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特許7535476ガラス容器を製造する方法および設備ならびに空気式支承体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-07
(45)【発行日】2024-08-16
(54)【発明の名称】ガラス容器を製造する方法および設備ならびに空気式支承体
(51)【国際特許分類】
   C03B 33/095 20060101AFI20240808BHJP
   B28D 5/00 20060101ALI20240808BHJP
   B28D 7/04 20060101ALI20240808BHJP
   B26F 3/08 20060101ALN20240808BHJP
【FI】
C03B33/095
B28D5/00 Z
B28D7/04
B26F3/08
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021093852
(22)【出願日】2021-06-03
(65)【公開番号】P2022001548
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2021-10-01
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-12
(31)【優先権主張番号】10 2020 114 883.6
(32)【優先日】2020-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】505273394
【氏名又は名称】ゲレスハイマー ビュンデ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Gerresheimer Buende GmbH
【住所又は居所原語表記】Erich-Martens-Strasse26-32,D-32257Buende,Germany
(73)【特許権者】
【識別番号】517391990
【氏名又は名称】ゲレスハイマー レーゲンスブルク ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】GERRESHEIMER REGENSBURG GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100158964
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 和郎
(72)【発明者】
【氏名】ボルフラム、アッカー
(72)【発明者】
【氏名】リヒャルト、マルティン、キーナー
(72)【発明者】
【氏名】ブラジスラフ、レップ
【合議体】
【審判長】深草 祐一
【審判官】宮澤 尚之
【審判官】後藤 政博
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-529311(JP,A)
【文献】特開昭61-160627(JP,A)
【文献】国際公開第02/085804(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B33/095,33/06,23/04,35/26
B28D5/00,7/04
B26F3/08
B65G49/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸線を規定する回転対称のガラス管素材(3)から、回転対称のガラス容器を製造する設備(1)であって、
-前記ガラス管素材を回転式に支承するチャック(13)と、
-前記ガラス管素材から所定の長さのガラス容器を切断する切断装置(27)と、
-前記チャック(13)に後置されかつ前記切断装置(27)に前置され、前記ガラス管素材を非接触式に支承する空気式支承体(29)と
を有している、設備(1)。
【請求項2】
前記空気式支承体(29)は、前記ガラス管素材(3)の前記回転軸線に沿って延在する前記ガラス管素材(3)用の受容部(55)を有しており、前記受容部(55)は、少なくとも部分的に、回転対称の前記ガラス管素材(3)の外周面に形状を適合させられておりかつ横断面で見て部分的に開かれており、これにより、前記ガラス管素材(3)を、前記回転軸線に対して横方向で前記受容部(55)内に挿入することができる、請求項1記載の設備(1)。
【請求項3】
前記受容部(55)は、実質的に部分円筒状に成形されており、前記受容部(55)は、部分的に凹状に湾曲した、受容底部及び受容側面により画定されている、請求項2記載の設備(1)。
【請求項4】
前記空気式支承体(29)は、前記切断装置(27)と前記チャック(13)との間の軸線方向距離の1/3~2/3の範囲内にある軸線方向位置に配置されている、または前記ガラス管素材(3)を非接触式に支承する少なくとも1つの別の空気式支承体(29)が設けられており、チャック側の空気式支承体(29)は、前記切断装置(27)と前記チャック(13)との間の軸線方向距離の1/4~1/2の範囲内にある軸線方向位置に配置されており、切断装置側の空気式支承体(29)は、前記切断装置(27)と前記チャック(13)との間の軸線方向距離の少なくとも3/4の軸線方向位置に配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の設備(1)。
【請求項5】
回転軸線を規定する回転対称のガラス管素材(3)から、回転対称のガラス容器を製造する、請求項1から4までのいずれか1項記載の設備(1)であって、
-前記ガラス管素材から所定の長さのガラス容器を切断する切断装置(27)と、
-前記切断装置(27)に前置された、前記ガラス管素材を回転式に支承するチャック(13)であって、前記ガラス管素材(3)を水平方向に移動させる送り装置(17)を有しているチャック(13)と
を有している、設備(1)。
【請求項6】
前記送り装置(17)は、前記チャックを含む前記ガラス管素材(3)を、水平方向に移動させることができるように構成されている、請求項5記載の設備(1)。
【請求項7】
前記チャック(13)は、当該設備(1)の位置固定されたケーシングに対して相対的に、並進移動可能である、請求項5または6記載の設備(1)。
【請求項8】
前記チャック(13)は、リニアガイドを介して並進移動可能に、前記設備(1)の位置固定されたケーシングに支承されている、請求項5から7までのいずれか1項記載の設備(1)。
【請求項9】
前記送り装置(17)は、前記ガラス管と、前記チャック(13)とを段階的に、前記切断装置(27)に向かって並進移動させるように構成されている、請求項5から8までのいずれか1項記載の設備(1)。
【請求項10】
前記送り装置(17)は、前記ガラス容器の所定の軸線方向長さに合わせられた移動の増分を有している、請求項9記載の設備(1)。
【請求項11】
回転軸線を規定する回転対称のガラス管素材から、回転対称のガラス容器を製造する、請求項1から10までのいずれか1項記載の設備であって、
-前記ガラス管素材から所定の長さのガラス容器を切断する切断装置(27)と、
-前記切断装置(27)に前置されたチャックであって、前記ガラス管素材(3)を、該ガラス管素材(3)の前記回転軸線が実質的に水平方向に向けられているように、回転式に支承しているチャックと
を有する、設備。
【請求項12】
前記チャック(13)は、80mm未満の緊締長さを有している、請求項1から11までのいずれか1項記載の設備(1)。
【請求項13】
回転軸線を規定する回転対称のガラス管素材から、回転対称のガラス容器を製造する、請求項1から12までのいずれか1項に記載の設備(1)用の空気式支承体(29)であって、
-圧縮空気源と、
-前記ガラス管素材(3)の前記回転軸線に沿って延在する前記ガラス管素材用の受容部(55)であって、少なくとも部分的に、回転対称の前記ガラス管素材(3)の外周面に形状を適合させられており、これにより、前記圧縮空気源から圧縮空気が前記受容部(55)に供給されると、前記ガラス管素材(3)が非接触式に支承されている、受容部(55)と
を有している、空気式支承体(29)。
【請求項14】
前記ガラス管素材(3)は、前記受容部(55)と前記ガラス管素材(3)との間の鉛直方向間隔が、0.05mm~0.5mmの範囲内であるように、前記受容部(55)内に非接触式に支承されている、請求項13記載の空気式支承体(29)。
【請求項15】
前記受容部(55)は、横断面で見て部分的に開かれており、これにより、前記ガラス管素材(3)を、前記回転軸線に対して横方向で前記受容部(55)内に挿入することができる、請求項13または14記載の空気式支承体(29)。
【請求項16】
前記受容部(55)は、実質的に部分円筒状に成形されており、前記受容部(55)は、部分的に凹状に湾曲した、受容底部及び受容側面により画定されている、請求項13から15までのいずれか1項記載の空気式支承体(29)。
【請求項17】
前記受容部(55)は、凹状の受容底部と、互いに反対の側に位置する凹状の2つの受容側面とを有しており、該受容側面はそれぞれ、実質的に回転軸線方向で見て0.05mm~0.15mmの範囲内の一定の間隔で前記受容底部に対して空隙を形成して配置されており、該空隙は、前記圧縮空気源と前記受容部(55)との間に流体接続を形成している、請求項13から16までのいずれか1項記載の空気式支承体(29)。
【請求項18】
転対称のガラス容器を製造する方法であって、
-回転軸線を規定するガラス管素材(3)を準備し、
-前記ガラス管素材(3)をその回転軸線を中心として連続的に回転させ、請求項13から17までのいずれか1項に記載の空気式支承体により、部分的に非接触式に回転式に支承し、
-前記ガラス管素材(3)を所定の長さに切断する、
方法。
【請求項19】
転対称のガラス容器を製造する方法であって、
-回転軸線を規定するガラス管素材(3)を準備し、
-前記ガラス管素材(3)をその回転軸線を中心として回転させると共に、段階的に回転軸線方向に移動させ、
-前記ガラス管素材(3)を所定の長さに切断し、
前記ガラス管素材(3)の前記回転軸線は、実質的に水平方向に向けられている、
方法。
【請求項20】
請求項1から12までのいずれか1項記載の設備(1)において実施される、請求項18または19記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス管素材から成るガラスシリンジまたはガラスアンプル等のガラス容器を製造する方法および設備およびこのような設備用の空気式支承体に関する。
【0002】
ガラスシリンジまたはガラスアンプル用のガラス体は、一方では製品の高い品質を保証することができるようにするため、かつ他方では例えば漏斗状の端部に設けられた、部分的に規格化されたインタフェースを維持することができるようにするために、製造誤差が極めて小さくなっている。ガラス容器の品質もしくは精度を損なう別の要因は、ガラス管素材からガラス容器素材を切断する際の製造固有の誤差にある。回転対称のガラス管を製造する場合、従来技術では、(エンドレスの)ガラス管を所定の長さに切断するには、ガラス管を、ガラス管の長手方向軸線に沿った、予め規定された位置において傷付け、加熱し、衝撃により冷却し、かつ再加熱する。加工中はガラス管をその長手方向軸線を中心として回転させ、切断過程後には長手方向軸線の方向に移動させることにより、後続の切断過程を実施することができる。
【0003】
支承は、今まではガラス管の長手方向軸線を中心としたガラス管の回転のみを可能にするチャックにおいて行われていた。支承体は、ガラス管の長手方向軸線が鉛直方向に向けられているように配置されている。ガラス管を鉛直方向に位置決めするために、チャックの下側にはストッパ板が設けられている。このため、チャックを開かねば、チャックにより保持されたガラス管が解放されず、チャックを開くと、ガラス管は重力に基づき鉛直方向において下向きに、ストッパ板に向かって落下する。切断したガラス容器をその長手方向軸線に沿って引き続き並進的に放出し、引き続く切断過程のためのガラス管を準備するためには、チャックを再び開けないと、ガラス管を解放して移動させることができず、これにより、切断されたガラス容器は重力の影響下で別の加工ステーションに落下することがあり、ガラス管も、やはり重力の影響下でストッパ板に向かって落とされていた。従来技術による管カッターの概略図が、図1として本願の明細書に添付されている。
【発明の概要】
【0004】
この製造プロセスは、基本的には有利であるということが判っている。しかしながら、本発明の発明者らは、特にストッパ板に対するガラス管の落下時に、ガラス容器の損傷が生じる場合がある、ということを発見した。従来の方法の別の欠点は、支承体が摩耗と汚れとに晒されている、という点にある。さらに、ガラス管は、その長手方向軸線に沿ってしかチャックに装着され得ないため、ガラス管を取り扱う手段も1つだけに限定されている。さらに、ガラス管を鉛直方向において十分安定的に保持することができるようにし、満足のいくガラス管部分を可能にするためには、チャックの大幅な緊締長さが必要である。
【0005】
本発明の課題は、従来技術の欠点を克服する、特にガラス容器製造設備を改良しかつ/または構造的に簡単に実現することができ、摩耗および汚れがより少なく、ガラス管の損傷が回避されておりかつ/または取扱いの点においてよりフレキシブルな、ガラス管加工ステーション用の支承体を提供することにある。
【0006】
この課題は、各独立請求項に記載の特徴により解決される。
【0007】
よって、ガラスシリンジ、ガラスカープル、ガラスバイアルまたはガラスアンプル等の特に回転対称のガラス容器を製造する設備が提供されている。このガラス容器製造設備は、回転軸線を規定する特に回転対称のガラス管素材から、特に回転対称のガラス容器を製造する。ガラス容器製造設備には、例えば絶えずガラス管素材が装着され得、ガラス管素材は、例えば貯蔵倉庫内に貯蔵されており、貯蔵倉庫は、例えばガラス容器製造設備のすぐ近くに位置していてよい。さらにガラス容器製造設備は、ガラス吹きステーションから特にエンドレスガラス管素材が直接に装着されるように構成されていてよい。
【0008】
本発明による設備は、ガラス管素材を回転式に支承するチャックを有している。回転対称のガラス管素材の場合、回転軸線は、ガラス管素材の中心軸線に相当する。コレットチャックとも呼ばれるチャックは、ガラス管素材の少なくとも周面部分を包囲して係合しかつ拘束するように構成されている。例えばコレットチャックは、チャックひいてはガラス管素材の回転を生ぜしめるモータ等の駆動装置に結合されていてよい。例えば、チャックは3ジョーコレットチャックであってよい。コレットチャックは、ガラス管素材を、その長手方向軸線に沿って所定の位置に位置固定するために用いられてもよく、これにより、加工過程、特に変形等の賦形または切断過程が実施され得る。
【0009】
さらに設備は、ガラス管素材から所定の長さのガラス容器を切断する切断装置を有している。設備を介して、ガラス容器は、ガラス管素材の長手方向に見て予め規定された所望の長さに応じて、ガラス管素材から自動的に切断され得る。所定の長さとは、個別の各ガラス容器をそれぞれ個別に切断する過程の前に、個別の長さが設定されること、例えば手動で入力されること、または中央に保存された制御プログラムから求められることを意味していてもよい。切断装置は、複数の部分ステップを実施してよい、もしくは複数の部分ステーションを有していてよい。例えば、切断過程は実質的に非接触式に、例えば熱入力により行われ、これによりガラス管素材の内部に生ぜしめられた材料応力が、ガラス管素材からのガラス容器の切断、特に切離しをもたらす。例えば、切断には以下のステップが含まれていてよい、もしくは切断装置は以下のステーションを有していてよい。すなわち:ガラス管素材を傷付けるステップもしくはステーション;ガラス管素材を、特に傷付け箇所の範囲において、例えばバーナーまたはCOレーザーにより局所的に加熱するステップもしくはステーション;傷付けられかつ局所的に加熱されたガラス管素材の範囲を、特に冷却流体流、特に冷却空気流または冷却液体流の供給により、引き続き局所的に冷却するステップもしくはステーション;冷却流体流が供給されたガラス管素材の範囲を局所的に再加熱し、例えばいわゆる熱衝撃による切離しによってガラス容器の切断を生ぜしめるステップもしくはステーション;場合により、切断箇所を溶融してガラス管素材の端部側を閉じるステップもしくはステーション。
【0010】
本発明では、設備は、チャックに後置されかつ切断装置に前置された、ガラス管素材を非接触式に支承する空気式支承体を有している。空気式支承体は、本発明による以下の各態様もしくは例示的な各構成のうちの1つに基づき形成されていてよい。前置および後置という表現は、ガラス管素材の長手方向軸線に関連して理解されるべきである。非接触式の保持力および/または支承力をガラス管素材に伝達するために、空気式支承体は、ガラス管素材を周方向において少なくとも部分的に非接触式に包囲することができる。ガラス側において空気式支承体は、ガラス管素材の回転軸線を中心とした、ガラス管素材の連続的な回転を保証する。一般に空気式支承体では、ガラス管素材と空気式支承体との間に、特に薄い空気膜が形成され、この空気膜が、ガラス管素材と空気式支承体とを互いに隔離し、特に非接触式の支承を生ぜしめるようになっている。空気式支承体は、周知のように、スティックスリップや摩擦のない支承特性を特徴とする。意外にも、空気式支承体は、ガラス容器製造設備での使用にも有利であり、適している、ということが判った。それというのも、空気式支承体内に発生する、ガラス管素材の非接触式の支承を可能にするための空気流が、クリーニング効果、特にセルフクリーニング効果をも有しているからである。ガラス管素材に付着するガラス粒子および/または汚れ粒子が空気流により除去されるため、ガラス管素材の表面から、粒子および/または汚れが実質的に除去された状態になる。一般に、空気式支承体はベルヌーイ効果を利用しており、ガラス管素材の運動自由度を、回転方向における回転運動と、ガラス管の長手方向に沿った並進移動の両方において可能にする。空気式支承体は、関連する全ての力、特にガラス管素材の重量ならびに例えばガラス管素材の回転に基づくプロセス力を、ガラス管に接触することなしに吸収するように形成されていてよい。
【0011】
本発明による設備の1つの例示的な構成では、空気式支承体は、特にガラス管素材の長手方向軸線に相当する、ガラス管素材の回転軸線に沿って延在するガラス管素材用の受容部を有している。受容部は、ガラス管素材にすぐ面しておりかつガラス管素材の非接触式の支承および保持を担う、空気式支承体のコンポーネントを形成していてよい。受容部は、特に回転対称のガラス管素材の外周面に、少なくとも部分的に形状を適合させられていてよい。例えば、ガラス管素材の非接触式の支承に基づき生じる、ガラス管素材と受容部との間の間隔は、実質的に一定である、ということが保証されていてよい。択一的または追加的に、受容部は、横断面において部分的に開かれていてよく、これにより、ガラス管素材が、回転軸線に対して横方向で受容部に挿入され得るようになっている。従来技術の設備では、今までガラス管素材の、コレットチャック内およびガラス管素材用に設けられた支承体内への挿入は、回転軸線もしくはガラス管素材の長手方向軸線に沿ってしか可能ではなかった。本発明による設備は、取扱いおよび向きの点において大幅に、よりフレキシブルになっている。
【0012】
本発明による設備の1つの例示的な改良では、受容部は、実質的に部分円筒状に成形されている。特に受容部は、回転対称のガラス管素材が挿入されて部分的に受容されている、部分円筒状の受容領域を形成している。1つの例示的な構成では、受容部は、特に部分円筒形を形成するように、部分的に凹状に成形されている。択一的または追加的に、受容部は、部分的に凸状に成形されていてもよい。この場合、受容部の凹状の部分は、受容底部を形成することができかつ/または凸状の部分は、少なくとも部分的に受容側面を形成することができる。受容底部は、2つの受容側面につながっていてよい。特に受容部は、特に凹状の受容底部と、互いに反対の側に位置する2つの受容側面とを有している。さらに受容側面は、部分的に凹状に成形されていてよく、この場合、受容側面の特に凹状の領域は、受容底部にすぐ隣接して配置されている。1つの別の例示的な構成では、受容部は、複数の部分から形成されている。この場合、受容側面は1つの部分から製造されていてよく、受容底部は少なくとも1つの別の部分から製造されていてよい。
【0013】
本発明の1つの別の例示的な構成では、空気式支承体は、切断装置とチャックとの間の軸線方向距離の1/3~2/3の範囲内にある設備の軸線方向位置に配置されている。この場合、軸線方向位置もしくは軸線方向は、回転軸線方向および/またはガラス管素材に関連して、長手軸線方向を意味する。択一的に、設備は、ガラス管素材を非接触式に支承する少なくとも1つの別の空気式支承体を有していてもよい。この場合、チャック側の空気式支承体は、切断装置とチャックとの間の軸線方向距離の1/4~1/2の範囲内にある軸線方向位置に位置していてよい。切断装置側の空気式支承体は、切断装置とチャックとの間の軸線方向距離の少なくとも3/4の軸線方向位置に位置していてよい。1つの例示的な改良では、切断装置側の空気式支承体は、切断装置のすぐ近くに位置している。少なくとも1つの空気式支承体を前記のように配置することにより、ガラス管素材用の安定的な支承体が提供されることになり、これにより、後続の切断過程を確実に実施することができる。
【0014】
先行の態様および例示的な構成と組み合わせることができる、本発明の1つの別の態様では、回転軸線を規定する特に回転対称のガラス管素材から、ガラスシリンジ、ガラスカープル、ガラスバイアルまたはガラスアンプル等の、特に回転対称のガラス容器を製造する設備が提供されている。
【0015】
この設備は、ガラス管素材から所定の長さのガラス容器を切断する切断装置を有している。設備を介して、ガラス容器は、ガラス管素材の長手方向に見て予め規定された所望の長さに応じて、ガラス管素材から自動的に切断され得る。所定の長さとは、個別の各ガラス容器をそれぞれ個別に切断する過程の前に、個別の長さが設定されること、例えば手動で入力されること、または中央に保存された制御プログラムから求められることを意味していてもよい。切断装置は、複数の部分ステップを実施してよい、もしくは複数の部分ステーションを有していてよい。例えば、切断過程は実質的に非接触式に、例えば熱入力により行われ、これによりガラス管素材の内部に生ぜしめられた材料応力が、ガラス管素材からのガラス容器の切断、特に切離しをもたらす。例えば、切断には以下のステップが含まれていてよい、もしくは切断装置は以下のステーションを有していてよい。すなわち:ガラス管素材を傷付けるステップもしくはステーション;ガラス管素材を、特に傷付け箇所の範囲において、例えばバーナーまたはCOレーザーにより局所的に加熱するステップもしくはステーション;傷付けられかつ局所的に加熱されたガラス管素材の範囲を、特に冷却流体流、特に冷却空気流または冷却液体流の供給により、引き続き局所的に冷却するステップもしくはステーション;冷却流体流が供給されたガラス管素材の範囲を局所的に再加熱し、例えばいわゆる熱衝撃による切離しによってガラス容器の切断を生ぜしめるステップもしくはステーション;場合により、切断箇所を溶融してガラス管素材の端部側を閉じるステップもしくはステーション。
【0016】
本発明では、設備は、切断装置に前置された、ガラス管素材を回転式に支承するチャックを有している。前置という表現は、ガラス管素材に関連して回転軸線方向もしくはガラス管素材の長手方向軸線と理解されるべきである。回転対称のガラス管素材の場合、回転軸線は、ガラス管素材の中心軸線に相当する。コレットチャックとも呼ばれるチャックは、ガラス管素材の少なくとも周面部分を包囲して係合しかつ拘束するように構成されている。例えばコレットチャックは、チャックひいてはガラス管素材の回転を生ぜしめるモータ等の駆動装置に結合されていてよい。例えば、チャックは3ジョーコレットチャックであってよい。コレットチャックは、ガラス管素材を、その長手方向軸線に沿って所定の位置に位置固定するために用いられてもよく、これにより、加工過程、特に変形等の賦形または切断過程が実施され得る。
【0017】
本発明の別の態様では、チャックは、ガラス管素材を特に水平方向に移動させる送り装置を有している。例えば送り装置は、ガラス管素材を実質的に専ら並進的にのみ移動させるように形成されている。送り装置は、チャックを介してガラス管素材を回転させる駆動装置に対して別個のコンポーネントであってよい。チャックに対応して配置された送り装置の利点は、ガラス管素材を特に水平方向にかつ/または並進的に移動させるために、ガラス管素材を拘束している回転中のチャックを最早開かずに済む、という点にある。つまりチャックは、回転自由度と並進自由度とを有している。これにより、ガラス容器の製造にかかる時間を節約することができると共に、ガラス容器の製造サイクルタイムを上げることができる。今や、従来技術では必要な、ガラス管素材を並進的に送る前のコレットチャックの開放ステップは省かれてよい。通常複数のガラス容器が製造され得る1つのガラス管素材は、今やチャックが開かれることなしに、複数回切断され得る。この場合、切断装置を動かすことは不要である。送り装置により、ガラス管素材は第1のガラス容器の切断過程後に、このガラス管素材を再び切断装置に対して所定の切断位置にもたらすために送られてよい。特にガラス管素材は少なくとも、第1の切断過程後に所定の長さ、つまり軸線方向長さの別のガラス容器を製造するための少なくとも1回の別の切断過程を生ぜしめることができる程度に、特に水平方向にかつ/または並進的に移動させられてよい。
【0018】
本発明による設備の1つの例示的な改良では、送り装置は、チャックを含むガラス管素材を、特に水平方向にかつ/または並進的に移動させることができるように構成されている。これにより、ガラス管素材が特に切断装置の方に移動させられる間、チャック内のガラス管素材の回転式の支承が維持され得る。
【0019】
本発明による設備の1つの別の例示的な構成では、チャックは、設備の位置固定されたケーシングに対して相対的に、特に並進的にかつ/または水平方向に移動可能である。例えば、ケーシングまたは架台も、基底部、例えば工場の床に設置されている。
【0020】
本発明による設備の1つの例示的な改良では、チャックは、リニアガイド、例えばレールガイドを介して特に並進的にかつ/または水平方向に移動可能に、設備の位置固定されたケーシングに支承されている。リニアガイドを介して、ガラス管素材を含むチャックは、ケーシングと切断装置とに対して相対的に直線移動させられてよい。例えばリニアガイドは、レールガイドとして形成されていてよく、レールガイドは、チャックに取り付けられた可動のガイドキャリッジと、少なくとも1つの位置固定された、特にケーシングに固定されたレールを有していてよく、レールに対してガイドキャリッジが直線移動可能になっている。
【0021】
本発明による設備の1つの別の例示的な構成では、送り装置は、ガラス管と、場合によりチャックとを段階的に、特に切断装置に向かってかつ/または切断装置から離反する方向に並進移動させるように構成されている。例えば、送り装置はステップモータを有していてよいか、またはステップモータに結合されていてよい。しかしまた、チャックを連続的に並進移動させるように形成することも可能である。例えばチャックの段階的な並進移動が、プロセスサイクルタイムおよび/またはプロセスフローに合わせられていてよい。例えば、送り装置は切断過程が完全に行われると作動して、チャックを並進移動させる。切断過程中、送り装置は非作動であるということが保証され得、これによりチャックは動かず、定置に位置するようになっている。
【0022】
本発明による設備の1つの例示的な改良では、送り装置は、特に所定のかつ/または予め設定された移動の増分を有している。ガラス管素材を含むチャックの並進的な、特に水平方向の変位運動を規定する移動の増分は、ガラス容器の所定の軸線方向長さに合わせられていてよい。このようにして、ガラス管素材は、製造しようとするガラス容器の軸線方向長さに相当する長さだけ、ガラス管素材の長手方向に正確に送られる、ということが保証されていてよく、これにより、ガラス管素材は再び、下流の切断過程のための位置に位置することになる。
【0023】
先行の態様および例示的な構成と組み合わせることができる、本発明の1つの別の態様では、回転軸線を規定する特に回転対称のガラス管素材から、ガラスシリンジ、ガラスカープル、ガラスバイアルまたはガラスアンプル等の、特に回転対称のガラス容器を製造する設備が提供されている。
【0024】
この設備は、ガラス管素材から所定の長さのガラス容器を切断する切断装置を有している。設備を介して、ガラス容器は、ガラス管素材の長手方向に見て予め規定された所望の長さに応じて、ガラス管素材から自動的に切断され得る。所定の長さとは、個別の各ガラス容器をそれぞれ個別に切断する過程の前に、個別の長さが設定されること、例えば手動で入力されること、または中央に保存された制御プログラムから求められることを意味していてもよい。切断装置は、複数の部分ステップを実施してよい、もしくは複数の部分ステーションを有していてよい。例えば、切断過程は実質的に非接触式に、例えば熱入力により行われ、これによりガラス管素材の内部に生ぜしめられた材料応力が、ガラス管素材からのガラス容器の切断、特に切離しをもたらす。例えば、切断には以下のステップが含まれていてよい、もしくは切断装置は以下のステーションを有していてよい。すなわち:ガラス管素材を傷付けるステップもしくはステーション;ガラス管素材を、特に傷付け箇所の範囲において、例えばバーナーまたはCOレーザーにより局所的に加熱するステップもしくはステーション;傷付けられかつ局所的に加熱されたガラス管素材の範囲を、特に冷却流体流、特に冷却空気流または冷却液体流の供給により、引き続き局所的に冷却するステップもしくはステーション;冷却流体流が供給されたガラス管素材の範囲を局所的に再加熱し、例えばいわゆる熱衝撃による切離しによってガラス容器の切断を生ぜしめるステップもしくはステーション;場合により、切断箇所を溶融してガラス管素材の端部側を閉じるステップもしくはステーション。
【0025】
本発明の別の態様では、設備は、切断装置に前置された、ガラス管素材を回転式に支承するチャック、特にコレットチャックを有しており、チャックはガラス管素材を、ガラス管素材の回転軸線が実質的に水平方向に向けられているように、回転式に支承する。前置という表現は、ガラス管素材に関連して回転軸線方向もしくはガラス管素材の長手方向軸線と理解されるべきである。回転対称のガラス管素材の場合、回転軸線は、ガラス管素材の中心軸線に相当する。コレットチャックとも呼ばれるチャックは、ガラス管素材の少なくとも周面部分を包囲して係合しかつ拘束するように構成されている。例えばコレットチャックは、チャックひいてはガラス管素材の回転を生ぜしめるモータ等の駆動装置に結合されていてよい。例えば、チャックは3ジョーコレットチャックであってよい。コレットチャックは、ガラス管素材を、その長手方向軸線に沿って所定の位置に位置固定するために用いられてもよく、これにより、加工過程、特に変形等の賦形または切断過程が実施され得る。本発明の発明者らは、ガラス管素材を水平方向に向けることにより、その加工中、ガラス管素材および特にガラス容器における損傷が、構造的に簡単に回避され得る、ということを発見した。ガラス管素材と、切断されたガラス容器をも引き渡すもしくは送るために、これらは最早、重力を利用して落下させられてストッパ板により受けとめられ、ストッパ板にその切断面/端面がぶつかることに伴って損傷する恐れはなくなり、水平方向に制御されて引き渡され、取り出される。水平方向の向きに基づきさらに、ガラス管素材の回転軸線方向および/またはガラス管素材の長手軸線方向に対して横方向にガラス管素材を挿入することも簡単になっている。これにより、設備は取扱いの点において大幅に、よりフレキシブルになっている。
【0026】
本発明による設備の1つの例示的な構成では、チャックは、80mm未満、特に60mm未満、40mm未満または20mm未満、例えば約10mmの緊締長さを有している。緊締長さは、ガラス管素材がチャック内で包囲されるように係合されかつ保持されている軸線方向長さを意味してよい。ガラス管素材がぶつからずに、可能な限り変位なしで回転するために十分安定的に回転しかつ支承されているように、ガラス管素材を鉛直な方向もしくは向きに緊締して回転することができるようにするためには、チャック内にかなりの軸線方向緊締長さが必要であった。そこで本発明は、構成空間を軸線方向において大幅に削減し、チャックを大幅に小さく寸法設定することができるようにし、特に廉価に構成することを可能にする。
【0027】
先行の態様および例示的な構成と組み合わせることができる、本発明の1つの別の態様では、回転軸線を規定する回転対称のガラス管素材から、ガラスシリンジ、ガラスカープル、ガラスバイアルまたはガラスアンプル等の回転対称のガラス容器を製造する、特に先行の態様もしくは例示的な構成のうちの1つに基づき形成された設備用の空気式支承体が提供されている。前置および後置という表現は、ガラス管素材の長手方向軸線に関連して理解されるべきである。
【0028】
非接触式の保持力および/または支承力をガラス管素材に伝達するために、空気式支承体は、ガラス管素材を周方向において少なくとも部分的に非接触式に包囲することができる。ガラス側において空気式支承体は、ガラス管素材の回転軸線を中心とした、ガラス管素材の連続的な回転を保証する。一般に空気式支承体では、ガラス管素材と空気式支承体との間に、特に薄い空気膜が形成され、この空気膜が、ガラス管素材と空気式支承体とを互いに隔離し、特に非接触式の支承を生ぜしめるようになっている。
【0029】
本発明による空気式支承体は、圧縮空気源を有している。圧縮空気源は、最高5barの圧縮空気を発生させるように形成されていてよい。例えば、圧縮空気源は、1bar~4barの範囲内の圧縮空気を発生させる。例えば、圧縮空気のレベルを調節することができるようにするために、圧縮空気源は制御可能である。この場合、圧縮空気は、支承しようとするガラス管素材の重量に合わせられていてよい。通常、圧縮空気は、ガラス管素材に対する吸引力と反発力とが互いに打ち消し合い、これによりガラス管素材が確実に支承され得るように選択することができる。
【0030】
本発明による空気式支承体はさらに、ガラス管素材の回転軸線に沿って、特にガラス管素材の長手方向軸線に沿って延在するガラス管素材用の受容部を有している。受容部は、ガラス管素材にすぐ面しており、ガラス管素材の少なくとも周面部分を包囲しひいては支承する、空気式支承体のコンポーネントであってよい。受容部は少なくとも部分的に、回転対称のガラス管素材の外周面に形状を適合させられていてよく、これにより、圧縮空気源から圧縮空気が受容部に供給されると、ガラス管素材は非接触式に支承された状態になる。これにより、特に摩擦なしの、ガラス管素材の支承が可能である。さらに、ガラス管素材の空気式支承体は、セルフクリーニング効果を特徴とする。それというのも、供給される空気流により、汚れ粒子および/またはガラス粒子が除去され得るからである。さらに本発明による空気式支承体は、ガラス管素材に対して回転自由度と並進自由度の両方を提供するため、ガラス管素材を一方では非接触式に回転式に支承することができかつ他方では、支承力を維持しつつ、ガラス管素材を空気式支承体に対して、特に受容部に対して相対的に、非接触式に並進移動させることが可能である。特に圧縮空気源は、ガラス管素材の周囲を流れると共に受容部に沿って流れる一方で、空気式支承体、特に受容部とガラス管素材との間の接触の自由を調整する空気膜を発生させるように構成されている。一般に、空気式支承体はベルヌーイ効果を利用しており、ガラス管素材の運動自由度を、回転方向における回転運動と、ガラス管の長手方向に沿った並進移動の両方において可能にする。空気式支承体は、関連する全ての力、特にガラス管素材の重量ならびに例えばガラス管素材の回転に基づくプロセス力を、ガラス管に接触することなしに吸収するように形成されていてよい。
【0031】
本発明による空気式支承体の1つの例示的な改良では、ガラス管素材は、受容部、特に中心の受容底部とガラス管素材との間の間隔が、0.05mm~0.5mmの範囲内、特に0.01mm~0.3mmの範囲内、特に約0.2mmであるように、受容部において非接触式に支承されている。
【0032】
本発明による空気式支承体の1つの別の例示的な構成では、受容部は、実質的に部分円筒状に成形されている。特に、回転対称のガラス管素材の少なくとも周面部分を包囲する受容部の領域は、部分円筒状にかつ/または部分的に開かれて成形されている。例えば、受容部は、部分的に凹状にかつ/または部分的に凸状に成形されている。受容部はさらに、複数の部分から形成されていてよい、もしくは複数の部分から製造されていてよい。例えば、受容部の凹状の部分は、受容底部を形成しかつ/または凸状の部分は、少なくとも部分的に受容側面を形成する。例えば、互いに反対の側に位置する2つの受容側面と、その間に位置する受容底部とが設けられている。この場合、各受容側面は、1つの部材から製造されていてよい。受容底部は、受容側面とは別個の別の部材から製造されていてよい。
【0033】
本発明の1つの別の例示的な構成では、受容部は、特に凹状の受容底部と、互いに反対の側に位置する特に凸状の、すなわち部分的に凸状の2つの受容側面とを有しており、受容側面はそれぞれ、実質的に回転軸線方向もしくはガラス管素材の長手軸線方向に見て一定の間隔で受容底部に対して空隙を形成して配置されている。例えばこの間隔は、0.05mm~0.15mmの範囲内にあり、例えば約0.09mmである。空隙は、圧縮空気源と受容部、特にガラス管素材が少なくとも部分的に受容されている受容空間との間に流体接続を形成することができる。例えば設備は、圧縮空気源から提供された圧縮空気が空隙を介して受容部に流入するように形成されており、この場合、空隙は、受容部内に、ガラス管素材に対する保持力を提供するためのベルヌーイ効果の発生を担っている。
【0034】
先行の態様および例示的な構成と組み合わせることができる、本発明の1つの別の態様では、ガラスシリンジ、ガラスカープル、ガラスバイアルまたはガラスアンプル等の、特に回転対称のガラス容器を製造する方法が提供されている。
【0035】
本発明による方法では、回転軸線を規定するガラス管素材を準備する。ガラス容器製造設備には、例えば絶えずガラス管素材が装着され得、ガラス管素材は、例えば貯蔵倉庫内に貯蔵されており、貯蔵倉庫は、例えばガラス容器製造設備のすぐ近くに位置していてよい。さらにガラス容器製造設備は、ガラス吹きステーションから特にエンドレスガラス管素材が直接に装着されるように構成されていてよい。
【0036】
さらに、ガラス管素材は、その回転軸線を中心として連続的に回転させられ、特に先行の態様もしくは例示的な構成のうちの1つに基づき形成された空気式支承体により、部分的に非接触式に回転式に支承される。
【0037】
さらに本発明による方法には、ガラス管素材を所定の長さ、特に軸線方向長さになるように変向させてガラス容器を切断する、切断ステップが含まれていてよい。
【0038】
先行の態様および例示的な構成と組み合わせることができる、本発明の1つの別の態様では、ガラスシリンジ、ガラスカープル、ガラスバイアルまたはガラスアンプル等の、特に回転対称のガラス容器を製造する方法がもたらされている。
【0039】
本発明による方法では、回転軸線を規定するガラス管素材を準備する。
【0040】
さらに、ガラス管素材を、実質的にガラス管素材の長手方向軸線に相当する、ガラス管素材の回転軸線を中心として回転させると共に、特に段階的に、回転軸線方向に移動させる。この移動は、例えば並進的にかつ/または実質的に専ら水平方向にのみ行うことができる。
【0041】
本発明による方法では、ガラス管素材の回転軸線は、実質的に水平方向に向けられている。
【0042】
本発明による方法の1つの例示的な構成では、この方法は、上述した態様もしくは例示的な構成のうちの1つに基づいた本発明による設備を実現するように構成されている。
【0043】
好適な構成は、各下位請求項に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0044】
以下に、添付の例示的な図面に基づき本発明の好適な構成を説明することにより、本発明の別の特性、特徴および利点を明確にする。
図1】ガラス加工設備の従来技術による管カッターを示す概略図である。
図2】本発明による、ガラス容器を製造する設備の一部を示す概略図である。
図3図2に示した設備を上から見た図であって、この設備の切断装置も同様に示されている。
図4図3に示した設備の概略正面図である。
図5】本発明による空気式支承体の1つの例示的な構成を示す斜視図である。
図6図5に示した空気式支承体の断面図である。
図7図6にVIIで示した部分の詳細図である。
【0045】
図1に関連して、従来技術によるガラス加工設備の従来技術による管カッター、つまり全体的に符号200を付した管カッターを説明する。管カッター200は基本的に、ガラス管素材201からガラス容器を切断するために用いられる。個々の加工過程もしくはステーションは、連続する大文字A~Kにより特徴付けられている。Aにおいて、回転対称のガラス管素材201が準備され、チャック203により回転式に支承される。同時にガラス管素材201の回転軸線にも相当するガラス管素材の長手方向は、符号Rにより特徴付けられている。図1において看取されるように、Aにおいてガラス管素材201は、チャック203から軸線方向において下向きに突出している。この場合、ガラス管素材201とコレットチャック203とは、鉛直方向Vに向けられている。ステーションB~Dは、ガラス管素材201を鉛直方向Vに関して位置調整するために用いられる位置決めステーション205に該当する。このことは、各ステーションB~Dに対応して配置され、実質的に水平方向Hに延在するストッパ板207,209および211を介して行われ、チャック203が開かれると、ガラス管素材201はストッパ板207,209および211に向かって落下させられる。ストッパ板207,209,211は、チャック203に対して所定の鉛直方向距離に配置されており、コレットチャック203とストッパ板207,209,211との間には常に同じ鉛直方向距離が達成されるため、後続の切断過程を介して、常に実質的に同じ軸線方向長さのガラス容器213(ステーションJ)が切断され得る。
【0046】
鉛直方向Vに関してガラス管素材201の位置決めが行われてから、ガラス管素材201は再びチャック203によりつかまれて位置固定され、これにより、ガラス管素材201の鉛直方向位置が位置固定されたことになる。ステップE~Jは、実質的に切断過程206を構成している。すなわち:Eでは、例えば傷付けナイフ215により傷を付けることで、切断過程の準備が行われ;ステーションFおよびGでは、例えばくし形バーナー217により特にガラス管素材201の局所的な領域において強力な加熱が行われ;Hでは、例えば冷却空気流または冷却流体流219により冷却過程が行われ;Iでは、符号221を有する矢印により、熱衝撃による切離しをもたらす局所的な再加熱が示唆されており;Jでは、切断されたもしくは切り離されたガラス容器213が残りのガラス管素材201から分離させられ、鉛直方向Vにおいて下向きに落下することが認められ;Kでは、例えばチャック203内に残されたガラス管素材201の端面を閉じて、例えばガラス容器213の底部を形成するために、符号223を有する矢印により示唆された、任意の溶融過程が行われてよい。
【0047】
次いで、プロセスを始めのAから開始し、残された、引き続きチャック203内に緊締されたガラス管素材201を、まずB~Dにおいて、鉛直方向Vに関して再び位置決めすることができる。
【0048】
図2には、所定の軸線方向長さの、特に回転対称のガラス容器を製造する、本発明による設備1の一部が斜視図で略示されている。本発明の1つの態様では、設備1もしくは特にその個々のコンポーネントは、加工されるべき回転対称のガラス管素材3の回転軸線Rが実質的に水平方向Hに向けられているように構成されている。これにより、従来技術に比べて大幅にフレキシブルな設備1の取扱いならびに簡略化された操作および特に設備1へのガラス管素材3の簡略化された装着が生ぜしめられる。つまり、特に装着を、実質的にガラス管素材の長手方向に相当する回転軸線方向Rに対して横方向に行うことができる。基本的に、図2に示す設備1は、図2に示す例示的な構成では実質的に同一に形成された3つの支柱7,9,11を備えた架台5を有している。架台5は、設備1の複数の別のコンポーネントを支持している。これにはとりわけ、ガラス管素材3を回転式に支承するチャック13が属している。チャック13は、例えば3ジョーコレットチャックであってよい。例えば、チャック13は、ガラス管素材3の周を少なくとも部分的に包囲して係合しかつガラス管素材3をチャック13内に位置固定するために、緊締ジョー等の緊締装置15を有している。チャック13は、ガラス管素材3をその回転軸線Rを中心として特に連続的に回転させることができる駆動装置(図示せず)を有していてもよい。
【0049】
本発明の1つの別の態様では、チャック13は、全体的に符号17を付した送り装置を有しており、送り装置17は、内部に緊締されて位置固定されておりかつ回転式に支承されたガラス管素材3を含むチャック13を並進移動させることができるように構成されている。図2において看取されるように、並進移動は、ガラス管素材の長手方向に沿って行われる。送り装置17は、例えばチャック13を段階的に並進移動させるためにステップモータを有していてよい。例えば段階的な移動の増分は、製造しようとするガラス容器の所定の軸線方向長さに合わせられていてよい。
【0050】
図2では、コレットチャック13を並進移動させるために、リニアガイド、特にレールガイド19が設けられている。リニアガイド19は、水平方向Hにおいて2つの支柱9,11の間に延在するレール状の滑動装置21を有しており、滑動装置21に沿って、チャック13に取り付けられたガイドキャリッジ23が相対的に移動することができるようになっている。例えば図2において看取されるように、ガイドキャリッジ23はレール19に対して形状を合わせられていてよくかつ/またはレール19と形状結合式に結合されていてよい。例えばガイドキャリッジ23は、送り装置17を形成していてよい、もしくはコレットチャック13を並進移動させるステップモータ等の駆動装置を有していてよい。さらに、レール21と滑り係合しておりかつガイドキャリッジ23との接触状態にもたらすことができる別の駆動キャリッジ25が設けられていてよく、駆動キャリッジ25は、コレットチャック13と固く結合された、駆動ユニットなしのガイドキャリッジ23を移動させるように構成されている。ガラス管素材3を加工して複数のガラス容器を製造する間、ガラス管素材3はコレットチャック13を介して、送り装置17からの並進移動力により並進移動させられ、これにより、ガラス管素材3をさらに切断装置27(図2には図示せず、図3参照)の方に連続的に移動させることができ、その結果、1つのガラス管素材3から複数のガラス容器が製造され得る。本発明の設備1の利点は、コレットチャック13が並進移動可能であることに基づき、切断過程が行われてからガラス管素材3を位置決めし直すために、コレットチャック13を開かずに済む、という点にもある。つまりこのことは、引き続きチャック13内にガラス管素材3が緊締された状態で、送り装置17によって行われる。
【0051】
長く引き出されたガラス管素材3を引き続き支承するために、チャック13と、図2では極めて左側に配置されるべき切断装置27(図2では看取されず)との間には、水平方向において互いに間隔をあけて設けられた2つの空気式支承体29が提供されている。空気式支承体29は、例えば本発明による態様もしくは例示的な構成に基づき形成されていてよい。空気式支承体29は、それぞれ支持部7,9に保持されており、ガラス管素材3を受容するために、空気式支承体29が鉛直方向Vにおいて上向きに開いているように配置されている。空気式支承体29は、ガラス管素材3を非接触式に支承すると共に、回転方向Rに関して所定の位置に保ち、これにより、切断装置27が切断過程を確実に行うことができるようにするために用いられる。例えば、(図2では左側の)切断装置側の空気式支承体は、切断装置27のすぐ近くに位置決めされている。空気式支承体29により、ガラス管素材は、一方では回転式に支承され得、かつ他方では、空気式支承体29は並進的な運動の自由度をも提供するため、送り装置17により生ぜしめられる並進移動の運動を、特にいずれかの支承体を廃止する必要なしに、問題なく行うことができる。
【0052】
図2に示した設備1を上から見た図と解釈され得る図3に示す概略図には、追加的に切断装置27の1つの例示的な構成が示されている。コレットチャック13により回転式に支承されたガラス管素材3は、その回転軸線Rを中心として絶えず回転させられ、このことは符号31を有する湾曲した矢印により示唆されている。2つの空気式支承体29は略示されており、ガラス管素材3を支承している。切断装置27は、例えば全体的に符号33により示唆されたCOレーザーと、エネルギー源35と、レーザー装置37と、レーザー光線41をガラス管素材3に集束させるためのミラー装置39と、冷却流体噴流45をガラス管素材3にもたらすことができる冷却装置43とを有していてよい。図3において看取されるように、COレーザー33を介した加熱も、冷却装置43による冷却も、特に同一の局所的な箇所において行われる。符号47を付したこの局所的な箇所は、ガラス管素材3において、ガラス容器を形成するためにガラス管素材3が変向させられる軸線方向箇所である。この軸線方向位置は固定されている。このことは、切断装置27が位置固定されて位置決めされておりかつガラス管素材3は水平方向Hに並進移動可能であることにより実現され、このことは、符号aにより示唆されている。択一的に、ガラス管素材3を局所的に加熱するためには、例えばバーナーが設けられていてもよい。
【0053】
図4には、(図3の右側から見た)図3の正面図が示されており、この場合、追加的に、切断箇所47を前処理する、特に傷付ける、ばねにより予荷重が加えられた傷付けホイール49が示されている。図4において看取されるように、冷却流体噴流45は、ガラス管素材3の回転軸線Rに対して偏心的に方向付けられており、実質的にガラス管素材3の外周面51に対して接線方向に向けられている。この偏心もしくはずれは、加熱されたガラス管素材3の冷却効果に有利な影響を及ぼす、ということが発見された。
【0054】
図5図7に基づき、本発明による空気式支承体29の1つの例示的な構成を説明する。一般に空気式支承体29は、ベルヌーイ効果を利用して、ガラス管素材3の非接触式の支承を可能にするように形成されており、この場合、回転自由度と並進自由度の両方が達成されており、これにより特にフレキシブルな、本発明によるガラス容器を製造する設備が得られる。空気式支承体29の基本的な構造は図5において看取され、空気式支承体29の機能形式は、とりわけ図6および図7に基づき説明する。空気式支承体29は、実質的に平らな台53と、ガラス管素材3用の受容部55を形成し、台53に結合されたケーシング57とを有していてよい。ケーシング57は、図5に示す例示的な構成では、実質的に直方体状のブロックとして成形されており、ガラス管素材の回転軸線方向Rにおけるケーシング57の延在長さは、回転軸線方向Rに対して横方向に比べ、より大きく設計されている。空気式支承体29をより良好に具体的に示すために、空気式支承体29により支承されかつ受容部55内に挿入されたガラス管素材3は、図5では破線で表されている。
【0055】
図6および図7に関連して、空気式支承体29の例示的な構成ならびにその機能形式を断面図で概略的に説明する。特に図6から、空気式支承体29は複数の部分から形成されており、特にケーシング57は複数の部分から形成されていることが明らかである。空気式支承体29は、基礎または基部59を有しており、基礎59には、図6では実質的に鉛直方向Vに向けられた複数の圧縮空気通路61,63が通っており、圧縮空気源または圧縮空気発生器(図示せず)に接続している。圧縮空気通路61,63は、基礎59の上面を形成する端面65にまで開口している。基礎59の上側には、受容部55を部分的に画定するカバー部分67が位置している。カバー部分67は、水平方向に向けられた2つの圧縮空気通路71,69が形成され、各圧縮空気通路71,69に鉛直方向の圧縮空気通路61,63が開口した状態で、基部59に載置されている。側方においても、水平方向の圧縮空気通路69,71は栓73,75により、特に流体密に閉じられている。ケーシング部分67は、その設備上面に形成された凹部を有しており、凹部が、受容部55を部分的に成形している。受容部55には、中空円筒状で回転対称のガラス管素材3が受容されかつ支承されている。受容部55はその横断面において、ガラス管素材の外周面に部分的に形状を適合させられている。ケーシング67は、受容部55を実質的に横方向両側に対して画定しておりかつ実質的に中央の凹部76を有しており、凹部76は受容部55内に開口しており、受容部55内には、受容底部77を形成するインサート79が挿入されている。インサート79はさらに、基部59内の中央の凹部81にも受容されている。
【0056】
空気式支承体29の機能形式に関して重要なのは、圧縮空気通路61,63,71,69を介して、圧縮空気源(図示せず)と受容部55との間に流体接続を形成することである。両側に対して、つまり各圧縮空気通路69,71に対応して実質的に鉛直方向に向けられた空隙83,85が形成されるように、インサート79には切欠きが形成されている。圧縮空気は圧縮空気通路を介して空隙83,85を経て、受容部55にまで到達し得る。つまり、ケーシングカバー部分67はインサート79に対して所定の間隔をあけて配置されている。空隙83,85は、最終的にベルヌーイ効果を担う一種のノズル効果を生ぜしめるために、受容部55に向かって徐々に先細になっており、これにより、ガラス管素材3に対する支承力および/または保持力を生ぜしめることができるようになっている。
【0057】
図7に関連して、受容部55が詳細に示されている。ケーシング部分67は、受容部55を画定する2つの側方の受容側面87,89を形成していることが認められ、受容側面87,89は、実質的に少なくとも部分的に凹状に湾曲させられている。インサート79により形成されている、やはり凹状に湾曲した受容底部77と共に、実質的にガラス管素材3の外周面に適合させられた受容部55が形成されており、この場合、ガラス管素材3と受容部の壁77,87,89との間には連続した間隔が存在する、ということが保証されている。ガラス管素材3を非接触式に支承するために、ガラス管素材3と受容部の壁との間に空気膜を生ぜしめる圧縮空気流は、符号91を有する矢印により示唆されている。受容底部77とガラス管素材3との間に設定され、空隙93を規定する間隔、特に鉛直方向間隔は、0.05mm~0.5mmの範囲内にあり、特に約0.2mmである。回転軸線方向Rに見ると、ガラス管素材3と受容側面87,89との間には、約0.05mm~0.15mm、例えば0.09mmの、実質的に均一な間隔またはギャップが生じている。本発明による、ガラス容器を製造する設備において、これらの空隙は有利であるということが判った。例えば、圧縮空気源から供給された、1bar~4barの範囲内の圧縮空気が存在している。
【0058】
上述した説明、図面および請求項において開示された各特徴は、個別でも、任意の組合せにおいても、本発明を様々な構成において実現するために重要であり得る。
【符号の説明】
【0059】
1 設備
3 ガラス管素材
5 架台
7,9,11 支柱
13 チャック
15 緊締装置
17 送り装置
19 リニアガイド
21 レール
23 ガイドキャリッジ
25 駆動キャリッジ
27 切断装置
29 空気式支承体
31 回転運動
33 COレーザー
35 エネルギー源
37 レーザー源
39 ミラー装置
41 レーザー光線
43 冷却装置
45 冷却流体流
47 局所的な切断箇所
49 傷付けホイール
51 外周面
53 台
55 受容部
57 ケーシング
59 基部
61,63,71,69 圧縮空気通路
65 上面の端面
67 カバーケーシング部分
73,75 栓
77 受容底部
79 インサート
81 凹部
76 凹部
83,85,93 空隙
87,89 受容側面
91 圧縮空気流
93 空隙
200 従来技術による管カッター
201 ガラス管素材
203 コレットチャック
205 位置決めステーション
206 切断過程
207,209,211 ストッパ板
213 ガラス容器
215 傷付け装置
217 加熱装置
219 冷却装置
221 加熱装置
223 溶融装置
A~K 従来技術による管カッターのステーション
B~D 位置決めステーション
E~J 切断過程
V 鉛直方向
H 水平方向
R 回転方向
a 並進移動
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7