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特許7535494癌に対するマクロファージベースの養子細胞療法の有効性を改善するIL-31
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-07
(45)【発行日】2024-08-16
(54)【発明の名称】癌に対するマクロファージベースの養子細胞療法の有効性を改善するIL-31
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/10 20060101AFI20240808BHJP
   A61K 35/15 20150101ALI20240808BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240808BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20240808BHJP
   C12N 15/867 20060101ALI20240808BHJP
   C12N 15/24 20060101ALI20240808BHJP
   C07K 14/54 20060101ALI20240808BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240808BHJP
   C12N 5/0786 20100101ALI20240808BHJP
【FI】
C12N5/10
A61K35/15
A61P35/00
A61P35/04
C12N15/867 Z
C12N15/24 ZNA
C07K14/54
C07K19/00
C12N5/0786
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021502784
(86)(22)【出願日】2019-07-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 IL2019050810
(87)【国際公開番号】W WO2020016897
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-07-19
(31)【優先権主張番号】62/700,507
(32)【優先日】2018-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520466917
【氏名又は名称】オンコホスト リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ラスター,モリス シー.
【審査官】坂崎 恵美子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/019848(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/173812(WO,A1)
【文献】Frontiers in Bioscience,2008年,Vol.13,p.3494-3505
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 5/10
C12N 5/0786
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
DDBJ/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)配列番号1に記載の配列のヒトIL-31、または
(ii)配列番号1に記載の配列のヒトIL-31を含む融合タンパク質
を発現するように遺伝子改変されたマクロファージであって、前記融合タンパク質において、前記ヒトIL-31はIgGを含む免疫グロブリンアミノ酸配列に結合している、マクロファージ。
【請求項2】
ヒトIL-31を発現するように遺伝子改変されている、請求項1に記載のマクロファージ。
【請求項3】
請求項1に記載の遺伝子改変マクロファージをex vivoで調製する方法であって、ヒトIL-31、または前記融合タンパク質であって、前記IL-31がIgGを含む免疫グロブリンアミノ酸配列に結合している、前記融合タンパク質をコードする核酸配列を、単球、ナイーブマクロファージまたは抗腫瘍マクロファージから選択される細胞のex vivoの集団へ形質導入法によって導入することを含む、方法。
【請求項4】
ヒトIL-31をコードする前記核酸配列がレンチウイルス形質導入によってex vivoの前記細胞に導入される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
請求項1に記載の遺伝子改変マクロファージ、および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項6】
前記マクロファージが、ヒトIL-31を発現するように遺伝子改変されている、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
癌の治療における使用のための、請求項5または6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
マクロファージであって、
(i)配列番号1に記載の配列のヒトIL-31、または配列番号1に記載の配列のヒトIL-31を含む融合タンパク質であって、前記融合タンパク質において、前記ヒトIL-31がIgGを含む免疫グロブリンアミノ酸配列に結合している、融合タンパク質と、
(ii)キメラ抗原受容体(CAR)を発現する前記マクロファージが標的化エフェクタ活性を有するように、免疫エフェクタ細胞で発現するように設計されたCARであって、前記CARが細胞外抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインを含む、CARと、
の両方を発現するように遺伝子改変された、マクロファージ。
【請求項9】
請求項8に記載のマクロファージおよび薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項10】
癌の治療における使用のための、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記癌が、膀胱、脳、乳房、頸部、結腸、結腸直腸、神経膠芽腫、頭頸部、腎臓、肝臓、肺、黒色腫、卵巣、膵臓、下垂体、前立腺、直腸、肉腫腫瘍、皮膚、胃、精巣、甲状腺および子宮の癌を含む原発性または転移性固形腫瘍である、請求項7または10に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、癌治療の分野、特に養子細胞移植(ACT)免疫療法による癌の治療に関する。
【背景技術】
【0002】
癌免疫療法は、癌を治療するための免疫系の構成要素の使用を伴い、例えば免疫系の人工的な刺激によって癌と戦う免疫系の自然な能力を改善する。
【0003】
養子細胞移植療法(ACT)は、腫瘍細胞を根絶する免疫系の固有の能力を活用する有望なタイプの癌免疫療法を表している。ACTでは、免疫細胞が患者の腫瘍サンプルまたは末梢血から抽出され、ex vivoで増殖された、そして患者に再注入される。これらの免疫細胞は、腫瘍細胞を自然に根絶することができるか、または遺伝子組み換えもしくは特定のサイトカインによる処置によってそのように再プログラムされているかのいずれかである。
【0004】
Tリンパ球は、免疫監視および腫瘍細胞の根絶に重要な役割を果たす。それらは、腫瘍関連抗原を認識する受容体を発現し、一度活性化されると、悪性細胞に対して直接的な細胞毒性効果を発揮する。診療所では、腫瘍浸潤性Tリンパ球(TIL)の存在は、様々な腫瘍タイプの患者の良好な予後と関連している(Fridman et al.,2012)。
【0005】
TIL療法は、開発された最初のタイプのACT療法を表し、そして切除された腫瘍から単離された自然発生のリンパ球の抽出、選択、およびex vivoでの増殖を伴う。次に、腫瘍抗原に対して高い親和性を備えるT細胞受容体を発現する増殖したTILは、体内に注入して戻される。TIL療法では、患者は典型的に、T制御性細胞および骨髄由来サプレッサー細胞などのサプレッサー細胞を排除するためにリンパ球を枯渇させられる。患者はまた、移植されたTILのin vivo増殖を促進するT細胞成長因子であるIL-2を高用量で投与を受ける(Houot et al.,2015)。TIL療法は、進行した転移性黒色腫で成功することが証明されている(Rosenberg et al.,2011)。しかしながら、いくつかの制限があり、例えば、腫瘍の外科的切除が必要である。加えて、免疫浸潤が欠損している腫瘍または抗原のプロセシングおよび提示がダウンレギュレートされている腫瘍には好適ではない。
【0006】
新規の2つのアプローチであって、どちらも末梢T細胞のex vivo遺伝子工学に基づいているアプローチが、このような障害を克服するために開発された。第1のアプローチでは、末梢T細胞は、腫瘍抗原に対して特異性を持つT細胞受容体(TCR)を発現するように操作されている。このようなT細胞は、MHCとの関連で発現されるプロセシングされたペプチド抗原を認識する。
【0007】
これまでで最も顕著なタイプのACTには、キメラ抗原受容体(CAR)の発現を介して腫瘍細胞を標的とするように再プログラムされた自己T細胞を伴う。CAR-T療法は、多くの臨床試験、特に血液悪性腫瘍で劇的な成功を実証しており、そして特定のタイプの癌についてFDAによって承認されている(Harrer et al.、2018; Jackson et al.,2016)。この第2のアプローチでは、T細胞は、細胞外一本鎖可変フラグメント(scFv)および細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように操作されている。CARの細胞外部分は特定の腫瘍抗原の認識を可能にし、および細胞内シグナル伝達ドメインはT細胞の活性化を刺激する。CAR-T細胞は、MHCに制限されない方法で細胞表面抗原を認識するため、抗原のプロセシングおよび提示に依存しない。第1世代のCARにはCD3ζの細胞内シグナル伝達ドメインが含まれるが、第2世代および第3世代のCARには、注入されたT細胞の持続性および増殖を改善するために、CD28、OX40、4-1BBなどの1つまたは複数の共刺激分子の細胞内ドメインも含む(Houot et al.,2015)。CD19に対して向けられたCAR-T療法は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)の劇的な成功を実証しており、患者の90%で完全寛解が達成された(Maude et al.,2014)。ただし、血液悪性腫瘍で実証された有望な応答にもかかわらず、固形腫瘍におけるCAR-T療法の有効性は限定されている。これについて考えられる説明は、敵対的な腫瘍微小環境における免疫抑制、およびCAR-T細胞の不十分な帰巣ならびに浸潤能力が含まれる(Beatty et al.,2016)。おそらく、免疫調節性サイトカインが使用されて、そのような障害を克服し得、それによってCAR-T療法の抗腫瘍効果を高めることができる。実際に、いくつかの前臨床研究は、CAR-T細胞をさらに修飾することは、抑制性腫瘍微小環境からの保護を提供し、および抗腫瘍効果を改善することを実証した。加えて、IL-2、IL-7、IL-12、またはIL-15などのサイトカインの全身の共投与は、様々な前臨床および臨床研究におけるCAR-T療法の有効性を改善する可能性を実証している(Huang et al.,2017)。
【0008】
マクロファージは、腫瘍微小環境で最も豊富な免疫細胞タイプの1つである。内因性腫瘍関連マクロファージ(TAM)は、その活性化状態に応じて、腫瘍の進行を促進または抑制のいずれかを行うことができる。初期の腫瘍では、「古典的に活性化された」マクロファージは炎症性殺腫瘍性の表現型を有している。このようなマクロファージは、抗腫瘍マクロファージまたはM1様マクロファージとしても知られている。しかしながら、確立された腫瘍では、マクロファージは、血管新生、抗炎症、および免疫抑制の特性を備えた「代替的に活性化された」表現型に向かって分極する。これらのマクロファージは、腫瘍促進性またはM2様マクロファージとしても知られている(Mantovani and Locati,2013)。したがって、抗腫瘍マクロファージの養子移植は、癌の治療戦略として探求されてきた。前臨床試験は、活性化マクロファージの投与は、様々なマウス腫瘍モデルにおいて腫瘍の成長および転移を大幅に減少させることを示してきた(Fidler,1974、Wang et al.,1986)。しかしながら、今日まで、臨床試験は治療目標の達成に成功していない(Lee et al.,2016)。マクロファージベースのACTの主な障害の1つは、マクロファージが腫瘍微小環境内で生成された信号に遭遇すると、ex vivoで誘導された抗腫瘍表現型が失われることである。したがって、当該技術分野では、養子移植されたマクロファージを所望の機能状態に維持するためのより効果的な組成物および方法が必要とされている。
【0009】
IL-31は、IL-6サイトカインファミリーに属する免疫調節性サイトカインである。それは主に、Th2表現型の活性化CD4+T細胞だけでなく、マスト細胞、単球、マクロファージ、および樹状細胞によって発現される(Dillon et al.,2004、Cornelissen et al.,2011、Niyonsaba et al.,2910)。IL-31は、遍在的に発現されているオンコスタチンM受容体β(OSMRβ)およびより制限された発現パターンを有するIL-31受容体α(IL-31RA)からなるヘテロ二量体複合体を介してシグナルを伝達する(Hermanns,2015)。初期の研究は、IL-31を過剰発現するトランスジェニックマウスまたはIL-31を投与した野生型マウスが、皮膚におけるT細胞を介した炎症誘発性の役割と一致するアトピー性皮膚炎のような症状を発症することを実証した(Dillon et al.,2004)。ヒトでは、高レベルのIL-31は、アトピー性皮膚炎(Neis et al.,2006)、炎症性腸疾患(Dambacher et al.,2007)、喘息(Lei et al.,2008)などのアレルギー状態と強く関連している。
【0010】
癌におけるIL-31の役割は十分に特徴付けられていない。腫瘍形成促進効果または抗腫瘍形成効果のいずれかを示唆する公表された研究はわずかしかない。例えば、臨床研究は、IL-31を皮膚T細胞リンパ腫および濾胞性B細胞リンパ腫などの血液悪性腫瘍に関連付けている(Ferretti et al.,2015、Ohmatsu et al.,2012)。加えて、IL-31およびIL-33レベルの上昇は、子宮内膜癌患者の予後不良と相関している(Zeng et al.,2016)。最近では、IL-31は、癌を含む血管新生関連障害を治療し、および転移を軽減または予防することが示された(WO 2015/173812号、Davidi et al.,2017)。
【発明の概要】
【0011】
腫瘍微小環境(TME)に存在するマクロファージは、腫瘍関連マクロファージ(TAM)として知られている。それらは、様々な機能状態を採用する能力を備えた高い可塑性の細胞である。抗腫瘍マクロファージ(一般に古典的に活性化されたマクロファージまたはM1様マクロファージとして知られている)は、適応免疫応答を調整するための、食作用、細胞傷害性、および抗原提示などの抗腫瘍機能の能力がある。腫瘍促進性マクロファージ(一般に、代替的に活性化されたマクロファージまたはM2様マクロファージとして知られている)は、血管新生および免疫抑制などの腫瘍を支持するプロセスにおいて強力なプレーヤーである。固形腫瘍微小環境からの信号は、一般に、腫瘍促進表現型へのマクロファージ分極化をもたらすことが知られている。したがって、マクロファージの抗腫瘍表現型を維持するための方法、または腫瘍促進表現型へのそれらの再プログラミングを防ぐための方法は、癌治療の分野における進歩を表す。
【0012】
本発明によれば、サイトカインであるインターロイキン-31(IL-31)は、養子移植されたマクロファージが癌組織に入り、および腫瘍微小環境内で生成された信号に遭遇したとき、マクロファージのex-vivo-誘導性抗腫瘍表現型を維持することができ、それによってそれらの抗腫瘍表現型および治療可能性を維持することができることが、現在、見出された。したがって、Il-31は、癌の治療のためのマクロファージベースの養子細胞療法に有益である。
【0013】
本発明の一態様では、マクロファージは、ヒトIL-31またはIL-31とキメラ抗原受容体(CAR)の両方を発現するように遺伝子操作される。
【0014】
本発明の別の態様において、遺伝子改変されていないマクロファージまたはCARを発現するように遺伝子改変されたマクロファージは、IL-31の注入とともに癌患者に投与され得る。
【0015】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下の発明を実施するための形態のセクションにおいてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】対照およびIL-31発現J774細胞におけるアルギナーゼ1(ARG1)および誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)の相対的な発現レベルを示している。単球-マクロファージ細胞株、J774は、レンチウイルス形質導入システムを使用して、IL-31を構成的に過剰発現するように遺伝子改変された。空のベクターで形質導入された対照細胞は、J774-NSPIと呼ばれる。IL-31をコードするベクターで形質導入された細胞は、J774-NSPI-IL-31と呼ばれる。トータルRNAはJ774-NSPIおよびJ774-NSPI-IL-31細胞から抽出された。リアルタイムPCRが実施され、酵素、アルギナーゼ1(ARG1)、および誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)の相対的な発現レベルを評価した。発現レベルはHsp90に正規化された。
図2】原発性乳房腫瘍モデルにおいて、IL-31を発現する養子移植された単球-マクロファージの治療効果を示している。マウス4T1乳癌細胞がBALB/cマウスの乳腺脂肪パッドに同所移植された。腫瘍が平均サイズ75mmに達したとき、マウスは未治療のまま(対照)か、または対照の単球-マクロファージ(J774-NSPI)もしくはIL-31を発現する単球-マクロファージ(J774-NSPI-IL-31)の単回静脈内注射を受けた。19日目に、顎下静脈から血液サンプルが採取され、血漿が調製された。血漿中のIL-31のレベルはELISAによって決定された(図2A)。腫瘍体積は、実験を通して定期的に測定された。図2Bは、IL-31を発現するJ774単球-マクロファージ(J774-NSPI-IL-31)を注射したマウスでは、両方の対照群(対照およびJ774-NSPI)と比較して腫瘍の成長速度が有意により低いことを示している。示されているのは、平均値±SD(治療群あたりn=6マウス)、*p<0.05である。
図3】原発性乳房腫瘍モデルにおいて、養子移植されたIL-31で教育されたマクロファージの治療効果を示している。EMT6乳癌細胞(5x10細胞)がBALB/c雌マウス(8週齢)の乳腺脂肪パッドに同所移植された。移植7日後、IL-31で教育された腹膜マクロファージが後眼窩洞に注射された。その後、マウスは、1回目、2回目、3回目および4回目の注射において、それぞれ5×10、3×10、5×10および1.5×10細胞の用量で、マクロファージ注射(矢印によって示される)の毎週の追加を受けた。対照マウスはマクロファージを注射されなかった。図3A:腫瘍体積が経時的に観察された。データは平均±S.D、群あたりn=6匹のマウスとして提示される。*p<0.001。図3B:カプランマイヤー生存分析。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の生成物および方法を説明する前に、本発明は、本明細書に記載される特定の方法論およびプロトコルに限定されないことを理解されたい。本明細書で使用される用語は、本発明の特定の実施形態を説明することのみを目的としており、他に定義されない場合、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定することを意図しないことも理解されたい。
【0018】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈により明らかに別の意味が指示されない限り、複数の参照を含むことにも留意されなければならない。
【0019】
本発明をよりよく理解するために、本出願で使用されるいくつかの用語が本明細書で定義される。
【0020】
本明細書で「癌」とも呼ばれる「腫瘍」という用語は、組織の異常な成長を指す。本発明は、固形の原発性または転移性の悪性腫瘍の治療に関する。本明細書で使用される「抗腫瘍効果」という用語は、腫瘍の形成または成長を予防、阻害、または停止することを指す。
【0021】
「単球」という用語は、血流中に見られる白血球のタイプを指し、組織に入ると、マクロファージまたは樹状細胞に分化する。単球は白血球の最大のタイプであり、適応免疫プロセスにおいて重要な役割を果たす。
【0022】
単球は典型的に、組織に移動する前に1~3日間血液中を循環し、そこでマクロファージまたは樹状細胞になる。
【0023】
「マクロファージ」という用語は、私たちの免疫系の重要な部分である大型の白血球を指す。それは、環境または外部信号に応答して、様々な機能状態を採用する能力を備えた、組織に存在する専門の食細胞および抗原提示細胞である。マクロファージは、血流から体内の任意の組織に移動した循環単球に由来し、食作用を助けて、異物、細胞の破片、および癌細胞などの有害物質を排除する。マクロファージはまた、胎児の発育中に単球とは独立して確立され得る。
【0024】
マクロファージは、創傷の成熟において果たす役割によって決定される様々な表現型で存在する。本明細書で使用される「ナイーブマクロファージ」という用語は、環境または外部信号によって刺激されていないマクロファージを指す。一般にM0マクロファージとして知られているナイーブマクロファージは、中立の(または分極化されていない)表現型を有する。
【0025】
本明細書で使用される「抗腫瘍マクロファージ」という用語は、食作用、細胞傷害性、抗原提示、およびサイトカイン分泌などの抗腫瘍活性が可能な活性化マクロファージを指す。抗腫瘍マクロファージは、一連の活性化状態で存在する。その一連の極限には、「古典的に活性化されたマクロファージ」またはM1マクロファージとして一般に知られているマクロファージがある。抗腫瘍マクロファージは、これらに限定されないが、CD40、CD68、CD80、CD86、HLA-DR、IL1R、SOCS3、TLR2、TLR4、PDL1から選択される少なくとも1つの表面マーカのアップレギュレーション、ならびに、これらに限定されないが、CD206およびCD163から選択される少なくとも1つの表面マーカのダウンレギュレーションによって特徴付けられる。
【0026】
本明細書で使用される「腫瘍促進マクロファージ」という用語は、血管新生および免疫抑制などの腫瘍支持活性が可能な活性化マクロファージを指す。腫瘍促進マクロファージは、一連の活性化状態で存在する。その一連の極限には、「代替的に活性化されたマクロファージ」またはM2マクロファージとして一般に知られているマクロファージがある。腫瘍促進マクロファージは、これらに限定されないが、CD206およびCD163から選択される少なくとも1つの表面マーカのアップレギュレーション、ならびに、これらに限定されないが、CD40、CD68、CD80、CD86、HLA-DR、IL1R、SOCS3、TLR2、TLR4、PDL1から選択される少なくとも1つの表面マーカのダウンレギュレーションによって特徴付けられる。
【0027】
本明細書で使用される「マクロファージベースの養子細胞療法」という用語は、自家または同種異系マクロファージが治療目的で対象に投与されるタイプの養子細胞療法を指す。「自家」とは、後で再導入される同一個体に由来するあらゆる材料を指す。「同種異系」とは、同じ種の異なる個体に由来するあらゆる材料を指す。
【0028】
本発明によれば、サイトカインIL-31は、マクロファージベースの養子細胞療法と組み合わせて使用され、IL-31の存在は、投与された細胞の抗腫瘍効果を維持および/または増強する働きをする。
【0029】
第1の態様において、本発明は、(i)配列番号1に記載の配列のヒトIL-31もしくは配列番号1に記載のIL-31配列と少なくとも約70%相同であるペプチド、または(ii)配列番号1に記載の配列のヒトIL-31、もしくは配列番号1に記載のIL-31配列と少なくとも約70%相同であるペプチドを含む融合タンパク質であって、融合タンパク質において、ヒトIL-31またはペプチドはIgGを含む免疫グロブリンアミノ酸配列に結合している、融合タンパク質を発現するように遺伝子改変されたマクロファージに関する。
【0030】
本明細書で使用される場合、ヒトIL-31が言及されるときはいつでも、参照は、配列番号1に記載される配列を有するタンパク質への参照である。
【0031】
好ましい一実施形態において、本発明のマクロファージは、ヒトIL-31を発現するように遺伝子改変されている。
【0032】
いくつかの実施形態において、マクロファージは、配列番号1に記載されるIL-31配列と少なくとも約70%相同であるペプチドを発現するように遺伝子改変されている。いくつかの他の実施形態において、マクロファージは、IL-31またはペプチドはIgGを含む免疫グロブリンアミノ酸配列に結合している融合タンパク質を発現するように遺伝子改変されている。
【0033】
遺伝子改変マクロファージの調製のために、遺伝子改変はウイルス形質導入法によって細胞の集団(単球、ナイーブマクロファージ、または抗腫瘍マクロファージ)に核酸配列(DNAまたはRNA)を導入することによって、好ましくは達成される。これを行うために、目的のポリヌクレオチドは、当該技術分野で周知の分子クローニング技術(Sambrook et al.,2012に記載)によって最初にウイルス発現プラスミドに挿入され、ウイルス発現プラスミドは、ウイルスのゲノムに基づいてウイルスゲノムまたはその一部をコードする。レンチウイルスプラスミドは、分裂および非分裂標的細胞のゲノムへ目的のポリヌクレオチドの安定した組み込みを可能にするので好ましい。レンチウイルス発現プラスミドは、典型的に、レンチウイルスパッケージングおよびエンベローププラスミドと組み合わせて使用され、感染性ウイルス粒子(ビリオン)を生成する。次に、ビリオンが使用されて、レンチウイルス形質導入として知られるプロセスで標的細胞へ形質導入され、それにより、目的のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドが標的細胞の集団に導入される。
【0034】
本発明の一実施形態では、配列番号1(WO2015/173812に示される)に記載のアミノ酸配列のヒトIL-31を発現するように遺伝子改変されたマクロファージの調製のために、ヒトIL-31をコードする配列番号2(WO2015/173812に示される)に記載された核酸配列は、レンチウイルス形質導入法によって、単球、ナイーブマクロファージ、または抗腫瘍マクロファージから選択される細胞の集団に導入される。
【0035】
遺伝子改変のために使用される単球またはマクロファージは、対象、好ましくはヒトドナーから得られる。ドナーは、遺伝子改変されたマクロファージが後で再導入されるのと同じ対象(すなわち、自家細胞のドナー)またはHLA適合ドナー(すなわち、同種異系細胞のドナー)であり得る。細胞は、末梢血、骨髄、リンパ節組織、脾臓組織、臍帯、腹水、および腫瘍を含む多くの供給源から単離され得る。好ましくは、末梢血は、ヒト対象から採取される。末梢血サンプルから単球を単離するための好ましい方法は、白血球アフェレーシスに続く水簸などの当該技術分野で知られている技術を含む。単離された単球は、当業者に周知の方法を使用して培養で増殖され得る。単球のマクロファージへの分化を刺激するGM-CSFなどの成長因子の存在下で単球を4~8日間培養することにより、単球はナイーブマクロファージに分化され得る(Andreesen et al.,1990)。ナイーブマクロファージは、当該技術分野で知られている「マクロファージ活性化キラー」または「MAK」プロトコルに従って抗腫瘍マクロファージに活性化され得、マクロファージは、これらに限定されないが、インターフェロンガンマ(IFN-γ)、ムラミルトリペプチドホスファチジルエタノールアミン(MTP-PE)、ミファムルチドおよびリポ多糖(LPS)から選択される活性化剤で刺激される(Lee et al.,2016)。この刺激は、対象に抗腫瘍マクロファージを投与する前に18時間実施される。MAKプロトコルは、典型的に、週単位で対象あたり最大10個の抗腫瘍マクロファージを産生する。
【0036】
本発明はさらに、(i)配列番号1に記載の配列のヒトIL-31もしくは配列番号1に記載のIL-31配列と少なくとも約70%相同であるペプチド、または(ii)配列番号1に記載の配列のヒトIL-31、もしくは配列番号1に記載のIL-31配列と少なくとも約70%相同であるペプチドを含む融合タンパク質であって、融合タンパク質において、ヒトIL-31もしくはペプチドはIgGを含む免疫グロブリンアミノ酸配列に結合している、融合タンパク質を発現するように遺伝子改変されたマクロファージおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、ヒトIL-31を発現するように遺伝子改変されたマクロファージを含む。
【0037】
上記の医薬組成物は、癌の治療に使用することを意図されている。
【0038】
この態様において、本発明はさらに、(i)配列番号1に記載の配列のヒトIL-31もしくは配列番号1に記載のIL-31配列と少なくとも約70%相同であるペプチド、または(ii)配列番号1に記載の配列のヒトIL-31、もしくは配列番号1に記載のIL-31配列と少なくとも約70%相同であるペプチドを含む融合タンパク質であって、融合タンパク質において、ヒトIL-31もしくはペプチドはIgGを含む免疫グロブリンアミノ酸配列に結合している、融合タンパク質を発現するように遺伝子改変された治療有効量のマクロファージを、必要とする患者に投与することを含む、癌を治療するための方法に関する。
【0039】
第2の態様において、本発明は、(i)配列番号1に記載の配列のヒトIL-31もしくは配列番号1に記載のIL-31配列と少なくとも約70%相同であるペプチド、(ii)配列番号1に記載の配列のヒトIL-31、もしくは配列番号1に記載のIL-31配列と少なくとも約70%相同であるペプチドを含む融合タンパク質であって、融合タンパク質において、ヒトIL-31もしくはペプチドはIgGを含む免疫グロブリンアミノ酸配列に結合している、融合タンパク質、または(iii)ヒトIL-31、もしくは配列番号1に記載の配列のヒトIL-31、もしくは配列番号1に記載のIL-31配列と少なくとも約70%相同であるペプチドを含む融合タンパク質と、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)ジビニルエーテル、アルブミン、無水マレイン酸コポリマー(DIVEMA)、ポリシアル酸(PSA)、ポリ(スチレンコマレイン酸無水物)(SMA)、ヒアルロン酸(HA)、アルギン酸(AA)、ポリヒドロキシエチルメタクリレート(Poly-HEMA)、グライムもしくはポリイソプロピルアクリルアミドから選択される非タンパク質性またはタンパク質性部分と、を含む複合体の注入とともに治療有効量の遺伝子改変されていないマクロファージを、必要とする患者に投与することを含む、癌を治療するための方法に関する。
【0040】
上記の配列番号1のヒトIL-31、ペプチド、融合タンパク質、および複合体は、本明細書に完全に開示されるものとして、参照により本明細書に組み込まれるWO2015/173812に記載されている。
【0041】
いくつかの実施形態において、血漿中のIL-31の半減期を延長する、IL-31を安定化する、または血流中または組織においてそれを保護する上記の1つ以上の分子と共にIL-31を含む融合タンパク質が使用される。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、免疫グロブリンアミノ酸配列を含み得る異種アミノ酸配列に結合したIL-31を含む。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、IL-31および任意のクラスのIgG、例えば、IgG1、IgG2、IgG3を含む。いくつかの実施形態では、2つのタンパク質部分は、酵素の切断部位を形成する、例えば、4~12アミノ酸のリンカーによって分離されている。
【0042】
いくつかの実施形態において、ヒトIL-31、または配列番号1に記載の配列のヒトIL-31もしくは配列番号1に記載のIL-31配列と少なくとも約70%相同であるペプチドを含む融合タンパク質と、上記で特定されている非タンパク質性またはタンパク質性部分と、を含む複合体が使用される。複合体は、リポソームまたはミセルの形態であり得る。
【0043】
第3の態様では、本発明は、免疫エフェクタ細胞で発現されるように設計されたキメラ抗原受容体(CAR)(ここではCARマクロファージ)を発現するように遺伝子改変されたマクロファージに関し、そのCARを発現するマクロファージは食作用、標的化細胞傷害性、抗原提示、およびサイトカイン分泌を含む標的化エフェクタ活性を有する。
【0044】
いくつかの実施形態において、CARは、標的化エフェクタ活性が向けられる標的細胞上の抗原に結合する細胞外抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインを含む。
【0045】
抗原結合ドメインは標的細胞上の抗原に結合し、それによって特定の抗原を発現する細胞に対して標的化エフェクタ活性を誘導する。例えば、抗原は、目的の腫瘍または癌に特異的な腫瘍抗原である。抗原結合ドメインは、抗原に結合する任意のドメインを含むことができ、これらに限定されないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、合成抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、非ヒト抗体、およびそれらの任意の断片を含み得る。いくつかの実施形態において、CARの細胞外抗原結合ドメインは、CD19、CD22、またはHER2を含む抗原に対する抗体に由来する一本鎖可変フラグメント(scFv)である。
【0046】
CARの膜貫通ドメインは、抗原結合ドメインを細胞内ドメインに接続する。膜貫通ドメインは、任意の膜結合タンパク質または膜貫通タンパク質の膜貫通領域などの天然の供給源、または合成供給源のいずれかに由来し得、その場合、それは主に疎水性残基を含む。いくつかの実施形態では、CARは、CD8、CD28またはCD3ζの膜貫通ドメインを含む。
【0047】
CARの細胞内ドメインは、CARの細胞質部分を表し、CARが発現するマクロファージの活性化を担っている。CARの細胞内ドメインは、表面受容体の細胞質部分、刺激性もしくは共刺激性分子、またはMegf10(複数上皮成長因子様ドメインタンパク質10)、FcRγ(Fc受容体の共通サブユニット)、CD3ζ、もしくはデクチン-1の細胞内ドメインを含む分子などのマクロファージ内でシグナル伝達を開始する分子であり得る。
【0048】
CARを発現する遺伝子改変マクロファージを生成するために、組換え受容体をコードする核酸配列が、上記のレンチウイルス形質導入によって細胞の集団に導入され、組換え受容体は、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインを含む。
【0049】
この態様によれば、(i)配列番号1に記載の配列のヒトIL-31もしくは配列番号1に記載のIL-31配列と少なくとも約70%相同であるペプチド、(ii)配列番号1に記載の配列のヒトIL-31、もしくは配列番号1に記載のIL-31配列と少なくとも約70%相同であるペプチドを含む融合タンパク質であって、融合タンパク質において、ヒトIL-31もしくはペプチドはIgGを含む免疫グロブリンアミノ酸配列に結合している、融合タンパク質、または(iii)ヒトIL-31、もしくは配列番号1に記載の配列のヒトIL-31、もしくは配列番号1に記載のIL-31配列と少なくとも約70%相同であるペプチドを含む融合タンパク質と、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ジビニルエーテル、アルブミン、無水マレイン酸コポリマー(DIVEMA)、ポリシアル酸(PSA)、ポリ(スチレンコマレイン酸無水物)(SMA)、ヒアルロン酸(HA)、アルギン酸(AA)、ポリヒドロキシエチルメタクリレート(Poly-HEMA)、グライムもしくはポリイソプロピルアクリルアミドから選択される非タンパク質性もしくはタンパク質性部分と、を含む複合体の注入とともに、上記で定義される治療有効量のCARマクロファージを、必要とする患者に投与することを含む、癌を治療するための方法が提供される。
【0050】
第4の態様では、本発明は、(i)配列番号1に記載の配列のヒトIL-31、または配列番号1に記載のIL-31配列と少なくとも約70%相同であるペプチド、または配列番号1に記載の配列のヒトIL-31もしくは配列番号1に記載のIL-31配列と少なくとも約70%相同であるペプチドを含む融合タンパク質であって、融合タンパク質において、ヒトIL-31またはペプチドがIgGを含む免疫グロブリンアミノ酸配列に結合している、融合タンパク質と、(ii)免疫エフェクタ細胞で発現するように設計されたキメラ抗原受容体(CAR)であって、CARを発現するマクロファージが標的化エフェクタ活性を有し、CARが前述のとおりの細胞外抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインを含む、キメラ抗原受容体と、の両方を発現するように遺伝子改変されたマクロファージに関する。
【0051】
上記の段落で定義されたCARとIL-31との両方を発現する遺伝子改変マクロファージの調製は、(i)で定義されたIL-31タンパク質、ペプチド、または融合タンパク質をコードする核酸配列と、CAR(ii)をコードする核酸配列との両方を、当該技術分野で周知の分子クローニング技術(Sambrookらに記載)によってレンチウイルスベクタープラスミドに挿入し、および細胞集団(単球、ナイーブマクロファージ、または抗腫瘍マクロファージ)へ当該技術分野で知られているレンチウイルス形質導入法によって形質導入することによって達成される、2つのポリヌクレオチドの発現は、2つの独立したプロモータによって駆動され得る。代替的に、目的の2つのポリヌクレオチドは、CARの細胞内ドメインをコードする配列の後に2A自己切断ペプチドをコードする配列が続き、その後にIL-31タンパク質またはペプチドをコードする配列が続くように、インフレームで融合され得る。別の代替案では、細胞の集団に2つのレンチウイルス形質導入ベクターを形質導入することができ、一方のベクターは(i)をコードする核酸配列を含み、他方のベクターはCARポリペプチド(ii)をコードする。
【0052】
この態様によれば、本発明は、(i)上記のヒトIL-31、ペプチド、または融合タンパク質、および(ii)上記のCARポリペプチドの両方を発現するように遺伝子改変されたマクロファージ、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。これらの医薬組成物は、癌の治療に使用するためのものである。
【0053】
本発明の医薬組成物は、細胞-未改変マクロファージもしくは遺伝子改変マクロファージ、またはヒトIL-31タンパク質、配列番号1に少なくとも70%相同なペプチドもしくはIL-31融合タンパク質と、薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤と、を含む。それらは、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pa., latest editionに記載されているような、当該技術分野で周知の方法によって製造することができ、それは参照により本明細書に組み込まれる。
【0054】
含む医薬組成物は、静脈内、腹腔内、および腫瘍内などの様々な好適な経路によって患者に投与され得る。好ましい実施形態では、組成物は静脈内投与される。投与の量と頻度は、患者の治療を担当する医師によって決定され、患者の病気のタイプおよび重症度ならびに患者の年齢および状態によって決まる。細胞の治療用量の例は、最大8週間までの期間、投与当たり10~10細胞(マクロファージ)の毎週の投与を含む。IL-31が遺伝子改変されていないマクロファージまたはCAR-マクロファージとともに投与される場合、マクロファージは1回または2~3週間ごとに投与され、IL-31は継続的に(毎日)投与される。
【0055】
本発明に従って治療される癌は、膀胱、脳、乳房、頸部、結腸、結腸直腸、神経膠芽腫、頭頸部、腎臓、肝臓、肺、黒色腫、卵巣、膵臓、下垂体、前立腺、直腸、肉腫腫瘍、皮膚、胃、精巣、甲状腺、および子宮の癌を含む原発性または転移性固形腫瘍であり得る。
【0056】
次に、本発明を以下の非限定的な実施例によって説明する。
【実施例
【0057】
材料および方法
i)細胞培養
マウス単球-マクロファージJ774、マウス4T1乳癌、マウスEMT6乳癌、およびヒト293T細胞株は、American Type Culture Collection(ATCC, USA)から購入された。細胞は、信頼のおけるストックから解凍された後、4ヶ月以内で継代培養された。すべての細胞はマイコプラズマについて試験され、陰性であった。細胞は、10%ウシ胎児血清(FBS)、1%L-グルタミン、1%ピルビン酸ナトリウム、および1%ペニシリン-ストレプトマイシン(すべてBiological Industriesから購入)を補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で、37℃で、5%CO下で培養された。
【0058】
ii)レンチウイルスの生成
マウスIL-31をコードするPCR増幅断片が、NSPI-CMV-Myc-Hisレンチウイルスベクター(Addgene)のマルチクローニングサイト内のBamHIサイトとXhoIサイトの間にクローニングされ、NSPI-CMV-IL-31-Myc-Hisコンストラクトが生成された。レンチウイルスは、以下、15μgのレンチウイルスベクター(すなわち、NSPI-CMV-Myc-His空の対照ベクター、またはNSPI-CMV-IL-31-Myc-Hisのいずれか)、10μgのパッケージングプラスミドδNRF、5μgのエンベローププラスミドVSV-Gの3つのプラスミドの組合せでの293T細胞(10cm培養皿に播種された1.2×10細胞)へのリン酸カルシウム一過性トランスフェクションによって生成された。パッケージングおよびエンベローププラスミドはAbmから購入された。トランスフェクションの96時間後に培地は回収され、ろ過され、ポリブレン(8μg/ml、最終濃度)が補充された。「レンチウイルス形質導入」のセクションで説明されるとおり、生きたウイルスを含有する培地を直ちにJ774細胞の感染に使用した。
【0059】
iii)レンチウイルス形質導入
J774細胞は6×10細胞/ウェルの密度で6ウェル培養プレートに播種された。翌日、培地をウイルス含有培地に交換することにより、細胞は感染させられた。プレートは1100gで1.5時間、32℃で遠心分離された。翌日、新鮮なレンチウイルス生成物で感染手順は繰り返された。4μg/mlピューロマイシンを補充した培地中で培養することにより、10日間にわたって形質導入された細胞が選択された。空のベクターで形質導入された対照細胞は、J774-NSPIと呼ばれる。IL-31をコードするベクターで形質導入された細胞は、J774-NSPI-IL-31と呼ばれる。
【0060】
iv)リアルタイムPCR
RNA purification kit(Norgen Biotek)を使用して、J774-NSPIおよびJ774-NSPI-IL-31細胞からトータルRNAが抽出された。high capacity cDNA reverse transcription kit(Applied Biosystems)を使用して、RNAはcDNAに逆転写された。リアルタイムPCRが実施され、酵素、アルギナーゼ1(ARG1)および誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)の相対的な発現レベルを評価した。発現レベルはHsp90に正規化された。ARG1について、プライマーはCTCCAAGCCAAAGTCCTTAGAG(配列番号3)およびAGGAGCTGTCATTAGGGACATC(配列番号4)であった。iNOSについて、プライマーはGTTCTCAGCCCAACAATACAAGA(配列番号5)およびGTGGACGGGTCGATGTCAC(配列番号6)であった。Hsp90について、プライマーはTCGTCAGAGCTGATGATGAAGT(配列番号7)およびGCGTTTAACCCATCCAACTGAAT(配列番号8)であった。すべてのサンプルは3回アッセイされ、そしてΔΔCT法を使用して分析して、ARG1およびiNOSの発現レベルの相対的な倍率変化を評価した。
【0061】
v)腹膜マクロファージの単離
8週齢の雌のBALB/cマウス(Harlan、Israel)は、3mlの4%チオグリコレート(生理食塩水中の重量/体積、Sigma-Aldrich)を腹腔内注射され、腹腔内に多数のマクロファージを誘発した。48時間後、マウスは60Gyで予め放射線照射された2×10個のEMT6乳癌細胞が腹腔内に注射された。このステップは、in vivoでマクロファージを腫瘍抗原に曝露させる働きをする。24時間後にマウスは屠殺され、腹膜マクロファージが以下のように回収された。氷冷PBS(5ml)が腹腔内に注射された。その液体が抜き取られ、350gで5分間、4℃で遠心分離して細胞を沈殿させた。赤血球を溶解するために、細胞ペレットは10mlのRBC溶解バッファ(Sigma-Aldrich)に再懸濁され、室温で10分間インキュベートされた。細胞溶液は350g、4℃で5分間再遠心分離され、細胞ペレットは無血清RPMI-1640培地(Sigma-Aldrich)に再懸濁された。腹膜滲出細胞は10cm培養皿に播種され、37℃で約2時間インキュベートされ、細胞を接着させた。非接着細胞は、PBSで徹底的に洗浄することにより除去された。残りの付着性腹膜細胞(マクロファージを表す)は、分極処置(「ex vivoでのマクロファージ分極」のセクションで説明される)の前に、10%FBS(Biological Industries)を含有するRPMI-1640培地(Sigma-Aldrich)で一晩培養された。
【0062】
vi)ex vivoでのマクロファージ分極
培養腹膜マクロファージは、20ng/mlのIL-4および100ng/mlのIL-31マウス組換えタンパク質(両方ともPeprotech製)で48時間処置された。IL-4処置は、マクロファージを腫瘍促進M2様表現型に向けて分極化する働きをする(Mantovani and Locati,2013)。IL-31との同時処置は、マクロファージを腫瘍促進から抗腫瘍表現型に分極化するIL-31の能力を試験するために実施される。このプロトコルに従って処置されたマクロファージ(すなわち、IL-4およびIL-31で同時処置されたマクロファージ)は、以後、IL-31で教育されたマクロファージと呼ばれる。IL-31で教育されたマクロファージは、アキュターゼ(Sigma-Aldrich)での消化によって分離され、PBSで洗浄され、無血清RPMI培地に再懸濁され、血球計算盤でカウントされた。典型的には、マウス当たり約1×10個の腹膜滲出細胞から、約5×10個のIL-31で教育されたマクロファージが得られた。
【0063】
vii)腫瘍モデルおよび治療プロトコル
単球-マクロファージ細胞株J774を使用した養子移植モデル:マウス4T1乳癌細胞(5×10)が、8週齢の雌BALB/cマウス(Harlan、Israel)の乳腺脂肪パッドに同所移植された。腫瘍サイズは、幅×長さ×0.5の式を使用してベルニエノギスを用いて定期的に評価された。腫瘍が平均サイズの75mmに達したとき、マウスはランダムに3つの治療グループに割り当てられた:i)マウスは未治療のまま、ii)マウスは2x10個の対照J774-NSPI細胞の(尾静脈を介して)単回静脈内注射を受けた、iii)マウスは2x10個のJ774-NSPI-IL-31細胞の(尾静脈を介して)単回静脈内注射を受けた。グループあたりn=6匹のマウス。腫瘍の成長は定期的に評価された。腫瘍のサイズが約1000mmに達したとき、マウスは屠殺された。
【0064】
IL-31で教育されたマクロファージを使用した養子移植モデル:マウスEMT6乳癌細胞(5x10個の細胞)が、8週齢のBALB/c雌マウス(Harlan、Israel)の乳腺脂肪パッドに同所移植された。移植7日後、腫瘍が平均100mmのサイズに達したとき、IL-31で教育されたマクロファージが後眼窩洞に注射された(用量あたり150μlのRPMIの容量中5x10個の細胞)。その後、マウスは、マクロファージの注射(用量あたり150μlのRPMIの体積中に0.3~1.5x10個の細胞)の毎週の追加を受けた。対照マウスはマクロファージを注射されなかった。グループあたりn=6匹のマウス。腫瘍体積は、幅×長さ×0.5の式に従ってノギス測定によって観察された。エンドポイント(腫瘍が1500mmのサイズに達したとき)でマウスは屠殺された。
【0065】
viii)ELISA
4T1腫瘍細胞移植後19日目にマウスから血液が採取された。簡単に説明すると、顎下静脈に針が刺され、100~150μlの血液がEDTAを含有するチューブに採取された。血液サンプルは2000gで15分間遠心分離され、上清(血漿)が回収された。血漿中のIL-31のレベルは、mouse IL-31 platinum ELISA kit(Invitrogen)を使用して決定された。
【0066】
ix)統計分析
データは、平均値±標準偏差(SD)として表現される。差異の統計的有意性は、複数t検定によって評価された。差異は、0.05未満のp値で有意であると見なされた。
【0067】
実施例1.IL-31を発現する遺伝子改変単球-マクロファージ細胞株のin vitro特性
マウス単球-マクロファージ細胞株、J774は、レンチウイルス形質導入システムを使用して、IL-31を構成的に過剰発現するように遺伝子変された。IL-31の発現がマクロファージの分極化に影響を与えるかどうかを判断するために、リアルタイムPCRを使用した対照およびIL-31発現J774細胞におけるアルギニン代謝酵素であるiNOS(M1様マクロファージによって発現される)とARG1(M2様マクロファージによって発現される)との発現レベルを評価した。図1は、IL-31発現細胞におけるiNOSの発現レベルは対照と比較して5倍増加しているのに対し、IL-31発現細胞におけるARG1の発現レベルは対照と比較して2倍しか増加していないことを示している。これは、IL-31が大部分はM1様表現型に向かってマクロファージを分極化することを示唆している。
【0068】
実施例2.IL-31を発現する単球-マクロファージ細胞の養子移植は、マウス乳癌モデルにおける腫瘍の成長を阻害する
マウス4T1原発性乳癌モデルが用いられ、IL-31を発現する養子移植された単球-マクロファージ細胞の治療可能性を判断した。簡単に説明すると、マウス4T1乳癌細胞がBALB/cマウスの乳腺脂肪パッドに同所移植された。腫瘍が平均サイズの75mmに達したとき、マウスは、未治療のままにされるか、または対照もしくはIL-31を発現するJ774単球-マクロファージの単回静脈内注射されるかのいずれかである。図2Aは、IL-31を発現するJ774単球-マクロファージを注射されたマウスが、IL-31の高い血漿レベル(2.4ng/ml)を呈することを実証している。対照の未処置マウスおよび対照のJ774単球-マクロファージを注射されたマウスにおけるIL-31の血漿レベルは、検出閾値を下回っていた。加えて、予想通り、IL-31を発現するJ774単球-マクロファージを注射されたマウスは、脱毛および引っ掻き行動などの皮膚炎の兆候を呈した。実験を通して腫瘍の成長は観察され、成長率がグループ間で比較された。図2Bは、IL-31を発現するJ774単球-マクロファージを注射されたマウスでは、両方の対照群(すなわち、未処置マウスおよび対照J774単球-マクロファージを注射されたマウス)と比較して、腫瘍の成長速度が有意により低いことを示している。データは、IL-31を発現する養子移植された単球-マクロファージの原発性腫瘍の成長に対する阻害効果を実証している。
【0069】
実施例3.IL-31で教育されたマクロファージの養子移植は、マウス乳癌モデルにおける腫瘍の成長を阻害する
これは、IL-31が、腫瘍で教育されたマクロファージ、つまり腫瘍抗原に対して向けられたマクロファージの抗腫瘍効果を高めることを示す概念実証例である。
【0070】
腫瘍抗原に対して向けられたマクロファージの例は、致死的に放射線照射された腫瘍細胞に曝露されたマクロファージ、腫瘍抗原についての受容体を発現する遺伝子改変マクロファージ、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子改変マクロファージ、および患者由来の抗原提示細胞(樹状細胞)と共培養されるマクロファージが含まれる。
【0071】
本実施例では、この意見を支持する実現可能性の証拠がある。この実験において、マクロファージは、致死的に放射線照射された腫瘍細胞にインビボで曝露され、単離され、かつIL-4で処置される。IL-4処置は、通常マクロファージを腫瘍促進マクロファージ(腫瘍関連マクロファージ)に変える腫瘍からの信号を模倣する働きをする。IL-31でのマクロファージの処置の後、腫瘍抗原およびIL-31について教育を受けたマクロファージが抗腫瘍活性を実証することが見出された。これは、腫瘍抗原へのマクロファージの教育(例では致死的に放射線照射された細胞であるが、CARなどのそのような教育を確実にする他の方法であり得る)がIL31とともに抗腫瘍反応を増加させることを強調している。
【0072】
マクロファージを腫瘍促進から抗腫瘍表現型に分極化するIL-31の能力を試験するために、以下の実験が実施された。マクロファージは、チオグリコレート刺激BALB/cマウスの腹腔から採取された。次に、マクロファージはex vivoでIL-4およびIL-31の組み合わせで処置された。IL-4処置は、マクロファージを腫瘍促進M2表現型に向けて分極化する働きをする(Mantovani and Locati,2013)。IL-31との同時処置は、マクロファージを腫瘍促進から抗腫瘍表現型に分極化するIL-31の能力を試験する。このプロトコルに従って処置されたマクロファージ(すなわち、IL-4およびIL-31で同時処置されたマクロファージ)は、以後、IL-31で教育されたマクロファージと呼ばれる。続いて、IL-31で教育されたマクロファージがEMT6乳癌腫瘍を有するマウスへ注射され、腫瘍の成長は経時的に観察された。図3Aは、マクロファージを注射されなかった対照マウスと比較して、IL-31で教育されたマクロファージを投与されたマウスにおいて腫瘍の成長速度が有意に低下したことを実証している。26日目に、マクロファージで処置したマウスの腫瘍は、未処置のマウスの腫瘍よりも約3倍小さかった。加えて、IL-31で教育されたマクロファージを受けたマウスは、未処置のマウスと比較して14日間の生存利益を有していた。(図3B)。データは、養子移植された、IL-31で教育されたマクロファージの治療効果を実証している。
【0073】
参考文献
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図1
図2A
図2B
図3A
図3B
【配列表】
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