(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】室内機
(51)【国際特許分類】
F25B 49/02 20060101AFI20240809BHJP
F24F 13/20 20060101ALI20240809BHJP
F24F 11/89 20180101ALI20240809BHJP
【FI】
F25B49/02 520M
F24F1/0007 401E
F24F11/89
(21)【出願番号】P 2021023549
(22)【出願日】2021-02-17
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 俊一
(72)【発明者】
【氏名】松井 大
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/198165(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/163417(WO,A1)
【文献】特開2019-045006(JP,A)
【文献】特開2020-169798(JP,A)
【文献】特開2017-053514(JP,A)
【文献】国際公開第2019/130383(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0072508(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00-49/04
F24F 1/00-13/32
F24H 1/00-15/493
F25D 1/00-31/00
B60H 1/00-3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に配設された熱交換器と、遠心ファンと、前記熱交換器のドレン水を受けるドレンパンと、室内空気を吸い込む吸込口と、熱交換後の空気を室内に吹き出す吹出口と、漏洩した冷媒を通す冷媒検出流路と、冷媒を検知する冷媒漏洩センサとを備え、
前記冷媒検出流路は、前記熱交換器の外部冷媒配管に接続される配管接続部を有するヘッダ領域または前記熱交換器の外部冷媒配管に接続されないヘッダ領域の少なくとも一方と連通する主流路と、前記主流路と分岐して前記遠心ファンの回転時に前記ヘッダ領域よりも圧力が低い空間に連通する分岐流路と、を備え、
前記冷媒漏洩センサは、前記主流路と前記分岐流路の交点を含む前記分岐流路に
設置され、
前記冷媒検出流路は、前記ドレンパンの下面側に配置されていることを特徴とする室内機。
【請求項2】
前記分岐流路は、前記主流路の中点よりも前記熱交換器の外部冷媒配管に接続される配管接続部を有するヘッダ領域側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の室内機。
【請求項3】
前記主流路および前記分岐流路は、前記ドレンパンを貫通して形成され、
前記主流路および前記分岐流路の先端部は、前記ドレンパンに溜まるドレン水の水位より上方に位置していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の室内機。
【請求項4】
前記熱交換器は、前記筐体の両側に沿って2つ設けられ、前記吹出口は、前記筐体の両側に設けられていることを特徴とする
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の室内機。
【請求項5】
前記主流路は、前記各熱交換器に沿って2つ設けられ、
前記冷媒検出流路は、2つの前記主流路を接続する接続流路を備え、
前記分岐流路は、前記接続流路から分岐するものであることを特徴とする
請求項4に記載の室内機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、室内機に関する。
【背景技術】
【0002】
引用文献1は、筐体と、前記筐体の内部に収容された室内熱交換器と、前記室内熱交換器の下方に配置されたドレンパンと、前記筐体の内部に前記室内熱交換器から漏洩した前記冷媒を検出する冷媒漏洩センサを備え、前記筐体の内部には、前記ドレンパンの一側方に前記冷媒漏洩センサが配置されたセンサ配置空間と、前記ドレンパンの他側方に前記冷媒漏洩センサが配置されないセンサ非配置空間を有し、筐体の内部には、前記センサ配置空間と前記センサ非配置空間を繋いで前記冷媒を流通させる漏洩冷媒流通経路を備える技術を開示する。さらに、前記冷媒が前記センサ非配置空間に流れ込んだ場合、前記冷媒を前記貫通孔から前記センサ配置空間に流通させることで、センサ非配置空間の漏洩冷媒も検知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、漏洩する冷媒が少なくても冷媒漏洩を検出することができる室内機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、筐体内に配設された熱交換器と、遠心ファンと、前記熱交換器のドレン水を受けるドレンパンと、室内空気を吸い込む吸込口と、熱交換後の空気を室内に吹き出す吹出口と、漏洩した冷媒を通す冷媒検出流路と、冷媒を検知する冷媒漏洩センサとを備え、前記冷媒検出流路は、前記熱交換器の外部冷媒配管に接続される配管接続部を有するヘッダ領域または前記熱交換器の外部冷媒配管に接続されないヘッダ領域の少なくとも一方と連通する主流路と、前記主流路と分岐して前記遠心ファンの回転時に前記ヘッダ領域よりも圧力が低い空間に連通する分岐流路と、を備え、前記冷媒漏洩センサは、前記主流路と前記分岐流路の交点を含む前記分岐流路に設置され、前記冷媒検出流路は、前記ドレンパンの下面側に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、室内空気を吸い込む吸込口付近は負圧となっているため、ヘッダ領域において冷媒が漏洩した場合に、分岐流路の先端部が負圧となり、冷媒検出流路から漏洩した冷媒を吸い込んで、冷媒漏洩センサに導くことができる。そのため、漏洩する冷媒が少なくても冷媒漏洩センサにより冷媒漏洩を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】実施の形態1に係る室内機を示す下方から見た平面図
【
図3】実施の形態1の冷媒検出流路の例を示す概略図
【
図4】実施の形態1の冷媒検出流路の他の例を示す概略図
【
図5】実施の形態1の冷媒検出流路の他の例を示す概略図
【
図6】実施の形態1における吸込口付近の風速分布を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、空気調和装置の室内機として、筐体の内部に室内熱交換器から漏洩した冷媒を検出する冷媒漏洩センサを備え、筐体の内部には、ドレンパンの一側方に冷媒漏洩センサが配置されたセンサ配置空間と、ドレンパンの他側方に冷媒漏洩センサが配置されないセンサ非配置空間を有し、筐体の内部には、前記センサ配置空間と前記センサ非配置空間を繋いで前記冷媒を流通させる漏洩冷媒流通経路を設けるようにした技術があった。
【0009】
従来の技術では、センサ配置空間とセンサ非配置空間は、同じ筐体内でも圧力差が生じていない場所に設置されているので、センサ非配置空間で冷媒が漏洩した場合に、漏洩した冷媒が冷媒検知流路に流入し、自然拡散によりセンサ配置空間内に流れて冷媒漏洩センサにより冷媒漏洩を検出するためには、一定量以上の冷媒漏洩必要であるという課題を発明者らは発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
そこで本開示は、漏洩する冷媒が少なくても冷媒漏洩を検出することができる室内機を提供する。
【0010】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0011】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る空気調和装置の室内機の内部構造を示す断面図である。
図2は、室内機の下方から見た平面図である。
【0012】
[1-1.構成]
図1および
図2に示すように、室内機1は、建屋の天井に設置される。室内機1は、箱型の筐体10と、筐体10の下側開口を覆う化粧パネル(図示せず)とを備えている。
筐体10は、内部に発泡スチロール製の断熱部材11と、熱交換器12と、送風機13と、熱交換器12のドレン水を受けるドレンパン14と、送風機13に吸い込まれる空気を整流するベルマウス15とを備えている。
【0013】
送風機13は、ファンモータ20と、遠心ファン21とを備えて構成される。ファンモータ20は、下方に延びる回転軸22を備え、遠心ファン21は、回転軸22に固定される。
遠心ファン21は、回転軸22に固定される円板状の主板23と、主板23の下方で主板23と略同軸に配置される環状のシュラウド24と、シュラウド24と主板23とを連結する複数の翼25とを備える。翼25は、主板23の周方向に互いに間隔をあけて複数配置される。
【0014】
筐体10の両側には、それぞれ熱交換器12が配置されている。熱交換器12は、筐体10の長手方向に沿って延在している。
筐体10の中央には、室内空気の吸込口16が設けられている。筐体10の両側であって各熱交換器12の外側には、吹出口17が設けられている。
吹出口17には、吹出方向を調整可能なフラップ(図示せず)がそれぞれ設けられている。
そして、ファンモータ20を駆動して遠心ファン21を回転されることで、吸込口16から室内空気を吸い込み、この吸い込んだ空気を熱交換器12を通過させて熱交換させた後、吹出口17から吹き出すように構成されている。
【0015】
ドレンパン14は、熱交換器12で発生するドレン水を受けることができるように、熱交換器12の下方に配置される。ドレンパン14は発泡スチロール製である。
【0016】
また、本実施の形態においては、熱交換器12の両端部には、冷媒配管30を折り返して接続するヘッダ部31と、図示しない室外機の外部冷媒配管32に接続される配管接続部33と、が設けられている。
これらヘッダ部31と配管接続部33とが設けられている領域は、ヘッダ領域34とされている。
本実施の形態においては、ヘッダ領域34は、2つの熱交換器12の両端部分に、それぞれ4カ所設けられている。
【0017】
ドレンパン14の下面側には、熱交換器12の長手方向に延在する主流路41が設けられている。主流路41は、熱交換器12の長手方向に延在するように配置されている。
主流路41の両端部には、ドレンパン14を貫通するように上方に向けて曲折された連通流路42が接続されている。連通流路42は、主流路41の一部を構成している。
連通流路42の先端部は、ヘッダ領域34に開口するように構成されている。
主流路41は、途中で分岐した分岐流路43を備えている。分岐流路43は、ドレンパン14を下方から貫通し、遠心ファン21の回転時に前記ヘッダ領域34よりも圧力が低い空間にその吐出口が開口するように構成されている。具体的には、分岐流路43の吐出口は、吸込口16の下流側の空間に開口するように構成されている。
主流路41、連通流路42、分岐流路43、後述する接続流路44により冷媒検出流路40が構成されている。冷媒検出流路40の内径は、11.5mm以上が好ましい。
【0018】
冷媒検出流路40の内径は、以下の式を満たすことが好ましい。
ΔP=λ・L/D・γv
λ=64/Re
Re=Dv/ν
ここで、
L:チューブ長さ(1.5)
D:チューブ径
γ:密度(1205kg/m3)
v:流速(0.15m/s(=1.5mを10秒以内))
ν:動粘度(1.512×10^-5m2/s)
ΔP:圧力損失(1Pa(最大風速時は約30Pa))=差圧
である。
前記式によれば、Dは、11.5mmとなり、冷媒検出流路40の内径は、11.5mm以上が好ましいことがわかる。
【0019】
冷媒吸込流路と分岐流路43との交点部分には、箱型のセンサ収容部45が設けられている。センサ収容部45の内部には、冷媒漏洩センサ46が収容されている。
なお、冷媒漏洩センサ46は、その検出部が横向きまたは下向きに設置することが好ましい。このように冷媒漏洩センサ46を設置することで、冷媒漏洩センサ46に対してごみなどが付着してしまうことを抑制することができる。
連通流路42および分岐流路43の先端部は、ドレンパン14の上面より上方に突出している。より具体的には、連通流路42および分岐流路43の先端部は、ドレンパン14に溜まるドレン水の水位よりも上方に位置するように構成されている。これにより、連通流路42および分岐流路43の先端部からドレン水が流入することを抑制することができる。
【0020】
この場合に、分岐流路43は、主流路41の中点よりも熱交換器12の外部冷媒配管32に接続される配管接続部33を有するヘッダ領域34側に設けられている。これは、配管接続部33は、比較的に冷媒の漏洩が発生しやすい箇所であるため、配管接続部33を有するヘッダ領域34に近い位置に、分岐流路43を設け、この分岐流路43と主流路41との交点付近に冷媒漏洩センサ46を設けることで、より速やかに冷媒漏洩を検出するようにするためである。
【0021】
また、配管接続部33は、外部冷媒配管32と熱交換器の冷媒配管30とをロウ付けにより接合している。ロウ付けで接合した場合、接合部に微細な孔が開く場合がある。その場合、当該孔から少量の冷媒が漏洩し続ける、いわゆる、スローリークが生じる。スローリークが生じると、漏洩冷媒の濃度が上昇するまでに時間を要するため、冷媒漏洩の検出を迅速に行うことができないおそれがあるという課題を有していた。
しかしながら、上記構成とすることにより、ヘッダ部31から冷媒が漏洩した場合よりも、配管接続部33から冷媒が漏洩した場合の方が、冷媒漏洩を迅速に検知できる。そのため、スローリークした場合でも、迅速に漏洩冷媒を検出できる。
【0022】
なお、主流路41のうち、分岐流路43の接続箇所よりも外部冷媒配管32に接続されない側のヘッダ領域34に連通する主流路41の内径は、外部冷媒配管32に接続される側のヘッダ領域34に連通する主流路41の内径よりも、太くするように形成することが望ましい。
分岐流路43は、主流路41の中点よりも熱交換器12の外部冷媒配管32に接続される配管接続部33を有するヘッダ領域34側に設けられているので、前記構成とすることで、外部冷媒配管32が接続されていない側のヘッダ領域34における冷媒漏洩検出を、外部冷媒配管32が接続されている側のヘッダ領域34における冷媒漏洩検出と同等に行うことが可能となる。
【0023】
冷媒検出流路40は、例えば、
図3に示すように、2つの熱交換器12に沿って延在する2つの主流路41と、各主流路41の両端部に接続された連通流路42と、を備え、各主流路41は、主流路41の一部を構成する1つの接続流路44を介して接続されている。接続流路44の中途部には、分岐流路43が接続されており、接続流路44と分岐流路43との交点にセンサ収容部45が設けられている。
すなわち、この例では、連通流路42は、各熱交換器12の両端部に設けられる4つのヘッダ領域34に連通している。そして、主流路41からセンサ収容部45に流れる流路が2系統となっている。
【0024】
また、その他の冷媒検出流路40としては、
図4に示すように、4つのヘッダ領域34に連通する4つの連通流路42と、各連通流路42に接続される4つの主流路41と、を備えている。一側の2つの連通流路42に接続される主流路41の端部は、接続流路44により接続されており、他側の2つの連通流路42に接続される主流路41の端部も接続流路44により接続されている。2つの接続流路44の中途部には、2つの接続流路44に連通するセンサ収容部45が設けられている。
すなわち、この例では、連通流路42は、各熱交換器12の両端部に設けられる4つのヘッダ領域34に連通している。そして、主流路41からセンサ収容部45に流れる流路が4系統となっている。
【0025】
さらに、その他の冷媒検出流路40としては、
図5に示すように、4つのヘッダ領域34のうち、3つのヘッダ領域34に連通する3つの連通流路42と、2つの連通流路42に接続される1つの主流路41と、他の1つの連通流路42と主流路41とを接続する接続流路44と、を備えている。
この場合、連通流路42は、ヘッダ領域34のうち配管接続部33を有するヘッダ領域34に設けられることが望ましい。これは、配管接続部33は、比較的に冷媒の漏洩が発生しやすい箇所であるためである。
そして、主流路41の中途部にセンサ収容部45が設けられている。
【0026】
[1-2.作用]
次に、本実施の形態の作用について説明する。
ファンモータ20を駆動して、遠心ファン21を回転駆動することにより、吸込口16から室内空気が吸い込まれる。この空気は、ベルマウス15を通り、遠心ファン21により遠心ファン21の外周側に吹き出される。この空気は、熱交換器12を通過して、熱交換器12の冷媒と熱交換した後、吹出口17から室内に吹き出される。
【0027】
そして、熱交換器12のヘッダ領域34において冷媒の漏洩が発生した場合には、漏洩冷媒が、連通流路42および主流路41を介してセンサ収容部45に流れる。
センサ収容部45に冷媒が流れることで、冷媒漏洩センサ46により冷媒の漏洩を検出することができる。
このとき、遠心ファン21が回転して室内空気を吸い込む際に、吸込口16付近は負圧となる。
【0028】
図6は、吸込口16付近の風速分布を示す説明図である。
図6に示すように、吸込口16において、中央付近が風速が大きく、吸込口16の端部に至るに従って、風速が低下することがわかる。
そのため、本実施の形態においては、分岐流路43の先端部が、吸込口16の中央付近における下流側の空間に開口しているので、分岐流路43の先端部が負圧となり、これにより、連通流路42から漏洩した冷媒を吸い込んで、主流路41を介してセンサ収容部45に導くことができる。
【0029】
この場合に、冷媒検出流路40の分岐流路43の吐出口は、
図6において、Aで示す箇所に設けることが好ましい。
ベルマウス15の湾曲部(
図6にBで示す)は整流機能を有するため、湾曲部Bに冷媒検出流路40の吐出口を設けることは好ましくない。また、ベルマウス15の湾曲部Bは、ベルマウス15の平面部(
図6にCで示す)に比べて空気流れによる振動が大きい。そのような湾曲部Bに冷媒流路の吐出口を設けると、異音が生じるおそれがあるため、湾曲部Bに冷媒検出流路40の吐出口を設けることは好ましくない。
一方、
図6に示すように、Aで示す箇所から+X方向(吸込口16の端部)に向かうにつれて、風速が遅くなるため、負圧が弱くなる。そのため、Aで示す箇所に冷媒検出流路40の吐出口を設ける方が、平面部域Cに冷媒検出流路40の吐出口を設ける構成に比べて、冷媒検出流路40の吸入口(ヘッダ領域空間)と吐出口(吸込空間)の間の圧力差が大きくなる。したがって、Aで示す箇所に冷媒検出流路40の吐出口を設ける方が、ヘッダ領域34内の空気が冷媒検出流路40内をスムーズに流れることができる。
【0030】
また、遠心ファン21が停止している状態で、冷媒漏洩が発生した場合に、冷媒は空気より重いため、連通流路42から冷媒が入り込む。これにより、遠心ファン21が停止している場合でも、漏洩冷媒をセンサ収容部45に送ることができる。
【0031】
[1-3.効果等]
以上説明したように、本実施の形態によれば、筐体10内に配設された熱交換器12と、熱交換器12のドレン水を受けるドレンパン14と、室内空気を吸い込む吸込口16と、熱交換後の空気を室内に吹き出す吹出口17と、漏洩した冷媒を通す冷媒検出流路40と、冷媒を検知する冷媒漏洩センサ46とを備え、冷媒検出流路40は、熱交換器12の外部冷媒配管32に接続される配管接続部33を有するヘッダ領域34または熱交換器12の外部冷媒配管32に接続されないヘッダ領域34の少なくとも一方と連通する主流路41と、主流路41と分岐して吸込口16周辺の空間に連通する分岐流路43と、を備え、冷媒漏洩センサ46は、主流路41と分岐流路43の交点を含む分岐流路43に設置する。
これにより、室内空気を吸い込む吸込口16付近は負圧となっているため、ヘッダ領域34において冷媒が漏洩した場合に、分岐流路43の先端部が負圧となり、冷媒検出流路40から漏洩した冷媒を吸い込んで、冷媒漏洩センサ46に導くことができる。そのため、漏洩する冷媒が少なくても冷媒漏洩センサ46により冷媒漏洩を検出することができる。
【0032】
また、本実施の形態によれば、分岐流路43は、主流路41の中点よりも熱交換器12の外部冷媒配管32に接続される配管接続部33を有するヘッダ領域34側に設けられている。
これにより、配管接続部33は、比較的に冷媒の漏洩が発生しやすい箇所であるため、配管接続部33を有するヘッダ領域34に近い位置に分岐流路43を設けることで、より速やかに冷媒漏洩センサ46により冷媒漏洩を検出することができる。
【0033】
また、本実施の形態によれば、冷媒検出流路40は、ドレンパン14の下面側に配置されている。
これにより、化粧パネルを取り外した際に、冷媒検出流路40が露出することになるので、冷媒検出流路40の点検やメンテナンスを容易に行うことができる。
【0034】
また、本実施の形態によれば、主流路41および分岐流路43は、ドレンパン14を貫通して形成され、主流路41および分岐流路43の先端部は、ドレンパン14に溜まるドレン水の水位より上方に位置している。
これにより、冷媒検出流路40の先端部からドレン水が流入することを抑制することができる。
【0035】
また、本実施の形態によれば、熱交換器12は、筐体10の両側に沿って2つ設けられ、吹出口17は、筐体10の両側に設けられている。
これにより、いわゆる2方向カセットと呼ばれる吹出口17が筐体10の両側に配置された室内機1の冷媒漏洩を検出することができる。
【0036】
また、本実施の形態によれば、主流路41は、各熱交換器12に沿って2つ設けられ、冷媒検出流路40は、2つの前記主流路41を接続する接続流路44を備え、分岐流路43は、接続流路44から分岐するものである。
これにより、2つの熱交換器12のヘッダ領域34から漏洩する冷媒を検出することができる。
【0037】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上のように、本発明に係る空気調和機は、熱交換器のヘッダ領域で冷媒の漏洩が発生した場合に、吸込口における負圧を利用することで、冷媒検出流路に漏洩冷媒を引き込むことができ、少ない漏洩冷媒量でも冷媒検出センサで冷媒漏洩を検出することができる室内機に好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 室内機
10 筐体
11 断熱部材
12 熱交換器
13 送風機
14 ドレンパン
15 ベルマウス
16 吸込口
17 吹出口
20 ファンモータ
21 遠心ファン
22 回転軸
23 主板
24 シュラウド
25 翼
30 冷媒配管
31 ヘッダ部
32 外部冷媒配管
33 配管接続部
34 ヘッダ領域
40 冷媒検出流路
41 主流路
42 連通流路
43 分岐流路
44 接続流路
45 センサ収容部
46 冷媒漏洩センサ