(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-07
(45)【発行日】2024-08-16
(54)【発明の名称】掘削リグにおけるドリルビット交換システム、該交換システムを備えた掘削リグ及び該システムを使用するドリルビット交換方法
(51)【国際特許分類】
E21B 19/18 20060101AFI20240808BHJP
【FI】
E21B19/18
(21)【出願番号】P 2020565860
(86)(22)【出願日】2019-05-16
(86)【国際出願番号】 SE2019050443
(87)【国際公開番号】W WO2019226096
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-04-25
(32)【優先日】2018-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】398056193
【氏名又は名称】エピロック ロック ドリルス アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【氏名又は名称】八木田 智
(72)【発明者】
【氏名】ヘルマン,アンデシュ
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-155701(JP,U)
【文献】特表2011-525578(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0071958(US,A1)
【文献】実開昭52-141001(JP,U)
【文献】特表2001-512799(JP,A)
【文献】特開2018-141285(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0234087(US,A1)
【文献】特開2001-271580(JP,A)
【文献】特開昭63-011789(JP,A)
【文献】特開平01-223290(JP,A)
【文献】特開平05-302488(JP,A)
【文献】特開平08-165875(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 1/00-19/24
E21B 44/00-44/10
E02D 7/00-13/10
E21D 20/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直掘削用に構成された掘削リグ(5)においてドリルビット(3)を少なくとも半自動的に交換するドリルビット交換システム(1)であって、
前記掘削リグ(5)が、交換可能な複数のドリルパイプ(7)を備え、
前記ドリルビット(3)がエンドドリルパイプの端部に配置され、
ドリルビット(3)が、ネジ式連結具を用いて前記端部に取り付けられ、トルクが、スプライン連結具を用いてドリルビット(3)に与えられ、
前記掘削リグ(5)が、さらに、下部支持装置(9)及びブレーカー装置(11)を備え、
前記下部支持装置(9)が、ドリルビット(3)及びエンドドリルパイプ(7)
を支持及び/又は保持及び/又は把持するように構成され、
前記ブレーカー装置(11)が、ドリルパイプ(7)のネジ式連結具を緩めるように構成され、
該システム(1)が、
ドリルビット収容装置(13)を備え、該ドリルビット収容装置(13)が掘削リグ(5)のドリル中心(15)に隣接して並行に配置され、複数のドリルビット(3)を保持し、ドリルビット(3)を、その内部の収容位置(17)と交換位置(19)との間で動かすように構成され、
前記収容位置(17)がドリルビット(3)を収容するように配置され、
前記交換位置(19)が、ドリルビット(3)を、ドリルビット収容装置(13)へ、及びドリルビット収容装置(13)から移動するために配置され、
前記システム(1)が、さらに、
ドリルビット(3)を選択的に把持するように構成された把持手段(23)を備えた把持アーム(21)を有し、
前記把持アーム(21)が、把持手段(23)を、交換位置(19)と、掘削リグ(5)のドリル中心(15)との間で移動させるように構成されており、
前記把持アーム(21)が、さらに、動作検知センサを備え、前記動作検知センサが、把持アーム(21)の動きを監視するように配置され、
該システム(1)が、さらに、制御ユニットを備え、制御ユニットが、センサ及び掘削リグ(5)から入力信号を受信し、把持アーム(21)、把持手段(23)、ドリルビット収容装置(13)及び掘削リグ(5)のブレーカー装置(11)の動作を制御するように構成されている
ことを特徴とするドリルビット交換システム。
【請求項2】
ドリルビット収容装置('13)が、さらに、少なくとも一つのドリルビットセンサを備え、
前記ドリルビットセンサが、ドリルビット収容装置(13)におけるドリルビット(3)の複数の位置(17;19)を監視するよう構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
制御ユニットが、掘削リグ(5)及び掘削リグ(5)に連結されたドリルビット(3)の動作データに基づいて、現在使用しているドリルビットが、掘削すべき次の孔において完全に動作しないと判断した場合に、現在使用しているドリルビットを、ドリルビット収容装置(13)に収容されたドリルビット(3)に、少なくとも半自動的に交換を開始するよう構成されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
制御ユニットが、さらに、現在使用しているドリルビット(3)の動作状態を、掘削リグ(5)及び掘削リグ(5)に連結されたドリルビット(3)の動作データに基づいて判断し、現在使用しているドリルビット(3)の交換が必要と判断した時に信号をインターフェースに供給するように構成されている
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のシステム。
【請求項5】
ドリルビット収容装置(11)が、包囲型保護ハウジングを備え、
前記ハウジングが、少なくとも第一ドアを有し、第一ドアが交換位置(19)に配置され、
前記第一ドアが、実行されるドリルビット交換動作に応じて選択的に開閉するように構成されている
ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載のシステム。
【請求項6】
ハウジングの第一ドアが、把持アーム(21)に連結され、
第一ドアが、把持アーム(21)の動作に応じて自動的に開閉するように構成されている
ことを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
さらに、下部支持プレート(25)を備え、
前記下部支持プレート(25)が、把持手段(23)の下方に配置され、把持手段(23)に従って移動可能であり、把持手段(23)によって支持されるドリルビット(3)を下方から支持するように構成されている
ことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載のシステム。
【請求項8】
掘削リグ(5)のブレーカー装置(11)が、二つの油圧制御式把持装置(27)を備え、
これら把持装置(27)が、ドリル中心(15)の周囲に、それに沿って離れた位置に配置され、
これら二つの把持装置(27)が、ドリルパイプの一部を把持するように構成され、かつ、相互に径方向に移動可能になるように油圧連結され、
二つの把持装置(27)が、ドリルパイプの二つの別々の部分を相互に把持して回転させ、それら二つの部分の間のネジ式連結を開放するように構成されている
ことを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載のシステム。
【請求項9】
垂直掘削用に構成された掘削リグ(5)であって、
該掘削リグ(5)が、交換可能な複数のドリルパイプ(7)を備え、
エンドドリルパイプ(7)の端部にドリルビット(3)が配置され、
前記ドリルビット(3)がネジ式連結具を用いて前記段部に取り付けられ、スプライン式連結具を用いて前記ドリルビット(3)にトルクが供給され、
該掘削リグ(5)が、さらに、下側支持装置(9)及びブレーカー装置(11)を備え、
前記下部支持装置(9)が、ドリルビット又はドリルパイプを支持し、及び/又は保持/把持するように構成され、
前記ブレーカー装置(11)がドリルパイプ(7)のネジ式連結具を緩めるように構成された
掘削リグ(5)において、
該掘削リグ(5)が、さらに、請求項1~6及び請求項8の何れか一項によるドリルビット(3)を少なくとも半自動的に交換するシステム(1)を備えている
ことを特徴とする掘削リグ。
【請求項10】
掘削リグ(5)が
DTH(ダウンザホール)又はITH(インザホール)掘削リグである
ことを特徴とする請求項9に記載の掘削リグ。
【請求項11】
前記システム(1)が、さらに、下部支持プレート(25)を有し、
前記下部支持プレート(25)が、把持手段(23)の下方に配置され、把持手段(23)によってドリルビット(3)が保持されている時にドリルビット(3)を下方から支持するように、把持手段(23)に従って移動可能に構成されている
ことを特徴とする請求項9に記載の掘削リグ。
【請求項12】
垂直掘削用に構成された掘削リグ(5)においてドリルビット(3)を交換する方法であって、
前記掘削リグ(5)が、交換可能な複数のドリルパイプ(7)を備え、
ドリルビット(3)がエンドドリルパイプ(7)の端部に配置され、
ドリルビット(3)がネジ式連結具を用いて前記端部に取り付けられ、スプライン式連結具を用いてドリルビットにトルクが供給されるように構成され、
前記掘削リグ(5)が、さらに、下部支持装置(9)
及びブレーカー装置を備え、
前記下部支持装置(9)が、ドリルビット(3)及びエンドドリルパイプ(7)
を支持及び/又は保持及び/又は把持するように構成され、
前記ブレーカー装置(11)がドリルパイプ(7)のネジ式連結具を緩めるように構成され、
前記掘削リグ(5)が、請求項1~8の何れか一項に記載のドリルビット(3)を少なくとも半自動的に交換するシステム(1)を有する
ドリルビット交換方法において、
(a)ブレーカー装置(11)を用いて、エンドドリルパイプ(7)に連結されたドリルビット(3)のネジ式連結を解除するステップ、
(b)下部支持装置(9)を用いてドリルパイプ(7)からドリルビット(3)を取り外すステップ、
(c)把持アーム21)を用いて、ドリルビット(3)をドリル中心(15)からドリルビット収容装置(13)に移動させるステップ、
(d)ドリルビット収容装置(13)から新しいドリルビット(3)を取り出し、それをドリル中心(15)に移動させるステップ、
(e)新しいドリルビット(3)をドリルパイプ(7)に挿入するステップ及び
(f)エンドドリルパイプ(7)に連結される新しいドリルビット(3)を保持するネジ式連結部を係合させて固定するステップ
を有することと特徴とするドリルビット交換方法。
【請求項13】
(g)スプライン連結具のスプラインを整列するステップをさらに備え、
ステップ(g)を、前記ステップ(d)及び(e)の間で実行する
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ステップ(g)が、
(g-1)スプラインが不整列のために相互に噛み合った時の圧力上昇を検知するために圧力センサを用いて供給圧力を監視するステップ、
(g-2)圧力上昇を検知した時にドリルパイプの動きを止めるステップ及び
(g-3)スプラインが整列するまでドリルパイプ(7)をゆっくり回転させるステップ
を有する
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ステップ(a)における解除動作が、ネジ式連結を緩めるために複数の切断サイクルを実行することによって実行され、
切断サイクルが、前記ネジ式連結具のネジ山のピッチ方向と反対方向に、ネジ式連結具にトルクを供給することから成る
ことを特徴とする請求項12~14の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
掘削リグ(5)におけるドリルビット(3)を少なくとも半自動的に交換するシステムから成る制御ユニットに記憶され、請求項12~15の何れか一項に記載の方法を実行するソフトウェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掘削リグにおけるドリルビット交換システム、前記交換システムを備えた掘削リグ及び前記交換システムを使用するドリルビット交換方法に関する。本発明は、また、実行時に前記方法を実行するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
岩石タイプの材料の掘削作業を行う場合、一般的に特殊な種類の掘削リグが使用される。このような掘削リグには様々なタイプがあり、DTH(ダウンザホール)掘削リグ及びトップハンマー掘削リグは、垂直方向又は垂直に近い方向で掘削作業を実行するために使用される一般的な二つのリグである。硬い材料の削岩を実行する時には、特殊な種類のドリルビットが使用される。このようなドリルビットはしばしば重く、かつ、使用時に油っぽくなり汚れる可能性があり、また、使用後に、ドリルビットが、それを操作する時に人に害を及ぼす可能性がある鋭いエッジ及び/又は材料片を含む可能性がある。しかしながら、ドリルビットは、交換及び/又は再研磨のようなメンテナンスを必要とし、そのため、時々、ドリルビットを掘削リグに対して取り外したり、取り付けたりする必要がある。ドリルビットの取り扱いを取り巻く上述の特性及び状況のために、このような取り外し及び取り付け操作は、重く、不便であり、時には人身傷害の原因となる。
【0003】
このような問題を軽減するために、全自動又は半自動交換工程を提供し得る掘削リグ用ドリルビット交換システムが用いられる。DTH掘削リグが、一般に、掘削リグにドリルビットを取り付けるためのスプライン式連結具を備えているのに対して、ハンマー掘削リグは、一般に、ネジ式連結具を使用している。従って、このようなドリルビット交換システムは、二種類の掘削リグに対して設計が異なっています。
【0004】
しかし、掘削リグとドリルビットとの間でネジ式連結具及びスプライン式連結具の両方を使用する別の掘削リグも存在する。このような連結具は、ドリルビット交換作業中に操作しなければならない相互作用部品がより多くなるので、より複雑になる。
【0005】
従って、このように特別に設計されたドリルビット連結具を扱うことができ、かつ、少なくとも半自動で機能して、このような掘削リグに対するドリルビット操作における重労働と人身傷害の危険を軽減することができる改良されたドリルビット交換システムが必要である。
【発明の概要】
【0006】
従って、従来技術にも関わらず、少なくとも半自動で掘削リグに対してドリルビット交換操作を実行し得る改良型ドリルビット交換システムを開発する必要がある。また、このようなシステム、このようなシステムにおけるドリルビット交換操作の実行方法、及びこのような方法を実行するソフトウェアを備えた掘削リグを開発する必要もある。
【0007】
従って、本発明の目的は、少なくとも半自動的に掘削リグに対してドリルビット交換操作を実行することができる改良型ドリルビット交換システムを提供することにある。加えて、本発明の別の複数の目的は、このようなシステムを備えた掘削リグを提供すること、このようなシステムにおけるドリルビット交換操作を実行する方法を提供すること、及びこのような方法を実行するソフトウェアを提供することにある。
【0008】
第一の特徴によれば、掘削リグにおいて、少なくとも半自動的にドリルビットを交換するドリルビット交換システムが提供される。掘削リグは、垂直又は垂直に近い掘削を実行するよう構成されている。前記掘削リグは、交換可能な複数のドリルパイプを有し得、ドリルビットがエンドドリルパイプの端部に配置されている。ドリルビットは、ネジ式連結具を用いて前記端部に取り付けられ得、そして、スプライン式連結具を用いてドリルビットにトルクが加えられ得る。また、掘削リグは、ドリルパイプのネジ式連結具を緩めるように構成された下部支持装置及びブレーカー装置を備え得る。このシステムは、掘削リグのドリル中心に隣接して平行に配置され、かつ、複数のドリルビットを保持するように配置されたドリルビット収容装置を有し得る。また、前記ドリルビット収容装置は、ドリルビットを、その内部の収容位置と交換位置との間で移動させるように配置され得る。前記収容位置は、ドリルビットを収容するよう配置され得、また、前記交換位置は、ドリルビットをドリルビット収容装置へ移動し、かつ、前記収容装置から移動させるように配置され得る。また、このシステムは、ドリルビットを選択的に把持するように構成された把持手段を備えた把持アームを有し得る。前記把持アームは、把持手段を、交換位置と掘削リグのドリル中心との間で自動するよう配置され得る。前記把持アームは、また、把持アームの動きを監視するように配置された動作検知センサを有し得る。また、このシステムは、制御ユニットを有し得、該制御ユニットは、センサ及び掘削リグからの入力を受信し、かつ、掘削リグの把持アーム、把持手段、ドリルビット収容装置及びブレーカー装置の動作を制御するよう配置されている。
【0009】
これには、幾つかの有益な機能を備えたドリルビット交換システムを提供するという利点を有する。ドリルビット収容装置の配置により、掘削リグのドリル中心へ、又は、ドリル中心からのドリルビットの移動距離を短くすることができ、その結果、ドリルビットの交換操作を迅速かつ効率的にすることができる。ドリルビット収容装置内でドリルビットを内部移動させることによって、装置を簡単で時間を節約できるものとし、把持アームは二つの位置の間で前後に移動するだけでよくなり、その結果、ドリルビット交換操作が迅速かつ効率的なものになる。把持手段及び把持アームは、ドリルビットを取り扱う安全な方法を提供する。重く、鋭く、及び/又は持ち運ぶのに向かないものであり得るドリルビットは、このシステムを使用することによって完全に取り扱うことが可能になる。複数のセンサは、システム及びその部品の信頼できる監視を提供し、制御ユニットは、システムの部品の操作及び掘削リグとの相互操作の両方の手段を提供する。ブレーカー装置は、一般的に、このシステムが意図するような掘削リグの既存の装置であるので、掘削リグのブレーカー装置を利用することにより、システムは、よりコンパクトで、より安価に製造できる。
【0010】
一態様によれば、ドリルビット収容装置は、さらに、ドリルビット収容装置の位置に配置されたドリルビットを監視するように配置された少なくとも1つのドリルビットセンサを有する。
【0011】
この構成には、現在の掘削作業だけでなく、後の時点で実行される掘削作業に関する情報もシステムに提供されることになるという利点がある。ドリルビット収容装置が複数のドリルビットを保持することができるので、操作者は、装置にあるドリルビットの数を迅速かつ容易に監視することができ、掘削作業の計画がより速くより効率的になる。
【0012】
一態様によれば、制御ユニットは、掘削リグ及び掘削リグに接続されたドリルビットの動作データに基づいて、少なくとも半自動的に交換を開始するように構成されている。
【0013】
この構成には、動作データに基づいて、交換操作の必要性が検出された場合に、掘削作業中に自動的に交換操作を開始できるという利点がある。動作データは、掘削に費やされた時間、最後のメンテナンスからの掘削に費やされた時間、変更が必要になるまでの予想残り時間、掘削されたメーター、最後のメンテナンス以降に掘削されたメーター等の何れか一つ又はこれらの組み合わせから成るデータであり得る。従って、該システムは、ドリルビットの現在の状態が、次の掘削作業での掘削に適した形状でないと判断した場合に、ドリルビットの交換を開始し得る。これは、複数の掘削操作を交互に実行することを迅速かつ効率的な方法で行うことができるので有益である。
【0014】
一態様によれば、制御ユニットは、また、その動作データに基づいてドリルビットの動作状態を判断し、ドリルビットの変更が必要な時にユーザインターフェースに信号を送るように構成される。
【0015】
これにより、該システムが、複数のドリルビットを連続的に監視することをアシストすることができ、システム内の各ドリルビットを最大限に使用するようにシステムを使用することができるという利点が得られる。制御ユニットは、掘削作業において掘削のために使用した時のドリルビットの使用方法と組み合わせた入力動作データに基づいて、ドリルビットの動作状態を推定し得る。従って、次のドリルビット交換操作が必要になる前に、操作者に動作状態を判断して提供することが可能になり、システムの効率を向上させることが可能になる。
【0016】
一態様によれば、ドリルビット収容装置は、保護ハウジングを含み得る。該ハウジングは、少なくとも、交換位置に配置された第一ドアを有し得、該第一ドアは、実行するべきドリルビット交換操作に応じて選択的に開閉されるように構成され得る。
【0017】
これには、ドリルビット収容装置内に収容されているドリルビットを、掘削現場で一般的であり得る埃、汚れ、油又は破片等などから保護できるという利点がある。このような方法で保護されている収容されたドリルビットは、その寿命が延ばされ、掘削作業で使用するためにドリルビット収容装置から引き出されたときにドリルビットが良好な形状及び状態であることが保証される。
【0018】
一態様によれば、ハウジングの第一ドアは、把持アームに連結され得、第一ドアが、把持アームの動きに応じて自動的に開閉するようにされる。
【0019】
この構成により、第一ドアが、把持アームと自動的に完全に連動し得るので、第一ドアの操作が単純化されるという利点が得られる。一般に、第一ドアは、ドリルビット交換作業が実行されている時にのみ開かれるべきであるため、従って、前記第一ドアの開閉は、交換作業中のその動作の間、把持アームの動きに同期するよう制御され得る。
【0020】
一態様によれば、該システムは、さらに、下部支持プレートを有し得、該下部支持プレートは、把持手段の下に配置され、把持手段によって保持されるドリルビットを下方から支持するように把持手段に従って移動可能に構成され得る。
【0021】
この構成により、該システムを、様々な設計の幅広いドリルビットの交換操作のために使用することが可能になるという利点を有する。ドリルビットのタイプ及び設計は、掘削リグのタイプに依存して変わり得るので、把持手段は、下部支持プレートによって提供され得る下部支持なしにドリルビットを保持できない可能性がある。従って、把持手段及び支持プレートの同期した動きによって、該システムが、その使用を増やすことができ、かつ、様々なタイプの掘削リグのために使用され得る。
【0022】
一態様によれば、掘削リグのブレーカー装置は、二つの油圧制御式把持装置を含み得る。二つの把持装置は、ドリル中心の周りに、そしてドリル中心に沿って別々の位置に円周方向に配置することができる。また、二つの把持装置は、掘削リグの一部(ドリルパイプ、ドリルビット、ドリルビットパッケージ等)を把持し、かつ、互いに径方向に変位可能であるように油圧で連結されるように構成され得る。従って、二つの把持装置は、掘削リグの二つの別個の部分を互いに相対的に把持及び回転させて、前記二つの部分の間に配置されたネジ式連結具を開くことができる。
【0023】
これには、非常に堅牢で信頼性の高いブレーカー装置を提供できる利点がある。このブレーカー装置の油圧により、開くべきネジ式連結具の両側に大きな力を加えることが可能になる。従って、このようなブレーカー装置は、ドリルパイプとドリルビット/ドリルビットパッケージとの間のネジ式連結具を開くために、該システムによって有益に利用され得る。
【0024】
一態様によれば、垂直掘削用に構成された掘削リグが提供される。掘削リグは、交換可能な複数のドリルパイプを備えることができ、この場合、ドリルビットは、エンドドリルパイプの端部に配置され得る。ドリルビットは、ネジ式連結を用いて端部に取り付けることができ、スプライン式連結によってトルクをドリルビットに提供することができる。さらに、掘削リグは、下部支持装置及びブレーカー装置を備えることができ、これらは、ドリルパイプのネジ式連結を緩めるように構成され得る。掘削リグは、本発明によれば、ドリルビットを少なくとも半自動で交換するためのシステムをさらに備えることができる。
【0025】
これにより、少なくとも半自動的にドリルビットの操作を実行することができるドリルビット交換システムを有する掘削リグが提供され得る。これにより、重労働と人身傷害の危険が軽減され、効率的で安全に使用できる掘削リグが提供される。
【0026】
一態様によれば、掘削リグは、Coprod(登録商標)掘削リグである。
【0027】
これにより、垂直掘削用の優れた信頼性の高い掘削リグとして知られているCoprod(登録商標)掘削リグに、少なくとも半自動でドリルビットを交換するためのドリルビット交換システムを設けることができる。これにより、Coprod(登録商標)掘削リグの高品質の掘削に、該掘削リグのドリルビットを変更するための信頼性の高い安全なシステムを提供することができる。従って、効率的で信頼性の高い掘削リグを提供することができ、該掘削リグに設けられた該システムによって、ドリルビットを手動で変更する必要がなくなるため、安全で便利な作業環境を提供できる。
【0028】
一態様によれば、掘削リグはDTH/ITH掘削リグである。
【0029】
一般的に使用される掘削リグに、本発明による少なくとも半自動的にドリルビットを交換するドリルビット交換システムを設けることが可能になる。従って、通常使用されるDTH/ITH掘削リグに、該掘削リグのドリルビットを交換するための信頼性のある安全なシステムを設けることが可能になる。従って、効率的で信頼性の高い掘削リグが提供され、それに配置された該システムを使用することによって、ドリルビットを手動で変更する必要がない安全で便利な作業環境が提供され得る。
【0030】
さらなる利点も本明細書に開示され得る。本発明によるドリルビットを少なくとも半自動的に交換するドリルビット交換システムは、Coprod(登録商標)及びDTH/ITH掘削リグの両方に使用できるので、該ドリルビット交換システムは、費用効果を高めるために利用することができる。該システムは両方の前記掘削リグで機能する可能性があるため、両方の前記掘削リグを使用する会社または同様のものは、前記会社のコストを下げることができる1つのタイプのドリルビット交換システムを製造または購入するだけでよい。
【0031】
一態様によれば、垂直掘削用に構成された掘削リグのドリルビットを交換する方法が提供される。掘削リグは、交換可能な複数のドリルパイプを備えることができ、この場合、ドリルビットは、エンドドリルパイプの端部に配置され得る。ドリルビットは、ネジ式連結具によって端部に取り付けることができ、スプライン式連結具によってトルクをドリルビットに与えることができる。さらに、掘削リグは、ドリルパイプのネジ式連結具を緩めるように構成された、下部ドリルビット支持部材及びブレーカー装置を備え得る。掘削リグは、本発明によるドリルビットを少なくとも半自動的に交換するためのシステムをさらに備えることができる。
該方法は、以下のステップを含み得る。
a)ブレーカー装置によってエンドドリルパイプに連結されたドリルビットを保持するネジ式連結を切断する。
b)下部支持装置によってドリルビットをドリルパイプから外す。
c)把持アームを使用してドリルビットをドリル中心からドリルビット収容装置に移動する。
d)ドリルビット収容装置から新しいドリルビットを取り出してドリル中心に移動する。
e)新しいドリルビットをドリルパイプに挿入する。
f)エンドドリルパイプに結合された新しいドリルビットを保持するネジ式連結具に係合して固定する。
【0032】
これにより、ドリルビットを少なくとも半自動的に交換するための高速で効率的な方法が提供される。この方法は、潜在的に有害なドリルビット及びそれらの潜在的な追加の連結部品を、手作業を必要とせずに取り扱うことができ、これにより、該方法を実行する時の掘削現場での安全性及び個人の安全性が向上する。本明細書に開示される方法は、本発明によるドリルビット交換システムの様々な選択的特徴に関連する追加の利点を提供し得る。
【0033】
一態様によれば、この方法は、さらに以下の工程を有し得る。
g)スプライン式連結具のスプラインを整列させるステップ。
ここで、ステップ(g)は、ステップ(d)と(e)との間で実行される。
【0034】
この方法には、スプライン式連結具のスプラインの潜在的な不整列を自動的に検出して調整する手段が設けられ得る。スプラインは、これらのタイプの操作で自動的に取り扱うことが難しく、及び/又は手動で実行すると危険があるため、この方法は非常に有益です。
【0035】
一態様によれば、ステップ(g)は、以下のサブステップを有し得る。
g-1)スプラインが不整列のために互いに係合する時に、圧力上昇を検出するために圧力センサによって供給圧力を監視するステップ
g-2 )圧力の上昇が検出された場合、ドリルパイプの動きを停止するステップ
g-3)スプラインが整列するまでドリルパイプをゆっくりと回転させるステップ
【0036】
この方法には、スプライン式連結具のスプラインの潜在的なミスアラインメントを自動的に検出して調整する手段が提供され得、この場合、上記したサブステップは、スプラインを整列するための高速で簡単かつ信頼できる方法を提供する。
【0037】
一態様によれば、ステップ(a)の切断動作は、複数の切断サイクルを実行して、ネジ式連結具を緩めることによって実行することができ、この場合、切断サイクルは、ネジ式連結具のネジのピッチと反対の回転方向でネジ式連結具に与えられるトルクであり得る。
【0038】
これにより、切断操作が、より制御された信頼性の高い方法で実行できる。ネジピッチが、ドリルパイプ及びドリルビットの動作回転に一致するように配置されているので、掘削リグのネジ式連結具は、しばしば、緊密に連結され得る。従って、複数の切断サイクルの形で切断操作を実行することによって、このようなネジ式連結が、所定の位置に固定される可能性が低くなる。これにより、この方法の次のステップを問題なく実行できる可能性が高くなるため、より信頼性の高い方法が提供される。
【0039】
一態様によれば、掘削リグに、ドリルビットを少なくとも半自動的に交換するためのシステムの制御ユニットに記憶され、本発明による方法を実行するソフトウェアが提供される。
【0040】
これには、本発明に係る方法が、事前にプログラムされたソフトウェアに含まれ、該方法を利用するのに適した任意の掘削リグに実装され得るという利点がある。
【0041】
本発明の追加の目的、利点、及び新規の特徴は、以下の詳細な説明から当業者に明らかになる。本明細書において本発明が説明されているが、本発明が具体的に記載された詳細な説明に限定されるものではないことは明らかである。本明細書の教示にアクセスできる当業者は、本発明の範囲内である他の分野における追加の用途、改良、及び組み込みを認識する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】一実施例による掘削リグの斜視図を示している。
【
図2】一実施例によるドリルビット交換システムの斜視図を示している。
【
図3】一実施例によるカバーされたドリルビット収容装置を備えたドリルビット交換システムを示している。
【
図4】一実施例によればドリルビット交換システムの把持アームを示している。
【
図5】一実施例による方法のフローチャートを示している。
【
図6】一実施例による方法の一部のフローチャートを示している。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下に、添付図面を参照して一実施例を実施の形態として説明する。図示された実施形態を参照する詳細な説明は、上述された特徴の組み合わせを含む例示的な実施形態と見なされる。従って、追加の実施形態は、他の特徴を本明細書に示されていない実施形態に組み合わせることによって達成され得ることは理解されるべきである。これらの図面は、一実施例として見なされるべきであり、相互に排他的な組み合わせではない。全ての図面は概略的に表されており、簡単にするために、装置又は同様のものの一般的な部品は示されていないことにも留意されたい。
【0044】
図1は、一実施例による掘削リグ5の斜視図を示している。該掘削リグ5は、垂直掘削用に構成されており、これは完全に垂直であるか、又は垂直からある程度ずれている。従って、掘削リグ5は、本発明の範囲から逸脱することなく、垂直線に対して約0°から約35°の範囲で傾斜した方向に傾けて掘削することができる。該掘削リグ5は、複数の交換可能なドリルパイプ7を有し得、これらドリルパイプ7は、掘削リグ5のドリルタワー8内にドリルラインを形成するように配置される。各ドリルパイプ7は、掘削される穴が深くなるにつれて追加のドリルパイプ7を接続するオプションを提供するねじ山を有する。次に、ドリルビット3を、エンドドリルパイプ7の端部に配置する。ここで、前記ドリルビット3は、そのネジ式連結部によって端部に取り付けられ得る。ドリルパイプ7とドリルビット3との間にそのような接続を確立する方法は、実行される掘削のタイプに応じて異なり、従って、使用される掘削リグ5のタイプにも依存する。これについては、
図4を参照して後で詳細に説明する。
【0045】
図1に示された掘削リグ5は、DTH/ITH(ダウンザホール/インザホール)掘削リグ又はCoprod(登録商標)掘削リグであり得る。これらの両方の名前の付いたタイプの掘削リグ5は、スプライン式連結具によってドリルビット3にトルクを付与するという特徴を共有している。本明細書において「ドリルビット」という用語は、連結操作のための追加の部品を含むドリルビットを指し得ることに留意されたい。従って、ドリル3ビットという用語は、単一のドリルビットであり得、また、ドリルビットとスリーブや保持リング等のような追加部品とを含むドリルパッケージでもあり得る。
【0046】
また、掘削リグ5は、下部支持装置9を有し得、該下部支持装置9は、掘削リグ5の下部に配置され、ドリルビット3又はドリルパイプ7を支持及び/又は保持/把持するように構成され得、メンテナンス及び/又は組み立て/分解又はその一部に利用され得る。
一般に、このような下部支持装置9は、特定のタイプの掘削リグ5に対しては下部スチール支持装置と称されることが多い。掘削リグ5は、さらにブレーカー装置11を有し得、該ブレーカー装置11は、ドリルラインの分解中にドリルパイプ7のネジ式連結具を緩めるように構成されている。ブレーカー装置11は、
図2を参照してより詳細に説明される。
【0047】
図1に示す掘削リグ5は、さらに、ドリルビット3を少なくとも半自動的に交換するシステムを有し得る。前記システム1は、地表面近くに配置され、掘削リグ5のドリル中心15と平行に配置されている。ドリル中心15という用語は、掘削リグ5によって掘削される穴の中心線と意味する。従って、ドリルビット交換システム1は、使用時にドリル中心15の位置合わせに従うように配置される。ドリルタワー8がある角度に傾斜している場合、ドリルビット交換システム1及びその部品もまた、ドリル中心15及びドリルタワー8に沿って傾斜され得る。
【0048】
図2は、一実施形態によるドリルビット交換システム1の斜視図を示しており、ここでは、システムが設けられる掘削リグ5の部分も図面に示されている。掘削リグ5は、
図1に示されるような掘削リグ5又は同様のリグであり得、ここでは、掘削リグ5は、垂直掘削用に構成され得る。掘削リグ5は、交換可能な複数のドリルパイプ(図示せず)を有し得、この場合、ドリルビット3が、エンドドリルパイプの端部に配置され、ドリルビット3は、ネジ式連結具によって端部に取り付けられ、スプライン式連結具によってドリルビットにトルクが与えられる。さらに、掘削リグ5は、下部支持装置9及びブレーカー装置11を有し得、これらは、ドリルパイプのネジ式連結具を緩めるように構成されている。掘削リグ5のブレーカー装置11は、
図2に示されるように、二つの油圧制御把持装置27を備え、これらは、ドリル中心15の周りに円周方向に、かつ、それに沿って別々の位置に配置される。二つの把持装置27は、掘削リグ5の一部を把持するように配置され、互いに径方向に変位可能であるように油圧連結される。ここで、二つの把持装置27は、それぞれに対して掘削リグの二つの別個の部分を把持及び回転することができ、前記二つの部分間に配置されたネジ式連結具を開くように構成されている。明らかなように、二つのドリルパイプは、それらの間のネジ式連結具を用いて相互に連結され、従って、二つのドリルパイプは、各々一つの把持装置27によって把持され得、ネジ式連結具は、二つの把持装置27の間に横方向に位置する。上述したように、二つの把持装置27は、互いに油圧で連結され得る。従って、油圧シリンダ29は、二つの把持装置27の間に配置され得、ここで、前記シリンダ29のピストンの変位が、二つの把持装置27を互いに径方向に変位させることになる。これは、両方の把持装置27を反対方向に回転すること、把持装置27の一方を他方に対して回転させること、又は第一の把持装置27に対して他方の把持装置を回転させることのような複数の方法で達成することができる。
図2に示した実施例では、二つの把持装置27の下側のものをドリルタワー8(一部のみが示されている)に対して固定されるように配置し、上側の把持装置27を、下側の把持装置27及びドリルタワー8に対して回転可能に配置することが好ましい場合がある。下側の把持装置27を固定位置にすることにより、ドリルパイプのネジ式連結具又はドリルパイプと前記ドリルビット3とのネジ式連結具を切断するときに、ドリルビット3又はその部品が回転しないようになる。
【0049】
システム1はドリルビット収容装置13を有し得、該ドリルビット収容装置13は、掘削リグ5のドリル中心15に隣接して平行に配置され、複数のドリルビット3を保持し、ドリルビット3を、その中に配置された収容位置17と交換位置19との間で移動するように構成されている。ドリルビット収容装置13は、
図2に示すように、円筒形ドラム形状を有し、ドリルビット収容装置13内の内部位置17、19間の移動は、円筒収容装置13の回転によって、またはその内部部品の回転によって実行され得る。ドリルビット収容装置13は、本発明の範囲から逸脱することなく、他の設計とすることができることは勿論である。各収容位置17では一つのドリルビット3が保持され得、該ドリルビット3は、使用準備ができたドリルビット3、又は前のドリル動作で使用されたドリルビット3であり得る。交換位置19は、そこからドリルビット3が取り出されるか又は配置される収容装置13内の単一位置であり得る。ここで、収容装置13の内部移動により、交換位置19で特定のドリルビット13を保持する所望のスロットを位置決めすることができる。ドリルビット交換システム1は、さらに、把持アーム21を有し得る。把持アーム21は、ドリルビット3を選択的に把持するように構成された把持手段23を有する。また、把持アーム21は、把持手段23を交換位置19と、掘削リグ5のドリル中心15との間で移動させるように構成されている。
図2に示すように、把持アーム21及び把持手段23は油圧制御され得る。ここで、これら二つの移動及び把持は、高精度であり得、前記機能を果たすために大きな力を加えることができる。さらに、把持アーム21は、ドリルビット収容装置13内の単一位置19に移動する必要があるだけであるため、把持アーム21の移動は、旋回運動によって実行することができ、それにより、把持アーム21及びその設計の複雑さが低減する。
【0050】
把持手段23は、さらに、圧力センサ(図示せず)を有し得、該圧力センサは、把持手段23の動作状態及びドリルビット3に加えられる圧力を監視するように構成されている。把持手段23の把持運動を制御する油圧シリンダの内圧が、把持手段23の目的物への係合と直接的に相関するので、前記圧力センサは、把持手段23の油圧内に容易に配置され得る。従って、圧力センサを利用して、把持手段23が、前記目的物のサイズに関係なく、(ドリルビットなど)目的物に常に同じ量の把持力を提供することを確実にすることができる。
【0051】
把持アーム21は、把持アーム21の動きを監視するように配置された動作検知センサ(図示せず)をさらに備えてもよい。前記センサは、把持手段23用のセンサと同様に、把持アーム21を制御するために油圧内に配置された圧力センサであり得る。もちろん、本発明の範囲から逸脱することなく、IRセンサ又は同様のセンサ等の他のタイプのセンサも使用することができる。把持アーム21の動きの監視は、任意の所定の時点での把持アーム21の位置に関する位置情報、従って、把持手段23の位置に関する情報を得るためにも利用され得る。本明細書では、動作検知センサは、油圧に配置された圧力センサであり得、把持アーム21の動きは、前記油圧内の内圧を監視することによって監視される。これにより、把持アーム21の動き及び位置、並びにそれらの偏差が、高い精度及び信頼性で監視され得る。例えば、把持アーム21がドリルビット3をドリル中心15から移動させている時に、ドリルビット3が何らかの理由で意図された経路で詰まってしまった場合、油圧の内圧が予想外の時点で増加し、圧力センサが、システム1に予期しない事態の発生を警告し得る。
【0052】
システム1は、さらに、制御ユニットを有し得、該制御ユニットは、センサ及び掘削リグ5からの入力を受信し、把持アーム21、把持手段23、ドリルビット収容装置13、及び掘削リグ5のブレーカー装置11の動きを制御するように構成されている。制御ユニットは、
図2には図示されていないが、システム1内、又は例えば掘削リグ5の運転室内のような遠隔地に配置され得る。制御ユニットは、ワイヤによって、又は公知技術による無線インターフェースによって、センサ、システム1、及び掘削リグ5に接続され得る。
【0053】
制御ユニットを、ドリルビット交換システム1及びその部品だけでなく、掘削リグ5及びその部品にも接続することにより、制御ユニットは、リグ5及びシステム1が相互作用し、協働することを可能にし、その結果、システム1が、より効率的な操作を実行することを可能にする。さらにまた、制御ユニットは、掘削リグ5のブレーカー装置11等の機構の制御及び管理をすることができるので、システム1自体には複雑な機構を必要とせず、システム1の製造コストを下げることができる。
【0054】
ドリルビット収容装置13は、ドリルビット収容装置13の位置17及び19に位置するドリルビットを監視するように構成された少なくとも一つのドリルビットセンサ(図示せず)をさらに備え得る。前記少なくとも一つのセンサは、光学センサ若しくは圧力センサ又は同様のセンサであり得、これらのセンサは、ドリルビット3が特定の位置17又は19に位置しているか否か、又は複数のそのようなセンサが配置されている場合には、複数の位置17及び19にドリルビット3が位置しているか否かを監視する。前記センサは、また、収容装置13内の位置を監視するだけでなく、収容装置13内に位置するドリルビット3を分析及び評価するように構成された、より複雑なセンサであってもよい。このようなセンサ装置は、ドリルビット3の表面をスキャンし、それを十分に機能するドリルビット3の所定の表面と比較することができ、この場合、制御ユニットは、掘削リグ5の操作者に、収容装置13にあるドリルビット3の状態に関する情報を提供することができる。それにより、欠陥のあるドリルビット3が発見され得、掘削リグ5のより動作稼働時間をより長くするために前記欠陥のあるドリルビット3は交換され得る。
【0055】
制御ユニットは、掘削リグ5及び掘削リグ5に接続されたドリルビット3の動作データに基づいて、ドリルビット3の少なくとも半自動な交換を開始するように構成され得る。このような動作データは、掘削に費やされた時間、最後のメンテナンスからの掘削に費やされた時間、交換が必要になるまでの予想残り時間、掘削されたメーター、最後のメンテナンスから掘削されたメーター、又はその他の情報の何れか一つ又は組み合わせから成るデータであり得る。このような動作データは、掘削リグ5、ドリルビット交換システム1に配置された各ドリルビット3、又はその両方に関連し得る。従って、このような動作データを考慮に入れて、掘削スキームを利用可能にすることにより、孔の掘削中に、現在のドリルビット3が、掘削すべき次の孔において完全に動作しないと判断した場合、制御ユニットは、ドリルビット交換作業を自動的に開始することが可能になる。それにより、孔の掘削中にドリルビット3の検査をする必要がなくなるので、複数の孔の掘削スキームから多くの無駄な時間を削減することができる。
【0056】
制御ユニットは、さらに、ドリルビット3の動作状態を、その動作データに基づいて判断し、ドリルビットの交換が必要な時に信号をインターフェースに送るように構成され得る。特定のドリルビット3の以前の掘削時間や材料の種類等の特定の動作データが事前に分かっており、かつ、該ドリルビット3を孔の掘削に使用する場合、制御ユニットは、該ドリルビット3の動作状態を提供及び更新するように前記動作データを監視及び更新し得る。例えば、ドリルビット3が特定の種類の材料で特定の時間掘削できると推定される場合、制御ユニットは、前記ドリルビット3の動作時間を追加し、その使用を経時的に監視することができる。次に、前記動作データをメモリに記憶させ、システム1内の特定のドリルビット3毎に追跡することができる。この場合、ドリルビット収容装置13の収容位置17に配置されたドリルビット3は、それらの個々の動作状態に関連して監視され得る。次に、これらの情報は、利用可能な全てのドリルビット3の動作条件を表示するためにユーザインターフェース又は同様の構成要素に送信され得る。この場合、掘削リグ5の操作者は、前記情報を使用して、次の掘削作業をよりよく計画し得る。また、制御ユニットは、提供された掘削スキームと組み合わせて掘削作業を計画することができる。この場合、孔を掘削する時に、ドリルビット3の動作状態が、その孔の掘削に適切であるとみなされる適切なドリルビット3が交換位置19に移動させられる。制御ユニットが、このような方法で掘削作業を計画し、かつ、ドリルビット交換操作を自動的に開始することを可能にすることによって、多くの時間を節約することができ、かつ、ドリルビット3を、それらの最大能力まで使用することが可能になる。
【0057】
図3は、一実施形態による、カバー付きドリルビット収容装置13を備えたドリルビット交換システム1を示している。従って、ドリルビット収容装置13は、囲い型保護ハウジング31をさらに有し得る。前記ハウジング31は、その交換位置19に配置された少なくとも第一ドア33を備え得る。第一ドア33は、実行されるべきドリルビット交換操作に応じて、選択的に開閉されるように構成され得る。このような保護ハウジング31は、金属ケーシング、ポリマーカバー又は他の形態であり得る。保護ハウジング31は、ドリルビット収容装置13を、その中に位置するドリルビットに対して十分なクリアランスを持って囲み、その内部位置間での動作が問題なく実行され得るようにしている。保護ハウジング31は、ドリルビット収容装置13内のドリルビットを補充又は交換する時にハウジング31全体を取り外すことができるように、使いやすい締結要素を使用して、ドリルビット収容装置13に配置され得る。また、ドリルビット収容装置13は、第一ドア33から分離された位置に配置された第二ドア(
図3には示されていない)をさらに有し得る。したがって、収容装置13内のドリルビットの補充又は交換は、前記第二ドアによって実行され得る。第一ドア33は、把持アーム21及び把持手段23に対する交換位置19へのアクセスを提供して、そこから又はそこへのドリルビットの取り出し及び配置をするために使用され得る。保護ハウジング31の第一ドア33は、把持アーム21に連結され得る。この場合、第一ドア33は、把持アーム21の動きに応じて自動的に開閉する。
図2に示すように、把持アーム21は、横方向の旋回動作によって、その端部位置間を移動するように構成され得るので、把持アーム21は、相互連結リンクアーム構造35又は同様の構造によって前記第一ドア33に容易に接続され得る。それにより、把持アーム21の動作に従って、第一ドア33を自動的に開閉する純粋に機械的な解決手段が設けられ得る。勿論、把持手段23がドリルビット及び/又は交換位置19に到達する必要がある場合以外は、第一ドア33を閉じたままにしておくことが望ましく、第一ドア33及び/又は第一ドア33のドアフレームには、その周囲にシール材料が設けられ得、保護ハウジング31に対して第一ドア33を可能な限り堅固にシールするようにされ得る。それにより、保護ハウジング31は、ドリルビット収容装置13内のドリルビットを、一般に、掘削リグを取り巻く汚れた環境から保護することができる。勿論、第一ドア33に開閉用の作動手段を設けることも可能であり、この場合、前記作動手段は、把持アーム21の動きに従って制御ユニットによって制御され得る。本明細書に開示される保護ハウジング31の追加のカバー装置及び代替の実施形態もまた、本発明の保護の範囲から逸脱することなく使用することが可能である。一例として、掘削位置から持ってこられて交換位置19に置かれるドリルビットは、殆どの場合、きれいではないので、交換位置19はカバーされないように選択することもできる。従って、この点を考慮して保護ハウジング31を改良することは選択肢であり得る。ドリルビット収容装置13内に配置された各ドリルビットに個別の保護装置を提供すること、又は本明細書に開示されるような個別の保護装置と保護ハウジング31との組み合わせを使用することも可能である。
【0058】
図4は、一実施形態によるドリルビット交換システム1の把持アーム21を示している。把持アーム21は、
図4に示されるように、さらに、下部支持プレート25を有し得る。該下部支持プレート25は、把持手段23の下に配置され、ドリルビット3が前記把持手段23によって保持された時にドリルビット3を下から支持するように把持手段23に従って移動可能に構成され得る。ドリルビット交換システム1をDTH/ITH掘削リグ、Coprod(商標)掘削リグ、又は上記の両方のタイプの掘削リグに使用するかどうかに応じて、下部支持プレート25は、様々な方法で把持アーム21及び把持手段23に配置され得る。理解されるように、下部支持プレート25は、DTH/ITH掘削リグに対して必要であり、ドリルビット交換システム1が、DTH/ITH掘削リグのみで使用される場合、下部支持プレート25は、把持アーム21に固定的に配置され得る。ドリルビット交換システム1が、Coprod(商標)掘削リグのみに使用される場合、下部支持プレート25は有益であり得るが、オプションの機能でもよい。ドリルビット交換システム1が、前記二つのタイプの掘削リグ間で交換可能に使用されることが望まれる場合、下部支持プレート25は、把持アーム21に選択的に取り付け可能であり得る。さらにまた、下部支持プレート25は移動可能に構成され得る。この場合、制御ユニットへの入力は、把持アーム21と下部支持プレート25との間に配置されたアクチュエータ手段を用いて、下部支持プレート25を把持アーム21へ、かつ、把持アーム21から離れるように移動させ得るようにされ得る。
【0059】
DTH/ITH掘削リグの取り扱いに下部支持プレート25が必要とされる理由は、掘削リグ用にドリルビット3(又はドリルビットパッケージ)がどのように構成されているかによる。
図4に示すように、把持手段23は、実際のドリルビットの周囲に配置されたスリーブ部材37を把持する。前記スリーブ部材は、一般にビットチャックと呼ばれ、ビットチャックは、その内周に複数のスプラインが配置され、これらスプラインがドリルビット3にトルクを与える。スリーブ部材37の上に、一対の保持リング39が配置され、これら保持リング39は、ドリルビットパッケージが、DTH/ITHドリルラインを形成するように、ドリルハンマー及びドリルパイプに連結されている時に、その位置でドリルビットパッケージを保持するように構成されている。これらの言及された、一般的に使用されるタイプの掘削リグの一般的な知識が、本明細書を読む者に期待されることに留意されたい。明らかなように、ビットチャック及びドリルビット3はスプライン連結のみによって互いに連結されているので、
図4に示すように、把持手段23がスリーブ部材37を把持する時に、ドリルビット3を支持するために下部支持プレート25が必要になる。従って、下部支持プレート25は、システム1内の個々のドリルビット3と同じ方法でドリルビットパッケージ全体の取り扱うことを可能にする。ドリルビット交換システム1がCoprod(商標)掘削リグに使用される場合、Coprod(商標)掘削リグは、DTH/ITH掘削リグが必要とするビットチャックを備えていないため、下部支持プレート25は必要ではない場合がある。代わりに、Coprod(商標)ドリルビットは、中間Coprod(商標)ヘッドピースを用いてドリルパイプの端部に連結され、前記ヘッドピースが、ドリルパイプを螺合して、Coprod(商標)保持リングを用いてCoprod(商標)ドリルビットを所定の位置に保持する。このようなCoprod(商標)ヘッドピースは、ドリルビット交換操作を実行するときにエンドドリルパイプへの螺合が緩められ得る。従って、このような場合、把持手段23は、追加の連結されていない接続部品がドリルビットから脱落する危険なしに、ドリルビットを直接把持する。
【0060】
図5は、一実施形態による方法のフローチャートを示している。フローチャートに示されている方法は、垂直掘削用に構成された掘削リグのドリルビットを交換するための方法である。掘削リグは、交換可能な複数のドリルパイプを備え、ドリルビットがエンドドリルパイプの端部に配置されている。ドリルビットはネジ式連結によって端部に取り付けられ、トルクは、スプライン連結によってドリルビットに与えられる。掘削リグは、さらに、下部支持装置及びブレーカー装置を備え、ブレーカー装置は、ドリルパイプのネジ式連結を緩めるように構成されている。ここで、「ネジ連結を緩める」という表現は、ネジ式連結を緩めることを意味し、ネジ式連結が完全に外れていることを意味しているものではない。本明細書では、ネジ式連結が「緩められる」時、ネジは、依然として相互に係合しているが、固定されているわけではない。その後、「緩められた」ねじ連結は、例えばドリルラインのゆっくりとした回転などの任意の適切な方法で、ネジ式連結具に回転を与えることによって完全に外れ得る。本発明によるドリルビットを少なくとも半自動的に交換するためのシステムは、掘削リグに設けられ、前記システムは、本明細書に開示されている方法を実行するよう構成されている。
この方法は、以下のステップを有し得る。
a)ブレーカー装置を用いてエンドドリルパイプに連結されたドリルビットを保持するねじ連結を切断するステップ
b)下部支持装置を用いてドリルビットをドリルパイプから取り外すステップ
c)把持アームを用いてドリルビットをドリル中心からドリルビット収容装置に移動するステップ
d)ドリルビット収容装置から新しいドリルビットを取り出して、それをドリル中心に移動するステップ
e)新しいドリルビットをドリルパイプに挿入するステップ
f)エンドドリルパイプに接続される新しいドリルビットを保持するネジ式連結具を係合させて固定するステップ
【0061】
以下に、実施する方法をより詳細に説明する。掘削が停止され、ドリルビット交換作業が開始されると、交換されるべきドリルビットが掘削孔から上方に移動され、このような持ち上げ動作中に適切な場合はドリルパイプが取り外される。次いで、ドリルビットを垂直に持ち上げて、ドリルビットを所定の位置に保持しているネジ式連結具をブレーカー装置内の正しい位置に配置させる。ドリルビットは、掘削リグの下部支持装置によって係合されて保持される。ブレーカー装置によって、ネジ式連結具に対して切断動作が実行され、前記ネジ式連結具が緩められ、従って、ドリルビットがドリルラインの部分から自由にされる。ドリルビットは交換位置まで下げられ、交換位置において、ドリルビットは、ドリルビット交換システムの把持アーム及び把持手段が届くことができるように位置決めされる。把持アームは、把持手段をドリルビットに向かって移動させ、そこで、把持手段は、ドリルビットを把持する。次に、把持アームは、ドリルビットを保持している把持手段を、ドリルビット収容装置の交換位置に向かって移動させる。把持手段は、ドリルビットをドリルビット収容装置内に配置することを可能にするようにドリルビットを移動させ、ここで、ドリルビット収容装置は、古いドリルビットを収容位置に移動し、新しいドリルビットを交換位置に移動するように、その中でドリルビットを再配置する。次いで、把持アームの把持手段は、新しいドリルビットを把持し、それを掘削リグのドリル中心に戻し得る。新しいドリルビット及びエンドドリルパイプは、下部支持装置を使用してドリルビットを上方に移動するか、又は、掘削リグのフィード装置を使用してエンドドリルパイプを下方に移動することにより、互いに近づけられる。従って、その後、ドリルビットはエンドドリルパイプに挿入される。次いで、ドリルビットをドリルラインに連結して保持するように構成されたネジ式連結具が、ドリルビット及び前記ドリルラインの少なくとも一部を相対的に回転させることによって、係合されて固定される。最後に、把持アームを新たに連結されたドリルビットから離れるように動かし、新たに取り付けられたドリルビットを使用して新たな掘削作業を開始することができるようにする。
【0062】
ステップ(a)に開示され、さらに上述された切断操作は、ネジ式連結具を緩めるために複数の切断サイクルによって実行され得る。このような切断サイクルは、ネジ式連結具のねじ山のピッチ方向と反対の回転方向に、ネジ式連結具に加えられるトルクのインパルスであり得る。掘削時のドリルパイプの回転方向は、ドリルラインのネジ式連結具のねじ山ピッチに一致しているため、定期的な掘削の実行によっては、ネジ式連結具は緩むことはなく、掘削が停止した後もネジは、相互に非常にしっかりと固定され得る。それにより、複数の切断サイクルは、このようなネジ式連結を、相互のネジ固定を維持したまま緩めることができる。ドリルビット交換システムの制御ユニットは、ネジ付き連結を緩めるのに適切な回数と見なされる、所定の回数の切断サイクルを実行するように構成され得る。また、制御ユニットは、切断サイクルを実行し、次にドリルビットをドリルラインから離れる方向に動かすように構成され得、もしこのような動作が不可能な場合には、その切断サイクルを中断し、別の切断サイクルを開始するように構成され得る。上記した動作を実行するように構成された油圧内で、圧力センサを利用することによって、切断サイクルの失敗は、前記油圧内の内圧の急速な増加のために迅速に検出される。
【0063】
この方法は、さらに、以下の追加ステップを有し得る。
g)スプライン式連結具のスプラインを整列させるステップ
前記ステップ(g)は、ステップ(d)及び(e)の間で実行される。
この方法に含まれるこの特徴により、該方法は、ドリルビット及びより複雑な構造及び配置を有するドリルパッケージを使用する掘削リグを取り扱うことが可能になり、同じ方法でスプライン式連結具及びネジ式連結具の両方を取り扱うことが可能になる。スプラインの整列は、さまざまな方法で実行され得、
図6を参照して一例をより詳細に説明する。
【0064】
図6は、一実施形態による方法の一部のフローチャートを示している。ここで説明する方法は、上記の方法のステップ(g)をさらに限定するサブ的な方法である。この実施形態の方法によれば、ステップ(g)は以下のサブステップを有し得る。
g-1)不整列によりスプラインが互いに噛み合った場合に圧力上昇を検出するために圧力センサによって供給圧力を監視するステップ
g-2)圧力の上昇が検出された場合、ドリルパイプの動きを停止するステップ
g-3)スプラインが整列するまでドリルパイプをゆっくりと回転させるステップ
ここで、新しいドリルビットが、ドリルラインの端部に配置されたドリルパイプ又は同様の構成要素に完全に挿入され得る。
従って、これは、スプライン結合のスプラインがどのように自動的に整列され得るかをより詳細に説明し得る。スプライン式連結具の両方の入口部分は、隆起部間の対向する凹部に挿入されるべき隆起部があり、連結の係合を開始する時に隆起部が隆起部と噛み合う危険が常にある。ドリルビットが固定位置に保持されており、かつ、前記ドリルビットと係合するエンドドリルパイプ又は対抗するスプラインを備えた他の部材が前記ドリルビットに向けて動かされる場合、二つのことが起こり得る。スプラインが正しく位置合わせされている場合、スプラインは互いにすれ違うだけで問題は発生しない。代わりにスプライン又は隆起部が互いにかみ合うと、下向きに移動するドリルラインのドリルパイプがそれ以上移動できなくなる。これにより、前記ドリルパイプの下方への移動のための圧力上昇が生じ、この圧力上昇は、ドリルパイプが、ドリルラインへのドリルビットの連結が完了する垂直位置に達する前に、制御ユニットによって検知され得る。従って、このような圧力上昇が検出されると、制御ユニットは下向きの動きを停止し、代わりにドリルパイプをゆっくりと回転させ始め、その回転により最終的にスプラインが適切な位置に相互接続する。適切な位置合わせが行われると、ドリルパイプの供給中の前記圧力上昇の原因となるスプライン又は隆起部の短い端部の相互接触がなくなるので、圧力上昇が緩和される。従って、圧力上昇がなくなると、制御ユニットは、これを検出し、ネジ式連結が係合して固定され得る位置までドリルパイプの下方への移動を継続させ得る。この方法を利用することにより、この方法は自動的に実行され得るので、手作業は必要がなくなる。これにより、このタイプのドリルビット交換システムを備え、本発明に係る方法を実行する掘削リグを取り巻くより安全な作業環境が提供され得る。
【0065】
スプライン連結部のスプラインを整列させるための別の解決手段もある。別の解決手段についても、ここで詳細に説明する。送りパイプは、ドリルビット又はドリルビットパッケージに向けてゆっくり動かされ得、掘削リグの受け側部分へのドリルビットの挿入を試みる。スプラインの位置がずれている場合、スプラインのそれぞれの短い端部が互いに噛み合い、前述のように、圧力の上昇が発生し、それが検出される。しかし、スプラインが整列するように送りを一定に保持してドリルラインをゆっくり回転させる代わりに、送り動作を所定の距離だけ反転させて、圧力上昇を緩和して、スプライン連結具のスプラインが接触しなくなるようにされ得る。次に、ドリルラインを、所定の角変位で回転するか、または所定の時間回転する。この短い回転の後、制御ユニットは、スプラインの新しく確立された角度位置で下方の送りを試みる。ここでスプラインが整列している場合、この方法は意図したとおりに続行され得る。しかし、スプラインがまだ位置合わせされていない場合は、この処理を繰り返して、スプラインの別の角度配置を実現する。言い換えると、スプライン式連結具のスプラインを整列させるステップは、反復プロセスとして実行され得る。これは、圧力の上昇が検出されなくなるまで実行されるループとして実行できるという点で非常に信頼性が高く、スプラインの正しい位置合わせを確実にする。
【0066】
上述した実施形態の何れかにおける方法は、さらに、制御ユニットに記憶され得る。この場合、実行する時に、ソフトウェアが、制御ユニットを備えた掘削リグにおいてドリルビットを少なくとも半自動的に交換する方法を実行し得る。
【0067】
実施形態の前述の説明は、例示的および説明的な目的のために提供されるものである。説明した様々な実施例に、実施の形態を制限することを意図するものではない。多くの改良及び変形が、当業者には明らかである。実施形態は、原理及び実際の用途を最もよく説明し、それにより、当業者がその様々な実施形態に関して、及びその意図された使用に適用可能な様々な改良を加えて本発明を理解できるようにするために説明されている。上記で指定された構成要素及び特徴は、本開示の枠組み内で、指定された異なる実施形態間で組み合わせることができる。