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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-07
(45)【発行日】2024-08-16
(54)【発明の名称】搾乳器システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/06 20060101AFI20240808BHJP
【FI】
A61M1/06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022526394
(86)(22)【出願日】2019-09-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-23
(86)【国際出願番号】 US2019052170
(87)【国際公開番号】W WO2021021223
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】16/525,022
(32)【優先日】2019-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522178452
【氏名又は名称】ベイビエイション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,ジャレッド
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ,サマンサ
(72)【発明者】
【氏名】デプタラ,アーサー
(72)【発明者】
【氏名】ファイト,コーリー
【審査官】白土 博之
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-517538(JP,A)
【文献】特表2011-516175(JP,A)
【文献】特表2005-502397(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0043677(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00-1/38
A61M 60/00-60/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搾乳器システムであって、
搾乳器と、
吸引チューブ及び乳チューブであって、それぞれ第1及び第2の端部を有し、前記吸引チューブ及び乳チューブは並んで共に接着されている、前記吸引チューブ及び乳チューブ
前記搾乳器と前記吸引チューブの前記第1の端部の両方に流体結合するための第1の部分と、乳ボトルと前記乳チューブの前記第1の端部の両方に流体結合するための第2の部分とを有する、第1のコネクタと、
乳房シールドの吸引ポート及び前記吸引チューブの前記第2の端部の両方に流体結合するための第1の部分、及び前記乳房シールドの母乳収集ポートと前記乳チューブの前記第2の端部の両方に流体結合するための第2の部分を有する第2のコネクタを含む、搾器システム。
【請求項2】
前記第1のコネクタは、汚染を最小限に抑えるために2つの吸引路を含む吸引フィルタを介して前記搾乳器に流体結合するように構成される、請求項1に記載の搾乳器システム。
【請求項3】
前記第2のコネクタは、吸引を制御するため前記第1の部分に1つまたは複数の通気孔、及びダイヤフラムを備える、請求項1に記載の搾乳器システム
【請求項4】
前記第1のコネクタの前記第1の部分は、前記搾乳器に取り外し可能に結合され、前記第1のコネクタの前記第2の部分は、前記乳ボトルに取り外し可能に結合される、請求項1に記載の搾乳器システム
【請求項5】
前記第2のコネクタの前記第1の部分は、前記乳房シールドの前記吸引ポートに取り外し可能に結合され、前記第2のコネクタの前記第2の部分は、前記母乳収集ポートに取り外し可能に結合される、請求項1に記載の搾乳器システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2019年7月29日に出願された米国出願第16/525,022号の利益を主張する。これは、2016年5月9日に出願された米国出願第15/149,525号の一部の継続であり、2015年5月7日に提出された仮特許出願第62/158,303号の利益を主張する。これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、搾乳器システムで使用されるチューブ及びコネクタに関し、それにおいて、母乳を貯める所とポンプの位置が乳房から離れている。
【背景技術】
【0003】
従来技術のポンプシステムは、ユニットの制御部がノブまたは上下ボタンのいずれかに限られている。一部のシステムには、吸引用と速度用の2つの制御部があるが、多くのシステムには1つの制御部しかない。通常、メモリデバイスがないか、単一のプリセットの設定に限られている。従来技術のポンプシステムは、ポンプの設定(吸引、サイクル時間)を、生成された乳の量、快適さのレベル、または他のいずれかの定量化可能な値と相関させていない。市場に出回っている従来技術のシステムは、搾られた乳を、乳房シールドの底に直接接続されている容器に貯めている。これは、使用者が効果的にボトルと複数のチューブを胸からぶら下げていることを意味するが、これにより、ポンプを慎重に行うことができなくなる。これは使用者にとって非常に厄介である。さらに、従来技術の乳房シールドは硬質プラスチックで作られており、不快である。従来技術のポンプについてのさらなる不満は、それらの音がうるさく、パルス状の機械的音を出すことである。ポンプが大きいほど、発生する音が大きくなる。従来技術のポンプについてのさらなる不満は、閉鎖系の乳房シールドが多くの別個の構成要素を必要とすることである。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、吸引チューブ及び乳チューブを含む改良された搾乳器システムに関するものであり、吸引チューブ及び乳チューブはそれぞれ第1及び第2の端部を有し、吸引チューブ及び乳チューブは並んで共に接着され、単一のチューブ構造を構成する。いくつかの実施形態は、搾乳器と吸引チューブの第1の端部の両方に流体結合するための第1の部分と、乳ボトルと乳チューブの第1の端部の両方に流体結合するための第2の部分とを有する第1のコネクタを含む。いくつかの実施形態はまた、乳房シールドの吸引ポート及び吸引チューブの第2の端部の両方に流体結合するための第1の部分、及び乳房シールドの母乳収集ポートと乳チューブの第2の端部の両方に流体結合するための第2の部分を有する第2のコネクタを含む。いくつかの実施形態では、第1のコネクタは、吸引フィルタを介して搾乳器に流体結合するように構成される。いくつかの実施形態では、第2のコネクタは、吸引を制御するため第1の部分に1つまたは複数の通気孔、及びダイヤフラムを備える。
【0005】
乳房シールドシステムの実施形態も提供され、これは、乳収集ポートと外側リップを備えた可撓性の柔らかいダイヤフラム、縁部、吸引ポート、及びインターフェースを有するカバー部分であって、カバーの縁部が柔らかいダイヤフラムのリップに密封式に結合するカバー部分、を含む。この構成要素の配置により、洗浄する部品の数が最小限のコンパクトな乳房シールドが提供される。柔らかいダイヤフラムは、使用者の体に対して快適な密封をもたらすと同時に、単一の部分、またはいくつかの実施形態では2つの部分で閉鎖系の保護をもたらす。いくつかの実施形態では、乳房シールドシステムは、乳房シールドシステムに形状が一致するブラパッドを含み、ブラパッドは、乳房シールドシステムを固定し、隠すためにブラに挿入することができる。いくつかの実施形態では、吸引ポートは、コネクタの吸引部分に流体結合するように構成され、乳収集ポートはまた、コネクタの乳収集部分に流体結合するようにも構成され、コネクタの吸引部分と乳収集部分は分離されている。
【0006】
いくつかの実施形態では、搾乳器システムは、フィルタカートリッジシステムをさらに含む。フィルタカートリッジシステムは、第1の内部吸引路、第2の内部吸引路、第1の内部吸引路に結合する第1の通気孔のセット、第2の内部吸引路に結合する第2の通気孔のセット、細菌が第1の内部吸引路を通過するのを最小限に抑えるための第1のフィルタ要素、及び第2の内部吸引路への液体の侵入を最小限に抑えるための第2のフィルタ要素を含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、フィルタカートリッジシステムは、第1の通気孔のセットが第1の内部吸引路と整列し、第2の通気孔のセットが第2の内部吸引路と整列する第1の開放整列位置をさらに備える。他の実施形態では、フィルタカートリッジシステムは、第1の通気孔のセットが第1の内部吸引路と整列し、第2の通気孔のセットが第2の内部吸引路との整列から外れている第2の半閉鎖整列位置をさらに備える。いくつかの実施形態では、フィルタカートリッジシステムは、第1の通気孔のセットが第1の内部吸引路との整列から外れ、第2の通気孔のセットが第2の内部吸引との整列から外れている第3の閉鎖整列位置をさらに含む。
【0008】
本発明は、詳細な説明及び添付の図面からより十分に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】使用中の本搾乳器システムの流れ図である。
図2】本発明の搾乳器システムの実施形態のブロック図である。
図3】本搾乳器システムの実施形態の概略図である。
図4】搾乳器システム用のエンクロージャの例示的な実施形態の図である。
図5A】二重ボトル/ポンプコネクタの例示的な実施形態の図である。
図5B】二重ボトル/ポンプコネクタの例示的な実施形態の図である。
図6A】エンクロージャのフィルタ部分の例示的な実施形態の図である。
図6B】フィルタカートリッジの例示的な実施形態の図である。
図6C】フィルタカートリッジの例示的な実施形態の図である。
図7】搾乳器システムで使用するためのフィルタカートリッジの例示的な実施形態の図である。
図8】二重乳房シールド/吸引コネクタの例示的な実施形態の図である。
図9A】乳房シールドのダイヤフラム部の実施形態の第1の概略図である。
図9B】乳房シールドカバーの実施形態の第2の概略図である。
図9C】ダイヤフラム及びカバーの両方を備えた乳房シールドの実施形態の断面図である。
図10】本発明の乳ボトルを備えたレベルセンサの図表である。
図11A】乳房パッドの例示的な実施形態の図である。
図11B】乳房パッドの例示的な実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図示を単純かつ明確にするために、描写の図面は、構造の一般的な様相を示しており、本開示を不必要に曖昧にすることを避けるために、周知の特徴及び技法の説明及び詳細を省略していることがある。さらに、描写の図面の要素は必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではない。例えば、図面のいくつかの要素の寸法は、本開示の実施形態の理解を改善するのを助けるために、他の要素に比べて誇張され得る。異なる図面の同じ参照符号は、同じ要素を示す。
【0011】
説明及び特許請求の範囲の「第1」、「第2」、「第3」、「第4」などの用語は、もしあるならば、類似の要素を区別するために使用され、必ずしも特定の連続的または時系列の順序を説明するために使用されるわけではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、その結果、本明細書に記載の実施形態は、例えば、本明細書に図示、さもなければ記載されるもの以外の順序で動作することができることを理解されたい。さらに、「含む(include)」、「有する(have)」という用語、及びそれらのいずれかの変形は、排他的ではない包含を含むことを意図しており、そのため、要素の列挙を構成するプロセス、方法、システム、物品、デバイス、または装置は、必ずしもこれらの要素に制限されず、かかるプロセス、方法、システム、物品、デバイス、または装置に明示的に列挙または内在されていない他の要素を含み得る。
【0012】
「結合(couple、coupled、couples、coupling)」などの用語は、広く理解されるべきであり、2つ以上の要素を機械的に及び/または他の方法で接続することを指す。「結合(coupled)」などの近くに「取外し可能(removably、removable)」などの語がないことは、当該の結合などの取外しが可能である、または取外しが可能ではないことを意味するものではない。
【0013】
本明細書で定義されるように、「ほぼ」は、いくつかの実施形態では、記載された値のプラスマイナス10パーセント以内を意味することができる。他の実施形態では、「ほぼ」は、記載された値のプラスマイナス5パーセント以内を意味することができる。さらに他の実施形態では、「ほぼ」は、記載された値のプラスマイナス3パーセント以内を意味することができる。さらに他の実施形態では、「ほぼ」は、記載された値のプラスマイナス1パーセント以内を意味することができる。
【0014】
好ましい実施形態(複数可)の以下の説明は、本質的に単なる例示であり、本発明、その適用、または使用を限定することを決して意図するものではない。
【0015】
図1の流れ図は、ステップ12を、iPad(登録商標)またはスマートフォンなどのモバイルデバイスを使用することによって、またはデバイス自体の制御によって、搾乳器システムを制御することとして示している。ステップ14で、ポンプは吸い出しを開始し、ステップ16で、生成された吸引量や吸い出しの速度などのポンプパラメータが記録される。ステップ18で、吸い出しが競合され、停止される。ステップ20で、ポンプシステムは、吸い出されて貯められた乳の総量を記録する。ステップ22で、モバイルデバイスはポンプからデータをダウンロードする。ステップ24において、モバイルデバイスは、データを保存及び分析するオンラインサービスに、データをアップロードする。ステップ26で、搾乳器の使用者は、保存されているデータを概観することができ、またはステップ28で、アップロードされたデータが分析される。
【0016】
図2のブロック図は、本搾乳器システムの実施形態である。ポンプハウジング内には、マイクロプロセッサ128及びブルートゥース(登録商標)LE無線機に接続されたオンボードのユーザインターフェース126がある。また、マイクロプロセッサに接続されているのは、電池130の電源、センサ132、及びポンプ、及び電磁弁制御部134である。
【0017】
図3の図では、搾乳器システム100の実施形態は、電源及びマイクロプロセッサ(図示せず)に取り付けられた減圧ポンプ150を有する。ポンプ150の吸引部に流体結合されているのは、減圧レシーバー160である。減圧レシーバーに流体結合されているのは、逃し弁170である。好ましい実施形態では、逃し弁は、マイクロコントローラ(図示せず)によって制御される電動の電磁弁である。逃し弁170は、3方向の逃し弁または逆止弁を備えた2方向逃し弁であり得る。逃し弁170には、任意選択のサイレンサーを備えたベント180も取り付けられている。
【0018】
逃し弁170は、第1の端部201及び第2の端部202を有する吸引チューブ200に流体接続するように構成される。第1の端部201は、逃し弁170にさらに結合された1つまたは複数のメイン吸引コネクタ270に結合されている。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のメイン吸引コネクタ270は、セルフシールフィルタ205をさらに含む。
【0019】
図3に示されるように、第2の端部202は、乳房シールド220にさらに結合される吸引ポート(本明細書でより十分に説明されるように)に流体結合される。いくつかの実施形態では、吸引ポートは、均等化逆止弁214にさらに結合されている。例えば、弁214は、一方向(吸引ポートから下向き)への流体の流れを防ぐ一方で、反対方向(ポンプ150から上向き)への空気の完全な流体の流れを可能にするために開閉を交互にすることができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、乳房シールド220は、吸引ポート及び母乳ポートを含む。2つのポートは、乳チューブに流入する乳と吸引チューブからの空気の流れを強制的に分離するために存在する。吸引チューブ200は吸引ポートに取り付けられ、乳チューブ230は母乳ポートに取り付けられる。吸引は、乳を下に引き込み乳房シールドの下部に集め、そこでは乳が乳チューブ230を通って乳ボトル250に流れる。乳房シールドの吸引ポートに乳が確実に到達しないようにするために、乳房シールド内にダイヤフラム211を配置することができる。
【0021】
乳房シールド220は、乳チューブ230に結合するようにさらに構成される。乳チューブは、第1の端部231及び第2の端部232を有する。第2の端部232は、乳房シールド220の母乳ポートに流体結合する。いくつかの実施形態では、乳房シールド220は、乳チューブ230への吸引の流れを遮断し、乳が乳チューブから乳房シールドに逆流するのを防ぐために、乳逆止弁216を有する。一実施形態では、この乳逆止弁は、乳逆止弁216及び均等化逆止弁214を含むダックビル弁とアンブレラ弁の組み合わせである。
【0022】
乳チューブ230の第1の端部は、任意選択の蓋240を備えた乳ボトル250に結合するように構成される。乳ボトルと減圧ポンプ150との間に配置されているのは、乳ボトル内の減圧を維持する隔離/ボトル弁260である。一実施形態では、ボトル弁は、マイクロコントローラ(図示せず)の制御下にある電動電磁弁である。
【0023】
任意選択で、吸引チューブ200及び乳チューブ230は、それぞれ、取り外し可能なコネクタ270及び280をそれぞれ有することができる。これにより、乳房シールド220及び乳ボトル250をデバイスの残りの部分から外して洗浄することができる。いくつかの実施形態では、外されたデバイス100の残りの部分は、便宜上、ポンプハウジング(図示せず)に封入されている。いくつかの実施形態では、吸引チューブ200及び乳チューブ230は、熱での結合などによって共に取り付けられて、使用者の便宜のために単一のアセンブリとして機能させることができる。
【0024】
さらに任意選択で、第2の乳房シールド(図示せず)を追加のコネクタ270及び280でシステムに流体結合でき、その結果、両方の乳房から同時に吸い出すことができる。
【0025】
他の実施形態では、図4を例示的に参照して、メイン区画403及び蓋401を含む搾乳器エンクロージャ400が設けられている。いくつかの実施形態では、メイン区画403は、ボトル250を保持するための1つまたは複数の開口部405、ならびにアイスパックなどを貯めておくための一般的な開口部を含む。エンクロージャ400はまた、結合ポート270及び280を含む吸引接続部分411を含むことができる。
【0026】
エンクロージャ400はまた、システム100の1つまたは複数の態様を収容するためのポンプハウジング(図示せず)を含むことができる。例えば、エンクロージャ400は、減圧ポンプ150、マイクロプロセッサ290、及び減圧シリンダ160を、エンクロージャ400内の内部区画に収容することができる。いくつかの実施形態では、エンクロージャ400及び/または内部区画は、液体(乳または水など)がエンクロージャ400の一部と接触した場合にマイクロプロセッサ290への損傷を最小限に抑えるために耐水性の材料で構成される。他の実施形態では、エンクロージャ400は、乳ボトルの温度及びエンクロージャの内部温度を維持するための断熱材から構成される。
【0027】
いくつかの実施形態では、エンクロージャ400は、システム100の様々な特徴を取り外し可能に含むための1つまたは複数の区画(図示せず)を有する。例えば、いくつかの実施形態では、エンクロージャ400は、チューブ200及び230を取り外し可能に収容するための1つまたは複数の区画、ならびにそれに取り付けられ得るコネクタ270及び280、及び1つまたは複数の乳房シールド220を有する。
【0028】
一実施形態では、エンクロージャ400は、少なくとも1つのボトル開口部405が3方向ベントソレノイド170に隣接するように構成され、その結果、二重コネクタ500は、3方向ベントソレノイド170及びボトル250の両方に流体接続できる。例えば、図4、5A及び5Bを参照すると、いくつかの実施形態では、二重コネクタ500は、吸引コネクタ270及び乳コネクタ280の両方を1つの統合された部分に含む。すなわち、二重コネクタ500は、乳ボトルコネクタ部分409及び吸引コネクタ部分407を含む。乳ボトルコネクタ部分409は、ボトル250の上部に流体結合するように構成される。吸引コネクタ部分407は、エンクロージャの吸引接続部分411(これらは本明細書でより詳細に説明される)のフィルタカートリッジ700及びフィルタインサート605の部分に密封式に結合するように構成される。
【0029】
一実施形態では、二重コネクタ500は、吸引チューブ200及び乳チューブ230の両方に流体接続されている。他の実施形態では、吸引チューブ200及び乳チューブ230は、2組のチューブが単一のチューブに似るように、共に接着または共に封入される。それらの実施形態では、二重コネクタ500は、隣接する吸引チューブ200及び乳チューブ230に流体接続するための単一のポートを有する。
【0030】
図5Bを参照すると、二重コネクタ500は、吸引ポート433で吸引チューブ200に、また乳ポート434で乳チューブに嵌合する。二重コネクタ500は、任意選択で蓋240を介して、コネクタ部分409上のボトル250に対して密封する。二重コネクタ500は、コネクタ部分407を介してフィルタ(図示せず)に対して密封する。乳は、乳チューブ230から乳ポート434を通って、乳移送ポート423を経由してボトルに流れる。乳チューブを下る乳の移動を容易にするためのボトル吸引部は、内部経路443を介してボトル吸引部入口428を介してフィルタからボトルに結合される。メイン吸引は、フィルタから内部経路419を介してメイン吸引入口429を通り、さらに吸引ポート433を介して吸引チューブ200に結合される。
【0031】
図6A及び7を参照すると、エンクロージャ400の吸引接続部分411の実施形態が示されている。吸引接続部分411は、フィルタカートリッジ700を受け入れるように構成されたフィルタインサート605を備える。フィルタカートリッジ700は、プラスチックまたはポリプロピレンのハウジング内に含まれている。フィルタカートリッジは、空気が減圧ポンプ側から出口側に流れることを可能にし、それがなければ減圧ポンプに移動する可能性のあるいずれかの乳、細菌、または粒子を収集する。フィルタカートリッジ700は使い捨てで、必要に応じて定期的に交換できる。フィルタインサート605は、空気をポンプから吸引チューブ200及び/または乳チューブ230に向けるための1つまたは複数の通気孔625を有することができる。同様に、フィルタカートリッジ700は、1つまたは複数の対応する通気孔770を有することができ、その結果、フィルタカートリッジ700がフィルタインサート605に挿入されるとき、空気は、ポンプからフィルタカートリッジ700を通り、フィルタの上端760を通って自由に出ることができる。フィルタの上端760はまた、二重コネクタ500の吸引コネクタ部分407に対応するサイズの1つまたは複数の通気孔を備えることができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、フィルタカートリッジ700は、1つまたは複数の脚780を有し、これは、フィルタカートリッジ700をフィルタインサート605と位置合わせし、フィルタカートリッジ700をフィルタインサート605に固定するために使用される。例えば、いくつかの実施形態では、脚780を使用して、フィルタインサート605の開放部分635と位置合わせすることができる。フィルタカートリッジ700がインサート605に挿入されると、フィルタはねじってロック位置にすることができ、脚780は、フィルタインサートの開放部分635と整列していない位置に移動する。
【0033】
図6Bを参照すると、いくつかの実施形態では、フィルタカートリッジ700は、内部ボトル吸引路610及び内部メイン吸引路620が存在するように構成される。すなわち、通気孔680はボトル吸引路610に対応し、通気孔690はメイン吸引路620に対応する。二重の吸引路により、単一のフィルタハウジングで内部空気圧システムのメイン吸引部分とボトル吸引部分の両方を保護できる。いくつかの実施形態では、フィルタカートリッジ700は、コネクタ407に対するフィルタの密封を促進するために、1つまたは複数のOリング630を含む。さらに、いくつかの実施形態では、フィルタカートリッジ700は、細菌を濾過し、液体がポンプハウジングに入るのを最小限に抑えるためのフィルタ要素640を備える。いくつかの実施形態では、フィルタ640は、乳ボトルから出てくる空気中のエアロゾル化された細菌、またはフィルタへの液状の乳の偶発的なオーバーフローのいずれかによる、メインポンプユニットの細菌の汚染を最小限に抑えるのに役立つ。一実施形態では、フィルタ640は、0.45ミクロンのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜である。ポアサイズはエアロゾル化された細菌の浸透を最小限に抑え、疎水性の性質により液体の侵入を防ぐ。膜は、低い表面張力を有する乳での能力を改善するために、任意選択で疎油性コーティングを含み得る。
【0034】
フィルタカートリッジ700は、メイン吸引路への液体の侵入からの追加の保護を付与するために、フィルタ要素650をさらに備えることができる。いくつかの実施形態では、密封フィルタ650は、セルフシーリングフィルタであり得る。液体が吸引チューブに侵入した場合、フィルタ650は過剰な水分にさらされると密封されるため、フィルタ650は液体がエンクロージャ内のポンプ150に入るのを防ぐ。セルフシールフィルタ650の一実施形態は、いくつかのビーズが、液体に曝されると膨潤するカルボキシルメチルセルロースまたは他の材料でできている、通気性のポリマービーズマトリックスである。材料が膨潤すると、それ以上空気や液体が浸透しないようにマトリックスを密封する。いくつかの実施形態では、フィルタカートリッジ700は、インサート605内でフィルタ700を密封することを容易にするためにエラストマー部材670を備える。
【0035】
図6Cに関して、フィルタカートリッジ700はさらに、フィルタインサート605における2つの位置を有し得る。1つは「開」665であり、通気孔770がそれぞれの吸引ポート625と整列している。もう1つは「閉」675で、フィルタカートリッジの底部の一部がエンクロージャのポート625と整列し、それらを塞ぐものであり、これは、使用者が片側だけをシングルポンプできるようにすることを目的としているが、システムの空気圧の完全性は維持される。
【0036】
理解されるべきであるように、フィルタカートリッジ700は、搾乳器で使用することに加えて、またはその代わりに、無数の用途で使用することができる。二重の吸引路及びフィルタシステムのために、フィルタカートリッジ700は、吸引の流れの分離を容易にし、汚染物質(細菌、液体などを含む)の最小化をもたらす。フィルタカートリッジ700の実施形態は、搾乳ポンプに関して本明細書で説明されているが、フィルタカートリッジ700は、このタイプの用途に限定されるべきではない。
【0037】
いくつかの実施形態では、図8及び9A~Cを参照すると、吸引及び乳セパレーターデバイスは、乳房シールド900のカバー部分920として構成することができる。図9A~Cを参照すると、一体型乳房シールド900の実施形態が示されている。乳房シールド900は、柔らかい内側部分またはダイヤフラム910及びカバー920を備える。ダイヤフラム910は、柔らかいシリコーンゴムまたはプラスチックポリマーでできており、乳児の口や舌と同じように乳首を刺激するように設計されている。
【0038】
ダイヤフラム910は、柔軟な素材で構成され、使用者の乳首に適度に適合するように成形されている。ダイヤフラム910は、カバー920と密封式に接続する。いくつかの実施形態では、ダイヤフラム910は、カバーの内側リップ960と接続する外側リップ930を備える。使用者の乳房からの乳は、乳チューブコネクタポート810を介して乳チューブ230に流体的に接続されている乳収集ポート940を通って、ダイヤフラム910内の乳収集出口950を通って移動する。
【0039】
いくつかの実施形態では、乳房シールド900は、吸引チューブ200からダイヤフラム910の裏側に吸引を適用することによって、使用者の乳首に吸引を発生させる。次に、その吸引により、ダイヤフラム910がカバー920内に伸長する。この移動は、次に、使用者の乳房に吸引を発生させ、ダイヤフラム910のその「湿った側」(すなわち、乳が排出される使用者の乳首に隣接する側)の吸引が、チューブが接続する「乾いた側」から隔離されるという利点がある。したがって、システム100の吸引部分は、乳または細菌からポンプ150へのいずれかの汚染を低減するために閉じられている。
【0040】
乳チューブコネクタ810を含む例示的な統合コネクタ800が図8に示されており、乳チューブ230と母乳シールド900の母乳収集ポート940の両方に流体結合する。コネクタ800はさらに、吸引チューブ200、及び乳房シールドの吸引ポート970の両方に、流体結合する吸引チューブコネクタ820を、備えることができる。
【0041】
乳チューブコネクタ810は、乳セパレータダイヤフラムまたは逆止弁824を保持するように構成される。
【0042】
乳収集ポート940の形状は、乳チューブコネクタ810の形状と一致し、乳が漏れるのを防ぐ二者の間に流体接続があるようにする。
【0043】
カバー920は、ダイヤフラム部分910に適合するように形作られている。カバー920の縁960は、吸引チューブ200を除いて、外気がダイヤフラム部分910とカバー920との間の領域に入らないように、ダイヤフラム910のリップ930と密封式に接続するように構成される。カバー920は、吸引チューブコネクタ820に流体結合するように構成されたポート970を有する。
【0044】
例えば、いくつかの実施形態では、吸引チューブコネクタ820は、吸引チューブ200に流体結合され、乳房シールド900に吸引をもたらす。カバー920は、カバー920をダイヤフラム部分910に取り付けるために使用されるインターフェースポート980をさらに備える。例えば、図9Cに関して、インターフェースポート980は、出口940の上部と整列し、出口940に取り付けられている。カバー920の縁960は、ダイヤフラム910のリップ930の下にスライドし、その下で取り外し可能に密封される。いくつかの実施形態では、カバー920及びダイヤフラム910が位置合わせされると、コネクタ800は、乳房シールド900に流体的に接続される。すなわち、乳チューブコネクタ810は、乳房シールド900の母乳収集ポート940に流体結合し、吸引チューブコネクタ820は、乳房シールドの吸引ポート970に流体結合する。
【0045】
動作中、ダイヤフラム910は、使用者の乳首と密封式に接続し、使用者の乳首とダイヤフラム910との間に湿った側の空間915を作り出すように、使用者の乳首に押し付けられる。乳房カバー920は、ダイヤフラム910と密封式に接続して、ダイヤフラムとカバーとの間に乾いた側の空間925を作成して、吸引を使用者の乳首に伝達し、搾乳された乳の流れを乳房から吸引及び乳収集出口950に向ける。乳チューブ230を介して乳房シールドに過剰な乳の吸引が適用されると、空気圧が吸引チューブ200を介して乾いた側925に加えられる圧力よりも低くなるように、湿った側915に吸引が増加する可能性がある。湿った側915の空気圧が乾いた側925の圧力よりも低い場合、ダイヤフラム910は、使用者の乳首に向かって潰れて、追加の有益な刺激を引き起こし得る。この過剰な減圧は、より高い圧力の領域に通気することによって緩和する必要がある場合がある。いくつかの実施形態では、均等化逆止弁を使用して、乳房シールドの外側の周囲空気への排出を可能にすることによって、または乾いた側925への排出によって、湿った側915の過剰な圧力を軽減することができる。一実施形態では、逆止弁824は、メイン吸引チューブ200が乳首の圧力よりも高い圧力にあるときに、均等化逆止弁が乾いた側925からの空気を湿った側915に通れるようにするように、均等化逆止弁を備えることができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、乳房カバー920は、ヒトの乳房に似たサイズ及び形状である。すなわち、いくつかの実施形態では、乳房カバーは丸みを帯びた形状を有し、乳房シールドシステム(ダイヤフラム910と接続する乳房カバー920)が乳房に取り付けられると、輪郭は、乳房の丸みを帯びた自然な形状に似る。使用中、乳房シールドシステムはブラの内側に目立たないように適合し得る。他の実施形態では、乳房シールドシステムは、使用中に取り外し可能なブラパッド内に目立たないように適合することができる。
【0047】
減圧シリンダを使用すると、他の方法で必要とされるよりも小さく、静かなポンプを使用できる。圧力容器は減圧貯蔵容器として機能する。ポンプがサイクル全体を通して作動し続けると、ベントソレノイドがマニホールドとポンプに対して開き、ベントを閉じて、システムに減圧をもたらす。ベントソレノイドがポンプに対して閉じ、ベントとマニホールドに対して開くと、連続運転ポンプによってさらに減圧されている圧力容器以外で、システムが通気される。ベントソレノイドがベントに対して閉じられ、マニホールドとポンプに対して開いているとき、圧力容器がより低い圧力であることが、小さ目で比較的静かなポンプでもシステムに減圧のブーストをもたらし、ポンプはスイッチをオンオフするより、むしろ継続的に動作する。
【0048】
本搾乳器システムは、使用者のスマートフォンやその他のデジタルデバイスのアプリ、またはフロントパネルのディスプレイと制御部によってワイヤレスで制御できる。リモートアプリは、設定の非常に詳細な制御(吸い出しのカーブ、詳細なサイクルタイミングなど)のオプションを使用者に提供するか、設定が簡便な単一スライダーベースの制御を可能にする。さらに、ポンプシステムは、特定のポンプセッションで生成された乳の量の詳細を取り込む。このデータは、アプリからインターネットクラウドサービスにアップロードされ、保存、分析、取得して表示される。このアプリはまた、搾乳時間、授乳頻度、おむつの変更を追跡し得るため、複数のアプリやデバイスは必要ない。
【0049】
図10に示されるように、乳レベルセンサ320は、吸い出される乳の量を判定するために使用され得る。図10に示されるように、センサ320は、乳ボトルの高さで延在するポンプハウジング310の内側に配置される。ボトルとセンサの間の空隙が最小になるようにボトルが固定されている。センサの電極はボトルと平行で、ボトルに向いている。好ましい実施形態では、乳房ごとに独立した搾乳を追跡することができるように、ボトルごとに1つのセナー及び乳房ごとに1つのボトルが存在する。
【0050】
好ましいセンサの例は、米国特許出願公開第2016/0,003,663号A1に開示されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0051】
マイクロプロセッサ290は、搾られた乳の量を計算することができる。好ましい実施形態では、センサ320をロードセルと組み合わせて、乳の密度を計算するために表された乳の重量を測定し、乳の固形分に関する情報を得ることができる。
【0052】
ポンプシステム100は、使用者によって入力されたカスタムの設定を有することができる。新規使用者に役立つ可能性のある任意選択のプリセットが設けられている。これは、単にポンプを与えられて、他のガイダンスなしで吸い出しを開始するように言われるよりもむしろ、良好な出発点を、新規の母親に提供する。はるかに小型のポンプが使用できるため、ポンプは現在使用されているものよりはるかに静かである。好ましい実施形態では、従来のダイアフラムポンプを使用するのではなく、ブラシレスモーターが使用される。別の好ましい実施形態では、本質的に静かな線形ポンプモーターが使用される。別の好ましい実施形態では、吸引力を高めるための減圧シリンダがポンプと共に使用され、ポンプが継続的に作動することを可能にし、それにより、ポンプがオンオフされるというよりも、小さめの(そのため、比較的静かな)モータがポンプで使われる。本搾乳器システムは、収集ボトルとポンプを備えており、チューブの長さによって乳房シールドにリモートで流体接続されている。好ましい実施形態では、衣類及び下着は、シールド及びチューブを覆い、係合する。これにより、女性のシャツの下に着用できる目立たないシステムが提供される。
【0053】
図11A及びBに示されるように、この改良された製品は、女性が搾乳時にシャツを脱ぐ必要がないという点で配慮を行っている。好ましい実施形態では、取り外し可能なブラパッド1100を使用して、乳房シールドを所定の位置に保持し、漏れている乳が見えるのを防ぐことができる。これらの胸パッドは、ブラの裏地としても機能する。取り外し可能なカップにより、このブラは吸い出し用ブラから授乳用ブラに継ぎ目なく移行できる。図11Bの例示的な実施形態に示されるように、乳房パッドの側面の輪郭は、乳房の形状に一致する。
【0054】
例示的な実施形態では、図11Aを参照すると、ブラパッド1100の内部1120は、乳房シールド900を受け入れるための中央空洞1130を備える。ブラパッド1100の内部1120は、乳コネクタ空洞1110及び隣接するチューブ経路1105をさらに含む。コネクタ800が乳房シールド900に結合されるとき、乳房シールド900は、取り付けられたコネクタ800が乳コネクタ空洞1110内に適合し、取り付けられた乳収集及び吸引チューブがチューブ経路1105内に適合するように、ブラパッド1100内に適合するように構成される。
【0055】
乳チューブ230及び/または吸引チューブ200は、容易に洗浄するために取り外し可能である。使用中、チューブ(または結合したチューブ)は使用者の胴体にぶら下がっている。いくつかの実施形態では、一方のセットのチューブは乳収集ボトルに接続され、もう一方のセットは減圧ポンプに接続される。チューブが共に取り付けられている他の実施形態では、図4に関して示され、説明されているように、チューブは乳接続ボトル及び減圧ポンプの両方に二重に接続されている。同様に、チューブが共に取り付けられているいくつかの実施形態では、チューブは、図8及び9A~Cに示されて説明されているように、乳房カバーおよび乳首に二重に接続されている。側面から見ると、ブラはブラのカップに隠されている複数のピースからなる。それらのピースには、ブラパッド1100、コネクタ800、チューブ230及び200、及び胸部シールド900が含まれる。
【0056】
実施形態は、本発明の原理及び当業者へのその実際の適用を最もよく説明するために選択され、説明された。本発明の範囲から逸脱することなく、対応する図を参照して上記のように例示的な実施形態に様々な修正を加えることができるので、前述の説明に含まれ、添付の図面に示されるすべての事項が、制限するのではなく、例示として解釈されることが意図される。したがって、本発明の広がり及び範囲は、上記の例示的な実施形態のいずれによっても制限されるべきではなく、添付されている以下の特許請求の範囲やそれらの等価物に従ってのみ定められるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11A
図11B