(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-07
(45)【発行日】2024-08-16
(54)【発明の名称】発光素子、表示装置、電子機器、及び照明装置
(51)【国際特許分類】
H10K 50/12 20230101AFI20240808BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20240808BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240808BHJP
H10K 59/12 20230101ALI20240808BHJP
H10K 59/38 20230101ALI20240808BHJP
H10K 59/40 20230101ALI20240808BHJP
H10K 59/95 20230101ALI20240808BHJP
H10K 85/60 20230101ALI20240808BHJP
H10K 101/25 20230101ALN20240808BHJP
H10K 101/30 20230101ALN20240808BHJP
H10K 101/40 20230101ALN20240808BHJP
【FI】
H10K50/12
G02B5/20 101
G09F9/30 365
H10K59/12
H10K59/38
H10K59/40
H10K59/95
H10K85/60
H10K101:25
H10K101:30
H10K101:40
(21)【出願番号】P 2023092983
(22)【出願日】2023-06-06
(62)【分割の表示】P 2022073184の分割
【原出願日】2017-03-16
【審査請求日】2023-07-03
(31)【優先権主張番号】P 2016055246
(32)【優先日】2016-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 辰義
【審査官】横川 美穂
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-032108(JP,A)
【文献】特開2016-000724(JP,A)
【文献】特開2014-192214(JP,A)
【文献】特開2014-044942(JP,A)
【文献】特開2014-045179(JP,A)
【文献】国際公開第2016/013867(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0028021(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0094520(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/00-102/20
G02B 5/20
G09F 9/30
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の電極間に発光層を有し、
前記発光層は、第1の有機化合物と、第2の有機化合物と、を有し、
前記第1の有機化合物と前記第2の有機化合物とは、励起錯体を形成する組み合わせであり、
前記第1の有機化合物または前記第2の有機化合物の一方は、トリアジン骨格を有し、
前記第1の有機化合物または前記第2の有機化合物の他方は、π電子過剰型複素芳香環骨格および芳香族アミン骨格のいずれかを有し、
前記第1の有機化合物の最低三重項励起エネルギー準位または前記第2の有機化合物の最低三重項励起エネルギー準位のうちエネルギーが低い一方は、前記励起錯体が呈する発光のエネルギーの-0.2eV以上0.4eV以下のエネルギーを有する、
発光素子。
【請求項2】
一対の電極間に発光層を有し、
前記発光層は、第1の有機化合物と、第2の有機化合物と、を有し、
前記第1の有機化合物と前記第2の有機化合物とは、励起錯体を形成する組み合わせであり、
前記第1の有機化合物または前記第2の有機化合物の一方は、トリアジン骨格を有し、
前記第1の有機化合物または前記第2の有機化合物の他方は、π電子過剰型複素芳香環骨格および芳香族アミン骨格のいずれかを有し、
前記第2の有機化合物のHOMO準位は、前記第1の有機化合物のHOMO準位より高く、
前記第2の有機化合物のLUMO準位は、前記第1の有機化合物のLUMO準位より高く、
前記第1の有機化合物のLUMO準位と前記第2の有機化合物のHOMO準位とのエネルギー差は、前記励起錯体が呈する発光のエネルギーの-0.1eV以上0.4eV以下である、
発光素子。
【請求項3】
一対の電極間に発光層を有し、
前記発光層は、第1の有機化合物と、第2の有機化合物と、を有し、
前記第1の有機化合物と前記第2の有機化合物とは、励起錯体を形成する組み合わせであり、
前記第1の有機化合物または前記第2の有機化合物の一方は、トリアジン骨格を有し、
前記第1の有機化合物または前記第2の有機化合物の他方は、π電子過剰型複素芳香環骨格および芳香族アミン骨格のいずれかを有し、
前記第2の有機化合物のHOMO準位は、前記第1の有機化合物のHOMO準位より高く、
前記第2の有機化合物のLUMO準位は、前記第1の有機化合物のLUMO準位より高く、
前記第1の有機化合物のLUMO準位と前記第2の有機化合物のHOMO準位とのエネルギー差は、前記励起錯体が呈する発光のエネルギーの-0.1eV以上0.4eV以下であり、
前記第1の有機化合物の最低三重項励起エネルギー準位または前記第2の有機化合物の最低三重項励起エネルギー準位のうちエネルギーが低い一方は、前記励起錯体が呈する発光のエネルギーの-0.2eV以上0.4eV以下のエネルギーを有する、
発光素子。
【請求項4】
一対の電極間に発光層を有し、
前記発光層は、第1の有機化合物と、第2の有機化合物と、発光性の有機化合物と、を有し、
前記第1の有機化合物と前記第2の有機化合物とは、励起錯体を形成する組み合わせであり、
前記第1の有機化合物または前記第2の有機化合物の一方は、トリアジン骨格を有し、
前記第1の有機化合物または前記第2の有機化合物の他方は、π電子過剰型複素芳香環骨格および芳香族アミン骨格のいずれかを有し、
前記第1の有機化合物の最低三重項励起エネルギー準位または前記第2の有機化合物の最低三重項励起エネルギー準位のうちエネルギーが低い一方は、前記励起錯体が呈する発光のエネルギーの-0.2eV以上0.4eV以下のエネルギーを有する、
発光素子。
【請求項5】
一対の電極間に発光層を有し、
前記発光層は、第1の有機化合物と、第2の有機化合物と、発光性の有機化合物と、を有し、
前記第1の有機化合物と前記第2の有機化合物とは、励起錯体を形成する組み合わせであり、
前記第1の有機化合物または前記第2の有機化合物の一方は、トリアジン骨格を有し、
前記第1の有機化合物または前記第2の有機化合物の他方は、π電子過剰型複素芳香環骨格および芳香族アミン骨格のいずれかを有し、
前記第2の有機化合物のHOMO準位は、前記第1の有機化合物のHOMO準位より高く、
前記第2の有機化合物のLUMO準位は、前記第1の有機化合物のLUMO準位より高く、
前記第1の有機化合物のLUMO準位と前記第2の有機化合物のHOMO準位とのエネルギー差は、前記励起錯体が呈する発光のエネルギーの-0.1eV以上0.4eV以下である、
発光素子。
【請求項6】
一対の電極間に発光層を有し、
前記発光層は、第1の有機化合物と、第2の有機化合物と、発光性の有機化合物と、を有し、
前記第1の有機化合物と前記第2の有機化合物とは、励起錯体を形成する組み合わせであり、
前記第1の有機化合物または前記第2の有機化合物の一方は、トリアジン骨格を有し、
前記第1の有機化合物または前記第2の有機化合物の他方は、π電子過剰型複素芳香環骨格および芳香族アミン骨格のいずれかを有し、
前記第2の有機化合物のHOMO準位は、前記第1の有機化合物のHOMO準位より高く、
前記第2の有機化合物のLUMO準位は、前記第1の有機化合物のLUMO準位より高く、
前記第1の有機化合物のLUMO準位と前記第2の有機化合物のHOMO準位とのエネルギー差は、前記励起錯体が呈する発光のエネルギーの-0.1eV以上0.4eV以下であり、
前記第1の有機化合物の最低三重項励起エネルギー準位または前記第2の有機化合物の最低三重項励起エネルギー準位のうちエネルギーが低い一方は、前記励起錯体が呈する発光のエネルギーの-0.2eV以上0.4eV以下のエネルギーを有する、
発光素子。
【請求項7】
請求項4乃至請求項6のいずれか一項において、
前記励起錯体は、前記発光性の有機化合物へ励起エネルギーを供与する機能を有する、
発光素子。
【請求項8】
請求項4乃至請求項7のいずれか一項において、
前記励起錯体の発光スペクトルが、前記発光性の有機化合物の吸収スペクトルの最も低いエネルギー側の吸収帯と重なる領域を有する、
発光素子。
【請求項9】
一対の電極間に発光層を有し、
前記発光層は、ホスト材料と、発光を呈する機能を有するゲスト材料と、を有し、
前記ホスト材料は、第1の有機化合物と、第2の有機化合物と、を有し、
前記第1の有機化合物と前記第2の有機化合物とは、励起錯体を形成する組み合わせであり、
前記第1の有機化合物または前記第2の有機化合物の一方は、トリアジン骨格を有し、
前記第1の有機化合物または前記第2の有機化合物の他方は、π電子過剰型複素芳香環骨格および芳香族アミン骨格のいずれかを有し、
前記第1の有機化合物の最低三重項励起エネルギー準位または前記第2の有機化合物の最低三重項励起エネルギー準位のうちエネルギーが低い一方は、前記励起錯体が呈する発光のエネルギーの-0.2eV以上0.4eV以下のエネルギーを有する、
発光素子。
【請求項10】
一対の電極間に発光層を有し、
前記発光層は、ホスト材料と、発光を呈する機能を有するゲスト材料と、を有し、
前記ホスト材料は、第1の有機化合物と、第2の有機化合物と、を有し、
前記第1の有機化合物と前記第2の有機化合物とは、励起錯体を形成する組み合わせであり、
前記第1の有機化合物または前記第2の有機化合物の一方は、トリアジン骨格を有し、
前記第1の有機化合物または前記第2の有機化合物の他方は、π電子過剰型複素芳香環骨格および芳香族アミン骨格のいずれかを有し、
前記第2の有機化合物のHOMO準位は、前記第1の有機化合物のHOMO準位より高く、
前記第2の有機化合物のLUMO準位は、前記第1の有機化合物のLUMO準位より高く、
前記第1の有機化合物のLUMO準位と前記第2の有機化合物のHOMO準位とのエネルギー差は、前記励起錯体が呈する発光のエネルギーの-0.1eV以上0.4eV以下である、
発光素子。
【請求項11】
一対の電極間に発光層を有し、
前記発光層は、ホスト材料と、発光を呈する機能を有するゲスト材料と、を有し、
前記ホスト材料は、第1の有機化合物と、第2の有機化合物と、を有し、
前記第1の有機化合物と前記第2の有機化合物とは、励起錯体を形成する組み合わせであり、
前記第1の有機化合物または前記第2の有機化合物の一方は、トリアジン骨格を有し、
前記第1の有機化合物または前記第2の有機化合物の他方は、π電子過剰型複素芳香環骨格および芳香族アミン骨格のいずれかを有し、
前記第2の有機化合物のHOMO準位は、前記第1の有機化合物のHOMO準位より高く、
前記第2の有機化合物のLUMO準位は、前記第1の有機化合物のLUMO準位より高く、
前記第1の有機化合物のLUMO準位と前記第2の有機化合物のHOMO準位とのエネルギー差は、前記励起錯体が呈する発光のエネルギーの-0.1eV以上0.4eV以下であり、
前記第1の有機化合物の最低三重項励起エネルギー準位または前記第2の有機化合物の最低三重項励起エネルギー準位のうちエネルギーが低い一方は、前記励起錯体が呈する発光のエネルギーの-0.2eV以上0.4eV以下のエネルギーを有する、
発光素子。
【請求項12】
請求項9乃至請求項11のいずれか一項において、
前記励起錯体は、前記ゲスト材料へ励起エネルギーを供与する機能を有する、
発光素子。
【請求項13】
請求項9乃至請求項12のいずれか一項において、
前記励起錯体が呈する発光スペクトルが、前記ゲスト材料の吸収スペクトルの最も低いエネルギー側の吸収帯と重なる領域を有する、
発光素子。
【請求項14】
請求項1乃至請求項13のいずれか一項において、
前記励起錯体が呈する発光のエネルギーは、前記励起錯体の発光スペクトルの発光ピーク(前記発光ピークは極大値である場合またはショルダーである場合を含む)のうち、最も短波長側の発光ピーク波長から導出する、
発光素子。
【請求項15】
請求項1乃至請求項14のいずれか一項に記載の発光素子と、
カラーフィルタまたはトランジスタの少なくとも一方と、
を有する表示装置。
【請求項16】
請求項15に記載の表示装置と、
筐体またはタッチセンサの少なくとも一方と、
を有する電子機器。
【請求項17】
請求項1乃至請求項14のいずれか一項に記載の発光素子と、
筐体またはタッチセンサの少なくとも一方と、
を有する照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、発光素子、または該発光素子を有する表示装置、電子機器、及び照
明装置に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明
の一態様の技術分野は、物、方法、または、製造方法に関する。または、本発明の一態様
は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マ
ター)に関する。そのため、より具体的に本明細書で開示する本発明の一態様の技術分野
としては、半導体装置、表示装置、液晶表示装置、発光装置、照明装置、蓄電装置、記憶
装置、それらの駆動方法、または、それらの製造方法、を一例として挙げることができる
。
【背景技術】
【0003】
近年、エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence:EL)
を利用した発光素子の研究開発が盛んに行われている。これら発光素子の基本的な構成は
、一対の電極間に発光性の物質を含む層(EL層)を挟んだ構成である。この素子の電極
間に電圧を印加することにより、発光性の物質からの発光が得られる。
【0004】
上述の発光素子は自発光型であるため、これを用いた表示装置は、視認性に優れ、バッ
クライトが不要であり、消費電力が少ない等の利点を有する。さらに、薄型軽量に作製で
き、応答速度が高いなどの利点も有する。
【0005】
発光性の物質に有機化合物を用い、一対の電極間に当該発光性の有機化合物を含むEL
層を設けた発光素子(例えば、有機EL素子)の場合、一対の電極間に電圧を印加するこ
とにより、陰極から電子が、陽極から正孔(ホール)がそれぞれ発光性のEL層に注入さ
れ、電流が流れる。そして、注入された電子及び正孔が再結合することによって発光性の
有機化合物が励起状態となり、励起された発光性の有機化合物から発光を得ることができ
る。
【0006】
有機化合物が形成する励起状態の種類としては、一重項励起状態(S*)と三重項励起
状態(T*)があり、一重項励起状態からの発光が蛍光、三重項励起状態からの発光が燐
光と呼ばれている。また、発光素子におけるそれらの統計的な生成比率は、S*:T*=
1:3である。そのため、蛍光を発する化合物(蛍光性化合物)を用いた発光素子より、
燐光を発する化合物(燐光性化合物)を用いた発光素子の方が、高い発光効率を得ること
が可能となる。したがって、三重項励起状態を発光に変換することが可能な燐光性化合物
を用いた発光素子の開発が近年盛んに行われている。
【0007】
燐光性化合物を用いた発光素子のうち、特に青色の発光を呈する発光素子においては、
高い三重項励起エネルギー準位を有する安定な化合物の開発が困難であるため、未だ実用
化に至っていない。そのため、より安定な蛍光性化合物を用いた発光素子の開発が行われ
ており、蛍光性化合物を用いた発光素子(蛍光発光素子)の発光効率を高める手法が探索
されている。
【0008】
三重項励起状態の一部を発光に変換することが可能な材料として、熱活性化遅延蛍光(
Thermally Activated Delayed Fluorescence
:TADF)体が知られている。熱活性化遅延蛍光体では、三重項励起状態から逆項間交
差により一重項励起状態が生成され、一重項励起状態から発光に変換される。
【0009】
熱活性化遅延蛍光体を用いた発光素子において、発光効率を高めるためには、熱活性化
遅延蛍光体において、三重項励起状態から一重項励起状態が効率よく生成するだけでなく
、一重項励起状態から効率よく発光が得られること、すなわち蛍光量子収率が高いことが
重要となる。
【0010】
2種類の有機化合物で形成される励起錯体は、一重項励起状態と三重項励起状態のエネ
ルギー差が小さくなるため、当該励起錯体を熱活性化遅延蛍光体として用いる方法が提案
されている(例えば、特許文献1参照)。
【0011】
また、熱活性化遅延蛍光体と、蛍光性化合物と、を有する発光素子において、熱活性化
遅延蛍光体の一重項励起エネルギーを、蛍光性化合物へと移動させ、当該蛍光性化合物か
ら発光を得る方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2014-45184号公報
【文献】特開2014-45179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
熱活性化遅延蛍光体を有する発光素子において、発光効率を高めるためには、三重項励
起状態から一重項励起状態が効率よく生成することが好ましい。しかしながら、熱活性化
遅延蛍光体として励起錯体を用いる場合、発光効率を高めるための手段は明らかになって
いない。
【0014】
また、熱活性化遅延蛍光体と蛍光性化合物とを有する発光素子において、発光効率を高
めるためには、熱活性化遅延蛍光体の一重項励起状態から蛍光性化合物の一重項励起状態
へ、効率よくエネルギーが移動することが好ましい。また、熱活性化遅延蛍光体の三重項
励起状態から蛍光性化合物の三重項励起状態へのエネルギー移動を抑制することが好まし
い。そのためには、当該熱活性化遅延蛍光体の発光効率が高いことが好ましいが、熱活性
化遅延蛍光体として励起錯体を用いる場合、励起錯体の発光効率を高める手段は明らかに
なっていない。
【0015】
したがって、本発明の一態様では、発光効率が高い発光素子を提供することを課題の一
とする。または、本発明の一態様では、消費電力が低減された発光素子を提供することを
課題の一とする。または、本発明の一態様では、新規な発光素子を提供することを課題の
一とする。または、本発明の一態様では、新規な発光装置を提供することを課題の一とす
る。または、本発明の一態様では、新規な表示装置を提供することを課題の一とする。
【0016】
なお、上記の課題の記載は、他の課題の存在を妨げない。なお、本発明の一態様は、必
ずしも、これらの課題の全てを解決する必要はない。上記以外の課題は、明細書等の記載
から自ずと明らかであり、明細書等の記載から上記以外の課題を抽出することが可能であ
る。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一態様は、励起錯体を形成する組み合わせの2種類の有機化合物を有する発光
素子である。
【0018】
また、本発明の一態様は、第1の有機化合物と、第2の有機化合物と、を有する発光素
子であって、第1の有機化合物と、第2の有機化合物と、が励起錯体を形成する組み合わ
せであり、第1の有機化合物の最低三重項励起エネルギー準位または第2の有機化合物の
最低三重項励起エネルギー準位のうちエネルギーが低い一方は、励起錯体が呈する発光の
エネルギーの-0.2eV以上0.4eV以下のエネルギーを有する発光素子である。
【0019】
また、本発明の他の一態様は、第1の有機化合物と、第2の有機化合物と、を有する発
光素子であって、第1の有機化合物と、第2の有機化合物と、が励起錯体を形成する組み
合わせであり、第1の有機化合物のLUMO準位と第2の有機化合物のHOMO準位との
エネルギー差は、励起錯体が呈する発光のエネルギーの-0.1eV以上0.4eV以下
である、発光素子である。
【0020】
また、本発明の他の一態様は、第1の有機化合物と、第2の有機化合物と、を有する発
光素子であって、第1の有機化合物と、第2の有機化合物と、が励起錯体を形成する組み
合わせであり、第1の有機化合物のLUMO準位と第2の有機化合物のHOMO準位との
エネルギー差は、励起錯体が呈する発光のエネルギーの-0.1eV以上0.4eV以下
であり、第1の有機化合物の最低三重項励起エネルギー準位または第2の有機化合物の最
低三重項励起エネルギー準位のうちエネルギーが低い一方は、励起錯体が呈する発光のエ
ネルギーの-0.2eV以上0.4eV以下のエネルギーを有する発光素子である。
【0021】
上記各構成において、発光素子は、さらにゲスト材料を有し、ゲスト材料は、発光を呈
する機能を有し、励起錯体は、ゲスト材料へ励起エネルギーを供与する機能を有すると好
ましい。また、ゲスト材料は、蛍光性化合物を有し、励起錯体が呈する発光スペクトルが
、ゲスト材料の最も低いエネルギー側の吸収帯と重なる領域を有すると好ましい。
【0022】
また、上記各構成において、第1の有機化合物は、電子を輸送する機能を有し、第2の
有機化合物は、正孔を輸送する機能を有すると好ましい。また、第1の有機化合物は、π
電子不足型複素芳香環骨格を有し、第2の有機化合物は、π電子過剰型複素芳香環骨格ま
たは芳香族アミン骨格の少なくとも一方を有すると好ましい。また、第1の有機化合物は
、ジアジン骨格を有し、第2の有機化合物は、カルバゾール骨格およびトリアリールアミ
ン骨格を有すると好ましい。
【0023】
また、本発明の他の一態様は、上記各構成の発光素子と、カラーフィルタまたはトラン
ジスタの少なくとも一方と、を有する表示装置である。また、本発明の他の一態様は、当
該表示装置と、筐体またはタッチセンサの少なくとも一方と、を有する電子機器である。
また、本発明の他の一態様は、上記各構成の発光素子と、筐体またはタッチセンサの少な
くとも一方と、を有する照明装置である。また、本発明の一態様は、発光素子を有する発
光装置だけでなく、発光装置を有する電子機器も範疇に含める。従って、本明細書中にお
ける発光装置とは、画像表示デバイス、もしくは光源(照明装置含む)を指す。また、発
光素子にコネクター、例えばFPC(Flexible Printed Circui
t)、TCP(Tape Carrier Package)が取り付けられた表示モジ
ュール、TCPの先にプリント配線板が設けられた表示モジュール、または発光素子にC
OG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装された表示
モジュールも発光装置に含む場合がある。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一態様により、発光効率が高い発光素子を提供することができる。または、本
発明の一態様により、消費電力が低減された発光素子を提供することができる。または、
本発明の一態様により、新規な発光素子を提供することができる。または、本発明の一態
様により、新規な発光装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、新
規な表示装置を提供することができる。
【0025】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げない。なお、本発明の一態様は、
必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書
、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかであり、明細書、図面、請求項などの記載
から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図2】本発明の一態様の発光素子に係るエネルギー準位の相関を説明する図。
【
図3】本発明の一態様の発光素子の発光層の断面模式図、及びエネルギー準位の相関を説明する図。
【
図4】本発明の一態様の発光素子の断面模式図、及び発光層におけるエネルギー準位の相関を説明する図。
【
図5】本発明の一態様の発光素子の断面模式図、及び発光層におけるエネルギー準位の相関を説明する図。
【
図8】本発明の一態様の発光素子の作製方法を説明する断面模式図。
【
図9】本発明の一態様の発光素子の作製方法を説明する断面模式図。
【
図10】本発明の一態様の表示装置を説明する上面図及び断面模式図。
【
図11】本発明の一態様の表示装置を説明する断面模式図。
【
図12】本発明の一態様の表示装置を説明する断面模式図。
【
図13】本発明の一態様の表示装置を説明する断面模式図。
【
図14】本発明の一態様の表示装置を説明する断面模式図。
【
図15】本発明の一態様の表示装置を説明する断面模式図。
【
図16】本発明の一態様の表示装置を説明する断面模式図。
【
図17】本発明の一態様の表示装置を説明する断面模式図。
【
図18】本発明の一態様の表示装置を説明する断面模式図。
【
図21】本発明の一態様の表示装置を説明するブロック図及び回路図。
【
図22】本発明の一態様のタッチパネルの一例を示す斜視図。
【
図23】本発明の一態様の表示装置、及びタッチセンサの一例を示す断面図。
【
図24】本発明の一態様のタッチパネルの一例を示す断面図。
【
図25】本発明の一態様に係るタッチセンサのブロック図及びタイミングチャート図。
【
図26】本発明の一態様に係るタッチセンサの回路図。
【
図27】本発明の一態様の表示装置の構成を説明する図。
【
図28】本発明の一態様の表示装置の構成を説明する断面図。
【
図29】本発明の一態様の表示装置の画素の回路を説明する図。
【
図30】本発明の一態様の表示装置の構成を説明する図。
【
図31】本発明の一態様の電子機器について説明する図。
【
図32】本発明の一態様の電子機器について説明する図。
【
図33】本発明の一態様の電子機器について説明する図。
【
図34】本発明の一態様の電子機器について説明する図。
【
図35】本発明の一態様の表示装置を説明する斜視図。
【
図36】本発明の一態様の発光装置を説明する斜視図及び断面図。
【
図37】本発明の一態様の発光装置を説明する断面図。
【
図38】本発明の一態様の照明装置及び電子機器を説明する図。
【
図39】本発明の一態様の照明装置について説明する図。
【
図40】実施例に係る、発光素子の輝度-電流密度特性を説明する図。
【
図41】実施例に係る、発光素子の輝度-電圧特性を説明する図。
【
図42】実施例に係る、発光素子の電流効率-輝度特性を説明する図。
【
図43】実施例に係る、発光素子の外部量子効率-輝度特性を説明する図。
【
図44】実施例に係る、発光素子の電界発光スペクトルを説明する図。
【
図45】実施例に係る、薄膜の発光スペクトルを説明する図。
【
図46】実施例に係る、薄膜の時間分解蛍光測定の結果を説明する図。
【
図47】実施例に係る、薄膜の時間分解蛍光測定の結果を説明する図。
【
図48】実施例に係る、薄膜の発光スペクトルを説明する図。
【
図49】実施例に係る、発光素子の外部量子効率、発光エネルギー、及び化合物のエネルギー準位と、の関係を説明する図。
【
図50】実施例に係る、発光素子の外部量子効率、発光エネルギー、及び化合物のエネルギー準位と、の関係を説明する図。
【
図51】実施例に係る、発光素子の外部量子効率と、発光素子の発光エネルギーと化合物のエネルギー準位とのエネルギー差、の関係を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の態様について図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下
の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細
を様々に変更し得ることが可能である。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内
容に限定して解釈されない。
【0028】
なお、図面等において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解の簡単のため、
実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、
必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
【0029】
また、本明細書等において、第1、第2等として付される序数詞は便宜上用いており、
工程順又は積層順を示さない場合がある。そのため、例えば、「第1の」を「第2の」又
は「第3の」などと適宜置き換えて説明することができる。また、本明細書等に記載され
ている序数詞と、本発明の一態様を特定するために用いられる序数詞は一致しない場合が
ある。
【0030】
また、本明細書等において、図面を用いて発明の構成を説明するにあたり、同じものを
指す符号は異なる図面間でも共通して用いる場合がある。
【0031】
また、本明細書等において、「膜」という用語と、「層」という用語とは、互いに入れ
替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変
更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」
という用語に変更することが可能な場合がある。
【0032】
また、本明細書等において、一重項励起状態(S*)は、励起エネルギーを有する一重
項状態のことである。また、S1準位は一重項励起エネルギー準位の最も低い準位であり
、最も低い一重項励起状態(S1状態)の励起エネルギー準位のことである。また、三重
項励起状態(T*)は、励起エネルギーを有する三重項状態のことである。また、T1準
位は、三重項励起エネルギー準位の最も低い準位であり、最も低い三重項励起状態(T1
状態)の励起エネルギー準位のことである。なお、本明細書等において、単に一重項励起
状態および一重項励起エネルギー準位と表記した場合であっても、S1状態およびS1準
位を表す場合がある。また、三重項励起状態および三重項励起エネルギー準位と表記した
場合であっても、T1状態およびT1準位を表す場合がある。
【0033】
また、本明細書等において蛍光性化合物とは、一重項励起状態から基底状態へ緩和する
際に可視光領域に発光を与える化合物である。燐光性化合物とは、三重項励起状態から基
底状態へ緩和する際に、室温において可視光領域に発光を与える化合物である。換言する
と燐光性化合物とは、三重項励起エネルギーを可視光へ変換可能な化合物の一つである。
【0034】
なお、本明細書等において、室温とは、0℃以上40℃以下のいずれかの温度をいう。
【0035】
また、本明細書等において、青色の波長領域は、400nm以上490nm未満であり
、青色の発光は、該波長領域に少なくとも一つの発光スペクトルピークを有する。また、
緑色の波長領域は、490nm以上580nm未満であり、緑色の発光は、該波長領域に
少なくとも一つの発光スペクトルピークを有する。また、赤色の波長領域は、580nm
以上680nm以下であり、赤色の発光は、該波長領域に少なくとも一つの発光スペクト
ルピークを有する。
【0036】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光素子について、
図1乃至
図3を用いて以下説
明する。
【0037】
<発光素子の構成例1>
まず、本発明の一態様の発光素子の構成について、
図1(A)及び(B)を用いて、以
下説明する。
【0038】
図1(A)は、本発明の一態様の発光素子450の断面模式図である。
【0039】
発光素子450は、一対の電極(電極401及び電極402)を有し、該一対の電極間
に設けられたEL層400を有する。EL層400は、少なくとも発光層430を有する
。
【0040】
また、
図1(A)に示すEL層400は、発光層430の他に、正孔注入層411、正
孔輸送層412、電子輸送層418、及び電子注入層419等の機能層を有する。
【0041】
なお、本実施の形態においては、一対の電極のうち、電極401を陽極として、電極4
02を陰極として説明するが、発光素子450の構成としては、その限りではない。つま
り、電極401を陰極とし、電極402を陽極とし、当該電極間の各層の積層を、逆の順
番にしてもよい。すなわち、陽極側から、正孔注入層411と、正孔輸送層412と、発
光層430と、電子輸送層418と、電子注入層419と、が積層する順番とすればよい
。
【0042】
なお、EL層400の構成は、
図1(A)に示す構成に限定されず、正孔注入層411
、正孔輸送層412、電子輸送層418、及び電子注入層419の中から選ばれた少なく
とも一つを有する構成とすればよい。あるいは、EL層400は、正孔または電子の注入
障壁を低減する、正孔または電子の輸送性を向上する、正孔または電子の輸送性を阻害す
る、または電極による消光現象を抑制する、ことができる等の機能を有する機能層を有す
る構成としてもよい。なお、機能層はそれぞれ単層であっても、複数の層が積層された構
成であってもよい。
【0043】
図1(B)は、
図1(A)に示す発光層430の一例を示す断面模式図である。
図1(
B)に示す発光層430は、有機化合物431と、有機化合物432と、を有する。
【0044】
本発明の一態様の発光素子450においては、一対の電極(電極401及び電極402
)間に電圧を印加することにより、陰極から電子が、陽極から正孔(ホール)が、それぞ
れEL層400に注入され、電流が流れる。そして、注入された電子及び正孔が再結合す
ることによって、励起子が形成される。キャリア(電子および正孔)の再結合によって生
じる励起子のうち、一重項励起子と三重項励起子の比(以下、励起子生成確率)は、統計
的確率により、1:3となる。そのため、蛍光性の発光素子において、発光に寄与する一
重項励起子が生成する割合は25%であり、発光に寄与しない三重項励起子が生成する割
合は75%となる。したがって、発光に寄与しない三重項励起子を、発光に寄与する一重
項励起子へ変換することが、発光素子の発光効率を向上させるためには重要である。
【0045】
<発光素子の発光機構1>
次に、発光層430の発光機構について、以下説明を行う。
【0046】
発光層430が有する有機化合物431および有機化合物432は、励起錯体(エキサ
イプレックス、エキシプレックスまたはExciplexともいう)を形成する組み合わ
せであると好ましい。
【0047】
有機化合物431と有機化合物432との組み合わせは、励起錯体を形成することが可
能な組み合わせであればよいが、一方が正孔を輸送する機能(正孔輸送性)を有する化合
物であり、他方が電子を輸送する機能(電子輸送性)を有する化合物であることが、より
好ましい。この場合、ドナー-アクセプター型の励起錯体を形成しやすくなり、効率よく
励起錯体を形成することができる。また、有機化合物431と有機化合物432との組み
合わせが、正孔輸送性を有する化合物と電子輸送性を有する化合物との組み合わせである
場合、その混合比によってキャリアバランスを容易に制御することが可能となる。具体的
には、正孔輸送性を有する化合物:電子輸送性を有する化合物=1:9から9:1(重量
比)の範囲が好ましい。また、該構成を有することで、容易にキャリアバランスを制御す
ることができることから、キャリア再結合領域の制御も簡便に行うことができる。
【0048】
また、効率よく励起錯体を形成するホスト材料の組み合わせとしては、有機化合物43
1及び有機化合物432のうち一方のHOMO(Highest Occupied M
olecular Orbital、最高被占軌道ともいう)準位が他方のHOMO準位
より高く、一方のLUMO(Lowest Unoccupied Molecular
Orbital、最低空軌道ともいう)準位が他方のLUMO準位より高いことが好ま
しい。
【0049】
例えば、有機化合物431が電子輸送性を有し、有機化合物432が正孔輸送性を有す
る場合、
図2(A)に示すエネルギーバンド図のように、有機化合物432のHOMO準
位が有機化合物431のHOMO準位より高いことが好ましく、有機化合物432のLU
MO準位が有機化合物431のLUMO準位より高いことが好ましい。具体的には、有機
化合物431のHOMO準位と有機化合物432のHOMO準位とのエネルギー差は、好
ましくは0.05eV以上であり、より好ましくは0.1eV以上であり、さらに好まし
くは0.2eV以上である。また、有機化合物431のLUMO準位と有機化合物432
のLUMO準位とのエネルギー差は、好ましくは0.05eV以上であり、より好ましく
は0.1eV以上であり、さらに好ましくは0.2eV以上である。該エネルギー差を有
することで、一対の電極(電極401および電極402)から注入されたキャリアである
電子及び正孔が、有機化合物431および有機化合物432に、それぞれ注入されやすく
なり好適である。
【0050】
なお、
図2(A)において、Host(431)は有機化合物431を表し、Host
(432)は有機化合物432を表し、ΔE
H1は有機化合物431のLUMO準位とH
OMO準位とのエネルギー差を表し、ΔE
H2は有機化合物432のLUMO準位とHO
MO準位とのエネルギー差を表し、ΔE
Eは有機化合物431のLUMO準位と有機化合
物432のHOMO準位とのエネルギー差を表す、表記及び符号である。
【0051】
また、このとき、有機化合物431と有機化合物432とが形成する励起錯体は、有機
化合物431にLUMOの分子軌道を有し、有機化合物432にHOMOの分子軌道を有
する励起錯体となる。また、該励起錯体の励起エネルギーは、有機化合物431のLUM
O準位と有機化合物432のHOMO準位とのエネルギー差(ΔEE)に概ね相当し、有
機化合物431のLUMO準位とHOMO準位とのエネルギー差(ΔEH1)及び有機化
合物432のLUMO準位とHOMO準位とのエネルギー差(ΔEH2)より小さくなる
。したがって、有機化合物431と有機化合物432とが励起錯体を形成することで、よ
り低い励起エネルギーで励起状態を形成することが可能となる。また、より低い励起エネ
ルギーを有するため、該励起錯体は、安定な励起状態を形成することができる。
【0052】
また、発光層430における有機化合物431と、有機化合物432とのエネルギー準
位の相関を
図2(B)に示す。なお、
図2(B)における表記及び符号は、以下の通りで
ある。
・Host(431):有機化合物431
・Host(432):有機化合物432
・S
H1:有機化合物431のS1準位
・T
H1:有機化合物431のT1準位
・S
H2:有機化合物432のS1準位
・T
H2:有機化合物432のT1準位
・S
E:励起錯体のS1準位
・T
E:励起錯体のT1準位
【0053】
本発明の一態様の発光素子においては、発光層430が有する有機化合物431と有機
化合物432とが励起錯体を形成する。励起錯体のS1準位(S
E)と励起錯体のT1準
位(T
E)とは、互いに隣接したエネルギー準位となる(
図2(B) ルートE
1参照)
。
【0054】
励起錯体は、2種類の物質からなる励起状態であり、光励起の場合、励起状態となった
一方の物質が基底状態である他方の物質と相互作用することによって形成される。そして
、光を発することによって基底状態になると、励起錯体を形成していた2種類の物質は、
また元の別々の物質として振る舞う。電気励起の場合は、一方が励起状態になると、速や
かに他方と相互作用することで励起錯体を形成する。あるいは、一方が正孔を、他方が電
子を受け取ることで速やかに励起錯体を形成することができる。この場合、いずれの物質
においても励起状態を形成することなく励起錯体を形成することができるため、発光層4
30における励起子のほとんどが励起錯体として存在することが可能となる。励起錯体の
励起エネルギー準位(SEおよびTE)は、励起錯体を形成する各有機化合物(有機化合
物431および有機化合物432)のS1準位(SH1およびSH2)より低くなるため
、より低い励起エネルギーで有機化合物431の励起状態を形成することが可能となる。
これによって、発光素子450の駆動電圧を低減することができる。
【0055】
励起錯体のS1準位(S
E)とT1準位(T
E)は、互いに隣接したエネルギー準位で
あるため、熱活性化遅延蛍光を呈する機能を有する。すなわち、励起錯体は三重項励起エ
ネルギーを逆項間交差(アップコンバージョン)によって一重項励起エネルギーに変換す
る機能を有する(
図2(B) ルートE
2参照)。したがって、発光層430で生成した
三重項励起エネルギーの一部は励起錯体により一重項励起エネルギーに変換される。その
ためには、励起錯体のS1準位(S
E)とT1準位(T
E)とのエネルギー差は、0eV
より大きく0.2eV以下であると好ましく、0eVより大きく0.1eV以下であると
より好ましい。なお、逆項間交差を効率よく生じさせるためには、励起錯体のT1準位(
T
E)が、励起錯体を形成する各有機化合物(有機化合物431および有機化合物432
)のT1準位(T
H1およびT
H2)よりも低いことが好ましい。これにより、各有機化
合物による励起錯体の三重項励起エネルギーのクエンチが生じにくくなり、効率よく逆項
間交差が発生する。
【0056】
また、キャリアの再結合によって直接および逆項間交差を経て生成した一重項励起状態
の励起錯体から、発光が得られる。なお、励起錯体が呈する発光のエネルギー(略称:Δ
EEm)は、励起錯体のS1準位(SE)のエネルギーに相当するが、励起錯体のLUM
O準位とHOMO準位とのエネルギー差(ΔEE)と同等か、それよりも小さくなる(Δ
EE≧ΔEEm)。このとき、励起錯体を形成する各有機化合物(有機化合物431およ
び有機化合物432)のT1準位(TH1およびTH2)のうちエネルギーが低い一方の
エネルギーが、励起錯体が呈する発光のエネルギー(ΔEEm)の-0.2eV以上、好
ましくは0eV以上のエネルギーであれば、有機化合物431と有機化合物432とで形
成する励起錯体から効率よく発光を得ることができることを本発明者は見出した。これに
より、各有機化合物による励起錯体の三重項励起エネルギーのクエンチが生じにくくなり
、効率よく逆項間交差が発生する。
【0057】
なお、発光のエネルギーは、発光スペクトルの最も短波長側の発光ピーク(極大値、ま
たはショルダーを含む)の波長から導出することができる。
【0058】
また、各有機化合物(有機化合物431および有機化合物432)のT1準位(TH1
およびTH2)が励起錯体のT1準位(TE)より十分に大きいとき、各有機化合物(有
機化合物431および有機化合物432)のT1準位(TH1及びTH2)およびS1準
位(SH1およびSH2)の双方が大きな励起エネルギーを有することになり、各有機化
合物(有機化合物431および有機化合物432)のLUMO準位とHOMO準位とのエ
ネルギー差(ΔEH1およびΔEH2)も大きくなる。そうすると、有機化合物431お
よび有機化合物432へのキャリア(電子および正孔)の注入が困難となるため、結果と
して、励起錯体が形成されにくくなってしまう。また、有機化合物431または有機化合
物432の一方でキャリア再結合が生じ、他方と励起錯体を形成する場合に、有機化合物
431および有機化合物432が大きな励起エネルギーを有すると、有機化合物431お
よび有機化合物432の励起エネルギーと、励起錯体の励起エネルギーと、のエネルギー
差が大きくなるため、励起錯体を形成する際に該エネルギー差に相当するエネルギーを放
出する無輻射失活過程を経る必要があり、分子の立体構造における構造緩和が大きくなる
。有機化合物431の励起状態または有機化合物432の励起状態と、励起錯体と、の分
子の立体構造が大きく異なると、励起錯体を形成する反応の速度定数は小さくなるため、
励起錯体が形成されにくくなってしまう。そのため、励起錯体を形成する各有機化合物(
有機化合物431および有機化合物432)のT1準位(TH1およびTH2)のうち少
なくともエネルギーが低い一方のエネルギーと、励起錯体が呈する発光のエネルギー(Δ
EEm)とのエネルギー差は小さい方が好ましく、具体的には励起錯体を形成する各有機
化合物(有機化合物431および有機化合物432)のT1準位(TH1およびTH2)
のうちエネルギーが低い一方のエネルギーと、励起錯体が呈する発光のエネルギー(ΔE
Em)とのエネルギー差は0.4eV以下であると好ましい。
【0059】
以上の理由から、励起錯体を形成する各有機化合物(有機化合物431および有機化合
物432)のT1準位(TH1およびTH2)のうちエネルギーが低い一方のエネルギー
が、励起錯体が呈する発光のエネルギー(ΔEEm)の-0.2eV以上0.4eV以下
のエネルギーであると好ましく、0eV以上0.4eV以下のエネルギーであるとより好
ましい。
【0060】
また、有機化合物431のLUMO準位と有機化合物432のHOMO準位とのエネル
ギー差(ΔEE)は、これらが形成する励起錯体の発光のエネルギー(ΔEEm)と同等
かそれ以上のエネルギーを有する(ΔEE≧ΔEEm)が、励起状態である励起錯体(有
機化合物431および有機化合物432)の分子の立体構造と、基底状態の有機化合物4
31および有機化合物432の分子の立体構造とで、立体構造が大きく異なる場合、励起
錯体の発光過程において分子の立体構造の構造緩和が大きくなり、ΔEEとΔEEmとの
エネルギー差が大きくなる。このとき、励起錯体の発光の速度定数は小さくなるため、励
起錯体の発光効率が低下する場合がある。したがって、有機化合物431のLUMO準位
と有機化合物432のHOMO準位とのエネルギー差(ΔEE)と、これらが形成する励
起錯体の発光のエネルギー(ΔEEm)と、のエネルギー差は小さいことが好ましい。具
体的には、有機化合物431のLUMO準位と有機化合物432のHOMO準位とのエネ
ルギー差(ΔEE)は、これらが形成する励起錯体の発光のエネルギー(ΔEEm)の-
0.1eV以上0.4eV以下のエネルギー(ΔEEm-0.1eV≦ΔEE≦ΔEEm
+0.4eV)であると好ましく、0eV以上0.4eV以下のエネルギー(ΔEEm≦
ΔEE≦ΔEEm+0.4eV)であるとより好ましい。
【0061】
なお、有機化合物のLUMO準位およびHOMO準位は、サイクリックボルタンメトリ
(CV)測定によって測定される有機化合物の電気化学特性(還元電位および酸化電位)
から導出することができる。
<発光素子の構成例2>
【0062】
次に、
図1(B)に示す発光層と異なる構成例について、
図3(A)を用いて、以下説
明を行う。
【0063】
図3(A)は、
図1(A)に示す発光層430の一例を示す断面模式図である。
図3(
A)に示す発光層430は、有機化合物431と、有機化合物432と、ゲスト材料43
3と、を有する。
【0064】
なお、ゲスト材料433としては、発光性の有機化合物を用いればよく、該発光性の有
機化合物としては、蛍光を発することができる物質(以下、蛍光性化合物ともいう)であ
ると好適である。以下の説明においては、ゲスト材料433として、蛍光性化合物を用い
る構成について説明する。なお、ゲスト材料433を蛍光性化合物として読み替えてもよ
い。
【0065】
<発光素子の発光機構2>
図3(A)に示す発光層430における有機化合物431と、有機化合物432と、ゲ
スト材料433とのエネルギー準位の相関を
図3(B)に示す。なお、
図3(B)におけ
る表記及び符号は、以下の通りである。
・Host(431):有機化合物431
・Host(432):有機化合物432
・Guest(433):ゲスト材料433(蛍光性化合物)
・S
H1:有機化合物431のS1準位
・T
H1:有機化合物431のT1準位
・S
H2:有機化合物432のS1準位
・T
H2:有機化合物432のT1準位
・S
G:ゲスト材料433(蛍光性化合物)のS1準位
・T
G:ゲスト材料433(蛍光性化合物)のT1準位
・S
E:励起錯体のS1準位
・T
E:励起錯体のT1準位
【0066】
発光層430中では、ホスト材料(有機化合物431および有機化合物432)が重量
比で最も多く存在し、ゲスト材料433(蛍光性化合物)は、ホスト材料(有機化合物4
31および有機化合物432)中に分散される。発光層430のホスト材料(有機化合物
431及び有機化合物432)のS1準位(SH1およびSH2)は、発光層430のゲ
スト材料433(蛍光性化合物)のS1準位(SG)よりも高いことが好ましい。また、
発光層430のホスト材料(有機化合物431及び有機化合物432)のT1準位(TH
1およびTH2)は、発光層430のゲスト材料433(蛍光性化合物)のT1準位(T
G)よりも高いことが好ましい。
【0067】
また、励起錯体のS1準位(S
E)は、ゲスト材料433のS1準位(S
G)より高い
ことが好ましい。そうすることで、生成した励起錯体の一重項励起エネルギーは、励起錯
体のS1準位(S
E)からゲスト材料433のS1準位(S
G)へエネルギー移動するこ
とができ、ゲスト材料433が一重項励起状態となり、発光する(
図3(B) ルートE
3参照)。
【0068】
なお、ゲスト材料433の一重項励起状態から効率よく発光を得るためには、ゲスト材
料433の蛍光量子収率は高いことが好ましく、具体的には、好ましくは50%以上、よ
り好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上である。
【0069】
なお、励起錯体のS1準位(SE)から、ゲスト材料433のT1準位(TG)へのエ
ネルギー移動は、ゲスト材料433における一重項基底状態から三重項励起状態への直接
遷移が禁制であることから、主たるエネルギー移動過程になりにくい。
【0070】
また、励起錯体のT1準位(T
E)からゲスト材料433のT1準位(T
G)へ三重項
励起エネルギー移動が生じると、三重項励起エネルギーは失活してしまう(
図3(B)
ルートE
4参照)。そのため、ルートE
4のエネルギー移動が少ない方が、ゲスト材料4
33の三重項励起状態の生成効率を低減することができ、熱失活を減少することができる
ため好ましい。そのためには、有機化合物431および有機化合物432の総量とゲスト
材料433との重量比は、ゲスト材料433の重量比が低いことが好ましく、具体的には
有機化合物431と有機化合物432の総量に対するゲスト材料433の重量比が、好ま
しくは0.001以上0.05以下であり、より好ましくは0.001以上0.01以下
である。
【0071】
なお、ゲスト材料433においてキャリアの直接再結合過程が支配的になると、発光層
430において三重項励起子が多数生成することになり、熱失活によって発光効率を損ね
てしまう。そのため、ゲスト材料433においてキャリアが直接再結合する過程よりも、
励起錯体の生成過程を経たエネルギー移動過程(
図3(B) ルートE
2及びE
3)の割
合が多い方が、ゲスト材料433の三重項励起状態の生成効率を低減することができ、熱
失活を抑制することができるため好ましい。そのためには、やはり有機化合物431及び
有機化合物432の総量とゲスト材料433との重量比は、ゲスト材料433の重量比が
低いことが好ましく、具体的には有機化合物431及び有機化合物432の総量に対する
ゲスト材料433の重量比が、好ましくは0.001以上0.05以下であり、より好ま
しくは0.001以上0.01以下である。
【0072】
以上のように、上述のルートE2及びE3のエネルギー移動過程が全て効率よく生じれ
ば、有機化合物431の一重項励起エネルギー及び三重項励起エネルギーの双方が効率よ
くゲスト材料433の一重項励起状態のエネルギーに変換されるため、発光素子450は
高い発光効率で発光することが可能となる。
【0073】
上記に示すルートE1乃至E3の過程を、本明細書等において、ExSET(Exci
plex-Singlet Energy Transfer)またはExEF(Exc
iplex-Enhanced Fluorescence)と呼称する場合がある。別
言すると、発光層430は、励起錯体からゲスト材料433への励起エネルギーの供与が
ある。
【0074】
発光層430を上述の構成とすることで、発光層430のゲスト材料433からの発光
を効率よく得ることができる。
【0075】
<エネルギー移動機構>
次に、ホスト材料(有機化合物431及び有機化合物432)と、ゲスト材料433と
の分子間のエネルギー移動過程の支配因子について説明する。分子間のエネルギー移動の
機構としては、フェルスター機構(双極子-双極子相互作用)と、デクスター機構(電子
交換相互作用)の2つの機構が提唱されている。ここでは、ホスト材料とゲスト材料43
3との分子間のエネルギー移動過程について説明するが、ホスト材料が励起錯体の場合も
同様である。
【0076】
≪フェルスター機構≫
フェルスター機構では、エネルギー移動に、分子間の直接的接触を必要とせず、ホスト
材料及びゲスト材料433間の双極子振動の共鳴現象を通じてエネルギー移動が起こる。
双極子振動の共鳴現象によってホスト材料がゲスト材料433にエネルギーを受け渡し、
励起状態のホスト材料が基底状態になり、基底状態のゲスト材料433が励起状態になる
。なお、フェルスター機構の速度定数kh*→gを数式(1)に示す。
【0077】
【0078】
数式(1)において、νは、振動数を表し、f’h(ν)は、ホスト材料の規格化され
た発光スペクトル(一重項励起状態からのエネルギー移動を論じる場合は蛍光スペクトル
、三重項励起状態からのエネルギー移動を論じる場合は燐光スペクトル)を表し、εg(
ν)は、ゲスト材料433のモル吸光係数を表し、Nは、アボガドロ数を表し、nは、媒
体の屈折率を表し、Rは、ホスト材料とゲスト材料433の分子間距離を表し、τは、実
測される励起状態の寿命(蛍光寿命や燐光寿命)を表し、cは、光速を表し、φは、発光
量子収率(一重項励起状態からのエネルギー移動を論じる場合は蛍光量子収率、三重項励
起状態からのエネルギー移動を論じる場合は燐光量子収率)を表し、K2は、ホスト材料
とゲスト材料433の遷移双極子モーメントの配向を表す係数(0から4)である。なお
、ランダム配向の場合はK2=2/3である。
【0079】
≪デクスター機構≫
デクスター機構では、ホスト材料とゲスト材料433が軌道の重なりを生じる接触有効
距離に近づき、励起状態のホスト材料の電子と、基底状態のゲスト材料433との電子の
交換を通じてエネルギー移動が起こる。なお、デクスター機構の速度定数kh*→gを数
式(2)に示す。
【0080】
【0081】
数式(2)において、hは、プランク定数であり、Kは、エネルギーの次元を持つ定数
であり、νは、振動数を表し、f’h(ν)は、ホスト材料の規格化された発光スペクト
ル(一重項励起状態からのエネルギー移動を論じる場合は蛍光スペクトル、三重項励起状
態からのエネルギー移動を論じる場合は燐光スペクトル)を表し、ε’g(ν)は、ゲス
ト材料433の規格化された吸収スペクトルを表し、Lは、実効分子半径を表し、Rは、
ホスト材料とゲスト材料433の分子間距離を表す。
【0082】
ここで、ホスト材料からゲスト材料433へのエネルギー移動効率φETは、数式(3
)で表される。krは、ホスト材料の発光過程(一重項励起状態からのエネルギー移動を
論じる場合は蛍光、三重項励起状態からのエネルギー移動を論じる場合は燐光)の速度定
数を表し、knは、ホスト材料の非発光過程(熱失活や項間交差)の速度定数を表し、τ
は、実測されるホスト材料の励起状態の寿命を表す。
【0083】
【0084】
数式(3)より、エネルギー移動効率φETを高くするためには、エネルギー移動の速
度定数kh*→gを大きくし、他の競合する速度定数kr+kn(=1/τ)が相対的に
小さくなれば良いことがわかる。
【0085】
≪エネルギー移動を高めるための概念≫
まず、フェルスター機構によるエネルギー移動を考える。数式(3)に数式(1)を代
入することでτを消去することができる。したがって、フェルスター機構の場合、エネル
ギー移動効率φETは、ホスト材料の励起状態の寿命τに依存しない。また、エネルギー
移動効率φETは、発光量子収率φ(一重項励起状態からのエネルギー移動を論じている
ので、蛍光量子収率)が高い方が良いと言える。一般的に、有機化合物の三重項励起状態
からの発光量子収率は室温において非常に低い。そのため、ホスト材料が三重項励起状態
である場合、フェルスター機構によるエネルギー移動過程は無視でき、ホスト材料が一重
項励起状態である場合のみ考慮すればよい。
【0086】
また、ホスト材料の発光スペクトル(一重項励起状態からのエネルギー移動を論じる場
合は蛍光スペクトル)とゲスト材料433の吸収スペクトル(一重項基底状態から一重項
励起状態への遷移に相当する吸収)との重なりが大きいことが好ましい。さらに、ゲスト
材料433のモル吸光係数も高い方が好ましい。このことは、ホスト材料の発光スペクト
ルと、ゲスト材料433の最も長波長側に現れる吸収帯とが重なることを意味する。なお
、ゲスト材料433における一重項基底状態から三重項励起状態への直接遷移が禁制であ
ることから、ゲスト材料433において三重項励起状態が係わるモル吸光係数は無視でき
る量である。このことから、フェルスター機構によるゲスト材料433の三重項励起状態
へのエネルギー移動過程は無視でき、ゲスト材料433の一重項励起状態へのエネルギー
移動過程のみ考慮すればよい。すなわち、フェルスター機構においては、ホスト材料の一
重項励起状態からゲスト材料433の一重項励起状態へのエネルギー移動過程を考えれば
よい。
【0087】
次に、デクスター機構によるエネルギー移動を考える。数式(2)によれば、速度定数
kh*→gを大きくするにはホスト材料の発光スペクトル(一重項励起状態からのエネル
ギー移動を論じる場合は蛍光スペクトル)とゲスト材料433の吸収スペクトル(一重項
基底状態から一重項励起状態への遷移に相当する吸収)との重なりが大きい方が良いこと
がわかる。したがって、エネルギー移動効率の最適化は、ホスト材料の発光スペクトルと
、ゲスト材料433の最も長波長側に現れる吸収帯とが重なることによって実現される。
【0088】
また、数式(3)に数式(2)を代入すると、デクスター機構におけるエネルギー移動
効率φETは、τに依存することが分かる。デクスター機構は、電子交換に基づくエネル
ギー移動過程であるため、ホスト材料の一重項励起状態からゲスト材料433の一重項励
起状態へのエネルギー移動と同様に、ホスト材料の三重項励起状態からゲスト材料433
の三重項励起状態へのエネルギー移動も生じる。
【0089】
本発明の一態様の発光素子においては、ゲスト材料433は蛍光性化合物であるため、
ゲスト材料433の三重項励起状態へのエネルギー移動効率は低いことが好ましい。すな
わち、ホスト材料からゲスト材料433へのデクスター機構に基づくエネルギー移動効率
は低いことが好ましく、ホスト材料からゲスト材料433へのフェルスター機構に基づく
エネルギー移動効率は高いことが好ましい。
【0090】
ホスト材料からゲスト材料433へのフェルスター機構に基づくエネルギー移動効率を
高めるためには、ホスト材料の蛍光量子収率(発光効率ともいう)を高めることが好まし
い。
【0091】
また、既に述べたように、フェルスター機構におけるエネルギー移動効率は、ホスト材
料の励起状態の寿命τに依存しない。一方、デクスター機構におけるエネルギー移動効率
は、ホスト材料の励起寿命τに依存し、デクスター機構におけるエネルギー移動効率を低
下させるためには、ホスト材料の励起寿命τは短いことが好ましい。
【0092】
なお、ホスト材料からゲスト材料433へのエネルギー移動と同様に、励起錯体からゲ
スト材料433へのエネルギー移動過程についても、フェルスター機構、及びデクスター
機構の双方の機構によるエネルギー移動が生じる。
【0093】
そこで、本発明の一態様は、ゲスト材料433に効率的にエネルギー移動が可能なエネ
ルギードナーとしての機能を有する励起錯体、を形成する組み合わせの有機化合物431
および有機化合物432をホスト材料として有する発光素子を提供する。有機化合物43
1および有機化合物432が形成する励起錯体は、S1準位とT1準位とが近接している
という特徴を有する。そのため、発光層430において生成する三重項励起子から一重項
励起子への遷移(逆項間交差)が起こりやすい。したがって、発光層430において一重
項励起子の生成効率を高めることができる。さらに、励起錯体の一重項励起状態からエネ
ルギーアクセプターとなるゲスト材料433の一重項励起状態へのエネルギー移動を生じ
やすくするためには、励起錯体の発光スペクトルと、ゲスト材料433の最も長波長側(
低エネルギー側)に現れる吸収帯と、が重なると好ましい。そうすることで、ゲスト材料
433の一重項励起状態の生成効率を高めることができる。
【0094】
励起錯体の発光効率を高めるためには、既に述べたように、励起錯体を形成する各有機
化合物(有機化合物431および有機化合物432)のT1準位(TH1およびTH2)
のうちエネルギーが低い一方のエネルギーが、励起錯体が呈する発光のエネルギー(ΔE
Em)の-0.2eV以上0.4eV以下のエネルギーであると好ましい。また、有機化
合物431のLUMO準位と有機化合物432のHOMO準位とのエネルギー差(ΔEE
)は、これらが形成する励起錯体の発光のエネルギー(ΔEEm)の-0.1eV以上0
.4eV以下のエネルギーであると好ましく、0eV以上0.4eV以下のエネルギーで
あるとより好ましい。
【0095】
また、励起錯体が呈する発光のうち、熱活性化遅延蛍光成分における蛍光寿命は短いこ
とが好ましく、具体的には、好ましくは10ns以上50μs以下、より好ましくは10
ns以上40μs以下、さらに好ましくは10ns以上30μs以下である。
【0096】
また、励起錯体が呈する発光のうち、熱活性化遅延蛍光成分が占める割合は高いことが
好ましい。具体的には、励起錯体が呈する発光のうち、熱活性化遅延蛍光成分が占める割
合は好ましくは5%以上、より好ましくは8%以上、さらに好ましくは10%以上である
。
【0097】
<材料>
次に、本発明の一態様に係わる発光素子の構成要素の詳細について、以下説明を行う。
【0098】
≪発光層≫
発光層430に用いることができる材料について、それぞれ以下に説明する。
【0099】
有機化合物431および有機化合物432としては、互いに励起錯体を形成する組み合
わせであれば、特に限定はないが、一方が電子を輸送する機能を有し、他方が正孔を輸送
する機能を有すると好ましい。また、一方がπ電子不足型複素芳香環骨格を有し、他方が
π電子過剰型複素芳香環骨格または芳香族アミン骨格の少なくとも一を有すると好ましい
。
【0100】
有機化合物431または有機化合物432が有する芳香族アミン骨格としては、NH結
合を有さないいわゆる3級アミンが好ましく、特にトリアリールアミン骨格が好ましい。
トリアリールアミン骨格のアリール基としては、環を形成する炭素数が6乃至13の置換
又は無置換のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基
等が挙げられる。
【0101】
また、有機化合物431または有機化合物432が有するπ電子過剰型複素芳香環骨格
のうち、フラン骨格、チオフェン骨格、およびピロール骨格は、安定で信頼性が良好なた
め、当該骨格の中から選ばれるいずれか一つまたは複数を有することが、好ましい。なお
、フラン骨格としてはジベンゾフラン骨格が、チオフェン骨格としてはジベンゾチオフェ
ン骨格が、それぞれ好ましい。また、ピロール骨格としては、インドール骨格、カルバゾ
ール骨格、及び3-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H-カルバゾ
ール骨格、が特に好ましい。なお、これらの骨格は置換基を有していても良い。
【0102】
また、π電子過剰型複素芳香環骨格および芳香族アミン骨格を有する構造は、正孔輸送
性に優れ、安定で信頼性が良好なため、特に好ましく、例えば、カルバゾール骨格および
アリールアミン骨格を有する構造が挙げられる。
【0103】
上記の芳香族アミン骨格およびπ電子過剰型複素芳香環骨格としては、例えば、下記一
般式(101)乃至(117)で表される骨格が挙げられる。なお、一般式(115)乃
至(117)中のXは、酸素原子または硫黄原子を表す。
【0104】
【0105】
また、π電子不足型複素芳香環骨格のうち、ピリジン骨格、ジアジン骨格(ピリミジン
骨格、ピラジン骨格、ピリダジン骨格)、またはトリアジン骨格が好ましく、中でもジア
ジン骨格またはトリアジン骨格は、安定で信頼性が良好なため、好ましい。
【0106】
上記のπ電子不足型複素芳香環骨格としては、例えば、下記一般式(201)乃至(2
18)で表される骨格が挙げられる。なお、一般式(209)乃至(211)中のXは、
酸素原子または硫黄原子を表す。
【0107】
【0108】
また、正孔輸送性を有する骨格(具体的にはπ電子過剰型複素芳香環骨格および芳香族
アミン骨格の少なくとも一方)と、電子輸送性を有する骨格(具体的にはπ電子不足型複
素芳香環骨格)とが、直接またはアリーレン基を介して結合した化合物を用いてもよい。
なお、当該アリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ビフェニルジイル基、ナフタ
レンジイル基、フルオレンジイル基等が挙げられる。
【0109】
上記の正孔輸送性を有する骨格と、電子輸送性を有する骨格とを結合する結合基として
は、例えば、下記一般式(301)乃至(315)で表される基が挙げられる。
【0110】
【0111】
上述した芳香族アミン骨格(具体的には例えばトリアリールアミン骨格)、π電子過剰
型複素芳香環骨格(具体的には例えばフラン骨格、チオフェン骨格、ピロール骨格を有す
る環)、π電子不足型複素芳香環骨格(具体的には例えばジアジン骨格またはトリアジン
骨格を有する環)、あるいは上記の一般式(101)乃至(115)、一般式(201)
乃至(218)、及び一般式(301)乃至(315)は、置換基を有していてもよい。
当該置換基としては、炭素数1乃至炭素数6のアルキル基、炭素数3乃至炭素数6のシク
ロアルキル基、または炭素数6乃至炭素数13の置換もしくは無置換のアリール基も置換
基として選択することができる。炭素数1乃至炭素数6のアルキル基としては具体的には
、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基
、tert-ブチル基、n-ヘキシル基などを挙げることができる。また、炭素数3乃至
炭素数6のシクロアルキル基、としては具体的には、例えば、シクロプロピル基、シクロ
ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを挙げることができる。また、炭素
数6乃至炭素数13のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニ
ル基などを具体例として挙げることができる。また、上記置換基は互いに結合して環を形
成してもよい。このような例としては、例えば、フルオレン骨格における9位の炭素が置
換基としてフェニル基を二つ有する場合、当該フェニル基同士が結合することによって、
スピロフルオレン骨格を形成するような場合が挙げられる。なお、無置換の場合、合成の
容易さや原料の価格の面で有利である。
【0112】
また、Arは、単結合または炭素数6乃至炭素数13のアリーレン基を表し、該アリー
レン基は置換基を有していてもよく、該置換基は互いに結合して環を形成してもよい。こ
のような例としては、例えば、フルオレニル基の9位の炭素が置換基としてフェニル基を
二つ有し、当該フェニル基同士が結合することによって、スピロフルオレン骨格を形成す
るような場合が挙げられる。炭素数6乃至炭素数13のアリーレン基としては、例えば、
フェニレン基、ナフタレンジイル基、ビフェニルジイル基、フルオレンジイル基などを具
体例として挙げることができる。なお、該アリーレン基が置換基を有する場合、当該置換
基としては、炭素数1乃至炭素数6のアルキル基、炭素数3乃至炭素数6のシクロアルキ
ル基、または炭素数6乃至炭素数13のアリール基も置換基として選択することができる
。炭素数1乃至炭素数6のアルキル基としては具体的には、例えば、メチル基、エチル基
、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ヘ
キシル基などを挙げることができる。また、炭素数3乃至炭素数6のシクロアルキル基と
しては具体的には、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シ
クロヘキシル基などを挙げることができる。また、炭素数6乃至炭素数13のアリール基
としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基などを具体例として挙げるこ
とができる。
【0113】
また、Arで表されるアリーレン基は、例えば、下記構造式(Ar-1)乃至(Ar-
18)で表される基を適用することができる。なお、Arとして用いることのできる基は
これらに限られない。
【0114】
【0115】
また、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素、炭素数1乃至炭素数6のアルキル基、
炭素数3乃至炭素数6のシクロアルキル基、または炭素数6乃至炭素数13の置換もしく
は無置換のアリール基のいずれかを表す。炭素数1乃至炭素数6のアルキル基としては具
体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソ
ブチル基、tert-ブチル基、n-ヘキシル基などを挙げることができる。また、炭素
数3乃至炭素数6のシクロアルキル基、としては具体的には、例えば、シクロプロピル基
、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを挙げることができる。ま
た、炭素数6乃至炭素数13のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、
ビフェニル基、フルオレニル基などを具体例として挙げることができる。さらに、上述し
たアリール基やフェニル基は置換基を有していてもよく、該置換基は互いに結合して環を
形成してもよい。当該置換基としては、炭素数1乃至炭素数6のアルキル基、炭素数3乃
至炭素数6のシクロアルキル基、または炭素数6乃至炭素数13のアリール基も置換基と
して選択することができる。炭素数1乃至炭素数6のアルキル基としては具体的には、例
えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t
ert-ブチル基、n-ヘキシル基などを挙げることができる。また、炭素数3乃至炭素
数6のシクロアルキル基としては具体的には、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル
基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを挙げることができる。また、炭素数6乃
至炭素数13のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基な
どを具体例として挙げることができる。
【0116】
また、R1及びR2で表されるアルキル基またはアリール基は、例えば、下記構造式(
R-1)乃至(R-29)で表される基を適用することができる。なお、アルキル基また
はアリール基として用いることのできる基はこれらに限られない。
【0117】
【0118】
また、一般式(101)乃至(117)、一般式(201)乃至(218)、一般式(
301)乃至(315)、及びAr、R1及びR2が有することができる置換基は、例え
ば、上記構造式(R-1)乃至(R-24)で表されるアルキル基またはアリール基を適
用することができる。なお、アルキル基またはアリール基として用いることのできる基は
これらに限られない。
【0119】
有機化合物431としては、例えば、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、
ベンゾイミダゾール誘導体、キノキサリン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、ジベン
ゾチオフェン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、ピ
リジン誘導体、ビピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体などの他、亜鉛やアルミニウ
ム系金属錯体が挙げられる。他の例としては、芳香族アミンやカルバゾール誘導体などが
挙げられる。
【0120】
また、以下の正孔輸送性材料および電子輸送性材料を用いることができる。
【0121】
正孔輸送性材料としては、電子よりも正孔の輸送性の高い材料を用いることができ、1
×10-6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する材料であることが好ましい。具体的に
は、芳香族アミン、カルバゾール誘導体などを用いることができる。また、該正孔輸送性
材料は高分子化合物であっても良い。
【0122】
これら正孔輸送性の高い材料として、例えば、芳香族アミン化合物としては、N,N’
-ジ(p-トリル)-N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン(略称:DTDP
PA)、4,4’-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ
]ビフェニル(略称:DPAB)、N,N’-ビス{4-[ビス(3-メチルフェニル)
アミノ]フェニル}-N,N’-ジフェニル-(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジ
アミン(略称:DNTPD)、1,3,5-トリス[N-(4-ジフェニルアミノフェニ
ル)-N-フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)等を挙げることができる。
【0123】
また、カルバゾール誘導体としては、具体的には、3-[N-(4-ジフェニルアミノ
フェニル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzDPA1
)、3,6-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]-9
-フェニルカルバゾール(略称:PCzDPA2)、3,6-ビス[N-(4-ジフェニ
ルアミノフェニル)-N-(1-ナフチル)アミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称
:PCzTPN2)、3-[N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N-フェニ
ルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6-ビス[N-
(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバ
ゾール(略称:PCzPCA2)、3-[N-(1-ナフチル)-N-(9-フェニルカ
ルバゾール-3-イル)アミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)
等を挙げることができる。
【0124】
また、カルバゾール誘導体としては、他に、4,4’-ジ(N-カルバゾリル)ビフェ
ニル(略称:CBP)、1,3,5-トリス[4-(N-カルバゾリル)フェニル]ベン
ゼン(略称:TCPB)、1,4-ビス[4-(N-カルバゾリル)フェニル]-2,3
,5,6-テトラフェニルベンゼン等を用いることができる。
【0125】
また、正孔輸送性の高い材料としては、例えば、4,4’-ビス[N-(1-ナフチル
)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPBまたはα-NPD)やN,N’-ビ
ス(3-メチルフェニル)-N,N’-ジフェニル-[1,1’-ビフェニル]-4,4
’-ジアミン(略称:TPD)、4,4’,4’’-トリス(カルバゾール-9-イル)
トリフェニルアミン(略称:TCTA)、4,4’,4’’-トリス[N-(1-ナフチ
ル)-N-フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:1’-TNATA)、4,4’
,4’’-トリス(N,N-ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA
)、4,4’,4’’-トリス[N-(3-メチルフェニル)-N-フェニルアミノ]ト
リフェニルアミン(略称:m-MTDATA)、4,4’-ビス[N-(スピロ-9,9
’-ビフルオレン-2-イル)-N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)、
4-フェニル-4’-(9-フェニルフルオレン-9-イル)トリフェニルアミン(略称
:BPAFLP)、4-フェニル-3’-(9-フェニルフルオレン-9-イル)トリフ
ェニルアミン(略称:mBPAFLP)、N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-
2-イル)-N-{9,9-ジメチル-2-[N’-フェニル-N’-(9,9-ジメチ
ル-9H-フルオレン-2-イル)アミノ]-9H-フルオレン-7-イル}フェニルア
ミン(略称:DFLADFL)、N-(9,9-ジメチル-2-ジフェニルアミノ-9H
-フルオレン-7-イル)ジフェニルアミン(略称:DPNF)、2-[N-(4-ジフ
ェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]スピロ-9,9’-ビフルオレン(略称
:DPASF)、4-フェニル-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル
)トリフェニルアミン(略称:PCBA1BP)、4,4’-ジフェニル-4’’-(9
-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBBi1
BP)、4-(1-ナフチル)-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル
)トリフェニルアミン(略称:PCBANB)、4,4’-ジ(1-ナフチル)-4’’
-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCB
NBB)、4-フェニルジフェニル-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)
アミン(略称:PCA1BP)、N,N’-ビス(9-フェニルカルバゾール-3-イル
)-N,N’-ジフェニルベンゼン-1,3-ジアミン(略称:PCA2B)、N,N’
,N’’-トリフェニル-N,N’,N’’-トリス(9-フェニルカルバゾール-3-
イル)ベンゼン-1,3,5-トリアミン(略称:PCA3B)、N-(4-ビフェニル
)-N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9-フェニル-9H-カ
ルバゾール-3-アミン(略称:PCBiF)、N-(1,1’-ビフェニル-4-イル
)-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9-
ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン(略称:PCBBiF)、9,9-ジメチル-
N-フェニル-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]
フルオレン-2-アミン(略称:PCBAF)、N-フェニル-N-[4-(9-フェニ
ル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]スピロ-9,9’-ビフルオレン-2-
アミン(略称:PCBASF)、2-[N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-
N-フェニルアミノ]スピロ-9,9’-ビフルオレン(略称:PCASF)、2,7-
ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]-スピロ-9,9
’-ビフルオレン(略称:DPA2SF)、N-[4-(9H-カルバゾール-9-イル
)フェニル]-N-(4-フェニル)フェニルアニリン(略称:YGA1BP)、N,N
’-ビス[4-(カルバゾール-9-イル)フェニル]-N,N’-ジフェニル-9,9
-ジメチルフルオレン-2,7-ジアミン(略称:YGA2F)などの芳香族アミン化合
物等を用いることができる。また、3-[4-(1-ナフチル)-フェニル]-9-フェ
ニル-9H-カルバゾール(略称:PCPN)、3-[4-(9-フェナントリル)-フ
ェニル]-9-フェニル-9H-カルバゾール(略称:PCPPn)、3,3’-ビス(
9-フェニル-9H-カルバゾール)(略称:PCCP)、1,3-ビス(N-カルバゾ
リル)ベンゼン(略称:mCP)、3,6-ビス(3,5-ジフェニルフェニル)-9-
フェニルカルバゾール(略称:CzTP)、4-{3-[3-(9-フェニル-9H-フ
ルオレン-9-イル)フェニル]フェニル}ジベンゾフラン(略称:mmDBFFLBi
-II)、4,4’,4’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)トリ(ジベンゾフラ
ン)(略称:DBF3P-II)、1,3,5-トリ(ジベンゾチオフェン-4-イル)
-ベンゼン(略称:DBT3P-II)、2,8-ジフェニル-4-[4-(9-フェニ
ル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]ジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP
-III)、4-[4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]-6
-フェニルジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP-IV)、4-[3-(トリフェニ
レン-2-イル)フェニル]ジベンゾチオフェン(略称:mDBTPTp-II)等のア
ミン化合物、カルバゾール化合物、チオフェン化合物、フラン化合物、フルオレン化合物
、トリフェニレン化合物、フェナントレン化合物等を用いることができる。ここに述べた
物質は、主に1×10-6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電
子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外の物質を用いてもよい。
【0126】
また、例えば、10,15-ジヒドロ-5,10,15-トリビフェニル-5H-ジイ
ンドロ[3,2-a:3’,2’-c]カルバゾール(略称:BP3Dic)、2,8-
ジ(9H-カルバゾール-9-イル)-ジベンゾチオフェン(略称:Cz2DBT)、N
-フェニル-N-(4’-ジフェニルアミノビフェニル-4-イル)-スピロ-9,9’
-ビフルオレン-2-アミン(略称:DPBASF)、9,9-ビス(4-ジフェニルア
ミノフェニル)フルオレン(略称:DPhA2FLP)、3,5-ジ(カルバゾール-9
-イル)-N,N-ジフェニルアニリン(略称:DPhAmCP)、N,N’-ジ(4-
ビフェニル)-N,N’-ビス(9,9-ジメチルフルオレン-2-イル)-1,4-フ
ェニレンジアミン(略称:FBi2P)、N-(4-ビフェニル)-N-{4-[(9-
フェニル)-9H-フルオレン-9-イル]-フェニル}-9,9-ジメチル-9H-フ
ルオレン-2-アミン(略称:FBiFLP)、5,10-ジフェニル-フロ[3,2-
c:4,5-c’]ジカルバゾール(略称:Fdcz)、N-(1,1’-ビフェニル-
4-イル)-N-[4-(ジベンゾフラン-4-イル)フェニル]-9,9-ジメチル-
9H-フルオレン-2-アミン(略称:FrBBiF-II)、N-(4-ビフェニル)
-N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)ジベンゾフラン-4-アミン
(略称:FrBiF)、N-(4-ビフェニル)-N-(9,9-ジメチル-9H-フル
オレン-2-イル)ジベンゾフラン-2-アミン(略称:FrBiF‐02)、9-[3
-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]9H-カルバゾール(略称
:mCzFLP)、12-[3-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-5,1
2-ジヒドロ-5-フェニルインドロ[3,2-a]カルバゾール(略称:mCzPIC
z)、1,3-ビス(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)ベンゼン(略称:
mPC2P)、N-(3-ビフェニル)-N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-
2-イル)-9-フェニル-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:mPCBiF)、
10,15-ジヒドロ-5,10,15-トリフェニル-5H-ジインドロ[3,2-a
:3’,2’-c]カルバゾール(略称:P3Dic)、N,N’-ビス(9-フェニル
-9H-カルバゾール-3-イル)-N,N’-ジフェニル-スピロ-9,9’-ビフル
オレン-2,7-ジアミン(略称:PCA2SF)、N-(1,1’-ビフェニル-4-
イル)-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,
9-ジメチル-9H-フルオレン-3-アミン(略称:PCBBiF-02)、N-(1
,1’-ビフェニル-4-イル)-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3
-イル)フェニル]-9H-フルオレン-2-アミン(略称:PCBBiF-03)、N
-(1,1’-ビフェニル-4-イル)-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾー
ル-3-イル)フェニル]-9,9’-スピロビ[9H-フルオレン]-2-アミン(略
称:PCBBiSF)、N-(4-ビフェニル)-N-(9,9-ジメチル-9H-フル
オレン-2-イル)-9-フェニル-9H-カルバゾール-2-アミン(略称:PCBi
F-02)、N-(4-ビフェニル)-N-(9,9’-スピロビ-9H-フルオレン-
2-イル)-9-フェニル-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:PCBiSF)、
9,9-ジメチル-N-[4-(1-ナフチル)フェニル]-N-[4-(9-フェニル
-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9H-フルオレン-2-アミン(略称:
PCBNBF)、9-フェニル-9’-(トリフェニレン-2-イル)-3,3’-ビ-
9H-カルバゾール(略称:PCCzTp)、ビス(ビフェニル-4-イル)[4’-(
9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]アミン(略称:
PCTBi1BP)、N,N-ジ(ビフェニル-4-イル)-N-(9-フェニル-9H
-カルバゾール-3-イル)アミン(略称:PCzBBA1)、3-[N-(9,9-ジ
メチル-9H-フルオレン-2-イル)-N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)
アミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCFL)、3,6-ジ(9H-カ
ルバゾール-9-イル)-9-フェニル-9H-カルバゾール(略称:PhCzGI)、
1,1-ビス[4-ビス(4-メチル-フェニル)-アミノ-フェニル]-シクロヘキサ
ン(略称:TAPC)、5,10-ジフェニル-チエノ[3,2-c:4,5-c’]ジ
カルバゾール(略称:Tdcz)、N-(1,1’-ビフェニル-4-イル)-N-[4
-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-9,9-ジメチル-9H-フルオレン
-2-アミン(略称:ThBBiF)、N,N’-ビス{4-(9H-カルバゾール-9
-イル)フェニル}-N,N’-ジフェニル-スピロ-9,9’-ビフルオレン-2,7
-ジアミン(略称:YGA2SF)、N-フェニル-N-[4’-(9H-カルバゾール
-9-イル)ビフェニル-4-イル]-スピロ-9,9’-ビフルオレン-2-アミン(
略称:YGBASF)、N-(ビフェニル-4-イル)-N-[4’-(9H-カルバゾ
ール-9-イル)ビフェニル-4-イル]-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-
アミン(略称:YGBBiF)、N,N-ジ(ビフェニル-4-イル)-N-(9H-カ
ルバゾール-9-イル)フェニル-4-アミン(略称:YGBi1BP)、N-(4-ビ
フェニル)-N-[4-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-9,9-ジメチ
ル-9H-フルオレン-2-アミン(略称:YGBiF)等を用いることができる。
【0127】
電子輸送性材料としては、正孔よりも電子の輸送性の高い材料を用いることができ、1
×10-6cm2/Vs以上の電子移動度を有する材料であることが好ましい。電子を受
け取りやすい材料(電子輸送性を有する材料)としては、含窒素複素芳香環化合物のよう
なπ電子不足型複素芳香環や金属錯体などを用いることができる。具体的には、キノリン
配位子、ベンゾキノリン配位子、オキサゾール配位子、あるいはチアゾール配位子を有す
る金属錯体が挙げられる。また、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナ
ントロリン誘導体、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、ピリミジン誘導体などが挙げら
れる。
【0128】
例えば、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリ
ス(4-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq3)、ビ
ス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq2
)、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(4-フェニルフェノラト)アルミニウム(
III)(略称:BAlq)、ビス(8-キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)
など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等である。また、この他
ビス[2-(2-ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)
、ビス[2-(2-ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)
などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる
。さらに、金属錯体以外にも、2-(4-ビフェニリル)-5-(4-tert-ブチル
フェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3-ビス[5-(
p-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ベンゼン
(略称:OXD-7)、9-[4-(5-フェニル-1,3,4-オキサジアゾール-2
-イル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CO11)、3-(4-ビフェニリル
)-4-フェニル-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,2,4-トリアゾール
(略称:TAZ)、2,2’,2’’-(1,3,5-ベンゼントリイル)トリス(1-
フェニル-1H-ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、2-[3-(ジベンゾチオ
フェン-4-イル)フェニル]-1-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール(略称:mD
BTBIm-II)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(
略称:BCP)、2,9-ビス(ナフタレン-2-イル)-4,7-ジフェニル-1,1
0-フェナントロリン(略称:NBPhen)などの複素環化合物や、2-[3-(ジベ
ンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mD
BTPDBq-II)、2-[3’-(ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-3
-イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq-II)、2-
[3’-(9H-カルバゾール-9-イル)ビフェニル-3-イル]ジベンゾ[f,h]
キノキサリン(略称:2mCzBPDBq)、2-[4-(3,6-ジフェニル-9H-
カルバゾール-9-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2CzP
DBq-III)、7-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ジベンゾ[
f,h]キノキサリン(略称:7mDBTPDBq-II)、及び、6-[3-(ジベン
ゾチオフェン-4-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:6mDB
TPDBq-II)、4,6-ビス[3-(フェナントレン-9-イル)フェニル]ピリ
ミジン(略称:4,6mPnP2Pm)、4,6-ビス[3-(4-ジベンゾチエニル)
フェニル]ピリミジン(略称:4,6mDBTP2Pm-II)、4,6-ビス[3-(
9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mCzP2Pm)
などのジアジン骨格を有する複素環化合物や、2-{4-[3-(N-フェニル-9H-
カルバゾール-3-イル)-9H-カルバゾール-9-イル]フェニル}-4,6-ジフ
ェニル-1,3,5-トリアジン(略称:PCCzPTzn)などのトリアジン骨格を有
する複素環化合物や、3,5-ビス[3-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]
ピリジン(略称:35DCzPPy)、1,3,5-トリ[3-(3-ピリジル)フェニ
ル]ベンゼン(略称:TmPyPB)などのピリジン骨格を有する複素環化合物、4,4
’-ビス(5-メチルベンゾオキサゾール-2-イル)スチルベン(略称:BzOs)な
どの複素芳香環化合物も用いることができる。また、ポリ(2,5-ピリジンジイル)(
略称:PPy)、ポリ[(9,9-ジヘキシルフルオレン-2,7-ジイル)-co-(
ピリジン-3,5-ジイル)](略称:PF-Py)、ポリ[(9,9-ジオクチルフル
オレン-2,7-ジイル)-co-(2,2’-ビピリジン-6,6’-ジイル)](略
称:PF-BPy)のような高分子化合物を用いることもできる。ここに述べた物質は、
主に1×10-6cm2/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも
電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を用いても構わない。
【0129】
また、例えば、9,9’-(2,4-ピリジンジイル-3,1-フェニレン)ビス-9
H-カルバゾール(略称:2,4mCzP2Py)、2,5-[3-(ジベンゾフラン-
4-イル)フェニル]ピリミジン(略称:2,5mDBFP2Pm-II)、2,2’-
(ピリジン-2,6-ジイル)ビス(4,6-ジフェニルピリミジン)(略称:2,6(
P2Pm)2Py)、2,2’-[(ジベンゾフラン-2,8-ジイル)ジ(3,1-フ
ェニレン)]ジ(ジベンゾ[f,h]キノキサリン)(略称:2,8DBqP2DBf)
、2,2’-[(ジベンゾチオフェン-2,8-ジイル)ジ(3,1-フェニレン)]ジ
(ジベンゾ[f,h]キノキサリン)(略称:2,8mDBqP2DBT)、2,6-ビ
ス(3-9H-カルバゾール-9-イル-フェニル)ピリジン(略称:26DCzPPy
)、2-[6-(ジベンゾチオフェン-4-イル)ジベンゾチオフェン-4-イル]ジベ
ンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2DBtDBq-02)、2-[3’’-(ジベン
ゾチオフェン-4-イル)-3,1’:4’,1’’-テルフェニル-1-イル]ジベン
ゾ[f,h]キノキサリン(略称:2DBtTPDBq)、2-[4’’-(ジベンゾチ
オフェン-4-イル)-4,1’:3’,1’’-テルフェニル-1-イル]ジベンゾ[
f,h]キノキサリン(略称:2DBtTPDBq-02)、2-[4’’-(ジベンゾ
チオフェン-4-イル)-3,1’:4’,1’’-テルフェニル-1-イル]ジベンゾ
[f,h]キノキサリン(略称:2DBtTPDBq-03)、2-[4’’-(ジベン
ゾチオフェン-4-イル)-3,1’:3’,1’’-テルフェニル-1-イル]ジベン
ゾ[f,h]キノキサリン(略称:2DBtTPDBq-04)、2-[3’-(ベンゾ
[1,2‐b:5,6‐b’]ビスベンゾフラン-4-イル)-1,1’-ビフェニル-
3-イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mBbf(III)BPDBq)
、2-[3’-(ベンゾ[b]ナフト[2,3-d]フラン-8-イル)ビフェニル-3
-イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mBnf(II)BPDBq)、2
-{3-[3-(ベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン-8-イル)フェニル]フェ
ニル}ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mBnfBPDBq)、2-(3-9
H-カルバゾール-9-イル-フェニル)ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2m
CzPDBq)、2-{3-[3-(2,8-ジフェニルジベンゾフラン-4-イル)フ
ェニル]フェニル}ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBfBPDBq-0
2)、2-(3-{ジスピロ[9H-フルオレン-9,9’(10’H)-アントラセン
-10’,9’’-(9H)フルオレン]2’-イル}フェニル)ジベンゾ[f,h]キ
ノキサリン(略称:2mDBqPDfha)、2-{3-[3-(2,8-ジフェニルジ
ベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]フェニル}ジベンゾ[f,h]キノキサリン(
略称:2mDBTBPDBq-III)、2-(3-{3-[6-(9,9-ジメチルフ
ルオレン-2-イル)ジベンゾチオフェン-4-イル]フェニル}フェニル)ジベンゾ[
f,h]キノキサリン(略称:2mDBtBPDBq-VIII)、2-[3’-(ジベ
ンゾチオフェン-4-イル)(1,1’-ビフェニル-3-イル)]ジベンゾ[f,h]
キナゾリン(略称:2mDBtBPDBqz)、2-[3’’-(ジベンゾチオフェン-
4-イル)-3,1’:3’,1’’-テルフェニル-1-イル]ジベンゾ[f,h]キ
ノキサリン(略称:2mDBtTPDBq-II)、2-{3-[3-(9,9-ジメチ
ルフルオレン-2-イル)フェニル]フェニル}ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称
:2mFBPDBq)、2-{3-[6-(9,9-ジメチルフルオレン-2-イル)ジ
ベンゾチオフェン-4-イル]フェニル}ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2m
FDBtPDBq)、2-{3-[3-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル
)フェニル]フェニル}ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mPCBPDBq)
、2-{3-[3-(N-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H-カルバゾ
ール-9-イル]フェニル}ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称2mPCCzPDB
q)、2-{3-[2-(N-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H-カル
バゾール-9-イル]フェニル}ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称2mPCCzP
DBq-02)、2-[3-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル
]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mPCPDBq)、2-{4-[3-(N
-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H-カルバゾール-9-イル]フェニ
ル}ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2PCCzPDBq)、2-{4-[2-
(N-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H-カルバゾール-9-イル]フ
ェニル}ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2PCCzPDBq-02)、9,9
’-[(2-フェニル-ピリミジン-4,6-ジイル)ビス(ビフェニル-3,3’-ジ
イル)]ビス(9H-カルバゾール)(略称:2Ph-4,6mCzBP2Pm)、2-
フェニル-4,6-ビス[3-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ピリミジン
(略称:2Ph-4,6mCzP2Pm)、2-フェニル-4-[3-{3’-(9H-
カルバゾール-9-イル)}ビフェニル-3-イル]ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジ
ン(略称:2Ph-4mCzBPBfpm)、2-{4-[3-(2,8-ジフェニルジ
ベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]フェニル}ジベンゾ[f,h]キノキサリン(
略称:2pmDBtBPDBq-02)、2-{4-[3-(ジベンゾチオフェン-4-
イル)フェニル]フェニル}ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2pmDBTBP
DBq-II)、2-{4-[3-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フ
ェニル]フェニル}ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2pmPCBPDBq)、
2-[3’-(ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-3-イル]-3-フェニル
ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:3Ph-2mDBtBPDBq)、トリス(2
,4,6-トリメチルー3-(ピリジン-3-イル)フェニル)ボラン(略称:3TPY
MB)、4,4’―ビス[3-(ジベンゾフラン-4-イル)フェニル]-2,2’-ビ
ピリジン(略称:4,4’DBfP2BPy-II)、4,4’-ビス[3-(9H-カ
ルバゾール-9-イル)フェニル]-2,2’-ビピリジン(略称:4,4’mCzP2
BPy)、4,4’―ビス[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-2,2
’-ビピリジン(略称:4,4’mDBTP2BPy-II)、9,9’-[ピリミジン
-4,6-ジイルビス(ビフェニル-3,3’-ジイル)]ビス(9H-カルバゾール)
(略称:4,6mCzBP2Pm)、4,6-ビス[3-(ジベンゾフラン-4-イル)
フェニル]ピリミジン(略称:4,6mDBFP2Pm-II)、4,6-ビス{3-[
3-(9,9-ジメチルフルオレン-2-イル)フェニル]フェニル}ピリミジン(略称
:4,6mFBP2Pm)、4,6-ビス[3-(9,9-ジメチルフルオレン-2-イ
ル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mFP2Pm)、4,6-ビス[3-(9-フ
ェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mPCP
2Pm)、4,6-ビス[3-(トリフェニレン-2-イル)フェニル]ピリミジン(略
称:4,6mTpP2Pm)、4,8-ビス[3-(9H-カルバゾール-9-イル)フ
ェニル]-[1]ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン(略称:4,8mCzP2Bfp
m)、4,8-ビス[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-[1]ベンゾ
フロ[3,2-d]ピリミジン(略称:4,8mDBtP2Bfpm)、4-{3-[3
’-(9H-カルバゾール-9-イル)]ビフェニル-3-イル}ベンゾフロ[3,2-
d]ピリミジン(略称:4mCzBPBfPm)、4-[3’-(9H-カルバゾール-
9-イル)ビフェニル-3-イル]ベンゾチエノ[3,2-d]ピリミジン(略称:4m
CzBPBtpm)、4-[3’-(ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-3-
イル]ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン(略称:4mDBTBPBfpm-II)、
4-[3’-(ジベンゾチオフェン-4-イル)-1,1’-ビフェニル-3-イル]-
6-(9,9-ジメチルフルオレン-2-イル)ピリミジン(略称:6FL-4mDBt
BPPm)、2-フェニル-4-[3’-(ジベンゾチオフェン-4-イル)-1,1’
-ビフェニル-3-イル]-6-(9,9-ジメチルフルオレン-2-イル)ピリミジン
(略称:6FL-4mDBtBPPm-02)、6-[3-(3’-ジベンゾチオフェン
-4-イル)ビフェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:6mDBTBPDB
q-II)、4-[3’-(4-ジベンゾチエニル)-1,1’-ビフェニル-3-イル
]-6-フェニルピリミジン(略称:6Ph-4mDBTBPPm-II)、5-{3-
[3-(ジベンゾ[f,h]キノキサリン-7-イル)フェニル]フェニル}インドロ[
3,2,1-jk]カルバゾール(略称:7mIcBPDBq)、9-[4-(3,5-
ジフェニル-1H-ピラゾール-1-イル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:C
zPz)、4-[3’-(9H-カルバゾール-9-イル)-1,1’-ビフェニル-3
-イル]-2,6-ジフェニルピリミジン(略称:2,6Ph-4mCzBPPm)、3
-[3-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-1,2,4-トリアゾロ[4,
3-f]フェナントリジン(略称:mCzTPt)、2,2’-(1,1’-ビフェニル
-3,3’-ジイル)ジ(ジベンゾ[f,h]キノキサリン)(略称:mDBq2BP)
、2,2’-[(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2,7-ジイル)ジ(3,1-
フェニレン)]ジ(ジベンゾ[f,h]キノキサリン)(略称:mDBqP2F)、2,
2’-(1,1’:3’,1’’-テルフェニレン-3,3’’-ジイル)ジ(ジベンゾ
[f,h]キノキサリン)(略称:mDBqP2P)、9-[3-(4,6-ジフェニル
-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル]-9’-フェニル-2,3’-ビ-9
H-カルバゾール(略称:mPCCzPTzn-02)、4-(ジベンゾ[f,h]キノ
キサリン-2-イル)-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフ
ェニルアミン(略称:PCBAPDBq)、2-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾ
ール-3-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:PCPDBq)、
2,7-ビス(ジフェニルフォスフォリル)-9-フェニル-9H-カルバゾール(略称
:PPO27)、2,2’-(ジベンゾフラン-2,8-ジイル)ビス[4-(2-ピリ
ジル)ピリミジン](略称:PyPm2DBF-01)、2,4,6-トリス(3’-(
ピリジン-3-イル)ビフェニル-3-イル)-1,3,5-トリアジン(略称:TmP
PPyTz)等を用いることができる。
【0130】
有機化合物432としては、有機化合物431と励起錯体を形成できる組み合わせとす
る。具体的には、上記で示した正孔輸送性材料および電子輸送性材料を用いることができ
る。発光層にゲスト材料433(蛍光性化合物)を用いる場合、有機化合物431と有機
化合物432とで形成される励起錯体の発光ピークが、ゲスト材料433(蛍光性化合物
)の最も長波長側(低エネルギー側)の吸収帯と重なるように、有機化合物431、有機
化合物432、およびゲスト材料433(蛍光性化合物)を選択することが好ましい。こ
れにより、発光効率が飛躍的に向上した発光素子とすることができる。
【0131】
なお、励起錯体を形成する各有機化合物(有機化合物431および有機化合物432)
のT1準位のうちエネルギーが低い一方のエネルギーが、励起錯体が呈する発光のエネル
ギーの-0.2eV以上0.4eV以下のエネルギーであると好ましい。
【0132】
また、有機化合物431のLUMO準位と有機化合物432のHOMO準位とのエネル
ギー差は、これらが形成する励起錯体の発光のエネルギーの-0.1eV以上0.4eV
以下のエネルギーであると好ましく、0eV以上0.4eV以下のエネルギーであるとよ
り好ましい。
【0133】
発光層430が有するホスト材料(有機化合物431および有機化合物432)として
は、三重項励起エネルギーを一重項励起エネルギーに変換する機能を有する材料であれば
よい。該三重項励起エネルギーを一重項励起エネルギーに変換する機能を有する材料とし
ては、励起錯体の他に、熱活性化遅延蛍光(Thermally activated
delayed fluorescence:TADF)材料が挙げられる。したがって
、励起錯体と記載した部分に関しては、熱活性化遅延蛍光材料と読み替えても構わない。
なお、熱活性化遅延蛍光材料とは、T1準位とS1準位との差が小さく、逆項間交差によ
って三重項励起状態から一重項励起状態へエネルギーを変換する機能を有する材料である
。そのため、三重項励起状態をわずかな熱エネルギーによって一重項励起状態にアップコ
ンバート(逆項間交差)が可能で、一重項励起状態からの発光(蛍光)を効率よく呈する
ことができる。また、熱活性化遅延蛍光が効率良く得られる条件としては、T1準位とS
1準位のエネルギー差が好ましくは0eVより大きく0.2eV以下、さらに好ましくは
0eVより大きく0.1eV以下であることが挙げられる。
【0134】
また、熱活性化遅延蛍光を示す材料は、単独で三重項励起状態から逆項間交差により一
重項励起状態を生成できる材料であっても良い。熱活性化遅延蛍光材料が、一種類の材料
から構成される場合、例えば以下の材料を用いることができる。
【0135】
まず、フラーレンやその誘導体、プロフラビン等のアクリジン誘導体、エオシン等が挙
げられる。また、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、スズ(S
n)、白金(Pt)、インジウム(In)、もしくはパラジウム(Pd)等を含む金属含
有ポルフィリンが挙げられる。該金属含有ポルフィリンとしては、例えば、プロトポルフ
ィリン-フッ化スズ錯体(SnF2(Proto IX))、メソポルフィリン-フッ化
スズ錯体(SnF2(Meso IX))、ヘマトポルフィリン-フッ化スズ錯体(Sn
F2(Hemato IX))、コプロポルフィリンテトラメチルエステル-フッ化スズ
錯体(SnF2(Copro III-4Me))、オクタエチルポルフィリン-フッ化
スズ錯体(SnF2(OEP))、エチオポルフィリン-フッ化スズ錯体(SnF2(E
tio I))、オクタエチルポルフィリン-塩化白金錯体(PtCl2OEP)等が挙
げられる。
【0136】
また、一種の材料から構成される熱活性化遅延蛍光材料としては、π電子過剰型複素芳
香環及びπ電子不足型複素芳香環を有する複素環化合物も用いることができる。具体的に
は、2-(ビフェニル-4-イル)-4,6-ビス(12-フェニルインドロ[2,3-
a]カルバゾール-11-イル)-1,3,5-トリアジン(略称:PIC-TRZ)、
2-{4-[3-(N-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H-カルバゾー
ル-9-イル]フェニル}-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:PC
CzPTzn)、2-[4-(10H-フェノキサジン-10-イル)フェニル]-4,
6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:PXZ-TRZ)、3-[4-(5-
フェニル-5,10-ジヒドロフェナジン-10-イル)フェニル]-4,5-ジフェニ
ル-1,2,4-トリアゾール(略称:PPZ-3TPT)、3-(9,9-ジメチル-
9H-アクリジン-10-イル)-9H-キサンテン-9-オン(略称:ACRXTN)
、ビス[4-(9,9-ジメチル-9,10-ジヒドロアクリジン)フェニル]スルホン
(略称:DMAC-DPS)、10-フェニル-10H,10’H-スピロ[アクリジン
-9,9’-アントラセン]-10’-オン(略称:ACRSA)等が挙げられる。該複
素環化合物は、π電子過剰型複素芳香環及びπ電子不足型複素芳香環を有するため、電子
輸送性及び正孔輸送性が高く、好ましい。なお、π電子過剰型複素芳香環とπ電子不足型
複素芳香環とが直接結合した物質は、π電子過剰型複素芳香環のドナー性とπ電子不足型
複素芳香環のアクセプター性が共に強く、S1準位とT1準位の差が小さくなるため、特
に好ましい。
【0137】
発光層430において、ゲスト材料433としては、特に限定はないが、アントラセン
誘導体、テトラセン誘導体、クリセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、ペ
リレン誘導体、スチルベン誘導体、アクリドン誘導体、クマリン誘導体、フェノキサジン
誘導体、フェノチアジン誘導体などが好ましく、例えば以下の蛍光性化合物を用いること
ができる。
【0138】
具体的には、5,6-ビス[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-2
,2’-ビピリジン(略称:PAP2BPy)、5,6-ビス[4’-(10-フェニル
-9-アントリル)ビフェニル-4-イル]-2,2’-ビピリジン(略称:PAPP2
BPy)、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス[4-(9-フェニル-9H-フルオ
レン-9-イル)フェニル]ピレン-1,6-ジアミン(略称:1,6FLPAPrn)
、N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ビス[3-(9-フェニル-9H
-フルオレン-9-イル)フェニル]ピレン-1,6-ジアミン(略称:1,6mMem
FLPAPrn)、N,N’-ビス[4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル
)フェニル]-N,N’-ビス(4-tert-ブチルフェニル)ピレン-1,6-ジア
ミン(略称:1,6tBu-FLPAPrn)、N,N’-ビス[4-(9-フェニル-
9H-フルオレン-9-イル)フェニル]-N,N’-ジフェニル-3,8-ジシクロヘ
キシルピレン-1,6-ジアミン(略称:ch-1,6FLPAPrn)、N,N’-ビ
ス[4-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-N,N’-ジフェニルスチルベ
ン-4,4’-ジアミン(略称:YGA2S)、4-(9H-カルバゾール-9-イル)
-4’-(10-フェニル-9-アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)
、4-(9H-カルバゾール-9-イル)-4’-(9,10-ジフェニル-2-アント
リル)トリフェニルアミン(略称:2YGAPPA)、N,9-ジフェニル-N-[4-
(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール-3-アミン(略
称:PCAPA)、ペリレン、2,5,8,11-テトラ(tert-ブチル)ペリレン
(略称:TBP)、4-(10-フェニル-9-アントリル)-4’-(9-フェニル-
9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)、N,N’
’-(2-tert-ブチルアントラセン-9,10-ジイルジ-4,1-フェニレン)
ビス[N,N’,N’-トリフェニル-1,4-フェニレンジアミン](略称:DPAB
PA)、N,9-ジフェニル-N-[4-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)フ
ェニル]-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:2PCAPPA)、N-[4-(9
,10-ジフェニル-2-アントリル)フェニル]-N,N’,N’-トリフェニル-1
,4-フェニレンジアミン(略称:2DPAPPA)、N,N,N’,N’,N’’,N
’’,N’’’,N’’’-オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン-2,7,10
,15-テトラアミン(略称:DBC1)、クマリン30、N-(9,10-ジフェニル
-2-アントリル)-N,9-ジフェニル-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:2
PCAPA)、N-[9,10-ビス(1,1’-ビフェニル-2-イル)-2-アント
リル]-N,9-ジフェニル-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:2PCABPh
A)、N-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)-N,N’,N’-トリフェニル
-1,4-フェニレンジアミン(略称:2DPAPA)、N-[9,10-ビス(1,1
’-ビフェニル-2-イル)-2-アントリル]-N,N’,N’-トリフェニル-1,
4-フェニレンジアミン(略称:2DPABPhA)、9,10-ビス(1,1’-ビフ
ェニル-2-イル)-N-[4-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-N-フ
ェニルアントラセン-2-アミン(略称:2YGABPhA)、N,N,9-トリフェニ
ルアントラセン-9-アミン(略称:DPhAPhA)、クマリン6、クマリン545T
、N,N’-ジフェニルキナクリドン(略称:DPQd)、ルブレン、2,8-ジ-te
rt-ブチル-5,11-ビス(4-tert-ブチルフェニル)-6,12-ジフェニ
ルテトラセン(略称:TBRb)、ナイルレッド、5,12-ビス(1,1’-ビフェニ
ル-4-イル)-6,11-ジフェニルテトラセン(略称:BPT)、2-(2-{2-
[4-(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}-6-メチル-4H-ピラン-4-イリ
デン)プロパンジニトリル(略称:DCM1)、2-{2-メチル-6-[2-(2,3
,6,7-テトラヒドロ-1H,5H-ベンゾ[ij]キノリジン-9-イル)エテニル
]-4H-ピラン-4-イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCM2)、N,N,N
’,N’-テトラキス(4-メチルフェニル)テトラセン-5,11-ジアミン(略称:
p-mPhTD)、7,14-ジフェニル-N,N,N’,N’-テトラキス(4-メチ
ルフェニル)アセナフト[1,2-a]フルオランテン-3,10-ジアミン(略称:p
-mPhAFD)、2-{2-イソプロピル-6-[2-(1,1,7,7-テトラメチ
ル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H-ベンゾ[ij]キノリジン-9-イル
)エテニル]-4H-ピラン-4-イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTI)
、2-{2-tert-ブチル-6-[2-(1,1,7,7-テトラメチル-2,3,
6,7-テトラヒドロ-1H,5H-ベンゾ[ij]キノリジン-9-イル)エテニル]
-4H-ピラン-4-イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTB)、2-(2,
6-ビス{2-[4-(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}-4H-ピラン-4-イ
リデン)プロパンジニトリル(略称:BisDCM)、2-{2,6-ビス[2-(8-
メトキシ-1,1,7,7-テトラメチル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H
-ベンゾ[ij]キノリジン-9-イル)エテニル]-4H-ピラン-4-イリデン}プ
ロパンジニトリル(略称:BisDCJTM)、5,10,15,20-テトラフェニル
ビスベンゾ[5,6]インデノ[1,2,3-cd:1’,2’,3’-lm]ペリレン
、などが挙げられる。
【0139】
また、ゲスト材料433として、上記に挙げた熱活性化遅延蛍光材料を用いることがで
きる。
【0140】
なお、上述した通り、ホスト材料(あるいは励起錯体)からゲスト材料433へのデク
スター機構に基づくエネルギー移動効率は低いことが好ましい。デクスター機構の速度定
数は、二分子間の距離の指数関数に反比例する。そのため、二分子間の距離がおよそ1n
m以下ではデクスター機構が優勢となり、およそ1nm以上ではフェルスター機構が優勢
となる。したがって、デクスター機構におけるエネルギー移動効率を低下させるためには
、ホスト材料(あるいは励起錯体)とゲスト材料433との距離を大きくすることが好ま
しく、具体的には0.7nm以上、より好ましくは0.9nm以上、さらに好ましくは1
nm以上である。このような観点から、ゲスト材料433が、ホスト材料との近接を阻害
する置換基を有することが好ましく、該置換基としては、脂肪族炭化水素が好ましく、よ
り好ましくはアルキル基、さらに好ましくは分岐を有するアルキル基である。具体的には
、ゲスト材料433は、炭素数2以上のアルキル基を少なくとも2つ以上有すると好まし
い。あるいは、ゲスト材料433は、炭素数3以上10以下の分岐を有するアルキル基を
少なくとも2つ以上有すると好ましい。あるいは、ゲスト材料433は、炭素数3以上1
0以下のシクロアルキル基を少なくとも2つ以上有すると好ましい。
【0141】
なお、発光層430は2層以上の複数層を有しても良い。例えば、第1の発光層と第2
の発光層を正孔輸送層側から順に積層して発光層430とする場合、第1の発光層のホス
ト材料として正孔輸送性を有する物質を用い、第2の発光層のホスト材料として電子輸送
性を有する物質を用いる構成などがある。
【0142】
また、発光層430において、有機化合物431、有機化合物432、及びゲスト材料
433以外の材料を有していても良い。
【0143】
≪一対の電極≫
電極401及び電極402は、発光層430へ正孔と電子を注入する機能を有する。電
極401及び電極402は、金属、合金、導電性化合物、およびこれらの混合物や積層体
などを用いて形成することができる。金属としてはアルミニウム(Al)が典型例であり
、その他、銀(Ag)、タングステン、クロム、モリブデン、銅、チタンなどの遷移金属
、リチウム(Li)やセシウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム(Mg)
などの第2族金属を用いることができる。遷移金属としてイッテルビウム(Yb)などの
希土類金属を用いても良い。合金としては、上記金属を含む合金を使用することができ、
例えばMgAg、AlLiなどが挙げられる。導電性化合物としては、例えば、インジウ
ム錫酸化物(Indium Tin Oxide、以下ITO)、珪素または酸化珪素を
含むインジウム錫酸化物(略称:ITSO)、インジウム亜鉛酸化物(Indium Z
inc Oxide)、タングステン及び亜鉛を含有したインジウム酸化物などの金属酸
化物が挙げられる。導電性化合物としてグラフェンなどの無機炭素系材料を用いても良い
。上述したように、これらの材料の複数を積層することによって電極401及び電極40
2の一方または双方を形成しても良い。
【0144】
また、発光層430から得られる発光は、電極401及び電極402の一方または双方
を通して取り出される。したがって、電極401及び電極402の少なくとも一つは可視
光を透過する機能を有する。光を透過する機能を有する導電性材料としては、可視光の透
過率が40%以上100%以下、好ましくは60%以上100%以下であり、かつその抵
抗率が1×10-2Ω・cm以下の導電性材料が挙げられる。また、光を取り出す方の電
極は、光を透過する機能と、光を反射する機能と、を有する導電性材料により形成されて
も良い。該導電性材料としては、可視光の反射率が20%以上80%以下、好ましくは4
0%以上70%以下であり、かつその抵抗率が1×10-2Ω・cm以下の導電性材料が
挙げられる。光を取り出す方の電極に金属や合金などの光透過性の低い材料を用いる場合
には、可視光を透過できる程度の厚さ(例えば、1nmから10nmの厚さ)で電極40
1及び電極402の一方または双方を形成すればよい。
【0145】
なお、本明細書等において、光を透過する機能を有する電極には、可視光を透過する機
能を有し、且つ導電性を有する材料を用いればよく、例えば上記のようなITOに代表さ
れる酸化物導電体層に加えて、酸化物半導体層、または有機物を含む有機導電体層を含む
。有機物を含む有機導電体層としては、例えば、有機化合物と電子供与体(ドナー)とを
混合してなる複合材料を含む層、有機化合物と電子受容体(アクセプター)とを混合して
なる複合材料を含む層等が挙げられる。また、透明導電層の抵抗率としては、好ましくは
1×105Ω・cm以下、さらに好ましくは1×104Ω・cm以下である。
【0146】
また、電極401及び電極402の成膜方法は、スパッタリング法、蒸着法、印刷法、
塗布法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、CVD法、パル
スレーザ堆積法、ALD(Atomic Layer Deposition)法等を適
宜用いることができる。
【0147】
≪正孔注入層≫
正孔注入層411は、一対の電極の一方(電極401または電極402)からのホール
注入障壁を低減することでホール注入を促進する機能を有し、例えば遷移金属酸化物、フ
タロシアニン誘導体、あるいは芳香族アミンなどによって形成される。遷移金属酸化物と
しては、モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物
、マンガン酸化物などが挙げられる。フタロシアニン誘導体としては、フタロシアニンや
金属フタロシアニンなどが挙げられる。芳香族アミンとしてはベンジジン誘導体やフェニ
レンジアミン誘導体などが挙げられる。ポリチオフェンやポリアニリンなどの高分子化合
物を用いることもでき、例えば自己ドープされたポリチオフェンであるポリ(エチレンジ
オキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)などがその代表例である。
【0148】
正孔注入層411として、正孔輸送性材料と、これに対して電子受容性を示す材料の複
合材料を有する層を用いることもできる。あるいは、電子受容性を示す材料を含む層と正
孔輸送性材料を含む層の積層を用いても良い。これらの材料間では定常状態、あるいは電
界存在下において電荷の授受が可能である。電子受容性を示す材料としては、キノジメタ
ン誘導体やクロラニル誘導体、ヘキサアザトリフェニレン誘導体などの有機アクセプター
を挙げることができる。具体的には、7,7,8,8-テトラシアノ-2,3,5,6-
テトラフルオロキノジメタン(略称:F4-TCNQ)、クロラニル、2,3,6,7,
10,11-ヘキサシアノ-1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレン(略
称:HAT-CN)等の電子吸引基(ハロゲン基やシアノ基)を有する化合物である。ま
た、遷移金属酸化物、例えば第4族から第8族金属の酸化物を用いることができる。具体
的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸
化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムなどである。中でも酸化モリブデンは大気
中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
【0149】
正孔輸送性材料としては、電子よりも正孔の輸送性の高い材料を用いることができ、1
×10-6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する材料であることが好ましい。具体的に
は、発光層430に用いることができる正孔輸送性材料として挙げた芳香族アミンおよび
カルバゾール誘導体を用いることができる。また、芳香族炭化水素およびスチルベン誘導
体などを用いることができる。また、該正孔輸送性材料は高分子化合物であっても良い。
【0150】
芳香族炭化水素としては、例えば、2-tert-ブチル-9,10-ジ(2-ナフチ
ル)アントラセン(略称:t-BuDNA)、2-tert-ブチル-9,10-ジ(1
-ナフチル)アントラセン、9,10-ビス(3,5-ジフェニルフェニル)アントラセ
ン(略称:DPPA)、2-tert-ブチル-9,10-ビス(4-フェニルフェニル
)アントラセン(略称:t-BuDBA)、9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン
(略称:DNA)、9,10-ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2-t
ert-ブチルアントラセン(略称:t-BuAnth)、9,10-ビス(4-メチル
-1-ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、2-tert-ブチル-9,10-
ビス[2-(1-ナフチル)フェニル]アントラセン、9,10-ビス[2-(1-ナフ
チル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7-テトラメチル-9,10-ジ(1-ナ
フチル)アントラセン、2,3,6,7-テトラメチル-9,10-ジ(2-ナフチル)
アントラセン、9,9’-ビアントリル、10,10’-ジフェニル-9,9’-ビアン
トリル、10,10’-ビス(2-フェニルフェニル)-9,9’-ビアントリル、10
,10’-ビス[(2,3,4,5,6-ペンタフェニル)フェニル]-9,9’-ビア
ントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11-テトラ
(tert-ブチル)ペリレン等が挙げられる。また、この他、ペンタセン、コロネン等
も用いることができる。このように、1×10-6cm2/Vs以上の正孔移動度を有し
、炭素数14以上炭素数42以下である芳香族炭化水素を用いることがより好ましい。
【0151】
なお、芳香族炭化水素は、ビニル骨格を有していてもよい。ビニル基を有している芳香
族炭化水素としては、例えば、4,4’-ビス(2,2-ジフェニルビニル)ビフェニル
(略称:DPVBi)、9,10-ビス[4-(2,2-ジフェニルビニル)フェニル]
アントラセン(略称:DPVPA)等が挙げられる。
【0152】
また、ポリ(N-ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4-ビニルトリフェ
ニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N-(4-{N’-[4-(4-ジフェニル
アミノ)フェニル]フェニル-N’-フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](
略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’-ビス(4-ブチルフェニル)-N,N’-ビス
(フェニル)ベンジジン](略称:Poly-TPD)等の高分子化合物を用いることも
できる。
【0153】
≪正孔輸送層≫
正孔輸送層412は正孔輸送性材料を含む層であり、正孔注入層411の材料として例
示した材料を使用することができる。正孔輸送層412は正孔注入層411に注入された
正孔を発光層430へ輸送する機能を有するため、正孔注入層411のHOMO準位と同
じ、あるいは近いHOMO準位を有することが好ましい。
【0154】
上記正孔輸送性材料として、正孔注入層411の材料として例示した材料を用いること
ができる。また、1×10-6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが
好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外の物質を用い
てもよい。なお、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層だけでなく、上記物質からなる
層が二層以上積層してもよい。
【0155】
≪電子輸送層≫
電子輸送層418は、電子注入層419を経て一対の電極の他方(電極401または電
極402)から注入された電子を発光層430へ輸送する機能を有する。電子輸送性材料
としては、正孔よりも電子の輸送性の高い材料を用いることができ、1×10-6cm2
/Vs以上の電子移動度を有する材料であることが好ましい。電子を受け取りやすい化合
物(電子輸送性を有する材料)としては、含窒素複素芳香環化合物のようなπ電子不足型
複素芳香環や金属錯体などを用いることができる。具体的には、発光層430に用いるこ
とができる電子輸送性材料として挙げたキノリン配位子、ベンゾキノリン配位子、オキサ
ゾール配位子、あるいはチアゾール配位子を有する金属錯体が挙げられる。また、オキサ
ジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、ピリジン誘導体、ビ
ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体などが挙げられる。また、1×10-6cm2/Vs
以上の電子移動度を有する物質であることが好ましい。なお、正孔よりも電子の輸送性の
高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層として用いても構わない。また、電子輸
送層418は、単層だけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層してもよい。
【0156】
また、電子輸送層418と発光層430との間に電子キャリアの移動を制御する層を設
けても良い。これは上述したような電子輸送性の高い材料に、電子トラップ性の高い物質
を少量添加した層であって、電子キャリアの移動を抑制することによって、キャリアバラ
ンスを調節することが可能となる。このような構成は、発光層を電子が突き抜けてしまう
ことにより発生する問題(例えば素子寿命の低下)の抑制に大きな効果を発揮する。
【0157】
≪電子注入層≫
電子注入層419は電極402からの電子注入障壁を低減することで電子注入を促進す
る機能を有し、例えば第1族金属、第2族金属、あるいはこれらの酸化物、ハロゲン化物
、炭酸塩などを用いることができる。また、先に示す電子輸送性材料と、これに対して電
子供与性を示す材料の複合材料を用いることもできる。電子供与性を示す材料としては、
第1族金属、第2族金属、あるいはこれらの酸化物などを挙げることができる。具体的に
は、フッ化リチウム(LiF)、フッ化ナトリウム(NaF)、フッ化セシウム(CsF
)、フッ化カルシウム(CaF2)、リチウム酸化物(LiOx)等のようなアルカリ金
属、アルカリ土類金属、またはそれらの化合物を用いることができる。また、フッ化エル
ビウム(ErF3)のような希土類金属化合物を用いることができる。また、電子注入層
419にエレクトライドを用いてもよい。該エレクトライドとしては、例えば、カルシウ
ムとアルミニウムの混合酸化物に電子を高濃度添加した物質等が挙げられる。また、電子
注入層419に、電子輸送層418で用いることが出来る物質を用いても良い。
【0158】
また、電子注入層419に、有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる複合
材料を用いてもよい。このような複合材料は、電子供与体によって有機化合物に電子が発
生するため、電子注入性および電子輸送性に優れている。この場合、有機化合物としては
、発生した電子の輸送に優れた材料であることが好ましく、具体的には、例えば上述した
電子輸送層418を構成する物質(金属錯体や複素芳香環化合物等)を用いることができ
る。電子供与体としては、有機化合物に対し電子供与性を示す物質であればよい。具体的
には、アルカリ金属やアルカリ土類金属や希土類金属が好ましく、リチウム、セシウム、
マグネシウム、カルシウム、エルビウム、イッテルビウム等が挙げられる。また、アルカ
リ金属酸化物やアルカリ土類金属酸化物が好ましく、リチウム酸化物、カルシウム酸化物
、バリウム酸化物等が挙げられる。また、酸化マグネシウムのようなルイス塩基を用いる
こともできる。また、テトラチアフルバレン(略称:TTF)等の有機化合物を用いるこ
ともできる。
【0159】
なお、上述した、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、及び電子注入層は、
それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、インクジェット法、塗布法、ノズルプリント法
、グラビア印刷等の方法で形成することができる。また、上述した、発光層、正孔注入層
、正孔輸送層、電子輸送層、及び電子注入層には、上述した材料の他、量子ドットなどの
無機化合物または高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)を用いてもよ
い。
【0160】
≪量子ドット≫
量子ドットを構成する材料としては、第14族元素、第15族元素、第16族元素、複
数の第14族元素からなる化合物、第4族から第14族に属する元素と第16族元素との
化合物、第2族元素と第16族元素との化合物、第13族元素と第15族元素との化合物
、第13族元素と第17族元素との化合物、第14族元素と第15族元素との化合物、第
11族元素と第17族元素との化合物、酸化鉄類、酸化チタン類、カルコゲナイドスピネ
ル類、各種半導体クラスターなどを挙げることができる。
【0161】
具体的には、セレン化カドミウム(CdSe)、硫化カドミウム(CdS)、テルル化
カドミウム(CdTe)、セレン化亜鉛(ZnSe)、酸化亜鉛(ZnO)、硫化亜鉛(
ZnS)、テルル化亜鉛(ZnTe)、硫化水銀(HgS)、セレン化水銀(HgSe)
、テルル化水銀(HgTe)、砒化インジウム(InAs)、リン化インジウム(InP
)、砒化ガリウム(GaAs)、リン化ガリウム(GaP)、窒化インジウム(InN)
、窒化ガリウム(GaN)、アンチモン化インジウム(InSb)、アンチモン化ガリウ
ム(GaSb)、リン化アルミニウム(AlP)、砒化アルミニウム(AlAs)、アン
チモン化アルミニウム(AlSb)、セレン化鉛(II)(PbSe)、テルル化鉛(I
I)(PbTe)、硫化鉛(II)(PbS)、セレン化インジウム(In2Se3)、
テルル化インジウム(In2Te3)、硫化インジウム(In2S3)、セレン化ガリウ
ム(Ga2Se3)、硫化砒素(III)(As2S3)、セレン化砒素(III)(A
s2Se3)、テルル化砒素(III)(As2Te3)、硫化アンチモン(III)(
Sb2S3)、セレン化アンチモン(III)(Sb2Se3)、テルル化アンチモン(
III)(Sb2Te3)、硫化ビスマス(III)(Bi2S3)、セレン化ビスマス
(III)(Bi2Se3)、テルル化ビスマス(III)(Bi2Te3)、ケイ素(
Si)、炭化ケイ素(SiC)、ゲルマニウム(Ge)、錫(Sn)、セレン(Se)、
テルル(Te)、ホウ素(B)、炭素(C)、リン(P)、窒化ホウ素(BN)、リン化
ホウ素(BP)、砒化ホウ素(BAs)、窒化アルミニウム(AlN)、硫化アルミニウ
ム(Al2S3)、硫化バリウム(BaS)、セレン化バリウム(BaSe)、テルル化
バリウム(BaTe)、硫化カルシウム(CaS)、セレン化カルシウム(CaSe)、
テルル化カルシウム(CaTe)、硫化ベリリウム(BeS)、セレン化ベリリウム(B
eSe)、テルル化ベリリウム(BeTe)、硫化マグネシウム(MgS)、セレン化マ
グネシウム(MgSe)、硫化ゲルマニウム(GeS)、セレン化ゲルマニウム(GeS
e)、テルル化ゲルマニウム(GeTe)、硫化錫(IV)(SnS2)、硫化錫(II
)(SnS)、セレン化錫(II)(SnSe)、テルル化錫(II)(SnTe)、酸
化鉛(II)(PbO)、フッ化銅(I)(CuF)、塩化銅(I)(CuCl)、臭化
銅(I)(CuBr)、ヨウ化銅(I)(CuI)、酸化銅(I)(Cu2O)、セレン
化銅(I)(Cu2Se)、酸化ニッケル(II)(NiO)、酸化コバルト(II)(
CoO)、硫化コバルト(II)(CoS)、四酸化三鉄(Fe3O4)、硫化鉄(II
)(FeS)、酸化マンガン(II)(MnO)、硫化モリブデン(IV)(MoS2)
、酸化バナジウム(II)(VO)、酸化バナジウム(IV)(VO2)、酸化タングス
テン(IV)(WO2)、酸化タンタル(V)(Ta2O5)、酸化チタン(TiO2、
Ti2O5、Ti2O3、Ti5O9など)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、窒化ケイ
素(Si3N4)、窒化ゲルマニウム(Ge3N4)、酸化アルミニウム(Al2O3)
、チタン酸バリウム(BaTiO3)、セレンと亜鉛とカドミウムの化合物(CdZnS
e)、インジウムと砒素とリンの化合物(InAsP)、カドミウムとセレンと硫黄の化
合物(CdSeS)、カドミウムとセレンとテルルの化合物(CdSeTe)、インジウ
ムとガリウムと砒素の化合物(InGaAs)、インジウムとガリウムとセレンの化合物
(InGaSe)、インジウムとセレンと硫黄の化合物(InSeS)、銅とインジウム
と硫黄の化合物(例えばCuInS2)およびこれらの組合せなどを挙げることができる
が、これらに限定されない。また、組成が任意の比率で表される、いわゆる合金型量子ド
ットを用いても良い。例えば、CdSxSe1-x(xは0から1の任意の数)で表され
る合金型量子ドットは、xの比率を変化させることで発光波長を変えることができるため
、青色発光を得るには有効な手段の一つである。
【0162】
量子ドットの構造としては、コア型、コア-シェル型、コア-マルチシェル型などがあ
り、そのいずれを用いても良いが、コアを覆ってより広いバンドギャップを持つ別の無機
材料でシェルを形成することによって、ナノ結晶表面に存在する欠陥やダングリングボン
ドの影響を低減することができる。これにより、発光の量子効率が大きく改善するためコ
ア-シェル型やコア-マルチシェル型の量子ドットを用いることが好ましい。シェルの材
料の例としては、硫化亜鉛(ZnS)や酸化亜鉛(ZnO)が挙げられる。
【0163】
また、量子ドットは、表面原子の割合が高いことから、反応性が高く、凝集が起こりや
すい。そのため、量子ドットの表面には保護剤が付着している又は保護基が設けられてい
ることが好ましい。当該保護剤が付着している又は保護基が設けられていることによって
、凝集を防ぎ、溶媒への溶解性を高めることができる。また、反応性を低減させ、電気的
安定性を向上させることも可能である。保護剤(又は保護基)としては、例えば、ポリオ
キシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエ
チレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、トリプロピルホス
フィン、トリブチルホスフィン、トリヘキシルホスフィン、トリオクチルホスフィン等の
トリアルキルホスフィン類、ポリオキシエチレンn-オクチルフェニルエーテル、ポリオ
キシエチレンn-ノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエー
テル類、トリ(n-ヘキシル)アミン、トリ(n-オクチル)アミン、トリ(n-デシル
)アミン等の第3級アミン類、トリプロピルホスフィンオキシド、トリブチルホスフィン
オキシド、トリヘキシルホスフィンオキシド、トリオクチルホスフィンオキシド、トリデ
シルホスフィンオキシド等の有機リン化合物、ポリエチレングリコールジラウレート、ポ
リエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジエステル類、また、
ピリジン、ルチジン、コリジン、キノリン類等の含窒素芳香族化合物等の有機窒素化合物
、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミ
ン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン等のアミノアルカン類、ジブチルスルフィ
ド等のジアルキルスルフィド類、ジメチルスルホキシドやジブチルスルホキシド等のジア
ルキルスルホキシド類、チオフェン等の含硫黄芳香族化合物等の有機硫黄化合物、パルミ
チン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸、アルコール類、ソルビタン脂肪酸エ
ステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類、ポリエチレンイ
ミン類等が挙げられる。
【0164】
なお、量子ドットは、棒状の量子ロッドであっても良い。量子ロッドはc軸方向に偏光
した指向性を有する光を呈するため、量子ロッドを発光材料として用いることにより、よ
り外部量子効率が良好な発光素子を得ることができる。
【0165】
発光層の発光材料に量子ドットを用いる場合、当該発光層の膜厚は3nm乃至100n
m、好ましくは10nm乃至100nmとし、発光層中の量子ドットの含有率は1乃至1
00体積%とする。ただし、量子ドットのみで発光層を形成することが好ましい。なお、
当該量子ドットを発光材料としてホストに分散した発光層を形成する場合は、ホスト材料
に量子ドットを分散させる、またはホスト材料と量子ドットとを適当な液媒体に溶解また
は分散させてウェットプロセス(スピンコート法、キャスト法、ダイコート法、ブレード
コート法、ロールコート法、インクジェット法、印刷法、スプレーコート法、カーテンコ
ート法、ラングミュア・ブロジェット法など)により形成すればよい。
【0166】
ウェットプロセスに用いる液媒体としては、たとえば、メチルエチルケトン、シクロヘ
キサノン等のケトン類、酢酸エチル等の脂肪酸エステル類、ジクロロベンゼン等のハロゲ
ン化炭化水素類、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族
炭化水素類、シクロヘキサン、デカリン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類、ジメチルホル
ムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の有機溶媒を用いることがで
きる。
【0167】
また、発光層に用いることができる高分子化合物としては、例えば、ポリ[2-メトキ
シ-5-(2-エチルヘキシルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン](略称:MEH
-PPV)、ポリ(2,5-ジオクチル-1,4-フェニレンビニレン)等のポリフェニ
レンビニレン(PPV)誘導体、ポリ(9,9-ジ-n-オクチルフルオレニル-2,7
-ジイル)(略称:PF8)、ポリ[(9,9-ジ-n-オクチルフルオレニル-2,7
-ジイル)-alt-(ベンゾ[2,1,3]チアジアゾール-4,8-ジイル)](略
称:F8BT)、ポリ[(9,9-ジ-n-オクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-
alt-(2,2’-ビチオフェン-5,5’-ジイル)](略称F8T2)、ポリ[(
9,9-ジオクチル-2,7-ジビニレンフルオレニレン)-alt-(9,10-アン
トラセン)]、ポリ[(9,9-ジヘキシルフルオレン-2,7-ジイル)-alt-(
2,5-ジメチル-1,4-フェニレン)]等のポリフルオレン誘導体、ポリ(3-ヘキ
シルチオフェン-2,5-ジイル)(略称:P3HT)等のポリアルキルチオフェン(P
AT)誘導体、ポリフェニレン誘導体等が挙げられる。また、これらの高分子化合物や、
ポリ(9-ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(2-ビニルナフタレン)、ポ
リ[ビス(4-フェニル)(2,4,6-トリメチルフェニル)アミン](略称:PTA
A)等の高分子化合物に、発光性の低分子化合物をドープして発光層に用いてもよい。発
光性の低分子化合物としては、先に挙げた蛍光性化合物を用いることができる。
【0168】
≪基板≫
また、本発明の一態様に係る発光素子は、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に
作製すればよい。基板上に作製する順番としては、電極401側から順に積層しても、電
極402側から順に積層しても良い。
【0169】
なお、本発明の一態様に係る発光素子を形成できる基板としては、例えばガラス、石英
、又はプラスチックなどを用いることができる。また可撓性基板を用いてもよい。可撓性
基板とは、曲げることができる(フレキシブル)基板のことであり、例えば、ポリカーボ
ネート、ポリアリレートからなるプラスチック基板等が挙げられる。また、フィルム、無
機蒸着フィルムなどを用いることもできる。なお、発光素子、及び光学素子の作製工程に
おいて支持体として機能するものであれば、これら以外のものでもよい。あるいは、発光
素子、及び光学素子を保護する機能を有するものであればよい。
【0170】
例えば、本発明等においては、様々な基板を用いて発光素子を形成することが出来る。
基板の種類は、特に限定されない。その基板の一例としては、半導体基板(例えば単結晶
基板又はシリコン基板)、SOI基板、ガラス基板、石英基板、プラスチック基板、金属
基板、ステンレス・スチル基板、ステンレス・スチル・ホイルを有する基板、タングステ
ン基板、タングステン・ホイルを有する基板、可撓性基板、貼り合わせフィルム、繊維状
の材料を含むセルロースナノファイバ(CNF)や紙、又は基材フィルムなどがある。ガ
ラス基板の一例としては、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、又は
ソーダライムガラスなどがある。可撓性基板、貼り合わせフィルム、基材フィルムなどの
一例としては、以下が挙げられる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポ
リエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリテトラフル
オロエチレン(PTFE)に代表されるプラスチックがある。または、一例としては、ア
クリル等の樹脂などがある。または、一例としては、ポリプロピレン、ポリエステル、ポ
リフッ化ビニル、又はポリ塩化ビニルなどがある。または、一例としては、ポリアミド、
ポリイミド、アラミド、エポキシ、無機蒸着フィルム、又は紙類などがある。
【0171】
また、基板として、可撓性基板を用い、可撓性基板上に直接、発光素子を形成してもよ
い。または、基板と発光素子との間に剥離層を設けてもよい。剥離層は、その上に発光素
子を一部あるいは全部完成させた後、基板より分離し、他の基板に転載するために用いる
ことができる。その際、耐熱性の劣る基板や可撓性の基板にも発光素子を転載できる。な
お、上述の剥離層には、例えば、タングステン膜と酸化シリコン膜との無機膜の積層構造
の構成や、基板上にポリイミド等の樹脂膜が形成された構成等を用いることができる。
【0172】
つまり、ある基板を用いて発光素子を形成し、その後、別の基板に発光素子を転置し、
別の基板上に発光素子を配置してもよい。発光素子が転置される基板の一例としては、上
述した基板に加え、セロファン基板、石材基板、木材基板、布基板(天然繊維(絹、綿、
麻)、合成繊維(ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル)若しくは再生繊維(アセテー
ト、キュプラ、レーヨン、再生ポリエステル)などを含む)、皮革基板、又はゴム基板な
どがある。これらの基板を用いることにより、壊れにくい発光素子、耐熱性の高い発光素
子、軽量化された発光素子、または薄型化された発光素子とすることができる。
【0173】
また、上述した基板上に、例えば電界効果トランジスタ(FET)を形成し、FETと
電気的に接続された電極上に発光素子450を作製してもよい。これにより、FETによ
って発光素子の駆動を制御するアクティブマトリクス型の表示装置を作製できる。
【0174】
なお、本実施の形態において、本発明の一態様について述べた。または、他の実施の形
態において、本発明の一態様について述べる。ただし、本発明の一態様は、これらに限定
されない。つまり、本実施の形態および他の実施の形態では、様々な発明の態様が記載さ
れているため、本発明の一態様は、特定の態様に限定されない。例えば、本発明の一態様
として、発光素子に適用した場合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されな
い。例えば、場合によって、または、状況に応じて、本発明の一態様は、発光素子に適用
しなくてもよい。または、例えば、本発明の一態様では、発光素子が励起錯体を形成する
組み合わせの二種類の有機化合物を有する場合の例を示したが、本発明の一態様は、これ
に限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様では、例えば
、励起錯体を形成する二種類の有機化合物を有さなくてもよい。あるいは、二種類の有機
化合物が励起錯体を形成しなくてもよい。または、例えば、本発明の一態様では、二種類
の有機化合物のうちエネルギーが低い一方のT1準位が、励起錯体が呈する発光のエネル
ギーの-0.2eV以上0.4eV以下のエネルギーを有する場合の例を示したが、本発
明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、本発明の
一態様では、例えば、二種類の有機化合物のうちエネルギーが低い一方のT1準位が、励
起錯体が呈する発光のエネルギーの0.4eVより大きいエネルギーであってもよい。ま
たは、例えば、本発明の一態様では、励起錯体のLUMO準位とHOMO準位とのエネル
ギー差が、励起錯体が呈する発光のエネルギーの-0.1eV以上0.4eV以下のエネ
ルギーを有する場合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。場合によ
っては、または、状況に応じて、本発明の一態様では、例えば、励起錯体のLUMO準位
とHOMO準位とのエネルギー差は、励起錯体が呈する発光のエネルギーの0.4eVよ
り大きいエネルギーであってもよい。
【0175】
以上、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることがで
きる。
【0176】
(実施の形態2)
本実施の形態においては、実施の形態1に示す構成と異なる構成の発光素子、及び当該
発光素子の発光機構について、
図4及び
図5を用いて、以下説明を行う。なお、
図4及び
図5において、
図1(A)に示す符号と同様の機能を有する箇所には、同様のハッチパタ
ーンとし、符号を省略する場合がある。また、同様の機能を有する箇所には、同様の符号
を付し、その詳細な説明は省略する場合がある。
【0177】
<発光素子の構成例1>
図4(A)は、発光素子460の断面模式図である。
【0178】
図4(A)に示す発光素子460は、一対の電極(電極401及び電極402)の間に
、複数の発光ユニット(
図4(A)においては、発光ユニット406及び発光ユニット4
08)を有する。1つの発光ユニットは、
図1(A)で示すEL層400と同様な構成を
有する。つまり、
図1(A)で示した発光素子450は、1つの発光ユニットを有し、発
光素子460は、複数の発光ユニットを有する。なお、発光素子460において、電極4
01が陽極として機能し、電極402が陰極として機能するとして、以下説明するが、発
光素子460の構成としては、逆であっても構わない。
【0179】
また、
図4(A)に示す発光素子460において、発光ユニット406と発光ユニット
408とが積層されており、発光ユニット406と発光ユニット408との間には電荷発
生層415が設けられる。なお、発光ユニット406と発光ユニット408は、同じ構成
でも異なる構成でもよい。例えば、発光ユニット408に、
図1(A)で示すEL層40
0を用いると好ましい。
【0180】
また、発光素子460は、発光層430と、発光層420と、を有する。また、発光ユ
ニット406は、発光層430の他に、正孔注入層411、正孔輸送層412、電子輸送
層413、及び電子注入層414を有する。また、発光ユニット408は、発光層420
の他に、正孔注入層416、正孔輸送層417、電子輸送層418、及び電子注入層41
9を有する。
【0181】
電荷発生層415は、正孔輸送性材料に電子受容体であるアクセプター性物質が添加さ
れた構成であっても、電子輸送性材料に電子供与体であるドナー性物質が添加された構成
であってもよい。また、これらの両方の構成が積層されていても良い。
【0182】
電荷発生層415に、有機化合物とアクセプター性物質の複合材料が含まれる場合、該
複合材料には実施の形態1に示す正孔注入層411に用いることができる複合材料を用い
ればよい。有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール化合物、芳香族炭化
水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用
いることができる。なお、有機化合物としては、正孔移動度が1×10-6cm2/Vs
以上である物質を適用することが好ましい。ただし、電子よりも正孔の輸送性の高い物質
であれば、これら以外の物質を用いてもよい。有機化合物とアクセプター性物質の複合材
料は、キャリア注入性、キャリア輸送性に優れているため、低電圧駆動、低電流駆動を実
現することができる。なお、発光ユニット408のように、発光ユニットの陽極側の面が
電荷発生層415に接している場合は、電荷発生層415が発光ユニットの正孔注入層ま
たは正孔輸送層の役割も担うことができるため、該発光ユニットには正孔注入層または正
孔輸送層を設けなくとも良い。
【0183】
なお、電荷発生層415は、有機化合物とアクセプター性物質の複合材料を含む層と他
の材料により構成される層を組み合わせた積層構造として形成してもよい。例えば、有機
化合物とアクセプター性物質の複合材料を含む層と、電子供与性物質の中から選ばれた一
の化合物と電子輸送性の高い化合物とを含む層とを組み合わせて形成してもよい。また、
有機化合物とアクセプター性物質の複合材料を含む層と、透明導電性材料を含む層とを組
み合わせて形成してもよい。
【0184】
なお、発光ユニット406と発光ユニット408とに挟まれる電荷発生層415は、電
極401と電極402とに電圧を印加したときに、一方の発光ユニットに電子を注入し、
他方の発光ユニットに正孔を注入するものであれば良い。例えば、
図4(A)において、
電極401の電位の方が電極402の電位よりも高くなるように電圧を印加した場合、電
荷発生層415は、発光ユニット406に電子を注入し、発光ユニット408に正孔を注
入する。
【0185】
なお、電荷発生層415は、光取出し効率の点から、可視光に対して透光性(具体的に
は、電荷発生層415に対する可視光の透過率が40%以上)を有することが好ましい。
また、電荷発生層415は、一対の電極(電極401及び電極402)よりも低い導電率
であっても機能する。電荷発生層415の導電率が一対の電極と同程度に高い場合、電荷
発生層415によって発生したキャリアが、膜面方向に流れることで、電極401と電極
402とが重ならない領域で発光が生じてしまう場合がある。このような不良を抑制する
ためには、電荷発生層415は、一対の電極よりも導電率が低い材料で形成されると好ま
しい。
【0186】
上述した材料を用いて電荷発生層415を形成することにより、発光層が積層された場
合における駆動電圧の上昇を抑制することができる。
【0187】
また、
図4(A)においては、2つの発光ユニットを有する発光素子について説明した
が、3つ以上の発光ユニットを積層した発光素子についても、同様に適用することが可能
である。発光素子460に示すように、一対の電極間に複数の発光ユニットを電荷発生層
で仕切って配置することで、電流密度を低く保ったまま、高輝度発光を可能とし、さらに
長寿命な発光素子を実現できる。また、消費電力が低い発光素子を実現することができる
。
【0188】
なお、複数のユニットのうち、少なくとも一つのユニットに、
図1(A)で示すEL層
400の構成を適用することによって、発光効率の高い、発光素子を提供することができ
る。
【0189】
また、発光ユニット406が有する発光層430は、実施の形態1で示した構成を有す
ると好ましい。そうすることで、発光素子460は、発光効率の高い発光素子となり好適
である。
【0190】
また、発光ユニット408が有する発光層420は、
図4(B)に示すように、ホスト
材料421と、ゲスト材料422とを有する。なお、ゲスト材料422は蛍光性化合物と
して、以下説明する。
【0191】
≪発光層420の発光機構≫
発光層420の発光機構について、以下説明を行う。
【0192】
一対の電極(電極401及び電極402)あるいは電荷発生層415から注入された電
子および正孔が発光層420において再結合することにより、励起子が生成する。ゲスト
材料422と比較してホスト材料421は大量に存在するので、励起子の生成により、ホ
スト材料421の励起状態が形成される。
【0193】
なお、励起子はキャリア(電子および正孔)対のことである。励起子はエネルギーを有
するため、励起子が生成した材料は励起状態となる。
【0194】
形成されたホスト材料421の励起状態が一重項励起状態である場合、ホスト材料42
1のS1準位からゲスト材料422のS1準位へ一重項励起エネルギーがエネルギー移動
し、ゲスト材料422の一重項励起状態が形成される。
【0195】
ゲスト材料422は蛍光性化合物であるため、ゲスト材料422において一重項励起状
態が形成されると、ゲスト材料422は速やかに発光する。このとき、高い発光効率を得
るためには、ゲスト材料422の蛍光量子収率は高いことが好ましい。なお、ゲスト材料
422において、キャリアが再結合し、生成した励起状態が一重項励起状態である場合も
同様である。
【0196】
次に、キャリアの再結合によってホスト材料421の三重項励起状態が形成される場合
について説明する。この場合のホスト材料421およびゲスト材料422のエネルギー準
位の相関を
図4(C)に示す。また、
図4(C)における表記および符号は、以下の通り
である。なお、ホスト材料421のT1準位がゲスト材料422のT1準位より低いこと
が好ましいため、
図4(C)では、この場合を図示するが、ホスト材料421のT1準位
がゲスト材料422のT1準位よりも高くてもよい。
【0197】
・Host(421):ホスト材料421
・Guest(422):ゲスト材料422(蛍光性化合物)
・SFH:ホスト材料421のS1準位
・TFH:ホスト材料421のT1準位
・SFG:ゲスト材料422(蛍光性化合物)のS1準位
・TFG:ゲスト材料422(蛍光性化合物)のT1準位
【0198】
図4(C)に示すように、キャリアの再結合によって生成した三重項励起子同士が近接
することにより、一方がホスト材料421のS1準位(S
FH)のエネルギーを有する一
重項励起子に変換される反応、すなわち三重項-三重項消滅(TTA:Triplet-
Triplet Annihilation)が生じる(
図4(C) TTA参照)。ホ
スト材料421の一重項励起エネルギーは、ホスト材料421のS1準位(S
FH)から
、それよりもエネルギーの低いゲスト材料422のS1準位(S
FG)へエネルギー移動
が生じ(
図4(C) ルートE
5参照)、ゲスト材料422の一重項励起状態が形成され
、ゲスト材料422が発光する。
【0199】
なお、発光層420における三重項励起子の密度が十分に高い場合(例えば1×101
2cm-3以上)では、三重項励起子単体の失活を無視し、2つの近接した三重項励起子
による反応のみを考えることができる。
【0200】
また、ゲスト材料422においてキャリアが再結合し三重項励起状態が形成されるとき
、ゲスト材料422の三重項励起状態は熱失活するため、発光に利用することが困難とな
る。しかしながら、ホスト材料421のT1準位(T
FH)がゲスト材料422のT1準
位(T
FG)より低い場合、ゲスト材料422の三重項励起エネルギーは、ゲスト材料4
22のT1準位(T
FG)からホスト材料421のT1準位(T
FH)へエネルギー移動
する(
図4(C) ルートE
6参照)ことが可能であり、その後TTAに利用される。
【0201】
すなわち、ホスト材料421は、三重項励起エネルギーをTTAによって一重項励起エ
ネルギーに変換する機能を有すると好ましい。そうすることで、発光層420で生成した
三重項励起エネルギーの一部を、ホスト材料421におけるTTAによって一重項励起エ
ネルギーに変換し、該一重項励起エネルギーをゲスト材料422に移動することで、蛍光
発光として取り出すことが可能となる。そのためには、ホスト材料421のS1準位(S
FH)は、ゲスト材料422のS1準位(SFG)より高いことが好ましい。また、ホス
ト材料421のT1準位(TFH)は、ゲスト材料422のT1準位(TFG)より低い
ことが好ましい。
【0202】
なお、特にゲスト材料422のT1準位(TFG)がホスト材料421のT1準位(T
FH)よりも低い場合においては、ホスト材料421とゲスト材料422との重量比は、
ゲスト材料422の重量比が低い方が好ましい。具体的には、ホスト材料421に対する
ゲスト材料422の重量比が、0より大きく0.05以下が好ましい。そうすることで、
ゲスト材料422でキャリアが再結合する確率を低減させることができる。また、ホスト
材料421のT1準位(TFH)からゲスト材料422のT1準位(TFG)へのエネル
ギー移動が生じる確率を低減させることができる。
【0203】
なお、ホスト材料421は単一の化合物で構成されていても良く、複数の化合物から構
成されていても良い。
【0204】
なお、上記各構成において、発光ユニット406および発光ユニット408に用いるゲ
スト材料(蛍光性化合物)としては、同じであっても異なっていてもよい。発光ユニット
406と発光ユニット408とで同じゲスト材料を有する場合、発光素子460は少ない
電流値で高い発光輝度を呈する発光素子となり好ましい。また、発光ユニット406と発
光ユニット408とで異なるゲスト材料を有する場合、発光素子460は多色発光を呈す
る発光素子となり好ましい。特に、演色性の高い白色発光、あるいは少なくとも赤色と緑
色と青色とを有する発光、になるようゲスト材料を選択することが好適である。
【0205】
<発光素子の構成例2>
図5(A)は、発光素子462の断面模式図である。
【0206】
図5(A)に示す発光素子462は、先に示した発光素子460と同様に、一対の電極
(電極401及び電極402)の間に、複数の発光ユニット(
図5(A)においては、発
光ユニット406及び発光ユニット410)を有する。1つの発光ユニットは、
図1(A
)で示すEL層400と同様な構成を有する。なお、発光ユニット406と発光ユニット
410は、同じ構成でも異なる構成でもよい。
【0207】
また、
図5(A)に示す発光素子462において、発光ユニット406と発光ユニット
410とが積層されており、発光ユニット406と発光ユニット410との間には電荷発
生層415が設けられる。例えば、発光ユニット406に、
図1(A)で示すEL層40
0を用いると好ましい。
【0208】
また、発光素子462は、発光層430と、発光層440と、を有する。また、発光ユ
ニット406は、発光層430の他に、正孔注入層411、正孔輸送層412、電子輸送
層413、及び電子注入層414を有する。また、発光ユニット410は、発光層440
の他に、正孔注入層416、正孔輸送層417、電子輸送層418、及び電子注入層41
9を有する。
【0209】
また、発光ユニット410の発光層が燐光性化合物を有すると好適である。すなわち、
発光ユニット406が有する発光層430は、実施の形態1で示した構成を有し、発光ユ
ニット410が有する発光層440は、燐光性化合物を有すると好適である。この場合の
発光素子462の構成例について、以下説明を行う。
【0210】
また、発光ユニット410が有する発光層440は、
図5(B)で示すように、ホスト
材料441と、ゲスト材料442とを有する。また、ホスト材料441は、有機化合物4
41_1と、有機化合物441_2と、を有する。なお、発光層440が有するゲスト材
料442が燐光性化合物として、以下説明する。
【0211】
≪発光層440の発光機構≫
次に、発光層440の発光機構について、以下説明を行う。
【0212】
発光層440が有する、有機化合物441_1と、有機化合物441_2とは励起錯体
を形成する。
【0213】
発光層440における励起錯体を形成する有機化合物441_1と有機化合物441_
2との組み合わせは、励起錯体を形成することが可能な組み合わせであればよいが、一方
が正孔輸送性を有する化合物であり、他方が電子輸送性を有する化合物であることが、よ
り好ましい。
【0214】
発光層440における有機化合物441_1と、有機化合物441_2と、ゲスト材料
442とのエネルギー準位の相関を
図5(C)に示す。なお、
図5(C)における表記及
び符号は、以下の通りである。
・Host(441_1):有機化合物441_1(ホスト材料)
・Host(441_2):有機化合物441_2(ホスト材料)
・Guest(442):ゲスト材料442(燐光性化合物)
・S
PH:有機化合物441_1(ホスト材料)のS1準位
・T
PH:有機化合物441_1(ホスト材料)のT1準位
・T
PG:ゲスト材料442(燐光性化合物)のT1準位
・S
PE:励起錯体のS1準位
・T
PE:励起錯体のT1準位
【0215】
有機化合物441_1と有機化合物441_2とにより形成される、励起錯体のS1準
位(S
PE)と励起錯体のT1準位(T
PE)とは互いに隣接することになる(
図5(C
) ルートE
7参照)。
【0216】
有機化合物441_1及び有機化合物441_2は、一方がホールを、他方が電子を受
け取ることで速やかに励起錯体を形成する。あるいは、一方が励起状態となると、速やか
に他方と相互作用することで励起錯体を形成する。したがって、発光層440における励
起子のほとんどが励起錯体として存在する。励起錯体の励起エネルギー準位(SPE及び
STE)は、励起錯体を形成する各有機化合物(有機化合物441_1及び有機化合物4
41_2)のS1準位(SPH1及びSPH2)より小さくなるため、より低い励起エネ
ルギーで発光層に励起状態を形成することが可能となる。これによって、発光素子の駆動
電圧を下げることができる。
【0217】
そして、励起錯体の(S
PE)と(T
PE)の双方のエネルギーを、ゲスト材料442
(燐光性化合物)のT1準位へ移動させて発光が得られる(
図5(C) ルートE
8及び
E
9参照)。
【0218】
なお、上記に示すルートE7乃至E9の過程を、本明細書等においてExTET(Ex
ciplex-Triplet Energy Transfer)と呼称する場合があ
る。
【0219】
なお、励起錯体のT1準位(TPE)は、ゲスト材料442のT1準位(TPG)より
大きいことが好ましい。そうすることで、生成した励起錯体の一重項励起エネルギーおよ
び三重項励起エネルギーを、励起錯体のS1準位(SPE)およびT1準位(TPE)か
らゲスト材料442のT1準位(TPG)へエネルギー移動することができる。
【0220】
また、励起錯体からゲスト材料442へ効率よく励起エネルギーを移動させるためには
、励起錯体のT1準位(TPE)が、励起錯体を形成する各有機化合物(有機化合物44
1_1および有機化合物441_2)のT1準位(TPH1およびTPH2)と同等か、
より小さいことが好ましい。これにより、各有機化合物(有機化合物441_1及び有機
化合物441_2)による励起錯体の三重項励起エネルギーのクエンチが生じにくくなり
、効率よく励起錯体からゲスト材料442へエネルギー移動が発生する。
【0221】
発光層440を上述の構成とすることで、発光層440のゲスト材料442(燐光性化
合物)からの発光を、効率よく得ることが可能となる。
【0222】
なお、発光層430からの発光が、発光層440からの発光よりも短波長側に発光のピ
ークを有する構成とすることが好ましい。短波長の発光を呈する燐光性化合物を用いた発
光素子は輝度劣化が早い傾向がある。そこで、短波長の発光を蛍光発光とすることによっ
て、輝度劣化の小さい発光素子を提供することができる。
【0223】
また、発光層430と発光層440とで異なる発光波長の光を得ることによって、多色
発光の素子とすることができる。この場合、発光スペクトルは異なる発光ピークを有する
発光が合成された光となるため、少なくとも二つの極大値を有する発光スペクトルとなる
。
【0224】
また、上記の構成は白色発光を得るためにも好適である。発光層430と発光層440
との光を互いに補色の関係とすることによって、白色発光を得ることができる。
【0225】
また、発光層430及び発光層440のいずれか一方または双方に発光波長の異なる複
数の発光材料を用いることによって、三原色や、4色以上の発光色からなる演色性の高い
白色発光を得ることもできる。この場合、発光層430及び発光層440のいずれか一方
または双方を層状にさらに分割し、当該分割した層ごとに異なる発光材料を含有させるよ
うにしても良い。
【0226】
<発光層に用いることができる材料の例>
次に、発光層420、発光層430、及び発光層440に用いることのできる材料につ
いて、以下説明する。
【0227】
≪発光層430に用いることのできる材料≫
発光層430に用いることのできる材料としては、先の実施の形態1に示す発光層43
0に用いることのできる材料を援用すればよい。そうすることで、発光効率の高い発光素
子を作製することができる。
【0228】
≪発光層420に用いることのできる材料≫
発光層420中では、ホスト材料421が重量比で最も多く存在し、ゲスト材料422
(蛍光性化合物)は、ホスト材料421中に分散される。ホスト材料421のS1準位は
、ゲスト材料422(蛍光性化合物)のS1準位よりも高く、ホスト材料421のT1準
位は、ゲスト材料422(蛍光性化合物)のT1準位よりも低いことが好ましい。
【0229】
発光層420において、ゲスト材料422としては、特に限定はないが、例えば実施の
形態1で示したゲスト材料433として例示した材料を用いることができる。
【0230】
また、発光層420において、ホスト材料421に用いることが可能な材料としては、
特に限定はないが、例えば、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(III)(略称
:Alq)、トリス(4-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:
Almq3)、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(
略称:BeBq2)、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(4-フェニルフェノラト
)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8-キノリノラト)亜鉛(II)
(略称:Znq)、ビス[2-(2-ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(
略称:ZnPBO)、ビス[2-(2-ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(
略称:ZnBTZ)などの金属錯体、2-(4-ビフェニリル)-5-(4-tert-
ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3-ビス[5
-(p-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ベン
ゼン(略称:OXD-7)、3-(4-ビフェニリル)-4-フェニル-5-(4-te
rt-ブチルフェニル)-1,2,4-トリアゾール(略称:TAZ)、2,2’,2’
’-(1,3,5-ベンゼントリイル)-トリス(1-フェニル-1H-ベンゾイミダゾ
ール)(略称:TPBI)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロ
イン(略称:BCP)、2,9-ビス(ナフタレン-2-イル)-4,7-ジフェニル-
1,10-フェナントロリン(略称:NBPhen)、9-[4-(5-フェニル-1,
3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CO1
1)などの複素環化合物、4,4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ
]ビフェニル(略称:NPBまたはα-NPD)、N,N’-ビス(3-メチルフェニル
)-N,N’-ジフェニル-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミン(略称:T
PD)、4,4’-ビス[N-(スピロ-9,9’-ビフルオレン-2-イル)-N―フ
ェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン化合物が挙げられる。
また、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、クリセン誘導体、ジ
ベンゾ[g,p]クリセン誘導体等の縮合多環芳香族化合物が挙げられ、具体的には、9
,10-ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、N,N-ジフェニル-9-[
4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール-3-アミン
(略称:CzA1PA)、4-(10-フェニル-9-アントリル)トリフェニルアミン
(略称:DPhPA)、4-(9H-カルバゾール-9-イル)-4’-(10-フェニ
ル-9-アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、N,9-ジフェニル-
N-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール-3-
アミン(略称:PCAPA)、N,9-ジフェニル-N-{4-[4-(10-フェニル
-9-アントリル)フェニル]フェニル}-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:P
CAPBA)、N,9-ジフェニル-N-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)-
9H-カルバゾール-3-アミン(略称:2PCAPA)、6,12-ジメトキシ-5,
11-ジフェニルクリセン、N,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’
-オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン-2,7,10,15-テトラアミン(略
称:DBC1)、9-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カ
ルバゾール(略称:CzPA)、3,6-ジフェニル-9-[4-(10-フェニル-9
-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:DPCzPA)、7-[4-(
10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-7H-ジベンゾ[c,g]カルバゾール
(略称:cgDBCzPA)、9-フェニル-3-[4-(10-フェニル-9-アント
リル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:PCzPA)、9,10-ビス(3,5
-ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、9,10-ジ(2-ナフチル
)アントラセン(略称:DNA)、2-tert-ブチル-9,10-ジ(2-ナフチル
)アントラセン(略称:t-BuDNA)、9,9’-ビアントリル(略称:BANT)
、9,9’-(スチルベン-3,3’-ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS)、
9,9’-(スチルベン-4,4’-ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS2)、
1,3,5-トリ(1-ピレニル)ベンゼン(略称:TPB3)などを挙げることができ
る。また、これら及び公知の物質の中から、上記ゲスト材料422のエネルギーギャップ
より大きなエネルギーギャップを有する物質を、一種もしくは複数種選択して用いればよ
い。
【0231】
なお、発光層420は2層以上の複数層でもって構成することもできる。例えば、第1
の発光層と第2の発光層を正孔輸送層側から順に積層して発光層420とする場合、第1
の発光層のホスト材料として正孔輸送性を有する物質を用い、第2の発光層のホスト材料
として電子輸送性を有する物質を用いる構成などがある。
【0232】
また、発光層420において、ホスト材料421は、一種の化合物から構成されていて
も良く、複数の化合物から構成されていても良い。あるいは、発光層420において、ホ
スト材料421およびゲスト材料422以外の材料を有していても良い。
【0233】
≪発光層440に用いることのできる材料≫
発光層440中では、ホスト材料441が重量比で最も多く存在し、ゲスト材料442
(燐光性化合物)は、ホスト材料441中に分散される。発光層440のホスト材料44
1(有機化合物441_1及び有機化合物441_2)のT1準位は、発光層440のゲ
スト材料(ゲスト材料442)のT1準位よりも高いことが好ましい。
【0234】
有機化合物441_1としては、亜鉛やアルミニウム系金属錯体の他、オキサジアゾー
ル誘導体、トリアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、キノキサリン誘導体、ジベ
ンゾキノキサリン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ピリミジ
ン誘導体、トリアジン誘導体、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、フェナントロリン誘
導体などが挙げられる。他の例としては、芳香族アミンやカルバゾール誘導体などが挙げ
られる。具体的には、実施の形態1で示した電子輸送性材料および正孔輸送性材料を用い
ることができる。
【0235】
有機化合物441_2としては、有機化合物441_1と励起錯体を形成できる組み合
わせが好ましい。具体的には、実施の形態1で示した電子輸送性材料および正孔輸送性材
料を用いることができる。この場合、有機化合物441_1と有機化合物441_2とで
形成される励起錯体の発光ピークが、ゲスト材料442(燐光性化合物)の三重項MLC
T(Metal to Ligand Charge Transfer)遷移の吸収帯
、より具体的には、最も長波長側の吸収帯と重なるように、有機化合物441_1、有機
化合物441_2、およびゲスト材料442(燐光性化合物)を選択することが好ましい
。これにより、発光効率が飛躍的に向上した発光素子とすることができる。ただし、燐光
性化合物に替えて熱活性化遅延蛍光材料を用いる場合においては、最も長波長側の吸収帯
は一重項の吸収帯であることが好ましい。
【0236】
ゲスト材料442(燐光性化合物)としては、イリジウム、ロジウム、または白金系の
有機金属錯体、あるいは金属錯体が挙げられ、中でも有機イリジウム錯体、例えばイリジ
ウム系オルトメタル錯体が好ましい。オルトメタル化する配位子としては4H-トリアゾ
ール配位子、1H-トリアゾール配位子、イミダゾール配位子、ピリジン配位子、ピリミ
ジン配位子、ピラジン配位子、あるいはイソキノリン配位子などが挙げられる。金属錯体
としては、ポルフィリン配位子を有する白金錯体などが挙げられる。
【0237】
青色または緑色に発光ピークを有する物質としては、例えば、トリス{2-[5-(2
-メチルフェニル)-4-(2,6-ジメチルフェニル)-4H-1,2,4-トリアゾ
ール-3-イル-κN2]フェニル-κC}イリジウム(III)(略称:Ir(mpp
tz-dmp)3)、トリス(5-メチル-3,4-ジフェニル-4H-1,2,4-ト
リアゾラト)イリジウム(III)(略称:Ir(Mptz)3)、トリス[4-(3-
ビフェニル)-5-イソプロピル-3-フェニル-4H-1,2,4-トリアゾラト]イ
リジウム(III)(略称:Ir(iPrptz-3b)3)、トリス[3-(5-ビフ
ェニル)-5-イソプロピル-4-フェニル-4H-1,2,4-トリアゾラト]イリジ
ウム(III)(略称:Ir(iPr5btz)3)のような4H-トリアゾール骨格を
有する有機金属イリジウム錯体や、トリス[3-メチル-1-(2-メチルフェニル)-
5-フェニル-1H-1,2,4-トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:Ir(
Mptz1-mp)3)、トリス(1-メチル-5-フェニル-3-プロピル-1H-1
,2,4-トリアゾラト)イリジウム(III)(略称:Ir(Prptz1-Me)3
)のような1H-トリアゾール骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、fac-トリス
[1-(2,6-ジイソプロピルフェニル)-2-フェニル-1H-イミダゾール]イリ
ジウム(III)(略称:Ir(iPrpmi)3)、トリス[3-(2,6-ジメチル
フェニル)-7-メチルイミダゾ[1,2-f]フェナントリジナト]イリジウム(II
I)(略称:Ir(dmpimpt-Me)3)のようなイミダゾール骨格を有する有機
金属イリジウム錯体や、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N
,C2’]イリジウム(III)テトラキス(1-ピラゾリル)ボラート(略称:FIr
6)、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジ
ウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス{2-[3’,5’-ビス(
トリフルオロメチル)フェニル]ピリジナト-N,C2’}イリジウム(III)ピコリ
ナート(略称:Ir(CF3ppy)2(pic))、ビス[2-(4’,6’-ジフル
オロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(
略称:FIr(acac))のような電子吸引基を有するフェニルピリジン誘導体を配位
子とする有機金属イリジウム錯体が挙げられる。上述した中でも、4H-トリアゾール骨
格を有する有機金属イリジウム錯体は、信頼性や発光効率に優れるため、特に好ましい。
【0238】
また、緑色または黄色に発光ピークを有する物質としては、例えば、トリス(4-メチ
ル-6-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppm)3)、
トリス(4-t-ブチル-6-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:I
r(tBuppm)3)、(アセチルアセトナト)ビス(6-メチル-4-フェニルピリ
ミジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppm)2(acac))、(アセチ
ルアセトナト)ビス(6-tert-ブチル-4-フェニルピリミジナト)イリジウム(
III)(略称:Ir(tBuppm)2(acac))、(アセチルアセトナト)ビス
[4-(2-ノルボルニル)-6-フェニルピリミジナト]イリジウム(III)(略称
:Ir(nbppm)2(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[5-メチル-6
-(2-メチルフェニル)-4-フェニルピリミジナト]イリジウム(III)(略称:
Ir(mpmppm)2(acac))、(アセチルアセトナト)ビス{4,6-ジメチ
ル-2-[6-(2,6-ジメチルフェニル)-4-ピリミジニル-κN3]フェニル-
κC}イリジウム(III)(略称:Ir(dmppm-dmp)2(acac))、(
アセチルアセトナト)ビス(4,6-ジフェニルピリミジナト)イリジウム(III)(
略称:Ir(dppm)2(acac))のようなピリミジン骨格を有する有機金属イリ
ジウム錯体や、(アセチルアセトナト)ビス(3,5-ジメチル-2-フェニルピラジナ
ト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppr-Me)2(acac))、(アセチ
ルアセトナト)ビス(5-イソプロピル-3-メチル-2-フェニルピラジナト)イリジ
ウム(III)(略称:Ir(mppr-iPr)2(acac))のようなピラジン骨
格を有する有機金属イリジウム錯体や、トリス(2-フェニルピリジナト-N,C2’)
イリジウム(III)(略称:Ir(ppy)3)、ビス(2-フェニルピリジナト-N
,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(ppy)2(ac
ac))、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート
(略称:Ir(bzq)2(acac))、トリス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウ
ム(III)(略称:Ir(bzq)3)、トリス(2-フェニルキノリナト-N,C2
’)イリジウム(III)(略称:Ir(pq)3)、ビス(2-フェニルキノリナト-
N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(pq)2(ac
ac))のようなピリジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、ビス(2,4-ジフ
ェニル-1,3-オキサゾラト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナー
ト(略称:Ir(dpo)2(acac))、ビス{2-[4’-(パーフルオロフェニ
ル)フェニル]ピリジナト-N,C2’}イリジウム(III)アセチルアセトナート(
略称:Ir(p-PF-ph)2(acac))、ビス(2-フェニルベンゾチアゾラト
-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bt)2(a
cac))など有機金属イリジウム錯体の他、トリス(アセチルアセトナト)(モノフェ
ナントロリン)テルビウム(III)(略称:Tb(acac)3(Phen))のよう
な希土類金属錯体が挙げられる。上述した中でも、ピリミジン骨格を有する有機金属イリ
ジウム錯体は、信頼性や発光効率に際だって優れるため、特に好ましい。
【0239】
また、黄色または赤色に発光ピークを有する物質としては、例えば、(ジイソブチリル
メタナト)ビス[4,6-ビス(3-メチルフェニル)ピリミジナト]イリジウム(II
I)(略称:Ir(5mdppm)2(dibm))、ビス[4,6-ビス(3-メチル
フェニル)ピリミジナト](ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:Ir
(5mdppm)2(dpm))、ビス[4,6-ジ(ナフタレン-1-イル)ピリミジ
ナト](ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:Ir(d1npm)2(
dpm))のようなピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、(アセチルアセ
トナト)ビス(2,3,5-トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:I
r(tppr)2(acac))、ビス(2,3,5-トリフェニルピラジナト)(ジピ
バロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)2(dpm))、(
アセチルアセトナト)ビス[2,3-ビス(4-フルオロフェニル)キノキサリナト]イ
リジウム(III)(略称:[Ir(Fdpq)2(acac)])のようなピラジン骨
格を有する有機金属イリジウム錯体や、トリス(1-フェニルイソキノリナト-N,C2
’)イリジウム(III)(略称:Ir(piq)3)、ビス(1-フェニルイソキノリ
ナト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(piq)
2(acac))のようなピリジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体の他、2,3,
7,8,12,13,17,18-オクタエチル-21H,23H-ポルフィリン白金(
II)(略称:PtOEP)のような白金錯体や、トリス(1,3-ジフェニル-1,3
-プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(
DBM)3(Phen))、トリス[1-(2-テノイル)-3,3,3-トリフルオロ
アセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(TTA)
3(Phen))のような希土類金属錯体が挙げられる。上述した中でも、ピリミジン骨
格を有する有機金属イリジウム錯体は、信頼性や発光効率に際だって優れるため、特に好
ましい。また、ピラジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体は、色度の良い赤色発光が
得られる。
【0240】
発光層440に含まれる発光材料としては、三重項励起エネルギーを発光に変換できる
材料であればよい。該三重項励起エネルギーを発光に変換できる材料としては、燐光性化
合物の他に、熱活性化遅延蛍光材料が挙げられる。したがって、燐光性化合物と記載した
部分に関しては、熱活性化遅延蛍光材料と読み替えても構わない。
【0241】
熱活性化遅延蛍光材料が、一種類の材料から構成される場合、具体的には、実施の形態
1で示した熱活性化遅延蛍光材料を用いることができる。
【0242】
また、熱活性化遅延蛍光材料をホスト材料として用いる場合、励起錯体を形成する2種
類の化合物を組み合わせて用いることが好ましい。この場合、上記に示した励起錯体を形
成する組み合わせである電子を受け取りやすい化合物と、正孔を受け取りやすい化合物と
を用いることが特に好ましい。
【0243】
また、発光層420、発光層430、及び発光層440に含まれる発光材料の発光色に
限定は無く、それぞれ同じでも異なっていても良い。各々から得られる発光が混合されて
素子外へ取り出されるので、例えば両者の発光色が互いに補色の関係にある場合、発光素
子は白色の光を与えることができる。発光素子の信頼性を考慮すると、発光層420に含
まれる発光材料の発光ピーク波長は発光層440に含まれる発光材料のそれよりも短いこ
とが好ましい。
【0244】
なお、発光ユニット406、発光ユニット408、発光ユニット410、及び電荷発生
層415は、蒸着法(真空蒸着法を含む)、インクジェット法、塗布法、グラビア印刷等
の方法で形成することができる。
【0245】
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成と適宜組み合わせて用
いることができる。
【0246】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1及び実施の形態2に示す構成と異なる構成の発光素子
の例について、
図6乃至
図9を用いて以下に説明する。
【0247】
<発光素子の構成例1>
図6(A)(B)は、本発明の一態様の発光素子を示す断面図である。なお、
図6(A
)(B)において、
図1(A)に示す符号と同様の機能を有する箇所には、同様のハッチ
パターンとし、符号を省略する場合がある。また、同様の機能を有する箇所には、同様の
符号を付し、その詳細な説明は省略する場合がある。
【0248】
図6(A)(B)に示す発光素子464a及び発光素子464bは、基板480側に光
を取り出す下面射出(ボトムエミッション)型の発光素子であってもよく、基板480と
反対方向に光を取り出す上面射出(トップエミッション)型の発光素子であってもよい。
なお、本発明の一態様はこれに限定されず、発光素子が呈する光を基板480の上方およ
び下方の双方に取り出す両面射出(デュアルエミッション)型の発光素子であっても良い
。
【0249】
発光素子464a及び発光素子464bが、ボトムエミッション型である場合、電極4
01は、光を透過する機能を有することが好ましい。また、電極402は、光を反射する
機能を有することが好ましい。あるいは、発光素子464a及び発光素子464bが、ト
ップエミッション型である場合、電極401は、光を反射する機能を有することが好まし
い。また、電極402は、光を透過する機能を有することが好ましい。
【0250】
発光素子464a及び発光素子464bは、基板480上に電極401と、電極402
とを有する。また、電極401と電極402との間に、発光層423Bと、発光層423
Gと、発光層423Rと、を有する。また、正孔注入層411と、正孔輸送層412と、
電子輸送層418と、電子注入層419と、を有する。
【0251】
また、発光素子464bは、電極401の構成の一部として、導電層401aと、導電
層401a上の導電層401bと、導電層401a下の導電層401cとを有する。すな
わち、発光素子464bは、導電層401aが、導電層401bと、導電層401cとで
挟持された電極401の構成を有する。
【0252】
発光素子464bにおいて、導電層401bと、導電層401cとは、異なる材料で形
成されてもよく、同じ材料で形成されても良い。導電層401bと、導電層401cが、
同じ導電性材料で形成される場合、エッチング工程によるパターン形成が容易になるため
好ましい。
【0253】
なお、発光素子464bにおいて、導電層401bまたは導電層401cのいずれか一
方のみを有する構成としてもよい。
【0254】
なお、電極401が有する導電層401a、導電層401b、及び導電層401cは、
それぞれ実施の形態1で示した電極401または電極402と同様の構成および材料を用
いることができる。
【0255】
図6(A)(B)においては、電極401と電極402とで挟持された領域426B、
領域426G、及び領域426R、の間に隔壁445を有する。隔壁445は、絶縁性を
有する。隔壁445は、電極401の端部を覆い、該電極と重なる開口部を有する。隔壁
445を設けることによって、各領域の基板480上の電極401を、それぞれ島状に分
離することが可能となる。
【0256】
なお、発光層423Bと、発光層423Gとは、隔壁445と重なる領域において、互
いに重なる領域を有していてもよい。また、発光層423Gと、発光層423Rとは、隔
壁445と重なる領域において、互いに重なる領域を有していてもよい。また、発光層4
23Rと、発光層423Bとは、隔壁445と重なる領域において、互いに重なる領域を
有していてもよい。
【0257】
隔壁445としては、絶縁性であればよく、無機材料または有機材料を用いて形成され
る。該無機材料としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シ
リコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等が挙げられる。該有機材料としては、例
えば、アクリル樹脂、またはポリイミド樹脂等の感光性の樹脂材料が挙げられる。
【0258】
また、発光層423R、発光層423G、発光層423Bは、それぞれ異なる色を呈す
る機能を有する発光材料を有することが好ましい。例えば、発光層423Rが赤色を呈す
る機能を有する発光材料を有することで、領域426Rは赤色の発光を呈し、発光層42
3Gが緑色を呈する機能を有する発光材料を有することで、領域426Gは緑色の発光を
呈し、発光層423Bが青色を呈する機能を有する発光材料を有することで、領域426
Bは青色の発光を呈する。このような構成を有する発光素子464aまたは発光素子46
4bを、表示装置の画素に用いることで、フルカラー表示が可能な表示装置を作製するこ
とができる。また、それぞれの発光層の膜厚は、同じであっても良いし、異なっていても
良い。
【0259】
また、発光層423B、発光層423G、発光層423R、のいずれか一つまたは複数
の発光層は、実施の形態1で示した発光層430を有することが好ましい。そうすること
で、発光効率の良好な発光素子を作製することができる。
【0260】
なお、発光層423B、発光層423G、発光層423R、のいずれか一つまたは複数
の発光層は、2層以上が積層された構成としても良い。
【0261】
以上のように、少なくとも一つの発光層が実施の形態1で示した発光層を有し、該発光
層を有する発光素子464aまたは発光素子464bを、表示装置の画素に用いることで
、発光効率の高い表示装置を作製することができる。すなわち、発光素子464aまたは
発光素子464bを有する表示装置は、消費電力を低減することができる。
【0262】
なお、光を取り出す電極上に、カラーフィルタを設けることで、発光素子464a及び
発光素子464bの色純度を向上させることができる。そのため、発光素子464aまた
は発光素子464bを有する表示装置の色純度を高めることができる。
【0263】
また、光を取り出す電極上に、偏光板を設けることで、発光素子464a及び発光素子
464bの外光反射を低減することができる。そのため、発光素子464aまたは発光素
子464bを有する表示装置のコントラスト比を高めることができる。
【0264】
なお、発光素子464a及び発光素子464bにおける他の構成については、実施の形
態1における発光素子の構成を参酌すればよい。
【0265】
<発光素子の構成例2>
次に、
図6に示す発光素子と異なる構成例について、
図7(A)(B)を用いて、以下
説明を行う。
【0266】
図7(A)(B)は、本発明の一態様の発光素子を示す断面図である。なお、
図7(A
)(B)において、
図6に示す符号と同様の機能を有する箇所には、同様のハッチパター
ンとし、符号を省略する場合がある。また、同様の機能を有する箇所には、同様の符号を
付し、その詳細な説明は省略する場合がある。
【0267】
図7(A)(B)は、一対の電極間に、発光層を有する発光素子の構成例である。
図7
(A)に示す発光素子466aは、基板480と反対の方向に光を取り出す上面射出(ト
ップエミッション)型の発光素子、
図7(B)に示す発光素子466bは、基板480側
に光を取り出す下面射出(ボトムエミッション)型の発光素子である。ただし、本発明の
一態様はこれに限定されず、発光素子が呈する光を発光素子が形成される基板480の上
方および下方の双方に取り出す両面射出(デュアルエミッション)型であっても良い。
【0268】
発光素子466a及び発光素子466bは、基板480上に電極401と、電極402
と、電極403と、電極404とを有する。また、電極401と電極402との間、及び
電極402と電極403との間、及び電極402と電極404との間に、少なくとも発光
層430と、電荷発生層415とを有する。また、正孔注入層411と、正孔輸送層41
2と、発光層470と、電子輸送層413と、電子注入層414と、正孔注入層416と
、正孔輸送層417と、電子輸送層418と、電子注入層419と、を有する。
【0269】
また、電極401は、導電層401aと、導電層401a上に接する導電層401bと
、を有する。また、電極403は、導電層403aと、導電層403a上に接する導電層
403bと、を有する。電極404は、導電層404aと、導電層404a上に接する導
電層404bと、を有する。
【0270】
図7(A)に示す発光素子466a、及び
図7(B)に示す発光素子466bは、電極
401と電極402とで挟持された領域428B、電極402と電極403とで挟持され
た領域428G、及び電極402と電極404とで挟持された領域428R、の間に、隔
壁445を有する。隔壁445は、絶縁性を有する。隔壁445は、電極401、電極4
03、及び電極404の端部を覆い、該電極と重なる開口部を有する。隔壁445を設け
ることによって、各領域の基板480上の該電極を、それぞれ島状に分離することが可能
となる。
【0271】
また、発光素子466a及び発光素子466bは、領域428B、領域428G、及び
領域428Rから呈される光が取り出される方向に、それぞれ光学素子424B、光学素
子424G、及び光学素子424Rを有する基板482を有する。各領域から呈される光
は、各光学素子を介して発光素子外部に射出される。すなわち、領域428Bから呈され
る光は、光学素子424Bを介して射出され、領域428Gから呈される光は、光学素子
424Gを介して射出され、領域428Rから呈される光は、光学素子424Rを介して
射出される。
【0272】
また、光学素子424B、光学素子424G、及び光学素子424Rは、入射される光
から特定の色を呈する光を選択的に透過する機能を有する。例えば、光学素子424Bを
介して射出される領域428Bから呈される光は、青色を呈する光となり、光学素子42
4Gを介して射出される領域428Gから呈される光は、緑色を呈する光となり、光学素
子424Rを介して射出される領域428Rから呈される光は、赤色を呈する光となる。
【0273】
光学素子424R、光学素子424G、及び光学素子424Bには、例えば、着色層(
カラーフィルタともいう)、バンドパスフィルタ、多層膜フィルタなどを適用できる。ま
た、光学素子に色変換素子を適用することができる。色変換素子は、入射される光を、当
該光の波長より長い波長の光に変換する光学素子である。色変換素子として、量子ドット
を用いる素子であると好適である。量子ドットを用いることにより、表示装置の色再現性
を高めることができる。
【0274】
なお、光学素子424R、光学素子424G、及び光学素子424B上に複数の光学素
子を重ねて設けてもよい。他の光学素子としては、例えば円偏光板や反射防止膜などを設
けることができる。円偏光板を、表示装置の発光素子が発する光が取り出される側に設け
ると、表示装置の外部から入射した光が、表示装置の内部で反射されて、外部に射出され
る現象を防ぐことができる。また、反射防止膜を設けると、表示装置の表面で反射される
外光を弱めることができる。これにより、表示装置が発する発光を、鮮明に観察できる。
【0275】
なお、
図7(A)(B)において、各光学素子を介して各領域から射出される光を、青
色(B)を呈する光、緑色(G)を呈する光、赤色(R)を呈する光、として、それぞれ
破線の矢印で模式的に図示している。
【0276】
また、各光学素子の間には、遮光層425を有する。遮光層425は、隣接する領域か
ら発せられる光を遮光する機能を有する。なお、遮光層425を設けない構成としても良
い。
【0277】
遮光層425としては、外光の反射を抑制する機能を有する。または、遮光層425と
しては、隣接する発光素子から発せられる光の混色を防ぐ機能を有する。遮光層425と
しては、金属、黒色顔料を含んだ樹脂、カーボンブラック、金属酸化物、複数の金属酸化
物の固溶体を含む複合酸化物等を用いることができる。
【0278】
なお、基板480、及び光学素子を有する基板482としては、実施の形態1を参酌す
ればよい。
【0279】
さらに、発光素子466a及び発光素子466bは、マイクロキャビティ構造を有する
。
【0280】
≪マイクロキャビティ構造≫
発光層430、及び発光層470から射出される光は、一対の電極(例えば、電極40
1と電極402)の間で共振される。また、発光層430及び発光層470は、射出され
る光のうち所望の波長の光が強まる位置に形成される。例えば、電極401の反射領域か
ら発光層430の発光領域までの光学距離と、電極402の反射領域から発光層430の
発光領域までの光学距離と、を調整することにより、発光層430から射出される光のう
ち所望の波長の光を強めることができる。また、電極401の反射領域から発光層470
の発光領域までの光学距離と、電極402の反射領域から発光層470の発光領域までの
光学距離と、を調整することにより、発光層470から射出される光のうち所望の波長の
光を強めることができる。すなわち、複数の発光層(ここでは、発光層430及び発光層
470)を積層する発光素子の場合、発光層430及び発光層470のそれぞれの光学距
離を最適化することが好ましい。
【0281】
また、発光素子466a及び発光素子466bにおいては、各領域で導電層(導電層4
01b、導電層403b、及び導電層404b)の厚さを調整することで、発光層430
及び発光層470から呈される光のうち所望の波長の光を強めることができる。なお、各
領域で正孔注入層411及び正孔輸送層412のうち、少なくとも一つの厚さを異ならせ
ることで、発光層430及び発光層470から呈される光を強めても良い。
【0282】
例えば、電極401乃至電極404において、光を反射する機能を有する導電性材料の
屈折率が、発光層430または発光層470の屈折率よりも小さい場合においては、電極
401が有する導電層401bの膜厚を、電極401と電極402との間の光学距離がm
BλB/2(mBは自然数、λBは領域428Bで強める光の波長を、それぞれ表す)と
なるよう調整する。同様に、電極403が有する導電層403bの膜厚を、電極403と
電極402との間の光学距離がmGλG/2(mGは自然数、λGは領域428Gで強め
る光の波長を、それぞれ表す)となるよう調整する。さらに、電極404が有する導電層
404bの膜厚を、電極404と電極402との間の光学距離がmRλR/2(mRは自
然数、λRは領域428Rで強める光の波長を、それぞれ表す)となるよう調整する。
【0283】
上記のように、マイクロキャビティ構造を設け、各領域の一対の電極間の光学距離を調
整することで、各電極近傍における光の散乱および光の吸収を抑制し、高い光取り出し効
率を実現することができる。なお、上記構成においては、導電層401b、導電層403
b、導電層404bは、光を透過する機能を有することが好ましい。また、導電層401
b、導電層403b、導電層404b、を構成する材料は、互いに同じであっても良いし
、異なっていても良い。また、導電層401b、導電層403b、導電層404bは、そ
れぞれ2層以上の層が積層された構成であっても良い。
【0284】
なお、
図7(A)に示す発光素子466aは、上面射出型の発光素子であるため、導電
層401a、導電層403a、及び導電層404aは、光を反射する機能を有することが
好ましい。また、電極402は、光を透過する機能と、光を反射する機能とを有すること
が好ましい。
【0285】
また、
図7(B)に示す発光素子466bは、下面射出型の発光素子であるため、導電
層401a、導電層403a、導電層404aは、光を透過する機能と、光を反射する機
能と、を有することが好ましい。また、電極402は、光を反射する機能を有することが
好ましい。
【0286】
また、発光素子466a及び発光素子466bにおいて、導電層401a、導電層40
3a、または導電層404a、に同じ材料を用いても良いし、異なる材料を用いても良い
。導電層401a、導電層403a、導電層404a、に同じ材料を用いる場合、発光素
子466a及び発光素子466bの製造コストを低減できる。なお、導電層401a、導
電層403a、導電層404aは、それぞれ2層以上の層が積層された構成であっても良
い。
【0287】
また、発光素子466a及び発光素子466bにおける発光層430は、実施の形態1
で示した構成を有することが好ましい。そうすることで、高い発光効率を示す発光素子を
作製することができる。
【0288】
また、発光層430及び発光層470は、例えば発光層470a及び発光層470bの
ように、一方または双方で2層が積層された構成としてもよい。2層の発光層に、第1の
発光材料及び第2の発光材料という、異なる色を呈する機能を有する2種類の発光材料を
それぞれ用いることで、複数の色を含む発光を得ることができる。特に発光層430と、
発光層470と、が呈する発光により、白色となるよう、各発光層に用いる発光材料を選
択すると好ましい。
【0289】
また、発光層430または発光層470は、一方または双方で3層以上が積層された構
成としても良く、発光材料を有さない層が含まれていても良い。
【0290】
以上のように、実施の形態1で示した発光層の構成を有する発光素子466aまたは発
光素子466bを、表示装置の画素に用いることで、発光効率の高い表示装置を作製する
ことができる。すなわち、発光素子466aまたは発光素子466bを有する表示装置は
、消費電力を低減することができる。
【0291】
なお、発光素子466a及び発光素子466bにおける他の構成については、発光素子
464aまたは発光素子464b、あるいは実施の形態1及び実施の形態2で示した発光
素子の構成を参酌すればよい。
【0292】
<発光素子の作製方法>
次に、本発明の一態様の発光素子の作製方法について、
図8及び
図9を用いて以下説明
を行う。なお、ここでは、
図7(A)に示す発光素子466aの作製方法について説明す
る。
【0293】
図8及び
図9は、本発明の一態様の発光素子の作製方法を説明するための断面図である
。
【0294】
以下で説明する発光素子466aの作製方法は、第1乃至第7の7つのステップを有す
る。
【0295】
≪第1のステップ≫
第1のステップは、発光素子の電極(具体的には、電極401を構成する導電層401
a、電極403を構成する導電層403a、及び電極404を構成する導電層404a)
を、基板480上に形成する工程である(
図8(A)参照)。
【0296】
本実施の形態においては、基板480上に、光を反射する機能を有する導電層を形成し
、該導電層を所望の形状に加工することで、導電層401a、導電層403a、及び導電
層404aを形成する。上記光を反射する機能を有する導電層としては、銀とパラジウム
と銅の合金膜(Ag-Pd-Cu膜、APCともいう)を用いる。このように、導電層4
01a、導電層403a、及び導電層404aを、同一の導電層を加工する工程を経て形
成することで、製造コストを安くすることができるため好適である。
【0297】
なお、第1のステップの前に、基板480上に複数のトランジスタを形成してもよい。
また、上記複数のトランジスタと、導電層401a、導電層403a、及び導電層404
aとを、それぞれ電気的に接続させてもよい。
【0298】
≪第2のステップ≫
第2のステップは、電極401を構成する導電層401a上に光を透過する機能を有す
る導電層401bを、電極403を構成する導電層403a上に光を透過する機能を有す
る導電層403bを、電極404を構成する導電層404a上に光を透過する機能を有す
る導電層404bを、形成する工程である(
図8(B)参照)。
【0299】
本実施の形態においては、光を反射する機能を有する導電層401a、導電層403a
、及び404a、の上にそれぞれ、光を透過する機能を有する導電層401b、導電層4
03b、及び導電層404bを形成することで、電極401、電極403、及び電極40
4を形成する。上記の導電層401b、導電層403b、及び導電層404bとしては、
ITSO膜を用いる。
【0300】
なお、光を透過する機能を有する導電層401b、導電層403b、及び導電層404
bは、複数回に分けて形成してもよい。複数回に分けて形成することで、各領域で適した
マイクロキャビティ構造となる膜厚で、導電層401b、導電層403b、及び導電層4
04bを形成することができる。
【0301】
≪第3のステップ≫
第3のステップは、発光素子の各電極の端部を覆う隔壁445を形成する工程である(
図8(C)参照)。
【0302】
隔壁445は、電極と重なるように開口部を有する。該開口部によって露出する導電膜
が発光素子の陽極として機能する。本実施の形態では、隔壁445として、ポリイミド樹
脂を用いる。
【0303】
なお、第1乃至第3のステップにおいては、EL層(有機化合物を含む層)を損傷する
おそれがないため、さまざまな成膜方法及び微細加工技術を適用できる。本実施の形態で
は、スパッタリング法を用いて反射性の導電層を成膜し、リソグラフィ法を用いて、該導
電層をパターン形成し、その後ドライエッチング法またはウエットエッチング法を用いて
、該導電層を島状に加工することで、電極401を構成する導電層401a、電極403
を構成する導電層403a、及び電極404を構成する導電層404a、を形成する。そ
の後、スパッタリング法を用いて透明性を有する導電膜を成膜し、リソグラフィ法を用い
て、該透明性を有する導電膜にパターンを形成し、その後ウエットエッチング法を用いて
、該透明性を有する導電膜を島状に加工して、電極401、電極403、及び電極404
を形成する。
【0304】
≪第4のステップ≫
第4のステップは、正孔注入層411、正孔輸送層412、発光層470、電子輸送層
413、電子注入層414、及び電荷発生層415を形成する工程である(
図9(A)参
照)。
【0305】
正孔注入層411としては、正孔輸送性材料とアクセプター性物質を含む材料とを共蒸
着することで形成することができる。なお、共蒸着とは、異なる複数の物質をそれぞれ異
なる蒸発源から同時に蒸発させる蒸着法である。また、正孔輸送層412としては、正孔
輸送性材料を蒸着することで形成することができる。
【0306】
発光層470としては、青色、青緑色、緑色、黄緑色、黄色、橙色、または赤色の中か
ら選ばれる少なくともいずれか一つの発光を呈するゲスト材料を蒸着することで形成する
ことができる。ゲスト材料としては、蛍光または燐光を呈する発光性の有機化合物を用い
ることができる。また、実施の形態1及び実施の形態2で示した発光層の構成を用いるこ
とが好ましい。また、発光層470として、2層の構成としてもよい。その場合、2層の
発光層は、それぞれ互いに異なる発光色を呈する発光性の物質を有することが好ましい。
【0307】
電子輸送層413としては、電子輸送性の高い物質を蒸着することで形成することがで
きる。また、電子注入層414としては、電子注入性の高い物質を蒸着することで形成す
ることができる。
【0308】
電荷発生層415としては、正孔輸送性材料に電子受容体(アクセプター)が添加され
た材料、または電子輸送性材料に電子供与体(ドナー)が添加された材料を蒸着すること
で形成することができる。
【0309】
≪第5のステップ≫
第5のステップは、正孔注入層416、正孔輸送層417、発光層430、電子輸送層
418、電子注入層419、及び電極402を形成する工程である(
図9(B)参照)。
【0310】
正孔注入層416としては、先に示す正孔注入層411と同様の材料及び同様の方法に
より形成することができる。また、正孔輸送層417としては、先に示す正孔輸送層41
2と同様の材料及び同様の方法により形成することができる。
【0311】
発光層430としては、青色、青緑色、緑色、黄緑色、黄色、橙色、または赤色の中か
ら選ばれる少なくともいずれか一つの発光を呈するよう化合物を蒸着することで形成する
ことができる。また、該化合物は、複数の化合物が混合するよう蒸着してもよいが、単独
の化合物を蒸着してもよい。また、蛍光性の有機化合物をゲスト材料とし、ゲスト材料よ
り励起エネルギーが大きなホスト材料に該ゲスト材料を分散して蒸着してもよい。
【0312】
電子輸送層418としては、先に示す電子輸送層413と同様の材料及び同様の方法に
より形成することができる。また、電子注入層419としては、先に示す電子注入層41
4と同様の材料及び同様の方法により形成することができる。
【0313】
電極402としては、反射性を有する導電膜と、透光性を有する導電膜を積層すること
で形成することができる。また、電極402としては、単層構造、または積層構造として
もよい。
【0314】
上記工程を経て、電極401、電極403、及び電極404上に、それぞれ領域428
B、領域428G、及び領域428Rを有する発光素子が基板480上に形成される。
【0315】
≪第6のステップ≫
第6のステップは、基板482上に遮光層425、光学素子424B、光学素子424
G、及び光学素子424Rを形成する工程である(
図9(C)参照)。
【0316】
遮光層425としては、黒色顔料の含んだ樹脂膜を所望の領域に形成する。その後、基
板482及び遮光層425上に、光学素子424B、光学素子424G、及び光学素子4
24Rを形成する。光学素子424Bとしては、青色顔料の含んだ樹脂膜を所望の領域に
形成する。また、光学素子424Gとしては、緑色顔料の含んだ樹脂膜を所望の領域に形
成する。また、光学素子424Rとしては、赤色顔料の含んだ樹脂膜を所望の領域に形成
する。
【0317】
≪第7のステップ≫
第7のステップは、基板480上に形成された発光素子と、基板482上に形成された
遮光層425、光学素子424B、光学素子424G、及び光学素子424Rと、を貼り
合わせ、シール材を用いて封止する工程である(図示しない)。
【0318】
以上の工程により、
図7(A)に示す発光素子466aを形成することができる。
【0319】
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成と適宜組み合わせて用
いることができる。
【0320】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光素子を有する表示装置について、
図10乃至
図20を用いて説明する。
【0321】
<表示装置の構成例1>
図10(A)は表示装置600を示す上面図、
図10(B)は
図10(A)の一点鎖線
A-B、及び一点鎖線C-Dで切断した断面図である。表示装置600は、駆動回路部(
信号線駆動回路部601、及び走査線駆動回路部603)、並びに画素部602を有する
。なお、信号線駆動回路部601、走査線駆動回路部603、及び画素部602は、発光
素子の発光を制御する機能を有する。
【0322】
また、表示装置600は、素子基板610と、封止基板604と、シール材605と、
シール材605で囲まれた領域607と、引き回し配線608と、FPC609と、を有
する。
【0323】
なお、引き回し配線608は、信号線駆動回路部601及び走査線駆動回路部603に
入力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC609からビデ
オ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。なお、ここではFP
C609しか図示されていないが、FPC609にはプリント配線基板(PWB:Pri
nted Wiring Board)が取り付けられていても良い。
【0324】
また、信号線駆動回路部601は、Nチャネル型のトランジスタ623とPチャネル型
のトランジスタ624とを組み合わせたCMOS回路が形成される。なお、信号線駆動回
路部601または走査線駆動回路部603は、種々のCMOS回路、PMOS回路、また
はNMOS回路を用いることが出来る。また、本実施の形態では、基板上に駆動回路部を
形成したドライバと画素とを同一の表面上に設けた表示装置を示すが、必ずしもその必要
はなく、駆動回路部を基板上ではなく外部に形成することもできる。
【0325】
また、画素部602は、スイッチング用のトランジスタ611と、電流制御用のトラン
ジスタ612と、電流制御用のトランジスタ612のドレインに電気的に接続された下部
電極613と、を有する。なお、下部電極613の端部を覆って隔壁614が形成されて
いる。隔壁614としては、ポジ型の感光性アクリル樹脂膜を用いることができる。
【0326】
また、被覆性を良好にするため、隔壁614の上端部または下端部に曲率を有する曲面
が形成されるようにする。例えば、隔壁614の材料としてポジ型の感光性アクリルを用
いた場合、隔壁614の上端部のみに曲率半径(0.2μm以上3μm以下)を有する曲
面を持たせることが好ましい。また、隔壁614として、ネガ型の感光性樹脂、またはポ
ジ型の感光性樹脂のいずれも使用することができる。
【0327】
なお、トランジスタ(トランジスタ611、612、623、624)の構造は、特に
限定されない。例えば、スタガ型のトランジスタを用いてもよい。また、トランジスタの
極性についても特に限定はなく、Nチャネル型およびPチャネル型のトランジスタを有す
る構造、及びNチャネル型のトランジスタまたはPチャネル型のトランジスタのいずれか
一方のみからなる構造を用いてもよい。また、トランジスタに用いられる半導体膜の結晶
性についても特に限定はない。例えば、非晶質半導体膜、結晶性半導体膜を用いることが
できる。また、半導体材料としては、14族(ケイ素等)半導体、化合物半導体(酸化物
半導体を含む)、有機半導体等を用いることができる。トランジスタとしては、例えば、
エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上、さらに好ましくは3eV
以上の酸化物半導体を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができるた
め好ましい。該酸化物半導体としては、In-Ga酸化物、In-M-Zn酸化物(Mは
、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr
)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、錫(Sn)、ハフニウム(Hf)、またはネ
オジム(Nd)を表す)等が挙げられる。
【0328】
下部電極613上には、EL層616、および上部電極617がそれぞれ形成されてい
る。なお、下部電極613は、陽極として機能し、上部電極617は、陰極として機能す
る。
【0329】
また、EL層616は、蒸着マスクを用いた蒸着法(真空蒸着法を含む)、液滴吐出法
(インクジェット法ともいう)、スピンコート法等の塗布法、グラビア印刷法等の種々の
方法によって形成される。また、EL層616を構成する材料としては、低分子化合物、
または高分子化合物(オリゴマー、デンドリマーを含む)であっても良い。
【0330】
なお、下部電極613、EL層616、及び上部電極617により、発光素子618が
形成される。発光素子618は、実施の形態1乃至実施の形態3の構成を有する発光素子
であると好ましい。なお、画素部に複数の発光素子が形成される場合、実施の形態1乃至
実施の形態3に記載の発光素子と、それ以外の構成を有する発光素子の両方が含まれてい
ても良い。
【0331】
また、シール材605で封止基板604を素子基板610と貼り合わせることにより、
素子基板610、封止基板604、およびシール材605で囲まれた領域607に発光素
子618が備えられた構造になっている。なお、領域607には、充填材が充填されてお
り、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材605に用いるこ
とができる紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂で充填される場合もあり、例えば、PVC(
ポリビニルクロライド)系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、
シリコーン系樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)系樹脂、またはEVA(エチレンビニ
ルアセテート)系樹脂を用いることができる。封止基板には凹部を形成し、そこに乾燥剤
を設けると水分の影響による劣化を抑制することができ、好ましい構成である。
【0332】
また、発光素子618と互いに重なるように、光学素子621が封止基板604の下方
に設けられる。また、封止基板604の下方には、遮光層622が設けられる。光学素子
621及び遮光層622としては、それぞれ、実施の形態3に示す光学素子、及び遮光層
と同様の構成とすればよい。
【0333】
なお、シール材605にはエポキシ系樹脂やガラスフリットを用いるのが好ましい。ま
た、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しにくい材料であることが望ましい。ま
た、封止基板604に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiber
Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリ
エステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
【0334】
≪液滴吐出法による発光素子の形成方法≫
ここで、液滴吐出法を用いてEL層616を形成する方法について、
図19を用いて説
明する。
図19(A)乃至
図19(D)は、EL層616の作製方法を説明する断面図で
ある。
【0335】
まず、
図19(A)においては、下部電極613及び隔壁614が形成された素子基板
610を図示しているが、
図10のように絶縁膜上に下部電極613及び隔壁614が形
成された基板を用いてもよい。
【0336】
次に、隔壁614の開口部である下部電極613の露出部に、液滴吐出装置683より
液滴684を吐出し、組成物を含む層685を形成する。液滴684は、溶媒を含む組成
物であり、下部電極613上に付着する(
図19(B)参照)。
【0337】
なお、液滴684を吐出する工程を減圧下で行ってもよい。
【0338】
次に、組成物を含む層685より溶媒を除去し、固化することによってEL層616を
形成する(
図19(C)参照)。
【0339】
なお、溶媒の除去方法としては、乾燥工程または加熱工程を行えばよい。
【0340】
次に、EL層616上に上部電極617を形成し、発光素子618を形成する(
図19
(D)参照)。
【0341】
このようにEL層616を液滴吐出法で行うと、選択的に組成物を吐出することができ
るため、材料のロスを削減することができる。また、形状を加工するためのリソグラフィ
工程なども必要ないために工程も簡略化することができ、低コスト化が達成できる。
【0342】
なお、
図19においては、EL層616を一層で形成する工程を説明したが、EL層6
16が発光層に加えて機能層を有する場合、各層を下部電極613側から順に形成してい
けばよい。このとき、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、及び電子注入層を
液滴吐出法を用いて形成してもよく、正孔注入層、正孔輸送層、及び発光層を液滴吐出法
を用いて形成し、電子輸送層及び電子注入層を蒸着法等にて形成してもよい。また、発光
層を液滴吐出法と蒸着法等とで形成してもよい。
【0343】
正孔注入層としては、例えば、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレン
スルホン酸)を液滴吐出法やスピンコート法等の塗布法を用いて形成することができる。
また、正孔輸送層としては、正孔輸送性材料によって形成することができ、例えば、ポリ
ビニルカルバゾールを液滴吐出法やスピンコート法等の塗布法を用いて形成することがで
きる。正孔注入層の形成後および正孔輸送層の形成後に、大気雰囲気下または窒素などの
不活性気体雰囲気下で、それぞれ加熱処理を行ってもよい。
【0344】
発光層としては、紫色、青色、青緑色、緑色、黄緑色、黄色、橙色、または赤色の中か
ら選ばれる少なくとも一つの発光を呈する高分子化合物または低分子化合物によって形成
することができる。高分子化合物および低分子化合物としては、蛍光または燐光を呈する
発光性の有機化合物を用いることができる。高分子化合物および低分子化合物は、溶媒に
溶解させることで、液滴吐出法やスピンコート法等の塗布法により形成することができる
。また、発光層の形成後に、大気雰囲気下または窒素などの不活性気体雰囲気下で、加熱
処理を行ってもよい。なお、蛍光性または燐光性の有機化合物をゲスト材料とし、ゲスト
材料より励起エネルギーが大きな高分子化合物または低分子化合物に該ゲスト材料を分散
してもよい。また、該発光性の有機化合物は、単独で成膜してもよいが、他の物質と混合
して成膜してもよい。また、発光層として、2層の構成としてもよい。その場合、2層の
発光層は、それぞれ互いに異なる発光色を呈する発光性の有機化合物を有することが好ま
しい。また、発光層に低分子化合物を用いる場合、蒸着法を用いて形成することができる
。
【0345】
電子輸送層としては、電子輸送性の高い物質を成膜することで形成することができる。
また、電子注入層としては、電子注入性の高い物質を成膜することで形成することができ
る。なお、電子輸送層および電子注入層は、蒸着法を用いて形成することができる。
【0346】
上部電極617は、蒸着法を用いて形成することができる。上部電極617としては、
反射性を有する導電膜を用いて形成することができる。また、上部電極617としては、
反射性を有する導電膜と透光性を有する導電膜とを積層してもよい。
【0347】
なお、上記説明した液滴吐出法とは、組成物の吐出口を有するノズル、または一つもし
くは複数のノズルを有するヘッド等の液滴を吐出する手段を有するものの総称とする。
【0348】
≪液滴吐出装置≫
次に、液滴吐出法に用いる液滴吐出装置について、
図20を用いて説明する。
図20は
、液滴吐出装置1400を説明する概念図である。
【0349】
液滴吐出装置1400は、液滴吐出手段1403を有する。また、液滴吐出手段140
3は、ヘッド1405と、ヘッド1412とを有する。
【0350】
ヘッド1405、及びヘッド1412は制御手段1407に接続され、それがコンピュ
ータ1410で制御することにより予めプログラミングされたパターンに描画することが
できる。
【0351】
また、描画するタイミングとしては、例えば、基板1402上に形成されたマーカー1
411を基準に行えば良い。あるいは、基板1402の外縁を基準にして基準点を確定さ
せても良い。ここでは、マーカー1411を撮像手段1404で検出し、画像処理手段1
409にてデジタル信号に変換したものをコンピュータ1410で認識して制御信号を発
生させて制御手段1407に送る。
【0352】
撮像手段1404としては、電荷結合素子(CCD)や相補型金属-酸化物-半導体(
CMOS)を利用したイメージセンサなどを用いることができる。なお、基板1402上
に形成されるべきパターンの情報は記憶媒体1408に格納されており、この情報を基に
して制御手段1407に制御信号を送り、液滴吐出手段1403の個々のヘッド1405
、ヘッド1412を個別に制御することができる。吐出する材料は、材料供給源1413
、材料供給源1414より配管を通してヘッド1405、ヘッド1412にそれぞれ供給
される。
【0353】
ヘッド1405の内部は、点線が示すように液状の材料を充填する空間1406と、吐
出口であるノズルを有する構造となっている。図示しないが、ヘッド1412もヘッド1
405と同様な内部構造を有する。ヘッド1405とヘッド1412のノズルを異なるサ
イズで設けると、異なる材料を異なる幅で同時に描画することができる。一つのヘッドで
、複数種の発光材料などをそれぞれ吐出し、描画することができ、広領域に描画する場合
は、スループットを向上させるため複数のノズルより同材料を同時に吐出し、描画するこ
とができる。大型基板を用いる場合、ヘッド1405、ヘッド1412は基板上を、
図2
0中に示すX、Y、Zの矢印の方向に自在に走査し、描画する領域を自由に設定すること
ができ、同じパターンを一枚の基板に複数描画することができる。
【0354】
また、組成物を吐出する工程は、減圧下で行ってもよい。吐出時に基板を加熱しておい
てもよい。組成物を吐出後、乾燥と焼成の一方又は両方の工程を行う。乾燥と焼成の工程
は、両工程とも加熱処理の工程であるが、その目的、温度と時間が異なる。乾燥の工程、
焼成の工程は、常圧下又は減圧下で、レーザ光の照射や瞬間熱アニール、加熱炉などによ
り行う。なお、この加熱処理を行うタイミング、加熱処理の回数は特に限定されない。乾
燥と焼成の工程を良好に行うためには、そのときの温度は、基板の材質及び組成物の性質
に依存する。
【0355】
以上のように、液滴吐出装置を用いてEL層616を作製することができる。
【0356】
以上のようにして、実施の形態1乃至実施の形態3に記載の発光素子及び光学素子を有
する表示装置を得ることができる。
【0357】
<表示装置の構成例2>
次に、表示装置の別の一例について、
図11(A)(B)及び
図12を用いて説明を行
う。なお、
図11(A)(B)及び
図12は、本発明の一態様の表示装置の断面図である
。
【0358】
図11(A)には基板1001、下地絶縁膜1002、ゲート絶縁膜1003、ゲート
電極1006、1007、1008、第1の層間絶縁膜1020、第2の層間絶縁膜10
21、周辺部1042、画素部1040、駆動回路部1041、発光素子の下部電極10
24R、1024G、1024B、隔壁1025、EL層1028、発光素子の上部電極
1026、封止層1029、封止基板1031、シール材1032などが図示されている
。
【0359】
また、
図11(A)では、光学素子の一例として、着色層(赤色の着色層1034R、
緑色の着色層1034G、及び青色の着色層1034B)を透明な基材1033に設けて
いる。また、遮光層1035をさらに設けても良い。着色層及び遮光層が設けられた透明
な基材1033は、位置合わせし、基板1001に固定する。なお、着色層、及び遮光層
は、オーバーコート層1036で覆われている。また、
図11(A)においては、着色層
を透過する光は赤、緑、青となることから、3色の画素で映像を表現することができる。
【0360】
図11(B)では、光学素子の一例として、着色層(赤色の着色層1034R、緑色の
着色層1034G、青色の着色層1034B)をゲート絶縁膜1003と第1の層間絶縁
膜1020との間に形成する例を示している。このように、着色層は基板1001と封止
基板1031の間に設けられていても良い。
【0361】
図12では、光学素子の一例として、着色層(赤色の着色層1034R、緑色の着色層
1034G、青色の着色層1034B)を第1の層間絶縁膜1020と第2の層間絶縁膜
1021との間に形成する例を示している。このように、着色層は基板1001と封止基
板1031の間に設けられていても良い。
【0362】
また、以上に説明した表示装置では、トランジスタが形成されている基板1001側に
光を取り出す構造(ボトムエミッション型)の表示装置としたが、封止基板1031側に
発光を取り出す構造(トップエミッション型)の表示装置としても良い。
【0363】
<表示装置の構成例3>
トップエミッション型の表示装置の断面図の一例を
図13(A)(B)に示す。
図13
(A)(B)は、本発明の一態様の表示装置を説明する断面図であり、
図11(A)(B
)及び
図12に示す駆動回路部1041、周辺部1042等を省略して例示している。
【0364】
この場合、基板1001は光を通さない基板を用いることができる。トランジスタと発
光素子の陰極とを接続する接続電極を作製するまでは、ボトムエミッション型の表示装置
と同様に形成する。その後、電極1022を覆うように、第3の層間絶縁膜1037を形
成する。この絶縁膜は平坦化の役割を担っていても良い。第3の層間絶縁膜1037は第
2の層間絶縁膜と同様の材料の他、他の様々な材料を用いて形成することができる。
【0365】
発光素子の下部電極1024R、1024G、1024Bはここでは陰極とするが、陽
極であっても構わない。また、
図13(A)(B)のようなトップエミッション型の表示
装置である場合、下部電極1024R、1024G、1024Bは光を反射する機能を有
することが好ましい。また、EL層1028上に上部電極1026が設けられる。上部電
極1026は光を反射する機能と、光を透過する機能を有し、下部電極1024R、10
24G、1024Bと、上部電極1026との間で、マイクロキャビティ構造を採用し、
特定波長における光強度を増加させると好ましい。
【0366】
図13(A)のようなトップエミッションの構造では、着色層(赤色の着色層1034
R、緑色の着色層1034G、及び青色の着色層1034B)を設けた封止基板1031
で封止を行うことができる。封止基板1031には画素と画素との間に位置するように遮
光層1035を設けても良い。なお、封止基板1031は透光性を有する基板を用いると
好適である。
【0367】
また、
図13(A)においては、複数の発光素子と、該複数の発光素子にそれぞれ着色
層を設ける構成を例示したが、これに限定されない。例えば、
図13(B)に示すように
、緑色の着色層を設けずに、赤色の着色層1034R、及び青色の着色層1034Bを設
けて、赤、緑、青の3色でフルカラー表示を行う構成としてもよい。
図13(A)に示す
ように、発光素子と、該発光素子にそれぞれ着色層を設ける構成とした場合、外光反射を
抑制できるといった効果を奏する。一方で、
図13(B)に示すように、発光素子に、緑
色の着色層を設けずに、赤色の着色層、及び青色の着色層を設ける構成とした場合、緑色
の発光素子から射出された光のエネルギー損失が少ないため、消費電力を低くできるとい
った効果を奏する。
【0368】
<表示装置の構成例4>
以上に示す表示装置は、3色(赤色、緑色、青色)の副画素を有する構成を示したが、
4色(赤色、緑色、青色、黄色、あるいは赤色、緑色、青色、白色)の副画素を有する構
成としてもよい。
図14乃至
図16は、下部電極1024R、1024G、1024B、
及び1024Yを有する表示装置の構成である。
図14(A)(B)及び
図15は、トラ
ンジスタが形成されている基板1001側に光を取り出す構造(ボトムエミッション型)
の表示装置であり、
図16(A)(B)は、封止基板1031側に発光を取り出す構造(
トップエミッション型)の表示装置である。
【0369】
図14(A)は、光学素子(着色層1034R、着色層1034G、着色層1034B
、着色層1034Y)を透明な基材1033に設ける表示装置の例である。また、
図14
(B)は、光学素子(着色層1034R、着色層1034G、着色層1034B、着色層
1034Y)をゲート絶縁膜1003と第1の層間絶縁膜1020との間に形成する表示
装置の例である。また、
図15は、光学素子(着色層1034R、着色層1034G、着
色層1034B、着色層1034Y)を第1の層間絶縁膜1020と第2の層間絶縁膜1
021との間に形成する表示装置の例である。
【0370】
着色層1034Rは赤色の光を透過し、着色層1034Gは緑色の光を透過し、着色層
1034Bは青色の光を透過する機能を有する。また、着色層1034Yは黄色の光を透
過する機能、あるいは青色、緑色、黄色、赤色の中から選ばれる複数の光を透過する機能
を有する。着色層1034Yが青色、緑色、黄色、赤色の中から選ばれる複数の光を透過
する機能を有するとき、着色層1034Yを透過した光は白色であってもよい。黄色ある
いは白色の発光を呈する発光素子は発光効率が高いため、着色層1034Yを有する表示
装置は、消費電力を低減することができる。
【0371】
また、
図16に示すトップエミッション型の表示装置においては、下部電極1024Y
を有する発光素子においても、
図13(A)の表示装置と同様に、上部電極1026との
間で、マイクロキャビティ構造を有する構成が好ましい。また、
図16(A)の表示装置
では、着色層(赤色の着色層1034R、緑色の着色層1034G、青色の着色層103
4B、及び黄色の着色層1034Y)を設けた封止基板1031で封止を行うことができ
る。
【0372】
マイクロキャビティ、及び黄色の着色層1034Yを介して呈される発光は、黄色の領
域に発光スペクトルを有する発光となる。黄色は視感度が高い色であるため、黄色の発光
を呈する発光素子は発光効率が高い。すなわち、
図16(A)の構成を有する表示装置は
、消費電力を低減することができる。
【0373】
また、
図16(A)においては、複数の発光素子と、該複数の発光素子にそれぞれ着色
層を設ける構成を例示したが、これに限定されない。例えば、
図16(B)に示すように
、黄色の着色層を設けずに、赤色の着色層1034R、緑色の着色層1034G、及び青
色の着色層1034Bを設けて、赤、緑、青、黄の4色、または赤、緑、青、白の4色で
フルカラー表示を行う構成としてもよい。
図16(A)に示すように、発光素子と、該発
光素子にそれぞれ着色層を設ける構成とした場合、外光反射を抑制できるといった効果を
奏する。一方で、
図16(B)に示すように、発光素子に、黄色の着色層を設けずに、赤
色の着色層、緑色の着色層、及び青色の着色層を設ける構成とした場合、黄色または白色
の発光素子から射出された光のエネルギー損失が少ないため、消費電力を低くできるとい
った効果を奏する。
【0374】
<表示装置の構成例5>
次に、本発明の他の一態様の表示装置について、
図17に示す。
図17は、
図10(A
)の一点鎖線A-B、及び一点鎖線C-Dで切断した断面図である。なお、
図17におい
て、
図10(B)に示す符号と同様の機能を有する箇所には同様の符号を付し、その詳細
な説明は省略する。
【0375】
図17に示す表示装置600は、素子基板610、封止基板604、及びシール材60
5で囲まれた領域607に、封止層607a、封止層607b、封止層607cを有する
。封止層607a、封止層607b、封止層607cのいずれか一つまたは複数には、例
えば、PVC(ポリビニルクロライド)系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、エ
ポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)系樹脂、またはEVA
(エチレンビニルアセテート)系樹脂等の樹脂を用いることができる。また、酸化シリコ
ン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アル
ミニウム等の無機材料を用いてもよい。封止層607a、封止層607b、封止層607
cを形成することで、水などの不純物による発光素子618の劣化を抑制することができ
好ましい。なお、封止層607a、封止層607b、封止層607cを形成する場合、シ
ール材605を設けなくてもよい。
【0376】
また、封止層607a、封止層607b、封止層607cは、いずれか一つまたは二つ
であってもよく、4つ以上の封止層が形成されてもよい。封止層を多層にすることで、水
などの不純物が、表示装置600の外部から表示装置内部の発光素子618まで侵入する
のを効果的に防ぐことができるため好ましい。なお、封止層が多層の場合、樹脂と無機材
料とを積層させると好ましい構成である。
【0377】
<表示装置の構成例6>
また、本実施の形態における構成例1乃至構成例4に示す表示装置は、光学素子を有す
る構成を例示したが、本発明の一態様としては、光学素子を設けなくてもよい。
【0378】
図18(A)(B)に示す表示装置は、封止基板1031側に発光を取り出す構造(ト
ップエミッション型)の表示装置である。
図18(A)は、発光層1028R、発光層1
028G、発光層1028B、を有する表示装置の例である。また、
図18(B)は、発
光層1028R、発光層1028G、発光層1028B、発光層1028Y、を有する表
示装置の例である。
【0379】
発光層1028Rは、赤色の発光を呈し、発光層1028Gは、緑色の発光を呈し、発
光層1028Bは、青色の発光を呈する機能を有する。また、発光層1028Yは、黄色
の発光を呈する機能、または青色、緑色、赤色の中から選ばれる複数の発光を呈する機能
を有する。発光層1028Yが呈する発光は、白色であってもよい。黄色あるいは白色の
発光を呈する発光素子は発光効率が高いため、発光層1028Yを有する表示装置は、消
費電力を低減することができる。
【0380】
図18(A)及び
図18(B)に示す表示装置は、異なる色の発光を呈するEL層を副
画素に有するため、光学素子となる着色層を設けなくてもよい。
【0381】
また、封止層1029は、例えば、PVC(ポリビニルクロライド)系樹脂、アクリル
系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、PVB(ポリビニルブ
チラル)系樹脂、またはEVA(エチレンビニルアセテート)系樹脂等の樹脂を用いるこ
とができる。また、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン
、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等の無機材料を用いてもよい。封止層1029を
形成することで、水などの不純物による発光素子の劣化を抑制することができ好ましい。
【0382】
また、封止層1029は、いずれか一つまたは二つであってもよく、4つ以上の封止層
が形成されてもよい。封止層を多層にすることで、水などの不純物が、表示装置の外部か
ら表示装置内部まで侵入するのを効果的に防ぐことができるため好ましい。なお、封止層
が多層の場合、樹脂と無機材料とを積層させると好ましい構成である。
【0383】
なお、封止基板1031は、発光素子を保護する機能を有するものであればよい。その
ため、封止基板1031には、可撓性を有する基板やフィルムを用いることができる。
【0384】
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態や本実施の形態中の他の構成と適宜
組み合わせることが可能である。
【0385】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光素子を有する表示装置について、
図21を用
いて説明を行う。
【0386】
なお、
図21(A)は、本発明の一態様の表示装置を説明するブロック図であり、
図2
1(B)は、本発明の一態様の表示装置が有する画素回路を説明する回路図である。
【0387】
<表示装置に関する説明>
図21(A)に示す表示装置は、表示素子の画素を有する領域(以下、画素部802と
いう)と、画素部802の外側に配置され、画素を駆動するための回路を有する回路部(
以下、駆動回路部804という)と、素子の保護機能を有する回路(以下、保護回路80
6という)と、端子部807と、を有する。なお、保護回路806は、設けない構成とし
てもよい。
【0388】
駆動回路部804の一部、または全部は、画素部802と同一基板上に形成されている
ことが望ましい。これにより、部品数や端子数を減らすことが出来る。駆動回路部804
の一部、または全部が、画素部802と同一基板上に形成されていない場合には、駆動回
路部804の一部、または全部は、COGやTAB(Tape Automated B
onding)によって、実装することができる。
【0389】
画素部802は、X行(Xは2以上の自然数)Y列(Yは2以上の自然数)に配置され
た複数の表示素子を駆動するための回路(以下、画素回路801という)を有し、駆動回
路部804は、画素を選択する信号(走査信号)を出力する回路(以下、走査線駆動回路
804aという)、画素の表示素子を駆動するための信号(データ信号)を供給するため
の回路(以下、信号線駆動回路804b)などの駆動回路を有する。
【0390】
走査線駆動回路804aは、シフトレジスタ等を有する。走査線駆動回路804aは、
端子部807を介して、シフトレジスタを駆動するための信号が入力され、信号を出力す
る。例えば、走査線駆動回路804aは、スタートパルス信号、クロック信号等が入力さ
れ、パルス信号を出力する。走査線駆動回路804aは、走査信号が与えられる配線(以
下、走査線GL_1乃至GL_Xという)の電位を制御する機能を有する。なお、走査線
駆動回路804aを複数設け、複数の走査線駆動回路804aにより、走査線GL_1乃
至GL_Xを分割して制御してもよい。または、走査線駆動回路804aは、初期化信号
を供給することができる機能を有する。ただし、これに限定されず、走査線駆動回路80
4aは、別の信号を供給することも可能である。
【0391】
信号線駆動回路804bは、シフトレジスタ等を有する。信号線駆動回路804bは、
端子部807を介して、シフトレジスタを駆動するための信号の他、データ信号の元とな
る信号(画像信号)が入力される。信号線駆動回路804bは、画像信号を元に画素回路
801に書き込むデータ信号を生成する機能を有する。また、信号線駆動回路804bは
、スタートパルス、クロック信号等が入力されて得られるパルス信号に従って、データ信
号の出力を制御する機能を有する。また、信号線駆動回路804bは、データ信号が与え
られる配線(以下、データ線DL_1乃至DL_Yという)の電位を制御する機能を有す
る。または、信号線駆動回路804bは、初期化信号を供給することができる機能を有す
る。ただし、これに限定されず、信号線駆動回路804bは、別の信号を供給することも
可能である。
【0392】
信号線駆動回路804bは、例えば複数のアナログスイッチなどを用いて構成される。
信号線駆動回路804bは、複数のアナログスイッチを順次オン状態にすることにより、
画像信号を時分割した信号をデータ信号として出力できる。また、シフトレジスタなどを
用いて信号線駆動回路804bを構成してもよい。
【0393】
複数の画素回路801のそれぞれは、走査信号が与えられる複数の走査線GLの一つを
介してパルス信号が入力され、データ信号が与えられる複数のデータ線DLの一つを介し
てデータ信号が入力される。また、複数の画素回路801のそれぞれは、走査線駆動回路
804aによりデータ信号のデータの書き込み及び保持が制御される。例えば、m行n列
目の画素回路801は、走査線GL_m(mはX以下の自然数)を介して走査線駆動回路
804aからパルス信号が入力され、走査線GL_mの電位に応じてデータ線DL_n(
nはY以下の自然数)を介して信号線駆動回路804bからデータ信号が入力される。
【0394】
図21(A)に示す保護回路806は、例えば、走査線駆動回路804aと画素回路8
01の間の配線である走査線GLに接続される。または、保護回路806は、信号線駆動
回路804bと画素回路801の間の配線であるデータ線DLに接続される。または、保
護回路806は、走査線駆動回路804aと端子部807との間の配線に接続することが
できる。または、保護回路806は、信号線駆動回路804bと端子部807との間の配
線に接続することができる。なお、端子部807は、外部の回路から表示装置に電源及び
制御信号、及び画像信号を入力するための端子が設けられた部分をいう。
【0395】
保護回路806は、自身が接続する配線に一定の範囲外の電位が与えられたときに、該
配線と別の配線とを導通状態にする回路である。
【0396】
図21(A)に示すように、画素部802と駆動回路部804にそれぞれ保護回路80
6を接続することにより、ESD(Electro Static Discharge
:静電気放電)などにより発生する過電流に対する表示装置の耐性を高めることができる
。ただし、保護回路806の構成はこれに限定されず、例えば、走査線駆動回路804a
に保護回路806を接続した構成、または信号線駆動回路804bに保護回路806を接
続した構成とすることもできる。あるいは、端子部807に保護回路806を接続した構
成とすることもできる。
【0397】
また、
図21(A)においては、走査線駆動回路804aと信号線駆動回路804bに
よって駆動回路部804を形成している例を示しているが、この構成に限定されない。例
えば、走査線駆動回路804aのみを形成し、別途用意された信号線駆動回路が形成され
た基板(例えば、単結晶半導体膜、多結晶半導体膜で形成された駆動回路基板)を実装す
る構成としても良い。
【0398】
<画素回路の構成例>
図21(A)に示す複数の画素回路801は、例えば、
図21(B)に示す構成とする
ことができる。
【0399】
図21(B)に示す画素回路801は、トランジスタ852、854と、容量素子86
2と、発光素子872と、を有する。
【0400】
トランジスタ852のソース電極及びドレイン電極の一方は、データ信号が与えられる
配線(データ線DL_n)に電気的に接続される。さらに、トランジスタ852のゲート
電極は、ゲート信号が与えられる配線(走査線GL_m)に電気的に接続される。
【0401】
トランジスタ852は、データ信号のデータの書き込みを制御する機能を有する。
【0402】
容量素子862の一対の電極の一方は、電位が与えられる配線(以下、電位供給線VL
_aという)に電気的に接続され、他方は、トランジスタ852のソース電極及びドレイ
ン電極の他方に電気的に接続される。
【0403】
容量素子862は、書き込まれたデータを保持する保持容量としての機能を有する。
【0404】
トランジスタ854のソース電極及びドレイン電極の一方は、電位供給線VL_aに電
気的に接続される。さらに、トランジスタ854のゲート電極は、トランジスタ852の
ソース電極及びドレイン電極の他方に電気的に接続される。
【0405】
発光素子872のアノード及びカソードの一方は、電位供給線VL_bに電気的に接続
され、他方は、トランジスタ854のソース電極及びドレイン電極の他方に電気的に接続
される。
【0406】
発光素子872としては、実施の形態1乃至実施の形態3に示す発光素子を用いること
ができる。
【0407】
なお、電位供給線VL_a及び電位供給線VL_bの一方には、高電源電位VDDが与
えられ、他方には、低電源電位VSSが与えられる。
【0408】
図21(B)の画素回路801を有する表示装置では、例えば、
図21(A)に示す走
査線駆動回路804aにより各行の画素回路801を順次選択し、トランジスタ852を
オン状態にしてデータ信号のデータを書き込む。
【0409】
データが書き込まれた画素回路801は、トランジスタ852がオフ状態になることで
保持状態になる。さらに、書き込まれたデータ信号の電位に応じてトランジスタ854の
ソース電極とドレイン電極の間に流れる電流量が制御され、発光素子872は、流れる電
流量に応じた輝度で発光する。これを行毎に順次行うことにより、画像を表示できる。
【0410】
また、画素回路に、トランジスタのしきい値電圧等の変動の影響を補正する機能を持た
せてもよい。
【0411】
また、本発明の一態様の発光素子は、表示装置の画素に能動素子を有するアクティブマ
トリクス方式、または、表示装置の画素に能動素子を有しないパッシブマトリクス方式の
それぞれの方式に適用することができる。
【0412】
アクティブマトリクス方式では、能動素子(アクティブ素子、非線形素子)として、ト
ランジスタだけでなく、さまざまな能動素子(アクティブ素子、非線形素子)を用いるこ
とが出来る。例えば、MIM(Metal Insulator Metal)、又はT
FD(Thin Film Diode)などを用いることも可能である。これらの素子
は、製造工程が少ないため、製造コストの低減、又は歩留まりの向上を図ることができる
。または、これらの素子は、素子のサイズが小さいため、開口率を向上させることができ
、低消費電力化や高輝度化をはかることが出来る。
【0413】
アクティブマトリクス方式以外のものとして、能動素子(アクティブ素子、非線形素子
)を用いないパッシブマトリクス型を用いることも可能である。能動素子(アクティブ素
子、非線形素子)を用いないため、製造工程が少ないため、製造コストの低減、又は歩留
まりの向上を図ることができる。または、能動素子(アクティブ素子、非線形素子)を用
いないため、開口率を向上させることができ、低消費電力化、又は高輝度化などを図るこ
とが出来る。
【0414】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いること
ができる。
【0415】
(実施の形態6)
本実施の形態においては、本発明の一態様の発光素子を有する表示装置、及び該表示装
置に入力装置を取り付けた電子機器について、
図22乃至
図26を用いて説明を行う。
【0416】
<タッチパネルに関する説明1>
なお、本実施の形態において、電子機器の一例として、表示装置と、入力装置とを合わ
せたタッチパネル2000について説明する。また、入力装置の一例として、タッチセン
サを有する場合について説明する。
【0417】
図22(A)(B)は、タッチパネル2000の斜視図である。なお、
図22(A)(
B)において、明瞭化のため、タッチパネル2000の代表的な構成要素を示す。
【0418】
タッチパネル2000は、表示装置2501とタッチセンサ2595とを有する(
図2
2(B)参照)。また、タッチパネル2000は、基板2510、基板2570、及び基
板2590を有する。なお、基板2510、基板2570、及び基板2590はいずれも
可撓性を有する。ただし、基板2510、基板2570、及び基板2590のいずれか一
つまたは全てが可撓性を有さない構成としてもよい。
【0419】
表示装置2501は、基板2510上に複数の画素及び該画素に信号を供給することが
できる複数の配線2511を有する。複数の配線2511は、基板2510の外周部にま
で引き回され、その一部が端子2519を構成している。端子2519はFPC2509
(1)と電気的に接続する。また、複数の配線2511は、信号線駆動回路2503s(
1)からの信号を複数の画素に供給することができる。
【0420】
基板2590は、タッチセンサ2595と、タッチセンサ2595と電気的に接続する
複数の配線2598とを有する。複数の配線2598は、基板2590の外周部に引き回
され、その一部は端子を構成する。そして、該端子はFPC2509(2)と電気的に接
続される。なお、
図22(B)では明瞭化のため、基板2590の裏面側(基板2510
と対向する面側)に設けられるタッチセンサ2595の電極や配線等を実線で示している
。
【0421】
タッチセンサ2595として、例えば静電容量方式のタッチセンサを適用できる。静電
容量方式としては、表面型静電容量方式、投影型静電容量方式等がある。
【0422】
投影型静電容量方式としては、主に駆動方式の違いから自己容量方式、相互容量方式な
どがある。相互容量方式を用いると同時多点検出が可能となるため好ましい。
【0423】
なお、
図22(B)に示すタッチセンサ2595は、投影型静電容量方式のタッチセン
サを適用した構成である。
【0424】
なお、タッチセンサ2595には、指等の検知対象の近接または接触を検知することが
できる、様々なセンサを適用することができる。
【0425】
投影型静電容量方式のタッチセンサ2595は、電極2591と電極2592とを有す
る。電極2591は、複数の配線2598のいずれかと電気的に接続し、電極2592は
複数の配線2598の他のいずれかと電気的に接続する。
【0426】
電極2592は、
図22(A)(B)に示すように、一方向に繰り返し配置された複数
の四辺形が角部で接続される形状を有する。
【0427】
電極2591は四辺形であり、電極2592が延在する方向と交差する方向に繰り返し
配置されている。
【0428】
配線2594は、電極2592を挟む二つの電極2591と電気的に接続する。このと
き、電極2592と配線2594の交差部の面積ができるだけ小さくなる形状が好ましい
。これにより、電極が設けられていない領域の面積を低減でき、透過率のバラツキを低減
できる。その結果、タッチセンサ2595を透過する光の輝度のバラツキを低減すること
ができる。
【0429】
なお、電極2591及び電極2592の形状はこれに限定されず、様々な形状を取りう
る。例えば、複数の電極2591をできるだけ隙間が生じないように配置し、絶縁層を介
して電極2592を、電極2591と重ならない領域ができるように離間して複数設ける
構成としてもよい。このとき、隣接する2つの電極2592の間に、これらとは電気的に
絶縁されたダミー電極を設けると、透過率の異なる領域の面積を低減できるため好ましい
。
【0430】
<表示装置に関する説明>
次に、
図23(A)を用いて、表示装置2501の詳細について説明する。
図23(A
)は、
図22(B)に示す一点鎖線X1-X2間の断面図に相当する。
【0431】
表示装置2501は、マトリクス状に配置された複数の画素を有する。該画素は表示素
子と、該表示素子を駆動する画素回路とを有する。
【0432】
以下の説明においては、白色の光を射出する発光素子を表示素子に適用する場合につい
て説明するが、表示素子はこれに限定されない。例えば、隣接する画素毎に射出する光の
色が異なるように、発光色が異なる発光素子を適用してもよい。
【0433】
基板2510及び基板2570としては、例えば、水蒸気の透過率が1×10-5g・
m-2・day-1以下、好ましくは1×10-6g・m-2・day-1以下である可
撓性を有する材料を好適に用いることができる。または、基板2510の熱膨張率と、基
板2570の熱膨張率とが、およそ等しい材料を用いると好適である。例えば、線膨張率
が1×10-3/K以下、好ましくは5×10-5/K以下、より好ましくは1×10-
5/K以下である材料を好適に用いることができる。
【0434】
なお、基板2510は、発光素子への不純物の拡散を防ぐ絶縁層2510aと、可撓性
基板2510bと、絶縁層2510a及び可撓性基板2510bを貼り合わせる接着層2
510cと、を有する積層体である。また、基板2570は、発光素子への不純物の拡散
を防ぐ絶縁層2570aと、可撓性基板2570bと、絶縁層2570a及び可撓性基板
2570bを貼り合わせる接着層2570cと、を有する積層体である。
【0435】
接着層2510c及び接着層2570cとしては、例えば、ポリエステル、ポリオレフ
ィン、ポリアミド(ナイロン、アラミド等)、ポリイミド、ポリカーボネートまたはアク
リル樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂を用いることができる。もしくは、シリコーンな
どのシロキサン結合を有する樹脂を含む材料を用いることができる。
【0436】
また、基板2510と基板2570との間に封止層2560を有する。封止層2560
は、空気より大きい屈折率を有すると好ましい。また、
図23(A)に示すように、封止
層2560側に光を取り出す場合は、封止層2560は光学的な接合層を兼ねることがで
きる。
【0437】
また、封止層2560の外周部にシール材を形成してもよい。当該シール材を用いるこ
とにより、基板2510、基板2570、封止層2560、及びシール材で囲まれた領域
に発光素子2550Rを有する構成とすることができる。なお、封止層2560として、
不活性気体(窒素やアルゴン等)を充填してもよい。また、当該不活性気体内に、乾燥剤
を設けて、水分等を吸着させる構成としてもよい。あるいは、アクリルやエポキシ等の樹
脂によって充填してもよい。また、上述のシール材としては、例えば、エポキシ系樹脂や
ガラスフリットを用いるのが好ましい。また、シール材に用いる材料としては、水分や酸
素を透過しない材料を用いると好適である。
【0438】
また、表示装置2501は、画素2502Rを有する。また、画素2502Rは発光モ
ジュール2580Rを有する。
【0439】
画素2502Rは、発光素子2550Rと、発光素子2550Rに電力を供給すること
ができるトランジスタ2502tとを有する。なお、トランジスタ2502tは、画素回
路の一部として機能する。また、発光モジュール2580Rは、発光素子2550Rと、
着色層2567Rとを有する。
【0440】
発光素子2550Rは、下部電極と、上部電極と、下部電極と上部電極の間にEL層と
を有する。発光素子2550Rとして、例えば、実施の形態1乃至実施の形態3に示す発
光素子を適用することができる。
【0441】
また、下部電極と上部電極との間で、マイクロキャビティ構造を採用し、特定波長にお
ける光強度を増加させてもよい。
【0442】
また、封止層2560が光を取り出す側に設けられている場合、封止層2560は、発
光素子2550Rと着色層2567Rに接する。
【0443】
着色層2567Rは、発光素子2550Rと重なる位置にある。これにより、発光素子
2550Rが発する光の一部は着色層2567Rを透過して、図中に示す矢印の方向の発
光モジュール2580Rの外部に射出される。
【0444】
また、表示装置2501には、光を射出する方向に遮光層2567BMが設けられる。
遮光層2567BMは、着色層2567Rを囲むように設けられている。
【0445】
着色層2567Rとしては、特定の波長領域の光を透過する機能を有していればよく、
例えば、赤色の波長領域の光を透過するカラーフィルタ、緑色の波長領域の光を透過する
カラーフィルタ、青色の波長領域の光を透過するカラーフィルタ、黄色の波長領域の光を
透過するカラーフィルタなどを用いることができる。各カラーフィルタは、様々な材料を
用いて、印刷法、インクジェット法、フォトリソグラフィ技術を用いたエッチング方法な
どで形成することができる。
【0446】
また、表示装置2501には、絶縁層2521が設けられる。絶縁層2521はトラン
ジスタ2502tを覆う。なお、絶縁層2521は、画素回路に起因する凹凸を平坦化す
るための機能を有する。また、絶縁層2521に不純物の拡散を抑制できる機能を付与し
てもよい。これにより、不純物の拡散によるトランジスタ2502t等の信頼性の低下を
抑制できる。
【0447】
また、発光素子2550Rは、絶縁層2521の上方に形成される。また、発光素子2
550Rが有する下部電極には、該下部電極の端部に重なる隔壁2528が設けられる。
なお、基板2510と、基板2570との間隔を制御するスペーサを、隔壁2528上に
形成してもよい。
【0448】
走査線駆動回路2503g(1)は、トランジスタ2503tと、容量素子2503c
とを有する。なお、駆動回路を画素回路と同一の工程で同一基板上に形成することができ
る。
【0449】
また、基板2510上には、信号を供給することができる配線2511が設けられる。
また、配線2511上には、端子2519が設けられる。また、端子2519には、FP
C2509(1)が電気的に接続される。また、FPC2509(1)は、ビデオ信号、
クロック信号、スタート信号、リセット信号等を供給する機能を有する。なお、FPC2
509(1)にはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。
【0450】
また、表示装置2501には、様々な構造のトランジスタを適用することができる。図
23(A)においては、ボトムゲート型のトランジスタを適用する場合について、例示し
ているが、これに限定されず、例えば、
図23(B)に示す、トップゲート型のトランジ
スタを表示装置2501に適用する構成としてもよい。
【0451】
また、トランジスタ2502t及びトランジスタ2503tの極性については、特に限
定はなく、Nチャネル型およびPチャネル型のトランジスタを有する構造、Nチャネル型
のトランジスタまたはPチャネル型のトランジスタのいずれか一方のみからなる構造を用
いてもよい。また、トランジスタ2502t及び2503tに用いられる半導体膜の結晶
性についても特に限定はない。例えば、非晶質半導体膜、結晶性半導体膜を用いることが
できる。また、半導体材料としては、14族の半導体(例えば、ケイ素を有する半導体)
、化合物半導体(酸化物半導体を含む)、有機半導体等を用いることができる。トランジ
スタ2502t及びトランジスタ2503tのいずれか一方または双方に、エネルギーギ
ャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上、さらに好ましくは3eV以上の酸化物
半導体を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができるため好ましい。
当該酸化物半導体としては、In-Ga酸化物、In-M-Zn酸化物(Mは、Al、G
a、Y、Zr、La、Ce、Sn、Hf、またはNdを表す)等が挙げられる。
【0452】
<タッチセンサに関する説明>
次に、
図23(C)を用いて、タッチセンサ2595の詳細について説明する。
図23
(C)は、
図22(B)に示す一点鎖線X3-X4間の断面図に相当する。
【0453】
タッチセンサ2595は、基板2590上に千鳥状に配置された電極2591及び電極
2592と、電極2591及び電極2592を覆う絶縁層2593と、隣り合う電極25
91を電気的に接続する配線2594とを有する。
【0454】
電極2591及び電極2592は、透光性を有する導電材料を用いて形成する。透光性
を有する導電性材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸
化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などの導電性酸化物を用いることができる
。なお、グラフェンを含む膜を用いることもできる。グラフェンを含む膜は、例えば膜状
に形成された酸化グラフェンを含む膜を還元して形成することができる。還元する方法と
しては、熱を加える方法等を挙げることができる。
【0455】
例えば、透光性を有する導電性材料を基板2590上にスパッタリング法により成膜し
た後、フォトリソグラフィ法等の様々なパターン形成技術により、不要な部分を除去して
、電極2591及び電極2592を形成することができる。
【0456】
また、絶縁層2593に用いる材料としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂な
どの樹脂、シリコーンなどのシロキサン結合を有する樹脂の他、酸化シリコン、酸化窒化
シリコン、酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料を用いることもできる。
【0457】
また、電極2591に達する開口が絶縁層2593に設けられ、配線2594が隣接す
る電極2591と電気的に接続する。透光性の導電性材料は、タッチパネルの開口率を高
めることができるため、配線2594に好適に用いることができる。また、電極2591
及び電極2592より導電性の高い材料は、電気抵抗を低減できるため配線2594に好
適に用いることができる。
【0458】
電極2592は、一方向に延在し、複数の電極2592がストライプ状に設けられてい
る。また、配線2594は電極2592と交差して設けられている。
【0459】
一対の電極2591が1つの電極2592を挟んで設けられる。また、配線2594は
一対の電極2591を電気的に接続している。
【0460】
なお、複数の電極2591は、1つの電極2592と必ずしも直交する方向に配置され
る必要はなく、0度より大きく90度未満の角度をなすように配置されてもよい。
【0461】
また、配線2598は、電極2591または電極2592と電気的に接続される。また
、配線2598の一部は、端子として機能する。配線2598としては、例えば、アルミ
ニウム、金、白金、銀、ニッケル、チタン、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コ
バルト、銅、またはパラジウム等の金属材料や、該金属材料を含む合金材料を用いること
ができる。
【0462】
なお、絶縁層2593及び配線2594を覆う絶縁層を設けて、タッチセンサ2595
を保護してもよい。
【0463】
また、接続層2599は、配線2598とFPC2509(2)を電気的に接続させる
。
【0464】
接続層2599としては、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic C
onductive Film)や、異方性導電ペースト(ACP:Anisotrop
ic Conductive Paste)などを用いることができる。
【0465】
<タッチパネルに関する説明2>
次に、
図24(A)を用いて、タッチパネル2000の詳細について説明する。
図24
(A)は、
図22(A)に示す一点鎖線X5-X6間の断面図に相当する。
【0466】
図24(A)に示すタッチパネル2000は、
図23(A)で説明した表示装置250
1と、
図23(C)で説明したタッチセンサ2595と、を貼り合わせた構成である。
【0467】
また、
図24(A)に示すタッチパネル2000は、
図23(A)及び
図23(C)で
説明した構成の他、接着層2597と、反射防止層2567pと、を有する。
【0468】
接着層2597は、配線2594と接して設けられる。なお、接着層2597は、タッ
チセンサ2595が表示装置2501に重なるように、基板2590を基板2570に貼
り合わせている。また、接着層2597は、透光性を有すると好ましい。また、接着層2
597としては、熱硬化性樹脂、または紫外線硬化樹脂を用いることができる。例えば、
アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、またはシロキサン系樹脂を用いるこ
とができる。
【0469】
反射防止層2567pは、画素に重なる位置に設けられる。反射防止層2567pとし
て、例えば円偏光板を用いることができる。
【0470】
次に、
図24(A)に示す構成と異なる構成のタッチパネルについて、
図24(B)を
用いて説明する。
【0471】
図24(B)は、タッチパネル2001の断面図である。
図24(B)に示すタッチパ
ネル2001は、
図24(A)に示すタッチパネル2000と、表示装置2501に対す
るタッチセンサ2595の位置が異なる。ここでは異なる構成について詳細に説明し、同
様の構成を用いることができる部分は、タッチパネル2000の説明を援用する。
【0472】
着色層2567Rは、発光素子2550Rと重なる位置にある。また、
図24(B)に
示す発光素子2550Rは、トランジスタ2502tが設けられている側に光を射出する
。これにより、発光素子2550Rが発する光の一部は、着色層2567Rを透過して、
図中に示す矢印の方向の発光モジュール2580Rの外部に射出される。
【0473】
また、タッチセンサ2595は、表示装置2501の基板2510側に設けられている
。
【0474】
接着層2597は、基板2510と基板2590の間にあり、表示装置2501とタッ
チセンサ2595を貼り合わせる。
【0475】
図24(A)(B)に示すように、発光素子から射出される光は、基板2510側及び
基板2570側のいずれか一方または双方を通して射出されればよい。
【0476】
<タッチパネルの駆動方法に関する説明>
次に、タッチパネルの駆動方法の一例について、
図25(A)(B)を用いて説明を行
う。
【0477】
図25(A)は、相互容量方式のタッチセンサの構成を示すブロック図である。
図25
(A)では、パルス電圧出力回路2601、電流検出回路2602を示している。なお、
図25(A)では、パルス電圧が与えられる電極2621をX1-X6として、電流の変
化を検知する電極2622をY1-Y6として、それぞれ6本の配線で例示している。ま
た、
図25(A)は、電極2621と、電極2622とが重なることで形成される容量2
603を示している。なお、電極2621と電極2622とはその機能を互いに置き換え
てもよい。
【0478】
パルス電圧出力回路2601は、X1-X6の配線に順にパルスを印加するための回路
である。X1-X6の配線にパルス電圧が印加されることで、容量2603を形成する電
極2621と電極2622との間に電界が生じる。この電極間に生じる電界が遮蔽等によ
り容量2603の相互容量に変化を生じさせることを利用して、被検知体の近接、または
接触を検出することができる。
【0479】
電流検出回路2602は、容量2603での相互容量の変化による、Y1-Y6の配線
での電流の変化を検出するための回路である。Y1-Y6の配線では、被検知体の近接、
または接触がないと検出される電流値に変化はないが、検出する被検知体の近接、または
接触により相互容量が減少する場合には電流値が減少する変化を検出する。なお電流の検
出は、積分回路等を用いて行えばよい。
【0480】
次に、
図25(B)には、
図25(A)で示す相互容量方式のタッチセンサにおける入
出力波形のタイミングチャートを示す。
図25(B)では、1フレーム期間で各行列での
被検知体の検出を行う。また
図25(B)では、被検知体を検出しない場合(非タッチ)
と被検知体を検出する場合(タッチ)との2つの場合について示している。なお、
図25
(B)では、Y1-Y6の配線で検出される電流値に対応する電圧値の波形を示している
。
【0481】
X1-X6の配線には、順にパルス電圧が与えられ、該パルス電圧にしたがってY1-
Y6の配線での波形が変化する。被検知体の近接または接触がない場合には、X1-X6
の配線の電圧の変化に応じてY1-Y6の波形が一様に変化する。一方、被検知体が近接
または接触する箇所では、電流値が減少するため、これに対応する電圧値の波形も変化す
る。
【0482】
このように、相互容量の変化を検出することにより、被検知体の近接または接触を検知
することができる。
【0483】
<センサ回路に関する説明>
また、
図25(A)ではタッチセンサとして配線の交差部に容量2603のみを設ける
パッシブマトリクス型のタッチセンサの構成を示したが、トランジスタと容量とを有する
アクティブマトリクス型のタッチセンサとしてもよい。アクティブマトリクス型のタッチ
センサに含まれるセンサ回路の一例を
図26に示す。
【0484】
図26に示すセンサ回路は、容量2603と、トランジスタ2611と、トランジスタ
2612と、トランジスタ2613とを有する。
【0485】
トランジスタ2613はゲートに信号G2が与えられ、ソースまたはドレインの一方に
電圧VRESが与えられ、他方が容量2603の一方の電極およびトランジスタ2611
のゲートと電気的に接続する。トランジスタ2611は、ソースまたはドレインの一方が
トランジスタ2612のソースまたはドレインの一方と電気的に接続し、他方に電圧VS
Sが与えられる。トランジスタ2612は、ゲートに信号G1が与えられ、ソースまたは
ドレインの他方が配線MLと電気的に接続する。容量2603の他方の電極には電圧VS
Sが与えられる。
【0486】
次に、
図26に示すセンサ回路の動作について説明する。まず、信号G2としてトラン
ジスタ2613をオン状態とする電位が与えられることで、トランジスタ2611のゲー
トが接続されるノードnに電圧VRESに対応した電位が与えられる。次に、信号G2と
してトランジスタ2613をオフ状態とする電位が与えられることで、ノードnの電位が
保持される。
【0487】
続いて、指等の被検知体の近接または接触により、容量2603の相互容量が変化する
ことに伴い、ノードnの電位がVRESから変化する。
【0488】
読み出し動作は、信号G1にトランジスタ2612をオン状態とする電位を与える。ノ
ードnの電位に応じてトランジスタ2611に流れる電流、すなわち配線MLに流れる電
流が変化する。この電流を検出することにより、被検知体の近接または接触を検出するこ
とができる。
【0489】
トランジスタ2611、トランジスタ2612、及びトランジスタ2613としては、
酸化物半導体層をチャネル領域が形成される半導体層に用いることが好ましい。とくにト
ランジスタ2613にこのようなトランジスタを適用することにより、ノードnの電位を
長期間に亘って保持することが可能となり、ノードnにVRESを供給しなおす動作(リ
フレッシュ動作)の頻度を減らすことができる。
【0490】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いること
ができる。
【0491】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光素子と、反射型の液晶素子とを有し、透過モ
ードと反射モードの両方の表示を行うことが可能な表示装置について、
図27乃至
図30
を用いて以下説明する。
【0492】
図27(A)は、本発明の一態様の表示装置300の構成を説明する下面図である。ま
た、
図27(B)は、
図27(A)の一部を説明する下面図である。なお、煩雑さを避け
るため、
図27(B)では図示する一部の構成を省略している。
【0493】
図28は、本発明の一態様の表示装置300の構成を説明する断面図である。
図28は
、
図27(A)の切断線X1-X2、X3-X4、X5-X6、X7-X8、X9-X1
0、X11-X12における断面図である。
【0494】
図29は、本発明の一態様の表示装置300が有する画素302の回路を説明する図で
ある。
【0495】
<表示装置の構成例>
図27(A)に示すように、本発明の一態様の表示装置300は、画素部502と、画
素部502の外側に配置される駆動回路GD及び駆動回路SDとを有する。また、画素部
502は、画素302を有する。
【0496】
画素302は、液晶素子350と、発光素子550と、を有する。また、画素302は
、トランジスタ581を有する。また、画素302は、トランジスタ585及びトランジ
スタ586を有する(
図28参照)。
【0497】
発光素子550は、液晶素子350が表示をする方向と同一の方向に表示をする機能を
有する。例えば、液晶素子350が外光を反射する強度を制御して表示をする方向を、図
28中の破線矢印で示す。また、発光素子550が表示をする方向を、
図28中の実線矢
印で示す。
【0498】
液晶素子350は、入射する光を反射する機能を有する反射膜351Bと、反射する光
の強さを制御する機能を有する材料を有する液晶層353と、を有する。そのため、液晶
素子350は、入射する光を反射する機能と、反射する光の強さを制御する機能と、を有
する。
【0499】
液晶素子350には、反射型の液晶素子を用いることが好ましい。具体的には、液晶素
子350は、液晶層353の他に、電極351と、電極352と、を有する。電極351
は、光を反射する機能を有する反射膜351Bを有する。また、液晶層353は、液晶材
料を有する。なお、電極352は、電極351との間に液晶材料の配向を制御する電界が
形成されるよう配置される。また、液晶層353は、液晶素子350に入射し反射膜35
1Bで反射する光の強さを制御する機能を有する。
【0500】
電極351は、トランジスタ581と電気的に接続される。また、電極351は、反射
膜351Bを挟持するように、導電膜351A及び導電膜351Cを有する構成であると
好ましい。反射膜351Bを導電膜351A及び導電膜351Cが挟持することで、反射
膜351Bが有する元素が他の層に拡散することを抑制することができる。また、外部か
ら侵入する不純物によって反射膜351Bが汚染されることを抑制することができる。
【0501】
また、導電膜351A、及び導電膜351Cは、光を透過する機能を有することが好ま
しい。導電膜351Aが光を透過する機能を有することで、外部から液晶素子350に入
射した光を効率よく反射膜351Bで反射させることができる。また、導電膜351Cが
光を透過する機能を有することで、後に示すように発光素子550が射出する光を効率よ
く外部へ取り出すことができる。
【0502】
また、表示装置300は、配向膜331および配向膜332を有する。配向膜332は
、配向膜331との間に液晶層353を挟持するように配設される。
【0503】
また、表示装置300は、画素302と重なる領域に、着色層375と、遮光層373
と、絶縁膜371と、機能膜370Dと、機能膜370Pと、を有する。
【0504】
着色層375は、液晶素子350と重なる領域を有する。遮光層373は、液晶素子3
50と重なる領域に開口部を有する。着色層375を設けることにより、外部から液晶素
子350に入射する光が着色層375を介して反射膜351Bに入射し、反射膜351B
で反射した光が着色層375を介して外部へ取り出されるため、外部から液晶素子350
に入射し、反射する光を所定の色で外部に取り出すことができる。
【0505】
絶縁膜371は、着色層375と液晶層353との間、または遮光層373と液晶層3
53との間に配設される。これにより、遮光層373または着色層375等から液晶層3
53への不純物の拡散を抑制することができる。また、着色層375の厚さに基づく凹凸
を平坦にするよう絶縁膜371を配設してもよい。
【0506】
機能膜370D及び機能膜370Pは、液晶素子350と重なる領域を有する。機能膜
370Dは、液晶素子350との間に、基板370を挟持するように配設される。機能膜
370D及び機能膜370Pには、液晶素子350及び発光素子550の表示を鮮明にす
る機能を有する膜や、表示装置300の表面を保護する機能を有する膜などを用いること
ができる。なお、機能膜370D及び機能膜370Pは、どちらか一方であってもよい。
【0507】
また、表示装置300は、基板370と、基板570と、機能層520と、を有する。
【0508】
基板370は、基板570と重なる領域を有する。機能層520は、基板570および
基板370との間に配設される。
【0509】
機能層520は、画素302が有するトランジスタと、発光素子550と、絶縁膜52
1と、絶縁膜528と、を有する。
【0510】
絶縁膜521は、画素302が有するトランジスタおよび発光素子550との間に配設
される。絶縁膜521は、絶縁膜521と重なるさまざまな構造に由来する段差を平坦化
することができるよう形成されると好ましい。
【0511】
また、発光素子550の構成としては、実施の形態1乃至実施の形態3で示した本発明
の一態様の発光素子の構成を用いることが好ましい。
【0512】
発光素子550は、電極551と、電極552と、発光層553と、を有する。電極5
52は、電極551と重なる領域を有し、発光層553は、電極551及び電極552の
間に配設される。そして、電極551は、接続部522において、画素302が有するト
ランジスタ585と電気的に接続される。
【0513】
発光素子550が、ボトムエミッション型である場合、電極552は、光を反射する機
能を有することが好ましい。そのため、電極552は、光を反射する機能を有する反射膜
を有することが好ましい。また、電極551は、光を透過する機能を有することが好まし
い。
【0514】
また、絶縁膜528は、電極551と電極552とで挟持される領域を有する。絶縁膜
528は、絶縁性を有し、電極551及び電極552の短絡を防止することができる。そ
のためには、電極551の側端部は、絶縁膜528と接する領域を有すると好ましい。ま
た、絶縁膜528は、発光素子550と重なる領域に開口部を有し、該開口部において、
発光素子550が発光する。
【0515】
発光層553は、発光性の材料として、有機材料または無機材料を有することが好まし
い。具体的には、蛍光発光性の有機材料、または燐光発光性の有機材料を用いることがで
きる。また、量子ドットなどの発光性の無機材料を用いることができる。
【0516】
また、液晶素子350が有する反射膜351Bは、開口部351Hを有する。開口部3
51Hは、光を透過する機能を有する導電膜351A及び導電膜351Cと重なる領域を
有する。発光素子550は、開口部351Hに向けて光を射出する機能を有する。換言す
ると、液晶素子350は、反射膜351Bと重なる領域に表示を行う機能を有し、発光素
子550は、開口部351Hと重なる領域に表示を行う機能を有する。
【0517】
また、液晶素子は、反射膜351Bと重なる領域に表示をする機能を有し、発光素子は
、開口部351Hと重なる領域に表示をする機能を有するため、発光素子550は、液晶
素子350が表示をする領域に囲まれた領域に表示をする機能を有する(
図27(B)参
照)。
【0518】
以上のように、反射型の液晶素子を液晶素子350に用い、発光素子を発光素子550
に用い、明るい環境下においては反射型の液晶素子350により表示を行い、暗い環境下
においては発光素子550が射出する光を用いて表示を行うことで、消費電力が低減され
、明るい環境下でも暗い環境下でも視認性の高く利便性の高い表示装置を提供することが
できる。また、薄暗い環境下においては、外光を利用した反射型の液晶素子による表示と
、発光素子が射出する光を用いた表示を行うことで、視認性が高く消費電力が低減された
利便性の高い表示装置を提供することができる。
【0519】
また、本発明の一態様の表示装置は、発光素子550と重なる領域に、光学素子(例え
ば、着色層、色変換層(例えば量子ドット等)、偏光板、反射防止膜等)として機能する
着色層375、機能膜370D、及び機能膜370Pを有する。そのため、発光素子55
0が呈する発光の色純度を向上させることができ、表示装置300の色純度を高めること
ができる。あるいは、表示装置300のコントラスト比を高めることができる。なお、機
能膜370D及び機能膜370Pには、例えば、偏光板、位相差板、拡散フィルム、反射
防止膜または集光フィルム等を用いることができる。または、2色性色素を含む偏光板を
用いることができる。また、ゴミの付着を抑制する帯電防止膜、汚れを付着しにくくする
撥水性の膜、使用に伴う傷の発生を抑制するハードコート膜などを、機能膜370D及び
機能膜370Pに用いることができる。
【0520】
また、液晶素子350と発光素子550とに挟持され開口部351Hと重なる領域に、
着色層575を有する構成であってもよい。このような構成とすることで、発光素子55
0から射出される光が着色層575及び着色層375を通して外部に射出されるため、発
光素子550から射出される光の色純度を高めることができ、且つ、発光素子550から
射出される光の強度を高めることができる。
【0521】
なお、所定の色の光を透過する材料を着色層375及び着色層575に用いることがで
きる。これにより、着色層375及び着色層575を例えばカラーフィルタに用いること
ができる。例えば、青色の光を透過する材料、緑色の光を透過する材料、赤色の光を透過
する材料、黄色の光を透過する材料または白色の光を透過する材料などを着色層375及
び着色層575に用いることができる。
【0522】
また、
図28に示す表示装置300に、タッチパネルを設ける構成としてもよい。当該
タッチパネルとしては、静電容量方式(表面型静電容量方式、投影型静電容量方式等)を
好適に用いることができる。
【0523】
<画素および配線等の配置例>
駆動回路GDは、走査線GL1及びGL2と電気的に接続される。駆動回路GDは、例
えば、トランジスタ586を有する。具体的には、画素302が有するトランジスタ(例
えばトランジスタ581)と同じ工程で形成することができる半導体膜を有するトランジ
スタを、トランジスタ586に用いることができる(
図28参照)。
【0524】
駆動回路SDは、信号線SL1及びSL2と電気的に接続される。駆動回路SDは、例
えば、端子519Bまたは端子519Cと同一の工程で形成することができる端子に、導
電性材料を用いて電気的に接続される。
【0525】
また、画素302は、信号線SL1と電気的に接続される(
図29参照)。なお、トラ
ンジスタ581のソース電極またはドレイン電極の一方が、信号線SL1と電気的に接続
されると好ましい(
図28および
図29参照)。
【0526】
図30(A)は、本発明の一態様の表示装置300に用いることができる画素の回路お
よび配線等の配置を説明するブロック図である。また、
図30(B-1)および
図30(
B-2)は、本発明の一態様の表示装置300に用いることができる開口部351Hの配
置を説明する模式図である。
【0527】
なお、本発明の一態様の表示装置300は、複数の画素302を有する。画素302は
、それぞれ液晶素子350、発光素子550、トランジスタ581、及びトランジスタ5
85等を有し、行方向(
図30(A)において矢印Rで示す方向)、及び行方向と交差す
る列方向(
図30(A)において矢印Cで示す方向)に配設される。
【0528】
行方向に配設される一群の画素302は、走査線GL1と電気的に接続される。また、
列方向に配設される他の一群の画素302は、信号線SL1と電気的に接続される。
【0529】
例えば、画素302の行方向(
図30(B-1)において矢印Rで示す方向)に隣接す
る画素は、画素302が有する開口部351Hの配置と異なるように、配設される開口部
を有する。また、例えば、画素302の列方向(
図30(B-2)において矢印Cで示す
方向)に隣接する画素は、画素302が有する開口部351Hの配置と異なるように、配
置される開口部を有する。
【0530】
また、多角形(例えば四角形や十字等)、楕円形、または円形等の形状を開口部351
Hの形状に用いることができる。また、細長い筋状、スリット状、市松模様状の形状を開
口部351Hの形状に用いることができる。また、開口部351Hを隣接する画素に寄せ
て配置してもよい。好ましくは、開口部351Hを同じ色を表示する機能を有する他の画
素に寄せて配置する。これにより、発光素子550が射出する光が隣接する画素に配置さ
れた着色膜に入射してしまう現象(クロストークともいう)を抑制できる。
【0531】
以上のように、本発明の一態様の表示装置300は、画素302を有し、画素302は
、液晶素子350と、発光素子550とを有し、液晶素子350が有する電極351は、
画素302が有するトランジスタ581と電気的に接続し、発光素子550が有する電極
551は、画素302が有するトランジスタ585と電気的に接続し、発光素子は、開口
部351Hを通して光を射出する機能を有し、液晶素子は、表示装置300に入射する光
を反射する機能を有する。
【0532】
これによって、例えば同一の工程を用いて形成することができるトランジスタを用いて
、液晶素子350と、発光素子550と、を駆動することができる。
【0533】
<表示装置の構成要素>
画素302は、信号線SL1、信号線SL2、走査線GL1、走査線GL2、配線CS
COMおよび配線ANOと電気的に接続される(
図29参照)。
【0534】
なお、信号線SL2に供給する信号に用いる電圧が、隣接する画素の信号線SL1に供
給する信号に用いる電圧と異なる場合、隣接する画素の信号線SL1を信号線SL2から
離して配置する。具体的には、信号線SL2と隣接する画素の信号線SL2とが隣接する
ように配置する。
【0535】
画素302は、トランジスタ581、容量素子C1、トランジスタ582、トランジス
タ585および容量素子C2を有する。
【0536】
例えば、走査線GL1と電気的に接続されるゲート電極と、信号線SL1と電気的に接
続される第1の電極(ソース電極及びドレイン電極の一方)と、を有するトランジスタを
、トランジスタ581に用いることができる。
【0537】
容量素子C1は、トランジスタ581の第2の電極(ソース電極及びドレイン電極の他
方)に電気的に接続される第1の電極と、配線CSCOMに電気的に接続される第2の電
極と、を有する。
【0538】
例えば、走査線GL2と電気的に接続されるゲート電極と、信号線SL2と電気的に接
続される第1の電極(ソース電極及びドレイン電極の一方)と、を有するトランジスタを
、トランジスタ582に用いることができる。
【0539】
トランジスタ585は、トランジスタ582の第2の電極(ソース電極及びドレイン電
極の他方)に電気的に接続されるゲート電極と、配線ANOと電気的に接続される第1の
電極(ソース電極及びドレイン電極の一方)と、を有する。
【0540】
なお、半導体膜をゲート電極との間に挟むように設けられた導電膜を有するトランジス
タを、トランジスタ585に用いることができる。例えば、トランジスタ585の第1の
電極(ソース電極及びドレイン電極の一方)と同じ電位を供給することができる配線と、
電気的に接続された導電膜を該導電膜に用いることができる。
【0541】
容量素子C2は、トランジスタ582の第2の電極(ソース電極及びドレイン電極の他
方)に電気的に接続される第1の電極と、トランジスタ585の第1の電極(ソース電極
及びドレイン電極の一方)に電気的に接続される第2の電極と、を有する。
【0542】
なお、液晶素子350の第1の電極をトランジスタ581の第2の電極(ソース電極及
びドレイン電極の他方)と電気的に接続し、液晶素子350の第2の電極を配線VCOM
1と電気的に接続する。これにより、液晶素子350を駆動することができる。
【0543】
また、発光素子550の第1の電極をトランジスタ585の第2の電極(ソース電極及
びドレイン電極の他方)と電気的に接続し、発光素子550の第2の電極を配線VCOM
2と電気的に接続する。これにより、発光素子550を駆動することができる。
【0544】
≪画素の構成要素≫
また、画素302は、絶縁膜501Cと、中間膜354と、を有する。また、画素30
2は、トランジスタ581を有する。また、画素302は、トランジスタ585及びトラ
ンジスタ586を有する。これらのトランジスタに用いる半導体膜は、酸化物半導体であ
ると好ましい。
【0545】
また、表示装置300は、端子519Bを有し、端子519Bは、導電膜511Bと、
中間膜354と、を有する。また、表示装置300は、端子519Cと、導電体337と
を有し、端子519Cは、導電膜511Cと、中間膜354とを有する(
図28参照)。
例えば、水素を透過または供給する機能を備える材料を中間膜354に用いることができ
る。また、導電性を有する材料を中間膜354に用いることができる。また、透光性を有
する材料を中間膜354に用いることができる。
【0546】
絶縁膜501Cは、絶縁膜501Aと導電膜511Bとの間に挟持される領域を有する
。
【0547】
導電膜511Bは、画素302と電気的に接続される。例えば、電極351または第1
の導電膜を反射膜351Bに用いる場合、端子519Bの接点として機能する面は、電極
351における、液晶素子350に入射する光に向いている面と同じ方向を向いている。
【0548】
また、導電性材料339を用いて、フレキシブルプリント基板377と端子519Bと
を電気的に接続することができる。これにより、端子519Bを介して電力または信号を
、画素302に供給することができる。
【0549】
導電膜511Cは、画素302と電気的に接続される。例えば、電極351または第1
の導電膜を反射膜351Bに用いる場合、端子519Cの接点として機能する面は、電極
351における、液晶素子350に入射する光に向いている面と同じ方向を向いている。
【0550】
導電体337は、端子519Cと電極352との間に挟持され、端子519Cと電極3
52とを電気的に接続する。例えば、導電性の粒子を導電体337に用いることができる
。
【0551】
また、表示装置300は、接合層505と、シール材315と、構造体335と、を有
する。
【0552】
接合層505は、機能層520および基板570との間に配設され、機能層520およ
び基板570を貼り合わせる機能を有する。接合層505には、例えば、シール材315
に用いることができる材料を用いることができる。
【0553】
シール材315は、機能層520および基板370との間に配設され、機能層520お
よび基板570を貼り合せる機能を有する。
【0554】
構造体335は、機能層520および基板570との間に所定の間隔を設ける機能を有
する。
【0555】
構造体335等には、例えば、有機材料、無機材料または有機材料と無機材料の複合材
料を用いることができる。これにより、構造体335等を挟む構成の間に所定の間隔を設
けることができる。具体的には、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミ
ド、ポリカーボネート、ポリシロキサン若しくはアクリル樹脂等またはこれらから選択さ
れた複数の樹脂の複合材料などを用いることができる。また、感光性を有する材料を用い
て形成してもよい。
【0556】
≪液晶素子の構成要素≫
次に、本発明の一態様の表示装置を構成する液晶素子の構成例について説明する。
【0557】
液晶素子350は、光の反射または透過を制御する機能を有する。例えば、液晶素子と
偏光板とを組み合わせた構成、またはシャッター方式のMEMS表示素子等を用いること
ができる。また、反射型の表示素子を用いることにより、表示装置の消費電力を低減する
ことができる。具体的には、反射型の液晶素子を液晶素子350に用いることが好ましい
。
【0558】
IPS(In-Plane-Switching)モード、TN(Twisted N
ematic)モード、FFS(Fringe Field Switching)モー
ド、ASM(Axially Symmetric aligned Micro-ce
ll)モード、OCB(Optically Compensated Birefri
ngence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crys
tal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Cr
ystal)モードなどの駆動方法を用いて駆動することができる液晶素子を用いること
ができる。
【0559】
また、例えば垂直配向(VA)モード、具体的には、MVA(Multi-Domai
n Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned V
ertical Alignment)モード、ECB(Electrically C
ontrolled Birefringence)モード、CPA(Continuo
us Pinwheel Alignment)モード、ASV(Advanced S
uper-View)モードなどの駆動方法を用いて駆動することができる液晶素子を用
いることができる。
【0560】
また、液晶素子350の駆動方法としては、上述した駆動方法の他、PDLC(Pol
ymer Dispersed Liquid Crystal)モード、PNLC(P
olymer Network Liquid Crystal)モード、ゲストホスト
モードなどがある。ただし、これに限定されず、液晶素子およびその駆動方式として様々
なものを用いることができる。
【0561】
液晶素子350には、液晶素子に用いることができる液晶材料等を用いればよい。例え
ば、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶、強誘電性液晶
、反強誘電性液晶等を用いることができる。または、コレステリック相、スメクチック相
、キュービック相、カイラルネマチック相、等方相等を示す液晶材料を用いることができ
る。または、ブルー相を示す液晶材料を用いることができる。
【0562】
また、配向膜を用いないブルー相(Blue Phase)を示す液晶を用いてもよい
。ブルー相は液晶相の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリッ
ク相から等方相へ転移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現
しないため、温度範囲を改善するために5重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組成
物を液晶層に用いる。ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度
が1msec以下と短く、光学的等方性であるため配向処理が不要であり、かつ、視野角
依存性が小さい。また配向膜を設けなくてもよいのでラビング処理も不要となるため、ラ
ビング処理によって引き起こされる静電破壊を防止することができ、作製工程中の液晶表
示装置の不良や破損を軽減することができる。よって液晶表示装置の生産性を向上させる
ことが可能となる。
【0563】
また、画素(ピクセル)をいくつかの領域(サブピクセル)に分け、それぞれ別の方向
に分子を倒すよう工夫されているマルチドメイン化あるいはマルチドメイン設計といわれ
る方法を用いることができる。
【0564】
≪トランジスタの構成要素≫
トランジスタ581、トランジスタ582、トランジスタ585、トランジスタ586
等には、例えば、ボトムゲート型またはトップゲート型等のトランジスタを用いることが
できる。
【0565】
また、例えば、第14族の元素を含む半導体を上記トランジスタの半導体膜に利用する
ことができる。具体的には、シリコンを含む半導体をトランジスタの半導体膜に用いるこ
とができる。例えば、単結晶シリコン、ポリシリコン、微結晶シリコンまたはアモルファ
スシリコンなどをトランジスタの半導体膜に用いることができる。
【0566】
また、トランジスタ581、トランジスタ582、トランジスタ585、トランジスタ
586等には、例えば、酸化物半導体を半導体膜に用いるトランジスタを利用することが
できる。具体的には、インジウムを含む酸化物半導体またはインジウムとガリウムと亜鉛
を含む酸化物半導体を半導体膜に用いることができる。
【0567】
酸化物半導体を用いたトランジスタをトランジスタ581、トランジスタ582、トラ
ンジスタ585、トランジスタ586等に用いることで、アモルファスシリコンを半導体
膜に用いたトランジスタを利用する画素回路と比較して、画素回路が画像信号を保持する
ことができる時間を長くすることができる。具体的には、フリッカーの発生を抑制しなが
ら、選択信号を30Hz未満、好ましくは1Hz未満、より好ましくは一分に一回未満の
頻度で供給することができる。その結果、情報処理装置の使用者に蓄積する疲労を低減す
ることができる。また、駆動に伴う消費電力を低減することができる。
【0568】
本実施の形態で示す構成、方法は、他の実施の形態で示す構成、方法と適宜組み合わせ
て用いることができる。
【0569】
(実施の形態8)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光素子を有する表示モジュール及び電子機器に
ついて、
図31乃至
図35を用いて説明を行う。
【0570】
<電子機器に関する説明>
図31(A)乃至
図31(G)は、電子機器を示す図である。これらの電子機器は、筐
体9000、表示部9001、スピーカ9003、操作キー9005(電源スイッチ、又
は操作スイッチを含む)、接続端子9006、センサ9007(力、変位、位置、速度、
加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電
場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する
機能を含むもの)、マイクロフォン9008、等を有することができる。また、センサ9
007は、脈拍センサや指紋センサ等のように生体情報を測定する機能を有してもよい。
【0571】
図31(A)乃至
図31(G)に示す電子機器は、様々な機能を有することができる。
例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッ
チセンサ機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(
プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、無線通信機能を用いて様々な
コンピュータネットワークに接続する機能、無線通信機能を用いて様々なデータの送信ま
たは受信を行う機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出して表
示部に表示する機能、等を有することができる。なお、
図31(A)乃至
図31(G)に
示す電子機器が有することのできる機能はこれらに限定されず、様々な機能を有すること
ができる。また、
図31(A)乃至
図31(G)には図示していないが、電子機器には、
複数の表示部を有する構成としてもよい。また、該電子機器にカメラ等を設け、静止画を
撮影する機能、動画を撮影する機能、撮影した画像を記録媒体(外部またはカメラに内蔵
)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能、等を有していてもよい。
【0572】
図31(A)乃至
図31(G)に示す電子機器の詳細について、以下説明を行う。
【0573】
図31(A)は、携帯情報端末9100を示す斜視図である。携帯情報端末9100が
有する表示部9001は、可撓性を有する。そのため、湾曲した筐体9000の湾曲面に
沿って表示部9001を組み込むことが可能である。また、表示部9001はタッチセン
サを備え、指やスタイラスなどで画面に触れることで操作することができる。例えば、表
示部9001に表示されたアイコンに触れることで、アプリケーションを起動することが
できる。
【0574】
図31(B)は、携帯情報端末9101を示す斜視図である。携帯情報端末9101は
、例えば電話機、手帳又は情報閲覧装置等から選ばれた一つ又は複数の機能を有する。具
体的には、スマートフォンとして用いることができる。なお、携帯情報端末9101は、
スピーカ9003、接続端子9006、センサ9007等を省略して図示しているが、図
31(A)に示す携帯情報端末9100と同様の位置に設けることができる。また、携帯
情報端末9101は、文字や画像情報をその複数の面に表示することができる。例えば、
3つの操作ボタン9050(操作アイコンまたは単にアイコンともいう)を表示部900
1の一の面に表示することができる。また、破線の矩形で示す情報9051を表示部90
01の他の面に表示することができる。なお、情報9051の一例としては、電子メール
やSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)や電話などの着信を知らせる表示
、電子メールやSNSなどの題名、電子メールやSNSなどの送信者名、日時、時刻、バ
ッテリの残量、電波等の受信信号の強度を示す表示などがある。または、情報9051が
表示されている位置に、情報9051の代わりに、操作ボタン9050などを表示しても
よい。
【0575】
筐体9000の材料としては、例えば、合金、プラスチック、セラミックス等を用いる
ことができる。プラスチックとしては強化プラスチックを用いることもできる。強化プラ
スチックの一種である炭素繊維強化樹脂複合材(Carbon Fiber Reinf
orced Plastics:CFRP)は軽量であり且つ腐食しない利点がある。ま
た、他の強化プラスチックとしては、ガラス繊維を用いた強化プラスチック、アラミド繊
維を用いた強化プラスチックを挙げることができる。合金としては、アルミニウム合金や
マグネシウム合金が挙げられるが、中でもジルコニウムと銅とニッケルとチタンを含む非
晶質合金(金属ガラスとも呼ばれる)が弾性強度の点で優れている。この非晶質合金は、
室温においてガラス遷移領域を有する非晶質合金であり、バルク凝固非晶質合金とも呼ば
れ、実質的に非晶質原子構造を有する合金である。凝固鋳造法により、少なくとも一部の
筐体の鋳型内に合金材料が鋳込まれ、凝固させて一部の筐体をバルク凝固非晶質合金で形
成する。非晶質合金は、ジルコニウム、銅、ニッケル、チタン以外にもベリリウム、シリ
コン、ニオブ、ボロン、ガリウム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト
、イットリウム、バナジウム、リン、炭素などを含んでもよい。また、非晶質合金は、凝
固鋳造法に限定されず、真空蒸着法、スパッタ法、電解めっき法、無電解メッキ法などに
よって形成してもよい。また、非晶質合金は、全体として長距離秩序(周期構造)を持た
ない状態を維持するのであれば、微結晶またはナノ結晶を含んでもよい。なお、合金とは
、単一の固体相構造を有する完全固溶体合金と、2つ以上の相を有する部分溶体の両方を
含むこととする。筐体9000に非晶質合金を用いることで高い弾性を有する筐体を実現
できる。従って、携帯情報端末9101を落下させても、筐体9000が非晶質合金であ
れば、衝撃が加えられた瞬間には一時的に変形しても元に戻るため、携帯情報端末910
1の耐衝撃性を向上させることができる。
【0576】
図31(C)は、携帯情報端末9102を示す斜視図である。携帯情報端末9102は
、表示部9001の3面以上に情報を表示する機能を有する。ここでは、情報9052、
情報9053、情報9054がそれぞれ異なる面に表示されている例を示す。例えば、携
帯情報端末9102の使用者は、洋服の胸ポケットに携帯情報端末9102を収納した状
態で、その表示(ここでは情報9053)を確認することができる。具体的には、着信し
た電話の発信者の電話番号又は氏名等を、携帯情報端末9102の上方から観察できる位
置に表示する。使用者は、携帯情報端末9102をポケットから取り出すことなく、表示
を確認し、電話を受けるか否かを判断できる。
【0577】
図31(D)は、腕時計型の携帯情報端末9200を示す斜視図である。携帯情報端末
9200は、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信
、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができる。また、表
示部9001はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うこと
ができる。また、携帯情報端末9200は、通信規格された近距離無線通信を実行するこ
とが可能である。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハン
ズフリーで通話することもできる。また、携帯情報端末9200は、接続端子9006を
有し、他の情報端末とコネクターを介して直接データのやりとりを行うことができる。ま
た接続端子9006を介して充電を行うこともできる。なお、充電動作は接続端子900
6を介さずに無線給電により行ってもよい。
【0578】
図31(E)(F)(G)は、折り畳み可能な携帯情報端末9201を示す斜視図であ
る。また、
図31(E)が携帯情報端末9201を展開した状態の斜視図であり、
図31
(F)が携帯情報端末9201を展開した状態または折り畳んだ状態の一方から他方に変
化する途中の状態の斜視図であり、
図31(G)が携帯情報端末9201を折り畳んだ状
態の斜視図である。携帯情報端末9201は、折り畳んだ状態では可搬性に優れ、展開し
た状態では、継ぎ目のない広い表示領域により表示の一覧性に優れる。携帯情報端末92
01が有する表示部9001は、ヒンジ9055によって連結された3つの筐体9000
に支持されている。ヒンジ9055を介して2つの筐体9000間を屈曲させることによ
り、携帯情報端末9201を展開した状態から折りたたんだ状態に可逆的に変形させるこ
とができる。例えば、携帯情報端末9201は、曲率半径1mm以上150mm以下で曲
げることができる。
【0579】
また、電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信
機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、
デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、ゴーグル型
ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再
生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
【0580】
また、本発明の一態様の電子機器は、二次電池を有していてもよく、非接触電力伝送を
用いて、二次電池を充電することができると好ましい。
【0581】
二次電池としては、例えば、ゲル状電解質を用いるリチウムポリマー電池(リチウムイ
オンポリマー電池)等のリチウムイオン二次電池、リチウムイオン電池、ニッケル水素電
池、ニカド電池、有機ラジカル電池、鉛蓄電池、空気二次電池、ニッケル亜鉛電池、銀亜
鉛電池などが挙げられる。
【0582】
本発明の一態様の電子機器は、アンテナを有していてもよい。アンテナで信号を受信す
ることで、表示部で映像や情報等の表示を行うことができる。また、電子機器が二次電池
を有する場合、アンテナを、非接触電力伝送に用いてもよい。
【0583】
図32(A)はビデオカメラであり、筐体7701、筐体7702、表示部7703、
操作キー7704、レンズ7705、接続部7706等を有する。操作キー7704およ
びレンズ7705は筐体7701に設けられており、表示部7703は筐体7702に設
けられている。そして、筐体7701と筐体7702とは、接続部7706により接続さ
れており、筐体7701と筐体7702の間の角度は、接続部7706により変更が可能
である。表示部7703における映像を、接続部7706における筐体7701と筐体7
702との間の角度にしたがって切り替える構成としてもよい。
【0584】
図32(B)はノート型パーソナルコンピュータであり、筐体7121、表示部712
2、キーボード7123、ポインティングデバイス7124等を有する。なお、表示部7
122は、非常に画素密度が高く高精細とすることができるため、中小型でありながら8
kの表示を行うことができ、非常に鮮明な画像を得ることができる。
【0585】
図32(C)には、ヘッドマウントディスプレイ7200の外観を示している。
【0586】
ヘッドマウントディスプレイ7200は、装着部7201、レンズ7202、本体72
03、表示部7204、ケーブル7205等を有している。また装着部7201には、バ
ッテリ7206が内蔵されている。
【0587】
ケーブル7205は、バッテリ7206から本体7203に電力を供給する。本体72
03は無線受信機等を備え、受信した画像データ等の映像情報を表示部7204に表示さ
せることができる。また、本体7203に設けられたカメラで使用者の眼球やまぶたの動
きを捉え、その情報をもとに使用者の視点の座標を算出することにより、使用者の視点を
入力手段として用いることができる。
【0588】
また、装着部7201には、使用者に触れる位置に複数の電極が設けられていてもよい
。本体7203は使用者の眼球の動きに伴って電極に流れる電流を検知することにより、
使用者の視点を認識する機能を有していてもよい。また、当該電極に流れる電流を検知す
ることにより、使用者の脈拍をモニタする機能を有していてもよい。また、装着部720
1には、温度センサ、圧力センサ、加速度センサ等の各種センサを有していてもよく、使
用者の生体情報を表示部7204に表示する機能を有していてもよい。また、使用者の頭
部の動きなどを検出し、表示部7204に表示する映像をその動きに合わせて変化させて
もよい。
【0589】
図32(D)に、カメラ7300の外観を示す。カメラ7300は、筐体7301、表
示部7302、操作ボタン7303、シャッターボタン7304、結合部7305等を有
する。またカメラ7300には、レンズ7306を取り付けることができる。
【0590】
結合部7305は、電極を有し、後述するファインダー7400のほか、ストロボ装置
等を接続することができる。
【0591】
ここではカメラ7300として、レンズ7306を筐体7301から取り外して交換す
ることが可能な構成としたが、レンズ7306と筐体7301が一体となっていてもよい
。
【0592】
シャッターボタン7304を押すことにより、撮像することができる。また、表示部7
302はタッチセンサを有し、表示部7302を操作することにより撮像することも可能
である。
【0593】
表示部7302に、本発明の一態様の表示装置、またはタッチセンサを適用することが
できる。
【0594】
図32(E)には、カメラ7300にファインダー7400を取り付けた場合の例を示
している。
【0595】
ファインダー7400は、筐体7401、表示部7402、ボタン7403等を有する
。
【0596】
筐体7401には、カメラ7300の結合部7305と係合する結合部を有しており、
ファインダー7400をカメラ7300に取り付けることができる。また当該結合部には
電極を有し、当該電極を介してカメラ7300から受信した映像等を表示部7402に表
示させることができる。
【0597】
ボタン7403は、電源ボタンとしての機能を有する。ボタン7403により、表示部
7402の表示のオンとオフとを切り替えることができる。
【0598】
なお、
図32(D)(E)では、カメラ7300とファインダー7400とを別の電子
機器とし、これらを脱着可能な構成としたが、カメラ7300の筐体7301に、本発明
の一態様の表示装置、またはタッチセンサを備えるファインダーが内蔵されていてもよい
。
【0599】
図33(A)乃至(E)は、ヘッドマウントディスプレイ7500及び7510の外観
を示す図である。
【0600】
ヘッドマウントディスプレイ7500は、筐体7501、2つの表示部7502、操作
ボタン7503、及びバンド状の固定具7504を有する。
【0601】
ヘッドマウントディスプレイ7500は、上記ヘッドマウントディスプレイ7200が
有する機能に加え、2つの表示部を備える。
【0602】
2つの表示部7502を有することで、使用者は片方の目につき1つの表示部を見るこ
とができる。これにより、視差を用いた3次元表示等を行う際であっても、高い解像度の
映像を表示することができる。また、表示部7502は使用者の目を概略中心とした円弧
状に湾曲している。これにより、使用者の目から表示部の表示面までの距離が一定となる
ため、使用者はより自然な映像を見ることができる。また、表示部からの光の輝度や色度
が見る角度によって変化してしまうような場合であっても、表示部の表示面の法線方向に
使用者の目が位置するため、実質的にその影響を無視することができるため、より現実感
のある映像を表示することができる。
【0603】
操作ボタン7503は、電源ボタンなどの機能を有する。また操作ボタン7503の他
にボタンを有していてもよい。
【0604】
また、ヘッドマウントディスプレイ7510は、筐体7501、表示部7502、バン
ド状の固定具7504、及び一対のレンズ7505を有する。
【0605】
使用者は、レンズ7505を通して、表示部7502の表示を視認することができる。
なお、表示部7502を湾曲して配置させると好適である。表示部7502を湾曲して配
置することで、使用者が高い臨場感を感じることができる。
【0606】
表示部7502に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。本発明の一態
様の表示装置は、精細度を高くすることが可能なため、
図33(E)のようにレンズ75
05を用いて拡大したとしても、使用者に画素が視認されることなく、より現実感の高い
映像を表示することができる。
【0607】
図34(A)にテレビジョン装置の一例を示す。テレビジョン装置9300は、筐体9
000に表示部9001が組み込まれている。ここでは、スタンド9301により筐体9
000を支持した構成を示している。
【0608】
図34(A)に示すテレビジョン装置9300の操作は、筐体9000が備える操作ス
イッチや、別体のリモコン操作機9311により行うことができる。または、表示部90
01にタッチセンサを備えていてもよく、指等で表示部9001に触れることで操作して
もよい。リモコン操作機9311は、当該リモコン操作機9311から出力する情報を表
示する表示部を有していてもよい。リモコン操作機9311が備える操作キー又はタッチ
パネルにより、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部9001に表示される
映像を操作することができる。
【0609】
なお、テレビジョン装置9300は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機
により一般のテレビ放送の受信を行うことができる。また、モデムを介して有線又は無線
による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)又は双方向
(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0610】
また、本発明の一態様の電子機器又は照明装置は可撓性を有するため、家屋やビルの内
壁もしくは外壁、又は、自動車の内装もしくは外装の曲面に沿って組み込むことも可能で
ある。
【0611】
図34(B)に自動車9700の外観を示す。
図34(C)に自動車9700の運転席
を示す。自動車9700は、車体9701、車輪9702、ダッシュボード9703、ラ
イト9704等を有する。本発明の一態様の表示装置又は発光装置等は、自動車9700
の表示部などに用いることができる。例えば、
図34(C)に示す表示部9710乃至表
示部9715に本発明の一態様の表示装置又は発光装置等を設けることができる。
【0612】
表示部9710と表示部9711は、自動車のフロントガラスに設けられた表示装置で
ある。本発明の一態様の表示装置又は発光装置等は、電極や配線を、透光性を有する導電
性材料で作製することによって、反対側が透けて見える、いわゆるシースルー状態とする
ことができる。表示部9710や表示部9710がシースルー状態であれば、自動車97
00の運転時にも視界の妨げになることがない。よって、本発明の一態様の表示装置又は
発光装置等を自動車9700のフロントガラスに設置することができる。なお、表示装置
又は発光装置等を駆動するためのトランジスタなどを設ける場合には、有機半導体材料を
用いた有機トランジスタや、酸化物半導体を用いたトランジスタなど、透光性を有するト
ランジスタを用いるとよい。
【0613】
表示部9712はピラー部分に設けられた表示装置である。例えば、車体に設けられた
撮像手段からの映像を表示部9712に映し出すことによって、ピラーで遮られた視界を
補完することができる。表示部9713はダッシュボード部分に設けられた表示装置であ
る。例えば、車体に設けられた撮像手段からの映像を表示部9713に映し出すことによ
って、ダッシュボードで遮られた視界を補完することができる。すなわち、自動車の外側
に設けられた撮像手段からの映像を映し出すことによって、死角を補い、安全性を高める
ことができる。また、見えない部分を補完する映像を映すことによって、より自然に違和
感なく安全確認を行うことができる。
【0614】
また、
図34(D)は、運転席と助手席にベンチシートを採用した自動車の室内を示し
ている。表示部9721は、ドア部に設けられた表示装置である。例えば、車体に設けら
れた撮像手段からの映像を表示部9721に映し出すことによって、ドアで遮られた視界
を補完することができる。また、表示部9722は、ハンドルに設けられた表示装置であ
る。表示部9723は、ベンチシートの座面の中央部に設けられた表示装置である。なお
、表示装置を座面や背もたれ部分などに設置して、当該表示装置を、当該表示装置の発熱
を熱源としたシートヒーターとして利用することもできる。
【0615】
表示部9714、表示部9715、または表示部9722はナビゲーション情報、スピ
ードメーターやタコメーター、走行距離、給油量、ギア状態、エアコンの設定など、その
他様々な情報を提供することができる。また、表示部に表示される表示項目やレイアウト
などは、使用者の好みに合わせて適宜変更することができる。なお、上記情報は、表示部
9710乃至表示部9713、表示部9721、表示部9723にも表示することができ
る。また、表示部9710乃至表示部9715、表示部9721乃至表示部9723は照
明装置として用いることも可能である。また、表示部9710乃至表示部9715、表示
部9721乃至表示部9723は加熱装置として用いることも可能である。
【0616】
図35(A)(B)に示す表示装置9500は、複数の表示パネル9501と、軸部9
511と、軸受部9512と、を有する。また、複数の表示パネル9501は、表示領域
9502と、透光性を有する領域9503と、を有する。
【0617】
また、複数の表示パネル9501は、可撓性を有する。また、隣接する2つの表示パネ
ル9501は、それらの一部が互いに重なるように設けられる。例えば、隣接する2つの
表示パネル9501の透光性を有する領域9503を重ね合わせることができる。複数の
表示パネル9501を用いることで、大画面の表示装置とすることができる。また、使用
状況に応じて、表示パネル9501を巻き取ることが可能であるため、汎用性に優れた表
示装置とすることができる。
【0618】
また、
図35(A)(B)においては、表示領域9502が隣接する表示パネル950
1で離間する状態を図示しているが、これに限定されず、例えば、隣接する表示パネル9
501の表示領域9502を隙間なく重ねあわせることで、連続した表示領域9502と
してもよい。
【0619】
本実施の形態において述べた電子機器は、何らかの情報を表示するための表示部を有す
る。ただし、本発明の一態様の発光素子は、表示部を有さない電子機器にも適用すること
ができる。また、本実施の形態において述べた電子機器の表示部においては、可撓性を有
し、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる構成、または折り畳み可能な表示部
の構成について例示したが、これに限定されず、可撓性を有さず、平面部に表示を行う構
成としてもよい。
【0620】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いること
ができる。
【0621】
(実施の形態9)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光素子を有する発光装置について、
図36及び
図37を用いて説明する。
【0622】
本実施の形態で示す、発光装置3000の斜視図を
図36(A)に、
図36(A)に示
す一点鎖線E-F間に相当する断面図を
図36(B)に、それぞれ示す。なお、
図36(
A)において、図面の煩雑さを避けるために、構成要素の一部を破線で表示している。
【0623】
図36(A)(B)に示す発光装置3000は、基板3001と、基板3001上の発
光素子3005と、発光素子3005の外周に設けられた第1の封止領域3007と、第
1の封止領域3007の外周に設けられた第2の封止領域3009と、を有する。
【0624】
また、発光素子3005からの発光は、基板3001及び基板3003のいずれか一方
または双方から射出される。
図36(A)(B)においては、発光素子3005からの発
光が下方側(基板3001側)に射出される構成について説明する。
【0625】
また、
図36(A)(B)に示すように、発光装置3000は、発光素子3005が第
1の封止領域3007と、第2の封止領域3009とに、囲まれて配置される二重封止構
造である。二重封止構造とすることで、発光素子3005側に入り込む外部の不純物(例
えば、水、酸素など)を、好適に抑制することができる。ただし、第1の封止領域300
7及び第2の封止領域3009を、必ずしも設ける必要はない。例えば、第1封止領域3
007のみの構成としてもよい。
【0626】
なお、
図36(B)において、第1の封止領域3007及び第2の封止領域3009は
、基板3001及び基板3003と接して設けられる。ただし、これに限定されず、例え
ば、第1の封止領域3007及び第2の封止領域3009の一方または双方は、基板30
01の上方に形成される絶縁膜、あるいは導電膜と接して設けられる構成としてもよい。
または、第1の封止領域3007及び第2の封止領域3009の一方または双方は、基板
3003の下方に形成される絶縁膜、あるいは導電膜と接して設けられる構成としてもよ
い。
【0627】
基板3001及び基板3003としては、それぞれ先の実施の形態に記載の基板480
と、基板482と同様の構成とすればよい。発光素子3005としては、先の実施の形態
に記載の発光素子と同様の構成とすればよい。
【0628】
第1の封止領域3007としては、ガラスを含む材料(例えば、ガラスフリット、ガラ
スリボン等)を用いればよい。また、第2の封止領域3009としては、樹脂を含む材料
を用いればよい。第1の封止領域3007として、ガラスを含む材料を用いることで、生
産性や封止性を高めることができる。また、第2の封止領域3009として、樹脂を含む
材料を用いることで、耐衝撃性や耐熱性を高めることができる。ただし、第1の封止領域
3007と、第2の封止領域3009とは、これに限定されず、第1の封止領域3007
が樹脂を含む材料で形成され、第2の封止領域3009がガラスを含む材料で形成されて
もよい。
【0629】
また、上述のガラスフリットとしては、例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、
酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化セシウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸
化ホウ素、酸化バナジウム、酸化亜鉛、酸化テルル、酸化アルミニウム、二酸化珪素、酸
化鉛、酸化スズ、酸化リン、酸化ルテニウム、酸化ロジウム、酸化鉄、酸化銅、二酸化マ
ンガン、酸化モリブデン、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化タングステン、酸化ビスマス、
酸化ジルコニウム、酸化リチウム、酸化アンチモン、ホウ酸鉛ガラス、リン酸スズガラス
、バナジン酸塩ガラス又はホウケイ酸ガラス等を含む。赤外光を吸収させるため、少なく
とも一種類以上の遷移金属を含むことが好ましい。
【0630】
また、上述のガラスフリットとしては、例えば、基板上にフリットペーストを塗布し、
これに加熱処理、またはレーザ照射などを行う。フリットペーストには、上記ガラスフリ
ットと、有機溶媒で希釈した樹脂(バインダとも呼ぶ)とが含まれる。また、ガラスフリ
ットにレーザ光の波長の光を吸収する吸収剤を添加したものを用いても良い。また、レー
ザとして、例えば、Nd:YAGレーザや半導体レーザなどを用いることが好ましい。ま
た、レーザ照射の際のレーザの照射形状は、円形でも四角形でもよい。
【0631】
また、上述の樹脂を含む材料としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリ
アミド(ナイロン、アラミド等)、ポリイミド、ポリカーボネートまたはアクリル樹脂、
ポリウレタン、エポキシ樹脂を用いることができる。もしくは、シリコーンなどのシロキ
サン結合を有する樹脂を含む材料を用いることができる。
【0632】
なお、第1の封止領域3007及び第2の封止領域3009のいずれか一方または双方
にガラスを含む材料を用いる場合、当該ガラスを含む材料と、基板3001との熱膨張率
が近いことが好ましい。上記構成とすることで、熱応力によりガラスを含む材料または基
板3001にクラックが入るのを抑制することができる。
【0633】
例えば、第1の封止領域3007にガラスを含む材料を用い、第2の封止領域3009
に樹脂を含む材料を用いる場合、以下の優れた効果を有する。
【0634】
第2の封止領域3009は、第1の封止領域3007よりも、発光装置3000の外周
部に近い側に設けられる。発光装置3000は、外周部に向かうにつれ、外力等による歪
みが大きくなる。よって、歪みが大きくなる発光装置3000の外周部側、すなわち第2
の封止領域3009に、樹脂を含む材料によって封止し、第2の封止領域3009よりも
内側に設けられる第1の封止領域3007にガラスを含む材料を用いて封止することで、
外力等の歪みが生じても発光装置3000が壊れにくくなる。
【0635】
また、
図36(B)に示すように、基板3001、基板3003、第1の封止領域30
07、及び第2の封止領域3009に囲まれた領域には、第1の領域3011が形成され
る。また、基板3001、基板3003、発光素子3005、及び第1の封止領域300
7に囲まれた領域には、第2の領域3013が形成される。
【0636】
第1の領域3011及び第2の領域3013としては、例えば、希ガスまたは窒素ガス
等の不活性ガスが充填されていると好ましい。あるいは、アクリルやエポキシ等の樹脂が
充填されていると好ましい。なお、第1の領域3011及び第2の領域3013としては
、大気圧状態よりも減圧状態であると好ましい。
【0637】
また、
図36(B)に示す構成の変形例を
図36(C)に示す。
図36(C)は、発光
装置3000の変形例を示す断面図である。
【0638】
図36(C)は、基板3003の一部に凹部を設け、該凹部に乾燥剤3018を設ける
構成である。それ以外の構成については、
図36(B)に示す構成と同じである。
【0639】
乾燥剤3018としては、化学吸着によって水分等を吸着する物質、または物理吸着に
よって水分等を吸着する物質を用いることができる。例えば、乾燥剤3018として用い
ることができる物質としては、アルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物(酸化
カルシウムや酸化バリウム等)、硫酸塩、金属ハロゲン化物、過塩素酸塩、ゼオライト、
シリカゲル等が挙げられる。
【0640】
次に、
図36(B)に示す発光装置3000の変形例について、
図37(A)(B)(
C)(D)を用いて説明する。なお、
図37(A)(B)(C)(D)は、
図36(B)
に示す発光装置3000の変形例を説明する断面図である。
【0641】
図37(A)(B)(C)(D)に示す発光装置は、第2の封止領域3009を設けず
に、第1の封止領域3007とした構成である。また、
図37(A)(B)(C)(D)
に示す発光装置は、
図36(B)に示す第2の領域3013の代わりに領域3014を有
する。
【0642】
領域3014としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロ
ン、アラミド等)、ポリイミド、ポリカーボネートまたはアクリル樹脂、ポリウレタン、
エポキシ樹脂を用いることができる。もしくは、シリコーンなどのシロキサン結合を有す
る樹脂を含む材料を用いることができる。
【0643】
領域3014として、上述の材料を用いることで、いわゆる固体封止の発光装置とする
ことができる。
【0644】
また、
図37(B)に示す発光装置は、
図37(A)に示す発光装置の基板3001側
に、基板3015を設ける構成である。
【0645】
基板3015は、
図37(B)に示すように凹凸を有する。凹凸を有する基板3015
を、発光素子3005の光を取り出す側に設ける構成とすることで、発光素子3005か
らの光の取出し効率を向上させることができる。なお、
図37(B)に示すような凹凸を
有する構造の代わりに、拡散板として機能する基板を設けてもよい。
【0646】
また、
図37(C)に示す発光装置は、
図37(A)に示す発光装置が基板3001側
から光を取り出す構造であったのに対し、基板3003側から光を取り出す構造である。
【0647】
図37(C)に示す発光装置は、基板3003側に基板3015を有する。それ以外の
構成は、
図37(B)に示す発光装置と同様である。
【0648】
また、
図37(D)に示す発光装置は、
図37(C)に示す発光装置の基板3003、
3015を設けずに、基板3016を設ける構成である。
【0649】
基板3016は、発光素子3005の近い側に位置する第1の凹凸と、発光素子300
5の遠い側に位置する第2の凹凸と、を有する。
図37(D)に示す構成とすることで、
発光素子3005からの光の取出し効率をさらに、向上させることができる。
【0650】
したがって、本実施の形態に示す構成を実施することにより、水分や酸素などの不純物
による発光素子の劣化が抑制された発光装置を実現することができる。または、本実施の
形態に示す構成を実施することにより、光取出し効率の高い発光装置を実現することがで
きる。
【0651】
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせること
ができる。
【0652】
(実施の形態10)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光素子を様々な照明装置及び電子機器に適用す
る一例について、
図38及び
図39を用いて説明する。
【0653】
本発明の一態様の発光素子を、可撓性を有する基板上に作製することで、曲面を有する
発光領域を有する電子機器、照明装置を実現することができる。
【0654】
また、本発明の一態様を適用した発光装置は、自動車の照明にも適用することができ、
例えば、ダッシュボードや、フロントガラス、天井等に照明を設置することもできる。
【0655】
図38(A)は、多機能端末3500の一方の面の斜視図を示し、
図38(B)は、多
機能端末3500の他方の面の斜視図を示している。多機能端末3500は、筐体350
2に表示部3504、カメラ3506、照明3508等が組み込まれている。本発明の一
態様の発光装置を照明3508に用いることができる。
【0656】
照明3508は、本発明の一態様の発光装置を用いることで、面光源として機能する。
したがって、LEDに代表される点光源と異なり、指向性が少ない発光が得られる。例え
ば、照明3508とカメラ3506とを組み合わせて用いる場合、照明3508を点灯ま
たは点滅させて、カメラ3506により撮像することができる。照明3508としては、
面光源としての機能を有するため、自然光の下で撮影したような写真を撮影することがで
きる。
【0657】
なお、
図38(A)、(B)に示す多機能端末3500は、
図31(A)乃至
図31(
G)に示す電子機器と同様に、様々な機能を有することができる。
【0658】
また、筐体3502の内部に、スピーカ、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角
速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、
電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含む
もの)、マイクロフォン等を有することができる。また、多機能端末3500の内部に、
ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、多
機能端末3500の向き(縦か横か)を判断して、表示部3504の画面表示を自動的に
切り替えるようにすることができる。
【0659】
表示部3504は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部3
504に掌や指で触れ、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。
また、表示部3504に近赤外光を発光するバックライト又は近赤外光を発光するセンシ
ング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。なお、表示部35
04に本発明の一態様の発光装置を適用してもよい。
【0660】
図38(C)は、防犯用のライト3600の斜視図を示している。ライト3600は、
筐体3602の外側に照明3608を有し、筐体3602には、スピーカ3610等が組
み込まれている。本発明の一態様の発光装置を照明3608に用いることができる。
【0661】
ライト3600としては、例えば、照明3608を握持する、掴持する、または保持す
ることで発光することができる。また、筐体3602の内部には、ライト3600からの
発光方法を制御できる電子回路を備えていてもよい。該電子回路としては、例えば、1回
または間欠的に複数回、発光が可能なような回路としてもよいし、発光の電流値を制御す
ることで発光の光量が調整可能なような回路としてもよい。また、照明3608の発光と
同時に、スピーカ3610から大音量の警報音が出力されるような回路を組み込んでもよ
い。
【0662】
ライト3600としては、あらゆる方向に発光することが可能なため、例えば、暴漢等
に向けて光、または光と音で威嚇することができる。また、ライト3600にデジタルス
チルカメラ等のカメラ、撮影機能を有する機能を備えてもよい。
【0663】
図39は、発光素子を室内の照明装置8501として用いた例である。なお、発光素子
は大面積化も可能であるため、大面積の照明装置を形成することもできる。その他、曲面
を有する筐体を用いることで、発光領域が曲面を有する照明装置8502を形成すること
もできる。本実施の形態で示す発光素子は薄膜状であり、筐体のデザインの自由度が高い
。したがって、様々な意匠を凝らした照明装置を形成することができる。さらに、室内の
壁面に大型の照明装置8503を備えても良い。また、照明装置8501、8502、8
503に、タッチセンサを設けて、電源のオンまたはオフを行ってもよい。
【0664】
また、発光素子をテーブルの表面側に用いることによりテーブルとしての機能を備えた
照明装置8504とすることができる。なお、その他の家具の一部に発光素子を用いるこ
とにより、家具としての機能を備えた照明装置とすることができる。
【0665】
以上のようにして、本発明の一態様の発光装置を適用して照明装置及び電子機器を得る
ことができる。なお、適用できる照明装置及び電子機器は、本実施の形態に示したものに
限らず、あらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0666】
また、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成と適宜組み合わせて用
いることができる。
【実施例】
【0667】
本実施例では、本発明の一態様の発光素子の作製例と、該発光素子の特性について、説
明する。本実施例で作製した発光素子の構成は
図1(A)と同様である。素子構造の詳細
を表1に示す。また、使用した化合物の構造と略称を以下に示す。
【0668】
【0669】
【0670】
<発光素子1の作製>
以下に、本実施例で作製した発光素子の作製方法を示す。
【0671】
ガラス基板上に電極401として、ITSO膜を厚さが70nmになるように形成した
。なお、電極401の電極面積は、4mm2(2mm×2mm)とした。
【0672】
次に、電極401上に正孔注入層411として、DBT3P-IIと、酸化モリブデン
(MoO3)と、を重量比(DBT3P-II:MoO3)が1:0.5になるように、
且つ厚さが60nmになるように共蒸着した。
【0673】
次に、正孔注入層411上に正孔輸送層412として、BPAFLPを厚さが20nm
になるように蒸着した。
【0674】
次に、正孔輸送層412上に発光層430として、4,6mCzP2Pmと、PCBB
iFと、を重量比(4,6mCzP2Pm:PCBBiF)が0.8:0.2になるよう
に、且つ厚さが40nmになるように共蒸着した。発光素子1においては、4,6mCz
P2Pmを第1の有機化合物と、PCBBiFを第2の有機化合物と、呼称する。
【0675】
次に、発光層430上に、電子輸送層418として、4,6mCzP2Pmを厚さが2
0nmになるよう、及びBPhenの厚さが10nmになるよう、順次蒸着した。次に、
電子輸送層418上に、電子注入層419として、LiFを厚さが1nmになるように蒸
着した。
【0676】
次に、電子注入層419上に、電極402として、アルミニウム(Al)を厚さが20
0nmになるように形成した。
【0677】
次に、窒素雰囲気のグローブボックス内において、封止するためのガラス基板を、有機
EL用シール材を用いて、有機材料を形成したガラス基板に固定することで、発光素子1
を封止した。具体的には、ガラス基板に形成した有機材料の周囲にシール材を塗布し、該
ガラス基板と封止するためのガラス基板とを貼り合わせ、波長が365nmの紫外光を6
J/cm2照射し、80℃にて1時間熱処理した。以上の工程により発光素子1を得た。
【0678】
<発光素子1の特性>
作製した発光素子1の輝度-電流密度特性を
図40に示す。また、輝度-電圧特性を図
41に示す。また、電流効率-輝度特性を
図42に示す。また、外部量子効率-輝度特性
を
図43に示す。なお、各発光素子の測定は室温(23℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0679】
また、発光素子1に2.5mA/cm
2の電流密度で電流を流した際の電界発光スペク
トルを
図44に示す。
【0680】
また、電流効率が最大のときにおける発光素子1の素子特性を表2に示す。なお、本実
施例で示す外部量子効率は、完全拡散面(ランバーシアン、またはLambertian
ともいう)を仮定して算出したものである。
【0681】
【0682】
図44に示すように、発光素子1は電界発光スペクトルのピーク波長が530nmの緑
色の発光を示した。後に示すように、発光素子1の発光層に用いた4,6mCzP2Pm
及びPCBBiFは、いずれも深い青色に発光する化合物である。また、後に示すように
、発光素子1の電界発光スペクトルから導出される発光エネルギーは、4,6mCzP2
PmのLUMO準位とPCBBiFのHOMO準位とのエネルギー差に概ね相当するエネ
ルギーを有することから、発光素子1は、第1の有機化合物である4,6mCzP2Pm
と第2の有機化合物であるPCBBiFとで形成する励起錯体からの発光を呈する発光素
子であるといえる。
【0683】
また、
図40乃至
図43、及び表2で示すように、発光素子1は、外部量子効率の最大
値が20%より高い値を示した。
【0684】
一対の電極から注入されたキャリア(正孔及び電子)の再結合によって生成する一重項
励起子の生成確率が最大で25%であるため、外部への光取り出し効率を20%とした場
合の外部量子効率は、最大で5%となる。発光素子1においては、外部量子効率が5%よ
り高い効率が得られている。これは、発光素子1においては、一対の電極から注入された
キャリア(正孔及び電子)の再結合によって生成した一重項励起子に由来する発光に加え
て、逆項間交差を経由し三重項励起子から生成した一重項励起子に由来する発光が含まれ
ているためである。このことからも、発光素子1が、励起錯体からの発光を呈する発光素
子であることが分かる。
【0685】
また、発光素子1の発光開始電圧(輝度が1cd/m2を超える電圧)は2.4Vと低
い駆動電圧で駆動した。これは、後に示すように、4,6mCzP2PmのLUMO準位
とHOMO準位とのエネルギー差に相当する電圧より低く、PCBBiFのLUMO準位
とHOMO準位とのエネルギー差に相当する電圧より低い。また、4,6mCzP2Pm
のLUMO準位とPCBBiFのHOMO準位とのエネルギー差に相当する電圧に概ね一
致する電圧である。すなわち、発光層に励起錯体を形成する組み合わせの化合物を用いる
ことで、駆動電圧が低い発光素子を提供することができる。
【0686】
<薄膜サンプルの作製>
ここで、発光層に用いた化合物の発光スペクトルを測定するため、石英基板上に真空蒸
着法により薄膜サンプルを作製した。
【0687】
薄膜サンプル1としては、4,6mCzP2Pm、及びPCBBiFを重量比(4,6
mCzP2Pm:PCBBiF)が0.8:0.2になるように、且つ厚さが50nmに
なるように共蒸着した。
【0688】
薄膜サンプル2としては、4,6mCzP2Pmを厚さが50nmになるように蒸着し
た。
【0689】
薄膜サンプル3としては、PCBBiFを厚さが50nmになるように蒸着した。
【0690】
<発光スペクトルの測定>
発光スペクトルの測定にはPL-EL測定装置(浜松ホトニクス社製)を用い、室温(
23℃に保たれた雰囲気)で測定を行った。発光スペクトルの測定結果を
図45に示す。
【0691】
図45に示すように、薄膜2(4,6mCzP2Pm)及び薄膜3(PCBBiF)の
発光スペクトルは、ピーク波長がそれぞれ439nm及び436nmである発光スペクト
ルを示した。また、薄膜1(4,6mCzP2PmとPCBBiFとの混合膜)の発光ス
ペクトルは、ピーク波長が520nmであり、薄膜2(4,6mCzP2Pm)及び薄膜
3(PCBBiF)の発光スペクトルと互いに異なる発光スペクトルを示す結果が得られ
た。後に示すように、4,6mCzP2PmのLUMO準位は、PCBBiFのLUMO
準位より低く、PCBBiFのHOMO準位は、4,6mCzP2PmのHOMO準位よ
り高い。また、4,6mCzP2PmとPCBBiFとの混合膜である薄膜1の発光は、
4,6mCzP2PmのLUMO準位とPCBBiFのHOMO準位とのエネルギー差に
概ね相当するエネルギーを有し、薄膜1が呈する発光が、薄膜2(4,6mCzP2Pm
)及び薄膜3(PCBBiF)の発光より長波長(低エネルギー)であることから、薄膜
1の発光は、両化合物が形成する励起錯体からの発光であるといえる。すなわち、4,6
mCzP2PmとPCBBiFとは、互いに励起錯体を形成する組み合わせの化合物であ
る。
【0692】
<薄膜サンプルの時間分解蛍光測定>
次に、上記作製した薄膜が呈する発光寿命を測定した。測定にはピコ秒蛍光寿命測定シ
ステム(浜松ホトニクス社製)を用いた。薄膜にパルスレーザを照射し、レーザ照射後か
ら減衰していく発光をストリークカメラにより時間分解測定した。パルスレーザには波長
が337nmの窒素ガスレーザを用い、500psのパルスレーザを10Hzの周期で薄
膜に照射し、繰り返し測定したデータを積算することにより、S/N比の高いデータを得
た。また、測定は室温(23℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0693】
薄膜1の時間分解蛍光測定の結果を
図46に、薄膜2及び薄膜3の時間分解蛍光測定の
結果を
図47に、それぞれ示す。なお、
図46及び
図47において、縦軸はパルスレーザ
照射時における発光強度で規格化した強度で示す。また、横軸はパルスレーザの立下りか
らの経過時間を示す。
【0694】
また、
図46に示す減衰曲線について、以下の数式(4)を用いてフィッティングを行
った。
【0695】
【0696】
数式(4)において、Lは規格化した発光強度を表し、tは経過時間を表す。減衰曲線
のフィッティングを行った結果、nが1及び2でフィッティングを行うことができた。減
衰曲線のフィッティング結果から、薄膜1の発光成分には、蛍光寿命が0.72μsの早
い蛍光成分(prompt成分ともいう)と、蛍光寿命が55μsの遅延蛍光成分(de
layed成分ともいう)が含まれていることが分かった。また、該遅延蛍光成分が発光
に占める割合は、3.8%と算出された。
【0697】
一方、
図47に示す薄膜2の減衰曲線及び薄膜3の減衰曲線は、それぞれ発光成分がほ
とんど単一指数関数的な減衰を示しており、薄膜2及び薄膜3の発光はそれぞれ十数ns
から数十ns程度の短い蛍光寿命を示す早い蛍光成分が支配的であり、遅延蛍光成分は1
%未満と、遅延蛍光がほとんど生じていない結果であった。
【0698】
なお、励起錯体は、S1準位とT1準位とが近接する性質を有する。したがって、薄膜
1が示した遅延蛍光成分は、該励起錯体の一重項励起状態および三重項励起状態間の項間
交差および逆項間交差に由来する熱活性化遅延蛍光であるといえる。このように、2つの
化合物を有する薄膜1が、遅延蛍光を示すことからも、薄膜1は、励起錯体を形成する化
合物の組み合わせを有する薄膜であることが分かる。
【0699】
<T1準位の測定>
次に、発光素子1の発光層430に用いた化合物のT1準位を求めるため、上記作製し
た薄膜2及び薄膜3の発光スペクトルを低温(10K)で測定した。
【0700】
測定には、顕微PL装置 LabRAM HR-PL ((株)堀場製作所)を用い、
測定温度は10K、励起光として波長が325nmのHe-Cdレーザを用い、検出器に
はCCD検出器を用いた。
【0701】
なお、該発光スペクトルの測定は、通常の発光スペクトルの測定に加えて、発光寿命が
長い発光に着目した時間分解発光スペクトルの測定も行った。本発光スペクトルの測定は
、低温(10K)で行ったため、通常の発光スペクトルの測定では、主な発光成分である
蛍光に加えて、一部燐光も観測された。また、発光寿命が長い発光に着目した時間分解発
光スペクトルの測定では、主に燐光が観測された。薄膜2及び薄膜3の低温で測定した時
間分解スペクトルを
図48に示す。
【0702】
上記測定した発光スペクトルの結果より、4,6mCzP2Pmの発光スペクトルの燐
光成分の最も短波長側のピーク(ショルダーを含む)の波長は459nmであった。また
、PCBBiFの発光スペクトルの燐光成分の最も短波長側のピーク(ショルダーを含む
)の波長は509nmであった。
【0703】
したがって、上記ピーク波長より、4,6mCzP2PmのT1準位は2.70eVで
あり、PCBBiFのT1準位は2.44eVと算出された。
【0704】
以上の測定結果から、4,6mCzP2PmのT1準位またはPCBBiFのT1準位
のうちエネルギーが低い一方(すなわちPCBBiFのT1準位(2.44eV))は、
図44で示した発光素子1の電界発光スペクトルの発光エネルギー(2.34eV)の-
0.2eV以上0.4eV以下のエネルギーを有している。このことから、発光素子1は
、効率よく発光する励起錯体を形成する組み合わせの化合物を有する発光素子であるとい
える。
【0705】
<CV測定結果>
次に、上記の化合物の電気化学的特性(酸化反応特性および還元反応特性)をサイクリ
ックボルタンメトリ(CV)測定によって測定した。なお測定には、電気化学アナライザ
ー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600Aまたは600C)を用い、
各化合物をN,N-ジメチルホルムアミド(略称:DMF)に溶解させた溶液を測定した
。測定では、参照電極に対する作用電極の電位を適切な範囲で変化させて各々酸化ピーク
電位、還元電位ピーク電位を得た。また、参照電極のレドックスポテンシャルが-4.9
4eVであることが見積もられているため、この数値と得られたピーク電位から、各化合
物のHOMO準位およびLUMO準位を算出した。
【0706】
CV測定の結果、4,6mCzP2Pmの酸化電位は0.95V、還元電位は-2.0
6Vであった。また、CV測定より算出した4,6mCzP2PmのHOMO準位は-5
.89eV、LUMO準位は-2.88eVであった。このことから、4,6mCzP2
Pmは、低いLUMO準位を有することが分かった。また、PCBBiFの酸化電位は0
.42V、還元電位は-2.94Vであった。また、CV測定より算出したPCBBiF
のHOMO準位は-5.36eV、LUMO準位は-2.00eVであった。このことか
ら、PCBBiFは、高いHOMO準位を有することが分かった。
【0707】
以上のように、4,6mCzP2PmのLUMO準位は、PCBBiFのLUMO準位
より低く、4,6mCzP2PmのHOMO準位は、PCBBiFのHOMO準位より低
い。そのため、発光素子1のように発光層に当該化合物を用いた場合、一対の電極から注
入されたキャリアである電子および正孔が、効率よく4,6mCzP2PmとPCBBi
Fにそれぞれ注入され、4,6mCzP2PmとPCBBiFとが励起錯体を形成するこ
とができる。
【0708】
また、4,6mCzP2PmとPCBBiFとで形成する励起錯体は、4,6mCzP
2PmにLUMO準位を有し、PCBBiFにHOMO準位を有する励起錯体となる。そ
のため、該励起錯体のLUMO準位とHOMO準位とのエネルギー差は、2.48eVと
なる。これは、
図45で示した薄膜1の発光スペクトルのピーク波長から算出される発光
エネルギー(2.38eV)と概ね一致している。また、
図44で示した発光素子1の電
界発光スペクトルのピーク波長から算出される発光エネルギー(2.34eV)とも概ね
一致している。このことから、
図45の発光スペクトル、及び
図44の電界発光スペクト
ルは、4,6mCzP2Pm及びPCBBiFで形成する励起錯体に基づく発光であると
いえる。
【0709】
また、4,6mCzP2PmのLUMO準位とPCBBiFのHOMO準位とのエネル
ギー差(2.48eV)は、
図44で示した発光素子1の電界発光スペクトルの発光エネ
ルギー(2.34eV)の-0.1eV以上0.4eV以下のエネルギーを有している。
このことから、発光素子1は、効率よく発光する励起錯体を形成する組み合わせの化合物
を有する発光素子であるといえる。
【0710】
<発光素子2乃至282の作製>
次に、発光素子2乃至発光素子282の構造と作製方法を示す。なお、発光素子2乃至
282は、先に示す発光素子1と、発光層430及び電子輸送層418に用いる材料が主
に異なり、それ以外の工程は発光素子1と同様の作製方法とした。そのため、ここでは、
発光素子2乃至発光素子282の作製方法の詳細は省略する。発光素子1乃至発光素子2
82の素子構造の詳細を表3乃至表7に示す。また、使用した化合物の構造と略称を以下
に示す。なお、表3乃至表7において発光素子1と同様の材料及び構造を用いた箇所は、
その記載を省略する。また、電極401として、発光素子2乃至198においては厚さが
110nmのITSO膜を、発光素子199乃至282においては厚さが70nmのIT
SO膜をそれぞれ用いた。
【0711】
【0712】
【0713】
【0714】
【0715】
【0716】
【0717】
【0718】
【0719】
【0720】
【0721】
【0722】
【0723】
【0724】
【0725】
【0726】
【0727】
【0728】
【0729】
【0730】
<発光素子1乃至282の特性>
発光素子1乃至発光素子282の電界発光スペクトルのピーク波長、及び外部量子効率
の最大値を表8乃至表10にそれぞれ示す。
【0731】
【0732】
【0733】
【0734】
また、発光素子1乃至発光素子282の発光層430に用いた化合物(第1の有機化合
物及び第2の有機化合物)のHOMO準位、LUMO準位、及びT1準位の測定結果、及
び第1の有機化合物のLUMO準位と第2の有機化合物のHOMO準位とのエネルギー差
(略称:ΔEE)、を表11乃至表15にそれぞれ示す。なお、T1準位、HOMO準位
、及びLUMO準位の測定方法は、先に示した方法と同様である。また、表11乃至表1
5において、測定結果が得られなかったもの、または未測定のものについては「-」で表
す。
【0735】
【0736】
【0737】
【0738】
【0739】
【0740】
次に、上記作製した発光素子1乃至発光素子282における、外部量子効率の最大値(
略称:η
QE)と、電界発光スペクトルのピーク波長から換算した発光エネルギー(略称
:E
Em)と、第1の有機化合物のLUMO準位と第2の有機化合物のHOMO準位との
エネルギー差(ΔE
E)と、の関係を
図49に示す。また、発光素子1乃至発光素子28
2における、外部量子効率の最大値(η
QE)と、電界発光スペクトルのピーク波長から
換算した発光エネルギー(E
Em)と、第1の有機化合物のT1準位または第2の有機化
合物のT1準位のうちエネルギーが低い一方(略称:T
Low)と、の関係を
図50に示
す。なお、
図49及び
図50はバブルチャートであり、
図49において、横軸はE
Emを
、縦軸はΔE
Eを表し、η
QEは図中のバブル(丸)の面積で表しており、
図50におい
て、横軸はE
Emを、縦軸はT
Lowを表し、η
QEは図中のバブル(丸)の面積で表し
ている。
【0741】
また上記発光素子の中から、正孔輸送層412にBPAFLPを用い、且つ、発光層43
0の第1の有機化合物に4,6mCzP2Pmを用いた発光素子のΔT
low-E
Emと
外部量子効率の最大値との関係との関係を
図51に示す。
【0742】
図49のように、発光素子1乃至発光素子282の発光エネルギー(E
Em)と、第1
の有機化合物のLUMO準位と第2の有機化合物のHOMO準位とのエネルギー差(ΔE
E)と、は相関があることから、発光素子1乃至発光素子282が呈する発光が励起錯体
に由来する発光であることが分かる。
【0743】
また、ΔEEがEEmの-0.1eVより低い、または0.4eVより大きいエネルギ
ーを有するときに、発光素子の外部量子効率が低い結果となった。
【0744】
例えば、発光素子167は、第1の有機化合物として4,6mCzP2Pmを、第2の
有機化合物としてCz2DBTを用いている。4,6mCzP2PmのLUMO準位は-
2.88eVであり、Cz2DBTのHOMO準位は-5.86eVであることから、発
光素子167のΔEEは2.98eVである。また、発光素子181は、第1の有機化合
物として4,6mCzP2Pmを、第2の有機化合物としてBP3Dicを用いている。
BP3DicのHOMO準位は-5.51eVであることから、発光素子181のΔEE
は2.63eVである。また、発光素子167のEEmは2.46eV(504nm)、
ηQEは1.48%であり、発光素子181のEEmは2.38eV(520nm)、η
QEは8.53%であった。すなわち、発光素子167は、ΔEEとEEmとのエネルギ
ー差が0.52eVであり外部量子効率が低い結果であった。一方、発光素子181は、
ΔEEとEEmとのエネルギー差が0.25eVであり外部量子効率が高い結果であった
。
【0745】
このことから、ΔEEがEEmの-0.1eV以上0.4eV以下のエネルギー(EE
m-0.1eV≦ΔEE≦EEm+0.4eV)を有することで高い発光効率を有する発
光素子を作製することができ好ましいといえる。
【0746】
また、
図50のように、発光素子1乃至発光素子282の発光エネルギー(E
Em)と
、第1の有機化合物のT1準位または第2の有機化合物のT1準位のうちエネルギーが低
い一方(T
Low)と、は相関があり、T
LowがE
Emの-0.2eVより低い、また
は0.4eVより大きいエネルギーを有するときに、外部量子効率が低い結果となった。
【0747】
例えば、発光素子220は、第1の有機化合物として4,6mCzP2Pmを、第2の
有機化合物としてm-MTDATAを用いている。4,6mCzP2Pm及びm-MTD
ATAのT1準位は2.70eV及び2.56eVであることから発光素子220のTL
owは2.56eVである。また、発光素子136は、第1の有機化合物として4,6m
CzP2Pmを、第2の有機化合物としてPCzPCA1を用いている。PCzPCA1
のT1準位は2.50eVであることから発光素子136のTLowは2.50eVであ
る。また、発光素子220のEEmは2.03eV(611nm)、ηQEは1.36%
であり、発光素子136のEEmは2.22eV(558nm)、ηQEは11.27%
であった。すなわち、発光素子220は、TLowとEEmとのエネルギー差が0.53
eVであり外部量子効率が低い結果であった。また、発光素子136は、TLowとEE
mとのエネルギー差が0.32eVであり外部量子効率が高い結果であった。
【0748】
また、
図51に示すように、T
LowがE
Emの-0.2eV以上0.4eV以下のエ
ネルギーを有することで高い発光効率を有する発光素子を作製することができ好ましいと
いえる。
【0749】
また、既に述べた発光素子1のように、ΔEEがEEmの-0.1eV以上0.4eV
以下のエネルギーを有し、且つ、TLowがEEmの-0.2eV以上0.4eV以下の
エネルギーを有することで、高い発光効率を有する発光素子を作製することができ好まし
い。
【0750】
以上、本発明の一態様の構成により、発光効率の高い発光素子を提供することができる
。また、本発明の一態様の構成により、駆動電圧の低い発光素子を提供することができる
。また、本発明の一態様の構成により、消費電力の低い発光素子を提供することができる
。
【符号の説明】
【0751】
ANO 配線
C1 容量素子
C2 容量素子
CSCOM 配線
GD 駆動回路
GL 走査線
GL1 走査線
GL2 走査線
ML 配線
SL1 信号線
SL2 信号線
SD 駆動回路
VCOM1 配線
VCOM2 配線
300 表示装置
302 画素
315 シール材
331 配向膜
332 配向膜
335 構造体
337 導電体
339 導電性材料
350 液晶素子
351 電極
351A 導電膜
351B 反射膜
351C 導電膜
351H 開口部
352 電極
353 液晶層
354 中間膜
370 基板
370D 機能膜
370P 機能膜
371 絶縁膜
373 遮光層
375 着色層
377 フレキシブルプリント基板
400 EL層
401 電極
401a 導電層
401b 導電層
401c 導電層
402 電極
403 電極
403a 導電層
403b 導電層
404 電極
404a 導電層
404b 導電層
406 発光ユニット
408 発光ユニット
410 発光ユニット
411 正孔注入層
412 正孔輸送層
413 電子輸送層
414 電子注入層
415 電荷発生層
416 正孔注入層
417 正孔輸送層
418 電子輸送層
419 電子注入層
420 発光層
421 ホスト材料
422 ゲスト材料
423B 発光層
423G 発光層
423R 発光層
424B 光学素子
424G 光学素子
424R 光学素子
425 遮光層
426B 領域
426G 領域
426R 領域
428B 領域
428G 領域
428R 領域
430 発光層
431 有機化合物
432 有機化合物
433 ゲスト材料
440 発光層
441 ホスト材料
441_1 有機化合物
441_2 有機化合物
442 ゲスト材料
445 隔壁
450 発光素子
460 発光素子
462 発光素子
464a 発光素子
464b 発光素子
466a 発光素子
466b 発光素子
470 発光層
470a 発光層
470b 発光層
480 基板
482 基板
501A 絶縁膜
501C 絶縁膜
502 画素部
505 接合層
511B 導電膜
511C 導電膜
519B 端子
519C 端子
520 機能層
521 絶縁膜
522 接続部
528 絶縁膜
550 発光素子
551 電極
552 電極
553 発光層
570 基板
575 着色層
581 トランジスタ
582 トランジスタ
585 トランジスタ
586 トランジスタ
600 表示装置
601 信号線駆動回路部
602 画素部
603 走査線駆動回路部
604 封止基板
605 シール材
607 領域
607a 封止層
607b 封止層
607c 封止層
608 配線
609 FPC
610 素子基板
611 トランジスタ
612 トランジスタ
613 下部電極
614 隔壁
616 EL層
617 上部電極
618 発光素子
621 光学素子
622 遮光層
623 トランジスタ
624 トランジスタ
683 液滴吐出装置
684 液滴
685 層
801 画素回路
802 画素部
804 駆動回路部
804a 走査線駆動回路
804b 信号線駆動回路
806 保護回路
807 端子部
852 トランジスタ
854 トランジスタ
862 容量素子
872 発光素子
1001 基板
1002 下地絶縁膜
1003 ゲート絶縁膜
1006 ゲート電極
1007 ゲート電極
1008 ゲート電極
1020 層間絶縁膜
1021 層間絶縁膜
1022 電極
1024B 下部電極
1024G 下部電極
1024R 下部電極
1024Y 下部電極
1025 隔壁
1026 上部電極
1028 EL層
1028B 発光層
1028G 発光層
1028R 発光層
1028Y 発光層
1029 封止層
1031 封止基板
1032 シール材
1033 基材
1034B 着色層
1034G 着色層
1034R 着色層
1034Y 着色層
1035 遮光層
1036 オーバーコート層
1037 層間絶縁膜
1040 画素部
1041 駆動回路部
1042 周辺部
1400 液滴吐出装置
1402 基板
1403 液滴吐出手段
1404 撮像手段
1405 ヘッド
1406 空間
1407 制御手段
1408 記憶媒体
1409 画像処理手段
1410 コンピュータ
1411 マーカー
1412 ヘッド
1413 材料供給源
1414 材料供給源
2000 タッチパネル
2001 タッチパネル
2501 表示装置
2502R 画素
2502t トランジスタ
2503c 容量素子
2503g 走査線駆動回路
2503s 信号線駆動回路
2503t トランジスタ
2509 FPC
2510 基板
2510a 絶縁層
2510b 可撓性基板
2510c 接着層
2511 配線
2519 端子
2521 絶縁層
2528 隔壁
2550R 発光素子
2560 封止層
2567BM 遮光層
2567p 反射防止層
2567R 着色層
2570 基板
2570a 絶縁層
2570b 可撓性基板
2570c 接着層
2580R 発光モジュール
2590 基板
2591 電極
2592 電極
2593 絶縁層
2594 配線
2595 タッチセンサ
2597 接着層
2598 配線
2599 接続層
2601 パルス電圧出力回路
2602 電流検出回路
2603 容量
2611 トランジスタ
2612 トランジスタ
2613 トランジスタ
2621 電極
2622 電極
3000 発光装置
3001 基板
3003 基板
3005 発光素子
3007 封止領域
3009 封止領域
3011 領域
3013 領域
3014 領域
3015 基板
3016 基板
3018 乾燥剤
3500 多機能端末
3502 筐体
3504 表示部
3506 カメラ
3508 照明
3600 ライト
3602 筐体
3608 照明
3610 スピーカ
7121 筐体
7122 表示部
7123 キーボード
7124 ポインティングデバイス
7200 ヘッドマウントディスプレイ
7201 装着部
7202 レンズ
7203 本体
7204 表示部
7205 ケーブル
7206 バッテリ
7300 カメラ
7301 筐体
7302 表示部
7303 操作ボタン
7304 シャッターボタン
7305 結合部
7306 レンズ
7400 ファインダー
7401 筐体
7402 表示部
7403 ボタン
7500 ヘッドマウントディスプレイ
7501 筐体
7502 表示部
7503 操作ボタン
7504 固定具
7505 レンズ
7510 ヘッドマウントディスプレイ
7701 筐体
7702 筐体
7703 表示部
7704 操作キー
7705 レンズ
7706 接続部
8000 表示モジュール
8501 照明装置
8502 照明装置
8503 照明装置
8504 照明装置
9000 筐体
9001 表示部
9003 スピーカ
9005 操作キー
9006 接続端子
9007 センサ
9008 マイクロフォン
9050 操作ボタン
9051 情報
9052 情報
9053 情報
9054 情報
9055 ヒンジ
9100 携帯情報端末
9101 携帯情報端末
9102 携帯情報端末
9200 携帯情報端末
9201 携帯情報端末
9300 テレビジョン装置
9301 スタンド
9311 リモコン操作機
9500 表示装置
9501 表示パネル
9502 表示領域
9503 領域
9511 軸部
9512 軸受部
9700 自動車
9701 車体
9702 車輪
9703 ダッシュボード
9704 ライト
9710 表示部
9711 表示部
9712 表示部
9713 表示部
9714 表示部
9715 表示部
9721 表示部
9722 表示部
9723 表示部