(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-07
(45)【発行日】2024-08-16
(54)【発明の名称】組織特性を予測、予想、および/または査定するためのシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20240808BHJP
【FI】
A61B5/055 380
(21)【出願番号】P 2022517507
(86)(22)【出願日】2020-09-17
(86)【国際出願番号】 IB2020058688
(87)【国際公開番号】W WO2021053585
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2023-06-26
(32)【優先日】2019-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516245885
【氏名又は名称】バイエル、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】BAYER AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】アルトゥール、ユベール、ザ、サード
(72)【発明者】
【氏名】マルティン、ローラー
(72)【発明者】
【氏名】ゲシネ、クノブロッホ
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-165775(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0108634(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0198054(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の組織の
画像のボクセルのパラメータと関連付けられた測定情報を獲得するステップであって、
前記測定情報は、2つ以上の時間点のうちの第1時間点における前記ボクセルの前記パラメータと関連付けられた第1測定情報と、前記2つ以上の時間点のうちの第2時間点における前記ボクセルの前記パラメータと関連付けられた第2測定情報とを提供するように、前記2つ以上の時間点において測定され、前記2つ以上の時間点は、
前記ボクセルの1つまたは複数の
組織特性が、
1つの時間点において測定される前記ボクセルの前記パラメータに基づいて生成される
別の画像内で分離可能
または識別可能である前に発生する、ステップ
を含み、
前記1つまたは複数の組織特性は、
動脈内の造影剤の濃度、
静脈内の造影剤の濃度、
細胞内の造影剤の濃度、
動脈、静脈、および細胞内の造影剤の濃度の総計、
組織空間を通る造影剤の動きと関連付けられた1つまたは複数の薬物動力学的モデルパラメータ、または
これらの任意の組み合わせを含み、
前記第1時間点における前記ボクセルの前記パラメータと関連付けられた前記第1測定情報と、前記第2時間点における前記ボクセルの前記パラメータと関連付けられた前記第2測定情報と、前記患者に送達される造影剤の濃度の所望の変化率および/またはプラトーレベルとに基づいて、前記組織の
画像の前記ボクセルの前記1つまたは複数の特性を決定するステップ
をさらに含む
、
コンピュータ実施方法。
【請求項2】
前記組織の
画像の前記ボクセルの前記1つまたは複数の特性は、前記2つ以上の時間点の後の時間点について決定される、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項3】
前記1つまたは複数の
組織特性に基づいて、前記2つ以上の時間点の後の前記時間点における
前記組織の
画像の前記ボクセルの1つまたは複数の特性を含む1つまたは複数の画像を生成するステップをさらに含む、請求項2に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項4】
前記組織の画像の前記ボクセルの前記1つまたは複数の特性を決定するステップは、
前記患者の前記組織の
画像の前記ボクセルの前記パラメータと関連付けられた前記測定情報を予測モデルに供給することを含み、前記予測モデルは、前記2つ以上の時間点における前記パラメータと関連付けられた前記測定情報に基づいて、前記組織の
画像の前記ボクセルの前記1つまたは複数の特性を予測するように、教師あり学習によって訓練されている、請求項2に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項5】
プログラム命令を含む少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体を備えるコンピュータプログラム製品であって
、
前記プログラム命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されるとき、前記少なくとも1つのプロセッサに、
患者の組織の
画像のボクセルのパラメータと関連付けられた測定情報を獲得することであって、
前記測定情報は、2つ以上の時間点のうちの第1時間点における前記ボクセルの前記パラメータと関連付けられた第1測定情報と、前記2つ以上の時間点のうちの第2時間点における前記ボクセルの前記パラメータと関連付けられた第2測定情報とを提供するように、前記2つ以上の時間点において測定され、前記2つ以上の時間点は、
前記ボクセルの1つまたは複数の
組織特性が、
1つの時間点において測定される前記ボクセルの前記パラメータに基づいて生成される
別の画像内で分離可能
または識別可能である前に発生する、獲得すること
を行わせ、
前記1つまたは複数の組織特性は、
動脈内の造影剤の濃度、
静脈内の造影剤の濃度、
細胞内の造影剤の濃度、
動脈、静脈、および細胞内の造影剤の濃度の総計、
組織空間を通る造影剤の動きと関連付けられた1つまたは複数の薬物動力学的モデルパラメータ、または
これらの任意の組み合わせを含み、
前記プログラム命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されるとき、前記少なくとも1つのプロセッサに、
前記第1時間点における前記ボクセルの前記パラメータと関連付けられた前記第1測定情報と、前記第2時間点における前記ボクセルの前記パラメータと関連付けられた前記第2測定情報と、前記患者に送達される造影剤の濃度の所望の変化率および/またはプラトーレベルとに基づいて、前記組織の
画像の前記ボクセルの前記1つまたは複数の特性を決定すること
をさらに行わせる、
コンピュータプログラム製品。
【請求項6】
前記組織の
画像の前記ボクセルの前記1つまたは複数の特性は、前記2つ以上の時間点の後の時間点について決定される、請求項5に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項7】
前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに、
前記1つまたは複数の
組織特性に基づいて、前記2つ以上の時間点の後の前記時間点における
前記組織の
画像の前記ボクセルの1つまたは複数の特性を含む1つまたは複数の画像を生成することをさらに行わせる、請求項6に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項8】
前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに、
前記患者の前記組織の
画像の前記ボクセルの前記パラメータと関連付けられた前記測定情報を予測モデルに供給することによって、
前記組織の画像の前記ボクセルの前記1つまたは複数の特性を決定することを行わせ、前記予測モデルは、前記2つ以上の時間点における前記パラメータと関連付けられた前記測定情報に基づいて、前記組織の
画像の前記ボクセルの前記1つまたは複数の特性を予測するように、教師あり学習によって訓練されている、請求項6に記載のコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、画像診断、ならびに、いくつかの非限定的な実施形態または態様において、医用画像の後期相および/または組織特性を、選択された相から予測、予想、および/または査定することに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴画像法、略してMRIは、ヒトまたは動物の身体内の組織および器官の構造および機能を描写するための、特に医用診断において使用される撮像方法である。
【0003】
MRIにおいて、検査対象における陽子の磁気モーメントは、基本磁場内に整列され、その結果、長手方向に沿って巨視的磁化が存在する。これは、続いて、高周波(HF)パルスの入射放射線によって静止位置から偏向される(励起)。励起状態から静止位置への戻り(緩和)または磁化ダイナミクスは、続いて、1つまたは複数のHF受信器コイルによって緩和信号として検出される。
【0004】
空間符号化の場合、迅速に切り替えられた勾配磁場が、基本磁場に重ね合わせられる。捕捉された緩和信号、または検出され空間的に分解されたMRIデータは、最初、空間周波数空間内に生データとして存在し、その後のフーリエ変換により実空間(画像空間)へ変換され得る。
【0005】
ネイティブMRIの場合、組織コントラストは、異なる緩和時間(T1およびT2)ならびに陽子密度によって生成される。
【0006】
T1緩和は、縦磁化のその平衡状態への遷移を説明し、T1は、共鳴励起の前に63.21%の平衡磁化に到達するために必要とされる時間である。それは、縦緩和時間またはスピン-格子緩和時間とも呼ばれる。
【0007】
類似して、T2緩和は、横方向磁化のその平衡状態への遷移を説明する。
【0008】
MRI造影剤は、造影剤を取り込む構造体の緩和時間を変更することによって、それらの作用を進展させる。常磁性体および超常磁性体という2つの物質グループの区別がなされ得る。両方の物質グループは、個々の原子または分子の周りに磁場を誘起する不対電子を有する。
【0009】
超常磁性造影剤は、T2の顕著な短縮をもたらす一方、常磁性造影剤は主に、T1の短縮をもたらす。T1時間の短縮は、T1重み付けMRI画像内の信号強度の増加をもたらし、T2時間の短縮は、T2重み付けMRI画像内の信号強度の減少をもたらす。
【0010】
造影剤自体が信号を出すことはなく、代わりに、その周辺の水素陽子の信号強度にだけ影響を及ぼすため、上記造影剤の作用は間接的である。
【0011】
細胞外、細胞内、および血管内造影剤は、組織内のそれらの広がりのパターンに従って区別され得る。
【0012】
超常磁性造影剤の例は、酸化鉄ナノ粒子(SPIO:超常磁性酸化鉄)である。超常磁性造影剤は、一般的に、血管内剤として使用される。
【0013】
常磁性造影剤の例は、ガドペンテト酸ジメグルミン(商品名:Magnevist(登録商標)他)、ガドベン酸メグルミン(商品名:Multihance(登録商標))、ガドテル酸(Dotarem(登録商標)、Dotagita(登録商標)、Cyclolux(登録商標))、ガドジアミド(Omniscan(登録商標))、ガドテリドール(ProHance(登録商標))、およびガドブトロール(Gadovist(登録商標))などのカドリニウムキレートである。
【0014】
細胞外、細胞内、および血管内造影剤は、組織内のそれらの広がりのパターンに従って区別され得る。
【0015】
CTでは、造影剤は、CT機によって作成されるX線放射線を、X線放射線が患者を通過するときに吸収する。分子撮像の一形態である核医学では、造影剤は、撮像機器によって検出される信号を生成するために減衰する放射性原子を含む。過分極MRIでは、大半の核は、磁場と整列され、撮像のために患者内へ注入される。
【0016】
ガドキセト酸に基づいた造影剤は、肝細胞、肝実質細胞による明確な取り込み、機能性組織(実質組織)における濃縮、および健康な肝臓組織内の造影の強化を特徴とする。嚢胞、転移、および大部分の肝細胞がん腫の細胞は、もはや正常な肝細胞のようには機能せず、造影剤を取り込まないか、またはそれをほとんど取り込まず、強調して描写されず、結果として識別可能および位置特定可能である。
【0017】
ガドキセト酸に基づいた造影剤の例は、米国特許第6,039,931A号に説明されており、それらは、例えば、商品名Primovist(登録商標)またはEovist(登録商標)の下で市販されている。
【0018】
Primovist(登録商標)/Eovist(登録商標)の造影強化効果は、安定したガドリニウム錯体Gd-EOB-DTPA(ガドリニウムエトキシベンジルジエチレントリアミンペンタ酢酸)によって仲介される。DTPAは、常磁性ガドリニウムイオンと共に、極端に高い熱力学的安定性を有する錯体を形成する。エトキシベンジルラジカル(EOB)は、造影剤の肝胆道取り込みの仲介物である。
【0019】
Primovist(登録商標)は、肝臓内の腫瘍の検出のために使用され得る。健康な肝臓組織への血液供給は、主に、門脈(vena portae)により達成される一方、肝臓動脈(arteria hepatica)は、大部分の原発腫瘍を供給する。造影剤のボーラスの静脈内注射後、相応して、健康な肝実質の信号立ち上がりと腫瘍の信号立ち上がりとの間の時間遅延を観察することが可能である。悪性腫瘍のほかにも、肝臓内で頻繁に見られるのは、嚢胞、血管腫、および限局性結節性過形成(FNH)などの良性病変である。治療の適切な計画は、これらが悪性腫瘍から区別されることが必要とされる。Primovist(登録商標)は、良性および悪性限局性肝臓病変の識別のために使用され得る。T1重み付けMRIによって、それは、上記病変の性質に関する情報を提供する。区別は、肝臓および腫瘍への異なる血液供給、ならびに造影強化の経時的プロファイルを使用することによって達成される。
【0020】
Primovist(登録商標)によって達成される造影強化は、動的相(いわゆる動脈相、門脈相、および後期相を含む)、および肝実質細胞へのPrimovist(登録商標)の著しい取り込みがすでに発生している肝胆道相という少なくとも2つの相に分割され得る。
【0021】
分布相の間にPrimovist(登録商標)によって達成される造影強化の場合、観察されるのは、病変の特徴付けのための情報を提供する典型的な灌流パターンである。血管新生を描写することにより、病変タイプを特徴付けること、および腫瘍と血管との空間的関係を決定することを助ける。
【0022】
T1重み付けMRI画像の場合、Primovist(登録商標)は、注入(肝胆道相において)から10~20分後、健康な肝実質においては明確な信号強調をもたらすが、肝実質細胞を含まない、またはほんの少しだけ肝実質細胞を含む病変、例えば、転移、または中~低分化肝細胞がん(HCC)は、より暗い領域として現れる。
【0023】
動的相および肝胆道相にわたる経時的な造影剤の広がりを追跡することは、限局性肝臓病変の検出および鑑別診断の可能性を十分に提供するが、検査は比較的長い時間スパンに及ぶ。上記時間スパンにわたって、患者による運動は、MRI画像内の運動アーチファクトを最小限にするために回避されなければならない。運動の長きにわたる制限は、患者にとっては不快となり得、実際に一貫して達成するのが困難であり得る。
【発明の概要】
【0024】
本開示の非限定的な実施形態または態様は、例えば、走査時間の加速または短縮における、画像診断検査の改善を対象とする(例えば、動的造影強化磁気共鳴画像法(MRI)などを用いた限局性肝臓病変の検出および鑑別診断のため)。本開示の非限定的な実施形態または態様は、選択した相(例えば、初期相など)、例えば、肝胆道相の間の肝臓の相から、医用画像の後期相を予測、予想、および/または査定し、以て、データ画像取得時間を低減するための方法、システム、およびコンピュータプログラム製品を提供する。追加的に、または代替的に、パラメータは、後期画像を合成するために、取って代わり得る、および/または使用され得る撮像シーケンスからのデータ、例えば、組織の体積(例えば、ボクセルなど)の薬物動力学的パラメータを使用して決定され得る。
【0025】
造影剤を用いた肝臓組織のMRIに関して主に説明されるが、本開示の非限定的な実施形態または態様は、それに限定されず、非限定的な実施形態または態様に従う方法、システム、およびコンピュータプログラム製品は、造影剤ありまたはなしで任意の画像診断法を使用して取得される任意の器官の医用画像の選択した相(例えば、初期相など)から医用画像の後期相を予測、予想、および/または査定し得る。
【0026】
いくつかの非限定的な実施形態または態様によると、複数のMRI画像を受信するステップであって、MRI画像が、第1の時間スパンの間の検査領域を示す、ステップと、複数のMRI画像を予測モデルに供給するステップであって、予測モデルが、第1の時間スパンの間の検査領域を示すMRI画像に基づいて、第2の時間スパンの間の検査領域を示す1つまたは複数のMRI画像を予測するように、教師あり学習によって訓練されている、ステップと、予測によって第2の時間スパンの間の検査領域を示す1つまたは複数の予測MRI画像を生成するステップと、1つもしくは複数の予測MRI画像を表示および/もしくは出力する、ならびに/または1つもしくは複数の予測MRI画像をデータ記憶媒体に記憶するステップと、を含む方法が提供される。
【0027】
いくつかの非限定的な実施形態または態様によると、受信装置、制御および計算装置、ならびに出力装置を備えるシステムであって、制御および計算装置は、受信装置に複数のMRI画像を受信するように促すように構成され、受信したMRI画像は、第1の時間スパンの間の検査領域を示し、制御および計算装置は、受信したMRI画像に基づいて1つまたは複数のMRI画像を予測するように構成され、1つまたは複数の予測MRI画像は、第2の時間スパンの間の検査領域を示し、制御および計算装置は、出力装置に、1つまたは複数の予測MRI画像を表示するように、それらを出力するように、またはそれらをデータ記憶媒体に記憶するように促すように構成される、システムが提供される。
【0028】
いくつかの非限定的な実施形態または態様によると、コンピュータのメモリに読み込まれ得るコンピュータプログラムを備えるコンピュータプログラム製品であって、コンピュータプログラムは、コンピュータに、以下のステップ:複数のMRI画像を受信するステップであって、MRI画像が、第1の時間スパンの間の検査領域を示す、ステップと、受信したMRI画像を予測モデルに供給するステップであって、予測モデルが、第1の時間スパンの間の検査領域を示すMRI画像に基づいて、第2の時間スパンの間の検査領域を示す1つまたは複数のMRI画像を予測するように、教師あり学習によって訓練されている、ステップと、予測モデルからの出力として、第2の時間スパンの間の検査領域を示す1つまたは複数の予測MRI画像を受信するステップと、1つもしくは複数の予測MRI画像を表示および/もしくは出力する、ならびに/または1つもしくは複数の予測MRI画像をデータ記憶媒体に記憶するステップとを実行することを促す、コンピュータプログラム製品が提供される。
【0029】
いくつかの非限定的な実施形態または態様によると、MRI法における造影剤の使用が提供され、本MRI法は、以下のステップ:造影剤を投与するステップであって、造影剤が検査領域に広がる、ステップと、第1の時間スパンの間の検査領域の複数のMRI画像を生成するステップと、生成したMRI画像を予測モデルに供給するステップであって、予測モデルが、第1の時間スパンの間の検査領域を示すMRI画像に基づいて、第2の時間スパンの間の検査領域を示す1つまたは複数のMRI画像を予測するように、教師あり学習によって訓練されている、ステップと、予測モデルからの出力として、第2の時間スパンの間の検査領域を示す1つまたは複数の予測MRI画像を受信するステップと、1つもしくは複数の予測MRI画像を表示および/もしくは出力する、ならびに/または1つもしくは複数の予測MRI画像をデータ記憶媒体に記憶するステップとを含む。
【0030】
いくつかの非限定的な実施形態または態様によると、MRI法における使用のための造影剤が提供され、本MRI法は、以下のステップ:造影剤を投与するステップであって、造影剤が検査領域に広がる、ステップと、第1の時間スパンの間の検査領域の複数のMRI画像を生成するステップと、生成したMRI画像を予測モデルに供給するステップであって、予測モデルが、第1の時間スパンの間の検査領域を示すMRI画像に基づいて、第2の時間スパンの間の検査領域を示す1つまたは複数のMRI画像を予測するように、教師あり学習によって訓練されている、ステップと、予測モデルからの出力として、第2の時間スパンの間の検査領域を示す1つまたは複数の予測MRI画像を受信するステップと、1つもしくは複数の予測MRI画像を表示および/もしくは出力する、ならびに/または1つもしくは複数の予測MRI画像をデータ記憶媒体に記憶するステップとを含む。
【0031】
本開示の実施形態または態様に従う造影剤およびコンピュータプログラム製品を備えるキットがさらに提供される。
【0032】
本開示の非限定的な実施形態または態様は、実施形態の主題(方法、システム、コンピュータプログラム製品、使用、使用のための造影剤、キット)を区別することなく以下により具体的に解明される。逆に、以下の解明は、それらが発生する文脈(方法、システム、コンピュータプログラム製品、使用、使用のための造影剤、キット)とは関係なく、すべての実施形態のすべての主題に類似的に当てはまることが意図される。
【0033】
ステップが、本説明または特許請求項においてある順序で記載される場合、これは、実施形態または態様が記載された順序に制限されることは必ずしも意味しない。逆に、ステップはまた、1つのステップが別のステップの上に積み上げられる(これは積み上げステップが続いて実行されることを絶対的に必要とする(しかしながら、これは個々の場合に明白である))ということがない限り、異なる順序で、さもなければ互いに並列して実行されることが想定される。故に、記載された順序は、好ましい実施形態であり得る。
【0034】
本開示の非限定的な実施形態または態様は、MRI画像の生成における検査対象の検査の時間スパンを短縮する。いくつかの非限定的な実施形態または態様において、これは、検査対象の検査領域のMRI画像が第1の時間スパンにおいて測定されること(磁気共鳴測定)、および測定されたMRI画像が次いで、自己学習アルゴリズムの助けを借りて、第2の時間スパンにおける検査領域を示す1つまたは複数のMRI画像を予測するために使用されること、によって達成される。検査対象に対する実際の磁気共鳴測定は、故に、本開示に制限され、第2の時間スパンを包含しない。第1の時間スパンの間の検査領域を示すMRI画像は、第2の時間スパンの予測を可能にする情報を含む。
【0035】
“検査対象”は、通常、生物、好ましくは哺乳動物、非常に具体的には、好ましくはヒトであり得る。検査領域は、検査対象の一部分、例えば、器官または器官の一部分であり得る。非限定的な実施形態または態様において、検査領域は、哺乳動物(例えば、ヒト)の肝臓または肝臓の一部分である。
【0036】
画像体積とも呼ばれる“検査領域”(視野、FOV)は、特に、磁気共鳴画像において撮像される体積であり得る。一般的に、3次元視野は、1つまたは複数の体積要素またはボクセルからなると言うことができる。2次元FOVが検討されている場合、1つもしくは複数のボクセルまたは1つもしくは複数のピクセル(画素)からなると言うことができる。検査領域は、典型的には、例えば概観画像に対して、放射線科医によって規定され得る(ローカライザ)。検査領域が、代替的または追加的に、例えば、選択されたプロトコルに基づいて、自動的に規定され得ることは自明である。
【0037】
検査領域は、基本磁場内へ導入される。検査領域は、MRI法の対象となり、これが、第1の時間スパンの間の検査領域を示す複数のMRI画像を生成する。
【0038】
複数という用語は、少なくとも2つのMRI画像または測定値、好ましくは少なくとも3つ、非常に具体的には、好ましくは少なくとも4つのMRI画像または測定値が生成されることを意味する。
【0039】
検査領域に広がる造影剤は、検査対象に投与される。造影剤は、好ましくは、体重適合様式で、ボーラスとして静脈内に投与される。
【0040】
“造影剤”は、磁気共鳴測定におけるその存在が改変信号をもたらす物質または物質混合物を意味すると理解される。好ましくは、造影剤は、T1緩和時間および/またはT2緩和時間の短縮をもたらす。
【0041】
好ましくは、造影剤は、例えば、Gd-EOB-DTPAまたはGd-BOPTAなどの肝胆道造影剤である。
【0042】
特に好ましい実施形態において、造影剤は、造影強化活性物質として、ガドキセト酸またはガドキセト酸塩を有する物質または物質混合物である。非常に具体的に好ましいのは、ガドキセト酸のジナトリウム塩(Gd-EOB-DTPAジナトリウム)である。
【0043】
好ましくは、第1の時間スパンは、造影剤の投与の前、または造影剤の投与と共に、開始する。造影剤なしに検査領域を示す1つまたは複数のMRI画像が生成されるときが有利であるが、それは、放射線科医がそのような画像内で検査対象の健康の状態に関する重要な情報を既に獲得することができるためである。例えば、放射線科医は、そのようなネイティブMRI画像内で出血を識別することができる。
【0044】
第1の時間スパンは、好ましくは、検査領域内に分布する造影剤を包含する。好ましくは、第1の時間スパンは、検査対象の肝臓または肝臓の一部分の動的造影強化磁気共鳴断層撮影における動脈相および/または門脈相および/または後期相を包含する。記載の相は、例えば、以下の刊行物:J.Magn.Reson.Imaging,2012,35(3):492-511,doi:10.1002/jmri.22833; Clujul Medical,2015,Vol.88 no.4:438-448,DOI:10.15386/cjmed-414; Journal of Hepatology,2019,Vol.71:534-542, http://dx.doi.org/10.1016/j.jhep.2019.05.005)に規定および説明される。
【0045】
好ましい実施形態において、第1の時間スパンは、検査対象の肝臓または肝臓の一部分のそのようなMRI画像が生成されるように選択され、
【0046】
造影剤なしの検査領域を示し、
【0047】
造影剤が動脈を介して検査領域内に広がる動脈相の間の検査領域を示し、
【0048】
造影剤が門脈を介して検査領域に到達する門脈相の間の検査領域を示し、
【0049】
動脈および静脈内の造影剤の濃度が低下し、血管外組織および/または肝細胞内の造影剤の濃度が上昇する後期相の間の検査領域を示す。
【0050】
好ましくは、第1の時間スパンは、造影剤の投影前1分~1秒の時間スパン内で、または造影剤の投与と共に、開始し、造影剤の投与から2分~15分、好ましくは2分~13分、さらにより好ましくは3分~10分の時間スパンにわたって継続する。造影剤は非常に緩徐に腎臓および/または胆道で排出されるため、広範な時間スパンは、造影剤の投与後、最大で2時間以上におよび得る。
【0051】
造影剤は異なる検査対象においては様々な速さで広がり得るため、第1の時間スパンはまた、検査領域の異なるエリアにおける造影剤の濃度により規定され得る。1つの可能性が
図1に描写される。
【0052】
図1は、肝臓動脈(A)、肝臓静脈(V)、および健康な肝細胞(P)における造影剤の濃度の経時的プロファイルを概略的に示す。濃度は、時間tの関数としての磁気共鳴測定における記載のエリア(肝臓動脈、肝臓静脈、肝細胞)内の信号強度Iの形態で描写される。静脈内ボーラス注射の際、造影剤の濃度は、第一に肝臓動脈(A)内で上昇する(破線曲線)。濃度は、最大を通過し、次いで降下する。肝臓静脈(V)内の濃度は、肝臓動脈内よりも緩徐に上昇し、後にその最大に到達する(点線曲線)。健康な肝細胞(P)内の造影剤の濃度は、緩徐に上昇し(連続曲線)、はるかに後の時間点(
図1には描写されない)においてのみその最大に到達する。いくつかの特徴的な時間点が規定され得る。時間点TP0において、造影剤は、ボーラスとして静脈内に投与される。時間点TP1において、肝臓動脈内の造影剤の濃度(信号強度)は、その最大に到達する。時間点TP2において、肝臓動脈および肝臓静脈の信号強度の曲線は交差する。時間点TP3において、肝臓静脈内の造影剤の濃度(信号強度)は、その最大を通過する。時間点TP4において、肝臓動脈および肝細胞の信号強度の曲線は交差する。時間点T5において、肝臓動脈および肝臓静脈内の濃度は、それらがもはや測定可能な造影強化を引き起こさないレベルまで降下している。
【0053】
好ましい実施形態において、第1の時間スパンは、少なくとも時間点TP0、TP1、TP2、TP3、およびTP4を包含する。
【0054】
好ましい実施形態において、TP0~TP1の時間スパン、TP1~TP2の時間スパン、TP2~TP3の時間スパン、およびTP3~TP4の時間スパンにおけるすべての相の少なくともMRI画像が生成される(測定によって)。
【0055】
TP0~TP1、TP1~TP2、TP2~TP3、TP3~TP4の時間スパンにおいて、1つまたは複数のMRI画像がその都度(測定によって)生成されることが想定される。1つまたは複数の時間スパンの間、MRI画像のシーケンスが(測定によって)生成されることも想定される。
【0056】
シーケンスという用語は、時系列、すなわち、生成されるものが連続した時間点における検査領域を示す複数のMRI画像であることを意味する。
【0057】
時間点は、各MRI画像に割り当てられるか、または時間点は、各MRI画像に割り当てられ得る。通常、この時間点は、MRI画像が生成されている時間点(絶対時間)である。当業者は、MRI画像の生成が特定の時間スパンを使用することを認識している。MRI画像に割り当てられ得るものは、例えば、取得の開始の時間点または取得の完了の時間点である。しかしながら、任意の時間点がMRI画像に割り当てられる(例えば、相対時間点)ことも想定される。
【0058】
時間点に基づいて、MRI画像は、別のMRI画像に対して経時的に配置され得、このMRI画像の時間点に基づいて、MRI画像内に示される瞬間が、別のMRI画像内に示される瞬間より経時的に前に、または経時的に後に起きたかを確立することが可能である。
【0059】
好ましくは、MRI画像は、一連および複数のMRI画像において経時的に順序付けされ、その結果として、検査領域の初期状態を示すMRI画像は、一連および複数のMRI画像において、検査領域の後期状態を示すMRI画像の前に配置される。
【0060】
一連および複数のMRI画像内の互いの直後の2つのMRI画像の間の時間スパンは、好ましくは、一連および複数のMRI画像内の互いの直後のMRI画像のすべての対について同一であり、すなわち、MRI画像は、好ましくは、一定の取得速度で生成されたものである。
【0061】
第1の時間スパンの間に(測定によって)生成されるMRI画像に基づいて、1つのMRI画像が予測されるか、または第2の時間スパンの間の検査領域を示す複数のMRI画像が予測される。
【0062】
いくつかの非限定的な実施形態または態様において、第2の時間スパンは、第1の時間スパンの後に続く。
【0063】
第2の時間スパンは、好ましくは、肝胆道相内の時間スパン、好ましくは造影剤の投与後少なくとも10分、好ましくは造影剤の投与後少なくとも20分に開始する時間スパンである。
【0064】
第1の時間スパンの間の検査領域を示す複数の測定MRI画像は、予測モデルに供給される。予測モデルは、第1の時間スパンの間の検査領域を示す複数のMRI画像に基づいて、第2の時間スパンを示す検査領域を示す1つまたは複数のMRI画像を予測するように構成されるモデルである。
【0065】
これに関連して、用語“予測”は、第2の時間スパンの間の検査領域を示すMRI画像が、第1の時間スパンの間の検査領域を示すMRI画像を使用して計算されることを意味する。
【0066】
予測モデルは、好ましくは、教師あり機械学習プロセスにおいて自己学習アルゴリズムの助けを借りて作成されたものである。学習は、第1および第2の時間スパンの多様なMRI画像を含む訓練データを使用することによって達成される。
【0067】
自己学習アルゴリズムは、機械学習の間、訓練データに基づく統計的モデルを生成する。これは、例が単に暗記されるのではなく、アルゴリズムが訓練データ内のパターンおよび規則性を“認識する”ことを意味する。故に、予測モデルは、未知のデータを査定することができる。検証データは、未知のデータの査定の質を試験するために使用され得る。
【0068】
予測モデルは、教師あり学習によって訓練され、すなわち、第1の時間スパンからの複数のMRI画像が、アルゴリズムに連続して提示され、第2の時間スパン内のMRI画像のうちのどれがこれらの複数のMRI画像と関連付けられるかが通知される。次いで、アルゴリズムは、第1の時間スパンの未知の複数のMRI画像ついて第2の時間スパン内の1つまたは複数のMRI画像を予測するために、第1の時間スパンの複数のMRI画像と第2の時間スパンのMRI画像との関係性を学習する。
【0069】
教師あり学習によって訓練される自己学習システムは、例えば、C. Perez: Machine Learning Techniques: Supervised Learning and Classification, Amazon Digital Services LLC - Kdp Print Us,2019,ISBN 1096996545, 9781096996545に広く説明される。
【0070】
好ましくは、予測モデルは、人工ニューラルネットワークである。
【0071】
そのような人工ニューラルネットワークは、処理要素の少なくとも3つの層:入力ニューロン(ノード)を有する第1の層、少なくとも1つの出力ニューロン(ノード)を有する第Nの層、および第N-2の内層を備え、Nは、自然数であり、2よりも大きい。
【0072】
入力ニューロンは、入力値としてデジタルMRI画像を受信する役割を果たす。通常、デジタルMRI画像のピクセルまたはボクセルごとに1つの入力ニューロンが存在する。追加の入力値(例えば、検査領域に関する情報、検査対象に関する情報、および/またはMRI画像を生成するときに優先される健康状態に関する情報)のための追加の入力ニューロンが存在し得る。
【0073】
そのようなネットワークにおいて、出力ニューロンは、第1の時間スパンの複数のMRI画像について第2の時間スパンの1つまたは複数のMRI画像を予測する役割を果たす。
【0074】
入力ニューロンと出力ニューロンとの間の層の処理要素は、既定の結合重みを伴う既定のパターンで互いに結合される。
【0075】
好ましくは、人工ニューラルネットワークは、いわゆる畳み込みニューラルネットワーク(略してCNN)である。
【0076】
畳み込みニューラルネットワークは、行列の形態にある入力データを処理することができる。これは、行列(例えば、幅×高さ×色チャネル)として描写されるデジタルMRI画像を入力データとして使用することを可能にする。対照的に、例えば多層パーセプトロン(MLP)の形態にある、通常のニューラルネットワークは、入力としてベクトルを必要とし、すなわち、MRI画像を入力として使用するため、MRI画像のピクセルまたはボクセルは、長鎖で連続的にロールアウトされる必要がある。その結果、通常のニューラルネットワークは、例えば、MRI画像内の物体の位置から独立してMRI画像内の物体を認識することはできない。MRI画像内の異なる位置における同じ物体は、全く異なる入力ベクトルを有する。
【0077】
CNNは、交互に繰り返されるフィルタ(畳み込み層)および集約層(プーリング層)、ならびに最後に、“通常の”完全に結合したニューロン(高密度層/全結合層)の1つの層または複数の層から本質的になる。
【0078】
シーケンス(MRI画像のシーケンス)を分析するとき、空間および時間は、同等の次元として取り扱われ、例えば、3D折り畳みにより処理され得る。これは、Baccoucheら(Sequential Deep Learning for Human Action Recognition; International Workshop on Human Behavior Understanding, Springer 2011,pages 29-39)、およびJiら(3D Convolutional Neural Networks for Human Action Recognition, IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence,35(1),221-231)による論文に示されている。さらには、Karpathyら(Large-scale Video Classification with Convolutional Neural Networks; Proceedings of the IEEE conference on Computer Vision and Pattern Recognition,2014,pages 1725-1732)、およびSimonyan&Zisserman(Two-stream Convolutional Networks for Action Recognition in Videos; Advances in Neural Information Processing Systems,2014,pages 568-576)による刊行物において説明されるように、時間および空間に関与している異なるネットワークを訓練し、最後に特徴を併合することが可能である。
【0079】
リカレントニューラルネットワーク(RNN)は、層同士のフィードバック結合を含むいわゆるフィードフォワードニューラルネットワークのファミリーである。RNNは、ニューラルネットワークの異なる部分を介したパラメータデータの共通利用によって、順次データのモデリングを可能にする。RNNのためのアーキテクチャは、サイクルを含む。サイクルは、RNNからの出力データの少なくとも一部分が、シーケンス内の後続入力を処理するためのフィードバックとして使用されるため、変数の現在の値の、将来の時間点における独自の値に対する影響を表す。
詳細は、例えば、S.Khanら:A Guide to Convolutional Neural Networks for Computer Vision, Morgan & Claypool Publishers 2018,ISBN 1681730227, 9781681730226から収集され得る。
【0080】
ニューラルネットワークの訓練は、例えば、バックプロパゲーション法によって実行され得る。これに関連して、ネットワークに対して求められるのは、できる限り信頼性の高い、所与の出力ベクトルへの所与の入力ベクトルのマッピングである。マッピング品質は、誤差関数により説明される。目標は、誤差関数を最小限にすることである。バックプロパゲーション法の場合、人工ニューラルネットワークは、結合重みを変更することによって教示される。
【0081】
訓練された状態において、処理要素間の結合重みは、第1の時間スパンの間の検査領域を示す新規の複数のMRI画像について第2の時間スパンの間の検査領域を示す1つまたは複数のMRI画像を予測するために使用され得る、第1の時間スパンの複数のMRI画像と第2の時間スパンのMRI画像との関係性に関する情報を含む。
【0082】
交差検証法は、データを訓練データセットおよび検証データセットに分割するために使用され得る。訓練データセットは、ネットワーク重みのバックプロパゲーション訓練に使用される。検証データセットは、訓練されたネットワークが未知の複数のMRI画像に適用され得る予測の正確性をチェックするために使用される。
【0083】
既に示されるように、検査対象、検査領域、および/または検査条件に関する更なる情報はまた、訓練、検証、および予測のために使用され得る。
【0084】
検査対象に関する情報の例は、性別、年齢、体重、身長、既往歴、既に摂取した薬剤の働きおよび持続期間および量、血圧、中心静脈圧、呼吸数、血清アルブミン、総ビリルビン量、血糖、鉄含量、肺活量等である。これらは、例えば、データベースまたは電子患者ファイルから収集され得る。
【0085】
検査領域に関する情報の例は、以前から存在する健康状態、手術、肺部分切除術、肝移植、肝臓の鉄、脂肪肝等である。
【0086】
第1の時間スパンの間の検査領域を示す複数のMRI画像は、それらが予測モデルに供給される前に、運動補正の対象となることが想定される。そのような運動補正は、第1のMRI画像のピクセルまたはボクセルが、経時的に下流にある第2のMRI画像の対応するピクセルまたはボクセルと同じ検査領域を示すことを確実にする。運動補正法は、欧州特許第3118644号、欧州特許第3322997号、米国特許第20080317315号、米国特許第20170269182号、米国特許第20140062481号、欧州特許第2626718号に説明される。
【0087】
非限定的な実施形態または態様に従うシステムは、非限定的な実施形態または態様に従う方法を実行し得る。
【0088】
本システムは、受信装置、制御および計算装置、ならびに出力装置を備える。
【0089】
記載された装置は、単一のコンピュータシステムの構成要素であることが想定されるが、記載された装置は、1つの装置から別の装置へデータおよび/または制御信号を送信するため、ネットワークを介して互いに結合される、複数の別個のコンピュータシステムの構成要素であることも想定される。
【0090】
“コンピュータシステム”は、プログラム可能な計算規則によってデータを処理する電子データ処理のためのシステムである。そのようなシステムは、通常、“コンピュータ”を備え、そのような装置は、論理演算を実施するためのプロセッサ、およびさらに周辺装置を備える。
【0091】
コンピュータ技術において、“周辺装置”とは、コンピュータに結合され、コンピュータの制御に役立つ、ならびに/または入力および出力デバイスとしての役割を果たす、すべてのデバイスを指す。それらの例は、モニタ(スクリーン)、プリンタ、スキャナ、マウス、キーボード、ドライブ、カメラ、マイク、ラウドスピーカなどである。内部ポートおよび拡張カードもまた、コンピュータ技術においては周辺装置であると見なされる。
【0092】
今日のコンピュータシステムは、しばしば、デスクトップPC、ポータブルPC、ラップトップ、ノートブック、ネットブック、およびタブレットPC、ならびにいわゆるハンドヘルド(例えば、スマートフォン)に分割され、すべてのこれらのシステムは、本開示の実施形態または態様を実行するために利用され得る。
【0093】
コンピュータシステムへの入力は、例えば、キーボード、マウス、マイク、および/または同様のものなど、入力手段により達成される。
【0094】
本システムは、第1の時間スパンの間の検査領域を示す複数のMRI画像を受信し、これらのデータおよび任意選択的に更なるデータに基づいて、第2の時間スパンの間の検査領域を示す1つまたは複数のMRI画像を生成する(予測する、計算する)ように構成され得る。
【0095】
制御および計算装置は、受信装置の制御、様々な装置間のデータおよび信号フローの整合、ならびにMRI画像の計算に役立つ。複数の制御および計算装置が存在することが想定される。
【0096】
受信装置は、複数のMRI画像の受信に役立つ。複数のMRI画像は、例えば、磁気共鳴システムから送信され得るか、またはデータ記憶媒体から読み出され得る。磁気共鳴システムは、システムの構成要素であり得る。しかしながら、システムは、磁気共鳴システムの構成要素であることも想定される。
【0097】
MRI画像のシーケンスおよび任意選択的に更なるデータは、受信装置から制御および計算装置へ送信される。
【0098】
制御および計算装置は、第1の時間スパンの間の検査領域を示す複数のMRI画像に基づいて、1つまたは複数のMRI画像を予測するように構成され、予測MRI画像は、第2の時間スパンの間の検査領域を示す。好ましくは、制御および計算装置のメモリ内に読み込まれ得るのは、第2の時間スパンのMRI画像を計算するために使用される予測モデルである。予測モデルは、好ましくは、教師あり学習によって、自己学習アルゴリズムの助けを借りて生成(訓練)されたものである。
【0099】
出力装置を介して、予測MRI画像は、(例えば、スクリーン上に)表示されるか、(例えば、プリンタを介して)出力されるか、またはデータ記憶媒体に記憶され得る。
【0100】
更なる非限定的な実施形態または態様は、以下の番号付きの条項に明記される。
【0101】
条項1.2つ以上の時間点において測定される患者の組織のボクセルのパラメータと関連付けられた測定情報を獲得するステップであって、2つ以上の時間点は、組織のボクセルの1つまたは複数の特性が、2つ以上の時間点のうちの単一の時間点において測定されるボクセルのパラメータに基づいて生成される画像において分離可能である前に発生する、ステップと、2つ以上の時間点におけるボクセルのパラメータに基づいて、組織のボクセルの1つまたは複数の特性を決定するステップとを含む、コンピュータ実施方法。
【0102】
条項2.組織のボクセルの1つまたは複数の特性は、患者および患者の健康状態のうちの少なくとも1つと関連付けられた情報に基づいてさらに決定される、条項1に記載のコンピュータ実施方法。
【0103】
条項3.組織のボクセルの1つまたは複数の特性は、少なくとも1つの2つ以上の時間点に対応する時間点について決定される、条項1および2に記載のコンピュータ実施方法。
【0104】
条項4.組織のボクセルの1つまたは複数の特性は、2つ以上の時間点の後の時間点について決定される、条項1~3のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【0105】
条項5.1つまたは複数の特性に基づいて、2つ以上の時間点の後の時間点における組織のボクセルの1つまたは複数の特性を含む1つまたは複数の画像を生成するステップをさらに含む、条項1~4のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【0106】
条項6.患者の組織のボクセルのパラメータと関連付けられた測定情報が、組織のボクセルの1つまたは複数の特性を決定することと関連付けられた測定情報のしきい値量を含むことを決定するステップと、測定情報が測定情報のしきい値量を含むことを決定することに応答して、測定情報の取得を自動的に停止するように撮像システムを制御するステップとをさらに含む、条項1~5のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【0107】
条項7.1つまたは複数の特性を決定するステップは、患者の組織のボクセルのパラメータと関連付けられた測定情報を予測モデルに供給することを含み、予測モデルは、2つ以上の時間点におけるパラメータと関連付けられた測定情報に基づいて、組織のボクセルの1つまたは複数の特性を予測するように、教師あり学習によって訓練されている、条項1~6のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【0108】
条項8.1つまたは複数の特性を決定するステップは、組織のボクセルの薬物動力学的/薬力学的(PK/PD)モデルを、2つ以上の時間点において測定される組織のボクセルのパラメータにフィッティングすること、および2つ以上の時間点において測定される組織のボクセルのパラメータにフィッティングされたPK/PDモデルに基づいて、組織のボクセルの1つまたは複数の特性を決定することを含む、条項1~7のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【0109】
条項9.1つまたは複数の特性を決定するステップは、パラメータについて事前計算される複数の複数のPK/PD曲線のうちの1つのPK/PD曲線を、2つ以上の時間点において測定される組織のボクセルのパラメータにフィッティングすること、および2つ以上の時間点におけるパラメータにフィッティングされたPK/PD曲線に基づいて、組織のボクセルの1つまたは複数の特性を決定することを含む、条項1~8のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【0110】
条項10.1つまたは複数の特性を決定するステップは、基底関数のセットを用いて、組織のボクセルの1つまたは複数の特性を表す曲線を近似すること、近似された曲線を、2つ以上の時間点において測定される組織のボクセルのパラメータにフィッティングすること、および2つ以上の時間点において測定される組織のボクセルのパラメータにフィッティングされた近似された曲線に基づいて、組織のボクセルの1つまたは複数の特性を決定することを含む、条項1~9のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【0111】
条項11.1つまたは複数の特性を決定するステップは、基底関数のセットを用いてパラメータについて事前計算される複数の曲線のうちの1つの曲線を、2つ以上の時間点において測定される組織のボクセルのパラメータにフィッティングすること、および2つ以上の時間点において測定される組織のボクセルのパラメータにフィッティングされた曲線に基づいて、組織のボクセルの1つまたは複数の特性を決定することを含む、条項1~10のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【0112】
条項12.2つ以上の時間点において測定される患者の組織のボクセルのパラメータと関連付けられた測定情報を獲得することであって、2つ以上の時間点は、組織のボクセルの1つまたは複数の特性が、2つ以上の時間点のうちの単一の時間点において測定されるボクセルのパラメータに基づいて生成される画像において分離可能である前に発生する、獲得すること、および2つ以上の時間点におけるボクセルのパラメータに基づいて、組織のボクセルの1つまたは複数の特性を決定すること、を行うようにプログラムおよび/または構成される1つまたは複数のプロセッサを備えるシステム。
【0113】
条項13.組織のボクセルの1つまたは複数の特性は、患者および患者の健康状態のうちの少なくとも1つと関連付けられた情報に基づいてさらに決定される、条項12に記載のシステム。
【0114】
条項14.組織のボクセルの1つまたは複数の特性は、少なくとも1つの2つ以上の時間点に対応する時間点について決定される、条項12および13のいずれか一項に記載のシステム。
【0115】
条項15.組織のボクセルの1つまたは複数の特性は、2つ以上の時間点の後の時間点について決定される、条項12~14のいずれか一項に記載のシステム。
【0116】
条項16.1つまたは複数のプロセッサは、1つまたは複数の特性に基づいて、2つ以上の時間点の後の時間点における組織のボクセルの1つまたは複数の特性を含む1つまたは複数の画像を生成するようにさらにプログラムおよび/または構成される、条項12~15のいずれか一項に記載のシステム。
【0117】
条項17.1つまたは複数のプロセッサは、患者の組織のボクセルのパラメータと関連付けられた測定情報が、組織のボクセルの1つまたは複数の特性を決定することと関連付けられた測定情報のしきい値量を含むことを決定し、測定情報が測定情報のしきい値量を含むことを決定することに応答して、測定情報の取得を自動的に停止するように撮像システムを制御するようにさらにプログラムおよび/または構成される、条項12~16のいずれか一項に記載のシステム。
【0118】
条項18.1つまたは複数のプロセッサは、患者の組織のボクセルのパラメータと関連付けられた測定情報を予測モデルに供給することによって1つまたは複数の特性を決定するようにさらにプログラムおよび/または構成され、予測モデルは、2つ以上の時間点におけるパラメータと関連付けられた測定情報に基づいて、組織のボクセルの1つまたは複数の特性を予測するように、教師あり学習によって訓練されている、条項12~17のいずれか一項に記載のシステム。
【0119】
条項19.1つまたは複数のプロセッサは、組織のボクセルの薬物動力学的/薬力学的(PK/PD)モデルを、2つ以上の時間点において測定される組織のボクセルのパラメータにフィッティングすること、および2つ以上の時間点において測定される組織のボクセルのパラメータにフィッティングされたPK/PDモデルに基づいて、組織のボクセルの1つまたは複数の特性を決定することによって1つまたは複数の特性を決定するようにさらにプログラムおよび/または構成される、条項12~18のいずれか一項に記載のシステム。
【0120】
条項20.1つまたは複数のプロセッサは、パラメータについて事前計算される複数の複数のPK/PD曲線のうちの1つのPK/PD曲線を、2つ以上の時間点において測定される組織のボクセルのパラメータにフィッティングすること、および2つ以上の時間点におけるパラメータにフィッティングされたPK/PD曲線に基づいて、組織のボクセルの1つまたは複数の特性を決定することによって1つまたは複数の特性を決定するようにさらにプログラムおよび/または構成される、条項12~19のいずれか一項に記載のシステム。
【0121】
条項21.1つまたは複数のプロセッサは、基底関数のセットを用いて、組織のボクセルの1つまたは複数の特性を表す曲線を近似すること、近似された曲線を、2つ以上の時間点において測定される組織のボクセルのパラメータにフィッティングすること、および2つ以上の時間点において測定される組織のボクセルのパラメータにフィッティングされた近似された曲線に基づいて、組織のボクセルの1つまたは複数の特性を決定することによって1つまたは複数の特性を決定するようにさらにプログラムおよび/または構成される、条項12~20のいずれか一項に記載のシステム。
【0122】
条項22.1つまたは複数のプロセッサは、基底関数のセットを用いてパラメータについて事前計算される複数の曲線のうちの1つの曲線を、2つ以上の時間点において測定される組織のボクセルのパラメータにフィッティングすること、および2つ以上の時間点において測定される組織のボクセルのパラメータにフィッティングされた曲線に基づいて、組織のボクセルの1つまたは複数の特性を決定することによって1つまたは複数の特性を決定するようにさらにプログラムおよび/または構成される、条項12~21のいずれか一項に記載のシステム。
【0123】
条項23.プログラム命令を含む少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体を備えるコンピュータプログラム製品であって、プログラム命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されるとき、少なくとも1つのプロセッサに、2つ以上の時間点において測定される患者の組織のボクセルのパラメータと関連付けられた測定情報を獲得することであって、2つ以上の時間点は、組織のボクセルの1つまたは複数の特性が、2つ以上の時間点のうちの単一の時間点において測定されるボクセルのパラメータに基づいて生成される画像において分離可能である前に発生する、獲得すること、および2つ以上の時間点におけるボクセルのパラメータに基づいて、組織のボクセルの1つまたは複数の特性を決定すること、を行わせる、コンピュータプログラム製品。
【0124】
条項24.組織のボクセルの1つまたは複数の特性は、患者および患者の健康状態のうちの少なくとも1つと関連付けられた情報に基づいてさらに決定される、条項23に記載のコンピュータプログラム製品。
【0125】
条項25.組織のボクセルの1つまたは複数の特性は、少なくとも1つの2つ以上の時間点に対応する時間点について決定される、条項23および24のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
【0126】
条項26.組織のボクセルの1つまたは複数の特性は、2つ以上の時間点の後の時間点について決定される、条項23~25のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
【0127】
条項27.命令は、少なくとも1つのプロセッサに、1つまたは複数の特性に基づいて、2つ以上の時間点の後の時間点における組織のボクセルの1つまたは複数の特性を含む1つまたは複数の画像を生成することをさらに行わせる、条項23~26のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
【0128】
条項28.命令は、少なくとも1つのプロセッサに、患者の組織のボクセルのパラメータと関連付けられた測定情報が、組織のボクセルの1つまたは複数の特性を決定することと関連付けられた測定情報のしきい値量を含むことを決定し、測定情報が測定情報のしきい値量を含むことを決定することに応答して、測定情報の取得を自動的に停止するように撮像システムを制御することをさらに行わせる、条項23~27のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
【0129】
条項29.命令は、少なくとも1つのプロセッサに、患者の組織のボクセルのパラメータと関連付けられた測定情報を予測モデルに供給することによって1つまたは複数の特性を決定することを行わせ、予測モデルは、2つ以上の時間点におけるパラメータと関連付けられた測定情報に基づいて、組織のボクセルの1つまたは複数の特性を予測するように、教師あり学習によって訓練されている、条項23~28のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
【0130】
条項30.命令は、少なくとも1つのプロセッサに、組織のボクセルの薬物動力学的/薬力学的(PK/PD)モデルを、2つ以上の時間点において測定される組織のボクセルのパラメータにフィッティングすること、および2つ以上の時間点において測定される組織のボクセルのパラメータにフィッティングされたPK/PDモデルに基づいて、組織のボクセルの1つまたは複数の特性を決定することによって、1つまたは複数の特性を決定することを行わせる、条項23~29のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
【0131】
条項31.命令は、少なくとも1つのプロセッサに、パラメータについて事前計算される複数の複数のPK/PD曲線のうちの1つのPK/PD曲線を、2つ以上の時間点において測定される組織のボクセルのパラメータにフィッティングすること、および2つ以上の時間点におけるパラメータにフィッティングされたPK/PD曲線に基づいて、組織のボクセルの1つまたは複数の特性を決定することによって、1つまたは複数の特性を決定することを行わせる、条項23~30のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
【0132】
条項32.命令は、少なくとも1つのプロセッサに、基底関数のセットを用いて、組織のボクセルの1つまたは複数の特性を表す曲線を近似すること、近似された曲線を、2つ以上の時間点において測定される組織のボクセルのパラメータにフィッティングすること、および2つ以上の時間点において測定される組織のボクセルのパラメータにフィッティングされた近似された曲線に基づいて、組織のボクセルの1つまたは複数の特性を決定することによって、1つまたは複数の特性を決定することを行わせる、条項23~31のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
【0133】
条項33.命令は、少なくとも1つのプロセッサに、基底関数のセットを用いてパラメータについて事前計算される複数の曲線のうちの1つの曲線を、2つ以上の時間点において測定される組織のボクセルのパラメータにフィッティングすること、および2つ以上の時間点において測定される組織のボクセルのパラメータにフィッティングされた曲線に基づいて、組織のボクセルの1つまたは複数の特性を決定することによって、1つまたは複数の特性を決定することを行わせる、条項23~32のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
【図面の簡単な説明】
【0134】
本開示の実施形態または態様の追加の利点および詳細は、添付の概略図に例証される例示的な実施形態を参照して、以下により詳細に説明される。
【0135】
【
図1】肝臓動脈(A)、肝臓静脈(V)、および肝細胞(P)内の造影剤の濃度の経時的プロファイル、ならびに肝臓動脈組織、肝臓静脈組織、および肝細胞組織の各々を含むボクセルについての
総計(summed enhancement)(S)のグラフである。
【0136】
【
図2】非限定的な実施形態または態様に従うシステムを示す図である。
【0137】
【
図3】組織特性を予測、予想、および/または査定するためのプロセスの非限定的な実施形態または態様のフローチャートである。
【0138】
【
図4】動的相および肝胆道相の間の肝臓のMRI画像を示す図である。
【0139】
【
図5】第1の時間スパン内の肝臓を示す3つのMRI画像(1)、(2)、および(3)、ならびに第2の時間スパン内の肝臓を示すMRI画像(4)を示す図である。
【0140】
【
図6】本明細書に説明されるシステム、デバイス、製品、装置、および/または方法が実装され得る環境の非限定的な実施形態または態様を示す図である。
【0141】
【
図7】組織特性を予測、予想、および/または査定するためのプロセスの非限定的な実施形態または態様のフローチャートである。
【0142】
【
図8】肝臓組織の薬物動力学的モデルの非限定的な例を示す図である。
【0143】
【
図9】“無地の白い肝臓”画像を生成するために、肝特異性造影剤についてHBPから知られる造影情報を肝臓の初期相のMRI画像(1)、(2)と組み合わることによって合成されるMRI画像(3)を示す図である。
【0144】
【
図10】測定された造影強化画像から合成される、非強化T1w画像(1)、(2)、(3)を示す図である。
【0145】
【
図11】1つまたは複数の第2の注入後の画像から1つまたは複数の平衡後の更新画像を減ずることによって導出される平衡取り込みとは別の血管強化を示す画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0146】
本開示は、様々な代替的な変異形およびステップシーケンスを仮定し得るが、逆のことが明示的に記される場合はこの限りではない、ということを理解されたい。添付の図面に例証される、および以下の説明に記載される特定のデバイスおよびプロセスは、単に例示的および非限定的な実施形態または態様すぎないということも理解されたい。故に、本明細書に開示される実施形態または態様に関連した特定の寸法および他の物理的特性は、限定と見なされるべきではない。
【0147】
以後説明の目的のため、用語“端部”、“上方”、“下方”、“右”、“左”、“垂直”、“水平”、“上部”、“下部”、“横”、および“縦”、ならびにそれらの派生語は、それらが描写図において配向される際の実施形態または態様に関連するものとする。しかしながら、実施形態または態様は、様々な代替的な変異形およびステップシーケンスを仮定し得るが、逆のことが明示的に記される場合はこの限りではない、ということを理解されたい。添付の図面に例証される、および以下の説明に記載される特定のデバイスおよびプロセスは、単に非限定的な例示的な実施形態または態様にすぎないということも理解されたい。故に、本明細書に開示される実施形態または態様の実施形態または態様に関連した特定の寸法および他の物理的特性は、別途示されない限り、限定と見なされるべきではない。
【0148】
本明細書内で使用される態様、構成要素、要素、構造、作用、ステップ、機能、命令、および/または同様のものは、重要または必須と解釈されるべきではないが、そのようなものとして明示的に説明される場合はその限りではない。また、本明細書で使用される場合、冠詞“a(1つの)”および“an(1つの)”は、1つまたは複数の事項を含むことが意図され、“1つまたは複数”および“少なくとも1つ”と同義で使用され得る。さらには、本明細書で使用される場合、用語“セット”は、1つまたは複数の事項(例えば、関連事項、非関連事項、関連事項および非関連事項の組み合わせなど)を含むことが意図され、“1つまたは複数”および“少なくとも1つ”と同義で使用され得る。1つの事項のみが意図される場合、用語“1つ”または同様の言葉が使用される。また、本明細書で使用される場合、用語“has(有する)”、“have(有する)”、“having(有すること)”、または同様のものは、オープンエンドの用語であることが意図される。さらに、語句“基づく”は、別途明示的に記されない限り、“少なくとも部分的に基づく”を意味することが意図される。
【0149】
本明細書で使用される場合、用語“通信”および“通信する”は、情報(例えば、データ、信号、メッセージ、命令、コマンド、および/または同様のもの)の受信、受領、送信、転送、提供、および/または同様のものを指し得る。1つの装置(例えば、デバイス、システム、デバイスもしくはシステムの構成要素、それらの組み合わせ、および/または同様のもの)が別の装置と通信状態にあるとは、1つの装置が、直接的または間接的に、別の装置から情報を受信すること、および/または別の装置へ情報を送信することができることを意味する。これは、本質的に有線および/またはワイヤレスである、直接または間接接続を指し得る。追加的に、2つの装置は、送信される情報が、第1の装置と第2の装置との間で改変、処理、中継、および/またはルーティングされ得るとしても、互いと通信状態にあり得る。例えば、第1の装置が情報を受動的に受信し、その情報を第2の装置に能動的に送信しないとしても、第1の装置は、第2の装置と通信状態にあり得る。別の例として、少なくとも1つの中継装置(例えば、第1の装置と第2の装置との間に位置する第3の装置)が、第1の装置から受信される情報を処理し、処理した情報を第2の装置に通信するとしても、第1の装置は、第2の装置と通信状態にあり得る。いくつかの非限定的な実施形態または態様において、メッセージは、データを含むネットワークパケット(例えば、データパケットおよび/または同様のもの)を指し得る。多数の他の配置が可能であるということを理解されたい。
【0150】
本明細書で使用される場合、用語“コンピューティングデバイス”は、1つもしくは複数のネットワークと、またはこれを介して、直接的または間接的に通信するように構成される1つまたは複数の電子デバイスを指し得る。コンピューティングデバイスは、モバイルもしくはポータブルコンピューティングデバイス、デスクトップコンピュータ、サーバ、および/または同様のものであり得る。さらには、用語“コンピュータ”は、データを受信、処理、および出力するために必要な構成要素を含み、通常、ディスプレイ、プロセッサ、メモリ、入力デバイス、およびネットワークインターフェースを含む、任意のコンピューティングデバイスを指し得る。“コンピューティングシステム”は、1つまたは複数のコンピューティングデバイスまたはコンピュータを含み得る。“アプリケーション”または“アプリケーションプログラムインターフェース”(API)は、クライアント側フロントエンドおよび/またはクライアントからデータを受信するためのサーバ側バックエンドなど、ソフトウェア構成要素間の対話を促進するためにプロセッサによって実行され得る、コンピュータ可読媒体に記憶されたコンピュータコードまたは他のデータを指す。“インターフェース”は、ユーザが、直接的または間接的に(例えば、キーボード、マウス、タッチスクリーンなどを通じて)対話し得る1つまたは複数のグラフィカルユーザインターフェース(GUI)などの生成ディスプレイを指す。さらに、ネットワーク環境内で直接的または間接的に通信する、複数のコンピュータ、例えば、サーバ、または、車両コンピューティングシステムを含む自律車両などの他のコンピュータ化デバイスが、“システム”または“コンピューティングシステム”を構成し得る。
【0151】
本明細書に説明されるシステムおよび/または方法は、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせの形態で実装され得ることは明白であるものとする。これらのシステムおよび/または方法を実装するために使用される実際の専用制御ハードウェアまたはソフトウェアコードは、実装形態の限定ではない。故に、本システムおよび/または方法の動作および挙動は、特定のソフトウェアコードを参照せずに本明細書に説明され、ソフトウェアおよびハードウェアは、本明細書内の説明に基づいてシステムおよび/または方法を実装するために設計され得ることを理解されたい。
【0152】
いくつかの非限定的な実施形態または態様は、しきい値と関連して本明細書に説明される。本明細書で使用される場合、しきい値を満足することは、値が、しきい値よりも大きいこと、しきい値超であること、しきい値よりも高いこと、しきい値以上であること、しきい値未満であること、しきい値よりも小さいこと、しきい値よりも低いこと、しきい値以下であること、しきい値に等しいことなどを指し得る。
【0153】
これより
図1を参照すると、
図1は、肝臓動脈(A)、肝臓静脈(V)、肝細胞(P)内の造影剤の濃度の経時的プロファイル、および3つのタイプの組織すべて(例えば、肝臓動脈組織、肝臓静脈組織、および肝細胞組織の各々)を含むボクセルについての
総計(S)を概略的に示し、上で本明細書に既に詳細に説明されている。
【0154】
図2も参照すると、
図2は、非限定的な実施形態または態様に従うシステムを概略的に示す。システム(10)は、受信装置(11)、制御および計算装置(12)、ならびに出力装置(13)を備える。
【0155】
図3も参照すると、
図3は、非限定的な実施形態または態様に従う方法のフローチャートである。方法(100)は、
【0156】
複数のMRI画像を受信するステップ(110)であって、MRI画像が第1の時間スパンの間の検査領域を示す、ステップ(110)と、
【0157】
複数のMRI画像を予測モデルに供給するステップ(120)であって、予測モデルが、第1の時間スパンの間の検査領域を示すMRI画像に基づいて、第2の時間スパンの間の検査領域を示す1つまたは複数のMRI画像を予測するように、教師あり学習によって訓練されている、ステップ(120)と、
【0158】
第2の時間スパンの間の検査領域を示す1つまたは複数の予測MRI画像を、予測モデルによって生成するステップ(130)と、
【0159】
1つもしくは複数の予測MRI画像を表示および/もしくは出力する、ならびに/または1つもしくは複数の予測MRI画像をデータ記憶媒体に記憶するステップ(140)と、を含む。
【0160】
図4も参照すると、
図4は、動的相および肝胆道相の間の肝臓のMRI画像を示す。
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)、
図4(d)、
図4(e)、および
図4(f)では、異なる時間点における肝臓の同じ横断面が常に描写される。
図4(a)、
図4(b)、
図4(d)、および
図4(f)に入力された参照記号は、
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)、
図4(d)、
図4(e)、および
図4(f)のすべてに当てはまり、それらは各々、単に明白性の目的のために一度のみ入力される。
【0161】
図4(a)は、肝胆道造影剤の静脈内投与前の肝臓(L)の横断面を示す。
図4(a)および
図4(b)によって描写される時間点の間の時間点において、肝胆道造影剤は、ボーラスとして静脈内に投与された。これは、
図4(b)において、肝臓動脈(A)を介して肝臓に到達する。したがって、肝臓動脈は、信号強化を伴って描写される(動脈相)。主に動脈を介して血液が供給される腫瘍(T)は、同様に、より明るい(信号強化された)領域として肝細胞組織よりも目立つ。
図4(c)に描写される時間点において、造影剤は、静脈を介して肝臓に到達する。
図4(d)では、静脈血管(V)は、明るい(信号強化された)領域(静脈相)として肝臓組織よりも目立つ。同時に、主に静脈を介して造影剤が供給される健康な肝細胞内の信号強度は、継続的に上昇する(
図4(c)→4(d)→4(e)→4(f))。
図4(f)に描写される肝胆道相では、肝細胞(P)は、信号強化を伴って描写され、血管および腫瘍は、もはや造影剤を有さず、したがって暗く描写される。
【0162】
図5も参照すると、
図5は、第1の時間スパン内の肝臓を示す3つのMRI画像(1)、(2)、および(3)がどのように予測モデル(PM)に供給されるかを例示的および概略的に示す。予測モデルは、3つのMRI画像(1)、(2)、および(3)から、第2の時間スパン内の肝臓を示すMRI画像(4)を計算する。MRI画像(1)、(2)、および(3)は、例えば、
図4(b)、
図4(c)、および
図4(d)に示されるMRI画像を示すことができ、MRI画像(4)は、例えば、
図4(f)に示されるMRI画像であり得る。
【0163】
既存の撮像システムおよび/または画像分析システムによって満たされていない医学的必要性としては、少なくとも以下のことが挙げられる:健康な組織および/または異なるグレードの病理組織の識別および査定、異なる疾病および/または病理ステージの区別、改善された撮像/走査ワークフロー、細胞特異的および/または細胞機能的な情報の生成、ならびに中空または管状の器官または器官系に関する機能情報。
【0164】
本開示の非限定的な実施形態または態様は、少なくとも以下のことを提供および/または改善する:健康な組織および/もしくは異なるグレードの病理組織(例えば、組織線維化/肝硬変、炎症、脂肪浸潤、機能障害/死亡、および/または同様のものなどの広範性病理、良性もしくは悪性腫瘍、および/または同様のものなどの限局性病理など)の識別および査定、異なる疾病および/もしくは病理ステージ(例えば、広範性病理、限局性病理など)の区別、撮像/走査ワークフロー(例えば、より高速の画像生成および/または取得など)、細胞特異的および/もしくは細胞機能的な情報の生成(例えば、特定の薬物もしくは代謝物を取り込む、および分泌する細胞能力および速度、ならびに/または同様のものなどの細胞機能、細胞酸化の量、特定の細胞抗原の発現、チャネル/膜タンパク質、ならびに/または同様のものなどの分子情報など)、ならびに/または中空もしくは管状の器官もしくは器官系に関する機能情報(例えば、門脈系などの、血管系、胆管系、血管圧など)。本開示の非限定的な実施形態または態様は、動脈循環体積、門脈体積、静脈体積、細胞外体積、胆管体積、正常肝細胞体積、脂肪細胞体積、線維化体積、クッパー細胞体積、幹細胞体積、他の肝細胞体積、および/または転移性もしくは他の病変もしくは非肝細胞体積のうちの1つまたは複数のボクセル固有の推測を提供する。
【0165】
これより
図6を参照すると、
図6は、本明細書に説明されるデバイス、システム、方法、および/または製品が実装され得る、例となる環境600の図である。
図6に示されるように、環境600は、造影剤注入器602、注入器制御および演算システム604、注入器ユーザインターフェース606、撮像装置608、撮像装置制御および演算システム610、撮像装置ユーザインターフェース612、画像分析および演算システム614、画像分析インターフェース616、画像およびデータレビューインターフェース618、病院情報システム620、ならびに/またはクラウドコンピューティングおよびオフサイトリソース622を含む。環境600のシステムおよび/またはデバイスは、有線接続、ワイヤレス接続、または有線およびワイヤレス接続の組み合わせにより相互接続し得る。例えば、環境600のシステムおよび/またはデバイスは、セルラネットワーク(例えば、ロングタームエボリューション(LTE)ネットワーク、第三世代(3G)ネットワーク、第四世代(4G)ネットワーク、第五世代ネットワーク(5G)、符号分割多重アクセス(CDMA)ネットワークなど)、公衆陸上移動ネットワーク(PLMN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、電話ネットワーク(例えば、公衆交換電話ネットワーク(PSTN))、プライベートネットワーク、アドホックネットワーク、イントラネット、インターネット、光ファイバベースのネットワーク、クラウドコンピューティングネットワーク、近距離無線通信ネットワーク、および/もしくは同様のもの、ならびに/またはこれらもしくは他のタイプのネットワークの組み合わせを介して、相互接続(例えば、情報および/またはデータなどを通信)し得る。造影剤注入器602、注入器制御および演算システム604、および/または注入器ユーザインターフェース606は、1つまたは複数の注入プロトコルを設定し、その1つまたは複数の注入プロトコルに従って1つまたは複数の造影剤を患者に送達するために、それぞれのソフトウェアおよび/またはハードウェアを有する造影剤注入システムを備え得る。いくつかの非限定的な実施形態または態様において、造影剤注入器602、注入器制御および演算システム604、ならびに/または注入器ユーザインターフェース606は、米国特許第6,643,537号および同第7,937,134号に説明され、国際出願第2019046299A1号に公開されるような造影剤注入システムを含み得、これらの文献の各々の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの非限定的な実施形態または態様において、造影剤注入器602、注入器制御および演算システム604、ならびに/または注入器ユーザインターフェース606は、MEDRAD(登録商標)Stellant FLEX CT注入システム、MEDRAD(登録商標)MRXperion MR注入システム、MEDRAD(登録商標)Mark 7 Arterion 注入システム、MEDRAD(登録商標)Intego PET注入システム、MEDRAD(登録商標)Spectris Solaris EP MR注入システム、Certegra(登録商標)Workstationを用いたMEDRAD(登録商標)Stellant CT注入システム、および/または同様のものを備え得る。
【0166】
撮像装置608、撮像装置制御および演算システム610、ならびに/または撮像装置ユーザインターフェース612は、撮像プロトコルを設定し、患者の非造影および造影強化スキャンを取得するために、それぞれのソフトウェアおよび/またはハードウェアを有する撮像システムを備え得る。いくつかの非限定的な実施形態または態様において、撮像装置608、撮像装置制御および演算システム610、ならびに/または撮像装置ユーザインターフェース612は、MRIシステム(例えば、T1、T2、TWI、PD、マッピング(脂肪、鉄)、多パラメータ手法、過分極MRI、MRフィンガープリンティング、エラストグラフィなどに基づいたMRI)、コンピュータ断層撮影(CT)システム、超音波システム、単光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)システム、ポジトロン放出断層撮影-磁気共鳴(PET/MRI)システム、ポジトロン放出断層撮影-コンピュータ断層撮影(PET/CT)システム、および/または他の画像診断システムを含み得る。いくつかの非限定的な実施形態または態様において、撮像装置608、撮像装置制御および演算システム610、ならびに/または撮像装置ユーザインターフェース612は、2019年12月11日に提出された米国特許出願第16/710,118号に説明されるような撮像システムを含み得、この文献の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの非限定的な実施形態または態様において、撮像装置608、撮像装置制御および演算システム610、ならびに/または撮像装置ユーザインターフェース612は、シーメンスヘルシニアーズのSomatom Go CTシステム、ゼネラルエレクトリック社のSigna MRシステム、および/または同様のものを含み得る。
【0167】
いくつかの非限定的な実施形態または態様において、造影剤注入器602、注入器制御および演算システム604、注入器ユーザインターフェース606、撮像装置608、撮像装置制御および演算システム610、撮像装置ユーザインターフェース612、画像分析および演算システム614、画像分析インターフェース616、画像およびデータレビューインターフェース618、病院情報システム620、ならびに/またはクラウドコンピューティングおよびオフサイトリソース622のうちの1つまたは複数は、本明細書に説明されるようなコンピュータシステム、ならびに/またはコンピュータシステムの1つもしくは複数の構成要素および/もしくは周辺機器を含み得る。
【0168】
患者は、異なるタイプの細胞を有する複数の組織および/もしくは器官(例えば、肝実質細胞、クッパー細胞、免疫細胞、幹細胞などを含む肝臓)、求心性および/または遠心性供給/循環系(例えば、動脈、静脈、リンパ、または胆道系など)、ならびに/または異なる区画/空間(例えば、血管空間、間質空間、細胞内空間など)を含む生存生物(例えば、哺乳動物、ヒトなど)を含み得る。
【0169】
造影剤注入システムによって患者に送達される造影剤は、患者を走査するために使用される撮像システムのタイプに従って選択または構成され得る。造影剤は、ガドリニウムベースの造影剤(GBCA)(例えば、MRIにおける使用のためなど)、ヨウ素ベースの造影剤(例えば、CTにおける使用のためなど)、超音波造影媒体(例えば、マイクロバブルなど)、および/または他のより非一般的な造影剤、例えば、鉄ベースの薬剤(例えば、小型もしくは超小型の超常磁性酸化鉄、マンガンベース、CO2、または他の薬剤)、血液プール剤(例えば、血管内の長い血液半減期を有する)、腎臓優性もしくは肝胆道優性排泄作用を有する薬剤、細胞内取り込み、および器官特異性もしくは細胞特異性取り込みを伴う薬剤、器官もしくは細胞特異性結合を伴う薬剤(例えば、細胞内取り込みなし)、長期“保留”を伴う薬剤(例えば、FDG)、ならびに/または同様のものなどを含み得る。造影剤は、放射性であってもよい。造影剤は、細胞マーカ特異性であってもよく、これは、造影剤が特定の細胞表面または細胞内部マーカと結合または相互作用することを意味する。関与する造影剤は、自然造影、例えば、ヘモグロビン内の酸素レベルであってもよい。造影剤は、例えば、ヘマトクリット値を減少させる陰性造影、および故に、血液をガスで置き換える、血液またはマイクロバブル内の赤血球信号であってもよい。通常のMRIでは、ガスは、信号を提供せず、CTでは、ガスは、増大した送信および故に減少したハウンスフィールド単位をもたらす。
【0170】
造影剤注入システムは、単一の薬剤(例えば、それ自体によって送達される単一の造影剤など)、または同時間における組み合わせた複数の造影剤(例えば、複数の並行注入、一緒に混合された2つの流体の注入、または一方が他方の後に(例えば、複数の連続的注入))を送達し得る。撮像システムは、1つもしくは複数の時間点(相)における単一の画像取得または走査、1つもしくは複数の時間点における複数の取得(例えば、MRマッピング技術などを使用して)、および/または連続した撮像期間にわたる取得を実施することができる。
【0171】
いくつかの非限定的な実施形態または態様において、造影剤注入は、静脈血管区画、動脈血管区画、リンパ管区画、および/または同様のものなどの1つまたは複数の異なる場所または区画に送達され得る。
【0172】
これより
図7を参照すると、
図7は、組織特性を予測、予想、および/または査定するためのプロセス700の非限定的な実施形態または態様のフローチャートである。いくつかの非限定的な実施形態または態様において、プロセス700のステップのうちの1つまたは複数は、画像分析および演算システム614(例えば、画像分析および演算システム614の1つまたは複数のデバイス)によって、(例えば、完全に、部分的になど)実施され得る。いくつかの非限定的な実施形態または態様において、プロセス700のステップのうちの1つまたは複数は、撮像装置制御および演算システム610(例えば、撮像装置制御および演算システム610の1つまたは複数のデバイス)、病院情報システム620(例えば、病院情報システムの1つまたは複数のデバイス)、クラウドコンピューティングおよびオフサイトリソースシステム622(例えば、クラウドコンピューティングおよびオフサイトリソースシステム622の1つまたは複数のデバイス)、ならびに/または同様のものなど、画像分析および演算システム614とは別個の、またはこれを含む、別のデバイスまたはデバイスのグループによって、(例えば、完全に、部分的になど)実施され得る。
【0173】
図7に示されるように、ステップ702において、プロセス700は、造影剤を患者に送達することを含む。例えば、造影剤注入システムは、造影剤を患者に送達(例えば、注入など)し得る。例として、造影剤注入器602、注入器制御および演算システム604、ならびに/または注入器ユーザインターフェース606は、1つまたは複数の注入プロトコルを設定し、その1つまたは複数の注入プロトコルに従って1つまたは複数の造影剤を患者に送達し得る。
【0174】
いくつかの非限定的な実施形態または態様において、造影剤は、個々の相(例えば、動脈相、門脈相、静脈相など)が区別されることを可能にするために、小型で、短く、および比較的素早いボーラスで患者に送達され得る。例えば、造影剤濃度は、造影剤が身体内に分散する前の短期間の“安定状態”の間は比較的均質であり、短期の安定状態撮像を可能にし得る。いくつかの非限定的な実施形態または態様において、造影剤は、米国特許第9,436,989号に説明されるように、造影剤の注入時間を遅らせる、または引き延ばすように患者に送達され得、この文献の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの非限定的な実施形態または態様において、造影剤は、血液および/または組織内で所望のMR造影剤濃度を達成するように患者に送達され得、その結果として、MRフィンガープリントは、2017年11月21日提出された米国特許出願第16/462,410号に説明されるような1つまたは複数の造影剤関連パラメータを含み得、この文献の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの非限定的な実施形態または態様において、造影剤の注入速度/送達は、単一の高速ボーラスとして(例えば、相を区別するため)、時間Xから時間Yまでの実際の時間内の撮像を可能にするために単一のボーラスとして、2つの別々の画像期間(例えば、0.5~2分および次いで10または20分など)として、単一の緩徐なボーラス(例えば、視覚的に区別可能でない正常相を伴うなど)として、または二重ボーラス(例えば、第1のボーラスの送達、待機、撮像、第2のボーラスの送達、および撮像などを含むシーケンスで)として実施され得る。
【0175】
図7に示されるように、ステップ704において、プロセス700は、患者の組織と関連付けられた測定情報を獲得することを含む。例えば、撮像システムは、1つまたは複数の撮像プロトコルを設定し、その1つまたは複数の撮像プロトコルに従って患者の組織と関連付けられた測定情報(例えば、患者の組織の1つまたは複数の画像またはスキャンなど)を獲得するために、患者の組織の非造影および/または造影強化スキャンを取得し得る。例として、撮像装置608、撮像装置制御および演算システム610、ならびに/または撮像装置ユーザインターフェース612(ならびに/または画像分析および演算システム614)は、2つ以上の時間点において測定される患者の組織のボクセルのパラメータと関連付けられた測定情報(例えば、2つ以上の時間点における組織のボクセルのパラメータの値、2つ以上の時間点におけるパラメータを含むか、これを示す組織の画像またはスキャンなど)を獲得し得る。いくつかの非限定的な実施形態または態様において、2つ以上の時間点は、組織のボクセルの1つまたは複数の特性が、2つ以上の時間点のうちの単一の時間点におけるボクセルのパラメータに基づいて生成される画像内で、分離可能である(例えば、測定データおよび/または測定データから作成される画像内の1つまたは複数の他の特性および/または雑音から分離可能であるなど)、および/または識別可能である(例えば、人間の目によって識別可能であるなど)前に発生する。
【0176】
いくつかの非限定的な実施形態または態様において、測定情報は、以下のパラメータ/画像取得相:自然相(例えば、造影前)、動脈相、門脈相、静脈相、平衡相のうちの1つまたは複数、肝胆道取り込みおよび排泄の場合、肝胆道相(HBP)を結果としてもたらす、造影剤注入の前、間、および/もしくは後に、異なる(例えば、別々の)時間に、もしくは連続して、および/または1つもしくは複数の相にわたる連続的な画像取得として、獲得(例えば、走査、撮像など)され得る。
【0177】
いくつかの非限定的な実施形態または態様において、測定データを獲得するための画像取得または走査は、欧州特許出願第20161359.3号に説明されるような患者の循環時間に基づいて決定される時間点(例えば、最適な時間点など)において開始され得、この文献の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0178】
いくつかの非限定的な実施形態または態様において、組織のボクセルの1つまたは複数のパラメータを含む測定情報は、以下の技術のうちの少なくとも1つ:MRI取得技術(例えば、T1、T2、TWI、PD、マッピング(脂肪、鉄)、多パラメータ手法、過分極MRI、MRフィンガープリンティング、エラストグラフィなどに基づくMRI)、CT取得技術、超音波技術、SPECT技術、PET/MRI技術、PET/CT技術、別の画像診断技術、またはそれらの任意の組み合わせを使用して獲得され得る。
【0179】
いくつかの非限定的な実施形態または態様において、撮像システムによって測定される組織のボクセルのパラメータは、以下のうちの少なくとも1つ:T1重み付き(T1w)、T2重み付き(T2w)、陽子密度重み付き(PDw)、拡散重み付き(DWI)、x線吸収量、T1および/またはT2緩和時間の短縮量、x線吸収量の変化、トレーサ取り込み量/代謝および放射登録、1つもしくは複数の薬物動力学的モデルパラメータ、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。例えば、撮像システムによって取得される画像は、パラメータが撮像システムによって測定される時間における組織のボクセルのパラメータを含み得るか、またはこれを示し得る。
【0180】
図7に示されるように、ステップ706において、プロセス700は、患者の組織と関連付けられた1つまたは複数の特性を決定することを含む。例えば、画像分析および演算システム614は、2つ以上の時間点におけるボクセルのパラメータに基づいて、1つまたは複数の特性を決定し得る。例として、画像分析および演算システム614は、2つ以上の時間点におけるボクセルの1つまたは複数のパラメータを含む測定情報(および/または、2つ以上の時間点におけるボクセルのパラメータを含むか、これを示す画像)に基づいて、患者の組織のボクセルの1つまたは複数の特性を含むか、これを示す1つまたは複数の画像を生成し得る。そのような例において、画像分析および演算システム614は、2つ以上の時間点におけるボクセルのパラメータを含む測定情報を取得または測定した撮像システムによって取得されるおよび/または取得されない1つまたは複数の画像を合成する、強化する、組み合わせる、および/または置き換える/削除することができる。例えば、単一の特性が、グレースケール画像として表示され得る。別の例として、2つ以上の特性が、グレースケール画像上のカラーオーバーレイとして表示され得る。
【0181】
いくつかの非限定的な実施形態または態様において、1つまたは複数の特性(および/または、1つもしくは複数の特性を含むか、これを示す1つもしくは複数の画像)は、2つ以上の時間点のうちの1つまたは複数に対応する(例えば、これと同じ時間などの)時間点および/または時間期間について決定され得る。いくつかの非限定的な実施形態または態様において、1つまたは複数の特性(および/または、1つもしくは複数の特性を含むか、これを示す1つもしくは複数の画像)は、2つ以上の時間点の後の(例えば、2つ以上の時間点の後に続くなどの)時間点および/または時間期間について決定され得る。
【0182】
いくつかの非限定的な実施形態または態様において、患者の組織と関連付けられた特性は、以下のうちの少なくとも1つ:ボクセルの動脈内(例えば、肝臓動脈(A)内など)の造影剤の濃度、ボクセルの静脈内(例えば、肝臓静脈(V)内など)の造影剤の濃度、ボクセルの細胞内(例えば、肝細胞(P)内など)の造影剤の濃度、ボクセルの動脈、静脈、および細胞内の造影剤の濃度の総計(例えば、肝臓組織のボクセルの肝臓動脈(A)、肝臓静脈(V)、肝細胞(P)内の造影剤の濃度の総計)、ボクセルの組織空間を通る造影剤の動きと関連付けられた薬物動力学的パラメータのうちの1つもしくは複数、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの非限定的な実施形態または態様において、患者の組織と関連付けられた特性は、例えば、電子密度、水素密度、T1、T2、見かけの拡散係数(ADC)、またはそれらの任意の組み合わせを含む、注入された造影剤と関連付けられない少なくとも1つの特性を含み得る。
【0183】
医用撮像が始まった当初、データの取得および画像の作成は、X線が、患者を横断し、画像を作成するために現像される写真フィルムと対になった発光スクリーンによって吸収されることによって実施された。次いでそのフィルムは、診断を行う放射線科医によって読み取られた。現在の電子およびコンピュータ技術では、データの2Dまたは3Dアレイを(時間(4D)にわたって取得し、このデータを、人間が理解可能な2D、3D、または4Dデータ表現を意味する画像へと変換する異なる方式を有する複数の画像診断法が存在する。目的の患者領域内のボクセルごとに各時間点においてデータの複数のパラメータを収集する能力である第5の次元についても述べることができる。
図7にさらに示されるように、例となるが非限定的なデータ分析ステップは、取得したデータまたは画像を人間が読むことができる画像へ変えるデータ分析711、例えば、2つ以上の画像を使用して以前に存在していない画像を人間が読むことができる形式で作成するデータ分析712、例えば、関与する医療専門家による確認のため、読み手に通知し得るか、推奨し得るか、または診断を行い得るデータ分析713を含み得る。コンピュータ支援診断アルゴリズムは、このデータ分析の例である。例えば、画像分析および演算システム614は、以下の技術のうちの少なくとも1つ:ウィンドウ&レベル技術、ガンマ補正技術、フィルタ逆投影技術、反復再構成技術、モデルフィッティング技術、曲線フィッティング技術の辞書モード(例えば、MRフィンガープリンティングなど)、空間的、時間的フィルタリングおよび強化技術、CADもしくはAIを使用した特徴抽出技術、フラクタル解析技術、動き補正技術、柔軟な登録技術、パラメータ定量化技術、単一画像の2D AIもしくは機械学習ベースの分析、ボクセルの時間シーケンスの2D AIもしくは機械学習ベースの分析技術、画像技術の時間シーケンスの3D AIもしくは機械学習ベースの分析技術、AIもしくは機械学習ベースの雑音除去および鮮明化技術、AIもしくは機械学習ベースのコントラスト増幅技術、またはそれらの任意の組み合わせを使用して、2つ以上の時間点におけるボクセルのパラメータを含む測定情報に基づいて、1つまたは複数の特性(および/または、1つもしくは複数の特性を含むか、これを示す1つもしくは複数の画像、および/またはそれと関連付けられた診断情報)を決定し得る。
【0184】
いくつかの非限定的な実施形態または態様において、画像分析および演算システム614(ならびに/または撮像装置制御および演算システム610)は、患者の組織のボクセルのパラメータと関連付けられた測定情報が、組織のボクセルの1つまたは複数の特性を決定することと関連付けられた測定情報のしきい値量(例えば、1つもしくは複数の特性および/または1つまたは複数の特性を含む1つもしくは複数の画像を決定するのに十分な量の情報および/またはデータ)を含むことを決定し、測定情報が測定情報のしきい値量を含むことを決定することに応答して、測定情報の取得を自動的に停止する(例えば、患者を走査または撮像するのを停止するなど)ように撮像システム(例えば、撮像装置608など)を制御し得る。いくつかの非限定的な実施形態または態様において、組織のボクセルの1つまたは複数の特性を決定することと関連付けられた測定情報のしきい値量は、任意選択的に、既定のレベルの、パラメータ微分、予測の確信、誤差の余裕を伴って、患者についての1つまたは複数の選択した、または予め決められた診断を提供することと関連付けられた情報のしきい値量を含み得る。
【0185】
いくつかの非限定的な実施形態または態様において、画像分析および演算システム614は、2つ以上の時間点におけるボクセルのパラメータを含む測定情報(および/または、2つ以上の時間点におけるボクセルのパラメータを含むか、これを示す1つもしくは複数の画像)に基づいて、患者の組織のボクセルの1つまたは複数の画像を合成(例えば、1つまたは複数の合成または強化画像、1つまたは複数の非強化/造影強化/トレーサ画像、1つまたは複数のT1w/T2w/PDw画像(および/または、例えば、fat-satあり/なしで、逆パルスで、など、それらの異形)、動脈/門脈/静脈/平衡/HB相の1つまたは複数の画像、MRI連続取得の1つまたは複数の画像、1つまたは複数の非強化/造影強化/トレーサx線吸収画像、1つまたは複数の動脈/門脈/静脈/平衡/または連続取得x線吸収画像などを生成または作成する)ことができる。例として、画像分析および演算システム614は、HBPの前に発生する1つまたは複数の相において測定される2つ以上の時間点におけるボクセルのパラメータを含む測定情報から、HBPにおける1つまたは複数の画像を合成し得る。例として、画像分析および演算システム614は、肝臓特異性造影剤についてのHBPから知られる造影剤情報を、肝臓の初期相の1つまたは複数の画像(例えば、動脈、門脈、および/または静脈相などにおいて測定または取得される1つまたは複数の画像など)と比較する(例えば、追加する、減じる、乗じるなど)ことによって1つまたは複数の画像を合成して、2つもしくは複数の画像からの情報全体、または2つもしくは複数の画像からの情報の一部のみを組み合わせて新規合成画像にし得る、
図9に示され、2019年9月18日に提出された欧州特許出願第19197986.3号、および2020年9月10日に提出された国際特許出願第PCT/EP2020/075288号に詳細に示されるような、“無地の白い肝臓”を生成し得、これらの文献の各々の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。例として、画像分析および演算システム614は、
図10に示され、2019年10月8日に提出された欧州特許出願第19201919.8号にさらに詳細に説明されるような1つまたは複数の測定された造影強化画像(例えば、肝臓内など)から、非強化T1w画像を合成し得、これらの文献の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。例として、画像分析および演算システム614は、209年10月8日に提出された欧州特許出願第19201937.0号、および2019年12月5日に提出された米国仮特許出願第62/943,980号に説明されるように、低減された量の造影剤で組織および腫瘍の高コントラスト高精度の撮像を可能にするために特定の画像造影(例えば、造影強化されたT1w MR画像内の動脈相強化の造影を強化し得、これらの文献の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。例として、画像分析および演算システム614は、2020年4月3日に提出された欧州特許出願第20167879.4号に説明されるように、平衡相の造影強化されたT1w画像(例えば、仮想血液プール造影画像など)を合成し得、この文献の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。例として、画像分析および演算システム614は、従来のガドキセト酸強化画像から、遷移相または後期相の間の肝実質細胞内のガドキセト酸誘発型造影変化なしに、画像を合成し得る。例として、画像分析および演算システム614は、物質(例えば、造影剤)が組織を通過する間の薬物動力学的時間フレームにわたる組織の完全な緩和曲線に関する情報を含む、従来通りに取得されたマッピングシーケンスのセットに基づいて、“疑似画像”を合成し得る。
【0186】
例として、造影剤の二重注入プロトコルは、
図11に示され、2019年10月8日に提出された欧州特許出願第19201919.8号、2019年10月11日に提出された欧州特許出願第19202711.8号、および2020年5月6日に提出された欧州特許出願第20173089.2号にさらに詳細に説明されるように、使用され得、これらの文献の各々の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。二重注入の第1の注入は、患者がスキャナ内にいない間に実施され得る。第1の注入は、試験がMRI試験となる予定の場合、例えば、ガドキセト酸であり得る。患者は、造影剤が体内で平衡し、標的組織によって取り込まれる間、スキャナの外に留まる。患者は、スキャナ内に置かれ、1つまたは複数の画像が、その平衡取り込みについて撮られ得、ならびに取り込みによる影響を受けない画像も撮られ得る。二重注入の第2の造影剤注入が次いで付与され、1つまたは複数の追加の画像が撮られる。これらの第2の注入後の画像は、例えば、平衡取り込み撮像に加えて、血管強化の可視化および/または測定を可能にするようにタイミングが計られ得る。例として、画像分析および演算システム614は、1つまたは複数の第2の注入後の画像から1つまたは複数の平衡取り込み後の画像を減じて、対応する時間点における平衡取り込みとは別個の血管強化を示す画像を導出し得る。第2の造影剤注入は、第1の造影剤注入と同じタイプの造影剤であり得るか、または既に取り込みが発生しており、撮像されていることから、それは、異なるタイプの造影剤、例えば、ガドキセト酸に対して異なる、およびいくつかの点で有利な、性質を有するガドブトロールであり得る。いくつかの非限定的な実施形態または態様において、2つの異なる造影剤は、混合されるか、または同時に注入され得る。例えば、造影剤を血管造影剤として好ましいものにする性質を有する造影剤は、血管相造影剤としてはそれほど有用ではないが、細胞または組織特異性マーカまたは造影剤としての性質を有する造影剤と混合され得る。
【0187】
図7に示されるように、ステップ708において、プロセス700は、患者の組織と関連付けられた1つまたは複数の特性を分析することを含む。いくつかの非限定的な実施形態または態様において、放射線科医および/または他の訓練を受けた専門家は、患者の組織と関連付けられた1つまたは複数の特性を含む1つまたは複数の画像を読み取って、1つまたは複数の画像から診断情報を導出し得る。いくつかの非限定的な実施形態または態様において、画像分析および演算システム614は、患者の組織のボクセルと関連付けられた1つもしくは複数の特性、および/または1つもしくは複数の画像、患者の組織と関連付けられた1つもしくは複数の特性を分析して、1つまたは複数の画像から診断情報を導出し得る。例えば、画像分析および演算システム614は、もう1つの特性(および/または、1つもしくは複数の特性を含むか、これを示す1つもしくは複数の画像)を、分類モデルに供給し得、この分類モデルは、もう1つの特性(および/または、1つもしくは複数の特性を含むか、これを示す1つもしくは複数の画像に基づいて、1つまたは複数の診断と関連付けられた組織を分類するように、教師あり学習によって訓練されている。例として、画像分析および演算システム614は、組織の1つまたは複数の特性を決定するために使用されるステップ706に関して上に本明細書で説明される技術のうちの1つまたは複数を使用して、組織のための1つまたは複数の診断を決定し得る。
【0188】
いくつかの非限定的な実施形態または態様において、診断情報は、患者の組織のボクセルの状態の識別(例えば、健康な組織、不健康な組織、不健康な組織のタイプ、組織と関連付けられた病気のタイプなど)、患者の組織のボクセルの状態の識別についての1つもしくは複数の理由、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0189】
図7に示されるように、ステップ710において、プロセス700は、患者の組織と関連付けられた診断を提供することを含む。例えば、放射線科医および/または他の訓練された専門家は、患者の組織と関連付けられた診断情報を提供し得る。例として、画像分析および演算システム614は、患者の組織と関連付けられた診断情報を提供し得る。
【0190】
依然として
図7を参照すると、いくつかの非限定的な実施形態または態様において、ステップ720で、患者および/または患者の健康状態に関する追加情報が、ステージ702~710のうちの1つまたは複数において入力および使用されて、各ステージにおけるオプション間の選択ならびに/または各ステージで決定および/もしくは生成される情報および/もしくはデータの決定に、注視し得るか、またはこれらに影響を及ぼし得る。例えば、患者および/または患者の健康状態に関する追加情報は、注入プロトコル、撮像プロトコル、測定情報、1つまたは複数の特性(および/または、1つもしくは複数の特性を含むか、これを示す1つもしくは複数の画像)、診断情報、および/または診断を決定するために使用される、プロセス、アルゴリズム、機械学習モデルもしくはニューラルネットワーク、モデルフィッティング分析、および/または同様のものに入力され得る。例として、患者および/もしくは患者の健康状態ならびに/または試験のための所望の条件に関する追加情報は、以下のうちの少なくとも1つ:患者の身長、患者の体重、患者の年齢、患者の性別、患者の心拍数、患者の心拍出量、患者の臨床症状、患者のビリルビンレベル、患者に送達される造影剤の濃度の所望の
変化率(rate)、上昇、および/もしくはプラトーレベル、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。患者固有のデータの追加の例は、米国特許第5,840,026号および同第9,616,166号に見ることができ、これらの文献の各々の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0191】
データ分析ステップ711、712、713、ならびに関連したコンピュータハードウェアおよび/またはソフトウェア、例えば、画像分析および演算システム614はまた、例えば、病院情報システム620および/または他のクラウドコンピューティングデータストア622から獲得され得る患者に関する追加データ720を分析および使用し得る。
【0192】
これより
図8を参照すると、
図8は、撮像されている患者の器官のボクセル800(例えば、体積要素など)の簡略概略図を示す。この概略図は、肝臓を表しているが、一般に、適切な適合または簡略化を伴って他の器官に当てはまる。肝臓は、医学および生理学においては良く知られているように、比較的複雑な器官である。
【0193】
例となる要素の各々は、ボクセルのいくらかの断片的な体積を占有し得る。肝臓は、肝門脈304および肝動脈302からの二重血液供給を受ける。肝門脈304は、肝臓の血液供給の約75%を送達し、脾臓、消化管、およびその関連器官から排出される静脈血を運ぶ。肝静脈306は、血液を心臓へ戻す。各ボクセルには、細胞が存在する。いくつかの細胞311は、撮像に使用されている造影剤を処理するか、または取り込み得る。これらの細胞311は、造影剤を胆管310内へ移動させ得る。ボクセルは、造影剤を効果的に取り込まない他の細胞313を含み得る。すべてのこれらの他の構成要素を適所に保持する流体および結合分子を表す細胞外空間301も存在する。当然ながら、器官のいくつかの部分には、完全に1つのタイプの構成要素、例えば、動脈、静脈、または胆管内にあるボクセルが存在し得る。他のボクセルは、ボクセル要素の他の断片を有する。
【0194】
分子は、血液から細胞外体積内へ、およびそこから細胞または胆管内へ移動し得、その逆もまた然りである。異なる分子は、それらの特性および関与する構造体または細胞の特性に応じて異なる速度で、拡散するか、または輸送される。PK/PDモデリング(薬物動力学的/薬力学的モデリング)は、薬物動力学および薬力学の2つの古典的な薬理学的規律を組み合わせた技術である。それは、薬物動力学的および薬力学的モデル構成要素を、ある投薬量の投与に応答した効果強度の時間的経過の説明を可能にする数学的表現の1つのセットへと統合する。単純なPK/PDモデルにおいては、K1AおよびK2Aは、それぞれ、肝動脈302および関連毛細血管から出る、またはそこへ入る輸送定数である。K1VおよびK2Vは、門脈304の定数である。K3およびK4は、造影剤を取り込む細胞の定数であり、K5およびK6は、胆管内への、および胆管から戻る輸送の定数である。PK/PDモデルはまた、パラメータとして、様々な区画:動脈血液、門脈血液、静脈血液、細胞外流体、細胞外基質、ならびに様々なタイプの細胞、例えば、肝実質細胞および非肝実質細胞、によって占有される各ボクセルの断片的な体積のうちの1つまたは複数を決定する。
【0195】
典型的なMR撮像において、取得される画像は、放射線科医がそれらを快適に見ることができ、それらを確実に読み取って自らの診断に達することができる十分に高い品質のものである。これは一般的に、数十秒あるいは数十分の走査時間が単一の画像を作成するために必要とされることを意味する。
【0196】
表示条件を満たしたMRI画像の作成を高速化するために技術が開発されている。これらの技術は、例えば、パラレル撮像、圧縮センシング、スパース撮像、および多くの他の技術を含む。これらの技術を使用して作成される画像は、例えば、本明細書に説明されるように患者の組織のボクセルの1つまたは複数の特性を決定するために、本開示の様々な非限定的な実施形態または態様において使用され得る。
【0197】
再び
図7を参照すると、いくつかの非限定的な実施形態または態様において、ステップ704で、より高速であるがより雑音の多い画像が、ほんの数秒または数十秒の取得時間を使用して作成され得る。故に、ボクセルごとに捕捉されるデータ(例えば、測定情報、2つ以上の時間点において測定される組織のボクセルのパラメータなど)は、人間の視覚観察者にとって、依然として不快であるか、または混乱を招き得る測定値内の何らかの雑音があるとしても、
図1の曲線Sの形状を、より良好に測定または近似することができる。
【0198】
いくつかの非限定的な実施形態または態様において、
図7のステップ706で、より雑音の多い画像(例えば、測定情報、2つ以上の時間点において測定される組織のボクセルのパラメータなど)の時間シーケンスは、予測モデル(例えば、人工ニューラルネットワーク、本明細書に説明されるような予測モデルなど)に供給され得、予測モデルは、2つ以上の時間点において測定される組織のボクセルのパラメータを含む測定情報に基づいて、2つ以上の時間点のうちの1つの時間点に対応する時間点および/もしくは時間期間における、ならびに/または2つ以上の時間点の後の(例えば、2つ以上の時間点の後に続くなど)時間点および/もしくは時間期間における1つまたは複数の特性(および/または、1つもしくは複数の特性を含むか、これを示す1つもしくは複数の画像)を予測するように、教師あり学習によって訓練されている。
【0199】
いくつかの非限定的な実施形態または態様において、
図7のステップ706で、より雑音の多い画像の時間シーケンスは、様々なモデルパラメータをデータ(例えば、2つ以上の時間点において測定される組織のボクセルのパラメータなど)にフィッティングするために使用され得る。いくつかの非限定的な実施形態または態様において、
図8のPK/PDモデルは、2つ以上の時間点において測定される組織のボクセルのパラメータ(例えば、ボクセルごとに測定される曲線など)にフィッティングされ得る。例えば、画像分析および演算システム614は、組織のボクセルのPK/PDモデルを、2つ以上の時間点において測定される組織のボクセルのパラメータにフィッティングし、2つ以上の時間点において測定される組織のボクセルのパラメータにフィッティングされたPK/PDモデルに基づいて、組織のボクセルの1つまたは複数の特性を決定し得る。例として、パラメータまたは必要な入力関数は、完全に肝動脈および門脈であるボクセルを使用して測定され得る。文献内で知られている多くの曲線フィッティング法が存在する。最小二乗曲線フィッティングは、単純であるが、必ずしも最も効率的または効果的な方法ではない。本開示の非限定的な実施形態または態様における使用に有利であり得るものは、肝臓灌流を測定する方式として単純な細胞外造影(K3~K6はゼロであることを意味する)について、RSNA 2018、コースRC629Cの間にDr.Nicole Seiberlichによって議論されたように、パラメータの離散集合の各々について事前計算され、データベースまたは辞書内に置かれる理想のPK/PD曲線のセットにおいて最良適合を見つけ出すために、比較、マッチング、またはフィンガープリンティングを用いる。ボクセルごとのPK/PDパラメータは、辞書検索により見つけ出され、対応する時間および任意の将来の時間点における画像は、ボクセルごとにPK/PD方程式を進展させ、濃度を信号強度へと変換することによって推測され得、例えば、腎臓、肝臓、および血液脳関門の細胞機能に対するある特定の結論を可能にする、薬物取り込み、分散、および排泄など、経時的なPK/PD尺度は、経時的に相対的または絶対的造影剤誘導組織強化から決定され得る。例えば、画像分析および演算システム614は、パラメータについて事前計算される複数の複数のPK/PD曲線のうちの1つのPK/PD曲線を、2つ以上の時間点において測定される組織のボクセルのパラメータにフィッティングし、2つ以上の時間点におけるパラメータにフィッティングされたPK/PD曲線に基づいて、組織のボクセルの1つまたは複数の特性を決定し得る。
【0200】
PK/PD分析においては、入力関数が一般的に使用される。例えば、入力関数は、画像内、例えば、肝臓に隣接する大動脈の画像内で測定され得る。米国特許出願第16/346,219号に説明されるように、造影剤の、数秒の長さの、迅速で短い点滴またはボーラスに続いて、ボーラスを腕を通じて中枢循環へ移動させるのに十分な生理食塩水を使用する、比較的狭い入力関数が好ましいと一般的に考えられており、この文献の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。この短い造影剤ボーラスの欠点は、造影剤ボーラスが、患者の中枢循環を通って移動する際に広がることであり、幅10~15秒のボーラスに広がる。更なる欠点は、ボーラス形状が主に患者に依存することである。代替的に、任意選択的に>15秒の、より長いボーラスが、米国特許第9,867,589号に説明されるように使用され得、この文献の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。より長いボーラスは、入力関数が、患者にあまり可変的に基づかず、むしろ注入持続時間によって決定されることを引き起こす。これは、モデル内で発生することが予期され得るパラメータの範囲を制限することにより、本明細書に説明されるいくつかのタイプの分析、モデリング、または曲線フィッティングにおいて好ましい場合がある。より長いボーラスの1つの欠点は、正常な動脈、門脈、または他の相画像が、時間の重複が理由で、利用可能ではないことであり得る。放射線科医に対して“標準”画像を提示することが望ましい場合、画像分析および演算システム614は、ボクセルごとにモデルの1つまたは複数の特性を分析し得、“標準画像”は、そのボクセルについてのモデルパラメータから構築され得る。このより長いボーラス手法は、検出器飽和またはパルスパイルアップおよびデッドスペース補正効果を回避するためにPET撮像において特に有益であり得る。造影レベルがより遅い速度で変化しており、タイミングがより良好に予測され得、患者の生理機能に応じてそれほど可変ではないことから、より少ないスキャンが撮られることを可能にすることによって、CTにとっても有益であり得る。問われている診断的疑問および査定されている特性に相応しい場合、Patlak分析などの簡略化されたPK/PDモデル、および/または他のそのようなモデルが使用される。
【0201】
別の非限定的な実施形態または態様において、曲線Sは、選択された基底関数のセット(例えば、多項式関数のセット、ラプラス関数のセット、フーリエ関数のセットなど)によって近似されるか、または曲線Sは、選択された基底関数のセットへと分解される。例えば、基底関数は、関数空間内のある特定の基底の要素である。ベクトル空間内の全ベクトルが基底ベクトルの線形結合として表され得るのと同じように、関数空間内の全連続関数は、基底関数の線形結合として表され得る。例として、画像分析および演算システム614は、基底関数のセットを用いて、組織のボクセルの1つまたは複数の特性を表す曲線を近似し、近似された曲線を、2つ以上の時間点において測定される組織のボクセルのパラメータにフィッティングし、2つ以上の時間点において測定される組織のボクセルのパラメータにフィッティングされた近似された曲線に基づいて、組織のボクセルの1つまたは複数の特性を決定し得る。参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる、H K.Thompsonらによる、“Indicator Transit Time Considered as a Gamma Variate”, Circulation Research, Volume XIV, June 1964,pp502-515の記事において説明されるように、時間曲線にわたる初回通過造影強化は、以下の方程式(1)に従ってガンマ変量曲線としてモデリングまたは近似され得、
C(t)=K(t-AT)a.*exp(-(t-AT)/b (1)
式中、t=注入後の時間、C(t)=時間における濃度、K=定数スケール係数、AT=出現時間、およびa,b=t>ATについての任意パラメータである。
【0202】
曲線Sは、A曲線の初回通過部分、V曲線の初回通過部分を表すために2つ以上のガンマ変量曲線によって、定常再循環および再分布を表すために任意選択的に第3のガンマ変量曲線、および1つの線形に増加する曲線C(t)=m(t-AT’)+nを用いて、近似され得、式中、mおよびnは、任意パラメータであり、AT’は、線形上昇の開始であり、tは、t>AT’についての注入後の時間である。しかしながら、非限定的な実施形態または態様は、モデリングのためにガンマ変量曲線を使用することに限定されず、基底関数の任意の他のセット(例えば、多項式関数のセット、ラプラス関数のセット、フーリエ関数のセットなど)がモデリングのために使用され得、任意の計算効率の良い曲線フィッティングプログラムが、測定された曲線 Sに対する最良適合パラメータを決定するために使用され得る。ボクセルごとの基底関数パラメータが、曲線フィッティングプロセスを通じて見つけ出されると、対応する時間および任意の時間点における画像は、ボクセルごとに方程式を進展または後退させて、所望される時間tについて濃度を信号強度へと変換することによって推測され得る。例えば、画像分析および演算システム614は、基底関数のセットを用いて1つまたは複数のパラメータについて事前計算される複数の曲線のうちの1つの曲線を、2つ以上の時間点において測定される組織のボクセルのパラメータにフィッティングし、2つ以上の時間点において測定される組織のボクセルのパラメータにフィッティングされた曲線に基づいて、組織のボクセルの1つまたは複数の特性を決定し得る。
【0203】
本明細書内の他の場所に説明されるように、より長い造影剤ボーラスまたは注入は、曲線Sがより遅い上昇および降下を有することを引き起こし得、このことが、モデル内で予期される基底関数パラメータに影響を及ぼすか、またはこれを制約し得るため、曲線フィッティング活動および/または結果として生じるモデルを、簡略化する、高速化する、またはその正確性を増大し得る。
【0204】
モデルまたはアルゴリズム、例えば、PK/PD、基底関数、AIまたは当該技術分野において当業者に知られる他のモデルが、ボクセルごとの2つ以上の時間点にフィッティングされると、画像が作成され得るか、または物理的状況において決して独立して測定されることがない情報が導出され得る。
図9の“白い肝臓”は、これの非限定的な例である。別の非限定的な実施形態または態様は、造影剤が門脈だけを通って肝臓に入ったのであり、門動脈を通って入らなかった、またはその逆であるかのように、経時的に肝臓を通って流れる造影剤を示すために作成される画像または画像のシーケンスである。同様に、より長いボーラスが実際には撮像プロトコル全体において使用されていたとしても、非常に高速または短いボーラスの使用により発生した画像が作成され得る。使用される実際の撮像プロトコルを考慮すると測定することが物理的に不可能であった画像を作成するこのような能力は、診断、微妙な差異もしくは健康状態、または疾病の治療に対する処置および応答における新たな理解をもたらし得る。これは、PK/PDパラメータ自体の現在行われる画像に加えて、例えば血液量通過または様々なKもしくは複合定数マップである。
【0205】
依然として
図7を参照すると、いくつかの非限定的な実施形態または態様において、ステップ708で、画像分析および演算システム614は、患者の組織のボクセルと関連付けられた1つもしくは複数の特性、および/または1つもしくは複数の画像患者の組織と関連付けられた1つもしくは複数の特性を分析して、動脈相強化(例えば、肝臓)と比較して、経時的に病変のウォッシュアウト(washout)についての絶対値を計算し得る。現在、病変のウォッシュアウトは通常、動脈相の後に続く造影相の間、周辺組織の強化を病変の強化と比較することによって、視覚的に査定される。しかしながら、これは、いくつかの造影剤(肝臓特異性薬剤Primovist(登録商標))が、病変(例えば、潜在的に転移または他の腫瘍)の部分を囲む、または病変の部分である肝細胞によって取り込まれ得ることから、誤った解釈のリスクを明るみにする。Primovist(登録商標)のこのような初期取り込みは、病変と周囲組織との間のより強いコントラストの錯覚を作り出し得、実際には何も存在しないときにウォッシュアウトとして誤って解釈され得る。これは、本開示の非限定的な実施形態または態様の、これらの態様の別個または別々の分解および/または可視化を可能にする分析を伴わない、誤診断のリスクを明るみにする。
【0206】
いくつかの非限定的な実施形態または態様において、検査領域は、哺乳動物(好ましくは、ヒト)の肝臓または肝臓の一部分を含む。いくつかの非限定的な実施形態または態様において、検査領域は、肺またはその一部分を含み得る。肺は、右心から非酸素化血液、また左心から酸素化血液の循環を受容する。加えて、肺は、気道を通じてガスを受容する。故に、肺は、静脈内、または気道を通じたガス状造影剤のいずれかで、造影剤を受容し得る。したがって、本開示の非限定的な実施形態または態様は、吸入造影剤、ならびにIV注入造影剤に当てはまり得る。加えて、大半の組織は、組織の細胞外空間を通る流体の循環のためにリンパ系(例えば、脳内のグリンパティック系)として作用する。本開示の非限定的な実施形態または態様は、このリンパ系およびグリンパティック系を通る造影剤の流れ、またはその欠如を含み得る。
【0207】
本明細書に説明される様々な非限定的な実施形態または態様において、様々な組織特性およびボクセルパラメータは、理解および開示のために列挙されている。これらは、例示的であり、限定的または徹底的なリストではないということを理解されたい。医術において知られる他の特性および/またはパラメータが使用され得る。加えて、研究中または今後発見される特性および/またはパラメータもまた、撮像研究および/または一連の研究からのデータの処理、撮像、および/または分析において、本開示の非限定的な実施形態または態様の適用から恩恵を受け得る。