IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本発條株式会社の特許一覧

特許7535713船舶推進装置用制御装置、船舶推進装置用制御方法およびプログラム
<>
  • 特許-船舶推進装置用制御装置、船舶推進装置用制御方法およびプログラム 図1
  • 特許-船舶推進装置用制御装置、船舶推進装置用制御方法およびプログラム 図2
  • 特許-船舶推進装置用制御装置、船舶推進装置用制御方法およびプログラム 図3
  • 特許-船舶推進装置用制御装置、船舶推進装置用制御方法およびプログラム 図4
  • 特許-船舶推進装置用制御装置、船舶推進装置用制御方法およびプログラム 図5
  • 特許-船舶推進装置用制御装置、船舶推進装置用制御方法およびプログラム 図6
  • 特許-船舶推進装置用制御装置、船舶推進装置用制御方法およびプログラム 図7
  • 特許-船舶推進装置用制御装置、船舶推進装置用制御方法およびプログラム 図8
  • 特許-船舶推進装置用制御装置、船舶推進装置用制御方法およびプログラム 図9
  • 特許-船舶推進装置用制御装置、船舶推進装置用制御方法およびプログラム 図10
  • 特許-船舶推進装置用制御装置、船舶推進装置用制御方法およびプログラム 図11
  • 特許-船舶推進装置用制御装置、船舶推進装置用制御方法およびプログラム 図12
  • 特許-船舶推進装置用制御装置、船舶推進装置用制御方法およびプログラム 図13
  • 特許-船舶推進装置用制御装置、船舶推進装置用制御方法およびプログラム 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-08
(45)【発行日】2024-08-19
(54)【発明の名称】船舶推進装置用制御装置、船舶推進装置用制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B63H 25/42 20060101AFI20240809BHJP
   B63H 25/04 20060101ALI20240809BHJP
【FI】
B63H25/42 B
B63H25/04 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021524919
(86)(22)【出願日】2020-06-05
(86)【国際出願番号】 JP2020022259
(87)【国際公開番号】W WO2020246574
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-02-01
(31)【優先権主張番号】P 2019106518
(32)【優先日】2019-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】白尾 真人
(72)【発明者】
【氏名】秋田 まり乃
(72)【発明者】
【氏名】大島 隆史
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-140272(JP,A)
【文献】特開2018-002040(JP,A)
【文献】特開2005-200004(JP,A)
【文献】米国特許第09908606(US,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0120864(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63H 25/42
B63H 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の船舶推進装置を制御する船舶推進装置用制御装置であって、
前記複数の船舶推進装置のそれぞれは、エンジンによって駆動されて船舶の推進力を発生する推進ユニットと、操舵アクチュエータとを備え、
前記船舶は、
前記推進ユニットおよび前記操舵アクチュエータを作動させる操作部を備え、
前記操作部は、少なくとも
前記複数の船舶推進装置が前記船舶の推進力を発生しないニュートラル領域と、
前記複数の船舶推進装置が前記船舶の推進力を発生する推進力発生領域に位置することができ、
前記操作部が、前記ニュートラル領域から前記推進力発生領域のうちの特定の領域に移動させられて、前記特定の領域に維持される場合に、
前記船舶推進装置用制御装置は、
前記操作部が前記ニュートラル領域から前記推進力発生領域に移動させられた第1時刻から第2時刻までの第1期間中に、第1推進力を前記複数の船舶推進装置に発生させ、
次いで、前記第2時刻以降の第2期間中に、前記第1推進力と同一の向き、かつ前記第1推進力よりも大きい第2推進力を前記複数の船舶推進装置に発生させる、
船舶推進装置用制御装置。
【請求項2】
前記推進力発生領域には、前記複数の船舶推進装置前記船舶の右向きまたは左向きに前記船舶を並進移動させる推進力を発生させる左右領域が含まれる、
請求項1に記載の船舶推進装置用制御装置。
【請求項3】
前記推進力発生領域には、前記複数の船舶推進装置前記船舶を前進または後進させる推進力を発生させる前後領域が含まれる、
請求項1に記載の船舶推進装置用制御装置。
【請求項4】
前記推進力発生領域には、前記複数の船舶推進装置前記船舶の右前向き、右後向き、左前向きまたは左後向きに前記船舶を並進移動させる推進力を発生させる斜め領域が含まれる、
請求項1に記載の船舶推進装置用制御装置。
【請求項5】
前記推進力発生領域には、前記複数の船舶推進装置前記船舶を時計回りまたは反時計回りに旋回させる推進力を発生させる回転のための領域が含まれる、
請求項1に記載の船舶推進装置用制御装置。
【請求項6】
前記操作部が、前記推進力発生領域から前記ニュートラル領域に移動させられて、前記ニュートラル領域に維持される場合に、
前記船舶推進装置用制御装置は、
前記操作部が前記推進力発生領域から前記ニュートラル領域に移動させられた第3時刻から第4時刻までの第3期間中に、ゼロより大きく前記第2推進力より小さい第3推進力を前記複数の船舶推進装置に発生させ、
次いで、前記第4時刻以降の第4期間中に、前記複数の船舶推進装置に推進力を発生させない、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の船舶推進装置用制御装置。
【請求項7】
前記船舶は、前記第1期間の長さの変更要求を受け付ける第1期間設定部を更に備え、
前記船舶推進装置用制御装置は、
前記第1期間設定部が前記第1期間の長さの延長要求を受け付けた場合に、前記複数の船舶推進装置に前記第1推進力を発生させる前記第1期間の長さを延長し、
前記第1期間設定部が前記第1期間の長さの短縮要求を受け付けた場合に、前記複数の船舶推進装置に前記第1推進力を発生させる前記第1期間の長さを短縮する、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の船舶推進装置用制御装置。
【請求項8】
前記船舶は、第1モードおよび第2モードのいずれかの選択を受け付けるモード設定部を更に備え、
前記船舶推進装置用制御装置は、
前記モード設定部が前記第1モードの選択を受け付けた場合に、前記第1期間中に前記第1推進力を前記複数の船舶推進装置に発生させ、次いで、前記第2期間中に前記第2推進力を前記複数の船舶推進装置に発生させ、
前記モード設定部が前記第2モードの選択を受け付けた場合に、前記操作部が前記ニュートラル領域から前記推進力発生領域に移動させられた前記第1時刻に前記第2推進力を前記複数の船舶推進装置に発生させ、前記第1時刻以降の期間中に前記第2推進力を前記複数の船舶推進装置に発生させ続ける、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の船舶推進装置用制御装置。
【請求項9】
前記推進力発生領域には、
前記ニュートラル領域からの前記操作部の移動量が第1閾値以下である第1領域と、
前記ニュートラル領域からの前記操作部の移動量が前記第1閾値よりも大きい第2領域とが含まれ、
前記操作部が、前記ニュートラル領域から、前記第1領域および前記第2領域の一方に移動させられて、前記第1領域および前記第2領域の一方に維持される場合に、
前記船舶推進装置用制御装置は、
前記操作部が前記ニュートラル領域から前記第1領域および前記第2領域の一方に移動させられた前記第1時刻から前記第2時刻までの前記第1期間中に、前記第1推進力を前記複数の船舶推進装置に発生させ、
次いで、前記第2時刻以降の前記第2期間中に、前記第2推進力を前記複数の船舶推進装置に発生させ、
前記操作部が、前記ニュートラル領域から、前記第1領域および前記第2領域の他方に移動させられて、前記第1領域および前記第2領域の他方に維持される場合に、
前記船舶推進装置用制御装置は、
前記操作部が前記ニュートラル領域から前記第1領域および前記第2領域の他方に移動させられた前記第1時刻に前記第2推進力を前記複数の船舶推進装置に発生させ、
前記第1時刻以降の期間中に前記第2推進力を前記複数の船舶推進装置に発生させ続ける、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の船舶推進装置用制御装置。
【請求項10】
前記操作部が、前記ニュートラル領域から前記推進力発生領域に移動させられて、前記推進力発生領域に維持される場合であって、前記ニュートラル領域から前記推進力発生領域への前記操作部の移動所要時間が第2閾値よりも長い場合に、
前記船舶推進装置用制御装置は、
前記ニュートラル領域から前記推進力発生領域への前記操作部の移動完了時刻である前記第1時刻から前記第2時刻までの前記第1期間中に、前記第1推進力を前記複数の船舶推進装置に発生させ、
次いで、前記第2時刻以降の前記第2期間中に、前記第2推進力を前記複数の船舶推進装置に発生させ、
前記操作部が、前記ニュートラル領域から前記推進力発生領域に移動させられて、前記推進力発生領域に維持される場合であって、前記ニュートラル領域から前記推進力発生領域への前記操作部の移動所要時間が前記第2閾値以下である場合に、
前記船舶推進装置用制御装置は、
前記第1時刻に前記第2推進力を前記複数の船舶推進装置に発生させ、
前記第1時刻以降の期間中に前記第2推進力を前記複数の船舶推進装置に発生させ続ける、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の船舶推進装置用制御装置。
【請求項11】
複数の船舶推進装置を制御する船舶推進装置用制御方法であって、
前記複数の船舶推進装置のそれぞれは、エンジンによって駆動されて船舶の推進力を発生する推進ユニットと、操舵アクチュエータとを備え、
前記船舶は、
前記推進ユニットおよび前記操舵アクチュエータを作動させる操作部を備え、
前記操作部は、少なくとも
前記複数の船舶推進装置が前記船舶の推進力を発生しないニュートラル領域と、
前記複数の船舶推進装置が前記船舶の推進力を発生する推進力発生領域に位置することができ、
前記操作部が、前記ニュートラル領域から前記推進力発生領域のうちの特定の領域に移動させられて、前記特定の領域に維持される場合に、
前記操作部が前記ニュートラル領域から前記推進力発生領域に移動させられた第1時刻から第2時刻までの第1期間中に、第1推進力を前記複数の船舶推進装置に発生させ、
次いで、前記第2時刻以降の第2期間中に、前記第1推進力と同一の向き、かつ前記第1推進力よりも大きい第2推進力を前記複数の船舶推進装置に発生させる、
船舶推進装置用制御方法。
【請求項12】
複数の船舶推進装置を制御するプログラムであって、
前記複数の船舶推進装置のそれぞれは、エンジンによって駆動されて船舶の推進力を発生する推進ユニットと、操舵アクチュエータとを備え、
前記船舶は、
前記推進ユニットおよび前記操舵アクチュエータを作動させる操作部を備え、
前記操作部は、少なくとも
前記複数の船舶推進装置が前記船舶の推進力を発生しないニュートラル領域と、
前記複数の船舶推進装置が前記船舶の推進力を発生する推進力発生領域に位置することができ、
前記操作部が、前記ニュートラル領域から前記推進力発生領域のうちの特定の領域に移動させられて、前記特定の領域に維持される場合に、
コンピュータに、
前記操作部が前記ニュートラル領域から前記推進力発生領域に移動させられた第1時刻から第2時刻までの第1期間中に、前記複数の船舶推進装置が第1推進力を発生する第1ステップと、
前記第2時刻以降の第2期間中に、前記複数の船舶推進装置が前記第1推進力と同一の向き、かつ前記第1推進力よりも大きい第2推進力を発生する第2ステップと
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶推進装置用制御装置、船舶推進装置用制御方法およびプログラムに関する。
本願は、2019年6月6日に、日本に出願された特願2019-106518号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来から、乗り心地が良好に保たれるようにした船外機が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載された船外機は、船体の後部に支持されるプロペラ駆動用のエンジンを備えている。特許文献1には、エンジンの空気吸入開口が船体の後方に向って開口しているため、エンジンの駆動時に吸気騒音が発生しても、吸気騒音が船体上の乗船者に向かわず、乗り心地が良好に保たれる旨が記載されている。
ところで、特許文献1に記載された技術では、吸気騒音が乗船者に向かわないようにすることができるものの、船舶の移動開始時の乗り心地を向上させるための対策が施されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-098017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した問題点に鑑み、本発明は、船舶の移動開始時の乗り心地を向上させることができる船舶推進装置用制御装置、船舶推進装置用制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、鋭意研究において、例えばジョイスティックのレバーの先端部が中立位置から例えば右傾倒位置などに移動させられて維持される場合に、船舶推進装置が発生する推進力として、最初の期間中に右向きの小さい推進力が算出され、次いで、その期間の後の期間中に、最初の期間中の推進力よりも大きい推進力が算出されることによって、船舶の移動開始時の乗り心地が格段に向上し、船舶の移動開始時に乗船者がよろけてしまうおそれが抑制されることを見い出したのである。
【0006】
本発明の一態様は、複数の船舶推進装置を制御する船舶推進装置用制御装置であって、前記複数の船舶推進装置のそれぞれは、エンジンによって駆動されて船舶の推進力を発生する推進ユニットと、操舵アクチュエータとを備え、前記船舶は、前記推進ユニットおよび前記操舵アクチュエータを作動させる操作部を備え、前記操作部は、少なくとも前記複数の船舶推進装置が前記船舶の推進力を発生しないニュートラル領域と、前記複数の船舶推進装置が前記船舶の推進力を発生する推進力発生領域に位置することができ、前記操作部が、前記ニュートラル領域から前記推進力発生領域のうちの特定の領域に移動させられて、前記特定の領域に維持される場合に、前記船舶推進装置用制御装置は、前記操作部が前記ニュートラル領域から前記推進力発生領域に移動させられた第1時刻から第2時刻までの第1期間中に、第1推進力を前記複数の船舶推進装置に発生させ、次いで、前記第2時刻以降の第2期間中に、前記第1推進力と同一の向き、かつ前記第1推進力よりも大きい第2推進力を前記複数の船舶推進装置に発生させる、船舶推進装置用制御装置である。
【0007】
本発明の一態様は、複数の船舶推進装置を制御する船舶推進装置用制御方法であって、前記複数の船舶推進装置のそれぞれは、エンジンによって駆動されて船舶の推進力を発生する推進ユニットと、操舵アクチュエータとを備え、前記船舶は、前記推進ユニットおよび前記操舵アクチュエータを作動させる操作部を備え、前記操作部は、少なくとも前記複数の船舶推進装置が前記船舶の推進力を発生しないニュートラル領域と、前記複数の船舶推進装置が前記船舶の推進力を発生する推進力発生領域に位置することができ、前記操作部が、前記ニュートラル領域から前記推進力発生領域のうちの特定の領域に移動させられて、前記特定の領域に維持される場合に、前記操作部が前記ニュートラル領域から前記推進力発生領域に移動させられた第1時刻から第2時刻までの第1期間中に、第1推進力を前記複数の船舶推進装置に発生させ、次いで、前記第2時刻以降の第2期間中に、前記第1推進力と同一の向き、かつ前記第1推進力よりも大きい第2推進力を前記複数の船舶推進装置に発生させる、船舶推進装置用制御方法である。
【0008】
本発明の一態様は、複数の船舶推進装置を制御するプログラムであって、
前記複数の船舶推進装置のそれぞれは、エンジンによって駆動されて船舶の推進力を発生する推進ユニットと、操舵アクチュエータとを備え、前記船舶は、前記推進ユニットおよび前記操舵アクチュエータを作動させる操作部を備え、前記操作部は、少なくとも前記複数の船舶推進装置が前記船舶の推進力を発生しないニュートラル領域と、前記複数の船舶推進装置が前記船舶の推進力を発生する推進力発生領域に位置することができ、前記操作部が、前記ニュートラル領域から前記推進力発生領域のうちの特定の領域に移動させられて、前記特定の領域に維持される場合に、コンピュータに、前記操作部が前記ニュートラル領域から前記推進力発生領域に移動させられた第1時刻から第2時刻までの第1期間中に、前記複数の船舶推進装置が第1推進力を発生する第1ステップと、前記第2時刻以降の第2期間中に、前記複数の船舶推進装置が前記第1推進力と同一の向き、かつ前記第1推進力よりも大きい第2推進力を発生する第2ステップとを実行させるためのプログラムである。

【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、船舶の移動開始時の乗り心地を向上させることができる船舶推進装置用制御装置、船舶推進装置用制御方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の船舶推進装置用制御装置が適用される船舶の一例を示す図である。
図2図1に示す船舶の主要部の機能ブロック図である。
図3】第1実施形態の船舶における操作部の位置(詳細には、ジョイスティックのレバーの先端部の位置、ジョイスティックのレバーの時計回りの回動位置、および、ジョイスティックのレバーの反時計回りの回動位置)の例を説明するための図である。
図4】操作部が、位置P1から位置P2に移動させられて位置P2に維持され、次いで、位置P2から位置P1に移動させられて位置P1に維持される場合に第1実施形態の船舶推進装置用制御装置の推進力算出部によって算出される推進力の目標値などの第1例を説明するための図である。
図5】操作部が、位置P1から位置P2に移動させられて位置P2に維持され、次いで、位置P2から位置P1に移動させられて位置P1に維持される場合に第1実施形態の船舶推進装置用制御装置の推進力算出部によって算出される推進力の目標値などの第2例を説明するための図である。
図6】第1実施形態の船舶推進装置用制御装置によって実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図7】第2実施形態の船舶推進装置用制御装置が適用される船舶の一例を示す図である。
図8図7に示す船舶の主要部の機能ブロック図である。
図9】操作部が、位置P1から位置P2に移動させられて位置P2に維持される場合に第2実施形態の船舶推進装置用制御装置の推進力算出部によって算出される推進力の目標値などの第1例を説明するための図である。
図10】操作部が、位置P1から位置P2に移動させられて位置P2に維持される場合に第2実施形態の船舶推進装置用制御装置の推進力算出部によって算出される推進力の目標値などの第2例を説明するための図である。
図11】第3実施形態の船舶推進装置用制御装置が適用される船舶の一例を示す図である。
図12】操作部が、位置P1から位置P2に移動させられて位置P2に維持される場合に第3実施形態の船舶推進装置用制御装置の推進力算出部によって算出される推進力の目標値などの第1例を説明するための図である。
図13】操作部が、位置P1から位置P2に移動させられて位置P2に維持される場合に第3実施形態の船舶推進装置用制御装置の推進力算出部によって算出される推進力の目標値などの第2例を説明するための図である。
図14】第7実施形態の船舶推進装置用制御装置が適用される船舶の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
以下、本発明の船舶推進装置用制御装置、船舶推進装置用制御方法およびプログラムの第1実施形態について説明する。
【0012】
図1は第1実施形態の船舶推進装置用制御装置14が適用される船舶1の一例を示す図である。図2図1に示す船舶1の主要部の機能ブロック図である。
図1および図2に示す例では、船舶1が、船体11と、船舶推進装置12と、船舶推進装置13と、船舶推進装置用制御装置14とを備えている。船舶推進装置12、13は、船舶1の推進力を発生する。
【0013】
図1および図2に示す例では、船舶推進装置12が、船体11の後部112の右側部分に配置されている。船舶推進装置12は、船舶推進装置本体12Aと、ブラケット12Bとを備えている。ブラケット12Bは、船舶推進装置12を船体11の後部112の右側部分に取り付けるための機構である。船舶推進装置本体12Aは、操舵軸12AXを中心に船体11に対して回動可能に、ブラケット12Bを介して船体11の後部112の右側部分に接続されている。
船舶推進装置本体12Aは、推進ユニット12A1と、操舵アクチュエータ12A2とを備えている。推進ユニット12A1は、エンジン(図示せず)によって駆動され、船舶1の推進力を発生する。操舵アクチュエータ12A2は、操舵軸12AXを中心に、推進ユニット12A1を含む船舶推進装置本体12Aの全体を、船体11に対して回動させる。操舵アクチュエータ12A2は、舵の役目を担う。
【0014】
図1および図2に示す例では、船舶推進装置13が、船体11の後部112の左側部分に配置されている。船舶推進装置13は、船舶推進装置本体13Aと、ブラケット13Bとを備えている。ブラケット13Bは、船舶推進装置13を船体11の後部112の左側部分に取り付けるための機構である。船舶推進装置本体13Aは、操舵軸13AXを中心に船体11に対して回動可能に、ブラケット13Bを介して船体11の後部112の左側部分に接続されている。
船舶推進装置本体13Aは、推進ユニット13A1と、操舵アクチュエータ13A2とを備えている。推進ユニット13A1は、推進ユニット12A1と同様に、エンジン(図示せず)によって駆動され、船舶1の推進力を発生する。操舵アクチュエータ13A2は、操舵軸13AXを中心に、推進ユニット13A1を含む船舶推進装置本体13Aの全体を、船体11に対して回動させる。操舵アクチュエータ13A2は、舵の役目を担う。
【0015】
図1および図2に示す例では、船舶推進装置12、13が、例えばエンジンによって駆動されるプロペラ仕様の推進ユニット12A1、13A1を有する船外機である。他の例では、船舶推進装置12、13が、エンジンによって駆動されるプロペラ仕様の推進ユニットを有する船内機、エンジンによって駆動されるプロペラ仕様の推進ユニットを有する船内外機、エンジンによって駆動されるウォータージェット仕様の推進ユニットを有する船舶推進装置、エンジンによって駆動されるポッドドライブ型の船舶推進装置などであってもよい。
【0016】
図1および図2に示す例では、船体11が、操舵装置11Aと、リモコン装置11Bと、リモコン装置11Cと、操作部11Dとを備えている。
他の例では、船体11が、操舵装置11A、リモコン装置11Bおよびリモコン装置11Cを備えていなくてもよい。
【0017】
図1および図2に示す例では、操舵装置11Aが、操舵アクチュエータ12A2、13A2を作動させる装置であり、例えばステアリングホイールを有するステアリング装置である。操船者は、操舵装置11Aを操作することによって、操舵アクチュエータ12A2、13A2を作動させ、船舶1の操舵を行うことができる。
リモコン装置11Bは、推進ユニット12A1を作動させる入力操作を受け付ける装置であり、例えばリモコンレバーを有する。操船者は、リモコン装置11Bを操作することによって、推進ユニット12A1が発生する推進力の大きさおよび向きを変更することができる。リモコン装置11Bのリモコンレバーは、推進ユニット12A1が船舶1の前向きの推進力を発生する前進領域と、推進ユニット12A1が船舶1の後向きの推進力を発生する後進領域と、推進ユニット12A1が推進力を発生しないニュートラル領域とに位置することができる。前進領域内におけるリモコンレバーの位置に応じて、推進ユニット12A1が発生する船舶1の前向きの推進力の大きさが変化する。また、後進領域内におけるリモコンレバーの位置に応じて、推進ユニット12A1が発生する船舶1の後向きの推進力の大きさが変化する。
【0018】
図1および図2に示す例では、リモコン装置11Cが、推進ユニット13A1を作動させる入力操作を受け付ける装置であり、リモコン装置11Bと同様に構成されている。つまり、操船者は、リモコン装置11Cを操作することによって、推進ユニット13A1が発生する推進力の大きさおよび向きを変更することができる。
操作部11Dは、推進ユニット12A1、13A1および操舵アクチュエータ12A2、13A2を作動させる装置である。詳細には、操作部11Dは、推進ユニット12A1、13A1および操舵アクチュエータ12A2、13A2を作動させるための入力操作を受け付ける。操作部11Dは、操舵装置11Aおよびリモコン装置11B、11Cとは別個に設けられている。
第1実施形態の船舶1では、操作部11Dが、レバーを有するジョイスティックによって構成されている。
操船者は、操舵装置11A(ステアリングホイール)およびリモコン装置11B、11C(リモコンレバー)を操作することによって、推進ユニット12A1、13A1および操舵アクチュエータ12A2、13A2を作動させることができるのみならず、操作部11D(ジョイスティック)を操作することによっても、推進ユニット12A1、13A1および操舵アクチュエータ12A2、13A2を作動させることができる。
【0019】
図1および図2に示す例では、船舶推進装置用制御装置14が、操作部11Dに対する入力操作に基づいて、船舶推進装置12の推進ユニット12A1および操舵アクチュエータ12A2と、船舶推進装置13の推進ユニット13A1および操舵アクチュエータ13A2とを制御する。詳細には、船舶推進装置用制御装置14は、操作部11Dに対する入力操作に基づいて、推進ユニット12A1、13A1および操舵アクチュエータ12A2、13A2が発生する船舶1の推進力の大きさおよび向きを制御する。
推進ユニット12A1、13A1および操舵アクチュエータ12A2、13A2が発生する推進力の大きさおよび向きに応じて、船舶1には、回転モーメントが生じ得る。つまり、船舶推進装置用制御装置14は、操作部11Dに対する入力操作に基づいて推進ユニット12A1、13A1および操舵アクチュエータ12A2、13A2を制御することによって、船舶1に発生する回転モーメントの大きさおよび向きも制御する。
【0020】
図1および図2に示す例では、船舶推進装置用制御装置14が、移動経路算出部14Aと、経過時間算出部14Bと、推進力算出部14Cとを備えている。移動経路算出部14Aは、操作部11Dの移動経路を算出する。詳細には、移動経路算出部14Aは、例えばマイクロスイッチなどのセンサ(図示せず)によって検出されたジョイスティックのレバーの位置に基づいて、ジョイスティックのレバーの先端部の移動経路を算出する。
経過時間算出部14Bは、操作部11D(ジョイスティックのレバーの先端部)がある位置に移動させられた時刻からの経過時間を算出する。
推進力算出部14Cは、移動経路算出部14Aによって算出された操作部11Dの移動経路と、経過時間算出部14Bによって算出された経過時間とに基づいて、船舶推進装置12、13に発生させる推進力を算出する。詳細には、推進力算出部14Cは、船舶推進装置12、13に発生させる推進力の目標値(制御指令値)を算出する。
具体的には、推進力算出部14Cは、ジョイスティックのレバーの先端部の移動経路と、ジョイスティックのレバーの先端部がある位置に位置し続けている時間(経過時間)とに基づいて、推進ユニット12A1、13A1および操舵アクチュエータ12A2、13A2に発生させる船舶1の推進力の大きさおよび向きを算出する。
つまり、船舶推進装置用制御装置14は、推進力算出部14Cによって算出された大きさおよび向きの推進力を推進ユニット12A1、13A1および操舵アクチュエータ12A2、13A2が発生するように、推進ユニット12A1、13A1および操舵アクチュエータ12A2、13A2を制御する。
【0021】
図1および図2に示す例では、操作部11D(ジョイスティック)のレバーが傾倒可能であると共に、レバーが、レバーの中心軸線を中心に回動可能に、操作部11Dは構成されている。
操船者が、レバーの中心軸線を中心にレバーを時計回りに回動させる場合に、船舶推進装置用制御装置14は、船体11が右旋回する(つまり、船体11が時計回りにその場回頭する)ように、推進ユニット12A1、13A1および操舵アクチュエータ12A2、13A2を制御する。一方、操船者が、レバーの中心軸線を中心にレバーを反時計回りに回動させる場合に、船舶推進装置用制御装置14は、船体11が左旋回する(つまり、船体11が反時計回りにその場回頭する)ように、推進ユニット12A1、13A1および操舵アクチュエータ12A2、13A2を制御する。つまり、操船者がレバーの中心軸線を中心にレバーを回動させることによって、船体11の前部111の向きが変化する。
また、後で詳細に説明するように、操船者がレバーを傾倒させる場合には、船舶推進装置用制御装置14は、船体11が姿勢を維持したまま移動するように、推進ユニット12A1、13A1および操舵アクチュエータ12A2、13A2を制御する。つまり、操船者がレバーを傾倒させることによって、船体11の前部111と、船体11の後部112とが、並進する。
【0022】
図3は第1実施形態の船舶1における操作部11Dの位置(詳細には、ジョイスティックのレバーの先端部の位置P1~P9、ジョイスティックのレバーの時計回りの回動位置(回転位置)P10、および、ジョイスティックのレバーの反時計回りの回動位置(回転位置)P11)の例を説明するための図である。
図3(A)に示す例では、操作部11D(ジョイスティック)のレバーが傾倒されていない。そのため、操作部11D(詳細には、ジョイスティックのレバーの先端部)は、位置(中立位置)P1に位置する。操作部11D(ジョイスティックのレバーの先端部)が位置P1に位置する場合、船舶推進装置用制御装置14は、推進ユニット12A1、13A1および操舵アクチュエータ12A2、13A2に船舶1の推進力を発生させない。
つまり、位置P1は、基本的に、船舶推進装置12、13が船舶1の推進力を発生しない位置である。
【0023】
図3(B)に示す例では、ジョイスティックのレバーが右向きに傾倒されている。そのため、ジョイスティックのレバーの先端部は、位置P1の右側の位置P2に位置する。ジョイスティックのレバーの先端部が位置P2に位置する場合、船舶推進装置用制御装置14は、推進ユニット12A1、13A1および操舵アクチュエータ12A2、13A2に、船舶1を右向きに移動させる推進力を発生させる。
つまり、位置P2は、船舶推進装置12、13が船舶1を右向きに移動(詳細には、並進移動)させる推進力を発生する位置である。
【0024】
図3(C)に示す例では、ジョイスティックのレバーが右前向きに傾倒されている。そのため、ジョイスティックのレバーの先端部は、位置P1の右前側の位置P3に位置する。ジョイスティックのレバーの先端部が位置P3に位置する場合、船舶推進装置用制御装置14は、推進ユニット12A1、13A1および操舵アクチュエータ12A2、13A2に、左右方向と鋭角θ3をなす右前向きに船舶1を移動させる推進力を発生させる。
つまり、位置P3は、船舶推進装置12、13が船舶1を右前向きに移動(並進移動)させる推進力を発生する位置である。
図3(D)に示す例では、ジョイスティックのレバーが右後向きに傾倒されている。そのため、ジョイスティックのレバーの先端部は、位置P1の右後側の位置P4に位置する。ジョイスティックのレバーの先端部が位置P4に位置する場合、船舶推進装置用制御装置14は、推進ユニット12A1、13A1および操舵アクチュエータ12A2、13A2に、左右方向と鋭角θ4をなす右後向きに船舶1を移動させる推進力を発生させる。
つまり、位置P4は、船舶推進装置12、13が船舶1を右後向きに移動(並進移動)させる推進力を発生する位置である。
【0025】
図3(E)に示す例では、ジョイスティックのレバーが左向きに傾倒されている。そのため、ジョイスティックのレバーの先端部は、位置P1の左側の位置P5に位置する。ジョイスティックのレバーの先端部が位置P5に位置する場合、船舶推進装置用制御装置14は、推進ユニット12A1、13A1および操舵アクチュエータ12A2、13A2に、船舶1を左向きに移動させる推進力を発生させる。
つまり、位置P5は、船舶推進装置12、13が船舶1を左向きに移動(並進移動)させる推進力を発生する位置である。
【0026】
図3(F)に示す例では、ジョイスティックのレバーが左前向きに傾倒されている。そのため、ジョイスティックのレバーの先端部は、位置P1の左前側の位置P6に位置する。ジョイスティックのレバーの先端部が位置P6に位置する場合、船舶推進装置用制御装置14は、推進ユニット12A1、13A1および操舵アクチュエータ12A2、13A2に、左右方向と鋭角θ6をなす左前向きに船舶1を移動させる推進力を発生させる。
つまり、位置P6は、船舶推進装置12、13が船舶1を左前向きに移動(並進移動)させる推進力を発生する位置である。
図3(G)に示す例では、ジョイスティックのレバーが左後向きに傾倒されている。そのため、ジョイスティックのレバーの先端部は、位置P1の左後側の位置P7に位置する。ジョイスティックのレバーの先端部が位置P7に位置する場合、船舶推進装置用制御装置14は、推進ユニット12A1、13A1および操舵アクチュエータ12A2、13A2に、左右方向と鋭角θ7をなす左後向きに船舶1を移動させる推進力を発生させる。
つまり、位置P7は、船舶推進装置12、13が船舶1を左後向きに移動(並進移動)させる推進力を発生する位置である。
【0027】
図3(H)に示す例では、ジョイスティックのレバーが前向きに傾倒されている。そのため、ジョイスティックのレバーの先端部は、位置P1の前側の位置P8に位置する。ジョイスティックのレバーの先端部が位置P8に位置する場合、船舶推進装置用制御装置14は、推進ユニット12A1、13A1および操舵アクチュエータ12A2、13A2に、船舶1を前向きに移動させる推進力を発生させる。
つまり、位置P8は、船舶推進装置12、13が船舶1を前向きに移動(前進)させる推進力を発生する位置である。
図3(I)に示す例では、ジョイスティックのレバーが後向きに傾倒されている。そのため、ジョイスティックのレバーの先端部は、位置P1の後側の位置P9に位置する。ジョイスティックのレバーの先端部が位置P9に位置する場合、船舶推進装置用制御装置14は、推進ユニット12A1、13A1および操舵アクチュエータ12A2、13A2に、船舶1を後向きに移動させる推進力を発生させる。
つまり、位置P9は、船舶推進装置12、13が船舶1を後向きに移動(後進)させる推進力を発生する位置である。
【0028】
図3(J)に示す例では、ジョイスティックのレバーが、傾倒されておらず、時計回りに回動されている。そのため、ジョイスティックのレバーは、時計回りの回動位置(回転位置)P10に位置する。ジョイスティックのレバーが回動位置P10に位置する場合、船舶推進装置用制御装置14は、時計回りの回転モーメントが船舶1に発生するように、推進ユニット12A1、13A1および操舵アクチュエータ12A2、13A2を制御する。
つまり、回動位置P10は、船舶推進装置12、13が船舶1を右旋回させる推進力(時計回りに旋回させる推進力)を発生する位置である。
図3(K)に示す例では、ジョイスティックのレバーが、傾倒されておらず、反時計回りに回動されている。そのため、ジョイスティックのレバーは、反時計回りの回動位置(回転位置)P11に位置する。ジョイスティックのレバーが回動位置P11に位置する場合、船舶推進装置用制御装置14は、反時計回りの回転モーメントが船舶1に発生するように、推進ユニット12A1、13A1および操舵アクチュエータ12A2、13A2を制御する。
つまり、回動位置P11は、船舶推進装置12、13が船舶1を左旋回させる推進力(反時計回りに旋回させる推進力)を発生する位置である。
【0029】
操船者が操作部11D(ジョイスティック)を操作しない場合、自動復帰機能を有するジョイスティックのレバーの先端部は、位置P1に位置する。ジョイスティックのレバーの先端部は、操船者の操作に応じて、例えば位置P1~P9、回動位置P10、P11などの位置に位置することができる。
【0030】
図4は操作部11Dが、位置P1から位置P2に移動させられて位置P2に維持され、次いで、位置P2から位置P1に移動させられて位置P1に維持される場合に第1実施形態の船舶推進装置用制御装置14の推進力算出部14Cによって算出される推進力(船舶推進装置12、13が発生する推進力)の目標値などの第1例を説明するための図である。
詳細には、図4(A)は操作部11Dの位置P1、P2と時間との関係を示しており、図4(B)は第1実施形態の船舶推進装置用制御装置14の推進力算出部14Cによって算出される推進力の目標値と時間との関係を示しており、図4(C)は比較例の船舶において算出される推進力の目標値と時間との関係を示している。
【0031】
図4に示す例では、図4(A)に示すように、時刻t1以前の期間中、操作部11Dが位置P1に位置し、時刻t1に、操作部11Dが位置P1から位置P2に移動させられ、時刻t1~時刻t3の期間中、操作部11Dが位置P2に維持される。次いで、時刻t3に、操作部11Dが位置P2から位置P1に移動させられ、時刻t3以降の期間中、操作部11Dが位置P1に維持される。
【0032】
第1実施形態の船舶推進装置用制御装置14の第1例では、図4(B)に示すように、時刻t1以前の期間中、推進力算出部14Cは、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値として、ゼロを算出する。その結果、船舶推進装置12、13は推進力を発生せず、船舶1の速度はゼロである。
次いで、時刻t1~時刻t2の期間中、推進力算出部14Cが算出する推進力(船舶推進装置12、13が発生する推進力)の目標値は、ゼロから値F1まで、例えば一定の変化量で増加する。その結果、船舶推進装置12、13が発生する推進力が徐々に増加し、船舶1の速度も徐々に増加する。
次いで、時刻t2~時刻t3の期間中、推進力算出部14Cが算出する推進力(船舶推進装置12、13が発生する推進力)の目標値は、値F1に維持される。その結果、船舶推進装置12、13が発生する推進力が一定値に維持され、船舶1の速度も一定値に維持される。
次いで、時刻t3~時刻t4の期間中、推進力算出部14Cが算出する推進力(船舶推進装置12、13が発生する推進力)の目標値は、値F1からゼロまで、例えば一定の変化量で減少する。その結果、船舶推進装置12、13が発生する推進力が徐々に減少し、船舶1の速度も徐々に減少する。
次いで、時刻t4以降の期間中、推進力算出部14Cは、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値として、ゼロを算出する。その結果、船舶推進装置12、13は推進力を発生せず、船舶1の速度はゼロである。
【0033】
つまり、図4(B)に示す例では、操作部11Dが位置P1から位置P2に移動させられた時刻t1から時刻t2までの期間中に、船舶推進装置12、13が小さい推進力(第1推進力)を発生し、次いで、時刻t2~時刻t3の期間中に、船舶推進装置12、13が、第1推進力よりも大きい第2推進力(値F1の推進力)を発生する。
すなわち、図4(B)に示す例では、船舶推進装置12、13が発生する推進力はゼロから値F1に急激に変化せず、徐々に変化する。そのため、船舶1の移動開始時の乗り心地を向上させることができ、船舶1の移動開始時に乗船者がよろけてしまうおそれを抑制することができる。
【0034】
また、図4(B)に示す例では、操作部11Dが位置P2から位置P1に移動させられた時刻t3から時刻t4までの期間中に、船舶推進装置12、13が、ゼロより大きく第2推進力(値F1の推進力)より小さい第3推進力を発生し、次いで、時刻t4以降の期間中に、船舶推進装置12、13が推進力を発生しない(つまり、船舶推進装置12、13が発生する推進力はゼロである)。
すなわち、図4(B)に示す例では、船舶推進装置12、13が発生する推進力は値F1からゼロに急激に変化せず、徐々に変化する。そのため、船舶1の停止時の乗り心地を向上させることができ、船舶1の停止時に乗船者がよろけてしまうおそれを抑制することができる。
【0035】
比較例の船舶では、図4(C)に示すように、時刻t1以前の期間中、船舶推進装置が発生する推進力の目標値は、ゼロである。その結果、船舶推進装置は推進力を発生せず、船舶の速度はゼロである。
次いで、時刻t1に、船舶推進装置が発生する推進力の目標値は、ゼロから値F1まで、急激に増加する。その結果、船舶推進装置が発生する推進力が急激に増加し、船舶の速度も急激に増加する。
そのため、比較例の船舶では、船舶の移動開始時の乗り心地が悪く、船舶の移動開始時に乗船者がよろけてしまうおそれがある。
【0036】
また、比較例の船舶では、図4(C)に示すように、時刻t1~時刻t3の期間中、船舶推進装置が発生する推進力の目標値は、値F1に維持される。その結果、船舶推進装置が発生する推進力が一定値に維持され、船舶の速度も一定値に維持される。
次いで、時刻t3に、船舶推進装置が発生する推進力の目標値は、値F1からゼロまで急激に減少する。その結果、船舶推進装置が発生する推進力が急激に減少し、船舶の速度も急激に減少する。
そのため、比較例の船舶では、船舶の停止時の乗り心地が悪く、船舶の停止時に乗船者がよろけてしまうおそれがある。
【0037】
図5は操作部11Dが、位置P1から位置P2に移動させられて位置P2に維持され、次いで、位置P2から位置P1に移動させられて位置P1に維持される場合に第1実施形態の船舶推進装置用制御装置14の推進力算出部14Cによって算出される推進力(船舶推進装置12、13が発生する推進力)の目標値などの第2例を説明するための図である。
詳細には、図5(A)は操作部11Dの位置P1、P2と時間との関係を示しており、図5(B)は第1実施形態の船舶推進装置用制御装置14の推進力算出部14Cによって算出される推進力の目標値と時間との関係を示している。
【0038】
図5に示す例では、図5(A)に示すように、時刻t1以前の期間中、操作部11Dが位置P1に位置し、時刻t1に、操作部11Dが位置P1から位置P2に移動させられ、時刻t1~時刻t3の期間中、操作部11Dが位置P2に維持される。次いで、時刻t3に、操作部11Dが位置P2から位置P1に移動させられ、時刻t3以降の期間中、操作部11Dが位置P1に維持される。
【0039】
第1実施形態の船舶推進装置用制御装置14の第2例では、図5(B)に示すように、時刻t1以前の期間中、推進力算出部14Cは、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値として、ゼロを算出する。その結果、船舶推進装置12、13は推進力を発生せず、船舶1の速度はゼロである。
次いで、時刻t1~時刻t2の期間中、推進力算出部14Cは、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値として、ゼロより大きく、値F1より小さい値F2を算出する。その結果、船舶推進装置12、13が発生する推進力は、時刻t1に、図4(C)に示す例より緩やかに増加し、船舶1の速度も、図4(C)に示す例より緩やかに増加する。
次いで、時刻t2~時刻t3の期間中、推進力算出部14Cは、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値として、値F1を算出する。その結果、船舶推進装置12、13が発生する推進力は、時刻t2に、時刻t1と同程度に緩やかに増加し、船舶1の速度も、時刻t1と同程度に緩やかに増加する。
次いで、時刻t3~時刻t4の期間中、推進力算出部14Cは、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値として、ゼロより大きく、値F1より小さい値F2を算出する。その結果、船舶推進装置12、13が発生する推進力は、時刻t3に、図4(C)に示す例より緩やかに減少し、船舶1の速度も、図4(C)に示す例より緩やかに減少する。
次いで、時刻t4以降の期間中、推進力算出部14Cは、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値として、ゼロを算出する。その結果、船舶推進装置12、13が発生する推進力は、時刻t4に、時刻t3と同程度に緩やかに減少し、船舶1の速度も、時刻t3と同程度に緩やかに減少する。
【0040】
つまり、図5(B)に示す例では、操作部11Dが位置P1から位置P2に移動させられた時刻t1から時刻t2までの期間中に、船舶推進装置12、13が小さい推進力(値F2の推進力)を発生し、次いで、時刻t2~時刻t3の期間中に、船舶推進装置12、13が、値F2の推進力よりも大きい値F1の推進力を発生する。
すなわち、図5(B)に示す例では、船舶推進装置12、13が発生する推進力はゼロから値F1に急激に変化せず、ステップ状に変化する。そのため、船舶1の移動開始時の乗り心地を向上させることができ、船舶1の移動開始時に乗船者がよろけてしまうおそれを抑制することができる。
【0041】
また、図5(B)に示す例では、操作部11Dが位置P2から位置P1に移動させられた時刻t3から時刻t4までの期間中に、船舶推進装置12、13が、ゼロより大きく値F1の推進力より小さい値F2推進力を発生し、次いで、時刻t4以降の期間中に、船舶推進装置12、13が推進力を発生しない(つまり、船舶推進装置12、13が発生する推進力はゼロである)。
すなわち、図5(B)に示す例では、船舶推進装置12、13が発生する推進力は値F1からゼロに急激に変化せず、ステップ状に変化する。そのため、船舶1の停止時の乗り心地を向上させることができ、船舶1の停止時に乗船者がよろけてしまうおそれを抑制することができる。
【0042】
第1実施形態の船舶推進装置用制御装置14の第1例では、操作部11Dが、位置P1から位置P3に移動させられて位置P3に維持され、次いで、位置P3から位置P1に移動させられて位置P1に維持される場合に、推進力算出部14Cが、図4(B)に示す例と同様に、船舶推進装置12、13が発生する推進力が徐々に変化するように、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値を算出する。
第1実施形態の船舶推進装置用制御装置14の第2例では、操作部11Dが、位置P1から位置P3に移動させられて位置P3に維持され、次いで、位置P3から位置P1に移動させられて位置P1に維持される場合に、推進力算出部14Cが、図5(B)に示す例と同様に、船舶推進装置12、13が発生する推進力がステップ状に変化するように、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値を算出する。
【0043】
第1実施形態の船舶推進装置用制御装置14の第1例では、操作部11Dが、位置P1から位置P4に移動させられて位置P4に維持され、次いで、位置P4から位置P1に移動させられて位置P1に維持される場合に、推進力算出部14Cが、図4(B)に示す例と同様に、船舶推進装置12、13が発生する推進力が徐々に変化するように、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値を算出する。
第1実施形態の船舶推進装置用制御装置14の第2例では、操作部11Dが、位置P1から位置P4に移動させられて位置P4に維持され、次いで、位置P4から位置P1に移動させられて位置P1に維持される場合に、推進力算出部14Cが、図5(B)に示す例と同様に、船舶推進装置12、13が発生する推進力がステップ状に変化するように、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値を算出する。
【0044】
第1実施形態の船舶推進装置用制御装置14では、船舶1の右側と左側とで左右対称の制御が実行される。
つまり、第1実施形態の船舶推進装置用制御装置14の第1例では、操作部11Dが、位置P1から位置P5~P7のいずれかに移動させられてその位置P5~P7に維持され、次いで、その位置P5~P7から位置P1に移動させられて位置P1に維持される場合に、推進力算出部14Cが、図4(B)に示す例と同様に、船舶推進装置12、13が発生する推進力が徐々に変化するように、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値を算出する。
第1実施形態の船舶推進装置用制御装置14の第2例では、操作部11Dが、位置P1から位置P5~P7のいずれかに移動させられてその位置P5~P7に維持され、次いで、その位置P5~P7から位置P1に移動させられて位置P1に維持される場合に、推進力算出部14Cが、図5(B)に示す例と同様に、船舶推進装置12、13が発生する推進力がステップ状に変化するように、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値を算出する。
【0045】
また、第1実施形態の船舶推進装置用制御装置14では、図4(B)または図5(B)に示す制御が、船舶1の前後方向の移動時の制御(船舶1を前進または後進させる制御)にも適用される。
つまり、第1実施形態の船舶推進装置用制御装置14の第1例では、操作部11Dが、位置P1から位置P8、P9のいずれかに移動させられてその位置P8、P9に維持され、次いで、その位置P8、P9から位置P1に移動させられて位置P1に維持される場合に、推進力算出部14Cが、図4(B)に示す例と同様に、船舶推進装置12、13が発生する推進力が徐々に変化するように、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値を算出する。
第1実施形態の船舶推進装置用制御装置14の第2例では、操作部11Dが、位置P1から位置P8、P9のいずれかに移動させられてその位置P8、P9に維持され、次いで、その位置P8、P9から位置P1に移動させられて位置P1に維持される場合に、推進力算出部14Cが、図5(B)に示す例と同様に、船舶推進装置12、13が発生する推進力がステップ状に変化するように、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値を算出する。
【0046】
また、第1実施形態の船舶推進装置用制御装置14では、図4(B)または図5(B)に示す制御が、船舶1を時計回りに旋回させる制御(船舶1を時計回りにその場回頭させる制御)にも適用される。
つまり、第1実施形態の船舶推進装置用制御装置14の第1例では、操作部11Dが、位置P1から回動位置(回転位置)P10に移動させられてその回動位置P10に維持され、次いで、その回動位置P10から位置P1に移動させられて位置P1に維持される場合に、推進力算出部14Cが、図4(B)に示す例と同様に、船舶推進装置12、13が発生する推進力が徐々に変化するように、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値を算出する。
第1実施形態の船舶推進装置用制御装置14の第2例では、操作部11Dが、位置P1から回動位置P10に移動させられてその回動位置P10に維持され、次いで、その回動位置P10から位置P1に移動させられて位置P1に維持される場合に、推進力算出部14Cが、図5(B)に示す例と同様に、船舶推進装置12、13が発生する推進力がステップ状に変化するように、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値を算出する。
【0047】
また、第1実施形態の船舶推進装置用制御装置14では、図4(B)または図5(B)に示す制御が、船舶1を反時計回りに旋回させる制御(船舶1を反時計回りにその場回頭させる制御)にも適用される。
つまり、第1実施形態の船舶推進装置用制御装置14の第1例では、操作部11Dが、位置P1から回動位置(回転位置)P11に移動させられてその回動位置P11に維持され、次いで、その回動位置P11から位置P1に移動させられて位置P1に維持される場合に、推進力算出部14Cが、図4(B)に示す例と同様に、船舶推進装置12、13が発生する推進力が徐々に変化するように、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値を算出する。
第1実施形態の船舶推進装置用制御装置14の第2例では、操作部11Dが、位置P1から回動位置P11に移動させられてその回動位置P11に維持され、次いで、その回動位置P11から位置P1に移動させられて位置P1に維持される場合に、推進力算出部14Cが、図5(B)に示す例と同様に、船舶推進装置12、13が発生する推進力がステップ状に変化するように、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値を算出する。
【0048】
上述した第1実施形態の船舶推進装置用制御装置14の第1例または第2例では、船舶1の停止時に図4(B)の時刻t3から時刻t4以降に示す制御(つまり、船舶推進装置12、13が発生する推進力が徐々に減少する制御)または図5(B)の時刻t3から時刻t4以降に示す制御(つまり、船舶推進装置12、13が発生する推進力がステップ状に減少する制御)が実行されるが、第1実施形態の船舶推進装置用制御装置14の第3例では、船舶1の停止時に図4(B)の時刻t3から時刻t4以降に示す制御および図5(B)の時刻t3から時刻t4以降に示す制御のいずれもが実行されなくてもよい。つまり、第1実施形態の船舶推進装置用制御装置14の第3例では、船舶1の停止時に図4(C)の時刻t3以降に示す制御が実行される。
【0049】
図6は第1実施形態の船舶推進装置用制御装置14によって実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図6(A)に示す処理および図6(B)に示す処理は、操作部11D(ジョイスティック)の位置が変化した場合に開始し、並列に実行される。
図6(A)に示す例では、ステップS11において、船舶推進装置用制御装置14が、例えばマイクロスイッチなどのセンサによって検出された操作部11Dの位置(ジョイスティックのレバーの位置)に基づいて、操作部11Dが位置P1から位置P2~P11のいずれかに移動させられたか否かを判定する。操作部11Dが位置P1から位置P2~P11のいずれかに移動させられた場合には、ステップS12に進む。一方、操作部11Dが位置P1から位置P2~P11のいずれかに移動させられていない場合には、図6(A)に示すルーチンを終了する。
【0050】
ステップS12において、船舶推進装置用制御装置14は、操作部11Dが位置P1から位置P2~P11のいずれかに移動させられた時刻t1から、第1期間(時刻t1~時刻t2の期間)が経過したか否かを判定する。操作部11Dが位置P1から位置P2~P11のいずれかに移動させられた時刻t1から、第1期間(時刻t1~時刻t2の期間)が経過していない場合(つまり、現在時刻が第1期間中である場合)には、ステップS13に進む。一方、操作部11Dが位置P1から位置P2~P11のいずれかに移動させられた時刻t1から、第1期間(時刻t1~時刻t2の期間)が経過している場合(つまり、現在時刻が、時刻t2以降の第2期間中である場合)には、ステップS14に進む。
【0051】
ステップS13において、船舶推進装置用制御装置14の推進力算出部14Cは、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値として、時間の経過に伴ってゼロから値F1まで一定の変化量で増加する値、あるいは、時間の経過に伴ってステップ状に増加する値を算出する(第1推進力を算出する)。その結果、船舶推進装置用制御装置14は、第1期間(時刻t1~時刻t2の期間)中に、時間の経過に伴って徐々に、あるいは、ステップ状に増加する第1推進力を船舶推進装置12、13に発生させる。
ステップS14において、船舶推進装置用制御装置14の推進力算出部14Cは、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値として、一定値(値F1)を算出し続ける(第2推進力を算出し続ける)。その結果、船舶推進装置用制御装置14は、第2期間(時刻t2~時刻t3の期間)中に、第1推進力よりも大きい第2推進力(一定の値F1に相当する一定の推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。
【0052】
図6(B)に示す例では、ステップS21において、船舶推進装置用制御装置14は、操作部11Dが位置P2~P11のいずれかから位置P1に移動させられたか否かを判定する。操作部11Dが位置P2~P11のいずれかからに位置P1移動させられた場合には、ステップS22に進む。一方、操作部11Dが位置P2~P11のいずれかから位置P1に移動させられていない場合には、図6(B)に示すルーチンを終了する。
【0053】
ステップS22において、船舶推進装置用制御装置14は、操作部11Dが位置P2~P11のいずれかから位置P1に移動させられた時刻t3から、第3期間(時刻t3~時刻t4の期間)が経過したか否かを判定する。操作部11Dが位置P2~P11のいずれかから位置P1に移動させられた時刻t3から、第3期間(時刻t3~時刻t4の期間)が経過していない場合(つまり、現在時刻が第3期間中である場合)には、ステップS23に進む。一方、操作部11Dが位置P2~P11のいずれかから位置P1に移動させられた時刻t3から、第3期間(時刻t3~時刻t4の期間)が経過している場合(つまり、現在時刻が、時刻t4以降の第4期間中である場合)には、ステップS24に進む。
【0054】
ステップS23において、船舶推進装置用制御装置14の推進力算出部14Cは、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値として、時間の経過に伴って値F1からゼロまで一定の変化量で減少する値、あるいは、時間の経過に伴ってステップ状に減少する値を算出する(第3推進力を算出する)。その結果、船舶推進装置用制御装置14は、第3期間(時刻t3~時刻t4の期間)中に、時間の経過に伴って徐々に、あるいは、ステップ状に減少する第3推進力(ゼロより大きく第2推進力より小さい第3推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。
ステップS24において、船舶推進装置用制御装置14の推進力算出部14Cは、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値として、ゼロを算出し続ける(推進力ゼロを算出し続ける)。その結果、船舶推進装置用制御装置14は、第4期間(時刻t4以降の期間)中に、船舶推進装置12、13に推進力を発生させない。
【0055】
<第2実施形態>
以下、本発明の船舶推進装置用制御装置、船舶推進装置用制御方法およびプログラムの第2実施形態について説明する。
第2実施形態の船舶推進装置用制御装置14は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の船舶推進装置用制御装置14と同様に構成されている。従って、第2実施形態の船舶推進装置用制御装置14によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の船舶推進装置用制御装置14と同様の効果を奏することができる。
【0056】
図7は第2実施形態の船舶推進装置用制御装置14が適用される船舶1の一例を示す図である。図8図7に示す船舶1の主要部の機能ブロック図である。
上述したように、図1および図2に示す例では、船体11が、操舵装置11Aと、リモコン装置11Bと、リモコン装置11Cと、操作部11Dとを備えている。
一方、図7および図8に示す例では、船体11が、操舵装置11Aと、リモコン装置11Bと、リモコン装置11Cと、操作部11Dと、第1期間設定部11Eとを備えている。第1期間設定部11Eは、例えば操船者による第1期間(時刻t1(図4および図5参照)~時刻t2(図4および図5参照)の期間)の長さの変更要求(具体的には、延長要求または短縮要求)を受け付ける。
他の例では、船体11が、操舵装置11A、リモコン装置11Bおよびリモコン装置11Cを備えていなくてもよい。
【0057】
上述したように、図1および図2に示す例では、船舶推進装置用制御装置14が、移動経路算出部14Aと、経過時間算出部14Bと、推進力算出部14Cとを備えている。
一方、図7および図8に示す例では、船舶推進装置用制御装置14が、移動経路算出部14Aと、経過時間算出部14Bと、推進力算出部14Cと、第1期間長さ変更部14Dとを備えている。
第1期間長さ変更部14Dは、第1期間(時刻t1~時刻t2の期間)の長さを変更する。具体的には、第1期間設定部11Eが、例えば操船者による第1期間の長さの延長要求を受け付けた場合に、第1期間長さ変更部14Dは、第1期間の長さを延長する。一方、第1期間設定部11Eが、例えば操船者による第1期間の長さの短縮要求を受け付けた場合には、第1期間長さ変更部14Dが、第1期間の長さを短縮する。
【0058】
図9は操作部11Dが、位置P1から位置P2に移動させられて位置P2に維持される場合に第2実施形態の船舶推進装置用制御装置14の推進力算出部14Cによって算出される推進力(船舶推進装置12、13が発生する推進力)の目標値などの第1例を説明するための図である。
詳細には、図9(A)は操作部11Dの位置P1、P2と時間との関係を示しており、図9(B)は第1期間長さ変更部14Dによって第1期間の長さが変更される前に第2実施形態の船舶推進装置用制御装置14の推進力算出部14Cによって算出される推進力の目標値と時間との関係を示している。図9(C)は第1期間長さ変更部14Dによって第1期間の長さが延長された後に第2実施形態の船舶推進装置用制御装置14の推進力算出部14Cによって算出される推進力の目標値と時間との関係を示しており、図9(D)は第1期間長さ変更部14Dによって第1期間の長さが短縮された後に第2実施形態の船舶推進装置用制御装置14の推進力算出部14Cによって算出される推進力の目標値と時間との関係を示している。
【0059】
図9に示す例では、図9(A)に示すように、時刻t1以前の期間中、操作部11Dが位置P1に位置し、時刻t1に、操作部11Dが位置P1から位置P2に移動させられ、時刻t1以降の期間中、操作部11Dが位置P2に維持される。
【0060】
第2実施形態の船舶推進装置用制御装置14の第1例では、図9(B)に示すように、時刻t1以前の期間中、推進力算出部14Cは、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値として、ゼロを算出する。その結果、船舶推進装置12、13は推進力を発生せず、船舶1の速度はゼロである。
次いで、時刻t1~時刻t2の第1期間中、推進力算出部14Cが算出する推進力(船舶推進装置12、13が発生する推進力)の目標値は、ゼロから値F1まで、例えば一定の変化量で増加する。その結果、船舶推進装置12、13が発生する推進力が徐々に増加し、船舶1の速度も徐々に増加する。
次いで、時刻t2以降の第2期間中、推進力算出部14Cが算出する推進力(船舶推進装置12、13が発生する推進力)の目標値は、値F1に維持される。その結果、船舶推進装置12、13が発生する推進力が一定値に維持され、船舶1の速度も一定値に維持される。
【0061】
つまり、図9(B)に示す例では、操作部11Dが位置P1から位置P2に移動させられた時刻t1から時刻t2までの第1期間中に、船舶推進装置12、13が小さい推進力(第1推進力)を発生し、次いで、時刻t2以降の第2期間中に、船舶推進装置12、13が、第1推進力よりも大きい第2推進力(値F1の推進力)を発生する。
すなわち、図9(B)に示す例では、船舶推進装置12、13が発生する推進力はゼロから値F1に急激に変化せず、徐々に変化する。そのため、船舶1の移動開始時の乗り心地を向上させることができ、船舶1の移動開始時に乗船者がよろけてしまうおそれを抑制することができる。
【0062】
一方、操船者によっては、船舶推進装置12、13が発生する推進力をゼロから値F1まで、図9(B)に示す例よりも緩やかに増加させることを望む操船者も存在し得る。
そのような場合に、第1期間設定部11Eが、操船者による第1期間(時刻t1~時刻t2の期間)の長さの延長要求を受け付け、第1期間長さ変更部14Dは、第1期間の長さを、「時刻t1~時刻t2(図9(B)参照)」から「時刻t1~時刻t2’(図9(C)参照)」に延長する。
【0063】
第1期間の長さが延長された図9(C)に示す例では、時刻t1以前の期間中、推進力算出部14Cは、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値として、ゼロを算出する。その結果、船舶推進装置12、13は推進力を発生せず、船舶1の速度はゼロである。
次いで、時刻t1~時刻t2’の第1期間(つまり、延長後の第1期間)中、推進力算出部14Cが算出する推進力(船舶推進装置12、13が発生する推進力)の目標値は、ゼロから値F1まで、図9(B)に示す例よりも緩やかに増加する。その結果、船舶推進装置12、13が発生する推進力が徐々に増加し、船舶1の速度も徐々に増加する。
次いで、時刻t2’以降の第2期間中、推進力算出部14Cが算出する推進力(船舶推進装置12、13が発生する推進力)の目標値は、値F1に維持される。その結果、船舶推進装置12、13が発生する推進力が一定値に維持され、船舶1の速度も一定値に維持される。
【0064】
つまり、図9(C)に示す例では、操作部11Dが位置P1から位置P2に移動させられた時刻t1から時刻t2’までの第1期間(延長後の第1期間)中に、船舶推進装置12、13が小さい推進力(第1推進力)を発生し、次いで、時刻t2’以降の第2期間中に、船舶推進装置12、13が、第1推進力よりも大きい第2推進力(値F1の推進力)を発生する。
すなわち、図9(C)に示す例では、船舶推進装置12、13が発生する推進力はゼロから値F1に、図9(B)に示す例よりも緩やかに増加する。そのため、船舶1の移動開始時に乗船者がよろけてしまうおそれを、図9(B)に示す例よりも抑制することができる。
【0065】
また、操船者によっては、船舶推進装置12、13が発生する推進力をゼロから値F1まで、図9(B)に示す例よりも迅速に増加させることを望む操船者も存在し得る。
そのような場合に、第1期間設定部11Eが、操船者による第1期間(時刻t1~時刻t2の期間)の長さの短縮要求を受け付け、第1期間長さ変更部14Dは、第1期間の長さを、「時刻t1~時刻t2(図9(B)参照)」から「時刻t1~時刻t2”(図9(D)参照)」に短縮する。
【0066】
第1期間の長さが短縮された図9(D)に示す例では、時刻t1以前の期間中、推進力算出部14Cは、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値として、ゼロを算出する。その結果、船舶推進装置12、13は推進力を発生せず、船舶1の速度はゼロである。
次いで、時刻t1~時刻t2”の第1期間(つまり、短縮後の第1期間)中、推進力算出部14Cが算出する推進力(船舶推進装置12、13が発生する推進力)の目標値は、ゼロから値F1まで、図9(B)に示す例よりも迅速に増加する。その結果、船舶推進装置12、13が発生する推進力が増加し、船舶1の速度も増加する。
次いで、時刻t2”以降の第2期間中、推進力算出部14Cが算出する推進力(船舶推進装置12、13が発生する推進力)の目標値は、値F1に維持される。その結果、船舶推進装置12、13が発生する推進力が一定値に維持され、船舶1の速度も一定値に維持される。
【0067】
つまり、図9(D)に示す例では、操作部11Dが位置P1から位置P2に移動させられた時刻t1から時刻t2”までの第1期間(短縮後の第1期間)中に、船舶推進装置12、13が小さい推進力(第1推進力)を発生し、次いで、時刻t2”以降の第2期間中に、船舶推進装置12、13が、第1推進力よりも大きい第2推進力(値F1の推進力)を発生する。
すなわち、図9(D)に示す例では、船舶推進装置12、13が発生する推進力はゼロから値F1に、図9(B)に示す例よりも迅速に増加する。そのため、操船者の要求を満足させつつ、船舶1の移動開始時に乗船者がよろけてしまうおそれを抑制することができる。
【0068】
図10は操作部11Dが、位置P1から位置P2に移動させられて位置P2に維持される場合に第2実施形態の船舶推進装置用制御装置14の推進力算出部14Cによって算出される推進力(船舶推進装置12、13が発生する推進力)の目標値などの第2例を説明するための図である。
詳細には、図10(A)は操作部11Dの位置P1、P2と時間との関係を示しており、図10(B)は第1期間長さ変更部14Dによって第1期間の長さが変更される前に第2実施形態の船舶推進装置用制御装置14の推進力算出部14Cによって算出される推進力の目標値と時間との関係を示している。図10(C)は第1期間長さ変更部14Dによって第1期間の長さが延長された後に第2実施形態の船舶推進装置用制御装置14の推進力算出部14Cによって算出される推進力の目標値と時間との関係を示しており、図10(D)は第1期間長さ変更部14Dによって第1期間の長さが短縮された後に第2実施形態の船舶推進装置用制御装置14の推進力算出部14Cによって算出される推進力の目標値と時間との関係を示している。
【0069】
図10に示す例では、図10(A)に示すように、時刻t1以前の期間中、操作部11Dが位置P1に位置し、時刻t1に、操作部11Dが位置P1から位置P2に移動させられ、時刻t1以降の期間中、操作部11Dが位置P2に維持される。
【0070】
第2実施形態の船舶推進装置用制御装置14の第2例では、図10(B)に示すように、時刻t1以前の期間中、推進力算出部14Cは、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値として、ゼロを算出する。その結果、船舶推進装置12、13は推進力を発生せず、船舶1の速度はゼロである。
次いで、時刻t1~時刻t2の第1期間中、推進力算出部14Cは、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値として、ゼロより大きく、値F1より小さい値F2を算出する。その結果、船舶推進装置12、13が発生する推進力は、時刻t1に、図4(C)に示す例より緩やかに増加し、船舶1の速度も、図4(C)に示す例より緩やかに増加する。
次いで、時刻t2以降の第2期間中、推進力算出部14Cは、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値として、値F1を算出する。その結果、船舶推進装置12、13が発生する推進力は、時刻t2に、時刻t1と同程度に緩やかに増加し、船舶1の速度も、時刻t1と同程度に緩やかに増加する。
【0071】
つまり、図10(B)に示す例では、操作部11Dが位置P1から位置P2に移動させられた時刻t1から時刻t2までの第1期間中に、船舶推進装置12、13が小さい第1推進力(値F2の推進力)を発生し、次いで、時刻t2以降の第2期間中に、船舶推進装置12、13が、第1推進力よりも大きい第2推進力(値F1の推進力)を発生する。
すなわち、図10(B)に示す例では、船舶推進装置12、13が発生する推進力はゼロから値F1に急激に変化せず、ステップ状に変化する。そのため、船舶1の移動開始時の乗り心地を向上させることができ、船舶1の移動開始時に乗船者がよろけてしまうおそれを抑制することができる。
【0072】
一方、操船者によっては、船舶推進装置12、13が小さい第1推進力(値F2の推進力)を発生する第1期間として、図10(B)に示す例よりも長い第1期間を望む操船者も存在し得る。
そのような場合に、第1期間設定部11Eが、操船者による第1期間(時刻t1~時刻t2の期間)の長さの延長要求を受け付け、第1期間長さ変更部14Dは、第1期間の長さを、「時刻t1~時刻t2(図10(B)参照)」から「時刻t1~時刻t2’(図10(C)参照)」に延長する。
【0073】
第1期間の長さが延長された図10(C)に示す例では、時刻t1以前の期間中、推進力算出部14Cは、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値として、ゼロを算出する。その結果、船舶推進装置12、13は推進力を発生せず、船舶1の速度はゼロである。
次いで、時刻t1~時刻t2’の第1期間(つまり、延長後の第1期間)中、推進力算出部14Cは、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値として、ゼロより大きく、値F1より小さい値F2を算出する。
次いで、時刻t2’以降の第2期間中、推進力算出部14Cは、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値として、値F1を算出する。
【0074】
つまり、図10(C)に示す例では、操作部11Dが位置P1から位置P2に移動させられた時刻t1から時刻t2’までの第1期間(延長後の第1期間)中に、船舶推進装置12、13が小さい推進力(第1推進力)を発生し、次いで、時刻t2’以降の第2期間中に、船舶推進装置12、13が、第1推進力よりも大きい第2推進力(値F1の推進力)を発生する。
すなわち、図10(C)に示す例では、第1期間が図10(B)に示す例より長いため、船舶推進装置12、13が発生する推進力は、図10(B)に示す例よりも緩やかに増加する。そのため、船舶1の移動開始時に乗船者がよろけてしまうおそれを、図10(B)に示す例よりも抑制することができる。
【0075】
また、操船者によっては、船舶推進装置12、13が発生する推進力を、図10(B)に示す例よりも迅速に増加させることを望む操船者も存在し得る。
そのような場合に、第1期間設定部11Eが、操船者による第1期間(時刻t1~時刻t2の期間)の長さの短縮要求を受け付け、第1期間長さ変更部14Dは、第1期間の長さを、「時刻t1~時刻t2(図10(B)参照)」から「時刻t1~時刻t2”(図10(D)参照)」に短縮する。
【0076】
第1期間の長さが短縮された図10(D)に示す例では、時刻t1以前の期間中、推進力算出部14Cは、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値として、ゼロを算出する。その結果、船舶推進装置12、13は推進力を発生せず、船舶1の速度はゼロである。
次いで、時刻t1~時刻t2”の第1期間(つまり、短縮後の第1期間)中、推進力算出部14Cは、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値として、ゼロより大きく、値F1より小さい値F2を算出する。
次いで、時刻t2”以降の第2期間中、推進力算出部14Cは、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値として、値F1を算出する。
【0077】
つまり、図10(D)に示す例では、操作部11Dが位置P1から位置P2に移動させられた時刻t1から時刻t2”までの第1期間(短縮後の第1期間)中に、船舶推進装置12、13が小さい推進力(第1推進力)を発生し、次いで、時刻t2”以降の第2期間中に、船舶推進装置12、13が、第1推進力よりも大きい第2推進力(値F1の推進力)を発生する。
すなわち、図10(D)に示す例では、船舶推進装置12、13が発生する推進力はゼロから値F1に、図10(B)に示す例よりも迅速に増加する。そのため、操船者の要求を満足させつつ、船舶1の移動開始時に乗船者がよろけてしまうおそれを抑制することができる。
【0078】
<第3実施形態>
以下、本発明の船舶推進装置用制御装置、船舶推進装置用制御方法およびプログラムの第3実施形態について説明する。
第3実施形態の船舶推進装置用制御装置14は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の船舶推進装置用制御装置14と同様に構成されている。従って、第3実施形態の船舶推進装置用制御装置14によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の船舶推進装置用制御装置14と同様の効果を奏することができる。
【0079】
図11は第3実施形態の船舶推進装置用制御装置14が適用される船舶1の一例を示す図である。
上述したように、図1に示す例では、船体11が、操舵装置11Aと、リモコン装置11Bと、リモコン装置11Cと、操作部11Dとを備えている。
一方、図11に示す例では、船体11が、操舵装置11Aと、リモコン装置11Bと、リモコン装置11Cと、操作部11Dと、モード設定部11Fとを備えている。モード設定部11Fは、例えば操船者による第1モード(スロースタートモード)および第2モード(クイックスタートモード)のいずれかの選択を受け付ける。
他の例では、船体11が、操舵装置11A、リモコン装置11Bおよびリモコン装置11Cを備えていなくてもよい。
【0080】
図12は操作部11Dが、位置P1から位置P2に移動させられて位置P2に維持される場合に第3実施形態の船舶推進装置用制御装置14の推進力算出部14Cによって算出される推進力(船舶推進装置12、13が発生する推進力)の目標値などの第1例を説明するための図である。
詳細には、図12(A)は操作部11Dの位置P1、P2と時間との関係を示しており、図12(B)はモード設定部11Fが第1モード(スロースタートモード)の選択を受け付けた場合に第3実施形態の船舶推進装置用制御装置14の推進力算出部14Cによって算出される推進力の目標値と時間との関係を示しており、図12(C)はモード設定部11Fが第2モード(クイックスタートモード)の選択を受け付けた場合に第3実施形態の船舶推進装置用制御装置14の推進力算出部14Cによって算出される推進力の目標値と時間との関係を示している。
【0081】
図12に示す例では、図12(A)に示すように、時刻t1以前の期間中、操作部11Dが位置P1に位置し、時刻t1に、操作部11Dが位置P1から位置P2に移動させられ、時刻t1以降の期間中、操作部11Dが位置P2に維持される。
【0082】
第3実施形態の船舶推進装置用制御装置14の第1例では、モード設定部11Fが第1モード(スロースタートモード)の選択を受け付けた場合、図12(B)に示すように、時刻t1以前の期間中、推進力算出部14Cは、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値として、ゼロを算出する。その結果、船舶推進装置12、13は推進力を発生せず、船舶1の速度はゼロである。
次いで、時刻t1~時刻t2の第1期間中、推進力算出部14Cが算出する推進力(船舶推進装置12、13が発生する推進力)の目標値は、ゼロから値F1まで、例えば一定の変化量で増加する。その結果、船舶推進装置12、13が発生する推進力が徐々に増加し、船舶1の速度も徐々に増加する。
次いで、時刻t2以降の第2期間中、推進力算出部14Cが算出する推進力(船舶推進装置12、13が発生する推進力)の目標値は、値F1に維持される。その結果、船舶推進装置12、13が発生する推進力が一定値に維持され、船舶1の速度も一定値に維持される。
【0083】
つまり、図12(B)に示す例では、操作部11Dが位置P1から位置P2に移動させられた時刻t1から時刻t2までの第1期間中に、船舶推進装置12、13が小さい推進力(第1推進力)を発生し、次いで、時刻t2以降の第2期間中に、船舶推進装置12、13が、第1推進力よりも大きい第2推進力(値F1の推進力)を発生する。
すなわち、図12(B)に示す例では、船舶推進装置12、13が発生する推進力はゼロから値F1に急激に変化せず、徐々に変化する。そのため、船舶1の移動開始時の乗り心地を向上させることができ、船舶1の移動開始時に乗船者がよろけてしまうおそれを抑制することができる。
【0084】
第3実施形態の船舶推進装置用制御装置14の第1例では、モード設定部11Fが第2モード(クイックスタートモード)の選択を受け付けた場合、図12(C)に示すように、時刻t1以前の期間中、推進力算出部14Cは、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値として、ゼロを算出する。その結果、船舶推進装置12、13は推進力を発生せず、船舶1の速度はゼロである。
次いで、時刻t1に、推進力算出部14Cは、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値として、値F1を算出する。その結果、船舶推進装置12、13が発生する推進力がゼロから値F1に急激に増加し、船舶1の速度も急激に増加する。
次いで、時刻t1以降の期間中、推進力算出部14Cが算出する推進力(船舶推進装置12、13が発生する推進力)の目標値は、値F1に維持される。その結果、船舶推進装置12、13が発生する推進力が一定値に維持され、船舶1の速度も一定値に維持される。
【0085】
つまり、図12(C)に示す例では、操作部11Dが位置P1から位置P2に移動させられた時刻t1に、船舶推進装置12、13が第1推進力よりも大きい第2推進力(値F1の推進力)を発生し、次いで、時刻t1以降の期間中に、船舶推進装置12、13が、第2推進力を発生し続ける。
すなわち、図12(C)に示す例では、船舶推進装置12、13が発生する推進力はゼロから値F1に急激に変化する。そのため、船舶推進装置12、13が発生する推進力をゼロから値F1まで迅速に増加させることを望む操船者の要求を満足させることができる。
【0086】
図13は操作部11Dが、位置P1から位置P2に移動させられて位置P2に維持される場合に第3実施形態の船舶推進装置用制御装置14の推進力算出部14Cによって算出される推進力(船舶推進装置12、13が発生する推進力)の目標値などの第2例を説明するための図である。
詳細には、図13(A)は操作部11Dの位置P1、P2と時間との関係を示しており、図13(B)はモード設定部11Fが第1モード(スロースタートモード)の選択を受け付けた場合に第3実施形態の船舶推進装置用制御装置14の推進力算出部14Cによって算出される推進力の目標値と時間との関係を示しており、図13(C)はモード設定部11Fが第2モード(クイックスタートモード)の選択を受け付けた場合に第3実施形態の船舶推進装置用制御装置14の推進力算出部14Cによって算出される推進力の目標値と時間との関係を示している。
【0087】
図13に示す例では、図13(A)に示すように、時刻t1以前の期間中、操作部11Dが位置P1に位置し、時刻t1に、操作部11Dが位置P1から位置P2に移動させられ、時刻t1以降の期間中、操作部11Dが位置P2に維持される。
【0088】
第3実施形態の船舶推進装置用制御装置14の第1例では、モード設定部11Fが第1モード(スロースタートモード)の選択を受け付けた場合、図13(B)に示すように、時刻t1以前の期間中、推進力算出部14Cは、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値として、ゼロを算出する。その結果、船舶推進装置12、13は推進力を発生せず、船舶1の速度はゼロである。
次いで、時刻t1~時刻t2の第1期間中、推進力算出部14Cは、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値として、ゼロより大きく、値F1より小さい値F2を算出する。その結果、船舶推進装置12、13が発生する推進力は、時刻t1に、図13(C)に示す例より緩やかに増加し、船舶1の速度も、図13(C)に示す例より緩やかに増加する。
次いで、時刻t2以降の第2期間中、推進力算出部14Cは、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値として、値F1を算出する。その結果、船舶推進装置12、13が発生する推進力は、時刻t2に、時刻t1と同程度に緩やかに増加し、船舶1の速度も、時刻t1と同程度に緩やかに増加する。
【0089】
つまり、図13(B)に示す例では、操作部11Dが位置P1から位置P2に移動させられた時刻t1から時刻t2までの第1期間中に、船舶推進装置12、13が小さい第1推進力(値F2の推進力)を発生し、次いで、時刻t2以降の第2期間中に、船舶推進装置12、13が、第1推進力よりも大きい第2推進力(値F1の推進力)を発生する。
すなわち、図13(B)に示す例では、船舶推進装置12、13が発生する推進力はゼロから値F1に急激に変化せず、ステップ状に変化する。そのため、船舶1の移動開始時の乗り心地を向上させることができ、船舶1の移動開始時に乗船者がよろけてしまうおそれを抑制することができる。
【0090】
第3実施形態の船舶推進装置用制御装置14の第2例では、モード設定部11Fが第2モード(クイックスタートモード)の選択を受け付けた場合、図13(C)に示すように、時刻t1以前の期間中、推進力算出部14Cは、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値として、ゼロを算出する。その結果、船舶推進装置12、13は推進力を発生せず、船舶1の速度はゼロである。
次いで、時刻t1に、推進力算出部14Cは、船舶推進装置12、13が発生する推進力の目標値として、値F1を算出する。その結果、船舶推進装置12、13が発生する推進力がゼロから値F1に急激に増加し、船舶1の速度も急激に増加する。
次いで、時刻t1以降の期間中、推進力算出部14Cが算出する推進力(船舶推進装置12、13が発生する推進力)の目標値は、値F1に維持される。その結果、船舶推進装置12、13が発生する推進力が一定値に維持され、船舶1の速度も一定値に維持される。
【0091】
つまり、図13(C)に示す例では、操作部11Dが位置P1から位置P2に移動させられた時刻t1に、船舶推進装置12、13が第1推進力よりも大きい第2推進力(値F1の推進力)を発生し、次いで、時刻t1以降の期間中に、船舶推進装置12、13が、第2推進力を発生し続ける。
すなわち、図13(C)に示す例では、船舶推進装置12、13が発生する推進力はゼロから値F1に急激に変化する。そのため、船舶推進装置12、13が発生する推進力をゼロから値F1まで迅速に増加させることを望む操船者の要求を満足させることができる。
【0092】
<第4実施形態>
以下、本発明の船舶推進装置用制御装置、船舶推進装置用制御方法およびプログラムの第4実施形態について説明する。
第4実施形態の船舶推進装置用制御装置14は、後述する点を除き、上述した第3実施形態の船舶推進装置用制御装置14と同様に構成されている。従って、第4実施形態の船舶推進装置用制御装置14によれば、後述する点を除き、上述した第3実施形態の船舶推進装置用制御装置14と同様の効果を奏することができる。
【0093】
上述したように、図11に示す例では、船体11が、操舵装置11Aと、リモコン装置11Bと、リモコン装置11Cと、操作部11Dと、モード設定部11Fとを備えており、モード設定部11Fは、例えば操船者による第1モード(スロースタートモード)および第2モード(クイックスタートモード)のいずれかの選択を受け付ける。
一方、第4実施形態の船舶推進装置用制御装置14が適用される船舶1の船体11には、モード設定部11Fが備えられていない。第4実施形態の船舶推進装置用制御装置14が適用される船舶1では、操作部11Dの位置に応じて、第1モード(スロースタートモード)と第2モード(クイックスタートモード)とが切り替えられる。
【0094】
第4実施形態の船舶推進装置用制御装置14が適用される船舶1では、船舶1を右向きに並進移動させる推進力を船舶推進装置12、13が発生する操作部11Dの位置P2(図3(B)参照)に、第1領域と第2領域とが含まれる。
操作部11Dが位置P1(図3(A)参照)から位置P2の第1領域に移動させられる場合、操作部11Dの移動量は、所定の閾値(第1閾値)以下になる。一方、操作部11Dが位置P1から位置P2の第2領域に移動させられる場合、操作部11Dの移動量は、その閾値(第1閾値)よりも大きくなる。
具体的には、操作部11Dが位置P2の第2領域に位置する場合に、操作部11D(ジョイスティックのレバーの先端部)は、図3(B)に示す状態になる。一方、操作部11Dが位置P2の第1領域に位置する場合には、ジョイスティックのレバーの先端部が、図3(A)に符号「P1」で示す位置と、図3(B)に符号「P2」で示す位置との間に位置する。
【0095】
第4実施形態の船舶推進装置用制御装置14が適用される船舶1では、操作部11D(ジョイスティックのレバーの先端部)が、位置P1から位置P2の第2領域に移動させられて、位置P2の第2領域に維持される場合(スロースタートモード)に、船舶推進装置用制御装置14は、図12(B)または図13(B)に示すように、操作部11Dが位置P1から位置P2の第2領域に移動させられた時刻t1から時刻t2までの第1期間中に、第1推進力(船舶1を右向きに並進移動させる小さい推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。次いで、時刻t2以降の第2期間中に、第1推進力よりも大きい第2推進力(船舶1を右向きに並進移動させる大きい推進力)(値F1の推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。
操作部11D(ジョイスティックのレバーの先端部)が、位置P1から位置P2の第1領域に移動させられて、位置P2の第1領域に維持される場合(クイックスタートモード)に、船舶推進装置用制御装置14は、図12(C)または図13(C)に示すように、操作部11Dが位置P1から位置P2の第1領域に移動させられた時刻t1に第2推進力(船舶1を右向きに並進移動させる大きい推進力)(値F1の推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。次いで、時刻t1以降の期間中に第2推進力を船舶推進装置12、13に発生させ続ける。
【0096】
第4実施形態の船舶推進装置用制御装置14が適用される船舶1では、船舶1を右前向きに並進移動させる推進力を船舶推進装置12、13が発生する操作部11Dの位置P3(図3(C)参照)に、第1領域と第2領域とが含まれる。
操作部11Dが位置P1(図3(A)参照)から位置P3の第1領域に移動させられる場合、操作部11Dの移動量は、閾値(第1閾値)以下になる。一方、操作部11Dが位置P1から位置P3の第2領域に移動させられる場合、操作部11Dの移動量は、その閾値(第1閾値)よりも大きくなる。
具体的には、操作部11Dが位置P3の第2領域に位置する場合に、操作部11D(ジョイスティックのレバーの先端部)は、図3(C)に示す状態になる。一方、操作部11Dが位置P3の第1領域に位置する場合には、ジョイスティックのレバーの先端部が、図3(A)に符号「P1」で示す位置と、図3(C)に符号「P3」で示す位置との間に位置する。
【0097】
第4実施形態の船舶推進装置用制御装置14が適用される船舶1では、操作部11D(ジョイスティックのレバーの先端部)が、位置P1から位置P3の第2領域に移動させられて、位置P3の第2領域に維持される場合(スロースタートモード)に、船舶推進装置用制御装置14は、図12(B)または図13(B)に示すように、操作部11Dが位置P1から位置P3の第2領域に移動させられた時刻t1から時刻t2までの第1期間中に、第1推進力(船舶1を右前向きに並進移動させる小さい推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。次いで、時刻t2以降の第2期間中に、第1推進力よりも大きい第2推進力(船舶1を右前向きに並進移動させる大きい推進力)(値F1と同等の推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。
操作部11D(ジョイスティックのレバーの先端部)が、位置P1から位置P3の第1領域に移動させられて、位置P3の第1領域に維持される場合(クイックスタートモード)に、船舶推進装置用制御装置14は、図12(C)または図13(C)に示すように、操作部11Dが位置P1から位置P3の第1領域に移動させられた時刻t1に第2推進力(船舶1を右前向きに並進移動させる大きい推進力)(値F1と同等の推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。次いで、時刻t1以降の期間中に第2推進力を船舶推進装置12、13に発生させ続ける。
【0098】
第4実施形態の船舶推進装置用制御装置14が適用される船舶1では、船舶1を右後向きに並進移動させる推進力を船舶推進装置12、13が発生する操作部11Dの位置P4(図3(D)参照)に、第1領域と第2領域とが含まれる。
操作部11Dが位置P1(図3(A)参照)から位置P4の第1領域に移動させられる場合、操作部11Dの移動量は、閾値(第1閾値)以下になる。一方、操作部11Dが位置P1から位置P4の第2領域に移動させられる場合、操作部11Dの移動量は、その閾値(第1閾値)よりも大きくなる。
具体的には、操作部11Dが位置P4の第2領域に位置する場合に、操作部11D(ジョイスティックのレバーの先端部)は、図3(D)に示す状態になる。一方、操作部11Dが位置P4の第1領域に位置する場合には、ジョイスティックのレバーの先端部が、図3(A)に符号「P1」で示す位置と、図3(D)に符号「P4」で示す位置との間に位置する。
【0099】
第4実施形態の船舶推進装置用制御装置14が適用される船舶1では、操作部11D(ジョイスティックのレバーの先端部)が、位置P1から位置P4の第2領域に移動させられて、位置P4の第2領域に維持される場合(スロースタートモード)に、船舶推進装置用制御装置14は、図12(B)または図13(B)に示すように、操作部11Dが位置P1から位置P4の第2領域に移動させられた時刻t1から時刻t2までの第1期間中に、第1推進力(船舶1を右後向きに並進移動させる小さい推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。次いで、時刻t2以降の第2期間中に、第1推進力よりも大きい第2推進力(船舶1を右後向きに並進移動させる大きい推進力)(値F1と同等の推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。
操作部11D(ジョイスティックのレバーの先端部)が、位置P1から位置P4の第1領域に移動させられて、位置P4の第1領域に維持される場合(クイックスタートモード)に、船舶推進装置用制御装置14は、図12(C)または図13(C)に示すように、操作部11Dが位置P1から位置P4の第1領域に移動させられた時刻t1に第2推進力(船舶1を右後向きに並進移動させる大きい推進力)(値F1と同等の推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。次いで、時刻t1以降の期間中に第2推進力を船舶推進装置12、13に発生させ続ける。
【0100】
第4実施形態の船舶推進装置用制御装置14では、船舶1の右側と左側とで左右対称の制御が実行される。
つまり、第4実施形態の船舶推進装置用制御装置14が適用される船舶1では、操作部11D(ジョイスティックのレバーの先端部)が、位置P1から位置P5~P7のいずれかの第2領域に移動させられて、その位置P5~P7の第2領域に維持される場合(スロースタートモード)に、船舶推進装置用制御装置14は、図12(B)または図13(B)に示すように、操作部11Dが位置P1から位置P5~P7のいずれかの第2領域に移動させられた時刻t1から時刻t2までの第1期間中に、第1推進力(船舶1を左向き、左前向きまたは左後向きに並進移動させる小さい推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。次いで、時刻t2以降の第2期間中に、第1推進力よりも大きい第2推進力(船舶1を左向き、左前向きまたは左後向きに並進移動させる大きい推進力)(値F1と同等の推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。
操作部11D(ジョイスティックのレバーの先端部)が、位置P1から位置P5~P7のいずれかの第1領域に移動させられて、その位置P5~P7の第1領域に維持される場合(クイックスタートモード)に、船舶推進装置用制御装置14は、図12(C)または図13(C)に示すように、操作部11Dが位置P1から位置P5~P7のいずれかの第1領域に移動させられた時刻t1に第2推進力(船舶1を左向き、左前向きまたは左後向きに並進移動させる大きい推進力)(値F1と同等の推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。次いで、時刻t1以降の期間中に第2推進力を船舶推進装置12、13に発生させ続ける。
【0101】
また、第4実施形態の船舶推進装置用制御装置14では、図12または図13に示す制御が、船舶1の前後方向の移動時の制御(船舶1を前進または後進させる制御)にも適用される。
第4実施形態の船舶推進装置用制御装置14が適用される船舶1では、船舶1を前進させる推進力を船舶推進装置12、13が発生する操作部11Dの位置P8(図3(H)参照)に、第1領域と第2領域とが含まれる。
操作部11Dが位置P1(図3(A)参照)から位置P8の第1領域に移動させられる場合、操作部11Dの移動量は、閾値(第1閾値)以下になる。一方、操作部11Dが位置P1から位置P8の第2領域に移動させられる場合、操作部11Dの移動量は、その閾値(第1閾値)よりも大きくなる。
具体的には、操作部11Dが位置P8の第2領域に位置する場合に、操作部11D(ジョイスティックのレバーの先端部)は、図3(H)に示す状態になる。一方、操作部11Dが位置P8の第1領域に位置する場合には、ジョイスティックのレバーの先端部が、図3(A)に符号「P1」で示す位置と、図3(H)に符号「P8」で示す位置との間に位置する。
【0102】
第4実施形態の船舶推進装置用制御装置14が適用される船舶1では、操作部11D(ジョイスティックのレバーの先端部)が、位置P1から位置P8の第2領域に移動させられて、位置P8の第2領域に維持される場合(スロースタートモード)に、船舶推進装置用制御装置14は、図12(B)または図13(B)に示すように、操作部11Dが位置P1から位置P8の第2領域に移動させられた時刻t1から時刻t2までの第1期間中に、第1推進力(船舶1を前進させる小さい推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。次いで、時刻t2以降の第2期間中に、第1推進力よりも大きい第2推進力(船舶1を前進させる大きい推進力)(値F1と同等の推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。
操作部11D(ジョイスティックのレバーの先端部)が、位置P1から位置P8の第1領域に移動させられて、位置P8の第1領域に維持される場合(クイックスタートモード)に、船舶推進装置用制御装置14は、図12(C)または図13(C)に示すように、操作部11Dが位置P1から位置P8の第1領域に移動させられた時刻t1に第2推進力(船舶1を前進させる大きい推進力)(値F1と同等の推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。次いで、時刻t1以降の期間中に第2推進力を船舶推進装置12、13に発生させ続ける。
【0103】
第4実施形態の船舶推進装置用制御装置14が適用される船舶1では、船舶1を後進させる推進力を船舶推進装置12、13が発生する操作部11Dの位置P9(図3(I)参照)に、第1領域と第2領域とが含まれる。
操作部11Dが位置P1(図3(A)参照)から位置P9の第1領域に移動させられる場合、操作部11Dの移動量は、閾値(第1閾値)以下になる。一方、操作部11Dが位置P1から位置P9の第2領域に移動させられる場合、操作部11Dの移動量は、その閾値(第1閾値)よりも大きくなる。
具体的には、操作部11Dが位置P9の第2領域に位置する場合に、操作部11D(ジョイスティックのレバーの先端部)は、図3(I)に示す状態になる。一方、操作部11Dが位置P9の第1領域に位置する場合には、ジョイスティックのレバーの先端部が、図3(A)に符号「P1」で示す位置と、図3(I)に符号「P9」で示す位置との間に位置する。
【0104】
第4実施形態の船舶推進装置用制御装置14が適用される船舶1では、操作部11D(ジョイスティックのレバーの先端部)が、位置P1から位置P9の第2領域に移動させられて、位置P9の第2領域に維持される場合(スロースタートモード)に、船舶推進装置用制御装置14は、図12(B)または図13(B)に示すように、操作部11Dが位置P1から位置P9の第2領域に移動させられた時刻t1から時刻t2までの第1期間中に、第1推進力(船舶1を後進させる小さい推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。次いで、時刻t2以降の第2期間中に、第1推進力よりも大きい第2推進力(船舶1を後進させる大きい推進力)(値F1と同等の推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。
操作部11D(ジョイスティックのレバーの先端部)が、位置P1から位置P9の第1領域に移動させられて、位置P9の第1領域に維持される場合(クイックスタートモード)に、船舶推進装置用制御装置14は、図12(C)または図13(C)に示すように、操作部11Dが位置P1から位置P9の第1領域に移動させられた時刻t1に第2推進力(船舶1を後進させる大きい推進力)(値F1と同等の推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。次いで、時刻t1以降の期間中に第2推進力を船舶推進装置12、13に発生させ続ける。
【0105】
また、第4実施形態の船舶推進装置用制御装置14では、図12または図13に示す制御が、船舶1を時計回りに旋回させる制御(船舶1を時計回りにその場回頭させる制御)にも適用される。
第4実施形態の船舶推進装置用制御装置14が適用される船舶1では、船舶1を時計回りに旋回させる推進力を船舶推進装置12、13が発生する操作部11Dの位置P10(図3(J)参照)に、第1領域と第2領域とが含まれる。
操作部11Dが位置P1(図3(A)参照)から位置P10の第1領域に移動させられる場合、操作部11Dの移動量は、閾値(第1閾値)以下になる。一方、操作部11Dが位置P1から位置P10の第2領域に移動させられる場合、操作部11Dの移動量は、その閾値(第1閾値)よりも大きくなる。
具体的には、操作部11Dが位置P10の第2領域に位置する場合に、操作部11D(ジョイスティックのレバー)は、図3(J)に示す状態になる。一方、操作部11Dが位置P10の第1領域に位置する場合には、ジョイスティックのレバーが、図3(A)に符号「P1」で示す位置と、図3(H)に符号「P10」で示す位置との間に位置する(つまり、ジョイスティックのレバーの回動量が、図3(J)に示す状態よりも小さい)。
【0106】
第4実施形態の船舶推進装置用制御装置14が適用される船舶1では、操作部11D(ジョイスティックのレバー)が、位置P1から位置P10の第2領域に移動させられて、位置P10の第2領域に維持される場合(スロースタートモード)に、船舶推進装置用制御装置14は、図12(B)または図13(B)に示すように、操作部11Dが位置P1から位置P10の第2領域に移動させられた時刻t1から時刻t2までの第1期間中に、第1推進力(船舶1を時計回りに旋回させる小さい推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。次いで、時刻t2以降の第2期間中に、第1推進力よりも大きい第2推進力(船舶1を時計回りに旋回させる大きい推進力)(値F1と同等の推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。
操作部11D(ジョイスティックのレバー)が、位置P1から位置P10の第1領域に移動させられて、位置P10の第1領域に維持される場合(クイックスタートモード)に、船舶推進装置用制御装置14は、図12(C)または図13(C)に示すように、操作部11Dが位置P1から位置P10の第1領域に移動させられた時刻t1に第2推進力(船舶1を時計回りに旋回させる大きい推進力)(値F1と同等の推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。次いで、時刻t1以降の期間中に第2推進力を船舶推進装置12、13に発生させ続ける。
【0107】
また、第1実施形態の船舶推進装置用制御装置14では、図12または図13に示す制御が、船舶1を反時計回りに旋回させる制御(船舶1を反時計回りにその場回頭させる制御)にも適用される。
第4実施形態の船舶推進装置用制御装置14が適用される船舶1では、船舶1を反時計回りに旋回させる推進力を船舶推進装置12、13が発生する操作部11Dの位置P11(図3(K)参照)に、第1領域と第2領域とが含まれる。
操作部11Dが位置P1(図3(A)参照)から位置P11の第1領域に移動させられる場合、操作部11Dの移動量は、閾値(第1閾値)以下になる。一方、操作部11Dが位置P1から位置P11の第2領域に移動させられる場合、操作部11Dの移動量は、その閾値(第1閾値)よりも大きくなる。
具体的には、操作部11Dが位置P11の第2領域に位置する場合に、操作部11D(ジョイスティックのレバー)は、図3(K)に示す状態になる。一方、操作部11Dが位置P11の第1領域に位置する場合には、ジョイスティックのレバーが、図3(A)に符号「P1」で示す位置と、図3(K)に符号「P11」で示す位置との間に位置する(つまり、ジョイスティックのレバーの回動量が、図3(K)に示す状態よりも小さい)。
【0108】
第4実施形態の船舶推進装置用制御装置14が適用される船舶1では、操作部11D(ジョイスティックのレバー)が、位置P1から位置P11の第2領域に移動させられて、位置P11の第2領域に維持される場合(スロースタートモード)に、船舶推進装置用制御装置14は、図12(B)または図13(B)に示すように、操作部11Dが位置P1から位置P11の第2領域に移動させられた時刻t1から時刻t2までの第1期間中に、第1推進力(船舶1を反時計回りに旋回させる小さい推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。次いで、時刻t2以降の第2期間中に、第1推進力よりも大きい第2推進力(船舶1を反時計回りに旋回させる大きい推進力)(値F1と同等の推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。
操作部11D(ジョイスティックのレバー)が、位置P1から位置P11の第1領域に移動させられて、位置P11の第1領域に維持される場合(クイックスタートモード)に、船舶推進装置用制御装置14は、図12(C)または図13(C)に示すように、操作部11Dが位置P1から位置P11の第1領域に移動させられた時刻t1に第2推進力(船舶1を反時計回りに旋回させる大きい推進力)(値F1と同等の推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。次いで、時刻t1以降の期間中に第2推進力を船舶推進装置12、13に発生させ続ける。
上述した例では、操作部11D(ジョイスティックのレバーの先端部)が第2領域に維持される場合にスロースタートモードになり、操作部11Dが第1領域に維持される場合にクイックスタートモードになるが、他の例では、操作部11Dが第1領域に維持される場合にスロースタートモードになり、操作部11Dが第2領域に維持される場合にクイックスタートモードになってもよい。
【0109】
<第5実施形態>
以下、本発明の船舶推進装置用制御装置、船舶推進装置用制御方法およびプログラムの第5実施形態について説明する。
第5実施形態の船舶推進装置用制御装置14は、後述する点を除き、上述した第3実施形態の船舶推進装置用制御装置14と同様に構成されている。従って、第5実施形態の船舶推進装置用制御装置14によれば、後述する点を除き、上述した第3実施形態の船舶推進装置用制御装置14と同様の効果を奏することができる。
【0110】
上述したように、図11に示す例では、船体11が、操舵装置11Aと、リモコン装置11Bと、リモコン装置11Cと、操作部11Dと、モード設定部11Fとを備えており、モード設定部11Fは、例えば操船者による第1モード(スロースタートモード)および第2モード(クイックスタートモード)のいずれかの選択を受け付ける。
一方、第5実施形態の船舶推進装置用制御装置14が適用される船舶1の船体11には、モード設定部11Fが備えられていない。第5実施形態の船舶推進装置用制御装置14が適用される船舶1では、位置P1から位置P2~P11のいずれかへの操作部11Dの移動所要時間に応じて、第1モード(スロースタートモード)と第2モード(クイックスタートモード)とが切り替えられる。
【0111】
図12(A)および図13(A)には、位置P1から位置P2への操作部11Dの移動開始時刻と、位置P1から位置P2への操作部11Dの移動終了時刻とが、同一時刻(時刻t1)として示されているが、現実には、位置P1から位置P2への操作部11Dの移動開始時刻と、位置P1から位置P2への操作部11Dの移動終了時刻とは異なる。
第5実施形態の船舶推進装置用制御装置14では、位置P1から位置P2への操作部11Dの移動開始時刻から、位置P1から位置P2への操作部11Dの移動終了時刻までの時間(操作部11Dの移動所要時間)が、第1モード(スロースタートモード)と第2モード(クイックスタートモード)との切り替えに利用される。
【0112】
第5実施形態の船舶推進装置用制御装置14が適用される船舶1では、操作部11D(ジョイスティックのレバーの先端部)が、位置P1(図3(A)参照)から位置P2(図3(B)参照)に移動させられて、位置P2に維持される場合であって、位置P1から位置P2への操作部11Dの移動所要時間が所定の閾値(第2閾値)よりも長い場合(スロースタートモード)に、船舶推進装置用制御装置14は、図12(B)または図13(B)に示すように、操作部11Dが位置P1から位置P2に移動させられた時刻(移動終了時刻)t1から時刻t2までの第1期間中に、第1推進力(船舶1を右向きに並進移動させる小さい推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。次いで、時刻t2以降の第2期間中に、第1推進力よりも大きい第2推進力(船舶1を右向きに並進移動させる大きい推進力)(値F1の推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。
操作部11D(ジョイスティックのレバーの先端部)が、位置P1から位置P2に移動させられて、位置P2に維持される場合であって、位置P1から位置P2への操作部11Dの移動所要時間がその閾値(第2閾値)以下である場合(クイックスタートモード)に、船舶推進装置用制御装置14は、図12(C)または図13(C)に示すように、操作部11Dが位置P1から位置P2に移動させられた時刻(移動終了時刻)t1に第2推進力(船舶1を右向きに並進移動させる大きい推進力)(値F1の推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。次いで、時刻t1以降の期間中に第2推進力を船舶推進装置12、13に発生させ続ける。
【0113】
第5実施形態の船舶推進装置用制御装置14が適用される船舶1では、操作部11D(ジョイスティックのレバーの先端部)が、位置P1(図3(A)参照)から位置P3(図3(C)参照)に移動させられて、位置P3に維持される場合であって、位置P1から位置P3への操作部11Dの移動所要時間が閾値(第2閾値)よりも長い場合(スロースタートモード)に、船舶推進装置用制御装置14は、図12(B)または図13(B)に示すように、操作部11Dが位置P1から位置P3に移動させられた時刻(移動終了時刻)t1から時刻t2までの第1期間中に、第1推進力(船舶1を右前向きに並進移動させる小さい推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。次いで、時刻t2以降の第2期間中に、第1推進力よりも大きい第2推進力(船舶1を右前向きに並進移動させる大きい推進力)(値F1と同等の推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。
操作部11D(ジョイスティックのレバーの先端部)が、位置P1から位置P3に移動させられて、位置P3に維持される場合であって、位置P1から位置P3への操作部11Dの移動所要時間が閾値(第2閾値)以下である場合(クイックスタートモード)に、船舶推進装置用制御装置14は、図12(C)または図13(C)に示すように、操作部11Dが位置P1から位置P3に移動させられた時刻(移動終了時刻)t1に第2推進力(船舶1を右前向きに並進移動させる大きい推進力)(値F1と同等の推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。次いで、時刻t1以降の期間中に第2推進力を船舶推進装置12、13に発生させ続ける。
【0114】
第5実施形態の船舶推進装置用制御装置14が適用される船舶1では、操作部11D(ジョイスティックのレバーの先端部)が、位置P1(図3(A)参照)から位置P4(図3(D)参照)に移動させられて、位置P4に維持される場合であって、位置P1から位置P4への操作部11Dの移動所要時間が閾値(第2閾値)よりも長い場合(スロースタートモード)に、船舶推進装置用制御装置14は、図12(B)または図13(B)に示すように、操作部11Dが位置P1から位置P4に移動させられた時刻(移動終了時刻)t1から時刻t2までの第1期間中に、第1推進力(船舶1を右後向きに並進移動させる小さい推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。次いで、時刻t2以降の第2期間中に、第1推進力よりも大きい第2推進力(船舶1を右後向きに並進移動させる大きい推進力)(値F1と同等の推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。
操作部11D(ジョイスティックのレバーの先端部)が、位置P1から位置P4に移動させられて、位置P4に維持される場合であって、位置P1から位置P4への操作部11Dの移動所要時間が閾値(第2閾値)以下である場合(クイックスタートモード)に、船舶推進装置用制御装置14は、図12(C)または図13(C)に示すように、操作部11Dが位置P1から位置P4に移動させられた時刻(移動終了時刻)t1に第2推進力(船舶1を右後向きに並進移動させる大きい推進力)(値F1と同等の推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。次いで、時刻t1以降の期間中に第2推進力を船舶推進装置12、13に発生させ続ける。
【0115】
第5実施形態の船舶推進装置用制御装置14では、船舶1の右側と左側とで左右対称の制御が実行される。
つまり、第5実施形態の船舶推進装置用制御装置14が適用される船舶1では、操作部11D(ジョイスティックのレバーの先端部)が、位置P1(図3(A)参照)から位置P5~P7のいずれかに移動させられて、その位置P5~P7に維持される場合であって、位置P1からその位置P5~P7への操作部11Dの移動所要時間が閾値(第2閾値)よりも長い場合(スロースタートモード)に、船舶推進装置用制御装置14は、図12(B)または図13(B)に示すように、操作部11Dが位置P1からその位置P5~P7に移動させられた時刻(移動終了時刻)t1から時刻t2までの第1期間中に、第1推進力(船舶1を左向き、左前向きまたは左後向きに並進移動させる小さい推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。次いで、時刻t2以降の第2期間中に、第1推進力よりも大きい第2推進力(船舶1を左向き、左前向きまたは左後向きに並進移動させる大きい推進力)(値F1と同等の推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。
操作部11D(ジョイスティックのレバーの先端部)が、位置P1から位置P5~P7のいずれかに移動させられて、その位置P5~P7に維持される場合であって、位置P1からその位置P5~P7への操作部11Dの移動所要時間が閾値(第2閾値)以下である場合(クイックスタートモード)に、船舶推進装置用制御装置14は、図12(C)または図13(C)に示すように、操作部11Dが位置P1からその位置P5~P7に移動させられた時刻(移動終了時刻)t1に第2推進力(船舶1を左向き、左前向きまたは左後向きに並進移動させる大きい推進力)(値F1と同等の推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。次いで、時刻t1以降の期間中に第2推進力を船舶推進装置12、13に発生させ続ける。
【0116】
また、第5実施形態の船舶推進装置用制御装置14では、図12または図13に示す制御が、船舶1の前後方向の移動時の制御(船舶1を前進または後進させる制御)にも適用される。
第5実施形態の船舶推進装置用制御装置14が適用される船舶1では、操作部11D(ジョイスティックのレバーの先端部)が、位置P1(図3(A)参照)から位置P8(図3(H)参照)に移動させられて、位置P8に維持される場合であって、位置P1から位置P8への操作部11Dの移動所要時間が閾値(第2閾値)よりも長い場合(スロースタートモード)に、船舶推進装置用制御装置14は、図12(B)または図13(B)に示すように、操作部11Dが位置P1から位置P8に移動させられた時刻(移動終了時刻)t1から時刻t2までの第1期間中に、第1推進力(船舶1を前進させる小さい推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。次いで、時刻t2以降の第2期間中に、第1推進力よりも大きい第2推進力(船舶1を前進させる大きい推進力)(値F1と同等の推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。
操作部11D(ジョイスティックのレバーの先端部)が、位置P1から位置P8に移動させられて、位置P8に維持される場合であって、位置P1から位置P8への操作部11Dの移動所要時間が閾値(第2閾値)以下である場合(クイックスタートモード)に、船舶推進装置用制御装置14は、図12(C)または図13(C)に示すように、操作部11Dが位置P1から位置P8に移動させられた時刻(移動終了時刻)t1に第2推進力(船舶1を前進させる大きい推進力)(値F1と同等の推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。次いで、時刻t1以降の期間中に第2推進力を船舶推進装置12、13に発生させ続ける。
【0117】
第5実施形態の船舶推進装置用制御装置14が適用される船舶1では、操作部11D(ジョイスティックのレバーの先端部)が、位置P1(図3(A)参照)から位置P9(図3(I)参照)に移動させられて、位置P9に維持される場合であって、位置P1から位置P9への操作部11Dの移動所要時間が閾値(第2閾値)よりも長い場合(スロースタートモード)に、船舶推進装置用制御装置14は、図12(B)または図13(B)に示すように、操作部11Dが位置P1から位置P9に移動させられた時刻(移動終了時刻)t1から時刻t2までの第1期間中に、第1推進力(船舶1を後進させる小さい推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。次いで、時刻t2以降の第2期間中に、第1推進力よりも大きい第2推進力(船舶1を後進させる大きい推進力)(値F1と同等の推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。
操作部11D(ジョイスティックのレバーの先端部)が、位置P1から位置P9に移動させられて、位置P9に維持される場合であって、位置P1から位置P9への操作部11Dの移動所要時間が閾値(第2閾値)以下である場合(クイックスタートモード)に、船舶推進装置用制御装置14は、図12(C)または図13(C)に示すように、操作部11Dが位置P1から位置P9に移動させられた時刻(移動終了時刻)t1に第2推進力(船舶1を後進させる大きい推進力)(値F1と同等の推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。次いで、時刻t1以降の期間中に第2推進力を船舶推進装置12、13に発生させ続ける。
【0118】
また、第5実施形態の船舶推進装置用制御装置14では、図12または図13に示す制御が、船舶1を時計回りに旋回させる制御(船舶1を時計回りにその場回頭させる制御)にも適用される。
第5実施形態の船舶推進装置用制御装置14が適用される船舶1では、操作部11D(ジョイスティックのレバー)が、位置P1(図3(A)参照)から位置P10(図3(J)参照)に移動させられて、位置P10に維持される場合であって、位置P1から位置P10への操作部11Dの移動所要時間が所定の閾値(第2閾値)よりも長い場合(スロースタートモード)に、船舶推進装置用制御装置14は、図12(B)または図13(B)に示すように、操作部11Dが位置P1から位置P10に移動させられた時刻(移動終了時刻)t1から時刻t2までの第1期間中に、第1推進力(船舶1を時計回りに旋回させる小さい推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。次いで、時刻t2以降の第2期間中に、第1推進力よりも大きい第2推進力(船舶1を時計回りに旋回させる大きい推進力)(値F1と同等の推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。
操作部11D(ジョイスティックのレバー)が、位置P1から位置P10に移動させられて、位置P10に維持される場合であって、位置P1から位置P10への操作部11Dの移動所要時間が閾値(第2閾値)以下である場合(クイックスタートモード)に、船舶推進装置用制御装置14は、図12(C)または図13(C)に示すように、操作部11Dが位置P1から位置P10に移動させられた時刻(移動終了時刻)t1に第2推進力(船舶1を時計回りに旋回させる大きい推進力)(値F1と同等の推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。次いで、時刻t1以降の期間中に第2推進力を船舶推進装置12、13に発生させ続ける。
【0119】
また、第5実施形態の船舶推進装置用制御装置14では、図12または図13に示す制御が、船舶1を反時計回りに旋回させる制御(船舶1を反時計回りにその場回頭させる制御)にも適用される。
第5実施形態の船舶推進装置用制御装置14が適用される船舶1では、操作部11D(ジョイスティックのレバー)が、位置P1(図3(A)参照)から位置P11(図3(K)参照)に移動させられて、位置P11に維持される場合であって、位置P1から位置P11への操作部11Dの移動所要時間が閾値(第2閾値)よりも長い場合(スロースタートモード)に、船舶推進装置用制御装置14は、図12(B)または図13(B)に示すように、操作部11Dが位置P1から位置P11に移動させられた時刻(移動終了時刻)t1から時刻t2までの第1期間中に、第1推進力(船舶1を反時計回りに旋回させる小さい推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。次いで、時刻t2以降の第2期間中に、第1推進力よりも大きい第2推進力(船舶1を反時計回りに旋回させる大きい推進力)(値F1と同等の推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。
操作部11D(ジョイスティックのレバー)が、位置P1から位置P11に移動させられて、位置P11に維持される場合であって、位置P1から位置P11への操作部11Dの移動所要時間が閾値(第2閾値)以下である場合(クイックスタートモード)に、船舶推進装置用制御装置14は、図12(C)または図13(C)に示すように、操作部11Dが位置P1から位置P11に移動させられた時刻(移動終了時刻)t1に第2推進力(船舶1を反時計回りに旋回させる大きい推進力)(値F1と同等の推進力)を船舶推進装置12、13に発生させる。次いで、時刻t1以降の期間中に第2推進力を船舶推進装置12、13に発生させ続ける。
【0120】
<第6実施形態>
以下、本発明の船舶推進装置用制御装置、船舶推進装置用制御方法およびプログラムの第6実施形態について説明する。
第6実施形態の船舶推進装置用制御装置14が適用される船舶1は、後述する点を除き、上述した第1~第5実施形態の船舶推進装置用制御装置14が適用される船舶1と同様に構成されている。従って、第6実施形態の船舶1によれば、後述する点を除き、上述した第1~第5実施形態の船舶1と同様の効果を奏することができる。
【0121】
第1~第5実施形態の船舶推進装置用制御装置14が適用される船舶1(図1図7および図11参照)には、2つの船舶推進装置12、13が備えられている。
一方、第6実施形態の船舶推進装置用制御装置14が適用される船舶1には、3つ以上の船舶推進装置(図示せず)が備えられている。
【0122】
第6実施形態の船舶推進装置用制御装置14は、操作部11Dが位置P1から位置P2~P11のいずれかに移動させられた時刻t1から時刻t2までの第1期間中に、第1推進力を3つ以上の船舶推進装置に発生させ、次いで、時刻t2以降の第2期間中に、第1推進力よりも大きい第2推進力を3つ以上の船舶推進装置に発生させる。
【0123】
<第7実施形態>
以下、本発明の船舶推進装置用制御装置、船舶推進装置用制御方法およびプログラムの第7実施形態について説明する。
第7実施形態の船舶推進装置用制御装置14が適用される船舶1は、後述する点を除き、上述した第1~第5実施形態の船舶推進装置用制御装置14が適用される船舶1と同様に構成されている。従って、第7実施形態の船舶1によれば、後述する点を除き、上述した第1~第5実施形態の船舶1と同様の効果を奏することができる。
【0124】
図14は第7実施形態の船舶推進装置用制御装置14が適用される船舶1の一例を示す図である。
上述したように、第1実施形態の船舶1(図1および図2に示す例)では、操作部11Dが、レバーを有するジョイスティックによって構成されている。
一方、第7実施形態の船舶1(図14に示す例)では、操作部11Dが、タッチパネルによって構成されている。操船者は、操舵装置11A(ステアリングホイール)およびリモコン装置11B、11C(リモコンレバー)を操作することによって、推進ユニット12A1、13A1および操舵アクチュエータ12A2、13A2を作動させることができるのみならず、操作部11D(タッチパネル)を操作することによっても、推進ユニット12A1、13A1および操舵アクチュエータ12A2、13A2を作動させることができる。
他の例では、船体11が、操舵装置11A、リモコン装置11Bおよびリモコン装置11Cを備えていなくてもよい。
【0125】
図14に示す例では、船舶推進装置用制御装置14が、操作部11Dに対する入力操作に基づいて、船舶推進装置12の操舵アクチュエータ12A2および推進ユニット12A1と、船舶推進装置13の操舵アクチュエータ13A2および推進ユニット13A1とを制御する。
詳細には、船舶推進装置用制御装置14は、操作部11D(タッチパネル)に対する例えばフリック入力操作に基づいて、推進ユニット12A1、13A1および操舵アクチュエータ12A2、13A2が発生する船舶1の推進力の大きさおよび向き並びに回転モーメントの大きさおよび向きを制御する。
フリック入力操作では、操船者は、例えば、タッチパネルを押圧しつつ、タッチパネルを押圧している指を目的の向きにスライドさせる。
移動経路算出部14Aは、操作部11Dの移動経路を算出する。詳細には、移動経路算出部14Aは、操船者がタッチパネルを押圧しながらスライドさせた指の移動経路を算出する。
経過時間算出部14Bは、操作部11D(タッチパネルを押圧する操船者の指)がある位置に移動させられた時刻からの経過時間を算出する。
推進力算出部14Cは、移動経路算出部14Aによって算出された操作部11Dの移動経路(タッチパネルを押圧しながらスライドさせられた指の移動経路)と、経過時間算出部14Bによって算出された経過時間とに基づいて、船舶推進装置12、13に発生させる推進力を算出する。
また、推進力算出部14Cは、移動経路算出部14Aによって算出された操作部11Dの移動経路と、経過時間算出部14Bによって算出された経過時間とに基づいて、船舶推進装置12、13によって船舶1に発生させる回転モーメントを算出する。
【0126】
図14に示す例では、操作部11D(タッチパネル)に対してフリック入力操作可能であると共に、回転入力操作可能に、操作部11Dが構成されている。
操船者は、例えば、1本の指をタッチパネルに当接させて中心点として固定させた状態で、他の指を、タッチパネルを押圧しながら周方向にスライドさせることによって、回転入力操作を行う。
操船者が、操作部11D(タッチパネル)に対して時計回りの回転入力操作を行う場合に、船舶推進装置用制御装置14は、船体11が右旋回するように、推進ユニット12A1、13A1および操舵アクチュエータ12A2、13A2を制御する。一方、操船者が、操作部11D(タッチパネル)に対して反時計回りの回転入力操作を行う場合に、船舶推進装置用制御装置14は、船体11が左旋回するように、推進ユニット12A1、13A1および操舵アクチュエータ12A2、13A2を制御する。
また、操船者が操作部11D(タッチパネル)に対してフリック入力操作を行う場合に、船舶推進装置用制御装置14は、船体11が、姿勢を維持したまま、操船者の指がスライドさせられた向きに移動するように、推進ユニット12A1、13A1および操舵アクチュエータ12A2、13A2を制御する。つまり、操船者が操作部11D(タッチパネル)に対してフリック入力操作を行うことによって、船体11の前部111と、船体11の後部112とが、並進する。
【0127】
操船者が操作部11D(タッチパネル)に対してフリック入力操作を行っていない場合(つまり、操船者の指がタッチパネルに当接していない場合)、操作部11Dは、図3(A)に示す状態と同様の状態になる。その結果、船舶推進装置用制御装置14は、推進ユニット12A1、13A1および操舵アクチュエータ12A2、13A2に船舶1の推進力を発生させない。
【0128】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。上述した各実施形態および各例に記載の構成を組み合わせてもよい。
【0129】
なお、上述した実施形態における船舶推進装置用制御装置14が備える各部の機能全体あるいはその一部は、これらの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【符号の説明】
【0130】
1…船舶、11…船体、111…前部、112…後部、11A…操舵装置、11B…リモコン装置、11C…リモコン装置、11D…操作部、11E…第1期間設定部、11F…モード設定部、P1…位置、P2…位置、P3…位置、P4…位置、P5…位置、P6…位置、P7…位置、P8…位置、P9…位置、12…船舶推進装置、12A…船舶推進装置本体、12A1…推進ユニット、12A2…操舵アクチュエータ、12AX…操舵軸、12B…ブラケット、13…船舶推進装置、13A…船舶推進装置本体、13A1…推進ユニット、13A2…操舵アクチュエータ、13AX…操舵軸、13B…ブラケット、14…船舶推進装置用制御装置、14A…移動経路算出部、14B…経過時間算出部、14C…推進力算出部、14D…第1期間長さ変更部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14