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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-07
(45)【発行日】2024-08-16
(54)【発明の名称】シート材容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 30/16 20060101AFI20240808BHJP
   B31B 70/81 20170101ALI20240808BHJP
   B31B 160/20 20170101ALN20240808BHJP
   B31B 170/20 20170101ALN20240808BHJP
【FI】
B65D30/16 K
B31B70/81
B31B160:20
B31B170:20
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022519886
(86)(22)【出願日】2020-05-08
(86)【国際出願番号】 JP2020018701
(87)【国際公開番号】W WO2021224995
(87)【国際公開日】2021-11-11
【審査請求日】2023-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】大塚 貴博
(72)【発明者】
【氏名】大山 翼
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-525050(JP,A)
【文献】特開2019-172347(JP,A)
【文献】特開2018-144363(JP,A)
【文献】特開2007-118961(JP,A)
【文献】特開2006-027697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/16
B31B 70/81-70/84
B31B 160/20
B31B 170/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に積層された外側フィルム層と内側フィルム層とを有する本体構成シート材を含む1又は複数のシート材を備えて構成されているシート材容器を製造する方法であって、
前記シート材容器は、
内容物を収容する収容領域と、
前記本体構成シート材により構成されており、前記収容領域を包囲している容器本体と、
を備え、
前記本体構成シート材は、前記外側フィルム層と前記内側フィルム層との接合部である本体シール部と、前記外側フィルム層と前記内側フィルム層とが部分的に非接合とされた非接合部と、を有するとともに、前記非接合部における前記外側フィルム層と前記内側フィルム層との層間に充填材が封入されている充填部を有するものであり、
当該方法は、
前記収容領域に気体を導入させるとともに前記容器本体を膨らませる工程と、
前記容器本体が膨らんだ状態で、前記非接合部における前記外側フィルム層と前記内側フィルム層との層間に前記充填材を注入する工程と、
を備え
前記収容領域に気体を吹き込むことによって、前記容器本体を膨らませる工程を行い、
前記収容領域の内部を陽圧状態に保持させながら、前記充填材を注入する工程を行うシート材容器の製造方法。
【請求項2】
前記収容領域の内部の前記陽圧状態を解除した後で、前記充填部を封止する工程を行う請求項に記載のシート材容器の製造方法。
【請求項3】
相互に積層された外側フィルム層と内側フィルム層とを有する本体構成シート材を含む1又は複数のシート材を備えて構成されているシート材容器を製造する方法であって、
前記シート材容器は、
内容物を収容する収容領域と、
前記本体構成シート材により構成されており、前記収容領域を包囲している容器本体と、
を備え、
前記本体構成シート材は、前記外側フィルム層と前記内側フィルム層との接合部である本体シール部と、前記外側フィルム層と前記内側フィルム層とが部分的に非接合とされた非接合部と、を有するとともに、前記非接合部における前記外側フィルム層と前記内側フィルム層との層間に充填材が封入されている充填部を有するものであり、
当該方法は、
前記収容領域に気体を導入させるとともに前記容器本体を膨らませる工程と、
前記容器本体が膨らんだ状態で、前記非接合部における前記外側フィルム層と前記内側フィルム層との層間に前記充填材を注入する工程と、
を備え、
前記収容領域に気体を吹き込むことによって、前記容器本体を膨らませる工程を行い、
前記気体の流速を徐々に低下させながら前記収容領域に前記気体を吹き込むシート材容器の製造方法。
【請求項4】
相互に積層された外側フィルム層と内側フィルム層とを有する本体構成シート材を含む1又は複数のシート材を備えて構成されているシート材容器を製造する方法であって、
前記シート材容器は、
内容物を収容する収容領域と、
前記本体構成シート材により構成されており、前記収容領域を包囲している容器本体と、
を備え、
前記本体構成シート材は、前記外側フィルム層と前記内側フィルム層との接合部である本体シール部と、前記外側フィルム層と前記内側フィルム層とが部分的に非接合とされた非接合部と、を有するとともに、前記非接合部における前記外側フィルム層と前記内側フィルム層との層間に充填材が封入されている充填部を有するものであり、
当該方法は、
前記収容領域に気体を導入させるとともに前記容器本体を膨らませる工程と、
前記容器本体が膨らんだ状態で、前記非接合部における前記外側フィルム層と前記内側フィルム層との層間に前記充填材を注入する工程と、
を備え、
前記収容領域に気体を吹き込むことによって、前記容器本体を膨らませる工程を行い、
前記シート材容器は、前記収容領域から前記内容物を注出するための口部を有し、
前記容器本体を膨らませる工程は、前記口部を栓部材により塞ぎ、前記栓部材に設けられた気体供給口から前記収容領域に気体を吹き込むことによって行うシート材容器の製造方法。
【請求項5】
相互に積層された外側フィルム層と内側フィルム層とを有する本体構成シート材を含む1又は複数のシート材を備えて構成されているシート材容器を製造する方法であって、
前記シート材容器は、
内容物を収容する収容領域と、
前記本体構成シート材により構成されており、前記収容領域を包囲している容器本体と、
を備え、
前記本体構成シート材は、前記外側フィルム層と前記内側フィルム層との接合部である本体シール部と、前記外側フィルム層と前記内側フィルム層とが部分的に非接合とされた非接合部と、を有するとともに、前記非接合部における前記外側フィルム層と前記内側フィルム層との層間に充填材が封入されている充填部を有するものであり、
当該方法は、
前記収容領域に気体を導入させるとともに前記容器本体を膨らませる工程と、
前記容器本体が膨らんだ状態で、前記非接合部における前記外側フィルム層と前記内側フィルム層との層間に前記充填材を注入する工程と、
を備え、
前記充填材の流速を徐々に低下させながら、前記充填材を注入する工程を行うシート材容器の製造方法。
【請求項6】
相互に積層された外側フィルム層と内側フィルム層とを有する本体構成シート材を含む1又は複数のシート材を備えて構成されているシート材容器を製造する方法であって、
前記シート材容器は、
内容物を収容する収容領域と、
前記本体構成シート材により構成されており、前記収容領域を包囲している容器本体と、
を備え、
前記本体構成シート材は、前記外側フィルム層と前記内側フィルム層との接合部である本体シール部と、前記外側フィルム層と前記内側フィルム層とが部分的に非接合とされた非接合部と、を有するとともに、前記非接合部における前記外側フィルム層と前記内側フィルム層との層間に充填材が封入されている充填部を有するものであり、
当該方法は、
前記収容領域に気体を導入させるとともに前記容器本体を膨らませる工程と、
前記容器本体が膨らんだ状態で、前記非接合部における前記外側フィルム層と前記内側フィルム層との層間に前記充填材を注入する工程と、
を備え、
前記シート材容器は、前記1又は複数のシート材が折り曲げ線に沿って折り曲げられるとともに、少なくとも前記1又は複数のシート材のうち最内層のシート材の周縁部における一部分どうしが相互に接合されている周縁シール部を有し、
前記容器本体は、複数の面状部を備えているシート材容器の製造方法。
【請求項7】
前記周縁シール部の延在方向における一部分において、前記1又は複数のシート材の周縁部どうしが非接合となっている状態で、前記容器本体を膨らませる工程を行う請求項に記載のシート材容器の製造方法。
【請求項8】
前記複数の面状部には、互いに隣り合っている第1面状部と第2面状部とが含まれ、
前記充填部は、前記第1面状部と前記第2面状部との境界を介して前記第1面状部と前記第2面状部とに跨がって配置されている面間接続部を含む請求項又はに記載のシート材容器の製造方法。
【請求項9】
相互に積層された外側フィルム層と内側フィルム層とを有する本体構成シート材を含む1又は複数のシート材を備えて構成されているシート材容器を製造する方法であって、
前記シート材容器は、
内容物を収容する収容領域と、
前記本体構成シート材により構成されており、前記収容領域を包囲している容器本体と、
を備え、
前記本体構成シート材は、前記外側フィルム層と前記内側フィルム層との接合部である本体シール部と、前記外側フィルム層と前記内側フィルム層とが部分的に非接合とされた非接合部と、を有するとともに、前記非接合部における前記外側フィルム層と前記内側フィルム層との層間に充填材が封入されている充填部を有するものであり、
当該方法は、
前記収容領域に気体を導入させるとともに前記容器本体を膨らませる工程と、
前記容器本体が膨らんだ状態で、前記非接合部における前記外側フィルム層と前記内側フィルム層との層間に前記充填材を注入する工程と、
を備え、
前記シート材容器は、前記収容領域を画定している内袋を有し、
前記内袋は、前記1又は複数のシート材のうち最内層のシート材である内袋構成シート材により構成されており、
前記本体構成シート材は、前記内袋の外面と前記容器本体の内面との間隙に外気を取り込むための外気取込孔を有し、
前記容器本体を膨らませる工程の後で、前記外気取込孔を閉塞する工程を行い、
前記外気取込孔を閉塞した状態で、前記充填材を注入する工程を行うシート材容器の製造方法。
【請求項10】
前記シート材容器は内袋を備えておらず、前記容器本体によって前記収容領域が構成されている請求項1からのいずれか一項に記載のシート材容器の製造方法。
【請求項11】
前記充填材を注入する工程によって前記充填部に前記充填材が封入された状態で、前記収容領域に内容物を充填する工程を備える請求項1から10のいずれか一項に記載のシート材容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート材容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のフィルム層が積層され、その層間に空気などの充填材が封入されて充填部が形成されている構造のシート材容器を製造する方法は、例えば、特許文献1に記載されている。
先行技術文献
特許文献1 特表2016-525050号公報
【発明の概要】
【0003】
本発明は、相互に積層された外側フィルム層と内側フィルム層とを有する本体構成シート材を含む1又は複数のシート材を備えて構成されているシート材容器を製造する方法であって、前記シート材容器は、内容物を収容する収容領域と、前記本体構成シート材により構成されており、前記収容領域を包囲している容器本体と、を備え、前記本体構成シート材は、前記外側フィルム層と前記内側フィルム層との接合部である本体シール部と、前記外側フィルム層と前記内側フィルム層とが部分的に非接合とされた非接合部と、を有するとともに、前記非接合部における前記外側フィルム層と前記内側フィルム層との層間に充填材が封入されている充填部を有するものであり、当該方法は、前記収容領域に気体を導入させるとともに前記容器本体を膨らませる工程と、前記容器本体が膨らんだ状態で、前記非接合部における前記外側フィルム層と前記内側フィルム層との層間に前記充填材を注入する工程と、を備えるシート材容器の製造方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】本発明のシート材容器の製造方法で製造されるシート材容器の好ましい一実施形態を示す斜視図である。
図2図1に示すシート材容器の背面図である。
図3図1に示すシート材容器の平面図であり、キャップ部を外した状態を示す。
図4図1に示すシート材容器の底面図である。
図5図2のA-A線に沿った断面図である。
図6図1に示すシート材容器の側面図である。
図7】本体構成シート材の外側フィルム層と内側フィルム層とを示す分解斜視図である。
図8】内袋構成シート材と本体構成シート材とを示す分解斜視図である。
図9】相互に積層された内袋構成シート材と本体構成シート材とを有する容器構成シート材を示す平面図である。
図10】充填材を封入する前のシート材容器を示す平面図である。
図11】第1実施形態に係るシート材容器の製造方法を説明するための図であり、容器本体を膨らませる工程を行う前の状態を示す。
図12】第1実施形態に係るシート材容器の製造方法を説明するための図であり、容器本体を膨らませる工程を行った状態を示す。
図13】第1実施形態に係るシート材容器の製造方法を説明するための図であり、充填材を注入する工程を行った状態を示す。
図14図14(a)及び図14(b)は第2実施形態に係るシート材容器の製造方法を説明するための図であり、このうち図14(a)は容器本体を膨らませる工程の後で外気取込孔を閉塞する工程を行った状態を示し、図14(b)は外気取込孔を閉塞した状態で充填材を注入する工程を行った状態を示す。
図15図15(a)及び図15(b)は第3実施形態に係るシート材容器の製造方法を説明するための図であり、このうち図15(a)は容器本体を膨らませる工程の後で外気取込孔を介してバキュームする工程を行う状態を示し、図15(b)は充填材を注入する工程を行った状態を示す。
【発明の詳細な説明】
【0005】
本願発明者の検討によれば、特許文献1に記載の製造方法では、充填部への充填材の充填性に関して改善の余地がある。
【0006】
本発明は、充填部への充填材の充填性が良好となるシート材容器の製造方法に関する。
【0007】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜に省略する。
【0008】
〔第1実施形態〕
先ず、図1から図13を用いて第1実施形態を説明する。
本実施形態に係るシート材容器の製造方法は、相互に積層された外側フィルム層22と内側フィルム層23とを有する本体構成シート材21を含む1又は複数のシート材を備えて構成されているシート材容器100を製造する方法である。
シート材容器100は、内容物18(図2)を収容する収容領域17と、本体構成シート材21により構成されており、収容領域17を包囲している容器本体20と、を備えている。
本体構成シート材21は、外側フィルム層22と内側フィルム層23との接合部である本体シール部26と、外側フィルム層22と内側フィルム層23とが部分的に非接合とされた非接合部24と、を有するとともに、非接合部24における外側フィルム層22と内側フィルム層23との層間に充填材が封入されている充填部60を有するものである。
当該方法は、収容領域17に気体を導入させるとともに容器本体20を膨らませる工程(図12参照)と、容器本体20が膨らんだ状態で、非接合部24における外側フィルム層22と内側フィルム層23との層間に充填材を注入する工程(図13参照)と、を備える。
【0009】
本実施形態によれば、収容領域17に気体を導入させるとともに容器本体20を膨らませる工程を行うことによって容器本体20が膨らんだ状態で、非接合部24における外側フィルム層22と内側フィルム層23との層間に充填材を注入する工程を行う。これにより、充填材の充填の際における非接合部24の閉塞を抑制できることから、充填材の注入を容易に行うことができる。しかも、収容領域17に十分な量の内容物18を充填することも可能となる。
【0010】
本発明において、内容物18の種類は、特に限定されない。内容物18としては、例えば、シャンプー、リンス、ボディーソープ、洗剤、漂白剤、柔軟剤、飲料、食品の他に、エンジンオイル、化学薬品などが挙げられる。
また、内容物18は、液体(ペースト状のものを含む)であっても良いし、固体(例えば、粒状のもの(顆粒状のものを含む)、或いは粉状のものなど)であっても良い。
本実施形態の場合、内容物18は、例えば、液体である。
内容物18が液体の場合には、内容物18の粘度は、例えば30℃において好ましくは1mPa・s以上12万mPa・s以下(B型粘度計で測定。例えば東機産業社製ビスコメーターTV-10又はビスコメーターTVB-10等で測定)であり、より好ましくは1mPa・s以上6万mPa・s以下である。
【0011】
充填部60に封入されている充填材は、流体(気体または液体)、固体(例えば粉粒体、樹脂ペレット等)または半固体(例えば発泡剤等)とすることができ、空気などの気体であることが好ましい。
【0012】
以下、本実施形態により製造されるシート材容器100の構造の一例について、図1から図10を用いて説明する。
本実施形態の場合、シート材容器100は、底部としての底マチ13(図2図4)を有しており、底マチ13が水平な載置面に載置された状態で自立可能となっている。
【0013】
本実施形態において、シート材容器100の各構成要素の位置関係(上下関係等)の説明は、特に断りのない場合は、シート材容器100を図1及び図2のように自立させた状態での位置関係を説明したものである。ただし、これらの説明における位置関係は、シート材容器100の使用時や製造時の位置関係とは必ずしも一致しない。
また、シート材容器100の各構成要素の位置関係について、各図に示される位置関係を説明する場合もある。
シート材容器100の正面側(図2における紙面の奥側)を前方、シート材容器100の背面側(図2における紙面の手前側)を後方といい、シート材容器100の正面に向かって左側(図2における右側)を左方、シート材容器100の正面に向かって右側(図2における左側)を右方という。また、シート材容器100の左右方向を横幅方向という場合がある。
【0014】
本実施形態の場合、容器本体20は、胴部11と、胴部11の上側に配置されている天マチ14と、胴部11の下側に配置されている底マチ13と、を有する袋状に形成されている。ただし、本発明は、この例に限らず、容器本体20は、天マチ14を有していなくてもよく、また、底マチ13を有していなくてもよい。
容器本体20は、収容領域17を包囲している(本実施形態の場合、内袋40を包囲している)。容器本体20はシート材容器100の外殻を構成している。以下では、容器本体20の胴部11、天マチ14及び底マチ13のことを、シート材容器100の胴部11、天マチ14及び底マチ13と称する場合がある。
【0015】
胴部11の正面形状は、特に限定されないが、本実施形態の場合、例えば、図2に示すように、横幅寸法が略一定の縦長形状となっており、胴部11の上縁は上方に向けて凸の弧状に形成されている。
図5に示すように、胴部11は、収容領域17を間に挟んで互いに対向している第1主面部20a(前側のパネル)及び第2主面部20b(後側のパネル)を有する。第1主面部20aは正面側に位置しており、第2主面部20bは背面側に位置している(図1から図3も参照)。
第1主面部20aは、例えば、左右対称に形成されており、第2主面部20bも、例えば、左右対称に形成されている。また、第1主面部20aと第2主面部20bとは、例えば、充填部60の後述する面間接続部65を除き、前後対称に形成されている。
第1主面部20aは、前方に向けて凸に膨出しており、第2主面部20bは、後方に向けて凸に膨出している。
容器本体20は、本体構成シート材21(図7図8参照)を折り曲げて当該本体構成シート材21の周縁部どうしを相互に接合(本実施形態の場合、内袋40を構成する内袋構成シート材41を介して相互に接合)することによって構成されている。
【0016】
天マチ14の平面形状は、特に限定されないが、本実施形態の場合、天マチ14は、図3に示すように、横幅方向における中央部から左方に向かうにつれて前後幅が縮小するとともに、横幅方向における中央部から右方に向かうにつれて前後幅が縮小する形状に形成されている。天マチ14は、例えば、横長の扁桃形状に形成されている。
【0017】
容器本体20は、天マチ14の周縁に沿って配置されているマチ部周縁シール片45と、胴部11の左右の縁辺部に沿ってそれぞれ上下に延在している側部シール片46と、を備えている。マチ部周縁シール片45及び側部シール片46は、例えば、容器本体20の外方に向けて起立している。
【0018】
マチ部周縁シール片45は、例えば、後述する面間接続部65が存在する部位を除き、天マチ14を周回状に取り囲んでいる。
マチ部周縁シール片45には、マチ部(天マチ14)と第1主面部20aとの境界に沿って配置されている第1面状部側シール片45aと、マチ部と第2主面部20bとの境界に沿って配置されている第2面状部側シール片45bと、が含まれている。
【0019】
本実施形態の場合、内袋40は、内袋構成シート材41(図8参照)の周縁部における一部分どうしを相互に接合することにより構成されている(図5参照)。すなわち、内袋構成シート材41を折り曲げて当該内袋構成シート材41の周縁部どうしを相互に接合することによって、袋状の内袋40が構成されている。内袋40は、容器本体20によって覆われている。内袋40は、当該内袋40の内部に収容領域17を有する。
このように、シート材容器100は、収容領域17を画定している内袋40を有し、内袋40は、上記1又は複数のシート材のうち最内層のシート材である内袋構成シート材41により構成されている。
【0020】
内袋40の形状は、特に限定されないが、本実施形態の場合、内袋40は容器本体20と同様の形状に形成されている。
図5に示すように、内袋40は、収容領域17を間に挟んで正面側に位置する第1主面部40aと背面側に位置する第2主面部40bとを有する。
【0021】
シート材容器100は、例えば、天マチ14を貫通して設けられているスパウト部材15と、スパウト部材15に装着(例えば着脱可能に装着)されているキャップ部70と、を備えている。
より詳細には、スパウト部材15は、例えば、図2及び図3に示すように、内容物18を通過させる円筒状の注出筒部15aと、注出筒部15aの軸方向における一端(下端)において当該軸方向に対して直交する配置で設けられている板状の板状部15bと、を一体に備えて構成されている。注出筒部15aの外周面にはねじ山が形成されており、注出筒部15aは雄ねじ形状となっている。注出筒部15aは、天マチ14を上下に貫通しており、天マチ14から上方に突出している。
板状部15bは、注出筒部15aの下端から周囲に向けてフランジ状に張り出している。板状部15bの平面形状は特に限定されないが、例えば、略正方形状であることが挙げられる(図3)。
板状部15bは、例えば、内袋構成シート材41において、胴部11の天マチ14に沿って配置されている部分の内面又は外面に設けられている。板状部15bは、例えば、天マチ14において内袋構成シート材41の内面(下面)に対して接合されている。このため、板状部15bは、内袋構成シート材41を介して、本体構成シート材21に接合されている。ただし、本発明は、この例に限らず、板状部15bは、本体構成シート材21の内側フィルム層23に対して直接接合されていてもよい。板状部15bと内袋構成シート材41との接合部は、平面視において、注出筒部15aの周囲を周回状に取り囲んでいる。板状部15bと内袋構成シート材41との接合部は、例えば、挿通穴21aの周囲に位置する円環状の本体シール部26(図8参照)と重なる範囲に形成されている。
注出筒部15aの先端の開口15cが、収容領域17から内容物18を吐出する吐出口である。板状部15bには、注出筒部15aの内空と同軸に開口15dが形成されている。収容領域17内の内容物18は、開口15d及び開口15cを通して外部に吐出される。
このように、第2面状部(天マチ14)には、収容領域17から内容物18を吐出する吐出口(開口15c)が設けられている。
更に、第2面状部(天マチ14)には、吐出口(開口15c)と連通する開口(開口15d)を有する板状部15bが設けられており、板状部15bに対して、上記1又は複数のシート材が接合されている。
【0022】
キャップ部70は、例えば、注出筒部15aに対して着脱可能に螺合している雌ねじ形状の筒状部である装着部71と、装着部71に固定されているポンプ部72と、ポンプ部72から下方に延出しているディップチューブ77と、ポンプ部72に対して昇降可能にポンプ部72に保持されているヘッド部73と、を備えている。
ヘッド部73は、例えば、ポンプ部72から上方に突出している支持筒部74と、当該ヘッド部73の上端部から水平に突出しているノズル部75と、を有し、ノズル部75の先端には内容物18を吐出する吐出口76が形成されている。
キャップ部70内における内容物18の流路(不図示)が、開口15d及び開口15cを上下に貫通して配置されている。
ヘッド部73がポンプ部72に対して押し込まれる(押下される)と、ポンプ部72の働きによって内容物18が吐出口76から吐出されるようになっている。
【0023】
本実施形態の場合、充填部60は、図1図6に示すように、例えば、第1主面部20aの周縁部に沿って周回状に形成されている第1充填部61と、第2主面部20bの周縁部に沿って周回状に形成されている第2充填部62と、底マチ13の周縁部に沿って周回状に形成されている第3充填部63(図4)と、天マチ14において注出筒部15aの周囲に周回状に形成されている第4充填部64(図3)と、を含んでいる。
第1充填部61の下縁は第3充填部63の前縁と繋がっており、第2充填部62の下縁は第3充填部63の後縁と繋がっており、第1充填部61の上端部の横幅方向における中央部は第4充填部64の前端部の横幅方向における中央部と繋がっている。
シート材容器100は、このような構造の充填部60を備えていることによって、容器本体20のほぼ全体に亘って、構造的強度が十分に確保されている。
本実施形態の場合、充填部60の全体が一繋がりに形成されている。
なお、本発明において、シート材容器100は、互いに独立した複数の充填部60を備えていても良い。
【0024】
ここで、第1充填部61と第4充填部64との接続部、第1充填部61と第3充填部63との接続部、及び、第2充填部62と第3充填部63との接続部は、それぞれ面間接続部65である。
【0025】
本実施形態の場合、容器本体20は、胴部11と天部(天マチ14)とを有し、胴部11の一方の主面部(第1主面部20a)が第1面状部であり、天部が第2面状部である。
そして、充填部60は、主面部(第1主面部20a)の周縁部に沿って形成されている第1充填部61と、天部(天マチ14)における吐出口の周囲に形成されている第4充填部64と、を有し、第1充填部61と第4充填部64とが、面間接続部65を介して繋がっている。
しかも、本実施形態の場合、容器本体20は、胴部11と底部(底マチ13)とを有し、胴部11の一方の主面部(第1主面部20a)が第1面状部であり、底部(底マチ13)も第2面状部である。
そして、充填部60は、主面部の周縁部(第1主面部20a)に沿って形成されている第1充填部61と、底部(底マチ13)の周縁部に沿って形成されている第3充填部63とを有し、第1充填部61と第3充填部63とが、面間接続部65を介して繋がっている。
更に、本実施形態の場合、胴部11の他方の主面部(第2主面部20b)と底部(底マチ13)も、第1面状部と第2面状部の関係にある。
このように、容器本体20が有する複数の面状部には、互いに隣り合っている第1面状部と第2面状部とが含まれ、充填部60は、第1面状部と第2面状部との境界を介して第1面状部と第2面状部とに跨がって配置されている面間接続部65を含む。
【0026】
図7及び図8に示すように、本体構成シート材21は、容器本体20の外面側を構成する外側フィルム層22と、容器本体20の内面側を構成する内側フィルム層23と、を相互に積層及び接合することにより構成されている。すなわち、一例として、本実施形態の場合、本体構成シート材21は、外側フィルム層22と内側フィルム層23との2層のフィルム層により構成されている。ただし、本発明は、この例に限らず、本体構成シート材21は、外側フィルム層22及び内側フィルム層23以外のフィルム層を有していても良い。
本実施形態の場合、外側フィルム層22と内側フィルム層23とは互いに同形状に形成されている。ただし、本発明は、この例に限らず、外側フィルム層22と内側フィルム層23とは互いに異形状であっても良い。異形状の場合は、外側フィルム層22は内側フィルム層23よりも大きい形状であることが好ましい。
外側フィルム層22及び内側フィルム層23には、スパウト部材15の注出筒部15aが挿通される挿通孔が形成されている。
【0027】
本体構成シート材21には、外側フィルム層22と内側フィルム層23とが部分的に非接合とされた非接合部24(図8)が形成されている。例えば、外側フィルム層22又は内側フィルム層23の一方または両方において、他方に対して対向する面には、部分的に非接合処理が施されている。非接合処理は、非接合剤(いわゆる糊殺し剤)を塗布して糊殺し状態とすることによって、容易に形成することができる。糊殺し剤としては、外側フィルム層22と内側フィルム層23との接合を抑制できるものであれば、いかなるものも使用することができる。糊殺し剤としては、例えば、オフセット印刷、フレキソ印刷、レタープレス印刷(凸版印刷)のそれぞれに使用する印刷用インキ、メジウムインキ、糊殺し専用インキ等を好ましく用いることができる。また、熱硬化型や紫外線硬化型のインキを好ましく用いることができる。非接合処理が施された範囲が非接合部24となる。非接合部24に充填材が封入されることによって、充填部60が形成されるようになっている。
充填部60は、必ずしも非接合部24の全部に形成されていることに限定されず、複数ある非接合部24の一部に形成されていてもよい。
図7では、外側フィルム層22及び内側フィルム層23の各々において、相互に接合されて本体シール部26となる領域には、便宜的に右上がりのハッチングを付している。
図8及び図9では、本体構成シート材21において、非接合部24を画定するために外側フィルム層22と内側フィルム層23とが相互に接合されている領域、すなわち本体シール部26の形成領域には、便宜的に右上がりのハッチングを付している。
更に、図8では、本体構成シート材21の周縁部のシール領域と、それ以外の領域と、の境界線であるシール境界線21cを二点鎖線で示している。本実施形態の場合、本体構成シート材21のシール境界線21cよりも外側の領域においては、製袋の際に、外側フィルム層22と内側フィルム層23とが相互に接合されるとともに、内側フィルム層23と内袋構成シート材41とが相互に接合される。
外側フィルム層22と内側フィルム層23との接合の手法としては、一例として、ヒートシール、超音波シール、接着剤による接合等を用いることができる。
【0028】
更に、図2図7図8及び図9に示すように、本体構成シート材21の外側フィルム層22及び内側フィルム層23には、容器本体20と内袋40との間に空気(外気)を取り込むための外気取込孔96、97が形成されている。外気取込孔96は外側フィルム層22に形成されており、外気取込孔97は内側フィルム層23に形成されており、外気取込孔96と外気取込孔97とは、例えば互いに異なる位置に配置されている。一例として、図2に示すように、外気取込孔96は、容器本体20の第2主面部20bの下部に配置されており、外気取込孔97は、容器本体20の第2主面部20bの上部に配置されている。
このように、シート材容器100は、収容領域17を画定している内袋40を有し、内袋40が容器本体20に覆われている構造であるとともに、本体構成シート材21は、内袋40の外面と容器本体20の内面との間隙に外気を取り込むための外気取込孔96、97を有する。
【0029】
本実施形態の場合、外側フィルム層22及び内側フィルム層23の各々は、複数の樹脂層を含む層構造をなしている。また、内袋構成シート材41も、複数の樹脂層を含む層構造をなしている。
【0030】
本体構成シート材21は、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリエステル系又はポリアミド系のいずれか1種の樹脂層を含んでいることが好ましい。
本体構成シート材21の外側フィルム層22及び内側フィルム層23を構成する樹脂層の材料は、特に限定されないが、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)などのポリエチレン系材料、または延伸ポリプロピレン(OPP)、未延伸ポリプロピレン(CPP)、アイソタクチックPP、シンジオタクチックPP、アタクチックPP、ランダムPP、ブロックPPなどのポリプロピレン系材料、またはポリエチレンテレフタレート(PET)、非晶性ポリエチレンテレフタレート(非晶性PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)などのポリエステル系材料、または延伸ナイロン(ONy)、未延伸ナイロン(CNy)、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、MXD6などのポリアミド系材料のいずれかであるのがより好ましく、これらのうち上記ポリエチレン系材料であるのが特に好ましい。
【0031】
外側フィルム層22は、一例として、第1層、第2層、第3層及び第4層の4つの樹脂層をこの順に積層することにより構成された4層構造をなしている。
このうち第1層は、容器本体20の外面を構成する。第1層は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)または延伸ナイロン(ONy)により構成されている。第1層の主な機能としては、容器本体20に光沢感及び印刷適性をもたらすとともに容器本体20の剛性を確保することが挙げられる。
第2層は、例えば、当該第2層における第1層側の面にシリカ及び/又はアルミナが蒸着されたポリエチレンテレフタレートにより構成された透明蒸着PETの層である。第2層の主な機能としては、容器本体20にガスバリア性をもたらすことが挙げられる。
第3層は、例えば、延伸ナイロンにより構成されている。第3層の主な機能としては、容器本体20の耐ピンホール性を確保することが挙げられる。
第4層は、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)により構成されている。第4層の主な機能としては、内側フィルム層23とのヒートシール性を確保することが挙げられる。
【0032】
内側フィルム層23の層構造としては、外側フィルム層22の第1層から第4層と同様の層構造に加えて、例えば直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)により構成されている第5層を備える構造が挙げられる。第5層は、第1層と隣接した層であり、内側フィルム層23における第4層とは反対側の面を構成している。第5層の主な機能としては、外側フィルム層22とのヒートシール性を確保することが挙げられる。
内側フィルム層23の第4層の主な機能としては、内袋構成シート材41とのヒートシール性を確保することが挙げられる。
ただし、外側フィルム層22及び内側フィルム層23の層構造は、上記の例に限らず、また、外側フィルム層22及び内側フィルム層23を構成する各層の材料は、上記の例に限らない。
【0033】
内袋40を構成する内袋構成シート材41は、一例として、第1層、第2層及び第3層をこの順に積層することにより構成された3層構造をなしている。
このうち第1層は、例えば、直鎖状低密度ポリエチレンにより構成されている。第1層の主な機能としては、本体構成シート材21とのヒートシール性(内側フィルム層23とのヒートシール性)を確保することが挙げられる。
第2層は、例えば、当該第2層における第1層側の面にシリカ及び/又はアルミナが蒸着された延伸ナイロンにより構成された透明蒸着延伸ナイロンの層である。第2層の主な機能としては、ガスバリア性及び耐ピンホール性を確保することが挙げられる。
第3層は、例えば、直鎖状低密度ポリエチレンにより構成されている。第3層の主な機能としては、内袋構成シート材41どうしのヒートシール性を確保することが挙げられる。
なお、内袋構成シート材41の層構造は、ここで説明した構造に限らない。
【0034】
図8及び図9に示すように本体構成シート材21に内袋構成シート材41が積層され、図9に示すように内側フィルム層23の周縁部と内袋構成シート材41の周縁部とが相互に接合されるとともに、外側フィルム層22の周縁部と内側フィルム層23の周縁部とが相互に接合されている。これにより、本体構成シート材21と内袋構成シート材41とにより容器構成シート材51が構成されている。
ここで、容器構成シート材51の周縁部のシール部を周縁シール部52と称する。周縁シール部52は、内側フィルム層23の周縁部と内袋構成シート材41の周縁部とのシール部(以下、内外シール部43)と、外側フィルム層22の周縁部と内側フィルム層23の周縁部とのシール部(以下、本体周縁シール部28)と、を含む。
図9において、周縁シール部52の形成領域には、左上がりのハッチングを付している。また、図9において、周縁シール部52の形成領域と本体シール部26の形成領域とが重複している領域では、左上がりのハッチングと右上がりのハッチングとが重なっている。
周縁シール部52を形成する手法としては、一例として、ヒートシール、超音波シール、接着剤による接合等を用いることができる。
【0035】
図9に示すように、本体構成シート材21は、例えば、第1主面部20aを構成する部分である第1シート部31と、第2主面部20bを構成する部分である第2シート部32と、底マチ13を構成する部分である底マチ構成シート部38と、天マチ14を構成する部分である天マチ構成シート部39と、チューブ状の延出部25と、を有する。延出部25は、例えば、第2シート部32から外方に延出している。
天マチ構成シート部39には、スパウト部材15の注出筒部15aが挿通される挿通穴21aが形成されている。
本実施形態の場合、非接合部24は、シート材容器100の充填部60の形状と対応する形状に形成されている。
【0036】
非接合部24において、第4充填部64となる部分24bは、例えば、図9に示すように、挿通穴21aを囲む周回状に形成されている。より詳細には、例えば、部分24bの外縁(外形線)は、天マチ構成シート部39の外形線よりも一回り小さい形状となっており、部分24bの内縁は、挿通穴21aよりも一回り大きい円形となっている。
【0037】
本実施形態の場合、内袋構成シート材41は、本体構成シート材21における延出部25を除く部分と同形状に形成されている。
なお、図8では、内袋構成シート材41のシール境界線41aを便宜的に二点鎖線で示している。シール境界線41aは、内袋構成シート材41が本体構成シート材21と接合(シール)される領域と内袋構成シート材41における他の領域との境界線であるとともに、容器構成シート材51を用いてシート材容器100が形成される際に内袋構成シート材41どうしが接合される領域と内袋構成シート材41における他の領域との境界線である。
本実施形態の場合、シール境界線41aの位置とシール境界線21cの位置とは互いに対応している(互いに重なっている)。
【0038】
内袋構成シート材41において天マチ構成シート部39と重なる部分には、スパウト部材15の注出筒部15aが挿通される挿通穴41bが形成されている。
スパウト部材15の板状部15bは、例えば、内袋構成シート材41において天マチ構成シート部39と重なっている部分の内面に対して接合されている。注出筒部15aは、内袋構成シート材41の挿通穴41b及び天マチ構成シート部39の挿通穴21aを通してこれらシートの外面側に突出している。
【0039】
容器構成シート材51が、図9に示す折り曲げ線81、折り曲げ線82及び折り曲げ線84においてそれぞれ谷折りされるとともに、折り曲げ線83及び折り曲げ線85においてそれぞれ山折りされた状態で、容器構成シート材51の周縁部どうし(内袋構成シート材41どうし)が接合されることによって、容器構成シート材51が二重構造の袋状に形成される。ここで、谷折りとは、図9における奥側に向けて凸の折り曲げ方であり、山折りとは、図9における手前側に向けて凸の折り曲げ方である。
すなわち、内袋構成シート材41の縁部どうしが接合されて内袋シール部42(図1参照)が形成されることにより、内袋構成シート材41によって内袋40が形成されるとともに、内袋40を覆う袋状の容器本体20が形成される。
内袋構成シート材41どうしの接合の手法としては、一例として、ヒートシール、超音波シール、接着剤による接合等を用いることができる。
本実施形態の場合、本体周縁シール部28、内袋シール部42及び内外シール部43は、互いに対応する位置(互いに重なる位置)に配置されている。本体周縁シール部28、内袋シール部42及び内外シール部43の総称を周縁シール部19とする(周縁シール部19は、本体周縁シール部28、内袋シール部42及び内外シール部43を含む)。
このため、本実施形態の場合、マチ部周縁シール片45並びに側部シール片46の各々は、本体周縁シール部28、内袋シール部42及び内外シール部43を含んで構成されている。
ただし、本発明は、この例に限らず、マチ部周縁シール片45並びに側部シール片46は、本体周縁シール部28のみにより構成されていてもよい。
【0040】
第1シート部31において、折り曲げ線85よりも天マチ構成シート部39側の部分は、第1重複部31aである。第1重複部31aは、非接合部24に充填材が充填される前の状態では、天マチ構成シート部39における一方の半部と重なって配置されている。
第2シート部32において、折り曲げ線86よりも底マチ構成シート部38から遠い側に位置する部分は、第2重複部32aである。第2重複部32aは、非接合部24に充填材が充填される前の状態では、天マチ構成シート部39における他方の半部と重なって配置されている。
【0041】
こうして、図10に示すように、容器構成シート材51が二重の袋状に形成され、シート材容器100が得られる。図10に示す状態では、収容領域17が未だ膨らんでいないとともに、充填部60に充填材が充填されていないため、シート材容器100は、扁平な形状となっている。
このように、シート材容器100は、1又は複数のシート材が折り曲げ線81~86に沿って折り曲げられるとともに、少なくとも1又は複数のシート材のうち最内層のシート材(内袋構成シート材41)の周縁部における一部分どうしが相互に接合されている周縁シール部19を有し、容器本体20は、複数の面状部を備えている。本実施形態の場合、容器本体20は、第1主面部20a、第2主面部20b、天マチ14及び底マチ13の4つの面状部を備えている。
シート材容器100は、例えば、延出部25に形成されている注入口25a(図10)から非接合部24に充填材が注入され、その後、延出部25の基端側に連接する部位において非接合部24が封止される。これにより、非接合部24(充填部60)に充填材が封入される。
なお、充填部60の内部における圧力は、特に限定されないが、大気圧よりも高圧であることが好ましく、例えば、10kPa以上500kPa以下(ゲージ圧)とすることができる。
充填部60に充填材が封入された後、例えば、延出部25は切除される。
こうして、充填部60に充填材が封入されたシート材容器100(図1図6参照)が得られる。ただし、充填材が封入されたシート材容器100の状態でも延出部25が切除されずに残留していてもよい。
【0042】
シート材容器100の作製後、スパウト部材15の注出筒部15aを通して収容領域17に内容物18を充填した後で、スパウト部材15にキャップ部70が装着されることによって、収容領域17に内容物18が封入されたシート材容器100が得られる。
【0043】
以下、図11から図13を用いて、充填部60に充填材を注入する工程について、より詳細に説明する。なお、図11図13においては、シート材容器100について、側方(左方)から視た構造を示している。
【0044】
先ず、シート材容器100を図11に示す製造装置にセットする。
この製造装置は、例えば、気体(例えば空気)を供給するガス供給源420と、ガス供給源420から収容領域17(図5参照)に気体を供給するための第1ガス供給配管421と、を備えている。第1ガス供給配管421には、例えば、ガス供給源420の近傍に位置する第1レギュレータ422と、第1レギュレータ422の下流側に位置する第1スイッチ弁461と、第1スイッチ弁461の下流側に位置する第1スピードコントローラ462(流速制御弁)と、スパウト部材15の先端部を閉塞する栓部材430と、第1レギュレータ422とガス供給源420との間に位置する第1バルブ424と、が設けられている。栓部材430は、スパウト部材15の先端を閉塞するキャップ部材であってもよいし、ゴム栓であってもよいし、パッキンであってもよい。第1ガス供給配管421の先端部は、栓部材430を貫通しているとともに栓部材430によって保持されており、スパウト部材15の注出筒部15aの内部又は収容領域17の内部に挿入されるようになっている。第1ガス供給配管421の先端は、収容領域17に気体を供給する気体供給口467となっている。すなわち、気体供給口467は、栓部材430に設けられている。第1ガス供給配管421は、例えば、栓部材430の近傍において分岐している第1分岐管421aを有しており、第1分岐管421aには、第1圧力計423が設けられている。なお、第1ガス供給配管421における各構成要素の配置の順番は、上記の例に限らず、後述するような動作を実現できれば、その他の順番でもよい。
この製造装置は、更に、例えば、ガス供給源420から充填部60内に気体を供給するための第2ガス供給配管425と、スパウト部材15の注出筒部15aを保持する保持部材440と、延出部25を挟持する第1保持ブロック452及び第2保持ブロック453と、を備えている。第2ガス供給配管425には、例えば、第2レギュレータ426と、第2レギュレータ426の下流側に位置する第2スイッチ弁463と、第2スイッチ弁463の下流側に位置する第2スピードコントローラ464(流速制御弁)と、第2レギュレータ426とガス供給源420との間に位置する第2バルブ427と、が設けられている。第2ガス供給配管425の先端部425aは、例えば、第1保持ブロック452内に埋設されている。第2ガス供給配管425は、例えば、第1保持ブロック452の近傍において分岐している第2分岐管425bを有しており、第2分岐管425bには、第2圧力計465が設けられている。なお、第2ガス供給配管425における各構成要素の配置の順番は、上記の例に限らず、後述するような動作を実現できれば、その他の順番でもよい。
【0045】
保持部材440によってスパウト部材15の注出筒部15aを保持するとともに、第1保持ブロック452と第2保持ブロック453とにより延出部25を挟持し、栓部材430をスパウト部材15に装着することによって、シート材容器100が製造装置にセットされる。
この状態で、スパウト部材15の先端部は、栓部材430により閉塞されている。また、第2ガス供給配管425の先端部425aの先端は、延出部25の注入口25aと対応する位置に配置されている。
【0046】
シート材容器100を製造装置にセットしたら、収容領域17に気体を導入させるとともに容器本体20を膨らませる工程(図12参照)と、容器本体20が膨らんだ状態で非接合部24における外側フィルム層22と内側フィルム層23との層間に充填材を注入する工程(図13参照)と、を行う。
本実施形態におけるシート材容器100は、図10に示すように、折り曲げ線81~86に沿って折り曲げられた状態になっている。この状態で充填材を充填しようとした場合、非接合部24における折り曲げ線81、82、84と交差する部分(面間接続部65)や、非接合部24における折り曲げ線83と交差する部分が閉塞しやすくなり、充填材がスムーズに流通しない可能性が生じる。これに対し、本実施形態のように容器本体20を膨らませる工程を備え、容器本体20が膨らんだ状態で充填材を注入することで、充填材の充填の際における非接合部24の閉塞(面間接続部65の閉塞)を抑制できることから、充填材の注入を容易に行うことができる。しかも、収容領域17に十分な量の内容物18を充填することも可能となるとともに、収容領域17の容積(満量容積)の再現性が良好となる。
ここで、容器本体20が膨らんだ状態とは、シート材容器100が折り曲げられていて収容領域17内には実質的に気体が存在しない状態(図10)とは異なり、収容領域17内に気体がある程度導入されている状態であり、容器本体20が膨らんだ状態における収容領域17内の圧力は、陽圧状態でも大気圧状態でも構わない。
特に、本実施形態のように内袋40を有するシート材容器100においては、収容領域17に気体を導入させるとともに容器本体20を膨らませる工程を有しているので、内袋40に内容物18を充填した際に、内袋40に形成されるシワが軽減され、外観が良好となる。
【0047】
より詳細には、例えば、製造装置の稼働時には第1バルブ424は常時開状態となっており、第1スイッチ弁461を開くことによって、ガス供給源420から気体を収容領域17内に供給し、図12に示すように、容器本体20を膨らませることができる。すなわち、本実施形態の場合、収容領域17に気体を吹き込むことによって、容器本体20を膨らませる工程を行う。
容器本体20を膨らませることによって、図11に示すように第1主面部20aを構成する部分である第1シート部31と第2主面部20bを構成する部分である第2シート部32とが近接した状態から、図12に示すように第1シート部31と第2シート部32とが十分に離間した状態となるとともに底マチ13が展開した状態となる。すなわち、容器構成シート材51において、各折り曲げ線81、82、83、84(図10)に沿った部分における折り返しの角度が緩やかになる。より詳細には、図11の状態では、各折り曲げ線81、82、83、84に沿った部分において、容器構成シート材51が略180度折り返されていて、容器構成シート材51において各折り曲げ線81、82、83、84を間に挟む両側の部分どうしが略面接触又は近接しているのに対し、図12の状態では、容器構成シート材51において各折り曲げ線81、82、83、84を間に挟む両側の部分どうしが互いに離間し、且つ、それらの互いの角度が広がる(例えば略90度に広がる)。
【0048】
このように、シート材容器100は、収容領域17から内容物を注出するための口部(例えば、スパウト部材15の先端の開口)を有し、容器本体20を膨らませる工程は、口部を栓部材430により塞ぎ、栓部材430に設けられた気体供給口467から収容領域17に気体を吹き込むことによって行うことが好ましい。これにより、収容領域17への気体の充填を良好に行うことができる。
また、容器本体20を膨らませる工程において、口部を栓部材430により塞いだ状態で行う場合に、気体の流速を上げるために第1レギュレータ422の内圧(第1レギュレータ422設定値)を高く設定すると、容器本体20または内袋40の破裂が生じる可能性がある。その場合、口部を栓部材430で完全に密閉せずに、口部と栓部材430との間に若干の隙間を設け、意図的に供給気体をリークさせることで、容器本体20または内袋40の破裂を抑制することができる。
【0049】
また、製造装置の稼働時には第2バルブ427は常時開状態となっている。次に、第2スイッチ弁463を開くことによって、気体をガス供給源420から第2ガス供給配管425を介して、延出部25の注入口25aから充填部60内に注入することができる。これにより、図13に示すように、充填部60が膨らむ。
次に、充填部60を封止する工程、すなわち、例えば延出部25の基端側に連接する部位において非接合部24を封止する工程を行う。
【0050】
ここで、本実施形態の場合、例えば、周縁シール部19の延在方向における一部分において、上記1又は複数のシート材の周縁部どうしが非接合となっている状態で、容器本体20を膨らませる工程を行う。
より詳細には、例えば、本体構成シート材21における延出部25が形成されている箇所と重なる位置が非接合となっている。更に詳細は、本体構成シート材21において延出部25の基端部と重なる位置が非接合となっている。
そして、本体構成シート材21における延出部25が形成されている箇所と重なる位置が非接合となっている状態で、容器本体20を膨らませる工程を行う。すなわち、本体構成シート材21には、外方に延出した延出部25が形成されており、延出部25は充填材を注入するための注入口25aを有し、(容器本体20を膨らませる工程を行う段階では)延出部25と重なる位置において、上記1又は複数のシート材の周縁部どうしが非接合となっている。
シート材容器100がこのような構造となっていることにより、収容領域17に気体を吹き込むことによって容器本体20を膨らませる際に、周縁シール部19への応力の集中を抑制することができる。
特に、容器本体20を膨らませる工程において、口部を栓部材430により塞いだ状態で行う場合、流速を上げるために、レギュレータの内圧を高く設定すると、容器本体20または内袋40の破裂が生じる可能性がある。しかし、1又は複数のシート材の周縁部どうしが一部非接合となっていることによって、周縁シール部への負荷が大きくなりすぎず、容器本体20または内袋40の破裂を抑制することができる。
しかも、1又は複数のシート材の周縁部どうしが非接合となっている箇所が、延出部25と重なる位置に形成されていることによって、充填部60を封止する工程において、充填部60の封止と同時に非接合となっている箇所を接合することができる。すなわち、本実施形態に係るシート材容器の製造方法は、充填材を注入する工程の後に、充填部60を封止する工程を備え、充填部60を封止する工程において、充填部60の封止と同時に、1又は複数のシート材の周縁部どうしが非接合となっている箇所を接合する。
【0051】
ここで、充填部60に気体を注入する際には、ガス供給源420から第1ガス供給配管421を介して収容領域17に供給されるガスの圧力によって、収容領域17の内部を大気圧よりも高圧に保持させることが好ましい。すなわち、収容領域17の内部を陽圧状態に保持させながら、充填材を注入する工程を行うことが好ましい。これにより、充填部60にシワが形成されることを抑制できるので、座屈しにくい充填部60を形成することができるとともに、シート材容器100の良好な外観を実現することができる。
第1圧力計423の指示値が大気圧よりも大きな値となるように、第1レギュレータ422の設定値を設定することによって、収容領域17の内部を陽圧状態に保持させることができる。
一例として、第1圧力計423の指示値と大気圧との差分が、0.1kPa以上500kPa以下となるように、第1レギュレータ422の設定値を設定する。すなわち、上記陽圧状態における収容領域17の圧力は、大気圧との差圧が0.1kPa以上500kPa以下であることが好ましい。
第1レギュレータ422の設定値は、1kPa以上1000kPa以下に設定することが好ましい。すなわち、容器本体20を膨らませる工程において、供給源(ガス供給源420)から収容領域17に気体を供給する際の、供給源側のレギュレータ(第1レギュレータ422)の設定ゲージ圧力を、1kPa以上1000kPa以下に設定することが好ましい。
【0052】
また、第1レギュレータ422あるいは第1スピードコントローラ462を用いて、気体の流速を徐々に低下させながら、収容領域17に気体を吹き込むことが好ましい。このようにすることにより、シート材容器100の収容領域17等への負荷を抑制することができる。
ここで、気体の流速は、連続的に低下させてもよいし、段階的に低下させてもよい。
【0053】
また、第2レギュレータ426あるいは第2スピードコントローラ464を用いて、充填材の流速を徐々に低下させながら、充填材を注入する工程を行うことが好ましい。このようにすることにより、シート材容器100の充填部60等への負荷を抑制することができる。
ここで、充填材の流速は、連続的に低下させてもよいし、段階的に低下させてもよい。
【0054】
また、充填部を封止する工程は、収容領域17の内部の陽圧状態を解除した後で行うことが好ましい。すなわち、収容領域17の内部を大気圧に戻した後、もしくは大気圧に近い微圧で、充填部を封止する工程を行うことが好ましい。このようにすることにより、充填部60への充填材(例えば空気)の注入圧を容易にコントロールすることができる。陽圧状態を解除する方法は、第1バルブ424を閉じる、もしくは第1レギュレータ422を0kPaに設定する、もしくは、口部を栓部材430により塞いだ状態を開放すること等が挙げられるが、これに限らない。
【0055】
そして、充填材を注入する工程によって充填部60に充填材が封入された状態で、収容領域17に内容物18を充填する工程を行う。
より詳細には、上記のように充填部60に充填材を封入(充填材を充填部60に充填し、充填部60を封止)した後で、例えば、上記のように、スパウト部材15の注出筒部15aを通して収容領域17に内容物18を充填する。
尤も、内容物18を充填する工程は、充填材を注入する工程の前におこなっても構わない。
【0056】
シート材容器100は、容器本体20の内面と内袋40の外面とが易剥離可能な易剥離領域が形成されていてもよい。易剥離領域は、容器本体20の内面と内袋40の外面とを剥離させるために必要な剥離強度が低い領域である。つまり、易剥離領域における容器本体20の内面と内袋40の外面との剥離強度が、周縁シール部52(内外シール部43)における容器本体20の内面と内袋40の外面との剥離強度よりも小さい。
これにより、容器本体20を膨らませる工程後、前記充填材を注入する工程を開始するまでに一定時間が経過した場合であっても、容器本体20の内面と内袋40の外面とを相互に密着状態に維持させることができる。したがって、充填部60に充填材を注入する際において、内袋40の外面と容器本体20の内面との間隙に外気取込孔96、97を介して外気が導入されてしまうことを抑制できるので、収容領域17の容積(満量容積)の再現性がより一層良好となる。さらに、内容物充填後に、内袋40に形成されるシワが軽減され、外観がより一層良好となる。
ここで、易剥離領域は、容器本体20の内面と内袋40の外面とを、容易に剥離可能な状態で相互に接合することで形成される。易剥離領域は、例えば、接着強度の弱い接着剤を用いて接合したり、部分接着とすることで形成することができる。また、易剥離領域は、低温でヒートシールを行うことにより実現してもよいし、コロナ処理によりシール強度(接合強度)を低下させてヒートシールを行うことにより実現してもよい。または、容器本体20の内面または内袋40の外面に、イージーピール性を有するシート材を用いることにより易剥離領域を形成してもよい。
また、易剥離領域は、容器本体20の内面と内袋40の外面とを静電力により密着させることで形成してもよい。容器本体20と内袋40との少なくとも一方に、プラスの電荷又はマイナスの電荷を付与することによって、容器本体20の内面と内袋40の外面とを静電力により密着させることができる。容器本体20と内袋40との少なくとも一方にプラスの電荷又はマイナスの電荷を付与する手法は、特に限定されないが、帯電ガンによって行う手法や、摩擦による帯電によって行う手法、フィルムに含有される帯電防止剤を減らすことによる手法などを用いることができる。
また、易剥離領域は、容器本体20の内面と内袋40の外面とを疑似接着させることで形成してもよい。
疑似接着の一例として、内袋構成シート材41における最も外側(内側フィルム層23側)の層を直鎖状低密度ポリエチレンとし、内側フィルム層23における最も内側(内袋構成シート材41側)の層をポリエチレンテレフタレート(PET)とする構成が挙げられる。そして、本体構成シート材21と内袋構成シート材41とを圧着させることによって、内側フィルム層23における内袋構成シート材41側の面(例えばPETにより構成されている)と、内袋構成シート材41における内側フィルム層23側の面(例えば直鎖状低密度ポリエチレンにより構成されている)と、を擬似接着することができる。
この構成の場合、外側フィルム層22は、内側フィルム層23よりも一回り大きく形成されており、本体構成シート材21において、外側フィルム層22の周縁部は、内側フィルム層23の外周からはみ出している。そして、本体構成シート材21と内袋構成シート材41とを相互にヒートシールして容器構成シート材51を形成する際に、例えば、本体構成シート材21の全面と内袋構成シート材41の全面とをプレス金型によりプレス(全面プレス)し、内側フィルム層23と内袋構成シート材41とを圧着させることによって、易剥離領域を形成するとともに、外側フィルム層22の周縁部と、内袋構成シート材41の周縁部とが相互に接合されて周縁シール部19が形成される。疑似接着の接着力を向上させるために、圧着時にプレス金型を加熱することが好ましい。
容器本体20の内面と内袋40の外面とに易剥離領域が形成されている状態でも、収容領域17内の内容物18の残量が減少することによって、内袋40の外面が容器本体20の内面から離間する方向の力が内袋40に作用すると、容器本体20の内面と内袋40の外面とが相互に剥離するようになっていることが好ましい。
【0057】
〔第2実施形態〕
次に、図14(a)及び図14(b)を用いて、第2実施形態を説明する。
本実施形態に係るシート材容器の製造方法は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係るシート材容器の製造方法と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係るシート材容器の製造方法と同様に構成されている。
【0058】
本実施形態の場合、容器本体20を膨らませる工程(図12)の後で、外気取込孔96を閉塞する工程(図14(a))を行い、外気取込孔96を閉塞した状態で充填材を注入する工程(図14(b))を行う。
これにより、充填部60に充填材を注入する際において、内袋40の外面と容器本体20の内面との間隙に外気取込孔96、97を介して外気が導入されてしまうことを抑制できるので、収容領域17の容積(満量容積)の再現性がより一層良好となる。さらに、内容物充填後に、内袋40に形成されるシワが軽減され、外観がより一層良好となる。
【0059】
外気取込孔96を閉塞する工程(図14(a))は、例えば、外気取込孔96を粘着テープ460により閉塞することによって行うことができる。外気取込孔96を粘着テープ460により閉塞するとは、粘着テープ460を容器本体20の外面における外気取込孔96の周囲の周回状の部分に対して粘着させて当該部分に対して気密に密着させることによって、外気取込孔96を介して内袋40の外面と容器本体20の内面との間隙に外気が取り込まれてしまうことを規制することである。
充填部60に充填材を注入し、充填部60を封止した後で、粘着テープ460をシート材容器100から剥がし、外気取込孔96を開放する。
【0060】
〔第3実施形態〕
次に、図15(a)及び図15(b)を用いて、第3実施形態を説明する。
本実施形態に係るシート材容器の製造方法は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係るシート材容器の製造方法と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係るシート材容器の製造方法と同様に構成されている。
【0061】
本実施形態の場合、容器本体20を膨らませる工程(図12)の後で、外気取込孔96を介して、内袋40の外面と容器本体20の内面との間隙を吸引(バキューム)する工程(図15(a))と、充填材を注入する工程(図15(b))と、を行う。
これにより、充填部60に充填材を注入する際において、内袋40の外面と容器本体20の内面との間隙に外気取込孔96、97を介して外気が導入されてしまうことを抑制できるので、収容領域17の容積(満量容積)の再現性がより一層良好となる。さらに、内容物充填後に、内袋40に形成されるシワが軽減され、外観がより一層良好となる。
【0062】
外気取込孔96を介して内袋40の外面と容器本体20の内面との間隙を吸引する工程(図15(a))は、例えば、吸引ポンプ472により吸引配管471を介して外気取込孔96から気体を吸引することによって、行うことができる。吸引配管471の一端部には、外気取込孔96を閉塞する閉塞部材470が設けられており、吸引配管471の他端側には、吸引ポンプ472が設けられており、吸引配管471の中間部には、例えば、バルブ473が設けられている。
ここで、閉塞部材470によって外気取込孔96を閉塞するとは、閉塞部材470を容器本体20の外面における外気取込孔96の周囲の周回状の部分に対して気密に密着させ、且つ、閉塞部材470、外気取込孔96及び97を介して、吸引配管471と、内袋40の外面と容器本体20の内面との間隙と、を相互に連通した状態に維持させることである。
閉塞部材470によって外気取込孔96を閉塞し、吸引ポンプ472を稼働させた状態でバルブ473を開くか、又は、バルブ473を開いた状態で吸引ポンプ472を稼働させることによって、外気取込孔96を介して内袋40の外面と容器本体20の内面との間隙を吸引する工程を行うことができる。
充填材を注入する工程(図15(b))を行う際にも、外気取込孔96を介して内袋40の外面と容器本体20の内面との間隙を吸引する工程を継続して行うことが好ましい。
例えば、充填部60に充填材を注入し、充填部60を封止した後で、吸引ポンプ472を停止させ、外気取込孔96から閉塞部材470を取り外す。
【0063】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
【0064】
例えば、上記の各実施形態では、内袋40を備えるシート材容器100を製造する例を説明したが、本発明は、この例に限らず、内袋40を備えていないシート材容器100を製造してもよい。シート材容器100が内袋40を備えていない場合、容器本体20によって収容領域17が構成されている。すなわち、周縁シール部19において、本体構成シート材21の内側フィルム層23の一部分どうしが接合されることによって、容器本体20が形成されるとともに収容領域17が構成されており、本体構成シート材21は外気取込孔96、97を有していない。
内袋40を備えていないシート材容器100においても、上記の実施形態のように容器本体20を膨らませる工程を備え、容器本体20が膨らんだ状態で充填材を注入することで、充填材の注入を容易に行うことができる。
【0065】
また、上記の各実施形態では、収容領域17に直に気体を吹き込むことによって、容器本体20を膨らませる工程を行う例を説明したが、本発明は、この例に限らず、収容領域17内にパリソンを挿入し、該パリソンを膨らませることによって収容領域17に気体を導入させて、容器本体20を膨らませてもよいし、機械や膨張材料などによってシート材容器100を変形及び拡張させることによって間接的に収容領域17に気体を導入させて、容器本体20を膨らませてもよい。
【0066】
また、キャップ部70は、例えば、ポンプ部72、支持筒部74、ヘッド部73及びノズル部75を有しておらず、開閉蓋を有するスクリューキャップであってもよい。
また、シート材容器100は、吐出口が下向きの姿勢(倒立姿勢)で自立するようになっていてもよいし、胴部11を載置面に寝かせて配置されるようになっていてもよい。
【0067】
また、シート材容器100の各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等が許容される。
【符号の説明】
【0068】
11 胴部
13 底マチ(面状部)
14 天マチ(面状部)
15 スパウト部材
17 収容領域
18 内容物
19 周縁シール部
20 容器本体
20a 第1主面部(面状部、第1面状部)
20b 第2主面部(面状部、第2面状部)
21 本体構成シート材
22 外側フィルム層
23 内側フィルム層
24 非接合部
25 延出部
25a 注入口
26 本体シール部
40 内袋
41 内袋構成シート材
46 側縁シール片
51 容器構成シート材
60 充填部
65 面間接続部
81、82、83、84、85、86 折り曲げ線
96 外気取込孔
100 シート材容器
422 第1レギュレータ(レギュレータ)
430 栓部材
467 気体供給口
図1
図2
図3
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