(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-07
(45)【発行日】2024-08-16
(54)【発明の名称】外科手術用器具および外科手術用セット
(51)【国際特許分類】
A61B 17/064 20060101AFI20240808BHJP
A61B 17/17 20060101ALI20240808BHJP
A61B 17/16 20060101ALN20240808BHJP
【FI】
A61B17/064
A61B17/17
A61B17/16
(21)【出願番号】P 2021577682
(86)(22)【出願日】2020-06-25
(86)【国際出願番号】 EP2020067857
(87)【国際公開番号】W WO2020260470
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-05-12
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517037630
【氏名又は名称】メダルティス・ホールディング・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】MEDARTIS HOLDING AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ランゲル,バリー
【審査官】豊田 直希
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0228355(US,A1)
【文献】特表2005-532143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00-18/00
A61B 50/00
A61B 90/00
A61F 2/01
A61N 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
-少なくとも2つ
の脚(21)と、前記脚(21)を接続する基部(22)とを有する、外科手術用クランプ(20)と、
-前記
外科手術用クランプ(20)に一体的に接続される、ハンドル(30)と、を含み、
前記ハンドル(30)は、少なくとも第1の所定の破壊点(91)を介して前記
外科手術用クランプ(20)の前記基部(22)に接続さ
れる、外科手術用器具(10)であって、前記外科手術用器具(10)は、以下の群から選択された少なくとも1つのさらなる要素(40,50,60,70,71,80,130)を備え、前記群は、
-少なくとも1つの穿孔補助具(40)、
-少なくとも1つのドリル(50)、
-少なくとも1つの外科手術用メス(60)、
-少なくとも1つの外科手術用ワンド(70)、
-少なくとも1つの物差し(71)、
-特に外科手術用ワンド(70)を挿入するための、少なくとも1つの摺動補助具(80)、
-少なくとも1つの構成部品、特に、外科手術用鉗子(100,110)の、少なくとも1つのアーム(101,102)のためのブランク、または少なくとも1つのアーム(101,102)のためのブランクの一部、
-少なくとも1つの構成部品、特に、外科手術用ねじ回しもしくは外科手術用メスの、ハンドル(120)のためのブランク、または少なくとも1つのハンドル(120)のためのブランクの一部、および
-少なくとも1つの外科手術用Kワイヤ(130)からなり、
前記さらなる要素(40,50,60,70,71,80,130)は、少なくとも1つのさらなる所定の破壊点(92,93,94)を介してハンドル(30)に接続されることを特徴とする、外科手術用器具(10)。
【請求項2】
前記器具(10)は、少なくとも1つの開口部(41)を有する穿孔補助具(40)をさらに備え、前記穿孔補助具(40)は
、少なくとも第2の所定の破壊点(92)を介して、前記ハンドル(30)に接続される、請求項1に記載の外科手術用器具(10)。
【請求項3】
-少なくとも2つ
の脚(21)と、前記脚(21)を接続する基部(22)とを有する、外科手術用クランプ(20)と、
-穿孔補助具(40)と、を含
む、
外科手術用器具(10)であって、
前記穿孔補助具(40)が少なくとも2つの開口部(41)を含み、前記少なくとも2つの開口部(41)の距離(D)は前記
外科手術用クランプ(20)の前記脚(21)の距離(d)よりも大きいことを特徴とする、外科手術用器具(10)。
【請求項4】
-少なくとも2つ
の脚(21)と、前記脚(21)を接続する基部(22)とを有する、外科手術用クランプ(20)と、
-特に1つの部品で、前記
外科手術用クランプ(20)に接続される、ハンドル(30)と、を含み
、
前記
外科手術用器具(10)が、特に第1端(51)において、少なくとも1つの第3の所定の破壊点(93)を介して前記ハンドル(30)に接続される、少なくとも1つのドリル(50)をさらに備えることを特徴とする、外科手術用器具(10)。
【請求項5】
前記ドリルは前記第1端(51)に第1のドリル先端(53)を有し、前記第3の所定の破壊点(93)は前記第1のドリル先端(53)から離間される、請求項4に記載の外科手術用器具(10)。
【請求項6】
前記ドリル(50)は、第2端(52)において、少なくとも第4の所定の破壊点(94)を介して、穿孔補助具(40)、特に、少なくとも1つの開口部(41)を有するとともに、少なくとも第2の所定の破壊点(92)を介して前記
外科手術用器具(10)の
前記ハンドル(30)に接続される、穿孔補助具(40)に接続される、請求項4および5のいずれか一項に記載の外科手術用器具(10)。
【請求項7】
前記ドリル(50)は前記第2端(52)に第2のドリル先端(54)を有し、前記第4の所定の破壊点(94)は前記第2のドリル先端(54)から離間される、請求項6に記載の外科手術用器具(10)。
【請求項8】
前記ハンドル(30)は、前記ハンドル(30)から分離された前記
外科手術用クランプ(20)を圧力嵌めおよび/または成形嵌めの態様で挿入可能である、少なくとも1つのクランプレセプタクル(31)を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の外科手術用器具(10)。
【請求項9】
前記クランプレセプタクル(31)は、前記ハンドル(30)の第1端(32)に形成される凹部(31)として形成される、請求項8に記載の外科手術用器具(10)。
【請求項10】
-少なくとも2つ
の脚(21)と、前記脚(21)を接続する基部(22)とを有する、外科手術用クランプ(20)と、
-少なくとも第1の所定の破壊点(91)を介して前記
外科手術用クランプ(20)に一体的に接続される、ハンドル(30)と、
-特に少なくとも1つの第2の所定の破壊点(92)を介して、前記ハンドル(30)に接続される、少なくとも1つの開口部(41)を有する穿孔補助具(40)と、を含
む、
外科手術用器具(10)であって、
前記
外科手術用器具および特に前記穿孔補助具(40)は、少なくとも1つの分離開口部(42)を含み、前記少なくとも1つの分離開口部(42)は、前記
外科手術用クランプ(20)が前記第1の所定の破壊点(91)において前記ハンドル(30)から分離可能であるように、特に前記穿孔補助具(40)の前記ハンドル(30)からの分離の後、前記
外科手術用クランプが、特に前記第1の所定の破壊点(91)の領域において、前記分離開口部(42)に受容可能であるように設計されることを特徴とする、外科手術用器具(10)。
【請求項11】
前記穿孔補助具(40)は、前記開口部(41)を含む開口部分(45)と前記分離開口部(42)を含むスロット部分(46)との間に配置される屈曲部分(44)を備え、前記屈曲部分(44)は前記穿孔補助具(40)を曲げることを可能にする、請求項10に記載の外科手術用器具(10)。
【請求項12】
前記第1の所定の破壊点(91)は、前記ハンドル(30)に面する前記基部(22)の境界面(55)に対して凹所に配置される、請求項1~11のいずれか一項に記載の外科手術用器具(10)。
【請求項13】
穿孔補助具(40)は、前記ハンドル(30)から分離され
たステープル(20)を骨に押し込むための押込みノッチ(43)を備
える、請求項
1~12のいずれか一項に記載の外科手術用器具(10)。
【請求項14】
前記押込みノッチ(43)は、前記ステープルレセプタクル(31)と反対側における前記ハンドル(30)の第2端(33)に配置される、請求項13に記載の外科手術用器具(10)。
【請求項15】
請求項1~
14のいずれか一項に記載の、1つの部品からなる外科手術用器具(10;10’)であって、
前記
外科手術用器具(10;10’)は、所定の破壊点(91,92,93,94)によって互いに接続される以下の要素(20,30,40,50,60,70):
-外科手術用物体(20)、特に外科手術用クランプ(20)を保持するための、少なくとも1つのハンドル(30);
-少なくとも1つの外科手術用ドリル(50);
-少なくとも1つの外科手術用メス(60);
-少なくとも1つの外科手術用ワンド(70);
-少なくとも1つの物差し(71);
-特に外科手術用ワンド(70)を挿入するための、少なくとも1つの外科手術用押圧補助具(80);
-少なくとも1つの構成部品、特に、外科手術用鉗子(100;110)の、少なくとも1つのアーム(101;102)のためのブランク、または少なくとも1つのアーム(101;102)のためのブランクの一部;
-少なくとも1つの構成部品、特に、外科手術用ねじ回しもしくは外科手術用メスの、ハンドル(120)のためのブランク、または少なくとも1つのハンドル(120)のためのブランクの一部;
-少なくとも1つの外科手術用Kワイヤ(130)
の少なくとも2つを備える、外科手術用器具(10;10’)。
【請求項16】
前記
外科手術用器具は、
少なくとも1つの開口部(40;41’,41”)を有する、少なくとも1つの外科手術用ドリルガイド(40;40’;40”)
をさらに備える、請求項
15に記載の外科手術用器具(10)。
【請求項17】
少なくとも1つの請求項1~
16のいずれか一項に記載の外科手術用器具(10)と、前記
外科手術用器具(10)を滅菌状態で梱包するパッケージとを備える、外科手術用キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立特許請求項の序文に記載の外科手術用器具、および外科手術用セットに関する。特に骨またはその断片を圧迫するための、骨の外科手術において利用可能であるクランプが設けられる器具が知られている。
【背景技術】
【0002】
EP 2 106 754 A1は、クランプと、所定の破壊点を介してクランプに接続される2つのハンドルとを有する外科手術用機器を開示している。ハンドルには、器具を収容するために、開口部が設けられている。これは、クランプを曲げて開くまたは閉じることを可能にする。
【0003】
WO2004/004578A1は、クランプと、脆弱なタブによってクランプに接続される保持部分とを有する、器具を開示している。
【0004】
EP 2 474 271 A2に開示される機器は、凹所に配置される所定の破壊点を介してクランプに接続される保持部分を有する。所定の破壊点は、脚とクランプの基部との間における角部領域に位置する。保持部分には、テンプレート穴および凹部が設けられる。
【0005】
さらに、DE 198 59 950 A1は、材料シートの凹部内に配置されたクランプを開示している。
【0006】
しかしながら、この先行技術から知られる外科手術用器具は、いくつかの不都合を有する。たとえば、EP 2 474 271 A2に開示されるステープルが切り落とされたとき、鋭縁輪郭が生成されることがあり、これはステープルが挿入されたときに身体組織にダメージを与える可能性がある。さらに、多くの場合において、ステープルの使用は、穴開け、切断および挿入ために追加の器具を必要とし、これはステープルごとに適合されなければならず、提供することは難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、上述の不都合がなくなるまたは少なくとも低減される、外科手術用クランプを有する外科手術用器具を提供することが、本発明の目的である。特に、クランプは、身体組織に対して与えられるダメージを可能な限り少なくするものであるべきであり、クランプの使用のために必要とされるさらなる器具の提供は可能な限り単純化されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の局面において、本発明は、外科手術用クランプとハンドルとを備える外科手術用器具に関する。クランプは、少なくとも2つの、好ましくはちょうど2つの脚と、脚を接続する基部とを有する。ハンドルは、クランプに一体的に接続される。本発明の第1の局面によれば、ハンドルは、少なくとも1つの第1の所定の破壊点を介してクランプの基部に接続される。ステープルの基部における第1の所定の破壊点の配置によって、分離の間にステープルの脚において鋭縁は形成されない。これは、手術後に身体組織を保護する。
【0009】
所定の破壊点は、本明細書および以下において、器具の第1の部分(たとえば、ハンドル)を器具の第2の部分(たとえば、クランプ)と接続する、器具上の点であると理解され、これにより、この接続は、破壊トルクを印加することによって、この点において特定的に分離されることができる。この場合、破壊トルクは、0.1Nm~2Nmの範囲にあり得る。所定の破壊点は、たとえば、器具の隣接領域よりも薄い器具上の点によって形成されることができる。
【0010】
好ましくは、器具は、特に少なくとも第2の所定の破壊点を介して、ハンドルに接続されることができる、少なくとも1つの開口部を有する穿孔補助具をさらに備える。第2の所定の破壊点において穿孔補助具を分離することによって、穿孔補助具を使用して、ステープルが挿入されることとなる骨の領域に少なくとも1つの穴を正確に位置決めすることができる。穿孔補助具は、ハンドルを介してクランプに間接的に接続される。これは、クランプに適合する穿孔補助具が即時に使用可能となり、別個に提供される必要がないことを保証する。
【0011】
本発明の第2の局面は、外科手術用クランプと穿孔補助具とを備える外科手術用器具に関する。外科手術用クランプは、少なくとも2つの、好ましくはちょうど2つの脚と、脚を接続する基部とを有する。特に、それは、本発明の第1の局面に係る外科手術用器具であり得る。本発明の第2の局面によれば、穿孔補助具は、距離がクランプの脚の距離よりも大きい、少なくとも2つの開口部を備える。このような穿孔補助具は、クランプを用いて骨の圧迫を達成することができるように、骨の2つまたは部分に穴を位置決めすることを可能にする。脚が穴に挿入されたとき、骨は領域間において圧迫される。
【0012】
また、本発明の第3の局面は、外科手術用クランプとハンドルとを有する外科手術用器具に関し、クランプは、少なくとも2つの、好ましくはちょうど2つの脚と、脚を接続する基部とを有し、ハンドルは、特に一体的に、クランプに接続される。たとえば、それは、上述の器具であり得る。本発明の第3の局面によれば、器具は、少なくとも第3の所定の破壊点を介してハンドルに接続される、少なくとも1つのドリルをさらに備える。特に、ドリルは、第3の所定の破壊点を介して第1端においてハンドルに接続され得る。このような器具は、ステープルとともに、ステープルの脚が挿入され得る骨に穴を作製するためのステープルに適合されたドリルを直接提供する可能性を開く。
【0013】
好ましい実施形態において、ドリルは、第1端に第1のドリル先端を有し、第3の所定の破壊点は、第1のドリル先端から離間される。第3の所定の破壊点は、好ましくは、ドリルのシャンクと第1端における円錐部分との間における遷移領域に隣接して配置され得る。この方法では、ドリルが第3の所定の破壊点において切り落とされたとき、ドリル先端がダメージを受けることを防止する。
【0014】
ドリルが、第2端において、少なくとも第4の所定の破壊点を介して、器具の一部であり、少なくとも1つの開口部を有し、少なくとも第2の所定の破壊点を介してハンドルに接続される、穿孔補助具(特に上述の穿孔補助具)に接続される場合、さらに有利である。穿孔補助具によって、上記に説明された利点を達成することができる。
【0015】
有利な実施形態において、ドリルは、第2端に第2のドリル先端を有し、第4の所定の破壊点は、第3の所定の破壊点が第1のドリル先端から離間されているのと同様に、第2のドリル先端から離間される。これに関して、1つの変形例においては、第1のドリル先端および第2のドリル先端が、たとえば2つの異なる直径のうちの一方の穴を選択的に開けるために、異なる寸法を有することが考えられる。第2の変形例においては、第1のドリル先端および第2のドリル先端は同じ寸法を有していてよく、これにより直径は明確に規定される。
【0016】
さらに、ハンドルが、ハンドルから分離されたクランプを圧力嵌めおよび/または成形嵌めの態様で挿入可能である、少なくとも1つのクランプレセプタクルを有する場合、好ましい。このように、ハンドルをクランプから分離した後、ハンドルを用いてクランプを保持することが可能である。したがって、このために別個の器具は必要とされない。
【0017】
1つの可能な実施形態において、クランプレセプタクルは、ハンドルの第1端に形成される凹部として形成される。これは、構造的に単純で、さらには効果的な設計を示す。
【0018】
第4の局面において、本出願は、外科手術用クランプと、ハンドルと、穿孔補助具とを備える外科手術用器具にも関し、器具はこの場合もまた上述のものであり得る。
【0019】
ここで、クランプは、少なくとも2つの、好ましくはちょうど2つの脚と、脚を接続する基部とを有する。ハンドルは、少なくとも1つの第1の所定の破壊点を介してクランプに一体的に接続され、穿孔補助具は、少なくとも1つの開口部を有し、特に少なくとも1つの第2の所定の破壊点を介して、ハンドルに接続される。第4の局面によれば、器具および特に穿孔補助具は、少なくとも1つの分離開口部を備え、少なくとも1つの分離開口部は、クランプが第1の所定の破壊点においてハンドルから分離可能であるように、特に穿孔補助具のハンドルからの分離の後、クランプが、ハンドルにまだ接続されているとき、特に第1の所定の破壊点の領域において、分離開口部に受容可能であるように構成される。分離開口部は、ステープルのためのハンドルおよびステープルから分離され得る器具の別の領域に配置されてもよい。このように、器具は、ハンドルからクランプを分離する可能性を直接提供する。これは、ステープルが既に移植されているときにハンドルを分離することができないほど処理対象となる骨が不安定である場合、特に有利である。一体化された切断穴の使用は、また、単なる手動の屈曲による場合に生じることがある、外科手術用手袋が破れるリスクを低減する。これはまた、選択され、追加的に提供されなければならない、別個の器具を必要としない。
【0020】
穿孔補助具が、ドリルを受容するための開口部を含む開口領域と分離開口部を含むスロット領域との間に配置されるとともに、穿孔補助具を曲げることを可能にする、屈曲領域を有する場合、さらに目的に適っている。このように、穿孔補助具は、処理対象となる骨に対するアクセスを容易にするために、または第1の場所におけるアクセスを可能にするために、必要に応じて曲げられ得る。
【0021】
第1の所定の破壊点がハンドルに面する基部の境界面に対して凹所に配置される場合も有利である。この設計は、保持部が分離されるときに生じる鋭縁も基部の境界面に対して凹所に配置されるという効果を有する。その結果、分離されるときにクランプの基部上に鋭縁は形成されず、これは脚から離れて面する基部の側にも当てはまる。これは、身体組織のさらなる保護に寄与する。
【0022】
さらなる利点は、穿孔補助具が、ハンドルから分離されたステープルを骨に入れるための押込みノッチを備える場合に生じ、押込みノッチは、好ましくは、ステープルレセプタクルと反対側のハンドルの第2端に配置される。
【0023】
より一般的には、本発明は、所定の破壊点および/または所定の屈曲点によって少なくとも部分的に相互接続された少なくとも2つの要素を備える、1つの部品からなる外科手術用器具にも関し、要素の少なくとも1つ、好ましくは要素の少なくとも2つは、以下の項目から選択される:
少なくとも2つの、好ましくはちょうど2つの脚と、脚を接続する基部とを有する、少なくとも1つの外科手術用ステープル;
少なくとも1つの外科手術用ドリル;
少なくとも1つの外科手術用メス;
たとえば、骨に開けられた穴の深さを測定することができる、少なくとも1つの外科手術用ワンド;
少なくとも1つの物差し;
特に外科手術用ワンドを挿入するための、少なくとも1つの外科手術用摺動補助具;
少なくとも1つの構成部品、特に、外科手術用鉗子の、少なくとも1つのアームのためのブランク、または少なくとも1つのアームのためのブランクの一部;
少なくとも1つの構成部品、特に、外科手術用ねじ回しもしくは外科手術用メスの、ハンドルのためのブランク、または少なくとも1つのハンドルのためのブランクの一部;
少なくとも1つの外科手術用Kワイヤ。
【0024】
後者の器具は、たとえば、外科手術用鉗子のアームのためのブランクまたは外科手術用ねじ回しもしくは外科手術用メスのハンドルのためのブランクをともに形成する器具も含み、ブランクは、鉗子のアームまたはねじ回しもしくはメスのハンドルをそれぞれ得るために、ブランクが曲げられ得る所定の屈曲点を介して互いに接続される、少なくとも2つの要素または部分を備える。
【0025】
本発明のさらなる局面は、金属シートでできたブランクの基礎上に設けられ得る、外科手術用器具に関する。これらの器具は、個々の器具として、ならびに、好ましくは器具と上述のブランクとの組み合わせで用いられることができる。
【0026】
たとえば、Kワイヤのための圧迫鉗子または伸延のための鉗子を提供するために、平らなブランクが用いられ得る。
【0027】
このような鉗子を提供するために、2つの平らなブランクが提案される。これらのブランクの1つには、好ましくは、プレス加工されたピンが設けられ得る。曲げることにより、2つのブランクは、組み立てられたときに一対の鉗子の2つのアームを形成するような形状に形成され得る。したがって、この局面は、枢動可能に組み立てられた曲げられたブランクが一対の鉗子の2つのアームを形成するように、屈曲可能であり、かつ枢動点において互いに枢動可能に接続可能である、2つのブランクのセットに関する。屈曲は、上述の所定の屈曲点において達成されてもよい。
【0028】
さらに、特に三次元レーザ切断またはフライス加工もしくは研磨などの追加の加工ステップによって、シートからKワイヤを製造することも考えられる。特に、このようなKワイヤは、最適化された先端を有し得る。Kワイヤは、三角形のKワイヤとして設計されてもよい。
【0029】
別の可能な用途は、たとえばねじ回しまたはメスのためのハンドルを製造するために用いられ得るブランクに関する。ブランクは、少なくとも2つの、好ましくは3つの、側面を形成するためのアームを有する。側面は、ハンドルを形成するために曲げられ得る。この場合、側面は、後端において接続領域によって互いに接続され、前端には、好ましくは屈曲することによって、特にAO、歯科、ストライカーもしくは類似のアタッチメントのためのねじ回しの刃、またはメスの刃の挿入のための接合部分を形成する輪郭が設けられる。屈曲は、上述の所定の屈曲点において実行され得る。
【0030】
シートからのブランクとして、一時的なプレート固定具(いわゆるオリーブKワイヤ)を提供することも考えられる。
【0031】
後者の様々な器具は単独で有利に用いられることもできるが、他の器具または構成部品との組み合わせも好ましくは考えられることは言うまでもない。シート金属でできたブランクの提供は、個々の器具または構成部品が、所望の用途に応じて、互いに融通よく組み合わせられることを可能にする。
【0032】
これらの器具は、好ましくは、たとえば外科手術用物体、特に外科手術用クランプ、および/または、少なくとも1つの開口部を有する少なくとも1つの外科手術用穿孔補助具を保持するための、少なくとも1つのハンドルも有する。
【0033】
器具の要素は、好ましくは、互いに適合する。1つ部品からなる接続は、いくつかのこのような適合する要素の、紛失を防ぐ、かつエラーのない提供を可能にする。
【0034】
本発明に係る外科手術用器具は、たとえば、鋼などの金属で、またはチタン、プラスチック、ニチノールもしくはセラミックで作製され得る。それらは、たとえば、機械打抜、レーザ切断、フライス加工、水ジェット切断またはシート金属からの浸食によって、または機械加工(たとえば、フライス加工、穿孔もしくは研磨)および屈曲、エンボス加工もしくはプレス加工によって作製され得る。シート金属は、0.1mm~0.8mmの範囲の厚さを有し得る。クランプの脚は、0.1mm~0.8mmの範囲の厚さを有し、2mm~40mm、好ましくは8mm~10mmの範囲の距離によって互いから離間され得る。
【0035】
本発明のさらなる局面は、上述の少なくとも1つの外科手術用器具と、器具を滅菌状態で梱包するパッケージとを備える、外科手術用セットに関する。特に、本発明の文脈において、器具は、標準DIN EN ISO 11137、DIN EN 556、およびDIN EN ISO 11607のうちの少なくとも1つ、好ましくはすべてに適応する場合、滅菌状態で梱包されるものとされる。滅菌は、たとえば、熱的に(蒸気滅菌、熱気滅菌もしくは間欠滅菌などによって)、化学的に(湿潤消毒剤、乾燥消毒剤などによって)、または物理的に(高圧滅菌、たとえばUV、X線、ガンマ放射線もしくは電子衝撃を用いた、放射線殺菌、プラズマ殺菌、または滅菌濾過などによって)実行され得る。
【0036】
本発明は、実施形態の例を参照して以下、詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明に係る第1の外科手術用器具を頂面図で示す図である。
【
図2】本発明に係る第2の外科手術用器具を斜視図で示す図である。
【
図3】
図1からの器具の別の実施形態を示す図である。
【
図6a】Kワイヤのための圧迫鉗子の第1の部品を示す図である(左側ではほどかれており、右側では曲げられている)。
【
図6b】Kワイヤのための圧迫鉗子の第2の部品を示す図である(左側ではほどかれており、右側では曲げられている)。
【
図6c】
図6aおよび
図6bに示される部品から組み立てられた圧迫トングを示す図である。
【
図7】圧迫鉗子の代替的な実施形態を示す図である。
【
図8a】ねじ回しハンドルの製造のためのブランクを示す図である。
【
図8b】曲げられた端部を有する、
図8aからのブランクを示す図である。
【
図8c】開いたハンドルに曲げられる、
図8aからのブランクを示す図である。
【
図8d】ねじ回し刃が挿入された、
図8cからのハンドルを示す図である。
【
図8e】閉じたハンドルを有する、
図8dからのねじ回しを示す図である。
【
図8f】ねじ回しと
図8eのねじ回しハンドルとの間における接合部分の斜視図である。
【
図9】一時的なプレート固定具(「オリーブKワイヤ」)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1に示される本発明に係る第1の外科手術用器具10は、2つの脚21と、脚を接続する基部22とを有する、外科手術用クランプ20を備える。ハンドル30は、2つの所定の破壊点91を介して基部22に接続される。第1の所定の破壊点91は、ハンドル30に面する基部22の境界面に対して凹所に配置される。
【0039】
器具10は、2つの開口部41を有する、穿孔補助具40をさらに備える。穿孔補助具40は、第2の所定の破壊点92を介してハンドル30に接続される。穿孔補助具の開口部41は、クランプ20の脚21の距離dよりも大きい距離Dを有する。さらに、この実施形態において、器具10の穿孔補助具40は、2つの分離スロット42の形態の分離開口部を有する。本発明に係る代替的な実施形態において、分離開口部は、1つの部品からなる器具10の別の要素に形成されてもよい。穿孔補助具40は、開口部41を含む開口領域45と分離開口部を含むスロット領域46との間に配置される屈曲領域44をさらに備える。穿孔補助具40は、ハンドル30から分離されたクランプ20を骨に押し込むための押込みノッチ43をさらに備える。押込みノッチ43は、ステープル受容部31の反対側のハンドル30の第2端33に配置される。分離スロット42、屈曲部44および押込みノッチ43の機能は、以下でさらに詳細に説明される。
【0040】
器具10は、第3の所定の破壊点93(
図5も参照)を介してそれぞれの第1端51においてハンドル30に接続される2つのドリル50をさらに含む。ドリル50はそれらの端部51にそれぞれの第1のドリル先端53を有し、第3の所定の破壊点93は第1のドリル先端53から離れて離間される。それらのそれぞれの第2端52において、ドリル50は、第4の所定の破壊点94を介して穿孔補助具40に接続される。また、それらのそれぞれの第2端52において、ドリル50はそれぞれの第2のドリル先端54を有し、第4の所定の破壊点94は第2のドリル先端54から離間される。
【0041】
クランプレセプタクル31は、ハンドル30の第1端32に形成される凹部として形成される。凹部の機能についても以下で説明される。
【0042】
器具10を使用するために、第1のステップにおいて、穿孔補助具40が第2の所定の破壊点92においてハンドル30から分離され得る。好ましくは、ドリル50も第3の所定の破壊点93においてハンドル30から分離されるが、それらは、初めは第4の所定の破壊点94において穿孔補助具40に接続されたままである。代替的には、穿孔補助具40をハンドル30から分離するときに、ドリル50は第4の所定の破壊点94において穿孔補助具40から分離され得るが、ドリル50は、初めは第3の所定の破壊点93を介してハンドル30に接続されたままである。
【0043】
穿孔補助具40がこのようにハンドル30から分離された後、第1の所定の破壊点91が分離スロット42に隣接して位置する状態となるように、ハンドル30にまだ接続されているクランプ20の脚21は分離スロット42内へ挿入され得る。ハンドル30およびそこにまだ接続されているクランプ20を曲げることによって、クランプ20は、きれいでかつ制御されるように、第1の所定の破壊点91においてハンドル30から分離され得る。基部22における所定の破壊点91の配置によって、鋭破壊縁はあったとしても脚21から離れて面する側に生じる。
【0044】
クランプ20をハンドル30から分離する前または後に、穿孔補助具40は、それ自体既知である態様で、骨の2つの領域(たとえば、骨折部にわたって、または癒合されることとなる関節にわたる2つの骨において)における2つの穴の位置を規定するために使用され得る。必要な場合、アクセス性を可能にするために、テーパ状の屈曲領域44においてドリルガイド40が曲げられてもよい。穴は、ハンドル30および穿孔補助具40から分離されたドリル50を用いて作られ得る。
【0045】
ハンドル30から分離されたクランプ20は、その後、ハンドル30の凹部31においてその基部で留めされ、したがって圧力嵌めおよび/または成形嵌めの態様で保持され得る。凹部31は、打ちつけるときに、滑り防止装置として機能する。クランプの2つの脚21は、その後、骨に作られた穴に挿入され得る。打込みノッチ43は、クランプ20を骨に慎重に打込むことを可能にし、それを骨にさらに近づける。
【0046】
図2は、本発明に係る第2の外科手術用器具10’を示し、これも1つの部品で形成される。所定の破壊点95を介して互いに接続される、以下の要素を含む:
2つの開口部141を有する外科手術用穿孔補助具140;
刃61を有する外科手術用メス60;
2つの開口部81を有する摺動補助具80;
物差し71;
ワンド70。
【0047】
穿孔補助具140は、ハンドル145と、そこに接続されるタブ141とを含む。タブ141は、矩形143が横方向に突出する中央部分142と、各々が開口141のうちの1つを含む2つの端部144とを含む。使用のために、矩形143および端領域144は、各々、同じ側に90°折られる。突出する矩形143は、端領域144のための止め具として使用される。よって、2つの開口部141は、互いに面して軸方向に位置合わせされる。その後、このように、両方の開口部141を通ってドリルが軸方向に押され、案内される。
【0048】
摺動補助具80は、ハンドル85と、そこに接続されるタブ81とを有する。タブ81は、中央領域82と、各々が開口部81のうちの1つを含む2つの端領域84とを含む。使用のために、端領域84は、各々、同じ側に90°折られる。よって、2つの開口部81は互いに対向して軸方向に位置合わせされる。その後、ワンド70が、位置合わせされた開口81を通って摺動される。骨に開けられた穴の深さを測定するために、ワンド70が穴の中へ摺動される。その後、摺動補助具80は止め具まで摺動される。よって、構造は保持され、穴から抜かれ、器具10’上に設けられた物差し71に対して保持され、読まれる。このように、穴の深さを決定することができる。
【0049】
器具10’は、1つ以上の特定の表示のために設計され、この目的のために、所定の破壊点においてそれらを切り落とすことによって分離され、使用されることができる、必要で好適な要素を有してもよい。
【0050】
図3は、
図1からの器具の代替的な実施形態を示す。
図1に係る実施形態と比較される相違点について以下、説明される。2つの分離スロットの代わりに、たった1つの分離スロット42が提供され、これはクランプ20の幅におおよそ対応する幅を有する。さらに、クランプ20は、おおよそ25°の角度αで延びる傾斜基部22を有する。
【0051】
図4は、
図1の部分Aの拡大図を示す。所定の破壊点91は、ハンドルに面する側23で基部22の凹部24において凹所に配置される。
【0052】
図5は、
図1の部分Bの拡大図を示す。ドリル50は、第1端51において、シャンク55と楔形状部分56とを有する。楔形状部分56は、シャンク55からドリル先端53へ延びる。所定の破壊点93は、シャンク55と円錐部分56との間における遷移部に隣接して、ドリル先端53からある距離で配置される。所定の破壊点93のこの配置は、シャンク55における配置がバリによってより大きな穴を生じさせ得るとともに、先端における配置がドリル50の延びをもたらし得るため、有利である。
【0053】
図6aおよび
図6bは、圧迫クランプ100(
図6cを参照)のための第1のアーム101および第2のアーム102を示す。
図6aおよび
図6bの各々において、左側に平らなブランクが示され、右側にブランクの湾曲形状が示される。
【0054】
第1のアーム101は、ブランク101にプレス加工されたピン103を有する。ブランク101は、曲げられた第2のアーム102を受容するための凹部105も有する(
図6cを参照)。さらに、Kワイヤを受容するために、開口部106が提供される。第1のアーム101のためのブランクは、U字形断面を形成するように中心軸Mに沿って曲げられる。ブランクは、平らまたは予め曲げられた形態で提供され得る。同様に、ピン103は、予め曲げられて、別個に、または器具10上の分離可能部分として提供され得る。
【0055】
図6bは、第2のアーム102のためのブランクを示す。第2のアーム102には、ピン103を案内することができる、2つの開口部104が設けられる。開口部106は、第2のアームにも設けられる。第2のアームも、U字形断面を形成するように中心軸Mに沿って曲げられる(
図6bの右図を参照)。第1のアーム101および第2のアーム102を組み立てることによって、
図6cに示される圧迫鉗子100が形成される。これを行うために、第2のアーム102は、凹部105を通って挿入され、ピン103上に配置される。
【0056】
図6dは、Kワイヤ107を示す。Kワイヤ107は、3Dレーザ切断によってシートから切り出される、またはレーザ切断された部品の追加のフライス加工、研磨もしくはプレス加工によって製造される。三次元先端108が同時に形成され得る。
【0057】
図7は、第1のアーム111および第2のアーム112から構成される、圧迫鉗子110の代替的な実施形態を示す。第1のアーム111および第2のアーム112は、ピン113を介して互いに枢動可能に接続され、ピン113は、プレス加工されるまたは曲げられるとともに第1のアーム112に皿穴が開けられる。第2のアーム111および第2のアーム112は、いずれもシート金属からなる平らなブランクとして製作される。第1のアーム111は、第2のアーム112の止め具114を案内することができるガイドトラック115を有する。第1のアーム111および第2のアーム112は、ハンドルを形成する屈曲部分118を有する。ハンドル118から遠い端には、圧迫ヘッド117が形成される。圧迫ヘッド117は、開口116と、スロット形状開口119とを含む。スロット形状開口部119(ハンドル118の領域におけるスロット形状開口部119に類似する)は、屈曲を容易にするように機能する。
【0058】
図8a~
図8fは、ねじ回しのためのハンドル120の様々な構成を示す。ハンドル120は、平らなブランクから形成される。
図8aは、ハンドル120のための平らなブランクを示す。ブランクは、3つのアーム121が星形に延在する、接続領域122を有する。接続領域122とアーム121との間におけるスロットは、屈曲性を促進する。端領域123a,123bおよび123cは、アーム121の端に配置され、これは刃125(
図8fを参照)を受容するための組み立てられたハンドル120における接合部分を形成する。
【0059】
図8bは、端領域123a,123bおよび123cの領域における個々の曲げられた要素を有する、
図8aからのブランクを示す。
【0060】
ハンドル120を形成するために、アーム121は、三次元体が形成されるように90°曲げられる(
図8cを参照)。刃125のための接合部分124は、端領域123a,123bおよび123cにおける屈曲部分によって形成される。刃125のシャンクを受容するために、ガイド開口部129が用いられる。トルクを伝達するための刃125の真円でない部分を受容するために、回転防止開口部127が用いられる。端止め具128は、刃125の軸方向端位置を規定する。2つの内向き突出部は、刃125が狭窄によって確実に係合し得る、軸方向保持部126を形成する。
【0061】
図8dは、刃125が挿入されたハンドル120を示す。刃を挿入した後、最後のアーム(ここでは、端部品123aを有するアーム)が、軸方向固定装置126が刃125上の凹部において係合するように、端位置へ曲げられる(
図8eを参照)。
【0062】
図8fは、刃125を受容するための接合部分124の拡大図を示す。
図9は、一時的なプレート固定具(「オリーブKワイヤ」)130を示す。一時的レート固定具130は、オリーブ131を有するKワイヤの形状を有する。