(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-07
(45)【発行日】2024-08-16
(54)【発明の名称】電池システムのための方向性のある通気カバー
(51)【国際特許分類】
H01M 50/367 20210101AFI20240808BHJP
H01M 50/35 20210101ALI20240808BHJP
H01M 50/289 20210101ALN20240808BHJP
H01M 50/507 20210101ALN20240808BHJP
H01M 50/55 20210101ALN20240808BHJP
【FI】
H01M50/367
H01M50/35 101
H01M50/289
H01M50/507
H01M50/55 201
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021205756
(22)【出願日】2021-12-20
【審査請求日】2021-12-21
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520490406
【氏名又は名称】リヴィアン アイピー ホールディングス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100141025
【氏名又は名称】阿久津 勝久
(72)【発明者】
【氏名】グラハム ロイド フェルサム
(72)【発明者】
【氏名】トラビス クーノイヤー
(72)【発明者】
【氏名】ロレンゾ クロサッティ
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105027323(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0119298(US,A1)
【文献】特開2013-197019(JP,A)
【文献】特開2018-073559(JP,A)
【文献】特開2012-204193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/30-50/392
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池システムであって、
少なくとも1つの電池セルであって、ガスが前記電池セルから放出されることを可能にするために、第1の端部上に通気孔を備える少なくとも1つの電池セルと、
前記第1の端部に隣接するタッチカバーであって、前記タッチカバーが少なくとも1つの開口部を備え、前記少なくとも1つの開口部が前記少なくとも1つの電池セルの前記通気孔から放出された前記ガスを、所定の方向に誘導するように構成され、前記所定の方向は、前記少なくとも1つの電池セルの前記通気孔から放出されたガス流の方向とは異なっている、タッチカバーと、
を備え、
前記ガスは、外側筐体の内面に沿って通気ポートに向かって前記所定の方向に流される、電池システム。
【請求項2】
前記タッチカバーが複数のルーバを備え、前記複数のルーバが、前記所定の方向を熱活性化モジュール隔室隔離板に向かって向け、前記通気ポートに向かってガス流を誘導する、請求項1に記載の電池システム。
【請求項3】
前記タッチカバーが平坦な材料シートを備え、
前記少なくとも1つの開口部が、前記平坦な材料シートの上に隆起し、かつ前記所定の方向に向けられた複数のルーバを備える、請求項1に記載の電池システム。
【請求項4】
前記複数のルーバが、複数のルーバストリップを備え、前記複数のルーバストリップは、前記少なくとも1つの電池セルの前記通気孔に対応する第1の方向から、前記所定の方向に空気流を誘導するように構成される、請求項3に記載の電池システム。
【請求項5】
前記複数のルーバが、ルーバの配列を備え、前記ルーバの配列は、前記少なくとも1つの電池セルの前記通気孔に対応する第1の方向から、前記所定の方向への空気流を誘導するように構成される、請求項3に記載の電池システム。
【請求項6】
各ルーバが、前記複数の電池セルのうちの1つ以上のそれぞれの電池セルと位置合わせされている、請求項5に記載の電池システム。
【請求項7】
前記電池システムが、前記複数の電池セルのサブセットを並列に電気的に結合し、かつ前記サブセットを直列に結合するキャリアアセンブリを更に備え、
前記キャリアアセンブリが、前記複数の電池セルを整列して配置し、前記キャリアアセンブリが、複数のバスバーを備え、
前記キャリアアセンブリが、当該キャリアアセンブリを通過して前記ガスを流すことを可能にするために、前記複数の通気孔に対応する複数の貫通機構を備える、請求項1に記載の電池システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの開口部が、複数の開口特徴部であり、
前記複数の開口特徴部が、複数の領域を画定する平坦な材料シート内に複数の起伏部を備え、
前記複数の領域が、前記平坦なシートから部分的に離脱し、圧力下で偏向して、前記ガスが第2の方向に流れるように誘導するように構成されている、請求項1に記載の電池システム。
【請求項9】
前記複数の電池セルの各電池セルが、前記複数の通気孔のうちの少なくとも1つの通気孔を備え、
前記複数の電池セルの各電池セルが、前記第1の端部に配置された端子を備える、請求項1に記載の電池システム。
【請求項10】
電池モジュールシステムであって、
少なくとも1つの電池セルであって、ガスが前記電池セルから放出されることを可能にするために、第1の端部上に通気孔を備える、少なくとも1つの電池セルと、
タッチカバーであって、前記タッチカバーが少なくとも1つの開口部を備え、前記少なくとも1つの開口部が前記少なくとも1つの電池セルの前記通気孔から放出された前記ガスを、所定の方向に誘導するように構成され、前記所定の方向は、前記少なくとも1つの電池セルの前記通気孔から放出されたガス流の方向とは異なっている、タッチカバーと、
外側筐体の通気ポートと、
を備え、
前記ガスは、前記外側筐体の内面に沿って前記通気ポートに向かって前記所定の方向に流される、電池モジュールシステム。
【請求項11】
前記タッチカバーが平坦な材料シートを備え、
前記少なくとも1つの開口部が、流路に沿って前記通気ポートに向かって前記放出されたガスを誘導する前記平坦な材料シートの上に隆起した少なくとも1つのルーバを備える、請求項10に記載の電池システム。
【請求項12】
前記複数の電池セルの各電池セルが、前記複数の通気孔のうちの少なくとも1つの通気孔を備え、前記電池モジュール
システムが、前記少なくとも1つの電池セルをアレイ状に配置するキャリアアセンブリを更に備え、前記キャリアアセンブリが、
複数のバスバーと、
前記キャリアアセンブリを通過して前記ガスを流すことを可能にするために、前記複数の通気孔に対応する複数の貫通機構と、を備える、請求項10に記載の電池システム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの開口部が、複数の開口特徴部であり、
前記複数の開口特徴部が、複数のタブを画定する平坦な材料シート内に複数の部分的な切り抜き部を備え、
前記複数のタブが、圧力下で偏向して、前記ガスが前記通気ポートの方向に流れるように誘導するように構成されている、請求項10に記載の電池システム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの開口部が、複数の開口部であり、
前記複数の開口部が、複数の領域を画定する平坦な材料シートに、複数の部分的な起伏部を備え、
前記複数の領域が、前記平坦なシートから部分的に離脱し、圧力下で偏向して、前記ガスが前記通気ポートの方向に流れるように誘導するように構成されている、請求項10に記載の電池システム。
【請求項15】
前記複数の電池セルの各電池セルが、前記電池セルの第1の端部に配置された少なくとも1つの通気孔を備え、
前記複数の電池セルの各電池セルが、前記第1の端部に配置された端子を備える、請求項10に記載の電池システム。
【請求項16】
方法であって、
平坦なシートとして材料を提供することと、
前記材料でカバーを形成することと、
複数の開口部に対応する前記カバーにパターンを適用することと、
適用された前記パターンに基づいて前記カバー内に前記複数の開口部を形成することとを含み、各開口部が、各電池セルから放出された高温ガスを所定の方向に誘導するように構成されている、方法。
【請求項17】
前記複数の開口部が、空気流を所定の方向に誘導するように構成された複数のルーバを備え、前記複数の開口部を形成することが、前記カバー材料を押圧して前記複数のルーバを形成することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
複数の電池セルを備える電池モジュール上に前記カバーを配置して、前記複数の電池セルから放出されたガスを誘導すること、を更に含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通気孔を有する電池システム用のカバー、より具体的には、高温の流体を電池セル又は電池システムの他の構成要素から遠ざけるように誘導するカバーを対象とする。
【発明の概要】
【0002】
いくつかの実施形態では、電池システムの電池セルの電池通気孔から逃げるガスは、例えば、電池セルが加熱されるときに上方向に誘導される。電池セルの上に配置されたカバーの開口部は、ガスを上向き方向から所定の方向に、かつ隣接する電池セルから離れて誘導する。所定の方向は、繊細な構成要素、又は他の好適な流れ先から離れて、プレナムに向かって、側面の通気ポートに向かって向けられる。
【0003】
いくつかの実施形態では、本開示は、少なくとも1つの電池セル、場合によってはキャリアアセンブリ、及びタッチカバーを含む電池システムを対象とする。電池セルは、電池セルからガスが放出されることを可能にするために、セルの上端部又は側面などのセルの第1の端部上に通気孔を含み得る。いくつかの例では、セルの第1の端部上に複数の通気孔を含み得、各々が第1の方向に向けられる配列で位置付けられた、複数の電池セルが存在し得る。キャリアアセンブリは、複数の電池セルのサブセットを並列に電気的に結合し、かつサブセットを直列に結合することができる。タッチカバーは、セルの第1の端部の上及び/又はそれに隣接して配置され得る。タッチカバーは、電池セルの通気孔から放出されたガスを第1の方向とは異なり得る所定の方向に誘導するように構成された少なくとも1つの開口部を含み得る。いくつかの例では、タッチカバーは、他の可能性の中でも、ガス、空気、及び/又はそれらの組み合わせを、複数の電池セル及び/又は1つ以上のセルの第1の端部から離れるよう誘導するように構成された複数の開口部を含む。複数の開口部及び/又は機構は、第1の方向に直交する、垂直である、及び/又は角度付けられたなどの、第1の所定の方向とは異なる第2の所定の方向にガスを誘導し得る。いくつかの実施形態では、電池システムは、電池セル及び/又は複数の電池セル、キャリアアセンブリ、及びタッチカバーの周りに配置された外側筐体を含む。いくつかのそのような実施形態では、通気ポートは、外側筐体の壁に配置されている。
【0004】
いくつかの実施形態では、開口部及び/又は複数の開口部は、ガス、空気、及び/又はそれらの組み合わせを、外側筐体の内面に沿って、通気ポートに向かって流れるように誘導/方向を変えるように構成されている。いくつかの実施形態では、例えば、所定の方向が、熱活性化モジュール隔室隔離板に向かって向けられ、通気ポートに向かってガス流を誘導する。熱活性化モジュール隔室隔離板(「障壁」とも称される)は、隣接する電池モジュール(例えば、類似の様式ですべての電池モジュール)の間に配置され得、電池セルによって生成され、開口特徴部を通して(例えば、対流を介して)伝達された熱は、モジュール隔室間の流れを防止するために障壁を作動する。
【0005】
いくつかの実施形態では、タッチカバーは、平坦な材料シートを含み、開口部及び/又は複数の開口部は、第2の方向に放出されたガスを誘導するために、平坦な材料シートの上に隆起した複数のルーバを含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、複数のルーバは、複数のルーバストリップを含む。いくつかの実施形態では、複数のルーバは、ルーバのアレイを備える。いくつかの実施形態では、各ルーバは、複数の電池セルの1つ以上のそれぞれの電池セルに位置合わせされている。
【0007】
いくつかの実施形態では、キャリアアセンブリは、複数の電池セルをアレイ状に配置し、複数のバスバーを含む。いくつかのそのような実施形態では、キャリアアセンブリは、ガス又は空気がキャリアアセンブリを通過して流れることを可能にするために、複数の通気孔に対応する複数の貫通機構を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、タッチカバーは、平坦な材料シートを含み、複数の開口特徴部は、複数の領域又はタブを画定する平坦な材料シートにおける複数の起伏部(レリーフ)(例えば、部分的な切り抜き部、薄化された材料を含む部分的な起伏部、又はそれらの組み合わせ)を含み、複数の領域又はタブは、圧力下で偏向し、ガスが第2の方向に流れるように誘導するように構成される。例示すると、いくつかの実施形態では、タッチカバーは、平坦な材料シートを含み、複数の開口特徴部は、複数の領域を画定する平坦な材料シートにおける複数の部分的な起伏部を含み、複数の領域は、平坦なシートから部分的に離脱し、圧力下で偏向してガスが第2の方向に流れるように誘導するように構成されている。
【0009】
いくつかの実施形態では、複数の電池セルの各電池セルは、複数の通気孔の少なくとも1つの通気孔を含み、複数の電池セルの各電池セルは、第1の端部に配置された端子を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、本開示は、複数の電池モジュール、外側筐体、及び通気ポートを場合によっては含む、電池モジュールシステムを対象とする。各電池モジュールは、複数の電池セル及びタッチカバーを含む。電池セルのうちの1つ以上は、電池セルからガスが放出されることを可能にする通気孔を含み得る。タッチカバーは、少なくとも1つの開口部及び/又はそれぞれの複数の開口部を含む。外側筐体は、複数の電池モジュールを収容するように構成されている。通気ポートは、外側筐体の壁に配置され得、少なくとも1つの開口部は、1つ以上の電池セルから放出されたガスを通気ポートに向けて誘導する。各それぞれのタッチカバーの複数の開口特徴部は、それぞれの複数の電池セルから離れて、空気流又はガスを通気ポートに向けて誘導するように構成されている。
【0011】
いくつかの実施形態では、各それぞれのタッチカバーは、平坦な材料シートを含み、少なくとも1つの開口部及び/又は複数の開口部は、放出されたガスを通気ポートに向けて、場合によっては上述の第1の方向とは異なる第2の方向に誘導するために、平坦な材料シートの上に隆起した少なくとも1つのルーバ及び/又は複数のルーバを含む。いくつかの実施形態では、複数のルーバは、複数のルーバストリップを含む。いくつかの実施形態では、複数のルーバは、ルーバのアレイを含む。例示すると、ルーバのアレイ又は複数のルーバストリップが、少なくとも1つの電池セルの通気孔に対応する第1の方向から所定の方向に空気流を誘導するように構成されている。
【0012】
いくつかの実施形態では、各ルーバは、複数の電池セルの1つ以上のそれぞれの電池セルに位置合わせされている。
【0013】
いくつかの実施形態では、複数の電池セルの各電池セルは、複数の通気孔の少なくとも1つの通気孔を含む。いくつかの実施形態では、各電池モジュールは、複数の電池セルをアレイ状に配置するキャリアアセンブリを含む。キャリアアセンブリは、複数のバスバーと、キャリアアセンブリを通過してガスが流れることを可能にするために、複数の通気孔に対応する複数の貫通機構と、を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、各それぞれのタッチカバーは、平坦な材料シートを含み、
各それぞれの複数の開口特徴部は、複数のタブを画定する平坦な材料シートに複数の部分切り抜き部を含み、複数のタブは、圧力下で偏向し、ガスが第2の方向に流れるように誘導するように構成されている。
【0015】
例示すると、いくつかの実施形態では、各それぞれのタッチカバーは、平坦な材料シートを含み、各それぞれの複数の開口特徴部は、複数の領域を画定する平坦な材料シートにおける複数の部分的な起伏部を含み、複数の領域は、平坦なシートから部分的に離脱し、圧力下で偏向してガスが第2の方向に流れるように誘導するように構成されている。
【0016】
いくつかの実施形態では、複数の電池セルの各電池セルは、電池セルの第1の端部に配置された少なくとも1つの通気孔を含み、複数の電池セルの各電池セルは、第1の端部に配置された端子を含む。いくつかの実施形態では、放出されたガスを所定の方向に誘導するために、1つ以上の開口部を形成する方法が提供される。この方法は、平坦なシートとして材料を提供することと、その材料でカバーを形成することと、を含み得る。更に、この方法は、カバーにパターン(形状)を適用することを含み得、このパターンは、複数の開口部に対応し得る。更に、この方法は、適用されたパターンに基づいてカバー内の複数の開口部を形成することを含み得、各開口部は、1つ以上の電池セルから放出されたガスを所定の方向に誘導する。
【0017】
本開示を、1つ以上の様々な実施形態に従って、以下の図を参照して詳細に説明する。図面は、例示のみを目的として提供され、単に典型的又は例示的な実施形態を示す。これらの図面は、本明細書に開示される概念の理解を容易にするために提供され、これらの概念の広さ、範囲、又は適用性を限定するものと見なされるべきではない。明確にするために、また、説明を容易にするために、これらの図面は必ずしも縮尺どおりに作製されていないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態に係る、例示的な電池システムの上面図、及び1つのモジュールの拡大図を示す。
【0019】
【
図2】本開示のいくつかの実施形態に係る、熱事象を受ける、例示的な電池モジュールの一部の断面側面図と、拡大した部分図を示す。
【0020】
【
図3】本開示のいくつかの実施形態に係る、熱事象を受ける、開口特徴部を有する例示的な電池システムの一部の断面側面図を示す。
【0021】
【
図4】本開示のいくつかの実施形態に係る、熱事象を受ける、別の例示的な電池システムの一部の断面側面図を示す。
【0022】
【
図5】本開示のいくつかの実施形態に係る、熱事象を受ける、複数の電池セルの斜視図を示す。
【0023】
【
図6】本開示のいくつかの実施形態に係る、2つ以上の電池モジュールを有する例示的な電池システムの断面側面図を示す。
【0024】
【
図7】本開示のいくつかの実施形態に係る、開口特徴部の列を有する例示的なカバーの斜視上面図を示す。
【0025】
【
図8】本開示のいくつかの実施形態に係る、開口特徴部の配列(アレイ)を有する例示的なカバーの斜視上面図を示す。
【0026】
【
図9】本開示のいくつかの実施形態に係る、開口特徴部のパターンを有するカバーを含む例示的な電池システムの斜視上面図を示す。
【0027】
【
図10】本開示のいくつかの実施形態に係る、カバーを有する電池システムを製造するための例示的なプロセスのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本開示は、電池システム筐体内の流れを管理するためのシステム及び方法を対象とする。1つ以上の電池セルが熱暴走を起こす、電池セルの熱事象が起きた場合、例えば、セルは、高温の排気ガス又は空気を排出し得る。いくつかの実施形態では、電池セルは円筒形であり、(例えば、電気端子が同心円状に配置され得る)第1の上端部から軸線方向に、開口部又は他の通気機構を介して、電池セルからガスが放出されるのを可能にするように通気する。いくつかの状況によっては、モジュール設計、電池筐体、又は他の設計要因に起因して、この排気ガスの通気経路は制限される。いくつかの実施形態では、本開示は、1つ以上の電池モジュールの上部上に、及び/又は電池セル(例えば、複数の電池モジュールの各電池モジュール)の第1の上端部に隣接して、設置された「タッチカバー」を対象とする。タッチカバーは、例えば、電池モジュールの製造及び取り扱いの衝撃の危険性を低減するために、例えば、周辺環境と電池セルの上部との間の非導電性障壁として作用することを含むいくつかの機能を有する。例示すると、いくつかの例では、タッチカバーの目的は、潜在的な熱事象が隣接するセル又はモジュールに伝播するリスクを低減又は別様に緩和することである。いくつかの実施形態では、タッチカバーは薄い(例えば、約0.5mmの厚さ)が、セルの熱暴走通気の際に排気ガスに対する有意な流れ障壁として依然として作用する。いくつかの状況では、例えば開口部がない場合、タッチカバーは、最初に排気ガスを含み、(例えば、不均一な方法で)融解する前に、隣接するセルに影響を与える可能性がある。本開示のタッチカバーは、通気された空気及びガスを通気セルから排出することを可能にする一方で、隣接セル及び熱加熱による汚染を防止又は別様に制限する。具体的には、タッチカバーは、電池セルの1つ以上の通気孔から放出されたガスを誘導するように構成された1つ以上の開口部を含み得、開口部は、放出されたガスを所定の方向に誘導する。加えて、いくつかの実施形態では、タッチカバーは、物理的な非導電性障壁として機能する(例えば、タッチカバーの外側からの電池セルの接触を防止する)。本開示のタッチカバーは、コストを削減し、複雑さを低減し、車両性能を改善し、電池性能を改善する、又はそれらの組み合わせの一助となり得る。
【0029】
図1は、本開示のいくつかの実施形態に係る、例示的な電池システム100の上面図、及び1つのモジュールの拡大図を示す。図示されるように、電池システム100は、電子機器109、通気ポート110及び111、筐体120、任意選択の障壁112、及び電池モジュール101~108を含み、それらの各々は、複数の電池セルを含み得る。図示されるように、電池システム100は、直列、並列、又はそれらの組み合わせで電気的に結合され得る8つの電池モジュールを含む。いくつかの実施形態では、電池システム100は、例えば、車両の1つ以上の電気モータに電力を提供するために電気自動車に含まれる。電子機器109は、電力電子機器(接触器、リレー、スイッチ、トランジスタ、シャント)、DCバス管理回路、制御回路、センサ、及びセンサインターフェース、任意の他の好適な構成要素若しくは回路、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。例示すると、電池モジュール101~108は、電子機器109を使用して(例えば、付属機器及び/又は1つ以上の電気モータに)管理及び分散され得るDCバス全体のDC電圧を維持するように電気的に結合され得る。いくつかの実施形態では、電子機器109は制御回路を含み得るため、電子機器109から空気及び/又はガスを通気することが望ましい場合がある。例えば、通気ガス及び/又は空気からの熱伝達により、電池システム100の構成要素内で望ましくない温度上昇を防止するために、筐体120内の通気ポート110及び111に空気及び/又はガスを通気することが望ましい場合がある。したがって、1つ以上の電池モジュール101~108から放出されたガスは、ガスを所定の方向に誘導するために通気孔及び/又は通気経路に誘導され得る。
【0030】
パネル150は、電池セル131、剪断壁132、キャリア133、冷却プレート134、及びカバー135を示す、電池モジュール108の拡大図を示す。例示すると、電池モジュール108は、電池モジュール101~107と類似又は同一であり得る。電池セル131の各々は、平板状、角柱状、又は円筒状であってもよく、一方の端部に、又は対向する端部に(例えば、オフセット又は同心状に配置される)電気系端子を含み得る。図示されるように、電池セル131は円筒形であり、上端部(例えば、冷却プレート134から離れてキャリア133に近接している)に電気端子を有するパターン内(例えば、六角形パターン)に配置されている。いくつかの実施形態では、キャリア133は、電池セル131のサブセット、他の電流コレクタ、又はそれらの組み合わせに電気的に結合された1つ以上の電流コレクタを含む。剪断壁132は、電池モジュール108に構造的支持を提供する。タッチカバーであるカバー135は、キャリア133上に配置されて、電池モジュール108の外側から電池セル131に機械的障壁を形成する。カバー135は、電池モジュール108の内部から放出されるガスを所定の方向に許容及び/又は誘導するための1つ以上の開口部を含み、ガスを電池モジュール108と筐体120との間の容積に逃がすことを可能にする。いくつかの実施形態では、カバー135の1つ以上の開口部は、電子機器109から離れている通気ガスを通気ポート110及び111のいずれか又は両方に誘導するように構成されている。図示されるように、電池モジュール101~108の各々は、電子機器109から離れて左に(例えば、
図1に矢印で示されている)流れを誘導するそれぞれのカバー(例えば、カバー135と類似のもの)を含み得る。開口部は、通気ガスがそれぞれのモジュールから出ることを可能にするように、上面(例えば、カバー135の)だけでなく、1つ以上の側面(例えば、剪断壁132で)に含まれ得る。いくつかの実施形態では、例えば、開口部は、カバー135内に形成されたルーバを含み得る。
図1の流れ方向を示す矢印は、任意の1つの電池モジュールからの通気流が、感熱性であり得る別の電池モジュール又は他の電池構成要素に沿って有意に流れないように、電池システムの側面の外側に誘導される通気流を示している。したがって、電池モジュールの各々は、流れを外側に誘導するように構成されたカバーを含み、通気流全体は、通気ポートへの流路に沿って流れる。例示すると、電池システム100の電池セルは、第1の方向に流れを誘導する通気孔を含み、それぞれのカバー(例えば、カバー135)は、通気の流れを矢印で示す所定の方向(例えば、第1の方向とは異なる第2の方向)に方向を変えることができる。いくつかの実施形態では、
図1に示されるように、電池システム100は、クロスメンバ115を含み、これは、電池モジュールのペア(例えば、電池モジュール102及び106)を、互いから、他のモジュールから、又はその両方から少なくとも部分的に隔離することができる。実際の流れは、一般的に、各モジュールからパックの側面に誘導され(筐体120の側面に沿って)、この筐体120は、ガスがパックの側壁の内部空洞を通って背面の通気ポート110及び111に向かって移動することを可能にする開口部を各側面に有する。したがって、流路は、1つ以上のモジュールのうちの1つ以上の電池セルの通気孔から外側に方向が変えられ、次いで通気ポート110及び111に方向が変えられる。例示すると、この流路は、通気ポート111を介して排出のために後部に向かう途中で電池モジュール105~107を別様に横切ってしまうような電池モジュール108からの通気流を防止するか、別様に低減させる。
【0031】
いくつかの実施形態では、障壁112(本明細書では「熱活性化モジュール隔室隔離板」又は「熱障壁」とも称される)は、隣接する電池モジュール間(例えば、電池モジュール101と102の間、及び電池モジュール間の他のあらゆるインターフェース)の熱活性化ストリップを含む。いくつかの実施形態では、障壁は、通気又は流れを可能にするが、(例えば、所定の温度まで)加熱されると、障壁112が作動し、電池システム100の区画間(例えば、図示されているように、クロスメンバ115によって分割された)の流れを遮断する。いくつかの実施形態では、例えば、電池システムは、任意の好適な数の障壁(例えば、ゼロ、1つ、又は少なくとも1つ、又は2つ以上)を含み得、これは、クロスメンバ115のクロスメンバの片側又は両側に配置され得る。いくつかの実施形態では、障壁112は、電池システムに含まれる必要はない。含まれる場合、いくつかの実施形態では、障壁112は、通気ポート110及び111に向かって所定の方向又は経路に沿って、
図1に示される方向矢印に沿って通気ガスを誘導する。
【0032】
いくつかの実施形態では、電池モジュール101~108のカバー内の1つ以上の開口部(例えば、ルーバ)は、高温ガスを空気抽出デバイスに向けて誘導するように向けられ得、ガスを繊細な構成要素(例えば、冷却ライン、電子ボード、又は他の好適な構成要素)、又はそれらの組み合わせから離れる方向に誘導する。例えば、構成要素は、電池パック(例えば、電池システム100)の中心にある電池モジュール101~104及び105~108のセットの間に(例えば、電池システム100の長さに沿って)配置され得、1つ以上の開口部は、中心から離れた場所にガスを誘導することができる。更なる例では、1つ以上の開口部は、通気ガスが繊細な構成要素から離れるように(例えば、通気ポートへのより直接的な経路よりも優先的に)、又は別様に優先的に構成され得、他の場合では、1つ以上の開口部は、通気ガスを通気ポート110及び111に向けて誘導するように、又は別様に優先的に構成され得る。
【0033】
図2は、本開示のいくつかの実施形態に係る、熱事象を受ける例示的な電池システム200の断面側面図と、拡大した部分
図290を示す。電池モジュール200は、図示されているように、電池セル201、202、203、及び204、貫通機構211(例えば、任意の好適な形状の穴)を有するキャリア210、及びカバー220を含み、電池モジュール200は、任意の他の好適な構成要素(
図2では、明確にするために省略されている)を含み得ることが理解されるであろう。図示されるように、電池セル201~204の各々は、1つ以上の通気孔及び電気端子が配置される第1の端部(例えば、図示するように、第1の上端部)に領域(例えば、電池セル201について示される領域299)を含む。例示すると、電池モジュール200は、
図1の電池モジュール101~108のいずれかに対応し得る。図示されるように、電池セル201は、カバー220内の内部容積に広がる可能性のある、高温の排出された空気及び/又はガス(例えば、領域230で示される)などの、熱事象を受けている。したがって、通気ガスは、電池セル201に隣接する電池セル202及び203を加熱し、及び電池セル204の可能な一部を加熱し得る。カバー220が通気するように構成されていない場合、電池セル202~204の温度上昇は、カバー220が、通気ガスをカバー220の外側に流れることを可能にするように構成された開口部を含む場合よりも相対的に増加し得る。したがって、電池セル201~204から放出されたガスは第1の上端部に設けられた1つ以上の通気孔から放出され、ガスを換気するために所定の方向に誘導され得る。いくつかの実施形態では、貫通機構211は、電池セル(例えば、電池セル201~204)の複数の通気孔に対応し、ガスがキャリアアセンブリ(例えば、キャリア210)を通過して流れることを可能にする。領域290は、電池セル201~204の第1の端部とインターフェースする(例えば、位置合わせを提供するためであり、電気接続及び通気のための貫通機構211を含む)キャリア210をより明確に例示するために拡大されている。
【0034】
図3は、本開示のいくつかの実施形態に係る、熱事象を受ける、開口特徴部を有する例示的な電池システム300の一部の断面側面図を示す。図示されているように、電池システム300は、電池セル(例えば、そのうちの電池セル301が示されている)、キャリア310(例えば、そのうちの分割器313が示されている分割器を有する)、開口部(例えば、そのうちの開口部312が示されている)を有するカバー311、及び筐体330を含む。キャリア310は、電池セルが配置される開口部を含み、各電池セルの上部は、カバー311に対して開放されている(例えば、このため、通気孔及び電気端子はキャリア310によって覆われていない)。図示されるように、電池セル301は、熱事象を受けており、加熱領域350及び加熱領域351を生成する。例えば、電池セル301から高温のガスが排出され得、これにより、加熱領域350において対応する温度上昇が生じる。通気されたガスは、電池セル301の上方の開口部312を通って、カバー311と筐体330との間の容積に流れ、図示されているように右方向に誘導される。開口部312は、空気の流れ又は放出/通気されたガスの流れを所定の/所望の方向(例えば、図示されているように右方向)に誘導するので、領域351が、開口部が存在しない場合に達するであろう高い温度に達することを防止することができる。したがって、領域351は、領域350よりも相対的に低い温度を示し得、電池セル301に隣接する対応する電池セルは、それほど加熱されず、それほど高い温度に達しない。開口部は、他の電池セルが共に過熱するのを防止し得、隣接する電池セルへの熱伝達率を低減し得(例えば、ガスから電池セルへの熱伝達係数を低減する)、又はそれらの組み合わせであり得る。分割器はまた、開口部312を通って、カバー311と筐体330との間に流れる通気ガスの逆流を防止するか、別様に低減する。図示されるように、カバー311は、開口部を形成するルーバを含み、通気されたガスをカバー311の内部から逃がすのを可能にしながら、外部からカバー311の内部にアクセスするための障壁を提供する(例えば、タッチカバーとして機能する)。
【0035】
図4は、本開示のいくつかの実施形態に係る、熱事象を受ける、開口部を有する例示的な電池システム400の一部の断面側面図を示す。図示されるように、電池システム400は、電池セル401~408と、開口部(例えば、そのうち開口部412が示される)を有するカバー411と、を含む。
図4には示されていないが、電池システム400は、キャリア、筐体、任意の他の好適な構成要素、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。例示すると、電池システム400は、分割器を含む必要はない(例えば、いくつかの実施形態では、電池システムは、分割器を含まない)。図示されるように、電池セル401は、熱事象を受けており、加熱領域450を生成する。例えば、電池セル401から高温のガスが排出され得(例えば、
図4の矢印で示される)、これにより、加熱領域450において対応する温度上昇が生じる。通気されたガスは、電池セル401の上方の開口部を通って、カバー411と、上述した筐体330などの、筐体との間の容積に流れ、図示されているように右方向に誘導される。開口部は、通気された/放出されたガスの流れを所定の/所望の方向(例えば、図示されているように右方向)に向けるので、他の電池セルが、開口部が存在しない場合に達するであろう高い温度に達することを防止することができる。したがって、他の電池セル(例えば、電池セル402~408)は、電池セル401よりも比較的低い温度を示し得る。開口部412は、他の電池セル401~408が過熱するのを防止し得、隣接する電池セルへの熱伝達率を低減し得(例えば、ガスから電池セルへの熱伝達係数を低減する)、又はそれらの組み合わせであり得る。図示されるように、カバー411は、開口部を形成するルーバを含み、通気されたガスをカバー411の内部から逃がすのを可能にしながら、外部からカバー411の内部にアクセスするための障壁を提供する(例えば、タッチカバーとして機能する)。
【0036】
図5は、本開示のいくつかの実施形態に係る、熱事象を受ける、複数の電池セル500の斜視図を示す。より具体的には、電池セル501は熱事象を受けており、領域550が他の電池セル500の対応する領域よりも相対的に大きな温度に達する原因となっている。いくつかの状況では、本開示のカバーは、1つ以上の電池セルに対応する熱事象による他の電池セルの加熱を防止又は制限する。電池セル501の拡大図は、電気端子502、503、及び通気孔504を示す。例示すると、電気端子502及び503は、電気絶縁材料によって分離されて同心円状に配置されている。通気孔504は、上向きの3つの矢印によって示されるように、それぞれの方向にガスを誘導するように構成されている。通気孔504は、同じ方向又は類似の方向であり得るが、必ずしも同じである必要はなく、任意の好適な方向に流れを誘導することができる。例えば、通気孔504は、流れを上向きに、半径方向外向きに、周囲に沿って方位角方向に、又はそれらの組み合わせで誘導することができる。3つの通気孔504が
図5に示されているが、電池セルは、任意の好適な数の通気孔を含み得る。したがって、タッチカバーは、通気孔504から所定の方向に流れの方向を変えることができる。例えば、通気孔504は、垂直又はほぼ垂直である第1の方向に流れを誘導することができ、一方、タッチカバーは、流れを所定の方向(例えば、水平又は別様に第1の方向とは異なる)に誘導する開口特徴部を含み得る。
【0037】
図6は、本開示のいくつかの実施形態に係る、2つ以上の電池モジュールを有する例示的な電池システム600の断面側面図を示す。電池システム600は、各々が開口部を有するそれぞれのカバーを有する電池モジュール601~604を含む。開口部は、電池モジュール601~604の各々の電池セルからの通気流を所定の方向(例えば、通気ポートに向かって、かつ/又は電子機器若しくは他の構成要素から離れるように)に誘導するように構成されている。電池システムは、任意の好適なパターン又は非パターン配置に配置された単一の電池モジュール又は2つ以上の電池モジュールを含み得る。図示されるように、電池モジュール601及び602は、同じ方向に流れを誘導し、電池モジュール603及び604は、反対方向に流れを誘導する。
【0038】
図3、
図4、
図6のカバーは、1つ以上の通気ポート(ブリーザバルブなど)に向けて、繊細な電池内部から離れてガスを排出するために、通気されたガスの好ましい排出方向を形成するように構成されている。開口特徴部は、通気流の方向を変えて、通気ガスによる電池システムの構成要素への熱負荷を低減するように構成されている。更に、開口特徴部は、熱事象から生じる電池システムの燃焼時間を改善するのに役立ち得る。例示すると、開口特徴部は、方向性及び幾何学的形状に基づいて、電池セルから隣接する電池セルへの排気ガスを通気して、高温の再流入を最小限に抑えるか、又は別様に低減する。カバーはまた、タッチカバーとして機能し、電池モジュールの内部容積に機械的障壁を提供する。開口特徴部の方向性は、通気ガスの噴出の方向を変えさせ(例えば、回転させ)、電池システムの外部筐体への直接的な衝突を防止することができる。例えば、カバーは、通気ガスと外側筐体(例えば、電池パック蓋)との間の熱障壁(例えば、犠牲障壁)として機能し得る。いくつかの状況では、カバーは、電池システムの全体的な燃焼時間を増加させるのに役立ち得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、カバー(例えば、タッチカバー)は、電池蓋の燃焼時間を改善することができる犠牲障壁として作用するように構成されているか、又は、別様にそのように作用することができる。例示すると、電池セルが熱暴走を受け、(例えば、電池セルの1つ以上の通気孔から)高温ガスの形態でエネルギーを放出する場合、タッチカバーは、エネルギーを吸収するか、エネルギーの向き(例えば、他のセルとパックリッドの両方から遠ざけて)を変えるか、又はそれらの組み合わせを行うことができる。更に例示すると、タッチカバーが開口部(例えば、穴、ルーバ、又は任意の他の好適な開口特徴部)を含まない場合、タッチカバーへのエネルギー流入は大きくなり得るが、ガスは、タッチカバーの燃焼時間にわたって近接セルの非常に近くに含有されることになるであろう(例えば、熱は空間的に局在する)。エネルギー吸収(例えば、熱容量)は、材料選択、寸法(例えば、タッチカバーの厚さ)、相対距離、又はそれらの組み合わせによって調整され得る。状況によっては、タッチカバーのエネルギー吸収特性を調整して、含有ガスを有する隣接セルに悪影響を与えずに最大のエネルギー吸収を実現することが(例えば、製造、コスト、その他の要因により)不可能であり、又は好ましくない場合がある。いくつかの実施形態では、開口部(例えば、ルーバ)を含むことで、方向を変えることと吸収との間のバランスを調整(例えば、最適化又は別様での改善)可能にする。例えば、材料、厚さ、開口部の形状及びサイズ(例えば、ルーバの設計、サイズ、及び間隔)などの変数、又はそれらの組み合わせを選択して、最大又は別様に改善されたエネルギー吸収(例えば、犠牲的な方法で)を達成しながらも、高温の放出ガスを局所的に長く封じ込めることによって隣接する電池セルの熱事象を誘発しないように維持することができる(例えば、放出ガスからの熱の除去とタッチカバーへの熱の蓄積のバランスをとる)。
【0040】
図7~
図9は、電池モジュール(例えば、電池システムの)のカバーに例示的なルーバが付いた設計を示す。いくつかの実施形態では、空気流の有効開放エリア(例えば、多孔度)を増加させるために、パターン化された穴がカバーに含まれる。例えば、流動性能を改善し、タッチ障壁を維持するために、カバー(例えば、カバーが形成された材料シート)に三次元性を加えることによって、穴をルーバ状にすることができる。ルーバが付いた設計は、タッチカバー上のすべての穴が同一であり得るが、その必要性はない、好ましい流れの方向を作り出す。
【0041】
図7は、本開示のいくつかの実施形態に係る、開口特徴部702の列を有する例示的なカバー700の斜視上面図を示す。図示されるように、カバー700は、平坦であり、その中に開口特徴部702が形成されている構造体701を含む。開口特徴部702は、ルーバストリップ703(例えば、列状に配置されており、通気流(例えば、空気流又はガス流)を、第1の方向751(例えば、1つ以上の電池セルの通気孔に対応する)から第2の方向752(例えば、第1の方向751に対して垂直な方向として図示されているが、第2の方向は任意の好適な方向であってもよい)に誘導するように構成されている。いくつかの実施形態では、開口特徴部702の各開口特徴部は、通気流を異なる方向に誘導するように構成され得る。例えば、開口特徴部は、中心点から外に向かって(例えば、星型パターンで半径方向に外に向かって)、湾曲した経路に沿って(例えば、ルーバは、構造体701の表面を横切って連続的に角度付けられ得る)、複合的な方向に(例えば、各開口部は、経路に沿って、異なる方向に通気流の一部を誘導し得る)、他の任意の好適な流路に、又はそれらの任意の組み合わせで、通気流を誘導し得る。例示すると、開口特徴部702は、真っ直ぐな開口部として図示されているが、屈曲、湾曲、又は区分的に変化して、通気流を2つ以上の方向に誘導することができる。いくつかの実施形態では、電池モジュールの周縁に沿った開口特徴部(例えば、開口特徴部702)は、電池モジュール縁部に向かって角度付けて、高温の通気ガスを、電池蓋の下側で各電池モジュール隔室を他から分離する熱活性化熱障壁(例えば、
図1の障壁112)に向けて誘導し、熱暴走事象中のガス流を、そのガス経路を封止することによって所望の通気経路に向けて更に制限する。いくつかの実施形態では、開口特徴部702の各ルーバは、1つ以上の電池セルの列、又は別様に2つ以上の電池セル(例えば、電池セルのグループ)に対応する。例えば、電池システムは、各々が非整数の電池セルに対応するいくつかの開口特徴部を含み得る。例えば、カバーは、N個の開口特徴部及びM個の電池セルを含み得、ここで、N及びMは整数であり、NはMより多くても、少なくても、又は等しくてもよい。
【0042】
図8は、本開示のいくつかの実施形態に係る、開口特徴部802の配列(アレイ)を有する(例えば、ルーバ803の配列として示される)例示的なカバー800の斜視上面図を示す。図示されるように、カバー800は、平坦であり、その中に開口特徴部802が形成されている構造体801を含む。開口特徴部802は、ルーバストリップ803の配列(例えば、2次元のパターンで配置されている)として図示され、通気流(例えば、空気流又はガス流)を、第1の方向851(例えば、1つ以上の電池セルの通気孔に対応する)から第2の方向852(例えば、第1の方向851に対して垂直な方向として図示されているが、第2の方向は任意の好適な方向であってもよい)に誘導するように構成されている。いくつかの実施形態では、開口特徴部802の各開口特徴部は、通気流を異なる方向に誘導するように構成され得る。例えば、開口特徴部は、中心点から外に向かって(例えば、星型パターンで半径方向に外に向かって)、湾曲した経路に沿って(例えば、ルーバは、構造体801の表面を横切って連続的に角度付けられ得る)、他の任意の好適な流路に、又はそれらの任意の組み合わせで、通気流を誘導し得る。例示すると、開口特徴部802は、方向852に沿って誘導されるように図示されているが、向きを変えて、通気流を2つ以上の方向に誘導することができる。いくつかの実施形態では、開口特徴部802の各ルーバは、1つの電池セル、2つ以上の電池セル(例えば、電池セルのグループ)又は他の任意の好適な比率(例えば、M個の電池セルに対するN個の開口部の比率であり、ここで、NはMより多くても、少なくても、又は等しくてもよい)に対応する。いくつかの実施形態では、電池モジュール(例えば、開口特徴部802のサブセットである開口特徴部805)の周囲に沿った開口特徴部(例えば、開口特徴部802)が、カバー800の縁部(例えば、カバー800が取り付けられている電池モジュールの縁部)に向かって角度付け、熱活性化熱障壁(例えば、
図1の障壁112)に向かって高温通気ガスを誘導することにより、外側筐体内で各電池モジュールを互いに分離することができ、したがって、通気ガスを更に所定の方向に誘導することができる。
【0043】
図9は、本開示のいくつかの実施形態に係る、開口特徴部912のパターンを有する例示的なカバー910を含む例示的な電池システム900の斜視上面図を示す。図示されるように、電池システム900は、カバー910、側壁920、及び冷却プレート930を含む。図示されるように、カバー910は、平坦であり、その中に開口特徴部912が形成されている構造体911を含む。開口特徴部912は、2次元パターンで配置され、方向950に通気流を誘導するように構成されたルーバとして示されている。図示されるように、開口特徴部912の各開口特徴部は、電池セルに対応し、各開口部は、通気流を方向950に誘導するように構成されている。例えば、カバー910は、N個の開口特徴部912を含み、電池システム900は、M個の電池セルを含み、ここでは、NはMに等しい。
【0044】
図10は、本開示のいくつかの実施形態に係る、カバーを有する電池システムを製造するための例示的なプロセス1000のフローチャートを示す。例示すると、プロセス1000を使用して、
図1~
図9のカバーのいずれかを形成することができる。
【0045】
ステップ1002は、カバー材料を提供及び/又は受容することを含む。いくつかの実施形態では、ステップ1002は、バルク材料からカバー材料を形成することを含む。パネル1050に示されるように、カバー材料は、任意の好適なプロセスを使用して材料の一部から形成され得る。例えば、材料は、カバー材料を形成するために、打ち抜き、切断、機械加工、研磨、又は別様の方法で形状、組成、又はその両方を変更し得る。いくつかの実施形態では、カバー材料は、所望の全体的なサイズ、厚さ、組成、又はそれらの組み合わせを有する未完成部分に対応する。例えば、カバー材料は、電池モジュールのサイズに打ち抜かれ得、また、開口特徴部、他の機構(例えば、位置決め機構、取り付け機構、整列機構、シール機構)、又はそれらの組み合わせを形成するための追加の処理を受け得る。いくつかの実施形態では、ステップ1002は、ステップ1004の準備として、カバー材料を配置すること、処理すること、又はその両方を含む。バルク材料は、シート金属(例えば、シート鋼)、プラスチック、任意の他の好適な材料、又はそれらの任意の組み合わせ(例えば、複合材料)を含み得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、タッチカバーは、電気的に絶縁された金属材料(例えば、粉末コーティングされた鋼、陽極酸化アルミニウム)で作製されており、電池セルに接続された電気回路との干渉又は電池セルの端子との干渉を回避しながら、タッチカバーが熱事象中に早期に溶融しないことを保証することができる。いくつかの実施形態では、タッチカバーは、構造的完全性を溶融又は喪失する前に比較的高い温度に耐えることができる特定のポリマー、樹脂、鉱物、任意の他の好適な材料(例えば、ベークライト、雲母、シリコーン)、又はそれらの組み合わせで作製され得る。タッチカバーの厚さは、最大温度又は十分な温度及び火災への耐性の観点から、タッチカバーを形成するために使用される材料によって決定され得る。例えば、金属製のカバーにはより薄い厚さを使用し、プラスチック材料にはより厚い厚さを使用して、十分な時間(例えば、熱事象に対して少なくとも数秒)熱事象に耐えることができることを確実にし得る。
【0047】
ステップ1004は、カバー材料内の開口特徴部用のパターンを作成することを含む。いくつかの実施形態では、ステップ1004は、機械加工のためのコンピュータ制御された命令を実行するためにコンピュータメモリに格納されたパターンを含み得る。例えば、ステップ1004は、コンピュータ支援製造(computer-aided manufacturing、CAM)プロセスのための命令を生成すること、自動機械加工プロセスの命令を生成すること、テンプレートを生成すること、又はそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、ステップ1004は、パターン化されたダイを有するスタンプ又はプレスを適用して、カバー材料に機構を作成することを含む。パターンは、対称的であってもよいが、必ずしもそうである必要はない。例えば、パターンは、直線配列、六角形パターン、円形パターン、ランダム配置、任意の他の好適な配置、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。パネル1051に示されるように、パターンは、カバー材料の表面全体に配置されたルーバのパターンを含み得る。いくつかの実施形態では、ステップ1004は、打ち抜き、プレス、切断、機械加工、加工、エッチング、又は別様にカバー材料を変更することを含む。例えば、パターンは、ワイヤEDM、ウォータージェット切断、プラズマ切断、レーザ切断、機械加工(例えば、フライス加工又はドリル加工)、研磨、打ち抜き、任意の他の好適なプロセス、又はそれらの任意の組み合わせを使用して作成及び適用されて、貫通機構又は非貫通機構(例えば、ブラインド機構)を形成し得る。更なる例では、ステップ1004は、パターンに基づいてカバー材料を弱化、薄化、又は別様に変更して、離脱領域、貫通機構、又はその両方を形成することを含み得る。
【0048】
ステップ1006は、カバー材料を押圧して開口特徴部を形成することを含む。ステップ1006は、例えば、ダイを使用してカバー材料を打ち抜き又は押圧することを含み得る。いくつかの実施形態では、ステップ1006及びステップ1004は、パターンがカバー材料に押圧されるように組み合わされ得る。いくつかの実施形態では、ステップ1004は、切断のパターン又は他の処理を適用することを含み得、その後、ステップ1006は、(例えば、パネル1052に図示されているように)切断から方向性のある開口特徴部を形成するために押圧することを含む。いくつかの実施形態では、ステップ1006は、カバー材料を変形させて開口特徴部を形成することを含む。例えば、パネル1052に示されるように、ダイを使用して、湾曲したルーバを形成することができる。
【0049】
ステップ1008は、開口特徴部を形成するためのカバー材料の部分を曲げることを含む。ステップ1008は、例えば、ダイを使用してカバー材料を打ち抜き又は押圧することを含み得る。いくつかの実施形態では、ステップ1008及びステップ1004は、パターンがカバー材料に曲げられるように組み合わされ得る。いくつかの実施形態では、ステップ1004は、切断のパターン又は他の処理を適用することを含み得、その後、ステップ1008は、(例えば、パネル1053に図示されているように)切断から方向性のある開口特徴部を形成するために曲げることを含む。いくつかの実施形態では、ステップ1008は、カバー材料をヒンジ接合部で屈曲させて、開口特徴部を形成することを含む。例えば、パネル1053に示されるように、ダイを使用して、角度付けられた平坦なルーバを形成することができる。
【0050】
ステップ1010は、開口特徴部を形成するためのカバー材料の作動部分を含む。いくつかの実施形態では、ステップ1010は、設置前ではなく、熱事象中に実施される。例えば、起伏部のパターンは、任意の好適な技術を使用して、ステップ1004で形成され得、熱事象からの圧迫力(例えば、高温ガスの運動量から)は、熱事象の場所で開口特徴部を形成するために起伏部を強制的に開放し得る。ステップ1010は、例えば、ステップ1004のパターンに基づいてダイを使用してカバー材料を打ち抜き又は押圧することを含み得る。いくつかの実施形態では、ステップ1004は、切断のパターン又は他の処理を適用することを含み得、その後、ステップ1010は、(例えば、パネル1052に図示されているように)切断から方向性のある開口特徴部を形成するために作用することを含む。パネル1053に示されるように、開口特徴部は、任意の好適な形状であり得、任意の好適な方向に流れを誘導する/方向を変えるように構成され得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、プロセス1000を適用して、カバーにスリット穴を作り、角度付けられた翼部を形成する。例えば、これは、カバー内の空気流のためのより大きな開放エリアを作り出し、障壁を維持し、通気されたガスのために有利な方向をも作り出す。例示すると、ステップ1006、1008、及び1010を、代替的に、又は組み合わせて使用して、開口特徴部を形成することができる。例えば、プロセス1000は、ステップ1006、1008、1010、又はそれらの組み合わせを使用して適用され得る。電池モジュール用のカバーは、本開示による、プロセス1000の例示的なステップのうちのいずれか又はすべてを使用して形成され得る。いくつかの実施形態では、ステップ1008及び1010は、組み合わされ得るか、又は別様に共に実施され得る。例えば、複数の開口特徴部は、複数の領域又はタブを画定する平坦な材料シートに複数の起伏部(例えば、部分的な切り抜き部、部分的な起伏部、又はそれらの組み合わせ)を含み得、複数の領域又はタブは、カバー材料(例えば、平坦なシート)から部分的に離脱し、圧力下で偏向し、ガスが第2の方向に流れるように誘導するように構成されている。
【0052】
上記は、本開示の原理の単なる例示に過ぎず、本開示の範囲から逸脱することなく、当業者によって様々な修正を行うことができる。上述の実施形態は、例示の目的で提示され、限定するものではない。本開示はまた、本明細書に明示的に記載されるもの以外の多くの形態をとることもできる。したがって、本開示は、明示的に開示される方法、システム、及び装置に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲の趣旨内である、その変形及び修正を含むことが意図されることが強調される。