(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-07
(45)【発行日】2024-08-16
(54)【発明の名称】N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-A]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミドの固体形態
(51)【国際特許分類】
C07D 487/04 20060101AFI20240808BHJP
A61K 31/155 20060101ALI20240808BHJP
A61K 31/198 20060101ALI20240808BHJP
A61K 31/255 20060101ALI20240808BHJP
A61K 31/417 20060101ALI20240808BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20240808BHJP
A61K 31/541 20060101ALI20240808BHJP
A61K 31/555 20060101ALI20240808BHJP
A61K 31/7036 20060101ALI20240808BHJP
A61K 31/7048 20060101ALI20240808BHJP
A61K 33/00 20060101ALI20240808BHJP
A61K 33/42 20060101ALI20240808BHJP
A61P 33/02 20060101ALI20240808BHJP
A61P 33/10 20060101ALI20240808BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
C07D487/04 145
A61K31/155
A61K31/198
A61K31/255
A61K31/417
A61K31/519
A61K31/541
A61K31/555
A61K31/7036
A61K31/7048
A61K33/00
A61K33/42
A61P33/02
A61P33/10
A61P43/00 121
C07D487/04 CSP
(21)【出願番号】P 2021518601
(86)(22)【出願日】2019-10-08
(86)【国際出願番号】 IB2019058535
(87)【国際公開番号】W WO2020075046
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-10-03
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2018/109415
(32)【優先日】2018-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504389991
【氏名又は名称】ノバルティス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100194423
【氏名又は名称】植竹 友紀子
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ,ユドン
(72)【発明者】
【氏名】ジアン,シイ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ホンヨン
(72)【発明者】
【氏名】コルディコウスキ,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】シア,メイ
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ボ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ジン
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ,イ
【審査官】藤代 亮
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-501177(JP,A)
【文献】国際公開第2004/078163(WO,A2)
【文献】特表2003-519698(JP,A)
【文献】川口洋子ら,医薬品と結晶多形,生活工学研究,2002年,Vol.4, No.2,p.310-317
【文献】"新医薬品の規格及び試験方法の設定について",医薬審発第568号,2001年05月01日
【文献】高田 則幸,創薬段階における原薬Formスクリーニングと選択,PHARM STAGE,Vol. 6, No. 10,2007年01月15日,pp. 20-25
【文献】山野光久,医薬品のプロセス研究における結晶多形現象への取り組み,有機合成化学協会誌,2007年09月01日,Vol.65, No.9,p.907(69)-913(75)
【文献】ファルマシア,2011年,Vol. 47, No. 11,Pages 1044-1048
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 487/04
A61K 31/155
A61K 31/198
A61K 31/255
A61K 31/417
A61K 31/519
A61K 31/541
A61K 31/555
A61K 31/7036
A61K 31/7048
A61K 33/00
A61K 33/42
A61P 33/02
A61P 33/10
A61P 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミド及びフマル酸を含む共結晶であって、
前記共結晶は、室温において0.15nmの波長のCuKα線で測定された場合
、24.7°±0.2°、23.9°±0.2°、16.0°±0.2°、及び13.4°±0.2°(2θ)から選択される3つ以上の2θピークを含むX線粉末回折パター
ンによって特徴付けられる、共結晶。
【請求項2】
室温において0.15nmの波長のCuKα線で測定された場合、24.7°±0.2°、23.9°±0.2°、及び16.0°±0.2°(2θ)の2θピークを含むX線粉末回折パターンを有する、請求項1に記載の共結晶。
【請求項3】
(a)0.15nmの波長のCuKα線で測定された場合、下記
図4に示されるX線粉末回折パターン、
【化4】
(b)10K/分の速度で30℃から300℃に加熱された場合、下記
図5に示される示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム、
【化5】
及び(c)10K/分の速度で30℃から300℃に加熱された場合、下記
図6に示される熱重量分析(TGA)ダイアグラム
【化6】
から選択される1つ以上によって特徴付けられる、請求項1に記載の共結晶。
【請求項4】
請求項1~
3の何れか一項に記載の共結晶を含む組成物。
【請求項5】
前記組成物の重量に基づいて少なくとも90重量%の前記共結晶を含む、請求項
4に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物の重量に基づいて80重量%を超える前記共結晶を含む、請求項
4に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1~
3の何れか一項に記載の共結晶と、薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物。
【請求項8】
請求項1~
3の何れか一項に記載の共結晶と、1つ以上の治療活性剤とを含む組み合わせ医薬。
【請求項9】
リーシュマニア症、シャーガス病及びヒトアフリカトリパノソーマ症から選択される障害又は疾患を処置するための医薬組成物であって、請求項1~
3の何れか一項に記載の共結晶を含み、任意選択により第2の物質
と組み合わせて使用される、医薬組成物。
【請求項10】
前記第2の物質は、(a)内臓リーシュマニア症又は皮膚リーシュマニア症の処置のためにはスチボグルコネート、アンチモン酸メグルミン、アンホテリシン、ミルテホシン及びパロモマイシン又はそれらの組み合わせ、(b)シャーガス病の処置のためにはベンズニダゾール、ニフルチモックス及びアンホテリシン又はそれらの組み合わせ、及び(c)ヒトアフリカトリパノソーマ症の処置のためにはペンタミジン、スラミン、メラルソプロール、エフロルニチン及びニフルチモックス又はそれらの組み合わせから選択される、請求項
9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
請求項1に記載の共結晶を調製するためのプロセスであって、(1)フマル酸を第1の溶媒に添加してフマル酸溶液を形成することと、(2)N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミドを第2の溶媒に添加してN-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミド溶液を形成することと、(3)前記N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミド溶液を適切な条件下で前記フマル酸溶液に添加してN-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミドフマル酸共結晶を形成することとを含むプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、その全体において参照により本明細書に組み込まれる、2018年10月9日提出のPCT/中国特許出願公開第2018/109415号明細書の利益を主張する。
【0002】
本発明は、N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミドの固体形態及びそれを作製する方法、それを含む医薬組成物並びにそれを使用する処置の方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミド(化合物I)は、リーシュマニア症、シャーガス病及び睡眠病に対する活性を有する、キネトプラスト類プロテアソームの選択的阻害剤である。それぞれキネトプラスト類寄生虫リーシュマニア(Leishmania)spp.、トリパノソーマ・クルージ(Trypanosoma cruzi)及びトリパノソーマ・ブルセイ(Trypanosoma brucei)spp.の感染によって引き起こされるこれらの疾患の罹患者は、世界で2000万人であり、年間の死者数は、50,000人を超える(Khare et al.,Nature(2016)537:229-233)。
【化1】
【0004】
化合物Iは、遊離形態化合物として国際公開第2015/095477号パンフレットに記載されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミドの固体形態を提供する。
【0006】
本発明の様々な列挙される実施形態が本明細書中に記載される。各実施形態で指定される特性は、本発明のさらなる実施形態を提供するために他の指定される特性と組み合わされ得る。
【0007】
実施形態1.N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミド及び脂肪族C2-8ジカルボン酸を含む共結晶。
【0008】
実施形態2A.前記C2-8ジカルボン酸は、C4ジカルボン酸である、実施形態1の共結晶。一実施形態では、C4ジカルボン酸は、フマル酸、コハク酸、酒石酸又はマレイン酸である。
【0009】
実施形態2B.N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミド及びフマル酸を含む、実施形態1の共結晶。
【0010】
実施形態3A.N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミドとフマル酸とのモル比は、2:(0.5~2.5)である、実施形態2Bの共結晶。一実施形態では、N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミドとフマル酸とのモル比は、2:(0.8~1.2)又は1:(0.8~1.2)である。
【0011】
実施形態3C.N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミドとフマル酸とのモル比は、約1:1、例えば1:(0.7~1.3)、好ましくは1:(0.8~1.2)及びより好ましくは1:(0.9~1.1)である、実施形態2Bの共結晶。一実施形態では、N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミドとフマル酸とのモル比は、1:(0.8~1.2)である。別の実施形態では、N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミドとフマル酸とのモル比は、1:1である。
【0012】
実施形態3D.N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミドとフマル酸とのモル比は、約2:1、例えば2:(0.7~1.3)、好ましくは2:(0.8~1.2)及びより好ましくは2:(0.9~1.1)である、実施形態2Bの共結晶。一実施形態では、N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミドとフマル酸とのモル比は、2:(0.8~1.2)である。別の実施形態では、N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミドとフマル酸とのモル比は、2:1である。
【0013】
実施形態4.室温において0.15nmの波長のCuKα線で測定された場合、約9.4°、11.0°、14.2°及び25.8°(2θ)、好ましくは9.4°±0.2°、11.0°±0.2°、14.2°±0.2°及び25.8°±0.2°(2θ)から選択される3つ以上の2θピークを含むX線粉末回折パターンを有する、実施形態2Bの共結晶。
【0014】
実施形態5.室温において0.15nmの波長のCuKα線で測定された場合、約9.4°、14.2°及び25.8°(2θ)、好ましくは9.4°±0.2°、14.2°±0.2°及び25.8°±0.2°(2θ)の2θピークを含むX線粉末回折パターンを有する、実施形態2Bの共結晶。
【0015】
実施形態6:(a)室温において0.15nmの波長のCuKα線で測定された場合、実質的に
図1に示されるようなものであるX線粉末回折パターン、(b)全て10K/分の速度で30℃から300℃に加熱された場合、実質的に
図2に示されるようなものである示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムであって、任意選択により約225.4℃、好ましくは225.4℃±2℃の吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有するもの、及び(c)10K/分の速度で30℃から300℃に加熱された場合、実質的に
図3に示されるようなものである熱重量分析(TGA)ダイアグラムから選択される1つ以上によって特徴付けられる、実施形態2Bの共結晶。
【0016】
実施形態7.室温において0.15nmの波長のCuKα線で測定された場合、約13.4°、15.7°、23.9°及び24.7°(2θ)、好ましくは13.4°±0.2°、15.7°±0.2°、23.9°±0.2°及び24.7°±0.2°(2θ)から選択される3つ以上の2θピークを含むX線粉末回折パターンを有する、実施形態2Bの共結晶。
【0017】
実施形態8.室温において0.15nmの波長のCuKα線で測定された場合、約15.7°、23.9°及び24.7°(2θ)、好ましくは15.7°±0.2°、23.9°±0.2°及び24.7°±0.2°(2θ)の2θピークを含むX線粉末回折パターンを有する、実施形態2Bの共結晶。
【0018】
実施形態9.(a)室温において0.15nmの波長のCuKα線で測定された場合、実質的に
図4に示されるようなものであるX線粉末回折パターン、(b)全て10K/分の速度で30℃から300℃に加熱された場合、実質的に
図5に示されるようなものである示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムであって、任意選択により約227.3℃、好ましくは227.3℃±2℃の吸熱ピークを含むDSCサーモグラムを有するもの、及び(c)10K/分の速度で30℃から300℃に加熱された場合、実質的に
図6に示されるようなものである熱重量分析(TGA)ダイアグラムから選択される1つ以上によって特徴付けられる、実施形態2Bの共結晶。
【0019】
実施形態10.室温において0.15nmの波長のCuKα線で測定された場合、約9.8°、11.3°、14.8°、24.6°、25.0°、26.5°及び27.6°(2θ)、好ましくは9.8°±0.2°、11.3°±0.2°、14.8°±0.2°、24.6°±0.2°、25.0°±0.2°、26.5°±0.2°及び27.6°±0.2°(2θ)から選択される3つ以上の2θピークを含むX線粉末回折パターンを有する、実施形態2Bの共結晶。
【0020】
実施形態11.室温において0.15nmの波長のCuKα線で測定された場合、約9.8°、14.8°及び27.6°(2θ)、好ましくは9.8°±0.2°、14.8°±0.2°及び27.6°±0.2°(2θ)の2θピークを含むX線粉末回折パターンを有する、実施形態2Bの共結晶。
【0021】
実施形態12.(a)室温において0.15nmの波長のCuKα線で測定された場合、実質的に
図7に示されるようなものであるX線粉末回折パターン、(b)全て10K/分の速度で30℃から300℃に加熱された場合、実質的に
図8に示されるようなものである示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムであって、任意選択により約224.7℃、好ましくは224.7℃±2℃の吸熱ピークを含むDSCサーモグラムを有するもの、及び(c)10K/分の速度で30℃から300℃に加熱された場合、実質的に
図9に示されるようなものである熱重量分析(TGA)ダイアグラムから選択される1つ以上によって特徴付けられる、実施形態2Bの共結晶。
【0022】
実施形態13.室温において0.15nmの波長のCuKα線で測定された場合、約3.8°、13.5°、17.2°及び26.6°(2θ)、好ましくは3.8°±0.2°、13.5°±0.2°、17.2°±0.2°及び26.6°±0.2°(2θ)から選択される3つ以上の2θピークを含むX線粉末回折パターンを有する、実施形態2Bの共結晶。
【0023】
実施形態14.室温において0.15nmの波長のCuKα線で測定された場合、約3.8°、13.5°及び17.2°(2θ)、好ましくは3.8°±0.2°、13.5°±0.2°及び17.2°±0.2°(2θ)の2θピークを含むX線粉末回折パターンを有する、実施形態2Bの共結晶。
【0024】
実施形態15.(a)室温において0.15nmの波長のCuKα線で測定された場合、実質的に
図10に示されるようなものであるX線粉末回折パターン、(b)10K/分の速度で30℃から300℃に加熱された場合、実質的に
図11に示されるようなものである示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムであって、任意選択により約206.4℃、好ましくは206.4℃±2℃で吸熱ピークを含むDSCサーモグラムを有するもの、及び(c)10K/分の速度で30℃から300℃に加熱された場合、実質的に
図12に示されるようなものである熱重量分析(TGA)ダイアグラムから選択される1つ以上によって特徴付けられる、実施形態2Bの共結晶。
【0025】
実施形態16.実質的に純粋な形態である、実施形態1、2A、2B、3A~3D及び4~15の何れか1つに記載の共結晶。
【0026】
実施形態17.上記実施形態の何れか1つに記載の共結晶を含む組成物。
【0027】
実施形態18.組成物の重量に基づいて少なくとも90重量%の前記共結晶を含む、実施形態17に記載の組成物。
【0028】
実施形態19.実施形態1、2A、2B、3A~3D及び4~16の何れか1つに記載の共結晶から基本的になる組成物。
【0029】
実施形態20.実施形態1、2A、2B、3A~3D及び4~16の何れか1つに記載の共結晶と、薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物。
【0030】
実施形態21.実施形態1、2A、2B、3A~3D及び4~16の何れか1つに記載の共結晶と、1つ以上の治療活性剤とを含む組み合わせ。
【0031】
実施形態22.リーシュマニア症、シャーガス病及びヒトアフリカトリパノソーマ症から選択される障害又は疾患を処置するための、実施形態1、2A、2B、3A~3D及び4~16の何れか1つに記載の且つ任意選択により第2の薬剤との組み合わせにおける共結晶。
【0032】
実施形態23.リーシュマニア症、シャーガス病又はヒトアフリカトリパノソーマ症を処置するための、実施形態1、2A、2B、3A~3D及び4~16の何れか1つに記載の且つ任意選択により第2の薬剤との組み合わせにおける共結晶の使用。
【0033】
実施形態23A.リーシュマニア症、シャーガス病及びヒトアフリカトリパノソーマ症から選択される障害又は疾患の処置のための薬剤の製造における、実施形態1、2A、2B、3A~3D及び4~16の何れか1つに記載の且つ任意選択により第2の薬剤との組み合わせにおける共結晶の使用。
【0034】
実施形態24.前記第2の薬剤は、(a)内臓リーシュマニア症又は皮膚リーシュマニア症の処置のためのスチボグルコネート、アンチモン酸メグルミン、アンホテリシン、ミルテホシン及びパロモマイシン又はそれらの組み合わせ、(b)シャーガス病の処置のためのベンズニダゾール、ニフルチモックス及びアンホテリシン又はそれらの組み合わせ、及び(c)ヒトアフリカトリパノソーマ症の処置のためのペンタミジン、スラミン、メラルソプロール、エフロルニチン及びニフルチモックス又はそれらの組み合わせから選択される、実施形態22に記載の障害若しくは疾患を処置するための共結晶又は実施形態23若しくは23Aに記載の使用。
【0035】
実施形態25A.前記疾患は、内臓リーシュマニア症又は皮膚リーシュマニア症である、実施形態24に記載の障害若しくは疾患を処置するための共結晶又は実施形態24に記載の使用。
【0036】
実施形態25B.前記第2の薬剤は、スチボグルコネート、アンチモン酸メグルミン、アンホテリシン、ミルテホシン及びパロモマイシン又はそれらの組み合わせから選択される、実施形態25Aに記載の障害若しくは疾患を処置するための共結晶又は実施形態25Aに記載の使用。
【0037】
実施形態25C.前記疾患は、シャーガス病である、実施形態24に記載の障害若しくは疾患を処置するための共結晶又は実施形態24に記載の使用。
【0038】
実施形態25D.前記第2の薬剤は、ベンズニダゾール、ニフルチモックス及びアンホテリシン又はそれらの組み合わせから選択される、実施形態25Cに記載の障害若しくは疾患を処置するための共結晶又は実施形態25Cに記載の使用。
【0039】
実施形態25E.前記疾患は、ヒトアフリカトリパノソーマ症である、実施形態24に記載の障害若しくは疾患を処置するための共結晶又は実施形態24に記載の使用。
【0040】
実施形態25F.前記第2の薬剤は、ペンタミジン、スラミン、メラルソプロール、エフロルニチン及びニフルチモックス又はそれらの組み合わせである、実施形態25Eに記載の障害若しくは疾患を処置するための共結晶又は実施形態25Eに記載の使用。
【0041】
実施形態26.寄生虫によって引き起こされる疾患の病態及び/又は総体症状を処置するか、予防するか、阻害するか、寛解させるか又は根絶するための方法であって、実施形態1、2A、2B、3A~3D及び4~16の何れか1つに記載の共結晶と、少なくとも1つの薬学的に許容可能な担体とを含み、且つ任意選択により第2の薬剤と組み合わされる医薬組成物の治療的有効量を対象に投与することを含み、前記疾患は、リーシュマニア症、ヒトアフリカトリパノソーマ症及びシャーガス病から選択される、方法。
【0042】
実施形態27.前記医薬組成物は、約10mg~約500mgの範囲の用量で投与される、実施形態26に記載の方法。
【0043】
実施形態28.前記医薬組成物は、約10mg~約400mgの範囲の用量で投与される、実施形態26に記載の方法。
【0044】
実施形態29.前記医薬組成物は、約50mg~約250mgの範囲の用量で投与される、実施形態26に記載の方法。
【0045】
実施形態30.前記医薬組成物は、約50mg~約150mgの範囲の用量で投与される、実施形態26に記載の方法。
【0046】
実施形態31.前記医薬組成物は、約100mg~約150mgの範囲の用量で投与される、実施形態26に記載の方法。
【0047】
実施形態32.前記医薬組成物は、1日1回又は2回投与される、実施形態26~31の何れか1つに記載の方法。
【0048】
実施形態33.前記医薬組成物は、経口投与される、実施形態26~32の何れか1つに記載の方法。
【0049】
実施形態34.(i)実施形態1、2A、2B、3A~3D及び4~16の何れか1つに記載の共結晶と、少なくとも1つの薬学的に許容可能な担体とを含み、且つ任意選択により第2の薬剤と組み合わされる医薬組成物と、(ii)投与のための説明書とを含むキット。
【0050】
実施形態35.実施形態1、2A、2B、3A~3D及び4~16の何れか1つに記載の共結晶を調製するためのプロセスであって、N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミドフマル酸共結晶を形成するために、適切な条件下において、(1)任意選択により第1の溶媒中のフマル酸を、(2)任意選択により第2の溶媒中のN-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミドと接触させることを含むプロセス。
【0051】
実施形態36.(1)フマル酸溶液を形成するために、フマル酸を第1の溶媒に添加することと、(2)N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミド溶液を形成するために、N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミドを第2の溶媒に添加することと、(3)N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミドフマル酸共結晶を形成するために、適切な条件下で前記フマル酸溶液を前記N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミド溶液と接触させ、任意選択により40~70℃、40~60℃又は45~55℃に反応混合物を加熱することとを含む、実施形態35に記載のプロセス。
【0052】
実施形態37.前記N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミドフマル酸共結晶を形成するために、適切な条件下で前記N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミド溶液を前記フマル酸溶液に添加し、任意選択により反応混合物を45~55℃に加熱することを含む、実施形態36に記載のプロセス。一実施形態では、N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミドとフマル酸とのモル比は、約1:1(「化合物Iフマル酸共結晶(1:1)」)である。
【0053】
実施形態38.前記N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミドフマル酸共結晶を形成するために、前記フマル酸溶液を前記N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミド溶液に適切な条件下で添加し、任意選択により反応混合物を45~55℃に加熱することを含む、実施形態36に記載のプロセス。一実施形態では、N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミドとフマル酸とのモル比は、約2:1(「化合物Iフマル酸共結晶(2:1)」)である。
【0054】
実施形態39.前記第1の溶媒は、イソプロピルアルコールである、請求項35~38の何れか1つに記載のプロセス。
【0055】
実施形態40.前記第2の溶媒は、テトラヒドロフランである、請求項35~38の何れか1つに記載のプロセス。
【0056】
実施形態41.N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミド及びフマル酸のモル比が2:(0.1~5)である、N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミド及びフマル酸のX線非晶質複合体であって、任意選択により、実質的に結晶形態を含まないX線非晶質複合体。
【0057】
実施形態42.N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミド及びフマル酸のモル比は、1:(0.5~2.5)、1:(0.8~2.3)、1:(0.7~1.3)、1:(0.8~1.2)、1:(0.9~1.1)、1:1、2:(0.1~1.2)、2:(0.5~1.1)、2:(0.1~0.5)、2:(0.7~1.3)、2:(0.8~1.2)、2:(0.9~1.1)又は2:1である、実施形態41に記載のX線非晶質複合体。
【0058】
実施形態43.N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミド及びフマル酸のモル比は、1:(0.5~2.5)、好ましくは1:(0.8~2.3)である、実施形態41に記載のX線非晶質複合体。
【0059】
実施形態44.N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミド及びフマル酸のモル比は、1:(0.7~1.3)、好ましくは1:(0.8~1.2)、より好ましくは1:(0.9~1.1)である、実施形態41に記載のX線非晶質複合体。一実施形態では、N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミドとフマル酸とのモル比は、1:1である。
【0060】
実施形態45.N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミド及びフマル酸のモル比は、2:(0.1~1.2)、好ましくは2:(0.5~1.1)又は2:(0.1~0.5)である、実施形態41に記載のX線非晶質複合体。
【0061】
実施形態46.N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミド及びフマル酸のモル比は、2:(0.7~1.3)、好ましくは2:(0.8~1.2)、より好ましくは2:(0.9~1.1)である、実施形態41に記載のX線非晶質複合体。一実施形態では、N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミドとフマル酸とのモル比は、2:1である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1】化合物Iフマル酸共結晶(1:1)形態AのXRPDパターンを示す。
【
図2】化合物Iフマル酸共結晶(1:1)形態Aの示差走査熱量測定(DSC)曲線を示す。
【
図3】化合物Iフマル酸共結晶(1:1)形態Aの熱重量(TGA)プロットを示す。
【
図4】化合物Iフマル酸共結晶(1:1)形態BのXRPDパターンを示す。
【
図5】化合物Iフマル酸共結晶(1:1)形態BのDSC曲線を示す。
【
図6】化合物Iフマル酸共結晶(1:1)形態BのTGAプロットを示す。
【
図7】化合物Iフマル酸共結晶(1:1)形態CのXRPDパターンを示す。
【
図8】化合物Iフマル酸共結晶(1:1)形態CのDSC曲線を示す。
【
図9】化合物Iフマル酸共結晶(1:1)形態CのTGAプロットを示す。
【
図10】化合物Iフマル酸共結晶(2:1)のXRPDパターンを示す。
【
図11】化合物Iフマル酸共結晶(2:1)のDSC曲線を示す。
【
図12】化合物Iフマル酸共結晶(2:1)のTGAプロットを示す。
【
図13】化合物I及びフマル酸(1:1)のX線非晶質複合体のXRPDパターンを示す。
【
図14】化合物I及びフマル酸(1:1)のX線非晶質複合体のDSC曲線を示す。
【
図15】化合物I及びフマル酸(1:1)のX線非晶質複合体のTGAプロットを示す。
【
図16】化合物I及びフマル酸(2:1)のX線非晶質複合体のXRPDパターンを示す。
【
図17】化合物I及びフマル酸(2:1)のX線非晶質複合体のDSC曲線を示す。
【
図18】化合物I及びフマル酸(2:1)のX線非晶質複合体のTGAプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0063】
一態様では、本発明は、N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミド(化合物I)フマル酸共結晶及びそれを作製する方法、それを含む医薬組成物並びにこのような組成物を使用する処置の方法を提供する。本発明の共結晶は、遊離形態と比較した場合、溶解速度、溶解度、化学的安定性、物理的安定性、吸湿性、融点、形態、流動性、容積密度及び圧縮性から選択される1つ以上の物理化学的特性の改善を保持する。結果として、少なくとも1つの本発明の共結晶を含む医薬組成物は、遊離形態を含む医薬組成物と比較した場合、動物、例えばヒトなどにおいて薬物動態学的及び/又は薬物力学的効果の改善を有し得る。別の結果として、本発明の少なくとも1つの共結晶を含む医薬組成物は、遊離形態と比較した場合、経口剤形サイズ、1つ以上の所望の薬学的に許容可能な担体との適合性、貯蔵寿命及び貯蔵条件から選択される1つ以上の製剤特質の改善を保持し得る。
【0064】
別の態様では、本発明は、N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミド及びフマル酸のモル比が約1:1又は2:1である、N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミド及びフマル酸のX線非晶質複合体であって、任意選択により、実質的に結晶形態を含まないX線非晶質複合体を提供する。
【0065】
定義
本明細書中で使用される場合、「共結晶」という用語は、特定の化学量論的比率の2つ以上の構成成分を含む単相結晶性物質を指し、結晶格子における配置は、イオン結合(塩を伴う)に基づかず、構成成分の少なくとも2つは、室温で固体である。
【0066】
本明細書中で使用される場合、「脂肪族C2-8ジカルボン酸」という用語は、フマル酸、コハク酸、マレイン酸及び酒石酸を含むが、これらに限定されない、2~8個の炭素原子、好ましくは4~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐状、飽和又は不飽和、置換又は未置換ジカルボン酸を指す。
【0067】
本明細書中で使用される場合、「化合物Iフマル酸共結晶(1:1)」という用語は、約1:1、例えば1:(0.7~1.3)、1:(0.8~1.2)又は1:(0.9~1.1)、又は1:1の化合物I:フマル酸の化学量論的比率を有する、N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミド(化合物I)フマル酸共結晶を指す。
【0068】
本明細書中で使用される場合、「化合物Iフマル酸共結晶(2:1)」という用語は、約2:1、例えば2:(0.7~1.3)、2:(0.8~1.2)、2:(0.9~1.1)又は2:1の化合物I:フマル酸の化学量論的比率を有する、N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミド(化合物I)フマル酸共結晶を指す。
【0069】
本明細書中で使用される場合、具体的な共結晶の実施形態を述べるために使用される「形態A」、「形態B」、「形態C」などの用語は、本明細書中で提示される特徴付けの情報に従って解釈されるべきである単なる識別子であり、同様又は同一の物理的及び化学的特徴を保持するあらゆる他の物質に関して制限するものとみなされるべきではない。
【0070】
本明細書中で使用される場合、「非晶質」という用語は、結晶性ではない子、原子及び/又はイオンの固体形態を指す。非晶質固体は、確定的なX線回折パターンを示さない。
【0071】
本明細書中で使用される場合、「非晶質化合物Iフマル酸(1:1)」という用語は、約1:1、例えば1:(0.7~1.3)、1:(0.8~1.2)、1:(0.9~1.1)又は1:1の化合物I:フマル酸の化学量論的比率を有する、N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミド(化合物I)及びフマル酸のX線非晶質複合体を指し、この複合体は、共結晶、塩及び固体分散形態を含み得る。
【0072】
本明細書中で使用される場合、「非晶質化合物Iフマル酸(2:1)」という用語は、約2:1、例えば2:(0.7~1.3)、2:(0.8~1.2)、2:(0.9~1.1)又は2:1の化合物I:フマル酸の化学量論的比率を有する、N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミド(化合物I)及びフマル酸のX線非晶質複合体を指し、この複合体は、共結晶、塩及び固体分散形態を含み得る。
【0073】
本明細書中で使用される場合、本発明の共結晶に関して「実質的に純粋」という用語は、純度が、組成物の重量に基づいて85、90、95、96、97、98及び99重量%超の共結晶を含めて、また約100重量%と同等であることも含めて、80重量%を超える純度を有する共結晶形態を意味する。残りの物質は、他の共結晶形態、その調製から生じる反応不純物及び/又は処理不純物を含む。例えば、共結晶形態Aは、当技術分野で公知であり、一般的に受容される手段により測定された場合、純度が90重量%を超えるという点で実質的に純粋とみなされ得、10重量%未満の物質である残りの部分は、他の共結晶形態、反応不純物及び/又は処理不純物を含む。反応不純物及び/又は処理不純物の存在は、当技術分野で公知の分析技術、例えばクロマトグラフィー、核磁気共鳴分光法、質量分析又は赤外分光法などにより判断され得る。
【0074】
本明細書中で使用される場合、「室温」(RT)という用語は、標準的条件下で測定された場合、20℃~30℃の範囲の温度を指す。一般的には、標準的条件は、20~50%相対湿度下での測定をさらに意味し得る。一実施形態では、「室温」は、約22℃~25℃の温度を指す。
【0075】
本明細書中で使用される場合、「約」という用語は、統計学的に有意な値の範囲内であることを意味する。このような範囲は、示される値又は範囲、一般的には10%以内、より一般的には5%以内、さらにより一般的には1%以内、最も一般的には0.1%以内の桁内であり得る。ときに、このような範囲は、所与の値又は範囲の測定及び/又は決定のために使用される標準的方法に典型のものである、実験誤差内に入り得る。
【0076】
本明細書中で使用される場合、「吸熱ピーク」という用語は、示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムにおける融解ピークを指す。
【0077】
本明細書中で使用される場合、「薬学的に許容可能な担体」という用語は、医薬組成物の調製又は使用において有用な物質を指し、例えば当業者にとって公知である適切な希釈剤、溶媒、分散媒、界面活性剤、抗酸化剤、保存剤、等張剤、緩衝剤、乳化剤、吸収遅延剤、塩、薬物安定化剤、結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、色素及びそれらの組み合わせが挙げられる(例えば、Remington The Science and Practice of Pharmacy,22nd Ed.Pharmaceutical Press,2013,pp.1049-1070)。
【0078】
本明細書中で使用される場合、「阻害する」、「阻害」又は「阻害すること」という用語は、ある種の状態、症状若しくは障害若しくは疾患の軽減若しくは抑制又は生物学的活性若しくはプロセスのベースライン活性の顕著な低下を指す。
【0079】
本明細書中で使用される場合、何らかの疾患又は障害を「処置する」、「処置すること」又は何らかの疾患又は障害の「処置」という用語は、疾患又は障害を緩和するか若しくは寛解させる(即ち疾患又はその臨床症状の少なくとも1つの発現を遅らせるか又は抑止する)か、又は患者にとって識別可能ではあり得ないものを含め、疾患若しくは障害に関連する少なくとも1つの物理的パラメーター若しくはバイオマーカーを緩和するか若しくは改善させることを指す。
【0080】
本明細書中で使用される場合、何れかの疾患又は障害を「予防する」、「予防すること」又は何れかの疾患又は障害の「予防」という用語は、疾患又は障害の予防的処置又は疾患若しくは障害の発症若しくは進行を遅らせることを指す。
【0081】
本明細書中で使用される場合、本発明の化合物の「治療的有効量」という用語は、対象の生物学的又は医学的応答、例えば酵素若しくはタンパク質活性の低下若しくは阻害を誘発するか、又は症状を寛解させるか、状態を緩和するか、疾患の進行を遅らせる若しくは遅延させるか、又は疾患を予防するなど、本発明の化合物の量を指す。非限定実施形態では、「治療的有効量」という用語は、対象に投与されたとき、(1)キネトプラスト類寄生虫の増殖によって引き起こされる状態若しくは障害若しくは疾患を少なくとも部分的に緩和し、阻害し、予防し、且つ/又は寛解させるか、又は(2)キネトプラスト類寄生虫の増殖を減少させるか若しくは阻害するのに有効である本発明の化合物の量を指す。
【0082】
本明細書中で使用される場合、「対象」という用語は、霊長類(例えば、ヒト(男性又は女性)、イヌ、ウサギ、モルモット、ブタ、ラット及びマウス)を指す。一定の実施形態では、対象は、霊長類である。また他の実施形態では、対象は、ヒトである。
【0083】
本明細書中で使用される場合、本発明に関連して使用される「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その」という用語及び同様の用語(特に特許請求の範囲に関連して)は、本明細書中で別段の指示がないか又は文脈により明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方を包含すると解釈するべきである。
【0084】
本発明の態様
一態様では、本発明は、化合物Iフマル酸共結晶を提供する。一実施形態では、本発明は、化合物Iフマル酸共結晶(1:1)形態A、形態B若しくは形態C又は化合物Iフマル酸共結晶(2:1)を提供する。別の実施形態では、本発明は、実質的に純粋な化合物Iフマル酸共結晶(1:1)形態A、形態B若しくは形態C又は実質的に純粋な化合物Iフマル酸共結晶(2:1)を提供する。また別の実施形態では、本発明は、化合物Iフマル酸共結晶(1:1)形態A、形態B若しくは形態Cから基本的になる組成物又は基本的に化合物Iフマル酸共結晶(2:1)からなる組成物を提供する。
【0085】
本発明の共結晶は、図面(例えば、
図1)で「実質的に示されるような」ものであるX線粉末回折パターン、示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム又は熱重量分析(TGA)ダイアグラムを有するものとして特徴付けられ得る。当業者は、容器及び試料間の変動(例えば、濃度、純度、結晶化度、配向性、調製など)及び当業者とって公知の他の要因のためにピーク位置及び相対強度の一定の変動が起こり得ることを理解するであろうが、依然として同じ固体形態に関する。また、当業者にとって認められるであろうが、許容可能な実験誤差内で相対ピーク強度の変動が起こり得る。例えば、XRPDパターンの回折角度(2θ)は、約±0.3°(2θ)、好ましくは約±0.2°(2θ)、より好ましくは約±0.1°(2θ)及びさらにより好ましくは±0.05°(2θ)の分散で収集される。TGA決定は、約±0.3%、好ましくは約±0.2%、より好ましくは約±0.1%の分散で収集される。DSCに基づく融点決定の変動は、±3℃、好ましくは±2℃、より好ましくは±1℃の変動である。
【0086】
好ましくは、結晶形態は、模擬XRPDパターンにない余分なピークから生じる実験的に測定したXRPDパターンにおいて、総ピーク面積の10%未満、好ましくは5%未満、より好ましくは2%未満により示される場合、実質的に純粋な相均一性を有する。最も好ましいのは、模擬XRPDパターンにない余分なピークから生じる実験的に測定したXRPDパターンにおいて総ピーク面積の1%未満の、実質的に純粋な相均一性を有する結晶形態である。
【0087】
別の態様では、本発明は、化合物Iのモル比が約1:1又は2:1である、化合物I及びフマル酸のX線非晶質複合体であって、任意選択により、実質的に結晶形態を含まないX線非晶質複合体を提供する。一実施形態では、本発明は、本明細書中に記載のような化合物I及びフマル酸の実質的に純粋なX線非晶質複合体を提供する。また別の実施形態では、本発明は、基本的に化合物I及びフマル酸のX線非晶質複合体からなる組成物を提供し、化合物I及びフマル酸のモル比は、約1:1又は2:1である。
【0088】
医薬組成物、投与量及び投与
また別の態様では、本発明は、化合物Iフマル酸共結晶及び/又は非晶質化合物Iフマル酸と、薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物を提供する。
【0089】
一実施形態では、本発明は、化合物Iフマル酸共結晶(1:1)形態A、形態B若しくは形態C、化合物Iフマル酸共結晶(2:1)、非晶質化合物1フマル酸(1:1)又は非晶質化合物Iフマル酸(2:1)の少なくとも1つと、薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物を提供する。薬学的に許容可能な担体は、所望の投与方式に従い、当業者により容易に選択され得る。適切な投与方式の代表例としては、経口、鼻腔、非経口、局所、経皮及び直腸が挙げられる。
【0090】
本発明の組成物は、適切となるように当業者にとって認識可能な何らかの医薬形態をとり得る。適切な医薬形態としては、固体、半固体、液体又は凍結乾燥処方物、例えば錠剤、粉末、カプセル、坐薬、懸濁液、リポソーム及びエアロゾルなどが挙げられる。一実施形態では、本発明は、経口又は非経口投与のための、化合物Iフマル酸共結晶(1:1)形態A、形態B若しくは形態C、化合物Iフマル酸共結晶(2:1)、非晶質化合物1フマル酸(1:1)又は非晶質化合物Iフマル酸(2:1)を含む医薬組成物を提供する。
【0091】
本発明の医薬組成物は、約50~70kgの対象に対して約1~1000mgの有効成分、又は約1~600mg、又は約1~400mg、又は約1~300mg、又は約1~150mg、又は約1~50mgの有効成分の単位投与量であり得る。本組成物の治療的有効投与量は、対象の種、体重、年齢及び個々の状態、処置される障害若しくは疾患又はその重症度に依存する。通常の技量を有する医師、臨床家又は獣医師は、障害又は疾患の進行を予防、処置又は阻害するために必要な有効成分のそれぞれの有効量を容易に決定し得る。
【0092】
上で引用される投与特性は、有利には、哺乳動物、例えばマウス、ラット、イヌ、サル又は単離臓器、組織及びその調製物を使用したインビトロ及びインビボ試験で実証可能である。本発明の組成物は、溶液、例えば水溶液の形態においてインビトロで、且つ例えば懸濁液として又は水溶液中で経腸的、非経口的、有利には静脈内の何れかでインビボで適用され得る。投与量は、インビトロで約10-3モル~10-9モル濃度の範囲であり得る。
【0093】
本発明は、キネトプラスト類寄生虫によって引き起こされる疾患の病態及び/又は総体症状を処置するか、予防するか、阻害するか、寛解させるか又は根絶するための治療計画をさらに提供する。一実施形態では、本発明は、約10mg~約400mg、約30mg~約300mg、約100mg~約300mg又は約100mg~約150mgの範囲の用量において、それを必要とする対象に、化合物Iフマル酸共結晶(1:1)形態A、形態B若しくは形態C、化合物Iフマル酸共結晶(2:1)、非晶質化合物1フマル酸(1:1)又は非晶質化合物Iフマル酸(2:1)を含む組成物を投与することを含む、キネトプラスト類寄生虫によって引き起こされる疾患を処置するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、本組成物は、約10mg、約30mg、約50mg、約100mg、約150mg、約300mg、約400mg又は約600mgの用量で投与される。このような用量は、経口投与に対するものあり得、1日の投与に対するものであり得る(例えば、1日1回又は2回投与)。
【0094】
本発明の医薬組成物は、1つ以上の他の治療剤と同時、又はその前、又はその後の何れかで投与され得る。本発明の組成物は、同じ又は異なる投与経路により個別に又は他の薬剤と同じ医薬組成物中で一緒に投与され得る。治療剤は、例えば、化学的化合物、ペプチド、抗体、抗体断片又は核酸であり得、これは、治療的に活性があるか、又は本発明の化合物と組み合わせて患者に投与した場合、治療活性を促進する。
【0095】
一実施形態では、本発明は、治療における同時、個別又は連続使用のための、合わせた調製物として、化合物Iフマル酸共結晶(1:1)形態A、形態B若しくは形態C、化合物Iフマル酸共結晶(2:1)、非晶質化合物1フマル酸(1:1)又は非晶質化合物Iフマル酸(2:1)と、少なくとも1つの他の治療剤とを含む生成物を提供する。合わせた調製物として提供される生成物は、同じ医薬組成物中に一緒に又は個別の形態、例えばキットの形態で、化合物Iフマル酸共結晶(1:1)形態A、形態B若しくは形態C、化合物Iフマル酸共結晶(2:1)、非晶質化合物1フマル酸(1:1)又は非晶質化合物Iフマル酸(2:1)を含む組成物と、他の治療剤とを含む。任意選択により、本医薬組成物は、上記のような薬学的に許容可能な担体を含み得る。
【0096】
一実施形態では、本発明は、2つ以上の個別の医薬組成物を含むキットを提供し、このうちの少なくとも1つは、化合物Iフマル酸共結晶(1:1)形態A、形態B若しくは形態C、化合物Iフマル酸共結晶(2:1)、非晶質化合物1フマル酸(1:1)又は非晶質化合物Iフマル酸(2:1)を含有する。一実施形態では、本キットは、前記組成物を個別に保持するための手段、例えば容器、分けられたボトル又は分けられたホイルパケットなどを含む。このようなキットの例は、錠剤、カプセルなどの包装のために一般的に使用されるようなブリスターパックである。
【0097】
本発明のキットは、異なる剤形、例えば経口剤形及び非経口剤形を投与するために、異なる投与間隔で個別の組成物を投与するため又は互いに対して個別の組成物を滴定するために使用され得る。服薬遵守を支援するために、本発明のキットは、一般的に、投与のための説明書を含む。
【0098】
本発明の組み合わせ療法において、本発明の化合物及び他の治療剤は、同じ又は異なる製造者により製造及び/又は処方され得る。さらに、本発明の化合物及び他の治療薬は、(i)医師への組み合わせ製品の発売前に(例えば、本発明の化合物及び他の治療剤を含むキットの場合)、(ii)投与直前に医師自身によって(又は医師の指導の下)、(iii)患者自身において、例えば本発明の化合物及び他の治療剤の連続投与中、組み合わせ療法にまとめられ得る。
【0099】
従って、本発明は、キネトプラスト類寄生虫の成長及び増殖によって引き起こされる疾患又は状態を処置するための、化合物Iフマル酸共結晶(1:1)形態A、形態B若しくは形態C、化合物Iフマル酸共結晶(2:1)、非晶質化合物1フマル酸(1:1)又は非晶質化合物Iフマル酸(2:1)を含む組成物の使用を提供し、この薬剤は、別の治療剤との投与のために調製される。本発明は、キネトプラスト類寄生虫の成長及び増殖によって引き起こされる疾患又は状態を処置するための別の治療剤の使用も提供し、この薬剤は、化合物Iフマル酸共結晶(1:1)形態A、形態B若しくは形態C、化合物Iフマル酸共結晶(2:1)、非晶質化合物1フマル酸(1:1)又は非晶質化合物Iフマル酸(2:1)とともに投与される。
【0100】
本発明は、キネトプラスト類寄生虫の成長及び増殖によって引き起こされる疾患又は状態を処置するための、化合物Iフマル酸共結晶(1:1)形態A、形態B若しくは形態C、化合物Iフマル酸共結晶(2:1)、非晶質化合物1フマル酸(1:1)又は非晶質化合物Iフマル酸(2:1)を含む組成物の使用も提供し、この患者は、以前に(例えば、24時間以内に)別の治療剤で処置されている。本発明は、キネトプラスト類寄生虫の成長及び増殖によって引き起こされる疾患又は状態を処置するための別の治療剤の使用も提供し、この患者は、以前に(例えば、24時間以内に)化合物Iフマル酸共結晶(1:1)形態A、形態B若しくは形態C、化合物Iフマル酸共結晶(2:1)、非晶質化合物1フマル酸(1:1)又は非晶質化合物Iフマル酸(2:1)で処置されている。
【0101】
一実施形態では、他の治療剤は、リーシュマニア症の処置のためのスチボグルコネート、アンチモン酸メグルミン、アンホテリシン、ミルテホシン及びパロモマイシン又はそれらの組み合わせから選択される。別の実施形態では、他の治療剤は、シャーガス病の処置のためのベンズニダゾール、ニフルチモックス及びアンホテリシン又はそれらの組み合わせから選択される。また別の場合、他の治療剤は、ヒトアフリカトリパノソーマ症の処置のためのペンタミジン、スラミン、メラルソプロール、エフロルニチン及びニフルチモックス又はそれらの組み合わせから選択される。本発明の医薬組成物が他の治療剤と組み合わせて投与される場合、同時投与される化合物の投与量は、当然のことながら、使用される同時薬物のタイプ、使用される具体的な薬物、処置されている状態などに依存して変動する。
【実施例】
【0102】
次の実施例は、単なる例示であり、別途特許請求される本発明の範囲を限定しない。試薬の純度は、分析試薬グレード又はHPLCグレードである。
【0103】
略語
XRPD X線粉末回折
DSC 示差走査熱量測定
TGA 熱重量分析
DVS 動的水蒸気吸収
RT 室温
RH 相対湿度
THF テトラヒドロフラン
UPLC 超高速液体クロマトグラフィー
FaSSIF 絶食状態模倣腸液
FeSSIF 摂食状態模倣腸液
DVS 動的水蒸気吸収(DVS)
【0104】
機器
【0105】
【0106】
実施例1
化合物Iフマル酸共結晶(1:1)形態Aの調製
55℃で酢酸エチル(1mL)を化合物I(50mg)に添加し、500rpmで2時間撹拌して、それにフマル酸(1eq.、13.1mg)を添加した。反応混合物を55℃で5時間撹拌し、RTに4時間冷却し、さらに12時間撹拌した。得られた固形物をろ過し、55℃において真空下で6時間乾燥させて、化合物Iフマル酸共結晶(1:1)形態A(「形態A」)を得た。
【0107】
形態Aは、次のパラメーター:(a)室温において0.15nmの波長のCuKα線で測定された場合、表1に列挙される対応するピークがある、実質的に
図1に示されるようなものであるX線粉末回折パターン、(b)10K/分の速度で30℃から300℃に加熱された場合、実質的に
図2に示されるようなものである示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム、及び10K/分の速度で30℃から300℃に加熱された場合、実質的に
図3に示されるようなものである熱重量分析(TGA)ダイアグラムの1つ以上によって特徴付けられる。一実施形態では、形態Aは、約9.4°、11.0°、14.2°及び25.8°から選択される3つ以上の2θピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。形態Aは、DSCによる225.4℃の融点開始及び127J/gの融解エンタルピーを有する。
【0108】
【0109】
実施例2A
形態Aシーディングによる化合物Iフマル酸共結晶(1:1)形態Bの調製
酢酸エチル(60mL)を55℃で化合物I(3g)に添加し、500r.p.m.で2時間撹拌し、これにフマル酸(1eq、796mg)を添加した。反応混合物を55℃で6時間撹拌し、これに実施例1で調製した少量の形態A(20mg)を添加した。形態Aでシーディングした反応混合物を55℃で16時間撹拌し、RTに2時間冷却し、8時間撹拌した。得られた固形物をろ過し、酢酸エチル(5mL)で洗浄し、55℃において真空下で12時間乾燥させて、化合物Iフマル酸共結晶(1:1)形態B(「形態B」)を得た。
【0110】
実施例2B
化合物Iフマル酸共結晶(1:1)形態Bシードの調製
化合物I/THF懸濁液を形成するためにTHF(200mL)をRTで化合物I(20g、45.1mmol、1eq)に添加した。フマル酸(5.8g、49.6mmol、1.1eq)をRTでイソプロピルアルコール(160mL)に添加し、得られたフマル酸溶液を1時間にわたり化合物I/THF懸濁液に添加した。反応混合物をRTで20時間撹拌し、ろ過し、ろ過ケーキをイソプロピルアルコール(40mL)で洗浄した。回収した固形物を50℃において真空下で20時間乾燥させ、50℃で30時間にわたり酢酸エチル(100mL)中で平衡化した。固形物をろ過し、50℃で16時間、真空下で乾燥させて、形態Bを得て、これをフマル酸シード結晶として使用した。
【0111】
実施例2C
形態Bシーディングによる化合物Iフマル酸共結晶(1:1)形態Bの調製
フマル酸(6.0g、51.9mmol、1.15eq)をイソプロピルアルコール(130mL)に添加した。得られた溶液を52℃に加熱し、ろ過して、透明なフマル酸溶液を得た。フマル酸溶液を50℃で維持し、これに実施例2B(10mg)で調製した少量の形態Bを添加して、形態Bでシーディングされたフマル酸溶液を得た。
【0112】
化合物I(20g、45.1mmol、1eq)をRTでTHF(500mL)に添加し、得られた懸濁液を55℃に加熱し、透明な溶液を得て、次にこれをろ過した。ろ液を部分的に真空下で濃縮し、形態Bでシーディングしたフマル酸溶液に50℃で1時間にわたり残留化合物(287g)を滴下して添加した。反応混合物を50℃で2時間維持し、続いて5~7時間にわたりRTに冷却し、次に50℃において真空下で濃縮した。イソプロピルアルコール(200mL*3)を濃縮液に添加して、残ったTHFをさらに除去した。得られた懸濁液を2~4時間にわたりRTに冷却し、ろ過し、予め冷却されたイソプロピルアルコール(40mL)で洗浄した。固形物を60℃において16時間、真空下で乾燥させて、灰白色の固形物として形態Bを得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 2.40(s,3H),6.64(s,2H),7.41-7.45(m,1H),7.82(br d,J=0.73Hz,1H),7.87-8.00(m,1H),8.59(dd,J=4.65,1.10Hz,1H),8.79(dd,J=6.66,2.75Hz,1H),9.14(d,J=2.45Hz,1H),9.75(d,J=2.32Hz,1H),10.35-10.44(m,1H);13C NMR(101MHz,DMSO-d6)δ ppm 13.24,14.25,19.78,117.34,117.56,118.34,118.45,122.84,122.86,124.02,124.18,124.70,124.78,132.79,134.42,135.44,135.47,136.76,139.16,139.67,143.45,147.86,151.16,154.70,155.46,156.78,157.18,157.98,161.42,162.38,162.44,166.42;MS m/z=444.9(M+H+).
【0113】
形態Bは、次のパラメーター:(a)室温において0.15nmの波長のCuKα線で測定された場合、表2で列挙される対応するピークを有する、実質的に
図4に示されるようなものであるX線粉末回折パターン、(b)10K/分の速度で30℃から300℃に加熱された場合、実質的に
図5に示されるようなものである示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム及び10K/分の速度で30℃から300℃に加熱された場合、実質的に
図6に示されるようなものである熱重量分析(TGA)ダイアグラムの1つ以上によって特徴付けられる。一実施形態では、形態Bは、約13.4°、15.7°、23.9°及び24.7°から選択される3つ以上の2θピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。
【0114】
形態Bは、DSCによる227.3℃での融点開始及びTGAによる180℃での0.5%重量損失を有する。形態Bは、非吸湿性であり、DVSでは25℃において90%RHで0.3%の水分を吸収する。形態Bは、遊離形態水和物と比較して水性媒体中で安定性及び溶解性(24h)を示す。
【0115】
【0116】
実施例3
化合物Iフマル酸共結晶(1:1)形態Cの調製
50℃で72時間、アセトン(6mL)中で形態B(500mg)を平衡化した。RTで固形物をろ過し、40℃で18時間、真空下で乾燥させて、化合物Iフマル酸共結晶(1:1)形態C(「形態C」)を得た。
【0117】
形態Cは、次のパラメーター:(a)室温において0.15nmの波長のCuKα線で測定された場合、表3で列挙される対応するピークを有する、実質的に
図7に示されるようなものであるX線粉末回折パターン、(b)10K/分の速度で30℃から300℃に加熱された場合、実質的に
図8に示されるようなものである示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム及び10K/分の速度で30℃から300℃に加熱された場合、実質的に
図9に示されるようなものである熱重量分析(TGA)ダイアグラムの1つ以上によって特徴付けられる。一実施形態では、形態Cは、約9.8°、11.3°、14.8°、24.6°、25.0°、26.5°及び27.6°から選択される3つ以上の2θピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。
【0118】
形態Cは、DSCによる219.2℃の融点開始及びTGAによる180℃での1.3%重量損失を有する。形態Cは、僅かに吸湿性であり、DVSでは90%RHでおよそ0.6%の水分を可逆的に吸収する。
【0119】
【0120】
実施例4
形態Bシーディングによる化合物Iフマル酸共結晶(2:1)の調製
化合物I(22.5g、50.7mmol、1eq)をRTでTHF(450mL)に添加し、得られた懸濁液を55℃に加熱して、透明な溶液を得て、これをその後ろ過した。ろ液を部分的に真空下で濃縮して、化合物I及びTHFを含む残渣を得た(202.5g)。
【0121】
フマル酸(6.5g、55.8mmol、1.1eq)をイソプロピルアルコール(225mL)に添加した。得られた溶液を52℃に加熱し、ろ過して、透明なフマル酸溶液を得て、化合物I及びTHFを含む残渣に滴下して添加した。1時間にわたり化合物I及びTHFを含む残渣にフマル酸溶液の半分を添加した後、実施例2Bで調製した少量の形態B(11.3mg)を残ったフマル酸溶液に添加した。残ったフマル酸溶液を2時間にわたり反応混合物に添加した。
【0122】
反応混合物を50℃で2時間維持し、続いて5~7時間にわたりRTに冷却し、次に50℃において真空下で濃縮した。イソプロピルアルコール(225mL*2)を濃縮液に添加して、残留THFをさらに除去した。得られた懸濁液を2~4時間にわたりRTに冷却し、ろ過し、予め冷却されたイソプロピルアルコール(45mL)で洗浄した。60℃において真空下で16時間にわたり固形物を乾燥させて、灰白色の固形物として化合物Iフマル酸共結晶(2:1)を得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 2.41(s,3H),6.63(s,1H),7.43-7.46(m,1H),7.85(dd,J=7.70,0.73Hz,1H),7.91-7.99(m,1H),8.61(dd,J=4.65,0.98Hz,1H),8.80(dd,J=6.66,2.75Hz,1H),9.15(d,J=2.45Hz,1H),9.76(d,J=2.32Hz,1H),10.35-10.48(m,1H);13C NMR(101MHz,DMSO-d6)δ ppm 13.26,14.28,19.77,117.38,117.61,118.37,118.48,122.87,124.05,124.22,124.74,124.82,132.83,134.49,135.45,135.48,136.79,139.18,139.70,143.47,147.89,151.19,154.72,155.48,156.82,157.21,157.98,161.46,162.37,162.43,166.50;MS m/z=444.9(M+H+).
【0123】
化合物Iフマル酸共結晶(2:1)は、次のパラメーター:(a)室温において0.15nmの波長のCuKα線で測定された場合、表4で挙げられる対応するピークを有する実質的に
図10に示されるようなものであるX線粉末回折パターン、(b)10K/分の速度で30℃から300℃に加熱された場合、実質的に
図11に示されるようなものである示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム、及び(c)10K/分の速度で30℃から300℃に加熱された場合、実質的に
図12に示されるようなものである熱重量分析(TGA)ダイアグラムの1つ以上によって特徴付けられる。一実施形態では、化合物Iフマル酸共結晶(2:1)は、約3.8°、13.5°、17.2°及び26.6°から選択される3つ以上の2θピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。
【0124】
化合物Iフマル酸共結晶(2:1)は、DSCによる206.4℃の融点開始及びTGAによる180℃までで1.3%の重量損失を有する。化合物Iフマル酸共結晶(2:1)は、非吸湿性であり、DVSでは25℃において90%RHで0.12%のみを吸収する。
【0125】
【0126】
実施例5
非晶質化合物Iフマル酸(1:1)の調製
実施例2Bの手順に従って調製した化合物Iフマル酸共結晶(1:1)形態Bシード(100mg)を1,4-ジオキサン(30mL)中で溶解させた。得られた懸濁液をろ過し、アセトンドライアイス浴を使用してろ液を凍結した。凍結ろ液を-20℃で3日間凍結乾燥させ、非晶質化合物Iフマル酸(1:1)を得た。
【0127】
非晶質化合物Iフマル酸(1:1)は、次のパラメーター:(a)室温において0.15nmの波長のCuKα線で測定された場合に明瞭なピークを示さない実質的に
図13に示されるようなものであるX線粉末回折パターン、(b)10K/分の速度で30℃から300℃に加熱された場合、実質的に
図14に示されるようなものである示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム、及び(c)10K/分の速度で30℃から300℃に加熱された場合、実質的に
図15に示されるようなものである熱重量分析(TGA)ダイアグラムの1つ以上によって特徴付けられる。
【0128】
実施例6
非晶質化合物Iフマル酸(2:1)の調製
実施例4の手順に従って調製した化合物Iフマル酸共結晶(2:1)(100mg)を1,4-ジオキサン(15mL)中で溶解させた。得られた懸濁液をろ過し、アセトンドライアイス浴を使用してろ液を凍結した。凍結ろ液を-20℃で3日間凍結乾燥させ、非晶質化合物Iフマル酸(2:1)を得た。
【0129】
非晶質化合物Iフマル酸(2:1)は、次のパラメーター:(a)室温において0.15nmの波長のCuKα線で測定された場合に明瞭なピークを示さない実質的に
図16に示されるようなものであるX線粉末回折パターン、(b)10K/分の速度で30℃から300℃に加熱された場合、実質的に
図17に示されるようなものである示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム、及び(c)10K/分の速度で30℃から300℃に加熱された場合、実質的に
図18に示されるようなものである熱重量分析(TGA)ダイアグラムの1つ以上によって特徴付けられる。
【0130】
実施例7
化合物I固体形態の安定性
50℃/75%RH及び80℃/75%RHチャンバーにおいて、化合物I、化合物Iフマル酸共結晶及び非晶質化合物Iフマル酸試料(10mg)を開口バイアルに1週間入れた。50℃及び80℃チャンバーにおいて、同量の試料を閉じたバイアルに1週間入れた。100kLuxの光に25℃で12時間、試料を曝露した。
【0131】
物理的安定性の判定のためにXRPDにより、化学的安定性判定のためにUPLCにより固形物を試験した。目視観察により試料の色を評価した。表5は、化合物I及びその様々な固体形態の安定性を比較する。
【0132】
最初の純度で、化合物I遊離形態は、水和物であり、これは、92%RHで保管したとき及びDVS試験後に二水和物に変化する。160℃での分解後、遊離形態水和物は、非晶質形態に転換する。遊離形態水和物は、50℃、50℃/75&RH、80℃及び80℃/75%RHでバルク中において1週間、化学的に安定であるが、形態変化を認識した。両方の温度で75%RH湿度に曝露すると、二水和物が得られた。50℃/75%RH下で遊離形態水和物及び無水修飾物の混合物が観察された。遊離形態は、12時間にわたる1200kLuxhの光への曝露時に安定である。
【0133】
遊離形態水和物は、二水和物であると思われる形態変化と同時に吸湿性であり、25℃でのDVSにより8.9%の水分吸収がある。二水和物は、24時間にわたる92%RHでの遊離形態水和物の保管後にも得られる。水及びエタノールを用いた粉砕、圧縮及び湿式造粒後、遊離形態水和物は、異なる水和物又水和物混合物に転換した。
【0134】
対照的に、形態B及び化合物Iフマル酸共結晶(2:1)は、非吸湿性であり、同じ形態のままであり、DVSにより90%RHでそれぞれ水分吸収が0.3%及び0.12%であった。粉砕、圧縮及び湿式造粒により形態Bの結晶形態は、変化しなかった。
【0135】
【0136】
実施例8
化合物I固体形態の溶解度
様々な溶媒(1mL)中の化合物I、化合物Iフマル酸共結晶及び非晶質化合物Iフマル酸試料(2mg)をガラスバイアル中で混合して、スラリーを作製した。各試料を25℃で24時間平衡化し、0.2μm膜において13400r.p.m.で3分間遠心分離して、液体から固形物を分離した。UPLCにより溶解度を測定するために液体を使用した。
【0137】
表6は、25℃で24時間平衡化後の化合物I及びその様々な固体形態の溶解度データを提供し、試料の最終pHを括弧内で示す。SGF、FaSSIF及びFeSSIFなどの生体液中の形態Bの溶解度は、遊離形態の溶解度と比較して顕著により良好であった。FeSSIF中の化合物Iフマル酸共結晶(2:1)の溶解度も遊離形態の溶解度と比較して顕著により良好であった。
【0138】
【0139】
本発明を詳細に記載してきたが、本発明又はその何らかの実施形態の範囲に影響を及ぼすことなく、様々な改変形態内で同じことが行われ得ることが当業者により理解されるであろう。本明細書中で引用される全ての刊行物、特許及び特許出願は、全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は次の実施態様を含む。
[請求項1]
N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミド及びフマル酸を含む共結晶。
[請求項2]
N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミドとフマル酸とのモル比は、2:(0.5~2.5)である、請求項1に記載の共結晶。
[請求項3]
N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミドとフマル酸とのモル比は、2:(0.8~1.2)又は1:(0.8~1.2)である、請求項1に記載の共結晶。
[請求項4]
室温において0.15nmの波長のCuKα線で測定された場合、9.4°±0.2°、11.0°±0.2°、14.2°±0.2°及び25.8°±0.2°(2θ)から選択される3つ以上の2θピークを含むX線粉末回折パターンを有する、請求項1に記載の共結晶。
[請求項5]
室温において0.15nmの波長のCuKα線で測定された場合、9.4°±0.2°、14.2°±0.2°及び25.8°±0.2°(2θ)の2θピークを含むX線粉末回折パターンを有する、請求項1に記載の共結晶。
[請求項6]
(a)0.15nmの波長のCuKα線で測定された場合、実質的に図1に示されるようなものであるX線粉末回折パターン、(b)10K/分の速度で30℃から300℃に加熱された場合、実質的に図2に示されるようなものである示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム、及び(c)10K/分の速度で30℃から300℃に加熱された場合、実質的に図3に示されるようなものである熱重量分析(TGA)ダイアグラムから選択される1つ以上によって特徴付けられる、請求項1に記載の共結晶。
[請求項7]
室温において0.15nmの波長のCuKα線で測定された場合、13.4°±0.2°、15.7°±0.2°、23.9°±0.2°及び24.7°±0.2°(2θ)から選択される3つ以上の2θピークを含むX線粉末回折パターンを有する、請求項1に記載の共結晶。
[請求項8]
室温において0.15nmの波長のCuKα線で測定された場合、15.7°±0.2°、23.9°±0.2°及び24.7°±0.2°(2θ)の2θピークを含むX線粉末回折パターンを有する、請求項1に記載の共結晶。
[請求項9]
(a)0.15nmの波長のCuKα線で測定された場合、実質的に図4に示されるようなものであるX線粉末回折パターン、(b)10K/分の速度で30℃から300℃に加熱された場合、実質的に図5に示されるようなものである示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム、及び(c)10K/分の速度で30℃から300℃に加熱された場合、実質的に図6に示されるようなものである熱重量分析(TGA)ダイアグラムから選択される1つ以上によって特徴付けられる、請求項1に記載の共結晶。
[請求項10]
室温において0.15nmの波長のCuKα線で測定された場合、9.8°±0.2°、11.3°±0.2°、14.8°±0.2°、24.6°±0.2°、25.0°±0.2°、26.5°±0.2°及び27.6°±0.2°(2θ)から選択される3つ以上の2θピークを含むX線粉末回折パターンを有する、請求項1に記載の共結晶。
[請求項11]
室温において0.15nmの波長のCuKα線で測定された場合、9.8°±0.2°、14.8°±0.2°及び27.6°±0.2°(2θ)の2θピークを含むX線粉末回折パターンを有する、請求項1に記載の共結晶。
[請求項12]
(a)0.15nmの波長のCuKα線で測定された場合、実質的に図7に示されるようなものであるX線粉末回折パターン、(b)10K/分の速度で30℃から300℃に加熱された場合、実質的に図8に示されるようなものである示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム、及び(c)10K/分の速度で30℃から300℃に加熱された場合、実質的に図9に示されるようなものである熱重量分析(TGA)ダイアグラムから選択される1つ以上によって特徴付けられる、請求項1に記載の共結晶。
[請求項13]
室温において0.15nmの波長のCuKα線で測定された場合、3.8°±0.2°、13.5°±0.2°、17.2°±0.2°及び26.6°±0.2°(2θ)から選択される3つ以上の2θピークを含むX線粉末回折パターンを有する、請求項1に記載の共結晶。
[請求項14]
室温において0.15nmの波長のCuKα線で測定された場合、3.8°±0.2°、13.5°±0.2°及び17.2°±0.2°(2θ)の2θピークを含むX線粉末回折パターンを有する、請求項1に記載の共結晶。
[請求項15]
(a)0.15nmの波長のCuKα線で測定された場合、実質的に図10に示されるようなものであるX線粉末回折パターン、(b)10K/分の速度で30℃から300℃に加熱された場合、実質的に図11に示されるようなものである示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム、及び(c)10K/分の速度で30℃から300℃に加熱された場合、実質的に図12に示されるようなものである熱重量分析(TGA)ダイアグラムから選択される1つ以上によって特徴付けられる、請求項1に記載の共結晶。
[請求項16]
実質的に純粋な形態である、請求項1~15の何れか一項に記載の共結晶。
[請求項17]
請求項1~16の何れか一項に記載の共結晶を含む組成物。
[請求項18]
前記組成物の重量に基づいて少なくとも90重量%の前記共結晶を含む、請求項17に記載の組成物。
[請求項19]
請求項1~16の何れか一項に記載の共結晶から基本的になる組成物。
[請求項20]
請求項1~16の何れか一項に記載の共結晶と、薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物。
[請求項21]
請求項1~16の何れか一項に記載の共結晶と、1つ以上の治療活性剤とを含む組み合わせ。
[請求項22]
リーシュマニア症、シャーガス病及びヒトアフリカトリパノソーマ症から選択される障害又は疾患を処置するための、請求項1~16の何れか一項に記載の且つ任意選択により第2の物質との組み合わせにおける共結晶。
[請求項23]
リーシュマニア症、シャーガス病及びヒトアフリカトリパノソーマ症から選択される障害又は疾患の処置のための薬剤の製造における、請求項1~16の何れか一項に記載の且つ任意選択により第2の物質との組み合わせにおける共結晶の使用。
[請求項24]
前記第2の物質は、(a)内臓リーシュマニア症又は皮膚リーシュマニア症の処置のためのスチボグルコネート、アンチモン酸メグルミン、アンホテリシン、ミルテホシン及びパロモマイシン又はそれらの組み合わせ、(b)シャーガス病の処置のためのベンズニダゾール、ニフルチモックス及びアンホテリシン又はそれらの組み合わせ、及び(c)ヒトアフリカトリパノソーマ症の処置のためのペンタミジン、スラミン、メラルソプロール、エフロルニチン及びニフルチモックス又はそれらの組み合わせから選択される、請求項22に記載の共結晶又は請求項23に記載の使用。
[請求項25]
N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミド及びフマル酸のモル比が2:(0.1~5)である、N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミド及びフマル酸のX線非晶質複合体であって、任意選択により、実質的に結晶形態を含まないX線非晶質複合体。
[請求項26]
N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミド及びフマル酸の前記モル比は、1:(0.5~2.5)、1:(0.8~2.3)、1:(0.7~1.3)、1:(0.8~1.2)、1:(0.9~1.1)、1:1、2:(0.1~1.2)、2:(0.5~1.1)、2:(0.1~0.5)、2:(0.7~1.3)、2:(0.8~1.2)、2:(0.9~1.1)又は2:1である、請求項25に記載のX線非晶質複合体。
[請求項27]
請求項1~16の何れか一項に記載の共結晶を調製するためのプロセスであって、(1)フマル酸溶液を形成するために、フマル酸を第1の溶媒に添加することと、(2)N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミド溶液を形成するために、N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミドを第2の溶媒に添加することと、(3)N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミドフマル酸共結晶を形成するために、適切な条件下で前記フマル酸溶液を前記N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミド溶液と接触させることとを含むプロセス。
[請求項28]
前記N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミドフマル酸共結晶を形成するために、適切な条件下で前記N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミド溶液を前記フマル酸溶液に添加することを含む、請求項27に記載のプロセス。
[請求項29]
前記N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミドフマル酸共結晶を形成するために、前記フマル酸溶液を前記N-(4-フルオロ-3-(6-(3-メチルピリジン-2-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-2-イル)フェニル)-2,4-ジメチルオキサゾール-5-カルボキサミド溶液に添加することを含む、請求項28に記載のプロセス。