(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-07
(45)【発行日】2024-08-16
(54)【発明の名称】毛布
(51)【国際特許分類】
A47G 9/06 20060101AFI20240808BHJP
B32B 3/04 20060101ALI20240808BHJP
B32B 5/02 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
A47G9/06 C
B32B3/04
B32B5/02 Z
(21)【出願番号】P 2021505667
(86)(22)【出願日】2019-08-01
(86)【国際出願番号】 US2019044701
(87)【国際公開番号】W WO2020028685
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-05-12
(32)【優先日】2018-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515284526
【氏名又は名称】イエティ クーラーズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Yeti Coolers,LLC
【住所又は居所原語表記】7601 Southwest Parkway,AustinTX 78735,USA
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100224775
【氏名又は名称】南 毅
(72)【発明者】
【氏名】ロジャーズ、カイル エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ダウ、ジョン ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】デローシュ、ドナルド エドワード
(72)【発明者】
【氏名】エリソン、エリン ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】サリバン、デレク
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-017485(JP,A)
【文献】実開昭53-029513(JP,U)
【文献】特開2016-087175(JP,A)
【文献】登録実用新案第3194691(JP,U)
【文献】実開昭62-029171(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2002/0095725(US,A1)
【文献】登録実用新案第3073862(JP,U)
【文献】特表2010-516513(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0196381(US,A1)
【文献】登録実用新案第3034224(JP,U)
【文献】特開2000-297944(JP,A)
【文献】特開2010-208347(JP,A)
【文献】特開2014-028513(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 9/06
B32B 3/04
B32B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上縁部、前記上縁部の反対側の下縁部、前記上縁部から前記下縁部まで延在する左縁部、および前記左縁部の反対側の前記上縁部から前記下縁部まで延在する右縁部を含む織物層と、
前記織物層に接続された防水コーティングを含むベース層と、
複数のコーナユーティリティループであって、各コーナユーティリティループの第1の端部が、前記上縁部、前記下縁部、前記左縁部、および前記右縁部のいずれか1つである第1の縁部で前記織物層に取り付けられ、各コーナユーティリティループの第2の端部が、前記第1の縁部に隣接する、前記上縁部、前記下縁部、前記左縁部、および前記右縁部のいずれか1つである第2の縁部で前記織物層に取り付けられている、複数のコーナユーティリティループと、
少なくとも1つの面で前記織物層に取り付けられた少なくともサイドユーティリティループと、
前記織物層と前記ベース層との間に位置する断熱層および接着性スクリム層であって、ステッチされた層状部材が、キルティングパターンを使用して、前記断熱層と前記接着性スクリム層を前記織物層に一緒にステッチすることによって形成されている、断熱層および接着性スクリム層と
を備え、
前記ベース層が、前記接着性スクリム層上の接着剤によって前記ステッチされた層状部材に取り付けられ、
前記ステッチされた層状部材の一部が、内側に折り畳まれて、ステッチされた層状部材の折り畳み部分を形成し、前記ベース層の一部が、内側に折り畳まれて、ベース層の折り畳み部分を形成し、第1のステッチングが、前記ステッチされた層状部材の折り畳み部分を1回、前記ベース層の折り畳み部分も1回貫通し、第2のステッチングが、前記ステッチされた層状部材の折り畳み部分を2回、前記ベース層の折り畳み部分も2回貫通する、
毛布。
【請求項2】
前記ベース層が、前記ベース層の第1の面に前記防水コーティングを有し、前記ベース層の前記第1の面が前記織物層に向かって配向されている、請求項1に記載の毛布。
【請求項3】
前記キルティングパターンがダイヤモンドパターンで配置されている、請求項1に記載の毛布。
【請求項4】
前記第2のステッチングが、前記第1のステッチングよりも前記毛布
の外周縁部か らさらに内側に間隔を置いて配置されている、請求項
1に記載の毛布。
【請求項5】
前記毛布が、剥離強度試験方法によって決定されるような4キログラム重~7キログラム重の範囲内の剥離強度を有し、前記剥離強度試験方法が、引張試験機の上側ジョーが前記引張試験機の下側ジョーから毎分100ミリメートルの速度で離れるステップを含む、請求項
4に記載の毛布。
【請求項6】
前記毛布が、静水圧試験を使用して試験したときに、20,000mm~40,000mmカラム圧の範囲内の防水定格を有する、請求項
4に記載の毛布。
【請求項7】
前記毛布が、層間強度試験方法によって決定されるような42キログラム重~46キログラム重の範囲内の層間強度を有し、前記層間強度試験方法が、引張試験機の上側ジョーが前記引張試験機の下側ジョーから毎分100ミリメートルの速度で離れるステップを含む、請求項
4に記載の毛布。
【請求項8】
織物層の折り畳み部分が、前記織物層の一部を内側に折り畳むことによって形成され、
ベース層の折り畳み部分が、前記ベース層の一部を内側に折り畳むことによって形成され、
前記複数のコーナユーティリティループのうちの少なくとも1つのコーナユーティリティループが、前記織物層の折り畳み部分と前記ベース層の折り畳み部分との間に取り付けられている、請求項1に記載の毛布。
【請求項9】
織物層を断熱層上に、および接着性メッシュスクリム層を前記断熱層の下に配置して、層状部材を形成するステップと、
前記層状部材をステッチして、ステッチされた層状部材を形成するステップであって、前記ステッチされた層状部材が、キルティングパターンを使用して表面全体にわたって一緒にステッチされている、ステップと、
前記ステッチされた層状部材の前記織物層上にベース層を配置するステップであって、前記ベース層が、防水コーティングを有する第1の面および前記第1の面の反対側の第2の面を有し、前記防水コーティングを有する前記第1の面が前記織物層の外面に面している、ステップと、
前記ベース層の少なくとも3つの外周縁部に近接して、第1のステッチングを使用して、前記ベース層を前記ステッチされた層状部材に一緒にステッチして、毛布サブアセンブリを形成するステップと、
前記織物層の前記外面を露出させ、前記ベース層の前記第2の面を露出させるように、前記毛布サブアセンブリを裏返すステップと、
前記ベース層の前記第1の面を前記接着性メッシュスクリム層に付着させるように前記毛布サブアセンブリを積層するステップと、
前記ステッチされた層状部材の一部を内側に折り畳んで、前記ステッチされた層状部材の折り畳み部分を形成し、前記ベース層の一部を内側に折り畳んで、前記ベース層の折り畳み部分を形成し、次いで、前記ステッチされた層状部材の折り畳み部分を前記ベース層の折り畳み部分に第2のステッチングでステッチするステップとを含み、前記第2のステッチングが前記第1のステッチングの内側に位置する、
毛布を形成する方法。
【請求項10】
前記毛布サブアセンブリを積層するステップが、熱および圧力を加えることを含む、請求項
9に記載の毛布を形成する方法。
【請求項11】
前記接着性メッシュスクリム層が、ポリエステル材料およびポリオレフィン系接着剤を含む、請求項
9に記載の毛布を形成する方法。
【請求項12】
前記ステッチされた層状部材と前記ベース層との間に少なくとも1つのユーティリティループを配置し、前記少なくとも1つのユーティリティループを前記ステッチされた層状部材および前記ベース層にステッチするステップ、
をさらに含む、請求項
9に記載の毛布を形成する方法。
【請求項13】
前記毛布が、剥離強度試験方法によって決定されるような4キログラム重~7キログラム重の範囲内の剥離強度を有し、前記剥離強度試験方法が、引張試験機の上側ジョーが前記引張試験機の下側ジョーから毎分100ミリメートルの速度で離れるステップを含む、請求項
9に記載の毛布を形成する方法。
【請求項14】
前記毛布が、静水圧試験で試験したときに、20,000mm~40,000mmカラム圧の範囲内の防水定格を有する、請求項
9に記載の毛布を形成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年8月2日に出願された米国特許出願第16/053,024号の利益および優先権を主張し、その内容は、すべての非限定的な目的のためにその全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、防水層を有する毛布に関する。
【背景技術】
【0003】
毛布は、寝具、ピクニック、スポーツイベントのスタジアムで使用されるなど、様々な用途を有する。一般に、毛布は、人々を保温するために、または人々を風雨から守るために使用される。防水毛布の使用は、保温に役立つだけでなく、湿気からの保護のレベルをさらに高める。しかしながら、防水毛布は、不快な場合があり、十分な防湿バリアを提供しない場合がある。加えて、層状構造から形成された毛布は、最下層が最上層に対して相対的に移動し得るように分離することがあり、これは、毛布を不快なものにするだけでなく、相対的な移動による耐久性の問題にもつながる可能性がある。防水性があり、かつ層間の相対移動を受けにくい毛布が望ましい場合がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の概要は、以下の詳細な説明においてさらに説明される概念の抜粋を簡略化された形態で紹介するために提供される。本発明の概要は、特許請求される主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図していないだけでなく、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されることも意図していない。
【0005】
本開示の一部の態様は、上縁部、上縁部の反対側の下縁部、上縁部から下縁部まで延在する左縁部、および左縁部の反対側の上縁部から下縁部まで延在する右縁部を有する織物層と、織物層に接続された防水層を含むベース層と、複数のコーナユーティリティループであって、各コーナユーティリティループの第1の端部が、第1の縁部で織物層に取り付けられ、各コーナユーティリティループの第2の端部が、第1の縁部に隣接する第2の縁部で織物層に取り付けられている、複数のコーナユーティリティループと、少なくとも1つの面で織物層に取り付けられた少なくとも1つのサイドユーティリティループと、を含む毛布に関することができる。ベース層は、ベース層の第1の面に防水コーティングを有することができ、ベース層の第1の面が織物層に向かって配向されている。毛布は、織物層とベース層との間に配置された断熱層および接着性スクリム層を含むこともできる。加えて、ステッチされた層状部材は、キルティングパターンを使用して、断熱層および接着性スクリム層を織物層に一緒にステッチすることによって形成することができ、キルティングパターンは、ダイヤモンドパターンで配置されてもよい。ベース層は、ステッチされた層状部材に接着剤によって取り付けられてもよく、また、毛布の外周縁部近くで第1のステッチングを使用して、ステッチされた層状部材にさらに取り付けられてもよく、第1のステッチングは、ステッチされた層状部材を1回、ベース層を1回貫通する。ベース層は、毛布の外周縁部近くで第2のステッチングを使用して、ステッチされた層状部材にさらに取り付けられてもよく、第2のステッチングは、ステッチされた層状部材を2回、また、ベース層を2回貫通し、第2のステッチングは、第1のステッチングよりも毛布の外周縁部からさらに内側に間隔を置いて配置されている。
【0006】
本開示のさらに他の態様は、織物層の折り畳み部分とベース層の折り畳み部分との間に取り付けられた複数のコーナユーティリティループのうちの少なくとも1つのコーナユーティリティループを有する毛布に関することができ、複数のコーナユーティリティループのうちの少なくとも1つのコーナユーティリティループは、ベース層のコーナから50mm以下、延在することができる。毛布は、剥離強度試験方法により決定されるような、4キログラム重~7キログラム重の範囲内の剥離強度を有することができ、剥離強度試験方法は、引張試験機の上側ジョーが引張試験機の下側ジョーから毎分100ミリメートルの速度で離れるステップを含む。また、毛布は、静水圧試験で試験したときに、20,000mm~40,000mmカラム圧の範囲内の防水定格を有することができる。毛布は、層間強度試験方法によって決定されるような、42キログラム重~46キログラム重の範囲内の層間強度を有することもでき、層間強度試験方法は、引張試験機の上側ジョーが引張試験機の下側ジョーから毎分100ミリメートルの速度で離れるステップを含む。
【0007】
本開示のさらに他の態様は、織物層を断熱層上に、および接着性メッシュスクリム層を断熱層の下に配置するステップと、織物層、断熱層、および接着性メッシュスクリム層を一緒にステッチして、ステッチされた層状部材を形成するステップであって、ステッチされた層状部材が、キルティングパターンを使用して表面全体にわたって一緒にステッチされる、ステップと、ベース層を織物層上に配置するステップであって、ベース層が、防水コーティングを有する第1の面および第1の面の反対側の第2の面を有し、防水コーティングを有する第1の面が織物層の外面に面している、ステップと、を含む毛布を形成する方法に関することができる。本方法は、ベース層の少なくとも3つの外周縁部に沿って、第1のステッチングを使用して、ベース層をステッチされた層状部材に一緒にステッチして、毛布サブアセンブリを形成するステップと、織物層の外面を露出させ、ベース層の第2の面を露出させるように、毛布サブアセンブリを裏返すステップと、ベース層の第1の面を接着性メッシュスクリム層に付着させるように毛布サブアセンブリを積層するステップと、をさらに含むことができる。毛布サブアセンブリを積層するステップは、熱および圧力を加えることを含むことができる。本方法は、ステッチされた層状部材とベース層との間に少なくとも1つのユーティリティループを配置し、少なくとも1つのユーティリティループをステッチされた層状部材およびベース層にステッチするステップをさらに含むことができる。本方法は、ステッチされた層状部材の一部を内側に折り畳んで、ステッチされた層状部材の折り畳み部分を形成し、ベース層の一部を内側に折り畳んで、ベース層の折り畳み部分を形成し、次いで、ステッチされた層状部材の折り畳み部分をベース層の折り畳み部分に第2のステッチングでステッチするステップであって、第2のステッチングが第1のステッチングの内側に位置する、ステップも含むことができる。さらに、接着性メッシュスクリム層は、ポリエステル材料およびポリオレフィン系接着剤を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明は、例として示されており、同様の参照番号が同様の要素を示す添付の図に限定されない。
【0009】
【
図1】本明細書に記載の1つまたは複数の態様による毛布の上面斜視図である。
【0010】
【
図2】本明細書に記載の1つまたは複数の態様による
図1の毛布の上面図である。
【0011】
【
図3】本明細書に記載の1つまたは複数の態様による
図1の毛布の底面図である。
【0012】
【
図4】本明細書に記載の1つまたは複数の態様による
図1の毛布の正面図である。
【0013】
【
図5】本明細書に記載の1つまたは複数の態様による
図2の毛布の断面の部分図である。
【0014】
【
図6】本明細書に記載の1つまたは複数の態様による
図3の毛布の部分図である。
【0015】
【
図7】本明細書に記載の1つまたは複数の態様による
図3の毛布の部分図である。
【0016】
【
図8】本明細書に記載の1つまたは複数の態様による
図7の毛布の部分断面図である。
【0017】
【
図9A】本明細書に記載の1つまたは複数の態様による
図1の毛布の製造プロセスの部分断面図である。
【
図9B】本明細書に記載の1つまたは複数の態様による
図1の毛布の製造プロセスの部分断面図である。
【
図9C】本明細書に記載の1つまたは複数の態様による
図1の毛布の製造プロセスの部分断面図である。
【
図9D】本明細書に記載の1つまたは複数の態様による
図1の毛布の製造プロセスの部分断面図である。
【0018】
【
図10】本明細書に記載の1つまたは複数の態様による毛布の層のうちの1つの部分拡大斜視図である。
【0019】
【
図11】本明細書に記載の1つまたは複数の態様による毛布の一部の剥離強度試験の側面概略図である。
【0020】
【
図12】本明細書に記載の1つまたは複数の態様による毛布の一部の層間強度試験の側面概略図である。
【0021】
さらに、図面は、1つの単一の実施形態の異なる構成要素の縮尺を表す場合があるが、開示された実施形態は、その特定の縮尺に限定されないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明による様々な例示的な構造の以下の説明では、その一部を形成し、本発明の態様が実施可能な様々な例示的なデバイス、システム、および環境を例示として示す添付の図面を参照する。本発明の範囲から逸脱することなく、部品、例示的なデバイス、システム、および環境の他の特定の配置を利用することができ、構造的および機能的変更を行うことができることを理解されたい。また、本明細書では、「上」、「下」、「前」、「後」、「横」、「後」などの用語を使用して、本発明の様々な例示的な特徴および要素を説明することがあるが、これらの用語は、本明細書では、便宜上、例えば、図に示されている例示的な配向または典型的な使用中の配向に基づいて使用されている。さらに、「複数」という用語は、本明細書で使用される場合、必要に応じて、分離的または結合的のいずれかで、無限の数までの2以上の任意の数を示す。本明細書のいかなるものも、本発明の範囲内に含めるために構造の特定の三次元配向を必要とすると解釈されるべきではない。
【0023】
一般に、本開示の態様は、毛布、特に少なくとも1つの防水層を有する毛布100に関する。毛布100は、上面102と、底面104と、上縁部106と、上縁部106の反対側の下縁部108と、上縁部106から下縁部108まで延在する左縁部110と、左縁部110の反対側の上縁部106から下縁部108まで延在する右縁部112と、を有することができる。加えて、コーナ縁部114は、隣接する縁部を接続することができる。
図1~
図8の例示的な実施形態に示すように、コーナ縁部114は、湾曲した縁部を含むことができるが、代替として、コーナ縁部114は、面取りされたコーナの外観を与える直線であってもよく、または別の選択肢として、複数の縁部106、108、110、112は、コーナ縁部なしで延在し、互いに接触することができる。これらの縁部106、108、110、112は、任意選択のコーナ縁部114とともに、毛布100の外周縁部116を形成することができる。
【0024】
毛布100は、織物層118、ベース層120、断熱層122、および接着性スクリム層124を含むことができるように、複数の層を含むことができる。織物層118の縁部は、毛布100の織物層118の折り目または畳み目に沿って形成することができる、毛布100の縁部106、108、110、112、114と一致する縁部を有することができる。複数の層は、織物層118が最上層として位置し、ベース層120が最下層として位置し、断熱層122および接着性スクリム層124が織物層118とベース層120との間に位置するように配置することができる。より具体的には、
図5に示すように、織物層118は、断熱層122に隣接するか、または断熱層122の上にあってもよく、接着性スクリム層124は、断熱層122とベース層120との間にあってもよく、ベース層120は、最下層であってもよい。ベース層120は、防水コーティングを有する第1の面と、第1の面の反対側の第2の面と、を有することができる。ベース層120の第1の面136は、防水コーティングを含む第1の面136が織物層118に面するように配向され、第2の面138が外面として配置されるように、ベース層120の内面として配向されてもよい。織物層118は、露出した外面126と、断熱層122と接触した内面128と、を有することができる。層118、120、122、124のそれぞれは、上面図から見たときに同じサイズであってもよく、各層は同じ表面積を有する。
【0025】
織物層118、断熱層122、および接着性スクリム層124は、キルティングパターン140によって毛布の表面全体にわたって一緒にステッチされて、ステッチされた層状部材150を形成することができる。例えば、
図1~
図8の例示的な実施形態に示すように、キルティングパターン140は、織物層118の外面126にわたって延在する複数のダイヤモンド形状として配置されたステッチング142、144の列によって形成されてもよい。キルティングパターン140は、上縁部106に対してある角度で配向され、約8インチ(約203mm)離間して、または6インチ(154mm)~10インチ(254mm)の範囲内に位置決めされた複数列の平行なステッチング142の第1のセットと、ステッチング142の第1のセットに対してある角度で、好ましくは直角に配向された、同様に間隔を置いて配置された複数列の平行なステッチング144の第2のセットと、を有することができる。両方のセット142、144の複数列のステッチングは、等間隔に配置されてもよい。代替として、または任意選択で、キルティングパターン140は、正方形、長方形、六角形、または他の多角形などであってもよいがこれらに限定されない任意の幾何学的形状の配列であってもよい。
【0026】
以下でより詳細に説明するように、ステッチされた層状部材150は、積層プロセスの後に、ステッチされた層状部材150およびベース層120が、毛布100を引っ張る引張力および/または剪断力を受けたときに、全体的に、層間の分離がほとんどまたはまったくない状態で一緒に移動することができるように、ベース層120に積層されてもよい。換言すれば、毛布100は、快適な織物層118と防水ベース層120との多層構造の利点を依然として提供しながら、全体的に、単層または単一部材のように移動および機能する。加えて、ステッチされた層状部材150を接着剤で接合されたベース層120と組み合わせることにより、毛布100の全体的な強度が増加する。例えば、毛布100は、約5キログラム重(kgf)の力または4kgf~7kgfの範囲内の力を受けたときに、あるいは4kgf~10kgfの範囲内の力の下で、毛布100の層が分離したり、裂けたりしないことを意味する剥離強度を有することができる。毛布100の剥離強度を試験するために、毛布100Aの一部が、以下に記載されるような剥離強度試験方法を使用して引っ張られる。
図11は、毛布100の例示的な剥離強度試験方法を示す。剥離強度を決定するために、毛布試験領域100Aが毛布100から切り取られる。例えば、毛布試験領域100Aは、約150mmの長さおよび約50mmの幅を有する。ステッチされた層状部材150を引張試験機20の上側ジョー22にクランプし、ベース層120を引張試験機20の下側ジョー24にクランプするのに十分な材料を提供するために、長さ50mmの縁部のうちの1つに沿って、接合された縁部のうちの1つにわずかな層間剥離が形成されてもよい。剥離強度試験方法は、引張試験機20を使用して、上側ジョー22を下側ジョー24から所定の速度で離すことによって力を付与するように実行することができる。所定の速度は、一般に、毎分100ミリメートル(mm/分)の一定速度である。ジョー22、24が互いに離れるにつれ、ひずみフロントが毛布試験領域100Aの縁部に沿って生成されることがあり、これにより、層がゆっくりと分離する。ジョーを移動させるために引張試験機によって加えられる力は、層が分離されるときに測定される。試験は、加えられた力が、毛布100の層118、120、122、124のうちの1つ、接着剤、またはステッチングのいずれかにおいて、毛布試験領域100Aに破損を引き起こし、その結果、破損が試験領域100Aの全幅にわたって延在し、毛布試験領域100Aの長さが完全に引き離されたときに、完了する。例えば、サンプルの長さは、約150mmであるため、試験領域100Aが破損したとき、ジョー22、24は、約300mm離れていてもよい。例えば、破損は、層のうちの1つの裂け目、ベース層120間の接着剤の分離、または層と接着剤が機能しなくなることとの何らかの組合せからなる可能性がある。さらに、層118、120、122間のステッチング142、144は、ベース層120とステッチされた層状部材150との間の接着剤が機能しなく前に機能しなくなることがあるが、他の実施形態では、ベース層120とステッチされた層状部材150との間の接着剤は、層118、120、122間のステッチング142、144の前に機能しなくなることがある。剥離強度は、毛布試験領域100Aを破損するまで引っ張るための試験中に記録された平均力として決定することができる。
【0027】
毛布100の強度の別の例として、毛布の層間強度がある。毛布は、約44kgfの、または42kgf~46kgfの範囲内の、または40kgf~50kgfの範囲内の層間強度を有することができる。毛布100の層間強度を試験するために、毛布100は、以下に記載される層間強度試験方法を使用して、引張試験機20を使用して破損するまで引っ張ることができる。
図12は、毛布100の例示的な層間強度試験を示す。ジョー22、24内に把持された毛布100の部分は、各ジョー22、24が両側から毛布100の一部を挟むように、
図12に示すように折り畳まれもよい。織物層118は、上側ジョー22にクランプされてもよく、ベース層120は、下側ジョー24にクランプされてもよい。引張試験機20は、上側ジョー22を下側ジョー24から所定の速度で離すことによって、毛布100に力を加えることができる。所定の速度は、一般に、毎分100ミリメートル(mm/分)の一定速度である。ジョー22、24が互いに離れるときに、ジョーを移動させるのに必要な加えられた力が測定される。上側ジョー22は、毛布100の複数の層を把持することができる。例えば、
図12に示すように、上側ジョー22は、織物層118および断熱層122の両方を把持する。さらに、下側ジョー24は、毛布100の複数の層を把持することができる。例えば、
図12に示すように、下側ジョー24は、ベース層120およびスクリム層124の両方を把持する。ジョー22、24は、約63.6mmの幅を有することができ、したがって、ジョー内で把持された毛布100の部分の幅は、ジョー22、24と同じ幅の約63.6mmを有することができる。ジョー22、24内で把持された毛布100の部分は、キルティングパターン140の幾何学的形状のうちの1つのステッチされた面に向かって伏勢されてもよい。例えば、ジョー22、24内で把持された毛布100の部分は、キルティングパターン140の幾何学的形状を形成するステッチング142、144の線から約65mm間隔を置いて配置されてもよく、ジョー22、24は、ステッチング142、144の列のうちの1つに略平行に配向される。試験は、引張試験機からの加えられた力が毛布100の層118、120、122、124のうちの1つ、接着剤、またはステッチングのいずれかにおいて毛布100に破損を引き起こし、その結果、破損が毛布100の把持部分の幅全体にわたって延在したときに完了する。例えば、破損は、ジョー22、24に挟まれた毛布100の部分に最も近いステッチング142、144の線が裂けて緩むことであってもよい。層間強度は、毛布100の把持部分を破損するまで引っ張るための試験中に記録された平均力として決定することができる。
【0028】
毛布100は、形状が略長方形であってもよいが、正方形、円形、楕円形、または他の多角形などの任意の形状であってもよい。例示的な実施形態のように、上下の縁部106、108は、左右の縁部110、112よりも長くてもよい。
【0029】
加えて、複数のユーティリティループ130を、毛布100の外周縁部116の近くに取り付けることができる。ユーティリティループ130は、毛布を様々なアイテムに取り付けるために使用されてもよく、ハンドルとして使用されてもよく、またはユーザが必要とすることがある他の機能において使用されてもよい。コーナユーティリティループ130Aは、毛布100のコーナに位置してもよく、サイドユーティリティループ130Bは、辺に沿って位置してもよい。例えば、
図1~
図8に示す毛布100の例示的な実施形態は、各コーナのコーナユーティリティループ130Aと、上縁部106および下縁部108の両方の中心に近接して位置する単一のサイドユーティリティループ130Bと、を含む。代替として、または任意選択で、各縁部106、108、110、112には、複数のユーティリティループ130が取り付けられてもよく、ユーティリティループ130は、毛布100の縁部に沿って等間隔に配置されてもよい。各ユーティリティループ130は、織物層118の折り畳み部分とベース層120の折り畳み部分との間で毛布100に取り付けられてもよい。ウェビングステッチング146は、ユーティリティループ130を毛布100に固定することができる。ステッチング146は、
図8に示すように、ユーティリティループの各端部132、134を貫通するのみならず織物層118およびベース層120を貫通することができる。加えて、複数のユーティリティループ130を取り付けるステッチング146は、織物層118、ベース層120、断熱層122、および接着性スクリム層124を含む各層を貫通することができる。ステッチング146はまた、ステッチされた層状部材150とベース層120とを接合する、以下でより詳細に説明される第2の外周ステッチング156と実質的に同じ場所に位置しても、または同一直線上にあってもよい。
【0030】
各ユーティリティループ130は、第1の端部132および第1の端部132の反対側の第2の端部134において毛布100に取り付けられた帯ひもまたはストラップを含むことができ、ストラップ部分133が第1の端部132と第2の端部134との間に延在する。各ユーティリティループ130は、コーナユーティリティループ130Aおよびサイドユーティリティループ130Bの両方ともが、ベース層120上に折り畳まれたときに、毛布100の最も近い外周縁部116から50mm以下の距離、内側に延在することができる。ユーティリティループ130は、12.7mm~19.1mmの範囲内、または9.5mm~25.4mmの範囲内の幅を有することができる。加えて、コーナユーティリティループ130Aは、サイドユーティリティループ130Bよりも広い幅を有することができる。一例として、コーナユーティリティループ130Aは、約19.1mmの幅を有することができ、一方、サイドユーティリティループ130Bは、約12.7mmの幅を有することができる。加えて、ユーティリティループ130は、約1mm、または0.5mm~2mmの範囲内の厚さを有することができる。ユーティリティループ130は、ポリエステルウェビングまたは当業者に知られている他のタイプの織布から形成することができる。代替として、または任意選択で、ユーティリティループ130は、ユーザが毛布を様々なアイテムに取り付けることを可能にするための、任意の種類のバックル、トグル、スナップ、ボタン、または他の固定手段を含むことができる。
【0031】
図9A~
図9Dに示すように、毛布100は、複数の層から組み立てることができる。最初に、織物層118は、接着性メッシュ「スクリム」層124が断熱層122の下に配置された状態で、断熱層122の上に配置されて、層状部材148を形成することができる。次に、層状部材148は、上述したようにキルティングパターン140を使用してその表面全体にわたって一緒にステッチされて、ステッチされた層状部材150を形成することができる。次いで、ベース層120を、防水コーティングを有する第1の面136が織物層118の外面126に面した状態で配置することができ、その結果、織物層118とベース層120の配向が最終的な毛布100の裏返し構成となる。次いで、ベース層120は、外周縁部のうちの少なくとも3つに近接して、ステッチされた層状部材150にステッチされて、毛布サブアセンブリ152を形成することができる。毛布サブアセンブリ152の外周縁部に近接するこの第1の外周ステッチング154は、ステッチされた層状部材150の各層を少なくとも1回、ならびにベース層120を少なくとも1回貫通することができる。
【0032】
ベース層120が少なくとも3つの辺で、ステッチされた層状部材150にステッチされた後、毛布サブアセンブリ152は、織物層118の外面126を上面として露出させ、ベース層120の第2の面
136を底面として露出させるように、裏返し構成から裏返すことができ、その結果、織物層118およびベース層120が毛布100に対して適切な配向になる。第1の外周ステッチング154は、毛布サブアセンブリ152の以前にステッチされていない外周縁部に近接して完了することができる。この適切な配向になると、毛布サブアセンブリ152は、外周縁部116に近接して第2のステッチングプロセスを受けることができ、ベース層120は、毛布サブアセンブリ152の外周に近接して、第2の外周ステッチング156を使用して、ステッチされた層状部材150に取り付けられ、第2の外周ステッチング156は、ステッチされた層状部材150を2回、ベース層120を2回貫通することができる。例えば、ステッチされた層状部材150の一部およびベース層120の一部は、
図9Cに示すように、内側に折り畳まれてもよく、第2の外周ステッチング156が、ステッチされた層状部材150およびベース層120を2回貫通すること可能にする。さらに、この第2の外周ステッチング156は、第1の外周ステッチング154の内側に位置することができる。
【0033】
次に、毛布サブアセンブリ152は、接着性スクリム層124上の接着剤を活性化して、ベース層120の第1の面136を接着性スクリム層124に付着させて、接着剤で取り付けるために、毛布サブアセンブリ160にわたって熱および/または熱と圧力の両方を加える当業者に知られている積層プロセスにかけられてもよい。積層プロセスは、毛布サブアセンブリ152を平坦な表面にわたって配置し、次いで、加熱されたプラテンをベース層120の表面領域全体に適用することを含んでもよい。プラテンからの熱と圧力のこの組合せは、スクリム層124上の接着剤を活性化することができる。活性化されると、スクリム層上の接着剤は、ベース層120の防水コーティングとの結合を形成し、同時にスクリム層124を接着剤内に閉じ込めることもできる。加えて、スクリム層124の接着剤は、断熱層122と結合することもできる。このプロセスは、毛布100を一体化して、層118、120、122、124間のいかなる移動または分離も防止するのに役立つ。プラテンは、数分間だけ毛布100のベース層120と接触すればよい。次いで、接着剤は、硬化プロセス中にポリマー系接着剤が架橋するときに最大の強度が得られる前に、3~7日間硬化し続けることができる。別の選択肢として、熱および圧力は、ベース層120を横切って移動する加熱されたローラを含む積層プロセスを使用して加えられてもよい。さらに別の選択肢として、接着性スクリム層124上の接着剤は、RF溶接技法を使用して活性化されてもよい。
【0034】
上述したように、毛布100は、ベース層120が濡れた表面上に配置されている間に、平均的な成人の体重およびプロファイルが織物層118上に配置された場合でも、毛布100が下からの水の浸入を防止するように、防水性であってもよい。例えば、毛布100は、ASTMD751-06手順Aに従ったMullenHydrostatic試験方法、または類似の静水圧試験法あるいは同等の方法を用いて試験した場合、約30m(30,000mm)カラム圧、または約30m(30,000mm)カラム圧もしくは約35m(35,000mm)カラム圧の範囲内、または約20m(20,000mm)カラム圧もしくは約40m(40,000mm)カラム圧の範囲内の静水圧に耐えることができる。
【0035】
上述したように、毛布100は、複数の層から形成されてもよい。例えば、織物層118は、ポリエステルレーヨンスパンデックス綾織り材料、または同様の材料などの、毛布100に柔らかな感触と、十分な量の伸縮性および動きとを提供する材料から形成することができる。断熱層122は、ポリエステル材料などの、クッション性と断熱の両方を提供する材料から形成することができる。断熱層122の布重量は、約180グラム/平方メートル(gsm)、または160gsm~200gsmの範囲内、または100gsm~200gsmの範囲内、または100gsm~300gsmの範囲内であってもよい。接着性スクリム層124は、接着剤が注入された織られたポリエステルメッシュ材料を含んでもよい。スクリム層124上の接着剤は、ポリオレフィン、熱可塑性ポリウレタン系接着剤、または当業者に知られている他の同様の接着剤などのポリマー系接着剤であってもよい。スクリム層124上の接着剤は、熱活性化されてもよく、断熱層122とベース層120の両方に結合することが可能であってもよい。ポリマー系接着剤が例示的な実施形態の毛布100に使用されているが、当業者は、様々な層の材料に応じて異なる接着剤を選択することができる。さらに、
図10は、スクリム124層の拡大部分を示す。
図10に示すように、スクリム層124は、接着剤のないメッシュに沿った小さな空間が形成されるようにメッシュスクリム材料を裏打ちするドット、ディスク、または液滴158のように見えることがある複数の位置に、メッシュとともに接着剤が塗布されたメッシュ様材料であってもよい。したがって、接着剤は、硬化プロセス中に接着剤が流れることを可能にすることがあるスクリム材料の表面積全体をカバーしなくてもよい。
【0036】
ベース層120は、第1の面136に防水コーティングを有するポリエステル材料または同様のタイプの材料から形成されてもよい。例えば、ベース層120は、600Dポリエステル材料から形成されてもよいが、当業者は、ユーザに提供することが望まれる耐久性および感触に基づいて適切な材料を選択することができる。防水コーティングは、ポリウレタン系コーティングであってもよく、ベース層120の製造中に押出積層プロセスを使用して塗布されてもよい。これにより、ベース層の防水性が向上する。例えば、ベース層120は、ASTMD751-06手順Aに従ったMullenHydrostatic試験方法、または類似の静水圧試験法あるいは同等の方法を用いて試験した場合、約30m(30,000mm)カラム圧、または約30m(30,000mm)カラム圧もしくは約35m(35,000mm)カラム圧の範囲内、または約20m(20,000mm)カラム圧もしくは約40m(40,000mm)カラム圧の範囲内の静水圧に耐えることができる。
【0037】
本開示は、様々な例を参照して、上記および添付の図面に開示されている。しかしながら、本開示によって提供される目的は、本開示に関連する様々な特徴および概念の例を提供することであり、本発明の範囲を限定することではない。当業者であれば、上記で述べた例に対し数多くの変形および変更が、本開示の範囲を逸脱することなく、なされ得ると認識するであろう。