(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】刺激出力システムおよび刺激出力方法
(51)【国際特許分類】
A61M 21/00 20060101AFI20240809BHJP
【FI】
A61M21/00 B
(21)【出願番号】P 2021082898
(22)【出願日】2021-05-17
【審査請求日】2024-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 尚樹
(72)【発明者】
【氏名】阿部 益巳
(72)【発明者】
【氏名】武一 洋平
(72)【発明者】
【氏名】厚美 憲作
【審査官】関本 達基
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-010775(JP,A)
【文献】国際公開第2020/158560(WO,A1)
【文献】特開2020-103494(JP,A)
【文献】特開2020-177479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの行動の予定を示すスケジュール情報を取得する取得部と
前記ユーザに感覚刺激を与える刺激出力部と、
前記取得部が取得した前記スケジュール情報に基づいて、前記刺激出力部を制御する制御部と、
前記ユーザの生体情報を検知するセンサとを備え、
前記制御部は、
前記センサで検知した前記生体情報に基づく前記刺激出力部の制御によって前記ユーザに前記感覚刺激を与えることにより、前記スケジュール情報によって定められる対象期間における前記ユーザのパフォーマンスを向上させるように前記ユーザのサーカディアンリズムを調整
し、前記生体情報と前記スケジュール情報とに基づいて、前記スケジュール情報が示す前記対象期間に必要とされる、前記ユーザの前記パフォーマンスのレベルと、前記生体情報から割り出される、前記対象期間における前記ユーザの前記パフォーマンスのレベルとの、乖離を示す乖離情報を蓄積する、
刺激出力システム。
【請求項2】
前記取得部は、スマートフォンまたはパソコンである、
請求項
1に記載の刺激出力システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記生体情報から割り出される前記ユーザの起床直後の時間帯に、前記刺激出力部に前記感覚刺激として所定の強度の光を出力させることで、前記ユーザの前記サーカディアンリズムを調整する
請求項
1又は2に記載の刺激出力システム。
【請求項4】
前記取得部と前記センサとの同期または非同期が、前記ユーザによって選択可能である、
請求項
1~3のいずれか1項に記載の刺激出力システム。
【請求項5】
前記取得部は、少なくとも1つの外部機器において使用可能なスケジューラソフトを介して、前記スケジュール情報を取得する、
請求項1~
4のいずれか1項に記載の刺激出力システム。
【請求項6】
前記取得部は、前記ユーザの手動による入力を介して、前記スケジュール情報を取得する、
請求項1~
4のいずれか1項に記載の刺激出力システム。
【請求項7】
前記取得部は、有線通信または無線通信を介して、前記スケジュール情報を取得する、
請求項1~
4のいずれか1項に記載の刺激出力システム。
【請求項8】
前記制御部
は、前記乖離情報を可視化し、可視化した前記乖離情報を表示させる、
請求項
1~7のいずれか1項に記載の刺激出力システム。
【請求項9】
前記刺激出力部は、照明装置、音響装置、温度調整装置、および、接触型振動刺激装置のうち少なくとも1つである、
請求項1~
8のいずれか1項に記載の刺激出力システム。
【請求項10】
前記刺激出力部は
、照明装置
、音響装置
、温度調整装置、および
、接触型振動刺激装置のうちの複数の組合せからなる、
請求項1~
8のいずれか1項に記載の刺激出力システム。
【請求項11】
ユーザの予定の対象となる時間である対象期間を示すスケジュール情報を取得する取得ステップと、
刺激出力装置を用いて、前記ユーザに感覚刺激を与える刺激出力ステップと、
前記取得ステップで取得した前記スケジュール情報に基づいて、前記刺激出力装置を制御する制御ステップとを含み、
前記取得ステップでは、さらに、前記ユーザの生体情報を検知するセンサから前記生体情報を取得し、
前記制御ステップでは、前記対象期間における前記ユーザのパフォーマンスを向上させるように、
前記生体情報に基づいて、前記刺激出力装置に、前記ユーザに対して、前記ユーザのサーカディアンリズムをずらす刺激を出力さ
せ、前記生体情報と前記スケジュール情報とに基づいて、前記スケジュール情報が示す前記対象期間に必要とされる、前記ユーザの前記パフォーマンスのレベルと、前記生体情報から割り出される、前記対象期間における前記ユーザの前記パフォーマンスのレベルとの、乖離を示す乖離情報を蓄積する、
刺激出力方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、刺激出力システムおよび刺激出力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザの睡眠の質をコントロールするシステムが考案されている。特許文献1には、専用のヘッドバンドで、睡眠時の脳波を計測し、ヘッドバンドを通したオーディオトーンによってノンレム睡眠の時間を増加させることによって睡眠の質をコントロールするシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、ユーザの予定に合わせて、ユーザの起床時のパフォーマンスをコントロールすることはできなかった。
【0005】
そこで、本開示は、ユーザの予定に合わせて、ユーザのパフォーマンスをコントロールすることができる刺激出力システム等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る刺激出力システムは、ユーザの行動の予定を示すスケジュール情報を取得する取得部と前記ユーザに感覚刺激を与える刺激出力部と、前記取得部が取得した前記スケジュール情報に基づいて、前記刺激出力部を制御する制御部と、前記ユーザの生体情報を検知するセンサとを備え、前記制御部は、前記センサで検知した前記生体情報に基づく前記刺激出力部の制御によって前記ユーザに前記感覚刺激を与えることにより、前記スケジュール情報によって定められる対象期間における前記ユーザのパフォーマンスを向上させるように前記ユーザのサーカディアンリズムを調整し、前記生体情報と前記スケジュール情報とに基づいて、前記スケジュール情報が示す前記対象期間に必要とされる、前記ユーザの前記パフォーマンスのレベルと、前記生体情報から割り出される、前記対象期間における前記ユーザの前記パフォーマンスのレベルとの、乖離を示す乖離情報を蓄積する。
【0007】
本開示の一態様に係る刺激出力方法は、ユーザの予定の対象となる時間である対象期間を示すスケジュール情報を取得する取得ステップと、刺激出力装置を用いて、前記ユーザに感覚刺激を与える刺激出力ステップと、前記取得ステップで取得した前記スケジュール情報に基づいて、前記刺激出力装置を制御する制御ステップとを含み、前記取得ステップでは、さらに、前記ユーザの生体情報を検知するセンサから前記生体情報を取得し、前記制御ステップでは、前記対象期間における前記ユーザのパフォーマンスを向上させるように、前記生体情報に基づいて、前記刺激出力装置に、前記ユーザに対して、前記ユーザのサーカディアンリズムをずらす刺激を出力させ、前記生体情報と前記スケジュール情報とに基づいて、前記スケジュール情報が示す前記対象期間に必要とされる、前記ユーザの前記パフォーマンスのレベルと、前記生体情報から割り出される、前記対象期間における前記ユーザの前記パフォーマンスのレベルとの、乖離を示す乖離情報を蓄積する。
【0008】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様に係る刺激出力システム等は、ユーザの予定に合わせて、ユーザのパフォーマンスをコントロールすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態における刺激出力システムのブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態における刺激出力システムの行う処理を示した概略図である。
【
図3】
図3は、実施の形態における刺激出力システムの備えるセンサの例を示した図である。
【
図4】
図4は、実施の形態における刺激出力システムの行う処理の詳細を示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態における刺激出力システムの行う処理を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施の形態における刺激出力システムのスケジュール情報を示す図である。
【
図7】
図7は、実施の形態における刺激出力システムの行う照明制御を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
【0012】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、請求の範囲を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態に係る構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0013】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0014】
(実施の形態)
[刺激出力システムの概要]
まず、実施の形態における刺激出力システムの概要について説明する。
図1は、実施の形態における刺激出力システム1のブロック図である。
【0015】
刺激出力システム1は、取得部10と、出力部11と制御部12とセンサ13とを備える。また、制御部12は、蓄積部21と、算出部22と、判定部23と、通知部24とを備える。蓄積部21と、算出部22と、判定部23と、通知部24とについては、後述する。
【0016】
取得部10は、ユーザの予定の対象となる時間である対象期間を示すスケジュール情報を取得する。取得部10は、プロセッサとメモリとで実現される。取得部10は、具体的には、スマートフォンまたはパソコン等の入力デバイスで実現されてもよい。
【0017】
出力部11は、ユーザに感覚刺激を与えるような刺激を出力する。出力部11は、照明装置、音響装置、温度調整装置、および、接触型振動刺激装置のうち少なくとも1つ、または、照明装置、音響装置、温度調整装置、および、接触型振動刺激装置のうちの複数の組合せからなる。
【0018】
照明装置は、例えば、室内を照明するいわゆるシーリングライトであり、制御部12によって調光制御される。なお、照明装置の態様は、平面視形状が長方形のシーリングライトに限られず、平面視形状が円形のシーリングライト、スポットライト、ベースライトまたはダウンライト等であってもよい。照明装置は、制御部12からの信号を受信して光を照射する。
【0019】
音響装置は、スピーカ、アンプ、および、制御部等を備える。スピーカは、音源を表現した電気信号を、空気の振動に変換し、物理的な音として出力する。アンプは、音源として入力された信号の電圧または電流を増幅する。音響装置は、制御部12からの信号を受けて、音響装置が備えるプレーヤが再生する音源を、出力する。プレーヤは、CD等のメディアを再生してもよいし、外部と通信を行って、音響データを取得して、取得した音響データを再生してもよい。
【0020】
温度調整装置は、例えば、エアコン等で実現される。温度調整装置は、エアフィルタと、加湿器と、冷却コイルと、加熱コイルと、送風機とを備える。温度調整装置は、ヒートポンプ等を用いて、加熱された空気、冷却された空気、加湿された空気、または、除湿された空気を搬送することで、室内の空気の温度または湿度等を調整する装置である。
【0021】
接触型振動刺激装置は、制御部12からの信号を受けて、モータによって、振動を出力する。接触型振動刺激装置は、例えば人体に接触した状態で、微細な振動を出力することで、ユーザに刺激を与える。
【0022】
制御部12は、取得部10が取得したスケジュール情報に基づいて、出力部11を制御する。具体的には、制御部12は、対象期間におけるユーザのパフォーマンスを向上させるように、出力部11に、ユーザに対して、ユーザのサーカディアンリズムを調整する刺激を出力させる。制御部12は、プロセッサとメモリとで実現される。
【0023】
センサ13は、ユーザの生体情報を検知する。センサ13は、例えば、心拍センサ、血圧センサ、脳波計、汗センサ、加速度センサ、照度センサ、または、カメラ等である。心拍センサは、以下の方法で、心拍数を計測する。心拍センサには、心拍による血流量の変化を、体内を透過する光の変化量として計測する方法が用いられる。
【0024】
または、心拍センサには、赤外線、赤色光、または、550nm付近の緑色波長の光を生体に向けて照射し、フォトダイオード、または、フォトトランジスタを用いて、生体内を反射した光を計測する方法が用いられる。後者の方法では、血液中に存在する酸化ヘモグロビンの入射光を吸収する特性を利用して、心臓の脈動に伴って変化する血流量が計測される。
【0025】
血圧センサは、ユーザの上腕に巻かれたカフを膨張させて動脈を圧迫して血流を止め、カフを減圧して、血管を血液が流れる際に血管壁から発生する振動(脈波)を計測し、脈波が急激に大きくなったときのカフの圧力を最高血圧、変化がなくなったときの圧力を最低血圧として計測する。または、血圧センサは、心拍センサによって計測された心拍数と、上記の心拍センサの原理によって計測された血流量とから、血圧を算出してもよい。
【0026】
脳波計は、ユーザの脳波を検知する。脳波計は、具体的には、ユーザの耳上部(言い換えれば、側頭部)に接する第1の電極と、ユーザの耳たぶに接する第2の電極との間の電圧値を検知して脳波データとして出力する回路である。なお、第1の電極および第2の電極の位置は一例であり、特に限定されない。
【0027】
汗センサは、汗センサを装着したユーザの発汗量を測定するセンサである。汗センサは、例えば、内蔵する湿度計によって外気の湿度を検出する。加えて、汗センサは、汗センサを装着したユーザの汗を拡散した空気を採取し、その湿度を検知する。そして、両者を作動増幅器にて差分することで、ユーザの皮膚から蒸散した汗の量を検出する。
【0028】
加速度センサは、Siからなる固定電極と可動電極、および、スプリングを備える。加速度センサに、加速度が加わっていない状態では、固定電極と可動電極の間の距離は等しく、反対に、加速度が印加された状態では、可動電極が変位し、固定電極と可動電極の間の距離が変位する。これにより固定電極との位置関係に変化が生じ、加速度センサは、変化した電極間容量を計測する。
【0029】
照度センサは、単位面積あたりの光束を測定することで、検知範囲内の床面や机上面などからの反射光を入射光量として計測する。照度センサは、光を電気信号に変換するフォトダイオード、光学フィルタ、および、拡散グローブ等を備える。
【0030】
カメラは、赤外カメラまたは可視カメラ等である。カメラは、カメラで撮影した画像を使用して対象物の有無や違いを判別するセンサである画像判別センサであってもよい。画像判別センサは、カメラで対象を撮影すると、対象を反射した光をレンズを通して受光素子にて電気信号へ変換する。そして、画像判別センサは、受光素子の画素数分に分割された画像の明暗と濃淡の情報を元に、対象の明るさまたは形状を判別する。
【0031】
[刺激出力システムにおける処理の概要]
次に、刺激出力システム1において実施される処理の概要ついて説明する。
図2は、実施の形態における刺激出力システム1の行う処理を示した概略図である。
【0032】
まず、刺激出力システム1の取得部10は、センサ13を用いて、ユーザから、ユーザのバイタルデータ、または、ユーザに関するデータ等を取得する。センサ13は、例えば、ウェアラブル端末等に備えられる心拍センサ、血圧センサ、または、血流センサ等である。取得部10は、例えば、スマートフォン等の端末に備えられてもよい。
【0033】
次に、刺激出力システム1の制御部12は、取得部10が取得したバイタルデータ、または、ユーザに関するデータ等を分析する。そして、制御部12は、分析したデータを可視化し、表示部に表示させて良い。制御部12は、例えば、スマートフォンに備えられていてもよく、表示部は、スマートフォンの画面でもよい。
【0034】
また、取得部10は、ユーザの行動の予定を表すスケジュール情報を取得する。次に、制御部12は、取得部10が取得したスケジュール情報を、分析する。そして、制御部12は、分析したスケジュール情報を可視化し、表示部に表示させてもよい。
【0035】
続いて、制御部12は、取得部10が取得したバイタルデータ、または、ユーザに関するデータ等を分析した結果に基づいて、出力部11にユーザに対して、刺激を出力させる。刺激は、例えば、光、音、振動、または、風等である。
【0036】
[生体情報の収集]
次に、刺激出力システム1が行う生体情報の収集について説明する。
図3は、実施の形態における刺激出力システム1の備えるセンサの例を示した図である。
【0037】
図3の(a)に示されるように、センサ13は、例えば、時計型のウェアラブルデバイスである心拍計である。ユーザは、手首に心拍計を装着し、日中の活動および睡眠を取ることを行い、心拍計は、日中の活動および睡眠を取ることを行っているユーザの心拍数を検知する。なお、センサ13は、時計型のウェアラブルデバイスに限らない。センサ13は、リストバンド型のウェアラブルデバイスでもよいし、眼鏡型のウェアラブルデバイスでもよい。また、センサ13は、ユーザの皮膚に直接貼り付けられる形態のセンサであってもよい。センサ13は、有線または無線で取得部10と通信する。
【0038】
また、例えば、センサ13は、ユーザが直立した姿勢において、ユーザの肩よりも下の位置で、ユーザに接触した状態でユーザの生体情報を検知する。
【0039】
また、
図3の(b)に示されるように、センサ13は例えばカメラである。センサ13は、可視カメラでもよいし、赤外カメラでもよい。例えば、センサ13であるカメラは、ユーザの体温または活動量を検知する。つまり、センサ13は、ユーザから離間した状態で、ユーザの生体情報を検知する。
【0040】
[刺激出力システムにおけるデータの処理]
次に、刺激出力システム1の行うデータの処理について説明する。
図4は、実施の形態における刺激出力システム1の行う処理の詳細を示す図である。
図4の(a)に示されるように、取得部10がセンサ13を用いてユーザから、ユーザのバイタルデータ、または、ユーザに関するデータ等を取得する。
【0041】
例えば、取得部10は、心拍センサを用いてユーザの心拍数を取得する。または、取得部10は、血圧センサを用いて、ユーザの血圧値を取得する。または、取得部10は、血流センサを用いて、ユーザの血流量を取得する。
【0042】
図4の(a)に示されるように、取得部10がセンサ13を用いてユーザから取得する、ユーザのバイタルデータ、または、ユーザに関するデータ等は、時系列に沿って取得される。
【0043】
次に、刺激出力システム1が実施する生体情報の回帰分析を用いた解析について説明する。
図4の(b)は、刺激出力システム1が行う心拍数データの回帰分析の例を示す。制御部12は、基礎データとして、蓄積した複数の生体情報に対して回帰分析を行うことで得られる回帰直線を算出し、対象となる生体情報と回帰直線とを比較した結果に基づいて、出力部11にユーザに感覚刺激を与えさせる。制御部12の備える算出部22は、制御部12の備える蓄積部21が蓄積した生体情報を解析して、基礎データを算出するが、このとき、回帰分析を用いて解析を行う。回帰分析の種類は、単回帰分析、重回帰分析、ロジスティック回帰分析、または、非線形回帰分析等である。
【0044】
まず、センサ13は、ユーザの生体情報を検知する。
【0045】
次に、蓄積部21は、取得部10がセンサ13から取得した、ユーザの生体情報を蓄積する。
【0046】
続いて、算出部22は、蓄積部21が蓄積した生体情報を回帰分析の手法で解析する。ここで、算出部22は、蓄積部21が蓄積した生体情報から、回帰直線を算出する。ここで、算出部22が解析の対象とする生体情報は、蓄積部21が蓄積した生体情報のうちの一部でもよい。算出部22は、蓄積部21が蓄積した生体情報のうち、直近に蓄積された一定量の生体情報を解析の対象としてもよい。
【0047】
そして、判定部23は、対象となる生体情報と、算出した回帰直線との乖離の程度を判定する。ここで、対象となる生体情報と、算出した回帰直線との乖離の程度とは、対象となる生体情報と同一のx座標における、回帰直線のy座標の値と、対象となる生体情報のy座標の値の差のことでもよい。
【0048】
次に、出力部11は、判定部23が出した判定結果に基づいて、刺激を出力する。つまり、出力部11は、判定部23が出した判定結果に応じて、ユーザに対して感覚刺激を与える。
【0049】
例えば、算出部22は、
図4の(b)に示されるような回帰直線を算出する。
図4の(b)の中の実線で示された直線が、算出部22が算出した回帰直線を示す。
図4の(b)において、算出された回帰直線から所定の値だけ乖離した直線を破線で示す。所定の値は任意に定められる。また、所定の値は、判定部23が行う判定の都度、変更されてもよい。所定の値が変更される周期は、判定1回毎でもよいし、所定の回数の判定毎でもよい。
【0050】
制御部12は、対象となる生体情報と、回帰直線との乖離の程度を判定し、乖離の程度に応じて、出力部11に、ユーザに感覚刺激を与えさせる。判定部23は、破線で示された直線より下の領域に存在する生体情報(ここでは心拍数)について、NGと判定する。なお、判定の閾値を示す破線で示された直線は、
図4の(b)では1つだが、2つでもよい。例えば、判定部23は、破線で示された直線より下の領域に存在する生体情報(ここでは心拍数)と、別の破線で示された直線(図示せず)より上の領域に存在する生体情報(ここでは心拍数)とについて、NGと判定してもよい。
【0051】
なお、蓄積部21は、取得部10が取得した生体情報を記憶して蓄積する。蓄積部21は、さらに、取得部10が取得した外部環境データを記憶して蓄積してもよい。
【0052】
算出部22は、蓄積部21が蓄積した生体情報を解析して、基礎データを算出する。ここで、解析の手法は、例えば、回帰分析等である。算出部22は、蓄積部21が蓄積した生体情報に関するデータに対して、回帰分析またはその他の機械学習を用いた解析を行ってもよい。算出部22が算出する基礎データは、例えば、蓄積部21が蓄積した生体情報を回帰分析して得られる回帰直線である。基礎データは、蓄積部21が蓄積した生体情報に対して数理解析を行って得られる結果でもよい。
【0053】
判定部23は、対象となる生体情報と、基礎データとから、対象となる生体情報が基準を満たしているか否かを判定する。例えば、判定部23は、対象となる生体情報と、基礎データであり、蓄積部21が蓄積した生体情報を回帰分析して得られた回帰直線とを比較し、対象となる生体情報と回帰直線との乖離の程度を判定する。ここで、対象となる生体情報とは、判定の対象となる1つの生体情報を示す。対象となる生体情報は、蓄積部21が蓄積した生体情報に含まれる1つの生体情報でもよいし、蓄積部21が蓄積した生体情報に含まれず、センサ13が検知した生体情報でもよい。
【0054】
[刺激出力システムにおけるサーカディアンリズムの調整]
続いて、刺激出力システム1が行う刺激の出力について説明する。
図4の(c)に示されるように、日中の日光浴ありの日の方が、日中の日光浴なしの日よりも睡眠時の心拍数が低い。このことから、ユーザに日中光を照射することによって、ユーザのサーカディアンリズムを調整することができる。
【0055】
よって、刺激出力システム1の制御部12は、例えば、ユーザのサーカディアンリズムが時間的に前になるように調整する場合、出力部11に、ユーザの起床直後に所定の照度の光を出力させる。反対に、刺激出力システム1の制御部12は、ユーザのサーカディアンリズムが時間的に後ろになるように調整する場合、出力部11に、ユーザの起床後数時間してから所定の強度の光を出力させる。
【0056】
ここで、ユーザのサーカディアンリズムが時間的に前になるとは、ユーザの心拍数が、一日の心拍数の中で比較的低くなる時刻が、時間的に前になることであってもよい。反対に、ユーザのサーカディアンリズムが時間的に後ろになるとは、ユーザの心拍数が、一日の心拍数の中で比較的低くなる時刻が、時間的に後ろになることであってもよい。
【0057】
また、刺激出力システム1の制御部12は、ユーザの日中の所定の時刻の覚醒度が高まるように、出力部11にユーザに対して刺激を出力させてもよい。例えば、刺激出力システム1の制御部12は、ユーザの午後3時の覚醒度が高くなるように、出力部11に、ユーザの起床直後に所定の強度の光をユーザに対して出力させてもよい。
【0058】
また、刺激出力システム1の制御部12は、ユーザの日中の所定の時刻の覚醒度が高まるように、ユーザの起床時刻を早めるように、出力部11に刺激を出力させてもよい。具体的には、刺激出力システム1の制御部12は、取得部10がセンサ13を用いて取得した、ユーザの心拍数のデータから割り出される起床予定時刻よりも早い時刻に、出力部11に所定の強度の光を出力させる。
【0059】
これにより、刺激出力システム1は、ユーザの起床時刻を意図的に早めることができ、ユーザが起床している日中の、ユーザの覚醒度が高まる時間を調整することができる。例えば、刺激出力システム1の制御部12が、取得部10がセンサ13を用いて取得した、ユーザの心拍数のデータから割り出される起床予定時刻よりも早い時刻に、出力部11に所定の強度の光を出力させることによって、ユーザが起床している日中の、ユーザの覚醒度が高まる時間を早めることができる。
【0060】
[刺激出力システムの動作]
次に、刺激出力システム1の動作について説明する。
図5は、実施の形態における刺激出力システム1の行う処理を示すフローチャートである。
【0061】
まず、取得部10は、スケジュール情報を取得する(ステップS10)。ここで、スケジュール情報とは、ユーザの行動の予定を示す。例えば、スケジュール情報は、ユーザの行動が開始される時刻とユーザの行動が終了される時刻とを、行動の内容を表す情報と紐づけた情報でもよい。取得部10は、サーバ等の外部機器と有線通信または無線通信を行って、スケジュール情報を取得してもよい。または、取得部10は、取得部10を備えるスマートフォン、タブレット端末、または、PC等の端末に、ユーザによって手動で入力されたスケジュール情報を取得してもよい。
【0062】
次に、制御部12が、ユーザのパフォーマンスを向上させるように、出力部11を制御する(ステップS11)。ここで、ユーザのパフォーマンスとは、ユーザがとる予定の行動に応じて決定される、ユーザに必要な覚醒度の達成率(または達成度)で表されてもよい。
【0063】
例えば、ユーザのパフォーマンスが高いとは、ユーザが就寝しようとしているときに、ユーザの覚醒度が低いことである。反対に、ユーザが活動しようとしているときは、ユーザのパフォーマンスが高いとは、ユーザの覚醒度が高いことである。
【0064】
また、制御部12は、数時間後のユーザのパフォーマンスを向上させるために、現在において、出力部11を制御してもよい。例えば、制御部12は、午後3時のユーザのパフォーマンスを向上させるために、午前6時に出力部11を制御してもよい。具体的には、制御部12は、午後3時のユーザの覚醒度を高めるために、午後6時に出力部11を制御してもよい。
【0065】
続いて、出力部11が、ユーザのサーカディアンリズムを調整する刺激を出力する(ステップS12)。ここで、ユーザのサーカディアンリズムとは、例えば、ユーザの心拍数の一日の内での変動のリズムのことである。また、ユーザのサーカディアンリズムとは、ユーザの脳波、血圧、または、発汗量等の一日の内での変動のリズムのことでもよい。
【0066】
例えば、出力部11は、午後3時のユーザのパフォーマンスを向上させるために、午前6時に制御部12からの制御を受けて、光を出力してもよい。具体的には、出力部11は、午後3時のユーザの覚醒度を高めるために、午後6時に、制御部12からの制御を受けて、光を出力してもよい。
【0067】
また、例えば、出力部11は、ユーザのサーカディアンリズムを前に調整するために、刺激を出力してもよい。具体的には、出力部11は、ユーザのサーカディアンリズムが睡眠中であることを示している時に、制御部12からの制御を受けて光を出力し、ユーザを覚醒させてもよい。
【0068】
反対に、例えば、出力部11は、ユーザのサーカディアンリズムを後ろに調整するために、刺激を出力してもよい。具体的には、出力部11は、ユーザのサーカディアンリズムが覚醒していることを示している時に、制御部12からの制御を受けて光の出力を減少させて、ユーザを睡眠に導いてもよい。ここで、光の出力を減少させるとは、出力する光の照度を減少させる、または、光を出力しないこと、もしくは、出力する光の色温度を低下させることである。
【0069】
なお、出力部11は、上記の動作を行う際に、光以外の刺激を出力してもよい。光以外の刺激とは、例えば、音、風、または、振動である。また、出力部11は、上記の動作を行う際に、空気の温度調節を行ってもよい。
【0070】
例えば、出力部11は、ユーザのサーカディアンリズムを前に調整するために、ユーザのサーカディアンリズムが睡眠中であることを示している時に、制御部12からの制御を受けて音を出力し、ユーザを覚醒させてもよい。
【0071】
例えば、出力部11は、ユーザのサーカディアンリズムを前に調整するために、ユーザのサーカディアンリズムが睡眠中であることを示している時に、制御部12からの制御を受けて振動を出力し、ユーザを覚醒させてもよい。
【0072】
例えば、出力部11は、ユーザのサーカディアンリズムを後ろに調整するために、ユーザのサーカディアンリズムが覚醒していることを示している時に、制御部12からの制御を受けて風を出力し、ユーザを睡眠に導いてもよい。
【0073】
また、刺激出力システム1は、刺激の出力によるユーザのサーカディアンリズムの調整を、長時間にわたって、継続的に行ってもよい。
【0074】
例えば、制御部12は、ユーザのサーカディアンリズムを前に調整するために、所定期間ごとに、取得部10が取得した生体情報に基づいて、出力する刺激を決定し、所定期間が経過する都度、出力部11を制御して、決定した刺激を出力させてもよい。所定期間は例えば1時間でもよく、制御部12が制御を継続する期間は、例えば、1日でもよい。
【0075】
具体的には、ユーザのサーカディアンリズムを前に調整するために、ユーザのサーカディアンリズムが覚醒していることを示している午後10時に、出力部11を制御して、出力部11からの光の出力を減少させ、ユーザのサーカディアンリズムが睡眠中であることを示している午前5時に、出力部11を制御して、出力部11から所定の強度の光を出力させてもよい。
【0076】
そして、午前6時に、制御部12は、出力部11に比較的強い光を出力させ、ユーザのサーカディアンリズムを前に調整してもよい。また、制御部12は、その後、ユーザの覚醒度を高めたい時刻に、出力部11に、所定の強度の光を出力させてもよい。なお、制御部12は、ユーザの覚醒度を高めたい時刻の数時間前に、希望する時刻にユーザの覚醒度を高めるために、出力部11に所定の強度の光を出力させてもよい。
【0077】
[スケジュール情報の詳細]
次に、スケジュール情報の詳細について説明する。
図6は、実施の形態における刺激出力システム1のスケジュール情報を示す図である。
【0078】
スケジュール情報は、ユーザの行動の予定の実施時刻を含む情報である。ここで、実施時刻とは、開始時刻および終了時刻を含んでもよい。
図6に示されるように、スケジュール情報は、一日の内での、起床時刻、活動力向上時刻、または、就寝時刻等の情報を含む。スケジュール情報は、起床時刻、活動力向上時刻、または、就寝時刻のうち、いずれか1つのみを含んでもよい。ここで、活動力向上時刻とは、ユーザの覚醒度を高めたい時刻である。
【0079】
例えば、スケジュール情報には、
図6に示されるように、1日目は、起床時刻として6時起床という情報が格納され、活動力向上時刻として12時~14時に活動力向上という情報が格納され、就寝時刻として22時に就寝という情報が格納される。なお、スケジュール情報には、食事時刻等が含まれてもよい。
【0080】
なお、取得部10は、少なくとも1つの外部機器において使用可能なスケジューラソフトを介して、スケジュール情報を取得してもよいし、ユーザの取得部10への手動による入力によって、スケジュール情報を取得してもよい。
【0081】
ここで、少なくとも1つの外部機器において使用可能なスケジューラソフトとは、例えば、サーバ、PC、スマートフォン、または、タブレット端末等で利用可能な汎用のスケジューラソフトである。取得部10がスケジューラソフトを備え、取得部10がスケジューラソフトを制御して、スケジューラソフトに入力されたスケジュール情報を取得してもよい。または、取得部10が、サーバ、PC、スマートフォン、または、タブレット端末等の外部機器が備えるスケジューラソフトから、有線通信または無線通信によって、スケジュール情報を取得してもよい。
【0082】
[照明制御の概略]
次に、刺激出力システム1が行う照明制御の概略について説明する。
図7は、実施の形態における刺激出力システム1の行う照明制御を示す図である。ここで、睡眠スコアとは、センサ13が検知したユーザの心拍数に基づいて、算出部22が算出する値である。例えば、睡眠時のユーザの心拍数が高いほど、睡眠スコアを低く算出する。
【0083】
睡眠スコアが平均的な日の照明制御は、例えば、起床後の時間が3時間~5時間の間は、4000K、起床後の時間が5時間~7時間の間は5000K、起床後の時間が7時間~9時間の間は4000K、起床後の時間が9時間~11時間の間は3500K、起床後の時間が11時間~12時間の間は3000K、起床後の時間が12時間以降は、2700Kとする。この照明制御は、太陽光を模したものであってもよい。
【0084】
これに対して、睡眠スコアが低かった日の照明制御は、例えば、起床後の時間が3時間~5時間の間は、4000Kより高い値、起床後の時間が5時間~7時間の間は5000Kより高い値、起床後の時間が7時間~9時間の間は4000Kより高い値、起床後の時間が9時間~11時間の間は3500K、起床後の時間が11時間~12時間の間は3000K、起床後の時間が12時間以降は、2700Kとする。この照明制御は、太陽光を模したものであってもよい。
【0085】
睡眠スコアが低かった日の照明制御において、照明装置の照度は、睡眠スコアが平均的な日の照明制御で用いられる照度より、100~数百K高い照度でもよいし、1000~数千K高い照度でもよい。睡眠スコアが低かった日の照明制御において、睡眠スコアが平均的な日の照明制御よりも高い照度が用いられる時間は、数時間でもよいし、半日程度でもよい。
【0086】
睡眠スコアが低かった日の照明制御において、照明装置は、ユーザが日中数時間外で太陽光を浴びた際に浴する光と同程度の光を浴することができるような照度を、その強度と光が持続される時間において、再現してもよい。
【0087】
[刺激出力システムのその他の動作]
刺激出力システム1は、対象となる生体情報を解析する際に、解析毎に、蓄積部21によって蓄積された生体情報のうち、解析の対象となる生体情報の範囲を変更してもよい。当該変更には、生体情報以外の情報(例えば、温度、湿度、および、照度などの外部環境データ)が反映されてもよい。
【0088】
また、刺激出力システム1は、対象となる生体情報が基礎データから所定の値以上乖離しているかを判定する際に、判定毎に、所定の値を変更してもよい。当該変更には、直前に取得された心拍数等の生体情報、または、前日の睡眠スコア、および、生体情報以外の情報(例えば、温度、湿度、および、照度などの外部環境データ)等が反映されてもよい。
【0089】
上述の各種変更によって、刺激出力システム1は、ユーザの状態に追随して、より適切な感覚刺激を出力してもよい。
【0090】
また、制御部12は、出力部11を制御するアルゴリズムを、外部から無線で取得して更新してもよい。例えば、制御部12は、通信部を備え、通信部は、算出部22および判定部23のそれぞれが用いるアルゴリズム、または、出力部11が照明の制御に用いるアルゴリズムを外部から無線通信により取得し、算出部22、判定部23、および、出力部11は、通信部が取得したアルゴリズムを用いて、既存のアルゴリズムを更新する。また、通信部は、有線による通信を行ってもよい。また、制御部12は、USB(Universal Serial Bus)メモリまたはCD-ROM(Compact Disc Read only memory)等の記憶媒体から、アルゴリズムを読み取り、アルゴリズムを取得してもよい。
【0091】
また、刺激出力システム1は、1日の浴光量の目標値に対する、対象となる日の浴光量の達成度であるルクスh達成度を算出し、可視化してもよい。例えば、ある日のユーザの1日の浴光量を計測し、ルクスh達成度として、計測した浴光量が、1日の浴光量の目標値に対してどれだけ差があるかを算出してもよい。また、刺激出力システム1は、ある日のユーザの1日の浴光量を計測し、ルクスh達成度として、計測した浴光量が、1日の浴光量の目標値に対してどれだけの割合を算出してもよい。
【0092】
また、刺激出力システム1は、ルクスh達成度と、ユーザの心拍数から算出される、ユーザの睡眠の質をあらわす睡眠スコアとを可視化してもよい。
【0093】
また、刺激出力システム1は、1日の浴光量の目標値と、ルクスh達成度との差を補うような光を、ユーザに対して、照明器具に出力させてもよい。例えば、刺激出力システム1は、ルクスh達成度として、対象となる日の浴光量を、1日の浴光量の目標値で割り、ルクスh達成度が1になるように、照明器具から光を出力させてもよい。
【0094】
刺激出力システム1の制御部12および取得部10は、スマートフォン、または、タブレット端末等の携帯端末で実現されてもよい。刺激出力システム1は、携帯端末が動作しているときに、センサ13が起動した場合、携帯端末とセンサ13とは同期し、携帯端末とセンサ13とが動作している間、携帯端末は、一定間隔毎にセンサ13から生体情報を自動で取得、または、ユーザによる手動入力によって取得する。また、携帯端末は、センサ13が動作していない場合、携帯端末と同期しなくてもよい。携帯端末とセンサ13との同期または非同期が、ユーザによって手動で選択されてもよい。または、携帯端末とセンサ13との同期または非同期が、自動で設定されてもよい。ここで、上記の携帯端末とセンサ13の同期に関するすべての動作において、携帯端末は、取得部10と読み替えられてもよい。
【0095】
制御部12は、センサ13が検知したユーザの生体情報に基づいて、ユーザの睡眠のサイクルを示すサーカディアンリズムを算出し、算出したユーザのサーカディアンリズムと、AI(Artificial Intelligence)を用いて生成したユーザの睡眠についてのアドバイスを、ユーザに通知する。
【0096】
例えば、制御部12の通知部24は、センサ13が検知したユーザの生体情報に基づいて、ユーザのサーカディアンリズムを算出する。そして、算出したサーカディアンリズムが、平均値よりも所定の値乖離している場合、通知部24は、ユーザにサーカディアンリズムを整える効果のある行動を取るように促すメッセージを通知する。例えば、通知部24は、ディスプレイに、睡眠に関するアドバイスとして「昼間、日光浴をしましょう。」というメッセージを表示させる。上記のサーカディアンリズムの算出と、サーカディアンリズムの判定は、AIを用いて行われてもよい。
【0097】
また、制御部12は、生体情報とスケジュール情報とに基づいて、スケジュール情報が示す対象期間に必要とされる、ユーザのパフォーマンスのレベルと、生体情報から割り出される、対象期間におけるユーザのパフォーマンスのレベルとの、乖離を示す乖離情報を蓄積し、乖離情報を可視化し、可視化した乖離情報を表示させる。
【0098】
制御部12は、取得部10が取得した生体情報から、ユーザのパフォーマンスのレベルを算出する。具体的には、制御部12は、取得部10が取得したユーザの心拍数から、ユーザの覚醒度を算出してもよい。
【0099】
次に、制御部12は、取得部10が取得したスケジュール情報から、該当時刻におけるユーザの望ましいパフォーマンスのレベルを算出する。具体的には、制御部12は、例えば、スケジュール情報は就寝を表していた場合、睡眠をとるのにふさわしいユーザの心拍数の範囲を算出する。なお、制御部12は、スケジュール情報に予め含まれる、ユーザの望ましいパフォーマンスのレベルを示す情報を取得してもよい。具体的には、スケジュール情報に予め含まれる、ユーザの望ましい心拍数の範囲を示す情報を取得してもよい。
【0100】
そして、制御部12は、生体情報から算出したユーザのパフォーマンスのレベルと、スケジュール情報から算出したユーザの望ましいパフォーマンスのレベルとを比較し、両者の乖離度を算出する。ここで、乖離度は、両者の差で示されてもよいし、両者の商で示されてもよい。
【0101】
続いて、制御部12は、算出した乖離度を可視化する。例えば、制御部12は、生体情報から算出したユーザのパフォーマンスのレベルと、スケジュール情報から算出したユーザの望ましいパフォーマンスのレベルとをプロットして、両者の差を示したグラフを生成してもよい。また、例えば、制御部12は、生体情報から算出したユーザのパフォーマンスのレベルを、スケジュール情報から算出したユーザの望ましいパフォーマンスのレベルで割った商をプロットしたグラフを生成してもよい。上記のプロットは、時系列に沿って継続的に行われてもよい。
【0102】
最後に、制御部12は、可視化した乖離度を表示部に表示させる。具体的には、刺激出力システム1がスマートフォンを備える場合、制御部12は、スマートフォンの画面に、生成した上述のグラフを表示してもよい。または、制御部12は、スマートフォンの画面に、算出した乖離度を示す情報を表示してもよい。なお、上記のスマートフォンは、タブレット端末またはPCでもよい。
【0103】
[効果等]
本開示の刺激出力システム1は、ユーザの行動の予定を示すスケジュール情報を取得する取得部10と、ユーザに感覚刺激を与える出力部11と、取得部10が取得したスケジュール情報に基づいて、出力部11を制御する制御部12と、を備え、制御部12は、出力部11の制御によってユーザに感覚刺激を与えることにより、スケジュール情報によって定められる対象期間におけるユーザのパフォーマンスを向上させるようにユーザのサーカディアンリズムを調整する。
【0104】
これにより、本開示の刺激出力システム1は、ユーザが所望の時間にパフォーマンスを向上させるような刺激を出力することができる。よって、本開示の刺激出力システム1は、ユーザのサーカディアンリズムを調整することができる。
【0105】
本開示の刺激出力システム1は、さらに、ユーザの生体情報を検知するセンサ13を備え、制御部12は、さらに、センサ13で検知した生体情報に基づいて、出力部11を制御する。
【0106】
これにより、本開示の刺激出力システム1は、ユーザの生理状態に合わせて、刺激を出力することができる。よって、本開示の刺激出力システム1は、ユーザのサーカディアンリズムを調整することができる。
【0107】
本開示の刺激出力システム1において、取得部10は、スマートフォンまたはパソコンである。
【0108】
これにより、本開示の刺激出力システム1は、スマートフォンまたはパソコンを用いて実現されうる。よって、本開示の刺激出力システム1は、汎用性の高い機器を用いて実現されうる。
【0109】
本開示の刺激出力システム1において、制御部12は、生体情報から割り出されるユーザの起床直後の時間帯に、出力部11に感覚刺激として所定の強度の光を出力させることで、ユーザのサーカディアンリズムを調整する。
【0110】
これにより、本開示の刺激出力システム1は、ユーザのサーカディアンリズムを調節するような光を出力することができる。よって、本開示の刺激出力システム1は、ユーザのサーカディアンリズムを調整することができる。
【0111】
本開示の刺激出力システム1において、取得部10とセンサ13との同期または非同期が、ユーザによって選択可能である。
【0112】
これにより、本開示の刺激出力システム1は、ユーザの状況に合わせて、取得部10とセンサ13との同期または非同期を行うことができる。
【0113】
本開示の刺激出力システム1において、取得部10は、少なくとも1つの外部機器において使用可能なスケジューラソフトを介して、スケジュール情報を取得する。
【0114】
これにより、本開示の刺激出力システム1は、汎用的なソフトウェアを用いて、スケジュール情報を取得することができる。よって、本開示の刺激出力システム1は、汎用性の高い機器を用いて実現されうる。
【0115】
本開示の刺激出力システム1において、取得部10は、ユーザの手動による入力を介して、スケジュール情報を取得する。
【0116】
これにより、本開示の刺激出力システム1は、状況に合わせて柔軟にスケジュール情報を取得することができる。
【0117】
本開示の刺激出力システム1において、取得部10は、有線通信または無線通信を介して、スケジュール情報を取得する。
【0118】
これにより、本開示の刺激出力システム1は、ユーザにとって利便性の高い方法で、スケジュール情報を取得することができる。
【0119】
本開示の刺激出力システム1において、制御部12は、生体情報とスケジュール情報とに基づいて、スケジュール情報が示す対象期間に必要とされる、ユーザのパフォーマンスのレベルと、生体情報から割り出される、対象期間におけるユーザのパフォーマンスのレベルとの、乖離を示す乖離情報を蓄積し、乖離情報を可視化し、可視化した乖離情報を表示させる。
【0120】
これにより、本開示の刺激出力システム1は、ユーザに対して、ユーザのサーカディアンリズムと望ましい身体状態とを比較した結果を、通知することができる。よって、本開示の刺激出力システム1は、ユーザに、ユーザのサーカディアンリズムを意識させることができる。
【0121】
本開示の刺激出力システム1において、出力部11は、照明装置、音響装置、温度調整装置、および、接触型振動刺激装置のうち少なくとも1つである。
【0122】
これにより、本開示の刺激出力システム1は、光、音、および、振動の刺激を出力することができ、また、気温を調整することができる。
【0123】
本開示の刺激出力システム1において、出力部11は、照明装置、音響装置、温度調整装置、および、接触型振動刺激装置のうちの複数の組合せからなる。よって、本開示の刺激出力システム1は、ユーザのサーカディアンリズムを調整するための刺激を出力することができる。
【0124】
これにより、本開示の刺激出力システム1は、光、音、および、振動の刺激の出力と、気温調整とを組み合わせて実施することができる。よって、本開示の刺激出力システム1は、効果的に、ユーザのサーカディアンリズムを調整するための刺激を出力することができる。
【0125】
本開示の刺激出力方法は、ユーザの予定の対象となる時間である対象期間を示すスケジュール情報を取得する取得ステップと、刺激出力装置を用いて、ユーザに感覚刺激を与える刺激出力ステップと、取得ステップで取得したスケジュール情報に基づいて、刺激出力装置を制御する制御ステップと、を含み、制御ステップでは、対象期間におけるユーザのパフォーマンスを向上させるように、刺激出力装置に、ユーザに対して、ユーザのサーカディアンリズムをずらす刺激を出力させる。
【0126】
これにより、本開示の刺激出力方法は、上記刺激出力システム1と同様の効果を奏することができる。
【0127】
(その他)
以上、実施の形態について説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0128】
例えば、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0129】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0130】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0131】
また、本開示の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、本開示の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0132】
例えば、本開示は、上記実施の形態の照明制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。本開示は、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0133】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【符号の説明】
【0134】
1 刺激出力システム
10 取得部
11 出力部
12 制御部
13 センサ