(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】ポール
(51)【国際特許分類】
F21S 8/08 20060101AFI20240809BHJP
F21V 21/116 20060101ALI20240809BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240809BHJP
F21W 131/103 20060101ALN20240809BHJP
【FI】
F21S8/08 400
F21V21/116
H05K7/20 G
F21W131:103
(21)【出願番号】P 2020143779
(22)【出願日】2020-08-27
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】松本 匡弘
(72)【発明者】
【氏名】山下 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】松田 次弘
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0285265(US,A1)
【文献】特開2018-195501(JP,A)
【文献】特表2020-502768(JP,A)
【文献】国際公開第2020/002020(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3142540(JP,U)
【文献】特開2020-053231(JP,A)
【文献】特開2002-252484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00- 9/90
F21S 2/00-45/70
F21V 21/00-21/40
H05K 7/20
F21W 131/103
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱する機器が外側面に取り付けられる筒状のポール本体
と、
前記機器を収容するための筐体と、を備え、
前記ポール本体には、前記機器が取り付けられる位置よりも上方に
位置し、前記ポール本体の内部
空間と外気とをつなぐ第1の通気孔
、及び、前記第1の通気孔よりも下方に位置し、前記ポール本体の内部空間と前記筐体の内部空間とをつなぐ第2の通気孔が形成され
、
前記筐体には、前記筐体の内部空間と外気とをつなぐ第3の通気孔が形成されている、
ポール。
【請求項2】
前記第2の通気孔は、前記機器が取り付けられる位置よりも下方に位置し、
前記第3の通気孔は、前記機器が取り付けられる位置よりも上方に位置する、
請求項1に記載のポール。
【請求項3】
前記
第1の通気孔
又は前記第2の通気孔には、前記機器に接続されるケーブルが挿通される、
請求項1又は2に記載のポール。
【請求項4】
前記機器は、パワー半導体を有する電子機器である、
請求項1から3のいずれか一項に記載のポール。
【請求項5】
前記電子機器は、通信用無線機器である、
請求項4に記載のポール。
【請求項6】
前記ポール本体は、金属製である、
請求項1から5のいずれか一項に記載のポール。
【請求項7】
前記機器をさらに備える、
請求項1から6のいずれか一項に記載のポール。
【請求項8】
前記ポール本体に支持される灯具をさらに備える、
請求項1から7のいずれか一項に記載のポール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外等に設置されるポールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、街路灯等のポールとして、ポールに複数の機能を持たせるため、携帯電話基地局又は無線機等の機器がポール本体の内部空間に設置された街路灯設置用ポールが開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
街路灯等のポールは、通常、屋外に設置されるため、ポール内部に湿気がたまりやすく、ポールが湿気によって腐食しやすい。また、ポールの多機能化に伴い、ポールが大きくなりやすく、ポールのコスト低減、使用資源の節約及び設置の容易性などの面から、ポールの小径化が求められている。
【0005】
そこで、本発明では、腐食しにくく、且つ、小径化できるポールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るポールは、発熱する機器が外側面に取り付けられる筒状のポール本体を備え、前記ポール本体には、前記機器が取り付けられる位置よりも上方に、前記ポール本体の内部の空気が出入りする通気孔が形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るポールは、腐食しにくく、且つ、小径化できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態に係るポールの概略構成を示す正面図である。
【
図2】
図2は、
図1のII-II線で示される位置での実施の形態に係るポールの断面図である。
【
図3】
図3は、
図1のIII-III線で示される位置での実施の形態に係るポールの断面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態の変形例に係るポールの概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。
【0010】
また、本明細書において、平行などの要素間の関係性を示す用語、及び、矩形などの要素の形状を示す用語、ならびに、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
【0011】
また、各図は、本発明を示すために適宜強調、省略、又は比率の調整を行った模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではなく、実際の形状、位置関係及び比率とは異なる場合がある。
【0012】
(実施の形態)
以下、本実施の形態に係るポールについて説明する。
【0013】
まず、
図1から
図3を用いて、本実施の形態に係るポールの構成について説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態に係るポール1の概略構成を示す正面図である。
図2は、
図1のII-II線で示される位置でのポール1の断面図である。
図3は、
図1のIII-III線で示される位置でのポール1の断面図である。
【0015】
図1から
図3に示されるように、本実施の形態に係るポール1は、ポール本体10と、取付部材20と、機器30と、灯具50とを備える。本実施の形態において、ポール1は、灯具50が設けられた街路灯等の屋外灯である。ポール1は、例えば、道路、公園、駐車場、海岸、河原、林道、集合住宅の敷地内又は工場の敷地内等の屋外空間に設置される。
【0016】
ポール本体10は、地面70から略鉛直方向に立設する筒状の柱体である。筒状のポール本体10には、内部空間15が形成されている。ポール本体10の外周の断面形状は、
図2に示される例では、円形である。ポール本体10の外周の断面形状は、特に制限されず、矩形等の多角形又は楕円形等であってもよい。また、ポール本体10の幅(太さ)は、高さ方向で一定であってもよく、高さ方向で異なっていてもよい。ポール本体10の幅が高さ方向で異なる場合、ポール本体10の幅は、例えば、ポール本体10の上端部と下端部とで異なる。ポール本体10の幅がポール本体10の上端部と下端部とで異なる場合、例えば、上端部の幅は、下端部の幅より小さい。また、ポール本体10の幅がポール本体10の上端部と下端部とで異なる場合、ポール本体10は、テーパ状であってもよく、段差状であってもよい。ポール本体10の地面70からの高さは、例えば、3m以上12m以下である。また、ポール本体10の下端部の幅は、例えば、80mm以上200mm以下である。
【0017】
ポール本体10の下端は開口しており、ポール本体10の下端部が地面70に刺さることで埋まっている。これにより、ポール本体10が地面70に対して固定されている。また、ポール本体10の上端は開口しておらず、雨等の水が内部空間15に入らないような構造となっている。つまり、ポール本体10は、ポール本体10の上端側が底面となる有底筒形状を有する。また、ポール本体10は、例えば、金属製である。本実施の形態においては、湿気によって腐食しやすい金属製のポール本体10であっても、後述するように、内部空間15の湿気が外部に効率的に排出されるため、ポール本体10の腐食が生じにくい。
【0018】
ポール本体10は、発熱する機器30が外側面101に取り付けられる。具体的には、ポール本体10の外側面101には、取付部材20を介して、発熱する機器30が取り付けられる。
【0019】
ポール本体10には、機器30が取り付けられる位置よりも上方に、ポール本体10の内部(内部空間15)の空気が出入りする通気孔11が形成されている。通気孔11及び通気孔12は、内部空間15と外気とをつないでいる。通気孔11は、例えば、ポール本体10の上端から、ポール本体10の高さの3分の1以下の距離の位置に形成される。また、ポール本体10には、通気孔11及び機器30が取り付けられる位置よりも下方に通気孔12が形成されている。通気孔12は、ポール本体10のうち、筐体22に接していない位置、図示される例では、ポール本体10の筐体22側とは反対側に形成されている。
【0020】
通気孔11及び通気孔12は、ポール本体10の外側から内部空間15に貫通するように形成されている孔である。通気孔11及び通気孔12は、実質的に空気が出入りしないネジ孔等の微小な孔とは異なる孔である。通気孔11及び通気孔12は、ポール本体10の外表面(具体的には、外側面101)に開口している。通気孔11及び通気孔12それぞれの開口形状は、特に制限されず、例えば、矩形等の多角形、円形、楕円形又は半円形等である。また、通気孔11及び通気孔12の数は、それぞれ、1つであってもよく、複数であってもよい。通気孔11及び通気孔12のポール本体10の周方向における位置は、特に制限されず、後述する空気の流れを生じさせることができる位置であればよい。また、通気孔11及び通気孔12が複数形成される場合、複数の通気孔11及び通気孔12の配置は特に制限されない。複数の通気孔11及び通気孔12は、ポール本体10の立設する方向(鉛直方向)に並んでいてもよく、ポール本体10の周方向に並んでいてもよく、マトリクス状に配置されていてもよい。通気孔11及び通気孔12の開口面積は、詳細を後述する空気の流れを生じさせることができる大きさであれば、特に制限されない。後述するケーブル35の挿通及び通気量等の観点からは、通気孔11及び通気孔12の開口の幅は、例えば、最も狭い部分で2mm以上である。なお、通気孔12は、機器30の上方に位置していてもよい。また、ポール本体10の下端の開口等の通気孔12以外の場所から内部空間15に空気が入り込むことができれば、ポール本体10には、通気孔12が設けられていなくてもよい。
【0021】
通気孔11には、例えば、機器30に接続されるケーブル35が挿通される。ケーブル35は、例えば、機器30等に電力を供給するための、外部の電柱に設けられる電力線(不図示)等につながるケーブルである。また、ケーブル35は、光ファイバー等の機器30の通信のためのケーブルであってもよい。ケーブル35は、ポール本体10及び筐体22を貫通して機器30に接続されている。通気孔11にケーブル35が挿通されることで、ケーブル35を挿通するために別の孔等を形成する必要がなく、容易にポール1を設置できる。また、図示は省略されているが、ケーブル35は、例えば、途中で分岐し、灯具50にも接続され、灯具50にも電力を供給する。なお、機器30に電力を供給するためのケーブル35は、通気孔11に挿通されていなくてもよく、例えば、ケーブル35は、内部空間15を通ってポール本体10の下端から地中の電力線につながっていてもよい。また、ケーブル35は分岐せず、灯具50は、ケーブル35以外によって電力が供給されていてもよい。
【0022】
また、ポール本体10には、通気孔11及び通気孔12のポール本体10における外側及び上方側を覆うように、雨避けカバー40が設けられている。
【0023】
取付部材20は、機器30をポール本体10の外側面101に取り付けるためのフレームである。取付部材20に機器30が固定されることによって、機器30が取付部材20を介してポール本体10に取り付けられる。取付部材20は、機器30からの熱をポール本体10に伝達するための熱伝達手段の一例である。取付部材20による熱伝達では、機器30の熱が、取付部材20を介した熱伝導によってポール本体10に伝達される。
【0024】
取付部材20は、固定バンド21と、筐体22とを有する。
【0025】
固定バンド21は、筐体22をポール本体10に固定するための部材である。固定バンド21は、ポール本体10の外側面101及び筐体22のポール本体10側の外側面221に沿った形状の板状の部材であり、外側面101及び外側面221に接している。固定バンド21と筐体22とは、ボルト又は溶接等で固定されている。ポール本体10は、固定バンド21と筐体22とで挟まれている。固定バンド21は、ポール本体10ともボルト等で固定されてもよい。固定バンド21は、例えば、金属製である。
【0026】
筐体22は、内部に機器30が収容される容器である。筐体22の形状は、例えば、直方体状であるが、円柱状又は多角柱状等の他の形状であってもよい。筐体22は、筐体22のポール本体10側を構成する平板部23を含む。平板部23には、機器30が固定される。平板部23は、機器30とポール本体10とに挟まれ、機器30とポール本体10とに接している。
【0027】
筐体22は、例えば、金属製である。また、筐体22は、平板部23が金属製であればよく、平板部23以外の部分は、樹脂等の金属以外の材料で形成されていてもよい。なお、図示されていないが、筐体22には、筐体22の内部空間の空気が出入りする通気孔が形成されていてもよい。また、筐体22の少なくとも一部の面は、開放されていてもよい。
【0028】
筐体22は、固定バンド21によって、ポール本体10に固定されている。筐体22は、ポール本体10における下端部側の外側面101に接している。具体的には、筐体22の平板部23は、ポール本体10の外側面101に接している。これにより、機器30の熱が、筐体22の平板部23を伝導し、ポール本体10に伝達する。また、筐体22は、地面70と接して配置されている。なお、筐体22は、地面70と接していなくてもよく、地面70から離間して配置されるように、ポール本体10に固定されていてもよい。また、筐体22は、ポール本体10に接するように固定されれば、どのように固定されていてもよく、固定バンド21以外の部材によってポール本体10に固定されていてもよい。また、筐体22がポール本体10に溶接されていてもよい。
【0029】
筐体22には、例えば、筐体22のポール本体10側とは反対側に、扉24が設けられている。作業者等が扉24を開けることで、機器30の設置及び保守点検等を行う。
【0030】
なお、機器30は、筐体22のような容器に収容されていなくてもよく、例えば、取付部材20は、筐体22における平板部23のみからなる部材と固定バンド21とを備える構成であってもよい。
【0031】
機器30は、動作時に発熱する機器である。機器30は、例えば、パワー半導体を有する電子機器である。パワー半導体は、例えば、電子機器の電力増幅器及び電源回路等に用いられるパワートランジスタ等である。このように、機器30がパワー半導体を有する電子機器であることにより、ポール1を多機能化しつつ、パワー半導体の動作時の発熱によって、後述するように内部空間15にたまった湿気を排出できる。
【0032】
電子機器は、例えば、携帯電話基地局又は無線LANアクセスポイント等の通信用無線機器である。このように、電子機器が、通常、常時電力が供給されて動作する通信用無線機器であることで、通信用無線機器の送信電力増幅器及び電源回路等に用いられるパワー半導体の動作による熱が定常的に発生する。また、図示されていないが、機器30(電子機器)が通信用無線機器である場合、通信用無線機器と接続されたアンテナが、ポール本体10の上端部側に取り付けられていてもよい。つまり、ポール1が通信用無線機器用のアンテナの固定に用いられてもよい。なお、電子機器は、通信用無線機器に限らず、例えば、電源装置等の他の電子機器であってもよい。
【0033】
機器30は、取付部材20の筐体22の内部に収容されている。機器30は、取付部材20、具体的には取付部材20における筐体22の平板部23に固定されており、平板部23と接している。機器30を平板部23に固定する方法は、特に制限されず、例えば、機器30が平板部23にネジ等で固定されてもよく、平板部23に機器30を固定するための凹部が設けられていてもよい。このように、機器30は、取付部材20を介して、ポール本体10に取り付けられる。機器30は、例えば、ポール本体10の高さの3分の1以下の位置に取り付けられる。ポール本体10に機器30が取り付けられた方向から見た場合の、機器30の幅は、例えば、ポール本体10の幅よりも大きい。
【0034】
機器30の数は、1つであってもよく、複数であってもよい。
【0035】
灯具50は、ポール本体10に支持されている。灯具50は、例えば、ポール本体10の上端部に取り付けられている。灯具50は、例えば、LED等の発光素子が実装された発光モジュール等である光源51と、光源51からの光を透過させ、光源51からの光を拡散させる樹脂製の透光性カバー52とを有する。灯具50は、このような構成に制限されず、一般的な街路灯に用いられる灯具であればよい。このように、ポール1は、灯具50を備えることで、ポール1を街路灯等の屋外灯として利用できる。
【0036】
次に、本実施の形態に係るポール1における空気の流れの例について、
図3を用いて説明する。
図3には、機器30が発熱している場合の空気の流れが矢印で示されている。
【0037】
機器30に電力が供給されると、機器30は発熱する。ポール本体10には、外側面101に取付部材20を介して機器30が取り付けられているため、機器30の熱は、取付部材20を介した熱伝導により、ポール本体10に伝達される。具体的には、機器30の熱は、まず、筐体22の平板部23及び固定バンド21に移動し、平板部23及び固定バンド21からポール本体10に伝達される。そして、ポール本体10に伝達された熱によって、機器30が取り付けられている位置近傍の内部空間15の空気が温められて密度が軽くなるため、内部空間15で空気の対流が生じる。そのため、内部空間15において、温められた空気が上昇し、通気孔11から外部に排出されると共に、通気孔12から外気が内部空間15に引き入れられる。これにより、ポール1は、屋外空間に設置されるため、ポール本体10の内部空間15には、湿気がたまりやすいが、湿気を含む内部空間15の空気が上昇して外部に排出され、外気が内部空間15に引き入れられる。よって、内部空間15の湿気が排出されるため、ポール本体10が湿気によって腐食することが抑制される。また、機器30の熱がポール本体10に伝達されることで、機器30の冷却も行うことができる。
【0038】
また、湿気は内部空間15の下側にたまりやすいため、機器30がポール本体10の下端の近傍(例えば、ポール本体10の高さの3分の1以下の位置)に取り付けられることで、湿気を多く含む空気が温められて上昇し、通気孔11から排出される。そのため、より効率的に内部空間15の湿気を排出することができ、ポール本体10の腐食を抑制できる。
【0039】
また、機器30は、ポール本体10の外側面101に取り付けられる。これにより、上述のように、機器30の熱によって内部空間15の湿気を排出するために、機器30が取り付けられても、機器30がポール本体10の内部に設置されないことから、ポール本体10の小径化が可能である。また、ポール1の機能を高機能化又は多機能化するために、機器30が大型化又は多数個化する場合であっても、ポール本体10の太さは、機器30の大きさの影響を受けないことから、ポール本体10の小径化が可能である。
【0040】
以上のように、ポール1は、外側面101に機器30が取り付けられる筒状のポール本体10を備え、ポール本体10には、機器30が取り付けられる位置の上方に通気孔11が形成されている。これにより、上述のように、外側面101に機器30が取り付けられて、機器30が発熱することによってポール本体10の内部空間15の湿気が通気孔11から排出されるため、ポール1は、腐食しにくく、且つ、小径化できる。
【0041】
[変形例]
以下では、実施の形態の変形例について説明する。以下の実施の形態の変形例の説明において、実施の形態との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略又は簡略化する。
【0042】
まず、
図4を用いて、本変形例に係るポールの構成について説明する。
図4は、実施の形態の変形例に係るポール1aの概略構成を示す断面図である。
図4に示されるように、ポール1aは、実施の形態に係るポール1におけるポール本体10及び筐体22を有する取付部材20の代わりに、ポール本体10a及び筐体22aを有する取付部材20aを備える。
【0043】
ポール本体10aは、ポール本体10と同様に筒状の柱体であり、ポール本体10の通気孔12が形成される代わりに、機器30の熱で温められた空気が通る通気孔13が形成されている構造を有する。詳細には、ポール本体10aには、通気孔11及び機器30が取り付けられる位置よりも下方に通気孔13が形成されている。通気孔13は、機器30からの熱をポール本体10aに伝達するための熱伝達手段の一例である。通気孔13による熱伝達では、機器30の熱で温められた空気が通気孔13を介してポール本体10aの内部空間15aに入ることによって、機器30の熱がポール本体10aに伝達される。
【0044】
通気孔13は、ポール本体10aの外側から内部空間15aに貫通するように形成されている孔である。通気孔13は、実質的に空気が出入りしないネジ孔等の微小な孔とは異なる孔である。通気孔13は、ポール本体10aの外表面(具体的には、外側面101a)に開口している。通気孔13は、ポール本体10aにおける筐体22aと対面する位置、つまり、ポール本体10aにおけるポール本体10aと筐体22aとが接する箇所に形成されている。通気孔13は、機器30が取り付けられる位置よりも下方に位置する。また、通気孔13は、後述する通気孔25を介して、筐体22aの内部空間28とつながっている。つまり、ポール本体10aの内部空間15aと、筐体22aの内部空間28とは、通気孔13及び通気孔25を介してつながっている。なお、通気孔13は、通気孔25の位置を調整する等によって内部空間15aと内部空間28とをつなげることができれば、機器30が取り付けられる位置の上方に位置していてもよい。
【0045】
通気孔13の開口形状は、特に制限されず、例えば、矩形等の多角形、円形、楕円形又は半円形等である。また、通気孔13の数は、1つであってもよく、複数であってもよい。また、通気孔13が複数形成される場合、複数の通気孔13は、例えば、ポール本体10aの立設する方向(鉛直方向)に並ぶ。また、複数の通気孔13は、機器30が取り付けられる位置を挟むように形成されていてもよい。通気孔13の開口面積は、詳細を後述する空気の流れを生じさせることができる大きさであれば、特に制限されない。
【0046】
通気孔13には、例えば、機器30に接続されるケーブル35が挿通される。ケーブル35は、後述する通気孔25にも挿通される。本変形例においては、ケーブル35は、地中の電力線(不図示)等につながっている。なお、ケーブル35は、実施の形態と同様に、ポール本体10a及び筐体22aを貫通して機器30に接続されてもよい。また、ケーブル35は、実施の形態と同様に、通気孔11に挿通されて、外部の電柱に設けられる電力線等につながっていてもよい。
【0047】
取付部材20aは、取付部材20と同様に、機器30をポール本体10aの外側面101aに取り付けるためのフレームである。取付部材20aは、固定バンド21と、筐体22aとを有する。
【0048】
筐体22aは、内部に機器30が収容される容器である。筐体22aは、筐体22と同様の容器に通気孔25及び通気孔26が形成された構成を有する。筐体22aは、固定バンド21によって、ポール本体10aに固定されている。筐体22aは、ポール本体10aにおける下端部側の外側面101aに接している。筐体22aは、筐体22aのポール本体10a側を構成する平板部23aを含む。平板部23aには、機器30が固定される。筐体22aの平板部23aは、ポール本体10aの外側面101aに接している。
【0049】
通気孔25は、筐体22aのポール本体10a側、つまり、平板部23aに形成されており、平板部23aを貫通している孔である。また、通気孔25は、機器30が取り付けられる位置よりも下方に位置する。通気孔25は、通気孔25が貫通する方向に見た場合に、通気孔13と重なり、通気孔13とつながっている。
【0050】
通気孔26は、筐体22aのポール本体10aとは反対側に形成されている。つまり、通気孔26は、筐体22aにおける、平板部23aと対向する面(つまり、機器30の平板部23a側とは反対側の面)に開口するように形成されている。通気孔26は、筐体22aの外側から内部空間28に貫通するように形成されている孔である。通気孔26は、外気が筐体22a内に入ることができる位置であれば、筐体22aのどの面に開口するように形成されていてもよい。例えば、通気孔26は、筐体22aにおける平板部23aと交差する面に開口するように形成されていてもよい。また、通気孔26は、筐体22aの複数の面に開口するように形成されていてもよい。
【0051】
通気孔26は、例えば、機器30が取り付けられる位置よりも上方に位置する。通気孔26と、通気孔25(通気孔25とつながるように配置されている通気孔13)とは、例えば、少なくとも機器30の一部を挟むように配置されている。これにより、通気孔26から入る空気が機器30に沿って流れて、通気孔25と通気孔13とを通って、内部空間15aに入る。なお、通気孔26が機器30の下方に位置し、通気孔13及び通気孔25が機器30の上方に位置することで、通気孔26と、通気孔25(通気孔25とつながるように配置されている通気孔13)とは、機器30を挟むように配置されていてもよい。また、通気孔26は、機器30に沿って複数設けられていてもよい。
【0052】
通気孔25及び通気孔26は、実質的に空気が出入りしないネジ孔等の微小な孔とは異なる孔である。通気孔25及び通気孔26は、筐体22aの外表面に開口している。通気孔25及び通気孔26の開口形状は、特に制限されず、例えば、矩形等の多角形、円形、楕円形又は半円形等である。また、通気孔25及び通気孔26の数は、それぞれ、1つであってもよく、複数であってもよい。通気孔25及び通気孔26の開口面積は、詳細を後述する空気の流れを生じさせることができる大きさであればよく、特に制限されない。
【0053】
また、筐体22aには、筐体22aにおける通気孔26の外側及び上方側を覆うように、雨避けカバー40が設けられている。
【0054】
次に、本変形例に係るポール1aにおける空気の流れの例について、
図4を用いて説明する。
図4には、機器30が発熱している場合の空気の流れが矢印で示されている。
【0055】
機器30に電力が供給されると、機器30は発熱する。ポール本体10aには、実施の形態と同様に、外側面101aに取付部材20aを介して機器30が取り付けられているため、機器30の熱は、取付部材20a(詳細には、取付部材20aを介した熱伝導)によって、ポール本体10aに伝達される。また、機器30の熱によって温められた内部空間28の空気が膨張し、通気孔25及び通気孔13を介して、ポール本体10aの内部空間15aに入り込むことによっても、機器30の熱は、ポール本体10aに伝達される。これにより、機器30が取り付けられている位置近傍のポール本体10aの内部空間15aの空気が温められて密度が軽くなるため、内部空間15aで空気の対流が生じる。内部空間15aにおいて、温められた空気が上昇し、通気孔11から外部に排出されると共に、内部空間28の空気が通気孔25及び通気孔13を介して内部空間15aに引き入れられる。さらに、それと同時に通気孔26から外気が内部空間28に引き入れられる。これにより、実施の形態と同様に内部空間15aにたまっている湿気が外部に放出される。よって、ポール本体10aが湿気によって腐食することが抑制される。
【0056】
このように、ポール1aでは、機器30の熱は、筐体22aの内部空間28で温められた空気がポール本体10aの内部空間15aに流れ込むことによっても、ポール本体10aに伝達されるため、効率的にポール本体10aに熱が伝達される。内部空間28においては、通気孔26から通気孔25に向かって空気が流れる。この場合、通気孔26と、通気孔25(通気孔25とつながるように配置されている通気孔13)とが、機器30を挟むように配置されていることで、内部空間28において、機器30に沿った空気の流れが生じるため、より効率的に機器30の熱が伝達される。そのため、ポール本体10aの外側に設けられた筐体22aにおいて空気を温めるための流路が形成され、流路で温められた空気が内部空間15aに流れ込むことにより、ポール本体10aを小径化しつつ、内部空間15aにたまっている湿気を効率的に排出できる。また、内部空間28における機器30に沿って、通気孔26から取り入れられた外気が流れることで、効率的に機器30が冷却される。
【0057】
なお、ポール1aにおける空気の流れは、上記で説明した例に限らない。内部空間15a及び内部空間28の温度、機器30の発熱量、各構成要素の位置関係、並びに、各構成要素の大きさ等によっては、上記の例とは異なる空気の流れが発生してもよい。
【0058】
例えば、通気孔26、通気孔25及び通気孔13を通る空気の通気量のバランス、並びに、機器30の熱の伝達の状況等により、内部空間28で上昇気流が生じうる。この場合、内部空間28の空気が通気孔26から排出されると共に、内部空間15aの空気が通気孔25及び通気孔13を介して内部空間28に引き入れられる。それと同時に、通気孔11から外気が内部空間15aに引き入れられる。つまり、
図4で示されている矢印とは逆の空気の流れが生じうる。この場合にも、外気は内部空間15aに引き入れられ、湿気を含む内部空間15aの空気は、通気孔25、通気孔13及び通気孔26を介して外部に排出される。そのため、ポール本体10aが湿気によって腐食することが抑制される。
【0059】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態及び実施の形態の変形例について説明したが、本発明は、上記実施の形態及び実施の形態の変形例に限定されるものではない。
【0060】
上記実施の形態では、ポール1、1aは、灯具50を備えていたが、これに限らない。ポール1、1aは、灯具50を備えていなくてもよく、例えば、看板、標識、アンテナ又は旗等を支持するためのポールであってもよい。
【0061】
また、上記実施の形態では、通気孔11は、ポール本体10、10aの外側面101、101aに開口するように形成されていたがこれに限らない。例えば、通気孔11は、ポール本体10、10aの上端が開口するように形成されていてもよい。この場合、ポール本体10、10aの上端が完全に開口していてもよく、ポール本体10、10aの上端面の一部が開口していてもよい。また、この場合、ポール本体10、10aの上端を上方から覆う雨避けカバーが設けられてもよい。
【0062】
また、上記実施の形態では、機器30は、電子機器であったが、これに限らない。機器30は、ヒータ等の発熱する機器であってもよい。
【0063】
また、上記実施の形態では、機器30は、筐体22、22aに収容されていたが、これに限らない。例えば、機器30は、固定バンド21等の機器30をポール本体10、10aに固定する部材によって、機器30が直接ポール本体10、10aに接するように固定されて、取り付けられてもよい。また、この場合、機器30を保護するために、固定バンド21と、機器30と、ポール本体10、10aにおける機器30が取り付けられた部分とが、筐体等によって囲まれていてもよい。また、固定バンド21以外の部材によってポール本体10、10aに固定されていてもよい。
【0064】
また、上記実施の形態において、ポール1、1aは、通気孔11から内部空間15、15aの空気を排出させるためのファンをさらに備えてもよい。
【0065】
また、上記実施の形態において、ポール本体10、10aの下端部が地面70に埋まっていたが、これに限らない。ポール本体10、10aの下端に、ポール本体10、10aの断面よりも大きい板状のアンカープレートが設けられ、アンカープレートがアンカーボルトで固定された構造であってもよい。
【0066】
また、上記実施の形態では、ケーブル35は、内部空間15、15aを通り、機器30に接続されたが、これに限らない。ケーブル35は、内部空間15、15aを通らずに筐体22、22aを貫通して、機器30に接続されてもよい。
【0067】
その他、各実施の形態及び変形例に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
1、1a ポール
10、10a ポール本体
11、12、13、25、26 通気孔
20、20a 取付部材
30 機器
35 ケーブル
50 灯具
101、101a、221 外側面