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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-07
(45)【発行日】2024-08-16
(54)【発明の名称】シラン変性ポリマーを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 85/00 20060101AFI20240808BHJP
   C08G 65/336 20060101ALI20240808BHJP
   C08G 63/695 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
C08G85/00
C08G65/336
C08G63/695
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021523663
(86)(22)【出願日】2019-11-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 EP2019080326
(87)【国際公開番号】W WO2020094685
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2022-08-24
(31)【優先権主張番号】18204858.7
(32)【優先日】2018-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519073092
【氏名又は名称】メルツ+ベンテリ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン フーバー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ツーバー
(72)【発明者】
【氏名】フリッツ ブルクハルト
(72)【発明者】
【氏名】クラウデ レルフ
【審査官】藤井 明子
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-532164(JP,A)
【文献】特開2007-297629(JP,A)
【文献】特表2004-512414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 81/00-85/00
C08G 65/00-67/04
C08G 63/00-64/42
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルバメート末端、チオカーボネート末端又はカーボネート末端プレポリマー(IIIa)又は(IIIb)を介してアルコキシシランポリマーを製造するためのプレポリマーの製造方法であって、
前記プレポリマーが、前記カルバメート末端、チオカーボネート末端又はカーボネート末端プレポリマー(IIIa)又は(IIIb)であって、
前記カルバメート末端、チオカーボネート末端又はカーボネート末端プレポリマーの製造が、少なくとも2つのアミノ基、メルカプト基又はヒドロキシル基で末端化された式(I)のポリマー骨格と、式(IIa)のクロロホルメート又は式(IIb)のピロカーボネートとの反応を含み、
【化1】
ここで、R及びRは、直鎖の又は分岐した、飽和又は不飽和の、1~10の炭素原子を有するアルキル又はアルケニル基、あるいは環系に5~18の炭素原子を有する、単環式又は多環式の、脂肪族又は芳香族環系であり、これは、任意選択で1以上のラジカルRで置換され、ここでRが、直鎖の又は分岐した、飽和又は不飽和の、1~10の炭素原子を有するアルキル又はアルケニル基、ニトロ基、カルボン酸エステル基、カルボン酸基、スルホン基及びハロゲン基からなる群より選択され、
Xは、酸素、窒素、又は硫黄であり、
yは、Xが酸素又は硫黄である場合には1であり、Xが窒素である場合には1又は2であり、
及びRが、直鎖の又は分岐した、飽和又は不飽和のアルキル又はアルケニル基である場合には、nは、0であり、
及びRが、単環式又は多環式の、脂肪族又は芳香族環系である場合には、nは、0、1又は2であり、かつ
Aは、ポリマー骨格である、
方法。
【請求項2】
前記反応が、式(IIa)のクロロホルメートを用いて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記反応が、第1の触媒(I)の非存在下で行われ、かつ
前記第1の触媒(I)が、前記反応のための触媒を意味し、前記反応を触媒するだけで、酸スカベンジャーとして機能しない化合物である、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
が、環系に6~18の炭素原子を有する単環式又は多環式の芳香族環系である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
が、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、1-アントリル、2-アントリル、9-アントリル、1-フェナントリル及び9-フェナントリルからなる群より選択されており、かつ、nが0又は1である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、及びn-デシルからなる群より選択されるアルキル基である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
式(I)の前記ポリマー骨格が、丁度2つのアミノ基、メルカプト基又はヒドロキシル基を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
式(I)の前記ポリマー骨格が、2つ超のミノ基、メルカプト基又はヒドロキシル基を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリマー骨格の各モノマー単位が、アミノ基、メルカプト基又はヒドロキシル基を有する側鎖を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリマー骨格Aが、ポリエーテルポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミン、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリスルフィド、ポリシロキサン、ポリアセタール及びそれらのコポリマーからなる群より選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリマー骨格Aが、ポリプロピレングリコール又はポリエステルである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリマー骨格Aが、ポリ(3-メチル-1,5-ペンタンジオールアジペート)である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
アルコキシシランポリマーを製造する方法であって、
請求項1~12のいずれか一項の方法によって、前記プレポリマーが製造され、
前記アルコキシシランポリマーを製造する方法が、前記プレポリマーを更なるステップにおいて、以下の(A)又は(B)で反応させることを含み、
(A)は、任意選択で第2の触媒(II)の存在下で、アミノアルコキシシラン若しくはメルカプトアルコキシシランと反応させる、
(B)は、任意選択で第2の触媒(II)の存在下で、ジアミン、トリアミン、ジチオール若しくはトリチオールと反応させて、変性されたプレポリマーを形成し、次に、エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物と反応させる、
ここで、前記アルコキシシランポリマーが形成される、
方法。
【請求項14】
前記(A)又は前記(B)による前記反応ステップの前に、前記プレポリマーを、アルコール又は活性化アルコールと反応させ、ここで、前記活性化アルコールがグリセロールカーボネートである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記(A)において、前記アミノアルコキシシランが、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(n-ブチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(n-ブチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(n-ブチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-エチルアミノイソブチルトリメトキシシラン、N-エチルアミノイソブチルメチルジメトキシシラン、3-ピペラジノプロピルトリメトキシシラン、3-ピペラジノプロピルメチルジメトキシシラン、3-ピペラジノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン及びピペラジンとグリシドキシプロピルトリメトキシシランとの等モル反応生成物を含む群より選択され、かつ
前記メルカプトアルコキシシランが、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン及び3-メルカプトプロピルトリメトキシシランを含む群より選択される、
請求項13又は14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルバメート末端、チオカーボネート末端又はカーボネート末端プレポリマーを介してアルコキシシランポリマーを製造する方法に関し、このプレポリマーは、高収率で製造することができる。
【背景技術】
【0002】
シラン変性ポリマー(SMP)は、しばらく前から、当業者に知られている。この化合物は、一般に湿気反応性ポリマーであり、特に湿気硬化性シーラント又は接着剤に使用される。
【0003】
全てのシラン変性ポリマーは、有機ポリマー骨格に加えて、対応するカップリング基を介してポリマー鎖に結合している少なくとも1つの加水分解性シリル基を有するという共通点を持っている。
【0004】
シラン変性ポリマーを製造する現行法では、比較的限られた数の市販製品しか入手できない。製造の種類に応じて、可能なポリマー鎖の選択は多かれ少なかれ制限される。
【0005】
ランダムにシリル化されたポリマーをもたらす共重合、グラフト共重合、及び重付加反応に加えて、ポリマーは、イソシアネート基とイソシアネート反応性基との反応によっても説明される。
【0006】
WO03/018658は、OH、SH又はNHR基を有するシランを、イソシアネート末端プレポリマーと反応させる方法を記載している。
【0007】
EP-A-1371670は、少なくとも1つのヒドロキシル基を有するビニルポリマーを、シリル基に加えて、ヒドロキシル基と反応することができる基を有する化合物と反応させる方法を記載している。この点に関して、イソシアネート基も具体的に言及されている。
【0008】
EP-A-2341116は、ポリマー鎖及びポリマー鎖に結合した少なくとも1つのシリル基を含むポリマー化合物を記載しており、ポリマー鎖及びシリル基は、β-ヒドロキシアミン基によって互いに連結されている。これらのポリマーの合成のための反応物として使用されるアミン末端又はエポキシ末端プレポリマーは、限られた範囲で大スケールにしか入手できず、比較的高価である。工業スケールでは、反応物は、ポリマー組成物の添加剤として使用されるが、個別のポリマーのプレポリマーとしては使用されないため、それらの可用性が大幅に低下する。
【0009】
US2006/0247407は、少なくとも1つの尿素基及び少なくとも1つのシリル基を有する化合物を製造するための方法を記載しており、ここで、少なくとも1つのアミノ基及びカルバメートを有する化合物を反応パートナーとして反応させ、反応パートナーの少なくとも1つはシリル基を有する。
【0010】
WO2018/042030は、イソシアネートフリー及びイソチオシアネートフリーのアルコキシシランポリマーを製造するための反応物としての有機カーボネート変性プレポリマーの使用を記載している。この方法の欠点は、アルキル末端及びアリール末端プレポリマーの収率が低いことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、アルコキシシランポリマーを製造する方法を提供することであり、ここで、この目的のために使用されるプレポリマーは、高収率で製造することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、請求項1に記載の方法によって達成される。更に好ましい実施形態は、従属請求項の発明特定事項である。
【0013】
驚くべきことに、アルコキシシランポリマーの収率は、本発明による方法を使用して著しく増加させることができることが見出された。アルコキシシランポリマーを製造するための本発明による方法は、カルバメート末端、チオカーボネート末端又はカーボネート末端プレポリマーの製造を含み、このプレポリマーは高収率で製造することができる。本発明による方法によって得られるアルコキシシランポリマーは、製造に使用されるアミノ基末端、メルカプト基末端又はヒドロキシル基末端ポリマーと本質的に同じ粘度を有する。これについての考えられる解釈は、本発明による方法は好ましくは室温で行われることであろう。結果として、部分的なプレ架橋は主として回避することができ、これは、得られるアルコキシシランポリマーが、製造に使用されるアミノ基末端、メルカプト基末端又はヒドロキシル基末端ポリマーと本質的に同じ粘度を有することを意味する。粘度は、たとえば、40mmのコーン/プレート測定システムを備えたHaake Rheostress RS6000で測定できる。
【0014】
これは、少なくとも2つのアミノ基、メルカプト基又はヒドロキシル基で末端化された式(I)のポリマー骨格を、式(IIa)のクロロホルメート又は式(IIb)のピロカーボネートと反応させることによって得られる:
【化1】
及びRは、直鎖の又は分岐した、飽和又は不飽和の、1~10の炭素原子を有するアルキル又はアルケニル基、あるいは環系に5~18の炭素原子を有する、単環式又は多環式の、脂肪族又は芳香族環系であり、これは、任意選択で1以上のラジカルRで置換され、ここでRが、直鎖の又は分岐した、飽和又は不飽和の、1~10の炭素原子を有するアルキル又はアルケニル基、ニトロ基、カルボン酸エステル基、カルボン酸基、スルホン基及びハロゲン基からなる群より選択され、ここでハロゲン基が、好ましくはCl、F、I及びBrからなる群より選択され、
Xは、酸素、窒素、又は硫黄であり、
yは、Xが酸素又は硫黄である場合には1であり、Xが窒素である場合には1又は2であり、
nは、直鎖の又は分岐した、飽和又は不飽和の、1~10の炭素原子を有するアルキル又はアルケニル基である場合には0であり、単環式又は多環式の、脂肪族又は芳香族環系である場合には0、1又は2であり、かつ
Aは、ポリマー骨格である。
【発明の効果】
【0015】
本発明による方法により、プレポリマー(III)は75%超の高収率で得られる。加えて、反応は室温で行うことができ、これは環境的及び経済的な利点である。更に、安全性を損なう可能性のある副生成物はない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
一実施形態では、カルバメート末端、チオカーボネート末端又はカーボネート末端プレポリマーは、少なくとも2つのアミノ基、メルカプト基又はヒドロキシル基で末端化された式(I)のポリマー骨格と、式(IIa)のクロロホルメートとを反応させることによって得られる。このようにして得られた本発明によるプレポリマーは、安価かつ高収率で製造することができる。
【0017】
他の実施形態では、カルバメート末端、チオカーボネート末端又はカーボネート末端プレポリマーは、少なくとも2つのアミノ基、メルカプト基又はヒドロキシル基で末端化された式(I)のポリマー骨格と、式(IIb)のピロカーボネートとを反応させることによって得られる。
【0018】
本発明による方法の第1の反応ステップは、好ましくは第1の触媒Iの非存在下で行われる。第1の触媒Iは、第1の反応ステップのための触媒を意味すると理解される。これは、反応を触媒するだけで、酸スカベンジャーとして機能しない化合物である。酸スカベンジャーとして機能するアミンは、主に酸スカベンジャーとして機能するため、第1の触媒Iの用語には該当しない。本発明の文脈において、第1の触媒(I)ではない可能なアミンは、例えば、TEA(トリエチルアミン)、その他のアミン又は環状芳香族アミンである。
【0019】
実際、カルバメート末端、チオカーボネート末端又はカーボネート末端プレポリマーの製造に通常使用される多くの触媒は、その後のアルコキシシランポリマーへの変換に悪影響を及ぼし、例えば、特にエステル化合物を有するポリマーの場合、ポリマー鎖の劣化をもたらすことが分かっている。第1の反応ステップ、その次の反応ステップ、アルコキシシランとの反応には、第1の触媒(I)が非存在であるため、アルコキシシランポリマーの部分的な架橋を実質的に防ぐことができる。
【0020】
両方の反応ステップは、好ましくは触媒の非存在下で行われる。カーボネート末端ポリマーの場合、両方の反応ステップは、好ましくは触媒の非存在下で行われる。カルバメート末端ポリマーの場合、触媒が存在しないと数日の長い反応時間のため、2番目の反応ステップに触媒を使用するのは有用でありうる。
【0021】
一実施形態では、式(IIa)のクロロホルメート中のRは、環系に5~18の炭素原子を有する、単環式又は多環式の、脂肪族又は芳香族環系であり、これは、任意選択で1以上のラジカルRで置換されてもよく、ここで、nは、好ましくは0又は1であり、最も好ましくは0である。Rは、好ましくは、直鎖の又は分岐した、飽和又は不飽和の、1~10の炭素原子を有するアルキル又はアルケニル基、ニトロ基、カルボン酸エステル基、カルボン酸基、スルホン基及びハロゲン基からなる群より選択され、ハロゲン基は、好ましくはCl、F、I及びBrからなる群より選択される。可能な単環式又は多環式の脂肪族環系は、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルである。
【0022】
式(IIa)のクロロホルメートにおいて、Rは、好ましくは、環系に6~18の炭素原子を有する、単環式又は多環式の芳香族環系であり、これは正確にはこれらのプレポリマーは非常に高い収率で製造できるからである。非置換の環系はより安価であるため、環系は好ましくは非置換である。しかしながら、置換された環系は、それぞれより高い反応性を有する。Rは、特に好ましくは、フェニル、4-ニトロフェニル、4-メトキシフェニル、4-メトキシカルボニルフェニル、1-ナフチル、4-ニトロ-1-ナフチル、4-メトキシ-1-ナフチル、4-メトキシカルボニル-1-ナフチル、2-ナフチル、1-アントリル、2-アントリル、9-アントリル、1-フェナントリル及び9-フェナントリルからなる群より選択された環系であり、かつnは0又は1である。Rは、特に好ましくは、フェニル、4-ニトロフェニル又は4-メトキシフェニルであり、かつnは0又は1であり、すなわち、式(IIa)のクロロホルメートは、特に好ましくは、クロロギ酸フェニル、クロロギ酸4-ニトロフェニル、クロロギ酸4-メトキシフェニル、クロロギ酸ベンジル、クロロギ酸4-ニトロベンジル及びクロロギ酸4-メトキシベンジルからなる群より選択される。
【0023】
は、あるいは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル及びn-デシルからなる群より選択されてもよい。Rは、特に好ましくはイソブチルである。
【0024】
クロロホルメートは特に好ましくは塩化ベンジルオキシカルボニルであり、これは、この市販の反応物は、一般式(III)のポリマーを高収率でもたらし、これを更に反応させてアルコキシシランポリマーを得ることができるからである。
【0025】
本発明による方法の一実施形態では、式(I)のポリマー骨格は、丁度2つのアミノ基、メルカプト基又はヒドロキシル基を有する。このようなプレポリマーは、架橋度が低いアルコキシシランポリマーをもたらし、これは、例えば、弾性シーラント等の、高弾性及び低弾性率を有する用途に特に好ましく使用される。
【0026】
本発明による方法の他の実施形態では、式(I)のポリマー骨格は、2つ以上のアミノ基、メルカプト基又はヒドロキシル基を有する。このようなプレポリマーは、架橋度が高いアルコキシシランポリマーをもたらし、これは、例えば、接着剤又はコーティング等の、高弾性率、高引張強度、又は高硬度を有する用途に特に好ましく使用される。
【0027】
例えば、アミノ基、メルカプト基又はヒドロキシル基は、ポリマー骨格のモノマー単位の側鎖に存在し得る。一実施形態では、本質的に、各モノマー単位は、式(IIa)のクロロホルメートと反応することができるアミノ基、メルカプト基又はヒドロキシル基を有する側鎖を有する。
【0028】
ポリマー骨格Aは、好ましくは、ポリエーテル、ポリアルコール、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリスルフィド、ポリシロキサン、ポリアミン、ポリアミド、ポリアセタール及びそれらのコポリマーからなる群より選択される。最も好ましくは、ポリプロピレングリコール、及びポリ(3-メチル-1,5-ペンタンジオールアジペート)等のポリエステルである。
【0029】
本発明による方法を使用して製造することができる式(III)のプレポリマーは、好ましくは、以下からなる群より選択される:
【0030】
【化2-1】
【化2-2】
【化2-3】
【化2-4】
【化2-5】
【化2-6】
【化2-7】
【化2-8】
【0031】
ここで、mは、モノマー単位の数であり、分子量は、1000~100000g/mol、好ましくは2000~50000g/molであり、したがってモノマー単位の数mを定義する。
【0032】
更なる実施形態では、式(IIa)のクロロホルメートは、最初に式(IIb)のピロカーボネートに変換させることができ、そして、これらを、アミノ基、メルカプト基又はヒドロキシル基を有するポリマーと更に反応させることができる。このような方法は、非常に敏感なクロロギ酸アルキルに特に推奨される。
【0033】
シラン変性ポリマーを得るために、本発明による方法によって製造されたプレポリマーを、更なるステップにおいて、以下のいずれかの:
(A)アミノアルコキシシラン若しくはメルカプトアルコキシシラン、任意選択で2番目の反応のための触媒(II)の存在下で、と反応させ、又は
(B)ジアミン、トリアミン、ジチオール若しくはトリチオールと反応させて変性されたプレポリマーを形成し、次にエポキシ基を有するアルコキシシラン化合物と反応させ、ここで、アルコキシシランポリマーが形成される。
【0034】
変形例(A)の反応ステップでは、本発明による方法によって得られたプレポリマーは、一実施形態では、アミノアルコキシシランと適宜に更に反応して、カルバメート(ウレタン)を形成する。反応は、好ましくは-20~150℃、特に好ましくは20~100℃、そしてとりわけ好ましくは20~60℃で行われる。
【0035】
アミノアルコキシシランは、好ましくは、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(n-ブチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(n-ブチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(n-ブチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-エチルアミノイソブチルトリメトキシシラン、N-エチルアミノイソブチルメチルジメトキシシラン、3-ピペラジノプロピルトリメトキシシラン、3-ピペラジノプロピルメチルジメトキシシラン、3-ピペラジノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-シクロヘキシル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン及びN-シクロヘキシル-3-アミノプロピルトリメトキシシランを含む群より選択される化合物を含む。N-シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン及びN-(6-アミノヘキシル)アミノメトキシトリエトキシシラン等のアルファシラン又は3-ウレイドプロピルトリメトキシシラン等のウレイドシランも適切である。同様に、例えば、ピペラジンと3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの等モル反応生成物等の、ジアミンとエポキシシランとの等モル反応生成物は、適切なアルコキシシランである。特に好ましくは一級アミノ基又は環状アミノ基を有するアルコキシシランであり、これはそれらが特に反応性であるためである。
【0036】
この反応には触媒を使用できる。触媒は、不均質系又は均質系触媒であってよく、MCM-41(Mobil Composition of Matter No.41;ケイ酸塩及びアルミノケイ酸塩固体のファミリーからの階層的細孔構造を有するメソポーラス材料)、有機修飾MCM-41、Mg/La金属酸化物、ナノ結晶MgO、LiOH、Li2CO3、K2CO3、Cs2CO3、Mgs(OH)2(CO3)4、ジルコニウム(IV)ブトキシド、ジルコニウム(IV)プロポキシド、ジルコニウム(IV)tert-ブトキシド、ジルコニウム(IV)イソプロポキシド、チタンテトラアルコキシド、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズオキシド、ビストリブチルスズオキシド、イッテルビウム(III)アセチルアセトナート、ジルコニウム(III)アセチルアセトナート、イッテルビウム(III)アセチルアセトナート、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ηοη-5-エン(DBN)、トリフラート、例えば、ビスマス(III)トリフラート、ランタン(III)トリフラート、イッテルビウム(III)トリフラート、イットリウム(III)トリフラート、ジルコニルトリフラート等、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(TBD)、ピリジン、4-(ジメチルアミノ)ピリジン、1,4-ジアズアビシクロ[2.2.2]オクタン、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド等のトリメチルシリルアミド、ZrCl2、SnCl又は例えば、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)イミダゾール-2-イリデン等のN-ヘテロ環カルベン等であってよい。エステル交換のためのさらなる可能な触媒は、欧州特許出願EP2308914、特に段落40~42に記載されており、参照により本明細書の本文に組み込まれる。
【0037】
しかしながら、触媒を省略することも可能である。
【0038】
したがって、こうして得られたアルコキシシランポリマーは、高収率で得ることができる。
【0039】
変形例(A)の反応ステップにおいて、他の実施形態では、本発明によるプレポリマーは、メルカプトアルコキシシランと更に反応して、チオカーボネートを形成する。反応は、好ましくは-20~150℃、特に好ましくは20~100℃、そしてとりわけ好ましくは20~60℃で行われる。
【0040】
チオールは、好ましくは、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン及び3-メルカプトプロピルトリメトキシシランを含む群より選択されるメルカプトアルコキシシランである。
【0041】
変形例(B)の反応ステップにおいて、本発明によるプレポリマーを、任意選択で触媒(II)の存在下で、適切なジアミン、トリアミン、ジチオール又はトリチオールと反応させる。この場合の可能なジアミンは、例えば、ヘキサメチルジアミン、オクタメチレンジアミン、メチルペンタンジアミン、メタキシリレンジアミン、トリメチレンヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、アミノエチルピペラジン又はイソホロンジアミンである。
【0042】
可能なトリアミンは、例えば、ペンタン-1,2,5-トリアミン、1,2,3-プロパントリアミン、フェニル-1,2,4-トリアミン、フェニル-1,3,5-トリアミン、ピリミジン-2,4,6-トリアミンである。
【0043】
この反応のための可能なメルカプト化合物は、EP1944329、特に段落68~71に詳細に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。例は、ジチオスレイトール、1,2-エタンジチオール、1,2-プロパンジチオール、1,3-プロパンジチオール、1,4-ブタンジチオール、1,5-ペンタンジチオール、1,6-ヘキサンジチオール、1,7-ヘプタジチオール、1,8-オクタンジチオール、1,9-ノナンジチオール、1,10-デカンジチオール、1,12-ドデカンジチオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジチオール、3-メチル-1,5-ペンタンジチオール、2-メチル-1,8-オクタンジチオール、1,1,1-トリス(メルカプトメチル)エタン、2-エチル-2-メルカプトメチル-1,3-プロパンジチオール、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、1,4-シクロヘキサンジチオール、1,4-ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、ビス(2-メルカプトエチル)エーテル、ビス(2-メルカプトエチル)スルフィド、ビス(2-メルカプトエチル)ジスルフィド、2,5-ビス(メルカプトメチル)-1,4-ジオキサン、2,5-ビス(メルカプトメチル)-1-ジチアン、3,3’-チオビス(プロパン-1,2-ジチオール)、2,2’-チオビス(プロパン-1,3-ジチオール);並びに、チオフェノール、1,2-ベンゼンジチオール、1,3-ベンゼンジチオール、1,4-ベンゼンジチオール、1,3,5-ベンゼントリチオール、トルエン-3,4-ジチオール、メルカプトメチルベンゼン、1,2-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン及び1,3,5-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン等の芳香族メルカプト基を含む置換又は非置換の化合物である。
【0044】
次に、このようにして形成された変性プレポリマーを、2番目のステップで、エポキシ基を含むアルコキシシラン化合物と反応させて、アルコキシシランポリマーを形成する。ポリマーの末端アミンとエポキシ基を有するアルコキシシラン化合物との間のこの反応は、欧州特許出願EP2341116、特に段落[0024]~[0042]に記載されている。その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0045】
アルコキシシランポリマーが、変性されたプレポリマーをエポキシ基を有する少なくとも1つのアルコキシシラン化合物と反応させることによって得られる場合、ポリマーあたりの好ましいシリル基の数は、一級アミノ基の場合には、一般的にアミノ基の1から2倍の間であり、そして二級アミノ基の場合には、1とアミノ基の単一の数との間である。同じことは、ジオール変性プレポリマーにも適用する。少なくとも2つのアミノ基又はメルカプト基を有するプレポリマーとエポキシ基を有する化合物との間の反応性は比較的高い。反応は、任意選択で、触媒(II)の存在によって加速することができる。可能な触媒は、ビスマス(III)トリフラート、ランタン(III)トリフラート、イッテルビウム(III)トリフラート、イットリウム(III)トリフラート、ジルコニルトリフラート、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン等の三級アミン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等のフェノール誘導体等である。
【0046】
本発明の目的のために考えられるエポキシ基を有するさらなるアルコキシシラン化合物は、WO2008/031895(7ページ、No.41~47)に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。[2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル]トリメトキシシランもこの観点で言及されるべきである。
【0047】
あるいは、変形例(A)又は変形例(B)による反応ステップの前に、本発明による方法によって得られたプレポリマーを、アルコール又は活性化アルコールとエステル交換することも可能である(変形例(C))。活性化アルコールは、好ましくはグリセロールカーボネートである。反応は、変性されたプレポリマーをもたらし、その直鎖のカーボネート基は更に環状カーボネート基に結合する。環状カーボネート基は、著しく高い反応性を有する。次に、アミノアルコキシシラン又はメルカプトアルコキシシランを、ヒドロキシウレタン又はヒドロキシチオウレタン結合を介して、変性されたプレポリマーに結合させることができる。
【0048】
アルコキシシランポリマーあたりのシリル基の平均数は、好ましくは1~10の範囲であり、プレポリマー中のカーボネート基の数に依存する。直鎖のポリマー骨格の場合、この数は、通常約2であり;分岐したポリマー骨格の場合、この数は通常より高くなる。
【0049】
上記の反応方法に従って得られたアルコキシシランポリマー(変形例(A)、変形例(B)又は変形例(C))は、好ましくは、湿気硬化シーラント又は接着剤として使用される組成物中に存在する。このような組成物は、本質的に無水である。湿気硬化性シーラント又は接着剤は、大気中の湿気と接触すると硬化してシーラント又は接着剤になる。本発明によって得られるアルコキシシランポリマーは、大気中の水分を排除しても貯蔵安定性がある。
【0050】
特に、化合物がシーラント又は接着剤組成物に使用される場合、第一に、毒性プロファイル、粘度、レオロジー、加工性、安定性等のペースト状組成物の特性は、ポリマー骨格の選択によって影響を受ける可能性がある。第二に、硬化した組成物の特性は、ポリマー骨格の選択によって影響を受ける可能性がある。例えば、特に抵抗に関して、例えば、耐熱性、耐火性、低温柔軟性、低温加工性、UV安定性、耐候性、化学的耐性、糞便耐性、耐油性及び耐燃料性、耐水性及び耐摩耗性、所望の特性はまた、機械的特性、例えば、引張強度、硬度、弾性及び粘着性に関して設定することができる。同じことは、透過性、すなわち、水、蒸気及びガスの透過性、並びに毒性プロファイル、例えば、食品の適合性、飲料水の適合性及び生分解性に対しても適用する;硬化したシーラント又は接着剤の組成は、必要に応じて調整できる。
【0051】
特に、本発明の化合物を接着剤組成物に使用する場合、接着特性、例えば、プラスチック接着、湿潤接着、多孔質及びアルカリ性又は酸性表面への接着、並びに湿潤基材への接着は、それぞれの用途に適した適切なポリマー骨格を選択することによって調整できる。更に、ポリマー骨格は、硬化した組成物の屈折率、電気的、熱的、音響的伝導性又は絶縁性等の物理的特性を主に決定する。ポリマー骨格が少なくとも部分的に又は完全にポリスルフィドであり、好ましくはヒドロキシル基で末端官能化されている化合物も好ましい。このような最終ポリマーは、良好な湿潤接着性を備えたシーラント及び接着剤をもたらし、それらはまた、高い化学的、熱的及び光分解的安定性を有する。設定される可能性のある特性の変動性のために、本発明のアルコキシシランポリマーは、そのような特性の「カスタマイズ」が望まれる用途の分野での使用に特に適している。例えば、建設、機械、電気、車両又は航空産業での使用が好ましく、例えば、表面シーリングのための耐水性及びガス透過性、構造結合の機械的性質及び接着性、並びに対応する組成物の防火性等を設定することができる。
【0052】
プレポリマーの構造のおかげで得られる化学的耐性、特にアルコキシシランポリマーの耐油性と耐燃料性は、自動車産業での使用も可能にする。
【0053】
耐候性があるため造船にも、又は絶縁性があるため電子用途にも使用できる。最後に述べた用途については、本発明によれば、浸出に関して従来のシリコーン組成物で観察された不利な点を回避することができる、シリコーンを含まないシステムを選択することも可能である。アルコキシシランポリマーは、水平面又は垂直面の構造シールとして、引っかき傷防止コーティング、接着剤又は非粘着性コーティング、落書き防止コーティング等のコーティングにも使用することができ、銅又はビチューメン、又はテキスタイルのコーティングとも交換性がありうる。アルコキシシランポリマーは、一般に、1成分又は2成分系で使用できる。例えば、医療技術、ロボット工学、又は自動車産業で使用できる形状記憶ポリマーとしての使用も考えられる。
【実施例
【0054】
本発明は、以下の実施例によって更に説明される。
【0055】
実施例1:アミノシランを有するカーボネート末端ポリエーテル
95.7g(0.024mol)のポリエーテルジオール(CovestroのDesmophen 4028BD)を100mlのトルエンに室温(25℃)で溶解させる。次に、6.1g(0.06mol)のトリエチルアミンを加える。溶液は、短時間で均質になり、無色透明である。12mlのトルエンに予め溶解した7.74g(0.049mol)のクロロギ酸フェニルを、45~75分間にわたって反応溶液に均一に滴下して加える。反応混合物を更に少なくとも8時間攪拌する。次に、反応混合物を約8℃に冷却する。得られたトリエチルアミン塩酸塩の沈殿物を濾別し、少量のトルエンで洗い流す。次に、溶媒を減圧下で除去する。カーボネート末端ポリエーテルは、生成物として高収率で得られる。
【0056】
【化3】
【0057】
50g(0.012mol)のフェニルカーボネート末端ポリマーを、4.30g(0.024mol)の3-アミノプロピルトリメトキシシラン(Evonik)と25℃で少なくとも12時間反応させる。形成されたフェノールは、無色からわずかに黄色がかった透明な反応混合物に溶解した形で残る。トリメトキシシラン末端ポリエーテルは、生成物として得られる。トリメトキシシラン基は、ウレタン結合を介してポリエーテルに付いている。
【0058】
【化4】
【0059】
このポリマーは、シラン末端ポリマーに基づく湿気硬化型接着剤、シーラント、及びコーティング材料の製造に使用することができる。
【0060】
実施例2:アミノシランを有するカーボネート末端ポリエーテル
実施例1と同様に調製した50g(0.012mol)のフェニルカーボネート末端ポリマーを、6.26g(0.024mol)のピペラジニルメチルメチルジエトキシシラン(SiSiB(登録商標)SILANES)と25℃で少なくとも12時間反応させる。形成されたフェノールは、無色から淡黄色がかった透明な反応混合物に溶解した形で残る。ジエトキシシラン末端ポリエーテルは、生成物として得られる。ジエトキシシラン基は、ウレタン結合を介してポリエーテル付いている。
【0061】
【化5】
【0062】
このポリマーは、シラン末端ポリマーに基づく湿気硬化型接着剤、シーラント、及びコーティング材料の製造に使用することができる。
【0063】
実施例3:アミノシランを有するカーボネート末端ポリエーテル
実施例1と同様に調製した50g(0.012mol)のフェニルカーボネート末端ポリマーを、6.26g(0.024mol)の[3-(1-ピペラジニル)プロピル]トリメトキシシランと25℃で少なくとも12時間反応させる。形成されたフェノールは、無色から淡黄色がかった透明な反応混合物に溶解した形で残る。トリメトキシシラン末端ポリエーテルは、生成物として得られる。トリメトキシシラン基は、ウレタン結合を介してポリエーテルに付いている。
【0064】
【化6】
【0065】
このポリマーは、シラン末端ポリマーに基づく湿気硬化型接着剤、シーラント、及びコーティング材料の製造に使用することができる。
【0066】
実施例4:アミノシランを有するメチルカーボネート末端ポリエーテル
95.7g(0.024mol)のポリエーテルジオール(CovestroのDesmophen 4028BD)を、80℃で1時間減圧下で予備乾燥する。その後、室温まで冷却する。7.2g(0.054mol)のジメチルジカーボネート(Merck)を室温で加える。0.1gのランタントリフラートを触媒として反応混合物に加える。反応混合物から形成されたメタノール及び二酸化炭素を除去するために、反応混合物を一晩減圧下で反応させる。得られた生成物は、高収率でメチルカーボネート末端ポリエーテルである。
【0067】
【化7】
【0068】
50g(0.012mol)のカーボネート末端ポリマーを、4.30g(0.024mol)の3-アミノプロピルトリメトキシシラン(Evonik)及び0.1gの1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(Sigma-Aldrich)と60℃で24時間反応させる。形成されたメタノールは蒸留除去される。トリメトキシシラン末端ポリエーテルは、生成物として得られる。トリメトキシシラン基は、ウレタン結合を介してポリエーテルに付いている。
【0069】
【化8】
【0070】
このポリマーは、シラン末端ポリマーに基づく湿気硬化型接着剤、シーラント、及びコーティング材料の製造に使用することができる。
【0071】
実施例6:アミノシランを有するカーボネート末端ポリエステル
100g(0.016mol)のポリエステルジオール(105Pasの粘度を有する、KurarayのポリオールP-6010)を、室温(25℃)で100mlのトルエンに溶解する。次に、4.2g(0.04mol)のトリエチルアミンを加える。液は、短時間で均質になり、無色透明である。8mlのトルエンに予め溶解した5.3g(0.034mol)のクロロギ酸フェニルを、45~75分間にわたって反応溶液に均一に滴下して加える。反応混合物を更に少なくとも8時間攪拌する。次に、反応混合物を約8℃に冷却する。得られたトリエチルアミン塩酸塩の沈殿物を濾別し、少量のトルエンで洗い流す。次に、溶媒を減圧下で除去する。高収率で得られる生成物は、101Pasの粘度を有するフェニルカーボネート末端ポリエステルである。
【0072】
【化9】
【0073】
50g(0.008mol)のフェニルカーボネート末端ポリマーを、3.0g(0.016mol)の3-アミノプロピルトリメトキシシラン(Evonik)と25℃で少なくとも12時間反応させる。形成されたフェノールは、無色からわずかに黄色がかった透明な反応混合物に溶解した形で残る。得られた生成物は、107Pasの粘度を有するトリメトキシシラン末端ポリエステルである。トリメトキシシラン基は、ウレタン結合を介してポリエステルに付いている。
【0074】
【化10】
【0075】
このポリマーは、シラン末端ポリマーに基づく湿気硬化型接着剤、シーラント、及びコーティング材料の製造に使用することができる。
【0076】
比較例
100g(0.016mol)のポリエステルジオール(105 Pasの粘度を有する、KurarayのポリオールP-6010)を5.35g(0.033mol)のカルボニルジイミダゾール(CDI)とともに60℃で12時間窒素下で攪拌する。得られた生成物は、124Pasの粘度を有するイミダゾールカルバメート末端ポリエーテルである。
【0077】
50g(0.008mol)のイミダゾールカルバメート末端ポリマーを、3.0g(0.016mol)の3-アミノプロピルトリメトキシシラン(Evonik)と60℃で24時間反応させる。190Pasの粘度を有するトリメトキシシラン末端ポリエーテルは、生成物として得られる。トリメトキシシラン基は、ウレタン結合を介してポリエーテルに付いている。
【0078】
処方例7~8
以下の処方(重量パーセントにおけるデータ)を、スピードミキサー(DAC 1100 FVZ、Hauschild)で混合し、310ml PEカートリッジ(Ritter)に充填した。完成した処方を、標準的な気候(23℃/50%RH)で保存し、保存後の粘度をレオメーター(RS6000、Haake)で測定した。処方例7は、貯蔵におけるシラン末端ポリマーに典型的な粘度の増加を示しているが、処方例8では、粘度は、貯蔵では減少する。これは、ポリマー鎖の劣化を示している。
【0079】
【表1】
【0080】
実施例9:アミノシランを有するカルバメート末端ポリエーテル
80g(0.02mol)の平均モル質量4000g/molを有するポリエーテルジアミンを(Sigma-Aldrichから入手可能)、室温(25℃)で100mlのトルエンに溶解する。次に、5.1g(0.05mol)のトリエチルアミンを加える。溶液は、短時間で均質になり、黄色透明である。8mlのトルエンに予め溶解した2.5g(0.016mol)のクロロギ酸フェニルを、45~75分間にわたって反応溶液に均一に滴下して加える。反応混合物を更に少なくとも8時間攪拌する。次に、反応混合物を約8℃に冷却する。得られたトリエチルアミン塩酸塩の沈殿物を濾別し、少量のトルエンで洗い流す。次に、溶媒を減圧下で除去する。得られた生成物は、高収率でフェニルカルバメート末端ポリエーテルである。
【0081】
【化11】
【0082】
42g(0.01mol)のフェニルカーボネート末端ポリマーを、3.6g(0.02mol)の3-アミノプロピルトリメトキシシラン(Evonik)と50℃の浴温で反応させる。0.03gの1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(Sigma-Aldrich)を触媒として反応混合物に加える。反応は遅くとも17時間後に完了する。形成されたフェノールは、黄色の透明な反応混合物に溶解した形で残る。トリメトキシシラン末端ポリエーテルは、生成物として得られる。トリメトキシシラン基は、尿素結合を介してポリエーテルに付いている。
【0083】
【化12】
【0084】
このポリマーは、シラン末端ポリマーに基づく湿気硬化型接着剤、シーラント、及びコーティング材料の製造に使用することができる。
本発明は、下記の態様を含む:
〈態様1〉
カルバメート末端、チオカーボネート末端又はカーボネート末端プレポリマー(IIIa)又は(IIIb)を介してアルコキシシランポリマーを製造する方法であって、前記カルバメート末端、チオカーボネート末端又はカーボネート末端プレポリマーの製造が、少なくとも2つのアミノ基、メルカプト基又はヒドロキシル基で末端化された式(I)のポリマー骨格と、式(IIa)のクロロホルメート又は式(IIb)のピロカーボネートとの反応を含み、
【化1】
ここで、R 及びR は、直鎖の又は分岐した、飽和又は不飽和の、1~10の炭素原子を有するアルキル又はアルケニル基、あるいは環系に5~18の炭素原子を有する、単環式又は多環式の、脂肪族又は芳香族環系であり、これは、任意選択で1以上のラジカルR で置換され、ここでR が、直鎖の又は分岐した、飽和又は不飽和の、1~10の炭素原子を有するアルキル又はアルケニル基、ニトロ基、カルボン酸エステル基、カルボン酸基、スルホン基及びハロゲン基からなる群より選択され、
Xは、酸素、窒素、又は硫黄であり、
yは、Xが酸素又は硫黄である場合には1であり、Xが窒素である場合には1又は2であり、
nは、直鎖の又は分岐した、飽和又は不飽和の、1~10の炭素原子を有するアルキル又はアルケニル基である場合には0であり、単環式又は多環式の、脂肪族又は芳香族環系である場合には0、1又は2であり、かつ
Aは、ポリマー骨格である、
方法。
〈態様2〉
前記反応が、式(IIa)のクロロホルメートを用いて行われる、態様1に記載の方法。
〈態様3〉
前記反応が、第1の触媒(I)の非存在下で行われる、態様1に記載の方法。
〈態様4〉
が、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、1-アントリル、2-アントリル、9-アントリル、1-フェナントリル及び9-フェナントリルからなる群より選択されており、かつ環系に6~18の炭素原子を有する単環式又は多環式の芳香族環系であり、かつ、nが0又は1である、態様1~3のいずれか一項に記載の方法。
〈態様5〉
が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、及びn-デシルからなる群より選択されるあるアルキル基である、態様1~4のいずれか一項に記載の方法。
〈態様6〉
式(I)の前記ポリマー骨格が、丁度2つのアミノ基、メルカプト基又はヒドロキシル基を有する、態様1~5のいずれか一項に記載の方法。
〈態様7〉
式(I)の前記ポリマー骨格が、2つ超のミノ基、メルカプト基又はヒドロキシル基を有する、態様1~5のいずれか一項に記載の方法。
〈態様8〉
本質的に、前記ポリマー骨格の各モノマー単位が、アミノ基、メルカプト基又はヒドロキシル基を有する側鎖を有する、態様7に記載の方法。
〈態様9〉
前記ポリマー骨格Aが、ポリエーテル、ポリアルコール、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミン、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリスルフィド、ポリシロキサン、ポリアセタール及びそれらのコポリマーからなる群より選択される、態様1~8のいずれか一項に記載の方法。
〈態様10〉
前記ポリマー骨格Aが、ポリプロピレングリコール又はポリエステル、好ましくはポリ(3-メチル-1,5-ペンタンジオールアジペート)である、態様9に記載の方法。
〈態様11〉
前記プレポリマー(III)を、更なるステップにおいて、以下の
(A)アミノアルコキシシラン若しくはメルカプトアルコキシシラン、任意選択で第2の触媒(II)の存在下で、又は
(B)変性されたプレポリマーを与えるためのジアミン、トリアミン、ジチオール若しくはトリチオール
と反応させ、かつ
次に、エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物と反応させ、ここで、アルコキシシランポリマーが形成される、
態様1~10のいずれか一項に記載の方法。
〈態様12〉
変形例(A)又は変形例(B)による前記反応ステップの前に、前記プレポリマーを、アルコール又は活性化アルコールと反応させ、ここで、前記活性化アルコールが好ましくはグリセロールカーボネートである、態様11に記載の方法。
〈態様13〉
変形例(A)において、前記アミノアルコキシシランが、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(n-ブチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(n-ブチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(n-ブチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-エチルアミノイソブチルトリメトキシシラン、N-エチルアミノイソブチルメチルジメトキシシラン、3-ピペラジノプロピルトリメトキシシラン、3-ピペラジノプロピルメチルジメトキシシラン、3-ピペラジノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン及びピペラジンとグリシドキシプロピルトリメトキシシランとの等モル反応生成物を含む群より選択され、かつ
前記メルカプトアルコキシシランが、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン及び3-メルカプトプロピルトリメトキシシランを含む群より選択される、
態様11又は12に記載の方法。