第1のシール101が溝118内に位置付けられる程度および接触点は、本発明の範囲内の本明細書の実施形態の変形例において、第1のシール101および第1の押出防止シール110のために選定される具体的構成に応じて、若干変動され得る。
【0085】
縦断面図では、第1の押出防止シール110の外面116は、切頂V字形部分113と、切端部分115a、115bとを有する。切頂V字形部分113は、切頂区画117によって分離される、第1の脚部116aおよび第2の脚部116bを含む。斜切端部分115a、115bは、切頂V字形部分113から延在し、第1のシールに面した表面114に向かってテーパ状になる。斜切端部分115a、115bは、(例えば、図7Aに示されるように)シールアセンブリ100が位置付けられるグランドとのシール接触のために構成される。斜切端部分115a、115bはそれぞれ、グランドとのシール接触のための頂点151a、151bであって、半径方向への斜切端部分115a、115b上の最外ピークまたは点である、頂点151a、151bを形成してもよい、またはシール接触が行われ得る限り、丸みを帯びた、またはより軟質の屈曲部であり得る。接触が、本明細書で使用されるシール設計に応じて、少なくとも頂点および/または斜面の一部においてグランドと行われてもよい。
【0086】
第2の押出防止シール120も、実施形態100に示される。しかしながら、下記にさらに議論されるように、本明細書のアセンブリに1つを上回る第2の押出防止シールを組み込むことが、本発明の範囲内に該当する。1つの第2の押出防止シールが図示される、図1-7Aに示される例示的実施形態では、第2の押出防止シール120は、外面126と、第1の押出防止シール110を受容するための第2のシールに面した表面124とを有する。第2のシールに面した表面124は、第2のシールに面した表面124に沿って延在する溝128を画定する。溝128は、好ましくは、第2のシールに面した表面124の周囲に環状に延在する。いくつかの実施形態では、第2のシールに面した表面124は、縦断面図で略V字形である。第2のシールに面した表面124は、好ましくは、第1の脚部124aと、第2の脚部124bとを含む。第2のシールに面した表面124の第1の脚部124aおよび第2の脚部124bは、ある点において交差してもよい、または丸みを帯びた、または円弧状屈曲部182によって接続されてもよい。
【0087】
第1の押出防止シール110の外面116は、第1の押出防止シール110の外面116の一部194が、第2の押出防止シール120の第2のシールに面した表面124に接触するように、少なくとも部分的に第2の押出防止シール120の溝128内に位置付けられる。上記のように、1つを上回る接触点または部分が、存在し得る。第1の押出防止シール110の外面116の第1の脚部116aおよび第2の脚部116bは、それぞれ、第2の押出防止シール120の第2のシールに面した表面124の第1の脚部124aおよび第2の脚部124bと対向係合するように構成されてもよい。第1の押出防止シール110が、少なくとも部分的に溝128内に位置付けられるとき、斜切端部分115a、115bは、第2の押出防止シール120の溝128から外向きに延在し、シールアセンブリ100が位置付けられる、グランドの壁とのシール接触のために構成される。
【0088】
縦断面図では、第2の押出防止シール120の外面126は、切頂V字形部分123を有し、また、斜切端部分125a、125bも有する。切頂V字形部分123は、切頂区画127によって分離される、第1の脚部126aおよび第2の脚部126bを含む。斜切端部分125a、125bは、切頂V字形部分123から延在し、第2のシールに面した表面124に向かってテーパ状になる。斜切端部分125a、125bは、(例えば、図7Aに示されるように)シールアセンブリ100が位置付けられるグランドとのシール接触のために構成される。斜切端部分125a、125bはさらに、グランドとのシール接触のために構成される頂点161a、161bであって、半径方向への斜切端部分125a、125b上の最外ピークまたは点である、頂点161a、161bを含んでもよい、またはシール接触が行われ得る限り、丸みを帯びた、またはより軟質の屈曲部であり得る。グランドとの接触が、シール構成に応じて、斜切端部分の頂点および/またはある部分において生じ得る。
【0089】
第1の押出防止シール110は、好ましくは、第1のシール101のエラストマ材料の分解温度よりも高い分解温度を有する、第1のポリマー材料から形成される。「分解温度」は、シールが、もはやグランドとシールを形成することができなくなるように、シールが分解する、劣化する、または別様に最終的または不可逆的に破損する、温度として定義されることができる。このように、耐火シールアセンブリ100が、高温または火災条件に暴露されるとき、第1の押出防止シール110は、第1のシール101が崩壊または別様に破損した後に、シールを形成することができる。同様に、第2の押出防止シール120は、好ましくは、第1の押出防止シール110が崩壊または別様に破損したときに、シールを提供するように、第1のポリマー材料の分解温度よりも高い分解温度を有する、第2のポリマー材料から形成される。
【0090】
第1のポリマー材料は、熱可塑性ポリマー材料または熱硬化性ポリマー材料であってもよい。第1のポリマー材料は、好ましくは、いくつかある熱可塑性または熱硬化性ポリマー材料の中でも、個別に、またはともに、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド(PI)、またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、およびポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)等のポリアリールエーテルケトン(PAEK)、および上記のポリマーのコポリマー、誘導体、および組み合わせの群から選択される。第1のポリマー材料は、充填材、補強材料、または充填材および補強材料の組み合わせを含んでもよい。好適な充填材は、いくつかある既知の充填材および補強材料の中でも、炭素またはガラス粒子または繊維を含む。充填材および/または補強材料の使用は、未使用または未充填熱可塑性または熱硬化性ポリマー材料に対して、より高い温度において改良された耐崩壊性を提供する。好ましい実施形態では、第1の押出防止シール110は、Avalon(R) 89またはArlon(R) 1263から成る。
【0091】
第2の押出防止シール120は、冗長シールを提供するように、第1の押出防止シール110と同一のポリマー材料から形成されてもよい。しかしながら、第2の押出防止シール120は、好ましくは、第1の押出防止シール110を形成するために使用される第1のポリマー材料よりも高い分解温度を有する、第2のポリマー材料から成る。第2のポリマー材料もまた、熱可塑性または熱硬化性ポリマー材料であってもよい。第1のポリマー材料の選択に応じて、第2のポリマー材料は、好ましくは、いくつかある熱可塑性または熱硬化性ポリマー材料の中でも、個別に、またはともに、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド(PI)、またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)等のポリアリールエーテルケトン(PAEK)、およびこれらのポリマーのコポリマー、誘導体、および組み合わせの群から選択される。第2のポリマー材料は、未使用または未充填熱可塑性または熱硬化性ポリマー材料に対して、より高い温度において改良された耐崩壊性を提供するように、炭素またはガラス粒子または繊維等を用いて、充填および/または補強されてもよい。好ましい実施形態では、第2の押出防止シール120は、Arlon(R) 1263またはArlon(R) 3000XT等の充填、補強、または強化ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から成る。1つを上回る第2の押出防止シールが、使用される場合、そのような第2の押出防止シールはそれぞれ、好ましくは、上記の第2のポリマー材料のうちの1つである、同一または異なるポリマーから形成されてもよい。
【0092】
シールアセンブリの一実施形態では、第1のポリマー材料は、未使用または充填ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)材料であり、第2のポリマー材料は、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)等の第1のポリマー材料よりも高い分解温度または高い弾性率を有する、ポリマー材料であり、より好ましくは、充填、補強、または強化ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)である。
【0093】
耐火シールアセンブリ100はさらに、少なくとも1つのバッカリング130を含む。好ましい実施形態では、2つのバッカリング130および140が、例えば、図5に示されるように、使用される。2つのバッカリング130、140の使用は、シールアセンブリ100を生産するコストを最小限にしながら、良好な耐高温性および耐火性を提供する。2つのバッカリングは、全体的である、または分割され得る。2つのバッカリング130、140が、分割される場合、2つのバッカリング130、140は、第1のバッカリング130内の切り込みが、バッカリング130、140を通した漏出を阻止するために、隣接する第2のバッカリング140内の切り込みから円周方向にオフセットされるように、配列されてもよい。しかしながら、代替実施形態では、耐火シールアセンブリ100は、単一のバッカリング130を含んでもよい、または3つ以上のバッカリング130を有してもよい。単一のバッカリングが、使用される場合、これは、好ましくは、分割されないが、分割された単一のバッカリングは、本発明の範囲内に該当する。バッカリング130、140は、シールアセンブリ100が高温および/または火災条件に暴露されるときに、第1および第2の押出防止シール110、120が、耐火シールアセンブリ100が配設されるグランドから外に押出すことを防止することに役立つ。さらに、バッカリング130、140は、高温においてシールを提供する。
【0094】
各バッカリング130、140(および任意の付加的バッカリング)は、第2の押出防止シール120(または別のバッカリング)を受容するための第3のシールに面した表面134、144と、外面136、146とを有する。第3のシールに面した表面134、144は、第3のシールに面した表面134、144に沿って延在する溝138、148を画定する。好ましくは、溝138、148は、第3のシールに面した表面134、144の周囲に環状に延在する。第3のシールに面した表面134、144は、第3のシールに面した表面が、切頂区画133、143によって分離される、第1の脚部134a、144aおよび第2の脚部134b、144bを有するように、縦断面図で切頂V字形を有してもよい。バッカリング130、140の外面136、146もまた、縦断面で視認されたときに、切頂V字形を有する。外面136、146の切頂V字形は、切頂区画137、147によって分離される、第1の脚部136a、146aおよび第2の脚部136b、146bを含む。第2の押出防止シール120の外面126は、外面126の少なくとも一部195が、バッカリング130の第3のシールに面した表面134に接触するように、少なくとも部分的に第1の(または唯一の)バッカリング130の溝138内に位置付けられる。第2の押出防止シール120の第1の脚部126aは、第3のシールに面した表面134の第1の脚部134aと対向係合してもよく、第2の脚部126bは、同様に、第3のシールに面した表面の第2の脚部134bと対向係合してもよい。第2の押出防止シール120が、少なくとも部分的にバッカリング130の溝138内に位置付けられるとき、斜切端部分125a、125bは、溝138から外向きに延在し、(例えば、図7Aに示されるように)グランドの対向する壁に接触し、シールを形成するように構成される。
【0095】
図5に示されるように、各バッカリング130、140は、実質的に一様な厚さを有してもよく、バッカリング140の厚さ(w)は、バッカリング140を通してシールに面した表面144と垂直な線(a)に沿って、第3のシールに面した表面144上の点191からバッカリング140の外面146上の点192まで測定される。シールアセンブリのいくつかの実施形態では、各バッカリング130、140は、約0.005インチ~約0.015インチ厚を有する。しかしながら、バッカリング130、140は、シールアセンブリの全体的寸法、シールアセンブリの意図された用途、および耐火性の所望のレベルに応じて、任意の厚さを有するように選択されることができる。
【0096】
複数のバッカリング130、140を有する実施形態では、各バッカリング130、140は、好ましくは、同一形状と、同一または類似寸法とを有する。複数のバッカリング130、140が、図5に示されるように使用されるとき、バッカリング130、140は、第1のバッカリング130が、第2のバッカリング140の溝148内に位置付けられるように、スタックされた構成で配列されてもよい。このように、第1のバッカリング130の外面136は、間隙または空洞が、連続バッカリング130、140の間に殆どまたは全く画定されないように、第2のバッカリング140の第3のシールに面した表面144と対向係合する。
【0097】
本発明の耐火シールアセンブリの各バッカリング130は、好ましくは、それぞれ、第1および第2の押出防止シール110、120を形成するために使用される第1または第2のポリマー材料のいずれかを上回る剛性を有する、剛性材料を含む。このように、バッカリング130は、第1および第2の押出防止シール110、120を支持することができる。材料の「剛性」は、ショア硬度等の材料の硬度に基づいてもよい、および/または弾性率に基づいてもよい。バッカリング130、140は、好ましくは、アルミニウム-ニッケル-青銅合金、C260真鍮、または他の好適な材料等の金属または金属合金から成る。複数のバッカリングを有する実施形態では、各バッカリングは、異なる材料から成ってもよい。例えば、第1のバッカリングが、アルミニウム-ニッケル-青銅合金から成ってもよい一方で、第2のバッカリングは、C260真鍮から成ってもよい。バッカリングは、選択される材料およびバッカリングの所望の寸法に応じて、スタンピング、機械加工、または他の形成方法によって形成されてもよい。
【0098】
バッカリングはまた、所望のシール設計、および本発明の範囲内で選定される材料に応じて、急な屈曲部を有する切頂面積内に屈曲部を有してもよい、またはバッカリングの内部および外部に面した表面のいずれか一方または両方の上の屈曲部に丸みを帯びた、または軟化した縁角を有してもよい。
【0099】
ここで図6を参照すると、図1の耐火シールアセンブリの分解縦断面図が示されている。耐火シールアセンブリ100の第1の押出防止シール110は、第1のシールに面した表面114によって画定される溝118を有する。好ましくは、約60~約120度、より好ましくは、約80~約100度である、角度(θ)が、交差点171を参照して、第1の押出防止シール110の第1のシールに面した表面114の第1の脚部114aと第2の脚部114bとの間で測定されることができる。同様に、交差点172を参照して、第1の押出防止シール110の外面116の第1および第2の脚部116a、116bの間で測定される角度(θ)は、好ましくは、約60~約120度、より好ましくは、約80~約100度である。第1の押出防止シール110では、θおよびθは、同一である、または異なり得る。
【0100】
第2の押出防止シール120に関して、好ましくは、約60~約120度、より好ましくは、約80~約100度である、角度(θ)が、交差点173を参照して、第2のシールに面した表面124の第1の脚部124aと第2の脚部124bとの間で測定されることができる。第1の押出防止シール110の角度θは、第2の押出防止シール120の第2のシールに面した表面124によって形成されるθと同一である、または異なり得る。θが、θに等しいとき、第1の押出防止シール110の外面116の第1の脚部および第2の脚部116a、116bは、それぞれ、第2のシールに面した表面124の第1の脚部および第2の脚部124a、124bと対向係合する。θが、θに等しくないとき、より大きい空洞129が、(図5に最良に示されるように)形成され、高温または火災条件へのシールアセンブリの暴露に応じて、第1の押出防止シール110の変形のための付加的空間を提供する。
【0101】
交差点174を参照して、第2の押出防止シール120の外面126の第1の脚部126aと第2の脚部126bとの間で測定される角度(θ)は、約60~約120度、より好ましくは、約80~約100度であってもよい。第2の押出防止シール120では、θおよびθは、同一である、または異なり得る。
【0102】
各バッカリング130は、交差点175を参照して、第3のシールに面した表面134の対向する脚部134a、134bの間で測定される、角度(θ)を含む。角度θは、好ましくは、約60~約120度、より好ましくは、約80~約100度である。第2の押出防止シール120の角度θは、好ましくは、第2の押出防止シール120の外面126の一部が、バッカリング130のシールに面した表面134に接触するように、θと同一である、または類似する。θが、θと同一であるとき、第2の押出防止シール120の外面126の第1の脚部126aおよび第2の脚部126bは、それぞれ、バッカリング130の第3のシールに面した表面134の第1の脚部134aおよび第2の脚部134bと対向係合である。空洞139が、第2の押出防止シール120がバッカリング130の溝を完全に充填しないときに、外面126と第3のシールに面した表面134との間に形成されてもよい。
【0103】
さらに、各バッカリング130は、好ましくは、約60~約120度、より好ましくは、約80~約100度である、交差点176を参照して外面136の第1の脚部136aと第2の脚部136bとの間で測定される角度(θ)を有する。好ましくは、θは、複数のバッカリングが、対向係合して相互の上にスタックされ得、最小限の間隙または空洞がその間に形成される、または全く形成されないように、θと同一である。剛性材料から成るバッカリング130、140が、高温に暴露されたときに有意に変形しないため、隣接するバッカリング130、140の間に空洞が要求されない。
【0104】
図1のシールアセンブリの各構成要素が、図6A-6Nにさらに詳細に示される。
シールアセンブリ100は、図に示される正確な寸法および/または割合に限定されず、図は、本発明の実施形態に従って構築されるシールの実施例として提供されるにすぎない。
【0105】
ここで図7A-7Bを参照すると、それぞれ、動作に先立った、または動作時の、グランド内に配設された際の図1の耐火シールアセンブリの縦断面図が示されている。図示される実施形態では、耐火シールアセンブリ100は、第1のシール101と、第1の押出防止シール110と、第2の押出防止シール120と、一対のバッカリング130、140とを含む。配設の間に、本発明の耐火シールアセンブリ100が、流体取扱構成要素等の他のタイプの装置の中でも油圧アクチュエータ等の油圧構成要素800内のグランド801内に設置され、グランド801は、同心円状に配列された表面806、808の間に形成される。耐火シールアセンブリ100は、耐火シールアセンブリ100の第1のシール101が、油圧構成要素800の高圧側802に位置付けられ、押出防止シールおよびバッカリングのスタックが、油圧構成要素800の大気/低圧側804に一方向構成で配列されるように、配設される。油圧構成要素800のグランド801内に配設されたとき、耐火シールアセンブリ100は、油圧構成要素800からの油圧流体がそこから漏出することを防止するため、さらに、火災条件下である時間周期にわたってそのようなシールを維持するために、シールを形成するように構成される。シールアセンブリ100は、シールアセンブリ100が配設されるグランドの半径方向高さ(h)と少なくとも同一であり、好ましくは、それを若干上回る、半径方向に測定される高さ(h)を有する。このように、シールアセンブリ100は、グランド内でわずかな半径方向圧縮を受ける。
【0106】
いったんシールアセンブリ100が、図7Aに示されるように配設されるとき、第1のシール101は、対向する同心円状に配列された表面806、808に接触し、シールを提供する。第1のシール101は、第1のシール101の一部193が、第1の押出防止シール110の溝内に位置付けられ、第1のシールに面した表面114に接触するように、第1の押出防止シール110内に部分的に着座される。第1のシール101は、空洞119がその間に形成されるように、第1の押出防止シール110の溝118を完全には充填しない。
【0107】
斜切端部分115a、115b、特に、第1の押出防止シール110の頂点151a、151bは、グランド801の対向する同心円状に配列された表面806、808と接触している。第1の押出防止シール110は、第1の押出防止シール110の外面116の一部194が、第2のシールに面した表面124と接触するように、第2の押出防止シール120の溝内に少なくとも部分的に着座される。第1の押出防止シール110は、空洞129がその間に形成されるように、第2の押出防止シール120の溝を完全には充填しない。
【0108】
斜切端部分125a、125b、特に、第2の押出防止シール120の頂点161a、161bもまた、グランド801の同心円状に配列された表面806、808と接触している。第2の押出防止シール120は、第2の押出防止シール120の外面126の一部195が、バッカリング130の第3のシールに面した表面134に接触するように、第1のバッカリング130内に少なくとも部分的に着座される。2つのバッカリング130、140は、グランド801の同心円状に配列された表面806、808とシール係合している。さらに、2つのバッカリング140のうちの第2のものは、グランド801の大気圧側804に当接するように位置付けられる。
【0109】
図7Bに示されるような油圧構成要素800の動作の間に、第1のシール101は、溝の中にさらに押進される。温度が上昇するにつれて、第1のシール101はまた、変形し得、第1のシール101の変形された部分101aは、空洞119を充填または部分的に充填し得る。第1のシール101が空洞119の中に押進されるにつれて、第1の押出防止シール110は、斜切端部分115a、115bが、さらなる程度まで、グランド801の同心円状に配列された表面806、808と接触するように、グランド801をシールするように半径方向に拡張する。同様に、圧力は、さらに第2の押出防止シール120の溝の中に第1の押出防止シール110を押進し、その斜切端部分125a、125bが、さらなる程度にグランド801の対向する同心円状に配列された表面806、808に接触し、グランド801をシールするように、第2の押出防止シール120を半径方向に拡張させてもよい。剛性材料から成る1つまたは複数のバッカリング130、140は、圧力下および高温において有意に偏移または変形しない。第1のシール101および/または押出防止シール110、120が、熱および圧力下で変形するにつれて、バッカリング130、140は、シールを維持し、押出防止シール110、120がグランド801から外に押出すことを防止することに役立つ。
【0110】
ここで図8を参照すると、耐火シールアセンブリの双方向実施形態600が示されている。双方向耐火シールアセンブリ600は、図1-7Bの実施形態と同一の様式で構築され、第1のシール601の対向側の図1-7Bのシールスタックと同じシールスタックのその包含のみが異なる。したがって、第1のシール601の第1の側面は、第1の押出防止シール610aと、第2の押出防止シール620aと、図示される実施形態では、第1のバッカリング630aと、第2のバッカリング640aとを含む。第1のシール601の対向側は、第1の押出防止シール610bと、第2の押出防止シール620b、図示される実施形態では、第1のバッカリング630bと、第2のバッカリング640bとを含む。押出防止シールおよびバッカリングは、上記に議論されるものと同一の様式で、かつ同一の材料から構築されてもよい。双方向耐火シールアセンブリ600は、動的シール用途で使用するために適しており、特に、ピストンシールとして使用するために適している。
【0111】
ここで図9を参照すると、本発明の耐火シールアセンブリの代替実施形態が示されている。図示される実施形態では、耐火シールアセンブリ200は、図1-7Bで上記に説明される耐火シールアセンブリ100と実質的に同一であるが、バッカリング130、140に関して上記に説明される構造の代替構造を有する、単一のみのバッカリング230を含む。したがって、シールアセンブリ200は、第1のシール201と、第1の押出防止シール210と、第2の押出防止シール220(但し、2つ以上のそのような第2の押出防止シールが、所望され得る場合、使用されてもよい)と、単一のバッカリング230とを含む。バッカリング230は、第2の押出防止シール220を受容するためのシールに面した表面234と、外面236とを含む。シールに面した表面234は、シールに面した表面234に沿って延在する溝を画定する。好ましくは、溝は、シールに面した表面234の周囲で環状に延在する。シールに面した表面234は、縦断面図で略V字形であり得る。
【0112】
縦断面図では、バッカリング230の外面236は、第1および/または第2の押出防止シール210、220の外面と同様に成形されるように、切頂V字形部分および斜切端部分(図示せず)を有してもよい。代替として、バッカリング230の外面236は、図9に示されるように、シールアセンブリ200が位置付けられる長方形グランド801を充填するように、略正方形または長方形を有してもよい。
【0113】
アセンブリ200内のバッカリング230は、好ましくは、熱可塑性または熱硬化性ポリマー材料である第3のポリマー材料から成る。好ましくは、第3のポリマー材料は、第1のシール201および第1の押出防止シール210の両方よりも高い分解温度を有する。第3のポリマー材料は、示される第2の押出防止シール220と同一の分解温度を有してもよく、好ましくは、第2の押出防止シール220よりも高い分解温度を有する。好ましい実施形態では、第3のポリマー材料は、Arlon(R) 3000XT等の充填、補強、および/または強化ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)である。
【0114】
ここで図10および11を参照すると、本発明の耐火シールアセンブリの別の代替実施形態が示されている。本発明はさらに、固体の第1のシール301と、固体押出防止シール310とを有する、耐火シールアセンブリ300に関する。したがって、第1のシール301も固体押出防止シール310も、スカーフ切り込みまたは同等物等の切り込みを含まない。分割または切り込みは、多くの場合、構成要素上のシールまたはシールアセンブリの配設を促進し、また、損傷または磨耗したシールの簡略化された交換も可能にするために使用される。しかしながら、分割または切り込みは、流体がシールを通して漏出するための通路としての役割を果たし得る。そのような分割または切り込みを伴わない固体押出防止シールの使用は、本潜在的漏出経路を排除し、火災条件下で向上したシール性能を提供する。
【0115】
図示される実施形態では、第1のシール301は、円形縦断面302を有する。
しかしながら、代替実施形態では、第1のシール301は、いくつかある断面形状の中でも、八角形、七角形、六角形、楕円形、卵、または斜切端部分を伴う切頂V字形等の他の縦断面形状を有してもよい。第1のシール301は、好ましくは、いくつかある好適な材料の中でも、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)または他のエチレンプロピレン(EPM)ゴム、ニトリルゴム、シリコーン、フルオロシリコーン、フルオロエラストマ、またはパーフルオロエラストマ等のエラストマ材料から成る。
【0116】
固体押出防止シール310は、第1のシール301を受容するためのシールに面した表面314と、外面316とを有する。所望される場合、第2のそのような固体押出防止シールが、使用されてもよいが、示される好ましいアセンブリでは、1つだけが採用される。シールに面した表面314は、シールに面した表面314に沿って延在する溝318を画定する。好ましくは、溝318は、シールに面した表面314の周囲で環状に延在する。シールに面した表面314は、縦断面図で略V字形である。さらに、縦断面図では、外面316は、グランドとのシール接触のために構成される、斜切端部分315a、315bを伴う切頂V字形部分313を有する。斜切端部分はそれぞれ、頂点351a、351bであって、半径方向への斜切端部分315a、315b上の最外ピークまたは点である、頂点351a、351bを含む、またはシール接触が行われ得る限り、丸みを帯びた、またはより軟質の屈曲部であり得る。切頂V字形部分313は、切頂区画317によって分離される、第1の脚部316aおよび第2の脚部316bを含む。斜切端部分315a、315bは、切頂V字形部分313から延在し、シールに面した表面314に向かってテーパ状になる。
【0117】
第1のシール301は、少なくとも部分的に固体押出防止シール310の溝318内に位置付けられる。第1のシール301の少なくとも一部381は、シールに面した表面314と接触している。第1のシール301は、固体押出防止シール310の溝318を完全には充填せず、空洞319が、固体押出防止シール310と第1のシール301との間に形成される。
【0118】
固体押出防止シール310は、好ましくは、いくつかある好適な熱可塑性または熱硬化性ポリマー材料の中でも、個別に、またはともに、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド(PI)、またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、またはポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)等のポリアリールエーテルケトン(PAEK)、およびこれらのポリマーのコポリマー、誘導体、および組み合わせ等の熱可塑性または熱硬化性ポリマー材料から成る。ポリマー材料は、炭素またはガラス粒子または繊維等で充填または補強されてもよい。好ましい実施形態では、ポリマー材料は、充填または補強PEEK等の高弾性率ポリマー材料である。好ましい実施形態では、ポリマー材料は、Arlon(R) 3000XTである。
【0119】
本発明による、シールアセンブリのさらなる実施形態が、1つを上回る第2の押出防止シールを有して、図11Aに示される。概して、アセンブリ400と示される、本実施形態では、第1のシール401(上記の実施形態に記述される第1のシールのうちのいずれかと同一であり得るが、好ましくは、実施形態100のものに類似する)の隣に、3つの押出防止シール、すなわち、第1の押出防止シール410、および2つの第2の押出防止シール420および496が存在する。図11Aに示されるように、第1の押出防止シール410および第2の押出防止シールのそれぞれの一般的な構成は、実施形態100の第1の押出防止シール101および第2の押出防止シール120に類似する。しかしながら、他の構成も、本開示内の情報に基づいて、本実施形態に組み込まれてもよい。バッカリングは、実施形態100のものよりも若干厚く、単一のバッカリングとして形成されるが、複数のバッカリングが、使用されてもよい。示されるように、バッカリングは、より厚く、斜切であり、上記のポリマー材料のうちのいずれかから形成されてもよいか、または金属バッカリングであってもよいかのいずれかである。好ましくは、示される実施形態におけるバッカリング430は、実施形態100および200に関する上記の第2のポリマーまたは第3のポリマー材料のうちの1つから形成される。
【0120】
図11Aでは、他の実施形態と同様に、同様の参照番号が、類似する、または類似部品を示す。
【0121】
示されるような第1のシール401は、好ましくは、示されるような構成では環状であり、断面構成が、所望される場合、変動され得る、上記に説明される実施形態のシールに類似する。第1のシール401は、好ましくは、以前の実施形態に記述されるような材料と一致する、上記に説明されるようなエラストマ材料から形成され、分割される、または固体であり得る。
【0122】
第1のシール401のエラストマ材料は、シールを提供し、通常の動作温度および圧力において漏出を防止するように選択され、実施形態100のように、シールアセンブリ400の耐火性質に有意に寄与することを意図していない。
【0123】
図11Aに示されるように、第1の押出防止シール410は、外面416と、第1のシール401を受容するための第1のシールに面した表面414とを有する。第1のシールに面した表面414は、第1のシールに面した表面414に沿って延在する溝418を画定する。溝418は、好ましくは、第1のシールに面した表面414の周囲で環状に延在する。いくつかの実施形態では、第1のシールに面した表面414は、縦断面図で略V字形であり、ある点において交差する、または円弧状屈曲部481によって接続される、第1の脚部414aおよび第2の脚部414bを含む。第1のシール401は、第1のシール401が、第1のシールに面した表面414の少なくとも一部493に接触するように、第1のシールに面した表面414によって受容される。部分493に類似する接触部分もまた、好ましくは、シールの下側脚部414b上で見出され、複数の接触部分が、シールの設計に応じて形成され得ることが、当業者によって理解されるであろう。第1のシール401の少なくとも一部は、溝418内に位置付けられ、第1のシール401は、実施形態100に関して実証されるように、シールアセンブリ400が位置付けられるグランドとシールを形成するように構成される。第1のシール401が溝418内に位置付けられる程度および接触点は、本発明の範囲内の本明細書の実施形態の変形例において、第1のシール401および第1の押出防止シール410のために選定される具体的構成に応じて、若干変動され得る。
【0124】
図11Aの縦断面図では、第1の押出防止シール410の外面416は、切頂V字形部分413と、斜切端部分415a、415bとを有する。切頂V字形部分413は、切頂区画417によって分離される、第1の脚部および第2の脚部416aおよび416bを含む。斜切端部分415a、415bは、切頂V字形部分413から延在し、第1のシールに面した表面414に向かってテーパ状になる。斜切端部分415a、415bは、シールアセンブリ100が位置付けられるグランドとのシール接触のために構成される。斜切端部分415a、415bはそれぞれ、グランドとのシール接触のための頂点451a、451bであって、半径方向への斜切端部分415a、415b上の最外ピークまたは点である、頂点451a、451bを形成してもよい、または本明細書の実施形態100と一致し、それと同様に、シール接触が行われ得る限り、丸みを帯びた、またはより軟質の屈曲部であり得る。接触が、本明細書で使用されるシール設計に応じて、少なくとも頂点および/または斜面の一部においてグランドと行われてもよい。
【0125】
2つの第2の押出防止シールのうちの第1のもの、すなわち、第2の押出防止シール420も、実施形態400に示される。第2の押出防止シール420は、外面426と、第1の押出防止シール410を受容するための第2のシールに面した表面424とを有する。第2のシールに面した表面424は、第2のシールに面した表面424に沿って延在する溝428を画定する。溝428は、好ましくは、第2のシールに面した表面424の周囲で環状に延在する。いくつかの実施形態では、第2のシールに面した表面424は、縦断面図で略V字形である。第2のシールに面した表面424は、好ましくは、ある点において交差し得る、または丸みを帯びた、または円弧状屈曲部482によって接続され得る、第1の脚部424aおよび第2の脚部424bを含む。
【0126】
第1の押出防止シール410の外面416は、第1の押出防止シール410の外面416の一部494が、第2の押出防止シール420の第2のシールに面した表面424に接触するように、少なくとも部分的に第2の押出防止シール420の溝428内に位置付けられる。上記のように、1つを上回る接触点または部分が、存在し得る。第1の押出防止シール410の外面416の第1の脚部416aおよび第2の脚部416bは、それぞれ、第2の押出防止シール420の第2のシールに面した表面424の第1の脚部424aおよび第2の脚部424bと対向係合するように構成されてもよい。第1の押出防止シール410が、少なくとも部分的に溝428内に位置付けられるとき、斜切端部分415a、415bは、第2の押出防止シール420の溝428から外向きに延在し、シールアセンブリ100が位置付けられる、グランドの壁とのシール接触のために構成される。
【0127】
縦断面図では、第2の押出防止シール420の外面426は、切頂V字形部分423を有し、また、斜切端部分425a、425bも有する。切頂V字形部分423は、切頂区画427によって分離される、第1の脚部426aおよび第2の脚部426bを含む。斜切端部分425a、425bは、切頂V字形部分423から延在し、第2のシールに面した表面424に向かってテーパ状になる。斜切端部分425a、425bは、シールアセンブリ400が位置付けられるグランドとのシール接触のために構成される。斜切端部分425a、425bはさらに、グランドとのシール接触のために構成される頂点461a、461bであって、半径方向への斜切端部分425a、425b上の最外ピークまたは点である、頂点461a、461bを含んでもよい、またはシール接触が行われ得る限り、丸みを帯びた、またはより軟質の屈曲部であり得る。グランドとの接触が、シール構成に応じて、斜切端部分の頂点および/またはある部分において生じ得る。
【0128】
第1の押出防止シール410は、好ましくは、実施形態100におけるシール101に関して上記のものと同一の様式で、かつ同一の材料を使用して、第1のシール401のエラストマ材料の分解温度よりも高い分解温度を有する、第1のポリマー材料から形成される。
【0129】
第2の押出防止シール420は、冗長シールを提供するように、第1の押出防止シール410と同一のポリマー材料から形成されてもよい。しかしながら、第2の押出防止シール420は、好ましくは、実施形態100における第1の押出防止シール110および第2の押出防止シール120と同一の様式で第1の押出防止シール410を形成するために使用される第1のポリマー材料よりも高い分解温度を有する、第2のポリマー材料から成る。
【0130】
示されるように、さらなる第2の押出防止シール496(第3の押出防止シールである)が、第2の押出防止シール420との直列組立において提供される。第3の押出防止シールが、示されるように、またはシール420の逆位置に位置し得ることを留意されたい。示されるようなシール496は、第2の押出防止シール420と同一の構成および形状であり、第2の押出防止シール420に対して噛合様式で位置する。2つの第2の押出防止シール420、496は、本発明の範囲内でも若干異なるように、または示されるような同一の構成であるように構成されてもよい。それらはまた、グランド内に設置されたときに、例えば、実施形態100に関して図7Aおよび7Bに示される様式でシールがグランドと生じる限り、対向係合する、または間隙を有し得るように、衝合してもよい。押出防止シール496の外面484は、押出防止シール420と同一の様式で、斜面483と、切頂部分485とを有する。シール496のシールに面した表面486は、最内の第2の押出防止シール420の外面426を受容する溝487を形成する。
【0131】
耐火シールアセンブリ400はさらに、少なくとも1つのバッカリング430を含む。示される実施形態では、1つだけのバッカリングが、提供されるが、2つが、上記のように使用されてもよい。バッカリング430は、外部に位置付けられた第2の押出防止シール496を受容するための第3のシールに面した表面434と、外面436とを有する。第3のシールに面した表面434は、第3のシールに面した表面434に沿って延在する溝438を画定する。好ましくは、溝438は、第3のシールに面した表面434の周囲で環状に延在する。第3のシールに面した表面434は、縦断面図で略V字形を有してもよいが、好ましくは、示されるように丸みを帯びている。バッカリング430の外面436は、縦断面図で視認されたときに、切頂V字形を有する。外面436の切頂V字形は、切頂区画437によって分離される、第1の脚部436aおよび第2の脚部436bを含む。最外の第2の押出防止シール496の外面484は、外面484の少なくとも一部495が、バッカリング430の第3のシールに面した表面434に接触するように、少なくとも部分的にバッカリング430の溝438内に位置付けられる。最外の第2の押出防止シール496の第1の脚部488aは、第3のシールに面した表面434の第1の脚部434aと対向係合してもよく、第2の脚部488bは、同様に、第3のシールに面した表面の第2の脚部434bと対向係合してもよい。最外の第2の押出防止シール496が、少なくとも部分的にバッカリング430の溝438内に位置付けられるとき、押出シール496の上部および底部上の斜切端部分483は、溝438から外向きに延在し、グランドの対向する壁に接触し、シールを形成するように構成される。
【0132】
本発明の耐火シールアセンブリのバッカリング430は、それぞれ、第1の押出防止シール410および第2の押出防止シール420、496を形成するために使用される第1または第2のポリマー材料のいずれかを上回る剛性を有する、剛性材料を使用して形成されてもよい。バッカリングは、金属である、またはより好ましくは、上記のような第3のポリマー材料から形成されてもよい。このように、1つ以上のものが使用される場合の1つまたは複数のバッカリングは、第1の押出防止シールおよび第2の押出防止シールを支持することができる。材料の「剛性」は、上記の実施形態のうちのいずれかに上記される通りであってもよい。
【0133】
バッカリングはまた、所望のシール設計、および本発明の範囲内で選定される材料に応じて、急な屈曲部を有する切頂面積内に屈曲部を有してもよい、または図11Aに示されるようにバッカリングの内部および外部に面した表面のいずれか一方または両方の上の屈曲部に丸みを帯びた、または軟化した縁角を有してもよい。さらに、切頂または屈曲の角度は、実施形態100および200に関して上記されるものに類似し得る。
【0134】
本発明はまた、油圧構成要素内の耐火性を改良するための方法にも関する。好ましくは、構成要素は、航空機エンジンの発火区域等の発火区域内に位置する油圧構成要素である。油圧構成要素は、油圧アクチュエータを含む、種々の油圧構成要素のうちのいずれかであり得る。本発明の耐火シールアセンブリは、耐火シールアセンブリが、通常動作条件の間に、および火災条件の間に、油圧構成要素からの流体の漏出を防止するように、油圧構成要素のグランド内に配設される。
【0135】
加えて、本発明は、耐火油圧構成要素に関する。油圧構成要素は、当技術分野内で公知である種々の油圧構成要素のうちのいずれか、特に、本明細書に説明されるような本発明の耐火シールアセンブリをさらに含む、油圧アクチュエータ等の航空機エンジンの発火区域内で使用するためのものであってもよい。耐火シールアセンブリは、火災条件下を含む、ある範囲の温度において、油圧流体が油圧構成要素から外に漏出することを防止することに役立つ。
【0136】
本発明は、ここで、以下の非限定的実施例に関してさらに説明されるであろう。
【実施例
【0137】
(実施例1)
サンプルシールアセンブリが、従来の耐火シール設計に対して改良された耐火性を有するシールアセンブリを開発するために試験された。種々のサンプルシールアセンブリが、調製され、RTCA/DO-160GおよびISO 2685に記載されるものに類似する試験条件下で試験された。各サンプルシールアセンブリは、954 EPDM(Greene, Tweedによって供給される)から成る第1のシールと、種々の材料から形成される1つ以上の付加的シールとを含んだ。各サンプルシールアセンブリは、約1.859インチの内径を有した。いったんサンプルシールアセンブリが調製されると、サンプルシールアセンブリは、図12-14に示されるように、試験装置の同心円筒形構成要素の間に形成されたグランド内に位置付けられた。窒素ガスが、動作圧力におけるサンプルシールアセンブリの性能をシミュレートするように、試験装置の第1の側に供給され、装置の対向側は、大気圧にあった。サンプルシールアセンブリグランド内に配設されると、試験装置は、プロパントーチによって生成される火炎からの熱に暴露され、火炎は、15分にわたって、またはサンプルシールアセンブリが破損するまで、グランド筐体の前部に直接印加された。シールアセンブリの破損時の試験装置の最高内部温度が、試験装置に位置付けられ、シールアセンブリに隣接する熱電対によって決定された。
【0138】
(実施例2)
表1は、試験のために調製されたサンプルシールアセンブリの構成要素を示す。各サンプルシールアセンブリの構成が、図15-19および22および23~26に示される。
【表1-1】

【表1-2】

【表1-3】
【0139】
比較シールアセンブリ(「比較サンプル1」)が、出願人の従来技術の防火シール設計に従って構築され、図15の縦断面図によって示されるような構成を有した。比較サンプル1は、954 EPDMから成るLリングの形態の第1のシール501と、Arlon(R) 3000XTから成る第1のバックアップリング502と、それぞれ、同様にArlon(R) 3000XTから成った、一対のカム付きバックアップリング503、504とを含んだ。約2,000°Fの温度を伴う火炎が、グランドの外側に直接印加され、窒素が、60psiの圧力において供給された。比較サンプル1は、約1分後に破損し、シールアセンブリの破損時の試験装置の最高内部温度は、試験装置内の熱電対によって測定された際に約650°Fであった。
【0140】
比較サンプル2が、954 EPDMから成るOリング510の形態の第1のシール、単一のスカーフ切断Arlon(R) 1263押出防止シール511、および一対のAl-Ni-Brバッカリング512、513から調製され、図16の縦断面図によって示されるような構成を有した。約2,000°Fの温度を伴う火炎が、グランドの外側に直接印加され、窒素が、73.5±7.5psiの圧力において供給された。試験の間に、漏出が、検出され、シールが、11分におけるシールの破損に先立って再確立され、シールアセンブリの破損時の試験装置の最高内部温度は、約1,300°Fであった。比較サンプル2は、比較サンプル1に対して改良された性能を実証し、破損までの増加した時間および破損時の実質的により高い最高内部温度を実証した。しかしながら、漏出が、試験周期の間に検出され、漏出は、1mL/分を上回る漏出の検出として定義される。漏出は、第1のシール510が破損した後にシールを形成するためにまだ十分に軟化していない、Arlon(R) 1263押出防止シール511の結果であると考えられる。いったんArlon(R) 1263押出防止シール511が、温度が上昇するにつれて軟化すると、シールが、次いで、再形成された。
【0141】
発明シールが、図17の縦断面図によって示されるような構成を有するように、発明サンプル1が、954 EPDMから成るOリングの形態の第1のシール520、スカーフ切断Avalon(R) 89押出防止シール521、スカーフ切断Arlon(R) 1263押出防止シール522、および0.015インチ厚をそれぞれ有する一対のAl-Ni-Brバッカリング523から調製された。発明サンプル1は、比較サンプル2によって実証される早期漏出に対処しようとするために、比較サンプル2に対する第2の押出防止シールを含んだ。約2,000°Fの温度を伴う火炎が、グランドの外側に直接印加され、窒素が、73.5±7.5psiの圧力において供給された。発明サンプル1は、10分後に約1,312°Fの試験装置の最高内部温度において破損し、試験の間に漏出を実証しなかった。発明サンプル1は、破損までの類似時間を維持しながら、試験の間に検出される漏出を伴わずに、比較サンプル2に対してさらに改良された性能を実証し、破損時のわずかにより高い最高内部温度を実証した。
【0142】
発明サンプル2が、954 EPDMから成るOリングの形態の第1のシール530、スカーフ切断Avalon(R) 89押出防止シール531、スカーフ切断Arlon(R) 1263押出防止シール532、および0.015インチ厚を有する単一のAl-Ni-Brバッカリング533から調製され、図18の縦断面図によって示されるような構成を有した。約2,000°Fの温度を伴う火炎が、グランドの外側に直接印加され、窒素が、73.5±7.5psiの圧力において供給された。発明サンプル2は、6分後に約1,075°Fの試験装置の最高内部温度において破損した。発明サンプル2は、わずか1分後に650°Fの最高内部温度において破損した比較サンプル1に対して、および試験周期の間に漏出することが見出された比較サンプル2に対して、改良された性能を実証した。しかしながら、単一のAl-Ni-Brバッカリングの使用は、2つのAl-Ni-Brバッカリングを利用した発明サンプル1に対して、破損時のより低い最高内部温度、および破損までのより短い時間をもたらした。
【0143】
発明サンプル3が、図19に示されるような構成を有して、954 EPDMから成るOリングの形態の第1のシール540、スカーフ切断Avalon(R) 89押出防止シール541、スカーフ切断Arlon(R) 1263押出防止シール542、および一対のC260真鍮バッカリング543から調製された。発明サンプル3は、発明サンプル1に類似するが、2つのAl-Ni-Brバッカリングではなく、2つの真鍮バッカリングを含んだ。約2,000°Fの温度を伴う火炎が、グランドの外側に直接印加され、窒素が、73.5±7.5psiの圧力において供給された。発明サンプル3は、12分後に約1,175°Fの試験装置の最高内部温度において破損した。発明サンプル3は、比較サンプル1に対して改良された性能を実証し、破損までより長い時間を有し、より高い最高内部温度において破損した。2つのC260真鍮バッカリングを有する発明サンプル3はまた、単一のAl-Ni-Brバッカリングのみを利用した発明サンプル2に対して改良された性能を実証した。
【0144】
発明サンプル4が、発明サンプル1と同一の様式で調製され、954 EPDMから成るOリングの形態の第1のシール、スカーフ切断Avalon(R) 89押出防止シール、スカーフ切断Arlon(R) 1263押出防止シール、および0.015インチ厚をそれぞれ有する一対のAl-Ni-Brバッカリングから調製された。発明サンプル4はまた、図17に示されるような構成も有した。約2,000°Fの温度を伴う火炎が、グランドの外側に直接印加され、窒素が、73.5±7.5psiの圧力において供給された。発明サンプル4は、14分後に約1,366°Fの試験装置の破損時の最高内部温度において破損した。発明サンプル1および発明サンプル4の性能の差異は、シールの火災試験に固有の変動性に起因し、シール性能は、とりわけ、グランド筐体に印加されるにつれて火炎に影響を及ぼす気流、および火炎を生成するプロパンタンクの圧力/条件を含む、多くの理由により、変動し得る。
【0145】
発明サンプル5および6は、同じであり、それぞれ、図22の縦断面図に示されるような構成を有して、954 EPDMから成るOリング570の形態の第1のシール、Avalon(R) 89の第1の押出防止シール571、Arlon(R) 1263の第2の押出防止シール572、および一対の機械加工された厚さ0.010インチのAl-Ni-Brバッカリング573、574から調製された。発明サンプル5および6は、発明サンプル1および4と同一の様式で調製されたが、縮小された厚さを有するバッカリングを含んだ。約2,000°Fの温度を伴う火炎が、グランドの外側に直接印加され、窒素が、73.5±7.5psiの圧力において試験装置を通して供給された。発明サンプル5は、11分で約1,197°Fの試験装置の最高内部温度において破損した。発明サンプル6は、10分で約1,180°Fの試験装置の最高内部温度において破損した。発明サンプル5および6に関する結果の差異は、議論されるような防火シールの試験の変動性に起因する。発明サンプル5および6は、比較シールに対して良好な性能を実証したが、バッカリングの縮小された厚さの結果であると考えられる、発明サンプル1および4に対して試験装置のより低い最高内部温度において破損した。
【0146】
(実施例3)
さらなる試験が、実施例2のサンプルシールアセンブリと異なる直径を有する、耐火シールアセンブリの性能を決定するように行われた。発明サンプル7が、実施例2における発明サンプル1および4と同一の様式で調製されたが、0.674インチの縮小された内径を有した。したがって、発明サンプル7は、図17に示されるような構成を有して、954 EPDMから成るOリングの形態の第1のシールと、スカーフ切断Avalon(R) 89押出防止シールと、スカーフ切断Arlon(R) 1263押出防止シールと、一対のAl-Ni-Brバッカリングとを含んだ。発明サンプル7は、5分の周期にわたって、または破損まで、約2,000°Fの火炎温度および73.5±7.5psiの窒素圧力を用いて試験された。発明サンプル7は、約1,690°Fの試験装置の最高内部温度において破損し、5分の試験の間に漏出が検出されなかった。したがって、発明サンプル7は、試験周期の間にシールを維持し、破損時の高い最高内部温度を実証した。発明サンプル1および4に対する破損時のより高い最高内部温度は、破損時のより高い最高内部温度が、より大きい直径のシールアセンブリに対して達成されることを可能にする、より小さいシール直径に起因し得る。
【0147】
(実施例4)
サンプルシールアセンブリが、改良された耐火シールアセンブリを開発するために、図10-11に示されるような本発明の耐火シールアセンブリの代替実施形態に従って調製および試験された。種々のサンプルシールアセンブリが、調製され、実施例1の場合と同一の装置を使用して試験された。いったんサンプルシールアセンブリが調製されると、サンプルシールアセンブリは、図12-14に示されるように、試験装置の同心円筒形構成要素の間に形成されたグランド内に位置付けられた。窒素ガスが、動作圧力におけるサンプルシールアセンブリの性能をシミュレートするように、60psiの圧力において装置の第1の側に供給され、装置の対向側は、大気圧にあった。サンプルシールアセンブリがグランド内に配設されると、サンプルシールアセンブリは、約1,400°の開始温度を有するプロパントーチによって生成される火炎によって約1,800°Fの最高温度までゆっくり加熱され、火炎は、サンプルシールアセンブリが破損するまで、グランド筐体の前部に直接印加された。いったんサンプルシールが破損すると、シールアセンブリの破損時の試験装置の最高内部温度が、試験装置内に位置付けられた熱電対によって決定された。
【0148】
(実施例5)
表2は、試験のために調製されたサンプルシールアセンブリの組成を示す。シールアセンブリの構成が、図20-21に示される。
【表2】
【0149】
比較サンプル3は、固体押出防止シール550のみ、すなわち、Arlon(R) 3000XTから成る、分割および切り込みを伴わない押出防止シールを含んだ。比較サンプル3は、図20に示されるような構成を有した。比較サンプル3は、約1,015°Fの試験装置の最高内部温度において破損した。比較サンプル3は、実施例2において上記に説明され、650°Fの温度において破損した比較サンプル1に対して、改良された性能を実証した。
【0150】
比較サンプル4が、954 EPDMから作製されたOリングの形態の第1のシール560、およびArlon(R) 3000XTのスカーフ切断押出防止シール561から調製された。比較サンプル4は、図21の縦断面図によって示されるような構成を有した。試験の間に、漏出が、検出され、シールが、シールの破損に先立って再確立され、シールアセンブリは、約1,010°Fの試験装置の最高内部温度において破損した。比較サンプル4は、比較サンプル1に対して改良された高温性能を実証し、試験装置のより高い最高内部温度において破損した。
【0151】
発明サンプル8が、954 EPDMから成るOリングの形態の第1のシール、および固体Arlon(R) 3000XT押出防止シールから調製された。発明サンプル8はまた、押出防止シールが固体であり、切り込みまたは分割を有していないという点のみで比較サンプル4と異なる、図21に示されるような構成を有した。発明サンプル8は、約1,020°Fの試験装置の最高内部温度において破損し、漏出を実証しなかった。発明サンプル8は、比較サンプル1および比較サンプル3および4に対して改良された性能を実証した。
【0152】
(実施例6)
さらなる発明サンプル9、10、および11、および12-19が、上記の表1に記述される結果を伴って実施された。シールアセンブリは、サンプル9では図9、サンプル10では図23、サンプル11では図19、サンプル12に関しては図24、サンプル13に関しては図25、およびサンプル14-19では図26の設計を有した。
【0153】
変更が、その広義の発明概念から逸脱することなく、上記に説明される実施形態に行われ得ることが当業者によって理解されるであろう。したがって、本発明は、開示される特定の実施形態に限定されないが、添付の請求項によって定義されるような本発明の精神および範囲内に該当する修正を網羅することが意図されることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図6I
図6J
図6K
図6L
図6M
図6N
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図11A
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26