(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-07
(45)【発行日】2024-08-16
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20240808BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20240808BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
H01L29/78 652S
H01L29/78 652F
H01L29/78 652J
H01L29/78 652K
H01L29/78 652M
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652T
H01L29/78 653A
H01L29/78 657A
H01L29/78 657F
H01L29/78 658F
(21)【出願番号】P 2024001472
(22)【出願日】2024-01-09
(62)【分割の表示】P 2022550514の分割
【原出願日】2021-09-09
【審査請求日】2024-01-12
(31)【優先権主張番号】P 2020156343
(32)【優先日】2020-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日笠 旭紘
【審査官】上田 智志
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-080387(JP,A)
【文献】国際公開第2019/106948(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0320461(US,A1)
【文献】国際公開第2022/059597(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/28、21/3205、
21/336、21/768、
23/522、29/12、
29/41、29/739、
29/78、29/861、
29/868
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面を有し、アクティブ領域と、前記アクティブ領域外の領域に設けられた非アクティブ領域とを有する半導体層と、
前記半導体層の前記アクティブ領域に形成され、ゲート電極、ソース領域およびドレイン領域を有するスイッチング素子と、
前記非アクティブ領域において前記主面の上に配置され、前記スイッチング素子の前記ゲート電極に電気的に接続された第1電極と、
前記アクティブ領域において、複数のコンタクト孔を有する第1絶縁層と、
前記アクティブ領域において、平面視において前記第1電極から間隔を空けて前記主面の上に前記第1絶縁層を介して配置され、前記コンタクト孔を介して前記スイッチング素子の前記ソース領域に電気的に接続された第2電極と、
前記第2電極の上に配置された第2絶縁層と、
平面視において前記第1電極に重なる部分、および、前記第2電極に重なる部分を有し、前記第1電極に電気的に接続されるとともに、前記第2電極とは前記第2絶縁層により電気的に絶縁された第1端子電極と、
平面視において前記第2電極に重なる部分を有し、前記第2電極に電気的に接続された第2端子電極と、を備え、
前記第2電極は、前記第1絶縁層の前記コンタクト孔に埋め込まれた第1部分と、前記第1絶縁層上に形成される第2部分とを有し、
前記第1部分はタングステンまたはタングステン合金を含み、
前記第2部分はアルミニウムまたはアルミニウム合金を含む、半導体装置。
【請求項2】
前記第1部分は、チタンまたは窒化チタンによるバリア膜を介して形成されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2部分は、前記第1絶縁層上に形成される第1下地層と、前記第1下地層上に形成されたアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第1金属層を含む、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1下地層は、チタンからなるバリア膜により形成されている、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記スイッチング素子の前記ゲート電極に接続され、前記第1電極と重なる部分を有するゲートフィンガー部をさらに備え、
前記第1電極は、アルミニウムまたはアルミニウム合金を含み、
前記第1電極は
、前記第1絶縁層に設けられた貫通孔
を介して前記ゲートフィンガー部に電気的に接続されている、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1電極は、前記第1絶縁層の上に形成される第2下地層と、前記第2下地層上に形成されたアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第2金属層を含む、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2下地層は、チタンからなるバリア膜により形成されている、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体層は、SiCを含む、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記半導体層の外周部におい
て前記半導体層
を被覆する端部絶縁層をさらに備え、
前記第1絶縁層
は、前記半導体層の外周部を被覆し、
前記端部絶縁層は、前記半導体層の外周部において前記第1絶縁層を介して前記半導体層を被覆している、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記端部絶縁層は、前記第2絶縁層と同じ絶縁性材料によって形成されている、請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1端子電極は、前記第2絶縁層に形成された貫通孔に形成され、前記第1電極と接続される接続部と、前記接続部から外側に延びる幅広部とを含み、
前記接続部と前記幅広部とは同じ導電性材料により形成されている、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1端子電極は、前記接続部に重なる部分が前記第1電極に向けて窪んでいる、請求項
11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1端子電極は、640000μm
2以上1000000μm
2以下の面積を有する、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1端子電極に接合されるボンディングワイヤをさらに備え、
前記第1端子電極は、前記第2絶縁層に形成された貫通孔に形成され、前記第1電極と接続される接続部と、前記接続部から外側に延びる幅広部とを含み、
前記ボンディングワイヤは、平面視において前記接続部に重ならない領域に接合されている、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第1端子電極は、前記第2絶縁層を挟んで前記第2電極に対向するように前記第2電極の上方に配置された側面を有し、
前記第2端子電極は、前記第2絶縁層を挟んで前記第2電極に対向するように前記第2電極の上方に配置され、かつ、前記第1端子電極の側面との間で前記第2絶縁層を露出させる間隙を形成する側面を有している、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記間隙内で前記第2絶縁層を被覆し、前記第2絶縁層を挟んで前記第2電極に対向する第3絶縁層をさらに含む、請求項
15に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記半導体層の外周部におい
て前記半導体層
を被覆する端部絶縁層をさらに備え、
前記第1絶縁層
は、前記半導体層の外周部を被覆し、
前記端部絶縁層は、前記半導体層の外周部において前記第1絶縁層を介して前記半導体層を被覆し、
前記第3絶縁層は、前記半導体層の外周部において前記第
1絶縁層および前記
端部絶縁層を介して前記半導体層を被覆している、請求項
16に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記端部絶縁層は、前記第2絶縁層と同じ絶縁性材料によって形成されている、請求項17に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記第1電極は、平面視において前記第1端子電極と重なるように位置し、前記第1端子電極に電気的に接続される受電部と、平面視における一方向に沿って延びる給電部と、前記受電部と前記給電部とを接続し、前記一方向と直交する方向に沿って延びる接続部とを含む、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項20】
前記第2端子電極に電気的に接続される金属板と、
前記第2端子電極と前記金属板との間に介在する接合材とをさらに備え、
前記第2端子電極の上面に第1めっき層が形成されており、
前記第1めっき層と前記金属板とが前記接合材により接合されている、請求項1~
19のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項21】
前記第1めっき層は、ニッケルを主成分に含む金属層を含む、請求項
20に記載の半導体装置。
【請求項22】
前記第1端子電極の上面に、第2めっき層が形成されている、請求項
21に記載の半導体装置。
【請求項23】
主面を有し、アクティブ領域と、前記アクティブ領域外の領域に設けられた非アクティブ領域とを有する半導体層と、
前記半導体層の前記アクティブ領域に形成され、ゲート電極、ソース領域およびドレイン領域を有するスイッチング素子と、
前記非アクティブ領域において前記主面の上に配置され、前記スイッチング素子の前記ゲート電極に電気的に接続された第1電極と、
前記アクティブ領域において、複数のコンタクト孔を有する第1絶縁層と、
前記アクティブ領域において、平面視において前記第1電極から間隔を空けて前記主面の上に前記第1絶縁層を介して配置され、前記コンタクト孔を介して前記スイッチング素子の前記ソース領域に電気的に接続された第2電極と、
前記第2電極の上に配置された第2絶縁層と、
平面視において前記第1電極に重なる部分、および、前記第2電極に重なる部分を有し、前記第1電極に電気的に接続されるとともに、前記第2電極とは前記第2絶縁層により電気的に絶縁された第1端子電極と、
平面視において前記第2電極に重なる部分を有し、前記第2電極に電気的に接続された第2端子電極と、を備え、
前記第2電極は、前記第1絶縁層の前記コンタクト孔に埋め込まれた第1部分と、前記第1絶縁層の上に形成される第2部分とを有し、
前記第1部分はタングステンまたはタングステン合金を含み、
前記第2部分はアルミニウムまたはアルミニウム合金を含み、
前記第1部分は、チタンまたは窒化チタンによるバリア膜を介して形成されており、
前記第2部分は、前記第1絶縁層上に形成される第1下地層と、前記第1下地層上に形成されたアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第1金属層を含み、
前記第1下地層は、チタンからなるバリア膜により形成されており、
前記半導体層は、SiCを含む、半導体装置。
【請求項24】
前記第2端子電極に電気的に接続される金属板と、
前記第2端子電極と前記金属板との間に介在する接合材とをさらに備え、
前記第2端子電極の上面に第1めっき層が形成されており、
前記第1めっき層と前記金属板とが前記接合材により接合されている、請求項
23に記載の半導体装置。
【請求項25】
前記第1めっき層は、ニッケルを主成分に含む金属層を含む、請求項
24に記載の半導体装置。
【請求項26】
前記第1端子電極の上面に、第2めっき層が形成されている、請求項
25に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2020年9月17日に日本国特許庁に提出された特願2020-156343号に対応しており、この出願の全開示はここに引用により組み込まれる。本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、SiC基板を含む半導体装置に関する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2015/295079号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一実施形態は、電極に起因するデザインルールを緩和できる半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態は、主面を有する半導体層と、前記半導体層に形成されたスイッチング素子と、前記主面の上に配置され、前記スイッチング素子に電気的に接続された第1電極と、前記第1電極から間隔を空けて前記主面の上に配置され、前記スイッチング素子に電気的に接続された第2電極と、平面視において前記第1電極に重なる部分、および、前記第2電極に重なる部分を有し、前記第1電極に電気的に接続された第1端子電極と、平面視において前記第2電極に重なる部分を有し、前記第2電極に電気的に接続された第2端子電極と、を含む、半導体装置を提供する。
【0006】
一実施形態は、主面を有する半導体層と、前記半導体層に形成され、メイン電流を生成するメイン素子と、前記半導体層において前記メイン素子とは異なる領域に形成され、前記メイン電流を監視するモニタ電流を生成するセンス素子と、前記主面の上に配置され、前記メイン素子に電気的に接続された第1電極と、前記第1電極から間隔を空けて前記主面の上に配置され、前記メイン素子に電気的に接続された第2電極と、前記第1電極および前記第2電極から間隔を空けて前記主面の上に配置され、前記センス素子に電気的に接続された第3電極と、前記第1電極の上で前記第1電極に電気的に接続された第1端子電極と、前記第2電極の上で前記第2電極に電気的に接続された第2端子電極と、平面視において前記第3電極に重なる部分、および、前記第2電極に重なる部分を有し、前記第3電極に電気的に接続された第3端子電極と、を含む、半導体装置を提供する。
【0007】
一実施形態は、主面を有する半導体層と、前記半導体層に形成されたスイッチング素子と、前記半導体層において前記スイッチング素子とは異なる領域に形成されたダイオードと、前記主面の上に配置され、前記スイッチング素子に電気的に接続された第1電極と、前記第1電極から間隔を空けて前記主面の上に配置され、前記スイッチング素子に電気的に接続された第2電極と、前記第1電極の上で前記第1電極に電気的に接続された第1端子電極と、前記第2電極の上で前記第2電極に電気的に接続された第2端子電極と、平面視において前記ダイオードに重なる部分、および、前記第2電極に重なる部分を有し、前記ダイオードに電気的に接続された極性端子電極と、を含む、半導体装置を提供する。
【0008】
一実施形態は、SiCを含み、一方側の第1主面および他方側の第2主面を有する半導体層と、前記半導体層に形成された縦型トランジスタと、前記第1主面の上に配置された第1電極と、前記第1電極から間隔を空けて前記第1主面の上に配置された第2電極と、平面視において少なくとも一部が前記第1電極に重なるように前記第1電極に対して前記半導体層とは反対側に配置され、前記第1電極に電気的に接続された第1電極パッドと、前記第2主面の上に配置された電極と、を含み、前記第1電極パッドは、平面視において前記第2電極の一部に重なっている、半導体装置を提供する。
【0009】
一実施形態は、SiCを含み、一方側の第1主面および他方側の第2主面を有し、縦型トランジスタを含む半導体層を用意する工程と、前記第1主面の上に間隔を空けて第1電極および第2電極を形成する工程と、平面視において少なくとも一部が前記第1電極に重なり、前記第1電極に電気的に接続されるように前記第1電極に対して前記半導体層とは反対側の位置に第1電極パッドを形成する工程と、を含み、前記第1電極パッドの形成工程において、前記第2電極の一部に重なる前記第1電極パッドが形成される、半導体装置の製造方法を提供する。
【0010】
上述のまたはさらに他の目的、特徴および効果は、添付図面を参照して述べられる実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る半導体装置の要部を示す断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す半導体装置の他の要部を示す断面図である。
【
図4】
図4は、
図2に示すIV-IV線の位置から見た平面図である。
【
図5】
図5は、
図2に示すV-V線の位置から見た平面図である。
【
図6】
図6は、
図2に示すVI-VI線の位置から見た平面図である。
【
図7】
図7は、
図3の平面図から保護絶縁層を除いた平面図である。
【
図8】
図8は、ゲートパッドに対する貫通孔のレイアウト例を示す平面図である。
【
図9】
図9は、ゲートパッドに対する貫通孔の他のレイアウト例を示す平面図である。
【
図10】
図10は、主面ゲート電極および主面ソース電極の他のレイアウト例を示す平面図である。
【
図11】
図11は、主面ゲート電極および主面ソース電極のさらに他のレイアウト例を示す平面図である。
【
図14】
図14は、
図2に示す半導体装置の外周部の変形例を示す拡大断面図である。
【
図15】
図15は、実施形態2に係る半導体装置の断面図である。
【
図21】
図21は、実施形態3に係る半導体装置の断面図である。
【
図29】
図29は、実施形態4に係る半導体パッケージの一例の正面図である。
【
図32】
図32は、ゲートパッドおよびソースパッドをそれぞれ被覆するめっき層が形成された形態を有する半導体装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に説明される実施形態は、いずれも包括的または具体的な例を示す。以下の実施形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0013】
添付図面は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。たとえば、添付図面の間において縮尺等は必ずしも一致しない。添付図面において、実質的に同一の構成については同一の符号が付され、重複する説明は省略または簡略化される。
【0014】
本明細書において、垂直、水平等の要素間の関係性を示す用語、矩形等の要素の形状を示す用語、および、数値範囲は、いずれも厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲を含むことを意味する表現である。たとえば、多角形または多角柱の形状において、頂点は丸みを帯びていてもよい。
【0015】
本明細書において、「上方」および「下方」という用語は、絶対的な空間認識における上方向(鉛直上方)および下方向(鉛直下方)を指すものではなく、積層構成における積層順を基に相対的な位置関係により規定される。たとえば、半導体層の第1主面側を上側(上方)とし、第2主面側を下側(下方)として説明される。半導体装置(縦型トランジスタ)の実使用時には、第1主面側が下側(下方)であり、第2主面側が上側(上方)であってもよい。むろん、半導体装置(縦型トランジスタ)は、第1主面および第2主面が水平面に対して傾斜または直交する姿勢で使用されてもよい。
【0016】
「上方」および「下方」という用語は、さらに、2つの構成要素が別の構成要素を挟んで上下方向に離間して配置された場合のみならず、2つの構成要素が互いに密着するように上下方向に配置された場合にも適用される。
【0017】
本明細書および図面において、x軸、y軸およびz軸は、3次元直交座標系の3軸を示している。本明細書において、「積層方向」は、半導体層の主面に直交する方向を意味する。本明細書において、「平面視」は、半導体層の第1主面に対して垂直な方向から見たときのことをいう。
【0018】
図1は、実施形態1に係る半導体装置に含まれる縦型トランジスタの断面図である。
図1では、図面の見やすさの観点から、半導体層10の断面を表す網掛けを付していない。
図1を参照して、半導体装置1は、スイッチングデバイスの一例であり、縦型トランジスタ2(スイッチング素子)を含む。縦型トランジスタ2は、たとえば、縦型のMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)である。
【0019】
半導体装置1は、半導体層10、ゲート電極20、ソース電極30およびドレイン電極40を含む。半導体層10は、直方体形状のチップ状に形成されている。半導体層10は、一方側の第1主面11および他方側の第2主面12を有している。半導体層10は、SiC(炭化シリコン)を主成分として含む。具体的には、半導体層10は、SiC単結晶を含むn型(第1導電型)のSiC半導体層である。
【0020】
SiC単結晶は、4H-SiC単結晶であってもよい。第1主面11は、SiC結晶のシリコンが露出するシリコン面((0001)面)であってもよい。第2主面12は、SiC結晶のカーボンが露出するカーボン面((000-1)面)であってもよい。半導体層10は、4H-SiC単結晶の(0001)面から[11-20]方向に対して10°以内の角度で傾斜したオフ角を有していてもよい。オフ角は、0°以上4°以下であってもよい。
【0021】
オフ角は、0°を超えて4°未満であってもよい。オフ角は、2°または4°であってもよい。オフ角は、2°±0.2°の範囲、または、4°±0.4°の範囲に設定されてもよい。x軸方向は[11-20]方向であり、y軸方向は[1-100]方向であってもよい。むろん、x軸方向は、[1-100]方向であり、y軸方向は[11-20]方向であってもよい。
【0022】
半導体層10は、n型の半導体基板13およびn型のエピタキシャル層14を含む積層構造を有している。半導体基板13は、SiC単結晶を含む。半導体基板13の下面が第2主面12である。エピタキシャル層14は、半導体基板13の上面に積層されている。エピタキシャル層14は、SiC単結晶を含むn型のSiC半導体層である。エピタキシャル層14の上面が第1主面11である。
【0023】
半導体基板13のn型不純物濃度は、1.0×1018cm-3以上1.0×1021cm-3以下であってもよい。本明細書において「不純物濃度」は、不純物濃度のピーク値を意味する。エピタキシャル層14のn型不純物濃度は、半導体基板13のn型不純物濃度未満であることが好ましい。エピタキシャル層14のn型不純物濃度は、1.0×1015cm-3以上1.0×1017cm-3以下であってもよい。半導体基板13は、n+型のドレイン領域として設けられている。エピタキシャル層14は、n-型のドレインドリフト領域として設けられている。
【0024】
半導体基板13の厚さは、1μm以上1000μm未満であってもよい。半導体基板13の厚さは、5μm以上、25μm以上、50μm以上、または、100μm以上のいずれかであってもよい。半導体基板13の厚さは、700μm以下、500μm以下、400μm以下、300μm以下、250μm以下、200μm以下、150μm以下、または、100μm以下のいずれかであってもよい。縦型トランジスタ2では半導体層10の積層方向(すなわち、厚さ方向)に電流が流れる。したがって、半導体基板13の厚さ低減することにより、電流経路の短縮によって抵抗値を低減できる。
【0025】
エピタキシャル層14の厚さは、1μm以上100μm以下であってもよい。エピタキシャル層14の厚さは、5μm以上、10μm以上、または、50μm以下のいずれかであってもよい。エピタキシャル層14の厚さは、40μm以下、30μm以下、20μm以下、15μm以下、または、10μm以下のいずれかであってもよい。エピタキシャル層14の厚さは、半導体基板13の厚さ未満であることが好ましい。
【0026】
図1を参照して、半導体装置1は、p型(第2導電型)のボディ領域16、複数のトレンチゲート構造21、複数のトレンチソース構造31、n型のソース領域17およびp型のコンタクト領域18を含む。ボディ領域16は、半導体層10の第1主面11の表層部分に設けられたp
-型の半導体領域である。ボディ領域16は、エピタキシャル層14の表層部分に形成されている。ボディ領域16のp型不純物濃度は、1.0×10
16cm
-3以上1.0×10
19cm
-3以下であってもよい。
【0027】
複数のトレンチゲート構造21は、平面視においてx軸方向に間隔を空けて第1主面11に配列され、y軸方向に延びる帯状にそれぞれ形成されている。複数のトレンチゲート構造21は、第1主面11からボディ領域16を貫通するように形成されている。複数のトレンチゲート構造21は、半導体基板13から第1主面11側に間隔を空けてエピタキシャル層14内に形成されている。
【0028】
各トレンチゲート構造21は、ゲートトレンチ22、ゲート絶縁層23およびゲート電極20を含む。ゲートトレンチ22は、第1主面11を第2主面12側に向けて掘り下げることによって形成されている。ゲートトレンチ22は、xz断面において矩形の断面形状を有し、y軸方向に帯状に延びる凹部(溝部)として形成されている。
【0029】
ゲートトレンチ22は、長手方向(y軸方向)にミリメートルオーダの長さを有していてもよい。ゲートトレンチ22の長さは、1mm以上10mm以下であってもよい。ゲートトレンチ22の長さは、2mm以上5mm以下であってもよい。単位面積当たりの1つまたは複数のゲートトレンチ22の総延長は、0.5μm/μm2以上0.75μm/μm2以下であってもよい。
【0030】
ゲート絶縁層23は、ゲートトレンチ22の側壁22aおよび底壁22bに沿って膜状に形成されている。ゲート絶縁層23は、ゲートトレンチ22の内部において凹状の空間を区画している。ゲート絶縁層23は、酸化シリコン、不純物無添加シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウムまたは酸窒化アルミニウムのうちの少なくとも一種を含んでいてもよい。
【0031】
ゲート絶縁層23の厚さは、0.01μm以上0.5μm以下であってもよい。ゲート絶縁層23の厚さは、均一であってもよく、部位によって異なっていてもよい。ゲート絶縁層23は、ゲートトレンチ22の側壁22aを被覆する側壁部分23a、および、ゲートトレンチ22の底壁22bを被覆する底壁部分23bを含む。底壁部分23bの厚さは、側壁部分23aの厚さを超えていてもよい。
【0032】
底壁部分23bの厚さは、0.01μm以上0.2μm以下であってもよい。側壁部分23aの厚さは、0.05μm以上0.5μm以下であってもよい。ゲート絶縁層23は、ゲートトレンチ22の外側で第1主面11を被覆する被覆部分を含んでもよい。被覆部分の厚さは、側壁部分23aの厚さを超えていてもよい。
【0033】
ゲート電極20は、ゲート絶縁層23を挟んでゲートトレンチ22内に埋め込まれている。つまり、ゲート電極20は、ゲート絶縁層23によって区画された凹状の空間に埋め込まれている。ゲート電極20は、非金属導体および金属のうちの少なくとも一方を含んでいてもよい。ゲート電極20は、導電性ポリシリコン、チタン、ニッケル、銅、アルミニウム、銀、金、タングステンおよび窒化チタン(導電性金属窒化物)のうちの少なくとも一種を含んでもよい。
【0034】
トレンチゲート構造21のアスペクト比は、0.25以上15.0以下であってもよい。トレンチゲート構造21のアスペクト比は、トレンチゲート構造21の幅(x軸方向の長さ)に対するトレンチゲート構造21の深さ(z軸方向の長さ)の比によって定義される。ゲートトレンチ22のアスペクト比は、トレンチゲート構造21のアスペクト比と同じである。
【0035】
トレンチゲート構造21の幅は、0.2μm以上2.0μm以下であってもよい。一例として、トレンチゲート構造21の幅は、0.4μm程度であってもよい。トレンチゲート構造21の深さは、0.5μm以上3.0μm以下であってもよい。一例として、トレンチゲート構造21の深さは、1.0μm程度であってもよい。
【0036】
複数のトレンチソース構造31は、第1主面11において互いに隣り合う複数のトレンチゲート構造21の間の領域にそれぞれ形成されている。複数のトレンチソース構造31は、y軸方向に延びる帯状にそれぞれ形成されている。これにより、複数のトレンチソース構造31は、複数のトレンチゲート構造21とx軸方向に1つずつ交互に繰り返し配列されている。
図1では、1つのトレンチゲート構造21が2つのトレンチソース構造31によって挟まれている範囲のみが示されている。複数のトレンチソース構造31は、平面視において複数のトレンチゲート構造21とストライプ構造(後述の
図5参照)を形成している。
【0037】
各トレンチソース構造31は、隣り合うトレンチゲート構造21から0.3μm以上1.0μm以下の値の間隔を空けて形成されていてもよい。複数のトレンチソース構造31は、第1主面11からボディ領域16を貫通するように形成され、複数のトレンチゲート構造21との間でy軸方向に沿って延びるボディ領域16を区画している。複数のトレンチソース構造31は、半導体基板13から第1主面11側に間隔を空けてエピタキシャル層14内に形成されている。複数のトレンチソース構造31は、複数のトレンチゲート構造21よりも深く形成されている。
【0038】
トレンチソース構造31は、ソーストレンチ32、障壁形成層33、ソース電極30およびディープウェル領域15を含む。ソーストレンチ32は、第1主面11を、第2主面12側に向けて掘り下げることによって形成されている。ソーストレンチ32は、xz断面において矩形の断面形状を有し、y軸方向に帯状に延びる凹部(溝部)として形成されている。ソーストレンチ32は、ゲートトレンチ22よりも深く形成されている。つまり、ソーストレンチ32の底壁32bは、ゲートトレンチ22の底壁22bよりも第2主面12側に位置している。
【0039】
ソース電極30は、ソーストレンチ32内に埋め込まれている。ソース電極30は、非金属導体および金属のうちの少なくとも一方を含んでいてもよい。ソース電極30は、導電性ポリシリコン、チタン、ニッケル、銅、アルミニウム、銀、金、タングステンおよび窒化チタン(導電性金属窒化物)のうちの少なくとも一種を含んでもよい。ソース電極30は、n型不純物が添加されたn型ポリシリコン、または、p型不純物が添加されたp型ポリシリコンを含んでもよい。ソース電極30は、ゲート電極20と同じ材料で形成されていてもよい。この場合、ソース電極30は、ゲート電極20と同じ工程で形成されることができる。
【0040】
障壁形成層33は、ソーストレンチ32の壁面およびソース電極30の間に介在されている。障壁形成層33は、この形態では、ソーストレンチ32の側壁32aおよび底壁32bを膜状に被覆し、ソーストレンチ32の内部において凹状の空間を区画している。つまり、ソース電極30は、障壁形成層33によって区画された凹状の空間に埋め込まれている。
【0041】
障壁形成層33は、ソース電極30とは異なる材料によって形成されている。障壁形成層33は、ソース電極30および半導体層10(具体的には後述のディープウェル領域15)の間の電位障壁よりも高い電位障壁を有している。障壁形成層33は、導電性の障壁形成層であってもよい。この場合、障壁形成層33は、導電性ポリシリコン、タングステン、白金、ニッケル、コバルトまたはモリブデンのうちの少なくとも一種を含んでいてもよい。
【0042】
障壁形成層33は、絶縁性の障壁形成層であることが好ましい。この場合、障壁形成層33は、酸化シリコン、不純物無添加シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウムまたは酸窒化アルミニウムのうちの少なくとも一種を含んでいてもよい。障壁形成層33は、ゲート絶縁層23と同じ材料で形成されていてもよい。この場合、障壁形成層33は、ゲート絶縁層23と同じ膜厚を有してもよい。たとえば、ゲート絶縁層23および障壁形成層33が酸化シリコンによって形成されている場合、ゲート絶縁層23および障壁形成層33は熱酸化処理法によって同時に形成されることができる。
【0043】
ディープウェル領域15は、半導体層10においてトレンチソース構造31に沿う領域に形成されている。ディープウェル領域15は、耐圧保持領域と称されp-型の半導体領域である。ディープウェル領域15は、1.0×1017cm-3以上1.0×1019cm-3以下のp型不純物濃度を有していてもよい。ディープウェル領域15のp型不純物濃度は、エピタキシャル層14のn型不純物濃度を超えていることが好ましい。ディープウェル領域15のp型不純物領域は、ボディ領域16のp型不純物濃度と等しくてもよい。ディープウェル領域15のp型不純物濃度は、ボディ領域16のp型不純物濃度未満であってもよい。
【0044】
ディープウェル領域15は、ソーストレンチ32の側壁32aを被覆する側壁部分15a、および、ソーストレンチ32の底壁32bを被覆する底壁部分15bを含む。側壁部分15aは、ボディ領域16に電気的に接続されている。底壁部分15bは、半導体基板13から間隔を空けてエピタキシャル層14内に形成されている。底壁部分15bの厚さ(z軸方向の長さ)は、側壁部分15aの厚さ(x軸方向の長さ)以上であることが好ましい。底壁部分15bの少なくとも一部は、半導体基板13内に位置していてもよい。
【0045】
トレンチソース構造31のアスペクト比は、トレンチゲート構造21のアスペクト比よりも大きい。トレンチソース構造31のアスペクト比は、0.5以上18.0以下であってもよい。トレンチソース構造31のアスペクト比は、1.5以上4.0以下であることが好ましい。トレンチソース構造31のアスペクト比は、トレンチソース構造31の幅(x軸方向の長さ)に対するトレンチソース構造31の深さ(z軸方向の長さ)の比によって定義される。
【0046】
トレンチソース構造31の幅は、ソーストレンチ32の幅と、ソーストレンチ32の両側に位置するディープウェル領域15の側壁部分15aの幅との和である。トレンチソース構造31の深さは、ソーストレンチ32の深さとディープウェル領域15の底壁部分15bの厚さとの和である。
【0047】
トレンチソース構造31の幅は、0.6μm以上2.4μm以下であってもよい。一例として、トレンチソース構造31の幅は、0.8μm程度であってもよい。トレンチソース構造31の深さは、1.5μm以上11μm以下であってもよい。一例として、トレンチソース構造31の深さは、2.5μm程度であってもよい。トレンチソース構造31の深さを大きくすることにより、SJ(Super Junction)構造による耐圧保持効果を高めることができる。
【0048】
ソース領域17は、半導体層10の第1主面11の表層部分に形成されたn+型の半導体領域である。ソース領域17は、ボディ領域16上(ボディ領域16の表層部)に形成され、ボディ領域16に接続されている。ソース領域17は、ゲートトレンチ22に沿う領域に形成されている。ソース領域17は、ゲート絶縁層23を被覆し、ゲート絶縁層23を挟んでゲート電極20に対向している。
【0049】
ソース領域17は、平面視においてy軸方向に延びる帯状に形成されている。ソース領域17の幅(x軸方向の長さ)は、0.2μm以上0.6μm以下であってもよい。一例として、ソース領域17の幅は、0.4μm程度であってもよい。ソース領域17のn型不純物濃度は、1.0×1018cm-3以上1.0×1021cm-3以下であってもよい。
【0050】
コンタクト領域18は、半導体層10の第1主面11の表層部分に形成されたp+型の半導体領域である。コンタクト領域18は、ボディ領域16上(ボディ領域16の表層部)に形成され、ボディ領域16に接続されている。また、コンタクト領域18は、ソース領域17に接続されている。コンタクト領域18は、ソーストレンチ32に沿う領域に形成されている。コンタクト領域18は、障壁形成層33を被覆し、障壁形成層33を挟んでソース電極30に対向している。
【0051】
コンタクト領域18は、平面視において、y軸方向に沿って延びる帯状に形成されている。コンタクト領域18の幅(x軸方向の長さ)は、0.1μm以上0.4μm以下であってもよい。一例として、コンタクト領域18の幅は、0.2μm程度であってもよい。コンタクト領域18のp型不純物濃度は、1.0×1018cm-3以上1.0×1021cm-3以下であってもよい。
【0052】
半導体装置1は、半導体層10の第2主面12を被覆するドレイン電極40を含む。ドレイン電極40は、第2主面12において半導体基板13に電気的に接続されている。ドレイン電極40は、チタン、ニッケル、銅、アルミニウム、金および銀のうち少なくとも一種を含んでもよい。ドレイン電極40は、第2主面12からこの順に積層されたTi層、Ni層、Au層、Ag層を含む4層構造を有してもよい。
【0053】
ドレイン電極40は、第2主面12からこの順に積層されたTi層、AlCu層、Ni層、Au層を含む4層構造を有してもよい。AlCu層は、アルミニウムと銅との合金層である。ドレイン電極40は、第2主面12からこの順に積層されたTi層、AlSiCu層、Ni層、Au層を含む4層構造を有してもよい。AlSiCu層は、アルミニウムとシリコンと銅との合金層である。ドレイン電極40は、Ti層に代えて、TiN層からなる単層構造、または、Ti層およびTiN層を含む積層構造を有していてもよい。
【0054】
縦型トランジスタ2は、ゲート電極20に印加されるゲート電圧に応じて、ドレイン電流が流れるオン状態およびドレイン電流が流れないオフ状態の間で切り替えられる。ゲート電圧は、10V以上50V以下であってもよい。一例として、ゲート電圧は30Vであってもよい。ソース電極30に印加されるソース電圧は、グランド電圧(0V)等の回路動作の基準となる基準電圧であってもよい。ドレイン電極40に印加されるドレイン電圧は、ソース電圧以上の大きさの電圧である。ドレイン電圧は、たとえば、0V以上10000V以下であってもよい。ドレイン電圧は、1000V以上であってもよい。
【0055】
ゲート電極20にゲート電圧が印加された場合、p-型のボディ領域16のゲート絶縁層23に接する部分にチャネルが形成される。これにより、ソース電極30からコンタクト領域18、ソース領域17、ボディ領域16(チャネル)、エピタキシャル層14、半導体基板13を介してドレイン電極40に至る電流経路が形成される。
【0056】
ドレイン電極40はソース電極30よりも高電位である。したがって、ドレイン電流は、ドレイン電極40から半導体基板13、エピタキシャル層14、ボディ領域16(チャネル)、ソース領域17、コンタクト領域18を介してソース電極30に流れる。このように、ドレイン電流は、半導体装置1の厚さ方向に沿って流れる。
【0057】
ディープウェル領域15は、エピタキシャル層14との間でpn接合を形成する。縦型トランジスタ2のオン状態では、ソース電圧がソース電極30を介してディープウェル領域15に印加され、ソース電圧よりも高いドレイン電圧がドレイン電極40を介してエピタキシャル層14に印加される。つまり、縦型トランジスタ2のオン状態では、前記pn接合に逆バイアス電圧が印加され、前記pn接合から空乏層がドレイン電極40に向かって広がる。
【0058】
これにより、縦型トランジスタ2の耐圧を高めることができる。エピタキシャル層14のn型不純物濃度よりも高いp型不純物濃度を有するディープウェル領域15によれば、ディープウェル領域15およびエピタキシャル層14の間の界面部から空乏層を適切に拡げることができる。
【0059】
この形態では、トレンチゲート構造が採用されたが、プレーナゲート構造が採用されてもよい。また、実施形態では、トレンチソース構造が形成されたが、トレンチソース構造を有さない形態が採用されてもよい。また、実施形態では、所謂ストライプセル構造が採用されたが、メッシュセル構造が採用されてもよい。
【0060】
この明細書に係る実施形態において、FET構造(トランジスタ構造)は、ソース領域、ドレイン領域、ゲート領域の3領域を有し、ゲート領域に電圧を加えることでチャネル領域に生じる電界によってソース領域およびドレイン領域の間の電流を制御する構造と定義される。この意味において、FET構造は、MOSFETやMISFET等に加えて、接合型FETを含む概念である。
【0061】
つまり、FET構造は、「ソース領域」および「ドレイン領域」にそれぞれ対応する「エミッタ領域」および「コレクタ領域」を有するIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)も含まれる概念である。実施形態では、FET構造は、ボディ領域16、ソース領域17、ゲート電極20、エピタキシャル層14等によって構成されている。
【0062】
この明細書に係る実施形態において、アクティブ領域は、半導体装置においてFET構造が形成された領域(区画領域)である。1つの半導体装置において、アクティブ領域は1つの領域でもよいし、互いに分割された複数の領域であってもよい。また、FET構造を含む領域内にショットキーバリアダイオード等のダイオード構造が形成されている場合、FET構造およびダイオード構造を含む領域がアクティブ領域として定義される。また、前記ダイオード構造を含む領域がFET構造を含む領域と隣接している場合、前記ダイオード構造を含む領域およびFET構造を含む領域がアクティブ領域として定義される。
【0063】
この明細書に係る実施形態において、非アクティブ領域は、アクティブ領域以外の領域である。ゲート配線部の直下の領域、外周耐圧構造部、温度センサ用のPNダイオード構造の直下の領域等が、非アクティブ領域の例として含まれる。この明細書に係る実施形態では、電流検知用のFET構造は非アクティブ領域として定義される。
【0064】
次に、半導体装置1の全体構造(特に、ゲート電極20およびソース電極30に所定の電圧を供給するためのパッド構造)が説明される。
図2は、
図1に示す半導体装置1の他の要部を示す断面図である。
図2では、
図1に示される半導体層10の具体的な構成の図示が省略されている。
図2では、半導体層10の断面を表す網掛けが省略されている。
図2は、
図3のII-II線に沿う断面を示している。
図3は、
図1に示す半導体装置1の平面図である。
図3では、ゲートパッド70(幅広部72)の外縁70b、ソースパッド75の外縁75aおよびソースパッド75の内縁75bが破線で示されている。
【0065】
図4は、
図2のIV-IV線の位置から見た基板表面と平行な平面における、半導体装置1の平面図である。
図4は、主面ゲート電極50の平面形状および主面ソース電極55の平面形状を示す図である。
図4は、具体的には、
図3に示されるゲートパッド70およびソースパッド75を透視して、半導体装置1をz軸の正側から見たときの平面図である。
【0066】
図5は、
図2のV-V線の位置から見た基板表面と平行な平面における、半導体装置1の平面図である。
図5は、平面視における、ゲート電極20およびソース電極30の配置を示す図である。
図5は、具体的には、主面ゲート電極50、主面ソース電極55、絶縁層60、ゲートパッド70およびソースパッド75を透視して、半導体装置1をz軸の正側から見たときの平面図である(
図3および
図4も併せて参照)。
【0067】
図6は、
図2のVI-VI線の位置から見た基板表面と平行な平面における平面図である。
図6では、上部絶縁層63および端部絶縁層65が白色の部分によって示されている。
図6では、上部絶縁層63および端部絶縁層65の隙間から露出したゲートパッド70の柱状部71およびソースパッド75が、網掛け部によって示されている。
【0068】
図6では、ゲートパッド70(幅広部72)、ソースパッド75の上部の外縁75aおよび内縁75bが破線によって示されている。
図7は、
図3の平面図から保護絶縁層66を除いた平面図である。
図7は、ゲートパッド70およびソースパッド75の平面形状を示す図である。換言すると、
図7は、
図3において保護絶縁層66を除いた平面図である。
【0069】
図2および
図3を参照して、半導体装置1は、平面形状が矩形の半導体チップである。半導体装置1の一辺の長さは、1mm以上10mm以下であってもよい。半導体装置1の一辺の長さは、2mm以上5mm以下であってもよい。半導体装置1は、主面ゲート電極50、主面ソース電極55、絶縁層60、ゲートパッド70、ソースパッド75および保護絶縁層66を含む。
【0070】
図1および
図5を参照して、半導体装置1は、第1主面11に埋設された複数のゲート電極20および複数のソース電極30を含む。複数のゲート電極20および複数のソース電極30のそれぞれは、y軸方向に沿って延びる長尺状にそれぞれ形成されている。複数のゲート電極20および複数のソース電極30は、平面視においてx軸方向に沿って交互に配列され、ストライプ構造を形成している。
図5では、ゲート電極20の本数およびソース電極30の本数が、数えられる程度に模式的に図示されている。しかし、ゲート電極20の本数およびソース電極30の本数は、実際は、図示される数よりも遥かに多い。
【0071】
半導体装置1は、複数のゲート電極20に電気的に接続された複数のゲートフィンガー部20bを含む。複数のゲートフィンガー部20bは、半導体層10上のy軸方向の両端部にそれぞれ配置され、x軸方向に沿って延びる長尺状に形成されている。複数のゲートフィンガー部20bは、複数のゲート電極20のy軸方向の両端にそれぞれ接続されている。
【0072】
ゲートフィンガー部20bの本数は任意である。したがって、単一のゲートフィンガー部20bが複数のゲート電極20のy軸方向の一方端のみに接続されていてもよい。複数のゲート電極20は、y軸方向における中央部で分断されていてもよい。この場合、半導体装置1は、平面視において半導体層10の内方部に配置されたゲートフィンガー部20bを含んでいてもよい。内方部のゲートフィンガー部20bは、y軸方向に隣り合う複数のゲート電極20の間の領域をx軸方向に沿って延びていてもよい。また、内方部のゲートフィンガー部20bは、y軸方向に隣り合う複数のゲート電極20に電気的に接続されていてもよい。
【0073】
半導体装置1は、複数のゲート電極20に電気的に接続された第1電極の一例としての主面ゲート電極50を含む。主面ゲート電極50は、複数のゲート電極20の上方(z軸方向の正側)に位置し、複数のゲート電極20に電気的に接続されている。主面ゲート電極50は、平面視において半導体層10(第1主面11)の面積の20%以下の面積を有していてもよい。主面ゲート電極50は、平面視において半導体層10(第1主面11)の面積の10%以下の面積を有していることが好ましい。
【0074】
図4を参照して、主面ゲート電極50は、平面視においてH字形状に形成されていてもよい。主面ゲート電極50は、具体的には、受電部50a、給電部50bおよび接続部50cを含む。受電部50aは、後述のゲートパッド70の直下に位置し、ゲートパッド70の柱状部71に接続される部分である。平面視において主面ゲート電極50のうちゲートパッド70の柱状部71に重なる部分が受電部50aに相当する。
【0075】
給電部50bは、y軸方向の両端部のそれぞれに配置され、x軸方向に沿って延びる長尺状に形成されている。給電部50bは、後述の下部絶縁層61を貫通するビア導体(図示せず)を介して、ゲートフィンガー部20bに接続されている。
【0076】
接続部50cは、受電部50aおよび給電部50bを接続している。接続部50cは、y軸方向に沿って延びる長尺状に形成されている。
図4に示される例では、接続部50cは、受電部50aからy軸方向の正側および負側にそれぞれ引き出され、給電部50bまで延びている。
【0077】
主面ゲート電極50は、非金属導体または金属を含んでいてもよい。主面ゲート電極50は、アルミニウム系の金属材料によって形成されていることが好ましい。主面ゲート電極50は、アルミニウム系の金属材料の一例として、アルミニウム、アルミニウム-シリコン(Al-Si)系合金、アルミニウム-銅(Al-Cu)系合金等を含んでいてもよい。むろん、主面ゲート電極50は、導電性ポリシリコン、タングステン、チタン、ニッケル、銅、銀、金、窒化チタン(金属窒化物)等によって形成されてもよい。主面ゲート電極50は、ゲート電極20と同じ材料によって形成されていてもよい。
【0078】
主面ゲート電極50は、複数の金属層を含む積層構造を有していてもよい。たとえば、主面ゲート電極50は、半導体層10側からこの順に積層された下地層および金属層を含んでいてもよい。下地層は、チタン等のバリアメタルによって形成されていてもよい。金属層は、下地層上に形成されたアルミ二ウム系の金属材料によって形成されていてもよい。半導体装置1は、主面ゲート電極50の表面を被覆するめっき層を含んでいてもよい。
【0079】
半導体装置1は、複数のソース電極30に電気的に接続された第2電極の一例としての主面ソース電極55を含む。主面ソース電極55は、複数のソース電極30の上方(z軸方向の正側)に位置し、複数のソース電極30に電気的に接続される電極である。
図1を参照して、主面ソース電極55は、複数のソース電極30の上面に直接接続されている。
【0080】
主面ソース電極55は、平面視において主面ゲート電極50から間隔を空けて配置されている。主面ソース電極55は、平面視において第1主面11のうち主面ゲート電極50が配置された領域と、当該主面ゲート電極50が配置された領域の周辺領域とを除いたほぼ全域に形成されていてもよい。
【0081】
主面ソース電極55は、平面視において主面ゲート電極50よりも大きい面積で形成されている。主面ソース電極55は、平面視において半導体層10(第1主面11)の面積の50%以上の面積を有していてもよい。主面ソース電極55は、平面視において半導体層10(第1主面11)の面積の70%以上の面積を有していることが好ましい。
【0082】
主面ソース電極55は、非金属導体または金属を含んでいてもよい。主面ゲート電極50は、アルミニウム系の金属材料によって形成されていることが好ましい。主面ゲート電極50は、アルミニウム系の金属材料の一例として、アルミニウム、アルミニウム-シリコン(Al-Si)系合金、アルミニウム-銅(Al-Cu)系合金等を含んでいてもよい。
【0083】
むろん、主面ゲート電極50は、導電性ポリシリコン、タングステン、チタン、ニッケル、銅、銀、金、窒化チタン(金属窒化物)等によって形成されてもよい。主面ソース電極55は、主面ゲート電極50と同じ材料によって形成されていてもよい。この場合、主面ソース電極55は、主面ゲート電極50と同じ工程で形成されることができる。
【0084】
主面ソース電極55は、複数の金属層を含む積層構造を有していてもよい。主面ソース電極55は、半導体層10側からこの順に積層された下地層および金属層を含んでいてもよい。下地層は、チタン等のバリアメタルによって形成されていてもよい。金属層は、下地層上に形成されたアルミ二ウム系の金属材料によって形成されていてもよい。半導体装置1は、主面ソース電極55の表面を被覆するめっき層を含んでいてもよい。
【0085】
この形態では、主面ゲート電極50がタングステンを含み、主面ソース電極55がタングステンを含む。つまり、アクティブ領域3は、比較的高い硬度を有するタングステンを含む主面ソース電極55によって被覆されている。これにより、アクティブ領域3を主面ソース電極55によって保護できる。また、アクティブ領域3において、ワイヤボンディング等の応力に起因するFET構造の破損を抑制できる。このような構造は、比較的硬度の高い銅ワイヤによるワイヤボンディングを後述のソースパッド75に行う場合に特に有効である。
【0086】
別の形態例として、主面ゲート電極50のうち貫通孔(ゲートコンタクト孔)に埋め込まれた部分がタングステンにより形成され、主面ゲート電極50のうち貫通孔(ゲートコンタクト孔)外の部分がアルミニウム系の金属材料によって形成されてもよい。主面ゲート電極50のうち貫通孔(ゲートコンタクト孔)外の部分は、後述の下部絶縁層61上に形成される部分である。タングステンは、純金属であってもよいし、タングステン合金であってもよい。また、タングステンは、チタン/窒化チタン等によるバリア膜を介して形成されていてもよい。
【0087】
また、主面ソース電極55のうちソースコンタクト孔61bに埋め込まれた部分がタングステンにより形成され、主面ソース電極55のうちソースコンタクト孔61b外の部分がアルミニウム系の金属材料によって形成されてもよい。主面ソース電極55のうち貫通孔(ゲートコンタクト孔)外の部分は、後述の下部絶縁層61上に形成される部分である。タングステンは、純金属であってもよいし、タングステン合金であってもよい。また、タングステンは、チタン/窒化チタン等によるバリア膜を介して形成されていてもよい。
【0088】
半導体装置1では、主面ソース電極55が平面視において半導体層10の中心位置を含む領域に配置されており、主面ゲート電極50が主面ソース電極55を避けた領域に配置されている。しかし、主面ゲート電極50および主面ソース電極55の配置は任意であり、前記配置に限定されない。たとえば、主面ゲート電極50が平面視において半導体層10の中心位置を含む領域に配置されていてもよく、主面ソース電極55が平面視において主面ゲート電極50の周囲を取り囲むように配置されていてもよい。
【0089】
図2を参照して、絶縁層60は、下部絶縁層61、第1絶縁層(第1絶縁体)の一例としての上部絶縁層63、および、端部絶縁層65を含む。下部絶縁層61は、層間絶縁膜であり、第1主面11上に設けられている。具体的には、下部絶縁層61は、複数のトレンチゲート構造21を一括して被覆している。
図1を参照して、下部絶縁層61は、主面ソース電極55がゲート電極20に接触することを防ぐために設けられている。
【0090】
下部絶縁層61は、複数のソースコンタクト孔61bを有している。前述の主面ソース電極55の一部は、複数のソースコンタクト孔61bに埋設され、複数のソースコンタクト孔61b内において複数のソース電極30に電気的に接続されている。また、主面ソース電極55は、複数のソースコンタクト孔61b内においてソース領域17およびコンタクト領域18に電気的に接続されている。
【0091】
図示は省略されるが、下部絶縁層61は、給電部50bを露出させる少なくとも1つ(この形態では複数)の貫通孔(ゲートコンタクト孔)を含む。前述の主面ゲート電極50の給電部50b(
図4参照)の一部は、複数の貫通孔(ゲートコンタクト孔)に埋設され、複数の貫通孔(ゲートコンタクト孔)内においてゲートフィンガー部20b(
図5参照)に電気的に接続されている。これにより、主面ゲート電極50がゲート電極20に電気的に接続される。
【0092】
複数の貫通孔(ゲートコンタクト孔)は複数のソースコンタクト孔61bと同時に形成されることが好ましい。この場合、複数の貫通孔(ゲートコンタクト孔)に埋設される主面ゲート電極50(給電部50b)の材料および構造は、複数のソースコンタクト孔61bに埋設される主面ソース電極55の材料および構造と同一となる。
【0093】
上部絶縁層63は、主面ゲート電極50の一部および主面ソース電極55の一部を被覆している。上部絶縁層63は、後述のゲートパッド70が主面ソース電極55に接触しないように当該ゲートパッド70および主面ソース電極55の間に介在されている。また、上部絶縁層63は、後述のソースパッド75が主面ゲート電極50に接触しないように当該ソースパッド75および主面ゲート電極50に介在されている。
【0094】
上部絶縁層63は、主面ゲート電極50の接続部50cを被覆し、受電部50aを選択的に露出させる貫通孔64を有している。上部絶縁層63は、具体的には、貫通孔64を介して受電部50aの上面52の一部を露出させている。この形態では、1つの貫通孔64が上部絶縁層63のうちゲートパッド70の略中央位置に対向する部分に形成されている。
【0095】
ゲートパッド70は、貫通孔64を介して受電部50aの上面52にのみ接続される。貫通孔64の平面形状(後述の柱状部71の平面形状)は、正方形または長方形であってもよい。平面視における貫通孔64の一辺の長さは、5μm以上50μm以下であってもよい。一例として、貫通孔64の平面形状は、20μm×20μm程度の正方形である。
【0096】
貫通孔64は、種々のレイアウトを有することができる。以下、貫通孔64の別のレイアウト例が説明される。
図8は、ゲートパッド70に対する貫通孔64のレイアウト例を示す平面図である。
図8では、保護絶縁層66は、図示が省略されている。
図8を参照して、貫通孔64は、ゲートパッド70の縁部の近傍に配置されてもよい。この場合、ボンディングワイヤ303g(破線で図示)は、平面視において貫通孔64(柱状部71)に重ならないようにゲートパッド70に接続されることが好ましい。この構造により、ワイヤボンディング時の応力が貫通孔64(柱状部71)に加えられることを抑制できる。
【0097】
図9は、ゲートパッド70に対する貫通孔64の他のレイアウト例を示す平面図である。
図9を参照して、上部絶縁層63は、1つのゲートパッド70に対して複数の貫通孔64を有していてもよい。この場合、複数の貫通孔64(柱状部71)は、平面視においてゲートパッド70および主面ゲート電極50が重なる領域に形成される。これにより、ゲートパッド70および主面ゲート電極50を確実に導通させることができる。ボンディングワイヤ303g(破線で図示)は、少なくとも一部の貫通孔64(柱状部71)に重ならないように接続されることが好ましい。
【0098】
図2を再度参照して、上部絶縁層63は、z軸方向に関して、ゲートパッド70および主面ソース電極55の間に介在されている。これにより、上部絶縁層63は、主面ソース電極55からゲートパッド70を絶縁させている。上部絶縁層63がエッチングによって形成(パターニング)されることで、上部絶縁層63の側面63aは第1主面11に対して垂直(z軸方向)に延びる平面に形成されている。ここに言う「垂直」は、実質的に垂直であることを意味し、厳密な意味ではない。
【0099】
端部絶縁層65は、半導体装置1(半導体層10)の外周部(周縁部)を被覆している。端部絶縁層65は、半導体装置1(半導体層10)の外周部(周縁部)を全周に亘って被覆している。端部絶縁層65は、主面ゲート電極50の給電部50bを被覆している。端部絶縁層65の一部は、下部絶縁層61および主面ソース電極55に乗り上げている。
【0100】
下部絶縁層61、上部絶縁層63および端部絶縁層65は、無機絶縁性材料を含んでいてもよい。無機絶縁性材料は、酸化シリコンや窒化シリコン等を含んでいてもよい。酸化シリコンには、PSG(Phosphor Silicate Glass)、BPSG(Boron Phosphor Silicate Glass)等が含まれる。下部絶縁層61、上部絶縁層63および端部絶縁層65は、有機絶縁性材料を含んでいてもよい。有機絶縁性材料は、ポリイミドやPBO(ポリベンザオキサゾール)等を含んでいてもよい。
【0101】
下部絶縁層61、上部絶縁層63および端部絶縁層65は、同じ絶縁性材料によって形成されてもよいし、互いに異なる絶縁性材料によって形成されてもよい。たとえば、下部絶縁層61、上部絶縁層63および端部絶縁層65の全ては、酸化シリコンによって形成されていてもよい。むろん、下部絶縁層61が酸化シリコンによって形成される一方、上部絶縁層63および端部絶縁層65が窒化シリコンによって形成されてもよい。
【0102】
上部絶縁層63および端部絶縁層65の厚さは、いずれも3μm以上20μm以下であってもよい。上部絶縁層63および端部絶縁層65の厚さは、5μm以上15μm以下であることが好ましい。上部絶縁層63および端部絶縁層65の厚さは、5μm以上10μm以下であることが特に好ましい。
【0103】
半導体装置1は、主面ゲート電極50に電気的に接続された第1電極パッド(第1端子電極)の一例としてのゲートパッド70を含む。ゲートパッド70は、平面視において主面ゲート電極50に重なり、主面ゲート電極50に電気的に接続されている。ゲートパッド70は、具体的には、主面ゲート電極50の受電部50aが平面視においてゲートパッド70の内側に位置するように配置されている。すなわち、ゲートパッド70は、主面ゲート電極50の受電部50aを完全に被覆している。
【0104】
図2を参照して、ゲートパッド70は、下部導電層の一例としての柱状部71、および、上部導電層の一例としての幅広部72を含む。柱状部71は、主面ゲート電極50上に設けられている。柱状部71は、具体的には、受電部50aの上面52に接続され、上面52の法線方向(z軸方向)に延びる柱状に形成されている。柱状部71の高さは、上部絶縁層63のうちの受電部50a上に位置する部分の厚さと等しい。柱状部71は、平面視において受電部50aの周縁から内方に間隔を空けて形成されている。つまり、柱状部71のy軸方向に面する側面74は、主面ゲート電極50のy軸方向に面する側面53に対して主面ゲート電極50の内側に位置している。
【0105】
幅広部72は、柱状部71の上端に設けられ、受電部50aおよび柱状部71を接続している。幅広部72は、柱状部71の上端の大きさを拡張した部分である。つまり、幅広部72は、平面視において柱状部71よりも大きい面積で形成されている。幅広部72は、平面視において柱状部71が幅広部72の内側に位置するように形成されている。平面視において、幅広部72の大きさおよび形状は、ゲートパッド70の大きさおよび形状に一致する。
【0106】
幅広部72は、平面視において受電部50aよりも外側に拡がるように形成されている。幅広部72は、この形態では、受電部50aから主面ゲート電極50が延びる方向(y軸方向)に直交する方向(x軸方向)に主面ゲート電極50よりも外側に拡がる傘状に形成されている。幅広部72は、この形態では、x軸方向の負側および正側の両方に傘状に拡がっている。
【0107】
これにより、幅広部72のx軸方向の幅は、主面ゲート電極50のx軸方向の幅よりも大きくなっている。つまり、ゲートパッド70は、平面視において主面ゲート電極50の少なくとも一辺(この形態では二辺)に交差する交差部を有している。平面視において、幅広部72の上面73のうち柱状部71に重なる部分は、主面ゲート電極50に向けて窪んでいる。
【0108】
幅広部72の上面73は、半導体装置1および他の回路の電気的な接続に利用される。たとえば、幅広部72の上面73は、ゲート電圧を供給する電源回路に電気的に接続される。幅広部72の上面73には、金属線がワイヤボンディングによって接続されてもよい。金属線は、アルミニウム、銅および金の少なくとも一種を含んでいてもよい。この形態では、アルミニウムワイヤが、ゲートパッド70(幅広部72の上面73)にウェッジボンディングされる。幅広部72の上面73には、ワイヤボンディングに代えて金属板が半田によって接続されてもよい。
【0109】
ゲートパッド70は、平面視において半導体層10(第1主面11)の面積の20%以下の面積を有している。ゲートパッド70は、平面視において半導体層10(第1主面11)の面積の10%以下の面積を有していることが好ましい。幅広部72(ゲートパッド70の面積)は、平面視において受電部50a(つまり、柱状部71)の面積よりも大きい面積を有している。幅広部72の面積は、受電部50aの面積の200倍以上40000倍以下であってもよい。幅広部72の面積は、受電部50aの面積の400倍以上であることが好ましい。一例として、幅広部72の面積は、受電部50aの面積の2500倍程度であってもよい。
【0110】
ワイヤボンディングを適切に行うべく、幅広部72(ゲートパッド70)は一定以上の大きさを有している必要がある。幅広部72は、平面視において800μm×800μm以上1mm×1mm以下の面積を有していることが好ましい。この場合、幅広部72は、平面視において正方形状に形成されていてもよい。この場合、金属線の接続の向きは、任意の方向に設定されることができる。むろん、幅広部72は、平面視において1mm×1mmよりも大きい正方形状に形成されていてもよい。また、幅広部72は、400μm×800μm以上の長方形状に形成されていてもよい。
【0111】
柱状部71および幅広部72は、同じ導電性材料によって形成されていてもよい。柱状部71および幅広部72は、アルミニウム系の金属材料によって形成されていてもよい。むろん、柱状部71および幅広部72は、チタン、ニッケル、銅、銀、金、タングステン等によって形成されてもよい。柱状部71および幅広部72は、互いに異なる導電性材料によって形成されていてもよい。
【0112】
ゲートパッド70の高さは、数十μm以上数百μm以下(つまり20μm以上1000μm未満)であってもよい。ゲートパッド70の高さ(z軸方向の長さ)は、柱状部71の高さ(z軸方向の長さ)および幅広部72の厚さ(z軸方向の長さ)の和によって算出される。
図2では、柱状部71の高さが幅広部72の厚さと同等である例が示されているが、柱状部71の高さは幅広部72の厚さよりも大きくてもよいし、幅広部72の厚さよりも小さくてもよい。
【0113】
半導体装置1は、主面ソース電極55に電気的に接続された第2電極パッド(第2端子電極)の一例としてのソースパッド75を含む。ソースパッド75は、平面視において主面ソース電極55に重なり、主面ソース電極55に電気的に接続されている。ソースパッド75は、主面ソース電極55上に設けられている。つまり、ソースパッド75は、主面ソース電極55の上面56を被覆している。ソースパッド75は、主面ソース電極55の上面56の法線方向(z軸方向)を厚さ方向とし、当該上面56に沿って延びる板状に形成されている。
【0114】
ソースパッド75は、平面視において半導体層10(第1主面11)の中心位置を含む領域に配置されている。ソースパッド75は、ゲートパッド70を避けた領域に配置されている。この形態では、ゲートパッド70が半導体層10(第1主面11)の中心位置を含む領域に配置され、ソースパッド75がゲートパッド70の周囲を取り囲むように配置されている。
【0115】
ソースパッド75のx軸方向の負側の端部79は、主面ソース電極55の上から上部絶縁層63の上に乗り上げている。ソースパッド75の側面77は、上部絶縁層63上に位置している。ソースパッド75は、平面視において主面ソース電極55の面積より小さい面積を有している。ソースパッド75は、平面視においてゲートパッド70の面積より大きい面積を有している。ソースパッド75は、平面視において半導体層10(第1主面11)の面積の50%以上の面積を有している。ソースパッド75は、平面視において半導体層10(第1主面11)の面積の70%以上の面積を有していることが好ましい。
【0116】
ソースパッド75は、平面視においてゲートパッド70から間隔を空けて配置され、主面ソース電極55の上方においてゲートパッド70との間で上部絶縁層63を露出させる間隙部を形成している。間隙部は、ゲートパッド70の側面のうち主面ソース電極55の上方に位置する部分、および、ソースパッド75の側面77のうち主面ソース電極55の上方に位置する部分によって区画されている。
【0117】
これにより、主面ソース電極55の上方において、ゲートパッド70およびソースパッド75の接触による短絡を抑えることができ、ソースパッド75を安定して形成できる。ソースパッド75の側面77は、この形態では、第1主面11に対して垂直または実質的に垂直に延びる平面に形成されている。しかし、側面77は、必ずしも平面である必要はなく、曲面または凹凸を有する面であってもよい。
【0118】
ソースパッド75の上面76は、半導体装置1および他の回路の電気的な接続に利用される。たとえば、ソースパッド75の上面76は、ソース電圧を供給する電源回路に接続される。ソースパッド75の上面76には、金属線がワイヤボンディングによって接続されてもよい。金属線は、アルミニウム、銅および金の少なくとも一種を含んでいてもよい。たとえば、この形態では、アルミニウムワイヤが、ソースパッド75にウェッジボンディングされる。ソースパッド75には、ワイヤボンディングに代えて金属板が半田によって接続されてもよい。
【0119】
ソースパッド75は、導電性材料によって形成されている。ソースパッド75は、アルミニウム系の金属材料によって形成されていてもよい。むろん、ソースパッド75は、チタン、ニッケル、銅、銀、金、タングステン等によって形成されてもよい。ソースパッド75は、ゲートパッド70と同じ材料によって形成されていてもよい。この場合、ソースパッド75は、ゲートパッド70と同じ工程で形成されることができる。むろん、ソースパッド75は、ゲートパッド70とは異なる材料によって形成されていてもよい。
【0120】
ゲートパッド70は、ソースパッド75と同一の工程で形成されることが好ましい。この場合、ゲートパッド70の構造および材料は、ソースパッド75の構造および材料と同一になる。ソースパッド75がアルミニウムワイヤによってワイヤボンディングされる場合、ソースパッド75はアルミニウム系の材料によって構成されることが好ましい。この場合、ゲートパッド70は、ソースパッド75と同様にアルミニウム系の材料によって構成される。
【0121】
ソースパッド75が半田によって金属板に接続される場合、ソースパッド75の表面にめっき層が形成されてもよい。この場合、ソースパッド75はアルミニウム系の金属材料からなっていてもよい。また、めっき層は、ニッケルめっきおよび金めっきのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。めっき層は、ニッケルめっきからなる単層構造を有していてもよいし、ソースパッド75側からこの順に積層されたニッケルめっきおよび金めっきを含む積層構造を有していてもよい。
【0122】
この場合、ゲートパッド70は、ソースパッド75と同様の構成を有していてもよい。つまり、めっき層がゲートパッド70の表面に形成されてもよい。この場合、ゲートパッド70はアルミニウム系の金属材料からなっていてもよい。また、めっき層は、ニッケルめっきおよび金めっきのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。めっき層は、ニッケルめっきからなる単層構造を有していてもよいし、ゲートパッド70側からこの順に積層されたニッケルめっきおよび金めっきを含む積層構造を有していてもよい。
【0123】
ソースパッド75がAg等の焼結部材により金属板と接続される場合、ソースパッド75の表面にめっき層が形成されてもよい。この場合、ソースパッド75はアルミニウム系の金属材料からなっていてもよい。また、めっき層は、ニッケルめっき、パラジウムめっきおよび金めっきのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。たとえば、めっき層は、ソースパッド75側からこの順に積層されたニッケルめっき、パラジウムめっきおよび金めっきを含む積層構造を有していてもよい。
【0124】
この場合、ゲートパッド70は、ソースパッド75と同様の構成を有していてもよい。つまり、ゲートパッド70の表面にめっき層が形成されてもよい。この場合、ゲートパッド70はアルミニウム系の金属材料からなっていてもよい。また、めっき層は、ニッケルめっき、パラジウムめっきおよび金めっきのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。たとえば、めっき層は、ゲートパッド70側からこの順に積層されたニッケルめっき、パラジウムめっきおよび金めっきを含む積層構造を有していてもよい。
【0125】
ここでは、ゲートパッド70およびソースパッド75がアルミニウム系の材料を含む例が示されたが、ゲートパッド70およびソースパッド75は、アルミニウム系の材料に代えて、銅やニッケル等の金属材料によって形成されていてもよい。つまり、ゲートパッド70は、銅やニッケル等の金属材料によって形成された柱状部71および幅広部72を含んでいてもよい。
【0126】
主面ゲート電極50、主面ソース電極55、ゲートパッド70およびソースパッド75は、上記に限らず、種々のレイアウトで形成され得る。
図10は、ゲートパッド70および受電部50aの他のレイアウト例を示す平面図である。換言すると、
図10は、主面ゲート電極50および主面ソース電極55の他のレイアウト例を示す図である。
図10を参照して、主面ゲート電極50の受電部50aは、半導体装置1(チップ、半導体層10)の最外周部(周縁部)に配置されていてもよい。
【0127】
幅広部72は、x軸方向の正側のみに拡がる傘状に形成されていてもよい。つまり、ゲートパッド70は、平面視において主面ゲート電極50の少なくとも一辺(この形態では一辺)に交差する交差部を有している。
図10のレイアウト例では、主面ソース電極55は平面視において矩形状に形成され、主面ゲート電極50平面視において主面ソース電極55を囲む矩形環状に形成されている。
【0128】
図11は、主面ゲート電極50および主面ソース電極55のさらに他のレイアウト例を示す平面図である。
図11は、
図10のレイアウト例において、さらに、主面ゲート電極50が受電部50aからx軸方向に延びる部分を有する例である。このように、主面ゲート電極50および主面ソース電極55の配置や、主面ゲート電極50および主面ソース電極55に対するゲートパッド70の配置は、種々の形態を採ることができる。
【0129】
図2~
図5を再度参照して、半導体装置1は、アクティブ領域3および非アクティブ領域4を含む。
図3および
図5では、アクティブ領域3が二点鎖線で囲まれた領域によって示されている。アクティブ領域3は、FET構造が形成された領域であり、縦型トランジスタ2のドレイン電流が流れる主たる領域である。アクティブ領域3は、主面ソース電極55に覆われた領域にほぼ一致する。非アクティブ領域4は、アクティブ領域3以外の領域である。主面ゲート電極50が配置された領域および外周(周縁側)の耐圧構造領域は、非アクティブ領域4である。
【0130】
半導体装置では、一般的に、金属線をワイヤボンディングするために、一定の大きさを有するゲートパッド70が必要になる。主面ゲート電極50がゲートパッド70とほぼ同じ大きさに形成された場合、主面ソース電極55が相対的に小さく形成される。アクティブ領域3の大きさは主面ソース電極55の大きさとほぼ一致するため、主面ゲート電極50を大きくすると、それに伴って主面ソース電極55が縮小し、アクティブ領域3が小さくなる。その結果、半導体層10を有効利用できなくなり、半導体装置の小型化および低コスト化の弊害になる。
【0131】
これに対し、半導体装置1では、主面ゲート電極50が形成されている一方で、アクティブ領域3と立体交差するゲートパッド70(幅広部72)が設けられている。この構造によれば、ワイヤボンディング対象が主面ゲート電極50からゲートパッド70に変更される。これにより、主面ゲート電極50を縮小し、アクティブ領域3を拡張できる。つまり、半導体装置1では、ゲートパッド70によって主面ゲート電極50に起因するデザインルールが緩和され、設計の自由度が高められている。
【0132】
具体的には、ゲートパッド70の一部(幅広部72)は、平面視において主面ソース電極55に重なっている。さらに具体的には、ゲートパッド70は、平面視において、x軸方向に関して主面ゲート電極50の幅よりも大きい幅を有し、主面ソース電極55の一部に重なっている。これにより、主面ゲート電極50の面積を縮小し、アクティブ領域3の面積を拡張できる。また、主面ゲート電極50に起因するデザインルールを回避しながらゲートパッド70を一定以上の大きさに形成できる。したがって、半導体層10の限られた領域の有効活用よって、小型化および低コスト化が容易な半導体装置1が実現される。
【0133】
図3を参照して、半導体装置1は、上部絶縁層63の上に形成された第2絶縁層(第2絶縁体)の一例としての保護絶縁層66を含む。保護絶縁層66は、ゲートパッド70およびソースパッド75の間の境界部80(間隙部)を被覆している。つまり、保護絶縁層66は、主面ソース電極55の上方においてゲートパッド70およびソースパッド75の境界部80内で上部絶縁層63を被覆する部分を含む。保護絶縁層66は、境界部80内において上部絶縁層63を挟んで主面ソース電極55に対向する部分を有している。
【0134】
境界部80は、平面視において矩形環状に形成されている。したがって、保護絶縁層66は、境界部80を被覆する部分において矩形環状に形成されている。また、保護絶縁層66は、半導体装置1(第1主面11)の外周部(周縁部)を全周に亘って被覆している。保護絶縁層66は、有機絶縁性材料を含んでいてもよい。保護絶縁層66は、ポリイミドやPBO等を含んでいてもよい。
【0135】
図12は、半導体装置1(第1主面11)の外周部(周縁部)の拡大断面図であり、
図2の領域XIIをより詳細に示す図である。
図12を参照して、半導体装置1(第1主面11)の外周部(周縁部)では、端部絶縁層65のx軸方向の正側の端部は、主面ソース電極55上に位置するように主面ソース電極55に乗り上げている。ソースパッド75のx軸方向の負側の端部は、端部絶縁層65のx軸方向の正側の端部上に位置している。保護絶縁層66は、端部絶縁層65のx軸方向の正側の端部、および、ソースパッド75のx軸方向の負側の端部を被覆している。
【0136】
高電圧、高温および高湿の少なくとも1つを満たす環境下では、モジュールゲル内における不純物のマイグレーション、および、モジュールゲル中への水の浸入等が発生する場合がある。温度サイクルや湿度の影響に起因して半導体層10の外周部(周縁部)の構造が劣化した場合、当該劣化箇所を起点に上記物質(要素)がデバイス内に進入し、ショート、放電、故障等の問題を生じる虞がある。
【0137】
半導体装置1では、半導体層10の外周部(周縁部)が、下部絶縁層61、保護絶縁層66および端部絶縁層65(上部絶縁層63)によって所定のパターンで被覆されている。したがって、半導体層10の外周部(周縁部)が下部絶縁層61および保護絶縁層66によって被覆されている場合に比べて、外周部(周縁部)の劣化が抑制される。つまり、劣化箇所を起点する水分等の進入が抑制され、半導体装置1の信頼性が向上される。
【0138】
図13A~
図13Eは、半導体装置1の製造方法の各工程を示す断面図である。以下では、半導体層10の上方の構成の製造方法が主に説明される。半導体層10にトレンチゲート構造21、トレンチソース構造31および各種半導体領域(各ウェル領域)を形成する方法は、公知の方法が利用される。
【0139】
まず、
図13Aを参照して、複数のソースコンタクト孔61bを有する下部絶縁層61が、半導体層10の第1主面11上に形成される。下部絶縁層61の形成工程は、たとえば、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって酸化シリコン等の絶縁膜を成膜する工程、および、成膜後の絶縁膜(酸化シリコン)の一部をフォトリソグラフィ法およびエッチング法によって除去する工程を含む。これにより、絶縁膜がパターニングされ、所定パターンを有する下部絶縁層61が形成される。
【0140】
次に、
図13Bを参照して、主面ゲート電極50および主面ソース電極55が、下部絶縁層61の上に間隔を空けて形成される。主面ゲート電極50および主面ソース電極55の形成工程は、たとえば、下部絶縁層61を被覆するように第1主面11の全面に蒸着法またはスパッタ法によって金属膜を成膜する工程、および、成膜後の金属膜の一部をフォトリソグラフィ法およびエッチング法によって除去する工程を含む。
【0141】
これにより、金属膜がパターニングされ、所定パターンを有する主面ゲート電極50および所定パターンを有する主面ソース電極55が形成される。主面ゲート電極50および主面ソース電極55は、異なる材料を用いた金属膜の成膜工程とパターニング工程とを繰り返すことによって、異なる工程を経て形成されてもよい。
【0142】
次に、
図13Cを参照して、貫通孔64を有する上部絶縁層63および端部絶縁層65が、下部絶縁層61の上に形成される。上部絶縁層63および端部絶縁層65の形成工程は、たとえば、プラズマCVD法によって酸化シリコン等の絶縁膜を成膜する工程、および、成膜後の絶縁膜(酸化シリコン)の一部をフォトリソグラフィ法およびエッチング法によって除去する工程を含む。
【0143】
上部絶縁層63および端部絶縁層65は、有機絶縁性材料(たとえばポリイミド等の感光性樹脂材料)によって形成されてもよい。この場合、上部絶縁層63および端部絶縁層65の形成工程は、たとえば、各絶縁層の元となる液状の感光性樹脂材料をスピンコート法によって主面ゲート電極50の上面52および主面ソース電極55の上面56に塗布する工程、および、塗布後の感光性樹脂材料を露光によって硬化させた後、硬化後の感光性樹脂材料を現像(たとえばウェットエッチング法)によって除去する工程を含む。
【0144】
次に、
図13Dを参照して、上部絶縁層63を被覆するように第1主面11の全面に金属膜78が成膜される。金属膜78は、たとえば、蒸着法またはスパッタ法によって成膜される。
【0145】
次に、
図13Eを参照して、成膜後の金属膜78の一部がフォトリソグラフィ法およびエッチング法によって除去される。これにより、金属膜78がパターニングされ、所定パターンを有するゲートパッド70および所定パターンを有するソースパッド75が形成される。ゲートパッド70およびソースパッド75は、異なる材料を用いた金属膜の成膜工程とパターニング工程とを繰り返すことによって、異なる工程を経て形成されてもよい。
【0146】
次に、保護絶縁層66の元となる液状の有機絶縁性材料(感光性樹脂材料)がスピンコート法によって、
図13Eに示される状態の半導体層10の上面に塗布される。次に、塗布後の感光性樹脂材料が露光によって硬化され、硬化後の感光性樹脂材料が現像(たとえばウェットエッチング法)によって除去される。これにより、所定パターンを有する保護絶縁層66が形成される。
【0147】
次に、第2主面12を被覆するドレイン電極40が形成される。ドレイン電極40は、たとえば、蒸着法またはスパッタ法によって形成(成膜)される。その後、ダイシングブレードを利用した個片化工程やレーザ照射法を利用した個片化工程等によって半導体層10が切断され、半導体層10から半導体装置1が切り出される。以上を含む工程を経て、半導体装置1が製造される。
【0148】
図14は、半導体装置1(半導体層10)の外周部(周縁部)の構造の変形例を示す断面図である。
図12では、保護絶縁層66がソースパッド75の上に乗り上げた形態例が示された。しかし、保護絶縁層66は、ソースパッド75との間の領域から端部絶縁層65を露出させるようにソースパッド75から離間していてもよい。この場合、端部絶縁層65は、無機絶縁膜であってもよい。また、ソースパッド75は、アルミニウム系の金属であってもよい。この場合、ボンディングワイヤが、ソースパッド75に接合されてもよい。
【0149】
金属板が半田によってソースパッド75に接合される場合、ニッケル/金めっき層、または、ニッケル/パラジウム/金めっき層がソースパッド75上に積層されてもよい。
図14に係る破線部は、ソースパッド75の上にめっき層が積層される場合のめっき層を示している。
図14に係る構成によれば、
図12に係る構成に比べてめっき層を安定して形成できる。
【0150】
以上、半導体装置1は、縦型トランジスタ2を含む。半導体装置1は、半導体層10、主面ゲート電極50、主面ソース電極55、ゲートパッド70およびドレイン電極40を含む。半導体層10は、SiCを主成分に含み、第1主面11、および、第1主面11とは反対側の第2主面12を有している。主面ゲート電極50は、第1主面11の一部を被覆している。
【0151】
主面ソース電極55は、主面ゲート電極50から間隔を空けて第1主面11の一部を被覆している。ゲートパッド70は、平面視において少なくとも一部が主面ゲート電極50に重なるように主面ゲート電極50に対して半導体層10とは反対側に設けられ、主面ゲート電極50に電気的に接続されている。ゲートパッド70は、さらに、平面視において主面ソース電極55の一部に重なっている。
【0152】
また、別の視点において、半導体装置1は、半導体層10、縦型トランジスタ2(スイッチング素子)、主面ゲート電極50(第1電極)、主面ソース電極55(第2電極)、ゲートパッド70(第1端子電極)、ソースパッド75(第2端子電極)およびドレイン電極40を含む。半導体層10は、第1主面11(主面)を有している。縦型トランジスタ2は、半導体層10に形成されている。主面ゲート電極50は、第1主面11の上に配置され、縦型トランジスタ2に電気的に接続されている。
【0153】
主面ソース電極55は、主面ゲート電極50から間隔を空けて第1主面11の上に配置され、縦型トランジスタ2に電気的に接続されている。ゲートパッド70は、平面視において主面ゲート電極50に重なる部分、および、主面ソース電極55に重なる部分を有し、主面ゲート電極50に電気的に接続されている。ソースパッド75は、平面視において主面ソース電極55に重なる部分を有し、主面ソース電極55に電気的に接続されている。ドレイン電極40は、第2主面12に電気的に接続されている。
【0154】
仮に、上記実施形態に係るゲートパッド70の代わりに、主面ゲート電極50がワイヤボンディング用の電極パッドとして利用される場合(つまり、従来の構成の場合)、ゲートパッド70と同等の大きさを有する主面ゲート電極50が必要となる。半導体層10のうち主面ゲート電極50に覆われた領域は非アクティブ領域4になるため、アクティブ領域3として利用可能な面積が縮小する。その結果、半導体層10の有効利用が阻害され、小型化および低コスト化の弊害となる。
【0155】
これに対して、半導体装置1によれば、平面視において主面ゲート電極50および主面ソース電極55に重なるゲートパッド70が形成されている。この構造によれば、ゲートパッド70によって主面ゲート電極50のデザインルールが緩和され、主面ゲート電極50の面積を縮小できる。これにより、アクティブ領域3を拡張できる。また、この構造によれば、主面ゲート電極50に起因するデザインルールの制限を回避しながらワイヤボンディングが実施されるゲートパッド70を一定以上の大きさに形成できる。
【0156】
つまり、半導体装置1では、主面ゲート電極50等に起因するデザインルールが緩和され、設計の自由度が高められる。この構成によれば、アクティブ領域3を拡張するためにチップサイズを増加させる必要がなくなる。つまり、チップサイズの増加を回避しながら、アクティブ領域3を拡張できる。よって、半導体層10の有効利用によって小型化および低コスト化を図ることができる半導体装置1を提供できる。
【0157】
縦型トランジスタ2は、ソース、ゲートおよびドレインを含んでいてもよい。縦型トランジスタ2は、具体的には、半導体層10の第1主面11側の表面に形成されたソース領域17、ソース領域17を被覆するゲート絶縁層23(ゲート絶縁膜)、ゲート絶縁層23を挟んでソース領域17に対向するゲート電極20、および、半導体層10内に形成されたドレイン領域を含んでいてもよい。このような構造において、主面ゲート電極50はゲート電極20に電気的に接続され、主面ソース電極55はソース領域17に電気的に接続され、ドレイン電極40はドレイン領域に電気的に接続されている。
【0158】
半導体装置1は、第1主面11に垂直な方向において、ゲートパッド70および主面ソース電極55の間に位置する上部絶縁層63を含んでいてもよい。この構造によれば、ゲートパッド70が平面視において主面ソース電極55の一部に重なる構成を上部絶縁層63によって実現できる。上部絶縁層63の側面63aは、第1主面11に垂直な方向に沿って延びる平面であってもよい。この構造によれば、エッチング法によって上部絶縁層63を形成できる。
【0159】
主面ソース電極55に電気的にソースパッド75が接続されている場合、ソースパッド75のゲートパッド70側の端部79は、上部絶縁層63上に位置していることが好ましい。この構造によれば、ソースパッド75を安定して形成できる。具体的には、ソースパッド75の形状等を容易に整えることができる。
【0160】
半導体装置1は、ゲートパッド70およびソースパッド75の間の境界部80(間隙)を被覆する保護絶縁層66を含んでいてもよい。この構造によれば、境界部80への水分等の侵入を抑制できる。よって、半導体装置1の信頼性が向上される。この場合、保護絶縁層66のうち境界部80に位置する部分は、上部絶縁層63を挟んで主面ソース電極55に対向していてもよい。
【0161】
半導体装置1の製造方法は、第1工程、第2工程および第3工程を含む。第1工程では、SiCを主成分に含み、第1主面11、および、当該第1主面11の反対側の第2主面12を有する半導体層10が用意される。半導体層10は、縦型トランジスタ2を含む。第2工程は、主面ゲート電極50および主面ソース電極55が間隔を空けて第1主面11の上に形成される。
【0162】
第3工程では、主面ゲート電極50に電気的に接続されるように主面ゲート電極50に対して半導体層10と反対側の領域にゲートパッド70が形成される。ゲートパッド70は、平面視において主面ゲート電極50の少なくとも一部および主面ソース電極55の一部に重なるように形成される。この製造方法によれば、チップサイズの増加を回避できると同時に、アクティブ領域3を拡張できる半導体装置1を製造し、提供できる。
【0163】
実施形態1では、幅広部72がx軸方向の負側および正側の両方に傘状に広がる例が示された(
図3等参照)。しかし、幅広部72はx軸方向の正側のみに傘状に広がる構成を有していてもよい(
図10参照)。この構成においても、ゲートパッド70(幅広部72)は、平面視においてアクティブ領域3(主面ソース電極55)に重なるように設けられる。
【0164】
実施形態1では、主面ゲート電極50が受電部50aからy軸方向に延びる例が示された(
図3等参照)。しかし、主面ゲート電極50は受電部50aからy軸方向に加えてx軸方向に延びる構成を有していてもよい(
図11参照)。この構成においても、ゲートパッド70(幅広部72)は、平面視においてアクティブ領域3(主面ソース電極55)に重なるように設けられる。
【0165】
図15は、実施形態2に係る半導体装置101の断面図である。
図15は、
図16のXV-XV線に沿う断面を示している。
図16は、実施形態2に係る半導体装置101の平面図である。
図16では、ゲートパッド70の外縁70b、ソースパッド75の外縁75a、ソースパッド75の内縁75bおよび電流検知パッド170の外縁170bが破線によって図示されている。
【0166】
図17は、
図16に示す平面図から保護絶縁層66を除いた平面図である。
図17では、主面ソース電極55が破線によって図示されている。
図18は、
図15のXVIII-XVIII線の位置から見た基板表面と平行な平面における、半導体装置101の電極上面の平面図である。
図18は、
図16に示されるゲートパッド70、ソースパッド75および電流検知パッド170を透視して、半導体装置101をz軸の正側から見たときの平面図である。
【0167】
図15~
図18には示されていないが、半導体装置101は、実施形態1と同様に、半導体層10の厚さ方向に電流を流す縦型トランジスタ2を含む。半導体装置101(実施形態2)は、電流検知用の電極、および、当該電流検知用の電極に接続される電極パッドをさらに含む点において半導体装置1(実施形態1)と主として相違する。半導体装置101では、電流検知用の電極が電極パッドよりも小さく形成されている。以下では、実施形態1との相違点を中心に説明を行い、共通点の説明を省略または簡略化する。
【0168】
図15~
図18を参照して、半導体装置101は、主面ゲート電極50(第1電極)、主面ソース電極55(第2電極)、および、第3電極の一例としての電流検知電極150を含む。主面ゲート電極50および主面ソース電極55の配置または形状は、実施形態1の場合と比較してそれぞれ相違するが、実質的には同じである。主面ゲート電極50および主面ソース電極55の説明は省略される。
【0169】
電流検知電極150は、平面視において主面ゲート電極50および主面ソース電極55から間隔を空けて配置されている。電流検知電極150は、平面視において半導体層10(第1主面11)の外周部(周縁部)に配置されていてもよい。電流検知電極150は、平面視において半導体層10(第1主面11)の中心位置を含む領域に配置されていてもよい。電流検知電極150は、平面視において主面ソース電極55によって取り囲まれた領域に配置されていてもよい。つまり、主面ソース電極55は、平面視において電流検知電極150の周囲を取り囲むように配置されていてもよい。
【0170】
電流検知電極150は、実施形態1に係る主面ソース電極55の一部が分離された部分に相当する。図示は省略されるが、電流検知電極150の下方には、FET構造が形成されている。電流検知電極150側のFET構造は、主面ソース電極55の下方に形成されたFET構造と同様の態様で形成されている(
図1および
図2も併せて参照)。
【0171】
すなわち、この形態では、FET構造は、主面ソース電極55の下方に配置されたメインセル領域、および、電流検知電極150の下方に配置された電流検知用セル領域(センスセル領域)を含む。メインセル領域は、ドレイン電流を導通する。電流検知用セル領域は、ドレイン電流を検知するために形成されている。換言すると、半導体装置101は、第1主面11に設けられたメインセル領域、および、第1主面11においてメインセル領域とは異なる領域に設けられた電流検知用セル領域を含む。
【0172】
FET構造は、メインセル領域および電流検知用セル領域にそれぞれ形成されている。メインセル領域側のFET構造は、メイン電流としてのドレイン電流を生成するメインFET構造(メイン素子)として形成されている。電流検知用セル領域側のFET構造は、ドレイン電流を検知するセンス電流を生成するセンスFET構造(センス素子)として形成されている。メインセル領域側のFET構造および電流検知用セル領域側のFET構造は、この形態では、同一の構造を有している。
【0173】
主面ソース電極55は、平面視においてメインセル領域(メインFET構造)に重なる領域に配置され、メインセル領域(メインFET構造)のソース領域17に電気的に接続されている。電流検知電極150は、平面視において電流検知用セル領域(センスFET構造)に重なる領域に配置され、電流検知用セル領域(センスFET構造)のソース領域17に電気的に接続されている。
【0174】
半導体装置101に係る縦型トランジスタ2では、ドレイン電極40からメインセル領域側のソース領域17に向けてドレイン電流が流れ、ドレイン電極40からセンスセル領域側のソース領域17に向けてセンス電流が流れる。これにより、主面ソース電極55からドレイン電流が取り出され、電流検知電極150からセンス電流が取り出される。
【0175】
センスFET構造は、メインFET構造と同時にオンオフ制御されることによってドレイン電流に連動したセンス電流を生成するように構成されていてもよい。つまり、メインセル領域および電流検知用セル領域には同一のゲート電圧が同時に印加されてもよい。メインセル領域は、電流検知用セル領域の面積よりも大きい面積を有している。メインセル領域および電流検知用セル領域の相違点は、この形態では、面積のみである。したがって、電流検知用セル領域には、メインセル領域および電流検知用セル領域の面積比に応じた電流が流れる。
【0176】
つまり、センスFET構造のセンス電流は、メインFET構造のメイン電流未満であってもよい。メインセル領域の面積は、電流検知用セル領域の面積の100倍以上10000倍以下であってもよい。この場合、電流検知電極150には、主面ソース電極55を流れる電流(ドレイン電流)の10000分の1以上100分の1以下の電流が流れる。
【0177】
これにより、仮に、何らかの要因によって比較的大きいドレイン電流が生じた場合であっても、電流検知電極150を流れる電流を低減できる。たとえば、電流検知電極150に流れる電流の最大量を1A程度に抑えることができる。これにより、電流検知電極150を利用して、所定の電流検知範囲内において電流の増加を適切に検知できる。
【0178】
電流検知電極150は、非金属導体または金属を含んでいてもよい。電流検知電極150は、アルミニウム系の金属材料によって形成されていることが好ましい。電流検知電極150は、アルミニウム系の金属材料の一例として、アルミニウム、アルミニウム-シリコン(Al-Si)系合金、アルミニウム-銅(Al-Cu)系合金等を含んでいてもよい。むろん、電流検知電極150は、導電性ポリシリコン、タングステン、チタン、ニッケル、銅、銀、金、窒化チタン(金属窒化物)等によって形成されてもよい。電流検知電極150は、主面ゲート電極50および主面ソース電極55と同じ材料によって形成されていてもよい。
【0179】
図15を参照して、電流検知電極150は、1つ以上のソースコンタクト孔61bを有する下部絶縁層61上に設けられている。電流検知電極150は、ソースコンタクト孔61bを介して電流検知用セル領域のソース領域17に電気的に接続されている。
【0180】
電流検知電極150は、平面視において後述する電流検知パッド170より小さい。電流検知電極150の平面形状は、正方形または長方形であってもよい。電流検知電極150の一辺の長さは、5μm以上50μm以下であってもよい。一例として、電流検知電極150の平面形状は、20μm×20μm程度の正方形であってもよい。
図18を参照して、電流検知電極150は、この形態では、主面ゲート電極50の受電部50aの大きさと同じ大きさを有している。
【0181】
むろん、電流検知電極150の大きさは、受電部50aの大きさより小さくてもよい。電流検知電極150の大きさは、受電部50aの大きさより大きくてもよい。電流検知電極150は、平面視において半導体層10(第1主面11)の面積の20%以下の面積を有していてもよい。電流検知電極150は、半導体層10(第1主面11)の面積の10%以下の面積を有していることが好ましい。
【0182】
図15~
図17を参照して、半導体装置101は、ゲートパッド70(第1電極パッド)、ソースパッド75(第2電極パッド)、および、第3電極パッドの一例としての電流検知パッド170を含む。ゲートパッド70およびソースパッド75の配置または形状は、実施形態1の場合と比較してそれぞれ相違するが、実質的には同じである。ゲートパッド70およびソースパッド75の説明は省略される。
【0183】
電流検知パッド170は、平面視において電流検知電極150に重なり、電流検知電極150に電気的に接続されている。電流検知パッド170は、ゲートパッド70およびソースパッド75から間隔を空けて配置されている。電流検知パッド170は、平面視において半導体層10(第1主面11)の中心位置を含む領域に配置されていてもよい。電流検知パッド170は、ソースパッド75によって取り囲まれた領域に配置されていてもよい。つまり、ソースパッド75は、電流検知パッド170の周囲を取り囲むように配置されていてもよい。
【0184】
電流検知パッド170は、この形態では、ゲートパッド70と同様の構成を有している。
図15を参照して、電流検知パッド170は、具体的には、下部導電層の一例としての柱状部171、および、上部導電層の一例としての幅広部172を含む。柱状部171は、電流検知電極150上に設けられている。柱状部171は、電流検知電極150の上面152に接続され、上面152の法線方向(z軸方向)に延びる柱状に形成されている。柱状部171は、上部絶縁層63に設けられた貫通孔164を介して電流検知電極150に接続されている。
【0185】
柱状部171の高さ(z軸方向の長さ)は、上部絶縁層63の厚さ(z軸方向の長さ)より大きい。具体的には、柱状部171の高さは、上部絶縁層63のうち電流検知電極150上に位置する部分の厚さと等しい。柱状部171の側面174は、電流検知電極150の側面153と面一であってもよい。柱状部171の側面174は、電流検知電極150の側面153に対して電流検知電極150の内側に位置していてもよい。
【0186】
幅広部172は、柱状部171の上端に設けられている。幅広部172は、柱状部171の上端の大きさを拡張した部分である。つまり、幅広部172は、平面視において柱状部171よりも大きい面積で形成されている。幅広部172は、平面視において柱状部171が幅広部172の内側に位置するように形成されている。平面視において、幅広部172の大きさおよび形状は、電流検知パッド170の大きさおよび形状に一致する。平面視において、幅広部172の上面173のうち柱状部171に重なる部分は、電流検知電極150に向けて窪んでいる。
【0187】
幅広部172の上面173は、半導体装置101および他の回路の電気的な接続に利用される。たとえば、幅広部172の上面173は、検知された電流に基づいて半導体装置101を制御する制御回路に接続される。幅広部172の上面173には、金属線がワイヤボンディングによって接続されてもよい。金属線は、アルミニウム、銅および金の少なくとも一種を含んでいてもよい。この形態では、アルミニウムワイヤが、電流検知パッド170(幅広部172の上面173)にウェッジボンディングされる。幅広部172の上面173には、ワイヤボンディングに代えて金属板が半田によって接続されてもよい。
【0188】
電流検知パッド170は、平面視において半導体層10(第1主面11)の面積の20%以下の面積を有している。電流検知パッド170は、平面視において半導体層10(第1主面11)の面積の10%以下の面積を有していることが好ましい。幅広部172(つまり電流検知パッド170)は、平面視において電流検知電極150の面積よりも大きい面積を有している。幅広部172の面積は、電流検知電極150の面積の200倍以上40000倍以下であってもよい。幅広部172の面積は、電流検知電極150の面積の400倍以上であってもよい。一例として、幅広部172の面積は、電流検知電極150の面積の2500倍程度であってもよい。
【0189】
ワイヤボンディングを適切に行うべく、幅広部172(電流検知パッド170)は一定以上の大きさを有している必要がある。幅広部172は、平面視において800μm×800μm以上1mm×1mm以下の面積を有していることが好ましい。この場合、幅広部172は、平面視において正方形状に形成されていてもよい。この場合、金属線の接続の向きは、任意の方向に設定されることができる。
【0190】
むろん、幅広部172は、平面視において1mm×1mmより大きい正方形状に形成されていてもよい。また、幅広部172は、平面視において400μm×800μm以上の長方形状に形成されていてもよい。幅広部172の大きさは、この形態では、ゲートパッド70の幅広部72の大きさと同じである。むろん、幅広部172の大きさは、幅広部72の大きさ未満であってもよいし、幅広部72の大きさを超えていてもよい。
【0191】
柱状部171および幅広部172は、同じ導電性材料によって形成されていてもよい。柱状部171および幅広部172は、アルミニウム系の金属材料によって形成されていてもよい。むろん、柱状部171および幅広部172は、チタン、ニッケル、銅、銀、金、タングステン等によって形成されてもよい。柱状部171および幅広部172は、互いに異なる導電性材料によって形成されていてもよい。電流検知パッド170は、ゲートパッド70およびソースパッド75と同じ材料によって形成されていてもよい。これにより、電流検知パッド170、ゲートパッド70およびソースパッド75を同じ工程で形成できる。
【0192】
電流検知パッド170の高さ(z軸方向の長さ)は、柱状部171の高さ(z軸方向の長さ)および幅広部172の厚さ(z軸方向の長さ)の和である。電流検知パッド170の高さは、たとえば数十μm以上数百μm以下(つまり20μm以上1000μm未満)であってもよい。
図15では、柱状部171の高さが幅広部172の厚さと同等である例が示されているが、柱状部171の高さは幅広部172の厚さよりも大きくてもよいし、幅広部172の厚さよりも小さくてもよい。
【0193】
図15を参照して、半導体装置101は、アクティブ領域103および非アクティブ領域104を含む。アクティブ領域103は、縦型トランジスタ2のドレイン電流が流れる主たる領域である。アクティブ領域103は、具体的には、平面視において主面ソース電極55に重なる領域であり、主面ゲート電極50(
図15では図示せず)および電流検知電極150に重なる領域を含まない。つまり、アクティブ領域103は、メインFET構造が形成されたメインセル領域を含み、メインセル領域外の領域を含まない。
【0194】
非アクティブ領域104は、アクティブ領域103以外の領域であり、縦型トランジスタ2のドレイン電流が流れない領域である。非アクティブ領域104は、具体的には、平面視において主面ゲート電極50および電流検知電極150に重なる領域であり、主面ソース電極55に重なる領域を含まない。つまり、非アクティブ領域104は、センスFET構造が形成された電流検知用セル領域を含み、メインセル領域を含まない。
図15を参照して、非アクティブ領域104は、電流検知領域102を含む。電流検知領域102は、平面視において電流検知電極150に重なる領域(つまり電流検知用セル領域)を含む。
【0195】
半導体装置101では、電流検知電極150が形成されている一方で、アクティブ領域103と立体交差する電流検知パッド170(幅広部172)が設けられている。この構造によれば、ワイヤボンディング対象が電流検知電極150から電流検知パッド170に変更される。これにより、電流検知電極150を縮小し、アクティブ領域103を拡張できる。つまり、半導体装置101では、電流検知パッド170によって電流検知電極150に起因するデザインルールが緩和され、設計の自由度が高められている。
【0196】
具体的には、電流検知パッド170は、x軸方向およびy軸方向のそれぞれにおいて電流検知電極150の幅よりも大きい幅を有し、平面視において主面ソース電極55の一部に重なっている。これにより、電流検知電極150に起因するデザインルールを回避しながら電流検知パッド170を一定以上の大きさに形成できる。また、主面ゲート電極50の面積を縮小し、アクティブ領域103の面積を拡張できる。したがって、半導体層10の限られた領域の有効活用によって、小型化および低コスト化が容易な半導体装置101が実現される。
【0197】
電流検知パッド170は、ゲートパッド70に採用された前述の変形例と同様の形態が適用されてもよい。たとえば、
図8および
図9に示された構成(貫通孔の配置や個数、ボンディングワイヤとの位置関係等)が、電流検知パッド170に適用されてもよい。
【0198】
この形態では、電流検知パッド170が、平面視において電流検知電極150に重なっている構成が説明された。しかし、電流検知パッド170は、平面視において電流検知電極150とは重なっていなくてもよい。この場合、貫通孔を介して電流検知電極150に導通されるように、電流検知パッドから電流検知電極の上方の位置まで延びる接続配線部(図示せず)が設けられてもよい。この場合、主面ソース電極55は、電流検知パッドおよび接続配線部の下方の領域に配置されてもよい。
【0199】
以上、半導体装置101は、縦型トランジスタ2を含む。半導体装置101は、アクティブ領域103、非アクティブ領域104、主面ゲート電極50(第1電極)、主面ソース電極55(第2電極)、電流検知電極150(第3電極)、ゲートパッド70(第1電極パッド)、ソースパッド75(第2電極パッド)および電流検知パッド170(第3電極パッド)を含む。
【0200】
アクティブ領域103は、半導体層10に設けられている。アクティブ領域103は、ドレイン電流を導通させるメインセル領域を含む。非アクティブ領域104は、半導体層10においてアクティブ領域103とは異なる領域に設けられている。非アクティブ領域104は、ドレイン電流を検知するセンス電流を導通させる電流検知用セル領域(センスセル領域)を含む。主面ゲート電極50は、平面視においてメインセル領域外の領域に重なるように配置されている。主面ソース電極55は、平面視において主面ゲート電極50から間隔を空けてメインセル領域に重なるように配置されている。
【0201】
ゲートパッド70は、平面視において少なくとも一部が主面ゲート電極50に重なるように主面ゲート電極50に対して半導体層10とは反対側に設けられ、主面ゲート電極50に電気的に接続されている。ゲートパッド70は、さらに、平面視において主面ソース電極55の一部に重なっている。ソースパッド75は、ゲートパッド70から間隔を空けて配置されている。ソースパッド75は、平面視において少なくとも一部が主面ソース電極55に重なるように主面ソース電極55に対して半導体層10とは反対側に設けられ、主面ソース電極55に電気的に接続されている。
【0202】
電流検知パッド170は、平面視においてゲートパッド70およびソースパッド75から間隔を空けて配置されている。電流検知パッド170は、平面視において少なくとも一部が電流検知電極150に重なるように電流検知電極150に対して半導体層10とは反対側に設けられ、電流検知電極150に電気的に接続されている。電流検知パッド170は、この形態では、平面視において主面ソース電極55の一部にさらに重なっている。
【0203】
仮に、上記実施形態に係る電流検知パッド170の代わりに、電流検知電極150がワイヤボンディング用の電極パッドとして利用される場合、電流検知パッド170と同等の大きさを有する電流検知電極150が必要となる。半導体層10のうち電流検知電極150に覆われた領域は非アクティブ領域104になるため、アクティブ領域103として利用可能な面積が縮小する。そのため、半導体層10の有効利用が阻害され、小型化および低コスト化の弊害となる。
【0204】
これに対して、半導体装置101によれば、平面視において電流検知電極150および主面ソース電極55に重なる電流検知パッド170が形成されている。この構造によれば、電流検知パッド170によって電流検知電極150のデザインルールが緩和され、電流検知電極150の面積を縮小できる。これにより、アクティブ領域103を拡張できる。また、この構造によれば、電流検知電極150に起因するデザインルールの制限を回避しながらワイヤボンディングが実施される電流検知パッド170を一定以上の大きさに形成できる。
【0205】
つまり、半導体装置101では、電流検知電極150等に起因するデザインルールが緩和され、設計の自由度が高められる。この構成によれば、アクティブ領域103を拡張するためにチップサイズを増加させる必要がなくなる。つまり、チップサイズの増加を回避しながら、アクティブ領域103を拡張できる。よって、半導体層10を有効利用でき、小型化および低コスト化を図ることができる半導体装置101を提供できる。
【0206】
半導体装置101は、半導体装置1の製造方法と同様の製造方法を経て製造される。具体的には、半導体装置101は、半導体装置1の製造方法において、主面ゲート電極50、主面ソース電極55および電流検知電極150のパターニング工程、絶縁層60のパターニング工程、ならびに、ゲートパッド70、ソースパッド75および電流検知パッド170のパターニング工程のそれぞれを半導体装置101に対応して変更することによって製造される。
【0207】
図19は、実施形態2の変形例に係る半導体装置101aの平面図(保護絶縁層66は図示省略)である。
図20は、実施形態2の変形例に係る半導体装置101aの電極上面の平面図である。
図19および
図20は、
図17および
図18にそれぞれ対応している。前述の実施形態2では、ゲートパッド70が幅広部72を有し、電流検知パッド170が幅広部172を有する例を説明した。しかし、
図19および
図20に示されるように、ゲートパッド70が幅広部72を有さず、電流検知パッド170が幅広部172を有する形態が採用されてもよい。
【0208】
具体的には、半導体装置101aでは、ゲートパッド70aが、平面視において主面ゲート電極50Aと同じ大きさおよび同じ形状を有している。つまり、半導体装置101aに係る主面ゲート電極50Aは、平面視において半導体装置101に係る主面ゲート電極50の受電部50aよりも大きいサイズを有している。電流検知電極150および電流検知パッド170の構成は、半導体装置101の場合と同様である。つまり、半導体装置101aは、第1電極の一例としての電流検知電極150を含み、第1電極パッドの一例としての電流検知パッド170を含む。
【0209】
以上、半導体装置101aでは、電流検知電極150のみに対して、平面視における面積を大きくする構成(具体的には、電流検知パッド170)が適用されている。つまり、半導体装置101aに係る電流検知電極150は、平面視において主面ソース電極55の一部に重なり、複数のソース電極30の1つに電気的に接続されている。この場合、電流検知電極は第1電極の一例と見なされ、電流検知パッド170は第1電極パッドの一例と見なされる。
【0210】
このように、半導体装置101aによれば、平面視において電流検知電極150および主面ソース電極55に重なる電流検知パッド170が形成されている。この構造によれば、電流検知パッド170によって電流検知電極150のデザインルールが緩和され、電流検知電極150の面積を縮小できる。これにより、アクティブ領域103を拡張できる。また、この構造によれば、電流検知電極150に起因するデザインルールの制限を回避しながらワイヤボンディングが実施される電流検知パッド170を一定以上の大きさに形成できる。
【0211】
つまり、半導体装置101aでは、電流検知電極150等に起因するデザインルールが緩和され、設計の自由度が高められる。この構成によれば、アクティブ領域103を拡張するためにチップサイズを増加させる必要がなくなる。つまり、チップサイズの増加を回避しながら、アクティブ領域103を拡張できる。よって、半導体層10を有効利用でき、小型化および低コスト化を図ることができる半導体装置101aを提供できる。
【0212】
図21は、実施形態3に係る半導体装置201の断面図である。
図21は、
図22のXXI-XXI線に沿う断面を示している。
図22は、実施形態3に係る半導体装置201の平面図である。
図22では、ゲートパッド70の外縁70b、ソースパッド75の外縁75a、ソースパッド75の内縁75b、アノード電極パッド270の外縁270aおよびカソード電極パッド275の外縁275aが破線によって図示されている。
図23は、
図22の平面図から保護絶縁層66を除いた平面図である。
図23では、主面ソース電極55が破線によって図示されている。
【0213】
図24は、
図21のXXIV-XXIV線の位置から見た基板表面と平行な平面における、半導体装置201の平面図である。
図24は、具体的には、
図23に示されるゲートパッド70、ソースパッド75、アノード電極パッド270およびカソード電極パッド275を透視して、半導体装置201をz軸の正側から見たときの平面図である。
【0214】
図21~
図24を参照して、半導体装置201(実施形態3)は、ダイオード290(第1導電層)を含む点において半導体装置1(実施形態1)と主として相違する。以下では、実施形態1との相違点が主に説明され、共通点の説明は省略または簡略化される。半導体装置201は、具体的には、半導体層10の第1主面11の一部を被覆する絶縁層260、および、絶縁層260上に設けられたダイオード290を含む。
【0215】
ダイオード290は、この形態では、ポリシリコン、前記ポリシリコンに形成されたp型半導体層291、および、前記ポリシリコンに形成されたn型半導体層292を含むpnダイオードである。たとえば、p型半導体層291はp型不純物が添加されたポリシリコンであり、n型半導体層292はn型不純物が添加されたポリシリコンである。n型半導体層292は、p型半導体層291に接続され、p型半導体層291とpn接合(pnダイオード)を構成している。
【0216】
ダイオード290は、p型半導体層291およびn型半導体層292間の電圧の大きさによって半導体装置201(半導体層10)の温度を検知する温度センサ(感温ダイオード)として利用される。つまり、ダイオード290は、温度変化に対して線形的に変化する順方向電圧特性を有していてもよい。半導体層10の温度は、ダイオード290の電圧特性から間接的に検知される。
【0217】
半導体装置201は、ゲートパッド70、ソースパッド75、アノード電極パッド270(第1極性端子電極)およびカソード電極パッド275(第2極性端子電極)を含む。アノード電極パッド270およびカソード電極パッド275は、ダイオード電極パッド(極性端子電極)の一例としてそれぞれ形成されている。ゲートパッド70およびソースパッド75の配置または形状は、実施形態1の場合と比較してそれぞれ相違するが、実質的に同じである。ゲートパッド70およびソースパッド75の説明は省略される。
【0218】
アノード電極パッド270は、平面視において、ゲートパッド70およびソースパッド75から間隔を空けてp型半導体層291に重なる領域に配置され、p型半導体層291に電気的に接続されている。アノード電極パッド270は、この形態では、ゲートパッド70と同様の構成を有している。
【0219】
図21を参照して、アノード電極パッド270は、具体的には、下部導電層の一例としての柱状部271、および、上部導電層の一例としての幅広部272とを含む。柱状部271は、p型半導体層291上に設けられている。柱状部271は、p型半導体層291の上面に接続され、p型半導体層291の上面の法線方向(z軸方向)に延びる柱状に形成されている。
【0220】
幅広部272は、柱状部271の上端に設けられている。幅広部272は、柱状部271の上端の大きさを拡張した部分である。つまり、幅広部272は、平面視において柱状部271よりも大きい面積で形成されている。幅広部272は、平面視において柱状部271が幅広部272の内側に位置するように形成されている。平面視において、幅広部272の大きさおよび形状は、アノード電極パッド270の大きさおよび形状に一致する。
【0221】
幅広部272の上面273は、半導体装置201および他の回路の電気的な接続に利用される。幅広部272の上面273には、金属線がワイヤボンディングによって接続されてもよい。金属線は、アルミニウム、銅および金の少なくとも一種を含んでいてもよい。この形態では、アルミニウムワイヤが、アノード電極パッド270(幅広部272の上面273)にウェッジボンディングされる。
【0222】
ワイヤボンディングを適切に行うべく、幅広部272(アノード電極パッド270)は一定以上の大きさを有している必要である。幅広部272の平面形状および大きさは、ゲートパッド70の幅広部72の平面形状および大きさと同じであってもよい。むろん、幅広部272の平面形状および大きさのいずれか一方または双方は、幅広部72と異なっていてもよい。
【0223】
柱状部271および幅広部272は、同じ導電性材料によって形成されていてもよい。柱状部271および幅広部272は、アルミニウム系の金属材料によって形成されていてもよい。むろん、柱状部271および幅広部272は、チタン、ニッケル、銅、銀、金、タングステン等によって形成されてもよい。柱状部271および幅広部272は、互いに異なる導電性材料によって形成されていてもよい。
【0224】
アノード電極パッド270の高さ(z軸方向の長さ)は、柱状部271の高さ(z軸方向の長さ)および幅広部272の厚さ(z軸方向の長さ)の和である。アノード電極パッド270の高さは、たとえば数十μm以上数百μm以下(つまり20μm以上1000μm未満)であってもよい。柱状部271の高さは、幅広部272の厚さを超えていてもよいし、幅広部272の厚さ未満であってもよい。むろん、柱状部271の高さは、幅広部272の厚さと同等であってもよい。
【0225】
カソード電極パッド275は、ゲートパッド70、ソースパッド75およびアノード電極パッド270から間隔を空けてn型半導体層292に重なる領域に配置され、n型半導体層292に電気的に接続されている。カソード電極パッド275は、この形態では、ゲートパッド70およびアノード電極パッド270と同様の構成を有している。
【0226】
図21を参照して、カソード電極パッド275は、具体的には、下部導電層の一例としての柱状部276、および、上部導電層の一例としての幅広部277を含む。柱状部276は、n型半導体層292上に設けられている。柱状部276は、n型半導体層292の上面に接続され、n型半導体層292の法線方向(z軸方向)に延びる柱状に形成されている。
【0227】
幅広部277は、柱状部276の上端に設けられている。幅広部277は、柱状部276の上端の大きさを拡張した部分である。つまり、幅広部277は、平面視において柱状部276よりも大きい面積で形成されている。幅広部277は、平面視において柱状部276が幅広部277の内側に位置するように形成されている。
【0228】
平面視において、幅広部277の大きさおよび形状は、カソード電極パッド275の大きさおよび形状に一致する。幅広部277の上面278は、半導体装置201および他の回路の電気的な接続に利用される。幅広部277の上面278は、この形態では、電圧計等に接続される。幅広部277の上面278には、金属線がワイヤボンディングによって接続されてもよい。
【0229】
アノード電極パッド270およびカソード電極パッド275は、平面視において半導体層10(第1主面11)の面積の20%以下の面積をそれぞれ有していてもよい。アノード電極パッド270およびカソード電極パッド275は、平面視において半導体層10(第1主面11)の面積の10%以下の面積をそれぞれ有していることが好ましい。
【0230】
アノード電極パッド270およびカソード電極パッド275のいずれか一方または双方は、平面視において半導体層10(第1主面11)の外周部(周縁部)に配置されていてもよい。アノード電極パッド270およびカソード電極パッド275のいずれか一方または双方は、平面視において半導体層10(第1主面11)の中心位置を含む領域に配置されていてもよい。
【0231】
アノード電極パッド270およびカソード電極パッド275のいずれか一方または双方は、ソースパッド75によって取り囲まれた領域に配置されていてもよい。つまり、ソースパッド75は、アノード電極パッド270およびカソード電極パッド275のいずれか一方または双方を取り囲むように形成されていてもよい。
【0232】
アノード電極パッド270およびカソード電極パッド275は、たとえば、ゲートパッド70およびソースパッド75と同じ材料によって形成されている。これにより、アノード電極パッド270、カソード電極パッド275、ゲートパッド70およびソースパッド75は、同じ工程で形成されることができる。カソード電極パッド275に係る柱状部276および幅広部277の形状や材料等は、アノード電極パッド270に係る柱状部276および幅広部277の形状や材料等と同じであってもよい。カソード電極パッド275に係る柱状部276および幅広部277の形状や材料等についての説明は省略される。
【0233】
図21を参照して、半導体装置201は、アクティブ領域203および非アクティブ領域204を含む。アクティブ領域203は、縦型トランジスタ2のドレイン電流が流れる主な領域である。アクティブ領域203は、平面視において、主面ソース電極55に重なる領域である。
【0234】
非アクティブ領域204は、平面視においてアクティブ領域203以外の領域であり、縦型トランジスタ2として動作しない領域(ドレイン電流が流れない領域)である。前述のダイオード290は、非アクティブ領域204に配置されている。つまり、アノード電極パッド270およびカソード電極パッド275は、この形態では、平面視においてアクティブ領域203の一部に重なるように、非アクティブ領域204に重なる領域に配置されている。
【0235】
半導体装置201では、アノード電極パッド270の一部(幅広部272)は、平面視において主面ソース電極55に重なっている。これにより、ダイオード290に起因するデザインルールを回避しながらアノード電極パッド270を一定以上の大きさに形成できる。また、ダイオード290の面積を縮小し、アクティブ領域203の面積を拡張できる。したがって、半導体層10の限られた領域の有効活用によって、小型化および低コスト化が容易な半導体装置201が実現される。
【0236】
また、半導体装置201では、カソード電極パッド275の一部(幅広部277)は、平面視において主面ソース電極55に重なっている。これにより、ダイオード290に起因するデザインルールを回避しながらカソード電極パッド275を一定以上の大きさに形成できる。また、ダイオード290の面積を縮小し、アクティブ領域203の面積を拡張できる。したがって、半導体層10の限られた領域の有効活用によって、小型化および低コスト化が容易な半導体装置201が実現される。
【0237】
以上、半導体装置201は、絶縁層260、ダイオード290、アノード電極パッド270(第1極性端子電極)およびカソード電極パッド275(第2極性端子電極)を含む。絶縁層260は、第1主面11の一部を被覆している。ダイオード290は、絶縁層260の上に配置されている。ダイオード290は、p型半導体層291(第1極性層)、および、当該p型半導体層とpn接合部を形成するn型半導体層292(第2極性層)を含む。
【0238】
アノード電極パッド270は、平面視においてp型半導体層291に重なる部分を有し、p型半導体層291に電気的に接続されている。カソード電極パッド275は、平面視においてn型半導体層292に重なる部分を有し、n型半導体層292に電気的に接続されている。このような構造において、アノード電極パッド270およびカソード電極パッド275のいずれか一方または双方は、平面視において主面ソース電極55の一部に重なっている。
【0239】
この構造によれば、ダイオード290に起因するデザインルールを回避しながらアノード電極パッド270およびカソード電極パッド275のいずれか一方または双方を一定以上の大きさに形成できる。また、この構造によれば、ダイオード290の面積を縮小し、アクティブ領域203の面積を拡張できる。したがって、半導体層10の限られた領域の有効活用によって、小型化および低コスト化が容易な半導体装置201が実現される。
【0240】
半導体装置201は、半導体装置1の製造方法と同様の製造方法を経て製造される。具体的には、半導体装置201は、主面ゲート電極50および主面ソース電極55のパターニング工程、絶縁層60のパターニング工程、ならびに、ゲートパッド70、ソースパッド75、アノード電極パッド270およびカソード電極パッド275のパターニング工程のそれぞれを半導体装置201に対応して変更することによって製造される。
【0241】
図25は、実施形態3の変形例に係る半導体装置201aの平面図(保護絶縁層66は図示省略)である。
図26は、実施形態3の変形例に係る半導体装置201aの電極上面の平面図である。
図25および
図26は、実施形態3の
図23および
図24にそれぞれ対応している。
図25では、主面ソース電極55が破線によって図示されている。
【0242】
半導体装置201では、ゲートパッド70が幅広部72を有し、アノード電極パッド270が幅広部272を有し、カソード電極パッド275が幅広部277を有している例が説明された。しかし、
図25および
図26に示されるように、ゲートパッド70が幅広部72を有さず、アノード電極パッド270が幅広部272を有し、カソード電極パッド275が幅広部277を有する形態が採用されてもよい。
【0243】
半導体装置201aに係るゲートパッド70aは、平面視において主面ゲート電極50Aと同じ大きさおよび同じ形状を有している。つまり、半導体装置201aに係る主面ゲート電極50Aは、平面視において半導体装置201に係る主面ゲート電極50の受電部50aよりも大きいサイズを有している。
【0244】
以上、半導体装置201aによっても、ダイオード290の面積を縮小し、アクティブ領域203の面積を拡張できる。したがって、半導体層10の限られた領域の有効活用によって、小型化および低コスト化が容易な半導体装置201aが実現される。
【0245】
図27および
図28は、実施形態3の別の変形例に係る半導体装置201bを示す図である。
図27は、半導体装置200bの平面図(保護絶縁層66は図示省略)である。
図28は、半導体装置201bにおける電極上面の平面図である。
図27では、主面ソース電極55が破線によって図示されている。
図28では、主面ソース電極55上のダイオード290の配置が示されている。
【0246】
図27および
図28を参照して、半導体装置201bは、半導体装置201と同様、ダイオード290、アノード電極パッド270およびカソード電極パッド275を含む。ダイオード290は、この形態では、平面視においてチップの中央部近傍(第1主面11の中央部近傍)に配置されている。
【0247】
アノード電極パッド270およびカソード電極パッド275は、この形態では、平面視においてチップの周縁(第1主面11の周縁部)に配置されている。アノード電極パッド270およびカソード電極パッド275のいずれか一方または双方(この形態では双方)は、平面視においてダイオード290に重ならないようにダイオード290から間隔を空けて配置されている。この形態では、アノード電極パッド270の全体は、平面視において主面ソース電極55に重なっている。また、カソード電極パッド275の全体は、平面視において主面ソース電極55に重なっている。
【0248】
半導体装置201bは、第1接続部250a、第1フィンガー部250、第2接続部255aおよび第2フィンガー部255を含む。第1接続部250aは、ダイオード290のp型半導体層291の直上に位置している。第1フィンガー部250は、アノード電極パッド270および第1接続部250aの間に介在され、アノード電極パッド270および第1接続部250aを接続している。
【0249】
第1フィンガー部250は、平面視においてアノード電極パッド270および第1接続部250aの間の領域をライン状(帯状)に延びている。第1フィンガー部250は、この形態では、平面視においてx軸方向に延びている。第1フィンガー部250の少なくとも一部は、平面視において主面ソース電極55に重なっている。
【0250】
第2接続部255aは、ダイオード290のn型半導体層292の直上に位置している。第2フィンガー部255は、カソード電極パッド275および第2接続部255aの間に介在され、カソード電極パッド275および第2接続部255aを接続している。第2フィンガー部255は、平面視においてカソード電極パッド275および第2接続部255aの間の領域をライン状(帯状)に延びている。
【0251】
第2フィンガー部255は、この形態では、平面視において第1フィンガー部250からy軸方向に間隔を空けて設けられ、x軸方向に延びている。つまり、第2フィンガー部255は、平面視において第1フィンガー部250に対して平行に延びている。第2フィンガー部255の少なくとも一部は、平面視において主面ソース電極55に重なっている。
【0252】
チップ(半導体層10)の中央部は、チップ(半導体層10)の周縁部と比べて温度が高まり易い。したがって、温度センサとして機能するダイオード290を設ける場合、ダイオード290は、平面視においてチップ(半導体層10)の中央部に配置されることが好ましい。一方、電極パッドは、ワイヤボンディング等の実装性の観点から、障害物の少ないチップの端部(周縁部)に配置されることが好ましい。
【0253】
従来の場合、チップ(半導体層10)の端部(周縁部)に配置された温度センサ用の複数の電極パッドの直下の領域、および、これらの電極パッドからチップ(半導体層10)の中央部までの配線の直下の領域は非アクティブ領域として形成される。この点、半導体装置201bの構造によれば、アノード電極パッド270およびカソード電極パッド275の直下の領域に加えて、第1フィンガー部250および第2フィンガー部255の直下の領域もアクティブ領域203として利用できる。
【0254】
図29および
図30は、実施形態4に係る半導体パッケージ300を示す図である。
図30は、
図29に示される半導体パッケージ300の、
図29とは反対側から見た場合の内部構造を示す図である。
【0255】
半導体パッケージ300は、いわゆるTO(Transistor Outline)型の半導体パッケージである。半導体パッケージ300は、パッケージ本体301、端子302d、端子302g、端子302s、ボンディングワイヤ303g、ボンディングワイヤ303sおよび半導体装置1を含む。以下、端子302d、端子302gおよび端子302sは、単に「端子302d~302s」と総称されることがある。
【0256】
パッケージ本体301は、直方体状に形成されている。パッケージ本体301は、たとえば、カーボンおよびガラス繊維等を含むエポキシ樹脂によって形成される。端子302d~302sのそれぞれは、パッケージ本体301の底部から突出し、一列に並んで配置される。端子302d~302sは、アルミニウムによって形成されてもよい。端子302d~302sは、銅等の他の金属材料によって形成されていてもよい。
【0257】
半導体装置1は、パッケージ本体301に内蔵されている。つまり、パッケージ本体301は、半導体装置1を封止する封止体として構成されている。半導体装置1に係るゲートパッド70は、パッケージ本体301の内部においてボンディングワイヤ303g等を介して端子302gに電気的に接続される。
【0258】
半導体装置1に係るソースパッド75は、ボンディングワイヤ303s等を介して端子302sに電気的に接続される。半導体装置1に係るドレイン電極40は、半田や焼結層等を介して端子302dに接合される。焼結層は、銀や銅等を含んでいてもよい。ドレイン電極40は、この形態では、端子302dのうちのパッケージ本体301内に位置する幅広部に接合されている。
【0259】
半導体パッケージ300は、半導体装置1に代えて、半導体装置101、101a、201、201aまたは201bを含んでいてもよい。この場合、半導体パッケージ300は、端子302d~302s以外の少なくとも1つの端子をさらに含んでいてもよい。たとえば、半導体装置101が搭載される場合、半導体パッケージ300は、電流検知パッド170に接続される端子をさらに含んでいてもよい。また、半導体装置201が搭載される場合、半導体パッケージ300は、アノード電極パッド270が接続される端子、および、カソード電極パッド275が接続される端子をさらに含んでいてもよい。
【0260】
以上、半導体パッケージ300は、半導体装置1、101、101a、201、201aまたは201bを含む。上述のように、半導体装置1等によれば、半導体層10の有効利用によって小型化を図ることができる。したがって、半導体パッケージ300によれば、半導体装置1等の小型化に応じて容易に小型化できる。
【0261】
また、半導体装置1等によれば、アクティブ領域3、103および203を拡張できる。したがって、半導体パッケージ300によれば、同じサイズの一般的な半導体パッケージよりも許容電流量を増加させることができる。半導体パッケージ300では、半導体装置1等がボンディングワイヤを介して端子に電気的に接続される例が示された。しかし、半導体パッケージ300では、半導体装置1等が接合材によって端子に電気的に接続されてもよい。
【0262】
図31は、実施形態4に係る半導体パッケージ400を示す図である。
図31を参照して、半導体パッケージ400は、いわゆるDIP(Dual In-line Package)型の半導体パッケージである。半導体パッケージ400は、パッケージ本体401、複数の端子402および半導体装置1を含む。
【0263】
パッケージ本体401は、直方体状に形成されている。パッケージ本体401は、たとえば、カーボン、ガラス繊維等を含むエポキシ樹脂によって形成される。複数の端子402は、パッケージ本体401の長辺に沿って並んで配列される。複数の端子402は、パッケージ本体401の長辺から外方に突出している。複数の端子402は、たとえば、アルミニウムによって形成されていてもよい。複数の端子402は、銅等の他の金属材料によって形成されていてもよい。
【0264】
半導体装置1は、パッケージ本体401に内蔵されている。つまり、パッケージ本体401は、半導体装置1を封止する封止体として構成されている。半導体装置1に係るゲートパッド70、ソースパッド75およびドレイン電極40は、パッケージ本体401の内部においてボンディングワイヤ等を介して対応する端子402にそれぞれ電気的に接続されている。半導体パッケージ400は、複数の半導体装置1を含んでいてもよい。つまり、複数の半導体装置1がパッケージ本体401に内蔵されてもよい。
【0265】
むろん、半導体パッケージ400は、半導体装置1に代えて、または、半導体装置1に加えて、半導体装置101、101a、201、201aおよび201bのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。半導体装置101が搭載される場合、電流検知パッド170は、パッケージ本体401の内部においてボンディングワイヤ等を介して対応する端子402に電気的に接続されている。また、半導体装置201が搭載される場合、アノード電極パッド270およびカソード電極パッド275は、パッケージ本体401の内部においてボンディングワイヤ等を介して対応する端子402にそれぞれ電気的に接続される。
【0266】
以上、半導体パッケージ400は、半導体装置1、101、101a、201、201aおよび201bの少なくとも1つを含む。上述のように、半導体装置1等によれば、半導体層10の有効利用によって小型化を図ることができる。したがって、半導体パッケージ300によれば、半導体装置1等の小型化に応じて容易に小型化できる。
【0267】
また、半導体装置1等によれば、アクティブ領域3、103および104を拡張できる。したがって、半導体パッケージ300によれば、同じサイズの一般的な半導体パッケージよりも許容電流量を増加させることができる。半導体パッケージ400では、半導体装置1等がボンディングワイヤを介して端子に電気的に接続される例が示された。しかし、半導体パッケージ400では、半導体装置1等が接合材によって端子に電気的に接続されてもよい。
【0268】
図32は、変形例に係る半導体装置501の断面図である。
図32を参照して、金属層の一例としてのめっき層90(金属めっき層)が、ゲートパッド70の上面73およびソースパッド75の上面76に形成されていてもよい。
図32では、めっき層90に加えて、ボンディングワイヤ303g、接合材502および金属板503が外部端子との接続部材(接合手段)の一例として図示されている。
【0269】
半導体装置501では、ゲートパッド70にボンディングワイヤ303gが接続され、ソースパッド75に接合材502が接合される。接合材502は、金属板503およびソースパッド75を接合するように金属板503およびソースパッド75の間に介在される。接合材502としては、半田や焼結金属部材が例示される。焼結金属部材は、銀や銅等を含んでいてもよい。
【0270】
めっき層90は、ゲートパッド70およびソースパッド75を形成する金属材料とは異なる金属材料によって形成されている。めっき層90は、たとえば、ニッケルを主成分に含む金属層である。めっき層90は、具体的には、ニッケル単体からなる金属層である。
【0271】
めっき層90は、ニッケル層、および、当該ニッケル層上に積層されたパラジウム層を含む2層構造(すなわち、NiPd層)を有していてもよい。めっき層90は、ニッケル層、当該ニッケル層上に積層されたパラジウム層、および、当該パラジウム層の上に積層された金(Au)層を含む3層構造(すなわち、NiPdAu層)を有していてもよい。むろん、めっき層90は、金(Au)層に代えて他の金属層を含む積層構造を有していてもよい。NiPd層およびNiPdAu層は、ボンディングワイヤが接合される場合に限らず、外部端子が銀焼結によって接合される場合や半田接合の場合にも好適である。
【0272】
めっき層90は、半導体装置101、101a、201、201aおよび201bに適用されてもよい。つまり、電流検知パッド170、アノード電極パッド270およびカソード電極パッド275の各上面には、めっき層90が設けられていてもよい。
【0273】
以上、実施形態が説明されたが、前述の実施形態はさらに他の形態で実施できる。たとえば、半導体装置1、101、101a、201、201a、201bおよび501が搭載される半導体パッケージの形態は、半導体パッケージ300および半導体パッケージ400のような形態に制限されない。半導体パッケージとしては、SOP(Small Outline Package)、QFN(Quad Flat Non Lead Package)、DFP(Dual Flat Package)、QFP(Quad Flat Package)、SIP(Single Inline Package)、または、SOJ(Small Outline J-leaded Package)が採用されてもよい。むろん、これらに類する種々の半導体パッケージが採用されてもよい。
【0274】
前述の実施形態1~4では、「第1導電型」が「n型」であり、「第2導電型」が「p型」である例が説明されたが、「第1導電型」が「p型」であり、「第2導電型」が「n型」であってもよい。この場合の具体的な構成は、前述の説明および添付図面において「n型領域」を「p型領域」に置き換え、「p型領域」を「n型領域」に置き換えることによって得られる。「第1導電型」および「第2導電型」は、説明の順序を明確にするための表現形式に過ぎず、「n型」が「第2導電型」と表現され、「p型」が「第1導電型」と表現されてもよい。
【0275】
前述の実施形態1~4において、n+型の半導体基板13の代わりに、p+型のSiC半導体基板が採用されてもよい。この場合、縦型トランジスタ2としてのIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を含む半導体装置を提供できる。この場合、明細書および図面においてMISFETの「ソース」がIGBTの「エミッタ」に置き換えられ、MISFETの「ドレイン」がIGBTの「コレクタ」に置き換えられる。IGBTのエミッタ(エミッタ電極)は第1主電極の一例であり、IGBTのコレクタ(コレクタ電極)は第2主電極の一例である。前述の各実施形態に係る半導体装置によれば、MISFETに代えてIGBTを含む場合も、上述した効果と同等の効果が奏される。
【0276】
前述の実施形態1~4の構成および当該実施形態1~4の変形例の構成は、適宜組み合わされて実施されることができる。たとえば、ゲートパッド、電流検知パッドおよび温度センスパッドを含む半導体装置において、ゲートパッド、電流検知パッドおよび温度センスパッドのそれぞれにおいて上記実施形態で説明した構成が適用されてもよい。これにより、アクティブ領域の面積を減らすことなく、電流検知機能や温度センス機能を搭載した高機能の半導体装置を提供できる。
【0277】
以下、この明細書および図面から抽出される特徴例が示される。以下、括弧内の英数字等は前述の実施形態における対応構成要素等を表すが、各項目の範囲を実施形態に限定する趣旨ではない。以下の項目に係る「半導体装置」は、「ワイドバンドギャップ半導体装置」、「SiC半導体装置」、「ワイドバンドギャップ半導体スイッチング装置」または「SiC半導体スイッチング装置」に置き換えられてもよい。
【0278】
従来の半導体装置は、ワイヤボンディングが行われるゲートパッドおよびソースパッドを含む。ソースパッドの下方にはFET構造を含むアクティブ領域が配置される。ゲートパッドの下方には、FET構造を含まない非アクティブ領域が配置される。ゲートパッドは、ワイヤとの接合面積を確保すべく、一定以上の大きさに形成される必要がある。このため、ゲートパッドの大きさを変更することなくアクティブ領域を拡張する場合には、チップ自体のサイズを大きくする必要がある。
【0279】
そこで、以下に係る項目は、電極に起因するデザインルールを緩和できる半導体装置を提供することを一つの目的とする。また、以下に係る項目は、チップサイズを増加させることなくアクティブ領域を拡張できる半導体装置を提供することを一つの目的とする。
【0280】
[A1]SiCを含み、一方側の第1主面(11)および他方側の第2主面(12)を有する半導体層(10)と、前記半導体層(10)に形成された縦型トランジスタ(2)と、前記第1主面(11)の上に配置された第1電極(50/150)と、前記第1電極(50/150)から間隔を空けて前記第1主面(11)の上に配置された第2電極(55)と、平面視において少なくとも一部が前記第1電極(50/150)に重なるように前記第1電極(50/150)に対して前記半導体層(10)とは反対側に配置され、前記第1電極(50/150)に電気的に接続された第1電極パッド(70/170)と、前記第2主面(12)の上に配置された電極(40)と、を含み、前記第1電極パッド(70/170)は、平面視において前記第2電極(55)の一部に重なっている、半導体装置(1、101、101a、201、201a、201b、501:以下、単に「半導体装置(1等)」と記載される。)。
【0281】
[A2]前記第1主面(11)に垂直な方向(z)において、前記第1電極パッド(70/170)および前記第2電極(55)の間に介在された第1絶縁層(63)をさらに含む、A1に記載の半導体装置(1等)。
【0282】
[A3]前記第1絶縁層(63)の側面は、前記垂直な方向(z)に延びる平面に形成されている、A2に記載の半導体装置(1等)。
【0283】
[A4]前記第2電極(55)に電気的に接続された第2電極パッド(75)をさらに含み、前記第2電極パッド(75)における前記第1電極パッド(70/170)側の端部は、前記第1絶縁層(63)上に位置している、A2またはA3に記載の半導体装置(1等)。
【0284】
[A5]前記第1電極パッド(70/170)および前記第2電極パッド(75)の間の境界部(80)を被覆する第2絶縁層(66)をさらに含む、A4に記載の半導体装置(1等)。
【0285】
[A6]前記縦型トランジスタ(2)は、前記第1主面(11)の表面部に形成されたソース領域(17)、前記ソース領域(17)を被覆するゲート絶縁膜(23)、前記ゲート絶縁膜(23)を挟んで前記ソース領域(17)に対向するゲート電極(20)、および、前記半導体層(10)内に形成されたドレイン領域(10、13、14)を含み、前記第1電極(50/150)は、前記ゲート電極(20)に電気的に接続され、前記第2電極(55)は、前記ソース領域(17)に電気的に接続され、前記電極(40)は、前記ドレイン領域(10、13、14)に電気的に接続されている、A1~A5のいずれか一つに記載の半導体装置(1等)。
【0286】
[A7]前記縦型トランジスタ(2)は、平面視においてドレイン電流を生成するメインセル領域(103)、および、前記ドレイン電流を検知するセンス電流を生成する電流検知用セル領域(104)を含み、前記第2電極(55)は、平面視において前記メインセル領域(103)に重なる領域に配置されている、A6に記載の半導体装置(1等)。
【0287】
[A8]平面視において前記第1電極(50)および前記第2電極(55)から間隔を空けて前記電流検知用セル領域(104)に重なる領域に配置された第3電極(150)と、平面視において少なくとも一部が前記第3電極(150)に重なるように前記第3電極(150)に対して前記半導体層(10)とは反対側に配置され、前記第3電極(150)に電気的に接続された第3電極パッド(170)とをさらに含む、A7に記載の半導体装置(1等)。
【0288】
[A9]前記第3電極パッド(170)は、平面視において前記第2電極(55)の一部に重なっている、A8に記載の半導体装置(1等)。
【0289】
[A10]前記第1主面(11)の一部を被覆する絶縁層(260)と、前記絶縁層(260)の上に配置され、第1極性部(291)および当該第1極性部(291)とpn接合部を形成する第2極性部(292)を有するダイオード(290)と、前記ダイオード(290)の上において前記第1極性部(291)に電気的に接続された第1極性電極パッド(270)と、前記ダイオード(290)の上において前記第2極性部(292)に電気的に接続された第2極性電極パッド(275)と、をさらに含む、A1~A9のいずれか一つに記載の半導体装置(1等)。
【0290】
[A11]前記第1極性電極パッド(270)および前記第2極性電極パッド(275)の少なくとも一方は、平面視において前記第2電極(55)の一部に重なっている、A10に記載の半導体装置(1等)。
【0291】
[A12]SiCを含み、一方側の第1主面(11)および他方側の第2主面(12)を有し、縦型トランジスタ(2)を含む半導体層(10)を用意する工程と、前記第1主面(11)の上に間隔を空けて第1電極(50/150)および第2電極(55)を形成する工程と、平面視において少なくとも一部が前記第1電極(50/150)に重なり、前記第1電極(50/150)に電気的に接続されるように前記第1電極(50/150)に対して前記半導体層(10)とは反対側の位置に第1電極パッド(70/170)を形成する工程と、を含み、前記第1電極パッド(70/170)の形成工程において、前記第2電極(55)の一部に重なる前記第1電極パッド(70/170)が形成される、半導体装置(1等)の製造方法。
【0292】
[B1]主面(11)を有する半導体層(10)と、前記半導体層(10)に形成されたスイッチング素子(2)と、前記主面(11)の上に配置され、前記スイッチング素子(2)に電気的に接続された第1電極(50/150)と、前記第1電極(50/150)から間隔を空けて前記主面(11)の上に配置され、前記スイッチング素子(2)に電気的に接続された第2電極(55)と、平面視において前記第1電極(50/150)に重なる部分、および、前記第2電極(55)に重なる部分を有し、前記第1電極(50/150)に電気的に接続された第1端子電極(70/170)と、平面視において前記第2電極(55)に重なる部分を有し、前記第2電極(55)に電気的に接続された第2端子電極(75)と、を含む、半導体装置(1等)。
【0293】
[B2]前記半導体層(10)は、SiCを含む、B1に記載の半導体装置(1等)。
【0294】
[B3]前記第1端子電極(70/170)は、前記第1電極(50/150)に対して第1面積で接続され、前記第1面積を超える電極面(73)を有している、B1またはB2に記載の半導体装置(1等)。
【0295】
[B4]前記第2端子電極(75)は、平面視において前記第1端子電極(70/170)以上の面積を有している、B1~B3のいずれか一つに記載の半導体装置(1等)。
【0296】
[B5]前記第1端子電極(70/170)は、平面視において前記第1電極(50/150)の少なくとも一部に交差している、B1~B4のいずれか一つに記載の半導体装置(1等)。
【0297】
[B6]前記第2端子電極(75)は、平面視において前記第1電極(50/150)に重なる部分を有している、B1~B5のいずれか一つに記載の半導体装置(1等)。
【0298】
[B7]前記第1電極(50/150)は、前記スイッチング素子(2)の制御信号を伝達する制御電極であり、前記第2電極(55)は、非制御電極である、B1~B6のいずれか一つに記載の半導体装置(1等)。
【0299】
[B8]前記スイッチング素子(2)は、ゲート(20)およびソース(17)を含み、前記第1電極(50/150)は、前記ゲート(20)に電気的に接続され、前記第2電極(55)は、前記ソース(17)に電気的に接続されている、B1~B7のいずれか一つに記載の半導体装置(1等)。
【0300】
[B9]前記第2電極(55)を被覆する第1絶縁体(63)をさらに含み、前記第1端子電極(70/170)は、前記第1絶縁体(63)を挟んで前記第2電極(55)に対向する部分を有し、前記第2端子電極(75)は、前記第1絶縁体(63)を挟んで前記第2電極(55)に対向する部分を有している、B1~B8のいずれか一つに記載の半導体装置(1等)。
【0301】
[B10]前記第1端子電極(70/170)は、前記第1絶縁体(63)を挟んで前記第2電極(55)に対向するように前記第2電極(55)の上方に配置された側面を有し、前記第2端子電極(75)は、前記第1絶縁体(63)を挟んで前記第2電極(55)に対向するように前記第2電極(55)の上方に配置され、かつ、前記第1端子電極(70/170)の側面との間で前記第1絶縁体(63)を露出させる間隙(80)を形成する側面を有している、B9に記載の半導体装置(1等)。
【0302】
[B11]前記間隙(80)内で前記第1絶縁体(63)を被覆し、前記第1絶縁体(63)を挟んで前記第2電極(55)に対向する第2絶縁体(66)をさらに含む、B10に記載の半導体装置(1等)。
【0303】
[B12]前記第1絶縁体(63)は、前記第1電極(50/150)を被覆し、前記第1端子電極(70/170)は、前記第1絶縁体(63)を挟んで前記第1電極(50/150)に対向する部分を有し、前記第2端子電極(75)は、前記第1絶縁体(63)を挟んで前記第1電極(50/150)に対向する部分を有している、B9~B11のいずれか一つに記載の半導体装置(1等)。
【0304】
[B13]前記半導体層(10)に設けられたアクティブ領域(3、103、203)と、前記半導体層(10)において前記アクティブ領域(3、103、203)外の領域に設けられた非アクティブ領域(4、104、204)と、をさらに含み、前記スイッチング素子(2)は、前記アクティブ領域(3、103、203)に形成され、前記第1電極(50/150)は、平面視において前記非アクティブ領域(4、104、204)に重なる領域に配置され、前記第2電極(55)は、平面視において前記アクティブ領域(3、103、203)に重なる領域に配置され、前記第1端子電極(70/170)は、平面視において前記アクティブ領域(3、103、203)および前記非アクティブ領域(4、104、204)に重なる領域に配置され、前記第2端子電極(75)は、平面視において前記アクティブ領域(3、103、203)に重なる領域に配置されている、B1~B12のいずれか一つに記載の半導体装置(1等)。
【0305】
[B14]前記アクティブ領域(3、103、203)は、前記半導体層(10)に設けられたメインセル領域(103)を含み、前記非アクティブ領域(4、104、204)は、前記半導体層(10)において前記メインセル領域(103)とは異なる領域に設けられたセンスセル領域(104)を含み、前記スイッチング素子(2)は、メイン電流を生成するように前記メインセル領域(103)に形成されたメインスイッチング素子(2)、および、前記メイン電流を検知するモニタ電流を生成するように前記センスセル領域(104)に形成されたセンススイッチング素子(2)を含む、B13に記載の半導体装置(1等)。
【0306】
[B15]前記第1電極(50/150)は、前記メインスイッチング素子(2)に電気的に接続され、前記第2電極(55)は、平面視において前記メインセル領域(103)に重なる領域に配置され、前記メインスイッチング素子(2)に電気的に接続され、前記第1端子電極(70/170)は、平面視において前記メインセル領域(103)および前記非アクティブ領域(4、104、204)に重なる領域に配置され、前記第2端子電極(75)は、平面視において前記メインセル領域(103)に重なる領域に配置されている、B14に記載の半導体装置(1等)。
【0307】
[B16]前記第1電極(50/150)は、前記センススイッチング素子(2)に電気的に接続されている、B14またはB15に記載の半導体装置(1等)。
【0308】
[B17]平面視において前記第1電極(50)および前記第2電極(55)から間隔を空けて前記センスセル領域(104)に重なる領域に配置され、前記センススイッチング素子(2)に電気的に接続された第3電極(150)と、平面視において前記第3電極(150)に重なる部分を有し、前記第3電極(150)に電気的に接続された第3端子電極(170)と、をさらに含む、B14~B16のいずれか一つに記載の半導体装置(1等)。
【0309】
[B18]前記非アクティブ領域(4、104、204)に形成されたダイオード(290)と、平面視において前記ダイオード(290)に重なる部分を有し、前記ダイオード(290)に電気的に接続された極性端子電極(270、275)と、をさらに含む、B13~B17のいずれか一つに記載の半導体装置(1等)。
【0310】
[B19]主面(11)を有する半導体層(10)と、前記半導体層(10)に形成され、メイン電流を生成するメイン素子(2)と、前記半導体層(10)において前記メイン素子(2)とは異なる領域に形成され、前記メイン電流を監視するモニタ電流を生成するセンス素子(2)と、前記主面(11)の上に配置され、前記メイン素子(2)に電気的に接続された第1電極(50)と、前記第1電極(50)から間隔を空けて前記主面(11)の上に配置され、前記メイン素子(2)に電気的に接続された第2電極(55)と、前記第1電極(50)および前記第2電極(55)から間隔を空けて前記主面(11)の上に配置され、前記センス素子(2)に電気的に接続された第3電極(150)と、前記第1電極(50)の上で前記第1電極(50)に電気的に接続された第1端子電極(70)と、前記第2電極(55)の上で前記第2電極(55)に電気的に接続された第2端子電極(75)と、平面視において前記第3電極(150)に重なる部分、および、前記第2電極(55)に重なる部分を有し、前記第3電極(150)に電気的に接続された第3端子電極(170)と、を含む、半導体装置(1等)。
【0311】
[B20]主面(11)を有する半導体層(10)と、前記半導体層(10)に形成されたスイッチング素子(2)と、前記半導体層(10)において前記スイッチング素子(2)とは異なる領域に形成されたダイオード(290)と、前記主面(11)の上に配置され、前記スイッチング素子(2)に電気的に接続された第1電極(50/150)と、前記第1電極(50/150)から間隔を空けて前記主面(11)の上に配置され、前記スイッチング素子(2)に電気的に接続された第2電極(55)と、前記第1電極(50/150)の上で前記第1電極(50/150)に電気的に接続された第1端子電極(70/170)と、前記第2電極(55)の上で前記第2電極(55)に電気的に接続された第2端子電極(75)と、平面視において前記ダイオード(290)に重なる部分、および、前記第2電極(55)に重なる部分を有し、前記ダイオード(290)に電気的に接続された極性端子電極(270、275)と、を含む、半導体装置(1等)。
【0312】
[C1]一方側の第1主面(11)および他方側の第2主面(12)を有し、SiCを含む半導体層(10)と、前記第1主面(11)に設けられたアクティブ領域(3、103、203)と、前記第1主面(11)において前記アクティブ領域(3、103、203)外に設けられた非アクティブ領域(4、104、204)と、前記第1主面(11)を被覆する第1絶縁層(61)と、平面視において前記アクティブ領域(3、103、203)に重なるように前記第1絶縁層(61)の上に配置された第1主電極層(55)と、平面視において前記非アクティブ領域(4、104、204)に重なるように前記第1主電極層(55)から間隔を空けて前記第1絶縁層(61)の上に配置され、前記第1主電極層(55)から電気的に分離された第1導電層(50/150/290)と、前記第1主電極層(55)および前記第1導電層(50/150/290)を被覆する第2絶縁層(63)と、平面視において前記第1主電極層(55)に重なるように前記第2絶縁層(63)の上に配置され、前記第1主電極層(55)から電気的に分離され、前記第1導電層(50/150/290)に電気的に接続された第2導電層(70/170/270/275)と、前記第2主面(12)を被覆する電極(40)と、を含む、半導体装置(1等)。
【0313】
[C2]前記アクティブ領域(3、103、203)において前記半導体層(10)に形成されたスイッチング素子(2)をさらに含み、前記第1導電層(50/150/290)および前記第2導電層(70/170/270/275)は、前記スイッチング素子(2)に電気的に接続されている、C1に記載の半導体装置(1等)。
【0314】
[C3]前記スイッチング素子(2)は、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)およびIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)のうちの少なくとも一方を含む、C2に記載の半導体装置(1等)。
【0315】
[C4]前記第1導電層(50/150)および前記第2導電層(70/170)は、前記スイッチング素子(2)のゲートに電気的に接続され、ゲート電圧の第1伝送路を形成している、C3に記載の半導体装置(1等)。
【0316】
[C5]前記半導体層(10)に形成された電流検出素子(2)をさらに含み、前記第1導電層(150)および前記第2導電層(170)は、前記電流検出素子(2)に電気的に接続され、前記電流検出素子(2)で生成された信号の第2伝送路を形成している、C1に記載の半導体装置(1等)。
【0317】
[C6]前記電流検出素子(2)は、前記非アクティブ領域(4、104、204)に形成されている、C5に記載の半導体装置(1等)。
【0318】
[C7]前記第1導電層(290)は、ダイオード(290)によって構成され、前記第2導電層(270/275)との間で当該ダイオード(290)を流れる電流の第3伝送路を形成している、C1に記載の半導体装置(1等)。
【0319】
[C8]前記ダイオード(290)は、感温ダイオード(290)であり、前記第3伝送路は、前記半導体層(10)の温度を検出する信号を伝達する、C7に記載の半導体装置(1等)。
【0320】
[C9]前記ダイオード(290)は、前記非アクティブ領域(4、104、204)に形成されている、C7またはC8に記載の半導体装置(1等)。
【0321】
[C10]前記第1導電層(50/150/290)は、前記第1主電極層(55)と実質的に同一の厚さおよび実質的に同一の材料によって構成されている、C1~C9のいずれか一つに記載の半導体装置(1等)。ここにいう「実質的に同一」は、第1主電極層(55)および第1導電層(50/150/290)が同一のプロセス(製造工程)を経て形成されることによって同一の構成(厚さおよび材料)を有していることを意味する。
【0322】
[C11]平面視において前記第1主電極層(55)に重なるように前記第2導電層(70/170/270/275)から間隔を空けて前記第2絶縁層(63)の上に配置された第2主電極層(75)をさらに含む、C1~C10のいずれか一つに記載の半導体装置(1等)。
【0323】
[C12]前記第2主電極層(75)は、前記第2導電層(70/170/270/275)と実質的に同一の厚さ、および、実質的に同一の材料によって構成されている、C11に記載の半導体装置(1等)。ここにいう「実質的に同一」は、第2主電極層(75)および第2導電層(70/170/270/275)が同一のプロセス(製造工程)を経て形成されることによって同一の構成(厚さおよび材料)を有していることを意味する。
【0324】
[C13]前記第2導電層(70/170/270/275)および前記第2主電極層(75)の少なくとも一方は、外部端子(302d、302g、302s、402)に電気的に接続されるように外部に露出している、C11またはC12に記載の半導体装置(1等)。
【0325】
[C14]前記第2導電層(70/170/270/275)および前記第2主電極層(75)の少なくとも一方は、ボンディングワイヤ(303g、303s)、半田(502)または焼結金属(502)を介して前記外部端子(302d、302g、302s、402)に電気的に接続されるように構成されている、C13に記載の半導体装置(1等)。
【0326】
[C15]前記外部端子(302d、302g、302s、402)は、リードフレームである、C13またはC14に記載の半導体装置(1等)。
【0327】
[C16]前記第1主電極層(55)は、外部端子(302d、302g、302s、402)に電気的に接続されるように外部に露出している、C1~C10のいずれか一つに記載の半導体装置(1等)。
【0328】
[C17]前記第1主電極層(55)は、ボンディングワイヤ(303g、303s)、半田(502)または焼結金属(502)を介して前記外部端子(302d、302g、302s、402)に電気的に接続されるように構成されている、C16に記載の半導体装置(1等)。
【0329】
[C18]前記外部端子(302d、302g、302s、402)は、リードフレームである、C16またはC17に記載の半導体装置(1等)。
【0330】
[C1]~[C18]に係る半導体装置は、[C4]~[C8]に係る第1伝送路、第2伝送路および第3伝送路のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。つまり、半導体装置において、第1伝送路、第2伝送路および第3伝送路は単独で設けられてもよいし、複合的に設けられてもよい。具体的には、第1伝送路、第2伝送路および第3伝送路のいずれか1つのみを含む半導体装置が採用されてもよい。
【0331】
また、第1伝送路、第2伝送路および第3伝送路のいずれか2つのみを含む半導体装置が採用されてもよい。また、第1伝送路、第2伝送路および第3伝送路の全てを含む半導体装置が採用されてもよい。複数の伝送路が設けられる場合、少なくとも1つの伝送路が上記[C1]に係る構成を具備することが好ましい。この場合、複数の伝送路の全てが上記[C1]に係る構成を具備することが特に好ましい。
【0332】
[D1]縦型トランジスタを含む半導体装置であって、第1主面、および、当該第1主面の反対側の第2主面を有し、SiCを主成分として含む半導体層と、前記第1主面の一部を覆う第1電極と、平面視において前記第1電極から間隔を空けて設けられた第2電極であって、前記第1主面の一部を覆う第2電極と、前記第1電極に対して前記半導体層と反対側に設けられ、平面視において少なくとも一部が前記第1電極に重なり、かつ、前記第1電極に電気的に接続された第1電極パッドと、前記第2主面に設けられた電極とを備え、前記第1電極パッドは、平面視において、前記第2電極の一部に重なっている半導体装置。
【0333】
[D2]前記第1主面に垂直な方向において、前記第1電極パッドと前記第2電極との間に位置する第1絶縁層をさらに備えるD1に記載の半導体装置。
【0334】
[D3]前記第1絶縁層の側面は、前記第1主面に垂直な方向に沿う平面であるD2に記載の半導体装置。
【0335】
[D4]前記第2電極に電気的に接続される第2電極パッドをさらに備え、前記第2電極パッドの前記第1電極パッド側の端部は、前記第1絶縁層上に位置しているD2またはD3に記載の半導体装置。
【0336】
[D5]前記第1電極パッドと前記第2電極パッドとの境界部を覆う第2絶縁層をさらに備えるD4に記載の半導体装置。
【0337】
[D6]前記縦型トランジスタは、前記半導体層の前記第1主面側の表面に形成されたソース領域と、前記ソース領域にゲート絶縁膜を介して隣接するゲート電極と、前記半導体層に形成されたドレイン領域とを含み、前記第1電極は、前記ゲート電極に電気的に接続され、前記第2電極は、前記ソース領域に電気的に接続されているD1~D5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0338】
[D7]前記縦型トランジスタは、平面視において、ドレイン電流を導通するためのメインセル領域と、ドレイン電流を検知するための電流検知用セル領域とを有しており、前記第2電極は、前記メインセル領域と対応して配置されており、前記半導体装置は、平面視において前記第1電極および前記第2電極から間隔を空けて設けられ、前記電流検知用セル領域に対応して配置された第3電極と、前記第3電極に対して前記半導体層と反対側に設けられ、平面視において少なくとも一部が前記第3電極に重なり、かつ、前記第3電極に電気的に接続された第3電極パッドとをさらに備え、前記第3電極パッドは、平面視において、前記第2電極の一部に重なっているD6に記載の半導体装置。
【0339】
[D8]前記第1主面の一部を覆う絶縁層上に設けられたダイオードと、前記ダイオードのp型半導体層に電気的に接続されたアノード電極パッドと、前記ダイオードのn型半導体層に電気的に接続されたカソード電極パッドとをさらに備え、前記アノード電極パッドおよびカソード電極パッドの少なくとも一方は、平面視において、前記第2電極の一部に重なっているD6またはD7に記載の半導体装置。
【0340】
[D9]縦型トランジスタを含む半導体装置の製造方法であって、第1主面、および、当該第1主面の反対側の第2主面を有し、SiCを主成分として含む半導体層の前記第1主面の一部を覆う第1電極および第2電極を、互いに間隔を空けて形成する第1工程と、前記第1電極に電気的に接続された第1電極パッドを、平面視において前記第1電極パッドの少なくとも一部が前記第1電極に重なるように、前記第1電極に対して前記半導体層と反対側に形成する第2工程とを含み、前記第1電極パッドは、平面視において、前記第2電極の一部に重なっている半導体装置の製造方法。
【0341】
[E1]アクティブ領域および非アクティブ領域を有する第1主面、および、当該第1主面の反対側の第2主面を有し、SiCを主成分として含む半導体層と、前記第1主面上に形成された第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に形成され、前記アクティブ領域に対応する領域に形成された第1主電極層と、前記第1絶縁層上に形成され、前記第1主電極層とは電気的に分離されるとともに前記非アクティブ領域に対応する領域に形成された第1導電層と、前記第1主電極層および前記第1導電層の上に形成された第2絶縁層と、前記第2絶縁層の上に形成され、前記第1導電層と電気的に接続されるとともに、前記第1主電極層と電気的に分離され、その一部が前記半導体層の厚み方向において前記第1主電極層と重なる領域に形成された第2導電層と、前記第2主面上に形成された電極と、を備えた、半導体装置。
【0342】
[E2]半導体装置はMOSFETまたはIGBTを含む絶縁ゲート駆動型のスイッチング素子を含み、第1導電層および第2導電層は、絶縁ゲート駆動型のスイッチング素子の制御に用いられる制御用信号の伝送路を構成する。
【0343】
[E3]すなわち、第1導電層および第2導電層は、スイッチング素子のゲート電極に接続されることにより、ゲート電圧の制御信号の伝送路である第1伝送路を構成してもよい。
【0344】
[E4]また、第1導電層および第2導電層は、電流検出用素子のソース電極(エミッタ電極)に接続されることにより、半導体装置に流れる電流を検出するための検出信号の伝送路である第2伝送路を構成してもよい。
【0345】
[E5]また、第1導電層および第2導電層は、半導体装置の温度検出用のダイオードの電極に接続されることにより、半導体装置の温度を検出するための検出信号の伝送路である第3伝送路を構成してもよい。
【0346】
[E6]第1、第2、第3伝送路は半導体装置に単独で設けられてもよいし、複数が設けられてもよい。
【0347】
[E7]具体的には、第1伝送路のみを設ける構成でもよいし、第1伝送路に加えて第2伝送路または第3伝送路を設けてもよいし、第1伝送路、第2伝送路、および、第3伝送路を全て備えた半導体装置としてもよい。
【0348】
[E8]複数の伝送路を設ける場合、その全ての伝送路について上記付記の構成を満たす構成とすることが好ましいが、少なくとも1つの伝送路について上記付記を満たしていてもよい。
【0349】
[E9]第1主電極層と第1導電層とは実質的に同一の厚みおよび材料により構成されてもよい。「実質的に同一」とは、第1主電極層と第1導電層とが同一のプロセスにより形成されることにより同一の構成となることを意味している。
【0350】
[E10]また、第1主電極層の上に重なるように、第2主電極層が形成されていてもよい。
【0351】
[E11]この場合、第2主電極層と第2導電層とは実質的に同一の厚みおよび材料により構成されてもよい。
【0352】
[E12]第2導電層および第2主電極層は、前記半導体装置の表面に露出しており、対応する外部端子との接続に用いられる。
【0353】
[E13]なお、第2主電極層を設けない場合、第1主電極層が前記半導体装置の表面に露出しており、外部端子との接続に用いられてもよい。
【0354】
[E14]第2導電層および第2主電極層とそれぞれに対応するリードフレームなどの外部端子との間はワイヤボンディングにより行われるが、半田もしくは焼結金属により第2導電層および第2主電極層と外部端子とが接合されてもよい。
【0355】
[E15]第2導電層と外部端子との間はワイヤボンディングにより行われ、第2主電極層と外部端子との間は、半田もしくは焼結金属により接合されてもよい。
【0356】
以上、1つまたは複数の態様に係る半導体装置および半導体装置の製造方法が実施形態に基づいて説明されたが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。前述の各実施形態に対しては、請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置換、付加、省略等が施され得る。本発明の主旨を逸脱しない限り、当業者が想到し得る各種変形を各実施形態に施した形態や、異なる実施形態における各種構成要素の組み合わせ形態も、本発明の範囲内に含まれる。本発明は、産業上の利用可能性として、半導体装置および半導体パッケージ等に利用できる。
【符号の説明】
【0357】
1 半導体装置
2 縦型トランジスタ
3 アクティブ領域
4 非アクティブ領域
10 半導体層
11 第1主面
12 第2主面
13 半導体基板
14 エピタキシャル層
17 ソース領域
20 ゲート電極
23 ゲート絶縁層
40 ドレイン電極
50 主面ゲート電極
55 主面ソース電極
63 上部絶縁層
66 保護絶縁層
70 ゲートパッド
75 ソースパッド
80 境界部
101 半導体装置
101a 半導体装置
103 アクティブ領域
104 非アクティブ領域
150 電流検知電極
170 電流検知パッド
201 半導体装置
201a 半導体装置
201b 半導体装置
203 アクティブ領域
204 非アクティブ領域
260 絶縁層
270 アノード電極パッド
275 カソード電極パッド
290 ダイオード
291 p型半導体層
292 n型半導体層
302d 端子
302g 端子
302s 端子
402 端子
303g ボンディングワイヤ
303s ボンディングワイヤ
501 半導体装置
502 接合材