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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-07
(45)【発行日】2024-08-16
(54)【発明の名称】脈管吻合装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/11 20060101AFI20240808BHJP
【FI】
A61B17/11
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2023555196
(86)(22)【出願日】2021-03-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(86)【国際出願番号】 US2021021322
(87)【国際公開番号】W WO2022191814
(87)【国際公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】523341750
【氏名又は名称】リン, シウ・フォン
【氏名又は名称原語表記】LIN, Hsiu-Feng
【住所又は居所原語表記】7F.-1, No. 115, Sec. 1, Hangzhou S. Rd., Zhongzheng Dist., Taipei City, 100 Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】リン, シウ・フォン
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1747131(KR,B1)
【文献】国際公開第2015/081647(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0110140(US,A1)
【文献】特表2002-528170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00
A61B 17/11
A61F 2/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脈管吻合装置であって、
第1のリング11及び第2のリング12を備える脈管締結具1であって、前記第1のリング11には第1の溝1111が設けられ、前記第2のリング12には第1の突起121が設けられ、前記第1の溝1111は前記第1の突起121に対応する、脈管締結具1と、
脈管締結機構2であって、前記脈管締結具1が配置された脈管締結機構2と、
を備え、該脈管締結機構2は、
第1の管21であって、該第1の管21の第1の端部21aは第2の管211に接続される、第1の管21と、
前記第1の管21に接続された端部と逆側の、前記第2の管211の他端211aに配置された脈管支持ユニット22であって、該脈管支持ユニット22は脈管支持体221及び脈管スプレッダ222を備え、該脈管スプレッダ222は前記脈管支持体221に組み付けられる、脈管支持ユニット22と、
進出リング23であって、前記第1のリング11、前記第2のリング12及び前記進出リング23は前記第2の管211において前記脈管支持ユニット22と前記第1の端部21aの間に配置され、前記第2のリング12は前記第1のリング11と前記進出リング23の間に位置し、前記第1のリング11は前記脈管支持ユニット22と前記第2のリング12の間に位置し、前記進出リング23は前記第2のリング12と前記第1の端部21aの間に位置する、進出リング23と、
前記第1の端部21aから突出して前記第1の管21に配置される第3の管24であって、前記第2の管211、前記第1のリング11、前記第2のリング12及び前記進出リング23は前記第3の管24に配置される、第3の管24と、
前記第3の管24に配置される展開ユニット25であって、該展開ユニット25の一端は前記脈管スプレッダ222に隣接する、展開ユニット25と、
を備える、脈管吻合装置。
【請求項2】
前記脈管締結機構2は前記第3の管24に配置された第1の進出管26をさらに備え、前記展開ユニット25が前記第1の進出管26に配置された、請求項1に記載の脈管吻合装置。
【請求項3】
前記脈管締結機構2は第2の進出管27をさらに備え、該第2の進出管27は前記第3の管24に配置され、前記展開ユニット25は前記第2の進出管27に配置され、前記第2の進出管27は前記第1の進出管26と前記第1の端部21aの間に位置する、請求項2に記載の脈管吻合装置。
【請求項4】
第1の弾性要素261が前記第1の進出管26の内管壁にさらに配置され、前記第1の弾性要素261が前記展開ユニット25と前記第1の進出管26の間に配置された、請求項2に記載の脈管吻合装置。
【請求項5】
前記脈管締結機構2は前記第3の管24の外側壁に組み付けられた係合部材28をさらに備え、該係合部材28は第1のフランジ281を有し、前記第1のリング11、前記第2のリング12及び前記進出リング23が前記第1のフランジ281を介して前記第3の管24に固定された、請求項1に記載の脈管吻合装置。
【請求項6】
貫通孔241が前記第3の管24の管壁に設けられ、前記係合部材28は前記貫通孔241に配置された第1の突出部282を有する、請求項5に記載の脈管吻合装置。
【請求項7】
前記第3の管24の前記貫通孔241は第2の突出部242を備え、前記第1の突出部282は第1の凹部2811を有し、該第1の凹部2811及び前記第2の突出部242が、対応して配置された、請求項6に記載の脈管吻合装置。
【請求項8】
前記脈管締結機構2は第2の弾性要素29をさらに備え、該第2の弾性要素29が前記第2の管211の外側壁に配置され、前記進出リング23に接続された、請求項1に記載の脈管吻合装置。
【請求項9】
筐体3をさらに備え、進出ユニット31が該筐体3に配置され、前記脈管締結機構2は前記筐体3に配置され、前記進出ユニット31及び前記第1の管21の第2の端部21bが、対応して配置された、請求項1に記載の脈管吻合装置。
【請求項10】
筐体3をさらに備え、進出ユニット31が該筐体3に配置され、前記脈管締結機構2は前記筐体3に配置され、前記進出ユニット31及び前記第1の進出管26が、対応して配置された、請求項2に記載の脈管吻合装置。
【請求項11】
前記進出ユニット31は第3の突出部311を有し、前記第1の進出管26は第2の凹部262を有し、前記第3の突出部311は前記第2の凹部262に対応する、請求項10に記載の脈管吻合装置。
【請求項12】
第3の弾性要素32が前記筐体3にさらに配置され、前記第1の管21が前記第3の弾性要素32と前記進出ユニット31の間に配置された、請求項9に記載の脈管吻合装置。
【請求項13】
保持ユニット4をさらに備え、該保持ユニット4が前記筐体3に位置し、前記進出ユニット31に接続された、請求項9に記載の脈管吻合装置。
【請求項14】
第4の管33が前記筐体3にさらに配置され、前記進出ユニット31は前記第4の管33に配置され、前記第4の管33は第1のトラック331を有し、前記進出ユニット31は前記第1のトラック331に配置された第4の突出部312を有する、請求項10に記載の脈管吻合装置。
【請求項15】
前記第1の進出管26は第2のフランジ263を有し、溝243は前記第3の管24の内管壁に設けられ、前記第2のフランジ263は前記溝243に対応する、請求項2に記載の脈管吻合装置。
【請求項16】
複数の接続壁112が前記第1のリング11にさらに配置され、前記複数の接続壁112のうちの2つの隣接する壁が所定の間隔に配置された、請求項1に記載の脈管吻合装置。
【請求項17】
前記間隔の幅は、前記複数の接続壁112のうちの1つの接続壁112の幅と実質的に同じである、請求項16に記載の脈管吻合装置。
【請求項18】
第2の溝1112が、前記第2のリング12に面する前記複数の接続壁112のうちの1つの接続壁112の側壁に設けられた、請求項16に記載の脈管吻合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脈管吻合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
脈管吻合術は、血管を効果的に接続することができ、微細な修復及び再建で重要な役割を果たす、顕微鏡下手術における大きな進歩である。今日では、伝統的な縫合術に加えて、新しい脈管吻合技術、例えば、スリーブ縫合、接着、吻合クリップ又は脈管ステープラも急成長している。それらの中で、脈管ステープラ技術は、四肢、乳房又は口腔顎顔面組織に広く適用可能であり、それにより修復及び再建を促進して患者がより良好な治療効果を得るのに役立つことが証明されている。
【0003】
ただし、従来の脈管ステープラ技術については、脈管クランプを手動で用いて血管壁を90度外向きに回転し、そして外側に回転した血管壁を特定の順序で釘に固定することが必要となる。しかし、このステップは、外科医の技量に大きく依存する。また、患者の血管壁が硬化又は脆弱である場合、このステップを行うことはより困難になり、不均一な力により血管壁を傷つけやすい。さらに、このステップが完了しても、血管壁が適切に固定されたことを保証することは困難である。したがって、従来の方法で脈管ステープラを手動で用いることは、ピンホールから血液が漏れやすいという弱い固定効果、時間の消費又は不十分な位置合せなどの問題を未だに有し、改善が必要である。さらに、手動で適用されたステープラの固定効果の均一性を保証することも困難であるので、固定された血管が患者の体内で外れ、手術に関してさらなるリスクを生じ得る。
【0004】
したがって、改善された脈管吻合装置を提案して上記の問題を除去又は緩和する早急なニーズが存在する。
【発明の概要】
【0005】
これに鑑み、本発明の態様によると、脈管吻合装置の固定効果を改善し、動作時間を短縮し、位置合せ時間を低減し、又は使用の利便性を改善するように脈管吻合装置が提供され、それにより脈管吻合装置は、より大きな実用性を発揮して外科医の負担を低減し、又はさらには外科手術の付加的なリスクを低減することができる。
【0006】
したがって、本発明の脈管吻合装置は、脈管締結具と、脈管締結機構と、を備え、脈管締結具は、第1のリング及び第2のリングを備え、第1のリングには第1の溝が設けられ、第2のリングには第1の突起が設けられ、第1の溝は第1の突起に対応し、それにより第1のリングが第1の溝と第1の突起の間の係合を介して第2のリングと係合可能とする。さらに、脈管締結具は脈管締結機構に配置されるので、脈管締結機構を動作させることによって血管は脈管締結具に固定可能となる。
【0007】
さらに、脈管締結機構は第1の管、脈管支持ユニット、進出リング、第3の管及び展開ユニットを備え、第1の管の第1の端部は第2の管に接続され、脈管支持ユニットは第1の管に接続された端部と逆側の、第2の管の他端に配置される。脈管支持ユニットは、脈管支持体及び脈管支持体に組み付けられた脈管スプレッダを備える。展開ユニットを前進させることによって、脈管スプレッダを、血管を90度などの所定の角度で外向きに回転させるように拡張可能となり、外向きに回転された血管が第1のリングに取付け可能となる。第1のリング、第2のリング及び進出リングは、第2の管において脈管支持ユニットと第1の端部の間に配置され、第2のリングは第1のリングと進出リングの間に位置し、第1のリングは脈管支持ユニットと第2のリングの間に位置し、進出リングは第2のリングと第1の端部の間に位置し、進出リングは前進可能であり、第2のリングを第1のリングと係合可能とする。第3の管は、第1の端部から突出して第1の管に配置され、第2の管、第1のリング、第2のリング及び進出リングは第3の管に配置される。展開ユニットは、第3の管に配置され、展開ユニットの一端は脈管スプレッダに隣接する。したがって、展開ユニットが前進させられると、それは、脈管スプレッダに外向きの拡張力を与えて血管を90度などの所定の角度で外向きに回転させることができ、外向きに回転された血管は第1のリングに取付け可能となる。
【0008】
本発明の脈管吻合装置では、脈管締結機構は第3の管に配置された第1の進出管をさらに備えてもよく、展開ユニットは第1の進出管に配置される。ただし、本発明は、それに限定されない。
【0009】
本発明の脈管吻合装置では、脈管締結機構は第2の進出管をさらに備えてもよく、第2の進出管は第3の管に配置され、展開ユニットは第2の進出管に配置され、第2の進出管は第1の進出管と第1の端部の間に位置する。ただし、本発明は、それに限定されない。
【0010】
本発明の脈管吻合装置では、さらに第1の弾性要素が第1の進出管の内管壁に配置されてもよく、第1の弾性要素は展開ユニットと第1の進出管の間に配置され、第1の弾性要素は弾性片であってもよく、それにより第1の弾性要素は展開ユニットをクランプ又は解放することができる。ただし、本発明は、それに限定されない。
【0011】
本発明の脈管吻合装置では、脈管締結機構は、第3の管の外側壁に組み付けられた係合部材をさらに備えてもよく、係合部材は第1のフランジを有し、第1のリング、第2のリング及び進出リングは、第1のフランジを介して第3の管に固定される。ただし、本発明は、それに限定されない。
【0012】
本発明の脈管吻合装置では、貫通孔は第3の管の管壁に設けられてもよく、係合部材は貫通孔に配置された第1の突出部を有する。ただし、本発明は、それに限定されない。
【0013】
本発明の脈管吻合装置では、第3の管の貫通孔は第2の突出部を備えてもよく、第1の突出部は第1の凹部を有し、第1の凹部及び第2の突出部は対応して配置される。ただし、本発明は、それに限定されない。
【0014】
本発明の脈管吻合装置では、脈管締結機構は第2の弾性要素をさらに備えてもよく、第2の弾性要素は第2の管の外側壁に配置され、進出リングに接続される。さらに、第2の弾性要素はバネであってもよく、それにより、係合要素が外向きに跳ね上がると、進出リングは、第2の弾性要素によって与えられる弾性力により脈管締結具を外向きに跳ね上げる。ただし、本発明は、それに限定されない。
【0015】
本発明の脈管吻合装置では、それは筐体をさらに備えてもよく、進出ユニットが筐体に配置され、脈管締結機構は筐体に配置され、進出ユニット及び第1の管の第2の端部は対応して配置される。ただし、本発明はそれに限定されない。
【0016】
本発明の脈管吻合装置では、それは筐体をさらに備えてもよく、進出ユニットが筐体に配置され、脈管締結機構は筐体に配置され、進出ユニット及び第1の進出管は対応して配置される。ただし、本発明はそれに限定されない。
【0017】
本発明の脈管吻合装置では、進出ユニットは第3の突出部を有し、第1の進出管は第2の凹部を有し、第3の突出部は第2の凹部に対応する。ただし、本発明はそれに限定されない。
【0018】
本発明の脈管吻合装置では、第3の弾性要素が筐体にさらに配置され、第1の管は第3の弾性要素と進出ユニットの間に配置され、第3の弾性要素はバネであり得る。ただし、本発明はそれに限定されない。
【0019】
本発明の脈管吻合装置では、それは保持ユニットをさらに備えてもよく、保持ユニットは筐体に位置し、進出ユニットに接続される。したがって、進出ユニットは、保持ユニットを動作させることによって駆動可能となる。ただし、本発明はそれに限定されない。
【0020】
本発明の脈管吻合装置では、第4の管が筐体にさらに配置されてもよく、進出ユニットは第4の管に配置され、第4の管は第1のトラックを有し、進出ユニットは第1のトラックに配置された第4の突出部を有する。ただし、本発明はそれに限定されない。
【0021】
本発明の脈管吻合装置では、第1の進出管は第2のフランジを有し、溝が第3の管の内管壁に設けられ、第2のフランジは溝に対応する。ただし、本発明はそれに限定されない。
【0022】
本発明の脈管吻合装置では、複数の接続壁が第1のリングにさらに配置されてもよく、複数の接続壁のうちの2つの隣接する壁は所定の間隔に配置される。ただし、本発明はそれに限定されない。
【0023】
本発明の脈管吻合装置では、間隔の幅は、複数の接続壁のうちの1つの接続壁の幅と実質的に同じであり得る。ただし、本発明はそれに限定されない。
【0024】
本発明の脈管吻合装置では、第2の溝が、第2のリングに面する複数の接続壁のうちの1つの接続壁の側壁に設けられる。ただし、本発明はそれに限定されない。
【0025】
本発明の他の目的、有利な効果及び新規の特徴は、添付の図面と併せて検討すると以下の詳細な説明からより明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明の実施形態による脈管吻合装置の概略図を示す。
図2A図2Aは、本発明の実施形態による脈管締結具の斜視図を示す。
図2B図2Bは、本発明の実施形態による脈管締結具の斜視図を示す。
図3A図3Aは、本発明の実施形態による脈管締結具の斜視図を示す。
図3B図3Bは、本発明の実施形態による脈管締結具の斜視図を示す。
図4A図4Aは、本発明の実施形態による脈管締結具の斜視図を示す。
図4B図4Bは、本発明の実施形態による脈管締結具の斜視図を示す。
図5図5は、本発明の実施形態による脈管締結機構の分解図を示す。
図6図6は、本発明の実施形態による脈管締結機構の斜視図を示す。
図7図7は、図1における脈管締結具、進出ユニット及び第4の管の組合せの拡大斜視図を示す。
図8図8は、本発明の実施形態による脈管吻合装置の分解図を示す。
図9図9は、図1における脈管締結機構及び筐体の分解図を示す。
図10図10は、本発明の実施形態による脈管吻合装置の動作機構の概略図を示す。
図11図11は、本発明の実施形態による脈管吻合装置の動作機構の概略図を示す。
図12図12は、本発明の実施形態による脈管吻合装置の動作機構の概略図を示す。
図13図13は、本発明の実施形態による脈管吻合装置の動作機構の概略図を示す。
図14図14は、本発明の実施形態による脈管吻合装置の動作機構の概略図を示す。
図15図15は、本発明の実施形態による脈管吻合装置の動作機構の概略図を示す。
図16図16は、本発明の実施形態による脈管吻合装置の動作機構の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の様々な実施形態は、以下の説明において提供される。これらの実施形態は、本発明の技術的内容を説明することを意図するものであるが、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。ある実施形態において説明される特徴は、適切な変更、置換、組合せ又は分離によって他の実施形態に適用され得る。
【0028】
なお、本明細書では、ある1つの構成要素が1つの要素を有すると説明される場合、それは、構成要素が要素の1以上を有し得ることを意味し、それは、特に断りのない限り、構成要素が要素の1つしか有さないことを意味するものではない。
【0029】
さらに、本明細書では、「第1」又は「第2」などの序数は、同一の名称を有する複数の要素を区別するのに用いられ、それは、特に断りのない限り、その要素においてレベル、ランク、実行順序又は製造順序が基本的に存在することを意味するものではない。「第1」の要素及び「第2」の要素は、同一の構成要素においてともに存在してもよく、又は代替的に、それらは、それぞれ異なる構成要素において存在してもよい。より大きな序数によって説明される要素の存在は、基本的には、より小さい序数によって説明される他の要素が存在することを意味するものではない。
【0030】
さらに、本明細書では、「上(top)」、「下(bottom)」、「左」、「右」、「前(front)」、「後(back)」又は「中間(middle)」などの用語並びに「上(on)」、「上(above)」、「下(under)」、「下(below)」又は「間(between)」などの用語は、複数の要素の間の相対的な位置を説明するのに用いられ、説明された相対的な位置は、それらの並進、回転又は反転を含むように解釈され得る。
【0031】
さらに、本明細書では、要素が他の要素の「において/上に(on)」配置されるように説明される場合、特に断りのない限り、それは、基本的には、その要素が他方の要素に接触することを意味するものではない。そのような解釈は、「において/上に(on)」の場合と同様の他の場合にも適用される。
【0032】
さらに、本明細書では、「好ましくは」又は「有利なことに」などの用語は、任意選択的又は付加的な要素又は特徴を説明するのに用いられ、換言すると、その要素又はその特徴は、必須の要素ではなく、一部の実施形態では無視され得る。
【0033】
さらに、本明細書では、ある要素が他の要素に「適している」又は「適合される」と説明される場合、他方の要素は、その要素の特性又は用途を想像することに役立つ例又は参照であり、他方の要素は、特許請求の範囲に記載された主題の一部を形成するとみなされるものではない。同様に、本明細書では、ある要素がある構成又はある動きに「適している」又は「適合される」と説明される場合、その説明は、その要素の特性又は用途に着目するように行われ、特に断りのない限り、それは、基本的には、その構成が設定されること、又はその動きが行われることを意味するものではない。
【0034】
さらに、本明細書において、特に断りがない限り、値は、その値の±10%以内の範囲、特にその値の±5%以内の範囲を包含すると解釈され得る。
【0035】
脈管吻合装置の構造
図1は、本発明の実施形態による脈管吻合装置の概略図を示す。
【0036】
図1に示すように、本実施形態の脈管吻合装置1000は脈管締結具1、脈管締結機構2、筐体3、進出ユニット31、保持ユニット4及び可動ユニット5を含み、進出ユニット31は筐体3に配置され、脈管締結機構2は筐体3に配置され、保持ユニット4は筐体3に部分的に位置し、進出ユニット31に接続されている。さらに、保持ユニット4は貫通孔41を有し、連動ユニット313は進出ユニット31の外側壁に配置され、連動ユニット313は貫通孔41内に設けられる。可動ユニット5には貫通孔51が設けられ、筐体3には連動ロッド35が設けられ、シャフト351は、連動ロッド35の後端に、すなわち、第4の弾性要素52の近傍に配置される。連動ロッド35は、可動ユニット5を動作させる際にシャフト351を中心として回転し、それにより連動ロッド35は第4の管33の下に位置する第1のバンプ330に接触して進出ユニット31を連動させ、そして展開ユニット25は駆動されて後方に移動する。したがって、図11に示すように、展開ユニット25の第1の端部25aは、張出部213に接触可能であり、そして弾性体212は押し出されて間隙を形成し、同時に脈管支持体221は血管100に挿入され、それにより血管100をクランプする。さらに、図11に示すように、可動ユニット5は、血管100が弾性体212に正しい態様でクランプされるまで反復して動作可能である。さらに、可動ユニット5が第4の弾性要素52に接続されているので、(図10に示すように)可動ユニット5の動作を停止させると、可動ユニット5は初期位置に後退可能となり、展開ユニット25もその初期位置に後退可能となり、それにより反復動作が容易となる。さらに、保持ユニット4が動作されると、連動ユニット313は貫通孔41の壁に沿って移動して進出ユニット31を駆動して筐体3内の脈管締結機構2を起動し、それにより(図2A及び図3Aに示すように)血管100の一端を脈管締結具1に固定し、同じステップを反復することによって(図2A及び図3Aに示すように)血管100の他端は他の脈管締結具1に固定可能となる。そして、(図2A図4A及び図4Bに示すように)血管100が固定された2個の脈管締結具1は相互に係合されるので、血管100は効率的又は簡便な態様で接続可能となる。手動の吻合術は、血管100には望ましくない。
【0037】
図2A図2Bは、本発明の実施形態による脈管締結具の斜視図を示す。
【0038】
図2A図2B(血管100が脈管締結具1に固定されていない)に示すように、本実施形態の脈管締結具1は、第1のリング11及び第2のリング12を備え、第1のリング11には第1の溝1111が設けられ、第2のリング12には第1の突起121が設けられ、第1の溝1111は第1の突起121に対応し、それにより第1のリング11が第1の溝1111と第1の突起121の間の係合を介して第2のリング12と係合可能となる。本実施形態では、第1のリング11及び第2のリングは、チタン合金又はシリコーンゴムなどの生態適合性材料で作製され得る。
【0039】
さらに、第1のリング11には、複数の接続壁112も設けられ、複数の接続壁112のうちの2つの隣接する壁は所定の間隔に配置され、その間隔の幅は、複数の接続壁112のうちの1つの接続壁112の幅と実質的に同じであってもよいし、それよりわずかに大きくてもよい。さらに、第2の溝1112は、第2のリング12に面する接続壁112のうちの1つの接続壁112の側壁に設けられる。本実施形態では、第2のリングに面する接続壁112の側壁の全てに、第2の溝1112が設けられる。
【0040】
図3A図3Bは、本発明の実施形態による脈管締結具の斜視図を示す。
【0041】
図3A図3B(血管100の一端が脈管締結具1に固定されている)に示すように、まず血管100が外向きに回転され、第1のリング11に取り付けられ、そして(図3Bに示すように)外向きに回転された部分が第1の溝1111と第1の突起121の間の係合を介して第1のリング11と第2のリング12の間に固定され、それにより血管100を脈管締結具1に効率的に固定する。
【0042】
図4A図4Bは、本発明の実施形態による脈管締結具の斜視図を示す。
【0043】
図4A図4B(2個の脈管締結具1が相互に係合されている)に示すように、接続壁112を相互にずらして配置することによって、血管100を固定した2個の脈管締結具1が(第1のリング11に設けられた)第2の溝1112と第2の突起1113の間の係合を介して相互に係合される。
【0044】
図5は、本発明の実施形態による脈管締結機構の分解図を示す。
【0045】
図6は、本発明の実施形態による脈管締結機構の斜視図を示す。
【0046】
図5及び図6に示すように、本実施形態の脈管締結機構は第1の管21、脈管支持ユニット22、進出リング23、第3の管24及び展開ユニット25を含み、脈管締結具1は脈管締結機構2に配置される。保持ユニット4を動作させると、(図1に示すように)連動ユニット313は貫通孔41の壁に沿って移動して進出ユニット31を駆動して(図8に示すように)進出ユニット31を第1の進出管26に係合し、同時に(図10に示すように)第1の進出管26は、第1の弾性要素261によって中空管34をクランプ及び駆動することができる。したがって、進出ユニット31が第1の進出管26を連動及び移動させると、中空管34は同時に連動及び移動可能となる。中空管34は移動し続け、中空管34の前端34aは(図13に示すように)より大きな直径を有する展開ユニット25の一部に接触して展開ユニット25を駆動する。そして、(図14に示すように)さらなる移動により、展開ユニット25が血管100を外向きに回転するように脈管スプレッダ222を押圧することを可能とする。血管100の固定が完了する間に、(図15に示すように)係合部材28は第3のフランジによって解放され、それにより(図16に示すように)脈管締結具1を脈管吻合装置1000から離脱可能とし、血管100の他端を他の脈管締結具1において同様に固定する以降の手順を容易にする。以下、脈管締結機構2の構造をより詳細に説明する。
【0047】
第1に、(図10に示すように)第1の管21は中空構造であり、第3の弾性要素32と進出ユニット31の間に配置され、第1の管21の第1の端部21aは第2の管211に接続され、したがって、第1の端部21aは第2の管211に接続された接続要素215を有する。さらに、(図10に示すように)第1の管21の第2の端部21bは、より細い直径を有し、そこには貫通孔214が設けられているので、筐体3は第3の弾性要素32を配置するのに十分な空間を有する。さらに、(図10に示すように)第3の弾性要素32は貫通孔214に配置され、本実施形態では球である係合要素321は任意選択的に貫通孔214に第3の弾性要素32を係合するのに用いられてもよい。さらに、図10に示すように、第2の管211の他端211aには弾性体212が設けられ、弾性体212の内側は(例えば、半円形の張出部、三角形の張出部又は円形の張出部であるが、本発明はそれらに限定されない)張出部213を有する。第2の管211に配置された展開ユニット25が移動すると、(図11に示すように)展開ユニット25の第1の端部25aは張出部213に接触可能となるので、弾性体212は外向きに押され、間隙が形成され、同時に脈管支持体221が血管100内に収められ、それにより血管100をそこにクランプする。
【0048】
第2に、脈管支持ユニット22は、第1の端部21aに接続された端部と逆側の、第2の管211の他端211aに配置される。脈管支持ユニット22は脈管支持体221及び脈管スプレッダ222を備え、脈管スプレッダ222は(図10に示すように)弾性体212に隣接して脈管支持体221に組み付けられ、脈管スプレッダ222は回転可能である。例えば、所定の角度が形成可能であることを条件として、本発明はそれに限定されないが、脈管スプレッダ222は外向きに90度回転する。したがって、図14に示すように、展開ユニット25は、展開ユニット25が前進すると、脈管スプレッダが外向きに回転して、脈管支持ユニット22に固定された血管100を所定の角度(例えば、90度であり、角度が形成可能であることを条件として、本発明の角度は特定の限定の対象とならない)で外向きに回転させるように、脈管スプレッダ222に力を付与することができる。
【0049】
さらに、第1のリング11、第2のリング12及び進出リング23は第2の管211において脈管支持ユニット22と第1の端部21aの間に配置され、第2のリング12は第1のリング11と進出リング23の間に位置し、第1のリング11は脈管支持ユニット22と第2のリング12の間に位置し、進出リング23は第2のリング12と第1の端部21aの間に位置する。進出リング23は中空円筒体であり、その厚さ(すなわち、中空円筒体の厚さ)は第2のリング12の厚さに対応して設定される。例えば、進出リング23の厚さは、第2のリング12の厚さ以下であるが、本発明はそれに限定されない。それにより、それは(図3A及び図3Bに示すように)血管100を固定する際に進出リング23又は第2のリング12が血管100の内膜に接触することを防止する。したがって、進出リング23が前進すると、第2のリング12が連動可能となるので、第2のリング12は第1のリング11に係合され、それにより血管100を第1のリング11と第2のリング12の間に固定する。さらに、第2のリング12の内管壁のパターンを花型又は星型として、クランプされる血管100に摩擦力を与えてもよい。
【0050】
さらに、第3の管24は第1の端部21aから突出して第1の管21に配置され、第2の管211、第1のリング11、第2のリング12及び進出リング23は第3の管24に配置される。貫通孔241は第3の管24の管壁に設けられ、係合部材28は貫通孔241に設けられた第1の突出部282を有する。さらに、第3の管24の貫通孔241は第2の突出部242を含み、第1の突出部282は第1の凹部2811を有し、第1の凹部2811及び第2の突出部242は対応して配置される。したがって、図15に示すように、第3のフランジ271が前進すると、それが第1の突出部282を押圧し、それにより第1の突出部282は脈管締結具1を解放するように取外し可能となる。第1の突出部282は、当初は貫通孔241に係合されるように、第2の突出部242を介して第1の凹部2811と係合されている。
【0051】
最後に、展開ユニット25は第3の管24に配置され、展開ユニット25の第1の端部25aは凸状又は多爪型(例えば、円錐又は6爪型)であり、第2の管211の弾性体212を展開するのに有利なように脈管スプレッダ222に隣接し、それにより血管100は脈管支持ユニット22にクランプ可能となる。
【0052】
本実施形態の脈管締結機構は第1の進出管26及び第2の進出管27をさらに含み、第1の進出管26及び第2の進出管27の双方は第3の管24に配置される。展開ユニット25は第1の進出管26及び第2の進出管27に配置され、第2の進出管27は第1の進出管26と第1の端部21aの間に位置し、第2の進出要素27の前半部にはチャネル272が設けられて、第2の進出要素27が第1の管21から突出するように第1の管21の接続要素215上を移動可能となることを確実にする。
【0053】
さらに、展開ユニット25に十分な移動空間を与えるように、第1の進出要素26と第2の進出要素27の間に間隙30が存在する。
【0054】
さらに、第2の進出管27の直径を小径から大径に変化させ、管の直径が大きくなる箇所に第3のフランジ271が設けられる。第2の進出要素27が前進すると、第3のフランジ271は(図15に示すように)係合部材28の第1の突出部282を押圧可能となり、係合部材28を跳ね上げて、第1のフランジ281を解放し、それにより脈管締結具1を解放する。
【0055】
脈管締結機構は、第3の管24の外側壁に組み付けられた係合部材28をさらに含み、係合部材28は第1のフランジ281を有し、第1のリング11、第2のリング12及び進出リング23は第1のフランジ281を介して第3の管24に固定される。係合部材28が跳ね上がると、第1のフランジ281は第1のリング11、第2のリング12及び進出リング23を固定しなくなるので、脈管締結具1は解放可能となり、脈管締結具1は脈管吻合装置1000から離間可能となる。
【0056】
図7は、図1における脈管締結機構2、進出ユニット31及び第4の管33の組合せの拡大斜視図を示す。
【0057】
図1及び図7に示すように、本実施形態の脈管締結機構では、第4の管33が筐体3にさらに配置され、進出ユニット31は第4の管33に配置され、第4の管33は第1のトラック331を有し、進出ユニット31は第1のトラックに配置された第4の突出部312を有する。したがって、保持ユニット4が押し込まれると、連動ユニット313は貫通孔41の壁に沿って移動し、それにより進出ユニット31を駆動し、第4の突出部312が第1のトラック331に係合されているので、進出ユニット31は同時に回転する。
【0058】
図8は、本発明の実施形態による脈管吻合装置の分解図を示す。
【0059】
図9は、図1における脈管締結機構及び筐体の分解図を示す。
【0060】
図10は、本発明の実施形態による脈管締結機構の断面図を示す。
【0061】
図5図8及び図10に示すように、本実施形態の脈管締結機構では、進出ユニット31及び第1の管21の第2の端部21bは、対応して配置される。それは、進出ユニット31の直径が第1の管21の第2の端部21bの直径以下となることで、進出ユニット31が第1の管に配置可能となり、任意に移動可能となることを示す。さらに、進出ユニット31及び第1の進出管26は、対応して配置される。
【0062】
本実施形態の脈管締結機構では、進出ユニット31は第3の突出部311を有し、第1の進出管26は第2の凹部262を有し、第3の突出部311は第2の凹部262に対応する。したがって、第3の突出部311は第2の凹部262と係合可能であり、それにより第1の進出管26は進出ユニット31に連動可能となる(例えば、それらは同期して回転及び/又は移動可能となる)。
【0063】
本実施形態の脈管締結機構では、さらに(図10に示すように)第3の弾性要素32が筐体3に配置され、弾性要素32はバネ及び弾性片などであり得る。さらに、第1の管21は、第3の弾性要素32と進出ユニット31の間に配置され、それにより第1の管21を筐体3に固定する。
【0064】
図6及び図9に示すように、本実施形態の脈管締結機構では、展開ユニット25の第2の端部25bはシート状構造であり、第2の端部25b及び進出ユニット31の貫通孔314は、図8に示すように対応して配置される。したがって、図8及び図10に示すように、第1の管21に配置された展開ユニット25の第2の端部25bは、貫通孔314を通過可能であり、それにより進出ユニット31に配置される。さらに、筐体3に設けられた第2のトラック3a及び第1の管21における第2のバンプ210は、対応して配置される。したがって、脈管締結機構2は第2のトラック3aに沿って筐体3に係合可能であり、様々なサイズの脈管締結機構2が様々なサイズの血管に基づいて適用可能となる。
【0065】
図10に示すように、本実施形態の脈管締結機構では、バネ又は弾性片であり得る第1の弾性要素261が第1の進出管26の内管壁にさらに配置され、第1の弾性要素261は中空管34と第1の進出管26の間に配置され、第1の弾性要素261は中空管34をクランプ又は解放するのに用いられる。中空管34は、第1の弾性要素261が中空管34をクランプする際に第1の進出管26とともに移動可能である。したがって、中空管34の前端34aが展開ユニット25の直径が大きくなる場所に接触すると、図13に示すように、展開ユニット25が駆動可能となる。逆に、第1の弾性要素261が中空管34を解放すると、図15に示すように、中空管34は第1の進出管26とともに移動することができない。それにより、展開ユニット25を移動させるか否かが規制可能となる。
【0066】
本実施形態の脈管締結機構は、バネ弾性片などである第2の弾性要素29をさらに含み、第2の弾性要素29は、第2の管211の外側壁に配置され、進出リング23に接続される。係合部材28の第1のフランジ281が第1のリング11を固定しなくなると、第2の弾性部材29はリング23を外向きに押圧する力を与え、脈管締結具を脈管吻合装置1000から離間させ続けることができる。
【0067】
本実施形態の脈管締結機構では、第1の進出管26は第2のフランジ263を有し、溝243が第3の管24の内管壁に設けられ、第2のフランジ263は溝243に対応する。溝243はL字形状の溝である。したがって、進出管26が第3の管24を駆動してともに移動できるか否かは、第2のフランジ263が係合する溝243の様々な位置に依存する。
【0068】
脈管吻合装置の動作機構
図10図16は、本発明の実施形態による脈管吻合装置の動作機構の概略図を示す。
【0069】
図10(脈管吻合装置1000の非作動状態を示す)に示すように、進出ユニット31の第3の突出部311は、第1の進出管26の第2の凹部262とまだ係合されていない。さらに、血管100も、脈管支持体221にクランプされていない。さらに、第1の進出管26の第2のフランジ263は、第3の管24の内壁の溝243と係合されている。溝243はL字形状の溝であり、すなわち、第2のフランジ263は最初に溝243内で回転できるにすぎない。第2のフランジ263は、第2のフランジ263が溝243の直角90度まで回転する場合にのみ前進可能である。したがって、第1の進出管26が力を受けて移動すると、(第2のフランジ263が、前後に移動できない溝243の領域に係合されるので)第3の配管24は同期して移動するように駆動可能である。一方で、第1の進出管26が特定の角度よりも大きく回転すると(すなわち、第2のフランジ263が溝243の直角90度まで回転した後)、第1の進出管26は第3の管24を同期して移動するようには駆動せず、それは第2のフランジ263が往復移動できる溝243の領域に係合されるためであり、第1の進出管26は単独で前進可能である。さらに、第1の進出管26の内管壁の第1の弾性要素261は中空管34をクランプするので、中空管34は、第1の進出管26が移動すると、同期して駆動可能となる。
【0070】
図11に示すように、最初に、血管100が、前端から脈管支持体221にスリーブされ、弾性体212と係合される。そして、可動ユニット5はシャフト351を中心として連動ロッド35を回転させるように動作し、それにより連動ロッド35は(図1に示すように)第4の管33の下の第1のバンプ330に接触して進出ユニットを連動させ、展開ユニット25が駆動されて後退する。それにより、弾性体212に配置された張出部213を押し込む展開ユニット25の(例えば、円錐形状又は6爪型の)第1の端部25aが、弾性体212を外向きに展開することが可能となる。そして、血管100が、弾性体212にクランプされ、弾性体212の前縁部によって固定される。さらに、可動ユニット5は、血管100が弾性体212に正しい態様でクランプされるまで反復して動作可能となる。
【0071】
図12に示すように、進出ユニット31は(図1に示すように)保持ユニット4の動作を介した連動ユニット313及び貫通孔41の動きによって駆動される。このとき、進出ユニット31の第3の突出部311は第1の進出管26の第2の凹部262と係合されているだけであるが、第1の進出管26はまだ押圧されていない。
【0072】
図13に示すように、保持ユニット4は連続的に動作し、連動ユニット313及び貫通孔41は(図1に示すように)進出ユニット31を駆動し、それにより第1の進出管26を連動させて第1の距離aだけ前進させ、(第2のフランジ263が回転可能な溝243に係合されているので)同期して第3の管24を駆動して第1の距離aだけ前進させるように作動される。したがって、第3の管24は、血管100の一部を包み込んで脈管締結具1にクランプする。さらに、第1の進出管26は第1の弾性要素261によって中空管34に連動可能であるので、第1の進出管26は前進し、同期して前進可能な中空管34が前端34aを展開ユニット25の直径が大きくなる位置で展開ユニット25に接触させることを可能とする。したがって、展開ユニット25は連動されて移動する。同時に、進出ユニット31の第4の突出部312は(図7に示すように)第4の管33の第1のトラック331と係合され、第4の突出部312は(図1に示すように)筐体3に配置された第3のトラック3bとも係合されるので、進出ユニット31は(図7に示すように)まず前進してから第1のトラック331に沿って回転する。さらに、第3の突出部311が第2の凹部262と係合されるので、進出ユニット31は第1の進出管26を連動させて回転可能となり(図12に示すように、なお、図13は回転を開始した状態を示すため、図13の断面図は開示しない)、それにより第1の進出管26の第2のフランジ263は往復移動可能な溝243の領域まで回転可能となる。したがって、第1の進出管26は、第3の管24と同期して移動しなくなる。最後に、進出ユニット31は、回転後に前進を継続可能であり、結果として第1の進出管26は単独で前進可能である。
【0073】
図14に示すように、保持ユニット4は、連続して動作されて第1の進出管26を前進させ続ける。一方で、第1の進出管26は、第3の管24と連動しなくなるので、第1の弾性要素261によって中空管34のみと連動される。したがって、第1の進出管26が第2の距離bだけ前進する(すなわち、第1の進出管26が第2の進出管27に接触する位置まで移動する)工程では、中空管34は、展開ユニット25の直径が大きくなる位置で展開ユニット25に接触したので、展開ユニット25は同時に第2の距離bだけ移動するように駆動され、展開ユニット25は脈管スプレッダ222に力を付与することが可能となる。結果として、脈管スプレッダ222は、血管100を所定の角度(例えば、90度であり、所定の角度が形成可能であることを条件として、本発明の角度の程度は特定の限定の対象とならない)で外向きに回転させ、それにより血管100を第1のリング11に取り付けて、血管100を第1のリング11に固定する第2のリング12のその後の使用を容易にする。
【0074】
図15に示すように、第1の進出管26は、保持ユニット4の連続的な動作により移動し続ける。同時に、第1の弾性要素261は解放されているので、中空管34は第1の進出管26に追従して移動しない。したがって、第1の進出管26は第2の進出管27のみを駆動して前進させ、それにより進出リング23は第2のリング12に力を付与して、血管100を固定した第1のリング11に第2のリング12を係合させる。その間に、第2の進出管27の第3のフランジ271は、係合部材28の第1の突出部282に軽く接触し、それにより第2の突出部242と第1の凹部2811の間の係合を介して貫通孔241に当初係合されている第1の突出部282が係合解除可能となる。係合部材28が跳ね上がるため、第1のフランジ281は第1のリング11、第2のリング12及び進出リング23を固定しなくなる。それにより、脈管締結具1は、脈管吻合装置1000から取外し可能となる。
【0075】
図16に示すように、第2の弾性要素29は進出リング23に、脈管締結具1を脈管吻合装置1000から取り外す外向きの弾性力を与える。そして、脈管締結具1が離間した後、上記のステップを反復して血管100の他端を他の脈管締結具1に固定するために、他の脈管締結具1が脈管締結機構2に挿入可能であり、又は脈管締結機構2全体が他の脈管締結具1を挿入された脈管締結機構2と置換可能となる。最後に、2個の脈管締結具1は、相互に係合されて血管100の吻合を完了する。
【0076】
本発明をその好適な実施形態に関連して説明してきたが、以下に特許請求されるように本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく多数の他の可能な変更及び変形が行われ得ることが理解される。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16