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特許7535687レーザ装置及びそれを用いたレーザ加工装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】レーザ装置及びそれを用いたレーザ加工装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/08 20060101AFI20240809BHJP
   G02B 6/32 20060101ALI20240809BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20240809BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
G02B26/08 A
G02B6/32
G02B6/02 431
G02B6/42
G02B26/08 C
G02B26/08 D
G02B26/08 E
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021571218
(86)(22)【出願日】2021-01-14
(86)【国際出願番号】 JP2021000963
(87)【国際公開番号】W WO2021145357
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】P 2020004767
(32)【優先日】2020-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】西尾 正敏
(72)【発明者】
【氏名】西原 学
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 義典
【審査官】山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-171283(JP,A)
【文献】特開2011-115806(JP,A)
【文献】特開2003-295075(JP,A)
【文献】特開平01-113191(JP,A)
【文献】特開平11-274614(JP,A)
【文献】特開2019-192757(JP,A)
【文献】特開2010-207879(JP,A)
【文献】国際公開第2011/013666(WO,A1)
【文献】特開2007-157937(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0208468(US,A1)
【文献】国際公開第2016/117472(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/049914(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/00-26/08
B23K 26/00,26/042
G02B 6/02,6/32,6/42
G02B 27/00
H01S 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出射するレーザ発振器と、
前記レーザ光の光路上に配置され、前記レーザ光の光路を変更する光路変更部品と、
前記光路変更部品に連結され、前記光路変更部品を変位させるアクチュエータと、
前記レーザ光の光路を囲むように配置され、前記レーザ光の光軸ずれを検出する光軸ずれ検出器と、
前記光軸ずれ検出器での検出結果に基づいて前記アクチュエータを駆動することで、前記光路変更部品を変位させて前記レーザ光の光軸ずれを補正する制御部と、を少なくとも備え
前記レーザ光の光路上に複数の前記光路変更部品が配置されており、
前記アクチュエータに連結された前記光路変更部品の個数に対応して、複数の前記光軸ずれ検出器が前記レーザ光の光軸に沿って所定の間隔をあけて配置されていることを特徴とするレーザ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザ装置において、
前記光軸ずれ検出器は、
環状のアパーチャーと、
前記レーザ光の進行方向と対向する前記アパーチャーの第1面に互いに所定の間隔をあけて設けられた複数の光検出器と、を有していることを特徴とするレーザ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のレーザ装置において、
前記複数の光検出器は、
前記レーザ光の光軸を挟んで前記第1面内の第1方向に対向する位置にそれぞれ設けられた第1及び第2光検出器と、
前記レーザ光の光軸を挟んで前記第1方向と略直交する第2方向に対向する位置にそれぞれ設けられた第3及び第4光検出器と、を少なくとも有していることを特徴とするレーザ装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載のレーザ装置において、
前記レーザ光の光軸のずれ量と前記複数の光検出器のそれぞれの出力範囲とが予め関連付けられており、
前記制御部は、前記複数の光検出器のそれぞれの出力範囲が所定の許容範囲に収まるように前記アクチュエータを駆動して前記光路変更部品を変位させることを特徴とするレーザ装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のレーザ装置において、
前記レーザ発振器は、
複数のレーザモジュールと、
前記複数のレーザモジュールからそれぞれ出射されたモジュールレーザ光を結合し、前記レーザ光として出射するビーム結合器と、
前記ビーム結合器から出射された前記レーザ光を所定の倍率で縮小して集光する集光レンズを有する集光光学ユニットと、を少なくとも有し、
前記光路変更部品は、前記ビーム結合器の内部及び前記集光光学ユニットの内部の少なくとも一方に配置されていることを特徴とするレーザ装置。
【請求項6】
請求項5に記載のレーザ装置において、
前記光軸ずれ検出器は、前記集光光学ユニットのレーザ光入射口と前記集光レンズとの間に配置されていることを特徴とするレーザ装置。
【請求項7】
請求項5に記載のレーザ装置において、
前記集光光学ユニットには前記レーザ光を伝送する伝送ファイバが接続されており、
前記伝送ファイバには、少なくとも前記集光光学ユニットとの接続部近傍にモードストリッパが設けられており、
前記光軸ずれ検出器は、前記モードストリッパを囲むように配置されていることを特徴とするレーザ装置。
【請求項8】
請求項1ないしのいずれか1項に記載のレーザ装置において、
前記光路変更部品は、入射された前記レーザ光を所定の方向に反射させる反射ミラー及び入射された前記レーザ光を所定の形状に整形するレンズ並びに前記レーザ光に対し1より大きい屈折率を有し、前記レーザ光を透過させる平行平板の少なくともいずれかであることを特徴とするレーザ装置。
【請求項9】
請求項1ないしのいずれか1項に記載のレーザ装置において、
前記アクチュエータは、圧電アクチュエータであることを特徴とするレーザ装置。
【請求項10】
レーザ光を出射するレーザ発振器と、
前記レーザ光の光路上に配置され、前記レーザ光の光路を変更する光路変更部品と、
前記光路変更部品に連結され、前記光路変更部品を変位させるアクチュエータと、
前記レーザ光の光路を囲むように配置され、前記レーザ光の光軸ずれを検出する光軸ずれ検出器と、
前記光軸ずれ検出器での検出結果に基づいて前記アクチュエータを駆動することで、前記光路変更部品を変位させて前記レーザ光の光軸ずれを補正する制御部と、
を少なくとも備えたレーザ装置と、
前記レーザ装置から出射された前記レーザ光を伝送する伝送ファイバと、
前記伝送ファイバの出射端に取り付けられ、前記レーザ光をワークに向けて照射するレーザ光出射ヘッドと、を少なくとも備えたことを特徴とするレーザ加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザ装置及びそれを用いたレーザ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光通信や材料加工等の分野でレーザ光を出射するレーザ装置が多く用いられている。多くの場合、レーザ光を所望の位置に照射させるため、レーザ装置には、レーザ光の光軸を調整する機構が設けられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、レーザ光を伝送ファイバのコアに光学的に結合させるレンズとビームスプリッタと多分割受光素子とを備えた光送受信モジュールが開示されている。このモジュールでは、伝送ファイバの端面で反射した反射光をビームスプリッタを用いて多分割受光素子に入射させ、受光素子の各分割部からの出力信号に基づいてアクチュエータを駆動して、レーザ光の光軸が伝送ファイバのコアと一致するようにレンズの位置を調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-275022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、レーザ加工等で用いられるレーザ光は出力が大きく、コアを外れて伝送ファイバのクラッドにレーザ光が入射した場合、伝送ファイバの端面が損傷してしまう。このため、特許文献1に開示される構成によってレーザ光の光軸ずれを補正することは難しかった。
【0006】
本開示はかかる点に鑑みてなされたもので、その目的は、簡便な構成で大出力のレーザ光の光軸ずれを補正可能なレーザ装置及びそれを用いたレーザ加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本開示に係るレーザ装置は、レーザ光を出射するレーザ発振器と、前記レーザ光の光路上に配置され、前記レーザ光の光路を変更する光路変更部品と、前記光路変更部品に連結され、前記光路変更部品を変位させるアクチュエータと、前記レーザ光の光路を囲むように配置され、前記レーザ光の光軸ずれを検出する光軸ずれ検出器と、前記光軸ずれ検出器での検出結果に基づいて前記アクチュエータを駆動することで、前記光路変更部品を変位させて前記レーザ光の光軸ずれを補正する制御部と、を少なくとも備え、前記レーザ光の光路上に複数の前記光路変更部品が配置されており、前記アクチュエータに連結された前記光路変更部品の個数に対応して、複数の前記光軸ずれ検出器が前記レーザ光の光軸に沿って所定の間隔をあけて配置されていることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、簡便な構成で大出力のレーザ光の光軸ずれを補正することができる。
【0009】
本開示に係るレーザ加工装置は、レーザ光を出射するレーザ発振器と、前記レーザ光の光路上に配置され、前記レーザ光の光路を変更する光路変更部品と、前記光路変更部品に連結され、前記光路変更部品を変位させるアクチュエータと、前記レーザ光の光路を囲むように配置され、前記レーザ光の光軸ずれを検出する光軸ずれ検出器と、前記光軸ずれ検出器での検出結果に基づいて前記アクチュエータを駆動することで、前記光路変更部品を変位させて前記レーザ光の光軸ずれを補正する制御部と、を少なくとも備えたレーザ装置と、前記レーザ装置から出射された前記レーザ光を伝送する伝送ファイバと、前記伝送ファイバの出
射端に取り付けられ、前記レーザ光をワークに向けて照射するレーザ光出射ヘッドと、を少なくとも備えたことを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、ワークの加工点に対して正確にレーザ光を照射でき、ワークの加工品質を高められる。また、伝送ファイバのコアに対してレーザ光の光軸を精度良く合わせられるため、伝送ファイバの損傷を抑制できる。
【発明の効果】
【0011】
本開示のレーザ装置によれば、簡便な構成で大出力のレーザ光の光軸ずれを補正することができる。また、本開示のレーザ加工装置によれば、ワークの加工品質を高められ、伝送ファイバの損傷を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本開示の実施形態1に係るレーザ加工装置の構成を示す模式図である。
図2図2は、レーザ装置の要部の配置を示す模式図である。
図3図3は、光軸ずれ検出器の概要を示す模式図である。
図4図4は、変形例1に係るレーザ装置の要部の配置を示す模式図である。
図5図5は、変形例2に係るレーザ装置の要部の配置を示す模式図である。
図6図6は、変形例2に係る別のレーザ装置の要部の配置を示す模式図である。
図7図7は、本開示の実施形態2に係るレーザ装置の要部の配置を示す模式図である。
図8図8は、複数の光軸ずれ検出器によってレーザ光の光軸ずれを検出する原理を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0014】
(実施形態1)
[レーザ加工装置の構成]
図1は、本実施形態に係るレーザ加工装置の構成の模式図を示し、レーザ加工装置100は、レーザ装置10と伝送ファイバ30とレーザ光出射ヘッド40と電源50とを備えている。なお、レーザ光LBをワークWに向けて照射するレーザ光出射ヘッド40は、図示しないマニピュレータに取り付けられていてもよい。その場合は、マニピュレータは図示しないロボット制御部に接続され、レーザ加工プログラムに応じて所定の軌跡を描くようにレーザ光出射ヘッド40を移動させる。
【0015】
なお、以降の説明において、図1におけるレーザモジュール13の配列方向をY方向、集光光学ユニット15から伝送ファイバ30に向かう方向をZ方向、X方向及びZ方向と直交する方向をY方向とそれぞれ呼ぶことがある。
【0016】
レーザ装置10は、レーザ発振器12と制御部20とを有しており、このうち、レーザ発振器12は筐体11内に収容されている。また、後述する光軸ずれ検出器16と反射ミラーM1,M2とアクチュエータACT1,ACT2とは、レーザ発振器12の内部に配置されている。また、レーザ発振器12からレーザ光LBが入射される伝送ファイバ30の端部(以下、単に入射端という。)は、筐体11内に収容されている。なお、レーザ光LBが出射される伝送ファイバ30の端部を、以下、単に出射端という。
【0017】
レーザ発振器12は、レーザ光源として機能する複数のレーザモジュール13とビーム結合器14と集光光学ユニット15とを有している。レーザモジュール13は、異なる波長のレーザビームを発する複数のレーザダイオードまたはレーザダイオードアレイからなり、レーザモジュール13内で波長合成されたレーザ光(以下、モジュールレーザ光と呼ぶことがある。)が各レーザモジュール13からそれぞれ出射される。
【0018】
ビーム結合器14は、筐体14aと、その内部に配設された反射ミラーM1,M2を含む複数の反射ミラーと、アクチュエータACT1,ACT2を含む複数のアクチュエータとを有している。複数の反射ミラーは、レーザ光LBのうち加工に必要なモード成分の光路LP(図3参照)上に配置され、レーザ光LBを集光光学ユニット15に向かわせるための光路変更部品である。また、複数のアクチュエータは反射ミラーのそれぞれに連結されている(図2参照)。反射ミラーM1,M2及びアクチュエータACT1,ACT2の動作については後で述べる。
【0019】
ビーム結合器14は、複数のレーザモジュール13からそれぞれ出射されたモジュールレーザ光をレーザ光LBに結合して集光光学ユニット15に出射する。具体的には、各々のモジュールレーザ光の光軸を近接又は一致させるとともに、互いの光軸が平行になるように結合する。
【0020】
集光光学ユニット15は、筐体15aと、その内部に配設され、入射されたレーザ光LBを所定の倍率で縮小して集光し、所定の焦点に結像させる集光レンズFLとを有している。また、筐体15aの内部には光軸ずれ検出器16が配設されている(図2参照)。光軸ずれ検出器16の構造及び機能については後で述べる。
【0021】
また、集光光学ユニット15はコネクタ15bを有し、コネクタ15bには伝送ファイバ30が接続されている。また、コネクタ15bは、伝送ファイバ30の入射端に接して設けられた石英ブロック15c(図2参照)を保持している。石英ブロック15cはレーザ光を伝送ファイバ30に光学的に結合させるとともに伝送ファイバ30の入射端を保護する機能を有している。
【0022】
レーザ発振器12をこのような構成とすることで、レーザ光LBの出力が数kWを超える大出力のレーザ加工装置100を得ることができる。また、レーザ発振器12は、電源50から電力が供給されてレーザ発振を行い、レーザ光LBが伝送ファイバ30の出射端から出射される。なお、本実施形態では、4つのレーザモジュール13がレーザ発振器12に搭載されているが、特にこれに限定されない。レーザモジュール13の搭載個数は、レーザ加工装置100に要求される出力仕様や、各々のレーザモジュール13の出力仕様によって適宜変更されうる。なお、本実施形態において、レーザ光LBのビーム品質を表わすBPP(Beam Parameter Product)は4程度であり、レーザ光LBは複数のモード成分を含んでいる。
【0023】
伝送ファイバ30は、集光光学ユニット15の筐体15aに取り付けられたコネクタ15b内の石英ブロック15cに光学的に結合され、集光レンズFLを介してレーザ発振器12から受け取ったレーザ光LBをレーザ光出射ヘッド40に伝送する。また、伝送ファイバ30は、軸心にレーザ光LBを伝送するためのコア31と、コア31の外周側に、コア31と同軸に設けられたクラッド32とを有している(図2参照)。なお、コア31及びクラッド32は、それぞれ石英からなるが、クラッド32の屈折率はコア31の屈折率よりも低くなるように構成されており、クラッド32はレーザ光LBをコア31内に閉じ込める機能を有している。また、クラッド32の外周面は、伝送ファイバ30を機械的ダメージから保護するための皮膜(図示せず)で覆われている。
【0024】
レーザ光出射ヘッド40は、伝送ファイバ30で伝送されたレーザ光LBを外部に向けて照射する。また、レーザ光出射ヘッド40の内部には図示しない光学部品、例えば、コリメータレンズや集光レンズや保護ガラス等を有している。例えば、図1に示すレーザ加工装置100では、所定の位置に配置された加工対象物であるワークWに向けてレーザ光LBを出射する。このようにすることで、ワークWがレーザ加工される。
【0025】
制御部20は、レーザ発振器12のレーザ発振を制御する。具体的には、レーザ発振器12に接続された電源50に対して出力電圧やオン時間等の制御信号を供給することにより、各々のレーザモジュール13のレーザ発振制御を行う。各々のレーザモジュール13に対して個別にレーザ発振制御を行うことも可能である。例えば、レーザモジュール13毎にレーザ発振出力やオン時間等に差異をつけるようにしてもよい。
【0026】
また、制御部20は、光軸ずれ検出器16での検出結果に基づいてアクチュエータACT1,ACT2を駆動し、反射ミラーM1,M2を変位させる。具体的には、レーザ光の光軸LA(図2参照)に対する反射ミラーM1,M2の角度を変化させる。これについては後で述べる。また、制御部20は、レーザ光出射ヘッド40がマニピュレータ(図示せず)に取り付けられた場合に、その動作を制御してもよい。
【0027】
電源50は、前述したように、レーザ発振を行うための電力をレーザ発振器12、具体的には、複数のレーザモジュール13のそれぞれに対して供給する。制御部20からの指令により、各々のレーザモジュール13に供給される電力に差異をつけるようにしてもよい。また、電源50は、レーザ加工装置100の可動部、例えば、上記のマニピュレータに対して電力を供給するようにしてもよいし、レーザ加工装置100の可動部向けには別の電源(図示せず)から電力を供給するようにしてもよい。
【0028】
なお、レーザ加工装置100は、図示しない表示部を備えていてもよい。表示部には、レーザ加工時の各パラメータ、例えば、レーザ光LBの設定値や実出力等を表示させてもよい。また、表示部は、レーザ加工装置100の各構成部品に異常が発生した場合、異常箇所を表示するようにしてもよい。
【0029】
[レーザ装置の内部配置及び光軸ずれ検出器の構成]
図2は、レーザ装置の要部の配置を模式的に示し、図3は、光軸ずれ検出器の模式図を示す。なお、説明の便宜上、図2において、ビーム結合器14の内部部品として反射ミラーM1,M2とアクチュエータACT1,ACT2のみを図示し、これら以外の部品の図示及び説明を省略する。また、集光光学ユニット15の内部部品として集光レンズFLと光軸ずれ検出器16のみを図示し、これら以外の部品の図示及び説明を省略する。また、図3において、第1~第4光検出器16b~16eと制御部20とを接続する配線の図示を省略する。
【0030】
1つのレーザモジュール13から出射されたモジュールレーザ光LB1は、ビーム結合器14のレーザ光入射口LIからその内部に入射し、反射ミラーM1,M2にそれぞれ反射されてビーム結合器14のレーザ光出射口LOから出射される。また、反射ミラーM1,M2には、それぞれアクチュエータACT1,ACT2が連結されており、後述する第1~第4光検出器16b~16eの出力信号に基づいて、反射ミラーM1,M2がそれぞれ変位される。具体的には、レーザ光LBの光軸LAに対する反射ミラーM1,M2の角度が変更される。なお、アクチュエータACT1,ACT2は、ピエゾ素子(図示せず)が搭載された圧電アクチュエータである。
【0031】
なお、図示しないが、ほかの3つのレーザモジュール13からそれぞれ出射されたモジュールレーザ光もビーム結合器14の内部に設けられた反射ミラー(図示せず)にそれぞれ反射されてビーム結合器14のレーザ光出射口LOから出射される。また、これらの反射ミラーには、図示しない圧電アクチュエータがそれぞれ連結されている。
【0032】
ビーム結合器14の内部で、それぞれのモジュールレーザ光は1つのレーザ光LBに結合され、また、レーザ光LBは平行光として集光レンズFLに入射される。レーザ光LBを平行光に変換するにあたって、図示しないコリメートレンズがビーム結合器14の内部に設けられていてもよいし、ビーム結合器14のレーザ光出射口LOと光軸ずれ検出器16との間に図示しないコリメートレンズが設けられていてもよい。なお、レーザ光LBを平行光に変換するにあたって、コリメートレンズを用いなくてもよい。例えば、モジュールレーザ光のそれぞれを反射する反射ミラーの曲率を予め所望の値に設定しておくことで、レーザ光LBを平行光としてもよい。
【0033】
また、集光光学ユニット15の内部には、ビーム結合器14のレーザ光出射口LOに連通した集光光学ユニット15のレーザ光入射口と集光レンズFLとの間に光軸ずれ検出器16が配設されており、光軸ずれ検出器16は集光光学ユニット15の筐体15aに取り付け固定されている。
【0034】
光軸ずれ検出器16は、環状のアパーチャー16aとアパーチャー16aの表面のうちレーザ光LBの進行方向に対向した第1面16a1に設けられた第1~第4光検出器16b~16eとで構成されている。なお、レーザ光LBの光軸LAが伝送ファイバ30のコア31を通るように調整された状態で、レーザ光LBの光軸LAはアパーチャー16aの中心を通るように設定されている。
【0035】
第1及び第2光検出器16b,16cは、アパーチャー16aの中心、言い換えるとレーザ光LBの光軸LAを挟んで第1面16a1内のX方向に対向する位置にそれぞれ設けられており、第3及び第4光検出器16d,16eは、レーザ光LBの光軸LAを挟んでY方向に対向する位置にそれぞれ設けられている。第1~第4光検出器16b~16eはそれぞれ、図示しない配線を介して制御部20に接続され、各々の出力信号が制御部20に入力される。
【0036】
また、図3に示すように、アパーチャー16aの内径は、レーザ光LBの光路LPの直径、言い換えると、レーザ光LBのうち加工に必要なモード成分が通過するエリアの直径よりも大きくなるように設定されている。一方、第1~第4光検出器16b~16eは、レーザ光LBの光路LPの外側にそれぞれ配設されている。
【0037】
[レーザ光の光軸ずれの補正手順]
長時間、レーザ発振を行うことによるレーザ装置10内の温度上昇や周囲環境の振動等により、レーザ装置10内の光学部品の位置ずれ等が起こる場合がある。このような場合、レーザ光LBの光軸LAがアパーチャー16aの中心から所定以上の距離にずれると、伝送ファイバ30のコア31からはみ出してレーザ光LBの一部がクラッド32に入射され、クラッド32がダメージを受ける場合がある。
【0038】
そこで、本実施形態に示すレーザ装置10では、光軸ずれ検出器16での検出結果、言い換えると、第1~第4光検出器16b~16eの出力信号に基づいてレーザ光LBの光軸ずれを補正している。
【0039】
具体的には、以下の手順でレーザ光の光軸ずれが補正される。
【0040】
まず、レーザ光LBの光軸LAがアパーチャー16aの中心から所定の距離以上にずれると、レーザ光LBの光路LPが第1~第4光検出器16b~16eのいずれかに近接するようになる。この場合、レーザ光LBの光路LPが近接した光検出器の出力信号が大きくなる。この出力信号が所定のしきい値を超えると、制御部20は、反射ミラーM1,M2に連結されたアクチュエータACT1,ACT2のいずれかあるいは両方を駆動して、レーザ光LBの光軸LAがアパーチャー16aの中心を通るように、反射ミラーM1,M2の角度を変更する。
【0041】
さらに言うと、制御部20は、レーザ光LBの光軸LAのずれ量と第1~第4光検出器16b~16eのそれぞれの出力範囲とが予め関連付けられたデータを保存しており、第1~第4光検出器16b~16eのそれぞれの出力範囲が所定の許容範囲に収まるようにアクチュエータACT1,ACT2を駆動して反射ミラーM1,M2の角度を変更する。
【0042】
なお、上記のデータは、制御部20の内部に保存されていなくてもよい。制御部20の外部にあって、制御部20からの指令によって制御部20に読み出されるようにしてもよい。
【0043】
[効果等]
以上説明したように、本実施形態に係るレーザ装置10は、レーザ光LBを出射するレーザ発振器12と、レーザ光LBの光路LP上に配置され、レーザ光LBの光路LPを変更する反射ミラー(光路変更部品)M1,M2と、反射ミラーM1,M2に連結され、反射ミラーM1,M2を変位させるアクチュエータACT1,ACT2と、レーザ光LBの光路LPを囲むように配置され、レーザ光LBの光軸ずれを検出する光軸ずれ検出器16と、光軸ずれ検出器16での検出結果に基づいてアクチュエータACT1,ACT2を駆動することで、反射ミラーM1,M2を変位させてレーザ光LBの光軸ずれを補正する制御部20と、を少なくとも備えている。
【0044】
本実施形態によれば、レーザ光LBの光軸ずれを簡便な構成で補正することができる。また、光軸ずれ検出器16をレーザ光LBの光路LPを囲むように配置することで、レーザ光LBのうち加工に必要なモード成分に干渉することなく、レーザ光LBの光軸ずれを検出でき、実際の加工等に使用されるレーザ光LBの品質を低下させることがない。
【0045】
また、光軸ずれ検出器16は、環状のアパーチャー16aと、レーザ光LBの進行方向と対向するアパーチャー16aの第1面16a1に互いに所定の間隔をあけて設けられた第1~第4光検出器16b~16eと、を有している。第1及び第2光検出器16b,16cは、レーザ光LBの光軸LAを挟んで第1面16a1内のX方向に対向する位置にそれぞれ設けられており、第3及び第4光検出器16d,16eは、レーザ光LBの光軸LAを挟んでY方向に対向する位置にそれぞれ設けられている。第1~第4光検出器16b~16eはそれぞれ、図示しない配線を介して制御部20に接続され、各々の出力信号が制御部20に入力される。
【0046】
光軸ずれ検出器16をこのように構成することで、レーザ光LBの光軸ずれを正確に補正することができる。例えば、第1及び第2光検出器16b,16cを上記のように配設することで、レーザ光LBの光軸LAがX方向に沿ってアパーチャー16aの中心からどちらの方向にずれたのかを検出することができる。同様に、第3及び第4光検出器16d,16eを上記のように配設することで、レーザ光LBの光軸LAがY方向に沿ってアパーチャー16aの中心からどちらの方向にずれたのかを検出することができる。このことにより、レーザ光LBの光軸LAがどの方向にずれているのかを正確に検出して、光軸ずれを補正することができる。
【0047】
レーザ光LBの光軸LAのずれ量と第1~第4光検出器16b~16eのそれぞれの出力範囲とが予め関連付けられており、制御部20は、第1~第4光検出器16b~16eのそれぞれの出力範囲が所定の許容範囲に収まるようにアクチュエータACT1,ACT2を駆動して反射ミラーM1,M2の角度を変更させることが好ましい。
【0048】
このようにすることで、第1~第4光検出器16b~16eの出力信号に応じて、レーザ光LBの光軸ずれを精度良く補正することができる。
【0049】
光軸ずれ検出器16は、集光光学ユニット15のレーザ光入射口と集光レンズFLとの間に配置されているのが好ましい。
【0050】
光軸ずれ検出器16をこのように配置することで、レーザ光LBの光軸ずれを容易に補正できる。
【0051】
また、アクチュエータACT1,ACT2は、圧電アクチュエータであるのが好ましく、圧電アクチュエータを用いることで、反射ミラーM1,M2を変位させる応答速度を高められる。また、レーザ光LBの光路長は、集光レンズFLを透過したレーザ光LBのスポット径に比べて十分に長い。このため、反射ミラーM1,M2の変位量、つまり、角度変更量は小さくてよく、電動モータ等の大型アクチュエータを用いる必要がなく、レーザ装置10が大型化するのを抑制できる。
【0052】
また、レーザ発振器12は、複数のレーザモジュール13と、複数のレーザモジュール13からそれぞれ出射されたモジュールレーザ光を結合し、レーザ光LBとして出射するビーム結合器14と、ビーム結合器14から出射されたレーザ光LBを所定の倍率で縮小して集光する集光レンズFLを有する集光光学ユニット15と、を少なくとも有している。反射ミラー(光路変更部品)M1,M2は、ビーム結合器14の内部に配置されている。
【0053】
レーザ発振器12をこのように構成することで、大出力のレーザ光LBを得ることができる。また、ビーム結合器14の内部に、光路変更部品である反射ミラーM1,M2を含む複数の反射ミラーを設けることで、複数のモジュールレーザ光を1つのレーザ光LBに結合できる。
【0054】
本実施形態に係るレーザ加工装置100は、レーザ装置10と、レーザ装置10から出射されたレーザ光LBを伝送する伝送ファイバ30と、伝送ファイバ30の出射端に取り付けられ、レーザ光LBをワークWに向けて照射するレーザ光出射ヘッド40と、を少なくとも備えている。
【0055】
レーザ加工装置100をこのように構成することで、レーザ光LBの光軸LAを伝送ファイバ30のコア31に一致させて、ワークWの加工点に対して正確にレーザ光LBを照射でき、ワークWの加工品質を高められる。また、レーザ光の光軸LAを伝送ファイバ30のコア31に対して精度良く合わせられるため、伝送ファイバ30の損傷を抑制できる。
【0056】
<変形例1>
図4は、本変形例に係るレーザ装置の要部の配置を模式的に示す。なお、図4において、実施形態1と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0057】
本変形例に係る構成は、光軸ずれ検出器16が集光光学ユニット15の外部に配置されている点で、実施形態1に示す構成と異なる。また、伝送ファイバ30は、入射端の近傍、つまり、集光光学ユニット15との接続部近傍にモードストリッパ33を有しており、光軸ずれ検出器16はモードストリッパ33の周囲を囲むように配設されている。なお、図示しないが、伝送ファイバ30の出射端の近傍にもモードストリッパ33は設けられている。
【0058】
ここで、モードストリッパ33について説明する。伝送ファイバ30は、入射端近傍と出射端近傍のそれぞれにモードストリッパ33を備えていることが多い。モードストリッパ33は、伝送ファイバ30に入射されるレーザ光LBのうち、コア31を伝搬せずクラッド32に入射される漏れ光を除去するための機構である。モードストリッパ33が無い場合、クラッド32に入射されたレーザ光LBがクラッド32中を伝搬し、伝送ファイバ30の出射端から低ビーム品質のレーザ光LBが出射されてしまう。モードストリッパ33の詳細な機構は、伝送ファイバ30を製造するメーカーにより異なるが、原理としては、クラッド32に入射した光を全反射させずに、熱に変換して除去するものである。このとき、クラッド32に入射した光はモードストリッパ33による損失を受け、大部分はクラッド32内を伝搬しない。また、クラッド32内を伝搬する光の一部はモードストリッパ33の外部に放射される。
【0059】
本変形例では、モードストリッパ33の周囲を囲むように光軸ずれ検出器16を設けることで、第1~第4光検出器16b~16eのいずれかが所定値以上の信号を出力した場合は、レーザ光LBがクラッド32に所定量以上入射されたと判定することができる。つまり、レーザ光LBの光軸LAが伝送ファイバ30のコア31からずれていると判定でき、実施形態1と同様に、第1~第4光検出器16b~16eの出力信号に基づいてレーザ光LBの光軸ずれを補正することができる。
【0060】
<変形例2>
図5は、本変形例に係るレーザ装置の要部の配置を、図6は、別のレーザ装置の要部の配置をそれぞれ模式的に示す。なお、図5,6において、実施形態1と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。また、説明の便宜上、図6において、レーザ光LBは光軸LAのみを図示している。
【0061】
図5に示す構成は、集光レンズFLにアクチュエータACT3が連結されている点で実施形態1に示す構成と異なる。光軸ずれ検出器16での検出結果に基づいて、制御部20がアクチュエータACT3を駆動して、集光レンズFLをXY平面内で移動させることによっても、レーザ光LBの光軸ずれを補正することができる。ただし、この場合は、レーザ光LBの加工に必要なモード成分が集光レンズFLの周縁でけられてしまわないように留意する必要があり、所定の許容範囲内で集光レンズFLは移動可能である。
【0062】
また、図6に示す構成は、アクチュエータACT4に連結された平行平板状の光学部材GPが反射ミラーM1と反射ミラーM2との間に配設されている点で実施形態1に示す構成と異なる。光学部材GPは石英からなり、レーザ光LBを透過させるとともに、レーザ光LBの波長に対して1よりも大きい屈折率を有している。
【0063】
光学部材GPを図6に示す位置に配置することで、レーザ光LBの光軸LAを、光学部材GPの屈折率と厚さに応じた量だけシフトさせることができる。また、アクチュエータACT4を駆動させてレーザ光LBの光軸LAに対する光学部材GPの角度を変更することで、光学部材GPを透過した後のレーザ光LBを当初の進行方向から角度を変えて進行させることができる。このことにより、実施形態1と同様の効果を奏することができる。
【0064】
なお、図6では、反射ミラーM1と反射ミラーM2との間のレーザ光LBの光上に光学部材GPを配設したが、反射ミラーM2と光軸ずれ検出器16との間のレーザ光LBの光路上に光学部材GPを配設するようにしてもよい。この場合、光学部材GPはビーム結合器14の内部に配設されてもよいし、集光光学ユニット15の内部に配設されていてもよい。
【0065】
また、以上の説明から明らかなように、集光レンズFLや光学部材GPは実施形態1の光路変更部品に相当する。なお、ACT3,ACT4はいずれも圧電アクチュエータである。
【0066】
(実施形態2)
図7は、本実施形態に係るレーザ装置の要部の配置を模式的に示し、図8は、複数の光軸ずれ検出器によってレーザ光の光軸ずれを検出する原理を説明する模式図を示す。なお、図7,8において、実施形態1と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。また、説明の便宜上、反射ミラーM1,M2と光軸ずれ検出器16,17と集光レンズFL以外の構成部品の図示及び詳細な説明を省略する。また、レーザ光LBの光軸LAのみを図示している。
【0067】
本実施形態に示す構成は、反射ミラーM1,M2と集光レンズFLとの間のレーザ光LBの光路上に2つの光軸ずれ検出器16,17が設けられている点で、実施形態1に示す構成と異なる。光軸ずれ検出器16,17はいずれも図3に示すのと同様の構造を有している。また、2つの光軸ずれ検出器16,17は、レーザ光LBの光軸LAに沿って所定の間隔をあけて配置されている。
【0068】
レーザ装置10をこのように構成することで、光路変更部品である反射ミラーM1,M2の位置ずれによって、レーザ光LBの光軸ずれが発生している場合に、この光軸ずれを確実に検出できるともに、その補正を行うことができる。このことについて、図8を用いてさらに説明する。
【0069】
図7に示す位置に、反射ミラーM1,M2がそれぞれ配置されている場合には、レーザ光LBの光軸LAはアパーチャー16aの中心を通って集光レンズFLに入射される。一方、図8に示すように、反射ミラーM1が図7に示す位置から傾いて配置されていると、その傾きに応じて、レーザ光LBの光軸LAが所定の進行方向から傾いてしまう。このとき、光軸ずれ検出器の配置個数が1個であると、この光軸ずれを検出できないことがある。つまり、図8に示す光軸ずれ検出器16は、レーザ光LBの光軸LAがアパーチャー16aの内部を通っているため、光軸ずれ検出器16のサイズやレーザ光の伝搬条件によっては、第1~第4光検出器16b~16eの出力信号が許容範囲内に留まってしまう場合がある。
【0070】
一方、本実施形態によれば、光軸ずれ検出器16の後段、この場合は、集光レンズFLにより近い側に別の光軸ずれ検出器17を配置することにより、レーザ光LBの光軸LAの光軸ずれがあった場合に、それを補正して、光軸LAを所望の位置に調整することが可能となる。
【0071】
また、図示しないが、反射ミラーM2の角度が所定の位置からずれている場合にも同様の現象が起こりうる。本実施形態によれば、この場合もレーザ光LBの光軸ずれを確実に検出することができる。また、後段の位置にのみ光軸ずれ検出器17を配置した場合に、レーザ光LBの光軸ずれをうまく検出できない場合があるが、本実施形態によれば、レーザ光LBの光軸ずれを確実に検出することができる。
【0072】
光軸ずれ検出器は、アクチュエータに連結された光路変更部品である反射ミラーの数に応じた個数を設けるのが好ましいが、2つの光軸ずれ検出器16,17がレーザ光LBの光軸LAに沿って所定の間隔をあけて配置されていれば、各光路変更部品の位置ずれ等に起因した光軸ずれを検出することは可能である。
【0073】
なお、図7では、反射ミラーM2と集光レンズFLとの間のレーザ光LBの光路上に2つの光軸ずれ検出器16,17が設けられた例を示したが、例えば、反射ミラーM2と集光レンズFLとの間のレーザ光LBの光路上に1つの光軸ずれ検出器16を設け、伝送ファイバ30の入射端近傍であって、モードストリッパ33を囲むように別の光軸ずれ検出器17を設けてもよい。
【0074】
(その他の実施形態)
なお、変形例1,2を含む実施形態1,2に示す各構成要素を適宜組み合わせて、新たな実施形態とすることもできる。例えば、アクチュエータACT3に連結され、XY平面内に移動可能な変形例2に示す集光レンズFLを実施形態1,2に示す構成に適用してもよい。
【0075】
また、実施形態1において、複数のレーザモジュール13を有するレーザ発振器12を例に取って説明したが、レーザ光LBを出射する単一のレーザ光源を用いるようにしてもよい。この場合、ビーム結合器14の内部でのモジュールレーザ光の結合は省略されるが、レーザ光LBの光路を変更するために複数の反射ミラーが筐体14a内に設けられていてもよい。
【0076】
また、変形例1,2を含む実施形態1,2において、光路変更部品として反射ミラーM1,M2や集光レンズFLや光学部材GPを例に取って説明したが、これら以外の部品であってもよい。例えば、反射ミラーM1,M2に代えて、レーザ光LBを透過させるウェッジ板を用いてもよい。なお、ウェッジ板は、光学部材GPとは異なり、互いに対向し、レーザ光LBを透過する2つの面が平行ではない構成も含まれる。なお、ビーム結合器14の内部は、特に図2,4~6に示した構成に特に限定されず、別の構成であってもよい。
【0077】
また、レーザ光LBの波長帯によっては、伝送ファイバ30の入射端に接して設けられる光学部材が石英ブロック15cではなく、レーザ光LBを透過する他の材質の部材であってもよい。また、伝送ファイバ30を構成するコア31及びクラッド32の材質も特に石英に限定されず、レーザ光LBの波長帯によって適宜変更されうる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本開示のレーザ装置は、簡便な構成でレーザ光の光軸ずれを補正できるため、大出力のレーザ光を用いるレーザ加工装置等に適用する上で有用である。
【符号の説明】
【0079】
10 レーザ装置
12 レーザ発振器
13 レーザモジュール
14 ビーム結合器
15 集光光学ユニット
16,17 光軸ずれ検出器
16a アパーチャー
16a1 アパーチャー16aの第1面
16b~16e 第1~第4光検出器
20 制御部
30 伝送ファイバ
31 コア
32 クラッド
33 モードストリッパ
40 レーザ光出射ヘッド
50 電源
100 レーザ加工装置
ACT1,ACT2,ACT3,ACT4 アクチュエータ
FL 集光レンズ(光路変更部品)
GP 光学部材(光路変更部品)
LA レーザ光LBの光軸
LB レーザ光
M1,M2 反射ミラー(光路変更部品)
W ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8